(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】流量制限器及びセンサが組み込まれたスパイラル型アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B01D 63/10 20060101AFI20240820BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20240820BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20240820BHJP
【FI】
B01D63/10
B01D63/00
C02F1/44 A
(21)【出願番号】P 2020536259
(86)(22)【出願日】2019-01-14
(86)【国際出願番号】 US2019013442
(87)【国際公開番号】W WO2019140354
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-12-27
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519415100
【氏名又は名称】ディディピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ジョンズ、スティーブン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】フランクリン、ルーク
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/047667(WO,A1)
【文献】特表2017-515670(JP,A)
【文献】国際公開第2014/176082(WO,A1)
【文献】特表2014-516255(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0153651(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0160564(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/22、61/00-71/82
C02F1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパイラル型アセンブリ(38)であって、
i)内部チャンバ(39)と、供給物入口(42)と、濃縮物出口(44)と、透過物出口(46)とを含む圧力容器(40)と、
ii)第1の端部(13’)と第2の端部(13)との間で軸線(X)に沿って延びる透過物収集チューブ(8)の周りに巻き付けられ、且つ入口渦巻き面(30)と出口渦巻き面(32)とを形成する少なくとも1つの膜エンベロープ(4)を含むスパイラル型膜モジュール(2)と
を含み、
前記スパイラル型膜モジュール(2)は、前記圧力容器(40)の内部チャンバ(39)内に位置し、前記入口渦巻き面(30)は、前記供給物入口(42)と流体連通し、前記出口渦巻き面(32)は、前記濃縮物出口(44)と流体連通し、及び前記透過物収集チューブ(8)は、前記透過物出口(46)と流体連通し、
前記スパイラル型アセンブリ(38)は、
iii)流量制限器(54)であって、
a)互いに密閉接触する第1のプレート(56)及び第2のプレート(58)と、
b)前記第1のプレート(56)と前記第2のプレート(58)との間に位置し且つ前記第1のプレート(56)と前記第2のプレート(58)との間の境界面に沿っている流体チャンネル(62/74)であって、前記濃縮物出口(44)及び前記透過物出口(46)の少なくとも1つと流体連通する第1の端部(64/76)と、前記スパイラル型アセンブリ(38)から流体を排出するように適合された第2の端部(66/78)とを含む流体チャネル(62/74)と
を含む流量制限器(54)と、
iv)前記第1のプレート(56)と前記第2のプレート(58)との間に位置し、且つ前記流体チャネル(62/74)に接触する少なくとも1つのセンサ要素(70/80)を含むセンサシート(68)であって、前記流体チャネル(62/74)を通過する流体の圧力、温度、導電率又はイオン濃度の少なくとも1つを測定するように適合されている、センサシート(68)と
を含むことによって特徴付けられる、スパイラル型アセンブリ(38)。
【請求項2】
前記流体チャネルは、濃縮物出口(44)と流体連通する第1の端部(64)と、前記スパイラル型アセンブリ(38)から流体を排出するように適合された第2の端部(66)とを含む濃縮物流体チャネル(62)を含み、前記センサシート(68)は、前記濃縮物流体チャネル(62)に接触し、且つ前記濃縮物流体チャネル(62)を通過する前記流体の圧力、温度又は導電率の少なくとも1つを測定するように適合されている、請求項1に記載のスパイラル型アセンブリ(38)。
【請求項3】
前記流体チャネルは、前記透過物出口(46)と流体連通する第1の端部(76)と、前記スパイラル型アセンブリ(38)から流体を排出するように適合された第2の端部(78)とを含む透過物流体チャネル(74)を含み、前記センサシート(68)は、前記透過物流体チャネル(74)に接触し、且つ前記透過物流体チャネル(74)を通過する流体の圧力、温度又は導電率の少なくとも1つを測定するように適合されている、請求項1に記載のスパイラル型アセンブリ(38)。
【請求項4】
i)前記流量制限器(54)は、
(a)濃縮物出口(44)と流体連通する第1の端部(64)と、前記スパイラル型アセンブリ(38)から流体を排出するように適合された第2の端部(66)とを含む濃縮物流体チャネル(62)と、
(b)前記透過物出口(46)と流体連通する第1の端部(76)と、前記スパイラル型アセンブリ(38)から流体を排出するように適合された第2の端部(78)とを含む透過物流体チャネル(74)と
を更に含み、及び
ii)前記センサシート(68)は、表面(72)上に取り付けられ、且つ前記濃縮物流体チャネル(62)に接触するセンサ要素(70)を含み、前記センサシート(68)は、前記濃縮物流体チャネル(62)を通過する流体の圧力、温度又は導電率の少なくとも1つを測定するように適合され、及びセンサ要素(80)は、前記表面(72)に適用され、且つ前記透過物流体チャネル(74)に接触し、前記センサシート(68)は、前記透過物流体チャネル(74)を通過する流体の圧力、温度又は導電率の少なくとも1つを測定するように適合されている、請求項1に記載のスパイラル型アセンブリ(38)。
【請求項5】
前記センサシート(68)は、信号送信機を更に含む、請求項1に記載のスパイラル型アセンブリ(38)。
【請求項6】
前記センサシート(68)は、マイクロプロセッサを更に含む、請求項1に記載のスパイラル型アセンブリ(38)。
【請求項7】
前記第1のプレート(56)と前記第2のプレート(58)との間に位置する変形可能なシート(60)を更に含み、前記濃縮物流体チャネル(62)は、流れに対する抵抗を有し、前記変形可能なシート(60)は、前記第1のプレート(56)及び前記第2のプレート(58)の圧縮下で変形して、前記濃縮物流体チャネル(62)を通る流れに対する前記抵抗を増加させるように適合されている、請求項2に記載のスパイラル型アセンブリ(38)。
【請求項8】
前記濃縮物流体チャネル(62)は、流れに対する抵抗を有し、前記スパイラル型
膜モジュール(2)は、膜間流に対する抵抗を有し、前記濃縮物流体チャネル(62)の流れに対する前記抵抗は、前記スパイラル型
膜モジュール(2)の膜間流に対する前記抵抗よりも大きい、請求項2に記載のスパイラル型アセンブリ(38)。
【請求項9】
前記濃縮物流体チャネル(62)の流れに対する抵抗は、前記スパイラル型
膜モジュール(2)の膜間流に対する抵抗の3倍以内である、請求項2に記載のスパイラル型アセンブリ(38)。
【請求項10】
前記濃縮物流体チャネル(62)
の抵抗は、前記透過物流体チャネル(74)の抵抗を10倍より多く超える、請求項
4に記載のスパイラル型アセンブリ(38)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体分離での使用に適したスパイラル型膜アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
スパイラル型膜アセンブリは、多様な流体の分離において使用される。従来の住宅用実施形態では、単一のスパイラル型逆浸透(RO)膜モジュール(「要素」)が、供給物(例えば、未濾過の水)入口と、濃縮物(排除物)出口と、透過物(例えば、清浄水)出口とを含む圧力容器内に収容されている。動作中、加圧された供給物流体が供給物入口を通して容器に導入され、モジュールを通過し、少なくとも2つの流れ、即ち濃縮物及び透過物において容器を出る。スパイラル型膜アセンブリは、典型的には、特定の範囲内の流束及び回収率で動作するように設計されている。より大型のROシステムでは、加えられる圧力及び排除物の流れは、通常、動作の最適化を達成するために別々に制御され、定期的なクリーニング及び保守作業が更にシステムの長寿命に貢献する。これとは対照的に、住宅用ROシステムは、多様な供給物圧力及び動作条件の品質に直面し、最低限のシステム保守がエンドユーザによって実施される。加えて、様々な供給物条件(特に圧力及び浸透力)及びエンドユーザの高流量に対する一般的な要求の両方に対応するために、システムは、高く且つ維持できない初期流束(「過流束」)で動作するように構成される場合がある。これは、早期の膜ファウリング及びスケーリングに更につながる。これらの問題は、このようなシステムを高回収率で動作させるときに悪化する場合がある。
【0003】
ROモジュールの流れ分布を変更するための様々な技術が記載されている。例えば、米国特許第5119860号明細書、米国特許第7017611号明細書及び米国特許出願公開第2017/0247266号明細書は、ROモジュールからドレンへの濃縮物の流れに抵抗を与えるための流量制限器の使用を記載している。米国特許出願公開第2017/0050149号明細書は、透過物収集チューブ内に位置するか又は取り付けられている、透過物流に応じて変化する抵抗を流れに与える流量調整器(例えば、弾性部材、可変面積オリフィス等)を記載している。米国特許第8043512号明細書は、類似のシステムを記載している。米国特許第4046685号明細書は、分化した流れを容器の両端から得ることを可能にするための、容器の透過物経路内の流量制限器を記載している。米国特許出願公開第2007/0272628号明細書は、容器にわたる動作条件の差をより適切に管理するために異なる標準比流束値を有する要素の組み合わせを用い、実施形態では、流量制限器を透過物収集チューブ内に用いて異なる種類の要素から液体を分離する。国際公開第2012/086478号パンフレットは、上流要素の透過物収集チューブ内に取り付けられた抵抗管を用いて透過物流を低減する。米国特許第7410581号明細書は、相互接続されたモジュールの透過物収集チューブに沿って別の位置に移動させることができる流量制限器の使用を記載している。特開2000/167358号公報及び特開2001/137672号公報も参照されたい。RO用途への適用性は、開示されていないものの、米国特許第4418723号明細書も流量制限器を記載している。
【0004】
動作後、モジュールのファウリング及びスケーリングが減圧を招き、結果的に分離性能が低下する。アセンブリ内の1つ以上の位置で圧力又は導電率を監視すると、圧力損失を特定することができ、オペレータが適切な対策、例えばモジュールの選択的な交換、供給物流体の前処理の増加、より積極的なクリーニングの使用等をとることを可能にできる。様々な技術が開発されており、例えば米国特許出願公開第2014/0180610号明細書、米国特許第8808539号明細書、米国特許第8617397号明細書、米国特許第8568596号明細書、米国特許第8519559号明細書、米国特許第8272251号明細書、米国特許第8210042号明細書、米国特許第7886582号明細書、米国特許出願公開第2011/10114561号明細書、国際公開第2012/117669号パンフレット及び特開2016/019932号公報を参照されたい。類似の技術は、他の種類の濾過デバイス、例えば米国特許第6936160号明細書、米国特許第7048775号明細書及び米国特許第8221522号明細書でも用いられている。より一般的な流量センサは、米国特許第7225683号明細書及び米国特許出願公開第20160178418号明細書に記載されている。ROシステムへの適用性は、記載されていないものの、日本特許第64054220号公報は、流量制限器を含むフローメータを記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、スパイラル型アセンブリ(38)であって、
i)内部チャンバ(39)と、供給物入口(42)と、濃縮物出口(44)と、透過物出口(46)とを含む圧力容器(40)と、
ii)第1の端部(13’)と第2の端部(13)との間で軸線(X)に沿って延びる透過物収集チューブ(8)の周りに巻き付けられ、且つ入口渦巻き面(30)と出口渦巻き面(32)とを形成する少なくとも1つの膜エンベロープ(4)を含むスパイラル型膜モジュール(2)と
を含み、
スパイラル型膜モジュール(2)は、圧力容器の内部チャンバ(39)内に位置し、入口渦巻き面(30)は、供給物入口(42)と流体連通し、出口渦巻き面(32)は、濃縮物出口(44)と流体連通し、及び透過物収集チューブ(8)は、透過物出口(46)と流体連通し、
スパイラル型アセンブリ(38)は、
iii)流量制限器(54)であって、
a)互いに密閉接触する第1のプレート(56)及び第2のプレート(58)と、
b)第1のプレート(56)と第2のプレート(58)との間に位置し、且つ濃縮物出口(44)及び透過物出口(46)の少なくとも1つと流体連通する第1の端部(64/76)と、スパイラル型アセンブリ(38)から流体を排出するように適合された第2の端部(66/78)とを含む流体チャネル(62/74)と
を含む流量制限器(54)と、
iv)第1のプレート(56)と第2のプレート(58)との間に位置し、且つ流体チャネル(62/74)に接触する少なくとも1つのセンサ要素(70/80)を含むセンサシート(68)であって、流体チャネル(62/74)を通過する流体の性質を測定するように適合されている、センサシート(68)と
を含むことによって特徴付けられる、スパイラル型アセンブリ(38)を含む。
【0006】
図面は、縮尺通りではなく、説明を容易にするための理想化された図を含む。可能な場合、同じ又は同様の特徴を示すために同じ又は同様の数字が図面及び本明細書全体にわたって使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】スパイラル型膜モジュールの部分切欠斜視図である。
【
図2】圧力容器(ハウジング)内に位置するスパイラル型膜モジュールを示すスパイラル型膜アセンブリの部分断面図である。
【
図3】対象の流量制限器の一実施形態を示す、部分的に組み立てられた(エンドキャップ(41)なしの)スパイラル型膜アセンブリの断面図である。
【
図4A-B】圧力容器を対象の流量制限器及びセンサの一実施形態と共に示す分解組立及び部分切欠斜視図である。
【
図5】変形可能なシートの圧縮によって流れが制限される前及び後の流体チャネルの断面図である。
【
図6】センサシートの一実施形態を示す拡大部分切欠斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
逆浸透(RO)及びナノ濾過(NF)は、機構の一方の側で供給物溶液に圧力が加えられる膜ベースの分離プロセスである。加えられる圧力により、「溶媒」(例えば、水)は、膜を通過する(即ち「透過物」を形成する)が、「溶質」(例えば、塩)は、膜を通過することができず、残った供給物中に濃縮される(即ち「濃縮物」溶液を形成する)。それらの溶解限度を超えて濃縮されると、保持された塩(例えば、CaCO3)が膜上にスケールを形成し始める。このようなスケールは、高回収率での住宅用ROシステムの長期運転において特に問題となる。
【0009】
本発明は、逆浸透(RO)システム及びナノ濾過(NF)システムでの使用に適したスパイラル型モジュールを含む。このようなモジュールは、透過物収集チューブの周りに巻き付けられた1つ以上のRO又はNF膜エンベロープと供給物スペーサシートとを含む。エンベロープを形成するために使用されるRO膜は、事実上全ての溶解塩に対して比較的不透過性であり、典型的には、塩化ナトリウムなどの一価イオンを有する塩の約95%超を阻止する。また、RO膜は、典型的には、約100ダルトン超の分子量を有する無機分子のみならず、有機分子の約95%超を阻止する。NF膜は、RO膜よりも透過性が高く、典型的には、一価イオンを有する塩の約95%未満を阻止し、二価イオンの種に応じて、二価イオンを有する塩の約50%超(多くの場合に90%超)を阻止する。また、NF膜は、典型的には、ナノメートル範囲の粒子のみならず、約200~500ダルトン超の分子量を有する有機分子を阻止する。これを説明するために、用語「超濾過」は、RO及びNFの両方を包含する。
【0010】
図1に、代表的なスパイラル型膜モジュールを参照番号2で全体的に示す。モジュール(2)は、1つ以上の膜エンベロープ(4)と任意選択的な供給物スペーサシート(「供給物スペーサ」)(6)とを透過物収集チューブ(8)の周りに同心円状に巻くことによって形成されている。透過物収集チューブ(8)は、反対にある第1の端部と第2の端部(13’、13)との間で軸線(X)に沿って延びる長さを有し、その長さの一部分に沿って複数の開口部(24)を含む。各膜エンベロープ(4)は、膜シートの2つの実質的に矩形の部分(10、10’)を含むことが好ましい。膜シートの各部分(10、10’)は、膜、即ち前面(34)と、支持体、即ち裏面(36)とを有する。膜エンベロープ(4)は、膜シート(10、10’)を重ね合わせ、それらの縁を位置合わせすることによって形成される。好適な実施形態では、膜シートの部分(10、10’)は、透過物スペーサシート(12)を包囲する。このサンドイッチ型構造は、3つの縁(16、18、20)に沿って例えばシーラント(14)により互いに固定されてエンベロープ(4)を形成し、第4の縁、即ち「基端側の縁」(22)は、エンベロープ(4)の内側部分(及び任意選択的な透過物スペーサ(12))が、透過物収集チューブ(8)の長さの一部分に沿って延びる開口部(24)と流体連通するように、透過物収集チューブ(8)に当接している。本明細書で使用する場合、用語「流体連通」は、流体の流れのために適応させた密閉経路を意味する。モジュール(2)は、単一のエンベロープ又は供給物スペーサシート(6)によってそれぞれ隔てられた複数の膜エンベロープ(4)を含み得る。図示される実施形態では、膜エンベロープ(4)は、隣接して配置された膜リーフパケットの裏側(36)表面を接合することによって形成されている。膜リーフパケットは、実質的に矩形の膜シート(10)を含み、実質的に矩形の膜シート(10)は、折りたたまれて2つの膜「リーフ」を画定する。各リーフの前面(34)は、互いに対向し、折り目は、膜エンベロープ(4)の基端側の縁(22)と軸方向に位置合わせされており、即ち透過物収集チューブ(8)と平行である。折りたたまれた膜シート(10)の対向する前面(34)間に配置された供給スペーサシート(6)が示される。供給物スペーサシート(6)は、モジュール(2)を通る供給物流体の流れを促進する。図示しないが、アセンブリには、追加的な中間層も含まれ得る。膜リーフパケット及びそれらの製造の代表的な例は、Haynesらに付与された米国特許第7875177号明細書に更に記載されている。
【0011】
モジュール製造中、透過物スペーサシート(12)は、それらの間に膜リーフパケットを挟んだ状態で透過物収集チューブ(8)の周囲に取り付けられ得る。隣接して配置された膜リーフ(10、10’)の裏面(36)は、透過物スペーサシート(12)を密封し、且つ膜エンベロープ(4)を形成するために、膜リーフ(10、10’)の周縁部(16、18、20)の一部で密閉されている。透過物スペーサシートを透過物収集チューブに取り付けるのに適した技術は、Solieに付与された米国特許第5538642号明細書に記載されている。膜エンベロープ(4)及び供給物スペーサ(6)は、透過物収集チューブ(8)の周りに同心円状に巻き付けられるか又は「巻かれ」、2つの反対にある渦巻き面(入口渦巻き面(30)及び出口渦巻き面(32))を形成している。得られた螺旋状の束は、テープ又は他の手段によって所定の位置に保持される。その後、Larsonらに付与された米国特許第7951295号明細書に記載されているように、モジュールの渦巻き面(30、32)は、整えられ得、任意選択的に渦巻き面(30、32)と透過物収集チューブ(8)との間の接合部にシーラントが適用され得る。McCollamに付与された米国特許第8142588号明細書に記載されているように、巻き付けられたモジュールの周囲にテープなどの不透過性層が巻き付けられ得る。別の実施形態では、多孔質テープ又はガラス繊維コーティングがモジュールの周縁部に適用され得る。
【0012】
動作時、加圧された供給物液体(水)は、入口渦巻き面(30)においてモジュール(2)に入り、モジュール内を略軸方向に流れ、矢印(26)により、出口渦巻き面(32)で濃縮物として出る。透過物は、膜(10、10’)内に延びる矢印(28)によって概ね示される透過物流路に沿って流れ、膜エンベロープ(4)内に入り、そこで開口部(24)に流れ、透過物収集チューブ(8)を通り、出口渦巻き面(32)においてチューブ(8)の第2の端部(13)を出る。透過物収集チューブ(8)の第1の端部(13’)は、そこを流体の流れが通るのを阻止するために密閉されていることが好ましい。
【0013】
スパイラル型モジュールの各種構成要素を作成するための材料は、当技術分野で周知である。膜エンベロープを密閉するのに適したシーラントとしては、ウレタン、エポキシ、シリコーン、アクリレート、ホットメルト接着剤及び紫外線硬化性接着剤が挙げられる。あまり一般的ではないが、熱、圧力、超音波溶接及びテープの適用などの他の密閉手段も使用し得る。透過物収集チューブは、典型的には、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリ(フェニレンオキシド)、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のようなプラスチック材料から作製される。トリコットポリエステル材料は、一般に、透過物スペーサとして使用される。いくつかのモジュールでは、透過物収集チューブは、複数の部分を含み、これらは、接着剤又は回転溶接などによって接合され得る。更なる透過物スペーサが米国特許第8388848号明細書に記載されている。
【0014】
膜シートは、特に限定されず、多様な材料、例えばセルロースアセテート材料、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリスルホンアミド、ポリフッ化ビニリデン等が使用され得る。好ましい膜は、1)不織支持ウェブ(例えば、Awa Paper Companyから入手可能なポリエステル繊維布などの不織布)の裏層(裏面)、2)約25~125μmの典型的な厚さを有する多孔質支持体を含む中間層、及び3)典型的には約1ミクロン未満、例えば0.01ミクロン~1ミクロンであるが、より一般には約0.01~0.1μmの厚さを有する薄膜ポリアミド層を含む最上識別層(前面)を含む3層複合体である。裏層は、特に限定されないが、好ましくは、配向され得る繊維を含む不織布又は繊維状ウェブマットを含む。代わりに、帆布などの織布を用い得る。代表的な例は、米国特許第4214994号明細書、米国特許第4795559号明細書、米国特許第5435957号明細書、米国特許第5919026号明細書、米国特許第6156680号明細書、米国特許出願公開第2008/0295951号明細書及び米国特許第7048855号明細書に記載されている。多孔質支持体は、典型的には、透過物の本質的に無制限の通過を可能にするのに十分な大きさのものではあるが、その上に形成される薄膜ポリアミド層の横架を妨げるほど十分に大きくはない細孔径を有する高分子材料である。例えば、支持体の細孔径は、好ましくは、約0.001~0.5μmの範囲である。多孔質支持体の非限定的な例としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリフッ化ビニリデンなどの様々なハロゲン化ポリマーから作製されたものが挙げられる。識別層は、微孔性ポリマー層の表面上で多官能性アミンモノマーと多官能性ハロゲン化アシルモノマーとの間の界面重縮合反応によって好ましくは形成される。
【0015】
逆浸透のための典型的な膜は、m-フェニレンジアミンとトリメソイルクロリドとの反応によって作製される、FilmTec CorporationのFT-30(商標)タイプの膜である。この及び他の界面重縮合反応は、いくつかのソース(例えば、米国特許第4277344号明細書及び米国特許第6878278号明細書)に記載されている。ポリアミド膜層は、多孔質支持体の少なくとも1つの表面上で多官能性アミンモノマーを多官能性ハロゲン化アシルモノマーと界面重合させることによって調製され得る(それぞれの用語は、単一種の使用又は複数種の使用の両方を意味するものである)。本明細書で使用する場合、用語「ポリアミド」は、アミド結合(-C(O)NH-)が分子鎖に沿って存在するポリマーを意味する。多官能性アミン及び多官能性ハロゲン化アシルモノマーは、最も一般的には、コーティング工程によって溶液から多孔質支持体に適用され、多官能性アミンモノマーは、典型的には、水系又は極性溶液からコーティングされ、多官能性ハロゲン化アシルは、有機系又は非極性溶液からコーティングされる。
【0016】
動作時、対象のスパイラル型モジュールは、圧力容器内に好ましくは収容され、供給物液体入口と、濃縮物出口と、透過物出口とを含むスパイラル型アセンブリを画定する。本発明で用いられる圧力容器は、特に限定されないが、動作条件に伴う圧力に耐え得る頑丈な構造を含むことが好ましい。容器構造体は、チャンバ内に収容されるスパイラル型モジュールの外周部に対応する内周部を有するチャンバを含むことが好ましい。圧力容器の向きは、特に限定されず、例えば水平の向き及び垂直の向きの両方を使用し得る。適用可能な圧力容器、モジュール配置及び装填の例は、米国特許第6074595号明細書、米国特許第6165303号明細書、米国特許第6299772号明細書及び米国特許出願公開第2008/0308504号明細書に記載されている。大型システムのための圧力容器の製造元としては、Minneapolis、MNに所在のPentair、Vista、CAに所在のBekaert及びBeer Sheva、Israelに所在のBel Compositeが挙げられる。より小型のシステムでは、単一の取り外し可能なエンドキャップを有する成形プラスチック容器が一般的に使用される。また、封入用硬質発泡体をスパイラル型膜モジュールの周囲に成形し、流体入口及び出口を取り付け得る。
【0017】
本発明は、住宅用途のために設計されたモジュール及びスパイラル型アセンブリ、例えば5m
2未満、好ましくは2m
2未満、より好ましくは1m
2少ない膜面積を有するものに特に適している。このようなモジュールの好ましい長さは、0.5m未満である。代表的な超濾過モジュールとしては、直径が公称1.8インチ(4.6cm)、長さが公称12インチ(30cm)であるFilmTecの1812構成(例えば、TW30-1812)が挙げられる。
図2に示される好適な実施形態では、単一のモジュール(2)が圧力容器(40)内に配置され、アセンブリは、単一の供給物入口と、濃縮物出口と、透過物出口とを含む。この実施形態は、ユーザ調整可能な速度制御部のない供給ポンプ(例えば、モジュールに25℃の少なくとも400kPaの水圧を提供する)に接続される場合に特に有利である。
【0018】
図2に、代表的なスパイラル型アセンブリが参照番号38で全体的に示され、好ましくは取り外し可能なエンドキャップ(41)と共に、内部チャンバ(39)を画定する圧力容器(40)を含む。圧力容器(40)は、内部チャンバ(39)との流体連通を提供する、供給物入口(42)と、濃縮物出口(44)と、透過物出口(46)とを更に含む。特に、供給物入口(42)は、供給物液体の加圧供給源と接続するように適合されている。濃縮物出口(44)は、再利用又は廃棄のための経路に接続するように適合されている。透過物出口(46)は、貯蔵、使用又は更なる処理のための経路に接続するように適合されている。図示される実施形態では、スパイラル型膜モジュール(2)は、入口渦巻き面(30)が供給物入口(42)と流体連通し、出口渦巻き面(32)が濃縮物出口(44)と流体連通し、透過物収集チューブ(8)の第2の端部(13)が透過物出口(42)と流体連通した状態で圧力容器内に配置されている。スパイラル型モジュール(2)は、容器(40)の内面に適合する1つ以上の周囲ブラインシール(9)を更に含み得る。組み立て中、透過物収集チューブ(8)は、透過物出口(46)に接続される。透過物出口(46)との密閉の際に完全にするために、Oリング(11)がチューブ(8)の周囲に任意選択的に配置される。透過物収集チューブ(8)の反対にある端部(13、13’)間の長さは、様々であり得、且つモジュール(2)の1つ又は両方の渦巻き面(30、32)を越えて延びても延びなくてもよい。
図2に示すように、透過物収集チューブ(8)は、カップリング延長部(33)も含み得る。本発明の目的では、カップリング延長部(33)は、透過物収集チューブ(8)の一部とみなされる。
【0019】
図3及び
図4A~
図4Bでは、本発明の一実施形態が参照番号38で全体的に示される。
図2に示される実施形態に類似しているが、
図3及び
図4A~
図4Bの実施形態は、互いに密閉接触する第1のプレート(56)と第2のプレート(58)とを含む流量制限器(54)を更に含む。プレート(56、58)は、互いに密閉される対向する平面表面を好ましくは含む。プレートは、従来の手段、例えばねじ付きボルト、締結具、ストラップ、接着剤等により共に固定され得る。図示されるような好適な実施形態では、プレートは、圧力容器(40)に固定されている。別の好適な実施形態では、プレート(56、58)の1つは、圧力容器(40)と一体形成されている。図示しない別の実施形態では、プレート(56、58)は、圧力容器内に存在し得るか、又は圧力容器の外にあり且つ圧力容器から取り外され得る。
【0020】
流量制限器(54)は、第1のプレート(56)と第2のプレート(58)との間において、即ち対向表面間の境界面に沿って位置する少なくとも1つの流体チャネル(62/74)を更に含む。流体チャネルは、従来の技術を用いて形成され得る。例えば、流路は、1つ又は両方のプレート(56、58)に彫られ得るか、穿孔され得るか、成形され得るか、又はエンボス加工され得る。流体チャネルは、濃縮物出口(44)及び透過物出口(46)の少なくとも1つと流体連通する第1の端部(64/76)と、スパイラル型アセンブリ(38)から流体を排出するように適合された第2の端部(66/78)とを有する。流体チャネルは、追加の出口又は行き止まり出口も含み得る。好適な実施形態では、アセンブリは、(a)濃縮物出口(44)と流体連通する第1の端部(64)と、スパイラル型アセンブリ(38)から流体を(例えば、ドレンに)排出するように適合された第2の端部(66)とを含む濃縮物流体チャネル(62)と、(b)透過物出口(46)と流体連通する第1の端部(76)と、スパイラル型アセンブリ(38)から流体を(例えば、タップに)排出するように適合された第2の端部(78)とを含む透過物流体チャネル(74)との両方を含む。
【0021】
流量制限器(54)は、スパイラル型モジュール(2)を出る流体、即ち濃縮物出口(44)を出る濃縮物及び透過物出口(46)を出る透過物のいずれか又は両方の圧力損失を生じさせるように適合されている。流量制限器は、濃縮物出口及び透過物出口(44、46)と比較して相対的に狭い寸法を有する流体チャネル(62/74)を用いることにより圧力損失を生じさせる。流れに対するチャネルの「抵抗」(R)は、流体チャネルを通る水流(F)に対する圧力損失(Δp)の比率、即ちR=Δp/Fと定義され得る。圧力損失と流れとの間の関係は、既知の方法(例えば、Sahar,et.al.,“Effect of hydraulic diameter and aspect ratio on single phase flow and heat transfer in a rectangular microchannel,”Applied Thermal Engineering,115(2017),793-814を参照されたい)により、異なるチャネル形状について及び異なる条件下で推定され得る。チャネルの抵抗(R)は、変化し得る。長く且つ狭いチャネルでは、抵抗は、一般に、チャネルの長さと共に直線的に増加するが、水力直径と共に非直線的に増加し、例えばある場合にはその4乗の逆数で増加する。この関係は、ダルシーワイスバッハの圧力損失(降下)式:Δp=fD(L/d)(ρV2/2)によって表すことができる。式中、
fD=ダルシー摩擦係数
L=管の長さ
D=水力直径(m)
V=流体流平均速度(m/秒)
ρ=流体密度(kg/m3)
である。
【0022】
流れに対するチャネルの抵抗は、特定の体積水流量及び温度で測定され得る。本明細書の目的において、濃縮物流体チャネル(62)の抵抗は、25℃において、且つモジュール(2)が流束25lmhの25℃の純水で動作するときの濃縮物流の流れに等しいチャネル(62)内の水流量において定義される。同様に、透過物流体チャネル(74)の抵抗は、25℃において、且つモジュール(2)が流束25lmhの流束の25℃の純水で動作するときの透過物流の流れに等しいチャネル(74)内の水流量において定義される。スパイラル型膜モジュール(2)の膜間流に対する抵抗は、モジュールが25lmhで動作しているときの、その膜間圧力損失と透過物流との比率(R=Δp/F)としても定義され得る。モジュールのこの抵抗も変化することができ、例えば、抵抗は、モジュールの有効面積及び膜の透過率の両方と略逆に増加する(スパイラル型モジュールに関して、供給物スペーサの幾何学的形状に依存する供給水の流れに対する抵抗も定義することができるが、これは、本発明の目的にでは重要性が低い)。
【0023】
加圧された水が圧力容器(40)の供給物入口(42)に適用されると、容器を出る流れは、濃縮出口(44)と透過物出口(46)との間で分割される。これら2つの流れの比率は、スパイラル型モジュール(2)の膜間流に対する抵抗、濃縮物流体チャネル(62)及び/又は透過物流体チャネル(74)の流れに対する抵抗並びにスパイラル型アセンブリ(38)内の水流に対する他の抵抗によって決定される。好適な実施形態では、濃縮物流体チャネル(62)は、濃縮物出口(44)とドレンとの間の流体流に対する抵抗の大半を提供する。アセンブリ(38)内のスパイラル型モジュール(2)が流束25lmhの25℃の純水で動作するとき、濃縮物流体チャネル(62)の両端に少なくとも3bar(約44psi)の圧力損失が生じることが好ましい。濃縮物流体チャネル(72)の抵抗は、好ましくは、スパイラル型モジュールの膜間流に対する抵抗の3倍以内である。最も好ましくは、濃縮物流体チャネル(62)の抵抗は、スパイラル型モジュール(2)の膜間流に対する抵抗を超える。いくつかの実施形態では、濃縮物流体チャネル(62)及び透過物流体チャネル(74)の両方が流量制限器(54)上に存在するとき、濃縮物流体チャネル(62)の抵抗は、透過物流体チャネル(74)の抵抗を10倍以上超える。
【0024】
流量制限器(54)は、流れに対するその抵抗を調整できるという意味で「可変」であり得る。
図4A~
図4B及び
図5に、第1のプレート(56)と第2のプレート(58)との間に位置する変形可能なシート(60)の使用を含む代表的な実施形態が示され、変形可能なシート(60)は、第1のプレート(56)及び第2のプレート(58)の圧縮下で流体チャネルに変形して、濃縮物流体チャネル(62)を通る流れに対する抵抗を選択的に増加又は減少させるように適合されている。第1のプレート及び第2のプレートの圧縮を選択的に調節し、それにより流体チャネル(62)への変形可能なシート(60)の変形の程度を調節するために、例えば調節可能なクランプ、ねじ付きボルト又は類似の手段が使用され得る。増加した圧縮下において、変形可能なシート(60)は、流体チャネルの寸法を制限することにより流れに対する抵抗を増加させ得る。
図5は、濃縮物流体チャネル(62)の少なくとも一部分へのシート(60)の変形を示す。即ち、プレート(56、58)の圧迫は、流体チャネル(62)を通る流れに対する抵抗を増加させる。代替的に又は追加的に、変形可能なシート(60)は、透過物流体チャネル(74)を通る流れに対する抵抗を変更するために使用され得る。
【0025】
アセンブリ(38)は、流体チャネルを通過する流体の性質を測定するためのセンサシート(68)を更に含む。センサシート(68)は、シート(86)の表面(72)に適用された(例えば、印刷された)又は他の手法で固定された少なくとも1つ、好ましくは2つのセンサ要素(70/80)を含む。センサ要素(70/80)は、流体チャネル(62、74)を通過する流体の圧力、温度、導電率又はイオン濃度の少なくとも1つを検出するように適合されている。好適な実施形態では、センサシート(68)の表面(72)は、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリエステルなどの可撓性プラスチック基材を含む。その上にセンサ要素(70、80)が導電性インクで印刷され得る。センサシート(68)の他の実施形態としては、フォトリソグラフィにより作製されたフレキシブルプリント回路(FCP)及びフレキシブルフォイル回路(FFC)が挙げられる。
【0026】
センサシート(68)は、第1のプレート(56)と第2のプレート(58)との間に位置し、且つ流体チャネル(62/74)に接触する、即ちチャネルのある部分内に存在する流体に接触するように適合されている。好適な実施形態では、センサシート(68)は、濃縮物流体チャネル(62)を通過する流体に接触するセンサ要素(70)を含む。別の実施形態では、センサシート(68)は、透過物流体チャネル(74)を通過する流体に接触するセンサ要素(80)を含む。更に別の実施形態では、センサシート(68)は、濃縮物流体チャネル(62)及び透過物流体チャネル(74)の両方を通過する流体の性質を測定するための上述のセンサ要素(70/80)の両方を含む。更に別の実施形態では、センサシート(68)は、濃縮物流体チャネル(62)又は透過物流体チャネル(74)のいずれかの両端の近辺に位置する相対濃度を検出するのに適した2つのセンサ要素(70/80)を含む。チャネルを通過する流体の流量は、2つの位置における導電率又は濃度の変化の差を時間依存で測定することにより決定され得る。
【0027】
センサ要素は、電力が外部電源から供給される1つ以上の追加的な電気部品、例えばコンデンサ、抵抗器及び電子経路(例えば、リード)を含み得る。代わりに、センサ要素は、内部電源(例えば、バッテリー)と、アセンブリ(38)からリモート受信機に信号を送信するための任意選択的な信号送信機(例えば、セルラー、Bluetooth、NFC及びWiFiを含む、例えばリード線又はワイヤフリー手段)とを含み得る。センサ要素は、マイクロプロセッサ及び/又はメモリストレージデバイスを更に含み得る。好適なマイクロプロセッサの例としては、Arduino及びRaspberry Piボードが挙げられる。マイクロプロセッシングユニットは、プロトコル、制御機能及びデータを保存するためのフラッシュメモリを含むことが好ましい。
【0028】
センサ要素(70、80)は、導電性インクを使用して形成され得、導電性インクは、様々な物理的形態(例えば、粒子、フレーク、ナノ粒子、ナノワイヤ、ナノチューブ)の広範な導電材料(例えば、導電性ポリマー、金属、カーボン)を含み得る。市販の導電性インクとしては、DuPontのPE410及びwww.tekra.comで販売されている様々なインクが挙げられる。導電率の測定のために、流体チャネル(62/74)に接触する隣接電極が印刷され得る。この構成は、特定のイオンのためのセンサ要素に、そのイオン又はその他に対して選択的なバリア又は吸着剤でオーバーコーティングすることにより転換され得る。異なる成分の濃度を様々な方法によって検出するための印刷電極は、米国特許第8142641B2号明細書、米国特許第8703022B2号明細書、米国特許出願公開第20150276637A1号明細書、米国特許出願公開第20160025517A1号明細書及び国際公開第2003012417A2号パンフレットに記載されている。印刷温度センサは、米国特許出願公開第20150366608A1号明細書、米国特許第7567183B2号明細書、国際公開第2017122178A1号パンフレット及び韓国特許出願公開第1669537B1号明細書に記載されている。印刷ひずみゲージは、米国特許第5861558A号明細書、米国特許出願公開第20160214881A1号明細書及び米国特許出願公開第20070240524A1号明細書に記載されている。
【0029】
圧力の測定に関して、流体の圧力は、別の領域(例えば、周囲大気、密閉キャビティ、別の流体チャネル又は同じ流体チャネルの異なる領域)に対して測定され得ることが理解されるであろう。一実施形態では、センサ要素は、差圧を測定するための簡単であり、信頼性が高く、且つ低コストの手段を提供する変形可能なバリア(例えば、ダイアフラム)を含み得る。変形可能なバリアの両端の圧力差によって電気的性質(例えば、抵抗、静電容量)の変化を生じさせることができ、この構成要素は、差圧の測定を行うために電子回路に組み込まれ得る。代わりに、バリア層の変形は、光学的に(例えば、カメラにより又はその光の偏向若しくは散乱により)又は音の変調により検出され得る。変形可能なバリアは、電磁波を変調して差圧の受動測定を可能にするアンテナも含み得る。動力を備えた差圧センサの例としては、OmegaのPX26-001DV、Dwyer 629C-02-CH-P2-E5-S1及びCole-Parmer EW-68071-52が挙げられる。別の実施形態では、伸縮可能なフィルム上の方向付けられた金属ワイヤを含むひずみゲージ(例えば、OmegaのSGD-LYシリーズ)が使用され得る。伸縮により、上流の領域と下流の領域との間の増加した圧力差がひずみゲージ抵抗の増加を生じさせる。センサの一部として組み込まれる電気回路は、変調された電気的性質を、マイクロプロセッシングユニットが解釈する信号に変換することを可能にする。代わりに、アンテナ回路の電気抵抗の変化を使用して、電波を変調し、差圧の受動(内部電源のない)測定を行い得る。更に別の実施形態では、アンテナを含むフィルムのたわみを使用して差圧を検出し得る。例えば、Drazan,JF.,et al.,Archimedean spiral pairs with no electrical connections as passive wireless implantable sensors,J.Biomedical Technology and Research,2014,1(1):page 8は、圧縮可能な媒体によって分離された2つの隣接するスパイラルアンテナから形成された圧力センサについて説明している。
【0030】
図6は、その表面(72)に適用されたセンサ要素(70)を含むセンサシート(68)の一実施形態を示す。センサシート(68)は、いくつかのセンサ構成要素を更に含む。象徴的なセンサ構成要素は、濃縮物流体チャネルの両端の差圧を測定するための圧力センサ(88)と、濃縮物流体チャネル(62)の第1の端部(64)と透過物流体チャネル(74)の第1の端部(66)との間の圧力差を測定するための圧力センサ(90)と、温度センサ(92)と、導電率センサ(94)とを含む。これらのセンサ構成要素は、様々な従来の手段(例えば、印刷、ピックアンドプレース、はんだ付け)によって表面(72)に適用され得る。
【0031】
図4Aを更に参照すると、流量制限器(54)の第1のプレート(56)内の凹みによって形成された濃縮物流体チャネル(62)及び透過物流体チャネル(74)の両方を示す一実施形態が示される。
図4Bは、センサ要素(70、80)を濃縮物流体チャネル(62)と透過物流体チャネル(74)とに流体的に接続する、第2のプレート(58)内の追加的な凹状チャネル溝(82、84、86)を示す。
図4Bの図では、チャネル溝(82)は、濃縮物流体チャネル(62)の第2の端部(66)を、濃縮物流体チャネル(62)の第1の端部(64)にも接触するセンサ要素(80)に接続し、濃縮物流体チャネル(62)の両端の圧力損失の測定を可能にする。チャネル溝(84)は、透過物流体チャネル(74)の第1の端部(66)を、濃縮物流体チャネル(62)の第1の端部(64)にも接触するセンサ要素(70)に接続し、このチャネル溝(84)は、スパイラル型モジュール(2)の端部における膜透過圧力の測定を可能にする。チャネル溝(86)は、透過物流体チャネル(74)の第2の端部(78)を、透過物流体チャネル(74)の第1の端部(76)にも接触するセンサ要素(80)に接続し、このチャネル溝(84)は、透過物流体チャネル(74)の両端の圧力損失の測定を可能にする。したがって、チャネル溝(82、84、86)は、センサ要素(70、80)を濃縮物流体チャネル(62)及び透過物流体チャネル(74)に接続する。
【0032】
本発明の多くの実施形態を説明し、いくつかの場合において特定の実施形態、選択、範囲、構成要素又は他の特徴を「好ましい」ものとして記載した。「好ましい」特徴のこうした明示は、本発明の必須の又は重要な態様として解釈されるべきでは決してない。示される範囲は、特に終点を含む。
(態様)
(態様1)
スパイラル型アセンブリ(38)であって、
i)内部チャンバ(39)と、供給物入口(42)と、濃縮物出口(44)と、透過物出口(46)とを含む圧力容器(40)と、
ii)第1の端部(13’)と第2の端部(13)との間で軸線(X)に沿って延びる透過物収集チューブ(8)の周りに巻き付けられ、且つ入口渦巻き面(30)と出口渦巻き面(32)とを形成する少なくとも1つの膜エンベロープ(4)を含むスパイラル型膜モジュール(2)と
を含み、
前記スパイラル型膜モジュール(2)は、前記圧力容器(40)の内部チャンバ(39)内に位置し、前記入口渦巻き面(30)は、前記供給物入口(42)と流体連通し、前記出口渦巻き面(32)は、前記濃縮物出口(44)と流体連通し、及び前記透過物収集チューブ(8)は、前記透過物出口(46)と流体連通し、
前記スパイラル型アセンブリ(38)は、
iii)流量制限器(54)であって、
a)互いに密閉接触する第1のプレート(56)及び第2のプレート(58)と、
b)前記第1のプレート(56)と前記第2のプレート(58)との間に位置し、且つ前記濃縮物出口(44)及び前記透過物出口(46)の少なくとも1つと流体連通する第1の端部(64/76)と、前記スパイラル型アセンブリ(38)から流体を排出するように適合された第2の端部(66/78)とを含む流体チャネル(62/74)と
を含む流量制限器(54)と、
iv)前記第1のプレート(56)と前記第2のプレート(58)との間に位置し、且つ前記流体チャネル(62/74)に接触する少なくとも1つのセンサ要素(70/80)を含むセンサシート(68)であって、前記流体チャネル(62/74)を通過する流体の性質を測定するように適合されている、センサシート(68)と
を含むことによって特徴付けられる、スパイラル型アセンブリ(38)。
(態様2)
前記流体チャネルは、濃縮物出口(44)と流体連通する第1の端部(64)と、前記スパイラル型アセンブリ(38)から流体を排出するように適合された第2の端部(66)とを含む濃縮物流体チャネル(62)を含み、前記センサシート(68)は、前記濃縮物流体チャネル(62)に接触し、且つ前記濃縮物流体チャネル(62)を通過する前記流体の圧力、温度又は導電率の少なくとも1つを測定するように適合されている、態様1に記載のスパイラル型アセンブリ(38)。
(態様3)
前記流体チャネルは、前記透過物出口(46)と流体連通する第1の端部(76)と、前記スパイラル型アセンブリ(38)から流体を排出するように適合された第2の端部(78)とを含む透過物流体チャネル(74)を含み、前記センサシート(68)は、前記透過物流体チャネル(74)に接触し、且つ前記透過物流体チャネル(74)を通過する流体の圧力、温度又は導電率の少なくとも1つを測定するように適合されている、態様1に記載のスパイラル型アセンブリ(38)。
(態様4)
i)前記流量制限器(54)は、
(a)濃縮物出口(44)と流体連通する第1の端部(64)と、前記スパイラル型アセンブリ(38)から流体を排出するように適合された第2の端部(66)とを含む濃縮物流体チャネル(62)と、
(b)前記透過物出口(46)と流体連通する第1の端部(76)と、前記スパイラル型アセンブリ(38)から流体を排出するように適合された第2の端部(78)とを含む透過物流体チャネル(74)と
を更に含み、及び
ii)前記センサシート(68)は、表面(72)上に取り付けられ、且つ前記濃縮物流体チャネル(62)に接触するセンサ要素(70)を含み、前記センサシート(68)は、前記濃縮物流体チャネル(62)を通過する流体の圧力、温度又は導電率の少なくとも1つを測定するように適合され、及びセンサ要素(80)は、前記表面(72)に適用され、且つ前記透過物流体チャネル(74)に接触し、前記センサシート(68)は、前記透過物流体チャネル(74)を通過する流体の圧力、温度又は導電率の少なくとも1つを測定するように適合されている、態様1に記載のスパイラル型アセンブリ(38)。
(態様5)
前記センサシート(68)は、信号送信機を更に含む、態様1に記載のスパイラル型アセンブリ(38)。
(態様6)
前記センサシート(68)は、マイクロプロセッサを更に含む、態様1に記載のスパイラル型アセンブリ(38)。
(態様7)
前記第1のプレート(56)と前記第2のプレート(58)との間に位置する変形可能なシート(60)を更に含み、前記濃縮物流体チャネル(62)は、流れに対する抵抗を有し、前記変形可能なシート(60)は、前記第1のプレート(56)及び前記第2のプレート(58)の圧縮下で変形して、前記濃縮物流体チャネル(62)を通る流れに対する前記抵抗を増加させるように適合されている、態様2に記載のスパイラル型アセンブリ(38)。
(態様8)
前記濃縮物流体チャネル(62)は、流れに対する抵抗を有し、前記スパイラル型モジュール(2)は、膜間流に対する抵抗を有し、前記濃縮物流体チャネル(62)の流れに対する前記抵抗は、前記スパイラル型モジュール(2)の膜間流に対する前記抵抗よりも大きい、態様2に記載のスパイラル型アセンブリ(38)。
(態様9)
前記濃縮物流体チャネル(62)の流れに対する抵抗は、前記スパイラル型モジュール(2)の膜間流に対する抵抗の3倍以内である、態様2に記載のスパイラル型アセンブリ(38)。
(態様10)
前記濃縮物流体チャネル(62)の前記抵抗は、前記透過物流体チャネル(74)の抵抗を10倍より多く超える、態様8に記載のスパイラル型アセンブリ(38)。