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特許7540906クラッチ装置、締結体、及び締結体の製造方法
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  • 特許-クラッチ装置、締結体、及び締結体の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】クラッチ装置、締結体、及び締結体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16D 13/52 20060101AFI20240820BHJP
   F16D 13/60 20060101ALI20240820BHJP
   F16B 5/07 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
F16D13/52 Z
F16D13/60 T
F16B5/07 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020119979
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2022016961
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】小寺 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】北野 明男
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-062657(JP,A)
【文献】特開2019-168109(JP,A)
【文献】特開平05-099210(JP,A)
【文献】実開昭53-072048(JP,U)
【文献】実開昭52-123280(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 11/00-23/14
F16B 5/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1貫通孔を含む入力部材と、
第2貫通孔を含み、軸方向において前記入力部材の第1側に配置されるサイドプレート
と、
軸方向において前記入力部材の第2側に配置される本体部、及び前記本体部から軸方向
の第1側に延びて前記第2貫通孔を貫通する中実の円柱状のカシメ用ピン、を有するクラッチアウタと、
を備え、
前記本体部と前記カシメ用ピンとは、一つの部材によって構成され、
前記サイドプレートと前記クラッチアウタとは、前記カシメ用ピンによって互いに締結
れ、
前記本体部は、
前記入力部材の第2側に配置される円板部と、
前記円板部から軸方向の第1側に突出して前記第1貫通孔内に配置される突出部と、
を有し、
前記カシメ用ピンは、前記突出部から軸方向の第1側に延びる、
クラッチ装置。
【請求項2】
前記クラッチアウタは、アルミニウム合金によって構成される、
請求項1に記載のクラッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチ装置、締結体、及び締結体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動二輪車及びバギーなどのモータサイクルには、エンジンからの動力をトランスミッションに伝達又は遮断するためにクラッチ装置が用いられている。このクラッチ装置のクラッチアウタは、ドリブンギアに取り付けられている。詳細には、リベットを用いてサイドプレートとクラッチアウタとを締結することによって、クラッチアウタがドリブンギアに取り付けられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-001019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クラッチアウタとサイドプレートとを締結するリベットの本数又は種類は、機種毎に異なることがある。このため、リベットの本数又は種類を間違えてクラッチアウタとサイドプレートとを締結してしまうというヒューマンエラーが発生し得るという問題がある。
【0005】
本発明の課題は、締結体を製造する際のリベットに関するヒューマンエラーを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面に係るクラッチ装置は、入力部材、サイドプレート、及びクラッチアウタを備える。入力部材は、第1貫通孔を含む。サイドプレートは、第2貫通孔を含む。サイドプレートは、軸方向において入力部材の第1側に配置される。クラッチアウタは、本体部及びカシメ用ピンを有する。本体部は、軸方向において入力部材の第2側に配置される。カシメ用ピンは、本体部から軸方向の第1側に延びる。カシメ用ピンは、第2貫通孔を貫通する。本体部とカシメ用ピンとは、一つの部材によって構成される。サイドプレートとクラッチアウタとは、カシメ用ピンによって互いに締結されている。
【0007】
この構成によれば、クラッチアウタにカシメ用ピンが一体形成されているため、サイドプレートとクラッチアウタとを締結する際に作業者がリベットを選択する必要が無い。このため、リベットの本数や種類を間違えることがなくなり、締結体を製造する際のリベットに関するヒューマンエラーを防止することができる。
【0008】
本体部は、円板部及び突出部を有していてもよい。円板部は、入力部材の第2側に配置される。突出部は、円板部から軸方向の第1側に突出する。突出部は、第1貫通孔内に配置される。カシメ用ピンは、突出部から軸方向の第1側に延びる。
【0009】
クラッチアウタは、アルミニウム合金によって構成されていてもよい。
【0010】
本発明の第2側面に係るクラッチ装置は、被締結部材、及び主部材を備えている。被締結部材は、貫通孔を含む。主部材は、本体部、及びカシメ用ピンを含む。カシメ用ピンは、本体部から延びる。カシメ用ピンは、貫通孔を貫通する。本体部とカシメ用ピンとは、一つの部材によって構成されている。被締結部材と主部材とは、カシメ用ピンによって互いに締結されている。
【0011】
被締結部材及び主部材は、モータサイクルに用いられる部材であってもよい。
【0012】
本発明の第3側面に係る締結体の製造方法は、カシメ用ピンを含む主部材と、貫通孔を含む被締結部材と、を有する締結体の製造方法である。この製造方法は、ダイカスト工程と、カシメ工程とを含む。ダイカスト工程では、アルミニウム合金によって構成される主部材をダイカストによって形成する。カシメ工程では、カシメ用ピンを貫通孔内に挿入し、カシメ用ピンをカシメ加工することによって、主部材と被締結部材とを互いに締結する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、締結体を製造する際のリベットに関するヒューマンエラーを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】クラッチ装置の断面図。
図2】サイドプレートを取り外した状態のクラッチ装置の正面図。
図3】クラッチアウタの断面図。
図4】変形例に係るクラッチ装置の断面図。
図5】変形例に係るクラッチ装置の正面図(サイドプレートを取り外した状態)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るクラッチ装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態に係るクラッチ装置は、モータサイクルに使用される。本実施形態において、「軸方向」とは、クラッチ装置の回転軸Oが延びる方向を示す。「軸方向の第1側」とは、軸方向の一方の側を示し、「軸方向の第2側」とは軸方向の他方の側を示す。軸方向の第2側は、軸方向の第1側の反対側である。なお、本実施形態では、「軸方向の第1側」は、図1の左側なり、「軸方向の第2側」とは、図1の右側となる。また、周方向とは、回転軸Oを中心とした円の周方向を示す。径方向とは、回転軸Oを中心とした円の径方向を示す。
【0016】
[全体構成]
図1に示すように、クラッチ装置100は、エンジンからの動力をトランスミッションに伝達したり、その伝達を遮断したりするように構成されている。クラッチ装置100は、回転軸Oを中心に回転可能である。
【0017】
クラッチ装置100は、ドリブンギア2(入力部材の一例)、サイドプレート3(被締結部材の一例)、クラッチアウタ4(主部材の一例)、クラッチセンタ5、プレッシャプレート6、及びクラッチ部7を備えている。また、クラッチ装置100は、レリーズプレート8及び付勢部材9をさらに備えている。
【0018】
[ドリブンギア]
ドリブンギア2は、エンジンからの動力が入力される部材である。ドリブンギア2は、エンジン側のクランク軸に固定された駆動ギア(図示せず)に噛み合っている。ドリブンギア2は、回転可能に配置されている。
【0019】
図2に示すように、ドリブンギア2は、円盤状である。ドリブンギア2は、複数の第1貫通孔21を有する。第1貫通孔21は軸方向に貫通している。第1貫通孔21は、円周方向に延びる長孔である。各第1貫通孔21は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。各第1貫通孔21は、同一円周上に配置されている。ドリブンギア2は、焼結材、又は鋼材などによって構成されている。
【0020】
[サイドプレート]
図1に示すように、サイドプレート3は、ドリブンギア2に対して、軸方向の第1側に配置されている。サイドプレート3は、環状である。サイドプレート3は、ドリブンギア2の各第1貫通孔21を覆うように配置されている。サイドプレート3は、鋼材、又は熱処理された鋼材などによって構成されている。サイドプレート3の厚さは、特に限定されないが、例えば、1~3mm程度である。
【0021】
サイドプレート3は、複数の第2貫通孔31を有している。第2貫通孔31は、軸方向に貫通している。各第2貫通孔31は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。各第2貫通孔31は、同一円周上に配置されている。第2貫通孔31は、第1貫通孔21と連通している。
【0022】
[クラッチアウタ]
クラッチアウタ4は、ドリブンギア2に対して、軸方向の第2側に配置されている。すなわち、クラッチアウタ4とサイドプレート3とによって、ドリブンギア2を挟んでいる。クラッチアウタ4は、回転可能に配置されている。クラッチアウタ4は、ドリブンギア2から動力が伝達される。
【0023】
図3に示すように、クラッチアウタ4は、本体部41及び複数のカシメ用ピン42を有している。本体部41と複数のカシメ用ピン42とは、一つの部材によって構成されている。例えば、クラッチアウタ4は、アルミニウム合金によって構成されている。
【0024】
本体部41は、ドリブンギア2に対して、軸方向の第2側に配置されている。本体部41は、円板部411、筒状部412、及び複数の突出部413を有している。円板部411、筒状部412、及び各突出部413は、一つの部材によって構成されている。
【0025】
円板部411は、円盤状である。円板部411は、中央部に開口部414を有している。筒状部412は、円板部411の外周縁部から軸方向の第2側に延びている。この筒状部412には、例えば、軸方向に延びる複数の切欠き415が周方向に間隔をあけて形成されている。
【0026】
突出部413は、円板部411から軸方向の第1側に突出している。各突出部413は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。各突出部413は、同一円周上に配置されている。突出部413は、ドリブンギア2の第1貫通孔21内に配置されている。
【0027】
図2に示すように、第1貫通孔21内には、周方向において突出部413の両側に弾性部材11が配置されている。なお、本実施形態では、突出部413を囲むように弾性部材11が配置されている。弾性部材11は、例えば、ゴムやコイルスプリングなどである。このように、クラッチアウタ4は、弾性部材11を介してドリブンギア2から動力が伝達される。このため、エンジンからの振動は弾性部材11によって吸収される。
【0028】
図3に示すように、カシメ用ピン42は、本体部41から軸方向の第1側に延びている。詳細には、カシメ用ピン42は、突出部413から軸方向の第1側に延びている。カシメ用ピン42は、本体部41と一つの部材によって構成されている。
【0029】
図1に示すように、カシメ用ピン42は、ドリブンギア2に対して、軸方向の第1側に配置されている。各カシメ用ピン42は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。各カシメ用ピン42は、同一円周上に配置されている。
【0030】
カシメ用ピン42は、サイドプレート3の第2貫通孔31を貫通している。カシメ用ピン42の先端部は、第2貫通孔31を超えて軸方向の第1側に延びている。そして、このカシメ用ピン42の先端部は、第2貫通孔31よりも大きい径を有している。また、好ましくは、カシメ用ピン42は、第2貫通孔31内を十分に充填している。このカシメ用ピン42によって、サイドプレート3とクラッチアウタ4とが互いに締結されて固定されている。
【0031】
[クラッチセンタ]
クラッチセンタ5は、クラッチアウタ4に対して軸方向の第2側に配置されている。また、クラッチセンタ5は、クラッチアウタ4の筒状部412の径方向内側に配置されている。クラッチセンタ5は、回転可能に配置されている。クラッチセンタ5は、クラッチアウタ4に対して相対回転可能である。
【0032】
クラッチセンタ5は、受圧部51を備えている。受圧部51はクラッチセンタ5の外周部に形成されている。受圧部51は、環状である。受圧部51は、軸方向の第1側を向いている。この受圧部51は、クラッチ部7と対向している。
【0033】
クラッチセンタ5は略円板状であって、中央部にボス部52が形成されている。ボス部52の中央部には軸方向に延びるスプライン孔53が形成されている。このスプライン孔53には、トランスミッションの入力軸(図示省略)が嵌合する。ボス部52とドリブンギア2の中央部との間には、スラストプレート12が設けられている。クラッチセンタ5は、軸方向において移動しない。
【0034】
[プレッシャプレート]
プレッシャプレート6は、回転可能に配置されている。プレッシャプレート6は、軸方向に移動可能である。
【0035】
プレッシャプレート6は、押圧部61を有している。プレッシャプレート6は環状である。押圧部61は環状である。押圧部61は、軸方向の第2側を向いている。また、押圧部61は、軸方向において、受圧部51と間隔をあけて配置されている。
【0036】
押圧部61と受圧部51との間に、クラッチ部7が配置されている。すなわち、軸方向の第1側から第2側に向かって、押圧部61、クラッチ部7,受圧部51の順に並んでいる。クラッチ部7を除いた状態では、押圧部61と受圧部51とは対向するように配置されている。
【0037】
押圧部61は、軸方向の第2側に向かってクラッチ部7を押圧する。押圧部61は、軸方向において最も第1側に配置された第1又は第2クラッチプレートの摩擦フェーシングと摩擦係合が可能である。押圧部61と受圧部51との間において、クラッチ部7が挟み込まれることによって、クラッチオン(動力伝達状態)となる。
【0038】
プレッシャプレート6は、複数の柱部62を有している。各柱部62は、軸方向の第2側に延びている。各柱部62は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。この各柱部62の先端部にレリーズプレート8が取り付けられている。
【0039】
[クラッチ部]
クラッチ部7は、少なくとも1枚の第1クラッチプレート71と少なくとも1枚の第2クラッチプレート72とを有する。第1及び第2クラッチプレート71,72は、受圧部51と押圧部61との間に配置されている。第1及び第2クラッチプレート71,72を介して、クラッチアウタ4とクラッチセンタ5との間で動力の伝達を伝達したり、その動力の伝達が遮断されたりする。これらの両クラッチプレート71,72はともに環状に形成されており、軸方向に交互に配置されている。
【0040】
第1クラッチプレート71は、クラッチアウタ4に対して、軸方向に移動可能であり且つ相対回転不能である。すなわち、第1クラッチプレート71は、クラッチアウタ4と一体的に回転する。詳細には、第1クラッチプレート71の外周部には径方向外側に突出する複数の係合突起が形成されている。この係合突起がクラッチアウタ4の筒状部412に形成された切欠き415に噛み合っている。第1クラッチプレート71には両面に摩擦材が貼付されている。軸方向において最も第1側に配置された第1クラッチプレート71の摩擦材は、クラッチセンタ5の受圧部51と摩擦係合が可能である。
【0041】
第2クラッチプレート72は、内周端部において径方向内側に突出する複数の係合突起が形成されている。この係合突起は、クラッチセンタ5に形成された係合溝55に噛み合っている。したがって、第2クラッチプレート72は、クラッチセンタ5に対して、軸方向に移動可能であり且つ相対回転不能である。すなわち、第2クラッチプレート72は、クラッチセンタ5と一体的に回転する。なお、第1クラッチプレート71ではなく第2クラッチプレート72の両面に摩擦材が貼付されていてもよい。
【0042】
[レリーズプレート]
レリーズプレート8は、クラッチセンタ5よりも、軸方向の第2側に配置されている。レリーズプレート8は、略円板状である。レリーズプレート8は、中央部に開口部81を有している。図示しないレリーズ機構が、開口部81に連結される。
【0043】
[付勢部材9]
付勢部材9は、例えばコイルスプリングである。この付勢部材9は、クラッチセンタ5とレリーズプレート8との間に配置されている。また、付勢部材9は、柱部62を囲むように配置されている。
【0044】
付勢部材9は、押圧部61を受圧部51に向かって付勢している。すなわち、付勢部材9は、プレッシャプレート6を軸方向の第2側に付勢している。詳細には、付勢部材9は、レリーズプレート8を介してプレッシャプレート6を軸方向の第2側に付勢している。
【0045】
[クラッチ装置の動作]
次に、クラッチ装置100の動作について説明する。レリーズ操作がなされていない状態では、プレッシャプレート6は、付勢部材9によって軸方向の第2側に付勢されている。この結果、押圧部61と受圧部51とによってクラッチ部7を挟み込み、クラッチ部7が伝達状態となる。このような状態では、エンジンからのトルクが、ドリブンギア2、及びクラッチアウタ4に入力され、クラッチ部7を介して、クラッチセンタ5に伝達される。
【0046】
次に、ライダーがクラッチレバーを握ると、その操作力はクラッチワイヤ等を介してレリーズ機構に伝達される。このレリーズ機構によって、レリーズプレート8は付勢部材9の付勢力に抗して軸方向の第1側に移動する。プレッシャプレート6もレリーズプレート8とともに軸方向の第2側に移動する。この結果、プレッシャプレート6のクラッチ部7への押圧力が解除されてクラッチ部7はオフ状態になる。このクラッチオフ状態では、クラッチアウタ4からの回転はクラッチセンタ5には伝達されない。
【0047】
[製造方法]
次に、サイドプレート3及びクラッチアウタ4によって構成される締結体の製造方法について説明する。まず、クラッチアウタ4をダイカストによって形成する。具体的には、溶融したアルミニウム合金を金型内に圧入してクラッチアウタ4を形成する。
【0048】
次に、ドリブンギア2を準備する。また、サイドプレート3を準備し、このサイドプレート3をドリブンギア2に対して軸方向の第1側に配置する。また、クラッチアウタ4をドリブンギア2に対して軸方向の第2側に配置する。ここで、クラッチアウタ4の突出部413は、ドリブンギア2の第1貫通孔21内に配置される。
【0049】
次に、カシメ用ピン42をサイドプレート3の第2貫通孔31内に挿入する。そして、第2貫通孔31から軸方向の第1側に突出するカシメ用ピン42の先端部をプレス等によって軸方向の第2側に向かって押し潰して、カシメ用ピン42をカシメ加工する。これにより、クラッチアウタ4とサイドプレート3とが互いに締結されて固定される。以上により、サイドプレート3とクラッチアウタ4とによる締結体が完成する。
【0050】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0051】
変形例1
例えば、上記実施形態では、クラッチアウタ4とサイドプレート3とを互いに締結させた締結体を例示したが、締結体の構成はこれに限定されず、クラッチアウタ4及びサイドプレート3以外の部材を互いに締結させた締結体であってもよい。
【0052】
変形例2
図4に示すように、プレッシャプレート6は、クラッチセンタ5に対して軸方向の第2側に配置されていてもよい。この場合、受圧部51は軸方向の第2側を向き、押圧部61は軸方向の第1側を向く。
【0053】
この変形例では、プレッシャプレート6ではなく、クラッチセンタ5が複数の柱部54を有している。この各柱部54の先端部に、支持プレート10が取り付けられている。支持プレート10は環状である。支持プレート10の外周端部は、軸方向の第1側に向かって折れ曲がっている。
【0054】
付勢部材9は、例えばダイヤフラムスプリングである。この付勢部材9は、支持プレート10に対して軸方向の第1側に配置されている。また、付勢部材9は、プレッシャプレート6に対して、軸方向の第2側に配置されている。
【0055】
付勢部材9は、環状である。付勢部材9の外周端部は、支持プレート10の外周端部と当接している。付勢部材9は、この支持プレート10の外周端部との当接部を支点として、軸方向に移動する。付勢部材9の内周端部は、レリーズプレート8の外周端部と当接している。付勢部材9の外周端部と内周端部との中間部は、プレッシャプレート6に当接している。
【0056】
この変形例に係るクラッチ装置100では、レリーズ操作がなされていない状態では、プレッシャプレート6は、付勢部材9によって軸方向の第1側に付勢されている。この結果、押圧部61と受圧部51とによってクラッチ部7を挟み込み、クラッチ部7が伝達状態となる。
【0057】
レリーズ操作がされることによって、レリーズプレート8は付勢部材9の付勢力に抗して軸方向の第2側に移動する。レリーズプレート8が軸方向の第2側に移動すると、付勢部材9によるプレッシャプレート6への付勢力が弱まる。この結果、プレッシャプレート6のクラッチ部7への押圧力が解除されてクラッチ部7はオフ状態になる。
【0058】
変形例3
図5に示すように、第1貫通孔21内において、突出部413は、一対の弾性部材11によって挟まれていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
2 ドリブンギア
21 第1貫通孔
3 サイドプレート
31 第2貫通孔
4 クラッチアウタ
41 本体部
411 円板部
413 突出部
42 カシメ用ピン
図1
図2
図3
図4
図5