(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240820BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
H01L21/30 572B
(21)【出願番号】P 2020197918
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 亨
(72)【発明者】
【氏名】猶原 英司
(72)【発明者】
【氏名】沖田 有史
(72)【発明者】
【氏名】東 克栄
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴大
(72)【発明者】
【氏名】塚原 隆太
(72)【発明者】
【氏名】石丸 慧
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-107779(JP,A)
【文献】特開2019-169648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のガードによって取り囲まれる保持位置に基板を保持する基板保持工程と、
前記保持位置に保持されている前記基板を、前記基板の中央部を通る回転軸線まわりに回転させながら、前記基板の被処理面を処理する処理液を前記基板の被処理面に供給する処理液供給工程と、
前記基板の被処理面に処理液を供給している間に、前記基板の被処理面の画像および前記ガードの内壁面の画像を取得する画像取得工程と、
前記画像取得工程で得られた画像の輝度値を監視して、処理液による前記基板の被処理面の処理が終了する処理終了時点を検出する検出工程とを含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記検出工程が、前記画像取得工程で得られた前記基板の被処理面の画像の輝度値および前記画像取得工程で得られた前記ガードの内壁面の画像の輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じた時点を、前記処理終了時点として検出する工程を含む、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記検出工程が、前記画像取得工程で得られた前記基板の被処理面の画像の輝度値および前記画像取得工程で得られた前記ガードの内壁面の画像の輝度値のうちの一方に所定の変化が生じた後、前記画像取得工程で得られた前記基板の被処理面の輝度値および前記画像取得工程で得られた前記ガードの内壁面の画像の輝度値のうちの他方に前記所定の変化が生じた時点、ならびに、前記画像取得工程で得られた前記基板の被処理面の画像の輝度値および前記画像取得工程で得られた前記ガードの内壁面の画像の輝度値のうちの一方に前記所定の変化が生じた時点から所定の予備時間が経過した時点のいずれか早い方を、前記処理終了時点として検出する工程を含む、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記基板の被処理面上の処理液を加熱する加熱工程と、
前記処理終了時点が検出された場合には、前記基板の被処理面への処理液の供給を維持しながら、前記基板の被処理面上の処理液に対する加熱を弱める加熱弱化工程と、
前記加熱弱化工程の後、前記基板の被処理面への処理液の供給を停止し、前記基板の被処理面上の処理液を洗い流すリンス液を前記基板の被処理面に供給するリンス供給工程とさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記基板から飛散する処理液を排液流路に排出する排液工程と、
前記処理終了時点が検出された場合には、前記基板から飛散する処理液の排出先を排液流路から回収流路に切り替える流路切替工程とをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項6】
筒状のガードによって取り囲まれる保持位置に基板を保持する基板保持工程と、
前記保持位置に保持されている前記基板を、前記基板の中央部を通る回転軸線まわりに回転させながら、前記基板の被処理面を処理する処理液を前記基板の被処理面に供給する処理液供給工程と、
前記基板の被処理面に処理液を供給している間に、前記基板の被処理面の画像および前記ガードの内壁面の画像を取得する画像取得工程と、
前記画像取得工程で得られた画像の輝度値に所定の変化が生じたか否かを判定する判定工程とを含み、
輝度値の監視の開始時点から所定の報知時間が経過するまでに前記画像取得工程で得られた画像の輝度値に所定の変化が生じない場合には、前記画像取得工程で得られた画像の輝度値に所定の変化が生じないことを報知する報知工程が実行され、前記開始時点から前記報知時間が経過するまでに前記画像取得工程で得られた画像の輝度値に所定の変化が生じた場合には、処理液による前記基板の被処理面の処理が終了する処理終了時点を検出する検出工程が実行される、基板処理方法。
【請求項7】
複数枚の基板を連続的に処理する、請求項6に記載の基板処理方法であって、
前記報知時間が、処理済みの基板の処理終了時点に基づいて算出された時間である、基板処理方法。
【請求項8】
筒状のガードによって取り囲まれる保持位置に基板を保持する基板保持工程と、
前記保持位置に保持されている前記基板を、前記基板の中央部を通る回転軸線まわりに回転させながら、前記基板の被処理面を処理する処理液を前記基板の被処理面に供給する処理液供給工程と、
前記基板の被処理面に処理液を供給している間に、前記基板の被処理面の画像および前記ガードの内壁面の画像を取得する画像取得工程と、
前記画像取得工程で得られた画像の輝度値に所定の変化が生じたか否かを判定する判定工程とを含み、
前記基板の被処理面に対する処理液の供給の終了が予定されている供給終了時点までに、処理液による前記基板の被処理面の処理が終了する処理終了時点が検出されない場合には、前記供給終了時点を延期する供給終了時点延期工程が実行され、前記供給終了時点までに前記画像取得工程で得られた画像の輝度値に所定の変化が生じた場合には、処理液による前記基板の被処理面の処理が終了する処理終了時点を検出する検出工程が実行される、基板処理方法。
【請求項9】
基板を所定の保持位置に保持する基板保持ユニットと、
前記基板保持ユニットに保持されている基板を回転させる基板回転ユニットと、
前記基板保持ユニットに保持されている基板の被処理面に、基板の被処理面を処理する処理液を供給する処理液供給ユニットと、
前記基板保持ユニットに保持されている基板を取り囲み、当該基板から飛散する処理液を受ける筒状のガードと、
前記基板保持ユニットに保持されている基板の被処理面の画像および前記ガードの内壁面の画像を取得する画像取得ユニットと、
前記画像取得ユニットによって取得される画像の輝度値を監視して、処理液による前記基板の被処理面の処理が終了する処理終了時点を検出する検出ユニットとを含む、基板処理装置。
【請求項10】
前記検出ユニットは、前記画像取得ユニットによって取得される前記基板の被処理面の画像の輝度値および前記画像取得ユニットによって取得される前記ガードの内壁面の画像の輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じた時点を前記処理終了時点として検出する、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記検出ユニットが、前記画像取得ユニットによって取得される前記基板の被処理面の画像の輝度値および前記画像取得ユニットによって取得される前記ガードの内壁面の画像の輝度値のうちの一方に所定の変化が生じた後、前記画像取得ユニットによって取得される前記基板の被処理面の画像の輝度値および前記画像取得ユニットによって取得される前記ガードの内壁面の画像の輝度値のうちの他方に前記所定の変化が生じた時点、ならびに、前記画像取得ユニットによって取得される前記基板の被処理面の画像の輝度値および前記画像取得ユニットによって取得される前記ガードの内壁面の画像の輝度値のうちの一方に前記所定の変化が生じた時点から所定の予備時間が経過した時点のいずれか早い方を、前記処理終了時点として検出する、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記基板保持ユニットに保持されている基板の被処理面上の処理液を加熱し、前記処理終了時点に当該基板の加熱を弱める加熱ユニットと、
前記基板保持ユニットに保持されている基板の被処理面に、処理液を洗い流すリンス液を供給するリンス液供給ユニットと、
前記処理終了時点よりも後において、前記基板保持ユニットに保持されている基板の被処理面に供給される液体を処理液からリンス液に切り替える液切替ユニットとをさらに含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記ガードによって受けられる処理液を排液する排液流路と、
前記基板保持ユニットに保持されている基板から飛散する処理液を回収する回収流路と、
前記処理終了時点において、前記基板から飛散する処理液の排出先を排液流路から回収流路に切り替える流路切替ユニットとをさらに含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
輝度値の監視の開始時点から所定の報知時間が経過するまでに前記処理終了時点を前記検出ユニットが検出しない場合には、前記処理終了時点が検出されないことを報知する報知ユニットをさらに含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項15】
複数枚の基板を連続的に処理する、請求項14に記載の基板処理装置であって、
前記報知時間が、処理済みの基板の処理終了時点に基づいて算出された時間である、基板処理装置。
【請求項16】
前記基板保持ユニットに保持されている基板の被処理面に対する処理液の供給の終了が予定されている供給終了時点が経過するまでに前記処理終了時点を前記検出ユニットが検出しない場合には、前記供給終了時点を延期する供給終了時点延期ユニットをさらに含む、請求項9~15のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理方法と、基板を処理する基板処理装置とに関する。処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウェハ、液晶表示装置および有機EL(Electroluminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板等が含まれる。
【背景技術】
【0002】
環境負荷の観点から、基板からレジストを除去する際に用いられる薬液の使用量を低減することが求められている。そこで、薬液の使用量を低減するための技術が提案されている。
下記特許文献1には、基板の被処理面を撮像することによって取得された画像の輝度値に基づいて処理終了時点を検出し、処理終了時点が検出された時点で基板の被処理面への薬液の供給を停止する技術が開示されている。
【0003】
下記特許文献2には、基板から排出される薬液を受け止める第1のガードの内壁の画像を取得し、その画像に含まれる薬液の色の変化に応じて、基板から排出される薬液の排出先を、排液配管から回収配管に切り替える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-062007号公報
【文献】特開2019-169648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板の被処理面に塗布されているレジストの種類によっては、レジストの除去による基板の被処理面の輝度値の変化が小さく基板の被処理面の画像から処理終了時点を検出することが困難な場合がある。逆に、レジストの除去によるガードの内壁面の輝度値の変化が小さくガードの内壁面の画像から処理終了時点を検出することが困難な場合もある。
そこで、この発明の1つの目的は、処理液による基板の被処理面に対する処理の終了を良好に検出することができる基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一実施形態は、筒状のガードによって取り囲まれる保持位置に基板を保持する基板保持工程と、前記保持位置に保持されている前記基板を、前記基板の中央部を通る回転軸線まわりに回転させながら、前記基板の被処理面を処理する処理液を前記基板の被処理面に供給する処理液供給工程と、前記基板の被処理面に処理液を供給している間に、前記基板の被処理面の画像および前記ガードの内壁面の画像を取得する画像取得工程と、前記画像取得工程で得られた画像の輝度値を監視して、処理液による前記基板の被処理面の処理が終了する処理終了時点を検出する検出工程とを含む、基板処理方法を提供する。
【0007】
この基板処理方法によれば、基板の被処理面に供給された処理液は、基板を取り囲む筒状のガードによって受けられる。基板の被処理面に処理液を供給している間に、被処理面およびガードの内壁面の両方の画像が取得され、取得さられた画像の輝度値が監視される。そのため、基板の被処理面の画像の輝度値(以下では、「基板輝度値」ということがある。)、および、ガードの内壁面の画像の輝度値(以下では、「ガード輝度値」ということがある。)の両方に基づいて処理終了時点を検出することができる。したがって、基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方のみを監視する構成と比較して、基板の被処理面に対する処理の終了を良好に検出することができる。
【0008】
この発明の一実施形態では、前記検出工程が、前記画像取得工程で得られた前記基板の被処理面の画像の輝度値および前記画像取得工程で得られた前記ガードの内壁面の画像の輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じた時点を、前記処理終了時点として検出する工程を含む。そのため、基板の被処理面に対する処理が終了した際の画像輝度値またはガード輝度値の変化が充分でない場合であっても、基板の被処理面に対する処理の終了を速やかに検出することができる。
【0009】
この発明の一実施形態では、前記検出工程が、前記画像取得工程で得られた前記基板の被処理面の画像の輝度値および前記画像取得工程で得られた前記ガードの内壁面の画像の輝度値のうちの一方に所定の変化が生じた後、前記画像取得工程で得られた前記基板の被処理面の輝度値および前記画像取得工程で得られた前記ガードの内壁面の画像の輝度値のうちの他方に前記所定の変化が生じた時点、ならびに、前記画像取得工程で得られた前記基板の被処理面の画像の輝度値および前記画像取得工程で得られた前記ガードの内壁面の画像の輝度値のうちの一方に前記所定の変化が生じた時点から所定の予備時間が経過した時点のいずれか早い方を、前記処理終了時点として検出する工程を含む。
【0010】
基板の被処理面に対する処理が充分に進行して基板輝度値に所定の変化が生じた場合であっても、基板の被処理面に対する処理によって生じた残渣がガードの内壁面に付着し、ガードの内壁面から当該残渣を除去するために処理液の供給を継続する必要がある場合がある。逆に、基板の被処理面の全体の処理が終了していないにもかかわらず、基板の被処理面の一部の処理が進行することによってガード輝度値に所定の変化が生じる場合もある。
【0011】
これらのような場合であっても、基板輝度値およびガード輝度値の一方に所定の変化が生じた後、基板輝度値およびガード輝度値の他方に所定の変化が生じた時点、ならびに、基板輝度値およびガード輝度値の一方に所定の変化が生じた時点から所定の予備時間が経過した時点のいずれか早い方を、処理終了時点として検出すれば、基板の被処理面に対する処理が充分に進行し、かつ、ガードの内壁面に付着した残渣が充分に除去された時点を速やかに検出することができる。その結果、基板の被処理面に対する処理の終了を良好に検出することができる。
【0012】
この発明の一実施形態では、前記基板処理方法が、前記基板の被処理面上の処理液を加熱する加熱工程と、前記処理終了時点が検出された場合には、前記基板の被処理面への処理液の供給を維持しながら、前記基板の被処理面上の処理液に対する加熱を弱める加熱弱化工程と、前記加熱弱化工程の後、前記基板の被処理面への処理液の供給を停止し、前記基板の被処理面上の処理液を洗い流すリンス液を前記基板の被処理面に供給するリンス供給工程とさらに含む。
【0013】
この基板処理方法によれば、基板の被処理面に対する処理の終了と同時に基板の被処理面にリンス液が供給されるのではなく、基板に対する加熱が弱められた後に、基板の被処理面にリンス液が供給される。すなわち、基板に対する加熱の弱化によって基板の温度が低下した後に、基板の被処理面にリンス液が供給される。したがって、基板に対するリンス液の供給に起因する基板温度の急激な低下(ヒートショック)を和らげることができる。処理液による基板の被処理面に対する処理の終了を良好に検出しつつ、リンス液によって処理液を円滑に洗い流すことができる。
【0014】
この発明の一実施形態では、前記基板処理方法が、前記基板から飛散する処理液を排液流路に排出する排液工程と、前記処理終了時点が検出された場合には、前記基板から飛散する処理液の排出先を排液流路から回収流路に切り替える流路切替工程とをさらに含む。
そのため、基板の被処理面に対する処理が終了した適切な時点で、処理液の排出先が回収流路に切り替えられる。したがって、基板の被処理面に対する処理の終了を良好に検出しつつ、基板の被処理面に対する処理が終了した後に基板の被処理面に供給された処理液、すなわち、比較的清浄度が高い処理液を回収することができる。
【0015】
この発明の他の実施形態は、筒状のガードによって取り囲まれる保持位置に基板を保持する基板保持工程と、前記保持位置に保持されている前記基板を、前記基板の中央部を通る回転軸線まわりに回転させながら、前記基板の被処理面を処理する処理液を前記基板の被処理面に供給する処理液供給工程と、前記基板の被処理面に処理液を供給している間に、前記基板の被処理面の画像および前記ガードの内壁面の画像を取得する画像取得工程と、前記画像取得工程で得られた画像の輝度値に所定の変化が生じたか否かを判定する判定工程とを含む、基板処理方法を提供する。
【0016】
輝度値の監視の開始時点から所定の報知時間が経過するまでに前記画像取得工程で得られた画像の輝度値に所定の変化が生じない場合には、前記画像取得工程で得られた画像の輝度値に所定の変化が生じないことを報知する報知工程が実行され、前記開始時点から前記報知時間が経過するまでに前記画像取得工程で得られた画像の輝度値に所定の変化が生じた場合には、処理液による前記基板の被処理面の処理が終了する処理終了時点を検出する検出工程が実行される。
【0017】
この基板処理方法によれば、基板の被処理面に供給された処理液は、基板を取り囲む筒状のガードによって受けられる。基板の被処理面に処理液を供給している間に、被処理面およびガードの内壁面の両方の画像が取得され、基板の被処理面に所定の変化が生じたか否かが判定される。
輝度値の監視の開始時点から報知時間が経過するまでに、画像取得工程で得られた画像の輝度値に所定の変化が生じた場合には、基板輝度値、および、ガード輝度値の両方に基づいて処理終了時点を検出することができる。したがって、基板輝度値、および、ガード輝度値のいずれか一方のみを監視する構成と比較して、基板の被処理面に対する処理の終了を良好に検出することができる。
【0018】
逆に、輝度値の監視の開始時点から報知時間が経過するまでに、画像取得工程で得られた画像の輝度値に所定の変化が生じない場合には、その旨が報知される。そのため、検出異常によって処理終了時点が検出されないことを速やかに報知することができる。報知に応じて基板処理を停止させることによって、検出異常時の処理液の消費を抑制できる。
複数枚の基板を連続的に処理する場合には、処理済みの基板の処理終了時点に基づいて報知時間を算出することができる。これにより、報知時間の最適化を図れる。
【0019】
この発明の他の実施形態は、筒状のガードによって取り囲まれる保持位置に基板を保持する基板保持工程と、前記保持位置に保持されている前記基板を、前記基板の中央部を通る回転軸線まわりに回転させながら、前記基板の被処理面を処理する処理液を前記基板の被処理面に供給する処理液供給工程と、前記基板の被処理面に処理液を供給している間に、前記基板の被処理面の画像および前記ガードの内壁面の画像を取得する画像取得工程と、前記画像取得工程で得られた画像の輝度値に所定の変化が生じたか否かを判定する判定工程とを含む、基板処理方法を提供する。
【0020】
前記基板の被処理面に対する処理液の供給の終了が予定されている供給終了時点までに、処理終了時点が検出されない場合には、前記供給終了時点を延期する供給終了時点延期工程が実行され、前記供給終了時点までに前記画像取得工程で得られた画像の輝度値に所定の変化が生じた場合には、処理液による前記基板の被処理面の処理が終了する処理終了時点を検出する検出工程が実行される。
【0021】
この基板処理方法によれば、基板の被処理面に供給された処理液は、基板を取り囲む筒状のガードによって受けられる。基板の被処理面に処理液を供給している間に、被処理面およびガードの内壁面の両方の画像が取得され、基板の被処理面に所定の変化が生じたか否かが判定される。供給終了時点までに、画像取得工程で得られた画像の輝度値に所定の変化が生じた場合には、基板輝度値、および、ガード輝度値の両方に基づいて処理終了時点を検出することができる。したがって、基板の輝度値、および、ガード輝度値のいずれか一方のみを監視する構成と比較して、基板の被処理面に対する処理の終了を良好に検出することができる。
【0022】
処理終了時点は、常に一定とは限らず、基板毎に個体差が存在する。供給終了時点までに、画像取得工程で得られた画像の輝度値に所定の変化が生じない場合には、供給終了時点が延期される。そのため、処理終了時点が想定よりも遅い場合であっても、基板を適切に処理することができる。
この発明の他の実施形態は、基板を所定の保持位置に保持する基板保持ユニットと、前記基板保持ユニットに保持されている基板を回転させる基板回転ユニットと、前記基板保持ユニットに保持されている基板の被処理面に、基板の被処理面を処理する処理液を供給する処理液供給ユニットと、前記基板保持ユニットに保持されている基板を取り囲み、当該基板から飛散する処理液を受ける筒状のガードと、前記基板保持ユニットに保持されている基板の被処理面の画像および前記ガードの内壁面の画像を取得する画像取得ユニットと、前記画像取得ユニットによって取得される画像の輝度値を監視して、処理液による前記基板の被処理面の処理が終了する処理終了時点を検出する検出ユニットとを含む、基板処理装置を提供する。
【0023】
この基板処理装置によれば、基板の被処理面に供給された処理液は、基板を取り囲む筒状のガードによって受けられる。基板の被処理面に処理液を供給している間に、被処理面およびガードの内壁面の両方の画像が取得され、取得さられた画像の輝度値が監視される。そのため、基板輝度値およびガード輝度値の両方に基づいて処理終了時点を検出することができる。したがって、基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方のみを監視する構成と比較して、基板の被処理面に対する処理の終了を良好に検出することができる。
【0024】
この発明の他の実施形態では、前記検出ユニットは、前記画像取得ユニットによって取得される前記基板の被処理面の画像の輝度値および前記画像取得ユニットによって取得される前記ガードの内壁面の画像の輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じた時点を前記処理終了時点として検出する。そのため、基板の被処理面に対する処理が終了した際の画像輝度値またはガード輝度値の変化が充分でない場合であっても、基板の被処理面に対する処理の終了を速やかに検出することができる。
【0025】
この発明の他の実施形態では、前記検出ユニットが、前記画像取得ユニットによって取得される前記基板の被処理面の画像の輝度値および前記画像取得ユニットによって取得される前記ガードの内壁面の画像の輝度値のうちの一方に所定の変化が生じた後、前記画像取得ユニットによって取得される前記基板の被処理面の画像の輝度値および前記画像取得ユニットによって取得される前記ガードの内壁面の画像の輝度値のうちの他方に前記所定の変化が生じた時点、ならびに、前記画像取得ユニットによって取得される前記基板の被処理面の画像の輝度値および前記画像取得ユニットによって取得される前記ガードの内壁面の画像の輝度値のうちの一方に前記所定の変化が生じた時点から所定の予備時間が経過した時点のいずれか早い方を、前記処理終了時点として検出する。
【0026】
基板の被処理面に対する処理が充分に進行した場合であっても、基板の被処理面に対する処理によって生じた残渣がガードの内壁面に付着する場合がある。逆に、基板の被処理面に対する処理が充分に進行していないにもかかわらず、所定の変化がガード輝度値に生じる場合もある。
これらのような場合であっても、基板輝度値およびガード輝度値の一方に所定の変化が生じた後、基板輝度値およびガード輝度値の他方に所定の変化が生じた時点、ならびに、基板輝度値およびガード輝度値の一方に所定の変化が生じた時点から所定の予備時間が経過した時点のいずれか早い方を、処理終了時点として検出すれば、基板の被処理面に対する処理が充分に進行し、かつ、ガードの内壁面に付着した残渣が充分に除去された時点を速やかに検出することができる。
【0027】
この発明の他の実施形態では、前記基板処理装置は、前記基板保持ユニットに保持されている基板の被処理面上の処理液を加熱し、前記処理終了時点において当該基板の加熱を弱める加熱ユニットと、前記基板保持ユニットに保持されている基板の被処理面に、処理液を洗い流すリンス液を供給するリンス液供給ユニットと、前記処理終了時点よりも後において、前記基板保持ユニットに保持されている基板の被処理面に供給される液体を処理液からリンス液に切り替える液切替ユニットとをさらに含む。
【0028】
この基板処理装置によれば、基板の被処理面に対する処理の終了と同時に基板の被処理面にリンス液が供給されるのではなく、基板に対する加熱が弱められた後に、基板の被処理面にリンス液が供給される。すなわち、基板に対する加熱の停止によって基板の温度が低下した後に、基板の被処理面にリンス液が供給される。したがって、基板に対するリンス液の供給による基板温度の急激な低下(ヒートショック)を和らげることができる。処理液による基板の被処理面に対する処理の終了を良好に検出しつつ、リンス液によって処理液を円滑に洗い流すことができる。
【0029】
この発明の他の実施形態では、前記基板処理装置は、前記ガードによって受けられる処理液を排液する排液流路と、前記基板保持ユニットに保持されている基板から飛散する処理液を回収する回収流路と、前記処理終了時点において、前記基板から飛散する処理液の排出先を排液流路から回収流路に切り替える流路切替ユニットとをさらに含む。
そのため、基板の被処理面に対する処理が終了した適切な時点で、処理液の排出先が回収流路に切り替えられる。したがって、基板の被処理面に対する処理の終了を良好に検出しつつ、基板の被処理面に対する処理が終了した後に基板の被処理面に供給された処理液、すなわち、比較的清浄度が高い処理液を回収することができる。
【0030】
この発明の他の実施形態では、前記基板処理装置は、輝度値の監視の開始時点から所定の報知時間が経過するまでに前記処理終了時点を前記検出ユニットが検出しない場合には、前記処理終了時点が検出されないことを報知する報知ユニットをさらに含む。そのため、検出異常によって処理終了時点が検出されないことを速やかに報知することができる。報知に応じて基板処理を停止させることによって、検出異常時の処理液の消費を抑制できる。
【0031】
複数枚の基板を連続的に処理する場合、処理済みの基板の処理終了時点に基づいて報知時間を算出することができる。これにより、報知時間の最適化を図れる。
この発明の他の実施形態では、前記基板処理装置は、前記基板保持ユニットに保持されている基板の被処理面に対する処理液の供給の終了が予定されている供給終了時点が経過するまでに前記処理終了時点を前記検出ユニットが検出しない場合には、前記供給終了時点を延期する供給終了時点延期ユニットをさらに含む。
【0032】
処理終了時点は、常に一定とは限らず、基板毎に個体差が存在する。供給終了時点までに、画像取得工程で得られた画像の輝度値に所定の変化が生じない場合には、供給終了時点が延長される。そのため、処理終了時点が想定よりも遅い場合であっても、基板を適切に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための平面図である。
【
図2】
図2は、前記基板処理装置に備えられる処理ユニットの構成例を説明するための模式的な断面図である。
【
図3】
図3は、前記基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【
図4】
図4は、前記処理ユニットに備えられる画像取得ユニットによって取得される画像データの一例である。
【
図5A】
図5Aは、前記画像データの検出対象領域における輝度値の経時変化の一例を示すグラフである。
【
図5B】
図5Bは、前記検出対象領域における輝度値の経時変化の一例を示すグラフである。
【
図5C】
図5Cは、前記検出対象領域における輝度値の経時変化の一例を示すグラフである。
【
図6】
図6は、前記基板処理装置による具体的な基板処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、前記基板処理における主要な動作についてのタイムチャートである。
【
図8A】
図8Aは、前記基板処理における除去処理工程の様子を説明するための模式図である。
【
図8B】
図8Bは、前記除去処理工程の様子を説明するための模式図である。
【
図8C】
図8Cは、前記除去処理工程の様子を説明するための模式図である。
【
図9】
図9は、前記処理ユニットに備えらえるコントローラによって実行される終了時点検出処理の第1例の流れを示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、前記終了時点検出処理の第2例の流れを示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、前記終了時点検出処理の第3例の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、前記終了時点検出処理の第4例の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
<基板処理装置の構成>
図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の構成を説明するための平面図である。
基板処理装置1は、シリコンウエハ等の基板Wを処理する装置である。基板処理装置1は、たとえば、基板Wを一枚ずつ連続処理する枚葉式の基板処理装置(枚葉処理装置)である。
【0035】
この実施形態では、基板Wは、円板状の基板である。基板Wは、一対の主面を有する。一対の主面のうち少なくとも一方が、回路パターンが形成されたデバイス面である。一対の主面のうちの一方は、回路パターンが形成されていない非デバイス面であってもよい。基板Wのデバイス面には、レジスト膜が形成されている。この実施形態では、デバイス面を上方に向けた姿勢で処理される。この実施形態では、基板Wの上面が、処理液によって処理される被処理面である。
【0036】
レジスト膜を構成するレジスト組成物としては、ポジ型のレジスト組成物およびネガ型組成物等を用いることができる。ポジ型のレジスト組成物としては、たとえば、キノンジアジド系感光剤とアルカリ可溶性樹脂とからなるもの、化学増幅型レジスト組成物が挙げられる。
ネガ型のレジスト組成物としては、たとえば、ポリケイ皮酸ビニル等の感光性基を有する高分子化合物を含むもの、芳香族アジド化合物を含有するもの或いは環化ゴムとビスアジド化合物からなるようなアジド化合物を含有するもの、ジアゾ樹脂を含むもの、付加重合性不飽和化合物を含む光重合性組成物、化学増幅型ネガ型レジスト組成物が挙げられる。
【0037】
ここでキノンジアジド系感光剤とアルカリ可溶性樹脂とからなるポジ型レジスト組成物において用いられるキノンジアジド系感光剤の例としては、1,2-ベンゾキノンジアジド-4-スルホン酸、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸、これらのスルホン酸のエステル或いはアミドが挙げられる。またアルカリ可溶性樹脂の例としては、ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、アクリル酸あるいはメタクリル酸のコポリマーが挙げられる。ノボラック樹脂としては、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、キシレノール等のフェノール類の1種又は2種以上と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等のアルデヒド類の1種以上から製造されるものが好ましいものとして挙げられる。
【0038】
また、化学増幅型のレジスト組成物は、ポジ型およびネガ型のいずれであっても用いることができる。化学増幅型レジストは、放射線照射により酸を発生させ、この酸の触媒作用による化学変化により放射線照射部分の現像液に対する溶解性を変化させてパターンを形成するもので、たとえば、放射線照射により酸を発生させる酸発生化合物と、酸の存在下に分解しフェノール性水酸基あるいはカルボキシル基のようなアルカリ可溶性基が生成される酸感応性基含有樹脂からなるもの、アルカリ可溶樹脂と架橋剤、酸発生剤からなるものが挙げられる。
【0039】
基板処理装置1は、基板Wを液体で処理する複数の処理ユニット2と、処理ユニット2で処理される複数枚の基板Wを収容するキャリヤCが載置されるロードポートLPと、ロードポートLPと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送ロボットIRおよびCRと、基板処理装置1を制御するコントローラ3とを備える。
搬送ロボットIRは、キャリヤCと搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。搬送ロボットCRは、搬送ロボットIRと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。搬送ロボットIRおよびCRは、複数のロードポートLPから複数の処理ユニット2に向かって延びる搬送経路TR上に配置されている。
【0040】
複数の処理ユニット2は、たとえば、同様の構成を有している。詳しくは後述するが、処理ユニット2内で基板Wに向けて供給される液体には、除去液(処理液)およびリンス液等が含まれる。
複数の処理ユニット2は、水平に離れた4つの位置にそれぞれ配置された4つの処理タワーを形成している。各処理タワーは、上下方向に積層された複数(たとえば、3つ)の処理ユニット2を含む。4つの処理タワーは、搬送経路TRの両側に2つずつ配置されている。
【0041】
基板処理装置1は、バルブや配管等を収容する複数の流体ボックス4と、除去液、リンス液またはこれらの原料液を貯留するタンクを収容する貯留ボックス5とを含む。処理ユニット2および流体ボックス4は、平面視略四角形状のフレーム6の内側に配置されている。貯留ボックス5は、
図1の例では、フレーム6の外側に配置されている。貯留ボックス5は、
図1の例とは異なり、フレーム6の内側に配置されていてもよい。貯留ボックス5は、たとえば、複数の流体ボックス4と同数設けられている。各貯留ボックス5に貯留されている液体は、その貯留ボックス5に対応する流体ボックス4を介して、この流体ボックス4に対応する処理タワーを構成する複数(たとえば、3つ)の処理ユニット2に供給される。
【0042】
この実施形態とは異なり、1つの貯留ボックス5から全ての流体ボックス4に液体を供給するように構成されていてもよい。
各処理ユニット2は、基板Wを水平に保持しながら回転軸線A1(鉛直軸線)まわりに基板Wを回転させるスピンチャック7と、スピンチャック7を取り囲み基板Wから飛散する液体を受ける処理カップ8と、スピンチャック7および処理カップ8を収容するチャンバ9とを備える。回転軸線A1は、基板Wの中央部を通る鉛直な直線である。
【0043】
チャンバ9には、搬送ロボットCRによって、基板Wを搬入したり基板Wを搬出したりするための出入口9aが形成されている。チャンバ9には、この出入口9aを開閉するシャッタユニット9bが備えられている。
図2は、処理ユニット2の構成例を説明するための模式的な断面図である。
チャンバ9は、スピンチャック7および処理カップ8を取り囲む略四角筒状の側壁9Aと、スピンチャック7よりも上方に配置された上壁9Bと、スピンチャック7を支持する下壁9Cと含む。チャンバ9の上壁9Bの上方には、クリーンエア(フィルタによってろ過された空気)を送るFFU(ファン・フィルタ・ユニット)10が設けられている。FFU10からチャンバ9の内部にクリーンエアが供給され、チャンバ9内に供給されたクリーンエアは、側壁9Aの下端部に設けられた排気ダクト9dを介してチャンバ9から排出される。
【0044】
スピンチャック7は、基板Wを所定の保持位置に基板Wを保持する基板保持ユニット20と、基板保持ユニット20を回転軸線A1まわりに回転させる基板回転ユニット21とを含む。スピンチャック7は、基板保持回転ユニットの一例である。保持位置は、
図2に示す基板Wの位置であり、基板Wが水平な姿勢で保持される位置である。
基板保持ユニット20は、水平方向に沿う円板形状を有するスピンベース22と、スピンベース22の上方で基板Wを把持し保持位置に基板Wを保持する複数のチャックピン23とを含む。複数のチャックピン23は、スピンベース22の周方向に間隔を空けてスピンベース22の上面に配置されている。基板保持ユニット20は、基板ホルダともいう。
【0045】
基板回転ユニット21は、スピンベース22に上端が連結され鉛直方向に延びる回転軸24と、回転軸24をその中心軸線(回転軸線A1)まわりに回転させるスピンモータ25とを含む。スピンモータ25が回転軸24を回転させることでスピンベース22および複数のチャックピン23が回転軸線A1まわりに回転する。
複数のチャックピン23は、基板Wの周端に接触して基板Wを把持する閉状態と、基板Wの周端から退避した開状態との間で開閉可能である。複数のチャックピン23は、開閉ユニット26によって開閉される。複数のチャックピン23は、閉状態において、基板Wを水平に保持(挟持)する。複数のチャックピン23は、開状態において、基板Wの周縁部の把持を解放する一方で、基板Wの下面の周縁部に接触して基板Wを下方から支持する。
【0046】
開閉ユニット26は、たとえば、スピンベース22の内部に収容されたリンク機構と、スピンベース22の外に配置された駆動源とを含む。駆動源は、エアシリンダまたは電動モータ等のアクチュエータである。
処理カップ8は、スピンチャック7に保持された基板Wから外方に飛散する液体を受け止める複数のガード30と、複数のガード30によって下方に案内された液体を受け止める複数のカップ31と、複数のガード30および複数のカップ31を取り囲む円筒状の外壁部材32とを含む。
【0047】
この実施形態では、3つのガード30(第1ガード30A、第2ガード30Bおよび第3ガード30C)と、2つのカップ31(第1カップ31Aおよび第2カップ31B)とが設けられている例を示している。
各ガード30は、それぞれ、回転軸線A1に対して回転対称な略筒状(典型的には円筒状)を有している。複数のガード30は、同軸上に配置されている。各ガード30の上端部は、スピンベース22に向かうように内方(基板Wの回転軸線A1に近づく方向)に傾斜している。カップ31は、ガード30によって下方に案内された液体を受け止める環状の受液溝を形成している。カップ31によって受け止められた液体は、排液または回収される。
【0048】
各ガード30は、たとえば耐薬性の樹脂材料によって形成されている。耐薬性の樹脂材料としては、たとえば、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂が挙げられる。各ガード30の壁面全体は、白色を呈している。
【0049】
第1ガード30Aは、スピンベース22を取り囲むように配置されている。第2ガード30Bは、第1ガード30Aよりも外方でスピンベース22を取り囲むように配置されている。第3ガード30Cは、第2ガード30Bよりも外方でスピンベース22を取り囲むように配置されている。各ガード30は、保持位置に位置する基板Wを取り囲んでいる。
第1カップ31Aは、第1ガード30Aによって下方に案内された液体を受け止める。第2カップ31Bは、第2ガード30Bによって下方に案内された液体を受け止める。第3ガード30Cによって受けられた液体は、たとえば、チャンバ9の下壁9Cに開口する排液口9cから排液される。
【0050】
最も内側の第1ガード30Aは、スピンチャック7の周囲を取り囲み鉛直方向に延びる略円筒状の内側筒状部40と、内側筒状部40の上端から外方(基板Wの回転軸線A1から離れる方向)に向かって斜め上方に延びる略円環状の下側傾斜部41と、下側傾斜部41の外方端から上方に延びる略円筒状の外側筒状部42と、外側筒状部42の上端から内方(基板Wの回転軸線A1に近づく方向)に向かって斜め上方に延びる略円環状の上側傾斜部43とを含む。
【0051】
内側から2番目の第2ガード30Bは、鉛直方向に延びる略円筒状の筒状部44と、筒状部44の上端から中心側(基板Wの回転軸線A1に近づく方向)に向かって斜め上方に延びる略円環状の傾斜部45とを有している。最も外側の第3ガード30Cは、第2ガード30Bと同様の構成を有している。すなわち、第3ガード30Cは、鉛直方向に延びる略円筒状の筒状部46と、筒状部46の上端から中心側(基板Wの回転軸線A1に近づく方向)に向かって斜め上方に延びる略円環状の傾斜部47とを有している。
【0052】
第1ガード30Aの上側傾斜部43、第2ガード30Bの傾斜部45および第3ガード30Cの傾斜部47は、第1ガード30Aの上側傾斜部43が最も上方に位置するように、この順番で上下に重なっている。
処理ユニット2は、複数のガード30を個別に昇降させるガード昇降ユニット33をさらに含む。各ガード30は、ガード30の上端部30bが保持位置に位置する基板Wの上面よりも上方に位置する上位置と、ガード30の上端部30bが保持位置に位置する基板Wの上面よりも下方に位置する下位置との間で昇降する。
【0053】
第1ガード30Aの上側傾斜部43、第2ガード30Bの傾斜部45および第3ガード30Cの傾斜部47のそれぞれの内方端には、下方に延びる垂下部48(後述する
図8A~
図8Cを参照)が設けられていてもよい。その場合、ガード30が上位置に位置するとき、垂下部48の下端部が基板Wの上面よりも上方に位置し、ガード30が下位置に位置するとき、ガード30の状端部30bが基板Wの上面よりも下方に位置する。
【0054】
ガード昇降ユニット33は、たとえば、複数のガード30にそれぞれ駆動力を与える複数のモータ(図示せず)を含む。各モータの駆動力は、対応するガード30に結合されたボールねじ機構(図示せず)を介して当該ガードに伝達される。ガード昇降ユニット33は、ガードリフタともいう。
回転している基板Wに液体を供給するときは、少なくとも1つのガード30が上位置に配置される。全てのガード30が上位置に位置する第1液受け配置(後述する
図8Aおよび
図8Cを参照)に複数のガード30が配置されているときには、基板Wから飛散する液体は、第1ガード30Aによって受けられる。
【0055】
第1ガード30Aが下位置に位置し、第2ガード30Bおよび第3ガード30Cが上位置に位置する第2液受け配置(後述する
図8Bを参照)に複数のガード30が配置されているときには、基板Wから飛散する液体は、第2ガード30Bによって受けられる。
第1ガード30Aおよび第2ガード30Bが下位置に位置し、第3ガード30Cが上位置に位置する第3液受け配置に複数のガード30が配置されているときには、基板Wから飛散する液体は、第3ガード30Cによって受けられる。
【0056】
基板Wの搬入または搬出のために搬送ロボットCR(
図1を参照)がスピンチャック7にアクセスするときには、全てのガード30が下位置に位置する搬出入配置に複数のガード30が配置されている。
第1カップ31Aの底部には、第1排液配管34が接続されている。第1排液配管34に導入される液体は、排液装置(図示せず)に送られ、当該装置で処理される。第1排液配管34は、排液流路の一例である。
【0057】
第2カップ31Bの底部には、液体の排液および回収に用いられる共通配管35が接続されている。共通配管35には、硫酸水溶液供給源16(後述する)に接続された回収配管36と、排液装置(図示せず)に接続された第2排液配管37とが分岐接続されている。回収配管36には回収バルブ38が介装されており、第2排液配管37には排液バルブ39が介装されている。回収バルブ38が開かれると、共通配管35を流れる液体が回収配管36に導かれる。また、排液バルブ39が開かれると、共通配管35を流れる液体が第2排液配管37に導かれる。
【0058】
処理ユニット2は、スピンチャック7に保持されている基板Wの上面からレジスト膜を除去する除去液を供給する除去液供給ユニット11と、基板Wを介して基板W上の除去液を加熱するヒータユニット12と、スピンチャック7に保持されている基板Wの上面から除去液を洗い流すリンス液を基板Wの上面に供給するリンス液供給ユニット13とをさらに備える。除去液供給ユニット11は、処理液供給ユニットの一例である。
【0059】
除去液供給ユニット11は、基板Wの上面に向けて除去液を吐出する除去液ノズル50と、除去液ノズル50を支持するノズルアーム51と、ノズルアーム51を移動させることにより除去液ノズル50を移動させるノズル移動ユニット52とを含む。除去液ノズル50は、たとえば、下方に向けて除去液を連続流で吐出するノズルである。ノズルアーム51は、水平方向に延びる。
【0060】
ノズル移動ユニット52は、回動軸線まわりにノズルアーム51を水平移動させることにより、除去液ノズル50を水平に移動させる。ノズル移動ユニット52は、除去液ノズル50から吐出された除去液が基板Wの上面の中央領域に着液する中央位置と、除去液ノズル50が平面視で処理カップ8の外方に設定された退避位置との間で、除去液ノズル50を水平方向に移動させる。基板Wの上面の中央領域とは、基板Wの上面の回転中心およびその周囲の領域のことである。
【0061】
ノズル移動ユニット52は、たとえば、ノズルアーム51に結合され鉛直方向に沿って延びる回動軸(図示せず)と、回動軸を回動させるモータ等の回動アクチュエータ(図示せず)とを含んでいる。
この実施形態では、除去液として、SPM液(Sulfuric Acid / Hydrogen Peroxide Mixture)、すなわち、硫酸水溶液(H2SO4水)と過酸化水素水(H2O2水)との混合液が用いられる。除去液供給ユニット11は、SPM液供給ユニットともいう。除去液として使用できる液体としては、SPM液の他に、硫酸水溶液(希硫酸)およびオゾン水等が挙げられる。
【0062】
この実施形態では、除去液供給ユニット11は、除去液ノズル50内で過酸化水素水と硫酸水溶液とを混合することで除去液としてのSPM液を形成するように構成されている。そのため、除去液供給ユニット11が、除去液ノズル50に硫酸水溶液を送る硫酸水溶液ユニット14と、除去液ノズル50に過酸化水素水を送る過酸化水素水ユニット15とをさらに含む。
【0063】
硫酸水溶液ユニット14は、除去液ノズル50に接続された硫酸水溶液配管55と、硫酸水溶液配管55を開閉する硫酸水溶液バルブ56と、硫酸水溶液配管55内の硫酸水溶液の流量を調整する硫酸水溶液流量調整バルブ57と、硫酸水溶液を貯留し硫酸水溶液配管55に硫酸水溶液を供給する硫酸水溶液供給源16とを含む。硫酸水溶液バルブ56および硫酸水溶液流量調整バルブ57は、流体ボックス4に収容されている。硫酸水溶液供給源16は、貯留ボックス5に収容されている。
【0064】
硫酸水溶液供給源16は、硫酸水溶液を貯留する硫酸水溶液タンク60と、硫酸水溶液の新液を硫酸水溶液タンク60に補充する硫酸水溶液補充配管61と、硫酸水溶液タンク60および硫酸水溶液配管55に接続される硫酸水溶液供給配管62と、硫酸水溶液タンク60内の硫酸水溶液を硫酸水溶液供給配管62に移動させる第1ポンプ64と、硫酸水溶液供給源16内で硫酸水溶液を加熱する加熱ユニット63とを含む。
【0065】
加熱ユニット63は、たとえば、硫酸水溶液供給配管62に設定された被加熱部を加熱するヒータである。加熱ユニット63は、
図2に示す例とは異なり、硫酸水溶液タンク60に貯留されている硫酸水溶液に浸漬され、硫酸水溶液タンク60内の硫酸水溶液を直接加熱するヒータであってもよい。
硫酸水溶液供給源16は、硫酸水溶液供給配管62を流れる硫酸水溶液をろ過するフィルタ、および、硫酸水溶液供給配管62を流れる硫酸水溶液の温度を計測する温度計をさらに含んでいてもよい。
【0066】
過酸化水素水ユニット15は、除去液ノズル50に接続された過酸化水素水配管70と、過酸化水素水配管70を開閉するための過酸化水素水バルブ71と、過酸化水素水バルブ71の開度を調整して、過酸化水素水配管70内を流れる過酸化水素水の流量を調整する過酸化水素水流量調整バルブ72とを含む。過酸化水素水バルブ71および過酸化水素水流量調整バルブ72は、流体ボックス4に収容されている。過酸化水素水配管70には、貯留ボックス5に収容された過酸化水素水供給源(図示せず)から、温度調整されていない常温(たとえば、23℃)の過酸化水素水が供給される。
【0067】
硫酸水溶液バルブ56および過酸化水素水バルブ71が開かれると、硫酸水溶液および過酸化水素水が、除去液ノズル50のケーシング(図示せず)内へと供給され、ケーシング内において十分に混合(攪拌)される。この混合によって、硫酸水溶液と過酸化水素水とが均一に混ざり合い、硫酸水溶液と過酸化水素水との反応によってSPM液が生成される。SPM液は、酸化力が強いペルオキソ一硫酸(Peroxymonosulfuric acid:H2SO5)を含有し、混合前の硫酸水溶液および過酸化水素水の温度よりも高い温度(100℃以上。たとえば160~220℃)まで昇温させられる。生成された高温のSPM液は、除去液ノズル50のケーシングの先端(たとえば下端)に開口した吐出口から吐出される。
【0068】
硫酸水溶液流量調整バルブ57および過酸化水素水流量調整バルブ72の開度を調整することにより、除去液ノズル50から吐出されるSPM液中の硫酸水溶液および過酸化水素水の混合比率を調整できる。混合比率は、H2SO4水:H2O2水=20:1~2:1の範囲内、より好ましくは、H2SO4水:H2O2水=10:1~5:1の範囲内で調整される。
【0069】
硫酸水溶液供給源16は、基板Wの処理に用いられたSPM液を回収して硫酸水溶液として再利用する。硫酸水溶液供給源16は、基板Wの処理に用いられたSPM液を、回収配管36を介して回収する回収タンク65と、回収タンク65および硫酸水溶液タンク60に接続される送液配管66と、回収タンク65内で生成される硫酸水溶液を送液配管66に移動させる第2ポンプ67とをさらに含む。
【0070】
詳しくは、硫酸水溶液供給源16は、回収配管36を介して回収したSPM液を回収タンク65に貯留する。経時によって、SPM液中の過酸化水素が分解され、回収タンク65に貯留されているSPM液は硫酸水溶液に変化する。過酸化水素の分解によって生成された硫酸水溶液は、送液配管66を介して回収タンク65から硫酸水溶液タンク60に送られる。これにより、SPM液が硫酸水溶液として再利用される。
【0071】
図2に示す例とは異なり、回収タンク65の構成が省略されていており、処理カップ8によって回収された硫酸水溶液が、処理カップ8から硫酸水溶液タンク60に直接供給される構成が採用されていてもよい。
リンス液供給ユニット13は、リンス液を連続流で吐出するリンス液ノズル80と、リンス液ノズル80にリンス液を案内するリンス液配管81と、リンス液配管81に介装されリンス液配管81内の流路を開閉するリンス液バルブ82とを含む。リンス液ノズル80は、スピンチャック7の上方で、その吐出口を基板Wの上面の中央領域に向けた状態で固定されている。リンス液バルブ82が開かれると、リンス液配管81からリンス液ノズル80に供給されたリンス液が、リンス液ノズル80の吐出口から吐出される。
【0072】
リンス液は、たとえば脱イオン水(DIW)である。リンス液は、DIWに限られず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、希釈アンモニア水(たとえば、10ppm以上100ppm以下程度)および希釈濃度(たとえば、10ppm以上100ppm以下程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
この実施形態とは異なり、リンス液供給ユニット13は、リンス液ノズル80を水平移動させることにより、基板Wの上面に対するリンス液の着液位置を基板Wの面内で走査させるノズル移動ユニットを備えていてもよい。
【0073】
ヒータユニット12は、円板状のホットプレートの形態を有している。ヒータユニット12は、スピンベース22の上面と基板Wの下面との間に配置されている。ヒータユニット12は、基板Wの下面に下方から対向する対向面12aを有する。
ヒータユニット12は、プレート本体90およびヒータ91を含む。プレート本体90は、平面視において、基板Wよりも僅かに小さい。プレート本体90の上面が対向面12aを構成している。ヒータ91は、プレート本体90に内蔵されている抵抗体であってもよい。ヒータ91に通電することによって、対向面12aが加熱される。
【0074】
ヒータユニット12の下面には、回転軸線A1に沿って鉛直方向に延びる昇降軸92が結合されている。昇降軸92は、スピンベース22の中央部に形成された貫通孔22aと、中空の回転軸24とに挿入されている。昇降軸92内には、給電線93が通されている。
ヒータ91には、給電線93を介してヒータ通電ユニット94から電力が供給される。ヒータ通電ユニット94は、たとえば、電源である。ヒータユニット12は、ヒータ昇降ユニット95によって昇降される。
【0075】
ヒータ昇降ユニット95は、たとえば、昇降軸92を昇降駆動する電動モータまたはエアシリンダ等のアクチュエータ(図示せず)を含む。ヒータ昇降ユニット95は、ヒータリフタともいう。
ヒータ昇降ユニット95は、昇降軸92を介してヒータユニット12を昇降させる。ヒータユニット12は、ヒータ昇降ユニット95によって昇降されて、下位置および上位置に位置することができる。ヒータ昇降ユニット95は、下位置および上位置だけでなく、下位置および上位置の間の任意の位置にヒータユニット12を配置することが可能である。
【0076】
ヒータユニット12は、上昇する際に、開状態の複数のチャックピン23から基板Wを受け取ることが可能である。ヒータユニット12は、ヒータ昇降ユニット95によって、基板Wの下面に接触する接触位置、または、基板Wの下面に近接する近接位置に配置されることによって、基板Wを加熱することができる。
接触位置は、ヒータユニット12の熱量を基板Wに直接伝達して基板Wを加熱する接触加熱位置である。近接位置は、輻射によって基板Wが充分に加熱される程度にヒータユニット12が基板Wの下面に非接触で近接する近接加熱位置である。ヒータユニット12は、接触位置または近接位置に位置するときに、基板Wを介して、基板W上の液体を加熱する。ヒータユニット12が近接位置に位置するとき、基板Wは、たとえば、160℃以上220℃以下に加熱される。ヒータユニット12が接触位置に位置するとき、基板Wは、たとえば、160℃以上220℃以下の範囲で、ヒータユニット12が近接位置に位置するときよりも高温に加熱される。
【0077】
ヒータ昇降ユニット95は、近接位置よりも基板Wの下面から離間する離間位置にヒータユニット12を配置可能である。離間位置は、近接位置よりも基板Wに対する加熱が弱められる弱加熱位置である。離間位置は、基板Wが加熱されない程度に基板Wの下面から離間する非加熱位置であってもよい。
処理ユニット2は、基板Wの上面および第1ガード30Aの内壁面30aの画像を取得する(撮像する)画像取得ユニット100(撮像ユニット)をさらに含む。第1ガード30Aの内壁面30aは、内側筒状部40の内周面、下側傾斜部41の上面、外側筒状部42の内周面、および上側傾斜部43の下面によって構成されている。この実施形態では、画像取得ユニット100によって取得される第1ガード30Aの内壁面30aの画像は、主に、外側筒状部42の内周面の画像によって構成される。
【0078】
むろん、画像取得ユニット100によって取得される第1ガード30Aの内壁面30aの画像には、第1ガード30Aの内壁面30aを構成する、内側筒状部40の内周面、下側傾斜部41の上面、および上側傾斜部43の下面が含まれていてもよい。
画像取得ユニット100は、カメラ101および光源(図示せず)を含む。カメラ101は、レンズと、このレンズによって結像された光学像を電気信号に変換する撮像素子と、変換された電気信号に基づいて画像信号を生成して、画像信号および時刻情報によって構成される画像データをコントローラ3に送信する撮像回路とを含む。撮像素子は、たとえば、CCD(Charge Coupled Devices)センサ、または、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサである。
【0079】
カメラ101は、1秒間に数千~数万枚の速度で撮像可能な高速度カメラであってもよいし、1秒間に10枚~100枚程度の速度で撮像可能な一般的なカメラであってもよい。画像取得ユニット100は、チャンバ9の側壁9Aに固定されており、基板Wの上面および第1ガード30Aの内壁面30aを斜め上方から撮影する。
画像取得ユニット100は、たとえば、所定の時間間隔(たとえば1秒間隔)で画像を取得して、画像を取得する度に画像データをコントローラ3に送信する。画像が複数取得された後に、複数の画像とこれらの画像に対応する時刻情報とを含むデータが、画像データとして、コントローラ3へ送信されてもよい。
【0080】
光源は、基板Wの上面および第1ガード30Aの内壁面30aを照明する。光源は、たとえば、白色光の光源である。
詳しくは後述するが、基板Wの上面に対する除去液による処理の進行度合いに応じて、基板Wの上面および第1ガード30Aの内壁面30aの画像の輝度が変化する。基板Wの上面および第1ガード30Aの内壁面30aの画像の輝度の変化を監視することによって、除去液による処理が終了したか否かを判定することができる。この実施形態では、除去液がSPM液であるため、「除去液による処理」とは、基板Wの上面から露出するレジスト膜を基板Wの上面から除去することを意味する。
【0081】
<基板処理装置の電気的構成>
図3は、基板処理装置1の電気的構成を説明するためのブロック図である。
コントローラ3は、プロセッサ(CPU3A)およびメモリ3B(揮発性メモリ、不揮発性メモリ等)を備えたマイクロコンピュータを含む。コントローラ3は、プロセッサが制御プログラムを実行することによって、基板処理のための様々な制御を実行するように構成されている。
【0082】
コントローラ3には、搬送ロボットIR,CR、スピンモータ25、開閉ユニット26、ノズル移動ユニット52、ガード昇降ユニット33、ヒータ昇降ユニット95、ヒータ通電ユニット94、画像取得ユニット100、加熱ユニット63、第1ポンプ64、第2ポンプ67、回収バルブ38、排液バルブ39、硫酸水溶液バルブ56、硫酸水溶液流量調整バルブ57、過酸化水素水バルブ71、過酸化水素水流量調整バルブ72、リンス液バルブ82等が電気的に接続されている。
【0083】
コントローラ3は、メモリ3Bに設定されたレシピRにしたがって基板処理装置1を構成する各部材を制御する。コントローラ3がこれらの構成を制御することにより、後述する基板処理が実行される。言い換えると、コントローラ3は、基板処理の各工程を実行するようにプログラムされている。
コントローラ3は、画像取得ユニット100によって取得された画像の輝度値を監視し、画像取得ユニット100によって取得された画像の輝度値に所定の変化が生じた時点を処理終了時点FTとして検出する。詳しくは、コントローラ3は、画像取得ユニット100から画像データIDを受信する度に、画像から輝度値を抽出し、輝度値および時刻情報を含む輝度値情報120としてメモリ3Bに保存する。時刻情報は、画像取得ユニット100の内部時刻であってもよい。コントローラ3は、画像から抽出された輝度値の経時変化を監視する。処理終了時点FTは、輝度値の監視の開始時点を基準とする時点であり、開始時点と処理終了時点FTとの間の時間は、画像の輝度値に所定の変化が生じたときの経過時間(監視時間)と一致する。
【0084】
コントローラ3には、不揮発性メモリ等の記憶デバイスから構成される記憶部3Cが電気的に接続されている。記憶部3Cには、画像データID、レシピRおよび処理終了時点FT等が記憶される。処理終了時点FTは、基板Wの製造ロット毎に記憶される。
コントローラ3には、基板処理の実行中に異常が生じた場合に、その旨を報知する報知ユニット105が電気的に接続されている。報知ユニット105は、たとえば、光、音、文字、および図形のうちの1つ以上を用いて警報を発する警報装置である。報知ユニット105は、タッチパネルディスプレイであってもよい。
【0085】
<処理終了時点の検出の詳細>
図4は、画像取得ユニット100によって取得される画像110の一例である。説明の便宜上、
図4では、第2ガード30Bおよび第3ガード30Cの図示を省略している。
画像110には、基板Wの上面の少なくとも一部および第1ガード30Aの内壁面30aの少なくとも一部の画像が含まれている。画像110には、輝度値の検出対象となる複数の検出対象領域111が含まれる。複数の検出対象領域111は、基板Wの上面に設定された複数の第1領域111Aと、第1ガード30Aの内壁面30aに設定された複数の第2領域111Bとを含む。複数の第1領域111Aは、基板Wの上面の周縁領域において、基板Wの上面の周方向に間隔を隔てて並んでいる。複数の第2領域111Bは、第1ガード30Aの内壁面30aの周方向に間隔を隔てて並んでいる。基板Wの上面の周縁領域は、基板Wの上面の周縁およびその周囲を含む領域である。
【0086】
図5A~
図5Cは、画像110に含まれる各検出対象領域111における輝度値LVの経時変化の一例を示すグラフである。処理終了時点FTの検出の基準とされる輝度値LVに生じる所定の変化とは、輝度値LVが急激に変化して輝度値LVの微分値DVが所定の閾値よりも以上または以下になることや、輝度値LVが所定の閾値以上または以下になることをいう。
【0087】
たとえば、輝度値LVの所定の変化は、
図5Aに示すように、単位時間当たりの輝度値LVの変化量(輝度値LVの微分値DV)が所定の閾値TH1以上の正の値となることである(DV≧TH1>0)。
輝度値LVの所定の変化は、たとえば、
図5Bに示すように、単位時間当たりの輝度値LVの変化量(輝度値LVの微分値DV)が所定の閾値TH1以下の負の値となることであってもよい(DV≦TH1<0)。
【0088】
輝度値LVの変化の態様は、レジスト膜の種類によって異なる。各検出対象領域111の輝度値LVの微分値DVの閾値TH1が正の値および負の値のいずれに設定されるかについては、レジスト膜が除去されている間の検出対象領域111の輝度値LV、および、レジスト膜が除去された後の検出対象領域111の輝度値LVの大小関係に依存する。レジスト膜が除去されている間の検出対象領域111の輝度値LVが、レジスト膜が除去された後の検出対象領域111の輝度値LVよりも低い場合には(
図5Aを参照)、閾値TH1は正の値に設定される。レジスト膜が除去されている間の検出対象領域111の輝度値LVが、レジスト膜が除去された後の検出対象領域111の輝度値LVよりも高い場合には(
図5Bを参照)、閾値TH1は負の値に設定される。
【0089】
輝度値LVの所定の変化は、
図5Cに示すように、輝度値LVが所定の閾値TH2以上の値となることであってもよい(LV≧TH2)。図示しないが、輝度値LVの所定の変化は、輝度値LVが所定の閾値TH2以下の値となることであってもよい。
輝度値LVの所定の変化が生じたか否かは、閾値TH2と輝度値LVとの大小関係と、微分値DVと閾値TH1との大小関係との両方を用いて判定されてもよい。また、輝度値またはその微分値が閾値以上または以下となることを条件とする必要はなく、輝度値またはその微分値が閾値よりも大きいこと、もしくは、輝度値またはその微分値が閾値よりも小さいことを条件としてもよい。
【0090】
<基板処理の一例>
図6は、基板処理装置1よって実行される基板処理の一例を説明するための流れ図である。
図6には、主として、コントローラ3がプログラムを実行することによって実現される処理が示されている。
基板処理装置1による基板処理では、たとえば、
図6に示すように、基板搬入工程(ステップS1)、除去処理工程(ステップS2)、リンス工程(ステップS3)、乾燥工程(ステップS4)、および、基板搬出工程(ステップS5)がこの順番で実行される。除去処理工程の実行中には、基板Wの上面および第1ガード30Aの内壁面30aの画像を取得する画像取得工程(ステップS6)が実行される。
【0091】
図7は、この基板処理における主要な動作についてのタイムチャートである。
図7には、SPM液の吐出の有無、リンス液の吐出の有無、除去液の排出先、およびヒータユニット12の位置(ヒータ位置)についてのタイムチャートが示されている。
図8A~
図8Cは、基板処理装置1によって実行される基板処理の各工程の様子を説明するための模式図である。
【0092】
以下では、基板処理装置1によって実行される基板処理について、主に
図2、
図6および
図7を参照して説明する。
図8A~
図8Cについては適宜参照する。
まず、未処理の基板Wは、搬送ロボットIR,CR(
図1参照)によってキャリヤCから処理ユニット2に搬入され、スピンチャック7の基板保持ユニット20に渡される(基板搬入工程:ステップS1)。これにより、基板Wは、レジスト膜が形成されたデバイス面(被処理面)を上方に向けた姿勢で基板保持ユニット20によって水平に保持される(基板保持工程)。基板保持ユニット20による基板Wの保持は、乾燥工程(ステップS4)が終了するまで継続される。
【0093】
この基板処理において、ヒータユニット12のヒータ91には、電力が常時供給されている。基板搬入の際、ヒータユニット12は、離間位置に配置されている。
基板Wが基板保持ユニット20に保持された状態で、基板回転ユニット21が基板Wの回転を開始させる(基板回転工程)。この基板処理では、第1ポンプ64および加熱ユニット63が、常時稼働している。この基板処理では、排液バルブ39が閉じられており、回収バルブ38が開かれている。
【0094】
次に、搬送ロボットCRが処理ユニット2外に退避した後、基板Wの上面を除去液で処理する除去処理工程(ステップS2)が実行される。
具体的には、ノズル移動ユニット52が、除去液ノズル50を処理位置に移動させる。除去液ノズル50の処理位置は、たとえば、中央位置である。ガード昇降ユニット33が、複数のガード30の配置を搬出入配置から第1液受け配置に切り替える。ヒータ昇降ユニット95が、ヒータユニット12を近接位置に配置する。
【0095】
除去液ノズル50が処理位置に位置し、複数のガード30が第1液受け配置に配置され、かつ、ヒータユニット12が近接位置に配置されている状態で、硫酸水溶液バルブ56および過酸化水素水バルブ71が開かれる。これにより、
図8Aに示すように、回転軸線A1まわりに回転している基板Wの上面の中央領域に向けて、除去液ノズル50から除去液としてのSPM液が供給(吐出)される(除去液供給工程、処理液供給工程)。
【0096】
基板Wの上面の中央領域に着液したSPM液は、基板Wの回転に起因する遠心力を受けて放射状に広がり、基板Wの上面の全体に行き渡る。これにより、基板Wの上面の全体がSPM液で処理される。基板Wの上面に着液したSPM液は、基板Wを介して、ヒータユニット12によって加熱される(加熱工程)。SPM液が加熱されることによって、SPM液による基板Wの上面の処理が促進される。
【0097】
基板Wの上面の周縁に達したSPM液は、遠心力によって、基板Wの上面の周縁から排出される。基板Wの上面から排出されたSPM液は、第1ガード30Aによって受けられる。第1ガード30Aによって受けられたSPM液は、第1排液配管34(排液流路)に排出される(排液工程)。
除去液ノズル50からのSPM液の吐出の開始と同時に、画像取得ユニット100による基板Wの上面および第1ガード30Aの内壁面30aの画像の取得が開始される(画像取得工程:ステップS6)。コントローラ3は、画像取得ユニット100から画像データIDを受信すると、処理終了時点FTを検出するための終了時点検出処理を実行する。終了時点検出処理の詳細については後述する。
【0098】
コントローラ3が処理終了時点FTを検出すると、画像取得ユニット100が、処理終了時点FTの検出と同時に画像の取得を終了する。
図8Bに示すように、輝度値の監視時間が処理終了時点FTに達した後においても、基板Wの上面への除去液の供給は維持される(除去液供給維持工程、処理液供給維持工程)。一方、コントローラ3が処理終了時点FTを検出すると同時に、ヒータ昇降ユニット95が、ヒータユニット12を離間位置に移動させる。これにより、基板Wの上面への除去液の供給を維持しながら、基板Wの上面上のSPM液に対する加熱が停止される(加熱停止工程)。ヒータユニット12による基板Wの加熱は、完全に停止される必要はなく、ヒータユニット12による基板Wの加熱が弱められればよい(加熱弱化工程)。
【0099】
コントローラ3が処理終了時点FTを検出すると同時に、ガード昇降ユニット33によって、複数のガード30の配置が第1液受け配置から第2液受け配置に切り替えられる。これにより、
図8Bに示すように、基板Wから排出されるSPM液を受けるガード30が第2ガード30Bに切り替えられる。第2ガード30Bによって受けられるSPM液は、共通配管35を介して回収配管36(回収流路)に排出される。すなわち、処理終了時点FTが検出された場合には、基板Wから飛散するSPM液(処理液、除去液)の排出先が第1排液配管34(排液流路)から回収配管36(回収流路)に切り替えられる(流路切替工程)。
【0100】
このように、この基板処理では、ガード昇降ユニット33は、複数のガード30の配置を第1液受け配置および第2液受け配置のいずれかに切り替えることで、基板Wから飛散するSPM液(処理液、除去液)の排出先を第1排液配管34から回収配管36に切り替える流路切替ユニットとして機能する。
ヒータユニット12による基板W上のSPM液に対する加熱が停止された時点から所定の冷却時間CT(
図7を参照)が経過したときに、基板Wの上面上のSPM液を洗い流すリンス工程(ステップS3)が開始される。
【0101】
リンス工程(ステップS3)は、複数のガード30の配置が第2液受け配置に切り替えられた時点を基準として開始されてもよい。すなわち、リンス工程は、複数のガード30の配置が第2液受け配置に切り替えられた時点から所定の回収時間RT(
図7を参照)が経過したときに開始されてもよい。この実施形態では、基板W上のSPM液に対する加熱が停止、および、複数のガード30の配置の切り替えは、処理終了時点FTに行われるため、冷却時間CTおよび回収時間RTは同じ長さである。
【0102】
具体的には、硫酸水溶液バルブ56および過酸化水素水バルブ71が閉じられる。これにより、基板Wの上面へのSPM液の供給が停止される(除去液供給停止工程、処理液供給停止工程)。硫酸水溶液バルブ56および過酸化水素水バルブ71が閉じられた後、ノズル移動ユニット52が、除去液ノズル50を退避位置に移動させる。そして、ガード昇降ユニット33が、複数のガード30の配置を第2液受け配置から第1液受け位置に切り替える。
【0103】
基板Wの上面へのSPM液の供給が停止され、かつ、複数のガード30が第1液受け位置された状態で、リンス液バルブ82が開かれる。これにより、
図8Cに示すように、基板Wの上面の中央領域に向けて、リンス液ノズル80からリンス液が供給(吐出)される(リンス供給工程)。基板Wの上面の中央領域に着液したリンス液は、基板Wの回転に起因する遠心力を受けて放射状に広がり、基板Wの上面の全体に行き渡る。リンス液供給工程は、加熱停止工程(加熱弱化工程)の後、基板Wの上面への除去液の供給を停止した状態で行われる。
【0104】
リンス液は、遠心力によって、基板Wの上面の周縁から排出される。これにより、基板Wの上面に付着しているSPM液がリンス液で洗い流される。リンス液バルブ82、硫酸水溶液バルブ56および過酸化水素水バルブ71は、処理終了時点FTよりも後において、基板Wの上面に供給される液体をSPM液(除去液、処理液)からリンス液に切り替える液切替ユニットの一例である。
【0105】
基板Wの上面から排出されたリンス液およびSPM液は、第1ガード30Aによって受けられる。第1ガード30Aによって受けられたリンス液およびSPM液は、第1排液配管34(排液流路)に排出される(排液工程)。
基板Wの上面へのリンス液の供給が所定のリンス時間継続された後、基板Wの上面を乾燥させる乾燥工程(ステップS4)が実行される。
【0106】
具体的には、リンス液バルブ82が閉じられ、リンス液ノズル80からのリンス液の供給が停止される。ガード昇降ユニット33によって、複数のガード30の配置が第1液受け配置から第3液受け配置に切り替えられ、基板Wから飛散する液体が第3ガード30Cによって受けられる。
乾燥工程(ステップS4)では、リンス液バルブ82が閉じられ、かつ、複数のガード30の配置が第3液受け位置に配置されている状態で、スピンモータ25が基板Wを高速回転(たとえば、2000rpm)させる。それによって、大きな遠心力が基板W上のリンス液に作用し、基板W上のリンス液が基板Wの周囲に振り切られる。
【0107】
基板Wの高速回転を所定の乾燥時間継続した後、スピンモータ25が基板Wの回転を停止させる。基板Wの回転を停止させた状態で、ガード昇降ユニット33が複数のガード30を搬出入位置に移動させる。
搬送ロボットCRが、処理ユニット2に進入して、基板保持ユニット20のチャックピン23から処理済みの基板Wをすくい取って、処理ユニット2外へと搬出する(基板搬出工程:ステップS5)。その基板Wは、搬送ロボットCRから搬送ロボットIRへと渡され、搬送ロボットIRによって、キャリヤCに収納される。
【0108】
<終了時点検出処理の詳細>
図9は、終了時点検出処理の第1例の流れを示すフローチャートである。まず、コントローラ3は、画像取得ユニット100からの画像データIDの受信が開始されたか否かを監視する(ステップS11)。コントローラ3は、画像データIDの受信が開始されていない場合には(ステップS11:NO)、ステップS11に戻る。コントローラ3は、画像データIDの受信が開始された場合には(ステップS11:YES)、画像データIDに含まれる画像110の輝度値の監視を開始する(ステップS12:輝度値監視工程)。
【0109】
その後、コントローラ3は、画像110の輝度値に所定の変化が生じたか否かを判定する。具体的には、コントローラ3は、基板Wの上面の画像の輝度値(基板輝度値)および第1ガード30Aの内壁面30aの画像の輝度値(ガード輝度値)いずれかの一方に所定の変化が生じたか否かを判定する(ステップS13:判定工程)。
詳しくは、コントローラ3は、全ての第1領域111Aの輝度値に所定の変化が生じた場合には、判定工程(ステップS13)において、基板Wの上面の画像の輝度値に所定の変化が生じたと判定する。コントローラ3は、一部の第1領域111Aの輝度値に所定の変化が生じた場合には、基板Wの上面の画像の輝度値に所定の変化が生じていないと判定する。
【0110】
同様に、コントローラ3は、全ての第2領域111Bの輝度値に所定の変化が生じた場合に、判定工程(ステップS13)において、第1ガード30Aの内壁面30aの輝度値に所定の変化が生じたと判定する。コントローラ3は、一部の第2領域111Bの輝度値に所定の変化が生じた場合には、第1ガード30Aの内壁面30aの輝度値に所定の変化が生じていないと判定する。
【0111】
判定工程(ステップS13)において、基板輝度値およびガード輝度値のいずれにも所定の変化が生じていない場合には(ステップS13:NO)、コントローラ3は、ステップS13に戻る。基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じた場合には(ステップS13:YES)、コントローラ3は、基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じた時点を、処理終了時点FTとして検出する(ステップS14:検出工程)。コントローラ3は、検出ユニットの一例である。ステップS14の後、コントローラ3は、終了時点検出処理を終了する。
【0112】
第1実施形態によれば、基板Wの上面(被処理面)に供給された除去液は、基板Wを取り囲む筒状の第1ガード30Aによって受けられる。基板Wの上面に除去液を供給している間に、基板Wの上面および第1ガード30Aの内壁面30aの両方の画像が取得され、取得られた画像の輝度値が監視される。そのため、基板輝度値およびガード輝度値の両方に基づいて処理終了時点FTを検出することができる。
【0113】
輝度値の所定の変化は、基板Wの上面および第1ガード30Aの内壁面30aのいずれか一方にのみ生じる場合がある。たとえば、基板Wのデバイス面に形成されているレジスト膜を構成するレジスト組成物がKrF(化学増幅型のレジスト組成物/ポリヒドロキシスチレン樹脂)である場合、レジスト膜の膜厚が数十nmであり、レジスト膜は、非常に薄い硬化層である。そのため、基板W上に形成されるレジスト膜の全体量が比較的少なく、SPM液に溶解されるレジスト組成物の量も比較的低い。基板Wの上面から飛散されるSPM液中のレジスト組成物の濃度が比較的低いため、第1ガード30Aの内壁面30aの画像の輝度値の変化量が小さい。一方、基板Wの上面からレジスト膜が除去された部分の色は、レジスト膜の剥離によって露出した物質の色に変化するため、基板Wの上面の画像の輝度値の変化量が大きい。そのため、レジスト膜がKrFである場合には、基板Wの上面の画像の輝度値に基づいて処理終了時点FTを検出することが好ましい。
【0114】
基板Wのデバイス面に形成されているレジスト膜を構成するレジスト組成物がI-lin(ジアゾ樹脂等)である場合、レジスト膜は、硬化層ではない上に、レジスト膜の膜厚が3μm~5μm比較的厚い。そのため、基板W上に形成されるレジスト膜の全体量が比較的多く、SPM液に溶解されるレジスト組成物の量も比較的高い。そのため、第1ガード30Aの内壁面30aの画像の輝度値の変化量が、基板Wの上面の画像の輝度値の変化量よりも大きい。
【0115】
したがって、基板Wの上面の画像および第1ガード30Aの内壁面30aの画像の輝度値を監視して処理終了時点FTを検出する構成であれば、基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方のみを監視する構成と比較して、基板Wの上面に対する処理の終了を良好に検出することができる。特に、基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じた時点を処理終了時点FTとして検出すれば、処理終了時点FTにおいて基板輝度値の変化およびガード輝度値の変化のいずれかが充分でない場合であっても、基板Wの上面に対する処理の終了を、速やかに検出することができる。
【0116】
また、第1実施形態によれば、基板Wの上面に対する処理の終了と同時に、基板Wの上面にリンス液が供給されるのではなく、基板Wに対する加熱が弱められた(停止された)後に基板Wの上面にリンス液が供給される。すなわち、基板Wに対する加熱の弱化(停止)によって基板Wの温度が低下した後に、基板Wの上面にリンス液が供給される。したがって、基板Wに対するリンス液の供給による基板温度の急激な低下を和らげることができる。処理液による基板Wの上面に対する処理の終了を良好に検出しつつ、リンス液によって処理液を円滑に洗い流すことができる。
【0117】
また、第1実施形態によれば、処理終了時点FTが検出された場合には、複数のガード30の配置を変更することによって、基板Wから飛散する処理液の排出先が第1排液配管34から回収配管36に切り替えられる(流路切替工程)。
そのため、基板Wの上面に対する処理(レジスト膜の除去)が終了した適切な時点で、除去液の排出先を回収配管36に切り替えることができる。したがって、基板Wの上面に対する処理の終了を良好に検出しつつ、基板Wの上面に対する処理が終了した後に基板Wの上面に供給された除去液、すなわち、比較的清浄度が高い除去液を回収することができる。
【0118】
処理終了時点FTが基板Wの製造ロット毎に記憶されていれば、製造ロットによる処理終了時点FTの違いを比較することができる。
次に、終了時点検出処理の別の例(第2例~第4例)について説明する。
<終了時点検出処理の第2例>
図10は、終了時点検出処理の第2例の流れを示すフローチャートである。
【0119】
まず、終了時点検出処理の第2例では、コントローラ3は、画像取得ユニット100からの画像データIDの受信が開始されたか否かを監視する(ステップS11)。コントローラ3は、画像データIDの受信が開始されていない場合には(ステップS11:NO)、ステップS11に戻る。コントローラ3は、画像データIDの受信が開始された場合には(ステップS11:YES)、画像データID中の画像110の輝度値の監視を開始する(ステップS12:輝度値監視工程)。
【0120】
その後、コントローラ3は、画像110の輝度値に所定の変化が生じたか否かを判定する。具体的には、コントローラ3は、基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じたか否かを判定する(ステップS13:第1判定工程)。
第1判定工程(ステップS13)において、基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じていない場合には(ステップS13:NO)、コントローラ3は、第1判定工程(ステップS13)に戻る。第1判定工程において、基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じた場合には(ステップS13:YES)、コントローラ3は、基板輝度値およびガード輝度値の他方(もう一方)に所定の変化が生じたか否かを判定する(ステップS15:第2判定工程)。
【0121】
第2判定工程(ステップS15)において、基板輝度値およびガード輝度値の他方に所定の変化が生じた場合には(ステップS15:YES)、コントローラ3は、基板輝度値およびガード輝度値の当該他方に所定の変化が生じた時点、すなわち、基板輝度値に所定の変化が生じた時点およびガード輝度値に所定の変化が生じた時点の遅い方を、処理終了時点FTとして検出する(ステップS14:検出工程)。コントローラ3は、検出ユニットの一例である。検出工程(ステップS14)の後、コントローラ3は、終了時点検出処理を終了する。
【0122】
第2判定工程(ステップS15)において、基板輝度値およびガード輝度値の他方に所定の変化が生じていない場合には(ステップS15:NO)、コントローラ3は、予備時間が経過するまでの間、予備時間が経過したか否かを監視する(ステップS16:予備時間監視工程)。
予備時間監視工程(ステップS16)において予備時間が経過していない場合には(ステップS16:NO)、コントローラ3は、ステップS15に戻る。予備時間監視工程(ステップS16)において予備時間が経過した場合には(ステップS16:YES)、基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じた時点を、処理終了時点FTとして検出する(ステップS14:検出工程)。このように、輝度値の監視の開始時点から報知時間が経過するまでに基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じた場合には、基板輝度値およびガード輝度値の他方に所定の変化が生じるか否かに関わらず、処理終了時点FTが検出される。検出工程(ステップS14)の後、コントローラ3は、終了時点検出処理を終了する。
【0123】
基板Wの上面に対する処理が充分に進行して基板輝度値に所定の変化が生じた場合であっても、基板Wの上面に対する処理によって生じた残渣が第1ガード30Aの内壁面30aに付着し、第1ガード30Aの内壁面30aから当該残渣を除去するために除去液の供給を継続する必要がある場合がある。逆に、基板Wの上面の全体の処理が終了していないにもかかわらず、基板Wの上面の一部の処理が進行することによってガード輝度値に所定の変化が生じる場合もある。
【0124】
しかしながら、終了時点検出処理の第2例では、基板輝度値およびガード輝度値の一方に所定の変化が生じた後、基板輝度値およびガード輝度値の他方に所定の変化が生じた時点、ならびに、基板輝度値およびガード輝度値の一方に所定の変化が生じた時点から所定の予備時間が経過した時点のいずれか早い方が処理終了時点FTとして検出される。そのため、基板Wの上面からレジスト膜が充分に除去され、かつ、第1ガード30Aの内壁面30aに付着したレジスト膜の残渣が充分に除去された時点を速やかに検出することができる。
【0125】
<終了時点検出処理の第3例>
図11は、終了時点検出処理の第3例の流れを示すフローチャートである。終了時点検出処理の第3例では、終了時点検出処理の第2例と異なり、輝度値の監視の開始時点から所定の報知時間が経過した場合にその旨が報知される。
報知時間は、たとえば、記憶部3Cに記憶されている処理済みの基板Wの処理終了時点FTに基づいて算出された時間である。より具体的には、報知時間は、同一の処理ユニット2で直前に処理された基板Wの基板処理において輝度値の監視の開始時点から処理終了時点FTまでの時間(たとえば、30秒間)に所定の追加時間(たとえば、10秒間)を追加した時間である。報知時間は、同一の処理ユニット2で直前に処理された基板Wの基板処理において輝度値の監視の開始時点から処理終了時点FTまでの時間に、当該時間に所定の割合(たとえば、30%)を乗じた追加時間を追加した時間であってもよい。
【0126】
まず、終了時点検出処理の第3例では、コントローラ3は、画像取得ユニット100からの画像データIDの受信が開始されたか否かを監視する(ステップS11)。コントローラ3は、画像データIDの受信が開始されていない場合には(ステップS11:NO)、ステップS11に戻る。コントローラ3は、画像データIDの受信が開始された場合には(ステップS11:YES)、画像データID中の画像110の輝度値の監視を開始する(ステップS12:輝度値監視工程)。
【0127】
その後、コントローラ3は、画像110の輝度値に所定の変化が生じたか否かを判定する。具体的には、コントローラ3は、基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じたか否かを判定する(ステップS13:第1判定工程)。
第1判定工程(ステップS13)において、基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じていない場合には(ステップS13:NO)、コントローラ3は、輝度値の監視の開始時点から報知時間が経過したか否かを監視する(ステップS17:報知時間監視工程)。
【0128】
報知時間監視工程(ステップS17)において報知時間が経過していない場合には(ステップS17:NO)、コントローラ3は、第1判定工程(ステップS13)に戻る。報知時間監視工程(ステップS17)において、輝度値の監視の開始時点から報知時間が経過した場合には(ステップS17:YES)、コントローラ3は、報知時間が経過したことを報知ユニット105に報知させる(ステップS18:報知工程)。報知工程(ステップS18)の後、コントローラ3は、処理終了時点FTを検出することなく終了時点検出処理を終了する。
【0129】
輝度値の監視の開始時点から報知時間が経過するまでの間に、基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じた場合には(ステップS13:YES)、コントローラ3は、基板輝度値およびガード輝度値の他方(もう一方)に所定の変化が生じたか否かを判定する(ステップS15:第2判定工程)。
第2判定工程(ステップS15)において、基板輝度値およびガード輝度値の他方に所定の変化が生じた場合には(ステップS15:YES)、基板輝度値およびガード輝度値の当該他方に所定の変化が生じた時点、すなわち、基板輝度値に所定の変化が生じた時点およびガード輝度値に所定の変化が生じた時点の遅い方を、処理終了時点FTとして検出する(ステップS14:検出工程)。ステップS14の後、コントローラ3は、終了時点検出処理を終了する。
【0130】
第2判定工程(ステップS15)において、基板輝度値およびガード輝度値の他方に所定の変化が生じていない場合には(ステップS15:NO)、コントローラ3は、所定の変化が生じた時点から予備時間が経過したか否かを監視する(ステップS16:予備時間監視工程)。
予備時間監視工程(ステップS16)において予備時間が経過していない場合には(ステップS16:NO)、コントローラ3は、第2判定工程(ステップS15)に戻る。予備時間監視工程(ステップS16)において予備時間が経過した場合には(ステップS16:YES)、基板輝度値およびガード輝度値のうちいずれか一方に所定の変化が生じた時点を、処理終了時点FTとして検出する(ステップS14:検出工程)。このように、輝度値の監視の開始時点から報知時間が経過するまでに基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じた場合には、基板輝度値およびガード輝度値の他方に所定の変化が生じるか否かに関わらず、処理終了時点FTが検出される。検出工程(ステップS14)の後、コントローラ3は、終了時点検出処理を終了する。
【0131】
終了時点検出処理の第3例では、基板輝度値およびガード輝度値の一方に所定の変化が生じた後、基板輝度値およびガード輝度値の他方に所定の変化が生じた時点、ならびに、基板輝度値およびガード輝度値の一方に所定の変化が生じた時点から所定の予備時間が経過した時点のいずれか早い方が処理終了時点FTとして検出される。そのため、基板Wの上面からレジスト膜が充分に除去され、かつ、第1ガード30Aの内壁面30aに付着したレジスト膜の残渣が充分に除去された時点を速やかに検出することができる。
【0132】
終了時点検出処理の第3例では、さらに、輝度値の監視の開始時点から所定の報知時間内に処理終了時点FTが検出されない場合には、処理終了時点FTが検出されないことが報知される(報知工程)。
そのため、検出異常によって処理終了時点FTが検出されないことを速やかに報知することができる。報知に応じて基板処理を停止させることによって、検出異常時の処理液の消費を抑制できる。
【0133】
また、記憶部3Cに記憶されている処理済みの基板Wの処理終了時点FTに基づいて報知時間を算出すれば、報知時間の最適化を図れる。
<終了時点検出処理の第4例>
図12は、終了時点検出処理の第4例の流れを示すフローチャートである。終了時点検出処理の第4例では、終了時点検出処理の第3例と異なり、コントローラ3は、基板Wの上面に対する除去液の供給の終了が予定されている供給終了時点までに処理終了時点FTを検出しない場合には、供給終了時点を延期する。コントローラ3は、供給終了時点延期ユニットの一例である。供給終了時点は、レシピR毎に設定されている。
【0134】
供給終了時点は、輝度値の監視の開始時点を基準とする時点である。監視時間が開始時点と供給終了時点との間の時間と一致することを、輝度値の監視時間が供給終了時点に達すると表現する。
まず、終了時点検出処理の第4例では、コントローラ3は、画像取得ユニット100からの画像データIDの受信が開始されたか否かを監視する(ステップS11)。コントローラ3は、画像データIDの受信が開始されていない場合には(ステップS11:NO)、ステップS11に戻る。コントローラ3は、画像データIDの受信が開始された場合には(ステップS11:YES)、画像データID中の画像110の輝度値の監視を開始する(ステップS12:輝度値監視工程)。
【0135】
その後、コントローラ3は、画像110の輝度値に所定の変化が生じたか否かを判定する。具体的には、コントローラ3は、基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じたか否かを判定する(ステップS13:第1判定工程)。
第1判定工程(ステップS13)において、基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じていない場合には(ステップS13:NO)、コントローラ3は、輝度値の監視時間が供給終了時点に達したか否かを監視する(ステップS19:供給終了時点監視工程)。
【0136】
供給終了時点監視工程(ステップS19)において輝度値の監視時間が、供給終了時点に達していない場合には(ステップS19:NO)、コントローラ3は、第1判定工程(ステップS13)に戻る。供給終了時点監視工程(ステップS19)において、輝度値の監視時間が供給終了時点に達した場合には(ステップS19:YES)、コントローラ3は、供給終了時点が延期済みか否かを判定する(ステップS20)。供給終了時点が一度も延期されていない場合には(ステップS20:NO)、コントローラ3は、供給終了時点を延期する(ステップS21:供給終了時点延期工程)。コントローラ3は、供給終了時点を延期した後、第1判定工程(ステップS13)に戻る。
【0137】
供給終了時点が一度延長されている場合には(ステップS20:NO)、コントローラ3は、供給終了時点が経過したことを報知ユニット105に報知させる(ステップS22:報知工程)。報知工程(ステップS22)の後、コントローラ3は、処理終了時点FTを検出することなく終了時点検出処理を終了する。
輝度値の監視の開始時点から延長時間が経過するまでの間に、基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じた場合には(ステップS13:YES)、コントローラ3は、基板輝度値およびガード輝度値の他方(もう一方)に所定の変化が生じたか否かを判定する(ステップS15:第2判定工程)。
【0138】
第2判定工程(ステップS15)において、基板輝度値およびガード輝度値の他方に所定の変化が生じた場合には(ステップS15:YES)、基板輝度値およびガード輝度値の当該他方に所定の変化が生じた時点、すなわち、基板輝度値に所定の変化が生じた時点およびガード輝度値に所定の変化が生じた時点の遅い方を、処理終了時点FTとして検出する(ステップS14:検出工程)。コントローラ3は、検出ユニットの一例である。検出工程(ステップS14)の後、コントローラ3は、終了時点検出処理を終了する。
【0139】
第2判定工程(ステップS15)において、基板輝度値およびガード輝度値の他方に所定の変化が生じていない場合には(ステップS15:NO)、コントローラ3は、所定の変化が生じた時点から予備時間が経過したか否かを監視する(ステップS16:予備時間監視工程)。
予備時間監視工程(ステップS16)において予備時間が経過していない場合には(ステップS16:NO)、コントローラ3は、第2判定工程(ステップS15)に戻る。予備時間監視工程(ステップS16)において予備時間が経過した場合には(ステップS16:YES)、基板輝度値およびガード輝度値のうちいずれか一方に所定の変化が生じた時点を、処理終了時点FTとして検出する(ステップS14:検出工程)。このように、輝度値の監視時間が供給終了時点に達するまでに基板輝度値およびガード輝度値のいずれか一方に所定の変化が生じた場合には、基板輝度値およびガード輝度値の他方に所定の変化が生じるか否かに関わらず、処理終了時点FTが検出される。検出工程(ステップS14)の後、コントローラ3は、終了時点検出処理を終了する。
【0140】
終了時点検出処理の第4例では、基板輝度値およびガード輝度値の一方に所定の変化が生じた後、基板輝度値およびガード輝度値の他方に所定の変化が生じた時点、ならびに、基板輝度値およびガード輝度値の一方に所定の変化が生じた時点から所定の予備時間が経過した時点のいずれか早い方が処理終了時点FTとして検出される。そのため、基板Wの上面からレジスト膜が充分に除去され、かつ、第1ガード30Aの内壁面30aに付着したレジスト膜の残渣が充分に除去された時点を速やかに検出することができる。
【0141】
終了時点検出処理の第4例では、さらに、供給終了時点が経過するまでに処理終了時点をコントローラ3が検出しない場合には、供給終了時点が延期される(供給終了時点延期工程)。
処理終了時点FTは、常に一定とは限らず、基板W毎に個体差が存在する。そこで、供給終了時点が経過するまでに、処理終了時点が検出されない場合に供給終了時点を延長すれば、処理終了時点FTが想定よりも遅い場合であっても、基板Wを適切に処理することができる。
【0142】
終了時点検出処理の第4例では供給終了時点が既に一度延期済みである場合には、延期された供給終了時点が経過するまでに処理終了時点FTをコントローラ3が検出しない場合には、コントローラ3は、報知ユニット105にその旨を報知させる。
そのため、検出異常によって処理終了時点FTが検出されないことを速やかに報知することができる。報知に応じて基板処理を停止させることによって、検出異常時の処理液の消費を抑制できる。また、記憶部3Cに記憶されている処理済みの基板Wの処理終了時点FTに基づいて報知時間を算出すれば、報知時間の最適化を図れる。
【0143】
<その他の実施形態>
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
たとえば、上述の実施形態では、複数のガード30の配置の変更によって、除去液の排出先を、第1排液配管34および回収配管36のいずれかに切り替える。しかしながら、排出先の切り替えは、バルブの開閉によって行われてもよい。
【0144】
具体的には、複数のガード30が第2液受け配置に配置され、かつ、排液バルブ39が開かれた状態で、除去液処理工程(ステップS2)が開始され、輝度値の監視時間が処理終了時点に達したときに、複数のガード30が第2液受け配置に維持しながら、排液バルブ39を閉じて回収バルブ38が開かれる。これにより、除去液の排出先が、第2排液配管37から回収配管36に切り替えられる(流路切替工程)。この場合、回収バルブ38および排液バルブ39は、共通配管35を流れる液体の排出先を、回収配管36と第2排液配管37との間で切り換える流路切替ユニットとして機能する。
【0145】
上述の実施形態では、基板Wの下面に対向するヒータユニット12によって、基板Wの上面上の除去液が加熱される。除去液の加熱は、ヒータユニット12による加熱に限られない。除去液の加熱は、たとえば、基板Wの下面に加熱窒素等の熱媒の供給によって行われてもよい。また、除去液の加熱は、基板Wの上面に対向するランプヒータによって行われてもよい。基板Wの上面に対向するランプヒータを用いて除去液を加熱する構成を採用した場合、基板Wの下面を真空吸着するスピンチャックによって基板Wを水平に保持する構成を採ることができる。
【0146】
上述の実施形態では、コントローラ3は、全ての第1領域111Aの輝度値に所定の変化が生じた場合には、判定工程(ステップS13)において、基板Wの上面の画像の輝度値に所定の変化が生じたと判定する。同様に、コントローラ3は、全ての第2領域111Bの輝度値に所定の変化が生じた場合に、判定工程(ステップS13)において、第1ガード30Aの内壁面30aの輝度値に所定の変化が生じたと判定する。
【0147】
しかしながら、コントローラ3は、複数の第1領域111Aのうちの半分以上の第1領域111Aの輝度値に所定の変化が生じた場合には、判定工程(ステップS13)において、基板Wの上面の画像の輝度値に所定の変化が生じたと判定してもよい。同様に、コントローラ3は、複数の第2領域111Bのうちの半分以上の第2領域111Bの輝度値に所定の変化が生じた場合には、判定工程(ステップS13)において、第1ガード30Aの内壁面30aの画像の輝度値に所定の変化が生じたと判定してもよい。
【0148】
上述の実施形態では、検出対象領域111は、複数の第1領域111Aおよび複数の第2領域111Bを含む。上述した実施形態とは異なり、第1領域111Aおよび第2領域111Bは、少なくとも1つずつ設けられていればよい。
また、上述した複数の第1領域111Aは、基板Wの上面の周方向に間隔を隔てて並んでいる。しかしながら、第1領域111Aは、基板Wの上面の半径方向に間隔を隔てて並んでいてもよいし、基板Wの上面の周方向および半径方向に間隔を隔てて並んでいてもよい。
【0149】
また、上述した複数の第2領域111Bは、第1ガード30Aの内壁面30aの周方向に間隔を隔てて並んでいる。しかしながら、第2領域111Bは、上下方向に間隔を隔てて並んでいてもよいし、第1ガード30Aの内壁面30aの周方向および上下方向に間隔を隔てて並んでいてもよい。
また、除去液ノズル50から除去液が吐出されている間、基板Wの上面に対する除去液の着液位置が基板Wの面内で走査するように除去液ノズル50が水平移動してもよい。その場合、基板Wの上面の中央領域と基板Wの上面の周縁領域との間の外周領域においてレジスト膜の除去に時間を要することがある。そのため、第1領域111Aは、基板Wの上面の中央領域と基板Wの上面の周縁領域との間の外周領域において、基板Wの上面の周方向に沿って並んでいることが好ましい。
【0150】
基板Wの下面に対して除去液が供給されるように構成されていてもよい。基板Wの下面が被処理面であってもよい。
輝度値の検出対象となるガード30は、最も内側のガード30(第1ガード30A)に限られず、内側から2番目のガード30(第2ガード30B)や最も外側のガード30(第3ガード30C)であってもよい。
【0151】
近接位置から離間位置へのヒータユニット12の位置の変更は、処理終了時点FTから所定時間経過後に行われてもよい。同様に、除去液の排出先の変更も、処理終了時点FTから所定時間経過後に行われてもよい。
上述した実施形態では、除去処理工程(ステップS2)の後、リンス工程(ステップS3)が実行される。しかしながら、除去処理工程(ステップS2)の後、基板Wの上面にオゾン水を供給するオゾン水供給工程を実行した後、リンス工程が実行されてもよい。
【0152】
上述した実施形態では、処理液として、レジスト膜を除去する除去液を用いている。しかしながら、処理液は、上述した除去液に限られず、本願発明は、レジスト除去処理以外の処理にも適用できる。たとえば、メタルエッチング処理等の処理にも適用することができる。
また、上述の実施形態では、基板処理装置1が、搬送ロボットIR,CRと、複数の処理ユニット2と、コントローラ3とを備えている。しかしながら、基板処理装置1,1Pは、単一の処理ユニット2とコントローラ3とによって構成されており、搬送ロボットIR,CRを含んでいなくてもよい。あるいは、基板処理装置1、単一の処理ユニット2のみによって構成されていてもよい。言い換えると、処理ユニット2が基板処理装置の一例であってもよい。
【0153】
なお、上記の実施形態では、「沿う」、「水平」、「直交」、「鉛直」といった表現を用いたが、厳密に「沿う」、「水平」、「直交」、「鉛直」であることを要しない。すなわち、これらの各表現は、製造精度、設置制度等のずれを許容するものである。
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0154】
1 :基板処理装置
2 :処理ユニット(基板処理装置)
3 :コントローラ(検出ユニット、供給終了時点延期ユニット)
11 :除去液供給ユニット
12 :ヒータユニット(加熱ユニット)
13 :リンス液供給ユニット
20 :基板保持ユニット
21 :基板回転ユニット
30 :ガード
30a :内壁面
30A :第1ガード
33 :ガード昇降ユニット(流路切替ユニット)
34 :第1排液配管(排液流路)
36 :回収配管(回収流路)
37 :第2排液配管(排液流路)
38 :回収バルブ(流路切替ユニット)
39 :排液バルブ(流路切替ユニット)
56 :硫酸水溶液バルブ(液切替ユニット)
71 :過酸化水素水バルブ(液切替ユニット)
82 :リンス液バルブ(液切替ユニット)
100 :画像取得ユニット
110 :画像
A1 :回転軸線
FT :処理終了時点
LV :輝度値
W :基板