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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6555 20140101AFI20240820BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240820BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240820BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20240820BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240820BHJP
【FI】
H01M10/6555
H01M10/647
H01M10/613
H01M10/653
H01M10/625
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020073760
(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公開番号】P2021170507
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 祐之介
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-010939(JP,A)
【文献】特開2015-053261(JP,A)
【文献】特開平08-321329(JP,A)
【文献】特開2012-033709(JP,A)
【文献】特開2016-031818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/52-10/667
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極の各々がセパレータを介して配置されてなる電極体を袋状の外装体内に密閉した電池セルと、前記外装体の一部の面に接触する放熱シートであって弾性を有する材料から形成された放熱シートと、該放熱シートにおける前記電池セルとは反対側の面に接触する放熱板と、を有する複数の蓄電モジュールと、
前記電池セル、前記放熱シート、及び前記放熱板の順で積層されるように前記蓄電モジュールの各々を収容する筐体と、を備え、
前記放熱シートは、該放熱シートの少なくともいずれか一方の面において、少なくとも部分的に凹凸形状部を有し、且つ、前記筐体に収容された状態で厚さ方向に圧縮されるように構成され
前記凹凸形状部は、圧縮により突出部が溝部を埋めるように潰される、ことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記凹凸形状部は、前記放熱シートにおける前記電池セルと対向する側の面に設けられている、請求項1記載の電池パック。
【請求項3】
前記凹凸形状部は、前記放熱シートにおける前記放熱板と対向する側の面に設けられている、請求項1記載の電池パック。
【請求項4】
前記凹凸形状部は、前記放熱シートの両面に設けられている、請求項1記載の電池パック。
【請求項5】
前記凹凸形状部は、前記放熱シートの全面に亘って形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パック、特にラミネート型二次電池を含む電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、セパレータを挟んで正極と負極を交互に重ねて構成される電極体をラミネートで封止したラミネート型二次電池(以下、単に「電池セル」ともいう。)を含む電池パックが知られている。当該電池パックでは、積層された複数の電池セルを外装ケースに収納し、これにより高い出力電圧を確保している。ところで、当該電池セルは、充放電する際に、正極及び負極の間で行われる化学反応に伴って発熱する。特に、当該電池セルが収納された外装ケース内では熱がこもり易く、この熱によって電池特性が低下することがある。
【0003】
例えば特許文献1には、積層された単位電池を電池収納ケースに収納して構成される電池パックが記載されている。具体的には、当該電池パックにおいて、一対の単位電池は側面を接触させて積層されており、更に、他の一対の単位電池との間には集熱板が配置されている。そして、集熱板の一端は、電池収納ケースの外部に突出している。これにより、単位電池で発生した熱は、集熱板を通じて電池収納ケースの外部に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-134952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電池パックにおける放熱性能を更に向上させるためには、例えば、集熱板と単位電池との接触面積を大きくすることが考えられる。しかしながら、特許文献1に記載の電池パックにおいて、集熱板は金属板として構成されている。このため、単位電池の側面が平坦に形成されていない場合には、集熱板が単位電池の側面形状に追従できず、集熱板と単位電池との接触面積を十分に確保できないことがある。他方、例えば、集熱板を変形させつつ単位電池に押し付けた場合、単位電池に局所的な応力が加わり、電池性能を悪化させる要因ともなり得る。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電池セルに加わる応力の均一化を図りつつ、放熱性能の向上を図ることのできる電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る電池パックは、正極及び負極の各々がセパレータを介して配置されてなる電極体を袋状の外装体内に密閉した電池セルと、前記外装体の一部の面に接触する放熱シートであって弾性を有する材料から形成された放熱シートと、該放熱シートにおける前記電池セルとは反対側の面に接触する放熱板と、を有する複数の蓄電モジュールと、前記電池セル、前記放熱シート、及び前記放熱板の順で積層されるように前記蓄電モジュールの各々を収容する筐体と、を備え、前記放熱シートは、該放熱シートの少なくともいずれか一方の面において、少なくとも部分的に凹凸形状部を有し、且つ、前記筐体に収容された状態で厚さ方向に圧縮されるように構成されている、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る電池パックにおいて、前記凹凸形状部は、前記放熱シートにおける前記電池セルと対向する側の面に設けられている。
【0009】
本発明の一態様に係る電池パックにおいて、前記凹凸形状部は、前記放熱シートにおける前記放熱板と対向する側の面に設けられている
【0010】
本発明の一態様に係る電池パックにおいて、前記凹凸形状部は、前記放熱シートの両面に設けられている。
【0011】
本発明の一態様に係る電池パックにおいて、前記凹凸形状部は、前記放熱シートの全面に亘って形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電池パックによれば、前記放熱シートは、該放熱シートの少なくともいずれか一方の面において、少なくとも部分的に凹凸形状部を有し、且つ、前記筐体に収容された状態で厚さ方向に圧縮されるように構成されている。このように、本発明に係る電池パックでは、蓄電モジュールが筐体に収容された状態で、放熱シートは、電池セルと放熱板との間で圧縮される。具体的には、放熱シートの凹凸形状部が電池セルと放熱板との間で厚さ方向に潰される。つまり、蓄電モジュールが筐体に収容された状態において、電池セルには放熱シートを介して所定の応力が加えられるものの、当該応力は、放熱シートが潰されることによって分散される。これにより、電池セルに局所的な応力が加わることを回避することができる。また、放熱シートが潰されることから、放熱シートと電池セル、放熱シートと放熱板との間の接触面積を極力大きくすることができる。このようにして、電池セルに加わる応力の均一化を図りつつ、放熱性能の向上を図ることのできる電池パックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係る電池パックの蓄電モジュールを模式的に示す図である。
図2図2は、図1に示す蓄電モジュールの放熱シートを示す斜視図である。
図3図3は、図1に示す蓄電モジュールを筐体に収容した状態を示す図であり、筐体の一部を取り外して筐体の内部を示すものである。
図4図4は、一実施形態に係る電池パックにおいて、電池パック及び放熱板の間で放熱シートが圧縮される様子を模式的に示す図である。
図5図5は、変形例に係る放熱シートを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面の参照しながら、本発明を具体化した電池パック1の説明をする。
【0015】
図1は、一実施形態に係る電池パック1の蓄電モジュール10を模式的に示す図である。図2は、図1に示す蓄電モジュール10の放熱シート14を示す斜視図である。図3は、図1に示す蓄電モジュール10を筐体30に収容した状態を示す図であり、筐体30の一部を取り外して筐体30の内部を示すものである。なお、説明の便宜上、図3に示す筐体30の底壁32が設けられる側を下側、筐体30の天井壁34が設けられる側を上側とする。また、図3に示すように、蓄電モジュール10の積層方向を左側及び右側とし、上下方向及び左右方向に垂直な方向を前側及び後側とする。
【0016】
<電池パック>
図3に示すように、電池パック1は、複数の蓄電モジュール10と、蓄電モジュール10の各々を収容する筐体30と、を備える。当該電池パック1は、任意数の蓄電モジュール10を直列接続して構成されており、これにより高い出力電圧を確保している。具体的には、電池パック1は、複数の蓄電モジュール10を積層するとともに、隣り合う電池セル12の異極の電極端子12a同士を積層方向に順次接続し、直列接続を構成している。また、電池パック1において、左右両端に位置する蓄電モジュール10における電池セル12の外部接続用電極端子12bに、金属プレートからなるL字型の外部端子板18が接続される。外部端子板18は、筐体30の外部に導出されている。なお、蓄電モジュール10の積層数は、必要とされる出力電圧に応じて適宜変更可能である。
【0017】
<筐体>
図3に示すように、筐体30は、直方体又は略直方体の箱状に形成されており、下側に位置する平板矩形の部材である底壁32と、底壁32と対向して配置される平板矩形の部材である天井壁34と、底壁32及び天井壁34の四辺を夫々接続する4つの側壁36とを備える。筐体30は、蓄電モジュール10を内部に収容するものであり、具体的には、後述する電池セル12、放熱シート14、及び放熱板16の順で積層されるように蓄電モジュール10を収容する。なお、筐体30は、フェノール樹脂など、高絶縁性の高剛性素材から形成されている。
【0018】
<蓄電モジュール>
図1に示すように、蓄電モジュール10は、電池セル12と、放熱シート14と、放熱板16と、を有する。蓄電モジュール10は、電池セル12、放熱シート14、及び放熱板16を左右方向に積層して構成されている。また、複数の蓄電モジュール10が積層された状態で、当該蓄電モジュール10の外側が枠体40によって保持されてもよい。当該枠体40は、例えば直方体又は略直方体の箱状を成しており、当該枠体40及び複数の蓄電モジュール10が筐体30の内部に収容される。以下、蓄電モジュール10の各構成要素の説明をする。
【0019】
<電池セル>
電池セル12は、例えば、車両に搭載され、当該車両の走行エネルギーを蓄積するリチウムイオン二次電池、具体的にはラミネート型リチウムイオン二次電池である。電池セル12は、正極及び負極の各々がセパレータを介して積層されてなる電極体を袋状の外装体12c内に密閉して構成されている。具体的には、電池セル12は、シート状の正極と負極を、セパレータを介して対向配置させながら所定数積層してなる電極体を、電解液とともにラミネートフィルムの外装体12c内に密閉したものである。電池セル12において、電極体は扁平箱状であり、この電極体が扁平な矩形袋状のラミネートフィルムから成る外装体12cの中に収容されている。これにより、電池セル12では、外装体12cの中央にこの電極体による扁平箱状の膨らみが形成される。また、電池セル12において、電極体の正負両極に接続された金属薄板から成る扁平突起状の電極端子12aが外装体12cから露出している。上述したように、隣り合う電池セル12の異極の電極端子12a同士を積層方向に順次接続することで、複数の電池セル12の直列接続が形成される。そして、この電池セル12は、積層して直列接続した状態で筐体30内に収納され、外部端子板18を介して図示しない外部装置と接続される。
【0020】
<放熱シート>
放熱シート14は、外装体12cの一部の面である右側面12dに接触し、弾性を有する材料から形成されている。放熱シート14は、筐体30に収容された状態で厚さ方向(左右方向)に圧縮されるように構成されている。図1及び図2に示すように、放熱シート14は、放熱シート14の少なくともいずれか一方の面において、少なくとも部分的に凹凸形状部14aを有する。具体的には、図1及び2に示すように、放熱シート14は、平板矩形の基部14bと、基部14bの右側面部14cに設けられた凹凸形状部14aとを有する。より詳細には、凹凸形状部14aは、複数の突出部14dと、複数の突出部14dの間に形成された溝部14eとから構成されている。なお、図1及び図2では、見易さの観点から、一部の突出部14d、溝部14eにのみ符号を付してある。複数の突出部14dは、基部14bの右側面部14cから右方向に突出し、上下方向に所定の距離を持って離間して配置されている。溝部14eは、複数の突出部14dの間に形成されている。突出部14d及び溝部14eは、前後方向に延在しており、これによりレール状の凹凸形状部14aが形成される(図2)。放熱シート14は筐体30内に収容された状態で圧縮され、この際、凹凸形状部14aの突出部14dは、溝部14eを少なくとも部分的に埋めるように潰される。なお、凹凸形状部14aは、放熱シート14における電池セル12と対向する側の面である基部14bの左側面部14fに設けられてもよい。また、凹凸形状部14aは、放熱シート14における基部14bの両面(右側面部14c及び左側面部14f)に設けられてもよい。また、凹凸形状部14aは、放熱シート14における基部14bの全面に亘って形成されてもよいし、放熱シート14における基部14bに部分的に形成されていてもよい。
【0021】
放熱シート14は、電気絶縁性及び熱伝導性を有する材料から形成されている。具体的には、放熱シート14は、シリカ、アルミナ等の熱伝導絶縁性粉末をシリコーンゴム中に分散させて形成したシート状部材である。ここで、放熱シート14の凹凸形状部14aの製造方法について説明する。まず、シリカ、アルミナ等の熱伝導性絶縁性粉末が分散されたシリコーンゴムシートを例えばカレンダー成形し、直方体又は略直方体の基部14bを製造する。また、当該基部14bとは別に、当該基部14bと同様の成形方法で直方体又は略直方体の被切削体(図示せず)を製造する。その後、当該被切削体を基部14bの上に貼り付け、被切削体の所定部分をカッターなどで前後方向に切削する。これにより、図2に示すようなレール状の凹凸形状部14aが形成される。
【0022】
<放熱板>
放熱板16は、放熱シート14における電池セル12とは反対側の面、即ち放熱シート14における凹凸形状部14aの突出部14dに接触する。具体的には、放熱板16は、左側を向く面である左側面16aにおいて放熱シート14と接触し、右側を向く面である右側面16bにおいて他の蓄電モジュール10の電池セル12と接触する。放熱板16は、例えば当該放熱板16の一端において、筐体30の外部に突出していてもよい。放熱板16は、いわゆるヒートシンクとして機能する部材であり、熱伝導性の高い平板状の材料から形成されている。例えば、放熱板16は、金、銀、銅、アルミニウム、それらの金属を含む合金などから形成されている。特に、放熱板16は、価格、加工性の観点から、銅、アルミニウム、それらの合金であることが好ましい。
【0023】
次いで、本発明の一実施形態の電池パック1の作用、効果について説明する。上述したように、一実施形態に係る電池パック1において、放熱シート14は、当該放熱シート14の少なくともいずれか一方の面(基部14bの右側面部14c)において、少なくとも部分的に凹凸形状部14aを有し、且つ、筐体30に収容された状態で厚さ方向(左右方向)に圧縮されるように構成されている。このように、一実施形態に係る電池パック1では、蓄電モジュール10が筐体30に収容された状態で、放熱シート14は、電池セル12と放熱板16との間で圧縮される。具体的には、放熱シート14の凹凸形状部14aが電池セル12と放熱板16との間で潰される。より詳細には、凹凸形状部14aの突出部14dが、溝部14eを少なくとも部分的に埋めるように潰される。これにより、蓄電モジュール10が筐体30に収容された状態において、電池セル12には放熱シート14を介して所定の応力F(図4参照)が加えられるものの、当該応力Fは、放熱シート14(特に凹凸形状部14aの突出部14d)が潰されることによって分散される。これにより、電池セル12に局所的な応力が加わることを回避することができる。また、放熱シート14(特に凹凸形状部14aの突出部14d)が潰されることから、放熱シート14と電池セル12、放熱シート14と放熱板16との間の接触面積を極力大きくすることができる。例えば、放熱板16の左側面16aの形状が平坦でなくても、放熱シート14の凹凸形状部14aが放熱板16の左側面16aの両方に追従し、放熱シート14と放熱板16との間の接触面積を大きくすることができる。このようにして、電池セル12に加わる応力Fの均一化を図りつつ、放熱性能の向上を図ることのできる電池パック1を提供することができる。
【0024】
又、一実施形態に係る電池パック1において、凹凸形状部14aは、放熱シート14における電池セル12と対向する側の面(基部14bの左側面部14f)に設けられてもよい。これにより、電池パック1では、蓄電モジュール10が筐体30に収容された状態で、放熱シート14の凹凸形状部14a(突出部14d)が電池セル12と接触しつつ圧縮される。より詳細には、凹凸形状部14aの突出部14dが、電池セル12と接触しつつ、溝部14eを少なくとも部分的に埋めるように潰される。このため、たとえ電池セル12の右側面12dの形状が平坦でなくても、放熱シート14の凹凸形状部14a(突出部14d)が電池セル12の右側面12dの形状に追従し、放熱シート14と電池セル12との間の接触面積を大きくすることができる。よって、電池セル12に加わる応力Fの均一化を図りつつ、放熱性能の向上を図ることのできる電池パック1を提供することができる。
【0025】
又、一実施形態に係る電池パック1において、凹凸形状部14aは、放熱シート14の両面(左側面部14f及び右側面部14c)に設けられてもよい。これにより、電池パック1では、蓄電モジュール10が筐体30に収容された状態で、放熱シート14の凹凸形状部14a(突出部14d)が電池セル12及び放熱板16の両方と接触しつつ圧縮される。このため、たとえ電池セル12の右側面12d及び放熱板16の左側面16aの形状が平坦でなくても、放熱シート14の凹凸形状部14a(突出部14d)が電池セル12の右側面12d及び放熱板16の左側面16aの両方に追従し、放熱シート14と電池セル12との間の接触面積、及び放熱シート14と放熱板16との間の接触面積を大きくすることができる。よって、放熱板16から放熱シート14に加えられる力Fの均一化、ひいては電池セル12に加わる応力Fの均一化を図りつつ、放熱性能の向上を図ることのできる電池パック1を提供することができる。
【0026】
又、一実施形態に係る電池パック1において、凹凸形状部14aは、放熱シート14の全面に亘って形成されてもよい。このように、電池パック1では、蓄電モジュール10が筐体30に収容された状態で、放熱シート14は、その全面に亘って、電池セル12と放熱板16との間で圧縮される。具体的には、放熱シート14の凹凸形状部14a(突出部14d)が電池セル12と放熱板16との間で、基部14bの全面に亘って潰される。つまり、蓄電モジュール10が筐体30に収容された状態において、電池セル12には放熱シート14を介して所定の応力F(図4参照)が加えられるものの、当該応力Fは、放熱シート14(凹凸形状部14aの突出部14d)が基部14bの全面に亘って潰されることで分散される。これにより、電池セル12に局所的な応力が加わることを回避することができる。また、放熱シート14(凹凸形状部14aの突出部14d)が基部14bの全面に亘って潰されることから、例えば放熱シート14と電池セル12との間や、放熱シート14と放熱板16との間の接触面積を極力大きくすることができる。このようにして、電池セル12に加わる応力Fの均一化を図りつつ、放熱性能の向上を図ることのできる電池パック1を提供することができる。
【0027】
次いで、上記実施形態の変形例に係る放熱シート24について図5を用いて説明する。図5は、変形例に係る放熱シート24を示す斜視図である。放熱シート24は、上述の放熱シート14に対して、後述する凹凸形状部24aの形状が異なる。以下、上述の放熱シート14と同じ又は類似する機能を有する構成については、放熱シート14と同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0028】
図5に示すように、放熱シート24は、平板矩形の基部14bと、基部14bの右側面部14cに設けられた凹凸形状部24aとを有する。より詳細には、凹凸形状部24aは、複数の突出部24dと、複数の突出部24dの間に形成された溝部24eとから構成されている。なお、図5では、見易さの観点から、一部の突出部24d、溝部24eにのみ符号を付してある。複数の突出部24dは、基部14bの右側面部14cから右方向に突出し、角柱状に形成されている。また、複数の突出部24dは、上下方向及び前後方向に所定の距離を持って離間して配置されている。溝部24eは、複数の突出部24dの間に形成され、上下方向及び前後方向に延在している。これにより、網目状の凹凸形状部24aが形成される。放熱シート24は筐体30内に収容された状態で圧縮され、この際、凹凸形状部24aの突出部24dは、溝部24eを少なくとも部分的に埋めるように潰される。
【0029】
放熱シート24の凹凸形状部24aの製造方法について説明する。まず、シリカ、アルミナ等の熱伝導性絶縁性粉末が分散されたシリコーンゴムシートを例えばカレンダー成形し、直方体又は略直方体の基部14bを製造する。また、当該基部14bとは別に、当該基部14bと同様の成形方法で直方体又は略直方体の被切削体(図示せず)を製造する。その後、当該被切削体を基部14bの上に貼り付け、被切削体の所定部分をカッターなどで上下方向及び前後方向に切削する。これにより、図5に示すような網目状の凹凸形状部24aが形成される。
【0030】
以上、好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に係る電池パック1に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、各構成を適宜選択的に組み合わせても良い。また、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的態様によって適宜変更され得る。
【0031】
例えば、凹凸形状部の態様としては、上述したレール状(凹凸形状部14a)、網目状(凹凸形状部24a)に限定されるものではなく、例えば半球形状の突出部、ピラミッド形状の突出部、波形状の突出部、山形状の突出部を有するものなど、種々様々な形状を採用することができる。
【0032】
また、凹凸形状部の製造方法として、基部の上に貼り付けられた被切削体をカッターなどで切削する態様について説明したが、アルミナ等の熱伝導性絶縁性粉末が分散されたシリコーンゴムシートに、所定のプレス型を用いてプレス加工を施し、所望形状の凹凸形状部を有する放熱シートを製造してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 電池パック
10 蓄電モジュール
12 電池セル
12c 外装体
14,24 放熱シート
14a,24a 凹凸形状部
16 放熱板
30 筐体
図1
図2
図3
図4
図5