(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、電力制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/28 20060101AFI20240820BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240820BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20240820BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H02J3/28
H02J3/38 130
H02J3/00 130
H02J7/35 K
(21)【出願番号】P 2019074873
(22)【出願日】2019-04-10
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】徳橋 喜生
(72)【発明者】
【氏名】星出 純希
(72)【発明者】
【氏名】小林 彩
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 努
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-005851(JP,A)
【文献】特開2015-213389(JP,A)
【文献】特開2015-037352(JP,A)
【文献】特開2016-151396(JP,A)
【文献】特開2012-100395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/28
H02J 3/38
H02J 3/00
H02J 7/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を利用して発電する発電機器、蓄電池、および貯湯式給湯器を含み、外部から電力供給を受けるシステムにおいて、前記貯湯式給湯器への給電、および前記蓄電池への充電を制御する制御装置であって、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記発電機器の所定時間毎の発電量の予測値である予測発電量を取得し、
機器によって消費される電力量の所定時間毎の予測値である予測消費電力量を取得し、
前記予測発電量および前記予測消費電力量に基づいて、前記外部からの電力供給による前記貯湯式給湯器への給電量、および前記蓄電池への充電量を調整し、
さらに、前記プロセッサは、
翌日の深夜電力期間後の前記予測発電量および前記予測消費電力量を取得して、前記予測発電量が前記予測消費電力量を上回る場合、
前記深夜電力期間後に行われる、前記発電機器による発電電力を利用した前記給電および前記充電を予測し、
前記深夜電力期間に、前記上回る分の電力量に応じ、前記外部からの電力供給による前記給電および前記充電を抑制する制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記上回る分の電力量の用途について、第1に前記給電を割り当て、余った場合に、第2に前記充電を割り当て、
前記発電機器による発電電力を利用した前記給電および前記充電を予測する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記上回る分の電力量について、所定時間毎の上回る分の電力量を取得し、
所定の電力量閾値以上の前記上回る分の電力量を確保可能な時間帯における前記上回る分の電力量の用途に前記給電を割り当てる、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
太陽光を利用して発電する発電機器、蓄電池、および貯湯式給湯器を含み、外部から電力供給を受けるシステムにおいて、前記貯湯式給湯器への給電、および前記蓄電池への充電を制御する制御方法であって、
前記発電機器の所定時間毎の発電量の予測値である予測発電量を取得し、
機器によって消費される電力量の所定時間毎の予測値である予測消費電力量を取得し、
前記予測発電量および前記予測消費電力量に基づいて、前記外部からの電力供給による前記貯湯式給湯器への給電量、および前記蓄電池への充電量を調整し、
さらに、
翌日の深夜電力期間後の前記予測発電量および前記予測消費電力量を取得して、前記予測発電量が前記予測消費電力量を上回る場合、
前記深夜電力期間後に行われる、前記発電機器による発電電力を利用した前記給電および前記充電を予測し、
前記深夜電力期間に、前記上回る分の電力量に応じ、前記外部からの電力供給による前記給電および前記充電を抑制する制御方法。
【請求項5】
請求項
1に記載の制御装置と、前記発電機器および前記発電機器を制御するパワーコンディショナと、前記蓄電池と、前記貯湯式給湯器と、を備える電力制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種のエネルギー蓄積装置のエネルギー蓄積時機を制御する制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電機器を備える家庭において、太陽光によって発電機器が発電し余剰電力が生じる昼間時間帯に売電を行う技術が周知である。また、貯湯式給湯装置を備える家庭において、電力が比較的安価な深夜電力期間に買電を行い貯湯する技術が周知である。
【0003】
しかし、上述の構成は必ずしも将来にわたって有益ではない。太陽光の売電価格の低下に起因して売電量の抑制が必要になる場合や、系統安定化のための出力抑制が必要になるケースが考えられる。これらのケースでは、余剰電力が全て利用され、売電が生じない事が望ましい。
【0004】
特許文献1には、太陽光発電機器の予測発電量が予測電力使用量を超える時間に、機器の稼働時刻を制御することによって太陽光発電の余剰電力を削減し、機器の稼働時刻変更によって削減される余剰発電量と、予測電力負荷と蓄電装置内の残存電力量から、充電すべき深夜電力量である充電量を算出し、蓄電装置の充電量を制御することによって、太陽光発電機器の発電量を最大にし、かつ、安価な深夜電力の使用量を増やすことができる技術が開示されている。
【0005】
また特許文献2には、電力余剰状態が発生しているか否かを判定し、電力余剰状態が発生していると判定した場合に、沸き上げ運転を行うときの加熱装置の加熱能力を非電力余剰時よりも高く設定する加熱制御手段を備える貯湯式給湯装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011―92002号公報(2011年 5月 6日公開)
【文献】特開2014―122764号公報(2014年 7月 3日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、蓄電装置のみが考慮されており、貯湯式給湯装置が考慮されていない。そのため、貯湯式給湯装置を備える家庭において、余剰電力を貯湯式給湯装置に利用することができないという問題が有る。
【0008】
特許文献2に開示される技術では、余剰電力が生じていると判定されてから沸き上げ制御を行っている。前夜の充電量及び沸き上げ量については考慮されていない。そのため、余剰電力が有効に利用できないという問題が有る。
【0009】
本発明の一態様は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓄電装置および貯湯式給湯装置を含むシステムにおいて、予め余剰電力量が見込まれる場合に、当該余剰電力量を有効に活用できる制御装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御装置は、太陽光を利用して発電する発電機器、蓄電池、および貯湯式給湯器を含み、外部から電力供給を受けるシステムにおいて、前記貯湯式給湯器への給電、および前記蓄電池への充電を制御する制御装置であって、前記貯湯式給湯器への給電、および前記蓄電池に充電への充電量を制御するプロセッサを備える。前記プロセッサは、前記発電機器の所定時間毎の発電量の予測値である予測発電量を取得し、機器によって消費される電力量の所定時間毎の予測値である予測消費電力量を取得し、前記予測発電量および前記予測消費電力量に基づいて、前記外部からの電力供給による前記貯湯式給湯器への給電量、前記充電量を調整する構成である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、蓄電装置および貯湯式給湯装置を含むシステムにおいて、予め余剰電力量が見込まれる場合に、当該余剰電力量を有効に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態1に係る、機能ブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る、全体構成図である。
【
図3】(a)は蓄電量のみを制御した場合の空き容量を示す概要図、(b)は貯湯量のみを制御した場合の空き容量を示す概要図、(c)は本発明の実施形態に係る、両方を制御した場合の空き容量を示す概要図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係る、予測発電量、予測消費電力量、予測余剰電力量、および貯湯式給湯器への給電と蓄電池への充電の割り当てを例示する図である。
【
図5】本発明の実施形態1に係る、貯湯量および蓄電量の変化を例示する図である。
【
図6】パターン合わせの結果の例を説明するための図である。
【
図7】本発明の実施形態1に係る、制御装置の処理の流れを示すフローチャート図である。
【
図8】本発明の実施形態1に係る、沸き上げ可能空き容量および充電可能空き容量の制御を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明の実施形態1に係る制御装置10は、発電量予測部110、消費電力量予測部120、残存量取得部150、予測余剰電力量算出部130、調整部160、充電制御部170、給湯器制御部180、発電・消費履歴101、および沸き上げ・充電スケジュール103、を備える。
図1の各構成部材を説明する前に、
図2を用いて制御装置10を含む電力制御システムの全体構成を説明し、
図3を用いて余剰電力の利用が可能な空き容量の例を示す。
【0015】
図2に、本発明の実施形態に係る電力制御システムの全体構成を例示する。前記電力制御システムは、制御装置10に加え、発電機器91、家電機器92(機器)、パワーコンディショナ93、分電盤81、蓄電池94、貯湯式給湯器95、を備える。分電盤81は、外部の電力網96と接続されている。制御装置10は、ウェブネットワーク98(インターネット)を介して情報収集サーバ97、通信端末99、ならびに気象情報会社および電力会社と接続されている。
【0016】
前記電力制御システムにおいて、発電機器91の発電履歴、家電機器92の電力消費履歴、貯湯式給湯器95が沸き上げに使用した電力量(給電量)の履歴、および貯湯量の履歴は、図示しないスマートメータ、計測機能付き分電盤81を介して、または別途センサーを用いて所定時間毎に記録され、発電・消費履歴101に記憶される。前記所定時間は、典型的には毎時である。制御装置10は、発電・消費履歴101の読出しや分析を行うことができる。
【0017】
制御装置10はパワーコンディショナ93と通信線で接続されており、発電機器91、蓄電池94の情報をパワーコンディショナ93から得ることができる。また、図示しない通信線を用いて家電機器92、および貯湯式給湯器95と家庭内ネットワークで接続されており、それらの機器を総合的に制御する。これを家庭エネルギー管理システム(HEMS)と呼んでもよい。HEMSが機器(装置)同士の通信に用いるプロトコルは、例えばEchonetLiteである。情報収集サーバ97は、ウェブネットワーク98を介して制御装置10と通信し、発電・消費履歴101の読出しや分析を行うことができる。
【0018】
発電機器91は、太陽光発電を行う機器である。発電機器91は、パワーコンディショナ93と接続される。
【0019】
家電機器92は、(交流)電力を消費する機器であり、具体的には、エアコン、電子レンジ、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの家電が挙げられる。貯湯式給湯器95は電力エネルギーを熱エネルギーに変換して、エネルギーを蓄積する機能を有するため、本明細書においては、家電機器92と区別される。また同様に、「消費電力」という用語は家電機器92が消費する電力を指し、「沸き上げ電力」という用語は貯湯式給湯器95が沸き上げのために使用する電力を指すものとする。家電機器92は、分電盤81と接続され、分電盤81から供給された電力を消費する。
【0020】
パワーコンディショナ93は、発電機器91、および蓄電池94から供給される直流の電力を交流へと変換する。また、パワーコンディショナ93は、電力網96から供給される交流の電力を直流へと変換して蓄電池94へ提供する。また、パワーコンディショナ93は、発電装置および蓄電装置から電力網96への売電を制御する。パワーコンディショナ93は、制御装置10と通信線でネットワーク接続されており、制御装置10への情報の送信、および制御装置10からのコマンド等の受信を行う。
【0021】
蓄電池94は、パワーコンディショナ93と接続される。蓄電池94は、パワーコンディショナ93を介して供給される電力を用いて蓄電量を増加させる(充電)。また蓄電池94は、パワーコンディショナ93を介して電力を放電し、家電機器92への電力供給、貯湯式給湯器95への電力供給、ならびに外部の電力網96への電力供給(売電)を行う。なお、蓄電池94には、固定的に設置される蓄電池のみではなく、電気自動車(EV)のバッテリが含まれてもよい。
【0022】
貯湯式給湯器95は、分電盤81と接続される。貯湯式給湯器95は、分電盤81を介して供給される電力を用いて、沸き上げを行う。沸き上げは原則として、電力が安価な深夜電力期間に行われる。深夜電力期間は、典型的には夜23時から朝7時であるが、電力会社によって、または電力会社と電力使用者とが契約した契約内容(料金プラン)によって異なる。深夜電力期間は、電力が安価な時間帯であればよい。深夜電力期間が終了する、朝7時から夜23時までを、深夜電力期間後とも呼ぶ。沸き上げ要否の判断結果は貯湯式給湯器の省エネルギー設定内容などに影響されるが、その手法は貯湯式給湯器の制御に関する既知の技術であり本明細書では説明しない。
【0023】
外部の電力網96は、前記の通りパワーコンディショナ93の制御に応じ、前記電力制御システムへの電力供給(電力制御システムの買電)、および前記電力制御システムからの電力買取(電力制御システムの売電)を行う。
【0024】
情報収集サーバ97は、図示しない計測装置によって記録される、発電機器91の発電履歴、家電機器92の電力消費履歴、沸き上げ電力の履歴、を記録する。
【0025】
通信端末99は、前記電力制御システム使用者の所持する端末である。通信端末99は、使用者の操作に応答して、制御装置10、情報収集サーバ97、ならびに気象情報会社および電力会社、から電力制御に係る情報を収集する。
【0026】
気象情報会社は、ウェブネットワーク98を介して翌日の発電量予測に必要な気象情報を制御装置10へ提供する。また、必要であればその他の日における気象情報を提供してもよい。
【0027】
一般的には各時間帯における電力料金データは制御装置10に手動入力で設定されるが、制御装置10が電力会社から受信してもよい。電力料金は、一般に電力会社と電力使用者との契約内容による他、電力使用量、あるいは使用機器などにも依存する。そのため、電力料金データには、契約内容、電力使用量、使用機器と電力料金との関係、などに係るデータが含まれていてもよい。
【0028】
図3(a)に、余剰電力の用途に貯湯式給湯器95のみが割り当て制御される場合の深夜電力期間終了時点の蓄電量と貯湯量の概要図を示す。
図3(a)の左側に、蓄電池94の蓄電量を示す。上端から下端までの距離は満蓄電量を示す。
図3(a)において、蓄電池94の蓄電量は、満蓄電量と一致する。
図3(a)の右側に、貯湯式給湯器95の沸き上げ可能満量、貯湯量、および沸き上げ可能空き容量の概要図を示す。上端から下端までの距離は沸き上げ可能満量を示す。そのうち、斜線部は貯湯量であり、白抜き部は沸き上げ可能空き容量である。
図3(a)における沸き上げ可能空き容量は、気象情報から予測される、予測余剰電力量によって生じ得る沸き上げ可能な量と等しい。例えば、気象情報から予測された予測余剰電力量を使用して沸き上げ可能な量が、深夜電力期間が終了した時点における空き容量として確保される。この場合、実際の余剰電力量が予測余剰電力量を上回ったとしても、蓄電池94には空き容量が無い。そのため、実際の発電電力の変動に応じて蓄電池94の利用方法を変える余地が殆ど無く、当該上回った余剰電力量を使用者の家庭において活用しきれなくなる。
【0029】
図3(b)に、余剰電力の用途に蓄電池94のみが割り当て制御される場合の深夜電力期間終了時点の蓄電量と貯湯量の概要図を示す。
図3(b)における白抜き部は、蓄電可能空き容量である。
図3(b)における蓄電可能空き容量は、気象情報から予測される、余剰電力量によって充電可能な蓄電量と等しい。例えば、気象情報から予測された余剰電力量が、深夜電力期間が終了した時点における空き容量として確保される。この場合、実際の余剰電力量が予測余剰電力量を上回ったとき、貯湯式給湯器95には空き容量が無い。そのため、実際の発電電力の変動に応じて貯湯式給湯器95の利用方法を変える余地が殆ど無く、当該上回った余剰電力量を使用者の家庭において活用しきれなくなる。また、実際のお湯の使用量の変動に応じて貯湯式給湯器95の利用方法を変える余地も殆ど無い。
【0030】
図3(c)に、余剰電力の用途に貯湯式給湯器95と蓄電池94との両方が割り当て制御される場合の蓄電量と貯湯量の概要図を示す。
図3(c)における沸き上げ可能空き容量と蓄電可能空き容量は、予測余剰電力量に応じて確保される。例えば、予測余剰電力量によって生じ得る沸き上げ可能な量および蓄電量と等しくなるように制御される。これにより、余剰電力を貯湯式給湯器95および蓄電池94の両方で活用することができ、実際の消費電力やお湯の使用量に応じて余剰電力の利用方法を変えることができる。このように、貯湯式給湯器95および蓄電池94の両方に空き容量を設けることにより、消費電力や発電電力、お湯の使用量などの変動に対応しやすくなり、余剰電力をより効率的に活用できる。また、予め余剰電力量が見込まれる場合に、貯湯式給湯器95の沸き上げ可能空き容量と、蓄電池94の蓄電可能空き容量と、を連携して設定することで、余剰電力量を有効に活用できる。また、実際の発電量が予測発電量を下回った時でも、蓄電池94からの放電によって沸き上げ電力を賄う(給電可能なように充電量を調整する)ことができる。
【0031】
なお、
図3において、貯湯式給湯器95の沸き上げ可能満量は、貯湯式給湯器95の満量であってもよく、ユーザが設定した量、または、貯湯式給湯器95が設定した量であってもよい。例えば、貯湯式給湯器95設定した沸き上げ可能満量は、貯湯式給湯器95の学習機能により、翌日に使用する量を予測することで決定された値である。
【0032】
図1を再び参照すると、発電・消費履歴101は、電力制御システムが設置される家庭の発電、および消費の履歴データである。発電・消費履歴101には、貯湯式給湯器95が沸き上げのために使用した電力が、家電機器92の消費電力履歴とは別に含まれる。
【0033】
〔発電量予測部110〕
発電量予測部110は、ウェブネットワーク98を経由して気象情報を取得する。また、発電量予測部110は、発電・消費履歴101から発電履歴を取得する。発電量予測部110は、前記取得した気象情報および発電履歴に基づき、所定の時刻から、翌日の所定の時刻までの期間における、発電量予測を行う。例えば、深夜電力期間が開始される時刻である23時から翌日の23時までの期間における発電量を予測する。また、予測期間は、深夜電力期間終了時刻から翌日の深夜電力期間の開始時刻までとしてもよい。
【0034】
前記発電量予測の開始時刻は、典型的には、深夜電力期間が開始される時刻(一般的には夜23時)の1時間前であるが、それに限られず、23時であってもよい。また、発電量予測後、後述する処理により深夜電力期間終了時に目標とする状態(沸き上げ可能空き容量、蓄電可能空き容量、沸き上げ・充電スケジュール等の設定状態)が確保できる場合、23時以降であってもよい。これにより、より広い時間帯に渡って処理が可能であり、電力料金や契約内容ごとに適切な時間帯での処理が可能になる。
【0035】
前記発電量の予測の方法は、具体的には、下記の通りである。まず、発電量予測部110は、気象情報に含まれる翌日のその地域の日射量予測データを用いて、特定の係数をかけて発電量を予測する。前記係数は、過去の日射量情報と発電量の相関から導き出す。過去の発電履歴データを用いることで、設置場所や向き、周囲環境(影など)、装置の性能や劣化状況などが加味された値となる。過去の発電履歴データは典型的には1週間程度の期間のデータを用いるが、使用者の使用状況により最適な期間は変動し得る。そのため、最適な期間を別途導出してもよい。季節、天候、気温、または発電機器91の劣化に基づいた発電履歴を用いることで、精度が高い予測をすることができる。
【0036】
発電量予測部110は、予測発電量(発電機器の所定時間毎の発電量の予測値)の時系列、具体的には、太陽光発電器による発電が期待できる午前7時から午後7時の発電量の時系列を、予測余剰電力量算出部130へ送信する。なお、自然エネルギーにより発電可能な時刻は季節により変動するため、発電量の時系列は前述の時刻に限られるものではない。
【0037】
〔消費電力量予測部120〕
消費電力量予測部120は、発電量予測部110と同様に、気象情報および消費履歴を取得し、消費電力量を予測する。消費電力量予測部120は、得られた予測消費電力量の時系列を予測余剰電力量算出部130へ送信する。
【0038】
〔予測余剰電力量算出部130〕
予測余剰電力量算出部130は、受信した予測発電量の時系列および予測消費電力量の時系列に基づき、余剰電力量の時系列を算出する。予測余剰電力量算出部130は、算出される余剰電力量の時系列を、後述する調整部160へ送信する。
【0039】
図4に、発電量予測部110が予測する発電量の時系列と、消費電力量予測部120が予測する消費電力量の例を示す。横軸は、
図4の所定の予測期間開始時刻である23時から、次の23時までの24時間の各時間帯である。
図4の縦軸は電力であり、図中の面積は電力量を示す。
図4における破線は予測される発電電力の時系列を示し、実線は消費電力の時系列を示す。発電電力が消費電力を上回る場合余剰電力が発生する。
図4のうち、破線が実線を上回る部分の面積が余剰電力量に相当する。ここでは、10時から16時に余剰電力が発生している例を例示している。余剰電力が発生している期間を余剰電力期間と呼び、その時系列を予測余剰電力量の時系列と呼ぶ。
【0040】
〔残存量取得部150〕
残存量取得部150は、充電割当部164からの要求に応答して、予測開始時刻における蓄電池94の残存量(現在蓄電量)を充電割当部164へ送信する。また、残存量取得部150は、沸き上げ割上げ部163からの要求に応答して、予測開始時刻における貯湯式給湯器95の残存量(現在貯湯量)を沸き上げ割当部163へ送信する。
【0041】
〔調整部160〕
調整部160は、余剰有無判定部161、沸き上げ割当部163、および充電割当部164、を備える。
【0042】
調整部160は、予測余剰電力量算出部130から受信した予測余剰電力量の時系列を、余剰有無判定部161へと送信する。なお、予測余剰電力量が無い場合、調整部160はそれ以上の処理を行わない。
【0043】
〔余剰有無判定部161〕
余剰有無判定部161は、前記受信した予測余剰電力量を用いて、予測余剰電力量の有無、すなわち、余剰電力量の時系列に、予測余剰電力量>0である時間帯が有るかどうかを判定する。予測余剰電力量が有ると判断される場合、余剰有無判定部161は、沸き上げ割当部163へ予測余剰電力量の時系列を送信する。
【0044】
〔沸き上げ割当部163〕
沸き上げ割当部163は、後述する処理により、現在貯湯量を送信するように残存量取得部150へ要求を発信し、取得する。その後、前記受信した予測余剰電力量の時系列を用いて、沸き上げを行う時間および沸き上げ予定電力量(給電期間)を決定する処理を行う。換言すれば、発電・消費履歴101から受信した、いつどれだけの貯湯量が必要かを示すデータと、予測余剰電力量算出部130から受信した、いつどれだけの余剰電力が生じるかの予測データに基づいて、いつどれだけの沸き上げを行うかを決定する。すなわち、貯湯式給湯器への給電量を調整する。
【0045】
深夜電力期間における買電スケジュール、および余剰電力期間における沸き上げスケジュールを設定することにより、制御装置10は、深夜電力期間終了時における貯湯式給湯器95の空き容量を確保することができる。
【0046】
〔充電割当部164〕
充電割当部164は、後述する処理により、予測余剰電力量の時系列から沸き上げ電力量を差し引いた電力量を、蓄電池94の充電予定分として決定する。すなわち、第1に給電を割り当て、余った場合に、第2に充電を割り当て、蓄電池への充電量を調整する。深夜電力期間における買電スケジュール、および余剰電力期間における沸き上げスケジュールを設定することにより、制御装置10は、深夜電力期間終了時における蓄電池94の空き容量を確保することが出来る。
【0047】
沸き上げ・充電スケジュール103は、後述する処理により、沸き上げ割当部163および充電割当部164によって設定される、当該家庭の発電、消費、買電、沸き上げ、充電および放電の将来のスケジュールである。
【0048】
〔充電制御部170〕
充電制御部170は、設定された沸き上げ・充電スケジュール103に従い、蓄電池94の制御を行う。
【0049】
充電制御部170は、深夜電力期間においてはスケジュール通りに蓄電池を充電させる。すなわち、充電を抑制する。深夜電力期間終了後は、発電量が沸き上げ電力量および消費電力量の合計を下回れば放電させ、発電量が沸き上げ電力量および消費電力量の合計を上回れば充電させる。なお、発電量は自然エネルギー条件の変動、具体的には日照量の変動に起因し、1時間よりも短い時間スケールで、例えば秒単位で変動する。充電制御部170が上記のように深夜電力期間後の蓄電池94の充放電を制御する結果、短い時間スケールでの変動を蓄電池94が吸収する。
【0050】
発電量が少ない側に予測が外れた場合、充電制御部170は、蓄電池94に放電動作をさせてもよい。これにより、貯湯式給湯器95が沸き上げを行っている最中に発電量が少ない側に予測が外れた場合、不足する電力を、蓄電池94からの放電により補うことができる。
【0051】
〔給湯器制御部180〕
給湯器制御部180は、設定された沸き上げ・充電スケジュール103に従い、貯湯式給湯器95の制御を行う。すなわち、貯湯式給湯器への給電量を抑制する。
【0052】
図4における例では余剰電力期間のうち、12時から、余剰電力期間の終了時刻(16時)まで、所定の閾電力値以上の一定量の余剰電力が貯湯式給湯器95への給電に割り当てられる。例えば、所定の閾電力値が600Wであり、
図4における縦軸1マス分の電力が300Wであった場合、600W以上の電力が確保されるように給電が割り当てされる。貯湯式給湯器95への給電が割り当てられたのち、なお余った余剰電力が、蓄電池94への充電に割り当てられる。
図4に示す例では、余剰電力期間の開始時刻(9時)から15時までの余剰電力が、蓄電池94への充電に割り当てられる。ここで、余剰電力の発生を抑制するために蓄電装置と貯湯式給湯装置との両種の蓄エネルギー装置を利用する場合、それらの特性の違いを考慮することが望ましい。具体的には、蓄電池94は秒以下の単位の速度で充放電が可能であるが、貯湯式給湯器95は沸き上げに一定の電力および分から時間単位の沸き上げ時間を要する。また、貯湯式給湯器95は、貯湯量不足が生じた場合に外部から直ちに補えない。そのため、貯湯式給湯器は、消費が予測される所定の湯量を、消費が予測される当該時刻までに確保する必要が有る。したがって、
図4では、予測される余剰電力に、先に貯湯式給湯器95への給電を割り当て、その後に蓄電池94への充電を割り当てている。
【0053】
図5に、本実施形態に係る制御の結果得られる空き容量の変化の例を示し、これを用いて制御の概要を説明する。
図5の中央に、予測消費電力の時系列および予測発電電力の時系列グラフを示す。なお、前記各時系列は
図4と同一である。時系列グラフの上部に蓄電量変化のイメージを、下部に貯湯量の変化のイメージを示す。
【0054】
まず、所定の予測期間開始時刻である夜23時に、後述する処理により、沸き上げ割当部163は、貯湯式給湯器95の深夜電力期間における沸き上げスケジュール、および余剰電力期間(10時から16時)における沸き上げスケジュールを決定する。また、充電割当部164は、蓄電池94の深夜電力期間における充電スケジュール、および余剰電力期間における充電スケジュール、を決定する。
【0055】
余剰電力を用い沸き上げが終了した時(16時)に満量になるように、深夜電力期間終了時(7時)における貯湯量は、決定される。そのため、深夜電力期間終了時における貯湯量は満量ではなく、沸き上げ可能空き容量が確保される。また、沸き上げ後になお余る余剰電力量を充電に割り当て、余剰電力期間が終了する時点(15時)に満蓄電量となるように、深夜電力期間終了時(7時)における蓄電量は、決定される。そのため、深夜電力期間終了時における蓄電量は満量ではなく、蓄電可能空き容量もまた確保される。
【0056】
決定充電スケジュールに従って、充電制御部170は深夜電力期間の終了時刻(7時)迄、安価な深夜電力を用いて充電を行い、前記決定された状態まで蓄電量を増加させる。深夜電力期間後は、余剰電力を用いて充電が行われる。
【0057】
一方、給湯器制御部180は、深夜電力期間の終了時刻(7時)迄は蓄電池94と同様に、安価な深夜電力を用いて沸き上げを行い前記決定された状態まで貯湯量を増加させる。その後、沸き上げスケジュールに従って、11時から16時まで、沸き上げが行われる。
〔動作〕
図7および
図8のフローを参照に、本実施形態に係る制御装置10の動作を説明する。
【0058】
S11において、発電量予測部110は、ウェブネットワーク98を経由して気象情報を取得し、また、発電・消費履歴101から発電履歴を取得する。発電量予測部110は、所定の予測開始時刻に、前記取得した気象情報および発電履歴に基づき、翌日の発電量の予測を行う。
【0059】
次に、S12において、消費電力量予測部120は、ウェブネットワーク98を経由して気象情報を取得し、また、発電・消費履歴101から発電履歴を取得して、消費電力量を予測する。消費電力量予測部120は、得られた消費電力量の時系列を予測余剰電力量算出部130へ送信する。
【0060】
S13において、予測余剰電力量算出部130は、受信した予測発電量の時系列および予測消費電力量の時系列に基づき、余剰電力量の時系列を算出する。予測余剰電力量算出部130は、算出される余剰電力量の時系列を、後述する調整部160へ送信する。
【0061】
S14において、余剰有無判定部161は、予測余剰電力量の有無(算出される余剰電力量の時系列に、予測余剰電力量>0である時間帯が有るかどうか)を判定する。余剰電力量が無いと予測される場合(S14においてNo)、余剰有無判定部161は、処理を終える。余剰電力量が有ると予測される場合(S14においてYes)、余剰有無判定部161は、沸き上げ割当部163へ予測余剰電力量の時系列、を送信する。
【0062】
S15において、沸き上げ割当部163、および充電割当部164は、後述するS151からS15Aの処理に基づいて、予測余剰電力量に対して、沸き上げおよび充電の割り当て処理を行う。S15の詳細を
図8に示す。
【0063】
図8に示すように、S151において、沸き上げ割当部163は、予測余剰電力量の時系列を取得する。
【0064】
S152において、沸き上げ割当部163は、沸き上げ必要電力量を算出する。具体的には、沸き上げ割当部163はまず、現在の貯湯量を送信するように残存量取得部150へ要求を発信し、取得する。沸き上げ割当部163は次に、図示しないルートで貯湯式給湯器95から受信した沸き上げ可能満量と、前記取得した現在貯湯量との差分(沸き上げ可能満量-貯湯量)から沸き上げ必要量を決定する。次に、前記沸き上げ必要量を用いて、沸き上げ必要電力量を決定する。なお、残存量取得部150は、沸き上げ割当部163および充電割当部164からの取得要求を待たず、所定の予測開始時刻に、自動的に残存量取得部150が現在貯湯量および現在蓄電量を送信する構成としてもよい。
【0065】
S153において、沸き上げ割当部163は、予測余剰電力量の時系列にパターン合わせを行い、給電に割り当てる電力量の時系列を決定する。
【0066】
貯湯式給湯器、特にヒートポンプ給湯機と呼ばれる、等温過程を利用して外部の大気からエネルギーを抽出し、沸き上げる方式の貯湯式給湯器は、一定の電力を一定の期間かけて沸き上げ続けることが望ましい。そのため、余剰電力量の総量が沸き上げに必要な電力量を上回っている場合であっても、沸き上げに活用できるとは限らない。例えば、余剰電力量が沸き上げに必要な電力量を上回っている期間が、貯湯式給湯器95のスペック上沸き上げに適さない短時間であったり、あるいは余剰が少なく貯湯式給湯器95のスペック上沸き上げに適さない余剰電力しか割り当てできない時間帯が含まれる場合、沸き上げには活用できない。一定の電力を一定の期間割り当てできない場合は系統から電力を購入する必要が有るため、S153および後述するS154において、一定の電力を一定の期間割り当てできるか否かを確認する処理を行う。
【0067】
図6を用いて、前記パターン合わせの結果の例を説明する。
図6の上部に、(a)沸き上げ必要電力が全て割り当て可能であったケースの例を示す。
図6の下部に、(b)沸き上げ必要電力が全て割り当て可能でなかったケースの例を示す。各図中に、余剰電力が二重鎖線で示されており、給湯器への給電に割り当てられた電力量が右斜線で示されている。
図6(a)においては、余剰電力を用いて沸き上げ必要電力(右斜線でマークされた10マス分)が全て割り当て可能と予測されている。すなわち、一定の期間(11時から16時の5時間)、所定の電力量閾値以上の一定の電力(縦方向2マス分に相当する電力)が割り当て可能と予測されている。一方、
図6(b)においては、余剰電力を用いて沸き上げ必要電力の全てが割り当て可能とは予測されていない。すなわち、一定の電力(縦方向2マス分に相当する電力)が、一部の期間(13時から16時の3時間)のみ割り当て可能と予測されている。この場合、4マスの不足分は、余剰電力が発生していない期間に外部の電力網96から購入するように沸き上げスケジュールを決定してもよい。また、
図6(b)における9時から11時の2時間など、沸き上げ電力を割り当てできる別の時間帯に沸き上げるように沸き上げスケジュールを決定してもよい。これにより、余剰電力期間における沸き上げスケジュールが決定される。
【0068】
S154において、沸き上げ割当部163は、パターン合わせの結果、沸き上げ必要電力が全て割り当てできたかを判定する。
【0069】
パターン合わせの結果、沸き上げ必要電力が全て割り当てできた場合(S154においてYES)、S155において沸き上げ割当部163は、前記割り当てられた電力量の時系列をそのまま、沸き上げスケジュールとして決定する。
【0070】
S156において、沸き上げ割当部163は、深夜電力を用いた沸き上げ電力量をゼロに設定する。これにより、深夜電力期間における沸き上げスケジュールが決定される。沸き上げ割当部163は、余剰電力期間及び深夜電力期間において決定された沸き上げスケジュールを、沸き上げ・充電スケジュール103へ格納する。
【0071】
S157において、充電割当部164は、予測余剰電力量の時系列から給電に割り当てられた電力量の時系列を除いた部分を、余剰電力期間における充電量に割り当て、余剰電力期間における充電スケジュールを決定する。
【0072】
S158において、充電割当部164は、現在蓄電量を送信するように残存量取得部150へ要求を発信し、取得する。充電割当部164は次に、S157において決定された充電スケジュールと、取得した現在蓄電量とに基づいて、深夜充電量を算出する。具体的には、深夜充電量を、深夜充電量=(満蓄電量-余剰電力期間における充電量-現在蓄電量)として算出する。算出された深夜充電量を用いて、充電割当部164は、深夜電力期間における充電スケジュールを作成し、沸き上げ・充電スケジュール103へ格納する。
【0073】
パターン合わせの結果、沸き上げ必要電力が全て割り当てできなかった場合(S154においてNo)、S159において、沸き上げ割当部163は、確保可能な電力量の総量を、沸き上げ電力量に割り当て、余剰電力期間における沸き上げスケジュールを決定する。
【0074】
S15Aにおいて、沸き上げ割当部163は、不足分、すなわち沸き上げ必要電力量から給電に割り当てられた電力量の総量を差し引いた差分を算出する。沸き上げ割当部163は、算出された不足分を深夜電力を用いた沸き上げ電力量とし、深夜電力期間における沸き上げスケジュールを決定する。沸き上げ割当部163は、決定された余剰電力期間および深夜電力期間における沸き上げスケジュールを、沸き上げ・充電スケジュール103へ格納する。
【0075】
S15Bにおいて、充電割当部164は、現在蓄電量を送信するように残存量取得部150へ要求を発信し、取得する。充電割当部164は次に、取得した現在蓄電量に基づいて、深夜充電量を算出する。具体的には、深夜充電量を、深夜充電量=(満蓄電量-現在蓄電量)として算出する。算出された深夜充電量を用いて、充電割当部164は、深夜電力期間における充電スケジュールを作成し、沸き上げ・充電スケジュール103へ格納する。
【0076】
S15における処理を終えた後、
図7のS16において、充電制御部170および給湯器制御部180は、設定された沸き上げ・充電スケジュール103を読出し、蓄電池94、および貯湯式給湯器95の制御を行う。
【0077】
上記の構成及び動作により、発電機器91、蓄電池94、および貯湯式給湯器95を有する家庭において、余剰電力量を予測し、予測した予測余剰電力量によって生じ得る蓄電量および沸き上げ量を当て込み、蓄電装置と貯湯式給湯装置との両種の蓄エネルギー装置の空き容量を制御することができる。また、発電量が少ない側に予測が外れた場合でも、減少分はまず充電に割り当てられた予測発電量から削減されることになるため、貯湯式給湯器95における湯切れを防止できる。
【0078】
なお、本明細書においては、矛盾しない限り、用語「電力」は、ワットなどの単位で表される単位時間当たりのエネルギー変化量に対して用い、「電力量」は原則としてワット時などの単位で表されるエネルギー量に対して用いる。
〔変形例〕
本明細書では一例として、家庭に設置される制御装置10が発電・消費履歴101、発電量予測部110、消費電力量予測部120、予測余剰電力量算出部130、調整部160を備える構成を記載したが、情報収集サーバ97がそれらを備える構成としてもよい。これにより、情報収集サーバ97が沸き上げ・充電スケジュール103を作成し、制御装置10を経由して遠隔で制御を行うことができる。
【0079】
また、HEMSは宅内の制御装置10において制御されてもよいし、サーバから遠隔で制御装置10を経由して制御されてもよい。
【0080】
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御装置10の制御ブロック(特に予測余剰電力量算出部130、調整部160、充電制御部170、給湯器制御部180)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0081】
後者の場合、制御装置10は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0082】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る制御装置は、太陽光を利用して発電する発電機器、蓄電池、および貯湯式給湯器を含み、外部から電力供給を受けるシステムにおいて、前記貯湯式給湯器への給電、および前記蓄電池への充電を制御する制御装置であって、プロセッサを備え、前記プロセッサは、前記発電機器の所定時間毎の発電量の予測値である予測発電量を取得し、機器によって消費される電力量の所定時間毎の予測値である予測消費電力量を取得し、前記予測発電量および前記予測消費電力量に基づいて、前記外部からの電力供給による前記貯湯式給湯器への給電量、および前記蓄電池への充電量を調整する。
【0083】
上記の構成によれば、前記貯湯式給湯器の沸き上げ可能空き容量と、前記蓄電池の蓄電可能空き容量と、を連携して制御することができる。また、予測発電量および前記予測消費電力量に基づいて、貯湯式給湯器への給電量、および蓄電池への充電量を調整するので、余剰電力を有効に活用することができる。
【0084】
本発明の態様2に係る制御装置は、上記態様1において、前記プロセッサは、翌日の深夜電力期間後の前記予測発電量および前記予測消費電力量を取得して、前記予測発電量が前記予測消費電力量を上回る場合、前記深夜電力期間後に行われる、前記発電機器による発電電力を利用した前記給電および前記充電を予測し、前記深夜電力期間に、前記上回る分の電力量に応じた電力量について、前記外部からの電力供給による前記給電および前記充電を抑制するものであってもよい。
【0085】
上記の構成によれば、深夜電力期間終了時点で沸き上げ可能空き容量を確保し、余剰電力を利用して沸き上げを行うことができる。また、深夜電力期間終了時点で充電可能空き容量を確保し、予測余剰電力量から沸き上げ電力量を除いた電力量を用いて充電を行うことができる。
【0086】
本発明の態様3に係る制御装置は、上記態様2において、前記プロセッサは、前記上回る分の電力量の用途について、第1に前記給電を割り当て、余った場合に、第2に前記充電を割り当てて、前記発電機器による発電電力を利用した前記給電および前記充電を予測するものであってもよい。
【0087】
上記の構成によれば、沸き上げに必要な電力量を見積もることができる貯湯式給湯器の予定を先に決めることで、容易に予測することができる。
【0088】
本発明の態様4に係る制御装置は、上記態様3において、前記プロセッサは、前記上回る分の電力量について、所定時間毎の上回る分の電力量を取得し、所定の電力量閾値以上の前記上回る分の電力量を確保可能な時間帯における前記上回る分の電力量の用途に前記給電を割り当てるものであってもよい。
【0089】
上記の構成によれば、前記貯湯式給湯器へ一定の電力を供給可能な時間帯に給電するため、沸き上げ実行中に買電する可能性を低減できる。
【0090】
本発明の態様5に係る制御装置は、上記態様1~4の何れかにおいて、前記プロセッサは、前記深夜電力期間後に行われる前記給電が前記発電機器による発電電力で賄えない場合、前記蓄電池からの放電により給電可能なように充電量を調整するものであってもよい。
【0091】
上記の構成によれば、発電量が予測よりも少なかった場合でも、買電することなく沸き上げを実行できる。
【0092】
本発明の態様6に係る制御方法は、装置は太陽光を利用して発電する発電機器、蓄電池、および貯湯式給湯器を含み、外部から電力供給を受けるシステムにおいて、前記貯湯式給湯器への給電、および前記蓄電池への充電を制御する制御方法であって、前記発電機器の所定時間毎の発電量の予測値である予測発電量を取得し、機器によって消費される電力量の所定時間毎の予測値である予測消費電力量を取得し、前記予測発電量および前記予測消費電力量に基づいて、前記外部からの電力供給による前記貯湯式給湯器への給電量、および前記蓄電池への充電量を調整する。
【0093】
本発明の各態様に係る制御装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記制御装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記制御装置をコンピュータにて実現させ制御装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0094】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0095】
10 制御装置
91 発電機器
92 家電機器(機器)
94 蓄電池
95 貯湯式給湯器
101 発電・消費履歴
110 発電量予測部
120 消費電力量予測部
150 残存量取得部
130 予測余剰電力量算出部
160 調整部
161 余剰有無判定部
163 沸き上げ割当部
164 充電割当部
103 沸き上げ・充電スケジュール