特許 7540848 二次電池

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-08-19

(45)【発行日】2024-08-27

(54)【発明の名称】二次電池

(51)【国際特許分類】

   H01M 50/317 20210101AFI20240820BHJP

   H01M 50/105 20210101ALI20240820BHJP

   H01M 50/333 20210101ALI20240820BHJP

   H01M 50/342 20210101ALI20240820BHJP

   H01M 50/35 20210101ALI20240820BHJP

【ＦＩ】

H01M50/317 101

H01M50/105

H01M50/333

H01M50/342 101

H01M50/35 101

【請求項の数】 10

(21)【出願番号】P 2022575822

(86)(22)【出願日】2020-11-17

(65)【公表番号】

(43)【公表日】2023-07-11

(86)【国際出願番号】 KR2020016190

(87)【国際公開番号】W WO2021256630

(87)【国際公開日】2021-12-23

【審査請求日】2022-12-08

(31)【優先権主張番号】10-2020-0072597

(32)【優先日】2020-06-15

(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR

(73)【特許権者】

【識別番号】521065355

【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド

(74)【代理人】

【識別番号】100188558

【弁理士】

【氏名又は名称】飯田 雅人

(74)【代理人】

【識別番号】100110364

【弁理士】

【氏名又は名称】実広 信哉

(72)【発明者】

【氏名】フン・ヒ・リム

(72)【発明者】

【氏名】サン・フン・キム

(72)【発明者】

【氏名】ミン・ヒョン・カン

(72)【発明者】

【氏名】ヒョン・キョン・ユ

【審査官】小森 重樹

(56)【参考文献】

【文献】国際公開第２０２０／０８０３２５（ＷＯ，Ａ１）

【文献】特開２０１６－０３１９３４（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１９－２０７７７９（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｈ０１Ｍ ５０／３０－５０／３９２

Ｈ０１Ｍ ５０／１０－５０／１９８

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

パウチ内に電極組立体および電解液が挿入され、前記パウチの縁で密封されてシール部が形成される二次電池であって、
一端は前記パウチの内部に向かい、他端は前記パウチの外部に向かうように前記シール部に固定されるバルブを含み、
前記バルブは、
前記パウチの内部に向かう前記一端が開口された流路を形成し、前記流路と連結されたチャンバを備え、前記チャンバには、外部と開通するように排出孔が形成されたボディと、
前記流路と前記チャンバの境界を形成する係止突起に載置され、前記流路を開放または閉鎖するゲートと、
前記ゲートが閉じられる方向に弾性力が作用するように取り付けられるスプリングと、を含み、
前記パウチの内部でガスが生成され、前記ガスの圧力がスプリングの弾性力に打ち勝つと、前記ゲートが開放され、前記ガスが前記排出孔に排出され、
前記チャンバの内部で前記ゲートの滑走時に前記チャンバ内の空気が排出されるように補助排出孔が形成され、前記補助排出孔は、前記ゲートを間に置いて前記排出孔の対向側に形成されることを特徴とする、二次電池。

【請求項2】

前記係止突起において前記ゲートが載置される地点には、前記ゲートの閉鎖時に密閉されるようにＯ－リングが取り付けられることを特徴とする、請求項１に記載の二次電池。

【請求項3】

前記流路の入口側において、前記ボディには電解液の浸透を防止するための防止膜が取り付けられ、前記防止膜は、前記パウチの内部にガスが生成されて内部圧力が増加すると、破れるかまたは取り付け位置から離脱することを特徴とする、請求項１または２に記載の二次電池。

【請求項4】

前記防止膜は、電解液と化学反応を起こさない物質からなることを特徴とする、請求項３に記載の二次電池。

【請求項5】

前記防止膜は、ポリプロピレン（Ｐｏｌｙｐｒｏｐｙｌｅｎｅ）またはポリテトラフルオロエチレン（Ｐｏｌｙｔｅｔｒａｆｌｕｏｒｏｅｔｈｙｌｅｎｅ）物質の薄膜からなることを特徴とする、請求項４に記載の二次電池。

【請求項6】

パウチ内に電極組立体および電解液が挿入され、前記パウチの縁で密封されてシール部が形成される二次電池であって、
一端は前記パウチの内部に向かい、他端は前記パウチの外部に向かうように前記シール部に固定されるバルブを含み、
前記バルブは、
前記パウチの内部に向かう前記一端が開口された流路を形成し、前記流路と連結されたチャンバを備え、前記チャンバには、外部と開通するように排出孔が形成されたボディと、
前記流路と前記チャンバの境界を形成する係止突起に載置され、前記流路を開放または閉鎖するゲートと、
前記ゲートが閉じられる方向に弾性力が作用するように取り付けられるスプリングと、を含み、
前記パウチの内部でガスが生成され、前記ガスの圧力がスプリングの弾性力に打ち勝つと、前記ゲートが開放され、前記ガスが前記排出孔に排出され、
前記流路の入口側において、前記ボディには電解液の浸透を防止するための防止膜が取り付けられ、前記防止膜は、前記パウチの内部にガスが生成されて内部圧力が増加すると、破れるかまたは取り付け位置から離脱し、
前記防止膜は、感圧接着剤（Ｐｒｅｓｓｕｒｅ Ｓｅｎｓｉｔｉｖｅ Ａｄｈｅｓｉｖｅｓ）を用いて前記ボディに接着されることを特徴とする、二次電池。

【請求項7】

パウチ内に電極組立体および電解液が挿入され、前記パウチの縁で密封されてシール部が形成される二次電池であって、
一端は前記パウチの内部に向かい、他端は前記パウチの外部に向かうように前記シール部に固定されるバルブを含み、
前記バルブは、
前記パウチの内部に向かう前記一端が開口された流路を形成し、前記流路と連結されたチャンバを備え、前記チャンバには、外部と開通するように排出孔が形成されたボディと、
前記流路と前記チャンバの境界を形成する係止突起に載置され、前記流路を開放または閉鎖するゲートと、
前記ゲートが閉じられる方向に弾性力が作用するように取り付けられるスプリングと、を含み、
前記パウチの内部でガスが生成され、前記ガスの圧力がスプリングの弾性力に打ち勝つと、前記ゲートが開放され、前記ガスが前記排出孔に排出され、
前記ゲートは、係止突起に載置される本体と、前記本体から拡張して流路に進入するように突出した柱部と、を含み、前記流路の内周面との間で密閉されるように、前記柱部の外周面には、リング形状のガスケットが嵌められることを特徴とする、二次電池。

【請求項8】

前記柱部には、周縁に沿って傾斜面が形成されることを特徴とする、請求項７に記載の二次電池。

【請求項9】

前記バルブは、前記電極組立体から引き出されて前記パウチの外部に突出する電極リードと平行に配置されることを特徴とする、請求項１～８のいずれか一項に記載の二次電池。

【請求項10】

請求項１～９のいずれか一項に記載の二次電池が複数結合されて構成された二次電池モジュール。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本出願は、２０２０年６月１５日付けの韓国特許出願第１０－２０２０－００７２５９７号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。

【0002】

本発明は、パウチ内に電極組立体および電解液が内蔵される二次電池に関し、より詳しくは、パウチ内にガスが生成されると、前記ガスを外部に排出可能なバルブを備えたパウチ型二次電池に関する。

【背景技術】

【0003】

携帯機器および電気自動車分野などにおいて、高効率の二次電池に対する需要が急激に増加している。このような二次電池の中でも、エネルギー密度が高く、相対的に高電圧が維持可能であり、自己放電率の低いリチウム二次電池が商用化されて広く用いられており、性能を向上させるための研究開発が活発に行われている。

【0004】

二次電池は、缶、パウチなどのようなケース内に電極組立体および電解質が内蔵される構造を有する。電極組立体は、正極、セパレータ、負極が繰り返し積層された構造を有するが、一般的に、正極、セパレータ、負極が積層された状態でぐるぐる巻かれてケース内に内蔵される巻き取り型と、一定の大きさに正極、セパレータ、負極が切断された状態で積層されるスタック型（積層型）に区分することができる。

【0005】

前記巻き取り型電極組立体は、螺旋状に巻かれる構造上、円筒型電池には搭載が好適であるのに対し、角型またはパウチ型電池には空間活用度において不利であり、その逆に、スタック型電極組立体は、電極とセパレータの切断時に大きさの調節が可能であるため、ケースに合った角形態を得ることが容易であるが、製造過程が相対的に複雑になり、外部衝撃に相対的に脆弱であるという短所がある。そして、巻き取り型とスタック型の長所を合わせるようにスタック＆フォールディング（Ｓｔａｃｋ＆Ｆｏｌｄｉｎｇ）方式が開発されている。スタック＆フォールディング方式は、フォールディングセパレータ上にＣタイプバイセル（正極／セパレータ／負極／セパレータ／正極の積層構造を有するバイセル）と、Ａタイプバイセル（負極／セパレータ／正極／セパレータ／負極の積層構造を有するバイセル）を載せ、前記バイセルをフォールディングすることで製造される。

【0006】

上記のように多様な方式で製造される電極組立体は、缶またはパウチのようなケースに搭載される。中でも、パウチ型電池は、単位重量および体積当たりのエネルギー密度がさらに高く、電池の薄型化および軽量化が可能であるだけでなく、外装材としての材料費が少ないなどの有利な点が多いため、近年、その開発が活発に進行中である。パウチ１が開口された状態で電極組立体３が搭載される様子を示した図１に示されたように、パウチ型二次電池は、パウチ１の上側部分と下側部分が分離された状態で電極組立体３が内部に載置され、電解液が注入されると、上側部分と下側部分の縁２に形成されたシール部２ａ、２ｂ同士が密封されるように製造される。この際、電極組立体３から引き出された電極リード３ａの終端は、外部に突出するように配置された状態で密封される。

【0007】

一方、パウチ型電池は、製造過程で充放電工程が行われる間、そして製造後に充放電装置として用いられる間に膨れ（ｓｗｅｌｌｉｎｇ）が発生するという問題があった。

【0008】

このような膨れは、電解液が気化してパウチ１の内部にガスが発生する現象であって、パウチ１の外形を変形させ、二次電池の充放電性能を低下させ、激しい場合には爆発の危険性もあった。そこで、パウチ１の内部でガスが生成されると、それを外部に排出させて除去する必要があった。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0009】

本発明は、上述したような問題を解消できるように、パウチの内部でガスが生成されて内部圧力が増加すると、ガスを外部に排出可能なバルブを備えた二次電池を提供することに主な目的がある。

【課題を解決するための手段】

【0010】

前述したような目的を達成するための本発明は、パウチ内に電極組立体および電解液が挿入され、前記パウチの縁で密封されてシール部が形成される二次電池であって、一端はパウチの内部に向かい、他端はパウチの外部に向かうようにシール部に固定されるバルブを含み、前記バルブは、パウチの内部に向かう一端が開口された流路を形成し、前記流路と連結されたチャンバを備え、前記チャンバには、外部と開通するように排出孔が形成されたボディと、前記流路とチャンバの境界を形成する係止突起に載置され、流路を開放または閉鎖するゲートと、前記ゲートが閉じられる方向に弾性力が作用するように取り付けられるスプリングと、を含み、前記パウチの内部でガスが生成され、前記ガスの圧力がスプリングの弾性力に打ち勝つと、ゲートが開放され、前記ガスが排出孔に排出されることを特徴とする。

【0011】

前記係止突起においてゲートが載置される地点には、ゲートの閉鎖時に密閉されるようにＯ－リングが取り付けられる。
前記流路の入口側において、前記ボディには電解液の浸透を防止するための防止膜が取り付けられ、前記防止膜は、パウチの内部にガスが生成されて内部圧力が増加すると、破れるかまたは取り付け位置から離脱する。

【0012】

前記防止膜は、電解液と化学反応を起こさない物質からなる。本発明に係る前記防止膜は、ポリプロピレン（Ｐｏｌｙｐｒｏｐｙｌｅｎｅ）またはポリテトラフルオロエチレン（Ｐｏｌｙｔｅｔｒａｆｌｕｏｒｏｅｔｈｙｌｅｎｅ）物質の薄膜からなる。そして、前記防止膜は、感圧接着剤（Ｐｒｅｓｓｕｒｅ Ｓｅｎｓｉｔｉｖｅ Ａｄｈｅｓｉｖｅｓ）を用いてボディに接着される。

【0013】

前記チャンバの内部でゲートの滑走時にチャンバ内の空気が排出されるように補助排出孔が形成され、前記補助排出孔は、ゲートを間に置いて排出孔の対向側に形成される。

【0014】

さらに、前記ゲートは、係止突起に載置される本体と、前記本体から拡張して流路に進入するように突出した柱部と、を含み、流路の内周面との間で密閉されるように、前記柱部の外周面には、リング形状のガスケットが嵌められる。

【0015】

前記柱部が滑走する間、ガスがチャンバに徐々に流入できるように、前記柱部には、周縁に沿って傾斜面が形成される。前記バルブは、電極組立体から引き出されてパウチの外部に突出する電極リードと平行に配置される。

【0016】

また、本発明においては、上記のような構成を有する二次電池が複数結合されて構成された二次電池モジュールがさらに提供されることができる。

【発明の効果】

【0017】

上述したような構成を有する本発明は、パウチの内部でガスが生成され、前記ガスの圧力がスプリングの弾性力に打ち勝つと、ゲートが開放され、前記ガスが排出孔に排出されるため、膨れの発生を効率的に防止することができ、バルブの外部からの水分および異物の流入を遮断することができる。

【0018】

前記係止突起においてゲートが載置される地点にはＯ－リングが取り付けられ、電解液漏れを防止することができる。さらに、流路の入口側には防止膜が取り付けられ、パウチ内部の圧力が正常範囲にある際に、バルブへの電解液の流入を根本的に遮断することができる。

【0019】

前記防止膜は、電解液と化学反応を起こさない物質から製造され、電解液の性能低下を防止することができる。本発明のバルブには排出孔の対向側に補助排出孔が形成され、バルブの滑走に空気抵抗が悪影響を及ぼすのを防止することができる。さらに、前記ゲートは、ガスケットが嵌められ、ガス漏れを防止することができ、柱部には、傾斜面が形成され、ガスが徐々に排出されることができる。

【図面の簡単な説明】

【0020】

【図1】パウチが開口された状態で電極組立体が搭載される様子を示した斜視図である。

【図2】本発明の第１実施形態に係るバルブが二次電池に取り付けられた様子を示した図である。

【図3】本発明の第１実施形態に係るバルブにおいて、パウチ内にガスが発生する前に、ゲートが閉じられた状態の断面の様子（左側）、パウチ内にガスが発生し、前記ガスの圧力によりゲートが開かれた状態の断面の様子（右側）をそれぞれ示した図である。

【図4】図２におけるガスケットの取り付け状態をさらに明確に示した図である。

【図5】本発明の第２実施形態に係る、前記流路の入口側において防止膜が取り付けられた断面の様子（左側）、および前記防止膜が取り付け位置から離脱した断面の様子（右側）をそれぞれ示した図である。

【発明を実施するための形態】

【0021】

以下、添付図面に基づき、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明を詳しく説明する。ただし、本発明は、種々の異なる形態で実現されてもよく、ここで説明する実施形態に限定されない。

【0022】

本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書の全体をわたって、同一または類似の構成要素に対しては同一の参照符号を付するようにする。

【0023】

また、本明細書および特許請求の範囲で用いられている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。

【0024】

本発明は、パウチ内に電極組立体および電解液が挿入され、前記パウチの縁で密封されてシール部が形成される二次電池に関し、以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態をより詳細に説明する。

【0025】

第１実施形態
図２は、本発明の第１実施形態に係るバルブが二次電池に取り付けられた様子を示した図であり、図３は、本発明の第１実施形態に係るバルブにおいて、パウチ内にガスが発生する前に、ゲートが閉じられた状態の断面の様子（左側）、パウチ内にガスが発生し、前記ガスの圧力によりゲートが開かれた状態の断面の様子（右側）をそれぞれ示した図であり、図４は、図２におけるガスケットの取り付け状態をさらに明確に示した図である。

【0026】

図面を参照すると、この実施形態に係る二次電池は、バルブ１００を含んで構成され、この際、前記バルブ１００は、一端はパウチ１の内部に向かい、他端はパウチ１の外部に向かうようにシール部２ａ、２ｂに固定取り付けられる。この際、前記バルブ１００は、電極組立体から引き出されてパウチ１の外部に突出する電極リード３ａと間隔をおいて平行に配置される。

【0027】

前記バルブ１００は、シール部において固定され、内部にガスが出入りできるように流路１１が形成されたボディ１０内にゲート２０が取り付けられた構造を有する。

【0028】

すなわち、図３にさらに詳細に示されたように、前記ボディ１０は、パウチ１の内側に向かう一端が開口され、そこから長さ方向に沿って他側に延びる形態で流路１１が内部に形成され、前記流路１１は、チャンバ１２に開通する。

【0029】

前記チャンバ１２は、流路１１の終端と対向する終端が塞がった構造を有し、この際、側壁の一部分において外部と開通するように排出孔１３が形成される。前記バルブ１００は、排出孔１３が外部に露出する状態でシール部に固定される。前記ボディ１０は、耐化学性に優れた金属、セラミック、合成樹脂材などから製造される。

【0030】

そして、前記ゲート２０は、前記流路１１とチャンバ１２の境界を形成する係止突起に載置され、流路１１を開放または閉鎖する。前記係止突起は、流路１１の内径とチャンバ１２の内径との差により形成される境界地点であり、前記ゲート２０は、チャンバ１２内で係止突起を遮蔽できるように取り付けられる。

【0031】

前記ゲート２０は、ゲート２０が閉じられる方向に弾性力が作用するように、スプリング３０と連結される。前記スプリング３０は、圧縮される力に抵抗する圧縮スプリングであり、一端はチャンバ１２の（流路の反対側面に位置する）壁面に固定され、他端はゲート２０に固定される。したがって、前記ゲート２０は、スプリング３０の弾性力に打ち勝つ力が加えられなければ開放されない。

【0032】

そして、前記係止突起においてゲート２０が載置される地点には、ゲート２０が閉鎖時に密閉されるようにＯ－リング１５が取り付けられる。前記Ｏ－リング１５は、ゲート２０が閉じられた際に、スプリング３０の弾性力により加圧されて弾性変形することで、ゲート２０とボディ１０との間に発生し得る間隙を密閉する。

【0033】

さらに、前記チャンバ１２の内部でゲート２０の滑走時にチャンバ１２内の空気が排出されるように、補助排出孔１６がさらに形成される。前記補助排出孔１６は、ゲート２０を間に置いて排出孔１３の対向側に形成されるため、スプリング３０が配置された空間が収縮する際に空気が圧縮される前に外部に排出され、ゲート２０の滑走が空気抵抗により妨害されるのを防止することができる。

【0034】

この実施形態に係るゲート２０は、係止突起に載置される円板形状の本体２１と、前記本体２１から拡張して流路１１に進入するように突出する円筒形状の柱部２２と、を含んで構成される。

【0035】

前記本体２１は、ゲート２０が閉じられた状態にある際に流路１１とチャンバ１２との間を遮蔽させ、前記柱部２２は、本体２１から延びて流路１１に進入することで、前記本体２１の滑走をガイドする。

【0036】

さらに、前記柱部２１が滑走する間、ガスがチャンバ１２に徐々に流入できるように、そして、流路１１にガスが流入された際、接触面積を増加させて圧力が集中できるように、前記柱部２１には、周縁に沿って傾斜面２２ａが形成されることができる。前記傾斜面２２ａは、所定の角度で傾いた平面で形成されるか、または凸状にラウンド形状を有する曲面で柱部２２の周縁に沿って形成されることができる。

【0037】

さらに、図４にさらに明確に示されたように、流路１１の内周面との間で密閉されるように、前記柱部１１の外周面には、複数のリング形状のガスケット２３が嵌められることができる。

【0038】

したがって、パウチ１内にガスが発生する前に正常圧力の範囲内にある場合には、図３の左側図のように、スプリング３０の弾性力により、ゲート２０は流路１１を遮蔽する。

【0039】

そして、パウチ１内にガスが発生してパウチ１の内部圧力が上昇すると、ガス圧力は、スプリング３０の弾性力に打ち勝ちゲート２０を押し出し、図３の右側図のように、チャンバ１２に流入された後、排出孔１３を通して外部に排出される。この際、ゲートが開放されるゲート２０の開弁圧は、スプリング３０の弾性力の調節により多様にセッティングすることができる。

【0040】

さらに、前記ゲート２０とボディ１０との間に発生する摩擦力、およびガスケット２３とボディ１０との間に発生する摩擦力により、前記ゲート２０は、開放される際に作用する圧力よりも圧力が若干さらに低くなっても開放が維持され、ガスが効率的に排出されることができる（例えば、ガス圧力が０．１ＭＰａである際にゲートが開かれたとすれば、ガスが外部に排出され、ガス圧力が低くなって０．１ＭＰａになっても、ゲートが閉じられず、例えば０．０５ＭＰａ程度で閉じられるように設定されることができる）。

【0041】

また、ボディ１０とゲート２０との間の接触部分には、密封性および摩擦力を低下させるために潤滑剤および真空グリースがさらに塗布されることができ、前記潤滑剤および真空グリースは、電解液と反応しない物質の中から選択されることができる。

【0042】

第２実施形態
この実施形態においては、第１実施形態に係るバルブ１００のボディ１０において流路１１を遮蔽する防止膜４０がさらに付着されたバルブが提供される。

【0043】

図５は、本発明の第２実施形態に係る、前記流路の入口側において防止膜が取り付けられた断面の様子（左側）、および前記防止膜が取り付け位置から離脱した断面の様子（右側）をそれぞれ示した図である。

【0044】

図５を参照すると、前記ボディ１０において、流路１１の入口側には、電解液の浸透を防止するための防止膜４０が取り付けられることができる。前記防止膜４０は、パウチ１の内部圧力が増加する前に、流路１１にガスおよび電解液が不要に流入されるのを防止するために提供される。

【0045】

前記防止膜４０は、パウチ１の内部にガスが生成されて内部圧力が増加すると、破れるかまたは取り付け位置から離脱するように構成されることができる。前記防止膜４０は、電解液と化学反応を起こさない物質であれば、特定の物質に制限されないが、圧力変化により破れやすい物質であることが好ましい。または、圧力変化に敏感ではない物質であるとしても、前記防止膜４０を接着させる接着剤４１の敏感度を調節して離脱が可能に構成することで取り付けが可能である。

【0046】

本発明に係る前記防止膜４０は、ポリプロピレン（Ｐｏｌｙｐｒｏｐｙｌｅｎｅ）またはポリテトラフルオロエチレン（Ｐｏｌｙｔｅｔｒａｆｌｕｏｒｏｅｔｈｙｌｅｎｅ）物質の薄膜により製造される。

【0047】

そして、前記防止膜を接着する接着剤４１としては、感圧接着剤（Ｐｒｅｓｓｕｒｅ Ｓｅｎｓｉｔｉｖｅ Ａｄｈｅｓｉｖｅｓ）を用いることができる。

【0048】

上述したような構成を有する本発明は、パウチ１の内部でガスが生成され、前記ガスの圧力がスプリング３０の弾性力に打ち勝つと、ゲート２０が開放され、前記ガスが排出孔１３に排出されるため、膨れの発生を効率的に防止することができ、バルブ１００の外部からの水分および異物の流入を遮断することができる。

【0049】

前記係止突起においてゲート２０が載置される地点にはＯ－リング１５が取り付けられ、電解液漏れを防止することができる。さらに、流路１１の入口側には防止膜４０が取り付けられ、パウチ１内部の圧力が正常範囲にある際に、バルブ１００への電解液の流入を根本的に遮断することができる。

【0050】

前記防止膜４０は、電解液と化学反応を起こさない物質から製造され、電解液の性能低下を防止することができる。本発明のバルブ１００には排出孔１３の対向側に補助排出孔１６が形成され、バルブ１００の滑走に空気抵抗が悪影響を及ぼすのを防止することができる。

【0051】

さらに、前記ゲート２０は、ガスケット２３が嵌められ、ガス漏れを防止することができ、柱部２２には、傾斜面２２ａが形成され、ガスが徐々に排出されることができる。

【0052】

以上、限定された実施形態と図面により本発明が説明されたが、本発明はこれにより限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により、本発明の技術思想と後述の特許請求の範囲の均等範囲内で多様な実施が可能である。

【符号の説明】

【0053】

１０：ボディ
１１：流路
１２：チャンバ
１３：排出孔
１４：ガスケット
１５：Ｏ－リング
１６：補助排出孔
２０：ゲート
２１：本体
２２：柱部
２３：ガスケット
３０：スプリング
４０：防止膜
１００：バルブ

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】