(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】捜索支援システム及び捜索支援方法
(51)【国際特許分類】
H04M 11/00 20060101AFI20240820BHJP
H04W 4/029 20180101ALI20240820BHJP
G01S 5/02 20100101ALI20240820BHJP
G01S 1/68 20060101ALI20240820BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H04M11/00 301
H04W4/029
G01S5/02 Z
G01S1/68
G08B25/04 K
(21)【出願番号】P 2020139297
(22)【出願日】2020-08-20
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000202361
【氏名又は名称】綜合警備保障株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【氏名又は名称】中辻 史郎
(72)【発明者】
【氏名】加沢 徹
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-219927(JP,A)
【文献】特開2017-090358(JP,A)
【文献】特開2016-038895(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0174421(US,A1)
【文献】国際公開第2019/186876(WO,A1)
【文献】特開2002-215848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S1/00-1/68
5/00-5/14
19/00-19/55
G08B23/00-31/00
H04B7/24-7/26
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
捜索対象となる対象者の捜索を依頼する捜索依頼者の端末装置と、前記端末装置に対して前記対象者に係る情報を提供する捜索情報提供装置と、前記対象者が所持する無線タグと、前記対象者の捜索に協力する受信機とを有する捜索支援システムであって、
前記受信機は、
所定時間ごとに自装置の位置情報及び現在時刻を含む受信機位置情報を前記捜索情報提供装置に通知するとともに、前記無線タグの無線タグ識別情報を含むタグ情報を受信したならば、自装置の位置情報、前記無線タグ識別情報及び前記タグ情報の受信時刻を含む検知情報を前記捜索情報提供装置に通知し、
前記捜索情報提供装置は、前記受信機から通知された
前記受信機位置情報及び前記検知情報に基づいて、所定の時点で
前記受信機の検知範囲内で該受信機により前記無線タグが検知された第1の領域、前記所定の時点で前記受信機の検知範囲内で該受信機により前記無線タグが検知されない第2の領域、及び、前記所定の時点から過去一定の時間内に前記受信機が移動した各地点で前記無線タグを検知可能な第3の領域に係る情報を前記端末装置に通知し、
前記端末装置は、
前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域に係る情報を
区別可能に出力する
ことを特徴とする捜索支援システム。
【請求項2】
前記受信機は、
自装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記無線タグから送信された無線タグ識別情報を含むタグ情報を
受信する
受信手段と、
前記受信機位置情報及び前記検知情報を前記捜索情報提供装置に通知する通知手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の捜索支援システム。
【請求項3】
前記捜索情報提供装置は、
前記受信機から
前記受信機位置情報及び前記検知情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した
前記受信機位置情報及び前記検知情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶した
前記受信機位置情報及び前記検知情報に基づいて、前記所定の時点で
前記受信機の検知範囲内で該受信機により前記無線タグが検知された第1の領域、前記所定の時点で前記受信機の検知範囲内で該受信機により前記無線タグが検知されない第2の領域、及び、前記所定の時点から過去一定の時間内に前記受信機が移動した各地点で前記無線タグを検知可能な第3の領域に係る情報を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された
前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域に係る情報を前記端末装置に通知する通知手段と
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の捜索支援システム。
【請求項4】
前記端末装置は、
前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域に係る情報を
区別可能にした画像を所定の表示部に表示制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の捜索支援システム。
【請求項5】
前記受信機は、
所定の移動体に付設された移動受信機と、所定の位置に固定的に配設された固定受信機とを含み、
前記生成手段は、
前記固定受信機
については前記第1の領域又は前記第2の領域を含み、前記
移動受信機
については前記第1の領域及び前記第3の領域若しくは前記第2の領域及び前記第3の領域に係る情報を区別可能にした画像を生成する
ことを特徴とする請求項4に記載の捜索支援システム。
【請求項6】
前記生成手段は、
前記対象者が前記所定の時点
から一定時間後までに徒歩で移動困難となる移動困難領域を含む画像を生成することを特徴とする請求項5に記載の捜索支援システム。
【請求項7】
捜索対象となる対象者の捜索を依頼する捜索依頼者の端末装置と、前記端末装置に対して前記対象者に係る情報を提供する捜索情報提供装置と、前記対象者が所持する無線タグと、前記対象者の捜索に協力する受信機とを有する捜索支援システムにおける捜索支援方法であって、
前記受信機は、
所定時間ごとに自装置の位置情報及び現在時刻を含む受信機位置情報を前記捜索情報提供装置に通知するとともに、前記無線タグの無線タグ識別情報を含むタグ情報を受信したならば、自装置の位置情報、前記無線タグ識別情報及び前記タグ情報の受信時刻を含む検知情報を前記捜索情報提供装置に通知する第1の通知工程と、
前記捜索情報提供装置が、前記受信機から通知された
前記受信機位置情報及び前記検知情報に基づいて、所定の時点で
前記受信機の検知範囲内で該受信機により前記無線タグが検知された第1の領域、前記所定の時点で前記受信機の検知範囲内で該受信機により前記無線タグが検知されない第2の領域、及び、前記所定の時点から過去一定の時間内に前記受信機が移動した各地点で前記無線タグを検知可能な第3の領域に係る情報を前記端末装置に通知する第2の通知工程と、
前記端末装置が、
前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域に係る情報を
区別可能に出力する出力工程と
を含むことを特徴とする捜索支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、迷子、高齢者、動物等の捜索対象(以下、単に「対象者」と言う)を効率良く確保することができる捜索支援システム及び捜索支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、迷子、動物等の対象者の位置を推定する技術が知られている。例えば特許文献1には、位置推定装置が、自装置の位置(第1の位置情報)を取得し、対象者の発信器から送信される信号に基づいて自装置と発信器の距離(第1の距離情報)を特定し、他の位置推定装置の位置(第2の位置情報)と他の位置推定装置と発信器との距離(第2の距離情報)を特定し、第1の位置情報、第1の距離情報、第2の位置情報及び第2の距離情報に基づいて、対象の位置を推定し、推定位置を出力する位置推定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のものは、自装置と他の位置推定装置の位置関係から対象者の位置を推定するものであるため、その推定精度には限界がある。発信器から発信される電波は、障害物により回折している場合もあるからである。その結果、捜索者が推定位置に赴いたとしても、この推定位置に対象者が存在するとは限らない。かかる場合に、捜索者は考えられる全領域を隈無く捜索しなければならず、対象者を確保するまでに多大の時間を要する可能性がある。場合によっては、対象者の捜索中に該対象者が負傷等を負う可能性もある。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであって、対象者を効率良く確保することができる捜索支援システム及び捜索支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、捜索対象となる対象者の捜索を依頼する捜索依頼者の端末装置と、前記端末装置に対して前記対象者に係る情報を提供する捜索情報提供装置と、前記対象者が所持する無線タグと、前記対象者の捜索に協力する受信機とを有する捜索支援システムであって、前記受信機は、所定時間ごとに自装置の位置情報及び現在時刻を含む受信機位置情報を前記捜索情報提供装置に通知するとともに、前記無線タグの無線タグ識別情報を含むタグ情報を受信したならば、自装置の位置情報、前記無線タグ識別情報及び前記タグ情報の受信時刻を含む検知情報を前記捜索情報提供装置に通知し、前記捜索情報提供装置は、前記受信機から通知された前記受信機位置情報及び前記検知情報に基づいて、所定の時点で前記受信機の検知範囲内で該受信機により前記無線タグが検知された第1の領域、前記所定の時点で前記受信機の検知範囲内で該受信機により前記無線タグが検知されない第2の領域、及び、前記所定の時点から過去一定の時間内に前記受信機が移動した各地点で前記無線タグを検知可能な第3の領域に係る情報を前記端末装置に通知し、前記端末装置は、前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域に係る情報を区別可能に出力することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記発明において、前記受信機は、自装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記無線タグから送信された無線タグ識別情報を含むタグ情報を受信する受信手段と、前記受信機位置情報及び前記検知情報を前記捜索情報提供装置に通知する通知手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記捜索情報提供装置は、前記受信機から前記受信機位置情報及び前記検知情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記受信機位置情報及び前記検知情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶した前記受信機位置情報及び前記検知情報に基づいて、前記所定の時点で前記受信機の検知範囲内で該受信機により前記無線タグが検知された第1の領域、前記所定の時点で前記受信機の検知範囲内で該受信機により前記無線タグが検知されない第2の領域、及び、前記所定の時点から過去一定の時間内に前記受信機が移動した各地点で前記無線タグを検知可能な第3の領域に係る情報を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域に係る情報を前記端末装置に通知する通知手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記端末装置は、前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域に係る情報を区別可能にした画像を所定の表示部に表示制御することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記受信機は、所定の移動体に付設された移動受信機と、所定の位置に固定的に配設された固定受信機とを含み、前記生成手段は、前記固定受信機については前記第1の領域又は前記第2の領域を含み、前記移動受信機については前記第1の領域及び前記第3の領域若しくは前記第2の領域及び前記第3の領域に係る情報を区別可能にした画像を生成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記生成手段は、前記対象者が前記所定の時点から一定時間後までに徒歩で移動困難となる移動困難領域を含む画像を生成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、捜索対象となる対象者の捜索を依頼する捜索依頼者の端末装置と、前記端末装置に対して前記対象者に係る情報を提供する捜索情報提供装置と、前記対象者が所持する無線タグと、前記対象者の捜索に協力する受信機とを有する捜索支援システムにおける捜索支援方法であって、前記受信機は、所定時間ごとに自装置の位置情報及び現在時刻を含む受信機位置情報を前記捜索情報提供装置に通知するとともに、前記無線タグの無線タグ識別情報を含むタグ情報を受信したならば、自装置の位置情報、前記無線タグ識別情報及び前記タグ情報の受信時刻を含む検知情報を前記捜索情報提供装置に通知する第1の通知工程と、前記捜索情報提供装置が、前記受信機から通知された前記受信機位置情報及び前記検知情報に基づいて、所定の時点で前記受信機の検知範囲内で該受信機により前記無線タグが検知された第1の領域、前記所定の時点で前記受信機の検知範囲内で該受信機により前記無線タグが検知されない第2の領域、及び、前記所定の時点から過去一定の時間内に前記受信機が移動した各地点で前記無線タグを検知可能な第3の領域に係る情報を前記端末装置に通知する第2の通知工程と、前記端末装置が、前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域に係る情報を区別可能に出力する出力工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、対象者を効率良く確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係る捜索支援システムの概要の説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る捜索支援システムのシステム構成を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した情報集約サーバの構成を示す図である。
【
図4】
図4は、
図3に示した無線タグ管理データ、受信機管理データ及び移動受信機表示設定データの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図3に示した表示範囲内受信機管理データ及び表示データの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る画像データの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る情報集約サーバの処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る情報集約サーバの処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る対象者の移動及び受信機の配置の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る画像データの一例を示す図(その1)である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る画像データの一例を示す図(その2)である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る画像データの一例を示す図(その3)である。
【
図13】
図13は、変形例に係る捜索支援システムの概要の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本実施形態に係る捜索支援システム及び捜索支援方法について詳細に説明する。本実施形態では、移動受信機を所持する捜索者が迷子、高齢者等の対象者を捜索する場合を示すこととする。また、対象者は、BLE(Bluetooth Low Energy;"Bluetooth"は登録商標)等の近距離無線通信の電波を発信する無線タグを所持するものとする。
【0016】
<捜索支援システムの概要>
まず、本実施形態に係る捜索支援システムの概要について説明する。
図1は、本実施形態に係る捜索支援システムの概要を説明するための説明図である。ここでは、説明の便宜上、情報集約サーバ(HTTPサーバ)によりビットマップ形式の画像データを生成し、捜索者の携帯端末のWEBブラウザ又はアプリによるHTTPリクエストに応答して、情報集約サーバがビットマップ形式の画像データを捜索者の携帯端末に送信し、捜索者の携帯端末の操作表示部に画像データを表示する場合を示すこととする。
【0017】
捜索支援システムには、対象者の捜索に協力する協力者(移動体)が所持する受信機又は協力者の自転車、自動車に設けられた受信機(以下、「移動受信機」と言う)と、所定の位置に固定的に設置された固定受信機とが含まれる。なお、本実施形態では、移動受信機と固定受信機とを「受信機」と総称する。
【0018】
受信機は、あらかじめ設定された時間(例えば10秒)ごとに、GPS(Global Positioning System)により測位された自装置の位置座標を取得し、取得した位置座標を現在時刻とともに受信機位置データとして後述する情報集約サーバに通知する。また、対象者が所持する無線タグから送信された電波を受信したならば、GPSにより測位された自装置の位置座標を取得し、取得した位置座標と、無線タグから受信した電波に含まれる無線タグの識別情報(以下、「無線タグID」と言う)を、無線タグIDを受信した時刻とともに、検知情報(検知データ)として情報集約サーバに通知する。
【0019】
情報集約サーバは、受信機から受信した受信機位置データに含まれる受信機の位置座標及び時刻情報を対応付けて管理する。また、情報集約サーバは、受信機から受信した検知データに含まれる無線タグID、受信機の位置座標及び時刻情報を対応付けて管理する。捜索者の携帯端末から対象者の捜索依頼を受け付けたならば、無線タグID、受信機の位置座標及び時刻情報に基づいて、対象者が存在する可能性がない領域を示す捜索情報を生成し、生成した捜索情報を携帯端末に送信する。つまり、本情報集約サーバは、対象者の位置を予測するのではなく、対象者が存在する可能性のない領域の画像を表示させることで、捜索者による捜索範囲の絞り込みを容易にするものである。
【0020】
例えば、かかる捜索情報の一例として、
図1に示した画像を携帯端末に送信することができる。この画像には、受信機の位置座標を中心として、受信機の能力(例えば、受信可能な半径が数m~数10m)に応じた検知可能な円形の領域が含まれる。ここでは、受信機が無線タグを検知した場合は円形内を色1(例えば青色)とし、無線タグを検知していない場合は色2(例えば黒色)とし、移動受信機が現在時から過去の一定時間内に移動した各地点での検知可能な領域を色3(例えば灰色)とする場合を示している。
【0021】
図1に示すように、時刻t1の時点では、固定受信機1Bが対象者の無線タグを検知しており(S1)、時刻t2の時点では、移動受信機1Aが対象者の無線タグを検知している(S2)。時刻t3の時点では、いずれの受信機も対象者の無線タグを検知していない(S3)。すなわち、各受信機の検知可能な領域以外の領域(背景色で示される領域)に対象者が存在する可能性が高い状況を示している。
【0022】
このように、捜索支援システムは、捜索者の携帯端末に対して対象者が存在しない領域を提供することにより、捜索者による捜索範囲の絞り込みを行うことができるようにしている。
【0023】
<システム構成>
次に、本実施形態に係る捜索支援システムのシステム構成について説明する。
図2は、本実施形態1に係る捜索支援システムのシステム構成を示す図である。
図2に示す捜索支援システムは、無線タグ10と、固定受信機20と、移動受信機30と、情報集約サーバ40と、携帯端末50とを含むシステムである。無線タグ10は、BLE通信により固定受信機20及び移動受信機30と通信可能であり、固定受信機20、移動受信機30及び携帯端末50は、インターネットを介して情報集約サーバ40と通信可能である。なお、インターネット以外の他のネットワークを利用することもできる。
【0024】
無線タグ10は、対象者が所持する装置であり、自装置の無線タグIDをBLE電波に乗せて送信するデバイスである。ここでは、あらかじめ設定された時間(例えば10秒)ごとに無線タグIDを送信するものとする。
【0025】
固定受信機20は、道路沿いの建物などに設置され、無線タグ10からのBLE電波を受信する装置である。この固定受信機20は、GPSにより測位された自装置の位置座標及び自装置の受信機IDを記憶しており、あらかじめ設定された時間(例えば10秒)ごとに、自装置の受信機ID、位置座標及び現在時刻を、受信機位置データとして情報集約サーバ40に送信する。また、BLE電波を受信したならば、BLE電波に乗せられた無線タグID、受信機ID、自装置の位置座標及び無線タグIDの受信時刻を、検知データとして情報集約サーバ40に送信する。なお、本実施形態では、複数の固定受信機20を示す場合に、固定受信機1B、2B、3Bと表記する場合がある。
【0026】
移動受信機30は、対象者の捜索に協力する協力者が所持するスマートフォン等の携帯端末であり、GPSにより自装置の位置座標を取得する機能と、BLE電波を受信する機能を有する。また、自装置の受信機IDが記憶部に記憶されている。また、この移動受信機30には、あらかじめ専用アプリがインストールされている。かかる専用アプリは、あらかじめ設定された時間(例えば10秒)ごとに、自装置の受信機ID、GPSにより取得した自装置の位置座標及び現在時刻を、受信機位置データとして情報集約サーバ40に送信する。また、BLE電波を受信したならば、BLE電波に乗せられた無線タグID、受信機ID、GPSにより取得した自装置の位置座標及び無線タグIDの受信時刻を、検知データとして情報集約サーバ40に送信する。なお、本実施形態では、複数の移動受信機30を示す場合に、移動受信機1A、2A、3Aと表記する場合がある。
【0027】
情報集約サーバ40は、捜索者の位置等を管理するサーバ装置であり、捜索者の携帯端末50からの「対象者の捜索依頼」に応答して、該携帯端末50に対して画像データを送信する。具体的には、固定受信機20及び移動受信機30から、受信機位置データとして受信機ID及び位置座標を受信したならば、これらの情報の受信時刻とともに記憶部に記憶する。また、固定受信機20及び移動受信機30から検知データとして無線タグID、受信機ID、位置座標及び無線タグIDの受信時刻を受信したならば、これらの情報を記憶部に記憶する。さらに、携帯端末50から捜索依頼を受け付けたならば、対象者の捜索情報を示す画像を生成して携帯端末50に送信する。
【0028】
携帯端末50は、対象者を捜索する捜索者(例えば、対象者の家族)が所持するスマートフォン等の端末装置であり、情報集約サーバ40と通信する機能と、情報集約サーバ40から送信される画像を表示する機能とを有する。なお、この携帯端末50には、あらかじめ捜索用のアプリをインストールすることができるが、WEBブラウザにより情報集約サーバ40(HTTPサーバ)等にアクセスして捜索依頼を行い、情報集約サーバ40から送信される画像を表示することもできる。
【0029】
<情報集約サーバ40の構成>
次に、
図2に示した情報集約サーバ40の構成について説明する。
図3は、
図2に示した情報集約サーバ40の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、情報集約サーバ40は、表示部41及び入力部42と接続され、通信部43、記憶部44及び制御部45を有する。
【0030】
表示部41は、液晶パネルやディスプレイ装置等の表示デバイスである。入力部42は、キーボードやマウス等の入力デバイスである。通信部43は、インターネットを介して固定受信機20、移動受信機30及び携帯端末50と通信するためのインタフェース部である。
【0031】
記憶部44は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、無線タグ管理データ44a、受信機管理データ44b、表示設定データ44c、表示範囲内受信機管理データ44d、画像データ44e、地図データ44f及び表示データ44gを記憶する。
【0032】
無線タグ管理データ44aは、対象者に係る対象者ID、無線タグID、捜索者ID等を関連付けたデータである。受信機管理データ44bは、各時刻における受信機の位置座標、受信機により受信された無線タグID等を関連付けたデータである。
【0033】
表示設定データ44cは、移動受信機30の表示設定時間を示すデータである。移動受信機30が過去の一定時間にわたり覆っていた検知領域を地図上に表示するための表示設定時間である。表示範囲内受信機管理データ44dは、受信機管理データ44bの中で、携帯端末50から捜索依頼された領域内のデータである。
【0034】
表示データ44gは、携帯端末50から捜索依頼された対象者の存在領域を地図上に描画するための、受信機の検知範囲の中心点の描画座標、描画半径等からなるデータである。地図データ44fは、例えばRGBにより形成されるカラーの地図データである。なお、かかる地図データ44fは、例えばベクトル画像等の他の形式の画像であってもよい。画像データ44eは、携帯端末50から捜索依頼された対象者の存在領域を地図上に表示した画像データである。本実施形態では、一度表示データ44gを生成した後に、この表示データ44gと地図データ44fとから画像データ44eを生成するものとする。
【0035】
制御部45は、情報集約サーバ40の全体制御を行う制御部であり、無線タグ管理部45a、受信機管理部45b、表示設定部45c、画像データ生成部45d及び画像データ通知部45hを有する。実際には、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、無線タグ管理部45a、受信機管理部45b、表示設定部45c、画像データ生成部45d及び画像データ通知部45hにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0036】
無線タグ管理部45aは、無線タグ管理データ44aを管理する処理部である。無線タグ管理部45aは、無線タグID、対象者ID、捜索者ID等を入力部42から受け付け、無線タグ管理データ44aに記憶する。
【0037】
受信機管理部45bは、受信機管理データ44bを管理する処理部である。受信機管理部45bは、固定受信機20及び移動受信機30から受信機位置データを受信したならば、受信機位置データに含まれる時刻情報、受信機ID、位置座標とともに、受信無線タグIDを「無」として受信機管理データ44bに記憶する。受信機管理部45bは、固定受信機20及び移動受信機30から検知データを受信したならば、検知データに含まれる無線タグIDを受信した時刻、受信機ID、位置座標、受信無線タグIDを受信機管理データ44bに記憶する。
【0038】
表示設定部45cは、表示設定データ44cを管理する処理部である。表示設定部45cは、移動受信機表示設定時間を入力部42から受け付け、表示設定データ44cに記憶する。画像データ通知部45hは、画像データ44eを携帯端末50に通知する処理部である。
【0039】
画像データ生成部45dは、画像データ44eを生成する処理部であり、表示範囲内データ抽出部45e、現在情報処理部45f、過去情報処理部45g及び表示データ描画部45iを有する。表示範囲内データ抽出部45eは、受信機管理データ44bの中から、表示範囲内のデータを抽出する処理部である。表示範囲内データ抽出部45eは、受信機管理データ44bの中で、携帯端末50からの捜索依頼に含まれる表示範囲内に該当するデータを抽出し、表示範囲内受信機管理データ44dに記憶する。
【0040】
現在情報処理部45fは、現在の検知状況を含む表示データ44gを生成する処理部である。現在情報処理部45fは、表示範囲内受信機管理データ44dから、捜索依頼に含まれる指定時刻tの直近時刻におけるデータを抽出する。現在情報処理部45fは、抽出したデータの位置座標を描画座標、受信半径を描画半径、受信無線タグIDを無線タグIDとして、抽出したデータの時刻、受信機IDとともに、表示データ44gに含める。
【0041】
現在情報処理部45fは、無線タグ管理データ44aから、捜索依頼に含まれる対象者ID又は捜索者IDを用いて対象者の無線タグIDを特定する。現在情報処理部45fは、抽出したデータの受信無線タグIDに対象者の無線タグIDが含まれるならば、当該データの領域描画色を色1とし、対象者の無線タグIDが含まれないならば、当該データの領域描画色を色2として、表示データ44gに含める。
【0042】
過去情報処理部45gは、移動受信機30の過去の一定時間内の移動領域を処理して表示データ44gに含める処理部である。過去情報処理部45gは、捜索依頼に含まれる指定時刻tの直近時刻より過去であり、かつ、指定時刻tから表示設定データ44cの表示設定時間を減じた時刻以降のデータを、表示範囲内受信機管理データ44dから抽出する。
【0043】
過去情報処理部45gは、表示範囲内受信機管理データ44dから抽出したデータを検索して、移動受信機30に該当するならば、検索したデータの領域描画色を色3、位置座標を描画座標、受信半径を描画半径として、検索したデータの時刻、受信機IDとともに、表示データ44gに含める。
【0044】
表示データ描画部45iは、表示データ44gと地図データ44fとから画像データ44eを生成する処理部である。表示データ描画部45iは、表示データ44gに含まれる描画座標を中心点とし、描画半径を半径とする円を、領域描画色に該当する色で地図データ44f上に重ねて描画することによって画像データ44eを生成する。
【0045】
次に、
図3に示した記憶部44に記憶されたデータの一例を説明する。
図4及び
図5は、
図3に示した無線タグ管理データ44a、受信機管理データ44b、表示設定データ44c、表示範囲内受信機管理データ44d及び表示データ44gの一例を示す図である。
【0046】
図4(a)に示す無線タグ管理データ44aは、対象者ID「A101」、対象者名「特許太郎」、対象者連絡先「090-1234-5678」、対象者住所「東京都新宿区・・・」、捜索者ID「B101」、捜索者名「特許花子」及び捜索者連絡先「080-2345-6789」を無線タグID「R001」に関連付けた状況を示している。
【0047】
図4(b)に示す受信機管理データ44bは、時刻「t1」の受信機ID「101」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x1/y1」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t1」の受信機ID「102」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x2/y2」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t1」の受信機ID「103」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x3/y3」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「R001」を関連付け、時刻「t1」の受信機ID「201」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x11/y11」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「無」を関連付けた状況を示している。
【0048】
また、時刻「t1」の受信機ID「202」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x21/y21」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t1」の受信機ID「203」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x31/y31」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t2」の受信機ID「101」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x1/y1」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t2」の受信機ID「102」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x2/y2」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「無」を関連付けた状況を示している。
【0049】
また、時刻「t2」の受信機ID「103」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x3/y3」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t2」の受信機ID「201」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x12/y12」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t2」の受信機ID「202」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x22/y22」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「R001」を関連付け、時刻「t2」の受信機ID「203」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x32/y32」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「無」を関連付けた状況を示している。
【0050】
図4(c)に示す表示設定データ44cは、移動受信機の表示設定時間が「1分」に設定された状況を示している。
【0051】
図5(a)に示す表示範囲内受信機管理データ44dは、時刻「t1」の受信機ID「101」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x1/y1」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t1」の受信機ID「103」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x3/y3」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「R001」を関連付け、時刻「t1」の受信機ID「201」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x11/y11」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t1」の受信機ID「202」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x21/y21」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「無」を関連付けた状況を示している。
【0052】
また、時刻「t2」の受信機ID「101」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x1/y1」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t2」の受信機ID「103」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x3/y3」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t2」の受信機ID「202」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x22/y22」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「R001」を関連付け、時刻「t2」の受信機ID「203」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x32/y32」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「無」を関連付けた状況を示している。
【0053】
次に、表示データ44gの一例について説明する。
【0054】
図5(b)は、表示データ44gの一例を示す図である。
図5(b)に示すように、表示データ44gには、時刻「t8」の受信機ID「101」、無線タグID「R001」、描画座標「x1/y1」、描画半径「20m」及び領域描画色「色1」のデータと、時刻「t8」の受信機ID「102」、無線タグID「無」、描画座標「x2/y2」、描画半径「20m」及び領域描画色「色2」のデータと、時刻「t8」の受信機ID「103」、無線タグID「R005」、描画座標「x3/y3」、描画半径「20m」及び領域描画色「色2」のデータと、時刻「t8」の受信機ID「201」、無線タグID「無」、描画座標「x18/y18」、描画半径「5m」及び領域描画色「色2」のデータとが含まれる。
【0055】
また、時刻「t8」の受信機ID「202」、無線タグID「無」、描画座標「x28/y28」、描画半径「5m」及び領域描画色「色2」のデータと、時刻「t8」の受信機ID「203」、無線タグID「無」、描画座標「x38/y38」、描画半径「5m」及び領域描画色「色2」のデータと、時刻「t7」の受信機ID「201」、無線タグID「無」、描画座標「x17/y17」、描画半径「5m」及び領域描画色「色3」のデータと、時刻「t7」の受信機ID「202」、無線タグID「無」、描画座標「x27/y27」、描画半径「5m」及び領域描画色「色3」のデータとが含まれる。
【0056】
また、時刻「t7」の受信機ID「203」、無線タグID「無」、描画座標「x37/y37」、描画半径「5m」及び領域描画色「色3」のデータと、時刻「t2」の受信機ID「201」、無線タグID「無」、描画座標「x12/y12」、描画半径「5m」及び領域描画色「色3」のデータと、時刻「t2」の受信機ID「202」に対し、無線タグID「無」、描画座標「x22/y22」、描画半径「5m」及び領域描画色「色3」のデータと、時刻「t2」の受信機ID「203」に対し、無線タグID「無」、描画座標「x32/y32」、描画半径「5m」及び領域描画色「色3」のデータとが含まれる。
【0057】
<画像データの表示>
次に、本実施形態に係る画像データ44eの一例について説明する。
図6は、本実施形態に係る画像データ44eの一例を示す図である。画像データ44eは、表示データ描画部45iが、地図データ44fをビットマップメモリ上に展開し、そこへ重ねるように、表示データ44gに含まれる描画座標を中心点とし、描画半径を半径とする円をビットマップメモリ上に生成し、円内を領域描画色に該当する色で塗りつぶすことによって生成される。
【0058】
具体的には、
図6に示す固定受信機1Bは、時刻tの直近時刻におけるデータとして、中心点「(x1,y1)」、半径「r1」の円であり、色「色1」(例えば青色)とする。移動受信機1Aは、時刻tの直近時刻におけるデータとして、中心点「(x18,y18)」、半径「r2」の円であり、色「色2」(例えば黒色)とする。
【0059】
また、時刻tの直近時刻より過去であり、かつ、時刻tから表示設定データ44cの表示設定時間を減じた時刻までの間の移動受信機データとして、複数の円が連続して表示される。例えば、連続表示された移動受信機1Aの一つは、中心点「(x12,y12)」、半径「r2」の円であり、色「色3」(例えば灰色)とする。なお、複数の円が重なって表示される場合、時刻が新しいほうの円が手前になるように重ね表示される。
【0060】
<情報集約サーバ40の処理手順>
次に、情報集約サーバ40の処理手順について説明する。
図7及び
図8は、情報集約サーバ40の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、情報集約サーバ40は、固定受信機20又は移動受信機30から、受信機位置データ又は検知データを受信したならば(ステップS101;Yes)、受信したデータを受信機管理データ44bに記憶する(ステップS102)。
【0061】
固定受信機20及び移動受信機30から、受信機位置データ及び検知データのいずれも受信していない場合(ステップS101;No)、又は携帯端末50から捜索依頼を受信していない場合は(ステップS103;No)、ステップS101に移行する。これに対して、携帯端末50から捜索依頼を受信したならば(ステップS103;Yes)、捜索依頼に含まれる表示範囲に基づいて受信機管理データ44bから表示範囲内のデータを抽出し、表示範囲内受信機管理データ44dに記憶する(ステップS104)。
【0062】
その後、表示範囲内受信機管理データ44dから、捜索依頼に含まれる指定時刻tの直近時刻におけるデータを抽出し(ステップS105)、抽出したデータの位置座標を描画座標、受信半径を描画半径として表示データ44gに含める(ステップS106)。
【0063】
無線タグ管理データ44aから、捜索依頼に含まれる対象者ID又は捜索者IDを用いて対象者の無線タグIDを特定し(ステップS107)、表示データ44gから最上位のデータを抽出する(ステップS108)。
【0064】
抽出したデータの無線タグIDに対象者の無線タグIDが含まれるならば(ステップS109;Yes)、色1の領域を表示データ44gに含め(ステップS110)、対象者の無線タグIDが含まれないならば(ステップS109;No)、色2の領域を表示データ44gに含める(ステップS111)。
【0065】
その後、表示データ44gから次のデータを抽出し(ステップS112)、次のデータがある場合は(ステップS113;No)、ステップS109に移行する。次のデータがない場合は(ステップS113;Yes)、表示データ44gから最上位のデータを抽出する(ステップS114)。
【0066】
抽出したデータの時刻及び受信機IDが同じデータを表示範囲内受信機管理データ44dの中で特定し、その一つ上位のデータを抽出する(ステップS115)。
【0067】
抽出したデータの受信機が移動受信機30であるならば(ステップS116;Yes)、領域描画色を色3とし、抽出したデータの位置座標を描画座標、受信半径を描画半径として、表示データ44gに含める(ステップS117)。抽出したデータの受信機が固定受信機20であるならば(ステップS116;No)、ステップS118に移行する。
【0068】
抽出したデータの一つ上位のデータを表示範囲内受信機管理データ44dから抽出し(ステップS118)、抽出したデータの時刻が、時刻tから表示設定データ44cの移動受信機の表示設定時間を減じた時刻以降であれば(ステップS119;No)、ステップS116に移行する。
【0069】
抽出したデータの時刻が、時刻tから移動受信機表示設定時間を減じた時刻より前であれば(ステップS119;Yes)、表示データ44gと地図データ44fとから画像データ44eを生成して携帯端末50に送信し(ステップS120)、処理を終了する。
【0070】
<実施形態に係る画像データ44eの表示例>
次に、本実施形態に係る画像データ44eの表示の具体例について説明する。
図9は、本実施形態に係る画像データ44eの表示の具体例の前提となる、対象者の移動及び受信機の配置の一例を示す図である。
【0071】
図9に示すように、無線タグ10を所持した対象者(二重白丸で表示)が、時刻t1からt9の順に破線で示した経路を移動する。固定受信機20は、受信半径が数10mであり、固定受信機1B、固定受信機2B及び固定受信機3Bとして地図上の黒丸の場所に設置されている。固定受信機20の受信半径数10mの範囲を表す黒丸の外側の円内を対象者が通過したならば、固定受信機20は無線タグ10を検知する。
【0072】
移動受信機30は、受信半径が10m以下であり、移動受信機1A、移動受信機2A及び移動受信機3A(黒丸で表示)がそれぞれ独自に移動する。時刻t4の時点で移動受信機1Aの受信半径10m以下の範囲を表す黒丸の外側の円内を対象者が通過しているため、移動受信機1Aが無線タグ10を検知し、同じように時刻t2の時点で移動受信機2Aが無線タグ10を検知し、時刻t3の時点で移動受信機3Aが無線タグ10を検知する。
【0073】
次に、本実施形態に係る画像データ44eの表示の一例について説明する。
図10~
図12は、本実施形態に係る画像データ44eの表示の一例を示す図である。
図10は、時刻t1における表示例である。固定受信機3Bの領域描画色が色1とされ、無線タグ10を検知したことを示している。その他の受信機の領域描画色は色2又は色3とされ、無線タグ10を検知していない状況を示している。
図11は、時刻t8における表示例である。固定受信機1Bの領域描画色が色1とされ、無線タグ10を検知したことを示している。その他の受信機の領域描画色は色2又は色3とされ、無線タグ10を検知していない状況を示している。
【0074】
図12は、時刻t9における表示例である。いずれの受信機も領域描画色は色2又は色3とされ、無線タグ10を検知していない状況を示している。すなわち、対象者は、色2及び色3の領域以外の領域(背景色の領域)に存在する可能性が高いことを示している。このように、本実施形態に係る捜索支援システムは、対象者が存在しない領域を明確にし、捜索範囲の絞り込みを行う際に用いることができる。
【0075】
上述してきたように、本実施形態では、捜索対象となる対象者の捜索を依頼する捜索依頼者の携帯端末50と、携帯端末50に対して対象者に係る情報を提供する情報集約サーバ40と、対象者が所持する無線タグ10と、対象者の捜索に協力する受信機(固定受信機20及び移動受信機30)を含む捜索支援システムであって、受信機は、無線タグ10のタグ情報を検知したならば、検知したタグ情報、該タグ情報の検知時刻及び自装置の位置情報を含む検知情報を情報集約サーバ40に通知し、情報集約サーバ40は、受信機から通知された検知情報に基づいて、所定の時点で対象者が存在しない領域に係る情報を携帯端末50に通知し、携帯端末50は、対象者が存在しない領域に係る情報を出力するよう構成したので、対象者が存在する可能性のある領域を絞り込み、全領域を捜索する場合と比して対象者を確保するまでの時間を短縮することができる。
【0076】
また、本実施形態は、受信機は、自装置の位置情報を取得し、無線タグ10から送信された無線タグ識別情報を含むタグ情報を検知したならば、検知したタグ情報、タグ情報の検知時刻及び自装置の位置情報を含む検知情報を情報集約サーバ40に通知する。また、情報集約サーバ40は、受信機から検知情報を受信したならば、受信した検知情報を記憶部44に記憶し、記憶部44に記憶した検知情報に基づいて、所定の時点で対象者が存在しない領域に係る情報を生成し、生成された対象者が存在しない領域に係る情報を携帯端末50に通知する。
【0077】
<変形例>
ところで、上記の実施形態では、対象者が存在する領域及び存在しない領域に区分して表示する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、対象者が移動困難な領域を明確にして表示するよう構成することもできる。本変形例では、対象者が移動困難な領域を明確にして表示する構成について説明する。
【0078】
図13は、本変形例に係る捜索支援システムの概要を説明するための説明図である。
図13に示すように、時刻t1では、いずれの受信機も対象者の無線タグを検知していないが(S11)、時刻t2では、移動受信機1Aが対象者の無線タグを検知している(S12)。
【0079】
時刻t3では、いずれの受信機も対象者の無線タグを検知していないが、時刻t2での検知データを用いて、対象者の移動困難領域を色4(例えば茶色)で表示する(S3)。これは、時刻t2において移動受信機1Aが検知した際の位置情報から、対象者が移動困難な領域(例えば、一定時間後までに徒歩で移動困難な半径100m以上の領域)を表示する。
【0080】
このように、本変形例に係る捜索支援システムは、対象者が存在しない領域に加え、移動困難な領域を明確にすることにより、捜索範囲を極小化することができる。
【0081】
なお、上記の実施形態では、対象者が存在しない領域を明確にする構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、強調表示する領域を反転させて、対象者が存在する可能性が高い領域を表示するよう構成することもできる。
【0082】
また、上記の実施形態では、移動受信機が自由に移動できる場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、移動受信機を特定の場所に誘導することにより対象者を検知する可能性を高めるよう構成することもできる。例えば、地点Xから地点Yに移動するためには、必ず地点Zを通過しなければならない場合、移動受信機を地点Zに誘導して、地点Yから地点Zの領域を捜索範囲から除外し、捜索範囲を狭めることができる。
【0083】
また、上記の実施形態では、対象者が存在しない領域を示す画像を表示する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、対象者が存在しない領域に関する情報を音声により報知するよう構成することもできる。
【0084】
また、上記の実施形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明に係る捜索支援システム及び捜索支援方法は、対象者を効率良く確保する場合に適している。
【符号の説明】
【0086】
1A,2A,3A,30 移動受信機
1B,2B,3B,20 固定受信機
10 無線タグ
40 情報集約サーバ
41 表示部
42 入力部
43 通信部
44 記憶部
44a 無線タグ管理データ
44b 受信機管理データ
44c 表示設定データ
44d 表示範囲内受信機管理データ
44e 画像データ
44f 地図データ
44g 表示データ
45 制御部
45a 無線タグ管理部
45b 受信機管理部
45c 表示設定部
45d 画像データ生成部
45e 表示範囲内データ抽出部
45f 現在情報処理部
45g 過去情報処理部
45h 画像データ通知部
45i 表示データ描画部