(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】神経感知及び刺激のために超音波通信を用いる埋め込み
(51)【国際特許分類】
A61N 1/05 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
A61N1/05
(21)【出願番号】P 2021506383
(86)(22)【出願日】2019-04-19
(86)【国際出願番号】 US2019028385
(87)【国際公開番号】W WO2019204773
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-04-18
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520404344
【氏名又は名称】イオタ バイオサイエンシズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IOTA BIOSCIENCES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】マハービズ, マイケル エム.
(72)【発明者】
【氏名】ニーリイ, ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ケイ, ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】カルメナ, ジョセ エム.
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/009912(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0202467(US,A1)
【文献】米国特許第05095905(US,A)
【文献】特表2008-546444(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0331933(US,A1)
【文献】国際公開第2018/009905(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2003/0236557(US,A1)
【文献】特表2018-501024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/05
A61N 1/36
A61N 1/372 - 1/378
A61B 5/25 - 5/259
A61B 5/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み可能な医療装置であって、
超音波を受信し、前記超音波からのエネルギーを前記装置に電力を供給する電気エネルギーに変換するように構成される超音波変換器を含む本体と、
前記超音波変換器と電気的に連絡する2つ以上の電極と、
神経を少なくとも部分的に取り囲み、前記2つ以上の電極を前記神経と電気的に連絡するよう配置するように構成される、前記本体に取り付けられたクリップであって、
複数の可撓性脚部と、
前記複数の可撓性脚部
の少なくとも1つ以上を操作するように構成されるフック又はループと、を備える、クリップと、
を備える、埋め込み可能な医療装置。
【請求項2】
前記クリップは、前記神経と、前記神経に付着された糸状組織とを少なくとも部分的に取り囲むように構成される、請求項1に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項3】
前記糸状組織が血管である、請求項2に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項4】
前
記複数の可撓性脚部
は前記本体の下方に延びる、請求項1乃至3の何れか1項に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項5】
前記可撓性脚部が湾曲している、請求項4に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項6】
前記脚部は、前記本体の下方に延びるにつれて、前記本体に向かって湾曲する前に、前記脚部が前記本体から離れるように延びる、請求項5に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項7】
前記複数の可撓性脚部は少なくとも1対の脚部を備え、前記1対の脚部は、反対方向に前記本体から離れて下方に延びる第1の脚部及び第2の脚部を備える、請求項6に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項8】
前記第1の脚部及び前記第2の脚部は、前記本体に接続されたクロスバーによって接続される、請求項7に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項9】
前記クロスバーは、可撓部を介して前記装置の前記本体に接続される、請求項8に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項10】
前記脚部は、前記本体の底部を介して前記本体に取り付けられる、請求項4乃至9の何れか1項に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項11】
前記脚部が、金属、金属合金、セラミック、シリコン、又は非ポリマー材料を備える、請求項4乃至10の何れか1項に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項12】
前記脚部が、エラストマーコーティング又は非エラストマーポリマーコーティングを備える、請求項4乃至10の何れか一項に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項13】
前記脚部のうちの少なくとも1つは、エラストマーコーティング又は非エラストマーポリマーコーティングでコーティングされた外面と、前記エラストマーコーティング又は前記非エラストマーポリマーコーティングでコーティングされていない少なくとも1つの電極を備える内面とを備える、請求項11に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項14】
前記本体は底部表面を備え、前記2つ以上の電極は、前記本体の前記底部上で終端する、請求項1乃至13の何れか1項に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項15】
前記2つ以上の電極が前記クリップ上に配置される、請求項1乃至13の何れか1項に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項16】
前記クリップが前記本体の下方に延びる複数の可撓性脚部を備え、前記2つ以上の電極が前記可撓性脚部上に配置される、請求項15に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項17】
前記本体がハウジングを備える、請求項1乃至16の何れか1項に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項18】
前記本体は、前記超音波変換器と前記2つ以上の電極とに電気的に接続された集積回路を備える、請求項1乃至17の何れか1項に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項19】
前記集積回路は、コンデンサを備えるエネルギー蓄積回路を備える、請求項18に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項20】
前記本体は、最長寸法で約5mm以下の長さである、請求項1乃至19の何れか1項に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項21】
前記超音波変換器は、データを符号化する超音波後方散乱を放射するように構成される、請求項1乃至20の何れか1項に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項22】
前記データは、検出された神経活性、測定された生理学的状態、装置状態、又は放射された電気パルスに関連する情報を備える、請求項21に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項23】
前記埋め込み可能な医療装置は、前記神経に電気パルスを放射するように構成される、請求項1乃至22の何れか1項に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項24】
前記超音波変換器は、前記埋め込み可能な装置を動作させるための命令を符号化する超音波を受信するように構成される、請求項1乃至23の何れか1項に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項25】
前記命令が、前記神経に電気パルスを放射するように前記埋め込み可能な装置を動作させるトリガ信号を備える、請求項24に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項26】
被験者に埋め込まれるよう構成される埋め込み可能な医療装置であって、超音波を受信し、前記超音波からのエネルギーを前記装置に電力を供給する電気エネルギーに変換するように構成される超音波変換器を備える本体と、前記超音波変換器と電気的に連絡する電極と、前記本体に取り付けられたクリップであって、前記クリップが
複数の可撓性脚部及び
前記可撓性脚部
の1つ以上を操作するよう構成されるフック又はループを備える、クリップとを備え、
前記クリップの前記
可撓性脚部
の1つ以上は、前記フック又はループを使用して外向きに屈曲させられるように構成され、
前記電極は、神経と電気的に連絡するように配置されるように構成され、
前記クリップ
の前記1つ以上の
可撓性脚部は前記外向きに屈曲させられた構造物から解放されるように構成され、前記
複数の可撓性脚部は、前記神経を少なくとも部分的に取り囲み、解放時に前記電極を前記神経と電気的に連絡した状態に維持する、埋め込み可能な医療装置。
【請求項27】
前記埋め込み可能な医療装置が電池を備えない、請求項1乃至26の何れか1項に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項28】
前記埋め込み可能な医療装置が無線周波数通信システムを備えない、請求項1乃至27の何れか1項に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項29】
埋め込まれた前記医療装置が、クリップの脚部で終端することなく前記装置の本体から延びる電気リードを備えない、請求項1乃至28の何れか1項に記載の埋め込み可能な医療装置。
【請求項30】
請求項1乃至29の何れか1項に記載の前記埋め込み可能な医療装置と、前記埋め込み可能な医療装置に超音波を送信するように構成される1つ以上の超音波変換器を備えるインテロゲータとを備えるシステムであって、前記超音波は、前記埋め込み可能な医療装置に電力を供給する、システム。
【請求項31】
前記インテロゲータが外部に装着されるように構成される、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記インテロゲータが、前記埋め込み可能な装置によって放射された超音波後方散乱を受信するように構成され、前記超音波後方散乱はデータを符号化する、請求項30又は31に記載のシステム。
【請求項33】
前記インテロゲータが、前記データを分析するか、又は前記データをコンピュータシステムに送信するように構成される、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記インテロゲータによって送信される前記超音波が、前記埋め込み可能な装置を動作させるための命令を符号化する、請求項30乃至33の何れか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願に対する相互参照]
本出願は2018年4月19日に出願された米国仮出願第62/660,112号に対する優先権の利益を主張し、これは、あらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、超音波によって動力を供給される埋め込み可能な医療装置、及びこの埋め込み可能な医療装置を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
個体の末梢神経系は、生命維持に必要な器官の活動、及び生理的恒常性を、厳密な制御でもって動作させている。神経を通して送信される電気パルスは例えば、脈拍数、炎症、及び膀胱又は腸の制御を変化させることができる。ある種の病状は、標的器官への過剰刺激又は過少刺激の何れかによってこれらの神経信号が体を適切に制御できない場合に発生し得る。
【0004】
末梢神経系の電気信号を制御することにより、異常な生理活性を治療するための侵襲的方法が開発されている。そのような方法は、電極の先端が標的神経に接触する状態で、患者の体内に電極を移植することを含むことができる。これらの電極は一般に、外部装置に取り付けられる長いリード線を有し、これにより、患者は電極の感染又は変位の相当な危険にさらされる。さらに、その方法の多くは非常に侵襲的であるため、ある種の治療は臨床現場に限定され、在宅での療法として使用することはできない。完全埋め込み可能な装置はより侵襲性の低い治療のために開発されてきたが、このような装置は体の多くの位置において配置するには大きすぎる。したがって、埋め込まれた装置は、変位又は破損する可能性のある長いリード線の使用を必要とする。このような埋め込まれた装置はまた、迷走神経などの上流神経を刺激するために埋め込まれ、これは、標的外の電気刺激による重大な副作用をもたらす。
【0005】
制御された手法で、限定された危険性及び副作用を伴って特定の神経を刺激することができる埋め込み可能な装置が必要とされ続けている。
【0006】
本明細書で参照されるすべての刊行物、特許、及び特許出願の開示は、それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる任意の参照が本開示と矛盾する場合、本開示が優先するものとする。
【発明の概要】
【0007】
(a)超音波を受信し、その超音波からのエネルギーを装置に電力を供給する電気エネルギーに変換するように構成される超音波変換器を備える本体と、(b)この超音波変換器と電気的に連絡する2つ以上の電極と、(c)神経を少なくとも部分的に取り囲み、2つ以上の電極を神経と電気的に連絡するよう配置するように構成される、本体に取り付けられたクリップとを備える、埋め込み可能な医療装置が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、このクリップが神経及び神経に付着した糸状組織を少なくとも部分的に取り囲むように構成される。いくつかの実施形態では、糸状組織は血管である。
【0008】
埋め込み可能な医療装置のいくつかの実施形態では、クリップは本体の下方に延びる複数の可撓性脚部を備える。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、フック又はループを操作することに応答して、可撓性脚部のうちの少なくとも1つを操作するように構成されるフック又はループを備える。いくつかの実施形態では、フック又はループが可撓性脚部のうちの1つの端部に配置される。いくつかの実施形態では、フック又はループが本体の近位に配置される。
【0009】
この埋め込み可能な医療装置のいくつかの実施形態では、可撓性脚部は湾曲している。いくつかの実施形態では、この脚部は、脚部が本体の下方に延びるにつれて、本体に向かって湾曲する前に、本体から離れるように延びる。
【0010】
この埋め込み可能な医療装置のいくつかの実施形態では、複数の可撓性脚部が少なくとも1対の脚部を備え、ここでこの一対の脚部は、反対方向に本体から離れてかつ下方に延びる第1の脚部及び第2の脚部を備える。いくつかの実施形態では、第1の脚部及び第2の脚部は本体に接続されたクロスバーによって接続される。いくつかの実施形態では、クロスバーは、可撓部を介して装置の本体に接続される。いくつかの実施形態では、可撓部はヒンジである。いくつかの実施形態では、装置が2対の脚部を備え、この対の脚部それぞれは本体の反対側に配置される。いくつかの実施形態では、脚部が本体の底部表面を介して本体に取り付けられる。いくつかの実施形態では、脚部が本体の側壁を介して本体に取り付けられる。
【0011】
この埋め込み可能な医療装置のいくつかの実施形態では、脚部が金属、金属合金、セラミック、シリコン、又は非ポリマー材料を備える。いくつかの実施形態では、脚部がエラストマーコーティング又は非エラストマーポリマーコーティングを備える。いくつかの実施形態では、このコーティングは生体不活性である。いくつかの実施形態では、コーティングがシリコン、ポリ(p-キシリレン)ポリマー、又はポリイミドである。いくつかの実施形態では、脚部のうちの少なくとも1つは、エラストマーコーティング又は非エラストマーポリマーコーティングでコーティングされた外面と、エラストマーコーティング又は非エラストマーポリマーコーティングでコーティングされていない少なくとも1つの電極を備える内面とを備える。
【0012】
この埋め込み可能な医療装置のいくつかの実施形態では、本体は底部表面を含み、2つ以上の電極は本体の底部で終端する。いくつかの実施形態では、2つ以上の電極がクリップ上に配置される。いくつかの実施形態では、クリップが本体の下方に延びる複数の可撓性脚部を備え、2つ以上の電極がその可撓性脚部上に配置される。
【0013】
この埋め込み可能な医療装置のいくつかの実施形態では、本体がハウジングを備える。いくつかの実施形態では、ハウジングは、生体不活性材料を備えるか、又は生体不活性材料でコーティングされる。いくつかの実施形態では、ハウジングは生体不活性材料を備え、そのハウジングの生体不活性材料はチタン又はセラミックを備える。
【0014】
この埋め込み可能な医療装置のいくつかの実施形態では、本体が超音波変換器と2つ以上の電極とに電気的に接続された集積回路を備える。いくつかの実施形態では、集積回路はコンデンサを備えるエネルギー蓄積回路を備える。
【0015】
この埋め込み可能な医療装置のいくつかの実施形態では、本体が最長寸法で約5mm以下の長さである。
【0016】
この埋め込み可能な医療装置のいくつかの実施形態では、超音波変換器は、データを符号化する超音波後方散乱を放射するように構成される。いくつかの実施形態では、このデータは、検出された神経活性、測定された生理学的状態、装置状態、又は放射された電気パルスに関連する情報を備える。
【0017】
この埋め込み可能な医療装置のいくつかの実施形態では、埋め込み可能な医療装置は神経に電気パルスを放射するように構成される。
【0018】
この埋め込み可能な医療装置のいくつかの実施形態では、超音波変換器は、埋め込み可能な装置を動作させるための命令を符号化する超音波を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、この命令は、神経に電気パルスを放射させるために埋め込み可能な装置を動作させるトリガ信号を備える。
【0019】
また、被験者に医療装置を埋め込む方法であって、この装置が、超音波を受信し、その超音波からのエネルギーを、装置に電力を供給する電気エネルギーに変換するように構成される超音波変換器を備える本体と、超音波変換器と電気的に連絡する電極と、本体に取り付けられたクリップとを備え、クリップは、複数の可撓性脚部を備え、この方法は、(a)クリップの1つ以上の脚部を外向きに屈曲させることと、(b)電極を神経と電気的に連絡するように配置することと、(c)クリップの1つ以上の脚部を解放することとを備え、ここで1つ以上の脚部は神経を少なくとも部分的に取り囲み、解放時に電極を神経と電気的に連絡した状態に維持する、方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、複数の脚部が神経及び神経に付着した糸状組織を少なくとも部分的に取り囲む。いくつかの実施形態では、糸状組織は血管である。いくつかの実施形態では、装置が被験者に腹腔鏡下で埋め込まれる。いくつかの実施形態では、クリップが神経に内向きの圧力を及ぼす。いくつかの実施形態では、クリップが神経の周りの回転運動を可能にする。いくつかの実施形態では、脚部が約1MPa以下の圧力を神経又は糸状組織に及ぼす。
【0020】
被験者に医療装置を移植する方法のいくつかの実施形態では、この神経は自律神経である。いくつかの実施形態では、この神経は交感神経である。いくつかの実施形態では、この神経は、腸間膜神経、脾神経、坐骨神経、脛骨神経、腹腔神経節、又は仙骨神経である。
【0021】
被験者に医療装置を移植する方法のいくつかの実施形態では、複数の脚部が本体の下方に延びる。いくつかの実施形態では、クリップの1つ以上の脚部を外向きに曲げることは、1つ以上の脚部に接続された1つ以上のフック又はループを操作することを備える。いくつかの実施形態では、この脚部は湾曲している。いくつかの実施形態では、この脚部は、脚部が本体の下方に延びるにつれて、本体に向かって湾曲する前に、本体から離れるように延びる。いくつかの実施形態では、複数の可撓性脚部が少なくとも1対の脚部を備え、ここでこの一対の脚部は、反対方向に本体から離れてかつ下方に延びる第1の脚部及び第2の脚部を備える。いくつかの実施形態では、一対の脚部は本体に接続されたクロスバーによって接続される。いくつかの実施形態では、クロスバーは、可撓部を介して装置の本体に接続される。いくつかの実施形態では、可撓部はヒンジである。いくつかの実施形態では、装置が2対の脚部を含み、装置が2対の脚部を備え、この対の脚部それぞれは本体の反対側へ配置される。いくつかの実施形態では、脚部が本体の底部表面を介して本体に取り付けられる。いくつかの実施形態では、脚部が本体の側壁を介して本体に取り付けられる。いくつかの実施形態では、脚部が金属、金属合金、セラミック、シリコン、又は非ポリマー材料を備える。いくつかの実施形態では、脚部がエラストマーコーティング又は非エラストマーポリマーコーティングを備える。いくつかの実施形態では、このコーティングは生体不活性である。いくつかの実施形態では、コーティングがシリコン、ウレタンポリマー、ポリ(p-キシリレン)ポリマー、又はポリイミドである。いくつかの実施形態では、脚部のうちの少なくとも1つは、エラストマーコーティング又は非エラストマーポリマーコーティングでコーティングされた外面と、エラストマーコーティング又は非エラストマーポリマーコーティングでコーティングされていない少なくとも1つの電極を備える内面とを備える。いくつかの実施形態では、本体は底部表面を含み、2つ以上の電極は本体の底部で終端する。いくつかの実施形態では、2つ以上の電極がクリップ上に配置される。いくつかの実施形態では、クリップが本体の下方に延びる複数の可撓性脚部を備え、2つ以上の電極がその可撓性脚部上に配置される。
【0022】
被験者に医療装置を移植する方法のいくつかの実施形態では、本体がハウジングを備える。いくつかの実施形態では、ハウジングが生体不活性材料を備える。いくつかの実施形態では、ハウジングは生体不活性材料を備え、そのハウジングの生体不活性材料はチタン又はセラミックを備える。
【0023】
被験者に医療装置を埋め込む方法のいくつかの実施形態では、本体が、超音波変換器と2つ以上の電極とに電気的に接続された集積回路を備える。いくつかの実施形態では、集積回路はコンデンサを備えるエネルギー蓄積回路を備える。いくつかの実施形態では、本体が最長寸法で約5mm以下の長さである。
【0024】
(a)装置に電力を供給し、超音波後方散乱を放射する超音波を受信するように構成される2つ以上の超音波変換器と、(b)コンデンサを備えるエネルギー蓄積回路を備える集積回路であって、この集積回路が第1の超音波変換器及び第2の超音波変換器に電気的に接続されている集積回路と、(c)(i)生理学的状態を測定するように構成されるセンサと、(ii)組織と電気的に連絡し、組織に電気パルスを放射するように構成される2つ以上の電極と、(iii)組織と電気的に連絡し、組織から電気生理学的信号を検出するように構成される2つ以上の電極と、のうちの1つ以上とを備え、センサ又は2つ以上の電極は集積回路に電気的に接続されている、埋め込み可能な医療装置が本明細書でさらに記載される。いくつかの実施形態では、2つ以上の超音波変換器が、第1の偏波軸を備える第1の超音波変換器と第2の偏波軸を備える第2の超音波変換器とを備え、ここで、第2の超音波変換器は第2の偏波軸が第1の偏波軸に直交するように配置され、第1の超音波変換器及び第2の超音波変換器は、装置に電力を供給し超音波後方散乱を放射する超音波を受信するように構成される。
【0025】
いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は生理学的状態を測定するように構成されるセンサを備える。いくつかの実施形態では、センサは、温度センサ、pHセンサ、圧力センサ、歪みセンサ、脈拍センサ、血圧センサ、酸素メータ、グルコースメータ、インピーダンスメータであるか、又は検体濃度を測定するように構成される。
【0026】
いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、組織と電気的に連絡し組織に電気パルスを放射するように構成される2つ以上の電極を備える。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、組織と電気的に連絡し組織からの電気生理学的信号を検出するように構成される2つ以上の電極を備える。いくつかの実施形態では、電気生理学的信号は神経信号である。いくつかの実施形態では、超音波後方散乱は、測定された生理学的状態、放射された電気パルス、又は検出された電気生理学的信号に関連する情報を符号化する。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1の超音波変換器及び第2の超音波変換器が並列に集積回路に電気的に接続される。いくつかの実施形態では第1の超音波変換器、第2の超音波変換器、及び集積回路は本体内に収容され、装置は糸状組織を少なくとも部分的に取り囲むように構成されるクリップをさらに備える。いくつかの実施形態では、糸状組織は神経を備える。いくつかの実施形態では、糸状組織は血管に付着した神経を備える。いくつかの実施形態では、クリップは本体の下方に延びる複数の可撓性脚部を備える。
【0028】
上述の埋め込み可能な医療装置の何れかのいくつかの実施形態では、埋め込み可能な医療装置は電池を備えない。
【0029】
上述の埋め込み可能な医療装置の何れかのいくつかの実施形態では、埋め込み可能な医療装置は無線周波数通信システムを備えない。
【0030】
上述の埋め込み可能な医療装置の何れかのいくつかの実施形態では、埋め込み可能な医療装置は、クリップの脚部で終端することなく装置の本体から延びる電気リード線を備えない。
【0031】
さらに本明細書では、システムは、上述の埋め込み可能な医療装置のうちの任意の1つと、埋め込み可能な医療装置に超音波を送信するように構成される1つ以上の超音波変換器を備えるインテロゲータとを備え、超音波は埋め込み可能な医療装置に電力を供給する。いくつかの実施形態では、インテロゲータは外部から装着されるように構成される。いくつかの実施形態では、インテロゲータは埋め込み可能な装置によって放射される超音波後方散乱を受信するように構成され、ここで、超音波後方散乱はデータを符号化する。ある実施形態では、インテロゲータは、データを分析するか又はデータをコンピュータシステムに送信するように構成される。いくつかの実施形態では、インテロゲータによって送信される超音波が、埋め込み可能な装置を動作させるための命令を符号化する。
【0032】
また、被験者の失禁を治療する方法であって、超音波からのエネルギーを、被験者の脛骨神経若しくはその枝、外陰神経若しくはその枝、又は仙骨神経若しくはその枝と電気的に連絡する2つ以上の電極を備える被験者に完全に埋め込まれた装置に電力を供給する電気的エネルギーに変換することと、被験者の脛骨神経若しくはその枝、外陰神経若しくはその枝、又は仙骨神経若しくはその枝を完全に埋め込まれた医療装置を使用して電気的に刺激することと、を備える、方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、脛骨神経若しくはその枝、外陰神経若しくはその枝、又は仙骨神経若しくはその枝は、超音波で符号化されたトリガ信号に応答して、完全に埋め込まれた医療装置によって刺激される。いくつかの実施形態では、脛骨神経若しくはその枝、外陰神経若しくはその枝、又は仙骨神経若しくはその枝を電気的に刺激することは、脛骨神経若しくはその枝、外陰神経若しくはその枝、又は仙骨神経若しくはその枝に複数の電流パルスを放射することを備える。いくつかの実施形態では、脛骨神経若しくはその枝、外陰神経若しくはその枝、又は仙骨神経若しくはその枝を電気的に刺激することは、脛骨神経若しくはその枝、外陰神経若しくはその枝、又は仙骨神経若しくはその枝に複数の電圧パルスを放射することを備える。
【0033】
被験者の失禁を治療するいくつかの実施形態では、複数の電流パルス又は複数の電圧パルスが一定の周波数で放射される。いくつかの実施形態では、複数の電流パルス又は複数の電圧パルスの周波数が約1Hz~約50Hzである。いくつかの実施形態では、この方法は、1つ以上の超音波変換器を備えるインテロゲータを使用して、埋め込まれた医療装置に超音波を送信することを備える。いくつかの実施形態では、超音波は埋め込み可能な装置を動作させるための命令を符号化する。
【0034】
いくつかの実施形態では、この方法は、データを符号化する超音波後方散乱を放射する。いくつかの実施形態では、このデータは、埋め込み可能な装置が電気パルスを放出したかどうか、又は電気パルスを放射するために何のパラメータが使用されたかを示す刺激状態を備える。いくつかの実施形態では、この方法は超音波後方散乱を受信することを備える。いくつかの実施形態では、この方法は、超音波後方散乱によって符号化されたデータを分析することを備える。
【0035】
失禁を治療するいくつかの実施形態では、インテロゲータが外部に装着される装置である。いくつかの実施形態では、インテロゲータが被験者の皮膚に接触する。いくつかの実施形態では、インテロゲータがハンドヘルド装置を使用して動作する。いくつかの実施形態では、このハンドヘルド装置がインテロゲータに無線で接続される。
【0036】
失禁を治療するいくつかの実施形態では、この方法は、脛骨神経若しくはその枝、外陰神経若しくはその枝、又は仙骨神経若しくはその枝に2つ以上の電極を接触させるために、医療装置を被験者に埋め込むことを備える。
【0037】
失禁を治療するいくつかの実施形態では、2つ以上の電極が脛骨神経又はその枝と電気的に連絡している。いくつかの実施形態では、インテロゲータが被験者の足首に取り付けられる。
【0038】
失禁を治療するいくつかの実施形態では、2つ以上の電極が仙骨神経又はその枝と電気的に連絡している。いくつかの実施形態では、インテロゲータが、患者の股関節、腹部、腰、臀部、又は上肢に取り付けられる。
【0039】
失禁を治療するいくつかの実施形態では、失禁は、過活動膀胱、低活動膀胱、尿失禁、又は便失禁である。
【0040】
失禁を治療するいくつかの実施形態では、被験者はヒトである。
【0041】
失禁を治療するいくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は上記の埋め込み可能な医療装置の何れか1つである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】埋め込み可能な装置の本体の側面図を示す。この本体は、コンデンサを有する電力回路を含む集積回路に電気的に接続された超音波変換器を含む。この本体はさらに、フィードスルーを含む底部表面を含み、この底部表面は、集積回路が装置上の他の場所に配置された電極と電気的に接続することを可能にする。
【0043】
【
図2】超音波変換器、集積回路、及びコンデンサを含む、埋め込み可能な装置の本体の上面図を示す。
【0044】
【
図3】超音波変換器と、集積回路と、生理学的条件を測定するように構成することができるセンサとを含む例示的な埋め込み可能な装置を示す。
【0045】
【
図4】直交して配置された2つの超音波変換器を含む埋め込み可能な装置の本体を示す。この本体はさらに、コンデンサを含む電力回路を有する集積回路を含む。
【0046】
【
図5】クリップに取り付けられた本体を有する例示的な埋め込み可能な装置を示す。この本体は、神経と電気的に連絡する電極に電気的に接続された超音波変換器及び集積回路を含む。このクリップは、神経からの電気生理学的パルスを電気的に刺激又は検出するために、本体を神経に保持し、電極を所定の位置に保持する。
【0047】
【
図6】超音波変換器及び集積回路を囲むハウジングを有する本体を含む埋め込み可能な装置の別の例を示す。この本体は、神経を少なくとも部分的に取り囲み、電極を神経と電気的に連絡するように配置するように構成される脚部を含むクリップに取り付けられる。
【0048】
【
図7】複数の脚部を有するクリップに取り付けられた本体を有する埋め込み可能な装置の別の実施形態の側面図を示す。このクリップは、本体の底部表面の下で本体に取り付けられる。この脚部は、脚部の外面にコーティング(エラストマーコーティング又は非エラストマーポリマーコーティングであってもよい)で被覆されるが、脚部の内面にはコーティングされていない。この電極はコーティングされておらず、脚部の内面に配置されている。
【0049】
【
図8B】脚部上に配置された電極を有する脚部の2つの例示的な構成を示す。
図8Aでは、脚部の内面に沿って配置される単一の電極を脚部が含む。
図8Bでは、脚部の内面に沿った異なる位置で終端する複数の電極を脚部が含む。
【0050】
【
図9A】脚部の末端にフックを有する脚部の一実施形態を示す。
【
図9B】装置の本体の近位にフックを有する埋め込み可能な装置の一実施形態を示す。
図9Bの装置上のフックは本体の反対側の脚部に接続されており、フックを操作することにより、脚部を外向きに屈曲させることが可能である。
【0051】
【
図10】埋め込み可能な装置と共に使用することができる例示的なインテロゲータを示す。
【0052】
【
図11】埋め込み可能な装置と通信するインテロゲータを示す。このインテロゲータは、トリガ信号を符号化することができる超音波を送信することができる。この埋め込み可能な装置は、情報を符号化するために埋め込み可能な装置によって調整され得る超音波後方散乱を放射する。
【0053】
【
図12】集積回路に電気的に接続された超音波変換器及び電極を示す、埋め込み可能な装置の一実施形態の概略図を示す。この集積回路は電力回路を含み、この電力回路は、超音波変換器からの電気エネルギーを格納することができるコンデンサを含む。この集積回路は、情報を符号化するために、電力回路を動作させ超音波変換器を流れる電流を変調することができるデジタル回路又は多信号集積回路をさらに含む。
【0054】
【
図13A】被験者に完全に埋め込まれた本体及びクリップを有する埋め込み可能な装置を示し、ここでこのクリップは、埋め込み可能な装置を脛骨神経に取り付ける。
【
図13B】脛骨神経と電気的に連絡する埋め込み可能な装置と通信することができる、被験者によって装着されるインテロゲータを示す。
【0055】
【
図14】仙骨神経にクリップされた埋め込み可能な装置と、仙骨神経刺激(SNS)に使用されているインテロゲータとを含むシステムを示す。この埋め込み可能な装置は、超音波変換器、電極、及びクリップを有する本体を含む。このインテロゲータは、スマートフォン又はタブレットなどのモバイル装置によって任意に制御される。
【発明を実施するための形態】
【0056】
電気生理学的信号又は生理学的状態を検出することができ、又は神経に電気パルスを放射することができる、小型の埋め込み可能な装置が、本明細書に記載される。埋め込み可能な装置は外部のインテロゲータに放射された超音波によって電力供給され、この超音波は埋め込み可能な装置上の超音波変換器によって受信され、電気エネルギーに変換される。インテロゲータに放射される超音波は埋め込み可能な装置を動作させるための命令をさらに符号化することができ、これらの命令は、埋め込み可能な装置上の超音波変換器によって受信される。外部変換器によって送信される超音波は例えば、埋め込み可能な装置に電気パルスを放射するように信号を送ることができるトリガ信号を符号化することができる。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は超音波後方散乱波を放射し、この超音波後方散乱波はインテロゲータ又は他の外部超音波受信機によって受信されてもよい。超音波後方散乱波は、埋め込み可能な装置によって検出された電気パルス(例えば、神経活性)に関連するデータ、測定された生理学的状態、放出された電気パルスに関連する情報、又は埋め込み可能な医療装置の状態に関連する情報などのデータを符号化することができる。
【0057】
埋め込み可能な装置は、神経を刺激するための、又は神経活性を検出するための電極を含むことができる。埋め込み可能な装置は移動可能な患者に移植する可能性があることから、患者の動きが内部組織の移動を引き起こす可能性があるので、埋め込み可能な装置の電極が標的神経と電気的に連絡したままであることを確実にする必要がある。本明細書でさらに記載するように、埋め込み可能な装置は、電気生理学的信号を検出するか又は電気パルスを放射するように構成することができる2つ以上の電極と、神経を少なくとも部分的に取り囲み、2つ以上の電極を神経と電気的に連絡するよう配置するように構成されるクリップとを含むことができる。本体のいくつかの位置では、標的神経が血管などの別の糸状組織に付着されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、クリップが糸状組織又は血管を少なくとも部分的に取り囲むように構成することができる。クリップを使用して電極を所定の位置に配置し留めることによって、埋め込み可能な装置を組織に縫合する必要がなく、これは、移植を容易にし、周囲の組織損傷を回避する。例えば、埋め込み可能な装置は、使用中に電極が正しい配置にあることを保証しながら、腹腔鏡下で直ちに埋め込むことができる。
【0058】
埋め込み可能な装置は、例えば標的神経の移動又は外部インテロゲータの再配置のために、外部インテロゲータに対して移動することができるので、埋め込み可能な装置の超音波変換器の分極軸がインテロゲータの1つ以上の超音波変換器の分極軸と一直線にされなくなった場合に、単一の超音波変換器を有する埋め込み可能な装置は、インテロゲータへの弱められたコネクションを有してもよい。したがって、本明細書でさらに説明するように、埋め込み可能な装置は、平行でない偏光軸を有する2つ以上の超音波変換器を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の偏波軸を備える第1の超音波変換器と、第2の偏波軸を備える第2の超音波変換器とを有する埋め込み可能な装置があり、ここで第2の超音波変換器は、第2の偏波軸が第1の偏波軸と直交するように配置される。この構成では、埋め込み可能な装置の継続的な電力供給を可能にするために、外部変換器によって放射される超音波を、異なる向きに配置された埋め込み可能な装置によって受信することができる。
【0059】
本明細書に記載される埋め込み可能な装置は、神経を刺激して病状を治療するために使用されてもよい。この埋め込み可能な装置は小さいので、それらは、限定的な侵襲性で被験者に埋め込むことができる。さらに、この埋め込み可能な装置は、より大きな装置では、及び外部に接続された本体に埋め込まれたリード線を用いずには実用上標的とされない神経を、標的とすることができる。例えば、埋め込み可能な装置は、例えば本明細書に記載される完全に埋め込まれた医療装置を使用して、脛骨神経、外陰神経、又は仙骨神経若しくはそれらの枝を電気的に刺激することによって、被験者の失禁を処置するために使用され得る。
【0060】
[定義]
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそわないことを指示しない限り、複数の参照を含む。
【0061】
本明細書では、「約」若しくは「おおよそ」の値又はパラメータへの参照は、その値又はパラメータそれ自体に向けられた変動を含む(及び記載する)。例えば、「約X」を指す記載は「X」の記載を含む。
【0062】
本明細書に記載される本発明の態様及び変形は、「それからなる」及び/又は「本質的にそれからなる」態様及び変形を含むことが理解される。
【0063】
本明細書では、用語「被験者」及び「患者」は、脊椎動物を指すために互換的に使用される。
【0064】
本明細書では、用語「治療する」、「治療すること」、及び「治療」は、少なくとも1つの症状の軽減、阻害、抑制、若しくは排除を介した異常の改善、疾患若しくは異常の進行の遅延、疾患若しくは異常の再発の遅延、又は疾患若しくは異常の阻害を含む、病状又は異常に苦しむ被験者に利益を提供する任意の行為を同義に指す。
【0065】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の各介在値、及びその明言された範囲内の任意の他の明言された値又は介在値は、本開示の範囲内に包含されることが理解されるべきである。明言された範囲が上限又は下限を含む場合、それらの何れかを除外する範囲もまた、本開示に含まれる。
【0066】
本明細書で記載される様々な実施形態の特性のうちの1つ、いくつか、又はすべては、本発明の他の実施形態を形成するために組み合わせられてもよいことは理解されるべきである。本明細書で使用される項目見出しは、構成的な目的のためでしかなく、記載される主題を制限すると解釈すべきではない。
【0067】
「実施形態」に関連して上述した特徴及び選好は別個の選好であり、その特定の実施形態のみに限定されるものではなく、技術的に実現可能な他の実施形態からの特徴と自由に組み合わせられてもよく、特徴の好ましい組み合わせを形成してもよい。この記載は当業者が本発明を作成及び使用することを可能にするために提示され、特許出願及びその要件の文脈で提供される。記載された実施形態に対する種々の変形は当業者に容易に明らかであり、本明細書での一般的な原理は他の実施形態に適用されてもよい。したがって、本発明は、示された実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に記載された原理及び特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【0068】
[埋め込み可能な装置]
埋め込み可能な装置は、1つ以上の超音波変換器を収容する本体と、装置を動作させる集積回路とを含む。この超音波変換器は超音波を受信し、受信した超音波を装置に電力を供給する電気エネルギーに変換する。この装置の本体は、超音波変換器と(例えば、集積回路を介して)電気で連絡する2つ以上の電極又はセンサを含むか、又はそれらに接続され得る。いくつかの実施形態では、超音波変換器を流れる電流は、超音波変換器によって放出される超音波後方散乱波に情報を符号化するために変調され得る。超音波後方散乱波に符号化された情報は、例えば、センサによって検出された生理学的条件、電極によって検出された電気生理学的信号、装置の状態(例えば、装置が超音波に符号化された信号を受信していることを確認している状態、集積回路の動作を確認している状態、又は装置が電力供給されていることを確認している状態)、又は埋め込み可能な装置によって放出された電気パルスに関連する情報を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、神経を少なくとも部分的に取り囲み、2つ以上の電極を神経と電気的に連絡するよう配置するように構成される、本体に取り付けられたクリップを備える。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、第1の偏波軸を備える第1の超音波変換器と、第2の偏波軸を備える第2の超音波変換器とを備え、ここで第2の超音波変換器は第2の偏波軸が第1の偏波軸と直交するように配置され、第1の超音波変換器及び第2の超音波変換器は、装置に電力を供給し超音波後方散乱を放出する超音波を受信するように構成される。
【0069】
いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置が被験者に埋め込まれる。被験者は例えば、哺乳動物であり得る。いくつかの実施形態では、この被験者は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、サル、又はげっ歯類(ネズミ又はマウスなど)である。
【0070】
[埋め込み可能な装置の本体]
埋め込み可能な装置の本体は、1つ以上の超音波変換器、並びにセンサ及び/又は電極対を含む。この電極対は、電気パルスからの電気生理学的信号を検出するか、又は電気パルスを放出するように構成することができる。電気生理学的信号を検出し、検出されたその電気生理学的信号に関連する情報を符号化することができる例示的な埋め込み可能な装置は、国際公開第2018/009910A2号に記載される。電気パルスを放出するために超音波を使用して動作できる例示的な埋め込み可能な装置は、国際公開第2018/009912A2号に記載される。センサは、例えば生理学的条件を検出又は測定することができる(温度センサ、酸素センサ、pHセンサ、歪みセンサ、圧力センサ、インピーダンスセンサ、又は検体の濃度を検出することができるセンサなどの)センサであってもよい。超音波によって電力供給され、検出された生理学的条件を符号化する超音波後方散乱を放出することができる例示的な埋め込み可能な装置は、国際公開第2018/009905A2号及び国際公開第2018/009911A2号に記載される。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置がセンサと電極対の両方を含む。いくつかの実施形態では、集積回路が埋め込み可能な装置に含まれており、この埋め込み可能な装置は電極又はセンサと超音波変換器との間を電気的に接続し、それらの間で連絡することができる。この集積回路は変調回路を含むことができ、この変調回路は、電流内のデータを符号化するために1つ以上の超音波変換器を流れる電流を変調する。変調された電流は超音波変換器が放出する超音波後方散乱波に影響し、その超音波後方散乱波はデータを符号化する。
【0071】
図1は、超音波変換器102及び集積回路104を備えた、例示的な埋め込み可能な装置本体の側面図を示す。図示される実施形態では、集積回路104は、コンデンサ106を含む電力回路を含む。このコンデンサは超音波変換器によって超音波エネルギーから変換された電気的エネルギーを一時的に格納することができ、エネルギーを格納又は放出するために集積回路104によって動作することができる。超音波変換器102、集積回路104、及びコンデンサ106は、プリント回路基板であってもよい背面板108上に据えられる。基部108は、底部表面110と側壁112a及び112bとを含むハウジング内にセットされる。このハウジングは、ハウジング内の本体構成要素をふさぐ頂部(図示せず)を更に含むことができる。底部表面110は、背面版及び/又は集積回路を1つ以上の電極に電気的に接続する1つ以上のフィードスルー114a、114b、及び114cを含んでいてもよい。この1つ以上の電極は、例えばハウジングの底部表面110の下に設置されてもよく、又は本明細書に記載されるようにクリップ上に設置されてもよい。この構成では、電極は神経と電気的に連絡することができ、本体の構成要素は、例えば本明細書で述べられるようなクリップを使用して、埋め込み可能な装置が埋め込まれ神経に取り付けられるときに、その神経の上に配置される。超音波変換器102は集積回路104と電気的に接続され、集積回路104はフィードスルーを介して電極と電気的に接続され、それによって、超音波変換器102を電極に電気的に接続する。
【0072】
図2は、ハウジングの頂部を再び除いた、
図1に示されるものと同様の本体の上面図を図示する。ハウジングは4つの側壁112a、112b、112c、及び112dを用いて示されているが、ハウジングは任意の適切な形状(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、若しくはそれ以上の側壁を有する、又は円形若しくは楕円形の単一の湾曲した側壁を有する)であり得ることが理解される。
【0073】
図3は、超音波変換器302と、集積回路304と、(温度、圧力、歪み、検体濃度、酸素、又はpHを検出することができるセンサなどの)センサ306とを有する例示的な埋め込み可能な装置の概略図を図示する。超音波変換器302は集積回路304に電気的に接続されており、この集積回路は、センサ306に電気的に接続されている。図示される実施形態は集積回路を用いて示されているが、このセンサは超音波変換器に直接接続され得ることも構想されている。さらに、本明細書で述べられるように、1つ以上のセンサは、電気パルスを検出及び/又は放出するように構成される電極をさらに有する埋め込み可能な装置上に含めることができる。
【0074】
超音波変換器は、超音波を受信しその超音波からのエネルギーを電気エネルギーに変換するように構成される。電気エネルギーは、装置に電力を供給するために集積回路に送出される。埋め込み可能な装置は、超音波を介してデータを受信又は送信するように動作することもできる。埋め込み可能な装置によって受信された超音波(例えば、インテロゲータによって送出されたもの)は、埋め込み可能な装置を動作させるための命令を符号化することができる。この命令は、例えば電極を通して電気パルスを放出するように埋め込み可能な装置に命令するトリガ信号を含んでいてもよい。トリガ信号は例えば、電気パルスがいつ放出されるべきか、パルス周波数、パルス電力若しくは電圧、パルス形状、及び/又はパルス持続時間に関する情報を含んでいてもよい。
【0075】
埋め込み可能な装置は、インテロゲータによって受信され得るデータを送信するようにも動作できる。埋め込み可能な装置上の超音波変換器は、超音波を受信し、超音波後方散乱を発し、これにより、この埋め込み可能な装置によって送信されるデータを符号化することができる。電流は超音波変換器を通して流れ、データを符号化するために変調され得る。この電流は、例えば電流を変調するセンサに電流を通すことによって直接的に変調されてもよく、例えば検出された生理学的条件又は電気生理学的パルスに基づいて変調回路を使用して電流を変調することによって間接的に変調されてもよい。いくつかの実施形態では、超音波に符号化されたデータが、検出された生理学的条件又は埋め込み可能な装置によって検出された電気生理学的パルスに関連しないデータを含む。例えば、データは、埋め込み可能な装置の状態若しくは電気パルスが放出されたことを確認する確認信号に関連する情報、及び任意で、電力、周波数、電圧、持続時間、又は放出された電気パルスに関連する他の情報を含むことができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、本体がハウジングを含み、このハウジングは基部、1つ以上の側壁、及び頂部を含むことができる。このハウジングは、1つ以上の超音波変換器及び集積回路を囲むことができる。間質液が超音波変換器及び/又は集積回路と接触するのを防止するために、ハウジングは(例えば、はんだ付け又はレーザ溶接によって)密閉されてもよい。神経と電気的に連絡するように構成される電極は、ハウジングによって囲まれていない。ハウジングは好ましくは生体不活性金属(例えば、鋼又はチタン)又は生体不活性セラミック(例えば、チタニア又はアルミナ)などの生体不活性材料から作成される。ハウジング(又はハウジングの頂部)は、超音波がハウジングを貫通することを可能にするように薄くてもよい。いくつかの実施形態では、ハウジングの厚さは約75マイクロメートル(μm)以下、約50μm以下、約25μm以下、又は約10μm以下など、約100μm以下の厚さである。いくつかの実施形態では、ハウジングの厚さは約5μm~約10μm、約10μm~約25μm、約25μm~約50μm、約50μm~約75μm、又は約75μm~約100μmの厚さである。
【0077】
いくつかの実施形態では、本体がハウジング内にポリマーなどの素材を含む。この素材はハウジングの外部の組織とハウジング内の組織との間の音響インピーダンス不整合を低減するために、ハウジング内の空きスペースを埋めることができる。したがって、装置の本体は、好ましくは空気が全くない又は真空である。
【0078】
埋め込み可能な装置の本体は比較的小さく、これは、埋め込み可能な装置にしばしば関連付けられる組織炎症を制限する一方で、快適かつ長期間の埋め込みを可能にする。いくつかの実施形態では、装置の本体の最長寸法は、長さが約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、約1mm以下、約0.5mm以下、約0.3mm以下、約0.1mm以下である。いくつかの実施形態では、装置の本体の最長寸法は、装置の最長寸法において、約0.05mm以上、約0.1mm以上、約0.3mm以上、約0.5mm以上、約1mm以上、約2mm以上、又は約3mm以上である。いくつかの実施形態では、装置の本体の最長寸法は、長さが約0.04mm~約5mm、長さが約0.05mm~約4mm、長さが約0.07mm~約3mm、長さが約0.08mm~約3mm、又は長さが約1mm~約2mmである。
【0079】
いくつかの実施態様において、埋め込み可能な装置の本体は(約4mm3以下、3mm3以下、2mm3以下、又は1mm3以下など、)約5mm3以下の容積を有する。ある実施形態では、埋め込み可能な装置の本体が約0.5mm3~約5mm3、約1mm3~約5mm3、約2mm3~約5mm3、約3mm3~約5mm3、又は約4mm3~約5mm3の体積を有する。埋め込み可能な装置の小さなサイズにより、その装置の腹腔鏡移植が可能になり、それによって、装置を埋め込む際の組織損傷が最小限になる。
【0080】
埋め込み可能な装置は、1つ、2つ、又は3つ以上の超音波変換器などの1つ以上の超音波変換器を含む。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、第1の偏波軸を有する第1の超音波変換器と、第2の偏波軸を有する第2の超音波変換器とを含み、ここで第2の超音波変換器は第2の偏波軸が第1の偏波軸と直交するように配置され、第1の超音波変換器及び第2の超音波変換器は、装置に電力を供給し超音波後方散乱を放出する超音波を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な医療装置は、第1の偏波軸を有する第1の超音波変換器と、第2の偏波軸を有する第2の超音波変換器と、第3の偏波軸を有する第3の超音波変換器とを含み、第2の超音波変換器は、第2の偏波軸が第1の偏波軸及び第3の偏波軸に直交するように配置され、第3の超音波変換器は、第3の偏波軸が第1の偏波及び第2の偏波軸に直交するように位置決めされ、第1の超音波変換器及び第2の超音波変換器は、装置に電力を供給し超音波後方散乱を放出する超音波を受信するように構成される。1つ、2つ、又は3つ以上の超音波変換器を有する埋め込み可能な装置は、神経などの組織と電気的に連絡するように構成されるセンサ又は2つ以上の電極をさらに含んでいてもよい。任意で、この埋め込み可能な装置は集積回路をさらに含む。
【0081】
図4は、2つの直交して配置された超音波変換器を含む装置の本体を示す。この本体は、プリント回路基板などの背面板402と、コンデンサ406を含む電力回路である集積回路404とを含む。本体は、集積回路404に電気的に接続された第1の超音波変換器408と、集積回路404に電気的に接続された第2の超音波変換器410とをさらに含む。第1の超音波変換器408は第1の偏波軸412を含み、第2の超音波変換器410は第2の偏波軸414を含む。第1の超音波変換器408及び第2の超音波変換器は、第1の偏波軸412が第2の偏波軸414に直交するように配置される。ハウジング(図示せず)は本体構成要素を囲み、任意にふさぐことができる。さらに、集積回路は、センサ又は電極に電気的に結合することができる。
【0082】
埋め込み可能な装置の超音波変換器は、容量型微細加工超音波変換器(CMUT)若しくは圧電微細加工超音波変換器(PMUT)などの微細加工超音波変換器とすることができ、又はバルク圧電変換器とすることができる。バルク圧電変換器は、結晶、セラミック、又はポリマーなどの任意の天然又は合成材料とすることができる。例示的なバルク圧電変換器データは、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZO)、窒化アルミニウム(AlN)、水晶、ベルリナイト(AlPO4)、トパズ、ランガサイト(La3Ga5SiO14)、オルトリン酸ガリウム(GaPO4)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、タングステン酸ナトリウム(Na2Wo3)、ビスマスフェライト(BiFeO3)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びニオブ酸鉛マグネシウム-チタン酸鉛(PMN-PT)を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、バルク圧電変換器はほぼ立方体(すなわち、約1:1:1(長さ:幅:高さ)のアスペクト比)である。いくつかの実施形態では、圧電変換器は、長さ又は幅アスペクトの何れかにおいて、約7:5:1以上、又は約10:10:1以上など、約5:5:1以上のアスペクト比を有する板状である。いくつかの実施形態では、バルク圧電変換器は、約3:1:1以上のアスペクト比で長く狭く、その最長寸法は超音波後方散乱波の方向(すなわち、分極軸)に整列される。いくつかの実施形態では、バルク圧電変換器の1寸法は、変換器の駆動周波数又は共振周波数に対応する波長(λ)の1/2に等しい。この共振周波数において、変換器の何れかの面に衝突する超音波は、逆位相に達するために180°の位相シフトを受け、2つの面の間で最大の変位を引き起こすだろう。いくつかの実施形態では、圧電変換器の高さは(約40μm~約400μm、約100μm~約250μm、約250μm~約500μm、又は約500μm~約1000μmなど)約10μm~約1000μmである。いくつかの実施形態では、圧電変換器の高さは(約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、約1mm以下、約500μm以下、約400μm以下、250μm以下、約100μm以下、又は約40μm以下など)約5mm以下である。いくつかの実施形態では、圧電変換器の高さは、長さが(約40μm以上、約100μm以上、約250μm以上、約400μm以上、約500μm以上、約1mm以上、約2mm以上、約3mm以上、又は約4mm以上など)約20μm以上である。
【0084】
いくつかの実施形態では、超音波変換器は、最長寸法において(約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、約1mm以下、約500μm以下、約400μm以下、250μm以下、約100μm以下、又は約40μm以下など)約5mm以下の長さを有する。いくつかの実施形態では、超音波変換器は、最長寸法において(約40μm以上、約100μm以上、約250μm以上、約400μm以上、約500μm以上、約1mm以上、約2mm以上、約3mm以上、又は約4mm以上など)約20μm以上の長さを有する。
【0085】
この超音波変換器は、集積回路との電気通信を可能にするために、2つの電極と接続される。第1の電極は変換器の第1の面に取り付けられ、第2の電極は変換器の第2の面に取り付けられ、ここで第1の面及び第2の面は、1つの寸法に沿って変換器の対向する側面である。いくつかの実施形態では、電極は、銀、金、白金、白金黒、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT))、導電性ポリマー(導電性PDMS又はポリイミドなど)、又はニッケルを含む。いくつかの実施形態では、変換器の電極間の軸が変換器の動きと直交する。
【0086】
いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、神経などの組織と電気的に連絡する2つ以上の電極を含む。埋め込み可能な装置は例えば、神経と電気的に連絡するように電極を配置し留めるために、本明細書に記載されるようなクリップを含むことができる。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置によって放射された電気パルスが組織内の活動電位を刺激する。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置によって放射される電気パルスが組織内の活動電位を遮断する。
【0087】
いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置が複数の電極を備える。いくつかの実施形態では、この電極は対になっている。電極対は2つの電極から形成され得、したがって、3つの電極を有する埋め込み可能な装置は3つの電極対を有することができる。電気生理学的信号が電極対中の電極間で検出され得るか、又は組織が電極対の何れかを使用して刺激され得る。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上、又は15以上の電極対を含む。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置が2、3、5、6、7、8、9、10個又はそれより多くの電極を含む。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、電気パルスを放出するために電極対内の電極を選択することができる、又は電気パルスを検出する電極対を選択することができるマルチプレクサを含む。
【0088】
神経又は組織に電気的に接続される2つ以上の電極は、その組織に沿って直線的に配列される必要はない。例えば、電極は神経と係合してもよく、又はその神経に対して横軸に沿う他の組織と係合してもよく、これは横方向にパルスを放出できる。2つ以上の電極は、横軸に沿って、正反対(すなわち180°)、又は180°未満(例えば、約170°以下、約160°以下、約150°以下、約140°以下、約130°以下、約120°以下、約110°以下、約100°以下、約90°以下、約80°以下、約70°以下、約60°以下、約50°以下、約40°以下、又は約30°以下)などの任意の角度で神経又は他の組織に係合することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、電極対の電極は(約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、約1.5mm以下、約1mm以下、又は約0.5mm以下など)約5mm以下で分離される。いくつかの実施形態では、電極対の電極は(約1mm以上、約1.5mm以上、約2mm以上、約3mm以上、又は約4以上など)約0.5mm以上離れている。いくつかの実施形態では、電極は、約0.5mm~約1mm、約1mm~約1.5mm、約1.5mm~約2mm、約2mm~約3mm、約3mm~約4mm、又は約4mm~約5mmだけ離れている。
【0090】
この電極は、埋め込み可能な装置の本体内の集積回路に電気的に結合される。いくつかの実施形態では、電極は、本体の下に、例えば、本体構成要素(例えば、超音波変換器、集積回路など)に対向する本体ハウジングの基部の面上に配置されるか、又は終端する。いくつかの実施形態では、本明細書で詳述するように、電極はクリップの脚部に沿って終端する。いくつかの実施形態では、1つ以上の電極が、脚部のうちの1つの端から端までの少なくとも一部に沿って露出される。
【0091】
電極は、ハウジングの基部内の1つ以上のフィードスルーを介して集積回路に電気的に結合されてもよい。このフィードスルーは例えば、(銀、銅、金、白金、白金黒、又はニッケルを含む金属などの)金属、サファイア、又は導電性セラミック(例えば、インジウムスズ酸化物(ITO))であってもよい。電極は、はんだ付け、レーザ溶接、又はフィードスルーを電極に圧着するなどの任意の適切な手段を使用してフィードスルーと接続されてもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置が1つ以上のセンサを含む。このセンサは、温度、酸素濃度、pH、(グルコースなどの)検体、歪み、又は圧力などの生理学的条件を検出するように構成される。生理学的条件の変動はインピーダンスを調整し、インピーダンスは次に、埋め込み可能な装置上の超音波変換器を流れる電流を調整する。上述のように、この超音波変換機はインテロゲータによって検出される超音波後方散乱を生成し、超音波後方散乱波の変化は生理学的条件に関する情報を反映する。いくつかの実施形態では、このシステムが、生理学的システムの変化を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、このシステムが、例えば超音波後方散乱を既知の値に較正することによって、生理学的条件の値又は凡その値を検出するように構成される。埋め込み可能な装置は、同じ生理学的条件又は異なる生理学的条件を検出する場合のある(2、3、4、5つ又はそれ以上など、)1つ以上のセンサを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置が10、9、8、7、6、又は5つ以下のセンサを備える。例えば、いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、温度を検出するように構成される第1のセンサと、酸素を検出するように構成される第2のセンサとを含む。両方の生理学的条件の変化は超音波後方散乱波に符号化することができ、この超音波後方散乱波は、外部コンピューティングシステムによって解読することができる。
【0093】
集積回路は、超音波変換器とセンサ及び/又は電極との間で通信する。例えば、超音波変換器は超音波に符号化された情報を受信し、その情報を符号化する電流を生成することができ、この電流は集積回路に送信される。電流に符号化された情報は、電極及び/又はセンサを動作させるための命令を含むことができ、集積回路は、この命令に従って電極及び/又はセンサを動作させることができる。集積回路はまた、センサ及び/又は電極から信号を受信することができ、センサ及び電極から受信された信号に関連する情報を符号化するために、超音波変換器を通して流れる電流を変調することができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、情報を符号化する超音波後方散乱を放射する。超音波後方散乱は、インテロゲータによって受信され、例えば符号化された情報を決定するために解読され得る。この情報は、埋め込み可能な装置の集積回路内の変調回路を使用して符号化することができる。この変調回路は情報(例えば、検出された電気生理学的パルス又は生理学的条件に関連する情報、又は装置状態に関連する情報)を符号化するために、超音波変換器を通して流れる電流を変調することができる。変調された電流は、超音波後方散乱を調整するために超音波変換器を通して流れ、それによって超音波後方散乱波中の情報を符号化する。変調回路は、オン/オフスイッチ又は電界効果トランジスタ(FET)などの1つ以上のスイッチを含む。埋め込み可能な装置のいくつかの実施形態と共に使用することができる例示的なFETは、金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である。変調回路は、超音波変換器を流れる電流のインピーダンスを変更することができ、この変換器を通して流れる電流の変動は、電気生理学的信号を符号化する。いくつかの実施形態では、超音波後方散乱に符号化された情報は、埋め込み可能な装置に対する一意の識別子を含む。これは、例えば、複数の埋め込み可能な装置が被験者に埋め込まれたときに、インテロゲータが正しい埋め込み可能な装置と連絡することを確実にするために有用であり得る。いくつかの実施形態では、超音波後方散乱に符号化された情報は、埋め込み可能な装置によって放出された電気パルスを検証する検証信号を含む。いくつかの実施形態では、超音波後方散乱に符号化された情報は、エネルギー蓄積回路(又はエネルギー蓄積回路内の1つ以上のコンデンサ)に格納されたエネルギー量又は電圧を含む。いくつかの実施形態では、超音波後方散乱に符号化された情報は、検出されたインピーダンスを含む。インピーダンス測定値の変化は、瘢痕組織又は電極の経時的な劣化を識別することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、変調回路は、デジタル回路又は混合信号集積回路によって動作され、デジタル化信号又はアナログ信号で情報を能動的に符号化することができる。デジタル回路又は混合信号集積回路は、メモリと、埋め込み可能な装置を動作させるための1つ以上の回路ブロック、システム、又はプロセッサとを含んでいてもよい。これらのシステムは例えば、搭載マイクロコントローラ若しくはプロセッサ、有限状態機械実装、又はインプラント上に格納された若しくはインテロゲータと埋め込み可能な装置との間の超音波通信を介して提供された1つ以上のプログラムを実行することができるデジタル回路を含むことができる。いくつかの実施形態では、デジタル回路又は混合信号集積回路は、アナログ-デジタル変換器(ADC)を含み、これは、デジタル回路又は混合信号集積回路によって信号が処理され得るように、インテロゲータから放出される超音波に符号化されたアナログ信号を変換することができる。デジタル回路又は混合信号集積回路は、例えば組織を刺激するための電気パルスを生成するように、電力回路を動作させることもできる。いくつかの実施形態では、デジタル回路又は混合信号集積回路は、インテロゲータによって送信された超音波に符号化されたトリガ信号を受信し、そのトリガ信号に応答して電気パルスを放電するように電力回路を動作させる。
【0096】
いくつかの実施形態では、集積回路は、エネルギー蓄積回路を含むことのできる電力回路を含む。超音波によって電力供給される埋め込み可能な装置は、好ましくは電池無しであるが、電気エネルギーを一時的に蓄積するために、エネルギー蓄積回路は1つ以上のコンデンサを含むことができる。超音波からのエネルギーは超音波変換器で電流に変換され、エネルギー蓄積回路に蓄積できる。このエネルギーは、デジタル回路、変調回路、又は1つ以上の増幅器に電力を供給するなど、埋め込み可能な装置を動作させるために使用することができ、又は組織を刺激するために使用される電気パルスを生成するために使用することができる。いくつかの実施形態では、電力回路は例えば、整流器及び/又はチャージポンプをさらに含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、集積回路は、1つ以上のセンサ及び/又は電極に電流を供給する駆動回路を含む。任意に、駆動回路は、存在する場合には、デジタル回路又は混合信号集積回路によって動作される。いくつかの実施形態では、1つ以上の増幅器は、駆動回路とデジタル回路との間に配列される。いくつかの実施形態では、集積回路は、センサ及び/又は電極から信号を受信することができる(CMOSフロントエンドなどの)フロントエンド回路を含む。このフロントエンド回路で受信した信号はデジタル回路に中継できる。
【0098】
図12は、集積回路と、電気パルスを放出するように構成される電極とを含む埋め込み可能な装置の実施形態の概略図を示す。この埋め込み可能な装置は、超音波変換器と、(1つ以上のコンデンサ(「CAP」)を含むことができる)エネルギー蓄積回路を含む電力回路と、デジタル回路又はマルチ信号集積回路と、1対の電極とを含む。超音波変換器は電力回路に接続されており、これは、超音波からのエネルギーをエネルギー蓄積回路に蓄積することを可能にする。電力回路は、デジタル回路又はマルチ信号集積回路が電力回路を動作させることができるように、デジタル回路又はマルチ信号集積回路に接続される。デジタル回路又はマルチ信号集積回路は、超音波変換器にも接続される。トリガ信号が超音波変換器によって受信された超音波に符号化されると、デジタル回路又はマルチ信号集積回路は、トリガ信号を検出することができる。次いで、デジタル回路又はマルチ信号集積回路は、エネルギー回路に格納されたエネルギーを放出するために電力回路を動作させ、それによって、電極を使用して電気パルスを放射することができる。任意に、デジタル回路又はマルチ信号集積回路は、埋め込み可能な装置の動作に関連する情報、又は電極によって検出された電気パルスに関連する情報などの情報を符号化するために、超音波変換器を通して流れる電流を変調することができる変調回路を動作させる、又は含むことができる。
【0099】
[埋め込み可能な装置用クリップ]
いくつかの実施形態では、埋め込み可能な医療装置は、2つ以上の電極を神経と電気的に連絡するよう配置するために、その神経を少なくとも部分的に取り囲むように構成される、本体に取り付けられたクリップを備える。体内のいくつかの神経は隣接する糸状組織(例えば血管又は腱)に付着されてもよく、クリップは、神経及び糸状組織を少なくとも部分的に取り囲むように構成され得る。
【0100】
このクリップは、埋め込み可能な装置を神経及び/又は糸状組織上の所定の位置に保持する。いくつかの実施形態では、クリップは、神経及び/又は糸状組織上での埋め込み可能な装置の何らかの回転運動を可能にする。いくつかの実施形態では、クリップは、神経及び/又は糸状組織に内向きの圧力を働かせることによって、神経及び/又は糸状組織を把持する。クリップによって働く内向きの圧力の量は、クリップ脚部のばね定数に加えて、クリップのサイズ及び曲率に基づいて決定することができる。この内向きの圧力は、挿入後に組織が治癒する間、埋め込み可能な装置を所定の位置に保持するのに十分であるべきであるが、脚部に接触する神経上膜又は血管壁が損傷されるほど高くはないべきである。いくつかの実施形態では、神経又は糸状組織への内向きの圧力は、(約0.7MPa以下、約0.5MPa以下、又は約0.3MPa以下など、)約1MPa以下である。いくつかの実施形態では、神経又は糸状組織への内向きの圧力は、(約0.1MPaから約0.3MPa、約0.3MPaから約0.5MPa、約0.5MPaから約0.7MPa、又は約0.7MPaから約1MPaなど、)約0.1MPaから約1MPaである。
【0101】
いくつかの実施形態では、埋め込み可能な医療装置は、超音波を受信し、その超音波からのエネルギーを装置に電力を供給する電気エネルギーに変換するように構成される超音波変換器を備える本体と、この超音波変換器と電気的に連絡する2つ以上の電極と、神経(又は神経及び神経に取り付けられた血管などの糸状組織)を少なくとも部分的に取り囲み、2つ以上の電極を神経と電気的に連絡するよう配置するように構成される、本体に取り付けられたクリップとを含む。
【0102】
このクリップは、埋め込み可能な装置の本体の下方に延びる複数の可撓性脚部を含むことができる。いくつかの実施形態では、この脚部は湾曲している。例えば、いくつかの実施形態では、この脚部は、脚部が本体の下方に延びるにつれて、本体に向かって湾曲する前に、本体から離れるように延びる。クリップは一対の脚部を含んでもよく、その対の各脚部は本体から離れるように反対方向に延びる。この構成は、脚部が神経及び/又は糸状組織の周りに巻き付く(又は神経及び/又は糸状組織の周りに少なくとも部分的に巻き付く)ことを可能にする。一対の脚部の脚部は、脚部が互い違いの構成に配置されることを可能にするクロスバーによって接続することができ、対の脚部の一方は、他方の脚部よりも本体に近接して配置される。脚部を装置の本体から異なる距離で互い違いにすることによって、この脚部は、神経及び/又は糸状組織を完全に取り囲むように、脚部の端部が互いに通り過ぎて延びるように延びることができる。いくつかの実施形態では、一対の脚部の脚部及びクロスバーが金属、金属合金、セラミック、シリコン、又は非ポリマー材料などの材料の単一片(例えば、同時押出成形又は同時印刷)である。装置の脚部又はクロスバーは、装置の本体に接続される。埋め込み可能な装置がそれぞれクロスバーによって接続された2対の脚部を含む場合、そのクロスバーは、本体の反対端で本体に取り付けられてもよい。本体に取り付けられたクロスバーの端から端までは、神経及び/又は糸状組織の軸に平行であり得る同じ軸に沿うことができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置の脚部又はクロスバーは、ヒンジ(ばねヒンジであってもよい)などの可撓部を介して装置の本体に接続される。脚部及び可撓部の可撓性は、クリップの脚部を屈曲させることによって、埋め込み可能な装置が神経上の所定の配置に操作されることを可能にし、これは、装置の電極を神経と電気的に連絡するよう正確に配置するために、それらのデフォルト位置へと戻ることができる。
【0104】
図5は、クリップを有する埋め込み可能な装置の一例を示す。この埋め込み可能な装置は、超音波変換器504及び集積回路506を含む本体502を含む。超音波変換器504はインテロゲータから超音波を受信することができ、この超音波変換器は、超音波からのエネルギーを、装置に電力を供給する電気エネルギーに変換する。超音波変換器504は、超音波変換器504を通して流れる電流でデータを符号化することのできる集積回路506に電気的に接続されている。超音波変換器504は、受信した電流に基づいて超音波後方散乱を放射し、この超音波後方散乱は、電流に符号化されたデータを符号化する。
【0105】
埋め込み可能な装置は、例えば集積回路506を通して超音波変換器504と電気的に連絡する2つ以上の電極を含む。いくつかの構成では、電極は、例えば集積回路506によって動作されることによって神経に電気パルスを放射するように構成される。任意に、電気生理学的パルスは電極によって検出され、検出された電気生理学的パルスに基づいて超音波変換器504を通して流れる電流を調節することのできる、集積回路506に連絡される。埋め込み可能な装置の本体502は、クリップ508に取り付けられる。このクリップは神経510を取り囲み、2つ以上の電極を神経と電気的に連絡するよう配置するように構成される。
図5に図示される実施形態では、電極は神経510と接触する本体502の底部に沿って配置される。いくつかの実施形態では、2つ以上の電極が神経と物理的に接触しているが、電極が神経と電気的に連絡したままである限り、埋め込み可能な装置のいくらかの移動が許容されてもよい。電極は、神経の神経上膜を貫通する必要はない。
【0106】
クリップは、神経510の対向側に配置された第1の脚部512及び第2の脚部514を含む。クリップの脚部は、クリップを神経上に配置するためにその脚部が外側に屈曲することができるように、任意に可撓性である。脚部が解放されると、脚部は内側に跳ね返り、電極を神経と電気的に連絡した状態に維持する。脚部のサイズ及び間隔は、神経のサイズに応じて設定することができる。
図5に図示される実施形態では、脚部514が本体502とほぼ同じ長さの幅を有する。脚部514は、神経510の側面に沿って本体から神経510の下まで延びる第1のセグメント516と、第1の部分の底部から神経510の下方に向かって延びる第2のセグメント518とを含む。可撓部520(ヒンジなど、ばねヒンジであってもよい)は、第1のセグメント516と第2のセグメント518とを接合し、これは、埋め込み可能な装置が神経上に配置されているときに、第2のセグメント518が第1のセグメント516に向かって屈曲することを可能にする。第2のセグメント518の端部は解放され、第2のセグメント518は神経510の下方の配置に跳ね返る。任意に、第2の可撓部522(例えば、ヒンジであってもよく、これがばねヒンジであってもよい)が、脚部508を本体502に取り付ける。第2の可撓部522は、埋め込み可能な装置を神経510上に配置するときに、脚部514が外向きに屈曲することを可能にする。
【0107】
図6は、本体602と、複数の可撓性脚部604、606、608、及び610を備える、神経を少なくとも部分的に取り囲むように構成されるクリップとを含む、埋め込み可能な装置の別の例を示す。本体602はハウジングを含み、超音波を受け取り、その超音波からのエネルギーを埋め込み可能な装置に電力を供給する電気エネルギーに変換するように構成される超音波変換器を収容する。この埋め込み可能な装置は、本体ハウジングの底部に配置された複数の電極をさらに含む。電極は、例えば埋め込み可能な装置の本体602内に包含される集積回路を介して、超音波変換器と電気的に連絡している。クリップが少なくとも部分的に神経を取り囲むように神経上に配置されると、電極は、その神経と電気的に連絡するように配置される。
【0108】
埋め込み可能な装置の脚部604、606、608、及び610は、本体602の下方に延びて湾曲しており、これは、脚部が神経及び神経に付着する可能性のある糸状組織(例えば、血管)の周りに巻き付くことを可能にする。脚部の上部は本体602から離れるように延び、その脚部は、本体の下方に延びるにつれて本体602に向かって後方に湾曲する。
図6に図示されるクリップは、第1の一対の脚部604及び606と、第2の一対の脚部608及び610とを含む。対になった脚部は、本体から離れて反対方向に延びている。脚部604及び606の上部はクロスバー612によって接続され、脚部608及び610の上部はクロスバー614によって接続される。クロスバー612は可撓部616を介して本体602に接続され、クロスバー614は第2の可撓部(図示せず)を介して本体602に接続される。可撓部は例えば、ヒンジ(ばねヒンジであってもよい)であってもよい。クロスバーは本体602の対向側に接続され、クロスバーの端から端までは、同じ方向(すなわち、神経に平行)に向けられる。
【0109】
クリップのサイズ及び形状は、そのクリップに係合する組織の種類とサイズとに依存し得る。クリップは、クリップの脚部が神経又は血管などの糸状組織を少なくとも部分的に取り囲むことを可能にするように設計される。いくつかの実施形態では、
図6に示す装置のクリップなど、脚部の内面が、神経及び/又は糸状組織が通過する円筒状空間を形成する。脚部によって形成される円筒形空間の直径は、埋め込み可能な装置が係合する標的神経及び/又は糸状組織に依存する。いくつかの実施態様において、装置の脚部は、約50μm~約15mm(例えば、約50μm~約100μm、約100μm~約250μm、約250μm~約500μm、約500μm~約1mm、約1mm~約1.5mm、約1.5mm~約2.5mm、約2.5mm~約5mm、約5mm~約10mm、又は約10mm~約15mm)の直径を有する円筒形空間を形成する。例えば、ヒトの脾神経を少なくとも部分的に取り囲むように設計されたクリップは、約500μm~約1.5mmの直径を有する円筒状空間を形成する湾曲した脚部を含むことができる。装置の脚部はまた、神経に最適に係合するように寸法決めされてもよく、いくつかの実施形態では、(約100μm~約200μm、約200μm~約400μm、約400μm~約1mm、約1mm~約2mm、約2mm~約3mm、又は約3mm~約4mmなど、)約100μm~約4mmの幅(脚部上の任意のコーティング材料を含む)を有していてもよい。いくつかの実施形態では、ヒトの脾神経を少なくとも部分的に取り囲むように設計されたクリップは、約200μm~約2mmの幅を有する脚部を含むことができる。
【0110】
いくつかの神経は血管のような糸状組織に付着される可能性があるので、クリップは、神経及び糸状組織を少なくとも部分的に取り囲むように設計され得る。いくつかの実施形態では、(血管などの)糸状組織に取り付けられた神経を少なくとも部分的に取り囲むように構成されるクリップは、(約1mm~約2mm、約2mm~約3mm、約3mm~約4mm、約4mm~約5mm、約5mm~約6mm、約6mm~約7mm、約7mm~約8mm、約8mm~約9mm、又は約9mm~約10mmなど、)約1mm~約10mmの直径を有する円筒形空間を形成する湾曲した脚部を含むことができる。例えば、脾動脈に付着された脾神経と係合するように構成されるクリップは、約2mmから約8mmの直径を有する円筒形空間を形成する湾曲した脚部を含むことができる。装置の脚部はまた、神経及び(血管などの)糸状組織に最適に係合するように寸法決めされてもよく、いくつかの実施形態では、(約100μm~約200μm、約200μm~約400μm、約400μm~約1mm、約1mm~約2mm、約2mm~約3mm、又は約3mm~約4mmなど、)約100μm~約4mmの幅(脚部上の任意のコーティング材料を含む)を有していてもよい。いくつかの実施形態では、ヒトの脾神経及び脾動脈を少なくとも部分的に取り囲むように設計されたクリップは、約500μm~約2mmの幅を有する脚部を含むことができる。
【0111】
図7は、クリップを有する埋め込み可能な装置の別の実施形態の側面図を示す。
図6に示す埋め込み可能な装置と同様に、埋め込み可能な装置は、神経を少なくとも部分的に取り囲むように構成されるクリップを有する本体702を含む。クリップは脚部704及び706を含むが、この装置は、任意に、追加の脚部及び/又は1つ以上のクロスバーを含むことが企図される。ハウジング702の底部表面708は、フィードスルー710、712、及び714を含む。このフィードスルーは、装置本体内の集積回路を電極に電気的に接続する。例えば、フィードスルー710はコネクション718を介して電極716に電気的に接続され、フィードスルー714はコネクション722を介して電極720に電気的に接続される。コネクション718及び722は、例えば、フィードスルーを電極に接続するはんだ、溶接部、又はクリンプであってもよい。電極716は脚部704の内面に配置され、電極720は脚部706の内面に配置される。電極は、例えばフィードスルーを介して埋め込み可能な装置の本体702内に包含される集積回路を介して、超音波変換器と電気的に連絡している。クリップが少なくとも部分的に神経を取り囲むように神経上に配置されると、電極は、その神経と電気的に連絡するように配置される。脚部704及び脚部706は、封止材料724を介して装置の本体702に固定される。この封止材料は、コネクション718及び722をふさぐこともできる。いくつかの実施形態では、封止材料がエポキシ又はポリマー(シリコーン又はウレタンポリマーなど)である。
【0112】
埋め込み可能な装置の脚部は、金属、金属合金、セラミック、シリコン、又は非ポリマー材料を備えることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の電極が脚部の内面に配置される。脚部は可撓性であり、好ましくは、脚部が神経及び/又は糸状組織の周りに配置され得るように、弾かれる。いくつかの実施形態では、脚部又は脚部の一部は、ポリジメチルシオロキサン(PDMS)、シリコン、ウレタンポリマー、ポリ(p-キシリレン)ポリマー(PARYLENE(登録商標)の商品名で販売されているポリ(p-キシリレン)ポリマーなど)、又はポリイミドなど、好ましくは生体不活性であるエラストマーコーティング又は非エラストマーコーティングでコーティングされる。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、脚部の内面上に1つ以上の電極を含む。いくつかの実施形態では、脚部の内面上の1つ以上の電極は、エラストマーコーティング又は非エラストマーポリマーコーティングでコーティングされないが、導電性材料でコーティングされてもよい(例えば、電極の電気的特性を改善するためにPEDOTポリマー又は金属で電気めっきされてもよい)。したがって、いくつかの実施形態では、脚部の外面のみが被覆でコーティングされる。任意に、この被覆は、本体のハウジングをさらにコーティングする。例として
図7を参照すると、脚部704及び706の外面は、被覆726でコーティングされている。しかしながら、電極716及び720は脚部704及び706の内側表面上にあるので、被覆726は脚部の内側表面をコーティングしない。
【0113】
図8A及び
図8Bは、クリップの脚部に電極を備えた2つの例示的な構成を図示する。
図8Aに示すように、脚部802は、エラストマーポリマー又は非エラストマーポリマーなどの被覆804でコーティングされる。単一の電極がエラストマー又は非エラストマーポリマーを通して露出され、これは、神経と電気的に連絡し得る。
図8Bは、脚の内面に沿って複数の電極808を有する脚806を図示する。
図8Bに図示される実施形態では、脚部806は、エラストマーポリマー又は非エラストマーポリマーでコーティングされていない。しかしながら、脚部806は、脚部806の外面上のポリマーで任意にコーティングされ得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、脚部の末端に近接して配置されてもよく、又は脚部の端から端までに沿って配置されてもよい、1つ以上のフック又はループを、脚部が備える。このフック又はループは、クリップを適所に操作、屈曲、又は配置するのに役立つよう使用することができる。いくつかの実施形態では、フック又はループが埋め込み可能な装置の本体に向かって湾曲し、いくつかの実施形態ではフック又はループが埋め込み可能な装置の本体から離れるように湾曲する。
図9Aは、脚部の末端にフックを有する脚部の一実施形態を示す。脚部902は、開始端904で装置の本体に接続し、本体の下方に、本体から離れるように延びる。脚部902は、908で外向きに湾曲する前に、906で内向きに湾曲し、脚部の終端912でフック910を形成する。いくつかの実施形態では、クリップは、例えば
図9Bに示すように、クリップの脚部を操作するように構成されるフック又はループを含む。埋め込み可能な装置は、本体914の下方に、本体から離れるように延びる脚部916に取り付けられた本体914を含む。脚部916は、例えば連続部(例えば、金属又は非エラストマープラスチック)を介して、本体914の反対側のフック918に接続される。フック918及び脚部916は、例えば、この連続部を形成するために、同時押出成形又は同時印刷されてもよい。フック918が下向きに押されると、脚部916は外向きに押し出される。この機構により、埋め込み可能な装置は、例えば腹腔鏡移植により、神経上に適切に配置することができる。
【0115】
埋め込み可能な装置の2つ以上の電極は、クリップによって、神経と電気的に連絡するように配置される。いくつかの実施形態では、2つ以上の電極が神経に直接接触する。いくつかの実施形態では、2つ以上の電極が神経の約2mm以内(約1.8mm以内、約1.6mm以内、約1.4mm以内、約1.2mm以内、約1.0mm以内、約0.8mm以内、約0.6mm以内、約0.4mm以内、又は約0.2mm以内)に配置される。この電極は、本体の底部に、又は1つ以上のクリップ脚部上に配置されてもよい。本体の下方に延びる脚部は本体を神経に固定し、電極を本体の底部上に配置することによって、この電極は、神経と電気的に連絡するよう配置される。
【0116】
[インテロゲータ]
インテロゲータは、埋め込み可能な装置に電力を供給する及び/又は動作させるために使用される超音波を使用して、1つ以上の埋め込み可能な装置と無線で通信することができる。例えば、インテロゲータは、埋め込み可能な装置に電気パルスを放射するように命令するトリガ信号などの、装置を動作させるための命令を符号化する超音波を送信することができる。インテロゲータは、埋め込み可能な装置によって送信された情報を符号化する、埋め込み可能な装置からの超音波後方散乱をさらに受信することができる。この情報は例えば、検出された電気生理学的パルス、埋め込み可能な装置によって放射された電気パルス、及び/又は測定された生理学的条件に関連する情報を含んでいてもよい。インテロゲータは、超音波送信機及び/又は超音波受信機として(又は超音波を代替的に送信又は受信するように構成され得るトランシーバとして)動作することができる1つ以上の超音波変換器を含む。1つ以上のこの変換器は変換器アレイとして配置することができ、インテロゲータは1つ以上の変換器アレイを任意に含むことができる。いくつかの実施形態では、超音波送信機能は、別個の装置上の超音波受信機能から分離される。すなわち、任意に、インテロゲータは、超音波を埋め込み可能な装置に送信する第1の装置と、埋め込み可能な装置から超音波後方散乱を受信する第2の装置とを備える。いくつかの実施形態では、アレイ内の変換器は、規則的な間隔、不規則な間隔を有する、又は疎に位置づけることができる。いくつかの実施形態では、アレイは可撓性である。いくつかの実施形態では、アレイは平面であり、いくつかの実施形態ではアレイは非平面である。
【0117】
例示的なインテロゲータが
図10に示されている。図示されたインテロゲータは、複数の超音波変換器を有する変換器アレイを示す。いくつかの実施形態では、変換器アレイは、1個以上、2個以上、3個以上、5個以上、7個以上、10個以上、15個以上、20個以上、25個以上、50個以上、100個以上、250個以上、500個以上、1000個以上、2500個以上、5000個以上、又は10000個以上の変換器を含む。いくつかの実施形態では、変換器アレイは、100,000個以下、50,000個以下、25,000個以下、10,000個以下、5000個以下、2500個以下、1000個以下、500個以下、200個以下、150個以下、100個以下、90個以下、80個以下、70個以下、60個以下、50個以下、40個以下、30個以下、25個以下、20個以下、15個以下、10個以下、7個以下、又は5個以下の変換器を含む。変換器アレイは、例えば50個以上の超音波変換器画素を備えるチップとすることができる。
【0118】
図10に示されるインテロゲータは単一の変換器アレイを図示するが、このインテロゲータは1つ以上、2つ以上、又は3つ以上の別個のアレイを含むことができる。いくつかの実施形態では、インテロゲータは、(9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個の変換器アレイなど、)10個以下の変換器アレイを含む。この別個のアレイは例えば、被験者の異なる地点に位置づけることができ、同じ又は異なる埋め込み可能な装置と通信することができる。いくつかの実施形態では、アレイが埋め込み可能な装置の対向側に設置される。インテロゲータは、特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができ、ASICは、変換器アレイ内の各変換器のためのチャネルを含む。いくつかの実施形態では、チャネルが(「T/Rx」によって
図10に示される)スイッチを含む。このスイッチは、代替的に、超音波を送信するか又は超音波を受信するように、チャネルに接続された変換器を構成することができる。このスイッチは、超音波受信回路を、より高電圧の超音波送信回路から分離することができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、チャネルに接続された変換器は、超音波を受信するためだけに、又は超音波を送信するためだけに構成され、スイッチはチャネルから任意に省略される。チャネルは、送信された超音波を制御するように動作する遅延制御部を含むことができる。遅延制御部は例えば、位相シフト、時間遅延、パルス周波数及び/又は波形(振幅及び波長を含む)を制御することができる。遅延制御部は、超音波を送信するために変換器によって使用されるより高い電圧に遅延制御からの入力パルスをシフトする、レベルシフタに接続することができる。いくつかの実施形態では、各チャネルの波形及び周波数を表すデータが、「波テーブル」に格納され得る。これは、各チャネルの送信波形を異ならせることを可能にする。次いで、このデータを変換器アレイへの実際の送信信号へと「流れ」ださせるために、遅延制御及びレベルシフタを使用することができる。いくつかの実施形態では、各チャネルに対する送信波形は、マイクロコントローラ又は他のデジタルシステムの高速シリアル出力によって直接生成され、レベルシフタ又は高電圧増幅器を介して変換器素子に送られることができる。いくつかの実施形態では、ASICは、ASICに供給される第1の電圧を、チャネルに印加されるより高い第2の電圧に変換するために、チャージポンプ(
図10に図示)を含む。チャネルは、遅延制御部を動作させるデジタルコントローラなどのコントローラによって制御することができる。
【0120】
超音波受信回路では、受信された超音波は、変換器(受信モードに設定)によって電流に変換され、データ取り込み回路に送信される。いくつかの実施形態では、増幅器、アナログ-デジタル変換器(ADC)、可変利得増幅器、若しくは組織損失を補償する時間利得制御可変利得増幅器、及び/又は帯域通過フィルタが受信回路に含まれる。ASICは、(インテロゲータの着用可能な実施形態に好ましい)電池などの電源から電力を引き出すことができる。
図10に図示される実施形態では、ASICに1.8Vの電源が供給され、これはチャージポンプによって32Vに増加されるが、任意の適切な電圧を使用することができる。いくつかの実施形態では、インテロゲータは、プロセッサと非一時的コンピュータ可読メモリとを含む。いくつかの実施形態では、上述のチャネルがT/Rxスイッチを含まず、代わりに、良好な飽和回復を有する低ノイズ増幅器の形態の高電圧Rx(受信器回路)を有する独立したTx(送信)及びRx(受信)を包含する。いくつかの実施形態では、T/Rx回路はサーキュレーターを含む。いくつかの実施形態では、変換器アレイがインテロゲータ送信/受信回路内の処理チャネルよりも多くの変換器素子を含み、マルチプレクサはパルスごとに送信素子の異なるセットを選択する。例えば、3:1マルチプレクサを介して192個の物理変換器素子に接続された64個の送信受信チャネルであって、64個の変換器素子のみが所与のパルス上でアクティブである。
【0121】
いくつかの実施形態では、インテロゲータは埋め込み可能なである。いくつかの実施形態では、インテロゲータは外部にある(すなわち、埋め込まれていない)。例として、外部インテロゲータは、着用可能であり得、ストラップ又は接着剤によって本体に固定されてもよい。別の例では、外部インテロゲータは、ワンドであり得、(医療専門家などの)ユーザに保持されてもよい。いくつかの実施形態では、インテロゲータは、縫合糸、単純な表面張力や、布ラップ、スリーブ、弾性バンドなどの衣類ベースの固定装置を介して、又は皮下固定によって本体に保持することができる。インテロゲータの変換器又は変換器アレイは、変換器の残りの部分とは別個に配置されてもよい。例えば、変換器アレイは、第1の位置(例えば、1つ以上の埋め込まれた装置の近位)で被験者の皮膚に固定され得、インテロゲータの残りは、第2の位置に配置されてよく、ワイヤは変換器又は変換器アレイをインテロゲータの残りに繋ぐ。
【0122】
変換器アレイの具体的な設計は、アレイ内の個々の変換器の所望の貫通深さ、開口サイズ、及びサイズに依存する。変換器アレイのレイリー距離Rは、次のように計算される。
【数1】
ここで、Dは開口部のサイズであり、λは伝播媒体(すなわち組織)内の超音波の波長である。当技術分野で理解されるように、レイリー距離は、アレイによって放射されるビームが完全に形成される距離である。すなわち、受信電力を最大にするために、その圧力場は、レイリー距離での自然焦点に収束する。したがって、いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、変換器アレイからレイリー距離とほぼ同じ距離にある。
【0123】
変換器アレイ内の個々の変換器は、ビームフォーミング又はビームステアリングのプロセスを通して、レイリー距離と、変換器アレイによって放出される超音波のビームの位置とを制御するように調整することができる。線形拘束最小分散(LCMV)ビームフォーミングなどの技術は、複数の埋め込み可能な装置を外部の超音波トランシーバと通信させるために使用することができる。例えば、Bertrandらの、Beamforming Approaches for Untethered、Ultrasonic Neural Dust Motes for Cortical Recording(a Simulation Study、IEEE EMBC,2014年8月)を参照されたい。いくつかの実施形態では、ビームステアリングは、アレイ内の変換器によって放射される超音波の電力又は位相を調節することによって行われる。
【0124】
いくつかの実施形態では、インテロゲータは、1つ以上の変換器を使用して超音波をビームステアリングするための命令、1つ以上の埋め込み可能な装置の相対位置を決定するための命令、1つ以上の埋め込み可能な装置の相対移動をモニターするための命令、1つ以上の埋め込み可能な装置の相対移動を記録するための命令、及び複数の埋め込み可能な装置からの後方散乱を逆畳み込みするための命令のうちの1つ以上を含む。
【0125】
任意に、インテロゲータは、モバイル装置(例えば、スマートフォン又はテーブル)などの別個のコンピュータシステムを使用して制御される。コンピュータシステムは、例えばネットワーク接続、無線(RF)接続、又はBluetooth(登録商標)を介して、インテロゲータに無線通信することができる。コンピュータシステムは例えば、インテロゲータをオン又はオフしてもよく、又はインテロゲータによって受信された超音波に符号化された情報を分析してもよい。
【0126】
[埋め込み可能な装置とインテロゲータとの間の通信]
埋め込み可能な装置とインテロゲータとは、超音波を使用して互いに無線で通信する。埋め込み可能な装置は、埋め込み可能な装置上の1つ以上の超音波変換器を介してインテロゲータから超音波を受信し、この超音波は、埋め込み可能な装置を動作させるための命令を符号化することができる。埋め込み可能な装置上の超音波変換器の振動は、この変換器の電気端子間に電圧を生成し、集積回路を含む装置を通して電流が流れる。電流はエネルギー蓄積回路を充電するために使用することができ、このエネルギー蓄積回路は、例えばトリガ信号を受信した後に電気パルスを放出するために使用されるエネルギーを格納することができる。このトリガ信号は、インテロゲータから埋め込み可能な装置に送信され、電気パルスが放射されるべきであるということを知らせることができる。いくつかの実施形態では、トリガ信号は、周波数、振幅、パルス長、又はパルス形状(例えば、交流、直流、又はパルスパターン)など、放出されるべき電気パルスに関する情報を含む。デジタル回路はトリガ信号を解読し、パルスを放出するために電極及び電気蓄積回路を動作させることができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、超音波後方散乱が埋め込み可能な装置から放射され、これは、埋め込み可能な装置、埋め込み可能な装置によって放射された電気パルス、埋め込み可能な装置によって検出された電気生理学的パルス、又は検出された生理学的条件に関する情報を符号化することができる。例えば、超音波後方散乱は、電気パルスが放出されたことを検証する検証信号を符号化することができる。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置が電気生理学的信号を検出するように構成され、検出された電気生理学的信号に関する情報は超音波後方散乱によってインテロゲータに送信されることができる。超音波後方散乱で信号を符号化するために、埋め込み可能な装置の超音波変換器を通して流れる電流は、検出された電気生理学的信号又は測定された生理学的条件などの符号化された情報の関数として変調される。いくつかの実施形態では、電流の変調はアナログ信号であり得、これは、例えば、検出された電気生理学的信号によって直接変調され得る。いくつかの実施形態では、電流の変調はデジタル化された信号を符号化し、これは集積回路内のデジタル回路によって制御され得る。後方散乱は、外部の超音波トランシーバ(初期超音波を送信した外部の超音波トランシーバと同じであっても、異なっていてもよい)によって受信される。したがって、電気生理学的信号からの情報は、後方散乱超音波の振幅、周波数、又は位相の変化によって符号化することができる。
【0128】
図11は、埋め込み可能な装置と通信するインテロゲータを示す。外部の超音波トランシーバは、組織を通過することができる超音波(「搬送波」)を放出する。搬送波は、超音波変換器(例えば、バルク圧電変換器、PUMT、又はCMUT)に機械的振動を生じさせる。超音波変換器の両端に電圧が生成され、これは、埋め込み可能な装置上の集積回路を通して流れる電流を付与する。超音波変換器を通して流れる電流は、埋め込み可能な装置上の変換器に、後方散乱超音波を放出させる。いくつかの実施形態では、集積回路は、情報を符号化するために超音波変換器を通して流れる電流を変調し、結果としてもたらされた超音波後方散乱波が情報を符号化する。後方散乱波は、インテロゲータによって検出することができ、超音波後方散乱に符号化された情報を解釈するために分析することができる。
【0129】
インテロゲータと埋め込み可能な装置との間の通信は、超音波を送受信するパルスエコー法を使用することができる。パルスエコー法では、インテロゲータが所定の周波数で一連のインテロゲーションパルスを送信し、次いで、埋め込まれた装置から後方散乱エコーを受信する。いくつかの実施形態では、このパルスは、正方形、長方形、三角形、鋸歯状、又は正弦波である。いくつかの実施形態では、出力されるパルスは、2レベル(GND及びPOS)、3レベル(GND、NEG、POS)、5レベル、又は任意の他の複数レベル(例えば、24ビットDACを使用する場合)とすることができる。いくつかの実施形態では、パルスは、動作中にインテロゲータによって連続的に送信される。いくつかの実施形態では、パルスがインテロゲータによって連続的に送信されるとき、そのインテロゲータ上の変換器の一部は超音波を受信するように構成され、そのインテロゲータ上の変換器の一部は超音波を送信するように構成される。超音波を受信するように構成される変換器と、超音波を送信するように構成される変換器とは、インテロゲータの同じ変換器アレイ上にあることができ、異なる変換器アレイ上にあることもできる。いくつかの実施形態では、インテロゲータ上の変換器が超音波を代替的に送信又は受信するように構成することができる。例えば、変換器は、1つ以上のパルスを送信することと、休止期間との間をサイクルすることができる。この変換器は、1つ以上のパルスを送信するときに超音波を送信するように構成され、次いで、休止期間中に受信モードに切り替えることができる。
【0130】
いくつかの実施形態では、後方散乱超音波は、埋め込み可能な装置によってデジタル化される。例えば埋め込み可能な装置は、オシロスコープ又はアナログ-デジタル変換器(ADC)及び/又はメモリを含むことができ、これらは、電流(又はインピーダンス)変動における情報をデジタル的に符号化することができる。情報を符号化することができるデジタル化された電流変動は、超音波変換器によって受信され、これは、次いでデジタル化された音波を送信する。デジタル化されたデータは、例えば特異値分解(SVD)と最小二乗法に基づく圧縮とを使用することによって、アナログデータを圧縮することができる。いくつかの実施形態では、この圧縮は相関器又はパターン検出アルゴリズムによって行われる。後方散乱信号は、単一の時点で再構成データポイントを生成するために、後方散乱領域の第4順のバターワースバンドパスフィルタ整流積分などの、一連の非線形変換を経てもよい。このような変換は、ハードウェア(すなわち、ハードコーディングされた)又はソフトウェアの何れかで行うことができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、デジタル化されたデータが一意の識別子を含むことができる。この一意の識別子は、例えば、複数の埋め込み可能な装置及び/又は複数の電極対を備える埋め込み可能な装置を備えるシステムにおいて有用であり得る。例えば一意の識別子は、複数の埋め込み可能な装置からのものであるとき、例えば埋め込み可能な装置から(検証信号などの)情報を送信するときに、発端の埋め込み可能な装置を識別することができる。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は複数の電極対を備え、これらの電極対は、単一の埋め込み可能な装置によって同時に又は代替的に電気パルスを放射してもよい。電極の異なる対は例えば、異なる組織(例えば、異なる神経若しくは異なる筋肉)又は同じ組織の異なる領域において電気パルスを放射するように構成され得る。デジタル化された回路は、どの電極対が電気パルスを放射したかを識別及び/又は検証するために、一意の識別子を符号化することができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、デジタル化された信号はアナログ信号のサイズを圧縮する。デジタル化された信号の減少したサイズは、超音波後方散乱で符号化された情報のより効率的な報告を可能にすることができる。デジタル化を通じて送信される情報のサイズを圧縮することによって、潜在的に重複する信号を正確に送信することができる。
【0133】
いくつかの実施形態では、インテロゲータは複数の埋め込み可能な装置と通信する。これは、例えば、多入力多出力(MIMO)システム理論を使用して行うことができる。例えば、時分割多重化、空間多重化、又は周波数多重化を使用した、インテロゲータと複数の埋め込み可能な装置との間の通信。インテロゲータは、逆畳み込みされ得る複数の埋め込み可能な装置からの結合された後方散乱を受信することができ、それによって、各埋め込み可能な装置から情報を抽出する。いくつかの実施形態では、インテロゲータは、変換器アレイからの送信された超音波を、ビームステアリングを介して特定の埋め込み可能な装置へと集束させる。このインテロゲータは、送信された超音波を第1の埋め込み可能な装置に集束させ、第1の埋め込み可能な装置からの後方散乱を受信し、送信された超音波を第2の埋め込み可能な装置に集束させ、第2の埋め込み可能な装置からの後方散乱を受信する。いくつかの実施形態では、インテロゲータは超音波を複数の埋め込み可能な装置に送信し、次いで、複数の埋め込み可能な装置から超音波を受信する。
【0134】
[埋め込み可能な装置を埋め込む方法]
本体と本体に取り付けられたクリップとを有する埋め込み可能な装置は、血管又は腱などの神経に付着された神経及び/又は糸状組織を少なくとも部分的に取り囲むようにクリップの脚部を操作するために、被験者に埋め込むことができる。この本体は、超音波を受信し、その超音波からのエネルギーを装置に電力を供給する電気エネルギーに変換するように構成される1つ以上の超音波変換器を含む。この装置は、例えば本明細書に記載されるような集積回路を介して、超音波変換器と電気的に連絡する1つ以上の電極をさらに含む。この電極は、埋め込み可能な装置の脚部上に、又は埋め込み可能な装置の本体上(本体の下など)に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、装置が腹腔鏡下で埋め込まれる。
【0135】
一例では、被験者に装置を埋め込むことは、クリップの脚部のうちの1つ以上を外向きに屈曲させることと、電極を神経と電気的に連絡するよう配置することとを含むことができる。いくつかの実施形態では、電極が神経に直接接触するように配置される。いくつかの実施形態では、2つ以上の電極が神経の約2mm以内(約1.8mm以内、約1.6mm以内、約1.4mm以内、約1.2mm以内、約1.0mm以内、約0.8mm以内、約0.6mm以内、約0.4mm以内、又は約0.2mm以内)に配置される。クリップの脚部が神経及び/又は神経に付着した糸状組織を少なくとも部分的に取り囲むことができるようにするために、1つ以上の屈曲した脚部が解放される。脚部が神経を部分的に取り囲む状態で、一度脚部が解放されると、電極はその神経と電気的に連絡した状態に維持される。
【0136】
埋め込み可能な装置は、クリップの1つ以上の脚部を操作するように構成される1つ以上のフック又はループを含んでもよい。例えば、
図9Bに示されるように、脚部916を強制的に外向きに屈曲させるように、フック918が下向きに押され得る。脚部916が外向きに屈曲した状態で、埋め込み可能な装置は、電極(脚部916上又は本体914上にあってもよい)を神経と電気的に連絡させるよう配置され得る。フック918を解放することができ、これは脚部916を解放し、脚部916が内側に閉じることを可能にし、それによって神経を少なくとも部分的に取り囲む。フック又はループは、クリップの脚部を操作するために、上向きに押されてもよく、下向きに押されてもよく、側方に押されてもよく、又は引っ張られてもよい。
【0137】
電極が自律神経と接触するか、又はクリップの脚部が自律神経を少なくとも部分的に取り囲むように、埋め込み可能な装置が埋め込まれ得る。いくつかの実施形態では、この神経は交感神経であり、いくつかの実施形態では、この神経は迷走神経、腸間膜神経、脾神経、坐骨神経、脛骨神経、外陰神経、腹腔神経節、仙骨神経、又はそれらの任意の枝である。
【0138】
[埋め込み可能な装置の使用方法]
埋め込み可能な装置は、埋め込み可能な装置に電力を供給し動作させる超音波を送信することができるインテロゲータを使用して動作される。埋め込み可能な装置は、3つの基本的な動作モードのうちの少なくとも1つで使用することができる。第1に、埋め込み可能な装置は、組織に電気パルスを放出するように動作され得る。電気パルスは、神経活性を刺激するため又は神経活性を遮断するために、神経に印加されてもよい。任意に、電気パルスは、インテロゲータによって送信された超音波で符号化されたトリガ信号を受信する埋め込み可能な装置に応答して放射されてもよい。さらに、埋め込み可能な装置は、放射された電気パルスに関連する(パルスが放射されたことの確約、パルスの電圧、又はパルス周波数などの)情報を超音波後方散乱波で任意に符号化し、これは、その情報を復号するためにインテロゲータによって受信及び解析され得る。第2に、埋め込み可能な装置は、神経活性を検出し、検出された神経活性に関連する情報を送信するように動作され得る。神経と電気的に通信する埋め込み可能な装置上の電極は、その神経から電気生理学的パルスを検出することができ、この電気生理学的パルスに関連する情報(例えば、周波数、電圧、形状など)は、埋め込み可能な装置上の1つ以上の超音波変換器によって放射される超音波後方散乱波で符号化される。情報を符号化する超音波後方散乱波は、インテロゲータによって受信され、情報を復号するために分析されることができる。第3に、埋め込み可能な装置は、生理学的状態(例えば、pH、温度、歪み、組織インピーダンス、又は酸素などの分析物の濃度)を測定することができるセンサを含んでいてもよく、測定された生理学的状態に関連する情報は、埋め込み可能な装置によって放射される超音波後方散乱波で符号化されてもよい。測定された生理学的状態に関連する情報を符号化する超音波後方散乱波は、インテロゲータによって受信され、生理学的状態に関連する情報を復号するために分析され得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、病状を安全に治療するために、3つの動作モードが装置内で互いをサポートする。例えば、インテロゲータは、測定された生理学的状態又は検出された電気生理学的パルスに関連する埋め込み可能な装置によって受信された情報に基づいて、超音波でトリガ信号を送信してもよい。例えば、不規則な電気生理学的パルス又は電気生理学的パルスパターンは、埋め込み可能な装置から1つ以上の電気パルスを放射することによって治療されてもよい。埋め込み可能な装置は、神経から1つ以上の電気生理学的パルスを検出し、電気生理学的パルスに関連する情報を符号化する超音波後方散乱を放射してもよい。超音波後方散乱は、情報を復号し、電気パルスが神経に印加される必要性を示すものとして電気生理学的パルス又は電気生理学的パルスパターンを認識するインテロゲータによって受信することができる。次いで、インテロゲータは超音波で符号化されたトリガ信号を埋め込み可能な装置に送信することができ、これにより、電気パルスを放射するために埋め込み可能な装置を動作させることができる。測定された生理学的状態はまた、電気パルスを放射するために埋め込み可能な装置を動作させるかどうかの決定に影響を及ぼす場合がある。例えば、埋め込み可能な装置によって測定された高温は、電気パルスが放射されるべきでないことを示してもよい。したがって、インテロゲータは、検出された電気生理学的パルス若しくは電気生理学的パルスパターン、及び/又は測定された生理学的状態に基づいてトリガ信号を送信してもよい。
【0140】
インテロゲータによって送信されるトリガ信号は、電気パルスを放射するための命令を含むことができ、パルスのタイプ(例えば、直流パルス又は交流パルス)、数パルス、パルス間の滞留時間、パルス周波数、パルス振幅、パルス形状、又はパルス電圧のための命令を含んでいてもよい。上述のように、トリガ信号の送信は、検出された電気生理学的パルス、検出された電気生理学的パルスパターン、又は測定された生理学的状態に関連する情報に基づいてもよい。
【0141】
いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置によって放射される電気パルスは直流パルス又は交流パルスである。いくつかの実施形態では、電気パルスは滞留時間だけ分離されてもよい複数のパルスを備える。いくつかの実施形態では、電気パルスが約1マイクロ秒(μs)以上(約5μs以上、約10μs以上、約20μs以上、約50μs以上、約100μs以上、約250μs以上、約500μs以上、約1ミリ秒(ms)以上、約5ms以上、約10ms以上、約25ms以上、約50ms以上、約100ms以上、約200ms以上、又は約500ms以上など)である。いくつかの実施形態では、電気パルスが約1000ms以下(約500ms以下、約200ms以下、約100ms以下、又は約50ms以下、約25ms以下、約10ms以下、約5ms以下、約1ms以下、約500μs以下、約250μs以下、約100μs以下、約50μs以下、約20μs以下、約10μs以下、又は約5μs以下など)である。いくつかの実施形態では、滞留時間が約1マイクロ秒(μs)以上(約5μs以上、約10μs以上、約20μs以上、約50μs以上、約100μs以上、約250μs以上、約500μs以上、約1ミリ秒(ms)以上、約5ms以上、約10ms以上、約25ms以上、又は約50ms以上など)である。いくつかの実施形態では、滞留時間が約100ms以下(約50ms以下、約25ms以下、約10ms以下、約5ms以下、約1ms以下、約500μs以下、約250μs以下、約100μs以下、約50μs以下、約20μs以下、約10μs以下、又は約5μs以下など)である。
【0142】
いくつかの実施形態では、電気パルスが約1マイクロアンペア(μA)以上(約5μA以上、約10μA以上、約25μA以上、約50μA以上、約100μA以上、約250μA以上、約500μA以上、約1ミリアンペア(mA)以上、約5mA以上、約10mA以上、又は約25mA以上など)である。いくつかの実施形態では、電気パルスが約50mA以下(約25mA以下、約10mA以下、約5mA以下、約1mA以下、約500μA以下、約250μA以下、約100μA以下、約50μA以下、約25μA以下、約10μA以下、約5μA以下、又は約1μA以下など)である。
【0143】
いくつかの実施形態では、電気パルスが約0.1Hz以上(約0.5Hz以上、約1Hz以上、約5Hz以上、約10Hz以上、約25Hz以上、約50Hz以上、約100Hz以上、約200Hz以上、約300Hz以上、約400Hz以上、約500Hz以上、約600Hz以上、約700Hz以上、約800Hz以上、約1kHz以上、約2kHz以上、又は約5kHz以上など)の電流の周波数を有する。いくつかの実施形態では、電気パルスが約10kHz以下(約5kHz以下、約2kHz以下、約1kHz以下、約800Hz以下、約700Hz以下、約600Hz以下、約500Hz以下、約400Hz以下、約300Hz以下、約200Hz以下、約100Hz以下、約50Hz以下、約25Hz以下、約10Hz以下、約5Hz以下、約1Hz以下、又は約0.5Hz以下など)の電流の周波数を有する。
【0144】
いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置が組織内に電圧パルスを生成する。いくつかの実施形態では、電圧が約50mV以上(例えば、約100mV以上、約250mV以上、約500mV以上、約1V以上、約2.5V以上、約5V以上、又は約10V以上)である。いくつかの実施形態では、電圧が約20V以下(例えば、約15V以下、約10V以下、約5V以下、約2.5V以下、約1V以下、約500mV以下、約250mV以下、又は約100mV以下)である。
【0145】
周波数、振幅、及び長さなどの電気パルスの特徴は、神経組織に対する電気パルスの影響に影響を及ぼし得る。例えば、(約1kHz未満のパルスなどの)より低い周波数のパルスは神経活性を刺激し得るが、一方で(約1kHzを超えるパルスなどの)より高い周波数のパルスは神経活性を遮断し得る。
【0146】
[失禁の治療方法]
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される埋め込み可能な装置は、過活動膀胱、低活動膀胱、尿失禁、又は便失禁などの患者の失禁を治療するために使用される。この埋め込み可能な装置は、電極が脛骨神経若しくはその枝、外陰神経若しくはその枝、又は仙骨神経若しくはその枝と電気的に連絡するように、被験者に完全に埋め込むことができ、その神経は、完全に埋め込まれた医療装置を使用して電気的に刺激され得る。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、神経の神経学的活性を遮断する1つ以上の電気パルスを放射することによって神経を電気的に刺激する。いくつかの実施形態では、埋め込み可能な装置は、神経の神経学的活性を活性化させる1つ以上の電気パルスを放射することによって神経を電気的に刺激する。1つ以上の電気パルス(例えば、電流パルス又は電圧パルス)を放射することによる電気刺激は、埋め込み可能な装置によって受信される超音波で符号化されたトリガ信号に応答してもよい。上述のように、トリガ信号の送信は、検出された電気生理学的パルス若しくはパルスパターン、又は測定された生理学的状態に基づいてもよく、これは埋め込み可能な装置から超音波後方散乱を使用して送信されてもよい。
【0147】
電気パルスは、一定の周波数で埋め込み可能な装置によって放射されてもよい。電気パルスが放射される時間の長さは、本明細書に記載されるように、予め決定されてもよく、又は検出された電気生理学的パルス若しくはパルスパターンに基づいてもよく、又は測定された生理学的状態によってもよい。いくつかの実施形態では、電気パルスの周波数が、約0.2Hz~約250Hz、約0.5Hz~約100Hz、約1Hz~約50Hz、又は約5Hz~約30Hzなど、約0.1Hz~約500Hzである。
【0148】
インテロゲータは、被験者によって外部から装着されることができ、埋め込み可能な装置を動作させ電力供給することができ、インテロゲータ上の超音波変換器は、好ましくは被験者の皮膚に接触する。いくつかの実施形態では、インテロゲータの超音波変換器は、埋め込み可能な装置から約10cm以下、約5cm以下、約4cm以下、約3cm以下、約2cm以下、又は約1cm以下である。インテロゲータの配置は、埋め込み可能な装置の配置と、どの神経が埋め込み可能な装置の電極と電気的に連絡しているかとに依存する。例えば、埋め込み可能な装置が仙骨神経と電気的に連絡する電極を含む場合には、インテロゲータは、患者の股関節、腹部、腰部、臀部、又は上肢に配置することができる。埋め込み可能な装置が脛骨神経と電気的に連絡する電極を含む場合には、インテロゲータは、被験者の下肢(例えば、ふくらはぎ)又は足首に配置することができる。インテロゲータは、被験者の皮膚に固定する接着剤、バンドを使用して配置することができ、又は所望の位置に配置されたハンドヘルド装置とすることができる。
【0149】
例として、経皮脛骨神経刺激(PTNS)は、失禁並びに過活動膀胱、尿失禁、及び便失禁などの関連障害のための公知の治療である。公知の装置は、針電極を皮膚に通すことによって、足首の脛骨神経の近くに針電極を配置することによって、脛骨神経を刺激する。装置の一方のリード線は電極の露出端に接続され、他方のリード線は戻り電極に接続され、戻り電極は患者の(足などの)皮膚に位置づけられた導電性パッドであってもよい。治療の間、電流又は電圧パルスは一定の周波数(例えば、5Hzと30Hzとの間)で送出され、刺激強度は、患者のつま先に動きがあるまで増加される。治療はおよそ30分間継続し、一般的に週1回12週間、医院で行われ、より長い間隔での維持治療が続く。この治療は一般的に有効であるが、定期的な針の挿入にはかなりの患者の不快感があり、頻繁な医師の受診を必要とする点でこの治療は不便である。本明細書に記載されるシステムは、家庭で、増加した周波数を用いて行うことのできる、有意により便利な治療レジメンを提供する。
【0150】
図13Aは、被験者に完全に埋め込まれた本体及びクリップを有する埋め込み可能な装置を示し、ここでこのクリップは、埋め込み可能な装置を脛骨神経に取り付ける。埋め込み可能な装置の本体は脛骨神経と電気的に連絡する電極と、装置に電力を供給し動作させる超音波を受信するように構成される超音波変換器とを含む。クリップは、脛骨神経を取り囲み電極を神経と電気的に接触した状態に留める脚部を含む。脛骨神経は、超音波からのエネルギーを装置に電力を供給する電気エネルギーに変換し、超音波で符号化されたトリガ信号に応答して脛骨神経を電気的に刺激することによって刺激することができる。装置によって受信された超音波は、
図13Bに示されるようにインテロゲータによって送信され得る。このインテロゲータは患者が足首に装着する。
図13Bに示すように、インテロゲータの超音波変換器は皮膚に対して配置される。任意に、インテロゲータは、モバイル装置などのコンピュータシステムによって制御される。
【0151】
仙骨神経刺激は、過活動膀胱などの特定の尿障害を治療するために使用されることが知られている別の方法である。治療は、膀胱からの尿意切迫感を軽減するように、排尿の間隔を長くするための、仙骨神経の持続的な電気刺激を含む。仙骨神経刺激のための公知の装置は、一般に、電池を収容する埋め込まれたパルス生成器に接続された仙骨神経の近くに位置づけられたリード線を含む。この装置は、皮膚の下、通常は股関節付近の下腹部に外科的に位置づけることができる。しかし、これらの装置は電池を必要とするため、電池が消耗する可能性があり、装置を交換するための手術が必要となる。さらに、装置のリード線が破損する可能性があり、破損したリード線を除去し装置を交換するために再び手術を必要とする。また、手術ポケットが比較的大きく、感染を起こしやすい。これらの懸念のため、多くの患者は仙骨神経刺激治療を受けないことを選択する。しかしながら、本明細書に記載される埋め込み可能な装置は、公知の装置よりもはるかに小さく、それによって感染の危険性を最小限にする。さらに、本明細書に記載される装置の小さなサイズは、埋め込み可能な装置が仙骨神経上に直接固定されることを可能にし、それによって、破損しやすい電気リード線の必要性を回避する。更に、この装置は超音波により電力供給されるため、この装置は蓄電池無しであり、電池の故障により装置を取り外す必要はない。
【0152】
図14は、仙骨神経刺激(SNS)に使用されるシステムを示す。この埋め込み可能な装置は、超音波変換器、電極、及びクリップを有する本体を含む。クリップは、仙骨神経と電気的に連絡するよう電極を配置するために仙骨神経を取り囲む。埋め込み可能な装置上の超音波変換器は、装置に電力を供給し動作させる超音波を受信するように構成される。例えば、超音波は、神経を刺激するように装置に命令するトリガ信号を任意に含むことができる。埋め込み可能な装置が神経を連続的に刺激するように構成されてもよく、超音波が埋め込み可能な装置に連続的な刺激を停止し始めるように命令してもよい。埋め込み可能な装置はまた、装置の状態に関連する情報、又は装置によって放射される電気パルスに関する情報を符号化する超音波後方散乱を放射してもよい。外部インテロゲータは被験者によって装着することができ、これは超音波を埋め込み可能な装置に送信することができる。インテロゲータは、交換又は再充電することのできる電池を含んでもよい。任意に、インテロゲータは、システムをオン又はオフにすることができるモバイル装置(例えば、スマートフォン又はタブレット)などのコンピュータシステムと通信する。
【0153】
[例示的な実施形態]
[実施形態1]
埋め込み可能な医療装置であって、
超音波を受信し、その超音波からのエネルギーを装置に電力を供給する電気エネルギーに変換するように構成される超音波変換器を備える本体と、
超音波変換器と電気的に連絡する2つ以上の電極と、神経を少なくとも部分的に取り囲み、神経と電気的に連絡するよう2つ以上の電極を配置するように構成される、本体に取り付けられたクリップと、を備える。
【0154】
[実施形態2]
クリップは、神経と、神経に取り付けられた糸状組織とを少なくとも部分的に取り囲むように構成される、実施形態1に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0155】
[実施形態3]
糸状組織が血管である、実施形態2に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0156】
[実施形態4]
クリップが本体の下方に延びる複数の可撓性脚部を備える、実施形態1乃至3の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0157】
[実施形態5]
埋め込み可能な装置は、フック又はループを操作することに応答して、可撓性脚部のうちの少なくとも1つを操作するように構成されるフック又はループを備える、実施形態4に記載の埋め込み可能な装置。
【0158】
[実施形態6]
フック又はループが可撓性脚部のうちの1つの端部に配置される、実施形態5に記載の埋め込み可能な装置。
【0159】
[実施形態7]
フック又はループが本体の近位に配置される、実施形態5に記載の埋め込み可能な装置。
【0160】
[実施形態8]
可撓性脚部が湾曲している、実施形態4乃至7の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0161】
[実施形態9]
脚部が本体の下方に延びるにつれて、脚部が本体に向かって湾曲する前に本体から離れるように延びる、実施形態8に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0162】
[実施形態10]
複数の可撓性脚部は少なくとも1対の脚部を備え、この一対の脚部は、反対方向に本体から離れて下方に延びる第1の脚部及び第2の脚部を備える、実施形態9に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0163】
[実施形態11]
第1の脚部及び第2の脚部は、本体に接続されたクロスバーによって接続される、実施形態10に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0164】
[実施形態12]
クロスバーは、可撓部を介して装置の本体に接続される、実施形態11に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0165】
[実施形態13]
可撓部がヒンジである、実施形態12に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0166】
[実施形態14]
装置が2対の脚部を備え、この対の脚部それぞれは本体の反対側に配置される、実施形態10乃至13の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0167】
[実施形態15]
脚部が、本体の底部表面を介して本体に取り付けられる、実施形態4乃至14の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0168】
[実施形態16]
脚部が、本体の側壁を介して本体に取り付けられる、実施形態4乃至14の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0169】
[実施形態17]
脚部が、金属、金属合金、セラミック、シリコン、又は非ポリマー材料を備える、実施形態4乃至16の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0170】
[実施形態18]
脚部が、エラストマーコーティング又は非エラストマーポリマーコーティングを備える、実施形態4乃至17の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0171】
[実施形態19]
コーティングが生体不活性である、実施形態18に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0172】
[実施形態20]
コーティングが、シリコン、ポリ(p-キシリレン)ポリマー、又はポリイミドである、実施形態18又は19に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0173】
[実施形態21]
脚部のうちの少なくとも1つは、エラストマーコーティング又は非エラストマーポリマーコーティングでコーティングされた外面と、エラストマーコーティング又は非エラストマーポリマーコーティングでコーティングされていない少なくとも1つの電極を備える内面とを備える、実施形態18乃至20の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0174】
[実施形態22]
本体が底部表面を備え、2つ以上の電極が本体の底部上で終端する、実施形態1乃至21の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0175】
[実施形態23]
2つ以上の電極がクリップ上に配置される、実施形態1乃至21の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0176】
[実施形態24]
クリップが本体の下方に延びる複数の可撓性脚部を備え、2つ以上の電極が可撓性脚部上に配置される、実施形態23に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0177】
[実施形態25]
本体がハウジングを含む、実施形態1乃至24の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0178】
[実施形態26]
ハウジングが、生体不活性材料を備えるか、又はそれでコーティングされる、実施形態17に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0179】
[実施形態27]
ハウジングが生体不活性材料を備え、ここで、ハウジングの生体不活性材料がチタン又はセラミックを備える、実施形態26に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0180】
[実施形態28]
本体は、超音波変換器と2つ以上の電極とに電気的に接続された集積回路を備える、実施形態1乃至27の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0181】
[実施形態29]
集積回路は、コンデンサを備えるエネルギー蓄積回路を備える、実施形態28に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0182】
[実施形態30]
本体は、最長寸法で約5mm以下の長さである、実施形態1乃至29の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0183】
[実施形態31]
超音波変換器は、データを符号化する超音波後方散乱を放射するように構成される、実施形態1乃至30の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0184】
[実施形態32]
このデータが、検出された神経活性、測定された生理学的状態、装置状態、又は放射された電気パルスに関する情報を含む、実施形態31に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0185】
[実施形態33]
埋め込み可能な医療装置が電気パルスを神経に放射するように構成される、実施形態1乃至32の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0186】
[実施形態34]
超音波変換器は、埋め込み可能装置を操作するための命令を符号化する超音波を受信するように構成される、実施形態1乃至33の何れか1つに記載の埋め込み可能医療装置。
【0187】
[実施形態35]
命令が、電気パルスを神経に放射するように埋め込み可能な装置を動作させるトリガ信号を備える、実施形態34に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0188】
[実施形態36]
被験者に医療装置を埋め込む方法であって、装置が、超音波を受信し、その超音波からのエネルギーを装置に電力を供給する電気エネルギーに変換するように構成される超音波変換器を備える本体と、この超音波変換器と電気的に連絡する電極と、本体に取り付けられた、複数の可撓性脚部を備えるクリップとを備え、方法が、
クリップの1つ以上の脚を外側に曲げることと、
電極を神経と電気的に連絡するように配置することと、クリップの1つ以上の脚部を解放することであって、1つ以上の脚部が神経を少なくとも部分的に取り囲み、解放時に電極を神経と電気的に連絡した状態に維持する、解放することと、を備える。
【0189】
[実施形態37]
複数の脚部が神経及び神経に付着した糸状組織を少なくとも部分的に取り囲む、実施形態36に記載の方法。
【0190】
[実施形態38]
糸状組織が血管である、実施形態37に記載の方法。
【0191】
[実施形態39]
その装置が被験者に腹腔鏡下で埋め込まれる、実施形態36乃至38の何れか1つに記載の方法。
【0192】
[実施形態40]
クリップが神経に内向きの圧力を働かせる、実施形態36乃至39の何れか1つに記載の方法。
【0193】
[実施形態41]
クリップが神経の周りの回転運動を可能にする、実施形態36乃至40の何れか1つに記載の方法。
【0194】
[実施形態42]
神経が自律神経である、実施形態36乃至41の何れか1つに記載の方法。
【0195】
[実施形態43]
神経が交感神経である、実施形態36乃至42の何れか1つに記載の方法。
【0196】
[実施形態44]
神経が、腸間膜神経、脾神経、坐骨神経、脛骨神経、腹腔神経節、又は仙骨神経である、実施形態36乃至43の何れか1つに記載の方法。
【0197】
[実施形態45]
脚部が約1MPa以下の圧力を神経又は糸状組織に加える、実施形態36乃至44の何れか1つに記載の方法。
【0198】
[実施形態46]
複数の脚部が本体の下方に延びる、実施形態36乃至45の何れか1つに記載の方法。
【0199】
[実施形態47]
クリップの1つ以上の脚部を外向きに屈曲させることは、1つ以上の脚部に接続された1つ以上のフック又はループを操作することを備える、実施形態36乃至46の何れか1つに記載の方法。
【0200】
[実施形態48]
脚部が湾曲している、実施形態36乃至47の何れか1つに記載の方法。
【0201】
[実施形態49]
脚部が本体の下方に延びるにつれて、脚部が本体に向かって湾曲する前に本体から離れるように延びる、実施形態36乃至48の何れか1つに記載の方法。
【0202】
[実施形態50]
複数の可撓性脚部は少なくとも1対の脚部を備え、この一対の脚部は、反対方向に本体から離れて下方に延びる第1の脚部及び第2の脚部を備える、実施形態36乃至49の何れか1つに記載の方法。
【0203】
[実施形態51]
一対の脚部が、本体に接続されたクロスバーによって接続される、実施形態50に記載の方法。
【0204】
[実施形態52]
クロスバーが可撓部を介して装置の本体に接続される、実施形態51に記載の方法。
【0205】
[実施形態53]
可撓部がヒンジである、実施形態52に記載の方法。
【0206】
[実施形態54]
装置が2対の脚部を備え、この対の脚部それぞれは本体の反対側に配置される、実施形態36乃至53の何れか1つに記載の方法。
【0207】
[実施形態55]
脚部が本体の底部表面を介して本体に取り付けられる、実施形態36乃至54の何れか1つに記載の方法。
【0208】
[実施形態56]
脚部が本体の側壁を介して本体に取り付けられる、実施形態36乃至54の何れか1つに記載の方法。
【0209】
[実施形態57]
脚部が、金属、金属合金、セラミック、シリコン、又は非ポリマー材料を含む、実施形態36乃至56の何れか1つに記載の方法。
【0210】
[実施形態58]
脚部が、エラストマーコーティング又は非エラストマーポリマーコーティングを含む、実施形態36乃至57の何れか1つに記載の方法。
【0211】
[実施形態59]
コーティングが生体不活性である、実施形態58に記載の方法。
【0212】
[実施形態60]
コーティングが、シリコン、ウレタンポリマー、ポリ(p-キシリレン)ポリマー、又はポリイミドである、実施形態58又は59に記載の方法。
【0213】
[実施形態61]
脚部のうちの少なくとも1つは、エラストマーコーティング又は非エラストマーポリマーコーティングでコーティングされた外面と、エラストマーコーティング又は非エラストマーポリマーコーティングでコーティングされていない少なくとも1つの電極を備える内面とを備える、実施形態58乃至60の何れか1つに記載の方法。
【0214】
[実施形態62]
本体が底部表面を備え、2つ以上の電極が本体の底部上で終端する、実施形態36乃至61の何れか1つに記載の方法。
【0215】
[実施形態63]
2つ以上の電極がクリップ上に配置される、実施形態36乃至61の何れか1つに記載の方法。
【0216】
[実施形態64]
クリップが本体の下方に延びる複数の可撓性脚部を備え、2つ以上の電極が可撓性脚部上に配置される、実施形態63に記載の方法。
【0217】
[実施形態65]
本体がハウジングを備える、実施形態36乃至64の何れか1つに記載の方法。
【0218】
[実施形態66]
ハウジングが生体不活性材料を備える、実施形態65に記載の方法。
【0219】
[実施形態67]
ハウジングが生体不活性材料を備え、ハウジングの生体不活性材料がチタン又はセラミックを備える、実施形態66に記載の方法。
【0220】
[実施形態68]
本体は、超音波変換器と2つ以上の電極とに電気的に接続された集積回路を備える、実施形態36乃至67の何れか1つに記載の方法。
【0221】
[実施形態69]
集積回路が、コンデンサを備えるエネルギー蓄積回路を備える、実施形態68に記載の方法。
【0222】
[実施形態70]
本体が最長寸法で約5mm以下の長さである、実施形態36乃至69の何れか1つに記載の方法。
【0223】
[実施形態71]
埋め込み可能な医療装置であって、
(a)装置に電力を供給し超音波後方散乱を放射する超音波を受信するように構成される2つ以上の超音波変換器と、
(b)コンデンサを含むエネルギー蓄積回路を備える集積回路であって、ここでこの集積回路は、第1の超音波変換器及び第2の超音波変換器に電気的に接続される、集積回路と、
(c)(i)生理学的状態を測定するように構成されるセンサ、(ii)組織と電気的に連絡し組織に電気パルスを放射するように構成される2つ以上の電極、又は(iii)組織と電気的に連絡し組織から電気生理学的信号を検出するように構成される2つ以上の電極、のうちの1つ以上と、を備え、
ここで、センサ又は2つ以上の電極は、集積回路に電気的に接続される、埋め込み可能な医療装置。
【0224】
[実施形態72]
2つ以上の超音波変換器が、第1の偏波軸を備える第1の超音波変換器と第2の偏波軸を備える第2の超音波変換器とを備え、ここで、第2の超音波変換器は第2の偏波軸が第1の偏波軸に直交するように配置され、第1の超音波変換器及び第2の超音波変換器は、装置に電力を供給し超音波後方散乱を放射する超音波を受信するように構成される、実施形態71に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0225】
[実施形態73]
埋め込み可能な装置が、生理学的状態を測定するように構成されるセンサを備える、実施形態71及び72に記載の埋め込み可能医療装置。
【0226】
[実施形態74]
センサが、温度センサ、pHセンサ、圧力センサ、歪みセンサ、脈拍センサ、血圧センサ、酸素メータ、グルコースメータ、インピーダンスメータであるか、又は検体濃度を測定するように構成される、実施形態73に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0227】
[実施形態75]
埋め込み可能な装置が、組織と電気的に連絡し組織に電気パルスを放射するように構成される2つ以上の電極を備える、実施形態71又は72に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0228】
[実施形態76]
埋め込み可能な装置が、組織と電気的に連絡し組織からの電気生理学的信号を検出するように構成される2つ以上の電極を備える、実施形態75に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0229】
[実施形態77]
電気生理学的信号が神経信号である、実施形態76に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0230】
[実施形態78]
超音波後方散乱が、測定された生理学的状態、放射された電気パルス、又は検出された電気生理学的信号に関連する情報を符号化する、実施形態71乃至77の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0231】
[実施形態79]
2つ以上の超音波変換器が、集積回路に並列に電気的に接続される、実施形態78に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0232】
[実施形態80]
2つ以上の超音波変換器及び集積回路が本体内に収容され、装置が、糸状組織を少なくとも部分的に囲むように構成されるクリップをさらに備える、実施形態71乃至79の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0233】
[実施形態81]
糸状組織が神経を備える、実施形態80に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0234】
[実施形態82]
糸状組織が、血管に付着された神経を備える、実施形態80に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0235】
[実施形態83]
糸状組織が、血管に付着された神経を備える、実施形態80に記載の埋め込み可能な医療装置。
【0236】
[実施形態84]
クリップが本体の下方に延びる複数の可撓性脚部を備える、実施形態80乃至83の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0237】
[実施形態85]
埋め込み可能な医療装置が電池を備えない、実施形態1乃至35及び71乃至84の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0238】
[実施形態86]
埋め込み可能な医療装置が無線周波数通信システムを備えない、実施形態1乃至35及び71乃至85の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0239】
[実施形態87]
埋め込み可能な医療装置が、クリップの脚部で終端することなく装置の本体から延びる電気リードを備えない、実施形態1乃至35及び71乃至86の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置。
【0240】
[実施形態88]
実施形態1乃至35及び71乃至87の何れか1つに記載の埋め込み可能な医療装置と、埋め込み可能な医療装置に超音波を送信するように構成される1つ以上の超音波変換器を備えるインテロゲータとを備えるシステムであって、ここで超音波は、埋め込み可能な医療装置に電力を供給する、システム。
【0241】
[実施形態89]
インテロゲータが外部に装着されるように構成される、実施形態88に記載のシステム。
【0242】
[実施形態90]
インテロゲータが、埋め込み可能な装置によって放射される超音波後方散乱を受信するように構成され、ここで超音波後方散乱がデータを符号化する、実施形態88又は89に記載のシステム。
【0243】
[実施形態91]
インテロゲータが、データを分析するか、又はデータをコンピュータシステムに送信するように構成される、実施形態90に記載のシステム。
【0244】
[実施形態92]
インテロゲータによって送信される超音波が、埋め込み可能な装置を動作させるための命令を符号化する、実施形態88乃至91の何れか1つに記載のシステム。
【0245】
[実施形態93]
被験者の失禁を治療する方法であって、
超音波からのエネルギーを、被験者の脛骨神経若しくはその枝、外陰神経若しくはその枝、又は仙骨神経若しくはその枝と電気的に連絡する2つ以上の電極を備える被験者に完全に埋め込まれた装置に電力を供給する電気的エネルギーに変換することと、被験者の脛骨神経若しくはその枝、外陰神経若しくはその枝、又は仙骨神経若しくはその枝を完全に埋め込まれた医療装置を使用して電気的に刺激することと、を備える、方法。
【0246】
[実施形態94]
脛骨神経若しくはその枝、外陰神経若しくはその枝、又は仙骨神経若しくはその枝が、超音波で符号化されたトリガ信号に応答して、完全に埋め込まれた医療装置によって刺激される、実施形態93に記載の方法。
【0247】
[実施形態95]
脛骨神経若しくはその枝、外陰神経若しくはその枝、又は仙骨神経若しくはその枝を電気的に刺激することが、脛骨神経若しくはその枝、外陰神経若しくはその枝、又は仙骨神経若しくはその枝に複数の電流パルスを放射することを備える、実施形態93又は94に記載の方法。
【0248】
[実施形態96]
脛骨神経若しくはその枝、外陰神経若しくはその枝、又は仙骨神経若しくはその枝を電気的に刺激することが、脛骨神経若しくはその枝、外陰神経若しくはその枝、又は仙骨神経若しくはその枝に複数の電流パルスを放射することを備える、実施形態93又は94に記載の方法。
【0249】
[実施形態97]
複数の電流パルス又は複数の電圧パルスが一定の周波数で放射される、実施形態95又は96に記載の方法。
【0250】
[実施形態98]
複数の電流パルス又は複数の電圧パルスの周波数が約1Hz~約50Hzである、実施形態97に記載の方法。
【0251】
[実施形態99]
1つ以上の超音波変換器を備えるインテロゲータを使用して、埋め込まれた医療装置に超音波を送信することを備える、実施形態93乃至98の何れか1つに記載の方法。
【0252】
[実施形態100]
超音波が、埋め込み可能装置を動作させるための命令を符号化する、実施形態99に記載の方法。
【0253】
[実施形態101]
データを符号化する超音波後方散乱を放射することを含む、実施形態99又は100に記載の方法。
【0254】
[実施形態102]
データが、埋め込み可能な装置が電気パルスを放射したかどうか、又は電気パルスを放射するために何のパラメータが使用されたかを示す刺激状態を備える、実施形態101に記載の方法。
【0255】
[実施形態103]
超音波後方散乱を受信することを備える、実施形態101又は102に記載の方法。
【0256】
[実施形態104]
超音波後方散乱で符号化されたデータを分析することを備える、実施形態103に記載の方法。
【0257】
[実施形態105]
インテロゲータが外部装着装置である、実施形態93乃至104の何れか1つに記載の方法。
【0258】
[実施形態106]
インテロゲータが被験者の皮膚に接触する、実施形態93乃至105の何れか1つに記載の方法。
【0259】
[実施形態107]
インテロゲータがハンドヘルド装置を使用して操作される、実施形態93乃至106の何れか1つに記載の方法。
【0260】
[実施形態108]
ハンドヘルド装置が、インテロゲータに無線で接続される、実施形態107に記載の方法。
【0261】
[実施形態109]
脛骨神経若しくはその枝、外陰神経若しくはその枝、又は仙骨神経若しくはその枝に2つ以上の電極を接触させるために、医療装置を被験者に埋め込むことを備える、実施形態93乃至108の何れか1つに記載の方法。
【0262】
[実施形態110]
2つ以上の電極が脛骨神経若しくはその枝と電気的に連絡している、実施形態93乃至109の何れか1つに記載の方法。
【0263】
[実施形態111]
インテロゲータが被験者の足首に取り付けられる、実施形態110に記載の方法。
【0264】
[実施形態112]
2つ以上の電極が仙骨神経若しくはその枝と電気的に連絡している、実施形態93乃至109の何れか1つに記載の方法。
【0265】
[実施形態113]
インテロゲータが、患者の股関節、腹部、腰、殿部、又は上肢に取り付けられる、実施形態112に記載の方法。
【0266】
[実施形態114]
失禁が、過活動膀胱、低活動膀胱、尿失禁、又は便失禁である、実施形態93乃至113の何れか1つに記載の方法。
【0267】
[実施形態115]
被験者がヒトである、実施形態93乃至114の何れか1つに記載の方法。
【0268】
[実施形態116]
埋め込み可能な装置が、実施形態1乃至35及び71乃至87の何れか1つに記載の埋め込み可能医療装置である、実施形態93乃至115の何れか1つに記載の方法。