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特許7540857マルチキャピラリーパッキングを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】マルチキャピラリーパッキングを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/281 20060101AFI20240820BHJP
   B01J 20/10 20060101ALI20240820BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20240820BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20240820BHJP
   B01J 20/282 20060101ALI20240820BHJP
   B01J 20/283 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B01J20/281 G
B01J20/10 D
B01J20/28 A
B01J20/30
B01J20/282 E
B01J20/283
B01J20/281 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023523679
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 FR2021051235
(87)【国際公開番号】W WO2022003307
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】2007106
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】523001016
【氏名又は名称】セパラティヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】パルマンティエ,フランソワ
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0349839(US,A1)
【文献】特開平07-126388(JP,A)
【文献】特開2003-194792(JP,A)
【文献】特開昭64-046646(JP,A)
【文献】特表2017-530375(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0259190(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00-30/96
B01J 20/00-20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブレイティブプリフォームの基板からマルチキャピラリーパッキングを製造する方法であって、各プリフォームは、前記パッキングにおける流体の対流を可能にする導管を前記各プリフォームのアブレーションの間に形成するのに適しており、当該方法は、
(a)少なくとも1つの束の形で前記アブレイティブプリフォームを組み立てるステップと、
(b)水の存在下での有機金属前駆体の加水分解によって前記束のアブレイティブプリフォーム間にゲルを作成するステップであり、前記水は、前記有機金属前駆体の完全加水分解に必要な化学量論量の10倍を超えない量の水である、ステップと、
(c)前記ゲル内に複数の導管を形成するように、熱分解、酸化、蒸散、融解及び排水、機械的抽出、又は化学的攻撃によって、前記プリフォームのアブレーションを行うステップと、
を含む方法。
【請求項2】
ステップ(b)と(c)との間又はステップ(c)の後に乾燥ステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記乾燥ステップは、周囲温度において真空下で行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記有機金属前駆体は、有機金属アルカロイド、有機金属酢酸塩、有機金属カルボン酸塩、有機金属ハロゲン化物、有機金属硝酸塩、有機金属アルカン酸塩、有機金属アシルオキシド、又はそれらの混合物の1つである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記有機金属前駆体は、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、希土類、ホウ素、鉄、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ゲルマニウム、リン、リチウム、カリウム、ナトリウム、ニオブ、銅、又はそれらの混合物の1つの有機金属誘導体から選ばれる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記有機金属前駆体は、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ゲルは、ゲルの体積で20%から90%、又はゲルの体積で40%から65%の細孔容積を有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記プリフォームは、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテル、又はポリエステルの糸を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリエステルの糸は、加水分解性のポリエステル糸である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アブレイティブプリフォームは、束の形に組み立てる前に多孔性の粒状物質で覆われる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記アブレイティブプリフォームは、前記パッキングの本体において閉塞されたセグメントに形作られる、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ゲルはシリカゲルである、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ゲルは、マルチモーダルシリカゲルであり、前記水の量は、前記有機金属前駆体の完全加水分解に必要な化学量論量の6倍5倍、又は4倍を超えない、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフィーカラムとして作用することができるマルチキャピラリーパッキングを製造する方法、及びそのような方法によって得られるマルチキャピラリーパッキングに関する。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフィーにおいて使用されるパッキングは、一般的に、典型的にはシリカ又はアルミナのゲルから成るモノリシックな多孔性の塊、及び、互いに平行であり、この多孔性の塊を通って延びている多数の実質的に直線的なチャネル又は導管から構成される。
クロマトグラフィーにおいて使用することができるマルチキャピラリーパッキングを調製する様々な方法が知られている。
例えば、マルチキャピラリーパッキングは、アブレイティブプリフォームから調製することができるということが知られており、例えば、束に組み立てられた繊維が、繊維の周りに多孔性のマトリックスが形成された後に除去され(特許文献1)、その組立体が、モノリシックな構造を形成する。多孔性のマトリックスは、特に、ゾル-ゲル法によって調製することができ、シリカ、アルミナ、又はアルミノケイ酸塩から成る。燃焼又は熱分解によるプリフォームのアブレーションが、鉱物マトリックス内に導管を生成する。
これらのパッキングの調製は、特定の用途に必要な導管の微細さと、固有の瑕疵のない、言い換えるとひび又は亀裂のないモノリス(monoliths)を生成することの困難さのために難しいことが判明している。
従って、上述の欠点が克服されるのを可能にする、特にひび及び亀裂のリスクを最小限に抑えるマルチキャピラリーパッキングを調製する方法を提供する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2013/064754
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、アブレイティブプリフォームの基板からマルチキャピラリーパッキングを製造する方法に関し、各プリフォームは、そのアブレーションの間に、上記のパッキングにおける流体の対流を可能にする導管を形成するのに適している。当該方法は:
(a)少なくとも1つの束の形でアブレイティブプリフォームを組み立てるステップ;
(b)水の存在下での有機金属前駆体の加水分解によって束のアブレイティブプリフォーム間にゲルを作成するステップであり、水は、上記の有機金属前駆体の完全加水分解に必要な化学量論量の10倍を超えない量の水である、ステップ;
(c)ゲル内に複数の導管を形成するように、好ましくは熱分解、酸化、蒸散、融解及び排水、機械的抽出、又は化学的攻撃によって、プリフォームのアブレーションを行うステップ;
を含む。
本発明はまた、本発明の方法によって得ることができるマルチキャピラリーパッキングに関する。
本発明の他の態様は、特許請求の範囲及び以下に記載されている通りである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記のニーズに適合するアブレイティブプリフォームからマルチキャピラリーパッキングを製造する方法を開発した。
本発明の方法は:
(a)少なくとも1つの束の形でアブレイティブプリフォームを組み立てるステップ;
(b)束のアブレイティブプリフォーム間にゲルを作成するステップであり、水の存在下での有機金属前駆体の加水分解を含み、水は、上記の有機金属前駆体の完全加水分解に必要な化学量論量の10倍を超えない、好ましくは5倍を超えない量の水である、ステップ;
(c)ゲル内に複数の導管を形成するように、熱分解によって、好ましくは、酸化、蒸散、融解及び排水、機械的抽出、又は化学的攻撃によって、プリフォームのアブレーションを行うステップ;
を含む。
【0006】
ここで、「完全加水分解に必要な化学量論量の水」とは、有機金属前駆体の加水分解性の基の全てをM-O-M結合に変換するために必要な量の水を意味する(Mは、有機金属前駆体の金属を示す)。
Mがケイ素原子である場合、特に非限定的な様式で、有機金属前駆体のM-O-R、M-N-R、M-S-R、M-O-Bの結合(Rは有機基)は、加水分解性であると考えられる。
Mがケイ素原子である場合、特に非限定的な様式で、M-C-結合は、一般的に、非加水分解性であると考えられる。しかし、炭素C上へのO、N、S等の置換基又はヘテロ原子の添加によって、これらのM-C結合を脆弱にすることができるということに留意されたい。この後者の場合、結合は、加水分解性であると考えられる。
従って、例えば、M=Siであり、ORがアルコキシラジカルであり、Rがアルキル、例えばメチル基又はエチル基である式M(OR)のテトラアルコキシシラン1モルに対して、必要な水の化学量論量は、テトラアルコキシシラン1モルあたり2モルである:
Si(OR)+2HO→SiO+4ROH
従って、例えば、M=Siであり、ORがアルコキシラジカルであり、Rがアルキル、例えばメチル基又はエチル基であり、R’が例えばアルキル、例えばメチル基又はエチル基である式R’M(OR)のトリアルコキシシラン1モルに対して、必要な水の化学量論量は、トリアルコキシシラン1モルあたり1.5モルである。
従って、例えば、M=Siであり、ORがアルコキシラジカルであり、Rがアルキル、例えばメチル基又はエチル基であり、R’がアルキル、例えばメチル基又はエチル基であり、R’’がアルキル、例えばメチル基又はエチル基である式R’R’’M(OR)のジアルコキシシラン1モルに対して、必要な水の化学量論量は、ジアルコキシシラン1モルあたり1モルである。
上記の有機金属前駆体の完全加水分解に必要な水の化学量論量の決定には、加水分解及びカップリング反応の間に生成される水の分子が考慮されるということに留意するべきである。
従って、これら全ての推定において、加水分解から結果として生じ、且つケイ素上に存在するシラノール基が、2つずつ結合してシロキサンブリッジを形成し、シリカゲルを形成するという事実が考慮されており、この反応自体が、シロキサンブリッジが生成されるごとに1つの水分子を反応媒体まで戻す。
同様にR’及びR’’は、有利に、ドデシル、オクタデシル、n-オクチル、n-プロピル、n-ブチル、ビニル、3-クロロプロピル、3-アミノプロピル、2-アミノエチル-3-アミノプロピル、3-アミノプロピル、3-ウレイドプロピル、3-グリシドキシプロピル、3-グリシドキシプロピル、3-メタクリロキシプロピル、ビス(プロピル)テトラスルフィド、ビス(プロピル)ジスルフィド、3-メルカプトプロピル、トリフルオロプロピル(エポキシ結合を含有)等のラジカルであり得る。O-Rは、有利に、アルコキシラジカル(例えばメトキシ、エトキシ等)、アシルオキシ、アセトキシ、ケトキシム、メチルエチルケトキシム、オキシミノ等であり得る。(O-R)、(O-R)3、(O-R)はそれ自体が、上記の4、3、又は2つのR基をそれぞれ表すことができ、全てが同一であるか又は異なる。
【0007】
アブレイティブプリフォームは、典型的には、それらの破壊又は除去の間に、軸方向の導管を形成するのに適しており、軸方向の導管は、実質的に直線で互いに平行であり、パッキングの入力面とパッキングの出力面との間の流体の対流(例えば移動相)を可能にしている。好ましくは、アブレイティブプリフォームは、繊維又は糸の形である。
アブレイティブプリフォームは、炭素(例えば炭素繊維等)、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテル、例えば、生分解性ポリマー(例えば、ポリジオキサノン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸)等の材料から成り、特にそれらから構成される。
アブレイティブプリフォームは、可溶性の糸、例えば、インジウム、ビスマス、スズ、ガリウム、銀、又はそれらと他の金属(好ましくは、鉛、水銀、及びカドミウムを除く)との合金を含む糸であり得る。
従って、特定の実施形態において、プリフォームは、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテル、又はポリエステルの糸を含む。
アブレイティブプリフォームは、中空若しくは多孔性であってもよく又は中空若しくは多孔性でなくてもよい繊維から成り得る。繊維の断面は円形であるが、任意的に、正方形、長方形、六角形、多角形の断面等の非円形であるか、又はフィルム状である。この列挙は、限定的ではない。
アブレイティブプリフォームは、好ましくは、十分のいくつかの平方マイクロメートルから数平方マイクロメートルの断面を有する。
プリフォームの直径は、好ましくは、250μm未満であり、有利には、100μm未満であり、より有利には、5μm未満である。
考慮される直径は、パッキングにおける流体の流れの平均方向に対して垂直に測定される水力直径である。
水力直径dの定義は、以下の通りであり:
【0008】
【数1】
ここで、Aは管の通路の断面積であり、Pはこの断面のぬれぶち長さである。
【0009】
特定の実施形態において、アブレイティブプリフォームは、材料の入口面と出口面との間を中断されることなく直線的に延びることができる。
他の実施形態において、アブレイティブプリフォームは、材料の一部のみに適合するか又はその中に延び、その中で沈められるか又は閉塞される。従って、特定の実施形態において、プリフォームは、パッキングの本体の中で閉塞されたセグメントの形をとることができる。
【0010】
これらの実施形態では、最終的なパッキングにおいて、導管間を出口面に向かって材料内を循環する流体の対流伝達を促進するために、材料内にアブレイティブプリフォームのコンパクトな積み重ねが生成される。
このように、全ての場合において、材料の浸透性が循環する流体に対して増加する。
有利に、アブレイティブプリフォームは、可能な限り均一な寸法を有する。プリフォームは、少なくとも2つの寸法:
1. プリフォームの直径又は水力直径;及び
2. プリフォームの長さ;
によって特徴づけることができる。
【0011】
有利に、直径又は水力直径は、その相対標準偏差が、プリフォームの平均直径の30%未満、好ましくは10%未満、さらにより好ましくは2%未満であるということによって特徴づけられる変動性を有する。
有利に、長さは、その相対標準偏差が、プリフォームの平均長さの30%未満、好ましくは10%未満、さらにより好ましくは2%未満であるということによって特徴づけられる変動性を有する。
【0012】
特定の実施形態において、アブレイティブプリフォームは、例えば、シリカ若しくはガラスのマイクロビーズ、シリカゲル、アルミナゲル、チタンゲル、又は酸化ジルコニウムゲル等の多孔性の粒状物質で覆われている。この多孔性の粒状物質の層は、少なくとも2つの目的を有することができ、それは:研磨形態間の接触を回避し、多孔性の粒状物質が、スペーサーとして作用すること、及び材料に固有の機能性(例えば、反応機能性又は触媒的役割等)を提供することができるということである。
粒状物質の細孔は、第三体(a third body)によって閉じることができる。この第三体は、好ましくは、例えばパラフィン等、揮発性の又は溶媒において可溶な熱分解可能な(pyrolysable)有機固体である。有利に、この第三体は、当該方法の残りの部分において(例えば、アブレイティブフォームの除去の前若しくは後、又はこのアブレーションと同時に)除去することができ、最終製品には存在しない。
【0013】
束状に組み立てられたプリフォームは、モノリシック構造を与えるために、結合剤として作用するゲルによって共に保持される。
ゲルは、モノリスの接着につながる任意の鉱物化合物に基づき得る。従って、ゲルは、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、イットリウム、セリウム、若しくはランタン等の希土類の酸化物、酸化ホウ素、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化ゲルマニウム、酸化リン、酸化リチウム、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化ニオブ、酸化銅、又はそれらの混合物の1つに基づくゲルであり得る。
特定の実施形態において、ゲルは、酸化ケイ素(シリカゲル)又は酸化アルミニウム(アルミナゲル)に基づくゲルである。
特定の実施形態において、ゲルは、酸化ジルコニウム又は酸化チタンに基づくゲルである。
特定の実施形態において、ゲルは、多成分酸化物ゲルである。
例えば、ゲルは、ジルコニウム及びイットリウム、ジルコニウム及びセリウム、ジルコニウム及びカルシウム、バリウム及びチタン、リチウム及びニオブ、リン及びナトリウム、又はホウ素及びリチウムの二元酸化物から成ってもよい。ゲルは、ケイ酸塩、例えば、シリカ及び酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化ゲルマニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ストロンチウム、又は酸化鉄に基づく二元ケイ酸塩、三元ケイ酸塩、4つ以上の構成成分を含む多成分ケイ酸塩から成るゲルであり得る。特定の実施形態において、ゲルは、多成分酸化物ゲル、例えば、アルミノケイ酸塩ゲル等、例えば粘土等である。
【0014】
ゲルは、よく知られたいわゆるゾル-ゲル(「溶液-ゲル化」)プロセスによってin situで調製される。
【0015】
その場合、ゲルは、典型的には、ゲルのゾル前駆体に1つ以上のプリフォームの束を沈めることによって作成され、その後、ゲルを形成するように処理される。ゾルは、典型的には、型又はチューブに配置されたプリフォーム上に注がれる。
別の実施形態によると、プリフォームはゾルに添加され、混合物が、型又はチューブ内に注がれる。
ここで、「ゾル」とは、有機金属前駆体と、有利には、この有機金属前駆体の完全加水分解に必要な化学量論量の10倍を超えない量の水とを含む任意の混合物を意味する。
【0016】
本発明に関して、ゲルは、有機金属前駆体の加水分解によってプリフォーム間に作成される。有機金属前駆体は、その加水分解中に金属酸化物を形成するためのヒドロキシル基又は加水分解性の基を少なくとも1つ、特に少なくとも2つ含む。従って、有機金属前駆体は、典型的には、有機金属アルカロイド、有機金属酢酸塩、有機金属カルボン酸塩、有機金属ハロゲン化物、有機金属硝酸塩、有機金属アルカン酸塩、又は有機金属アシルオキシドである。
有機金属前駆体の例としては、非限定的な様式で、テトラクロロシラン、(尿素の存在下で加水分解することができる)硝酸アルミニウム、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジエチル(ジメトキシ)シラン、トリエチル(メトキシ)シランが挙げられる。有機金属前駆体は、好ましくは、有機金属アルカロイドである。
【0017】
1つ以上の有機金属前駆体の加水分解は、水性媒体において行われる。水性媒体は、水のみを含んでもよく、又は、水と有機溶媒との混合物、例えば、混合物を均質にするためにメタノール又はエタノールとの混合物を含んでもよい。有機溶媒の量は、典型的には、有機金属前駆体の体積の12倍未満、好ましくはこの体積の4倍未満、さらにより好ましくはこの体積の2倍未満、特にこの体積の0.5倍未満である。特定の実施形態において、有機金属前駆体は、前駆体の部分加水分解によって均質な混合物が形成されるまで、撹拌下の水中に置かれる。
【0018】
上記の有機金属前駆体の完全加水分解に必要な化学量論量(モル化学量論量)の10倍若しくは6倍、若しくは5倍を超えない、好ましくは4倍を超えない、さらにより好ましくは2倍、若しくは1.25倍さえも超えない量の水の存在下で、有機金属前駆体の加水分解によってゲルが作成される場合に、本発明の方法によって得られるマルチキャピラリーパッキング/モノリシック構造は、ひび、亀裂、及び欠陥が最小であることが示されている。特定の実施形態において、有機金属前駆体の加水分解は、上記の有機金属前駆体の完全加水分解に必要な化学量論量(モル化学量論量)と実質的に等しいか又は等しい量の水の存在下で行われる。特定の実施形態において、有機金属前駆体の加水分解は、上記の有機金属前駆体の完全加水分解に必要な化学量論量(モル化学量論量)に達しない量の水の存在下で行われ、例えば、水の量は、上記の有機金属前駆体の完全加水分解に必要な化学量論量(モル化学量論量)の半分であり得る。従って、有機金属前駆体の加水分解は、上記の有機金属前駆体の完全加水分解に必要な化学量論量(モル化学量論量)の0.5倍から10倍まで、又は0.5倍から5倍まで異なる量の水の存在下で行うことができる。
【0019】
加水分解のステップは、典型的には、酸又は塩基によって触媒される。酸又は塩基の触媒の選択は、典型的には、使用される1つ又は複数の前駆体に依存する。
有利に、有機金属前駆体の金属部分が1つ以上のケイ素原子から成る場合、一連の触媒を行うことができ:例えば、好ましくは、導管のプリフォーム間にゾルを挿入する前(すなわち、アブレイティブプリフォームの束をゾルに沈める前)に、第1の酸加水分解を行うことができ、その後、塩基の添加によって、導管のプリフォーム間でゾルの塩基媒体において加水分解が結果として生じる。
【0020】
特定の実施形態において、ゲルは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、イットリウム、セリウム、又はランタン等の希土類、ホウ素、鉄、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ゲルマニウム、リン、リチウム、カリウム、ナトリウム、ニオブ、銅、又はそれらの混合物の1つ、好ましくは、ケイ素、ジルコニウム、又はチタンの有機金属誘導体から選ばれた有機金属前駆体の加水分解によって作成される。混合物は、二元のもの、三元のものであってもよく、又は4つ以上の有機金属誘導体さえも含んでよい。
特定の実施形態において、ゲルは、例えば硝酸塩又は塩化物等の1つ以上の金属塩の存在下で、上記のものであり得る1つ以上の有機金属前駆体を加水分解することによって作成される。
1つ以上の有機金属前駆体の選択は、所望のパッキングの性質に依存することになる。クロマトグラフィーの用途では、有機金属前駆体は、有利に、可能な限り凝集性及び剛性を有するゲルを与えるような方法で選ばれることになる。ゲルは、材料の単位体積あたり可能な限り高い比表面積を有するために、及び所与の細孔径のために、可能な限り高密度である。
【0021】
従って、言い換えると、ゲルを作成するステップb)は、以下の様式で、すなわち:

(b1)上記の有機金属前駆体を含むゾルを調製するステップ;
(b2)アブレイティブプリフォームの束をゾルに沈めるステップ;
(c2)水の存在下で有機金属前駆体を加水分解するステップであって、水は、ゲルを作成するように、上記の有機金属前駆体の完全加水分解に必要な化学量論量の10倍又は5倍を超えない量の水である、ステップ;
で有利に表すことができる。
【0022】
ゲルが形成されると、有利に、熱分解、酸化、蒸散、融解及び排水、機械的抽出、又は化学的攻撃によって、プリフォームを崩壊させることができる。プリフォームの破壊又は除去の後で、導管によって横切られたゲルのみが残る。
任意的に、第1の加水分解ステップの後に熱分解ステップが続く等、複数の崩壊又はアブレーションのステップが実施される。
【0023】
任意的に、このアブレーションステップは、材料の機械的強度及びネットワークを強化するために、焼結等の熱処理の一部を用いて完了させることができるか、又はそれと組み合わせることができる。これらの熱処理は、当業者には知られている。
典型的には、シリカゲルの場合、そのような熱処理は、数分又は数十分から数時間又は数十時間の異なる時間の、有利に650から850°Cの温度でのアニーリングから成り得る。例えば、そのような処理を、700°Cで2時間から12時間行うことができる。
【0024】
任意的に、このアブレーションステップ又はこのさらなる熱アニーリングステップの後に、シリカゲルの場合、当業者に知られている任意の技術に従った、例えば、ゲルの表面の再ヒドロキシル化のステップ、水蒸気処理、熱水処理、又は、塩基性若しくは酸性の水性媒体中での処理が続いてもよい。実際、170°Cを超える、より具体的には500°Cを超える、又は700°Cさえも超える高温は、多かれ少なかれ可逆の様式でシリカゲルの表面の脱ヒドロキシル化を促進することが知られている。典型的には、周囲温度で生成され、105°Cで乾燥されたシリカゲルは、1nmあたり8から4.5のシラノール基を有する。170°Cでは、この集団はゆっくりと減少し始め、約700°Cで1nmあたり1つのシラノール基のみを残すまで、処理の温度が上昇するに従い減少する。この脱ヒドロキシル化は、パッキングの最終的な適用に対して有害となり、その吸収特徴を変更し、表面の極性を低くし、機能的なグラフト結合を受けるその能力を変え、さらに、水の存在下で表面を不安定にする恐れがある。従って、シリカゲルの機能性を回復させるために、再ヒドロキシル化が必要な場合がある。
【0025】
ゲルは、プリフォームのアブレーションの前後に乾燥される。乾燥は、その構造的及び機械的完全性を可能な限り確実にするのを可能にする条件下で行われ、特に、亀裂の形成及び巨視的又は微視的な縮みを可能な限り制限するような方法で行われる。
乾燥は、真空下で又は大気圧において、好ましくは周囲温度で行うことができる。乾燥は、典型的には、制御された温度及び分圧においてゆっくりと行われる。乾燥時間は、典型的には、少なくとも1時間であり、又は、10時間を超え、24時間を超え、数日に及ぶこともある。特定の実施形態において、乾燥時間は48時間である。乾燥させることになる材料が大きいほど、特に厚いほど、乾燥時間は長くなる。特定の実施形態において、乾燥は、約48時間、1から50kPaの圧力の真空下で周囲温度(20~25°C)において行われる。
ゆっくりとした乾燥の技術は、有利に、多数の導管を有する大型のパッキングを得るのを可能にする。従って、本発明の方法は、百を超える導管、又は千を超える導管さえも、又は1万を超える導管さえも含むパッキングを調製するのを可能にする。
本発明の方法は、0.1cmを超える、より有利には1cmを超える、さらにより有利には10cmを超える、又は100cmさえも超える断面を有するパッキングを調製するのを可能にし得る。
【0026】
特定の実施形態において、乾燥は、熟成後に行われ、ゲルの構造を強化するのを、及び、その細孔の直径を大きくするのを可能にする。熟成は、典型的には、約24時間又は24時間以上の間、周囲温度においてゲルを保ちながら行われる。
【0027】
一般に、シリカゲルは、典型的には、20から1200m/gに及ぶ比表面積、好ましくは20から700m/gに及ぶ比表面積、より好ましくは70から450m/gに及ぶ比表面積を有する。
シリカゲルは、典型的には、ゲルの体積で20%から90%に及ぶ細孔容積、より有利にはゲルの体積で40%から70%に及ぶ細孔容積、又はゲルの体積で65%の細孔容積さえも有する。「ゲルの体積」という用語は、その外側の輪郭によって区切られ、シリカゲルの異なる塊又は部分間の空間を維持することによって流体に対する通路を開いたまま保つように意図した任意の空間から分離され、さらに、そのスペーサーの輪郭を区切る体積の外側にある、モノリスの導管間のゲルの体積、すなわち、モノリスの導管間に位置するゲルの体積を意味する。任意のスペーサーは、ゲルの体積を決定する際には、考慮されず;言い換えると、スペーサーが存在する場合、ゲルは、スペーサーの外側に位置していると見なされる。
シリカゲルは、一般的に、直径の大きい細孔を得るように生成される。乾燥中のゲルの縮み及びひび割れにつながる毛管力は、この直径の逆数として変化することが知られている。乾燥前のゲルの細孔の直径は、典型的には、4nmより大きく、好ましくは10nmより大きく、一般的に1000nmを超えない。乾燥後のゲルの細孔の直径は、典型的には、2nmより大きく、好ましくは10nmより大きく、一般的に1000nmを超えない。
特定の実施形態において、シリカゲルの前駆体ゾルは、パッキングの調製に従来使用される添加剤を含む。従って、ゾルは、ホルムアミド等の乾燥を制御する化学添加剤又は界面活性剤を含んでもよい。これによって、乾燥中のひび割れは減少する。
【0028】
特定の実施形態では、固体充填剤をゲルに添加することができる。固体充填剤は、結果として生じるゲルを機械的に強化し、その収縮を制限し、任意的に、さらなる比表面積又は触媒の機能性等のさらなる機能性を最終的なゲルに与えることができる。
固体充填剤は、シリカゲル粉末又はアルミナゲル粉末であり得る。有利に、この粉末は、有利には250m/gより大きく、より有利には450m/gより大きく、さらにより有利には700m/gより大きい、高い比表面積を有する。有利に、この粉末は、25μm未満、好ましくは3μm未満、より好ましくは0.5μm未満の非常に微細な粒径を有する。
固体充填剤は、ウィスカー等、チタン酸カリウム繊維等の繊維、マイクロファイバー、又はナノファイバーから成り得る。これらは、特にTismo Dというブランドで販売されており、最終的な材料により高い剛性を与える。
本明細書において言及されている比表面積、細孔径、及び細孔容積は、BET法を使用した窒素吸収によって測定される。
【0029】
本発明の方法によって得られたパッキングは、次に、高温、例えば300から700°Cに及ぶ温度で熱分解することができる。
【0030】
本発明の方法によって得られたパッキングを、表面修飾させることができる。
任意的に、本発明によるシリカゲルパッキングを、官能基のシランを使用してグラフト結合させて、クロマトグラフィー用途のためにその吸収及び保持特性を変更することができる。
使用することができる官能基のシランには、非限定的な様式で、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリ(2-メトキシエトキシ)シラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリプロピル)アミン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、ビニルオキシミノシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルオキシミノシラン、テトラ(メチルエチルケトキシム)シラン、トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、エポキシ結合を含有するシラン等が含まれる。
【0031】
例証的な実施形態
第1の実施形態
特定の実施形態では、得られる材料、すなわちゲルは、メソポーラスであり、好ましくはマクロポロシティを有さない。このゲルは、特に、Chromolithの商標名でMerckによって販売されているマルチモーダルシリカゲル、並びに、K Nakanishi[1],[2]及びN.Ishizuka[3]の研究から得られるものとは異なる。
そのようなゲルは、スピノーダル分解を含まない標準的なゾルゲル法によって得られる。
一般的に、ミクロポロシティの範囲は2nm未満の直径の細孔を含み、メソポロシティの範囲は2nmから50nmの直径の細孔を含み、ミクロポロシティの範囲は50nmを超える直径の細孔を含むと考えられている。
しかし、ここでは、ミクロポロシティの範囲は2nm未満の直径の細孔を含み、メソポロシティの範囲は2nmから150nmの直径の細孔を含み、ミクロポロシティの範囲は150nmを超える直径の細孔を含むと考えられている。
従って、得られたシリカゲルのマクロポアの体積分率は、その全細孔容積の50%未満、より有利にはその全細孔容積の25%未満、さらにより有利にはその全細孔容積の10%未満である。
有利に、シリカゲルのミクロポアの体積分率は、その全細孔容積の30%未満、より有利にはその全細孔容積の10%未満、さらにより有利にはその全細孔容積の5%未満である。
有利に、シリカゲルのメソポアの体積分率は、その全細孔容積の30%を超え、より有利にはその全細孔容積の65%を超え、さらにより有利にはその全細孔容積の80%を超える。
細孔の体積分率は、BET法として知られるBrunauer Emett and Tellerの方法を使用した窒素吸収測定によって決定される。
この測定は、ゲル自体を構成する多孔性領域にわたって、且つ導管の体積を除いて行われることになる。
【0032】
水の存在下での有機金属前駆体の加水分解によってシリカゲルが作成され、水が、上記の有機金属前駆体の完全加水分解に必要な化学量論量(モル化学量論量)の10倍を超えない、好ましくは6倍を超えない又は5倍を超えない、さらにより好ましくは4倍又は2倍さえも超えない量の水である場合、得られたマルチキャピラリーパッキング/メガリシック構造又はシリカゲルは、例えば高いシリカ密度(典型的には0.05から1.2g/cm、好ましくは0.1から0.8g/cm)を有するゲルの密度で、ひび、亀裂、及び欠陥が最小であることが示されている。
有利に、加水分解法によって得られるシリカゲルの密度は、0.1から0.40g/cmになる。より有利には、加水分解法によって得られるシリカゲルの密度は、0.15から0.35g/cmになる。
これは、必要な化学量論量の1から10倍の量の水でのテトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランの加水分解から結果として生じる密度範囲であり、特に、現在記載されているように乾燥がゆっくりとした乾燥である場合、この乾燥は無視できるほどの縮みを誘発する。この仕様は、最終的な乾燥したゲルの歪み又はひび割れ又は断片化がなく、十分な機械的強度及び可能な限り高いシリカ密度を有する、プリフォームの寸法に適合するモノリスを生成する必要性に対応している。
ゲルの密度は、マルチキャピラリー材料を生成するためのゾルゲル法のあり得る使用の指標である。
さらに、得られるシリカゲルの密度は、Rが低分子量であるほどいっそう高いということに留意されたい。
好ましくは、この第1の実施形態において、シリカゲルの有機金属前駆体はテトラメトキシシランである。この場合、上記の方法から結果として生じるシリカゲルのシネレシス、乾燥、又は熱処理によるいかなる縮みもない場合の理論密度は、0.18から0.32g/cmである。
好ましくは、この第1の実施形態において、安全性の考慮が優先される場合には、毒性が低く且つ取り扱いがより危険ではないテトラエトキシシランが、シリカゲルの有機金属前駆体として使用される。この場合、上記の方法から結果として生じるシリカゲルのシネレシス、乾燥、又は熱処理によるいかなる縮みもない場合の理論密度は、0.15から0.25g/cmである。
ここで、「シリカゲルの密度」とは、加水分解法から結果として生じる、その外側の輪郭によって区切られたモノリスの導管間の、導管の体積を除いたゲルの密度、すなわち、モノリスの導管間に位置するゲルの密度を意味する。
任意のスペーサーは、ゲルの密度を決定する際には考慮されず;言い換えると、スペーサーが存在する場合、ゲルは、スペーサーの外側に位置していると見なされる。
一方で、シリカゲルが、繊維、マイクロファイバー、ナノファイバー、及び粒子又はナノ粒子等の第三体を含有している場合、考慮される密度は、これらの第三体の外側にあり且つゾルゲル法自体によって生成される媒体の密度である。
密度は:
1. シリカゲルがそのような第三体を含有しない場合に、BET法に従ったポロシメトリー;又は、
2. シリカゲルがそのような第三体を含有する場合に、材料のセクションにおける透過型電子顕微鏡法、及びそれに続く画像解析;
のいずれかを使用して測定されてもよい。
【0033】
有利に、この第1の実施形態において、導管は、材料の入口面と出口面との間を直線的に且つ中断することなく延びることができる。
【0034】
第2の実施形態
特定の実施形態において、得られる材料、すなわちゲルはマクロポーラスである。
特に、ゲルは、Chromolithという商標名でMerckによって販売されており、且つ日本のTakanishi及びIshizuka[1]、[2]、[3]の研究から得られるタイプのマルチモーダルシリカゲルに関するものである。
これらのゲルは、典型的には、例えばポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等のポリマーの存在下での、ゾルゲル法によるシリカゲルのスピノーダル分解によって合成される。このようにして、三次元のマクロポーラスシリカ骨格が形成され、そのマクロポアサイズは、数マイクロメートルに達し得る。シリカ骨格自体はメソポーラスである。クロマトグラフィーの移動相は、ミクロポアを通過し、メソポアのシリカゲル表面と相互作用することができる。
これらの特定のシリカゲルは、ここでは「マルチモーダルゲル」という用語で呼ばれる。
有利に、本発明によると、マルチモーダルシリカゲルは、水の存在下での有機金属前駆体の加水分解によって作成され、水は、上記の有機金属前駆体の完全加水分解に必要な化学量論量(モル化学量論量)の6倍を超えない、好ましくは5倍を超えない、より好ましくは4倍又は2倍でさえも超えない量の水である。次に、本発明の方法によって得られたマルチキャピラリーパッキング/モノリシック構造は、例えば高いシリカ密度(典型的には0.05から1.2g/cm、好ましくは0.1から0.8g/cm)を有するゲルの密度で、乾燥時に最小の縮み、最大のコンパクトさ、ひび及び欠陥を有する。
さらに、得られるシリカゲルの密度は、Rが低分子量であるほどいっそう高いということに留意されたい。
好ましくは、マルチモーダルシリカゲルにつながるこの実施形態において、有機金属前駆体はテトラメトキシシランである。
好ましくは、安全性の考慮が優先される場合には、マルチモーダルシリカゲルの有機金属前駆体は、毒性が低く且つ取り扱いがより危険ではないテトラエトキシシランである。
ここで、「シリカゲルの密度」とは、加水分解法から結果として生じる、その外側の輪郭によって区切られたモノリスの導管間の、導管の体積を除いたゲルの密度、すなわち、加水分解法から結果として生じる、モノリスの導管間に位置するゲルの密度、又はゲルの一部の密度を意味する。任意のスペーサーは、ゲルの密度を決定する際には考慮されず;言い換えると、スペーサーが存在する場合、ゲルは、スペーサーの外側に位置していると見なされる。
一方で、シリカゲルが、繊維、マイクロファイバー、ナノファイバー、及び粒子又はナノ粒子等の第三体を含有している場合、考慮される密度は、これらの第三体の外側にあり且つゾルゲル法自体によって生成される媒体の密度である。
密度は:
1. シリカゲルがそのような第三体を含有しない場合に、BET法に従ったポロシメトリー;又は、
2. シリカゲルがそのような第三体を含有する場合に、材料のセクションにおける透過型電子顕微鏡法、及びそれに続く画像解析;
のいずれかを使用して測定されてもよい。
有利に、第2の実施形態において、プリフォームは、好ましくは、熱分解性又は加水分解性の糸又は繊維(例えばセグメント又はセクション等)であり、例えば、特に炭素繊維等、炭素ベースの熱分解性又は加水分解性の糸、ポリマー、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアクリレート及びポリメタクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル又はポリエステル、及びそれらの誘導体から作られた糸であり、これらは典型的にはゲルにおいて閉塞される。プリフォームのアブレーションから結果として生じる導管は、材料の一部分のみにおいて延び、そこで沈められるか又は閉塞されてもよい。実際、そのようなシリカゲルの乾燥に固有の縮みは、このようにより容易に適応され、それらのひび割れにつながる恐れがある応力は減少する。さらに、マルチモーダルゲルにおける大型のマクロポアの存在が、隣接する導管間に浸透する流体の容易な対流を可能にする。導管間及び出口面へ向かう、材料内を循環する流体の対流伝達を促進するために、導管のコンパクトな積み重ねを材料内に生成することができる。
糸又は繊維、特に糸のセグメントは、一般的に、数マイクロメートルから数センチメートル、典型的には1から10ミリメートルの長さを有する。有利に、これらの糸は、最終的なパッキングの直径を超える長さを有する。
糸は、典型的には、流体の流れの方向において、言い換えると、パッキングの入口から出口に向かって統計的に向けられる。
糸は、一般的に、50μm未満、より有利には10μm未満、さらにより有利には5μm未満の直径を有する。
糸は、パッキング内で接触するのを避けるため、及び、これらの接触点において弱い点及び優先通路を生成しないように、スペーサーで覆うことができる。スペーサーは、多孔性の固体の層であり得る。
【0035】
また、本発明は、本発明の方法によって得ることができるパッキングに関する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】ゾルゲル法によって得られた多孔性の塊1において入口面3と出口面4との間で軸方向に延びる連続した導管2を含む本発明によるマルチキャピラリーパッキングを軸方向断面で見た概略図である。
図2】入口面3と出口面4との間で軸方向に延び、ゾルゲル法によって得られた多孔性の塊1において閉塞されたセグメント5の形で配置された不連続な導管を含む本発明によるマルチキャピラリーパッキングを軸方向断面で見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施形態は、以下の実施例において例示される。これらの実施例は、決して本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0038】
この実施例では、導管の前駆体ポリマー繊維が組み立てられて束にされ、この束は、シリカゲルの前駆体溶液において沈められ、この溶液が、繊維の周囲にゲルを生じさせ、次に、繊維は、熱分解及び燃焼によって除去される。
直径が40から70μmの粒度分布を有するPotters Ballotiniによって供給されたガラスマイクロビーズを重量で15%及び10%ポリビニルアルコールを含有する水溶液において、ポリアミドのモノフィラメント(外径約100μm)が浸漬される。次に、モノフィラメントは乾燥される。このようにして、ポリアミドフィラメントの外側はシリカゲルマイクロビーズで覆われ、シリカゲルマイクロビーズは、スペーサーとして作用し、接着剤として作用するPVAの作用を介してその表面に接着する。
束は、これらのフィラメントを組み立てて、幅1700μm、深さ250μm、及び長さ100mmの長方形の断面の束にすることによって製造される。この束は、寸法100mm×20mm×10mmのステンレス鋼のシート316Lに精密に機械加工された導管に巻き込むことによって作成される。ポリアミド繊維の束は、単相混合物が形成されるまで事前に撹拌された、25mlのテトラエトキシシラン、10.0mlの鉱水、及び0.35mlの1Nアンモニア溶液の混合物によって含浸させられる。液体は、パッキングだけでなく導管も完全に濡らし且つ満たさなければならない。パッキングは、ベースの鋼板と同じ寸法のステンレス鋼の平らなシートから成るトップカバーによって閉じられ、ベースの鋼板にねじ留めされ、その上には、90°Cで融解する厚さ約5マイクロメートルのパラフィンが事前に堆積されている。
混合物は、80°Cで24時間、重合及びゲル化させるために放置される。
このようにして形成されたパッキングの両端は、パッキングのセクションを解放するように鋼板と同一平面で切断される。
パッキングは、100mmの長さを有する。
パラフィンを融解するようにパッキングを95°Cの温度にした後にカバーが取り除かれ、パッキングは、48時間、2kPa及び20°Cの温度で真空乾燥される。
結果として生じる生成物は、空気雰囲気において550°Cまで加熱されて、ポリマー繊維を焼き切ることによってマルチキャピラリーパッキングに変換される。
冷却されると、パッキングは、同じ寸法の平らなステンレス鋼シート又はカバーによって、その上部において再び閉じられ、パッキングを有するものにねじ留めされる。
【実施例2】
【0039】
この実施例では、導管の前駆体ポリマー繊維が組み立てられて束にされ、この束は、シリカゲルの前駆体溶液において沈められ、この溶液が、繊維の周囲にゲルを生じさせ、次に、繊維は、熱分解及び燃焼によって除去される。
直径が40から70μmの粒度分布を有するPotters Ballotiniによって供給されたガラスマイクロビーズを重量で15%及び10%ポリビニルアルコールを含有する水溶液において、ポリアミドのモノフィラメント(外径約100μm)が浸漬される。次に、モノフィラメントは乾燥される。このようにして、ポリアミドフィラメントの外側はガラスマイクロビーズで覆われ、ガラスマイクロビーズは、スペーサーとして作用し、接着剤として作用するPVAの作用を介してその表面に接着する。
束は、これらのフィラメントを組み立てて、幅1700μm、深さ250μm、及び長さ100mmの長方形の断面の束にすることによって製造される。この束は、寸法100mm×20mm×10mmのステンレス鋼のシート316Lに精密に機械加工された導管に巻き込むことによって作成される。ポリアミド繊維の束は、単相混合物が形成されるまで事前に撹拌された、25mlのテトラエトキシシラン、10.0mlの鉱水、及び0.35mlの1Nアンモニア溶液の混合物、並びに、Sigma Aldrichからの参照番号637246の粒径20nm及び比表面積600m/gのメソポーラスシリカナノ粒子5グラムによって含浸させられる。液体は、パッキングだけでなく導管も完全に濡らし且つ満たさなければならない。
パッキングは、ベースの鋼板と同じ寸法のステンレス鋼の平らなシートから成るトップカバーによって閉じられ、ベースの鋼板にねじ留めされ、その上には、90°Cで融解する厚さ約5マイクロメートルのパラフィンが事前に堆積されている。
混合物は、80°Cで24時間、重合及びゲル化させるために放置される。
パッキングの両端は、パッキングのセクションを解放するように鋼板と同一平面で切断される。
パッキングは、100mmの長さを有する。
パラフィンを融解するようにパッキングを95°Cの温度にした後にカバーが取り除かれ、パッキングは、48時間、2kPa及び20°Cの温度で真空乾燥される。
結果として生じる生成物は、空気雰囲気において550°Cまで加熱されて、ポリマー繊維を焼き切ることによってマルチキャピラリーパッキングに変換される。
冷却されると、パッキングは、同じ寸法の平らなステンレス鋼シート又はカバーによって、その上部において再び閉じられ、パッキングを有するものにねじ留めされる。
【実施例3】
【0040】
この実施例では、導管の前駆体ポリマー繊維が組み立てられて束にされ、この束は、シリカゲルの前駆体溶液において沈められ、この溶液が、繊維の周囲にゲルを生じさせ、次に、繊維は、熱分解及び燃焼によって除去される。
直径が40から70μmの粒度分布を有するPotters Ballotiniによって供給されたガラスマイクロビーズを重量で15%及び10%ポリビニルアルコールを含有する水溶液において、ポリアミドのモノフィラメント(外径約100μm)が浸漬される。次に、モノフィラメントは乾燥される。このようにして、ポリアミドフィラメントの外側はガラスマイクロビーズで覆われ、ガラスマイクロビーズは、スペーサーとして作用し、接着剤として作用するPVAの作用を介してその表面に接着する。
束は、これらのフィラメントを組み立てて、幅1700μm、深さ250μm、及び長さ100mmの長方形の断面の束にすることによって製造される。この束は、寸法100mm×20mm×10mmのステンレス鋼のシート316Lに精密に機械加工された導管に巻き込むことによって作成される。ポリアミド繊維の束は、単相混合物が形成されるまで事前に撹拌された、25mlのテトラエトキシシラン、10.0mlの鉱水、及び0.35mlの1Nアンモニア溶液の混合物、並びに、Otsuka Chemical Co, LtdによってTISMO Dという商標名で販売されている、直径が0.2μmであり、長さが18μmであるチタン酸カリウム繊維1gによって含浸させられる。液体は、パッキングだけでなく導管も完全に濡らし且つ満たさなければならない。
パッキングは、ベースの鋼板と同じ寸法のステンレス鋼の平らなシートから成るトップカバーによって閉じられ、ベースの鋼板にねじ留めされ、その上には、90°Cで融解する厚さ約5マイクロメートルのパラフィンが事前に堆積されている。
混合物は、80°Cで24時間、重合及びゲル化させるために放置される。
このように形成されたパッキングの両端は、パッキングのセクションを解放するように鋼板と同一平面で切断される。
パッキングは、100mmの長さを有する。
パラフィンを融解するようにパッキングを95°Cの温度にした後にカバーが取り除かれ、パッキングは、48時間、2kPa及び20°Cの温度で真空乾燥される。
結果として生じる生成物は、空気雰囲気において550°Cまで加熱されて、ポリマー繊維を焼き切ることによってマルチキャピラリーパッキングに変換される。
冷却されると、パッキングは、同じ寸法の平らなステンレス鋼シート又はカバーによって、その上部において再び閉じられ、パッキングを有するものにねじ留めされる。
【実施例4】
【0041】
この実施例では、導管の前駆体ポリマー繊維が組み立てられて束にされ、この束は、シリカゲルの前駆体溶液において沈められ、この溶液が、繊維の周囲にゲルを生じさせ、次に、繊維は、熱分解及び燃焼によって除去される。
直径が40から70μmの粒度分布を有するPotters Ballotiniによって供給されたガラスマイクロビーズを重量で15%及び10%ポリビニルアルコールを含有する水溶液において、ポリアミドのモノフィラメント(外径約100μm)が浸漬される。次に、モノフィラメントは乾燥される。このようにして、ポリアミドフィラメントの外側はガラスマイクロビーズで覆われ、ガラスマイクロビーズは、スペーサーとして作用し、接着剤として作用するPVAの作用を介してその表面に接着する。
束は、これらのフィラメントを組み立てて、幅1700μm、深さ250μm、及び長さ100mmの長方形の断面の束にすることによって製造される。この束は、寸法100mm×20mm×10mmのステンレス鋼のシート316Lに精密に機械加工された導管に巻き込むことによって作成される。ポリアミド繊維の束は、単相混合物が形成されるまで事前に撹拌された、25mlのテトラエトキシシラン及び20.0mlの鉱水の混合物によって含浸させられる。液体は、パッキングだけでなく導管も完全に濡らし且つ満たさなければならない。
パッキングは、ベースの鋼板と同じ寸法のステンレス鋼の平らなシートから成るトップカバーによって閉じられ、ベースの鋼板にねじ留めされ、その上には、90°Cで融解する厚さ約5マイクロメートルのパラフィンが事前に堆積されている。
混合物は、80°Cで24時間、重合及びゲル化させるために放置される。
このようにして形成されたパッキングの両端は、パッキングのセクションを解放するように鋼板と同一平面で切断される。
パッキングは、100mmの長さを有する。
パラフィンを融解するようにパッキングを95°Cの温度にした後にカバーが取り除かれ、パッキングは、48時間、2kPa及び20°Cの温度で真空乾燥される。
結果として生じる生成物は、空気雰囲気において550°Cまで加熱されて、ポリマー繊維を焼き切ることによってマルチキャピラリーパッキングに変換される。
冷却されると、パッキングは、同じ寸法の平らなステンレス鋼シート又はカバーによって、その上部において再び閉じられ、パッキングを有するものにねじ留めされる。
【実施例5】
【0042】
この実施例では、導管の前駆体ポリマー繊維が組み立てられて束にされ、この束は、シリカゲルの前駆体溶液において沈められ、この溶液が、繊維の周囲にゲルを生じさせ、次に、繊維は、熱分解及び燃焼によって除去される。
直径が40から70μmの粒度分布を有するPotters Ballotiniによって供給されたガラスマイクロビーズを重量で15%及び10%ポリビニルアルコールを含有する水溶液において、ポリアミドのモノフィラメント(外径約100μm)が浸漬される。次に、モノフィラメントは乾燥される。このようにして、ポリアミドフィラメントの外側はガラスマイクロビーズで覆われ、ガラスマイクロビーズは、スペーサーとして作用し、接着剤として作用するPVAの作用を介してその表面に接着する。
束は、これらのフィラメントを組み立てて、幅1700μm、深さ250μm、及び長さ100mmの長方形の断面の束にすることによって製造される。この束は、100mm×20mm×10mmであるチタン(ASTM grade2)のシートに精密に機械加工されたそのような導管に巻き込むことによって作成される。
ポリアミド繊維の束は、脱イオン水中1.6gのBrij56(市販の界面活性剤)、1gのドデカン、4gのテトラメトキシシラン、及び2gの0.05N HClの混合物で含浸させられる。TEOS、ドデカン、及びBrijは、混合物が均質になるまで、50℃で混ぜ合わされる。次に、0.5Nの酸(HCl)が、激しい撹拌下で添加される。混合物は、繊維を有する導管内に注がれる。
パッキングは、ベースのチタン板と同じ寸法のチタン(ASTM grade2)の平らなシートから成るトップカバーによって閉じられ、ベースのチタン板にねじ留めされ、その上には、90°Cで融解する厚さ約5マイクロメートルのパラフィンが事前に堆積されている。
混合物は、20°Cで24時間、重合及びゲル化させるために放置される。
パッキングの両端は、パッキングのセクションを解放するようにチタン板と同一平面で切断される。
パッキングは、100mmの長さを有する。
カバーが取り除かれ、パッキングは、48時間、2kPa及び20°Cの温度で真空乾燥される。
結果として生じる生成物は、空気雰囲気において550°Cまで加熱されて、ポリマー繊維を焼き切ることによってマルチキャピラリーパッキングに変換される。
冷却されると、パッキングは、同じ寸法の平らなチタン(ASTM grade2)のシート又はカバーによって、その上部において再び閉じられ、パッキングを有するものにねじ留めされる。
【0043】
冷却されると、パッキングは、同じ寸法の平らなステンレス鋼シート又はカバーによって、その上部において再び閉じられ、パッキングを有するものにねじ留めされる。
【実施例6】
【0044】
モノリスの導管のプリフォームは、直径が4.8μmであり且つ長さが5mmである炭素繊維のセグメントで構成される束を生成することによって生成される。
これらのセグメント又は針の束は、次に、導管の長さに沿って整列した自然にパックされた針の積み重ねを生成するように、20×10×75mmのステンレス鋼のシート316Lにおいてくり抜かれた幅2.0mm、深さ2mm、及び長さ75mmのくぼみの底に挿入される。平らなカバーが、20×10×75mmのPTFEのシートで調製される。
束は、長さ75mmで生成される。
ケイ素を含むモノリスは、テトラエトキシシラン(TEOS、Aldrich 99%)、ポリエチレンオキシド(PEO、モル質量=10,000、Aldrich 99%)、硝酸(68%、Aldrich)、及びNH4OH(分析純度、Aldrich)から合成される。
250mLの三角フラスコが、磁気棒を有する0°Cの氷浴に置かれる。次に、鉱質除去された水(36g、2mol)及び硝酸(68%HNO3、3.60g、38.84mmol)が添加され、15分間500rpmで撹拌される。次に、PEO(0.11mol単位のEOを含む4.79gのPEO)が添加され、混合物は、PEO全てを溶かすために700rpmで1時間撹拌される。次に、TEOS(37.70g、0.18mol)が添加され、混合物は、1時間撹拌される。次に、得られた透明な溶液が、10mLのピペットを使用して、先に得られたセグメントの束のコアに注がれ、充填前に0°Cの乾燥した環境で事前に保管される。次に、棒が、72時間、40°Cの水蒸気の飽和雰囲気下でオーブンに置かれる。PTFEのカバーが取り除かれる。
棒は、周囲温度で1時間、1500mLの鉱質除去された水を有する2Lビーカーに浸される。次に、モノリスは、中性のpHが得られるまで、鉱質除去された水に(500mL、1時間)浸すことによって、同じ方法で4回洗浄される。次に、モノリスは、塩基処理を受け、次に、ポリプロピレンフラスコ(500mL)内の400mLのアンモニア溶液(0.1M)に浸される。次に、フラスコは、24時間、40°Cのオーブンに置かれる。
回収されたモノリスは、蒸留水を有する洗浄瓶を使用してすすがれ、周囲温度で48時間、40°Cで24時間、平らな面において乾燥される。
モノリスは、24時間、空気中650°Cでか焼される(勾配1°Cmin-1)。
平らなカバーが、20×10×75mmのステンレス鋼のシートで調製される(図19及び20)。
カバーは、340°CでPEEKシールを用いて再配置され、冷却される。
端部(図22及び23)が、カラム上に固定され(図24)、アセンブリが、二成分エポキシ接着剤のフィルムによって密封される。
【0045】
参照文献
[1]K Nakanishi,Phase separation in silica sol-gel system containing polyacrylic acid,Journal of non-crystalline Solids 139(1992),1-13and14-24;
[2]K. Nakanishi,Phase separation in Gelling Silica-Organic Polymer Solution:Systems Containing Poly(sodium styrenesulfonate),J.Am.Ceram.Soc.74(10)2518-2530-30(1991);
[3]N. Ishizuka,Designing monolithic double pore silica for high-speed liquid chromatography,Journal of Chromatography A, 797(1998),133-137。
図1
図2