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特許7540946アシルチオウレア化合物とアビラテロンの併用療法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】アシルチオウレア化合物とアビラテロンの併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/47 20060101AFI20240820BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20240820BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240820BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240820BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20240820BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20240820BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
A61K31/47
A61K31/58
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P13/08
A61P19/08
A61P35/04
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020548546
(86)(22)【出願日】2019-09-18
(86)【国際出願番号】 JP2019036530
(87)【国際公開番号】W WO2020059744
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2018174221
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000207827
【氏名又は名称】大鵬薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 由布子
【審査官】今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-515628(JP,A)
【文献】FUJITA H.et al.,The novel VEGF receptor/MET-targeted kinase inhibitor TAS-115 has marked in vivo antitumor propertie,Mol.Cancer Ther.,2013年,Vol.12,p.2685-2696,特に図1
【文献】WATANABE K.et al.,The MET/vascular endothelial growth factor receptor(VEGFR)-targeted tyrosine kinase inhibitor also a,J.Biol.Chem.,2016年,Vol.291,p.20891-20899,特にp.20895
【文献】FUJITA H.et al.,High potency VEGFRs/MET/FMS triple blockade by TAS-115 concomitantly suppresses tumor progression an,PLoS One,2016年,Vol.11,e0164830,特に図2、3、表1
【文献】Annals of Oncology,2017年,Vol.28, No.supple5,p.274 796P
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/CA(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アビラテロン又はその代謝前駆体と併用投与されることを特徴とする、下記式(I):
【化1】
で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための抗腫瘍剤であって、
該代謝前駆体は、酢酸アビラテロン、ギ酸アビラテロン、プロピオン酸アビラテロン、ブタン酸アビラテロン、2-メチルプロピオン酸アビラテロン、リン酸アビラテロン、硫酸アビラテロン、メタンスルホン酸アビラテロン、グリシンアビラテロン、アラニンアビラテロン、メチルアビラテロン(3-[(3β)-3-メトキシアンドロスタ-5,16-ジエン-17-イル]ピリジン)、メトキシメチルアビラテロン、ベンジルアビラテロン、テトラヒドロピランアビラテロン、トリチルアビラテロン、エトキシカルボニルアビラテロン、プロポキシカルボニル及びメチルアミノカルボニルアビラテロンから選択される化合物であり、
式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を化合物Iのフリー体として1日1回150mg~450mgを投与する、抗腫瘍剤。
【請求項2】
薬学的に許容される塩がメタンスルホン酸塩である、請求項1に記載の抗腫瘍剤。
【請求項3】
アビラテロン又はその代謝前駆体が酢酸アビラテロンである、請求項1又は2に記載の抗腫瘍剤。
【請求項4】
ヒトに投与するための、請求項1~3に記載の抗腫瘍剤。
【請求項5】
式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を化合物Iのフリー体として1日1回200mg~400mgを投与することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗腫瘍剤。
【請求項6】
式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を化合物Iのフリー体として1日1回300mgを投与することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗腫瘍剤。
【請求項7】
式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を5日間投与し、その後2日間休薬を行うことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗腫瘍剤。
【請求項8】
下記式(I):
【化2】
で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分とするアビラテロン又はその代謝前駆体の骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための抗腫瘍効果増強剤であって、
該代謝前駆体は、酢酸アビラテロン、ギ酸アビラテロン、プロピオン酸アビラテロン、ブタン酸アビラテロン、2-メチルプロピオン酸アビラテロン、リン酸アビラテロン、硫酸アビラテロン、メタンスルホン酸アビラテロン、グリシンアビラテロン、アラニンアビラテロン、メチルアビラテロン(3-[(3β)-3-メトキシアンドロスタ-5,16-ジエン-17-イル]ピリジン)、メトキシメチルアビラテロン、ベンジルアビラテロン、テトラヒドロピランアビラテロン、トリチルアビラテロン、エトキシカルボニルアビラテロン、プロポキシカルボニル及びメチルアミノカルボニルアビラテロンから選択される化合物であり、
式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を化合物Iのフリー体として1日1回150mg~450mgを投与する、抗腫瘍効果増強剤。
【請求項9】
薬学的に許容される塩がメタンスルホン酸塩である、請求項8に記載の抗腫瘍効果増強剤。
【請求項10】
アビラテロン又はその代謝前駆体が酢酸アビラテロンである、請求項8又は9に記載の抗腫瘍効果増強剤。
【請求項11】
ヒトに投与するための、請求項8~10に記載の抗腫瘍効果増強剤。
【請求項12】
式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を化合物Iのフリー体として1日1回200mg~400mgを投与することを特徴とする、請求項8~11のいずれか1項に記載の抗腫瘍効果増強剤。
【請求項13】
式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を化合物Iのフリー体として1日1回300mgを投与することを特徴とする、請求項8~12のいずれか1項に記載の抗腫瘍効果増強剤。
【請求項14】
式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を5日間投与し、その後2日間休薬を行うことを特徴とする、請求項8~13のいずれか1項に記載の抗腫瘍効果増強剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アシルチオウレア化合物又はその薬学的に許容される塩を用いた癌併用療法に関する。
【背景技術】
【0002】
酢酸アビラテロンは、生体内で速やかにアビラテロンへ加水分解され、アンドロゲン合成酵素である17α-hydroxylase/C17,20-lyase(CYP17)活性を不可逆的かつ選択的に阻害する化合物である。アビラテロンは、特に精巣、副腎及び腫瘍組織内におけるアンドロゲン合成を阻害することにより、去勢抵抗性前立腺癌に対して抗腫瘍効果を示すこと(非特許文献1、2)、さらに内分泌療法未治療のハイリスクの予後因子を有する前立腺癌に対しても、臨床的有効性を示すことが報告され(非特許文献3)、その適応症は、去勢抵抗性前立腺癌及び内分泌療法未治療のハイリスクの予後因子を有する前立腺癌である。
【0003】
一方、本発明者等のグループにより、特定の構造を有するアシルチオウレア化合物又はその薬学的に許容される塩がc-Met阻害作用を有することが見出され(特許文献1)、肺癌による骨転移に有効であることが報告されている(非特許文献4)。さらに、様々な抗腫瘍剤との組合せによる抗腫瘍効果も報告されている(特許文献2)。また、アシルチオウレア化合物又はその薬学的に許容される塩が、骨粗鬆症(特許文献3)や線維症(特許文献4)にも効果があることが報告されている。さらに、これらのアシルチオウレア化合物又はその薬学的に許容される塩の結晶(特許文献5)、及びアシルチオウレア化合物又はその薬学的に許容される塩とヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンとを含む医薬組成物(特許文献6)が報告されている。
【0004】
さらには、最近、アシルチオウレア化合物又はその薬学的に許容される塩について、去勢抵抗性前立腺癌の患者を対象に臨床試験が行われている(非特許文献5、6)。また、同癌腫におけるc-Met阻害活性を持つカボザンチニブとアビラテロンとの併用効果も報告されている(特許文献7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2009/125597号
【文献】国際公開第2013/100014号
【文献】国際公開第2015/046484号
【文献】国際公開第2016/208744号
【文献】国際公開第2016/175305号
【文献】国際公開第2018/151177号
【文献】国際公開第2014/165779号
【非特許文献】
【0006】
【文献】N Engl J Med. 2011;364:1995-2005
【文献】N Engl J Med. 2013;368:138-48
【文献】Lancet Oncol. 2018;19:194-206
【文献】H. Fujita et al., PLoS ONE, volumne 11(10), e0164830, 2016
【文献】N. Matsubara et al., Annals of Oncology, Volume 28, Issue suppl_5, 1 September 2017
【文献】https://rctportal.niph.go.jp/s/detail/jp?trial_id=JapicCTI-163448
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、c-Met選択的阻害剤であるアシルチオウレア化合物又はその薬学的に許容される塩を用いた、優れた抗腫瘍効果を示し副作用が少ない癌併用療法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、特定の構造を有するアシルチオウレア化合物又はその薬学的に許容される塩とアビラテロン又はその誘導体を併用投与する抗腫瘍療法が、副作用を増強させることなく、優れた抗腫瘍効果及び抗腫瘍増強効果を発揮することを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、次の[1]~[16]を提供するものである。
[1]アビラテロン又はその誘導体と併用投与されることを特徴とする、下記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する抗腫瘍剤。
[2]薬学的に許容される塩がメタンスルホン酸塩である、[1]に記載の抗腫瘍剤。
[3]アビラテロン又はその誘導体が酢酸アビラテロンである、[1]又は[2]に記載の抗腫瘍剤。
[4]ヒトに投与される、[1]~[3]に記載の抗腫瘍剤。
[5]去勢抵抗性前立腺癌を治療するための、[1]~[4]のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
[6]骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための、[1]~[5]のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
[7]式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を化合物Iのフリー体として1日1回200mg~400mgを投与することを特徴とする、[1]~[6]のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
[8]式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を化合物Iのフリー体として1日1回300mgを投与することを特徴とする、[1]~[6]のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
[9]式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を5日間投与し、その後2日間休薬を行うことを特徴とする、[1]~[8]のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
[10]下記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分とするアビラテロン又はその誘導体の抗腫瘍効果増強剤。
[11]下記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩とアビラテロン又はその誘導体を患者に治療有効量投与することを含む腫瘍の治療方法。
[12]腫瘍の治療においてアビラテロン又はその誘導体と組み合わせて使用するための、下記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
[13]アビラテロン又はその誘導体と併用投与される抗腫瘍剤を製造するための、下記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
[14]下記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を患者に治療有効量投与することを含むアビラテロン又はその誘導体の抗腫瘍効果増強方法。
[15]アビラテロン又はその誘導体の抗腫瘍効果を増強するための、下記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
[16]アビラテロン又はその誘導体の抗腫瘍効果を増強する抗腫瘍効果増強剤を製造するための、下記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【0010】
【化1】
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】アビラテロンとの併用における化合物Iの各用量群におけるBest ResponseにおけるBSI値の変化。縦軸は、各用量群の投与開始前検査における骨転移を基準に、化合物Iを投与した期間中及び投与中止後3ヶ月以内に測定したBSIのうち、最も効果が発揮された際のBSIを示す。
図2】アビラテロンとの併用における化合物Iの各用量群における投与期間。横軸は、全例(n=24)に対して,投与期間日数を示す。
図3】アビラテロンとの併用における化合物Iの各用量群における投与期間。横軸は、全例(n=24)に対して,投与期間日数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において用いられるアシルチオウレア化合物は、下記式(I):
【0013】
【化2】
【0014】
で示される、4-(2-フルオロ-4-(3-(2-フェニルアセチル)チオウレイド)フェノキシ)-7-メトキシ-N-メチルキノリン-6-カルボキサミド(以下、本明細書において化合物Iと表記する)であり、c-Met阻害剤として公知の化合物である。
【0015】
化合物Iは、国際公開第2009/125597号及び国際公開第2016/175305号に記載されたアシルチオウレア化合物の1種であり、これらに記載の方法に準じて合成することができる。
【0016】
化合物Iは、白色固体として得られ、結晶として存在し得る。化合物Iはフリー体としても、また、薬学的に許容される塩としても投与することができる。
【0017】
化合物Iの薬学的に許容される塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、マンデル酸、フマル酸、アスパラギン酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、馬尿酸、グルタル酸、アジピン酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸(メシル酸)、p-トルエンスルホン酸(p-トシル酸)、グルタミン酸等の有機酸との塩、及びアルカリ金属、アルカリ土類金属、その他の塩基との塩、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、メチルアンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
このうち、好適に使用される塩として、メタンスルホン酸塩を挙げることができ、当該メタンスルホン酸塩としてより好適には、メタンスルホン酸と化合物Iのモル比が1:1の塩が挙げられる。斯かるメタンスルホン酸塩は、単一の結晶、2以上の結晶多形の混合物、非晶質、又はこれらの混合物のいずれかの形態で存在し得る。
【0018】
また、アビラテロンは、その化学名は、17-(ピリジン-3-イル)アンドロスタ-5,16-ジエン-3β-オールであり、以下の構造を有する。
【0019】
【化3】
【0020】
アビラテロンは、CYP17A1阻害活性を有し、その代謝前駆体である、下記式で示される酢酸エステル(酢酸 17-(ピリジン-3-イル)アンドロスタ-5,16-ジエン-3β-イル:酢酸アビラテロン)が、前立腺癌治療薬として販売されている(商品名:ザイティガ)。
【0021】
【化4】
【0022】
本発明において、化合物I又はその薬学的に許容される塩と併用投与され得るアビラテロン又はその誘導体としては、アビラテロンの他、アビラテロン誘導体としてアビラテロンの代謝前駆体である、酢酸アビラテロン、ギ酸アビラテロン、プロピオン酸アビラテロン、ブタン酸アビラテロン、2-メチルプロピオン酸アビラテロン、リン酸アビラテロン、硫酸アビラテロン、メタンスルホン酸アビラテロン、グリシンアビラテロン、アラニンアビラテロンなどの、各種酸のエステル、メチルアビラテロン(3-[(3β)-3-メトキシアンドロスタ-5,16-ジエン-17-イル]ピリジン)、メトキシメチルアビラテロン、ベンジルアビラテロン、テトラヒドロピランアビラテロン、トリチルアビラテロンなどの各種アルキルエーテル、エトキシカルボニルアビラテロン、プロポキシカルボニルなどの各種カーボネート、メチルアミノカルボニルアビラテロンなどの各種カーバメートが挙げられる。好ましくは、酢酸アビラテロンである。
【0023】
後述する実施例で示すとおり、化合物Iのメタンスルホン酸塩は、酢酸アビラテロンと併用して、去勢抵抗性前立腺癌患者に投与することにより、重大な副作用を起こすことなく、優れた骨転移の抑制効果を発揮する。
したがって、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、アビラテロン又はその誘導体と併用して投与される場合において、優れた抗腫瘍効果、好ましくは腫瘍の再発や転移の抑制効果を発揮する抗腫瘍剤、より好ましくは骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を予防又は治療するための抗腫瘍剤として使用でき、あるいは去勢抵抗性前立腺癌の骨転移抑制剤として使用できる。
また、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、アビラテロン又はその誘導体の抗腫瘍効果、特に骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌に対する抗腫瘍効果を増強する抗腫瘍効果増強剤として使用できる。さらに、アビラテロン又はその誘導体は、化合物I又はその薬学的に許容される塩の抗腫瘍効果、特に骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌に対する抗腫瘍効果を増強する抗腫瘍効果増強剤として使用できる。
【0024】
本発明の抗腫瘍剤又は抗腫瘍効果増強剤において、治療及び抗腫瘍効果増強の対象となる悪性腫瘍は、例えば、上皮癌(呼吸器系癌、消化器系癌、生殖器系癌、分泌系癌等)、肉腫、造血細胞系腫瘍(B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、末梢性T細胞性リンパ腫、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病等)、中枢神経系腫瘍、末梢神経系腫瘍、多発性骨髄腫等が挙げられる。対象となる癌種は、上皮癌が好ましく、生殖器系癌がより好ましい。
また、腫瘍の発生臓器の種類も特に制限されず、例えば、腫瘍としては耳下腺癌等の頭頚部癌、食道癌、胃癌、十二指腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢・胆管癌、胆道癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、卵管癌、子宮頸癌、子宮体癌、腎癌、副腎癌、膀胱癌、前立腺癌、尿路上皮癌、精巣腫瘍、骨・軟部肉腫、血液癌、多発性骨髄腫、皮膚癌、脳腫瘍、及び中皮腫が挙げられる。好ましくは治療対象となる腫瘍は前立腺癌であり、より好ましくは、去勢抵抗性前立腺癌である。
【0025】
本発明の抗腫瘍剤における、抗腫瘍作用には、腫瘍増殖の阻害、腫瘍増殖遅延、腫瘍の退行、腫瘍の収縮の他、腫瘍の再発や転移の抑制が包含される。
癌の転移は、その原発巣や癌の特徴によって転移する部位が異なるが、本発明においては原発巣の癌としては、上記の癌のうち前立腺癌が挙げられ、より好ましくは去勢抵抗性前立腺癌である。また、この場合、原発巣から癌が転移する部位は主として骨であり、本願発明の抗腫瘍剤は、去勢抵抗性前立腺癌の骨転移の抑制に特に有用である。去勢抵抗性前立腺癌の治療において、去勢により原発巣となっている前立腺癌そのものを除去する、又は薬剤により去勢状態を維持することがある。この場合、転移した部位における抗腫瘍効果をもって、去勢抵抗性前立腺癌の抗腫瘍効果を評価する。
従って、本発明は、アビラテロン誘導体を併用することを特徴とする化合物I又は薬学的に許容される塩の腫瘍の転移抑制剤と言うことができ、好ましくは腫瘍の骨転移抑制剤であり、より好ましくは前立腺癌の骨転移抑制剤であり、より好ましくは去勢抵抗性前立腺癌の骨転移抑制剤である。
また、本発明における抗腫瘍効果増強剤は、一方の薬剤が抗腫瘍効果を持つ場合には、他方の薬剤の抗腫瘍作用を増強する。
本発明における式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩とアビラテロン又はその誘導体とが併用投与される場合、さらに他の抗腫瘍剤が投与されてもよい。当該他の抗腫瘍剤は、抗腫瘍作用を持つものであれば特に制限はない。
【0026】
化合物I又はその薬学的に許容される塩は、これらを有効成分とし、さらに薬学的担体を適宜配合した製剤(医薬組成物)として提供される。ここで用いられる薬学的担体としては、製剤素材として慣用の各種有機或いは無機担体物質が用いられる。例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤が固形製剤において配合できる。また、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤が液状製剤において配合できる。必要に応じて防腐剤、抗酸化剤、甘味剤、安定化剤等の製剤添加物を用いることができる。
【0027】
経口用固形製剤を調製する場合は、最初に化合物I又はその薬学的に許容される塩に賦形剤、必要に応じて別の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味・矯臭剤等を加える。その後、通常の方法で錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。注射剤を調製する場合は、最初に当該化合物にpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加する。その後、常法により皮下、筋肉内及び静脈内用注射剤を製造することができる。化合物I又はその薬学的に許容される塩は、経口吸収性に優れることから、経口投与されるのが好ましい。
【0028】
本発明において、化合物I又はその薬学的に許容される塩と併用投与されるアビラテロン又はその誘導体は、各薬剤の種類に依存し、静脈内投与、腹腔内投与、坐剤による投与、経口投与などが挙げられるが、好ましくは経口投与である。
また、アビラテロン又はその誘導体、及び化合物I又はその薬学的に許容される塩は、それぞれ別個の製剤としても、又は配合剤としても提供することができる。さらに、アビラテロン又はその誘導体、及び化合物I又はその薬学的に許容される塩は、これらを単独で含む別々の製剤とするキット製剤としても提供することができる。
【0029】
本発明において、化合物I又はその薬学的に許容される塩の1回あたりの投与量は、特に限定されず、癌腫や副作用等により適宜設定することができる。当該1回あたりの投与量は、化合物Iのフリー体として、25mg以上が挙げられるが、好ましくは50~1000mgであり、より好ましくは150~450mgであり、さらに好ましくは200~400mgであり、よりさらに好ましくは250~350mgであり、特に好ましくは300mgである。
【0030】
また、別の実施形態において、化合物I又はその薬学的に許容される塩の1回あたりの投与量は、化合物Iのフリー体として、100mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、及び700mgからなる群より選択される1の投与量である。好ましくは、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、及び500mgからなる群より選択される1の投与量である。より好ましくは、200mg、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量である。
【0031】
また、本発明において、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、化合物I又はその薬学的に許容される塩が単独で投与される際の1回あたりの推奨用量(RD)の0.1~1.0倍用量で使用されるが、好ましくは、0.3~0.7倍量であり、より好ましくは、0.4~0.7倍量であり、より好ましくは0.4~0.5倍量で使用される。
【0032】
本発明において、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、1日に1回投与することができる。
また、本発明において、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、毎日投与しても、癌腫や副作用等により適宜休薬期間を設けてもよい。好ましくは、化合物I又はその薬学的に許容される塩を5日間投与して、2日間休薬する。
【0033】
本発明において、アビラテロン又はその誘導体の1回あたりの投与量は、特に限定されず、癌腫や副作用等により適宜設定することができる。当該1回あたりの投与量は、200mg以上が挙げられるが、好ましくは400~1600mgであり、より好ましくは、700~1300mgであり、特に好ましくは、900mg~1100mgである。
また、アビラテロン又はその誘導体が、酢酸アビラテロンの場合、上記と同様の1回あたりの投与量が設定される。また、別の実施形態として、酢酸アビラテロンの1回あたりの投与量は、250mg、500mg、750mg、1000mg、1250mg、及び1500mgからなる群より選択される1の投与量が挙げられるが、好ましくは、250mg、500mg、750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量であり、より好ましくは500mg、750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量であり、より好ましくは750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量であり、特に好ましくは1000mgである。
【0034】
本発明において、アビラテロン又はその誘導体は、1日に1回又は2回以上投与することができる。当該1日あたりの投与回数は、1~3回が挙げられるが、好ましくは1回である。
また、本発明において、アビラテロン又はその誘導体は、毎日投与しても、癌腫や副作用等により適宜休薬期間を設けてもよい。好ましくは、アビラテロン又はその誘導体を毎日投与する。
【0035】
化合物I又はその薬学的に許容される塩の1日あたりの投与モル比は、アビラテロン又はその誘導体1モルに対して、化合物Iのフリー体として0.1~1.0モルが挙げられる。0.15~0.30モルが好ましく、0.20~0.25モルがより好ましく、0.23モルがより好ましい。
【0036】
尚、本発明において、アビラテロン又はその誘導体、及び化合物I又はその薬学的に許容される塩の投与量、並びにこれらの薬剤間の比率等について言及された数値は、記載された数値に対して±20%、あるいは±10%の変動を有する範囲内の値を含み得ることが意図される。当業者であれば、そのような範囲内の投与量又は比率であれば、記載された投与量又は比率と類似の効果をもたらし得ることを認識するであろう。
【0037】
化合物I又はその薬学的に許容される塩を投与できる動物種としては哺乳類が挙げられ、好ましくは治療対象の哺乳類に加えて、薬物動態もしくは薬効試験等の動物実験で一般的に用いられる哺乳類、また臨床試験で投与されるヒトであり、具体的にはヒト、ラット、マウス、ウサギ、イヌが挙げられ、好ましくはヒトである。
【0038】
本発明において、化合物I又はその薬学的に許容される塩及びアビラテロン又はその誘導体の投与開始前における癌の治療前歴の有無に拘わらず、抗腫瘍効果、腫瘍の転移の治療又は予防をすることができる。当該治療前歴は、標準治療として確立されたものであっても、個別の症状に応じたものであってもよい。標準治療については、上記の癌によって体系が異なっていることが知られている。
【0039】
前立腺癌の場合の標準薬物治療は、内分泌療法(ホルモン療法)であり、前立腺癌罹患後に初めて受ける内分泌療法は一次内分泌療法と呼ばれる。そして、一次内分泌療法後に前立腺特異抗原(PSA :prostate-specific antigen)の再燃、転移巣の増悪、新規病変の出現のいずれかが確認されると,去勢抵抗性前立腺癌と診断される。このときの標準治療は、ドセタキセル、酢酸アビラテロン、エンザルタミド(商品名:イクスタンジ)、カバジタキセル(商品名:ジェブタナ)、ラジウム-223(商品名:ゾーフィゴ)等の投与である。本発明は、エンザルタミド、ラジウム-223による治療の有無を問わず、ドセタキセル治療前及び治療後の去勢抵抗性前立腺癌に適応することもできる。
【0040】
以上のとおり、本発明は、アビラテロン又はその誘導体と併用投与されることを特徴とする、化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む抗腫瘍剤であり、好ましくは、酢酸アビラテロンと併用されることを特徴とする、化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む抗腫瘍剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、酢酸アビラテロンと併用されることを特徴とする、化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む抗腫瘍剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、酢酸アビラテロンと併用されることを特徴とする、化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む、去勢抵抗性前立腺癌を治療するための抗腫瘍剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1回あたりの投与量が250mg~1000mgの酢酸アビラテロンと併用されることを特徴とする、化合物Iのフリー体として1回あたりの投与量が200mg~400mgの化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む、去勢抵抗性前立腺癌を治療するための抗腫瘍剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1回あたりの投与量が250mg~1000mgの酢酸アビラテロンと併用されることを特徴とする、化合物Iのフリー体として1回あたりの投与量が200mg~400mgの化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための抗腫瘍剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1日1回250mg~1000mgの酢酸アビラテロンと併用されることを特徴とする、化合物Iのフリー体として1日1回200mg~400mgを投与する化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための抗腫瘍剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1日1回250mg、500mg、750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量を投与する酢酸アビラテロンと併用されることを特徴とする、化合物Iのフリー体として1日1回200mg、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量を投与する化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための抗腫瘍剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1日1回500mg、750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量を投与する酢酸アビラテロンと併用されることを特徴とする、化合物Iのフリー体として1日1回200mg、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量を投与する化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための抗腫瘍剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1日1回750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量を投与する酢酸アビラテロンと併用されることを特徴とする、化合物Iのフリー体として1日1回200mg、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量を投与する化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための抗腫瘍剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1日1回1000mgを投与する酢酸アビラテロンと併用されることを特徴とする、化合物Iのフリー体として1日1回200mg、及び300mgからなる群より選択される1の投与量を投与する化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための抗腫瘍剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1日1回1000mgの酢酸アビラテロンと併用されることを特徴とする、化合物Iのフリー体として1日1回300mgを投与する化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための抗腫瘍剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1日1回1000mgの酢酸アビラテロンと併用されることを特徴とする、化合物Iのフリー体として1日1回300mgを3日~5日間投与し、その後1~3日間休薬を行う、化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための抗腫瘍剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1日1回1000mgの酢酸アビラテロンと併用されることを特徴とする、化合物Iのフリー体として1日1回300mgを5日間投与し、その後2日間休薬を行う、化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための抗腫瘍剤である。
【0041】
また、本発明は、化合物I又はその薬学的に許容される塩を有効成分とするアビラテロン又はその誘導体の抗腫瘍効果増強剤である。
より好ましくは、化合物I又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする酢酸アビラテロンの抗腫瘍効果増強剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、化合物I又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする酢酸アビラテロンの抗腫瘍効果増強剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、化合物I又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、去勢抵抗性前立腺癌を治療するための酢酸アビラテロンの抗腫瘍効果増強剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、化合物Iのフリー体として1回あたりの投与量が200mg~400mgの化合物I又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、去勢抵抗性前立腺癌を治療するための、1回あたりの投与量が250mg~1000mgの酢酸アビラテロンの抗腫瘍効果増強剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、化合物Iのフリー体として1回あたりの投与量が200mg~400mgの化合物I又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための、1回あたりの投与量が250mg~1000mgの酢酸アビラテロンの抗腫瘍効果増強剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、化合物Iのフリー体として1日1回200mg~400mgの化合物I又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための、1日1回250mg~1000mgの酢酸アビラテロンの抗腫瘍効果増強剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、化合物Iのフリー体として1日1回200、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量を投与する化合物I又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための、1日1回250mg、500mg、750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量を投与する酢酸アビラテロンの抗腫瘍効果増強剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、化合物Iのフリー体として1日1回200、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量を投与する化合物I又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための、1日1回750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量を投与する酢酸アビラテロンの抗腫瘍効果増強剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、化合物Iのフリー体として1日1回200、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量を投与する化合物I又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための、1日1回500mg、750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量を投与する酢酸アビラテロンの抗腫瘍効果増強剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、化合物Iのフリー体として1日1回200、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量を投与する化合物I又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための、1日1回750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量を投与する酢酸アビラテロンの抗腫瘍効果増強剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、化合物Iのフリー体として1日1回200、及び300mgからなる群より選択される1の投与量を投与する化合物I又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための、1日1回750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量を投与する酢酸アビラテロンの抗腫瘍効果増強剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、化合物Iのフリー体として1日1回200、及び300mgからなる群より選択される1の投与量を投与する化合物I又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための、1日1回1000mgを投与する酢酸アビラテロンの抗腫瘍効果増強剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、化合物Iのフリー体として1日1回300mgを投与する化合物I又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための、1日1回1000mgを投与する酢酸アビラテロンの抗腫瘍効果増強剤である。
より好ましくは、ヒトに投与され、化合物Iのフリー体として1日1回300mgを5日間投与し、その後2日間休薬を行う、化合物I又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌を治療するための、1日1回1000mgを投与する酢酸アビラテロンの抗腫瘍効果増強剤である。
【0042】
また、本発明は、化合物I又はその薬学的に許容される塩とアビラテロン又はその誘導体を患者に治療有効量投与することを含む腫瘍の治療方法である。
より好ましくは、化合物I又はその薬学的に許容される塩と酢酸アビラテロンを患者に治療有効量投与することを含むヒトの腫瘍の治療方法である。
より好ましくは、化合物I又はその薬学的に許容される塩と酢酸アビラテロンを患者に治療有効量投与することを含むヒトの去勢抵抗性前立腺癌の治療方法である。
より好ましくは、化合物Iのフリー体として1回あたりの投与量が200mg~400mgの化合物I又はその薬学的に許容される塩と、1回あたりの投与量が250mg~1000mgの酢酸アビラテロンを患者に治療有効量投与することを含むヒトの去勢抵抗性前立腺癌の治療方法である。
より好ましくは、化合物Iのフリー体として1回あたりの投与量が200mg~400mgの化合物I又はその薬学的に許容される塩と、1回あたりの投与量が250mg~1000mgの酢酸アビラテロンを患者に治療有効量投与することを含むヒトの骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療方法である。
より好ましくは、化合物Iのフリー体として1日1回200mg~400mgの化合物I又はその薬学的に許容される塩と、1日1回250mg~1000mgの酢酸アビラテロンを患者に治療有効量投与することを含むヒトの骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療方法である。
より好ましくは、化合物Iのフリー体として1日1回200mg、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量の化合物I又はその薬学的に許容される塩と、1日1回250mg、500mg、750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量の酢酸アビラテロンを患者に治療有効量投与することを含むヒトの骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療方法である。
より好ましくは、化合物Iのフリー体として1日1回200mg、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量の化合物I又はその薬学的に許容される塩と、1日1回250mg、500mg、750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量の酢酸アビラテロンを患者に治療有効量投与することを含むヒトの骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療方法である。
より好ましくは、化合物Iのフリー体として1日1回200mg、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量の化合物I又はその薬学的に許容される塩と、1日1回500mg、750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量の酢酸アビラテロンを患者に治療有効量投与することを含むヒトの骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療方法である。
より好ましくは、化合物Iのフリー体として1日1回200mg、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量の化合物I又はその薬学的に許容される塩と、1日1回750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量の酢酸アビラテロンを患者に治療有効量投与することを含むヒトの骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療方法である。
より好ましくは、化合物Iのフリー体として1日1回200mg、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量の化合物I又はその薬学的に許容される塩と、1日1回1000mgの酢酸アビラテロンを患者に治療有効量投与することを含むヒトの骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療方法である。
より好ましくは、化合物Iのフリー体として1日1回200mg、及び300mgからなる群より選択される1の投与量の化合物I又はその薬学的に許容される塩と、1日1回1000mgの酢酸アビラテロンを患者に治療有効量投与することを含むヒトの骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療方法である。
より好ましくは、化合物Iのフリー体として1日1回300mgの化合物I又はその薬学的に許容される塩を3日~5日間投与し、その後1~3日間休薬を行い、1日1回1000mgの酢酸アビラテロンを患者に治療有効量投与することを含むヒトの骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療方法である。
より好ましくは、化合物Iのフリー体として1日1回300mgの化合物I又はその薬学的に許容される塩を5日間投与し、その後2日間休薬を行い、1日1回1000mgの酢酸アビラテロンを患者に治療有効量投与することを含むヒトの骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療方法である。
【0043】
また、本発明は、腫瘍の治療においてアビラテロン又はその誘導体と組み合わせて使用するための、化合物I又はその薬学的に許容される塩である。
より好ましくは、腫瘍の治療において酢酸アビラテロンと組み合わせて使用するための、化合物I又はその薬学的に許容される塩である。
より好ましくは、ヒトに投与され、腫瘍の治療において酢酸アビラテロンと組み合わせて使用するための、化合物I又はその薬学的に許容される塩である。
より好ましくは、ヒトに投与され、去勢抵抗性前立腺癌の治療において酢酸アビラテロンと組み合わせて使用するための、化合物I又はその薬学的に許容される塩である。
より好ましくは、ヒトに投与され、去勢抵抗性前立腺癌の治療において1回あたりの投与量が250mg~1000mgの酢酸アビラテロンと組み合わせて使用するための、化合物Iのフリー体として1回あたりの投与量が200mg~400mgである、化合物I又はその薬学的に許容される塩である。
より好ましくは、ヒトに投与され、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療において1回あたりの投与量が250mg~1000mgの酢酸アビラテロンと組み合わせて使用するための、化合物Iのフリー体として1回あたりの投与量が200mg~400mgである、化合物I又はその薬学的に許容される塩である。
より好ましくは、ヒトに投与され、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療において1日1回250mg~1000mgの投与量を投与する酢酸アビラテロンと組み合わせて使用するための、化合物Iのフリー体として1日1回200mg~400mgを投与する、化合物I又はその薬学的に許容される塩である。
より好ましくは、ヒトに投与され、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療において1日1回250mg、500mg、750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量を投与する酢酸アビラテロンと組み合わせて使用するための、化合物Iのフリー体として1日1回200、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量を投与する、化合物I又はその薬学的に許容される塩である。
より好ましくは、ヒトに投与され、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療において1日1回500mg、750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量を投与する酢酸アビラテロンと組み合わせて使用するための、化合物Iのフリー体として1日1回200、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量を投与する、化合物I又はその薬学的に許容される塩である。
より好ましくは、ヒトに投与され、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療において1日1回750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量を投与する酢酸アビラテロンと組み合わせて使用するための、化合物Iのフリー体として1日1回200、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量を投与する、化合物I又はその薬学的に許容される塩である。
より好ましくは、ヒトに投与され、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療において1日1回750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量を投与する酢酸アビラテロンと組み合わせて使用するための、化合物Iのフリー体として1日1回200、及び300mgからなる群より選択される1の投与量を投与する、化合物I又はその薬学的に許容される塩である。
より好ましくは、ヒトに投与され、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療において1日1回1000mgを投与する酢酸アビラテロンと組み合わせて使用するための、化合物Iのフリー体として1日1回200、及び300mgからなる群より選択される1の投与量を投与する、化合物I又はその薬学的に許容される塩である。
より好ましくは、ヒトに投与され、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療において1日1回1000mgを投与する酢酸アビラテロンと組み合わせて使用するための、化合物Iのフリー体として1日1回300mgを投与する、化合物I又はその薬学的に許容される塩である。
より好ましくは、ヒトに投与され、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌の治療において1日1回1000mgを投与する酢酸アビラテロンと組み合わせて使用するための、化合物Iのフリー体として1日1回300mgを5日間投与し、その後2日間休薬を行う、化合物I又はその薬学的に許容される塩である。
【0044】
また、本発明は、アビラテロン又はその誘導体と併用投与される抗腫瘍剤を製造するための、化合物I又はその薬学的に許容される塩の使用である。
より好ましくは、酢酸アビラテロンと併用投与される抗腫瘍剤を製造するための、化合物I又はその薬学的に許容される塩の使用である。
より好ましくは、ヒトに投与され、酢酸アビラテロンと併用投与される抗腫瘍剤を製造するための、化合物I又はその薬学的に許容される塩の使用である。
より好ましくは、ヒトに投与され、酢酸アビラテロンと併用投与される去勢抵抗性前立腺癌治療剤を製造するための、化合物I又はその薬学的に許容される塩の使用である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1回あたりの投与量が250mg~1000mgの酢酸アビラテロンと併用投与される去勢抵抗性前立腺癌治療剤を製造するための、化合物Iのフリー体として1回あたりの投与量が200mg~400mgである、化合物I又はその薬学的に許容される塩の使用である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1回あたりの投与量が250mg~1000mgの酢酸アビラテロンと併用投与される骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌治療剤を製造するための、化合物Iのフリー体として1回あたりの投与量が200mg~400mgである、化合物I又はその薬学的に許容される塩の使用である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1日1回250mg~1000mgの投与量の酢酸アビラテロンと併用投与される骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌治療剤を製造するための、化合物Iのフリー体として1日1回200mg~400mgの投与量である、化合物I又はその薬学的に許容される塩の使用である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1日1回250mg、500mg、750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量を投与する酢酸アビラテロンと併用投与される骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌治療剤を製造するための、化合物Iのフリー体として1日1回200、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量を投与する、化合物I又はその薬学的に許容される塩の使用である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1日1回500mg、750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量を投与する酢酸アビラテロンと併用投与される骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌治療剤を製造するための、化合物Iのフリー体として1日1回200、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量を投与する、化合物I又はその薬学的に許容される塩の使用である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1日1回750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量を投与する酢酸アビラテロンと併用投与される骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌治療剤を製造するための、化合物Iのフリー体として1日1回200、300mg、及び400mgからなる群より選択される1の投与量を投与する、化合物I又はその薬学的に許容される塩の使用である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1日1回750mg、及び1000mgからなる群より選択される1の投与量を投与する酢酸アビラテロンと併用投与される骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌治療剤を製造するための、化合物Iのフリー体として1日1回200、及び300mgからなる群より選択される1の投与量を投与する、化合物I又はその薬学的に許容される塩の使用である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1日1回1000mgを投与する酢酸アビラテロンと併用投与される骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌治療剤を製造するための、化合物Iのフリー体として1日1回200、及び300mgからなる群より選択される1の投与量を投与する、化合物I又はその薬学的に許容される塩の使用である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1日1回1000mgを投与する酢酸アビラテロンと併用投与される骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌治療剤を製造するための、化合物Iのフリー体として1日1回300mgを投与する、化合物I又はその薬学的に許容される塩の使用である。
より好ましくは、ヒトに投与され、1日1回1000mgを投与する酢酸アビラテロンと併用投与される骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌治療剤を製造するための、化合物Iのフリー体として1日1回300mgを5日間投与し、その後2日間休薬を行う、化合物I又はその薬学的に許容される塩の使用である。
【実施例
【0045】
以下に実施例及び参考例を示し、本発明の化合物I又はその薬学的に許容される塩とアビラテロン又はその誘導体との併用投与についてより詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
【0046】
<参考例1 化合物Iのメタンスルホン酸塩の調製>
特許文献1に記載の方法によって得られた化合物Iを、特許文献5に記載の方法により化合物Iのメタンスルホン酸塩を得た。なお、製剤化については、特許文献6に記載の方法に準じて製造することができる。
【0047】
<参考例2 酢酸アビラテロンの調製>
市販又は文献公知の情報により、酢酸アビラテロンを得た。
【0048】
<実施例 化合物Iのメタンスルホン酸塩と酢酸アビラテロンの併用投与試験>
骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺癌患者を対象に化合物Iのメタンスルホン酸塩、及び酢酸アビラテロンを投与し、有効性及び副作用を評価した。ドセタキセル治療前の2次内分泌療法を受けている患者を対象に、1日1回化合物Iのメタンスルホン酸塩をフリー体換算で3用量(200,300,400 mg/body/day)を5日間投与し、2日間化合物Iのみを投与しないスケジュールを繰り返すよう投与した。なお、この期間は、いずれの用量群においても1日1回酢酸アビラテロン1000mgを毎日投与し、各用量群は6名で検討した。なお、各用量群の化合物Iの投与開始から21日目において化合物Iによる「対症療法により軽快又は回復が認められない継続するグレード2以上の副作用、又はグレード3以上の副作用(臨床検査値異常は除く)」を2名以上に認めた場合は、Steering Committeeにおいて当該用量群あるいはその用量を超える群での登録・評価の中止等を検討することとした。なお、この登録・評価の中止等の判断となる副作用には、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)増加、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)増加、血中クレアチンキナーゼ(CK)増加などの臨床検査値異常は含まれていない。また,各用量群の評価完了後、Steering Committeeにおいて副作用及び有効性評価のための症例追加の可否を判断し、忍容性が確認された用量で本コホート全体の評価例数が24名を超えない範囲で症例追加を可能とした。そのため、各用量群の評価症例数は6例と少数であることから、有効性及び、副作用、投与継続性の観点から、300mg/body/dayで6例の追加評価を行った。
【0049】
有効性については、骨転移を検出するために使用される骨シンチグラフィーを実施し、BONE NAVIによる解析データを用いたBone Scan Index(BSI)、及びResponse Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST)ガイドラインVersion 1.1又はProstate Cancer Clinical Trials Working Group 3(PCWG3)の基準に基づき評価した。BSIは骨転移の広がりを評価する指標で、全身の骨量に占める腫瘍と思われる高集積部位(Artificial Neural Networks(ANN値)が0.5を超えるもの)の割合を算出している。なお、ANN値は転移の確信度を0から1で示し、0.5を超えるものは骨転移の可能性があると評価される。また、図1には、各用量群の投与開始日における骨転移を基準に、化合物Iを投与した期間中に測定したBSIで最もよかった値をBest responseとして記載した。即ち、図1中、0%は、化合物1を投与した期間中にBSIの値が変化しなかったことを示し、100%は、その期間中にANN値が0.5を超える高集積部位が増加しBSIの値が2倍になったことを示す。一方、-100%は、その期間中にANN値が0.5を超える高集積部位が消失してBSIの値が0になったことを示す。
【0050】
この結果、200mgでは、6例中2例で骨転移の抑制が見られた。また、300mgでは、12例中10例で骨転移の抑制が見られ、そのうち3例は、BSIの値が0になった。400mgでは、6例中1例で骨転移の測定が実施できなかったが、残りの5例中5例で骨転移の抑制が見られた。
【0051】
副作用の重症度のグレード判定は、Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)Ver.4.03を用いて評価した。いずれの群においても、「対症療法により軽快又は回復が認められない継続するグレード3以上の副作用」は、2名以上に認められなかった。
さらに、図2に各用量群の化合物Iとアビラテロンを投与できた日数を示した。即ち、投与日数が長いほど、抗腫瘍効果が期待できる上、より安全に投与できる用量であることを示す。また、「継続中」の記載は、本願の明細書等の作成時に当該併用試験が継続中であることを示すが、この時点における各用量群の平均投与日数を算出したところ、200mg用量群では211日、300mg用量群では158日、400mg用量群では87日であった。これより、いずれの用量群における平均投与日数が50日を超え、特に200mg及び300mg用量群の平均投与日数が100日を超えたことが示された。
さらに、図2で示す結果が得られた時点から約1年経過した時点における、各用量群の化合物Iとアビラテロンを投与できた日数を図3に示した。即ち、投与日数が長いほど、抗腫瘍効果が期待できる上、より安全に投与できる用量であることを示す。また、「継続中」の記載は、本願の明細書等の作成時に当該併用試験が継続中であることを示すが、この時点における各用量群の平均投与日数を算出したところ、200mg用量群では225日、300mg用量群では225日、400mg用量群では87日であった。これより、いずれの用量群における平均投与日数が50日を超え、特に200mg及び300mg用量群の平均投与日数が200日を超えたことが示された。
【0052】
以上の結果より、化合物Iの各用量群(200mg、300mg、400mg)において、アビラテロン酢酸エステルを併用することにより、去勢抵抗性前立腺癌患者の骨転移の抑制が見られ、特に300mgと400mgの用量群では、抑制の頻度が高かった。さらに、300mgの用量群においては、BSIの値が0になる効果も確認された。また、いずれの用量群においても副作用は許容できるものであった。加えて、いずれの用量群においても、継続して当該併用投与が可能であることが示され、特に200mgと300mgの用量群においては、平均投与日数の結果より抗腫瘍効果と安全面で期待できることが示された。
このようにして、化合物Iとアビラテロン誘導体の併用により抗腫瘍効果が発揮できることが示された。
図1
図2
図3