(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】渦電流式制動装置、及び駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 49/02 20060101AFI20240820BHJP
H02K 49/10 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H02K49/02 B
H02K49/10 B
(21)【出願番号】P 2020155350
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】松岡 佳宏
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-088828(JP,A)
【文献】特開2008-178259(JP,A)
【文献】特開平11-150936(JP,A)
【文献】特開2005-080329(JP,A)
【文献】特開2019-135402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 49/02
F16D 27/01
H02K 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体に取り付けられるように構成され、回転可能に配置される円板状のロータと、
軸方向に延びて前記ロータに向かって開口する収容孔を有し、回転不能に配置される支持部材と、
前記収容孔内に軸方向移動可能に収容される磁石と、
前記磁石に対して前記ロータと反対側に配置される環状のヨークと、
前記ロータ及び前記支持部材を収容するケースと、
を備え
、
前記支持部材は、作動油が供給されるように構成された環状の収容部を有し、
前記ヨークは、前記収容部内において軸方向に移動可能に収容され、
前記ヨークは、前記作動油の油圧が作用すると非作動位置から作動位置へと移動して、前記磁石を前記ロータ側に移動させるように構成され、
前記支持部材は、前記収容部と前記支持部材の外部とを連通する油孔を有し、
前記油孔は、前記ヨークが前記作動位置にあるときに開口し、前記ヨークが前記非作動位置にあるときに閉口するように構成される、
渦電流式制動装置。
【請求項2】
前記ヨークを前記ロータから離れる方向に付勢する付勢部材をさらに備える、
請求項
1に記載の渦電流式制動装置。
【請求項3】
前記磁石、及び前記収容孔は、円柱状である、
請求項1
又は2に記載の渦電流式制動装置。
【請求項4】
前記ロータは、前記回転体である伝達シャフトに取り付けられる、
請求項1から
3のいずれかに記載の渦電流式制動装置。
【請求項5】
前記ロータは、トルクコンバータの外殻によって構成される、
請求項1から
4のいずれかに記載の渦電流式制動装置。
【請求項6】
前記磁石と前記ロータとの間に配置され、前記磁石とともに軸方向に移動可能に配置されるポールピースをさらに備える、
請求項1から
5のいずれかに記載の渦電流式制動装置。
【請求項7】
原動機と、
前記原動機のトルクを駆動輪へ伝達するように構成された動力伝達機構と、
前記駆動輪の回転を制動するように構成された、請求項1から
6のいずれかに記載の渦電流式制動装置と、を備える、駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渦電流式制動装置、及び駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両は、一般的に摩擦ブレーキを有している。また、電気自動車又はハイブリッド自動車などのように回転電機を動力源とする車両は、摩擦ブレーキの他に回生ブレーキを有している。この回生ブレーキによって発生した電力は、バッテリに充電して利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した回生ブレーキは、バッテリの充電容量が上限に達したときなどに利用できなくなることがある。そこで、摩擦ブレーキ及び回生ブレーキとは異なる制動装置が要望されている。
【0005】
そこで、本発明の課題は、摩擦ブレーキや回生ブレーキとは異なる制動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面に係る渦電流式制動装置は、ロータ、支持部材、磁石、及び環状のヨークを備える。ロータは、回転体に取り付けられるように構成されている。ロータは、回転可能に配置される。ロータは、円板状である。支持部材は、収容孔を有する。収容孔は、軸方向に延びている。収容孔は、ロータに向かって開口する。支持部材は、回転不能に配置される。磁石は、収容孔内に軸方向移動可能に収容される。ヨークは、磁石に対してロータと反対側に配置される。
【0007】
この構成によれば、ロータが回転すると、磁石によりロータの表面に渦電流による磁束が発生して、磁石の磁力と渦電流の磁束との間で吸引力と反発力が作用することにより、ロータの回転方向とは逆の回転抵抗が発生する。この結果、ロータが取り付けられた回転体の回転を制動することができる。この渦電流式制動装置を例えば電気自動車又はハイブリッド自動車に用いた場合、バッテリの充電容量が上限に達したときなどのように回生ブレーキを利用できなくなったときに有用である。
【0008】
好ましくは、支持部材は、作動油が供給されるように構成された環状の収容部を有する。ヨークは、収容部内において軸方向に移動可能に収容される。ヨークは、作動油の油圧が作用すると非作動位置から作動位置へと移動して、磁石をロータ側に移動させるように構成される。すなわち、ヨークは、ピストンとしての機能も有している。
【0009】
好ましくは、渦電流式制動装置は、ロータ及び支持部材を収容するケースをさらに備える。支持部材は、収容部と支持部材の外部とを連通する油孔を有する。油孔は、ヨークが作動位置にあるときに開口し、ヨークが非作動位置にあるときに閉口するように構成される。
【0010】
好ましくは、渦電流式制動装置は、ヨークをロータから離れる方向に付勢する付勢部材をさらに備える。
【0011】
好ましくは、磁石及び収容孔は、円柱状である。この構成によれば、部品製作、及び組付け性が容易となるとともに、磁石の軸方向移動をスムーズにできる。
【0012】
好ましくは、ロータは、回転体である伝達シャフトに取り付けられる。
【0013】
好ましくは、ロータは、トルクコンバータの外殻によって構成される。
【0014】
好ましくは、渦電流式制動装は、ポールピースをさらに備える。ポールピースは、磁石とロータとの間に配置され、磁石とともに軸方向に移動可能に配置される。
【0015】
本発明の第2側面に係る駆動装置は、原動機と、動力伝達機構と、上記いずれかの渦電流式制動装置と、を備える。動力伝達機構は、原動機のトルクを駆動輪へ伝達するように構成されている。渦電流式制動装置は、駆動輪の回転を制動するように構成されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、摩擦ブレーキや回生ブレーキとは異なる制動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態に係る駆動装置及び渦電流式制動装置について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、軸方向とは、ロータの回転軸が延びる方向である。また、周方向とは、回転軸を中心とした円の周方向であり、径方向とは、回転軸を中心とした円の径方向である。また、軸方向の第1側とは
図2の右側を意味し、軸方向の第2側とは
図2の左側を意味する。
【0019】
<駆動装置>
図1に示すように、駆動装置100は、渦電流式制動装置10、電気モータ11(原動機の一例)、動力伝達機構12、及び油圧システム13を備えている。駆動装置100は、電気自動車又はハイブリッド自動車などに取り付けられる。
【0020】
<電気モータ>
電気モータ11は、モータケース111と、ステータ112と、ロータ113とを有する。
【0021】
ステータ112は、モータケース111に固定されている。ロータ113は、ステータ112の径方向内側において回転可能に配置されている。なお、本実施形態では、電気モータ11はインナーロータ型である。
【0022】
<動力伝達機構>
動力伝達機構12は、電気モータ11の回転を駆動輪へと伝達する。動力伝達機構12は、伝達シャフト120と減速機121とを有している。伝達シャフト120は軸方向に延びている。伝達シャフト120は、電気モータ11の回転を駆動輪(図示省略)へと伝達する機構の一部である。詳細には、伝達シャフト120は、電気モータ11のロータ113の回転を出力する。伝達シャフト120は、ロータ113と一体的に回転する。すなわち、本実施形態における伝達シャフト120は、電気モータ11の出力シャフトである。なお、減速時においては、駆動輪の回転が伝達シャフト120に伝達される。
【0023】
減速機121は、電気モータ11の回転を減速して駆動輪へと出力する。減速機121は、複数のギア122を有している。複数のギア122のうち一つのギア122は、伝達シャフト120に取り付けられている。
【0024】
<油圧システム>
油圧システム13は、渦電流式制動装置10へ作動油を供給するように構成されている。油圧システム13は、オイルポンプ131、オイルパン132、及びオイルクーラ133を有する。オイルポンプ131はオイルパン132内の作動油を渦電流式制動装置10へと供給する。オイルクーラ133は、渦電流式制動装置10から排出された作動油を冷却する。
【0025】
<渦電流式制動装置>
図2に示すように、渦電流式制動装置10は、伝達シャフト120の回転を制動するように構成されている。渦電流式制動装置10は、ロータ2、支持部材3、複数の磁石4、複数のポールピース5、ヨーク6、リターンスプリング7(弾性部材の一例)、及びケース8を有している。
【0026】
[ロータ]
ロータ2は、円板状である。ロータ2は、回転可能に配置されている。ロータ2は、伝達シャフト120に取り付けられている。このため、ロータ2は、伝達シャフト120と一体的に回転する。ロータ2は、ハブ部21及び円板部22を有している。
【0027】
ハブ部21はスプライン孔を有している。伝達シャフト120は、ハブ部21のスプライン孔にスプライン嵌合している。ハブ部21は、フランジ部211を有している。
【0028】
円板部22は、中央に開口部を有している。円板部22は、内周端部において、リベットなどによってフランジ部211に取り付けられている。円板部22は、導電性である。円板部22は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、又は銅などによって形成することができる。
【0029】
ロータ2は、貫通孔23を有している。貫通孔23は、軸方向にロータ2を貫通している。貫通孔23は、円板部22とフランジ部211とを貫通している。
【0030】
[支持部材]
支持部材3は、回転不能に配置されている。詳細には支持部材3は、ケース8に固定されている。このため、支持部材3は、回転軸O周りに回転しない。
【0031】
支持部材3は、周方向に延びる環状である。支持部材3は、ロータ2と軸方向において対向している。詳細には、支持部材3は、ロータ2の外周端部と対向している。
【0032】
支持部材3は、非磁性材によって形成されている。例えば、支持部材3は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、又はマグネシウム合金などによって形成することができる。
【0033】
支持部材3は、環状の収容部31を有している。収容部31内には、ヨーク6が収容されている。収容部31は、周方向に延びている。収容部31は、軸方向の第1側に開口している。すなわち、収容部31は、ケース8に向かって開口している。そして、収容部31の開口面は、ケース8によって塞がれている。作動油は、収容部31の開口面から収容部31内に供給される。収容部31は、軸方向の第2側には開口していない。
【0034】
支持部材3は、複数の収容孔32及び複数の収容凹部33を有している。収容孔32は、軸方向に延びている。収容孔32は、円柱状である。収容孔32内には、磁石4及びポールピース5が収容される。収容孔32は、収容部31と連通している。また、収容孔32は、ロータ2に向かって開口している。すなわち、収容孔32は、軸方向の第2側に向かって開口している。各収容孔32は、周方向において、互いに間隔をあけて配置されている。
【0035】
収容凹部33は、軸方向に延びている。収容凹部33は、円柱状である。収容凹部33内には、リターンスプリング7が収容されている。収容凹部33は、収容部31と連通している。すなわち、収容凹部33は、収容部31側に開口している。一方、収容凹部33は、軸方向の第2側には開口していない。各収容凹部33は、周方向において、互いに間隔をあけて配置されている。好ましくは、各収容孔32と各収容凹部33とは、周方向において交互に配置されている。
【0036】
支持部材3は、油孔34を有している。油孔34は、支持部材3の外周面に形成されている。油孔34は、支持部材3の周壁部を径方向に貫通している。油孔34は、収容部31と支持部材3の外部とを連通している。油孔34は、ヨーク6が作動位置にあるときに開口し、ヨーク6が非作動位置にあるときに閉口するように構成されている。
【0037】
[磁石]
磁石4は、支持部材3に軸方向に移動可能に支持されている。磁石4は、支持部材3に回転不能に支持されている。すなわち、磁石4は、回転軸O周りに回転しない。磁石4は、軸方向に延びる円柱状である。磁石4は、支持部材3の収容孔32内に配置されている。詳細には、磁石4は、収容部31と収容孔32とに亘って延びている。各磁石4は、各収容孔32内に配置されているため、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。なお、磁石4は、永久磁石である。
【0038】
[ポールピース]
ポールピース5は、磁石4とロータ2との間に配置されている。ポールピース5は、磁石4に取り付けられている。例えば、ポールピース5は、磁石4の磁力によって磁石4に取り付けられている。このため、ポールピース5は、磁石4とともに軸方向に移動可能である。
【0039】
ポールピース5は、円柱状である。ポールピース5は、収容孔32内に収容されている。ポールピース5は、収容孔32の内壁面上を軸方向に摺動する。ポールピース5は、磁性材によって形成されている。例えば、ポールピース5は、鉄などによって形成されている。
【0040】
[ヨーク]
ヨーク6は、環状である。ヨーク6は、支持部材3の収容部31内に収容されている。ヨーク6は、磁石4に対してロータ2と反対側に配置されている。すなわち、ヨーク6は、磁石4に対して軸方向の第1側に配置されている。ヨーク6は、磁性材によって形成されている。例えば、ヨーク6は、鉄によって形成されている。このヨーク6に、磁石4が取り付けられている。例えば、磁石4の磁力によって磁石4はヨーク6に取り付けられている。このため、磁石4は、ヨーク6とともに軸方向に移動可能である。
【0041】
ヨーク6は、油圧システム13から作動油が供給されていないとき、非作動位置に位置している。すなわち、ヨーク6は、収容部31内において軸方向の第1側に配置されている。ヨーク6は、非作動位置にあるとき、ケース8と接触している。
【0042】
ヨーク6は、油圧システム13から作動油が供給されると、非作動位置から作動位置に移動する。すなわち、ヨーク6は、軸方向の第2側に移動する。ヨーク6が軸方向の第2側に移動することによって、ヨーク6は磁石4をロータ2側に移動させる。すなわち、ヨーク6は、ピストンとして機能するように構成されている。
【0043】
[リターンスプリング]
リターンスプリング7は、ヨーク6を非作動位置に移動させるように構成されている。リターンスプリング7は、支持部材3の収容凹部33内に配置されている。各リターンスプリング7は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。リターンスプリング7は、ヨーク6をロータ2から離れる方向に付勢している。すなわち、リターンスプリング7は、ヨーク6を軸方向の第1側に付勢している。このように、リターンスプリング7は、ヨーク6に作動油の油圧が作用していないとき、ヨーク6を非作動位置に保持する。
【0044】
[ケース]
ケース8は、ロータ2及び支持部材3を収容している。ケース8は、作動油を供給するための供給口81を有している。供給口81は、支持部材3の収容部31内に開口している。この供給口81を介して、作動油が油圧システム13から収容部31内に供給される。
【0045】
ケース8は、作動油を排出するための排出口82を有している。排出口82は、例えばケース8の中央部に設けられている。この排出口82を介して、作動油が油圧システム13に回収される。
【0046】
<渦電流式制動装置の動作>
車両走行時は、伝達シャフト120は回転している。運転者がブレーキ操作をすると、まず、油圧システム13のオイルポンプ131が作動し、作動油が渦電流式制動装置10へ供給される。
【0047】
渦電流式制動装置10に供給された作動油は、ケース8の供給口81を介して支持部材3の収容部31内に供給される。この収容部31に供給された作動油は、ヨーク6を軸方向の第2側に押圧する。このヨーク6に対する作動油の押圧力がリターンスプリング7の付勢力よりも大きくなると、ヨーク6は非作動位置から作動位置に移動する。すなわち、ヨーク6は、軸方向の第2側に移動する。なお、ヨーク6は、渦電流式制動装置10が作動していないとき、リターンスプリング7の付勢力によって非作動位置にある。
【0048】
ヨーク6が作動位置に移動することによって、ヨーク6は磁石4及びポールピース5を軸方向の第2側に移動させる。磁石4及びポールピース5がロータ2に近づくことによって、回転しているロータ2の表面に渦電流による磁束が発生し、ロータ2の回転方向とは逆の回転抵抗が発生する。この結果、ロータ2を介して伝達シャフト120の回転を制動することができる。なお、この状態において、ポールピース5は、ロータ2との間に隙間を有している。
【0049】
また、ヨーク6が作動位置に移動することによって、支持部材3の油孔34が開口する。収容部31に供給された作動油は、油孔34を介して、支持部材3の外部へと流れる。なお、油孔34は、収容部31と直接連通していてもよいし、ヨーク6に形成された溝を介して収容部31と連通していてもよい。
【0050】
油孔34を介して支持部材3の外部へと流れた作動油は、ケース8内を流れてロータ2を冷却した後、ケース8の排出口82を介して油圧システム13に戻り、オイルクーラ133によって冷却される。
【0051】
そして、運転者がブレーキ操作を解除すると、油圧システム13のオイルポンプ131が停止し、作動油の供給が停止される。このため、リターンスプリング7の付勢力によって、ヨーク6は軸方向の第1側に移動し、非作動位置へと戻る。この結果、磁石4及びポールピース5はロータ2から離れるため、ロータ2の表面に発生した磁束が消滅し、ロータ2の制動が解除される。
【0052】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0053】
変形例1
図3に示すように、駆動装置100は、トルクコンバータ14を有していてもよい。トルクコンバータ14は、カバー2、インペラ141、タービン142、及びステータ143を有している。
【0054】
カバー2は、渦電流式制動装置10のロータの機能も有する。すなわち、渦電流式制動装置10のロータは、トルクコンバータ14のカバー2によって構成される。カバー2は、伝達シャフト120に取り付けられている。カバー2は、伝達シャフト120と一体的に回転する。
【0055】
インペラ141は、カバー2とともに回転する。インペラ141のインペラシェルは、カバー2とともにトルクコンバータ14の外殻を構成する。
【0056】
タービン142は、インペラ141と対向して配置されている。ステータ143は、インペラ141とタービン142との間に配置されている。タービン142は、外側筒状シャフト144にトルクを出力するように構成されている。
【0057】
外側筒状シャフト144は、伝達シャフト120を覆うように配置されている。すなわち、伝達シャフト120は、外側筒状シャフト144内を延びている。外側筒状シャフト144は、減速機121にトルクを出力する。
【0058】
また、トルクコンバータ14は、一方向クラッチ145を有している。一方向クラッチ145は、カバー2とタービン142との間に配置されている。一方向クラッチ145は、減速時などにおいて、タービン142からカバー2へのトルクを伝達する。一方、一方向クラッチ145は、加速時や通常走行時において、カバー2からタービン142へのトルク伝達を遮断する。
【0059】
変形例2
上記実施形態では、ヨーク6がピストンの機能を有していたが、渦電流式制動装置の構成はこれに限定されない。例えば、渦電流式制動装置は、ヨーク6とは別にピストンを有していてもよい。
【符号の説明】
【0060】
2 ロータ
3 支持部材
31 収容部
32 収容孔
34 油孔
4 磁石
5 ポールピース
6 ヨーク
7 リターンスプリング
8 ケース
10 渦電流式制動装置
11 電気モータ
120 伝達シャフト