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特許7540884キット、及び、そのキットを用いる第三積層体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】キット、及び、そのキットを用いる第三積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20240820BHJP
   C09J 7/10 20180101ALI20240820BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20240820BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H01L21/78 M
C09J7/10
C09J7/35
C09J201/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019210862
(22)【出願日】2019-11-21
(65)【公開番号】P2021082767
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-08-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】山本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】古野 健太
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-280329(JP,A)
【文献】特開2016-141749(JP,A)
【文献】国際公開第2016/098697(WO,A1)
【文献】特開2005-317712(JP,A)
【文献】特開2012-224062(JP,A)
【文献】国際公開第2019/082963(WO,A1)
【文献】特開2010-056328(JP,A)
【文献】国際公開第2017/077809(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
C09J 7/10
C09J 7/35
C09J 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1剥離フィルム、保護膜形成フィルム及び第2剥離フィルムがこの順に積層された第一積層体と、前記保護膜形成フィルムの保護対象となるワーク及び前記保護膜形成フィルムを支持するために用いられる支持シートと、を備え、保護膜付き半導体装置の製造に用いるキットであって、
23℃における前記保護膜形成フィルムの破断伸度が800%より大きく、
前記保護膜形成フィルムは、シリカフィラーを含有し、
前記シリカフィラーの含有量は、前記保護膜形成フィルムを構成する全固形分100質量部に対して、1~80質量部である、キット。
【請求項2】
第1剥離フィルム、保護膜形成フィルム及び第2剥離フィルムがこの順に積層された第一積層体と、前記保護膜形成フィルムの保護対象となるワーク及び前記保護膜形成フィルムを支持するために用いられる支持シートと、を備え、保護膜付き半導体装置の製造に用いるキットであって、
23℃における前記保護膜形成フィルムの破断伸度が1900%より大きい、キット。
【請求項3】
前記保護膜形成フィルムは、シリカフィラーを含有し、
前記シリカフィラーの含有量は、前記保護膜形成フィルムを構成する全固形分100質量部に対して、1~51000/765.5質量部である、請求項1又は2に記載のキット。
【請求項4】
第1剥離フィルム、保護膜形成フィルム及び第2剥離フィルムがこの順に積層された第一積層体と、前記保護膜形成フィルムの保護対象となるワーク及び前記保護膜形成フィルムを支持するために用いられる支持シートと、を備え、保護膜付き半導体装置の製造に用いるキットであって、
23℃における前記保護膜形成フィルムの破断伸度が700%より大きく、
前記保護膜形成フィルムは、重合体成分を含有し、
前記重合体成分の含有量は、前記保護膜形成フィルムを構成する全固形分100質量部に対して、15000/255.5~80質量部である、キット。
【請求項5】
前記第一積層体が、ロール状である、請求項1~4のいずれか一項に記載のキット。
【請求項6】
前記保護膜形成フィルムが、熱硬化性又はエネルギー線硬化性である、請求項1~5のいずれか一項に記載のキット。
【請求項7】
前記支持シートは、前記保護膜形成フィルムに貼付される粘着剤層が、基材上に積層されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のキット。
【請求項8】
前記保護膜形成フィルムと前記第2剥離フィルムとの間の剥離力は、記保護膜形成フィルムと前記第1剥離フィルムとの間の剥離力よりも大きく、
前記保護膜形成フィルムと前記第2剥離フィルムとの間の、剥離速度1m/min、温度23℃で測定される180°引きはがし剥離力が、250mN/100mm以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載のキット。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のキットをインラインプロセスで使用する、ワーク、前記保護膜形成フィルム及び前記支持シートが、この順に積層された第三積層体の製造方法であって、
前記第一積層体の第1剥離フィルムを剥離させる工程と、
前記ワークに、前記保護膜形成フィルムの露出面を貼付する、第一の積層工程と、
前記保護膜形成フィルムの前記露出面とは反対の面に、前記支持シートを貼付する第二の積層工程とを、この順に含み、
前記第一の積層工程の貼付開始地点から前記第二の積層工程の貼付完了地点までの間の前記ワークの搬送距離が、7000mm以下である、第三積層体の製造方法。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載のキットをインラインプロセスで使用する、ワーク、前記保護膜形成フィルム及び前記支持シートが、この順に積層された第三積層体の製造方法であって、
前記第一積層体の第1剥離フィルムを剥離させる工程と、
前記ワークに、前記保護膜形成フィルムの露出面を貼付する第一の積層工程と、
前記保護膜形成フィルムの前記露出面とは反対の面に、前記支持シートを貼付する第二の積層工程とを、この順に含み、
前記第一の積層工程の貼付開始時から前記第二の積層工程の貼付完了時までの間の前記ワークの搬送時間が、400s以下である、第三積層体の製造方法。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項に記載のキットをインラインプロセスで使用する、ワーク、前記保護膜形成フィルム及び前記支持シートが、この順に積層された第三積層体の製造方法であって、
前記第一積層体の第1剥離フィルムを剥離させる工程と、
前記ワークに、前記保護膜形成フィルムの露出面を貼付する第一の積層工程と、
前記保護膜形成フィルムの前記露出面とは反対の面に、前記支持シートを貼付する第二の積層工程とを、この順に含み、
前記第一の積層工程から前記第二の積層工程までの間において、前記ワークに前記保護膜形成フィルムが貼付された第二積層体を一枚ずつ搬送する、第三積層体の製造方法。
【請求項12】
前記第一の積層工程が、80℃以上のウエハテーブル上で行われる、請求項9~11のいずれか一項に記載の第三積層体の製造方法。
【請求項13】
前記ワークの、前記保護膜形成フィルムの露出面を貼付する側とは反対の側の面にバックグラインドテープが貼付されており、前記第二の積層工程の後に、前記ワークから、前記バックグラインドテープを剥離させる工程を含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の第三積層体の製造方法。
【請求項14】
前記第一の積層工程の貼付開始時から、10min未満で、前記ワークから、前記バックグラインドテープを剥離させ始める、請求項13に記載の第三積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キット、及び、そのキットを用いる第三積層体の製造方法に関する。詳しくは、第1剥離フィルム、保護膜形成フィルム及び第2剥離フィルムがこの順に積層された第一積層体と、前記保護膜形成フィルムの保護対象となる半導体ウエハ等のワーク及び前記保護膜形成フィルムを支持するために用いられる支持シートと、を備えるキット、並びに、そのキットをインラインプロセスで使用する、ワーク、前記保護膜形成フィルム及び前記支持シートが、この順に積層された第三積層体の製造方法に関する。
ここで、「インラインプロセス」とは、「1または複数の工程を行う装置を複数個(複数台)連結した装置内、又は同一の装置内で行うプロセスであり、複数の工程とその工程と工程を繋ぐ搬送を含み、1つの工程とその次の工程との間は、ワークを一枚ずつ搬送する」プロセスを言う。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるフェースダウン(face down)方式と呼ばれる実装法を適用した半導体装置の製造が行われている。フェースダウン方式においては、回路面上にバンプ等の電極を有する半導体チップが用いられ、前記電極が基板と接合される。このため、半導体チップの回路面とは反対側の裏面は剥き出しとなることがある。
【0003】
この剥き出しとなった半導体チップの裏面には、保護膜として、有機材料を含有する樹脂膜が形成され、保護膜付き半導体チップとして半導体装置に取り込まれることがある。保護膜は、ダイシング工程やパッケージングの後に、半導体チップにおいてクラックが発生するのを防止するために利用される(例えば、特許文献1~4)。
【0004】
このような保護膜付き半導体チップは、例えば、図6に示される工程を経て製造される。すなわち、回路面を有する半導体ウエハ8の裏面8bに、保護膜形成フィルム13を積層し(図6(A))、保護膜形成フィルム13を熱硬化又はエネルギー線硬化させて保護膜13’とし(図6(B))、保護膜13’に支持シート10を積層し(図6(D))、半導体ウエハ8及び保護膜13’をダイシングして、保護膜付き半導体チップ7とし(図6(E)及び図6(F))、保護膜付き半導体チップ7を、支持シート10からピックアップする方法が知られている。ここで、図6(A)で、半導体ウエハ8の裏面8bに、保護膜形成フィルム13を貼付する装置と、図6(D)で、保護膜13’に支持シート10を貼付する装置とは、別々の装置で行われている。
【0005】
また、保護膜形成フィルム13及び支持シート10が一体化された、保護膜形成用複合シートが、保護膜付き半導体チップの製造に使用されている(例えば、特許文献2,3,4)。
【0006】
保護膜形成用複合シートを用いる、保護膜付き半導体チップの製造方法は、例えば、図7に示される工程を経る。すなわち、回路面を有する半導体ウエハ8の裏面8bに、保護膜形成フィルム13及び支持シート10が積層されてなる保護膜形成用複合シート3の保護膜形成フィルム13を貼付し(図7(A’))、バックグラインドテープ17を剥離し(図7(B’))、保護膜形成フィルム13を熱硬化又はエネルギー線硬化させて保護膜13’とし(図7(C’))、半導体ウエハ8及び保護膜13’をダイシングして、保護膜付き半導体チップ7とし(図7(E’)及び図7(F’))、保護膜付き半導体チップ7を、支持シート10からピックアップする方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4271597号公報
【文献】国際公開第2014/157426号
【文献】特許第5363662号公報
【文献】特開2016-225496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図6に示される従来の保護膜付き半導体チップの製造方法では、保護膜形成フィルム13の保護対象となるワーク(すなわち、半導体ウエハ8)は、バックグラインドテープは既に剥離されたものが使われている。半導体ウエハ8の裏面8bに、保護膜形成フィルム13を積層し(図6(A))、保護膜形成フィルム13を硬化させて保護膜13’とした後に(図6(B))、保護膜13’に支持シート10を貼付するので(図6(D))、半導体ウエハ8の裏面8bに、保護膜形成フィルム13を貼付する装置と、保護膜13’に支持シート10を貼付する装置とは、別々の装置が用いられ、これらの工程を、インラインプロセスにすることは難しい。
【0009】
図7に示される従来の保護膜付き半導体チップの製造方法では、保護膜形成フィルム13及び支持シート10が一体化された、保護膜形成用複合シート3を用いているので、保護膜形成フィルム13の保護対象となるワーク(すなわち、半導体ウエハ8)に保護膜形成フィルム13を貼付する工程と、支持シート10を貼付する工程を、一工程にすることができる。しかし、保護膜形成用複合シート3を用いた場合、保護膜形成フィルム13の特性及び支持シート10の特性を合わせて組み合さなければならず、目的に叶った保護膜付き半導体チップの製造方法のために、多種類の保護膜形成用複合シート3を準備しなければならなくなる。また、保護膜形成用複合シート3を準備するために、抜き加工など製造コストの負担が問題となる。さらに、保護膜形成用複合シート3を用いた場合、マウント工程で、テープロール設置後のマウンター装置内でテープが蛇行して、最初の数シートは、貼付位置や貼付張力が設定どおりにならないリスクがある。
【0010】
図8(a)に例示されるように、ワーク14に貼付された保護膜形成フィルム13は、ワーク14からはみ出す場合がある。
このような場合、図8(b)に例示されるように、ワーク14に貼付された保護膜形成フィルム13の第2剥離フィルム152を剥離するときに、ワーク14からはみ出した保護膜形成フィルム13のはみだし部90は引き千切られて、第2剥離フィルム152に付着して持ち帰られるおそれがある。
また、このような場合、図8(c)に例示されるように、支持シート10を保護膜形成フィルム13に貼付するときに、ワーク14からはみ出した保護膜形成フィルム13のはみだし部90は割れて飛散するおそれがある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、半導体ウエハ等のワークと、前記ワークの裏面を保護するとともに外観を向上させるための保護膜を形成可能な保護膜形成フィルムと、前記保護膜形成フィルムを支持するために用いられる支持シートとが、この順に積層された第三積層体を、好適にインラインプロセスで製造することができる、前記保護膜形成フィルム及び前記支持シートを備えるキット、並びに、そのキットをインラインプロセスで使用する第三積層体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下のキット、及び、そのキットを用いる第三積層体の製造方法を提供する。
【0013】
[1]第1剥離フィルム、保護膜形成フィルム及び第2剥離フィルムがこの順に積層された第一積層体と、前記保護膜形成フィルムの保護対象となるワーク及び前記保護膜形成フィルムを支持するために用いられる支持シートと、を備えるキットであって、
23℃における前記保護膜形成フィルムの破断伸度が700%より大きい、キット。
[2]前記第一積層体が、ロール状である、前記[1]に記載のキット。
[3]前記保護膜形成フィルムが、熱硬化性又はエネルギー線硬化性である、前記[1]又は[2]に記載のキット。
[4]前記支持シートは、前記保護膜形成フィルムに貼付される粘着剤層が、基材上に積層されている、前記[1]~[3]のいずれか一項に記載のキット。
[5]前記保護膜形成フィルムと前記第2剥離フィルムとの間の剥離力は、記保護膜形成フィルムと前記第1剥離フィルムとの間の剥離力よりも大きく、
前記保護膜形成フィルムと前記第2剥離フィルムとの間の、剥離速度1m/min、温度23℃で測定される180°引きはがし剥離力が、250mN/100mm以下である、前記[1]~[4]のいずれか一項に記載のキット。
【0014】
[6]前記[1]~[5]のいずれか一項に記載のキットをインラインプロセスで使用する、ワーク、前記保護膜形成フィルム及び前記支持シートが、この順に積層された第三積層体の製造方法であって、
前記第一積層体の第1剥離フィルムを剥離させる工程と、
前記ワークに、前記保護膜形成フィルムの露出面を貼付する、第一の積層工程と、
前記保護膜形成フィルムの前記露出面とは反対の面に、前記支持シートを貼付する第二の積層工程とを、この順に含み、
前記第一の積層工程の貼付開始地点から前記第二の積層工程の貼付完了地点までの間の前記ワークの搬送距離が、7000mm以下である、第三積層体の製造方法。
【0015】
[7]前記[1]~[5]のいずれか一項に記載のキットをインラインプロセスで使用する、ワーク、前記保護膜形成フィルム及び前記支持シートが、この順に積層された第三積層体の製造方法であって、
前記第一積層体の第1剥離フィルムを剥離させる工程と、
前記ワークに、前記保護膜形成フィルムの露出面を貼付する第一の積層工程と、
前記保護膜形成フィルムの前記露出面とは反対の面に、前記支持シートを貼付する第二の積層工程とを、この順に含み、
前記第一の積層工程の貼付開始時から前記第二の積層工程の貼付完了時までの間の前記ワークの搬送時間が、400s以下である、第三積層体の製造方法。
【0016】
[8]前記[1]~[5]のいずれか一項に記載のキットをインラインプロセスで使用する、ワーク、前記保護膜形成フィルム及び前記支持シートが、この順に積層された第三積層体の製造方法であって、
前記第一積層体の第1剥離フィルムを剥離させる工程と、
前記ワークに、前記保護膜形成フィルムの露出面を貼付する第一の積層工程と、
前記保護膜形成フィルムの前記露出面とは反対の面に、前記支持シートを貼付する第二の積層工程とを、この順に含み、
前記第一の積層工程から前記第二の積層工程までの間において、前記ワークに前記保護膜形成フィルムが貼付された第二積層体を一枚ずつ搬送する、第三積層体の製造方法。
【0017】
[9]前記第一の積層工程が、80℃以上のウエハテーブル上で行われる、前記[6]~[8]のいずれか一項に記載の第三積層体の製造方法。
[10]前記ワークの、前記保護膜形成フィルムの露出面を貼付する側とは反対の側の面にバックグラインドテープが貼付されており、前記第二の積層工程の後に、前記ワークから、前記バックグラインドテープを剥離させる工程を含む、前記[6]~[9]のいずれか一項に記載の第三積層体の製造方法。
[11]前記第一の積層工程の貼付開始時から、10min未満で、前記ワークから、前記バックグラインドテープを剥離させ始める、前記[10]に記載の第三積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、半導体ウエハ等のワークと、前記ワークの裏面を保護するとともに外観を向上させるための保護膜を形成可能な保護膜形成フィルムと、前記保護膜形成フィルムを支持するために用いられる支持シートとが、この順に積層された第三積層体を、好適にインラインプロセスで製造することができる、前記保護膜形成フィルム及び前記支持シートを備えるキット、並びに、そのキットをインラインプロセスで使用する第三積層体の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態のキットの一例を模式的に示す概略断面図である。
図2】本実施形態の第三積層体の製造方法のうち、第一積層体の第1剥離フィルムを剥離させる工程の一例を模式的に示す断面概要図である。
図3】本実施形態の第三積層体の製造方法のうち、第一の積層工程の一例を模式的に示す断面概要図である。
図4】本実施形態の第三積層体の製造方法のうち、第二の積層工程の一例を模式的に示す断面概要図である。
図5】第三積層体から、バックグラインドテープを正常に剥離させることができた一例を模式的に示す断面概要図である。
図6】従来の保護膜付き半導体チップの製造方法の一例を模式的に示す概略断面図である。
図7】従来の保護膜付き半導体チップの製造方法の他の一例を模式的に示す概略断面図である。
図8】保護膜形成フィルムのはみだし部90が、重面剥離フィルムに持ち帰られてしまった一例、及び、支持シート貼付させたときに割れてしまった一例を模式的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を適用した実施形態の一例であるキット、及び、そのキットを用いる第三積層体の製造方法について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0021】
<<キット>>
図1は、本実施形態のキットの一例を模式的に示す概略断面図である。本実施形態のキットは、第1剥離フィルム151、保護膜形成フィルム13及び第2剥離フィルム152がこの順に積層された第一積層体5と、保護膜形成フィルム13の保護対象となるワーク及び保護膜形成フィルム13を支持するために用いられる支持シート10と、を備える。
【0022】
第1剥離フィルム151及び第2剥離フィルム152のうち、いずれか一方は軽面剥離フィルムであり、他方は重面剥離フィルムであることが好ましい。本実施形態では、第1剥離フィルム151が軽面剥離フィルムであり、第2剥離フィルム152が重面剥離フィルムである。
【0023】
支持シート10としては、基材11のみから構成されたシートや、基材11上に粘着剤層12を有する粘着シートが挙げられる。本実施形態では、支持シート10は、基材11上に粘着剤層12が積層されており、保護膜形成フィルム13の第2剥離フィルム152が剥離された後に、第2剥離フィルム152側の第二面13bに、支持シート10の粘着剤層12を貼付して用いられる。
【0024】
<<キットを用いる第三積層体の製造方法>>
本実施形態の第三積層体の製造方法は、前記キットをインラインプロセスで使用する、ワーク、保護膜形成フィルム13及び支持シート10が、この順に積層された第三積層体の製造方法であって、第一積層体5の第1剥離フィルム151を剥離させる工程と、ワークに、保護膜形成フィルム13の露出面(すなわち、保護膜形成フィルム13の第一面13a)を貼付する第一の積層工程と、保護膜形成フィルムの前記露出面とは反対の面(すなわち保護膜形成フィルムの第二面13b)に、支持シート10を貼付する第二の積層工程とを、この順に含む。
【0025】
図2は、第一積層体5の使用方法の一例であって、本実施形態の第三積層体の製造方法のうち、第一積層体の第1剥離フィルムを剥離させる工程の一例を模式的に示す断面概要図である。
【0026】
第一積層体5(図2(a))は、例えば、軽面剥離フィルムとなる第1剥離フィルム151の側から円形の抜き刃70を当て(図2(b))、第1剥離フィルム151を剥離させる(図2(c))。
【0027】
図3は、本実施形態の第三積層体の製造方法のうち、第一の積層工程の一例を模式的に示す断面概要図である。
【0028】
第一の積層工程において、保護対象となるワーク14(図3(a))に、第一積層体5の第1剥離フィルム151が剥離され、円形になった保護膜形成フィルム13の露出面(すなわち、保護膜形成フィルム13の第一面13a)を貼付する(図3(b)及び図3(c))。
次に、第2剥離フィルム152を剥離して、保護膜形成フィルム13の前記露出面とは反対の面(すなわち保護膜形成フィルムの第二面13b)を露出させる(図3(d))。
【0029】
第一の積層工程は、80℃以上のウエハテーブル上で行われてもよい。
第一の積層工程が80℃以上のウエハテーブル上で行われることにより、保護膜形成フィルム13の第一面13aは、ワーク14が密着性を得ることが難しいような表面状態や材質であったとしても、ワーク14と十分に密着することができ、それにより、保護膜形成フィルムが適用できるワークの種類を増やすことができる。
80℃以上のウエハテーブル上で保護膜形成用複合シート3をワーク14に貼付する場合、保護膜形成用複合シート3の支持シート10も共に加熱されるため、支持シート10の基材11にはしわが発生し易くなる。
【0030】
図8(a)に例示されるように、ワーク14に貼付された保護膜形成フィルム13は、ウエハからはみ出す場合がある。図8(b)に例示されるように、ワーク14に貼付された保護膜形成フィルム13の第2剥離フィルム152を剥離するときに、ワーク14からはみ出した保護膜形成フィルム13のはみだし部90は引き千切られて、第2剥離フィルム152に付着して持ち帰られるおそれがある。
【0031】
保護膜形成フィルム13と第2剥離フィルム152との間の、剥離速度1m/min、温度23℃で測定される180°引きはがし剥離力が、250mN/100mm以下であることが好ましい。ここで、保護膜形成フィルム13と第2剥離フィルム152との間の剥離力は、保護膜形成フィルム13と第1剥離フィルム151との間の剥離力よりも大きい。
保護膜形成フィルム13と第2剥離フィルム152との間の剥離力は、250mN/100mm以下とすることもでき、220mN/100mm以下とすることもでき、200mN/100mm以下とすることもでき、180mN/100mm以下とすることもでき、160mN/100mm以下とすることもでき、140mN/100mm以下とすることもできる。保護膜形成フィルム13と第2剥離フィルム152との間の剥離力が上記上限値以下であることにより、ワーク14に貼付された保護膜形成フィルム13の第2剥離フィルム152を剥離するときに、ワーク14からはみ出した保護膜形成フィルム13のはみだし部90が引き千切られて、第2剥離フィルム152に付着して持ち帰られるおそれを低減することができる。
【0032】
保護膜形成フィルム13と第2剥離フィルム152との間の剥離力は、30mN/100mm以上とすることもでき、50mN/100mm以上とすることもできる。保護膜形成フィルム13と第2剥離フィルム152との間の剥離力が上記下限値以上であることにより、第一積層体5のハンドリング性を優れたものとすることができる。
【0033】
保護膜形成フィルム13と第2剥離フィルムとの間の180°引きはがし剥離力は、次のように測定する。
測定方法:万能型引張試験機(島津製作所社製,製品名「オートグラフAG-IS」)を用いて、JIS Z0237:2009に準拠して、測定距離100mmについて、剥離速度1m/min、温度23℃で測定する。
そして、測定距離の初め10mmと終わり10mmを除いた80mmの間の測定値の平均を「保護膜形成フィルムと第2剥離フィルムとの間の180°引きはがし剥離力」とする。
【0034】
本実施形態の保護膜形成フィルム13は、23℃における破断伸度が700%より大きいものである。保護膜形成フィルム13の、23℃における破断伸度が700%より大きいものであることにより、支持シート10を保護膜形成フィルム13に貼付するときに、ワーク14からはみ出した保護膜形成フィルム13のはみだし部90が割れて飛散するおそれを低減することができる。また、第2剥離フィルム152を剥離するときに、ワーク14からはみ出した保護膜形成フィルム13のはみだし部90が引き千切られるおそれも低減することができ、それにより、第2剥離フィルム152に付着して持ち帰られるおそれを低減することができる。
【0035】
保護膜形成フィルム13の23℃における破断伸度は、次に示す方法により測定できる。
幅が15mmであり、長さが40mmであり、厚さが200μmである保護膜形成フィルムを試験片とし、この試験片を23℃に加温し、引張速度100mm/分、チャック間距離10mmから引っ張ったときの伸び量を測定する。試験片が破断したときの伸び量から破断伸度を求める。
ここで、破断伸度は、JISK7161:2014(ISO527-1:2012)に準拠した引張試験における、試験片破壊時の試験片の長さの増加量(ΔL)の元の長さ(L)に対する割合である。
【0036】
本実施形態において、ワーク14は、一方の面が回路面14aである半導体ウエハであり、ワーク14の回路面14aにバックグラインドテープ17が貼付されていてもよい。
【0037】
図4は、支持シート10の使用方法の一例であって、本実施形態の第三積層体の製造方法のうち、第二の積層工程の一例を模式的に示す断面概要図である。
【0038】
第二の積層工程において、ワーク14に保護膜形成フィルム13が貼付された第二積層体6(図4(d))のうち、保護膜形成フィルムの前記露出面とは反対の面(すなわち保護膜形成フィルムの第二面13b)に、支持シート10を貼付する(図4(e)及び図4(f))。
【0039】
図4に示される第二の積層工程において、ワーク14の裏面14bに積層された保護膜形成フィルム13の第二面13bに、支持シート10を貼付する。支持シート10は、例えば、厚さ80μm、円形のポリプロピレンフィルムであり、外周部に、治具用接着剤層16を備えている。本実施形態では、ワーク14は、保護膜形成フィルム13とともに固定用治具18(例えば、リングフレーム)に固定されている。そして、保護膜形成フィルム13の第二面13bに、支持シート10を貼付するとともに、治具用接着剤層16を介して、固定用治具18(例えば、リングフレーム)に固定される(図4(e))。
支持シート10自体が固定用治具18に対して十分な接着性を有する場合は、治具用接着剤層16を必ずしも備えなくてもよい。
【0040】
本実施形態の保護膜形成フィルム13は、23℃における破断伸度が700%より大きいものである。
図8(a)に例示されるように、ワーク14に貼付された保護膜形成フィルム13は、ワーク14からはみ出す場合がある。図8(c)に例示されるように、支持シート10を保護膜形成フィルム13に貼付するときに、ワーク14からはみ出した保護膜形成フィルム13のはみだし部90は割れて飛散するおそれがある。
保護膜形成フィルム13の、23℃における破断伸度は、700%より大きくすることもでき、800%より大きくすることもでき、1000%より大きくすることもでき、1200%より大きくすることもでき、1400%より大きくすることもでき、1900%より大きくすることもでき、3000%より大きくすることもでき、5000%より大きくすることもでき、7000%より大きくすることもできる。
保護膜形成フィルム13の、23℃における破断伸度が上記範囲内であることにより、支持シート10を保護膜形成フィルム13に貼付するときに、保護膜形成フィルム13のはみだし部90が割れて飛散するおそれを低減することができる。
【0041】
従来、図6(A)で、半導体ウエハ8の裏面8bに、保護膜形成フィルム13を貼付する装置と、図6(D)で、保護膜13’に支持シート10を貼付する装置とは、別々の装置で行われ、それぞれの積層体は、複数の積層体が一のカセットに収容されて、次の装置に搬送することが行われていた。
しかしながら、本実施形態においては、少なくとも、図3に示される第一の積層工程から、図4に示される第二の積層工程までの間を、第一の積層工程を行う装置と第二の積層工程を行う装置を連結した装置内、又は同一の装置内で行うことができ、前記第一の積層工程から前記第二の積層工程までの間において、ワーク14に保護膜形成フィルム13が貼付された第二積層体6を一枚ずつ搬送することができる。すなわち、保護膜形成フィルム13及びワーク14の第二積層体6は、カセットに収容されることなく、図4に示される第二の積層工程に、第一の積層工程を行う装置と第二の積層工程を行う装置を連結した装置内、又は同一の装置内で搬送することができる。これにより、それぞれの工程を別々の装置で行われていた場合に比べて、意図しないゴミの付着等を抑えることができ、生産タクトも向上する。
【0042】
本実施形態において、第一の積層工程の後に、保護膜形成フィルム13から第二面13bの側の第2剥離フィルム152を剥離させる工程も、第一の積層工程を行う装置と第二の積層工程を行う装置を連結した装置内、又は同一の装置内で行う。第一の積層工程の前に、第一積層体5の保護膜形成フィルム13から、第一面13aの側の第1剥離フィルム151を剥離させる工程も、第一の積層工程を行う装置と第二の積層工程を行う装置を連結した装置内、又は同一の装置内で行うことが好ましい。
【0043】
本実施形態においては、図3(b)に示される第一の積層工程の貼付開始地点から、図4(f)に示される第二の積層工程の貼付完了地点までの間のワーク14の搬送距離を、7000mm以下に設計することができ、装置スペースを低減させることができる。図3(b)に示される第一の積層工程の貼付開始地点から、図4(f)に示される第二の積層工程の貼付完了地点までの間のワーク14の搬送距離は、6500mm以下にすることもでき、6000mm以下にすることもでき、4500mm以下にすることもでき、3000mm以下にすることもできる。
第一の積層工程の貼付開始地点から第二の積層工程の貼付完了地点までの間のワーク14の搬送距離が上記範囲内であることにより、保護膜形成フィルムに、空気に浮遊する意図しないゴミが付着するリスクを低減することができる。
【0044】
本実施形態においては、図3(b)に示される第一の積層工程の貼付開始時から、図4(f)に示される第二の積層工程の貼付完了時までの間のワーク14の搬送時間を、400s以下にすることができ、工程時間を短縮することができる。図3(b)に示される第一の積層工程の貼付開始時から、図4(f)に示される第二の積層工程の貼付完了時までの間のワーク14の搬送時間は、350s以下にすることもでき、300s以下にすることもでき、250s以下にすることもでき、200s以下にすることもでき、150s以下にすることもできる。
第一の積層工程の貼付開始時から第二の積層工程の貼付完了時までの間のワーク14の搬送時間が上記上限値以下であることにより、保護膜形成フィルムに、空気に浮遊する意図しないゴミが付着するリスクを低減することができる。
第一の積層工程の貼付開始時から第二の積層工程の貼付完了時までの間のワーク14の搬送時間は、50s以上にすることもでき、100s以上にすることもでき、150s以上にすることもでき、200s以上にすることもできる。
第一の積層工程の貼付開始時から第二の積層工程の貼付完了時までの間のワーク14の搬送時間が上記下限値より大きく、過剰に搬送が速すぎないことで、ワークを搬送する工程中に、ワークが機械アームで保持された状態で移動する場合に、ワークを落とさずに、正しく保持することができる。また、装置の可動部品の摩耗を低減できる。
【0045】
第一の積層工程においてワーク14に保護膜形成フィルム13の露出面を貼付する速度、及び、第二の積層工程において保護膜形成フィルム13の露出面とは反対の面に支持シート10を貼付する速度は、100mm/秒以下とすることもでき、80mm/秒以下とすることもでき、60mm/秒以下とすることもでき、40mm/秒以下とすることもできる。第一の積層工程における前記貼付する速度、及び、第二の積層工程における前記貼付する速度が上記上限値以下であることにより、ワーク14と保護膜形成フィルム13との間の密着性、保護膜形成フィルム13と支持シート10との間の密着性を良好なものとすることができる。
第一の積層工程における前記貼付する速度、及び、第二の積層工程における前記貼付する速度は、2mm/秒以上とすることもでき、5mm/秒以上とすることもでき、10mm/秒以上とすることもできる。第一の積層工程における前記貼付する速度、及び、第二の積層工程における前記貼付する速度が上記下限値以上であることにより、第三積層体19の生産効率を向上させるとともに、第一の積層工程の貼付開始時から第二の積層工程の貼付完了時までの間のワーク14の搬送時間を、400s以下とすることができる。
【0046】
本実施形態においては、続いて、第一の積層工程を行う装置と第二の積層工程を行う装置を連結した装置内、又は同一の装置内で、支持シート10の、保護膜形成フィルム13とは反対の側の第2面10bを吸着テーブル80に吸着させ、第三積層体19から、バックグラインドテープ17を剥離させてもよい。図5は、第三積層体19から、バックグラインドテープ17を正常に剥離させることができた一例を模式的に示す断面概要図である。
【0047】
本実施形態のキットを用いた本実施形態の第三積層体の製造方法は、前記キットをインラインプロセスで使用するものである。本実施形態においては、第二の積層工程の後に、前記ワークから、前記バックグラインドテープを剥離させる工程も、第一の積層工程を行う装置と第二の積層工程を行う装置を連結した装置内、又は同一の装置内で行われ、インラインプロセスで行われる。
本実施形態の第三積層体の製造方法は、第一の積層工程の貼付開始時から、10min未満で、前記ワークから、前記バックグラインドテープを剥離させ始めることができる。これにより、支持シート10が含有する材料と、保護膜形成フィルム13が含有する材料とが、相互移行するリスクを低減することができる。
【0048】
本実施形態において、図3(a)に示されるワーク14として、半導体ウエハを用いている。半導体ウエハの一方の面は回路面14aであり、バンプが形成されている。また、半導体ウエハの回路面14a及びバンプが、半導体ウエハの裏面研削時に潰れたり、ウエハ裏面におけるディンプルやクラックの発生を防止するために、半導体ウエハの回路面14a及びバンプは、回路面保護用テープによって保護されている。回路面保護用テープはバックグラインドテープ17であり、ワーク14である半導体ウエハの裏面(すなわち、ワークの裏面14b)は研削された面である。
【0049】
ワーク14としては、一方に回路面14aを有し、他方の面が裏面と云えるものであれば限定されない。ワーク14として、一方に回路面を有する半導体ウエハや、個片化され個々の電子部品が封止樹脂で封止され、一方に、端子付き半導体装置の端子形成面(換言すると回路面)を有する端子付き半導体装置集合体からなる半導体装置パネル等を例示することができる。
【0050】
バックグラインドテープ17としては、例えば、2016-192488号公報、特開2009-141265号公報に開示された表面保護用シートを用いることができる。バックグラインドテープ17は、適度な再剥離性を有する粘着剤層を備えている。前記粘着剤層は、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ビニルエーテル系など汎用の弱粘着タイプの粘着剤から形成されてもよい。また、前記粘着剤層は、エネルギー線の照射により硬化して再剥離性となるエネルギー線硬化型粘着剤であってもよい。バックグラインドテープ17が両面テープ形状となっており、バックグラインドテープ17のさらに外側が硬質支持体に固定されていてもよく、硬質の支持体にワーク14が固定されていてもよい。
【0051】
本明細書において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味する。エネルギー線の例としては、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンランプ、キセノンランプ、ブラックライト又はLEDランプ等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
また、本明細書において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味し、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味する。
【0052】
<第一積層体>
第一積層体5は、例えば、次の様に調製することができる。厚さ38μmの第2剥離フィルム152の剥離面上に、溶媒を含有する保護膜形成組成物を、ナイフコーターにて塗布した後、オーブンにて120℃で2分間乾燥させて、保護膜形成フィルムを形成する。次いで、保護膜形成フィルムに厚さ38μmの第1剥離フィルム151の剥離面を重ねて両者を貼り合わせ、第1剥離フィルム151と、保護膜形成フィルム(厚さ:25μm)と、第2剥離フィルム152とからなる第一積層体5を得ることができる。このような第一積層体5は、例えば、ロール状として保管するのに好適である。
【0053】
第1剥離フィルム151の剥離面を、例えば、表面粗さRaが200nmの粗面とし、第2剥離フィルム152の剥離面を、前記粗面の表面粗さよりも平滑な、例えば、表面粗さRaが30nmの平滑面とすることで、第一積層体5を調製することができる。
【0054】
あるいは、第1剥離フィルム151の剥離面の面粗さRaと、第2剥離フィルム152の剥離面の表面粗さとが、同じ平滑面であっても、例えば、次の様にして、第一積層体5を調製することができる。
【0055】
すなわち、第2剥離フィルム152の、表面粗さRaが30nmの剥離面上に、溶媒を含有する保護膜形成組成物を、ナイフコーターにて塗布した後、オーブンにて120℃で2分間乾燥させて、保護膜形成フィルムを形成する。次いで、保護膜形成フィルムに厚さ38μmの第1剥離フィルム151の、表面粗さRaが30nmの剥離面を重ねて、例えば、23℃、0.4MPaの条件で、両者を貼り合わせて、第1剥離フィルム151と、保護膜形成フィルム13(厚さ:25μm)と、第2剥離フィルム152とからなる保護膜形成フィルムを得ることができる。これによって、保護膜形成フィルム13の第一面13aと第1剥離フィルム151との間は軽剥離面となり、保護膜形成フィルム13の第二面13bと第2剥離フィルム152との間を前記軽剥離面の剥離強度よりも、大きい剥離強度の重剥離面となる。このような第一積層体5も、例えば、ロール状として保管するのに好適である。
【0056】
保護膜形成フィルムの第1剥離フィルム151側の表面粗さは、保護膜形成フィルムに第1剥離フィルム151の剥離面を貼り合わせる温度及び圧力の条件により調整することができる。保護膜形成フィルムに第1剥離フィルム151の剥離面を貼り合わせる温度及び圧力の条件を高くすれば、保護膜形成フィルムの第1剥離フィルム151側の表面粗さは、第1剥離フィルム151の剥離面の表面粗さに忠実になる。
【0057】
前記ワークの前記裏面側に向かい合わされる、前記保護膜形成フィルムの前記粗面の表面粗さRaは、32~1200nmであってもよく、32~1000nmであることが好ましく、32~900nmであることがより好ましく、32~800nmであることが特に好ましい。
【0058】
前記保護膜形成フィルムの前記粗面の表面粗さRaが大きい方が、実質、剥離フィルムとの接する面積が小さくなる。したがって、前記保護膜形成フィルムの前記粗面の表面粗さRaは、前記下限値以上であることにより、前記保護膜形成フィルムの前記粗面の側を剥離させる際には優先的に剥がれ易くなる。
これにより、軽面剥離フィルムを剥離させる際に、保護膜形成フィルムの軽剥離からの剥離が適切に行われず、保護膜形成フィルムの一部が軽面剥離フィルム上に残存する、いわゆるナキワカレと呼ばれる剥離不良のリスクが低減できる。
【0059】
前記支持シートの側に向かい合わされる、前記保護膜形成フィルムの前記平滑面の表面粗さRaは、20~80nmであることが好ましく、24~50nmであることが好ましく、28~32nmであることが好ましい。
【0060】
前記保護膜形成フィルムの前記平滑面の表面粗さRaに対する、前記保護膜形成フィルムの前記粗面の表面粗さRaの比(粗面の表面粗さRa/平滑面の表面粗さRa)は、1.1~50であってもよく、1.2~45であってもよく、1.3~35であってもよく、1.4~30であってもよく、1.5~24であってもよい。
【0061】
(保護膜形成組成物)
保護膜形成フィルムを形成するための保護膜形成組成物の組成として、強い保護性能が求められない用途では、硬化性成分を含有しない保護膜形成組成物を用いることができ、硬化工程が必要ないので使用が容易である。ただし、脆質なチップによっては、十分な接着性と保護性能を得ることができない可能性はある。保護膜形成フィルムを形成するための保護膜形成組成物の組成としては、重合体成分及び硬化性成分を含有することが好ましい。
【0062】
重合体成分は、硬化性成分にも該当する場合がある。本明細書においては、保護膜形成組成物が、このような重合体成分及び硬化性成分の両方に該当する成分を含有する場合、保護膜形成組成物は、重合体成分及び硬化性成分を含有するとみなす。
【0063】
(重合体成分)
保護膜形成フィルムに十分な粘着性および造膜性(シート形成性)を付与するために重合体成分が用いられる。重合体成分としては、アクリルポリマー、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系ポリマー等を用いることができる。
【0064】
重合体成分の重量平均分子量(Mw)は、1万~200万であることが好ましく、10万~120万であることがより好ましく、20万~100万であることがさらに好ましく、30万~90万であることが特に好ましい。重合体成分の重量平均分子量が上記下限値以上であると、剥離フィルムが剥がし易くなり、ナキワカレと呼ばれる剥離不良のリスクが低減される。重合体成分の重量平均分子量が上記上限値以下であると、保護膜形成フィルムの粘着性の低下によりワークに貼付できなくなることが防止され、貼付後にワークから保護膜形成フィルムが剥離することが防止される。また、重量平均分子量(Mw)が上記の範囲内であることによって、適した破断伸度を達成し易くなる。
【0065】
分子量分布(Mw/Mn)は、4以上であることが好ましく、4.2以上であることがより好ましく、4.5以上であることがさらに好ましく、5.5以上であることが特に好ましく、7以上であることが最も好ましい。分子量分布を上記下限値以上とすることにより、様々な分子量の分子が重合体成分中に存在することで、保護膜形成フィルム13は大きな破断伸度を達成し易くなる。
分子量分布(Mw/Mn)は、14以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、11以下であることがさらに好ましく、10以下であることが特に好ましい。分子量分布を上記上限値以下とすることにより、ワーク14と保護膜形成フィルム13の接着信頼性を向上させることができる。
ここで、Mnは数平均分子量である。
【0066】
各成分の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値である。
【0067】
重合体成分として、アクリルポリマーが好ましく用いられる。アクリルポリマーのガラス転移温度(Tg)は、-60~50℃であることが好ましく、-50~40℃であることがより好ましく、-40~30℃であることがさらに好ましく、例えば、-30~20℃であってもよく、-25~15℃であってもよく、-20~10℃であってもよい。
アクリルポリマーのガラス転移温度が上記下限値以上であると、剥離フィルムが剥がし易くなり、ナキワカレと呼ばれる剥離不良のリスクが低減される。アクリルポリマーのガラス転移温度が上記上限値以下であると、保護膜形成フィルムの粘着性の低下によりワークに貼付できなくなることが防止され、貼付後にワークから保護膜形成フィルムが剥離することが防止され、また、ロール体にして保護膜形成フィルムが屈曲した際に割れ(ヒビ)が発生するリスクが低減される。さらに、ガラス転移温度(Tg)が上記の範囲であることによって、適した破断伸度を達成し易くなる。
【0068】
接着性および造膜性の観点から、重合体成分の好ましい含有量は、保護膜形成フィルム全重量100に対して、5~80質量部であることが好ましく、8~70質量部であることがより好ましく、11~60質量部であることがさらに好ましく、例えば、14~50質量部であってもよく、17~45質量部であってもよく、20~40質量部であってもよい。重合体成分の含有量が上記範囲内であることによって、適した破断伸度を達成し易くなる。
【0069】
重合体成分を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、以下に示すFoxの式を用いて計算から求めることができる。
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+…+(Wm/Tgm)
(式中、Tgは重合体成分を構成する樹脂のガラス転移温度であり、Tg1,Tg2,…Tgmは重合体成分を構成する樹脂の原料となる各単量体のホモポリマーのガラス転移温度であり、W1,W2,…Wmは各単量体の質量分率である。ただし、W1+W2+…+Wm=1である。)
前記Foxの式における各単量体のホモポリマーのガラス転移温度は、粘着ハンドブック又はPolymer Handbook等に記載の値を用いることができる。例えば、ホモポリマーのガラス転移温度は、アクリル酸メチルは10℃、メタクリル酸メチルは105℃、アクリル酸2-ヒドロキシエチルは-15℃、n-ブチルアクリレートは-54℃、グリシジルメタクリレートは41℃である。
【0070】
上記アクリルポリマーを構成するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体が挙げられる。例えば、アルキル基の炭素数が1~18であるアルキル(メタ)アクリレート、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、環状骨格を有する(メタ)アクリレート、具体的にはシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレートなどが挙げられる。さらに官能基を有するモノマーとして、水酸基を有するヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられ;その他、エポキシ基を有するグリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。アクリルポリマーは、水酸基を有しているモノマーを含有しているアクリルポリマーが、後述する硬化性成分との相溶性が良いため好ましい。また、上記アクリルポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレンなどが共重合されていてもよい。
【0071】
さらに、重合体成分として、硬化後の保護膜の可とう性を保持するための熱可塑性樹脂を配合してもよい。そのような熱可塑性樹脂としては、重量平均分子量が1000~10万のものが好ましく、3000~8万のものがさらに好ましい。熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、好ましくは-30~120℃、さらに好ましくは-20~120℃のものが好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレンなどが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。上記の熱可塑性樹脂を含有することにより、保護膜形成フィルムの転写面に保護膜形成フィルムが追従しボイドなどの発生を抑えることができる。
【0072】
(硬化性成分)
硬化性成分は、熱硬化性成分および/またはエネルギー線硬化性成分が用いられる。これにより、保護膜形成フィルムを、熱硬化性および/またはエネルギー線硬化性とすることができる。
【0073】
熱硬化性の保護膜形成フィルムを用いることにより、保護膜形成フィルムを厚膜化しても熱硬化が容易にできるので、保護性能の良好な、保護膜形成フィルムの厚膜化が可能となる。加熱硬化工程では、多数のワークの一括硬化が可能である。
【0074】
エネルギー線硬化性の保護膜形成フィルムを用いることにより、保護膜形成フィルムのエネルギー線硬化が短時間にできる。
【0075】
熱硬化性成分としては、熱硬化樹脂および熱硬化剤が用いられる。熱硬化樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂が好ましい。
【0076】
エポキシ樹脂としては、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂としては、具体的には、多官能系エポキシ樹脂や、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルやその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂など、分子中に2官能以上有するエポキシ化合物が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0077】
熱硬化性成分の好ましい含有量は、保護膜形成フィルム全重量100に対して、1~75質量部であることが好ましく、2~65質量部であることがより好ましく、3~60質量部であることがさらに好ましく、例えば、4~55質量部であってもよく、5~50質量部であってもよく、6~45質量部であってもよい。
熱硬化樹脂の含有量が、上記下限値以上であると保護膜がワークとの十分な接着性を得ることができ、保護膜がワークを保護する性能が優れ、上記上限値以下であるとロール体として保管した際の保管安定性に優れる。
【0078】
熱硬化剤は、熱硬化樹脂、特にエポキシ樹脂に対する硬化剤として機能する。好ましい熱硬化剤としては、1分子中にエポキシ基と反応しうる官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。その官能基としてはフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基および酸無水物などが挙げられる。これらのうち好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基、酸無水物などが挙げられ、さらに好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基が挙げられる。
【0079】
フェノール系硬化剤の具体的な例としては、多官能系フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂が挙げられる。アミン系硬化剤の具体的な例としては、DICY(ジシアンジアミド)が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
【0080】
熱硬化剤の含有量は、熱硬化樹脂100質量部に対して、0.1~500質量部であることが好ましく、1~200質量部であることがより好ましい。熱硬化剤の含有量が、上記下限値以上であると十分に硬化し接着性が得られ、上記上限値以下であると保護膜の吸湿率が抑えられワークと保護膜の接着信頼性が向上する。
【0081】
エネルギー線硬化性成分としては、エネルギー線重合性基を含み、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けると重合硬化する低分子化合物(エネルギー線重合性化合物)を用いることができる。このようなエネルギー線硬化性成分として具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4-ブチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレート系オリゴマー、エポキシ変性アクリレート、ポリエーテルアクリレートおよびイタコン酸オリゴマーなどのアクリレート系化合物が挙げられる。このような化合物は、分子内に少なくとも1つの重合性二重結合を有し、通常は、重量平均分子量が100~30000、好ましくは300~10000程度である。エネルギー線硬化性成分の好ましい含有量は、保護膜形成フィルム全重量100に対して、1~80質量部であることが好ましく、2~70質量部であることがより好ましく、3~60質量部であることがさらに好ましく、例えば、4~50質量部であってもよく、5~40質量部であってもよい。
【0082】
エネルギー線硬化型重合体の主骨格は特に限定はされず、重合体成分として汎用されているアクリルポリマーであってもよく、またポリエステル、ポリエーテル等であっても良いが、合成および物性の制御が容易であることから、アクリルポリマーを主骨格とすることが特に好ましい。
【0083】
エネルギー線硬化型重合体の主鎖または側鎖に結合するエネルギー線重合性基は、たとえばエネルギー線重合性の炭素-炭素二重結合を含む基であり、具体的には(メタ)アクリロイル基等を例示することができる。エネルギー線重合性基は、アルキレン基、アルキレンオキシ基、ポリアルキレンオキシ基を介してエネルギー線硬化型重合体に結合していてもよい。
【0084】
エネルギー線重合性基が結合されたエネルギー線硬化型重合体の重量平均分子量(Mw)は、1万~200万であることが好ましく、10万~150万であることがより好ましい。また、エネルギー線硬化型重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは-60~50℃、さらに好ましくは-50~40℃、特に好ましくは-40~30℃の範囲にある。
【0085】
エネルギー線硬化型重合体は、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基を含有するアクリルポリマーと、該官能基と反応する置換基とエネルギー線重合性炭素-炭素二重結合を1分子毎に1~5個を有する重合性基含有化合物とを反応させて得られる。該官能基と反応する置換基としては、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基等が挙げられる。
【0086】
重合性基含有化合物としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
【0087】
アクリルポリマーは、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基を有する(メタ)アクリルモノマーまたはその誘導体と、これと共重合可能な他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体とからなる共重合体であることが好ましい。
【0088】
ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基を有する(メタ)アクリルモノマーまたはその誘導体としては、たとえば、ヒドロキシル基を有する2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;カルボキシル基を有するアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸;エポキシ基を有するグリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートなどが挙げられる。
【0089】
上記モノマーと共重合可能な他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体としては、例えば、アルキル基の炭素数が1~18であるアルキル(メタ)アクリレート、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ;環状骨格を有する(メタ)アクリレート、具体的にはシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、イミドアクリレートなどが挙げられる。また、上記アクリルポリマーには、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレンなどが共重合されていてもよい。
【0090】
エネルギー線硬化型重合体を使用する場合であっても、前記したエネルギー線重合性化合物を併用してもよく、また重合体成分を併用してもよい。本発明における保護膜形成フィルム中のこれら三者の配合量の関係は、エネルギー線硬化型重合体および重合体成分の質量の和100質量部に対して、エネルギー線重合性化合物が好ましくは1~1500質量部、より好ましくは10~500質量部、特に好ましくは20~200質量部含まれる。
【0091】
熱硬化性の保護膜形成フィルムを熱硬化させて、保護膜を形成するときの硬化条件は、上述の通り、保護膜が十分にその機能を発揮する程度の硬化度となる限り、特に限定されず、熱硬化性の保護膜形成フィルムの種類に応じて、適宜選択すればよい。
【0092】
エネルギー線硬化性の保護膜形成フィルムをエネルギー線硬化させて、保護膜を形成するときの硬化条件は、保護膜が十分にその機能を発揮する程度の硬化度となる限り特に限定されず、エネルギー線硬化性保護膜形成フィルムの種類に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、エネルギー線硬化性保護膜形成フィルムのエネルギー線硬化時における、エネルギー線の照度は、4~280mW/cmであることが好ましい。そして、前記硬化時における、エネルギー線の光量は、3~1000mJ/cmであることが好ましい。
【0093】
保護膜形成フィルムは、上記重合体成分及び硬化性成分に加えて下記成分を含むことができる。
【0094】
(着色剤)
保護膜形成フィルムは、着色剤を含有することが好ましい。保護膜形成フィルムに着色剤を配合することで、半導体装置を機器に組み込んだ際に、周囲の装置から発生する赤外線等を遮蔽し、それらによる半導体装置の誤作動を防止することができ、また保護膜形成フィルムを硬化して得た保護膜に、製品番号等を印字した際の文字の視認性が向上する。すなわち、保護膜を形成された半導体装置や半導体チップでは、保護膜の表面に品番等が通常レーザーマーキング法(レーザー光により保護膜表面を削り取り印字を行う方法)により印字されるが、保護膜が着色剤を含有することで、保護膜のレーザー光により削り取られた部分とそうでない部分のコントラスト差が充分に得られ、視認性が向上する。着色剤としては、有機または無機の顔料および染料が用いられる。耐熱性等の観点から顔料が好ましい。顔料としては、カーボンブラック、酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等が用いられるが、これらに限定されることはない。その中でもハンドリング性や分散性の観点からカーボンブラックが特に好ましい。着色剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0095】
着色剤の配合量は、保護膜形成フィルムを構成する全固形分100質量部に対して、好ましくは0.01~35質量部、より好ましくは0.02~15質量部、さらに好ましくは0.03~10質量部であり、例えば、0.04~5質量部であってもよく、0.05~1.5質量部であってもよく、0.06~1質量部であってもよい。着色剤の配合量が、上記上限値以下であることで、ワーク14に貼付した際の、浮きの有無が確認しやすくなり、上記下限値以下であることで、割れ現象や持ち帰り現象が確認しやすくなる。
【0096】
(硬化促進剤)
硬化促進剤は、保護膜形成フィルムの硬化速度を調整するために用いられる。硬化促進剤は、特に、硬化性成分において、エポキシ樹脂と熱硬化剤とを併用する場合に好ましく用いられる。
【0097】
好ましい硬化促進剤としては、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの3級アミン類;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
【0098】
硬化促進剤は、硬化性成分100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、さらに好ましくは0.1~1質量部の量で含まれる。硬化促進剤を上記範囲の量で含有することにより、高温度高湿度下に曝されても優れた接着特性を有し、厳しいリフロー条件に曝された場合であっても高い接着信頼性を達成することができる。
【0099】
(カップリング剤)
カップリング剤は、保護膜のワークに対する接着信頼性を向上させるために用いてもよい。また、カップリング剤を使用することで、保護膜形成フィルムを硬化して得られる保護膜の耐熱性を損なうことなく、その耐水性を向上することができる。
【0100】
カップリング剤としては、重合体成分、硬化性成分などが有する官能基と反応する基を有する化合物が好ましく使用される。カップリング剤としては、シランカップリング剤が望ましい。このようなカップリング剤としてはγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-6-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-6-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシランなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
【0101】
カップリング剤は、重合体成分および硬化性成分の合計100質量部に対して、通常0.03~20質量部、好ましくは0.05~10質量部、より好ましくは0.1~5質量部の割合で含まれる。カップリング剤の含有量が0.03質量部未満だと上記の効果が得られない可能性があり、20質量部を超えるとアウトガスの原因となる可能性がある。
【0102】
(充填材)
充填材を保護膜形成フィルムに配合することにより、硬化後の保護膜における熱膨張係数を調整することが可能となり、半導体チップに対して硬化後の保護膜の熱膨張係数を最適化することでワークと保護膜の接着信頼性を向上させることができる。充填材として、無機充填材が好ましい。また、硬化後の保護膜の吸湿率を低減させることも可能となる。
【0103】
好ましい無機充填材としては、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維およびガラス繊維等が挙げられる。これらのなかでも、シリカフィラーおよびアルミナフィラーが好ましい。上記無機充填材は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。無機充填材の含有量は、保護膜形成フィルムを構成する全固形分100質量部に対して、例えば、80質量部以下とすることもでき、1~70質量部とすることもでき、2~65質量部とすることもでき、3~60質量部とすることもでき、5~55質量部とすることもでき、10~50質量部とすることもでき、15~45質量部とすることもできる。
無機充填材の含有量を、上記上限値以下とすることにより、ロール体にして保護膜形成フィルムが屈曲した際に割れ(ヒビ)が発生するリスクを低減することができ、上記下限値以上とすることにより、保護膜の耐熱性を向上させることができる。無機充填材の含有量を上記範囲内とすることにより、適した破断伸度を達成し易くなり、適した重面剥離フィルム152の剥離力を達成し易くなる。
【0104】
(光重合開始剤)
保護膜形成フィルムが、前述した硬化性成分としてエネルギー線硬化性成分を含有する場合には、その使用に際して、紫外線等のエネルギー線を照射して、エネルギー線硬化性成分を硬化させる。この際、該組成物中に光重合開始剤を含有させることで、重合硬化時間ならびに光線照射量を少なくすることができる。
【0105】
このような光重合開始剤として具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4-ジエチルチオキサンソン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、1,2-ジフェニルメタン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドおよびβ-クロールアンスラキノンなどが挙げられる。光重合開始剤は1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0106】
光重合開始剤の配合割合は、エネルギー線硬化性成分100質量部に対して0.1~10質量部含まれることが好ましく、1~5質量部含まれることがより好ましい。上記下限値上であると光重合して満足な保護性能を得ることができ、上記上限値以下であると光重合に寄与しない残留物の生成を抑制して保護膜形成フィルムの硬化性を十分なものとすることができる。
【0107】
(架橋剤)
保護膜形成フィルムのワークとの粘着力および凝集性を調節するために、架橋剤を添加することもできる。架橋剤としては有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物などが挙げられる。
【0108】
上記有機多価イソシアネート化合物としては、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物、脂環族多価イソシアネート化合物およびこれらの有機多価イソシアネート化合物の三量体、ならびにこれら有機多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等を挙げることができる。
【0109】
有機多価イソシアネート化合物としては、たとえば2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、3-メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-2,4’-ジイソシアネート、トリメチロールプロパンアダクトトリレンジイソシアネートおよびリジンイソシアネートが挙げられる。
【0110】
上記有機多価イミン化合物としては、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネートおよびN,N’-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等を挙げることができる。
【0111】
架橋剤は重合体成分およびエネルギー線硬化型重合体の合計量100質量部に対して通常0.01~20質量部、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは0.5~5質量部の比率で用いられる。
【0112】
(汎用添加剤)
保護膜形成フィルムには、上記の他に、必要に応じて各種添加剤が配合されてもよい。各種添加剤としては、粘着付与剤、レベリング剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、イオン捕捉剤、ゲッタリング剤、連鎖移動剤などが挙げられる。
【0113】
(溶媒)
保護膜形成組成物は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する保護膜形成組成物は、取り扱い性が良好となる。
前記溶媒は特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソブチルアルコール(2-メチルプロパン-1-オール)、1-ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
保護膜形成組成物が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0114】
保護膜形成組成物が含有する溶媒は、接着剤組成物中の含有成分をより均一に混合できる点から、メチルエチルケトン等であることが好ましい。
【0115】
上記のような各成分からなる保護膜形成組成物を、塗布し、乾燥させて得られる保護膜形成フィルムは、粘着性と硬化性とを有し、未硬化状態ではワーク(半導体ウエハやチップ等)に押圧することで接着する。押圧する際に、保護膜形成フィルムを加熱してもよい。そして硬化を経て最終的には耐衝撃性の高い保護膜を与えることができ、接着強度にも優れ、厳しい高温度高湿度条件下においても十分な保護機能を保持し得る。なお、保護膜形成フィルムは単層構造であってもよく、また上記成分を含む層を1層以上含む限りにおいて多層構造であってもよい。
【0116】
保護膜形成フィルムの厚さは特に限定されないが、3~300μmとすることもでき、3~200μmとすることもでき、5~100μmとすることもでき、7~80μmとすることもでき、10~70μmとすることもでき、12~60μmとすることもでき、15~50μmとすることもでき、18~40μmとすることもでき、20~30μmとすることもできる。
保護膜形成フィルムの厚さが、上記下限値以上であると保護膜の保護性能を十分なものとすることができ、上記上限値以下であると費用を低減し、エネルギー線硬化性の保護膜形成フィルムの内部までエネルギー線を到達させることができる。
【0117】
<支持シート>
本発明の一態様で用いる支持シートとしては、基材のみから構成されたシートや、基材上に粘着剤層が積層されている粘着シートが挙げられる。
支持シートは、保護膜形成フィルムの表面にホコリ等の付着を防止する剥離シート、もしくは、リングフレーム等の固定用治具と保護膜形成フィルム付きワークとに貼付して、機械アームが直接保護膜形成フィルム付きワークに触れずに固定用治具を保持して搬送できる搬送シート等の役割を果たすものである。
【0118】
支持シートの厚さとしては、用途に応じて適宜選択されるが、保護膜形成フィルム付きワークおよび固定用治具に対する貼付性を良好とする観点から、好ましくは10~500μm、より好ましくは20~350μm、さらに好ましくは30~200μmである。
なお、上記の支持シートの厚さには、支持シートを構成する基材の厚さだけでなく、粘着剤層を有する場合には、それらの層や膜の厚さも含むが、保護膜形成フィルムに貼付されない剥離フィルム等は含まない。
【0119】
(基材)
支持シートを構成する基材としては、樹脂フィルムが好ましい。
当該樹脂フィルムとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムや直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム等のポリエチレンフィルム、エチレン・プロピレン共重合体フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が挙げられる。
本発明の一態様で用いる基材は、1種類の樹脂フィルムからなる単層フィルムであってもよく、2種類以上の樹脂フィルムを積層した積層フィルムであってもよい。
また、本発明の一態様においては、上述の樹脂フィルム等の基材の表面に、表面処理を施したシートを支持シートとして用いてもよい。
【0120】
これらの樹脂フィルムは、架橋フィルムであってもよい。
また、これらの樹脂フィルムを着色したもの、又は印刷を施したもの等も使用できる。
さらに、樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂を押出形成によりシート化したものであってもよく、延伸されたものであってもよく、硬化性樹脂を所定手段により薄膜化及び硬化してシート化したものが使われてもよい。
【0121】
これらの樹脂フィルムの中でも、耐熱性に優れ、且つ、適度な柔軟性を有するためにエキスパンド適性を有し、ピックアップ適性も維持されやすいとの観点から、ポリプロピレンフィルムを含む基材が好ましい。
なお、ポリプロピレンフィルムを含む基材の構成としては、ポリプロピレンフィルムのみからなる単層構造であってもよく、ポリプロピレンフィルムと他の樹脂フィルムとからなる複層構造であってもよい。
保護膜形成フィルムが熱硬化性である場合、基材を構成する樹脂フィルムが耐熱性を有することで、基材の熱によるダメージを抑制し、半導体装置の製造プロセスにおける不具合の発生を抑制できる。
【0122】
支持シートを構成する基材の厚さとしては、好ましくは10~500μm、より好ましくは15~300μm、さらに好ましくは20~200μmである。
【0123】
(粘着シート)
本発明の一態様で支持シート10として用いる粘着シートとしては、上述の樹脂フィルム等の基材11上に、粘着剤から形成した粘着剤層12を有するものが挙げられる。粘着剤層12を有することにより、保護膜形成フィルムと支持シートとの間の180°引きはがし粘着力を、容易に調整することができる。
【0124】
粘着剤層の形成材料である粘着剤としては、粘着性樹脂を含む粘着剤組成物が挙げられ、当該粘着剤組成物は、さらに上述の架橋剤や粘着付与剤等の汎用添加剤を含有してもよい。
当該粘着性樹脂としては、その樹脂の構造に着目した場合、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、ビニルエーテル系樹脂等が挙げられ、その樹脂の機能に着目した場合、例えば、エネルギー線硬化型粘着剤等が挙げられる。
【0125】
支持シート10は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。支持シートが複数層からなる場合、これら複数層の構成材料及び厚さは、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0126】
なお、本明細書においては、支持シートの場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
【0127】
支持シートは、透明であってもよいし、不透明であってもよく、目的に応じて着色されていてもよい。
例えば、保護膜形成フィルムがエネルギー線硬化性を有する場合には、支持シートはエネルギー線を透過させるものが好ましい。
例えば、保護膜形成フィルムを、支持シートを介して光学的に検査するためには、支持シートは透明であることが好ましい。
ハンドリング性を良くする観点から、保護膜形成フィルムに貼り付ける前は、支持シートは剥離フィルムを備えていてもよい。
【実施例
【0128】
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
【0129】
[保護膜形成組成物の調製]
次の各成分を、表1及び表2に示すそれぞれの配合比(固形分換算)で混合し、固形分濃度が保護膜形成組成物の総質量に対して、50質量%となるようにメチルエチルケトンで希釈して、半導体ウエハの保護膜形成フィルムを形成するための各々の保護膜形成組成物を調製した。
【0130】
(A-1):重合体成分:ブチルアクリレート4質量部、メチルアクリレート82質量部、グリシジルメタクリレート4質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート10質量部を共重合してなるアクリル系重合体(重量平均分子量:35万、分子量分布(Mw/Mn):4.4)。本成分のガラス転移温度は5℃である。
(A-2)ブチルアクリレート10質量部、メチルアクリレート80質量部、グリシジルメタクリレート4質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート6質量部を共重合してなるアクリル系重合体(重量平均分子量:39万、分子量分布(Mw/Mn):7.8)。本成分のガラス転移温度は1℃である。
【0131】
(B-1)熱硬化樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂:三菱ケミカル社製,jER828,エポキシ当量184~194g/eq
(B-2)熱硬化樹脂:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂:DIC社製,エピクロンHP-7200HH、エポキシ当量255~260g/eq
(B-3)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製,jER1055,エポキシ当量800~900g/eq)
【0132】
(C-1)熱硬化剤:熱活性潜在性エポキシ樹脂硬化剤(ジシアンジアミド(三菱ケミカル製,DICY7 活性水素量21g/eq))
(D-1)硬化促進剤:2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製,キュアゾール(登録商標)2PHZ)
(E-1)充填材:シリカフィラー(アドマテックス社製,SC105G-MMQ(平均粒子径300nm))
(F-1)着色剤:カーボンブラック(三菱ケミカル社製,MA600)
(G-1)カップリング剤:信越化学工業社製,KBM-403
【0133】
[第一積層体の作製]
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理されてなる重面剥離フィルム(前記第2剥離フィルムに相当)(A.リンテック社製「SP-PET501031」、又は、B.リンテック社製「SP-PET502150」)の剥離処理面に、前記各々の保護膜形成組成物をナイフコーターで塗布し、塗布層を形成させた。110℃で2分乾燥させることにより、厚さが25μmである実施例1~実施例8及び比較例1、比較例2の保護膜形成フィルムを形成した。
さらに、この保護膜形成フィルムの露出面(剥離フィルムを備えている側とは反対側の表面)に、別途、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理されてなる軽面剥離フィルム(リンテック社製「SP-PET381130」、厚さ38μm、前記第1剥離フィルムに相当)の剥離処理面を、温度:60℃±5℃、圧力:0.4MPa、速度:1m/minの条件で貼り合わせて、保護膜形成フィルムの両面に剥離フィルムが積層された積層シート(すなわち、実施例1~実施例8及び比較例1、比較例2の第一積層体)を作製した。
【0134】
(粘着剤組成物)
支持シートの製造に用いた粘着剤組成物は、重合体成分100質量部(固形分)及び3官能キシリレンジイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル社製「タケネート(登録商標)D110N」)5質量部(固形分)を含有し、メチルエチルケトン、トルエン及び酢酸エチルの混合溶媒を用いて、固形分濃度を30質量%に調節したものである。
なお、前記重合体成分は、2-エチルヘキシルアクリレート(以下、「2EHA」と略記することがある)70質量部と、メタクリル酸メチルメチル(以下、「MMA」と略記することがある)20質量部と、2-ヒドロキシルエチルアクリレート(以下、「HEA」と略記することがある)10質量部とを共重合させて得られた、重量平均分子量500000のアクリル系共重合体である。
【0135】
[剥離フィルム付き支持シートの製造]
剥離フィルム(リンテック社製「SP-PET382150」、厚さ38μm)の剥離処理面に、前記粘着剤組成物をナイフコーターで塗工し、110℃で2分乾燥させて、粘着剤層(乾燥後厚さ10μm)を形成し、露出面(剥離フィルムを備えている側とは反対側の表面)に、別途、基材であるポリプロピレンフィルム(厚さ80μm、グンゼ社製、ツヤ面の表面粗さ0.1μm、マット面の表面粗さ0.3μm)のツヤ面を貼り合わせて、基材/粘着剤層/剥離フィルムの構成の剥離フィルム付き支持シートを得た。
【0136】
以下、実施例1の第一積層体と、この支持シートとを備えるキットを、実施例1のキットと云い、同様に、実施例2~5のそれぞれの第一積層体と、この支持シートとを備えるキットを、それぞれ、実施例2~5のキットと云い、比較例1の第一積層体と、この支持シートとを備えるキットを、それぞれ、比較例1のキットと云う。
【0137】
[保護膜形成用複合(一体型)シート)]
比較例2の第一積層体(構成は軽面剥離フィルム/保護膜形成フィルム/重面剥離フィルム)の軽面剥離フィルムを剥離し、これの露出面に、上述した支持シートの剥離フィルム(SP-PET382150)を剥離して露出した粘着剤層面に、23℃にてラミネートし、基材/粘着剤層/保護膜形成フィルム/重面剥離フィルムからなる、比較例2の積層体サンプルを用意した。なお、これらの作業は、全て、23℃の環境下で実施した。
【0138】
<ウエハの貼付>
まず、バックグラインドテープ(リンテック社製 ADWILL E-8180HR)が貼付され、#2000により研磨したシリコンウエハ(200mm径、厚さ350μm)を用意した。実施例1~実施例8及び比較例1の第一積層体(構成は軽面剥離フィルム/保護膜形成フィルム/重面剥離フィルム)の軽面剥離フィルムを剥離し、これらの露出面に、シリコンウエハの研磨面を貼付装置(リンテック社製「RAD(登録商標)-3600F/12」と「RAD-2700F/12」の連結装置における「RAD-3600F/12」部分)を用いて、テーブル温度を23℃、60℃、80℃に設定し、速度を20mm/秒に設定して貼付した。次いで、予め、剥離フィルム付き支持シートを、203mm径の円形形状に抜き加工して、軽面剥離フィルムを剥離した。次いで、ウエハ/保護膜形成フィルム/重面剥離フィルムの重面剥離フィルムを剥離して、これらの露出面に、予め軽面剥離フィルムを剥離した支持シートの露出した面を、貼付装置(前記連結装置における「RAD-2700F/12」部分)を用いて、23℃に設定し、速度を20mm/秒に設定して貼付した。このとき、支持シートを8インチウエハ用リングフレームにも貼付した。次いで、ウエハ/保護膜形成フィルム/支持シートからバックグラインドテープを剥離した。第一積層体から軽面剥離フィルムを剥離させる工程から、バックグラインドテープを剥離する工程までの一連の工程は、インラインプロセスにより行った。
保護膜形成フィルムにシリコンウエハの貼付を開始した地点から、保護膜形成フィルムに支持シートの貼付を完了した地点までの間のシリコンウエハの搬送距離は、5000mmであった。
保護膜形成フィルムにシリコンウエハの貼付を開始した時点から、保護膜形成フィルムに支持シートの貼付を完了した時点までの間のシリコンウエハの搬送時間は、300sであった。本明細書において、この搬送時間を単に「搬送時間」という場合がある。
保護膜形成フィルムにシリコンウエハの貼付を開始した時点から、シリコンウエハからバックグラインドテープを剥離させ始めるまでの時間は、7minであった。
【0139】
実施例1の第一積層体に対して、上述したようにウエハ及び支持シートを貼付する作業を搬送時間が300sという条件で30回繰り返した際に、保護膜形成フィルム付きシリコンウエハを正しく保持して搬送できた枚数は30枚であった。
実施例1の第一積層体に対して、上述したようにウエハ及び支持シートを貼付する作業を搬送時間が170sという条件で30回繰り返した際に、保護膜形成フィルム付きシリコンウエハを正しく保持して搬送できた枚数は30枚であった。
実施例1の第一積層体に対して、上述したようにウエハ及び支持シートを貼付する作業を搬送時間が120sという条件で30回繰り返した際に、保護膜形成フィルム付きシリコンウエハを正しく保持して搬送できた枚数が29枚であった。
実施例1の第一積層体に対して、上述したようにウエハ及び支持シートを貼付する作業を搬送時間が60sという条件で30回繰り返した際に、保護膜形成フィルム付きシリコンウエハを正しく保持して搬送できた枚数が28枚であった。
【0140】
比較例2の積層体サンプルの重面剥離フィルムを剥離し、前記保護膜形成フィルムの露出面を、#2000により研磨したシリコンウエハ(200mm径、厚さ350μm)の研磨面を貼付装置(リンテック社製「RAD-2700F/12」)を用いて、テーブル温度を23℃、60℃、80℃に設定し、速度は20mm/秒に設定して貼付した。このとき、積層体サンプルを8インチウエハ用リングフレームにも貼付した。
【0141】
<浮きの有無の確認>
評価方法:上述したように、実施例1~実施例8及び比較例1の第一積層体、比較例2の積層体サンプルをシリコンウエハに貼付したときに、目視により、保護膜形成フィルム/シリコンウエハ間、保護膜形成フィルム/支持シート間における、浮きの有無を確認し、表1、2に、次の基準で評価結果を示した。
(有):目視により、浮きが確認された。
(無):目視により、浮きが確認されなかった。
【0142】
<しわの有無の確認>
評価方法:上述したように、実施例1~実施例8及び比較例1の第一積層体、比較例2の積層体サンプルをシリコンウエハに貼付したときに、目視により、基材におけるしわの有無を確認し、表1、2に、次の基準で評価結果を示した。
(有):目視により、しわが確認された。
(無):目視により、しわが確認されなかった。
【0143】
<重面剥離フィルムの剥離時の持ち帰り現象>
評価方法:上述したように、実施例1~実施例8及び比較例1の第一積層体(構成は軽面剥離フィルム/保護膜形成フィルム/重面剥離フィルム)を、シリコンウエハに貼付した後に、重面剥離フィルムを装置内で剥離したときに、ウエハ端部において、保護膜形成フィルムが重面剥離フィルムと共に剥離しているか否かを、目視により確認し、表1、2に、表1、2に、次の基準で評価結果を示した。
(有):ウエハ端部において、保護膜形成フィルムが重面剥離フィルムと共に剥離していることが、目視により確認された。
(無):ウエハ端部において、保護膜形成フィルムが重面剥離フィルムと共に剥離していることが、目視により確認されなかった。
【0144】
<支持シート貼付時の保護膜形成フィルムの割れ現象>
実施例1~実施例8及び比較例1の第一積層体に、支持シートを、貼付したときに、保護膜形成フィルムのはみだし部が割れているか否かを目視により確認した。
【0145】
評価方法:保護膜形成フィルムのはみだし部が、割れているか否かを、目視により確認し、表1、2に、次の基準で評価結果を示した。
(×):保護膜形成フィルムのはみだし部が割れている箇所が2箇所以上あることが、目視により確認された。
(△):保護膜形成フィルムのはみだし部が割れている箇所が1箇所あることが、目視により確認された。
(〇):保護膜形成フィルムのはみだし部が割れていることが、目視により確認されなかった。
【0146】
<破断伸度の測定>
幅が15mmであり、長さが40mmであり、積層して厚さ200μmにした保護膜形成フィルムを試験片とし、この試験片を23℃に加温し、引張速度100mm/分、チャック間距離10mmで引っ張ったときの伸び量を測定した。試験片が破断したときの伸び量から破断伸度を求めた。
【0147】
<重面剥離フィルムの剥離力の測定>
軽面剥離フィルム/保護膜形成フィルム/重面剥離フィルムの構成体の、軽面剥離フィルムを剥離し、曝露した保護膜形成フィルムに、25μmの良接着PET(東洋紡社製、PET25A-4100)の良接着面を熱ラミネート(70℃,1m/min)で貼付して積層体サンプルを作製した。次いで、100mm幅に切りだし、測定用サンプルを作製した。次いで、測定用サンプルの重面剥離フィルムの背面を両面テープで支持板に固定した。
【0148】
測定方法:万能型引張試験機(島津製作所社製,製品名「オートグラフ(登録商標)AG-IS」)を用いて、23℃において、保護膜形成フィルム/良接着PETの積層体サンプルを、剥離角度180°、剥離速度1m/minで重面剥離フィルムから剥離し、その際の荷重を剥離力とした。
【0149】
【表1】
【0150】
【表2】
【0151】
実施例1~実施例8、比較例1の第1積層体、比較例2の積層体サンプルを、テーブル温度を80℃未満に設定し、ウエハに貼付したときに、保護膜形成フィルムとウエハとの間、保護膜形成フィルムと支持シートとの間には、浮きが確認される場合があった。これに対し、実施例1~実施例8、比較例1の第1積層体、比較例2の積層体サンプルを、テーブル温度を80℃に設定して、ウエハに貼付すると、保護膜形成フィルムとウエハとの間、保護膜形成フィルムと支持シートとの間には、浮きは確認されなかった。
また、実施例1~実施例8、比較例1の第1積層体、比較例2の積層体サンプルを、テーブル温度を80℃に設定して、ウエハに貼付したとき、実施例1~実施例8、比較例1の基材にはしわが観察されなかったが、比較例2の基材にはしわが観察された。
【0152】
実施例1~実施例4、実施例6~実施例8、比較例1のキットは、保護膜形成フィルムと第2剥離フィルムとの間の、剥離速度1m/min、温度23℃で測定される180°引きはがし剥離力が、250mN/100mm以下であるため、保護膜形成フィルムから第2剥離フィルムを剥離したときに、保護膜形成フィルムは重面剥離フィルムと共に剥離していなかった。これに対し、実施例5のキットは、上述の180°引きはがし剥離力が、250mN/100mmより大きいため、保護膜形成フィルムは重面剥離フィルムと共に剥離していた。
【0153】
実施例1~実施例6、実施例8のキットは、23℃における保護膜形成フィルムの破断伸度が700%より大きいため、支持シートをウエハ/保護膜形成フィルムに貼付したときに、保護膜形成フィルムのはみだし部が割れていることが、目視により確認されなかった。
実施例7のキットは、23℃における保護膜形成フィルムの破断伸度が730%であるため、支持シートをウエハ/保護膜形成フィルムに貼付したときに、保護膜形成フィルムのはみだし部が割れている箇所が1箇所あることが、目視により確認された。
比較例1のキットは、23℃における保護膜形成フィルムの破断伸度が700%以下であるため、支持シートをウエハ/保護膜形成フィルムに貼付したときに、保護膜形成フィルムのはみだし部が割れている箇所が2箇所以上あることが、目視により確認された。
【0154】
これらの結果から、実施例1~8のキットを用いることにより、第三積層体を、より好適にインラインプロセスで製造することができることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明のキットは、第三積層体の製造方法に用いることができ、第三積層体は、保護膜付き半導体装置の製造に用いることができる。
【符号の説明】
【0156】
1・・・キット、3・・・保護膜形成用複合シート、5・・・第一積層体、6・・・第二積層体、7・・・保護膜付き半導体チップ、8・・・半導体ウエハ、8b・・・半導体ウエハの裏面、9・・・半導体チップ、10・・・支持シート、10a・・・支持シートの第1面、11・・・基材、11a・・・基材の第1面、12・・・粘着剤層、12a・・・粘着剤層の第1面、13・・・保護膜形成フィルム、13’・・・保護膜、13a・・・保護膜形成フィルムの第一面、13b・・・保護膜形成フィルムの第二面、14・・・ワーク、14a・・・ワークの回路面、14b・・・ワークの裏面、151・・・第1剥離フィルム(軽面剥離フィルム)、152・・・第2剥離フィルム(重面剥離フィルム)、16・・・治具用接着剤層、17・・・バックグラインドテープ、18・・・固定用治具、19・・・第三積層体、19’・・・第四積層体、20・・・半導体装置、21・・・保護膜付き半導体装置、70・・・抜き刃
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8