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特許7540940燃料電池システム、及び、燃料電池システムの運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】燃料電池システム、及び、燃料電池システムの運転方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04303 20160101AFI20240820BHJP
   H01M 8/04228 20160101ALI20240820BHJP
   H01M 8/043 20160101ALI20240820BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20240820BHJP
   H01M 8/04955 20160101ALI20240820BHJP
【FI】
H01M8/04303
H01M8/04228
H01M8/043
H01M8/04313
H01M8/04955
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020210729
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022097257
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 崇之
(72)【発明者】
【氏名】香田 淳也
(72)【発明者】
【氏名】池田 泰久
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-072257(JP,A)
【文献】特開2005-353292(JP,A)
【文献】特開2017-174750(JP,A)
【文献】特開2007-280650(JP,A)
【文献】特開2005-276797(JP,A)
【文献】特許第4656521(JP,B2)
【文献】国際公開第2015/129277(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 18/00
F24H 1/00
F24H 1/18 - 1/20
F24H 4/00 - 4/06
H01M 8/00 - 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスマイコンメータを経由したガスを用いて運転される燃料電池ユニットと、
予め前記ガスマイコンメータに対応した微少漏洩検知期間内の判定時に、漏洩回避時間継続して前記燃料電池ユニットの運転を停止する漏洩回避停止処理を実行すると共に、前記漏洩回避停止処理の実行時に、前記燃料電池ユニットの運転メリットが所定のメリット基準を上回るか否かを判断し前記メリット基準を上回らないと判断した場合には前記燃料電池ユニットの運転停止を維持するメリット判断処理を実行する、停止判断部と、
を備え、
前記停止判断部は、前記判定時と異なるタイミングで前記燃料電池ユニットの運転停止が行われる不定期運転停止時に前記メリット判断処理を実行する、
燃料電池システム。
【請求項2】
前記判定時を、前記微少漏洩検知期間の経過毎に一定間隔で到来するように設定する、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記微少漏洩検知期間を、前記不定期運転停止時において、前記漏洩回避時間以上の停止によりリセットする、
請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記停止判断部は、前記メリット判断処理により前記燃料電池ユニットの運転停止が維持された場合には、次のメリット判断が行われるまで、前記燃料電池ユニットの運転停止を継続する、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
ガスマイコンメータを経由したガスを用いて運転される燃料電池ユニットについて、予め前記ガスマイコンメータに対応した微少漏洩検知期間内の判定時に、漏洩回避時間継続して前記燃料電池ユニットの運転を停止する漏洩回避停止処理を実行すると共に、前記漏洩回避停止処理の実行時に、前記燃料電池ユニットの運転メリットが所定のメリット基準を上回るか否かを判断し前記メリット基準を上回らないと判断した場合に前記燃料電池ユニットの運転停止を維持するメリット判断処理を実行し、
前記メリット判断処理は、前記判定時と異なるタイミングで前記燃料電池ユニットの運転停止が行われる不定期運転停止時に実行する、
燃料電池システムの運転方法。
【請求項6】
前記判定時は、前記微少漏洩検知期間の経過毎に一定間隔で到来するように設定されている、
請求項5に記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項7】
前記微少漏洩検知期間は、前記不定期運転停止時において、前記漏洩回避時間以上の停止によりリセットされる、
請求項5または請求項6に記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項8】
前記メリット判断処理の実行により前記燃料電池ユニットの運転停止が維持された場合には、次のメリット判断処理が行われるまで、前記燃料電池ユニットの運転停止を継続する、
請求項5~請求項7のいずれか1項に記載の燃料電池システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システム、及び、燃料電池システムの運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、一般家庭へガスを供給する配管に設置されるガスマイコンメータには、ガスの異常流出監視、感震、圧力監視、及び長時間使用監視という主たる監視機能に加え、ガス管の漏洩(特に、微量の漏洩)を検知する安全機能(「以下、微少漏洩検知機能」という)を搭載している。
【0003】
微少漏洩検知機能では、ガスの供給が一定期間(漏洩判定期間)、例えば30日間継続した場合に(警報カウンタがしきい値を超えた場合に)、警報を発令(警報ランプの点滅等)する。「継続」の定義としては、例えば、20分以上の間隔を開けずにガスが流れていることとする。言い換えれば、20分未満(例えば、19分)の流動途絶は、「継続」と認識する。
【0004】
ここで、燃料電池システムでは、他のガス消費機器とは異なり、発電を目的として、ガスを消費し続けることが、通常の仕様となっている。そのため、マイコンメータが適用されたガス配管設備に設置される燃料電池システムにおいては、漏洩判定用期間中に所定の不使用状態が確認されず、微少漏洩検知機能が作動して警告が発せられる場合がある。そこで、特許文献1では、微少漏洩検知用期間前の所定期間に達した場合に、警告情報を燃料電池ユニットに通知し、警告情報に応じて燃料電池の運転を停止し、マイコンメータがリセットされたと燃料電池側で判断した後に、運転を再開する制御を実施している。
【0005】
一方、燃料電池システムには、電気使用量が少なく発電運転による省エネルギー効果が出にくいと判断した場合に自動的に発電を停止する、メリット低下抑制機能を搭載する場合がある(特許文献2参照)。特許文献2のメリット低下抑制機能では、所定期間毎に、発電による省エネルギー効果が出にくいか否かを判断し、判断が肯定された場合に、次の判断時期まで発電運転を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-353292号公報
【文献】特許4656521号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
燃料電池システムは、起動・停止を繰り返すことで、システムに大きな負荷がかかるため、起動・停止をなるべく行わず、起動・停止回数を少なく抑えることが好ましい。一方で、マイコンメータによる漏洩検知機能やメリット低下抑制機能についても、燃料電池システムを運用する上で有用である。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮して成されたものであり、マイコンメータの微少漏洩検知機能、及び、燃料電池システムのメリット低下抑制機能を有効に機能させつつ、燃料電池システムの起動・停止回数の低減を図ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の燃料電池システムは、ガスマイコンメータを経由したガスを用いて運転される燃料電池ユニットと、予め前記ガスマイコンメータに対応した微少漏洩検知期間内の判定時に、漏洩回避時間継続して前記燃料電池ユニットの運転を停止する漏洩回避停止処理を実行すると共に、前記漏洩回避停止処理の実行時に、前記燃料電池ユニットの運転メリットが所定のメリット基準を上回るか否かを判断し前記メリット基準を上回らないと判断した場合には前記燃料電池ユニットの運転停止を維持するメリット判断処理を実行する、停止判断部と、を備えている。
【0010】
請求項1に係る燃料電池システムは、ガスマイコンメータを経由したガスを用いて運転される燃料電池ユニットを有しており、停止判断部により、漏洩回避停止処理及びメリット判断処理が実行される。漏洩回避停止処理は、予めガスマイコンメータに対応した微少漏洩検知期間内の判定時に漏洩回避時間継続して燃料電池ユニットの運転を停止する。メリット判断処理は、漏洩回避停止処理の実行時に実行され、燃料電池ユニットの運転メリットが、所定のメリット基準を上回るか否かを判断し、メリット基準を上回らないと判断した場合には、燃料電池ユニットの運転停止を維持する。
【0011】
このように、メリット判断処理を漏洩回避停止処理の実行時に実行することにより、燃料電池ユニットの停止をガスマイコンメータに対応した微少漏洩検知を回避するための停止と兼ねることができ、停止回数を低減することができる。これにより、燃料電池ユニットの、ガス漏洩検知機能及びメリット低下抑制機能を維持しつつ、起動停止に伴う負荷を低減することができる。
【0012】
請求項2に係る燃料電池システムは、前記判定時を、前記微少漏洩検知期間の経過毎に一定間隔で到来するように設定する。
【0013】
判定時を、微少漏洩検知期間の経過毎に一定間隔で到来するように設定することにより、所定の期間毎に漏洩回避停止処理及びメリット判断処理は実行され、簡易な制御とすることができる。
【0014】
請求項3に係る燃料電池システムは、前記停止判断部は、前記判定時と異なるタイミングで前記燃料電池ユニットの運転停止が行われる不定期運転停止時に前記メリット判断処理を実行する。
【0015】
請求項3に係る燃料電池システムによれば、燃料電池ユニットの判定時以外の停止時にもメリット判断処理を実行するので、起動、停止機会を増やすことなく、メリット判断の機会を増やすことができる。
【0016】
請求項4に係る燃料電池システムは、前記微少漏洩検知期間を、前記不定期運転停止時において、前記漏洩回避時間以上の停止によりリセットする。
【0017】
燃料電池ユニットについて、漏洩回避時間の間の不使用があれば、ガスマイコンメータの微少漏洩検知期間はリセットされる可能性が高い。したがって、燃料電池システムにおいても、微少漏洩検知期間をリセットすることにより、漏洩回避停止処理による停止回数を少なくすることができる。
【0018】
請求項5に係る燃料電池システムは、前記停止判断部は、前記メリット判断処理により前記燃料電池ユニットの運転停止が維持された場合には、次のメリット判断が行われるまで、前記燃料電池ユニットの運転停止を継続する。
【0019】
請求項5に係る燃料電池システムによれば、発電機会の損失を抑制しつつメリット低下の抑制を図ることができる。
【0020】
請求項6に係る燃料電池システムの運転方法は、ガスマイコンメータを経由したガスを用いて運転される燃料電池ユニットについて、予め前記ガスマイコンメータに対応した微少漏洩検知期間内の判定時に、漏洩回避時間継続して前記燃料電池ユニットの運転を停止する漏洩回避停止処理を実行すると共に、前記漏洩回避停止処理の実行時に前記燃料電池ユニットの運転メリットが所定のメリット基準を上回るか否かを判断し前記メリット基準を上回らないと判断した場合に前記燃料電池ユニットの運転停止を維持するメリット判断処理を実行する。
【0021】
請求項6に係る燃料電池システムの運転方法では、ガスマイコンメータを経由したガスを用いて運転される燃料電池ユニットについて、漏洩回避停止処理及びメリット判断処理が実行される。漏洩回避停止処理では、予めガスマイコンメータに対応した微少漏洩検知期間内の判定時に漏洩回避時間継続して燃料電池ユニットの運転を停止する。メリット判断処理では、漏洩回避停止処理の実行時に実行され、燃料電池ユニットの運転メリットが所定のメリット基準を上回るか否かを判断し、メリット基準を上回らないと判断した場合には、燃料電池ユニットの運転停止を維持する。
【0022】
このように、メリット判断処理を漏洩回避停止処理の実行時に実行することにより、燃料電池ユニットの停止をガスマイコンメータに対応した微少漏洩検知を回避するための停止と兼ねることができ、停止回数を低減することができる。これにより、燃料電池ユニットの、ガス漏洩検知機能及びメリット低下抑制機能を維持しつつ、起動停止に伴う負荷を低減することができる。
【0023】
請求項7に係る燃料電池システムの運転方法は、前記判定時は、前記微少漏洩検知期間の経過毎に一定間隔で到来するように設定されている。
【0024】
判定時を、微少漏洩検知期間の経過毎に到来するように設定することにより、所定の期間毎に漏洩回避停止処理及びメリット判断処理は実行され、簡易な制御とすることができる。
【0025】
請求項8に係る燃料電池システムの運転方法は、前記判定時と異なるタイミングで前記燃料電池ユニットの運転停止が行われる不定期運転停止時に前記メリット判断処理を実行する。
【0026】
請求項8に係る燃料電池システムの運転方法によれば、燃料電池ユニットの判定時以外の停止時にもメリット判断処理を実行するので、起動、停止機会を増やすことなく、メリット判断の機会を増やすことができる。
【0027】
請求項9に係る燃料電池システムの運転方法は、前記微少漏洩検知期間は、前記不定期運転停止時において、前記漏洩回避時間以上の停止によりリセットされる。
【0028】
燃料電池ユニットについて、漏洩回避時間の間の不使用があれば、ガスマイコンメータの微少漏洩検知期間はリセットされる。したがって、燃料電池システムにおいても、微少漏洩検知期間をリセットすることにより、漏洩回避停止処理による停止回数を少なくすることができる。
【0029】
請求項10に係る燃料電池システムの運転方法は、前記メリット判断処理の実行により前記燃料電池ユニットの運転停止が維持された場合には、次のメリット判断処理が行われるまで、前記燃料電池ユニットの運転停止を継続する。
【0030】
請求項10に係る燃料電池システムの運転方法によれば、発電機会の損失を抑制しつつメリット低下の抑制を図ることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、マイコンメータの微少漏洩検知機能、及び、燃料電池システムのメリット低下抑制機能を有効に機能させつつ、燃料電池システムの起動・停止回数の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】第1実施形態に係る燃料電池システムの概略図である。
図2】第1実施形態に係るコントローラの構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係る燃料電池システムのリモコンパネルの図である。
図4】燃料電池システムの漏洩回避停止処理のフローチャートである。
図5】第1実施形態の漏洩回避停止処理及びメリット判断の時期と、燃料電池ユニットの運転状況との関係の一例を示す図(A)及び(B)である。
図6】第2実施形態の不定期メリット判断処理のフローチャートである。
図7】第2実施形態の漏洩回避停止処理及びメリット判断の時期と、燃料電池ユニットの運転状況との関係の一例を示す図(A)及び(B)である。
図8】第3実施形態の不定期メリット判断処理のフローチャートである。
図9】第3実施形態の漏洩回避停止処理及びメリット判断の時期と、燃料電池ユニットの運転状況との関係の一例を示す図(A)及び(B)である。
図10】第3実施形態の漏洩回避停止処理及びメリット判断の時期と、燃料電池ユニットの運転状況との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例、第1実施形態について詳細に説明する。
図1には、本実施形態に係る燃料電池システム10の概略図が示されている。
【0034】
燃料電池システム10は、燃料電池ユニット12を備えている。燃料電池ユニット12には、貯湯タンク14が併設されており、燃料電池システム10は、所謂コージェネレーションシステムである。
【0035】
なお、本実施形態では、燃料電池ユニット12に貯湯タンク14が設けられている構成を一例としているが、燃料電池ユニット12と貯湯タンク14とは、別々のユニットであってもよい。
【0036】
燃料電池ユニット12は、コントローラ16、脱硫器20、マスフロコントローラ(MFC)24、燃料電池(FC)モジュール22、インバータ28、熱交換器30、貯湯タンク14、カウンタK1を備えている。
【0037】
脱硫器20は、ガス供給管18から供給されるガスに含まれている硫黄分や硫黄化合物を除去する。本実施形態では、ガスとして、都市ガス13Aを使用することとする。
【0038】
燃料電池モジュール22は、内部に改質部及び発電部を有している。脱硫器20を経たガスは、マスフロコントローラ24を経て燃料電池モジュール22へ供給される。マスフロコントローラ24は、都市ガス13Aのガス密度で調整が行われており、脱硫後のガスをノルマル流量で燃料電池モジュール22へ供給する。燃料電池モジュール22へは、ノルマル流量でガス流量が制御されており、ノルマル流量に基づいて発電運転が行われている。
【0039】
燃料電池モジュール22の改質部では、脱硫器20を経たガスが、水素を主成分とするガスに改質される。発電部では、水素を利用して発電を行う。燃料電池モジュール22の発電部からの電力は、インバータ28によって交流に変換された後、家電42(家庭電化製品や照明)等の電力負荷で消費される。
【0040】
貯湯タンク14には、湯が貯留されている。当該湯は、燃料電池モジュール22から排出される高温の排ガスと熱交換器30での熱交換により加熱される。貯湯タンク14の湯は、直接または間接的に熱交換を行うことにより、バックアップ熱源機(BB)32を介して給湯設備44(シャワー、風呂、シンク等)への給湯用、及び床暖房や空調設備等での熱交換用として利用される。貯湯タンク14に貯留された湯をこのように利用することにより、発電に伴って発生する熱を利用できることから、別途燃料を用いて湯を加熱し、給湯、熱交換を行う場合と比較して、省エネルギーとなる。
【0041】
なお、図1では、上水が貯湯タンク14へ直接供給されている例を示しているが、上水は、貯湯タンク14からの湯と熱交換を行う上水熱交換器へ供給して熱交換を行ってもよい。
【0042】
バックアップ熱源機32は、内部に燃焼器、熱交換部を備えている。バックアップ熱源機32では、貯湯タンク14からの湯によりユーザー所望の温水を供給できない場合(所望の湯温よりも低温の場合)に、貯湯タンク14からの湯を加熱して給湯設備44へ供給する。
【0043】
(コントローラ16の構成)
図2に示されるように、コントローラ16は、CPU50、RAM51、ROM52、ストレージ54、I/O56、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス58を備える。ストレージ54には、後述する漏洩回避停止処理のプログラム、微少漏洩検知期間D、漏洩回避時間T0、などのデータが格納されている。
【0044】
I/O56には、マスフロコントローラ24、燃料電池モジュール22、インバータ28、バックアップ熱源機32が接続されている。コントローラ16により、マスフロコントローラ24、燃料電池モジュール22、インバータ28、バックアップ熱源機(BB)32のそれぞれの動作が制御される。また、I/O56には、カウンタK1、リモコンパネル34が接続されている。
【0045】
カウンタK1は、後述する漏洩回避停止処理を実行するための期間をカウントするものであり、カウント値がコントローラ16へ出力される。
【0046】
リモコンパネル34は、燃料電池システム10が設置される対象の家屋の内部に設置され、利用者が燃料電池システム10に関して指令を入力するための機能や、燃料電池システム10の状態を表示する機能を有する。
【0047】
図1に示されるように、ガス供給管18には、ガスマイコンメータ48(以下「マイコンメータ48」と称する)が取り付けられている。マイコンメータ48の下流側には、分岐部が設けられ、その枝管18Aが燃料電池ユニット12へガスを供給し、枝管18Bがバックアップ熱源機32へガスを供給し、枝管18Cが家屋内のガス機器40(コンロ等)へガスを供給する。
【0048】
マイコンメータ48は、供給するガスの実体積流量を計測すると共に、ガスの供給における異常を監視する複数の機能(異常流出監視機能、感震機能、圧力監視機能、長時間使用監視機能、微少漏洩検知機能等)を有している。
【0049】
微少漏洩検知機能は、ガスの供給が一定期間(例えば30日間)継続した場合に(警報カウンタがしきい値を超えた場合に)、警報を発令(警報ランプの点滅等)する。マイコンメータ48に登録された当該一定期間に対応した期間を、以下「微少漏洩検知期間D」という。「継続」の定義としては、1時間以上の間隔を開けずにガスが流れていることとする。言い換えれば、1時間未満(例えば、59分)の流動途絶は、マイコンメータ48では「継続」と認識する。本実施形態では、一例として、微少漏洩検知期間Dを28日とする。
【0050】
本実施形態の燃料電池システム10は、微少漏洩検知期間Dよりも短い間隔で到来するように設定された判定時に、漏洩回避停止処理を実行する。判定時は、微少漏洩検知期間Dが満了する以前の日に設定されている。本実施形態では、一例として判定時を27日目に設定している。判定時は、カウンタK1のカウント値をコントローラ16へ出力することにより検知されている。
【0051】
漏洩回避停止処理は、1時間よりも長い漏洩回避時間T0の間、燃料電池ユニット12の運転を停止するものである。本実施形態では、一例として漏洩回避時間T0を24時間(1日)に設定する。本実施形態では、27日に漏洩回避時間T0を加えた28日が微少漏洩検知期間Dとなっている。カウンタK1のカウント値は、28日毎にリセットされる。したがって、判定時は、28日毎の一定間隔で到来する。
【0052】
メリット判断処理は、ユーザーの電力需要が減少して、燃料電池システム10における運転メリットが低下する場合の停止基準を設け、当該停止基準よりも運転メリットが低下した場合に、燃料電池ユニット12の運転を停止するものである。停止基準や停止基準に基づく判断手法については、既存の技術を用いることができる。本実施形態では、直近の燃料電池システム10の運転状況から、発電を継続した場合と、発電を停止した場合の省エネ効果に基づいて、メリット値を算出し、メリット値が予め設定した停止基準値以上であれば運転の継続を判断し、停止基準未満であれば運転の停止を判断する。
【0053】
図3は、本実施の形態に係るリモコンパネル34の正面図である。リモコンパネル34は外観が矩形状で、メインパネル34Aの上部には、タッチパネル部34Bが配置されている。
【0054】
タッチパネル部34Bは、時刻や運転状況、設定された数値等が表示されると共に、表示面の一部又は全部に重なるように、タッチパッド部が敷設され、ユーザーのタッチ操作を認識することができるようになっている。図5においてメインパネル34Aの表示は運転状況画面の一例で有り、タッチパッド部である「画面切替」にタッチすることにより、メインパネル56を各種の別画面に切り替えることができる。図5では、後述する漏洩回避停止処理中、又は、メリット低下抑制のための停止中である旨の「運転停止中」の文字が表示されている。
【0055】
また、タッチパネル部34Bよりも下側のメインパネル34Aは、複数の操作スイッチ群の配置領域34Cとなっている。操作スイッチ群は、所謂ハードスイッチであり、給湯及び発電に関わる操作スイッチが配列されている。
【0056】
なお、図3に示すリモコンパネル34は、タッチパネル部34B、及び操作スイッチ群の配置位置、数、機能、形状等は、型式、年式、バージョン等によって変更される場合があり、図3のリモコンパネル34の形状に限定されるものではない。
【0057】
次に、本実施形態の燃料電池システム10における、漏洩回避停止処理について説明する。漏洩回避停止処理は、コントローラ16で、図4に示すフローチャートに基づいて実行される。
【0058】
まずステップS12で、判定時が到来したかどうか、すなわち、カウンタK1のカウント値が27日になったかどうかを判断する。判断が否定された場合には、判定時が到来するまで待機する。判断が肯定された場合には、ステップS14で燃料電池ユニット12の運転を停止する。なお、運転が停止状態で判定時が到来した場合には、運転の停止を継続する。
【0059】
次に、ステップS16で、メリット値を算出し、ステップS18でメリット値が停止基準以上かどうかを判断する。判断が肯定された場合には、ステップS20で、漏洩回避時間T0(本実施形態では24時間)が経過するまで待機する。漏洩回避時間T0の間、燃料電池ユニット12の運転を停止することにより、発電のためのガス消費がなくなり、マイコンメータ48の微少漏洩検知機能における警報の発令を回避できる。
【0060】
なお、バックアップ熱源機32とコントローラ16とが通信可能な場合には、ステップS20において、さらに、バックアップ熱源機32の使用が一定時間以上(例えば2時間以上)ないことを判断に加えてもよい。
【0061】
漏洩回避時間T0が経過して、ステップS20の判断が肯定された場合には、ステップS22で、燃料電池ユニット12の運転を再開する。そして、ステップS12へ戻り、次の判定時まで待機する。
【0062】
ステップS18でメリット値が停止基準未満であり、判断が否定された場合には、燃料電池ユニット12の運転停止したまま、ステップS12へ戻り、次の判定時まで待機する。メリット値が停止基準未満と判断された場合には、次の判断時まで、燃料電池ユニット12の運転が停止される。なお、本実施形態では、ステップS16及びステップS18がメリット判断処理となる。
【0063】
図5には、本実施形態の燃料電池システム10において、漏洩回避停止処理及びメリット判断の時期と、燃料電池ユニット12の運転状況との関係の一例が示されている。図5(A)は、28日毎に実行される漏洩回避停止処理中にメリット判断を実行し、3回分について、いずれもメリット値が停止基準以上であった場合の運転状況を示している。図5(B)は、2回目のメリット判断におけるメリット値が停止基準未満となり、1回目及び3回目についてメリット値が停止基準以上であった場合の運転状況を示している。
【0064】
図5(A)では、燃料電池ユニット12の起動、停止回数は3回である。図5(B)では、2回目にメリット判断処理の結果に基づいて、次の判定時まで燃料電池ユニット12の運転が停止されるため、2回目の漏洩回避停止処理において燃料電池ユニット12の運転再開が実施されず、3回目の漏洩回避停止処理において燃料電池ユニット12の運転開が実施されない。したがって、燃料電池ユニット12の起動、停止回数は、2回となる。
【0065】
このように、本実施形態の燃料電池システム10では、メリット判断処理を漏洩回避停止処理の実行時に実行することにより、燃料電池ユニット12の停止、起動回数を低減することができる。これにより、燃料電池システム10の、ガス漏洩検知機能及びメリット低下抑制機能を維持しつつ、起動停止に伴う負荷を低減することができる。
【0066】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。本実施形態において、燃料電池システム10の構成は、第1実施形態と同様である。
【0067】
第2実施形態では、メリット判断処理が、漏洩回避停止処理の判定時に加えて、他の場合にも実施される。例えば、燃料電池ユニット12の運転が停止される場合で、ユーザーによって任意に運転停止が指示された場合、外気温が高い場合の水確保の場合の停止、中性線過電流保護停止、などの運転停止時が挙げられる。これらの運転停止を、以下「不定期運転停止」と称する。
【0068】
不定期運転停止に対応して、コントローラ16では、図6に示す不定期メリット判断処理が実行される。
【0069】
ステップS30で、不定期運転停止があるかどうかを判断し、判断が肯定された場合には、ステップS16でメリット値を算出する。ステップS18でメリット値が停止基準以上かどうかを判断し、判断が肯定された場合には、ステップS19で、停止時間が経過するまで待機する。停止時間が経過した後、ステップS32で、燃料電池ユニット12の運転を再開する。そして、ステップS12へ戻り、次の不定期運転停止があるまで待機する。
【0070】
ステップS18でメリット値が停止基準未満であり、判断が否定された場合には、燃料電池ユニット12の運転停止したまま、ステップS12へ戻り、次の判定時まで待機する。メリット値が停止基準未満と判断された場合には、次の不定期運転停止があるまで待機する。
【0071】
図7には、本実施形態の燃料電池システム10における、漏洩回避停止処理及びメリット判断の時期と、燃料電池ユニット12の運転状況との関係の一例が示されている。図7では、第1実施形態の図5の漏洩回避停止処理に加えて、ユーザー停止による不定期運転停止に対応して、不定期メリット判断処理が実行されている。図7(A)では、3回の漏洩回避停止処理、及び、ユーザー停止による不定期運転停止に対応した不定期メリット判断処理において、いずれもメリット値が停止基準以上であった場合の運転状況を示している。図7(B)は、3回の漏洩回避停止処理において、いずれもメリット値が停止基準以上であり、ユーザー停止による不定期運転停止に対応した不定期メリット判断処理において、メリット値が停止基準未満となった場合の運転状況を示している。
【0072】
図7(A)では、燃料電池ユニット12の起動、停止回数は4回である。図7(B)では、不定期メリット判断処理の結果に基づいて、次の判定時まで燃料電池ユニット12の運転が停止されるため、ユーザーによる停止指定時間(1日)の経過後も燃料電池ユニット12の運転再開が実施されず、3回目の漏洩回避停止処理において燃料電池ユニット12の運転開が実施されない。したがって、燃料電池ユニット12の起動、停止回数は、3回となる。
【0073】
このように、本実施形態の燃料電池システム10では、メリット判断処理を漏洩回避停止処理の実行時に実行すると共に、不定期運転停止時に実行することにより、燃料電池ユニット12の停止、起動回数を低減することができる。これにより、燃料電池システム10の、ガス漏洩検知機能及びメリット低下抑制機能を維持しつつ、起動停止に伴う負荷を低減することができる。
【0074】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、第1、第2実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。本実施形態において、燃料電池システム10の構成は、第1実施形態と同様であり、漏洩回避停止処理及び不定期メリット判断処理を実行する点は、第2実施形態と同様である。
【0075】
本実施形態では、不定期停止があった場合に、運転停止時間が漏洩回避時間T0以上であった場合に、当該不定期停止により停止される時間の経過後に、カウンタK1でのカウント値をリセットする。例えば、ユーザーにより、1日(24時間)の運転停止指示が入力された場合、運転停止時間の経過後にカウンタK1のカウント値をリセットする。
【0076】
本実施形態では、コントローラ16において、図8に示す不定期メリット判断処理が実行される。
【0077】
ステップS30で、不定期運転停止があるかどうかを判断し、判断が肯定された場合には、ステップS16でメリット値を算出する。ステップS18でメリット値が停止基準以上かどうかを判断し、判断が肯定された場合には、ステップS19で、停止時間が経過するまで待機する。停止時間が経過した後、ステップS32で、燃料電池ユニット12の運転を再開し、ステップS34へ進む。
【0078】
ステップS34では、停止時間が漏洩回避時間T0以上であったか否かを判断する。判断が肯定された場合には、ガスマイコンメータ48の微少漏洩検知期間がリセットされている可能性が高いので、ステップS36で、カウンタK1をリセットする。これにより、カウンタK1では不定期運転停止時間の経過後から、判定時までの時間(27日)のカウントが開始される。その後、ステップS12へ戻り、次の不定期運転停止があるまで待機する。
【0079】
ステップS34で、停止時間が漏洩回避時間T0未満であった場合には、カウンタK1をリセットせずに、ステップS12へ戻る。
【0080】
ステップS18でメリット値が停止基準未満であり、判断が否定された場合には、燃料電池ユニット12の運転停止したまま、ステップS38へ進む。ステップS38では、漏洩回避時間T0時間経過するまで待機する。漏洩回避時間T0時間経過した後、ステップS36で、カウンタK1をリセットして、ステップS12へ戻る。
【0081】
図9には、本実施形態の燃料電池システム10における、漏洩回避停止処理及びメリット判断の時期と、燃料電池ユニット12の運転状況との関係の一例が示されている。図9では、第2実施形態の図7の漏洩回避停止処理と、不定期メリット判断処理が実行されている。図9(A)では、3回の漏洩回避停止処理、及び、ユーザー停止による不定期運転停止に対応した不定期メリット判断処理において、いずれもメリット値が停止基準以上であり、且つ、不定期停止時間が漏洩回避時間T0以上の場合の運転状況を示している。図9(B)は、図9(A)の不定期停止時間が漏洩回避時間T0未満であった場合の運転状況を示している。
【0082】
図9(A)では、不定期メリット判断処理においてカウンタK1がリセットされるため、停止時間経過後にカウンタK1がリセットされて、微少漏洩検知期間Dがスタートする。一方、図9(B)では、不定期メリット判断処理においてカウンタK1がリセットされず、微少漏洩検知期間Dは、不定期メリット判断処理よりも前のカウンタ値が維持される。
【0083】
図10は、3回の漏洩回避停止処理において、いずれもメリット値が停止基準以上であり、ユーザー停止による不定期運転停止に対応した不定期メリット判断処理において、メリット値が停止基準未満となった場合が示されている。この場合には、カウンタK1のリセットを漏洩回避時間T0経過後に実行する。
【0084】
このように、カウンタK1をリセットすることにより、漏洩回避停止処理の機会を減らし、燃料電池システム10の、ガス漏洩検知機能及びメリット低下抑制機能を維持しつつ、起動停止に伴う負荷を低減することができる。
【符号の説明】
【0085】
10 燃料電池システム
12 燃料電池ユニット
16 コントローラ(停止判定部)
48 ガスマイコンメータ
D 微少漏洩検知期間
T0 漏洩回避時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10