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特許7540844電池モジュールおよびこれを含む電池パック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびこれを含む電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20240820BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20240820BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20240820BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240820BHJP
   H01M 50/507 20210101ALI20240820BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20240820BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20240820BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20240820BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20240820BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240820BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240820BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240820BHJP
   H01M 10/655 20140101ALI20240820BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/211
H01M50/271 Z
H01M50/548 301
H01M50/507
H01M50/262 P
H01M50/588
H01M50/591
H01M50/593
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/655
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022567673
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 KR2022002361
(87)【国際公開番号】W WO2022182063
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】10-2021-0026972
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・キョン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジュンヨブ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】スビン・パク
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/175881(WO,A1)
【文献】特表2018-538664(JP,A)
【文献】特開2013-229266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204
H01M 50/211
H01M 50/271
H01M 50/507
H01M 50/548
H01M 50/588-50/593
H01M 10/613ー10/655
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、
前記電池セル積層体を囲むモジュールフレームと、
前記モジュールフレームから露出する前記電池セル積層体の一部分を覆うバスバーフレームと、
前記バスバーフレームに形成されたスロットを介して前記電池セル積層体から突出した電極リードと連結されたバスバーと、
前記バスバーフレームをカバーし、前記電池セル積層体の前面と後面にそれぞれ位置するエンドプレートと、
前記バスバーと連結された熱伝達部材とを含む電池モジュールであって、
前記熱伝達部材は、前記エンドプレートと接触し、
前記エンドプレートは、前記モジュールフレームの底部と接触し、
前記バスバーで発生した熱は、前記熱伝達部材、前記エンドプレート、および前記モジュールフレームの底部に順次に伝達される電池モジュール。
【請求項2】
前記バスバーは、前記熱伝達部材と面接触して連結される、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記熱伝達部材は、電気的に絶縁性を有し、熱伝導性を有する材質で形成された、請求項1又は2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記エンドプレートと前記バスバーフレームとの間に位置する絶縁カバーをさらに含み、
前記絶縁カバーは、前記熱伝達部材が前記エンドプレートおよび前記バスバーと接触する部分を除いて前記熱伝達部材を覆う蓋部を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記熱伝達部材は、前記エンドプレートの下端部に隣接するように位置する、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記熱伝達部材は、複数の前記電池セルが積層される方向に沿って互いに離隔して配置されるように複数形成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記熱伝達部材は、曲がった構造を含み、
前記曲がった構造を介して前記バスバーと少なくとも一面で接触する、請求項1~5のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記熱伝達部材は、前記バスバーの下端部を支持する突出底部を含み、
前記突出底部と前記バスバーとが接触する、請求項1~7のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の電池モジュールと、
前記電池モジュールの底部の下に位置する第2熱伝導性樹脂層と、
前記第2熱伝導性樹脂層の下に位置する冷却プレートとを含む電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互参照]
本出願は、2021年2月26日付の韓国特許出願第10-2021-0026972号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関し、より具体的には、新規な冷却構造を有する電池モジュールおよび電池パックに関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要の増加に伴い、エネルギー源として二次電池の需要が急激に増加している。特に、二次電池は、携帯電話、デジタルカメラ、ノートパソコン、ウェアラブルデバイスなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置に対するエネルギー源としても多くの関心を集めている。
【0004】
小型モバイル機器にはデバイス1台あたり1個または2、3、4個の電池セルが用いられるのに対し、自動車などのような中大型デバイスには高出力大容量が必要である。したがって、多数の電池セルを電気的に連結した中大型電池モジュールが用いられる。
【0005】
中大型電池モジュールは、できるだけ小さい大きさと重量で製造されることが好ましいので、高い集積度で積層可能であり、容量に比べて重量が小さい角形電池、パウチ型電池などが中大型電池モジュールの電池セルとして主に用いられている。このような電池モジュールは、高出力を得るために複数の単位電池セルを含む多数のセルアセンブリを直列に連結した構造を有している。そして、前記電池セルは、正極および負極集電体、セパレータ、活物質、電解液などを含み、構成要素間の電気化学的反応によって繰り返しの充放電が可能である。
【0006】
一方、近年、エネルギー貯蔵源としての活用をはじめとして大容量構造に対する必要性が高まるにつれ、多数の二次電池が直列および/または並列に連結された多数の電池モジュールを集合させたマルチモジュール構造の電池パックに対する需要が増加している。
【0007】
一方、複数の電池セルを直列/並列に連結して電池パックを構成する場合、少なくとも1つの電池セルからなる電池モジュールを先に構成し、このような少なくとも1つの電池モジュールを用いてその他の構成要素を追加して電池パックを構成する方法が一般的である。
【0008】
図1は、従来の電池モジュールによる斜視図を示す図である。図2は、図1の切断線A-A’を基準とするxz平面に沿った断面図の一部を拡大して示す図である。図3は、従来の電池モジュールを含む電池パックの断面図の一部である。
【0009】
図1および図2を参照すれば、従来の電池モジュール10は、相互積層される複数の電池セル11から構成された電池セルアセンブリと、複数の電池セル11の電極リード12を電気的に連結するバスバーアセンブリと、前記電池セルアセンブリを囲むモジュールフレーム13と、バスバーアセンブリを覆うエンドプレート14とを含んで構成される。
【0010】
ここで、バスバーアセンブリは、それぞれの電池セル11の電極リード12を個別的に通過させるリードスロットを備えるバスバーフレームと、前記バスバーフレームに取り付けられ、リードスロットの個数に対応するように備えられるバスバースロットを備え、バスバースロットを通過した電極リードと溶接などで連結されるバスバー16とを含んで構成される。
【0011】
この時、バスバー16で発生した熱は直接的な冷却経路がないため、電極リード12を通して伝達されて、電池セル11、モジュールフレーム13の底部上に形成される熱伝導性樹脂層17およびモジュールフレーム13の底部を通して伝達される。
これとともに、図3を参照すれば、前記伝達された熱は、従来の電池モジュール10を含む電池パックの内部に形成される熱伝達部材20および冷却プレート21を通して追加的に伝達される。
【0012】
最近、高容量、高エネルギー、急速充電などの必要性が持続的に増加して、バスバーに流れる電流の量も増加する傾向にある。バスバーに流れる高電流によってバスバーに発熱が発生し、このような発熱は従来の冷却構造だけでは効果的に冷却させにくい。したがって、前記発熱の冷却のために、バスバーと直接的に接触してバスバーの冷却が可能な構造の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の解決しようとする課題は、バスバーの発熱問題の解決が可能な電池モジュールおよびこれを含む電池パックを提供することである。
【0014】
しかし、本発明が解決しようとする課題が上述した課題に制限されるわけではなく、言及されていない課題は本明細書および添付した図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施例による電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、前記電池セル積層体を囲むモジュールフレームと、前記モジュールフレームから露出する前記電池セル積層体部分を覆うバスバーフレームと、前記バスバーフレームに形成されたスロットを介して前記電池セル積層体から突出した電極リードと連結されたバスバーと、前記バスバーフレームをカバーするエンドプレートと、前記バスバーと連結された熱伝達部材とを含み、前記熱伝達部材は、前記エンドプレートと接触する。
【0016】
前記バスバーは、前記熱伝達部材と面接触して連結される。
【0017】
前記熱伝達部材は、電気的に絶縁性を有し、熱伝導性を有する材質で形成される。
【0018】
前記電池モジュールは、前記エンドプレートと前記バスバーフレームとの間に位置する絶縁カバーをさらに含み、前記絶縁カバーは、前記熱伝達部材が前記エンドプレートおよび前記バスバーと接触する部分を除いて前記熱伝達部材を覆う蓋部を有することができる。
前記熱伝達部材は、前記エンドプレートの下端部に隣接するように位置することができる。
【0019】
前記熱伝達部材は、複数の前記電池セルが積層される方向に沿って互いに離隔して配置されるように複数形成される。
【0020】
前記熱伝達部材は、曲がった構造を含み、前記曲がった構造を介して前記バスバーと少なくとも一面で接触することができる。
【0021】
前記熱伝達部材は、前記バスバーの下端部を支持する突出底部を含み、前記突出底部と前記バスバーとが接触することができる。
【0022】
前記エンドプレートは、前記モジュールフレームと接触し、前記バスバーで発生した熱は、前記熱伝達部材、前記エンドプレート、および前記モジュールフレームの底部に順次に伝達される。
【0023】
本発明の他の実施例による電池パックは、上述した電池モジュールと、前記電池モジュールの底部の下に位置する第2熱伝導性樹脂層と、前記第2熱伝導性樹脂層の下に位置する冷却プレートとを含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一実施例による電池モジュールは、新規な形態のバスバー冷却構造によって高電流および急速充電環境でのバスバー発熱問題を解決することができる。また、前記発熱問題を解決することによって、電池モジュールの安定性が向上できる。
【0025】
本発明の効果が上述した効果に制限されるわけではなく、言及されていない効果は本明細書および添付した図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来の電池モジュールによる斜視図である。
図2図1の切断線A-A’を基準とするxz平面に沿った断面図の一部を拡大して示す図である。
図3】従来の電池モジュールを含む電池パックの断面図の一部である。
図4】本発明の一実施例による電池モジュールの分解斜視図である。
図5図4の電池モジュールの構成要素が結合した状態を示す斜視図である。
図6図4の電池セル積層体に含まれている1つの電池セルを示す斜視図である。
図7図4の電池モジュールに含まれるエンドプレートの斜視図である。
図8図7のC部分を拡大して示す図である。
図9図8の切断線D-D’を基準とするyz平面に沿った断面図の一部を拡大して示す図である。
図10図5の切断線B-B’を基準とするxz平面に沿った断面図の一部を拡大して示す図である。
図11図10のE部分を拡大して示す図である。
図12】本発明の他の実施例による電池パックを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0028】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。
【0029】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示のものに限定されない。図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0030】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする時、これは、他の部分の「直上に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上に」あるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。さらに、基準となる部分の「上に」あるというのは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力の反対方向に向かって「上に」位置することを意味するのではない。
【0031】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0032】
さらに、明細書全体において、「平面上」とする時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」とする時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0033】
本出願で使用される第1、第2用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、構成要素は用語によって限定されてはならない。用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0034】
以下、図4図11を参照して、本発明の一実施例による電池モジュールについて説明する。
【0035】
図4は、本発明の一実施例による電池モジュールの分解斜視図である。図5は、図4の電池モジュールの構成要素が結合した状態を示す斜視図である。図6は、図4の電池セル積層体に含まれている1つの電池セルを示す斜視図である。
【0036】
図4および図5を参照すれば、本実施例による電池モジュール100は、複数の電池セル110が積層されている電池セル積層体120と、電池セル積層体120を囲むモジュールフレームと、電池セル積層体120の上部を覆う上部プレート400と、電池セル積層体120の前面と後面にそれぞれ位置するエンドプレート150と、電池セル積層体120とエンドプレート150との間に位置するバスバーフレーム130とを含む。バスバーフレーム130は、前記モジュールフレームから露出する電池セル積層体120部分を覆うことができる。この時、前記モジュールフレームは、上部面、前面および後面が開放されたU字状フレーム300を含むことができる。また、電池モジュール100は、U字状フレーム300と電池セル積層体120との間に位置する第1熱伝導性樹脂層310を含む。第1熱伝導性樹脂層310は一種の放熱層であって、放熱機能を有する物質を塗布して形成することができる。エンドプレート150は、金属物質で形成される。
【0037】
U字状フレーム300の開放された両側をそれぞれ第1側および第2側とする時、U字状フレーム300は、前記第1側および前記第2側に対応する電池セル積層体120の面を除いて残りの外面のうち、互いに隣接した前面、下面および後面を連続的に囲むようにベンディングされた板状型構造からなる。U字状フレーム300の下面に対応する上面は開放されている。
【0038】
上部プレート400は、U字状フレーム300によって囲まれる前面、下面および後面を除いた残りの上面を囲む1つの板状型構造からなる。U字状フレーム300と上部プレート400は、互いに対応する角部位が接触した状態で、溶接などによって結合されることによって、電池セル積層体120を囲む構造を形成することができる。
【0039】
電池セル積層体120は、一方向に積層された複数の電池セル110を含み、複数の電池セル110は、図4に示したように、y軸方向に積層される。言い換えれば、複数の電池セル110が積層される方向は、U字状フレーム300の2つの側面部が互いに対向する方向と同一であってもよい。
【0040】
電池セル110は、パウチ型電池セルであることが好ましい。例えば、図6を参照すれば、本実施例による電池セル110は、2つの電極リード111、112が互いに対向して電池本体113の一方の端部114aと他方の端部114bからそれぞれ突出している構造を有する。電池セル110は、電池ケース114に電極組立体(図示せず)を収納した状態で、電池ケース114の一方の端部114a及び他方の端部114bとこれらを連結する2つの側面114cとを接着することによって製造できる。言い換えれば、本実施例による電池セル110は、計3箇所のシーリング部114sa、114sb、114scを有し、シーリング部114sa、114sb、114scは、熱融着などの方法でシーリングされる構造であり、残りの他の一側部は、連結部115からなる。電池ケース114の一方の端部114a及び他方の端部114bの間を電池セル110の長手方向と定義し、電池ケース114の一方の端部114a及び他方の端部114bを連結する一の側面114cと連結部115との間を電池セル110の幅方向と定義することができる。
【0041】
連結部115は、電池セル110の一縁に沿って長く延びている領域であり、連結部115の端部に電池セル110の突出部110pが形成される。突出部110pは、連結部115の両端部の少なくとも1つに形成され、連結部115が延びる方向に垂直な方向に突出できる。突出部110pは、電池ケース114の一方の端部114a及び他方の端部114bのシーリング部114sa、114sbのうちの1つと連結部115との間に位置することができる。
【0042】
電池ケース114は、一般に樹脂層/金属薄膜層/樹脂層のラミネート構造からなる。例えば、電池ケースの表面がO(oriented)-ナイロン層からなる場合には、中大型電池モジュールを形成するために多数の電池セルを積層する時、外部衝撃によって滑りやすい傾向がある。したがって、これを防止し、電池セルの安定した積層構造を維持するために、電池ケースの表面に両面テープなどの粘着式接着剤または接着時の化学反応によって結合される化学接着剤などの接着部材を付着させて電池セル積層体120を形成することができる。本実施例において、電池セル積層体120は、y軸方向に積層され、z軸方向にU字状フレーム300の内部に収容される。これに対する比較例として、電池セルがカートリッジ形態の部品に形成されて、電池セル間の固定が電池モジュールフレームによる組立からなる場合がある。このような比較例では、カートリッジ形態の部品の存在によって冷却作用がほとんどなかったり電池セルの面方向に行われ、電池モジュールの高さ方向には冷却がうまく行われない。
【0043】
図4を再び参照すれば、本実施例によるU字状フレーム300は、底部と、前記底部によって連結される互いに対向する2つの側面部とを含む。電池セル積層体120がU字状フレーム300の底部に取り付けられる前に、U字状フレーム300の底部に熱伝導性樹脂を塗布し、熱伝導性樹脂を硬化して第1熱伝導性樹脂層310を形成することができる。第1熱伝導性樹脂層310は、U字状フレーム300の底部と電池セル積層体との間に位置し、電池セル110で発生する熱を、電池モジュール100の底に伝達し、電池セル積層体120を固定する役割を果たすことができる。
【0044】
図7は、図4に示した電池モジュールのエンドプレートの斜視図である。図8は、図7のC部分を拡大して示す図である。図9は、図8の切断線D-D’を基準とするyz平面に沿った断面図の一部を拡大して示す図である。図10は、図5の切断線B-B’を基準とするxz平面に沿った断面図の一部を拡大して示す図である。図11は、図10のE部分を拡大して示す図である。
【0045】
従来の電池モジュールは、バスバーの直接的な冷却経路が存在せず、バスバーでの発熱は、バスバー、電極リード、電池セル、熱伝導性樹脂層およびモジュールフレームの底部につながる経路によってのみ放出された。しかし、急速充電のように、高電流の流れによってバスバーの短時間の高い発熱を発生させる状況では、バスバーの温度上昇を最小化できる冷却構造が必要である。
【0046】
したがって、図7図9を参照すれば、本実施例による電池モジュール100は、バスバーフレーム130に形成されたスロットを介して電池セル積層体120から突出した電極リード111と連結されたバスバー170と、バスバー170と連結された熱伝達部材180とを含む。この時、熱伝達部材180は、エンドプレート150と接触する。
【0047】
本実施例によるバスバー170は、熱伝達部材180と面接触して連結される。熱伝達部材180は、曲がった構造を含み、前記曲がった構造を介してバスバー170と少なくとも一面で接触することができる。特に、図8を参照すれば、熱伝達部材180は、バスバー170の下端部を支持する突出底部Aを含み、突出底部Aとバスバー170とが接触することができる。前記曲がった構造は、前記構造にバスバー170が合わせ結合できるようにバスバー170の形状と同一に形成されるが、これに制限されるわけではない。むしろ、バスバー170に機構的なストレスを付加しないように、熱伝達部材180の一部分はバスバー170との接触がないように構成される。したがって、前記接触によりバスバー170での発熱が熱伝達部材180に伝達され、バスバー170の冷却が行われる。
【0048】
本実施例による熱伝達部材180は、電気的に絶縁性を有し、熱伝導性を有する材質で形成される。具体的には、熱伝達部材180は、熱伝達パッドおよび熱伝導性樹脂層のうちの1つを含むことができる。また、熱伝達部材180は、最初に液状で注液されて、後に硬化する方法により形成される。熱伝達部材180は、電気的には絶縁性を有するが、熱伝導性を有することによって、バスバー170の絶縁性を維持しながら、熱伝導を可能にする。
【0049】
バスバー170で発生した熱は、熱伝達部材180、エンドプレート150、前記モジュールフレーム、特に、U字状フレーム300の底部に順次に伝達されて放出される。このような順次に伝達されて放出される構造により急速充電などの高電流状況で発生するバスバーからの熱を効果的に放出することができ、電池モジュールの安定性を確保することができる。
【0050】
特に、図7を参照すれば、本発明の熱伝達部材180は、エンドプレート150の下端部に隣接するように位置することができる。具体的には、熱伝達部材180は、エンドプレート150の上端部より下端部に近く位置することができる。
【0051】
また、熱伝達部材180は、複数の電池セル110が積層される方向に沿って互いに離隔して配置されるように複数形成される。具体的には、図4を参照すれば、複数の電池セル110は、y軸方向に積層される。したがって、熱伝達部材180は、エンドプレート150上にy軸方向に沿って互いに離隔して配置されるように複数形成される。
【0052】
この時、熱伝達部材180がエンドプレート150と接触することによって、急速冷却を可能にする。また、本発明の熱伝達部材180がエンドプレート150の下端部に隣接するように位置することによって、バスバー170の温度が高い場合、熱伝達部材180の相変化によって熱伝達部材180の冷却性能が弱まるのを防止することができる。
【0053】
熱伝達部材180は、熱伝達部材180と接触するバスバー170の数を考慮して形成されるが、これに制限されるわけではなく、バスバー170の冷却を最大化できる個数で形成可能である。また、場合によっては、熱伝達部材180は、エンドプレート150の下端部全体を覆うように複数形成されてもよいし、エンドプレート150の下端部全体を覆う一体形に形成されてもよい。これによって、熱伝達部材180がエンドプレート150と接触することによって、可能な急速冷却の効率がさらに増加できる。
【0054】
本発明の一実施例による電池モジュールは、エンドプレート150とバスバーフレーム130との間に位置する絶縁カバー200をさらに含むことができる。絶縁カバー200は、熱伝達部材180がエンドプレート150およびバスバー170と接触する熱伝達部材180部分を除いて熱伝達部材180を覆う蓋部210を有することができる。絶縁カバー200は、熱伝達部材180の形態を構成することができ、モジュールの組立後、熱伝達部材180が離脱したり壊れないように形態を維持する役割を果たすことができる。また、蓋部210を介して熱伝達部材180の絶縁性を確保することができる。
【0055】
図10および図11を参照すれば、本発明の一実施例による電池モジュールのエンドプレート150は、前記モジュールフレームと接触することができる。特に、前記モジュールフレームであるU字状フレーム300の底部と接触することができる。したがって、バスバー170で発生した熱は、バスバー170、熱伝達部材180、エンドプレート150およびモジュールフレーム、特に、U字状フレーム300の底部に伝達されて放出される。
【0056】
また、本実施例による電池モジュールに含まれているモジュールフレーム、特に、U字状フレーム300の底部の下には、パック構成要素として第2熱伝導性樹脂層320および冷却プレート700が形成されるか、電池モジュールに一体に形成された冷却プレート700が形成される。したがって、U字状フレーム300の底部に伝達された熱は、第2熱伝導性樹脂層320および冷却プレート700に伝達されて放出されてもよい。そのため、バスバー170で発生した熱は、前記伝達により効果的に冷却および放出可能であり、電池モジュールの安定性を確保することができる。
【0057】
以下、図12を参照して、本発明の他の実施例による電池パックについて説明する。
【0058】
図12は、本発明の他の実施例による電池パックを示す断面図である。
【0059】
図12を参照すれば、本実施例による電池パックは、先に説明した電池モジュールと、U字状フレーム300の底部の下に位置する第2熱伝導性樹脂層320と、第2熱伝導性樹脂層320の下に位置する冷却プレート700とを含む。
したがって、先に説明したように、バスバー170、熱伝達部材180、エンドプレート150、U字状フレーム300の底部に伝達された熱は、第2熱伝導性樹脂層320および冷却プレート700に追加的に伝達される。バスバー170で発生した熱が前記経路を通して冷却されることによって、効果的な冷却が可能である。
【0060】
これとともに、本発明の電池パックは、本実施例による電池モジュールを1つ以上まとめて電池の温度や電圧などを管理する電池管理システム(Battery Management System;BMS)と冷却装置などを追加してパッキングした構造であってもよい。
【0061】
前記電池パックは、多様なデバイスに適用可能である。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用できるが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールを使用できる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0062】
以上、本発明の好ましい実施例について図示して説明したが、本発明は上述した特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって多様な変形実施が可能であることはもちろんであり、このような変形実施は本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならない。
【符号の説明】
【0063】
100:電池モジュール
110:電池セル
120:電池セル積層体
130:バスバーフレーム
150:エンドプレート
170:バスバー
180:熱伝達部材
200:絶縁カバー
210:蓋部
300:U字状フレーム
310:第1熱伝導性樹脂層
320:第2熱伝導性樹脂層
700:冷却プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12