(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240820BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20240820BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/306 R
H01L21/304 648
(21)【出願番号】P 2020138006
(22)【出願日】2020-08-18
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】中井 仁司
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-140385(JP,A)
【文献】特開2017-069264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/306
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体供給口を有し、回転可能なスピンベースと、
前記スピンベースに配置され、基板と接触することで前記基板を支持する複数の基板支持部と、
前記複数の基板支持部によって支持された前記基板に対して第1処理流体を供給する第1流体供給部と、
前記複数の基板支持部を上昇または下降させる昇降部と、
前記スピンベース、前記複数の基板支持部、前記第1流体供給部、および、前記昇降部を収容するチャンバーと
、
第2流体供給部と
を備え、
前記気体供給口は、前記基板の裏面と前記スピンベースとの間に第1気体を供給することで負圧を発生させて、前記複数の基板支持部が前記基板を支持していない状態において前記基板を前記スピンベースに保持させ、
前記第1気体の供給によって前記基板が前記スピンベースに保持される場合、前記昇降部は、前記複数の基板支持部を前記基板の下面よりも下方に退避させ
、
前記第2流体供給部は、前記第1気体の供給によって前記スピンベースに保持された前記基板に対して、前記基板の裏面の反対の表面の側から第2処理流体を供給し、
前記第2流体供給部が前記第2処理流体の供給を開始する前に、前記昇降部は、前記複数の基板支持部を前記基板の下面よりも下方に退避させ、
前記第1流体供給部は、前記複数の基板支持部によって支持された前記基板に対して、前記基板の裏面の側から前記第1処理流体を供給する、基板処理装置。
【請求項2】
前記第2流体供給部は、前記第1気体の供給によって前記スピンベースに保持された前記基板の周縁部に対して、前記基板の裏面の反対の表面の側から前記第2処理流体を供給する、請求項
1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記昇降部は、前記複数の基板支持部を退避させる場合、所定位置で前記複数の基板支持部を停止させ、
前記所定位置は、前記基板の裏面と前記スピンベースとの間の空間に対して、前記基板支持部の少なくとも一部が、前記スピンベースの回転軸線に対する径方向に対向する位置を示し、
前記複数の基板支持部が前記所定位置で停止している状態において、前記気体供給口は、前記基板の裏面と前記スピンベースとの間の前記空間に前記第1気体を供給する、請求項1
または請求項
2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記スピンベースの回転軸線に対する前記基板の偏心量を検出する偏心検出部と、
前記偏心検出部の検出結果に基づいて、前記基板の偏心を矯正する偏心矯正部と
をさらに備え、
前記第1気体の供給によって前記基板を保持する状態から、前記複数の基板支持部によって前記基板を支持する状態へ変更される場合、前記複数の基板支持部によって前記基板を支持する前に、前記偏心矯正部は、前記偏心検出部の検出結果に基づいて前記基板の偏心を矯正し、または、
前記複数の基板支持部によって前記基板を支持する状態から、前記第1気体の供給によって前記基板を保持する状態へ変更される場合、前記第1気体の供給によって前記基板を保持する前に、前記偏心矯正部は、前記偏心検出部の検出結果に基づいて前記基板の偏心を矯正する、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板に第2気体を供給する気体供給ユニットをさらに備え、
前記気体供給ユニットは、
前記基板の上方から前記基板に対向する対向部材と、
前記対向部材に配置され、前記基板の上方から前記基板に対して前記第2気体を供給する気体供給部と
を含む、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
スピンベースに配置された複数の基板支持部を基板に接触させることで、前記基板を支持する工程と、
前記複数の基板支持部によって支持された前記基板に対して第1処理流体を供給する工程と、
前記基板の裏面と前記スピンベースとの間に気体を供給することで負圧を発生させて、前記複数の基板支持部が前記基板を支持していない状態において前記基板を前記スピンベースに保持させる工程と、
前記気体の供給によって前記スピンベースに保持された前記基板に対して第2処理流体を供給する工程と、
前記第2処理流体を供給する前記工程よりも前に、前記複数の基板支持部を前記基板の下面よりも下方に下降させる工程と
を含む、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されている装置は、ウエハを処理するための装置である。装置は、回転チャックと、非回転プレートとを備える。回転チャックは、ウエハを囲む一連の接触要素を有する。非回転プレートは、一連の接触要素の内側に設置される。非回転プレートは、ガス供給部を備える。ガス供給部は、ベルヌーイの定理に従って、非回転プレートに接触せずにウエハを支持するようにガスを供給する。装置で実施される通常のプロセスは、ウエハのベベルエッチングのみ、または、裏面エッチングを伴うベベルエッチングである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている装置では、ベベルエッチングを実行する際に、基板Wから飛散したエッチング液(処理流体)が、接触要素(基板支持部)に当たって、接触要素によって跳ね返される可能性がある。接触要素によって跳ね返されたエッチング液は、例えば、基板のうちベベルエッチングの対象領域以外の領域に付着する可能性があり、ベベルエッチングの精度に影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板に供給された処理流体が基板支持部によって跳ね返されることを抑制できる基板処理装置および基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、スピンベースと、複数の基板支持部と、第1流体供給部と、昇降部と、チャンバーと、第2流体供給部とを備える。スピンベースは、気体供給口を有し、回転可能である。複数の基板支持部は、前記スピンベースに配置され、基板と接触することで前記基板を支持する。第1流体供給部は、前記複数の基板支持部によって支持された前記基板に対して第1処理流体を供給する。昇降部は、前記複数の基板支持部を上昇または下降させる。チャンバーは、前記スピンベース、前記複数の基板支持部、前記第1流体供給部、および、前記昇降部を収容する。前記気体供給口は、前記基板の裏面と前記スピンベースとの間に第1気体を供給することで負圧を発生させて、前記複数の基板支持部が前記基板を支持していない状態において前記基板を前記スピンベースに保持させる。前記第1気体の供給によって前記基板が前記スピンベースに保持される場合、前記昇降部は、前記複数の基板支持部を前記基板の下面よりも下方に退避させる。前記第2流体供給部は、前記第1気体の供給によって前記スピンベースに保持された前記基板に対して、前記基板の裏面の反対の表面の側から第2処理流体を供給する。前記第2流体供給部が前記第2処理流体の供給を開始する前に、前記昇降部は、前記複数の基板支持部を前記基板の下面よりも下方に退避させる。前記第1流体供給部は、前記複数の基板支持部によって支持された前記基板に対して、前記基板の裏面の側から前記第1処理流体を供給する。
【0008】
本発明の一態様においては、前記第2流体供給部は、前記第1気体の供給によって前記スピンベースに保持された前記基板の周縁部に対して、前記基板の裏面の反対の表面の側から前記第2処理流体を供給してもよい。
【0009】
本発明の一態様においては、前記昇降部は、前記複数の基板支持部を退避させる場合、所定位置で前記複数の基板支持部を停止させてもよい。前記所定位置は、前記基板の裏面と前記スピンベースとの間の空間に対して、前記基板支持部の少なくとも一部が、前記スピンベースの回転軸線に対する径方向に対向する位置を示してもよい。前記複数の基板支持部が前記所定位置で停止している状態において、前記気体供給口は、前記基板の裏面と前記スピンベースとの間の前記空間に前記第1気体を供給してもよい。
【0010】
本発明の一態様においては、基板処理装置は、偏心検出部と、偏心矯正部とをさらに備えていてもよい。偏心検出部は、前記スピンベースの回転軸線に対する前記基板の偏心量を検出してもよい。偏心矯正部は、前記偏心検出部の検出結果に基づいて、前記基板の偏心を矯正してもよい。前記第1気体の供給によって前記基板を保持する状態から、前記複数の基板支持部によって前記基板を支持する状態へ変更される場合、前記複数の基板支持部によって前記基板を支持する前に、前記偏心矯正部は、前記偏心検出部の検出結果に基づいて前記基板の偏心を矯正してもよい。または、前記複数の基板支持部によって前記基板を支持する状態から、前記第1気体の供給によって前記基板を保持する状態へ変更される場合、前記第1気体の供給によって前記基板を保持する前に、前記偏心矯正部は、前記偏心検出部の検出結果に基づいて前記基板の偏心を矯正してもよい。
【0011】
本発明の一態様においては、基板処理装置は、前記基板に第2気体を供給する気体供給ユニットをさらに備えていてもよい。前記気体供給ユニットは、対向部材と、気体供給部とを含んでいてもよい。対向部材は、前記基板の上方から前記基板に対向してもよい。気体供給部は、前記対向部材に配置され、前記基板の上方から前記基板に対して前記第2気体を供給してもよい。
【0012】
本発明の他の局面によれば、基板処理方法は、スピンベースに配置された複数の基板支持部を基板に接触させることで、前記基板を支持する工程と、前記複数の基板支持部によって支持された前記基板に対して第1処理流体を供給する工程と、前記基板の裏面と前記スピンベースとの間に気体を供給することで負圧を発生させて、前記複数の基板支持部が前記基板を支持していない状態において前記基板を前記スピンベースに保持させる工程と、前記気体の供給によって前記スピンベースに保持された前記基板に対して第2処理流体を供給する工程と、前記第2処理流体を供給する前記工程よりも前に、前記複数の基板支持部を前記基板の下面よりも下方に下降させる工程とを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基板に供給された処理流体が基板支持部によって跳ね返されることを抑制できる基板処理装置および基板処理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態1に係る基板処理装置の内部を示す側面図である。
【
図2】実施形態1に係る基板処理装置のベベル処理を示す断面図である。
【
図3】実施形態1に係る基板処理装置における基板支持部の乾燥処理を示す断面図である。
【
図4】実施形態1に係る基板処理装置の裏面処理を示す断面図である。
【
図5】実施形態1に係る基板処理装置の偏心矯正処理を示す断面図である。
【
図6】実施形態1に係る基板処理装置の気体供給ユニットを示す断面図である。
【
図7】実施形態1に係る基板処理装置の基板支持部による基板の支持状態の一例を示す断面図である。
【
図8】実施形態1に係る基板処理装置が実行する基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図9】(a)は、本発明の実施形態2に係る基板処理装置のスピンチャックを示す平面図である。(b)は、実施形態2に係る基板処理装置の基板支持部を示す平面図である。(c)は、実施形態2に係る基板支持部の基板支持部材を示す側面図である。
【
図10】(a)(b)は、実施形態2に係る基板処理方法の一部を示す模式図である。
【
図11】実施形態2に係る基板処理方法の他の一部を示す模式図である。
【
図12】実施形態2に係る基板処理方法のさらに他の一部を示す模式図である。
【
図13】実施形態2に係る基板処理方法のさらに他の一部を示す模式図である。
【
図14】実施形態2に係る基板処理方法のさらに他の一部を示す模式図である。
【
図15】実施形態2に係る基板処理方法のさらに他の一部を示す模式図である。
【
図16】実施形態2に係る基板処理方法のさらに他の一部を示す模式図である。
【
図17】(a)(b)は、実施形態2の変形例に係る基板処理装置を示す模式図である。
【
図18】実施形態2に係る基板処理装置のスピンチャックを示す断面図である。
【
図19】実施形態2に係る基板処理装置の基板支持部を示す上面図である。
【
図20】実施形態2に係る基板処理装置のスピンチャックを示す断面図である。
【
図21】実施形態2に係る基板支持部を示す側面図である。
【
図22】実施形態2に係る基板処理装置の基板支持部を示す上面図である。
【
図23】実施形態2に係る基板処理装置の基板支持部材と基板の周縁との位置関係を示す上面図である。
【
図24】実施形態2に係る基板処理装置の磁石支持部材および駆動磁石を部分的に示す上面図である。
【
図25】実施形態2に係る基板処理装置のカム板、軸、昇降板、および、従動磁石の位置関係を示す側面図である。
【
図26】実施形態2に係る基板処理装置のカム板、軸、昇降板、および、従動磁石の位置関係を示す側面図である。
【
図27】実施形態2に係る基板処理装置のスピンチャックを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図中、理解を容易にするために、X軸、Y軸、および、Z軸を適宜図示している。X軸、Y軸、およびZ軸は互いに直交し、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。また、図中、図面を見易くするために、断面を示すハッチングを省略する場合がある。さらに、基板Wの回転軸線AXに対する径方向を「径方向RD」と記載し、回転軸線AXに対する周方向を「周方向CD」と記載し、回転軸線AXに略平行な方向を「軸方向AD」と記載する。なお、「平面視」は、対象物を鉛直方向から見ることを示す。
【0016】
(実施形態1)
図1~
図8を参照して、本発明の実施形態1に係る基板処理装置100を説明する。まず、
図1を参照して基板処理装置100を説明する。
図1は、実施形態1に係る基板処理装置100の内部を示す側面図である。
【0017】
図1に示す基板処理装置100は、基板Wを処理流体によって処理する。処理流体は、例えば、処理ガスまたは処理液である。基板処理装置100は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型である。基板Wは略円板状である。
【0018】
基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、または、太陽電池用基板である。以下の実施形態1の説明では、基板Wは、半導体ウエハである。
【0019】
処理流体は、基板Wに接触する流体である限りは、特に限定されない。処理流体としての処理液は、例えば、薬液またはリンス液である。
【0020】
薬液は、例えば、希フッ酸(DHF)、フッ酸(HF)、フッ硝酸(フッ酸と硝酸(HNO3)との混合液)、バファードフッ酸(BHF)、フッ化アンモニウム、HFEG(フッ酸とエチレングリコールとの混合液)、燐酸(H3PO4)、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(例えば、クエン酸、シュウ酸)、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)、硫酸過酸化水素水混合液(SPM)、アンモニア過酸化水素水混合液(SC1)、塩酸過酸化水素水混合液(SC2)、イソプロピルアルコール(IPA)、界面活性剤、腐食防止剤、または、疎水化剤である。
【0021】
リンス液は、例えば、脱イオン水、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、または、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水である。
【0022】
また、処理流体としての処理ガスは、例えば、基板Wと反応する反応ガス、または、不活性ガスである。反応ガスは、例えば、オゾンガス、フッ素ガス、フッ化水素を含む気体、または、IPAを含む気体である。不活性ガスは、例えば、窒素、ヘリウム、または、アルゴンである。
【0023】
図1に示すように、基板処理装置100は、チャンバー1と、スピンチャック3と、モーター筐体5と、昇降部7と、ノズル9と、第2流体供給機構11と、ノズル移動部13と、ガード15と、ガード移動部17と、制御装置CTとを備える。なお、第1流体供給機構270については、
図4を参照して後述する。
【0024】
制御装置CTは、昇降部7、第2流体供給機構11、ノズル移動部13、ガード移動部17、および、その他の各要素を制御する。制御装置CTは、例えば、コンピューターである。例えば、制御装置CTは、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーと、記憶装置とを含む。記憶装置は、データおよびコンピュータープログラムを記憶する。具体的には、記憶装置は、半導体メモリーのような主記憶装置と、半導体メモリー、ソリッドステートドライブ、および/または、ハードディスクドライブのような補助記憶装置とを含む。記憶装置は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。記憶装置は、非一時的コンピューター読取可能記憶媒体の一例に相当する。
【0025】
チャンバー1は略箱形状を有する。チャンバー1は、基板W、スピンチャック3、モーター筐体5、昇降部7、ノズル9、第2流体供給機構11の一部、ノズル移動部13、ガード15、および、ガード移動部17を収容する。
【0026】
スピンチャック3は回転可能である。そして、スピンチャック3は、基板Wを支持して回転する。具体的には、スピンチャック3は、チャンバー1内で基板Wを水平に保持しながら、回転軸線AXの回りに基板Wを回転させる。具体的には、スピンチャック3は、後述するモーター250(
図2)によって駆動されて回転する。スピンチャック3は、スピンベースSBと、複数の基板支持部MCとを含む。スピンベースSBは回転可能である。複数の基板支持部MCは、スピンベースSBに配置され、基板Wを支持可能である。複数の基板支持部MCの各々は、ベース部材31と、基板支持部材33とを含む。
図1では、基板Wは、後述するベルヌーイチャックによって保持されており、複数の基板支持部MCは基板Wを支持していない。スピンチャック3の詳細は後述する。
【0027】
モーター筐体5は、中空の部材である。モーター筐体5は、後述するモーター250および昇降部7を収容する。
【0028】
昇降部7は、複数の基板支持部MCを上昇または下降させる。例えば、昇降部7は、退避位置(以下、説明の便宜のため「退避位置PL」と記載)に位置する各基板支持部MCを、基板支持位置(以下、説明の便宜のため「基板支持位置PU」と記載)まで上昇させる。例えば、昇降部7は、基板支持位置PUに位置する各基板支持部MCを、退避位置PLまで下降させる。
図1では、各基板支持部MCは退避位置PLに位置する。
【0029】
基板支持位置PUは、各基板支持部MCが基板Wを支持する位置を示す(後述の
図2)。退避位置PLは、基板支持位置PUの下方の位置であって、基板Wと基板支持部MCとが径方向RDに対向しない位置である(後述の
図2)。
図1の例示において、退避位置PLでは、基板支持部MCは、スピンベースSBの上面37よりも下方に位置する。
【0030】
具体的には、昇降部7は昇降機構である。つまり、昇降部7は、駆動部71と、磁石支持部材73と、駆動磁石75と、従動磁石77とを含む。磁石支持部材73は、例えば、略円環形状を有する。駆動磁石75は、例えば、略円環形状を有する。駆動磁石75は、磁石支持部材73に支持される。駆動磁石75は、磁石支持部材73に固定される。従動磁石77は、例えば、略円環形状を有する。従動磁石77は、複数の基板支持部MCに対して、直接的または間接的に取り付けられる。
【0031】
駆動磁石75は、従動磁石77との間で磁力を働かせる。具体的には従動磁石77と駆動磁石75との間には斥力が働く。
【0032】
駆動部71は、磁石支持部材73を上昇させる。磁石支持部材73が上昇することにより、駆動磁石75が上昇する。そして、従動磁石77は、駆動磁石75との間に働く磁力に起因する斥力により上昇する。その結果、各基板支持部MCは、上昇する。よって、各基板支持部MCは、例えば、基板支持位置PUに配置される。
【0033】
一方、駆動部71は、磁石支持部材73を下降させる。磁石支持部材73が下降することにより、駆動磁石75が下降する。そして、従動磁石77は、駆動磁石75との間に働く磁力に起因する斥力を受けつつ下降する。その結果、各基板支持部MCは、下降する。よって、各基板支持部MCは、例えば、退避位置PLに配置される。
【0034】
駆動部71は、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モーターとを含む。なお、磁石支持部材73を昇降できる限りにおいては、駆動部71の構成は、特に限定されない。
【0035】
ノズル9は、基板Wの回転中に基板Wに向けて第2処理流体FL2を供給する。実施形態1では、第2処理流体FL2は処理液である。ノズル9は、「第2流体供給部」の一例に相当する。ノズル9の詳細は後述する。また、第1処理流体FL1については、
図4を参照して後述する。
【0036】
第2流体供給機構11は、ノズル9に第2処理流体FL2を供給する。第2流体供給機構11は、配管111と、バルブ113とを含む。配管111はノズル9に第2処理流体FL2を供給する。バルブ113は、ノズル9に対する第2処理流体FL2の供給開始と供給停止とを切り替える。バルブ113が開かれると、第2処理流体FL2が配管111を通ってノズル9に供給される。その結果、ノズル9は、第2処理流体FL2を基板Wに向けて吐出する。
【0037】
ノズル移動部13は、略鉛直方向および略水平方向にノズル9を移動する。具体的には、ノズル移動部13は、アーム131と、ノズル移動機構133とを含む。アーム131は略水平方向に沿って延びる。アーム131の先端部にはノズル9が配置される。ノズル移動機構133は、アーム131を略水平面に沿って回動させる。その結果、ノズル9が略水平面に沿って移動する。ノズル移動機構133は、例えば、アーム131を略水平面に沿って回動させるための電動モーターを含む。また、ノズル移動機構133は、アーム131を略鉛直方向に沿って昇降させる。その結果、ノズル9が略鉛直方向に沿って移動する。この場合、ノズル移動機構133は、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モーターとを含む。
【0038】
ガード15は、基板Wから排出された処理流体(後述の第1処理流体FL1または第2処理流体FL2)を受け止める。ガード15は略筒形状を有する。例えば、ガード15は、略円筒形状の円筒部15aと、張り出し部15bとを含む。張り出し部15bは、例えば、円筒部15aの上端から、径方向RD内側に向かって斜め上方に張り出している。
【0039】
ガード移動部17は、ガード15を上昇または下降する。その結果、ガード15が上昇または下降する。ガード移動部17は、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モーターとを含む。
【0040】
次に、
図2を参照して、基板処理装置100によるベベル処理を説明する。
図2は、基板処理装置100のベベル処理を示す断面図である。
図2に示すように、ノズル9は、回転中の基板Wに対して、基板Wの裏面F2の反対の表面F1の側から第2処理流体FL2を供給する。実施形態1では、ノズル9は、ベベル処理を実行する。ベベル処理とは、回転中の基板Wの表面F1の側から、基板Wの周縁部EGに向けて第2処理流体FL2を供給して、基板Wの周縁部EGを処理することである。実施形態1では、第2処理流体FL2は、処理液(例えば、エッチング液)である。例えば、ノズル9は、ベベル処理によって、基板Wの周縁部EGに存在する膜をエッチングして除去する。
【0041】
本明細書において、基板Wの裏面F2は、基板Wの両面のうち、スピンベースSBに対して軸方向ADに対向する面を示す。従って、基板Wの裏面F2は、基板Wの下面を示す。基板Wの表面F1は、基板Wの両面のうち、裏面F2の反対側の面を示す。基板Wの表面F1は、基板Wの上面を示す。
【0042】
ベベル処理の実行期間において、各基板支持部MCは、退避位置PLに位置し、基板Wと接触していない。
図2では、理解を容易にするために、退避位置PLおよび基板支持位置PUが破線によって示されている。
図2の例示において、退避位置PLでは、基板支持部MCは、基板Wの裏面F2(基板Wの下面)よりも下方に位置する。
【0043】
ベベル処理の実行期間において、基板Wは、ベルヌーイ効果によってスピンベースSBに保持される。ベルヌーイ効果とは、基板Wの裏面F2とスピンベースSBの上面37との間に気体が流れることにより負圧が発生して、大気圧によって基板Wが下方に押圧される現象のことである。負圧は、基板Wの裏面F2とスピンベースSBの上面37との間に発生する。
【0044】
具体的には、スピンベースSBは、少なくとも1つの気体供給口45を有する。実施形態1では、スピンベースSBは複数の気体供給口45を有する。
【0045】
複数の気体供給口45は、スピンベースSBの上面37に配置される。具体的には、平面視において、複数の気体供給口45は、周方向CDに沿って間隔をあけつつ上面37に配置される。気体供給口45は、基板支持部MCよりも径方向RD内側に配置される。
【0046】
複数の気体供給口45は、スピンベースSBの上面37から径方向RD外側に向かって第1気体GAを吹き出す。つまり、複数の気体供給口45は、基板Wの裏面F2とスピンベースSBとの間の空間SPEに第1気体GAを供給することで空間SPEに負圧を発生させて、複数の基板支持部MCが基板Wを支持していない状態において基板WをスピンベースSBに保持させる。空間SPEは、基板Wの裏面F2とスピンベースSBの上面37との間の空間SPLのうち、径方向RD外側の空間SPEを示す。実施形態1では、第1気体GAは不活性ガスである。
【0047】
さらに具体的には、スピンベースSBは、少なくとも1つの支持体39と、穴40と、流路41と、少なくとも1つの流路43とをさらに有する。実施形態1では、スピンベースSBは、複数の支持体39および複数の流路43を有する。また、基板処理装置100は、第1気体供給機構210と、内軸体220と、外軸体230と、モーター250とをさらに備える。第1気体供給機構210の一部、内軸体220、外軸体230、および、モーター250は、チャンバー1に収容される。また、第1気体供給機構210およびモーター250は、制御装置CTによって制御される。
【0048】
複数の支持体39は、スピンベースSBの上面37から上方に向けて突出している。支持体39は、例えば、上方に向かって先細りの形状を有する。具体的には、平面視において、複数の支持体39は、周方向CDに沿って間隔をあけつつ上面37に配置される。支持体39は、例えば、気体供給口45よりも径方向RD外側に配置され、基板支持部MCよりも径方向RD内側に配置される。
図2では、複数の支持体39が基板Wを支持している。
【0049】
穴40は、略円柱形状を有する。穴40は、鉛直方向に沿って外軸体230からスピンベースSBの内部まで延びている。内軸体220および外軸体230は、鉛直方向に沿って延びており、略円筒形状を有する。内軸体220および外軸体230は、スピンベースSBに結合される。内軸体220は、穴40の内部に配置される。その結果、外軸体230の内部およびスピンベースSBの内部に、略円筒形状の流路41が形成される。つまり、穴40の壁面と内軸体220の外壁面とで流路41が形成される。流路41は鉛直方向に沿って延びる。
【0050】
複数の流路43は、流路41に連通する。そして、複数の流路43は、それぞれ、流路41の上端から複数の気体供給口45まで延びる。複数の流路43は、平面視において、回転軸線AXを中心として放射状に延びている。
【0051】
第1気体供給機構210は、複数の気体供給口45に第1気体GAを供給する。具体的には、第1気体供給機構210は、配管211と、バルブ213とを含む。配管211は流路41に第1気体GAを供給する。バルブ213は、流路41に対する第1気体GAの供給開始と供給停止とを切り替える。バルブ213が開かれると、第1気体GAが配管211を通って流路41に供給される。
【0052】
そして、第1気体GAは、流路41から複数の流路41を通って、複数の気体供給口45から吹き出される。この場合、各気体供給口45は、基板Wの裏面F2とスピンベースSBの上面37との間の空間SPEに向けて第1気体GAを吹き出す。従って、第1気体GAは、基板Wの裏面F2とスピンベースSBの上面37との間から、径方向RD外側に向かって流出する。その結果、空間SPEに負圧が発生し、基板Wが下方に押圧される。よって、基板Wが複数の支持体39に保持される。気体供給口45は、例えば、「ノズル」または「気体供給部」である。
【0053】
以下、説明の便宜のため、複数の気体供給口45および複数の支持体39を「ベルヌーイチャック」と記載する場合がある。また、複数の気体供給口45から空間SPEへの第1気体GAの供給を開始して基板Wを保持することを「ベルヌーイチャックのオン」と記載する場合がある。さらに、複数の気体供給口45から空間SPEへの第1気体GAの供給を停止して基板Wの保持を解除することを「ベルヌーイチャックのオフ」と記載する場合がある。
【0054】
モーター250は、外軸体230を回転させることで、スピンチャック3を回転軸線AXの回りに回転させる。つまり、モーター250は、外軸体230を回転させることで、スピンベースSBを回転軸線AXの回りに回転させる。その結果、第1気体GAの供給によってスピンベースSBに保持された基板Wは、スピンベースSBとともに、回転軸線AXの回りに回転する。
【0055】
ノズル9は、モーター250によって回転している基板Wであって、第1気体GAの供給によってスピンベースSB(具体的には複数の支持体39)に保持された基板Wに対して、基板Wの裏面F2の反対の表面F1の側から第2処理流体FL2を供給する。具体的には、ノズル9は、回転中の基板Wであって、第1気体GAの供給によってスピンベースSB(具体的には複数の支持体39)に保持された基板Wの周縁部EGに対して、基板Wの裏面F2の反対の表面F1の側から第2処理流体FL2を供給する。この場合、ノズル9は、基板Wの上方に位置し、鉛直方向に対して斜め下方に向けて第2処理流体FL2を吐出する。ノズル9は、例えば、鉛直方向に対して傾斜する流路を有する。なお、第1気体GAの供給によってスピンベースSBに保持された基板Wは、ベルヌーイチャックによって保持された基板Wを示す。
【0056】
以上、
図1および
図2を参照して説明したように、実施形態1によれば、第1気体GAの供給によってスピンベースSBに基板Wを保持させることができる。この場合、複数の基板支持部MCは基板Wを支持する必要がないので、昇降部7は、複数の基板支持部MCを基板支持位置PUから下降させることができる。従って、実施形態1によれば、複数の基板支持部MCが基板Wを支持していない状態において、基板Wに供給された第2処理流体FL2が基板支持部MCによって跳ね返されることを抑制できる。つまり、基板Wから飛散した第2処理流体FL2が、基板支持部MCによって跳ね返されることを抑制できる。従って、例えば、第2処理流体FL2が、跳ね返されて基板Wのうちの処理対象の領域以外の領域に付着することを抑制できる。
【0057】
特に、実施形態1において、第1気体GAの供給によって基板WがスピンベースSB(具体的には複数の支持体39)に保持される場合、昇降部7は、複数の基板支持部MCを基板Wの裏面F2(基板Wの下面)よりも下方に退避させる。従って、基板Wに供給された第2処理流体FL2が基板支持部MCによって跳ね返されることを効果的に抑制できる。例えば、昇降部7は、基板支持部MCの上端部33tを基板Wの裏面F2(基板Wの下面)よりも下方に退避させる。
図2の例示では、昇降部7は、基板支持部MCの上端部33tをスピンベースSBの上面37よりも下方に退避させている。基板支持部MCの上端部33tは、基板支持部材33の上端部33tのことである。
【0058】
また、実施形態1では、ノズル9が基板Wに対して第2処理流体FL2の供給を開始する前に、昇降部7は、複数の基板支持部MCを基板Wの裏面F2(基板Wの下面)よりも下方に退避させることが好ましい。この好ましい例によれば、基板Wに供給された第2処理流体FL2が基板支持部MCによって跳ね返されることをさらに効果的に抑制できる。
【0059】
具体的には、ベベル処理では、第2処理流体FL2が基板Wから飛散し易い。従って、ベベル処理の開始前に、基板支持部MCを基板Wの裏面F2(基板Wの下面)よりも下方に退避させることで、ベベル処理によって基板Wから飛散した第2処理流体FL2が基板支持部MCによって跳ね返されることを抑制できる。その結果、例えば、第2処理流体FL2が、跳ね返されて基板Wのうちのベベル処理の対象領域以外の領域に付着することを抑制できる。
【0060】
また、実施形態1において、第1気体供給機構210は、ヒーターなどの加熱部(不図示)を含んでいてもよい。この場合、第1気体供給機構210は、加熱された第1気体GAを、流路41、43および気体供給口45に供給する。従って、気体供給口45は、加熱された第1気体GAを吹き出す。その結果、第1気体GAによって基板Wの周縁部EGが加熱される。よって、ベベル処理時の処理速度を向上できる。
【0061】
次に、
図3を参照して、基板支持部MCの乾燥処理を説明する。
図3は、基板支持部MCの乾燥処理を示す断面図である。
図3に示すように、昇降部7は、基板支持位置PUから下方に向けて複数の基板支持部MCを退避させる場合、所定位置PMで複数の基板支持部MCを停止させる。所定位置PMは、基板Wの裏面F2とスピンベースSBとの間の空間SPEに対して、基板支持部MCの少なくとも一部が、スピンベースSBの回転軸線AXに対する径方向RDに対向する位置を示す。そして、複数の基板支持部MCが所定位置PMで停止している状態において、気体供給口45は、基板Wの裏面F2とスピンベースSBとの間の空間SPEに第1気体GAを供給する。従って、第1気体GAが基板支持部MCに吹き付けられる。その結果、実施形態1によれば、基板支持部MCの乾燥を促進できる。
図3の例示において、所定位置PMでは、基板支持部MCは、基板Wの裏面F2(基板Wの下面)よりも下方に位置する。なお、所定位置PMが退避位置PLに設定されてもよい。
【0062】
図3の例では、所定位置PMは、基板Wの裏面F2とスピンベースSBとの間の空間SPEに対して、基板支持部材33が径方向RDに対向する位置を示す。この場合、基板支持部材33の乾燥を特に促進できる。なお、基板支持部材33の鉛直方向の長さによっては、所定位置PMは、空間SPEに対して、基板支持部材33およびベース部材31の上面31aが径方向RDに対向する位置を示してもよい。この場合、基板支持部材33およびベース部材31の上面31aの乾燥を特に促進できる。
【0063】
次に、
図4を参照して、基板Wの裏面処理を説明する。
図4は、基板処理装置100の裏面処理を示す断面図である。
図4に示すように、基板処理装置100は、ノズル19をさらに備える。ノズル19は、回転中の基板Wに対して第1処理流体FL1を供給する。ノズル19は、スピンベースSBに配置され、回転軸線AX上に位置する。実施形態1では、第1処理流体FL1は、処理液または処理ガスである。ノズル19は、「第1流体供給部」の一例に相当する。
【0064】
実施形態1では、ノズル19は、裏面処理を実行する。裏面処理とは、回転中の基板Wの裏面F2の側から、基板Wに向けて第1処理流体FL1を供給して、基板Wの裏面F2を処理することである。
【0065】
裏面処理の実行期間において、複数の基板支持部MCは、基板支持位置PUに位置する。そして、複数の基板支持部MCは、基板Wと接触することで基板Wを支持する。換言すれば、複数の基板支持部MCは、第1処理流体FL1による処理の実行期間において、基板Wと接触することで基板Wを支持する。さらに換言すれば、複数の基板支持部MCは、第1処理流体FL1による処理を実行するために基板Wを支持する。また、平面視において、複数の基板支持部MCは、周方向CDに沿って間隔をあけつつスピンベースSBに配置される。基板支持部MCは、例えば、気体供給口45および支持体39よりも径方向RD外側に配置される。なお、複数の支持体39は、基板Wに対して軸方向ADに離隔している。
【0066】
具体的には、複数の基板支持部MCは、基板Wの周縁部EGを支持している。
図4の例では、複数の基板支持部材33が、基板Wの側方から基板Wの周縁部EGを支持する。加えて、複数のベース部材31の上面31aが、基板Wの下方から基板Wの周縁部EGを支持する。すなわち、複数の基板支持部MCは、基板支持部材33とベース部材31の上面31aとで基板Wを保持している。
図4等では、図面を見易くするために、ベース部材31の上面31aと基板Wの裏面F2との接触面積を誇張して大きく示しているが、ベース部材31の上面31aと基板Wの裏面F2との接触面積は小さい程好ましい。
【0067】
例えば、基板支持部材33およびベース部材31の各々は、略円柱形状を有する。基板支持部材33は、例えば、ピンである。ただし、基板Wを支持できる限りにおいては、基板支持部材33およびベース部材31の形状は特に限定されない。
【0068】
例えば、基板支持部MCは、鉛直方向に略平行な回転軸線(以下、説明の便宜のため「回転軸線J」と記載)の回りに回転可能であってもよいし、回転軸線Jの回りに回転不能であってもよい。基板支持部MCが回転軸線Jの回りに回転可能である場合は、例えば、基板支持部材33は、時計回りに回転することで基板Wに接触して基板Wを支持し、反時計回りに回転することで基板Wから離隔して基板Wを開放する。以下、基板支持部MCが回転軸線Jの回りに回転することを、基板支持部MCの「自転」と記載する場合がある。
【0069】
例えば、複数の基板支持部MCは、昇降部7によって退避位置PLから基板支持位置PUまで上昇されることで、基板Wを支持する。一方、例えば、複数の基板支持部MCは、昇降部7によって基板支持位置PUから退避位置PLまで下降されることで、基板Wの支持を解除する。
【0070】
以下、説明の便宜のため、複数の基板支持部MCを「メカニカルチャック」と記載する場合がある。また、複数の基板支持部MCによって基板Wを支持することを「メカニカルチャックのオン」と記載する場合がある。さらに、複数の基板支持部MCが基板Wの支持を解除することを「メカニカルチャックのオフ」と記載する場合がある。
【0071】
ノズル19は、モーター250によって回転している基板Wであって、複数の基板支持部MCによって支持された基板Wに対して第1処理流体FL1を供給する。具体的には、ノズル19は、回転中の基板Wであって、複数の基板支持部MCによって支持された基板Wに対して、基板Wの裏面F2の側から第1処理流体FL1を供給する。つまり、ノズル19は、基板Wの裏面F2とスピンベースSBとの間の空間SPLに第1処理流体FL1を供給する。その結果、基板Wの裏面F2が第1処理流体FL1によって処理される。この場合、ノズル9は、上方に向かって開口しており、基板Wの裏面F2に向けて第1処理流体FL1を吐出する。なお、複数の基板支持部MCによって支持された基板Wは、メカニカルチャックによって支持された基板Wを示す。
【0072】
具体的には、内軸体220は流路47を有する。流路47は、鉛直方向に沿って延びており、回転軸線AX上に位置する。ノズル19は、流路47に連通しており、流路47の上端と接続される。また、基板処理装置100は、第1流体供給機構270をさらに備える。第1流体供給機構270は制御装置CTによって制御される。
【0073】
第1流体供給機構270は、ノズル19に対して、流路47を介して第1処理流体FL1を供給する。その結果、ノズル19は第1処理流体FL1を吐出する。
【0074】
図4の例では、第1処理流体FL1は、薬液CH、リンス液LN、または、不活性ガスGBである。具体的には、第1流体供給機構270は、配管271と、バルブ273、275、277とを含む。配管271は流路47に接続される。従って、第1処理流体FL1は配管271から流路47に供給される。
【0075】
配管271には、バルブ273、275、277が配置される。バルブ273は、配管271に対する薬液CHの供給開始と供給停止とを切り替える。バルブ273が開かれ、バルブ275、277が閉じられると、薬液CHが配管271に供給される。従って、配管271および流路47からノズル19に薬液CHが供給される。その結果、ノズル19は、基板Wの裏面F2に薬液CHを供給する。よって、基板Wの裏面F2が薬液CHによって処理される。
【0076】
バルブ275は、配管271に対するリンス液LNの供給開始と供給停止とを切り替える。バルブ275が開かれ、バルブ273、277が閉じられると、リンス液LNが配管271に供給される。従って、配管271および流路47からノズル19にリンス液LNが供給される。その結果、ノズル19は、基板Wの裏面F2にリンス液LNを供給する。よって、基板Wの裏面F2がリンス液LNによって洗浄される。
【0077】
バルブ277は、配管271に対する不活性ガスGBの供給開始と供給停止とを切り替える。バルブ277が開かれ、バルブ273、275が閉じられると、不活性ガスGBが配管271に供給される。従って、配管271および流路47からノズル19に不活性ガスGBが供給される。その結果、ノズル19は、基板Wの裏面F2に不活性ガスGBを供給する。よって、基板Wの裏面F2が不活性ガスGBによって乾燥される。
【0078】
なお、モーター250は、外軸体230を回転させることで、スピンベースSBを回転軸線AXの回りに回転させる。その結果、複数の基板支持部MCによって支持された基板Wは、スピンベースSBとともに、回転軸線AXの回りに回転する。
【0079】
以上、
図2および
図4を参照して説明したように、実施形態1によれば、1つのチャンバー1内でベベル処理と裏面処理との双方を実行できる。従って、ベベル処理と裏面処理とを別々の処理ユニットで実行する場合のような処理ユニット間搬送を実行する必要がない。その結果、タクトタイムを向上できる。また、ベベル処理と裏面処理とを連続して実行できるので、ベベル処理と裏面処理とのつなぎをウエット状態で行うことができ、乾燥時間を省略できる。さらに、基板処理装置100が複数のチャンバー1を備えている場合において、ベベル処理と裏面処理とのうちの一方の処理だけを実行する場合においても、全てのチャンバー1を利用できる。その結果、基板Wの処理のスループットを向上できる。
【0080】
次に、
図5を参照して、基板処理装置100の偏心矯正処理を説明する。
図5は、基板処理装置100の偏心矯正処理を示す断面図である。
図5に示すように、基板処理装置100は、偏心検出部29と、少なくとも1つの偏心矯正部60とをさらに備えていてもよい。実施形態1では、基板処理装置100は、一対の偏心矯正部60を備える。一対の偏心矯正部60は、径方向RDに対向する。
【0081】
偏心検出部29は、スピンベースSBの回転軸線AXに対する基板Wの偏心量を検出する。偏心検出部29は、例えば、偏心センサーまたはカメラである。
【0082】
偏心矯正部60は、基板Wの停止中に、偏心検出部29の検出結果に基づいて、基板Wの偏心を矯正する。つまり、偏心矯正部60は、偏心検出部29によって検出された基板Wの偏心量に基づいて、基板Wの偏心を矯正する。具体的には、偏心矯正部60は、偏心検出部29によって検出された基板Wの偏心量に基づいて基板Wを径方向RDに移動することで、基板Wの偏心を矯正する。基板Wの偏心を矯正することは、基板Wの中心を回転軸線AXに一致させることを示す。
【0083】
偏心検出部29が基板Wの偏心量を検出する期間および偏心矯正部60が基板Wの偏心を矯正する期間では、気体供給口45は第1気体GAを供給せず、複数の基板支持部MCは基板Wを支持していない。従って、基板Wは、スピンベースSB(具体的には複数の支持体39)に載置されている。また、偏心検出部29が基板Wの偏心量を検出する期間および偏心矯正部60が基板Wの偏心を矯正する期間では、ノズル19は第1処理流体FL1を供給せず、ノズル9は第2処理流体FL2を供給しない。
【0084】
具体的には、第1気体GAの供給によって基板Wを保持する状態から、複数の基板支持部MCによって基板Wを支持する状態へ変更する場合、複数の基板支持部MCによって基板Wを支持する前に、偏心矯正部60は、偏心検出部29の検出結果に基づいて基板Wの偏心を矯正する。従って、実施形態1によれば、複数の基板支持部MCを退避位置PLから基板支持位置PUに上昇させる際に、基板Wが基板支持部材33に乗り上げたり、基板支持部材33が基板Wに当接して基板Wが回転軸線AXに対してずれたりすることを抑制できる。その結果、メカニカルチャックである複数の基板支持部MCは、基板Wの中心と回転軸線AXとが一致した状態で基板Wを支持できる。ひいては、第1処理流体FL1による基板Wの処理品質を向上できる。
【0085】
または、複数の基板支持部MCによって基板Wを支持する状態から、第1気体GAの供給によって基板Wを保持する状態へ変更する場合、第1気体GAの供給によって基板Wを保持する前に、偏心矯正部60は、偏心検出部29の検出結果に基づいて基板Wの偏心を矯正する。従って、実施形態1によれば、第1気体GAの供給に基づくベルヌーイチャックは、基板Wの中心と回転軸線AXとが一致した状態で基板Wを保持できる。ひいては、第2処理流体FL2による基板Wの処理品質を向上できる。
【0086】
例えば、偏心検出部29は、受光ユニット291と、発光ユニット293とを含む。受光ユニット291と発光ユニット293とは軸方向ADに対向する。受光ユニット291は、例えば、イメージセンサー、フォトダイオード、または、フォトトランジスタを含む。発光ユニット293は、例えば、発光ダイオードを含む。
【0087】
発光ユニット293は、スピンベースSB上の基板Wの周縁部EGに向けて光LTを出射する。スピンベースSBには、発光ユニット293が出射した光LTを透過する透過穴(不図示)が設けられている。受光ユニット291は、発光ユニット293によって出射された光LTを受光する。制御装置CT(
図1)は、発光ユニット293に光LTを出射させながら、基板Wを360度または360度に近い角度で回転させることにより、回転軸線AXに対する基板Wの偏心量と回転軸線AXに対する基板Wの中心の位置とを、受光ユニット291の検出値に基づいて検出する。
【0088】
なお、
図5の例では、受光ユニット291は、発光ユニット293の上方に配置されるが、受光ユニット291と発光ユニット293との配置が逆でもよい。つまり、発光ユニット293が、受光ユニット291の上方に配置されてもよい。また、偏心検出部29がカメラである場合には、制御装置CTは、例えば、カメラが撮影した基板Wの画像を解析して、回転軸線AXに対する基板Wの偏心量を算出する。
【0089】
偏心矯正部60は、アクチュエータ61と、プッシャー63とを含む。アクチュエータ61は、プッシャー63を駆動して、プッシャー63を径方向RDに進退させる。そして、プッシャー63は、基板Wの径方向RDにおける端面EFに当接して、基板Wを径方向RDに移動する。その結果、基板Wの偏心が矯正される。アクチュエータ61は、例えば、リニアモーターまたはエアシリンダーである。例えば、偏心矯正部60は、ガード15の張り出し部15b(
図1)に配置される。この場合は、ガード15の位置は、偏心矯正部60に適した位置に設定される。
【0090】
次に、
図6を参照して、スピンチャック3によって基板Wを支持する際の補助機構としての気体供給ユニット80を説明する。
図6は、基板処理装置100の気体供給ユニット80を示す断面図である。
図6では、基板Wに対して裏面処理が実行されている。
【0091】
図6に示すように、基板処理装置100は、気体供給ユニット80と、ユニット移動部91と、第2気体供給機構93とをさらに備えていてもよい。気体供給ユニット80、ユニット移動部91、および、第2気体供給機構93の一部は、チャンバー1(
図1)に収容される。ユニット移動部91および第2気体供給機構93は、制御装置CTによって制御される。
【0092】
気体供給ユニット80は、基板Wに第2気体GCを供給する。気体供給ユニット80は、スピンチャック3の上方に位置する。気体供給ユニット80は、遮断板81と、支軸83と、ノズル90とを含む。ノズル90は、「気体供給部」の一例に相当する。遮断板81は、「対向部材」の一例に相当する。
【0093】
遮断板81は、例えば、略円板状である。遮断板81は、遮断板81の下面が略水平になるように配置されている。遮断板81は、遮断板81の中心軸線が回転軸線AX上に位置するように配置されている。遮断板81は、軸方向ADにおいて、基板Wの上方から基板Wに対向する。遮断板81は、水平な姿勢で支軸83の下端に連結されている。
【0094】
ユニット移動部91は、近接位置と退避位置との間で、気体供給ユニット80を上昇または下降させる。近接位置は、遮断板81が下降して基板Wの表面F1に所定間隔をあけて近接する位置を示す。近接位置では、遮断板81は、基板Wの表面F1を覆って、基板Wの表面F1の上方を遮断する。つまり、近接位置では、遮断板81は、基板Wの表面F1と対向して、基板Wの表面F1の上方を覆う。退避位置は、近接位置よりも上方であって、遮断板81が上昇して基板Wから離隔している位置を示す。
図6では、遮断板81は近接位置に位置する。例えば、ユニット移動部91は、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える昇降モーターとを備える。
【0095】
また、ユニット移動部91は、近接位置において、気体供給ユニット80を回転させる。例えば、ユニット移動部91は、モーターと、モーターの回転を気体供給ユニット80に伝達する伝達機構とを備える。伝達機構は、例えば、無端ベルトを含む。
【0096】
気体供給ユニット80のノズル90は、遮断板81および支軸83の内部に配置される。ノズル90の先端は遮断板81の下面から露出している。ノズル90は、気体供給ユニット80が近接位置に位置するときに、基板Wの上方から、基板Wに対して第2気体GCを供給する。実施形態1では、第2気体GCは、不活性ガスである。具体的には、ノズル90は、気体供給ユニット80(遮断板81)が近接位置に位置しつつ回転しているときに、基板Wの上方から、基板Wの表面F1に対して第2気体GCを供給する。
【0097】
従って、第2気体GCは、基板Wの表面F1に沿って径方向RD外側に向かって排出される。つまり、第2気体GCは、遮断板81と基板Wの表面F1との間の空間SPUに流入して、基板Wの表面F1に沿って径方向RD外側に向かって流れる。従って、実施形態1によれば、基板Wの裏面処理を実行中において、第1処理流体FL1によって基板Wが浮き上がることを抑制できる。例えば、複数の基板支持部MCが基板Wを把持(固定)する構成を有していない場合でも、第1処理流体FL1による基板Wの浮き上がりを抑制できる。また、遮断板81は、裏面処理時の第1処理流体FL1のミストが基板Wの表面F1に付着することを抑制する。
【0098】
また、基板Wのベベル処理の実行中においても、ノズル90は、気体供給ユニット80(遮断板81)が近接位置に位置しつつ回転しているときに、基板Wの上方から、基板Wに対して第2気体GCを供給してもよい。この場合にも、第1気体GAの供給による基板Wの保持に相俟って、第2気体GCによって基板Wの浮き上がりを抑制できる。また、遮断板81は、ベベル処理時の第2処理流体FL2のミストが基板Wの表面F1に付着することを抑制する。
【0099】
第2気体供給機構93は、ノズル90に第2気体GCを供給する。具体的には、第2気体供給機構93は、配管931と、バルブ933とを含む。配管931はノズル90に第2気体GCを供給する。バルブ933は、ノズル90に対する第2気体GCの供給開始と供給停止とを切り替える。バルブ933が開かれると、第2気体GCがノズル90に供給される。その結果、ノズル90は、第2気体GCを吐出する。
【0100】
なお、気体供給ユニット80を設けない場合、例えば、チャンバー1の天壁に配置されたFFU(ファンフィルターユニット)によるダウンフローによって、基板Wの浮き上がりを抑制してもよい。
【0101】
次に、
図7を参照して、基板支持部MCによる基板Wの支持状態の他の例を説明する。
図7は、基板支持部MCによる基板Wの支持状態の一例を示す断面図である。
図7に示すように、基板Wの裏面処理を実行する際に、複数の基板支持部材33が、基板Wの側方から基板Wの周縁部EGを支持し、複数の支持体39が、基板Wの下方から、基板Wの裏面F2を支持してもよい。すなわち、基板Wの裏面処理を実行する際に、複数の基板支持部MC(具体的には複数の基板支持部材33)および複数の支持体39が、基板Wを支持してもよい。
図7の例では、基板支持部MCのベース部材31の上面31aは、基板Wに対して離隔している。
【0102】
次に、
図8を参照して、実施形態1に係る基板処理方法を説明する。また、基板処理方法の説明において、
図1~
図6が適宜参照される。基板処理方法は基板処理装置100によって実行される。
図8は、基板処理方法を示すフローチャートである。
図8に示すように、基板処理方法は、工程S1~工程S13を含む。
【0103】
まず、工程S1において、制御装置CTは、基板Wを基板処理装置100に搬入するように、搬送ロボット(不図示)を制御する。その結果、搬送ロボットは、基板Wを基板処理装置100に搬入する。
【0104】
次に、工程S2において、制御装置CTは、偏心矯正処理を実行するように、偏心検出部29および偏心矯正部60を制御する。従って、基板Wが回転されて、偏心検出部29は、基板Wの回転軸線AXに対する偏心量を検出する。そして、偏心矯正部60は、基板Wの停止中に、偏心検出部29の検出結果に基づいて、基板Wの偏心を矯正する。
【0105】
次に、工程S3において、制御装置CTは、メカニカルチャックをオンにする。つまり、制御装置CTは、基板Wを支持するように、複数の基板支持部MCを制御する。その結果、複数の基板支持部MCは、基板Wに接触して基板Wを支持する。すなわち、工程S3では、複数の基板支持部MCを基板Wに接触させることで、基板Wを支持する。
【0106】
具体的には、制御装置CTは、複数の基板支持部MCが退避位置PLから基板支持位置PUまで上昇するように、昇降部7を制御する。その結果、昇降部7は、複数の基板支持部MCを基板支持位置PUまで上昇させることで、複数の基板支持部MCに基板Wを支持させる。すなわち、工程S3では、複数の基板支持部MCは、基板支持位置PUまで上昇することで基板Wを支持する。
【0107】
次に、工程S4において、制御装置CTは、遮断板81を含む気体供給ユニット80が退避位置から近接位置まで下降するように、ユニット移動部91を制御する。その結果、ユニット移動部91は、気体供給ユニット80を退避位置から近接位置まで下降させる。また、制御装置CTは、気体供給ユニット80が回転するように、ユニット移動部91を制御する。その結果、ユニット移動部91は、気体供給ユニット80を回転軸線AXの回りに回転させる。さらに、制御装置CTは、ノズル90が第2気体GCを基板Wに供給するように、第2気体供給機構93を制御する。その結果、ノズル90は、基板Wの表面F1への第2気体GCの供給を開始する。
【0108】
次に、工程S5において、制御装置CTは、基板Wに対して裏面処理を実行する。具体的には、制御装置CTは、スピンチャック3が回転するように、モーター250を制御する。従って、モーター250は、スピンチャック3を回転軸線AXの回りに回転させる。その結果、複数の基板支持部MCによって支持された基板Wが回転軸線AXの回りに回転する。加えて、制御装置CTは、ノズル19が裏面処理を実行するように、第1流体供給機構270を制御する。従って、第1流体供給機構270は、第1処理流体FL1をノズル19に供給する。その結果、ノズル19は、基板Wの回転中において、複数の基板支持部MCによって支持された基板Wの裏面F2に対して第1処理流体FL1を供給する。よって、基板Wの裏面F2が第1処理流体FL1によって処理される。基板Wに対する裏面処理が完了すると、ノズル19による第1処理流体FL1の供給が停止されるとともに、スピンチャック3および基板Wの回転が停止される。
【0109】
次に、工程S6において、制御装置CTは、メカニカルチャックをオフにする。つまり、制御装置CTは、基板Wの支持を解除するように、複数の基板支持部MCを制御する。その結果、複数の基板支持部MCは、基板Wの支持を解除して、基板Wを開放する。すなわち、工程S6では、複数の基板支持部MCを基板Wから離隔させることで、基板Wを開放する。
【0110】
具体的には、制御装置CTは、複数の基板支持部MCが基板支持位置PUから退避位置PLまで下降するように、昇降部7を制御する。その結果、昇降部7は、複数の基板支持部MCを退避位置PLまで下降させることで、複数の基板支持部MCに基板Wの支持を解除させる。すなわち、工程S6では、複数の基板支持部MCは、退避位置PLまで下降することで、基板Wを開放する。
【0111】
基板処理方法の説明において、一例として、退避位置PLは、所定位置PM(
図3)である。
【0112】
次に、工程S7において、制御装置CTは、偏心矯正処理を実行するように、偏心検出部29および偏心矯正部60を制御する。従って、基板Wが回転されて、偏心検出部29は、基板Wの回転軸線AXに対する偏心量を検出する。そして、偏心矯正部60は、基板Wの停止中に、偏心検出部29の検出結果に基づいて、基板Wの偏心を矯正する。
【0113】
次に、工程S8において、制御装置CTは、ベルヌーイチャックをオンにする。つまり、制御装置CTは、複数の気体供給口45が第1気体GAを供給するように、第1気体供給機構210を制御する。従って、第1気体供給機構210は、流路41、43を介して、第1気体GAを複数の気体供給口45に供給する。その結果、複数の気体供給口45は、基板Wの裏面F2とスピンベースSBとの間に第1気体GAを供給することで負圧を発生させて、複数の基板支持部MCが基板Wを支持していない状態において基板WをスピンベースSBに保持させる。つまり、ベルヌーイチャックによって基板Wが保持される。第1気体GAは、「気体」の一例に相当する。
【0114】
次に、工程S9において、制御装置CTは、基板Wに対してベベル処理を実行する。具体的には、制御装置CTは、スピンチャック3が回転するように、モーター250を制御する。従って、モーター250は、スピンチャック3を回転軸線AXの回りに回転させる。その結果、第1気体GAの供給によってスピンベースSBに保持された基板Wが回転軸線AXの回りに回転する。加えて、制御装置CTは、ノズル9がベベル処理を実行するように、ノズル移動部13および第2流体供給機構11を制御する。従って、ノズル移動部13は、ノズル9を、基板Wの周縁部EGの上方に移動させる。加えて、第2流体供給機構11は、第2処理流体FL2をノズル9に供給する。その結果、ノズル9は、基板Wの回転中において、第1気体GAの供給によってスピンベースSBに保持された基板Wの周縁部EGに対して第2処理流体FL2を供給する。よって、基板Wの周縁部EGが第2処理流体FL2によって処理される。基板Wに対するベベル処理が完了すると、ノズル9による第2処理流体FL2の供給が停止される。
【0115】
次に、工程S10において、制御装置CTは、メカニカルチャックに対して乾燥処理を実行する。具体的には、制御装置CTは、工程S9から継続してスピンチャック3が回転するように、モーター250を制御する。その結果、工程S9から継続して、スピンチャック3が回転する。加えて、制御装置CTは、工程S8から継続して複数の気体供給口45が第1気体GAを供給するように、第1気体供給機構210を制御する。その結果、工程S8から継続して、複数の気体供給口45が第1気体GAを供給する。一方、工程S6から継続して、複数の基板支持部MCは、退避位置PLとしての所定位置PM(
図3)に位置する。従って、複数の基板支持部MC(例えば、複数の基板支持部材33)に対して、基板Wの裏面F2とスピンベースSBとの間の空間SPEを通じて第1気体GAが供給される。その結果、複数の基板支持部MC(例えば、複数の基板支持部材33)が、第1気体GAによって乾燥される。複数の基板支持部MCに対する乾燥処理が完了すると、スピンチャック3および基板Wの回転が停止される。
【0116】
次に、工程S11において、制御装置CTは、ベルヌーイチャックをオフにする。つまり、制御装置CTは、複数の気体供給口45が第1気体GAの供給を停止するように、第1気体供給機構210を制御する。従って、第1気体供給機構210は、複数の気体供給口45への第1気体GAの供給を停止する。その結果、複数の気体供給口45からの第1気体GAの供給が停止される。よって、基板Wは、スピンベースSB(具体的には、複数の支持体39)に載置された状態になる。つまり、ベルヌーイチャックによる基板Wの保持が解除されて、基板Wが開放される。
【0117】
次に、工程S12において、制御装置CTは、遮断板81を含む気体供給ユニット80が近接位置から退避位置まで上昇するように、ユニット移動部91を制御する。その結果、ユニット移動部91は、気体供給ユニット80を近接位置から退避位置まで上昇させる。また、制御装置CTは、気体供給ユニット80の回転が停止するように、ユニット移動部91を制御する。その結果、ユニット移動部91は、気体供給ユニット80の回転を停止させる。さらに、制御装置CTは、ノズル90が第2気体GCの供給を停止するように、第2気体供給機構93を制御する。その結果、ノズル90は、基板Wの表面F1への第2気体GCの供給を停止する。
【0118】
次に、工程S13において、制御装置CTは、基板Wを基板処理装置100から搬出するように、搬送ロボット(不図示)を制御する。その結果、搬送ロボットは、基板Wを基板処理装置100から搬出する。そして、基板処理方法は終了する。
【0119】
以上、
図8を参照して説明したように、実施形態1によれば、工程S6では、ノズル9が第2処理流体FL2を供給する工程S9よりも前に、複数の基板支持部MCを基板Wの裏面F2(基板Wの下面)よりも下方に下降させる。従って、複数の基板支持部MCが基板Wを支持していない状態において、工程S9で基板Wに供給された第2処理流体FL2が基板支持部MCによって跳ね返されることを抑制できる。
【0120】
(実施形態2)
図9~
図27を参照して、本発明の実施形態2に係る基板処理装置100を説明する。実施形態2に係る基板支持部MCの基板支持部材33Aが自転する点で、実施形態2は実施形態1と主に異なる。従って、実施形態2に係る基板処理装置100の全体構成は、
図1を参照して説明した実施形態1に係る基板処理装置100の全体構成と同様である。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0121】
図9(a)は、実施形態2に係る基板処理装置100のスピンチャック3を示す平面図である。
図9(b)は、スピンチャック3の基板支持部MCを示す平面図である。
図9(c)は、基板支持部MCの基板支持部材33Aを示す側面図である。
図9(c)では、
図9(b)の方向Dから基板支持部MCを見ている。
【0122】
図9(a)に示すように、複数の基板支持部MCは、周方向CDに沿って間隔をあけて配置される。複数の気体供給口45は、周方向CDに沿って間隔をあけて配置される。ノズル19は回転軸線AX上に配置される。これらの点は、実施形態1と同様である。また、スピンチャック3は、複数のリフターLFをさらに含む。複数のリフターLFは、周方向CDに沿って間隔をあけて配置される。リフターLFは、周方向CDにおいて、基板支持部MCと基板支持部MCとの間に配置される。リフターLFは、上昇することで、基板処理装置100に対する基板Wの搬入時および搬出時に、搬送ロボット(不図示)との間で基板Wを受け渡す。一方、基板支持部MCは、処理流体による基板Wの処理時に基板Wを支持する。
【0123】
図9(b)に示すように、基板支持部MCは、回転軸線Jの回りに回転する。実施形態2では、基板支持部MCは一対の基板支持部材33Aを含む。一対の基板支持部材33Aは、互いに略平行に配置される。なお、基板支持部MCは、1つの基板支持部材33Aを含んでいてもよいし、3以上の基板支持部材33Aを含んでいてもよい。
【0124】
基板支持部MCは、回転軸線Jの回りに回転することで、第1姿勢ST1または第2姿勢ST2になる。
図9(b)および
図9(c)に示すように、第1姿勢ST1では、基板支持部材33Aが、基板Wの周縁に接触し、基板Wを側方から支持している。特に、実施形態2では、第1姿勢ST1において、基板支持部材33Aは、基板Wの周縁に接触し、基板Wを側方から把持(固定)している。第1姿勢ST1では、基板支持部材33Aは、「閉状態」である。一方、第2姿勢ST2では、基板支持部材33Aが、基板Wの周縁から離隔し、基板Wを開放している。第2姿勢ST2では、基板支持部材33Aは、「開状態」である。なお、
図9(b)では、理解を容易にするために、一例として、第1姿勢ST1の基板支持部材33Aは、第2姿勢ST2の基板支持部材33Aに対して略90度だけ回転している。ただし、この場合の回転角は特に限定されない。
【0125】
次に、
図10~
図16を参照して、基板処理方法を説明する。基板処理方法は、基板処理装置100によって実行される。
図10~
図16は、基板処理方法を示す模式図である。
図10~
図16に示すように、基板処理方法は、工程S21~工程S38を含む。
【0126】
図10(a)に示すように、工程S21において、基板支持部MCは、昇降部7によって基板支持位置PUから下降されて、退避位置PLに位置する。また、
図10(b)に示すように、基板処理装置100は昇降部8をさらに備える。そして、工程S21において、リフターLFは、昇降部8によって基板受渡位置PUAから下降されて、退避位置PLAに位置する。
【0127】
基板受渡位置PUAは、各リフターLFが基板Wを搬送ロボットに受け渡す位置を示す。基板受渡位置PUAは、例えば、基板支持位置PUよりも上方の位置である。退避位置PLAは、基板受渡位置PUAの下方の位置であって、基板WとリフターLFとが径方向RDに対向しない位置である。例えば、退避位置PLAでは、リフターLFは、スピンベースSBの上面37よりも下方に位置する。
【0128】
具体的には、リフターLFは、ベース部材51と、突起53とを含む。ベース部材51は、略円柱形状を有する。突起53は、ベース部材51から上方に突出している。
【0129】
ここで、昇降部8の動作を説明する。昇降部8は、複数のリフターLFを上昇または下降させる。例えば、昇降部8は、退避位置PLAに位置する各リフターLFを、基板受渡位置PUAまで上昇させる。例えば、昇降部8は、基板受渡位置PUAに位置する各リフターLFを、退避位置PLAまで下降させる。なお、昇降部8の構成は、例えば、昇降部7の構成と同様であってもよい。
【0130】
次に、
図11に示すように、工程S22において、複数のリフターLFは、退避位置PLAから基板受渡位置PUAまで上昇する。
【0131】
次に、工程S23において、搬送ロボット(不図示)のハンドHDは、基板Wを複数のリフターLFに渡す。その結果、複数のリフターLFは基板Wを支持する。リフターLFの突起53は、基板Wの径方向RDの移動を規制する。また、リフターLFのベース部材51の上面51aが、基板Wの下方から、基板Wの周縁部EGを支持する。
【0132】
次に、工程S24において、複数のリフターLFは、基板受渡位置PUAから退避位置PLAまで下降する。その結果、基板Wは、複数の支持体39によって支持(載置)される。
【0133】
次に、
図12に示すように、工程S25において、基板Wが回転され、偏心検出部29は、回転軸線AXに対する基板Wの偏心量を検出する。
【0134】
次に、工程S26において、基板Wが停止され、偏心矯正部60は、偏心検出部29の検出結果に基づいて、基板Wの偏心を矯正する。その結果、次の工程S27において、基板Wの中心と回転軸線AXとが一致した状態で基板Wを保持できる。
【0135】
次に、工程S27において、複数の気体供給口45は、基板WとスピンベースSBとの間の空間SPEに第1気体GAを供給する。その結果、空間SPEに負圧が発生して、基板Wは複数の支持体39に向けて押圧される。よって、基板Wが保持される。つまり、ベルヌーイチャックによって基板Wが保持される。
【0136】
次に、
図13に示すように、工程S28において、ベルヌーイチャックによる基板Wの保持を継続したまま、スピンチャック3を回転させる。その結果、基板Wが回転する。そして、ノズル9は、基板Wの表面F1の側から、回転中の基板Wの周縁部EGに向けて第2処理流体FL2を供給する。その結果、ベベル処理が実行される。ベベル処理が完了すると、ノズル9は第2処理流体FL2の供給を停止する。
【0137】
特に、工程S28のベベル処理の実行期間において、工程S21から継続して、複数の基板支持部MCは、退避位置PLに位置する(
図10(a))。従って、実施形態2によれば、複数の基板支持部MCが基板Wを支持していない状態において、基板Wに供給された第2処理流体FL2が基板支持部MCによって跳ね返されることを抑制できる。つまり、基板Wから飛散した第2処理流体FL2が、基板支持部MCによって跳ね返されることを抑制できる。
【0138】
次に、工程S29において、ベルヌーイチャックによる基板Wの保持および基板Wの回転を継続したまま、複数の基板支持部MCは、退避位置PLから基板支持位置PUまで上昇する。
【0139】
次に、工程S30において、基板Wの回転を継続したまま、複数の気体供給口45は第1気体GAの供給を停止する。その結果、ベルヌーイチャックによる基板Wの保持が解除される。また、基板Wの回転を継続したまま、複数の基板支持部MCは、自転して、複数の基板支持部材33Aによって、側方から基板Wを支持する。つまり、複数の基板支持部MCは、自転して、複数の基板支持部材33Aによって、側方から基板Wを把持する。
【0140】
次に、
図14に示すように、工程S31において、複数の基板支持部MCによる基板Wの支持および基板Wの回転を継続したまま、ノズル19は、基板Wの裏面F2に向けて、薬液CHを供給する。その結果、基板Wの裏面F2が薬液CHによって処理される。薬液CHは第1処理流体FL1の一例である。薬液CHによる基板Wの裏面処理(裏面薬液処理)が完了すると、ノズル19は薬液CHの供給を停止する。
【0141】
次に、工程S32において、複数の基板支持部MCによる基板Wの支持および基板Wの回転を継続したまま、ノズル19は、基板Wの裏面F2に向けて、リンス液LNを供給する。その結果、基板Wの裏面F2がリンス液LNによって洗浄される。リンス液LNは第1処理流体FL1の一例である。リンス液LNによる基板Wの裏面処理(裏面洗浄処理)が完了すると、ノズル19はリンス液LNの供給を停止する。
【0142】
次に、工程S33において、複数の基板支持部MCによる基板Wの支持および基板Wの回転を継続したまま、ノズル19は、基板Wの裏面F2に向けて、不活性ガスGBを供給する。その結果、基板Wの裏面F2が不活性ガスGBによって乾燥される。不活性ガスGBは第1処理流体FL1の一例である。不活性ガスGBによる基板Wの裏面処理(裏面乾燥処理)が完了すると、ノズル19は不活性ガスGBの供給を停止する。
【0143】
次に、
図15に示すように、工程S34において、基板Wの回転を継続したまま、複数の基板支持部MCは、自転することで基板Wを開放するとともに、複数の気体供給口45は、基板WとスピンベースSBとの間の空間SPEに第1気体GAを供給する。その結果、空間SPEに負圧が発生して、基板Wは複数の支持体39に向けて押圧される。よって、基板Wが保持される。つまり、ベルヌーイチャックによって基板Wが保持される。
【0144】
次に、工程S35において、複数の気体供給口45からの第1気体GAの供給および基板Wの回転を継続したまま、複数の基板支持部MCは、基板支持位置PUから所定位置PMまで下降する。その結果、第1気体GAによって、複数の基板支持部MC(例えば、複数の基板支持部材33A)の乾燥を促進できる。
【0145】
次に、工程S36において、スピンチャック3および基板Wの回転が停止され、複数の気体供給口45からの第1気体GAの供給が停止される。そして、複数の基板支持部MCは、所定位置PMから退避位置PLまで下降する。
【0146】
次に、
図16に示すように、工程S37において、複数のリフターLFは、基板Wを支持しつつ、退避位置PLAから基板受渡位置PUAまで上昇する。
【0147】
次に、工程S38において、搬送ロボットのハンドHDは、複数のリフターLFから基板Wを受け取って、基板処理装置100から基板Wを搬出する。そして、基板処理方法は終了する。
【0148】
次に、
図17(a)および
図17(b)を参照して、リフターLFが基板支持部MCの機能を有する変形例を説明する。つまり、リフターLFが、処理流体による基板Wの処理時に基板Wを支持する基板支持部として機能する変形例を説明する。
図17(a)および
図17(b)は、実施形態2の変形例に係る基板処理装置100を示す模式図である。
【0149】
図17(a)に示すように、基板Wに対してベベル処理を実行する場合には、
図13に示す工程S28と同様に、複数の気体供給口45は、基板WとスピンベースSBとの間の空間SPEに第1気体GAを供給する。その結果、ベルヌーイチャックによって基板Wが保持される。
【0150】
加えて、気体供給ユニット80の遮断板81が近接位置において、基板Wの表面F1に対向する。そして、気体供給ユニット80のノズル90が、基板Wの表面F1に向けて第2気体GCを供給する。
【0151】
第2気体GCは、遮断板81と基板Wの表面F1との間の空間SPUに流入して、基板Wの表面F1に沿って径方向RD外側に向かって流れる。従って、ベルヌーイチャックによる基板Wの保持に相俟って、第2気体GCによって基板Wの浮き上がりを抑制できる。
【0152】
基板Wに対してベベル処理を実行する場合には、複数のリフターLFは退避位置PLAに位置する。つまり、第1気体GAの供給によって基板WがスピンベースSBに保持される場合、昇降部8は、複数のリフターLFを基板Wの裏面F2(基板Wの下面)よりも下方に退避させる。
【0153】
一方、
図17(b)に示すように、基板Wに対して裏面処理を実行する場合には、複数のリフターLFは、基板Wを支持しつつ、退避位置PLAから基板受渡位置PUAまで上昇する。リフターLFは、「基板支持部」の一例に相当する。また、基板受渡位置PUAは、「基板支持位置」の一例に相当する。
【0154】
加えて、気体供給ユニット80の遮断板81が近接位置において、基板Wの表面F1に対向する。そして、気体供給ユニット80のノズル90が、基板Wの表面F1に向けて第2気体GCを供給する。
【0155】
第2気体GCは、遮断板81と基板Wの表面F1との間の空間SPUに流入して、基板Wの表面F1に沿って径方向RD外側に向かって流れる。従って、第2気体GCによって基板Wが下方に押圧される。その結果、複数のリフターLFによって基板Wを支持するとともに、第2気体GCによって基板Wの浮き上がりを抑制できる。
【0156】
以上、
図17(b)を参照して説明したように、複数のリフターLFは、搬送ロボットのハンドHDに対して基板Wの受け渡しを行う機能(例えば、
図11の工程S23、
図16の工程S38)に加えて、基板支持部MCの機能を有する。つまり、複数のリフターLFが、ハンドHDに対して基板Wの受け渡しを行う機能と、処理流体による基板Wの処理時に基板Wを支持する基板支持部の機能とを有する。この場合は、スピンチャック3は複数の基板支持部MC(
図9(a))を有していなくてもよい。従って、基板処理装置100の部品点数を低減できるため、基板処理装置100の製造コストを低減できる。
【0157】
次に、
図18~
図27を参照して、昇降部7(
図10(a))の詳細を説明する。なお、
図18、
図20、および、
図27では、図面の簡略化のために、スピンベースSBの流路41、43、47、ノズル19、気体供給口45、内軸体220、外軸体230、モーター250、および、モーター筐体5を省略している。
【0158】
<基板支持部MCの開閉>
基板支持部MCの開閉のための詳細な構造が説明される。
図18は、基板処理装置100のスピンチャック3を示す断面図である。
図18に示すように、基板支持部MCがスピンベースSBを貫通する部位には軸受212が設けられる。また、昇降部7は、基板支持部MCを開閉する機構として、回転板20、カム板21、軸23、昇降板24、従動磁石25、および、回転シャフト26を含む。回転板20は基板支持部MCの下方に取り付けられる。回転シャフト26は回転板20を介して基板支持部MCと同軸に取り付けられる。回転シャフト26は軸受27を介して昇降板74に取り付けられる。カム板21は昇降板24の上面に固定される。従動磁石25は昇降板24の下面に固定される。
【0159】
基板支持部MC、回転板20、および、回転シャフト26の自重によって回転シャフト26は昇降板74を押し下げる。昇降板74は後述する磁力によって軸方向ADに沿って押し上げられる。軸方向ADは鉛直方向を示す。よって基板支持部MCは昇降板74の昇降に伴って昇降する。
【0160】
基板支持部MCのベース部材31の上面31aは、基板Wの載置に用いられる。基板支持部MCの基板支持部材33Aは基板Wの支持に用いられる。具体的には、基板支持部材33Aは基板Wの把持に用いられる。基板支持部MCは、退避位置PLと基板支持位置PUとの間で移動(昇降)する。
図18では、基板支持部MCが基板支持位置PUに位置する。
【0161】
回転板20には軸23が設けられる。軸23は、径方向RD外側に向けて突出する。カム板21の後述される機能によって軸23は回転軸線Jを中心として旋回する。軸23の旋回に伴って回転板20が回転軸線Jの回りに回転する。その結果、基板支持部MCが回転軸線Jの回りに回転する。つまり、基板支持部MCが自転する。
【0162】
次に、基板支持部MCが、第1姿勢ST1と第2姿勢ST2との間を遷移することを説明する。
図18では、基板Wがベース部材31の上面31aに載置されている状態が示される。この場合、基板支持部MCは第2姿勢ST2をとっている。
【0163】
図19は基板支持部MCの上面図である。
図19では基板支持部MCが第2姿勢ST2をとっている。基板支持部MCが方向Dr2に自転することにより第2姿勢ST2から第1姿勢ST1へと遷移する。基板支持部MCが方向Dr1に自転することにより第1姿勢ST1から第2姿勢ST2へと遷移する。
【0164】
図20はスピンチャック3を示す断面図である。
図20は基板支持部MCが基板支持位置PUにあって基板Wが基板支持部材33Aに把持されている状態を示す。この場合、基板支持部MCは第1姿勢ST1をとっている。
【0165】
図21は基板Wが基板支持部材33Aに把持された状態における基板支持部MCおよび基板Wを部分的に示す断面図である。基板支持部材33Aは凹面33xを有する。基板支持部MCが第1姿勢ST1をとると、凹面33xに基板Wの周縁が嵌まることにより、基板Wは凹面33xによって上下から挟まれて、基板支持部材33Aに把持される。
【0166】
図22は基板支持部MCの上面図である。
図22では基板支持部MCが第1姿勢ST1をとっている状態が例示される。
【0167】
図23は基板支持部材33Aと基板Wの周縁との位置関係を示す上面図である。基板支持部材33Aは、基板支持部MCが第1姿勢ST1をとるときの位置が実線で、基板支持部MCが第2姿勢ST2をとるときの位置が鎖線で、それぞれ示される。
【0168】
<基板支持部MCの自転をもたらす機構>
図18および
図20を参照して、基板処理装置100は、固定ベース150、磁石支持部材73、および、磁石支持部材500を備える。固定ベース150は、チャンバー1に固定される。固定ベース150は、例えば、モーター筐体5に相当する。固定ベース150には駆動磁石75および駆動磁石501が収納される。駆動磁石75および駆動磁石501の各々は、略円環形状を有する。駆動磁石75は、駆動磁石501よりも径方向RD内側に配置される。駆動磁石75は、略円環状の磁石支持部材73に固定される。駆動磁石501は、略円環状の磁石支持部材500に固定される。
【0169】
図24は、磁石支持部材73、駆動磁石75、磁石支持部材500および駆動磁石501を部分的に示す上面図である。ここでは駆動磁石75、501が環状であるが、駆動磁石75、501のいずれか一方、もしくはいずれもが、環状に配列された複数の磁石を用いて実現されてもよい。磁石支持部材73および磁石支持部材500は、駆動部71(
図1)によって個別に昇降可能である。磁石支持部材73、500の昇降は駆動磁石75、501の昇降をもたらす。つまり、駆動磁石75および駆動磁石501は、駆動部71によって個別に昇降可能である。
【0170】
従動磁石25と駆動磁石501との間に磁力が働く。より具体的には従動磁石25と駆動磁石501との間には斥力が働く。駆動磁石501の昇降は従動磁石25の昇降から影響を受けず、従動磁石25は駆動磁石501の昇降によって昇降する。
【0171】
図25および
図26は、いずれもカム板21、軸23、昇降板24、および、従動磁石25の位置関係を示す。
図25および
図26は、いずれもスピンベースSBの外周側から回転軸線AXへ向かう方向に沿って見た側面図である。
図25は、基板支持部MCが第2姿勢ST2(基板支持部材33Aが開状態)をとる場合を示す。
図26は、基板支持部MCが第1姿勢ST1(基板支持部材33Aが閉状態)をとる場合を示す。
【0172】
カム板21には孔22が開けられている。孔22には軸23が嵌まる。
図18、
図20、
図25、
図26では孔22がカム板21を貫通する場合が例示される。孔22は軸23が嵌まれば、貫通しなくてもよい。
【0173】
図18および
図20においては軸23が周囲に伴う軸受28も図示されるが、
図25および
図26では軸受28は軸23に含めて考えられ、図示が省略される。孔22は軸方向ADおよび方向RDrのいずれに対しても傾斜する方向に長い。方向RDrは周方向CD(
図1)に相当する。
図18、
図19、
図20、
図22においては、軸23の孔22における位置を見やすくするために、カム板21は孔22の長手方向に沿った断面が描かれる。
【0174】
磁石支持部材500が軸方向ADに沿って上昇することにより、駆動磁石501が上昇する。駆動磁石501と従動磁石25との間に働く磁力による斥力により、駆動磁石501の上昇が従動磁石25の上昇をもたらす。従動磁石25の上昇は、昇降板24を上昇させる。昇降板24の上昇はカム板21を上昇させる。カム板21の上昇は孔22を上昇させる。基板支持部MC、回転板20、および回転シャフト26の自重によって軸23の上昇は抑制される。
【0175】
他方、軸23は回転軸線Jを中心とした回転(旋回)が可能であるので、孔22の上昇は軸23および回転板20の回転、ひいては基板支持部MCの自転をもたらす。具体的には孔22の上昇によって軸23は孔22に対して相対的に下降し、かかる相対的な下降によって孔22は軸23を方向Dr1に向けて案内する。軸23が方向Dr1に回転することにより、基板支持部MCは方向Dr1へ自転する。
【0176】
以上のようにして、駆動磁石501が上昇することにより、方向Dr1への基板支持部MCの自転がもたらされ、ひいては基板支持部MCが第2姿勢ST2をとる(
図23の鎖線で示された基板支持部材33Aも参照)。
【0177】
一方、磁石支持部材500が軸方向ADに沿って下降することにより、駆動磁石501が下降する。駆動磁石501の下降により、従動磁石25は、従動磁石25と駆動磁石501との間に働く磁力による斥力をうけつつ、カム板21、昇降板24、従動磁石25の自重によって下降する。従動磁石25の下降は、昇降板24、およびカム板21を下降させる。カム板21の下降は孔22を下降させる。基板支持部MC、回転板20、および回転シャフト26は駆動磁石75と従動磁石77との間に働く斥力(後に<基板支持部MCの昇降をもたらす機構>において説明される)によって軸23の下降は抑制される。
【0178】
他方、軸23は回転軸線Jを中心とした回転(旋回)が可能であるので、孔22の下降は軸23および回転板20の回転、ひいては基板支持部MCの自転をもたらす。具体的には孔22の下降によって軸23は孔22に対して相対的に上昇し、かかる相対的な上昇によって孔22は軸23を方向Dr2に向けて案内する。軸23が方向Dr2に回転することにより、基板支持部MCは方向Dr2へ自転する。
【0179】
以上のようにして、駆動磁石501が下降することにより、方向Dr2への基板支持部MCの自転がもたらされ、ひいては基板支持部MCが第1姿勢ST1をとる(
図23の実線で示された基板支持部材33Aも参照)。
【0180】
上述のような駆動磁石501および磁石支持部材500の昇降は、制御装置CTの制御のもと、駆動部71(
図1)によって実現される。
【0181】
<基板支持部MCの昇降をもたらす機構>
駆動磁石75は従動磁石77との間で磁力を働かせる。より具体的には従動磁石77と駆動磁石75との間には斥力が働く。駆動磁石75の昇降は従動磁石77の昇降から影響を受けず、従動磁石77は駆動磁石75の昇降によって昇降する。
【0182】
従動磁石77は昇降板74の下面に固定される。磁石支持部材73が上昇することにより、駆動磁石75が上昇する。駆動磁石75と従動磁石77との間に働く磁力に由来する斥力により、駆動磁石75の上昇が従動磁石77の上昇をもたらす。従動磁石77の上昇は、昇降板74を上昇させる。昇降板74の上昇は基板支持部MCを上昇させる。このような駆動磁石75の上昇により、基板支持部MCが上昇し、基板支持部MCは基板支持位置PUへ移動する。
【0183】
一方、磁石支持部材73が下降することにより、駆動磁石75が下降する。駆動磁石75の下降により、従動磁石77は、駆動磁石75との間に働く磁力に由来する斥力をうけつつ、基板支持部MC、回転板20、および回転シャフト26の自重によって下降する。従動磁石77の下降は、昇降板74を下降させる。昇降板74の下降は基板支持部MCを下降させる。このような駆動磁石75の下降より、基板支持部MCが下降し、基板支持部MCは退避位置PLへ移動する。
【0184】
上述のような駆動磁石75および磁石支持部材73の昇降は、制御装置CTの制御のもと、駆動部71(
図1)によって実現される。
【0185】
図27は、スピンチャック3を示す断面図である。
図27は、基板支持部MCが退避位置PLにあって第1姿勢ST1をとる場合を例示する。
図20と比較して
図27においては、駆動磁石75が下降した状態が示される。一方、
図27の状態から、駆動磁石501を上昇させると、基板支持部MCが自転して、基板支持部MCが第2姿勢ST2をとる。
【0186】
以上、
図18~
図27を参照して説明したように、実施形態2では、駆動磁石75を上昇させると、基板支持部MCが退避位置PLから基板支持位置PUまで上昇する。一方、駆動磁石75を下降させると、基板支持部MCが基板支持位置PUから退避位置PLまで下降する。また、駆動磁石501を下降させると、基板支持部MCが自転して第1姿勢ST1をとる。一方、駆動磁石501を上昇させると、基板支持部MCが自転して第2姿勢ST2をとる。なお、
図1に示す実施形態1の昇降部7の構成は、例えば、実施形態2の昇降部7の構成と同様である。ただし、実施形態1の昇降部7は、基板支持部MCの自転をもたらす機構を有していなくてもよい。
【0187】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0188】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0189】
(1)
図1~
図27を参照して説明した実施形態1および実施形態2では、第1流体供給部としてのノズル19は、回転軸線AX上に位置した。ただし、第1流体供給部(例えばノズル)は、回転軸線AXと異なる位置に配置されてもよい。また、複数の第1流体供給部が設けられてもよい。さらに、第1流体供給部は、基板Wの上方に配置されて、基板Wの表面Fの側から、基板Wの表面Fに向けて第1処理流体FL1を供給してもよい。
【0190】
(2)また、第2流体供給部としてのノズル9は、ベベル処理のために、第2処理流体FL2を基板Wの周縁部EGに供給した。ただし、第2流体供給部(例えばノズル)は、基板Wの表面F1の全体に第2処理流体FL2を供給して、基板Wの表面F1の全体を第2処理流体FL2によって処理してもよい。この場合、例えば、第2流体供給部は、径方向RDに移動しながら、基板Wの表面Fの全体に第2処理流体FL2を供給する。すなわち、基板Wへの第2処理流体FL2の供給位置は特に限定されない。また、複数の第2流体供給部が設けられてもよい。
【0191】
(3)さらに、
図8に示す基板処理方法おいて、メカニカルチャックに支持された基板Wの裏面処理(工程S3、S5、S6)が、ベルヌーイチャックに保持された基板Wのベベル処理(工程S8~S11)よりも後に実行されてもよい。また、
図10~
図16に示す基板処理方法において、ベルヌーイチャックに保持された基板Wのベベル処理(工程S27、S28)が、メカニカルチャックに支持された基板Wの裏面処理(工程S30~S33)よりも後に実行されてもよい。また、
図10~
図16に示す基板処理方法は、
図8に示す工程S4、S12と同様の工程を含んでいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0193】
1 チャンバー
7 昇降部
9 ノズル(第2流体供給部)
19 ノズル(第1流体供給部)
29 偏心検出部
45 気体供給口
60 偏心矯正部
80 気体供給ユニット
81 遮断板(対向部材)
90 ノズル(気体供給部)
MC 基板支持部
SB スピンベース
W 基板