(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ペプチド-MHC COMPACT
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20240820BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240820BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240820BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240820BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240820BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240820BHJP
C40B 40/08 20060101ALI20240820BHJP
C40B 40/02 20060101ALI20240820BHJP
C40B 40/10 20060101ALI20240820BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20240820BHJP
C07K 14/74 20060101ALN20240820BHJP
C12P 21/00 20060101ALN20240820BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C40B40/08
C40B40/02
C40B40/10
C12N5/0783
C07K14/74
C12P21/00 C
(21)【出願番号】P 2020554413
(86)(22)【出願日】2019-04-02
(86)【国際出願番号】 US2019025415
(87)【国際公開番号】W WO2019195310
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-03-30
(32)【優先日】2018-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520032608
【氏名又は名称】パクト ファーマ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PACT PHARMA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ベトゥーン, マイケル ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャコビー, カイル マーティン
(72)【発明者】
【氏名】パオ, シアオイェン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ダルマス, オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】パン, チョン
(72)【発明者】
【氏名】センニノ, バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】フランズソフ, アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ポン, ソンミン
【審査官】中野 あい
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08895020(US,B2)
【文献】国際公開第2015/153969(WO,A1)
【文献】豪国特許出願公開第2007203607(AU,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5’から3’の方向に、3つのフレーム内に終止コドンを含む配列挿入物、ベータ2ミクログロブリン(β2M)配列、および多重組織適合性複合体(MHC)対立遺伝子配列を含む、ポリヌクレオチド分子。
【請求項2】
配列挿入物は、第1のユニバーサル標的配列、および/または第2のユニバーサル標的配列の側
部に位置する、請求項1に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項3】
a)MHC対立遺伝子が哺乳動物MHC対立遺伝子である
、および/または、
b)β2M対立遺伝子が、哺乳動物β2M対立遺伝子であ
る、
請求項1または2に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項4】
a)MHC対立遺伝子がヒトMHC対立遺伝子である、
b)MHC対立遺伝子がクラスI HLA対立遺伝子である、
c)MHC対立遺伝子が、HLA-A、HLA-B、およびHLA-Cからなる群から選択される、
d)MHC対立遺伝子が、HLA-A*01:01、HLA-A*02:01、HLA-A*03:01、HLA-A*24:02、HLA-A*30:02、HLA-A*31:01、HLA-A*32:01、HLA-A*33:01、HLA-A*68:01、HLA-A*11:01、HLA-A*23:01、HLA-A*30:01、HLA-A*33:03、HLA-A*25:01、HLA-A*26:01、HLA-A*29:02、HLA-A*68:02、HLA-B*07:02、HLA-B*14:02、HLA-B*18:01、HLA-B*27:02、HLA-B*39:01、HLA-B*40:01、HLA-B*44:02、HLA-B*46:01、HLA-B*50:01、HLA-B*57:01、HLA-B*58:01、HLA-B*08:01、HLA-B*15:01、HLA-B*15:03、HLA-B*35:01、HLA-B*40:02、HLA-B*42:01、HLA-B*44:03、HLA-B*51:01、HLA-B*53:01、HLA-B*13:02、HLA-B*15:07、HLA-B*27:05、HLA-B*35:03、HLA-B*37:01、HLA-B*38:01、HLA-B*41:02、HLA-B*44:05、HLA-B*49:01、HLA-B*52:01、HLA-B*55:01、HLA-C*02:02、HLA-C*03:04、HLA-C*05:01、HLA-C*07:01、HLA-C*01:02、HLA-C*04:01、HLA-C*06:02、HLA-C*07:02、HLA-C*16:01、HLA-C*03:03、HLA-C*07:04、HLA-C*08:01、HLA-C*08:02、HLA-C*12:02、HLA-C*12:03、HLA-C*14:02、HLA-C*15:02およびHLA-C*17:01からなる群から選択される、
e)MHC対立遺伝子が、配列番号109~174からなる群から選択される配列を含む、
f)β2M対立遺伝子がヒトβ2M対立遺伝子である、および/または
g)β2M対立遺伝子が、配列番号106に示される配列を含む、
請求項3に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項5】
a)第1のユニバーサル標的配列が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー標的配列を含む;
b)第1のユニバーサル標的配列が制限酵素切断部位を含む;
c)第1のユニバーサル標的配列がシグナル配列を含
む;
d)第1のユニバーサル標的配列が、配列番号3に示される配列を含む;
e)第2のユニバーサル標的配列が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー標的配列を含む;
f)第2のユニバーサル標的配列が制限酵素切断部位を含む;
g)第2のユニバーサル標的配列がシグナル配列を含
む;
h)第2のユニバーサル標的配列が、配列番号4に示される配列を含む;および/または、
i)第2のユニバーサル標的配列が第1のリンカー配列をさらに含
む、
請求項1から
4のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項6】
ポリヌクレオチド配列の3’末端が、
(i)第1の親和性タグ配
列;
(ii)プロテアーゼ切断部位配
列;および/または、
(iii)第2の親和性タグ配
列
を含む精製クラスター配列をさらに含む、
請求項1から
5のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項7】
a)β2M配列とMHC対立遺伝子配列との間に位置する第2のリンカー配
列;および/または、
b)MHC対立遺伝子配列と第1の親和性タグとの間の第3のリンカー配
列;
c)第1のユニバーサル標的の5’末端に連結されたプロモーター配
列;および/または、
d)ポリアデニル化(ポリA)配
列
をさらに含む、
請求項1から
6のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項8】
a)シグナル配列が、ヒト成長ホルモンシグナル配列、hIG1カッパ軽鎖シグナル配列、ベータ2ミクログロブリンシグナル配列、またはIL2シグナル配列を含むポリペプチドをコードする;
b)シグナル配列が、ヒト成長ホルモンシグナル配列を含むポリペプチドをコードする;
c)第1のリンカー配列が、配列番号10、配列番号14、配列番号16、および配列番号18からなる群から選択される配列を含む;
d)第1の親和性タグ配列が、AviTag、ストレプトアビジン-タグ、ポリヒスチジン(His6)-タグ、FLAG-タグ、HA-タグ、およびMyc-タグからなる群から選択される;
e)プロテアーゼ切断部位配列が、TEV切断部位配列、トロンビン切断部位配列、第Xa因子切断部位配列、エンテロペプチダーゼ切断部位配列、およびライノウイルス3Cプロテアーゼ切断部位配列からなる群から選択される;
f)第2の親和性タグ配列が、AviTag、ストレプトアビジン-タグ、ポリヒスチジン(His6)-タグ、FLAG-タグ、HA-タグ、およびMyc-タグからなる群から選択される;
g)第2のユニバーサル標的配列が第1のリンカー配列を含む;
h)第2のリンカー配列が、配列番号10または配列番号20に示される配列を含む;
i)第3のリンカー配列が、配列番号12または配列番号22に示される配列を含む;
j)プロモーター配列が、CMVプロモーター、EF1αプロモーター、およびSV40プロモーターからなる群から選択される;
k)プロモーター配列が、CMVプロモーターである;
l)ポリA配列が、bGHポリA配列、SV40ポリA配列、hGHポリA配列、およびrbGlobポリA配列からなる群から選択される;および/または
m)ポリA配列が、bGHポリA配列である、
請求項7に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項9】
請求項1
から8のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド分子を含む発現コンストラク
ト。
【請求項10】
プラスミドまたはウイルスベクターを含む、請求項9に記載の発現コンストラクト。
【請求項11】
請求項1から
8のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド分子または請求項
9または10に記載の発現コンストラクトを含む宿主細
胞。
【請求項12】
a)宿主細胞が哺乳動物細胞である;
b)宿主細胞がヒト細胞である;
c)宿主細胞が幹細胞、腫瘍細胞、不死化細胞、および胎児細胞からなる群から選択される;
d)宿主細胞が原核細胞である;
e)宿主細胞が大腸菌(Escherichia coli)細胞である;または
f)宿主細胞がBirAタンパク質またはその断片を発現する細胞である、
請求項11に記載の宿主細胞。
【請求項13】
ポリヌクレオチドが細胞ゲノムに組み込まれている、またはポリヌクレオチドが染色体外である、請求項
11または12に記載の宿主細胞。
【請求項14】
請求項1から
8のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド分子、請求項
9もしくは10に記載の発現コンストラクト、または請求項
11から13のいずれか一項に記載の宿主細胞を含むライブラリー。
【請求項15】
a)ライブラリーが、約20~約500個の異なるポリヌクレオチド分子、発現コンストラクト、または宿主細胞を含む;および/または
b)ライブラリーが、少なくとも66個の異なるポリヌクレオチド分子、発現コンストラクト、または宿主細胞を含む、
請求項14に記載のライブラリー。
【請求項16】
請求項1から
8のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド分子、請求項
9もしくは10に記載の発現コンストラクト、請求項
11から13のいずれか一項に記載の宿主細胞、または請求項
14もしくは15に記載のライブラリー、および使用説明書を含むキット。
【請求項17】
抗原特異的T細胞を単離するための方法であって、
a.請求項1から
8のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド分子、請求項
9もしくは10に記載の発現コンストラクト、請求項
11から13のいずれか一項に記載の宿主細胞、または請求項
14もしくは15に記載のライブラリーに、抗原ペプチドをコードするヌクレオチドを挿入すること;
b.ステップaのポリヌクレオチド分子からポリペプチド分子を発現させること;
c.粒子がそれぞれステップbのポリペプチドを含む、複数の粒子を用意すること;
d.1つ以上のT細胞を含むことが分かっているかまたは疑われる試料を提供すること;
e.ステップbのポリペプチドまたはステップcの粒子を試料と接触させることであって
、粒子に結合したポリペプチドに
単一のT細胞が結合するのに十分な条件を提供することを含む、接触させること;ならびに
f.粒子と結合した単一のT細胞を単離すること
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年4月2日に出願された米国仮出願第62/651,639号の利益を主張し、これは、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、EFS-Webを介して提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。20XX年XX月に作成された上記ASCIIコピーは、XXXXXUS_sequencelisting.txtという名称であり、サイズはX,XXX,XXXバイトである。
【背景技術】
【0003】
T細胞は、適応免疫の主要なメディエーターである。各T細胞の固有のT細胞受容体(TCR)の特異性によって指示され、T細胞は、自己免疫を調節し、B細胞と先天性エフェクターの活性化を助け、正確に標的化された方法で感染細胞およびがん性細胞を直接死滅させる。各TCRは、標的細胞上の主要組織適合性複合体(MHC)分子によって提示されるリガンドを認識する。関連するペプチド-MHC複合体リガンドの同定は、腫瘍および病原体に対する免疫応答の理解において役割を果たす。MHC複合体リガンドはまた、自己抗原および食餌性抗原に対する応答を理解するのに有用である。この理解により、標的抗原に対する免疫応答を開始、増幅、または弱める臨床的に有益な免疫療法(例えば、TCR遺伝子導入およびワクチン)が可能になる。
【0004】
突然変異した「ネオエピトープ」は、がんに対する内因性および操作された免疫応答の重要な標的である。ネオエピトープ反応性TILは、内因性レパートリーに存在し、養子免疫伝達時に腫瘍を退縮させる。同様に、腫瘍突然変異負荷は、CTLA-4またはPD-1ブロックの臨床的有効性を予測し、これらのチェックポイント阻害戦略は、ネオエピトープ反応性T細胞を解放することによって腫瘍縮小に影響することを示唆している。ネオエピトープは腫瘍細胞の体細胞突然変異に起因するため、中枢性免疫寛容を誘導するために胸腺上皮細胞によって一般的には提示されない。したがって、これらのネオエピトープで指向されるT細胞応答は、腫瘍特異的であり、おそらく高親和性であり、患者特異的(すなわち、プライベート)である。臨床的観点からは、これは機会および挑戦である:ネオエピトープは免疫療法の優れた標的であるが、TCR単離法は、臨床的に有用なスケールでの治療応用を可能にするために十分に高いスループットであるべきである。
【0005】
基礎研究とトランスレーショナル研究の両方のための迅速であり、強固なTCRリガンド発見技術に対する満たされていないニーズが存在する。ペプチド-MHC多量体は、それらのTCRの抗原特異性に従ってT細胞の選別を可能にし、これは遺伝子治療のための腫瘍特異的TCRを単離する重要な工程である。典型的な現在のペプチド-MHC生成プロトコールは、目的とするペプチドリガンド(複数可)の固相合成から開始する。並行して、ユニバーサルなβ2-ミクログロブリンおよび関連するMHCクラスI分子を大腸菌(Escherichia coli)で異種発現させ、ミスフォールドされた封入体が生じる。各ペプチドは、β2Mおよび関連するMHC I分子を含有するリフォールディング反応に添加される。最後に、正確にリフォールドする三元複合体の一部を精製し、ペプチド-MHC多量体生成に使用するために製剤化することができる。Schumacherおよび同僚は、多くの異なるペプチドリガンドを有する特定のMHC分子の並行生成を容易にするために、条件付きリガンドとして特定のMHC分子に結合する光開裂性ペプチドを考案した。単一のリフォールディング反応を行い、条件付きリガンドに結合したMHC分子を生成する。UV光に曝露した場合、条件付きリガンドを切断し、過剰に存在する所望のペプチドと交換する。このような交換反応の多くは並行して行うことができ、その特定のMHC対立遺伝子のためのpMHCライブラリーの構築を可能にする。それにもかかわらず、この最先端技術には困難な限界がある。第1に、大腸菌封入体で発現されるMHC分子の生成、精製、およびリフォールディングは困難であり、適切にフォールドされたペプチド-MHC複合体は低い収率で生成される。第2に、市販のペプチド合成の検査所要時間(週)は、患者特異的なネオエピトープに指向された個別化オンデマンドTCR遺伝子治療の状況において最適な時間スケールと調和しない。第3に、多くの予測されるリガンドは、ペプチドの生物物理学的特性(例え、疎水性)がその合成または交換を妨げるため、この手法を通じてT細胞をスクリーニングするために用いることができない。第4に、交換効率は一般的に低い(予測されるHLA結合ペプチドの大部分について、交換効率が50%未満である)。適切にフォールディングされた交換MHCとミスフォールドされた非リガンド型MHCの混合物は、低シグナル対ノイズの多量体染色をもたらす。この問題は、多重化されたペプチド-MHC試薬プールでT細胞をスクリーニングする場合に悪化する。第5に、各新規MHC対立遺伝子の条付きリガンドの設計および妥当性検証は、困難であり、頑強ではない作業である。MHC遺伝子座はヒトゲノム中で最も多重な対立遺伝子座であるため、これは多様なMHCハプロタイプの患者全体にわたってネオエピトープ標的遺伝子治療を行う上で大きな障害となる。まとめると、これらの限界は、この分野における新規技術の必要性を強調する。本明細書には、これらの制限に対処するペプチド-MHC多量体を生成するための種々の組成物および方法が開示される。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載される方法および組成物は、免疫応答によって標的化された抗原の迅速な同定およびT細胞の単離、したがって、その応答を媒介するTCR配列を可能にする。この迅速な同定は、感染症、腫瘍免疫、自己免疫、および免疫療法の分野における研究および医薬品開発の目標である。組成物は、医薬品開発のための抗原特異的T細胞およびそれらのコードされたMHC I制限TCRを同定し、単離するために適用することができる。抗原特異的T細胞の同定および特徴付けはまた、(治療前および治療後の)処置の状況における免疫応答および疾患の診断、モニタリングおよび予後にも適用され得る。comPACT手法はまた、MHC II制限T細胞応答の標的を同定するために適用され得る。このような応答は自己免疫疾患の中心であり、がん免疫療法の重要な構成要素として浮上してきている。さらに、本明細書に記載された方法で生成された哺乳動物細胞発現データからのcomPACTタンパク質分泌の効率は、適切なタンパク質フォールディングの代理メトリックとして、したがって、そのコグネイトMHC分子に対する各ネオエピトープリガンドの親和性として潜在的に有用である。次に、この技術により、あまり十分に研究されていないMHC対立遺伝子に対するMHC結合アルゴリズムを改良し、ネオエピトープワクチンなどの他の標的免疫療法を改善する独自の能力が得られる可能性がある。したがって、本明細書に開示される組成物は、ヒトの健康に広く適用され、明確な市販の可能性を有する。
【0007】
一態様では、本明細書に開示されるポリヌクレオチド分子は、5’から3’の方向に、(i)第1のユニバーサル標的配列、(ii)抗原ペプチドをコードするヌクレオチド配列、(iii)第1のユニバーサル標的配列とは異なる第2のユニバーサル標的配列、(iv)ベータ2ミクログロブリン(β2M)配列、および(v)多重組織適合性複合体(MHC)対立遺伝子配列を含む。一実施形態では、ポリヌクレオチド分子は、5’から3’の方向に、(i)プロモーター配列、(ii)配列番号3に示される配列を含む第1のユニバーサル標的配列、(iii)抗原ペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、抗原ペプチドが腫瘍ネオ抗原であるヌクレオチド配列、(iv)配列番号4に示される配列を含む第2のユニバーサル標的配列、(v)配列番号106に示される配列を含むβ2M配列、(vi)配列番号109~174に示される配列からなる群から選択される配列を含むMHC対立遺伝子配列、(vii)配列番号29に示される配列を含む第1の親和性タグ配列、(vii)配列番号31に示される配列を含むプロテアーゼ切断部位配列、および(ix)配列番号35に示される配列を含む第2の親和性タグ配列を含む。
【0008】
一実施形態では、抗原ペプチドは、腫瘍抗原、ネオ抗原、腫瘍ネオ抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、ホスホ抗原、および微生物抗原からなる群から選択される。別の実施形態では、抗原ペプチドは、ネオ抗原である。
【0009】
一部の実施形態では、ネオ抗原は、1つ以上の体細胞突然変異を同定するために、対象からの腫瘍配列決定データを分析することによって選択される。一実施形態では、分析は、インシリコ予測アルゴリズムを用いて行われる。別の実施形態では、予測アルゴリズムは、ネオ抗原とMHC対立遺伝子との間の結合を予測するためのMHC結合アルゴリズムをさらに含む。
【0010】
一部の実施形態では、MHC対立遺伝子は、哺乳動物MHC対立遺伝子である。一部の実施形態では、MHC対立遺伝子は、ヒトMHC対立遺伝子である。一部の実施形態では、MHC対立遺伝子はクラスI HLA対立遺伝子である。他の実施形態では、HLA対立遺伝子は、HLA-A、HLA-B、またはHLA-C対立遺伝子を含む。HLA対立遺伝子は、対象のHLA対立遺伝子である。
【0011】
一部の実施形態では、HLA対立遺伝子は、HLA-A*01:01、HLA-A*02:01、HLA-A*03:01、HLA-A*24:02、HLA-A*30:02、HLA-A*31:01、HLA-A*32:01、HLA-A*33:01、HLA-A*68:01、HLA-A*11:01、HLA-A*23:01、HLA-A*30:01、HLA-A*33:03、HLA-A*25:01、HLA-A*26:01、HLA-A*29:02、HLA-A*68:02、HLA-B*07:02、HLA-B*14:02、HLA-B*18:01、HLA-B*27:02、HLA-B*39:01、HLA-B*40:01、HLA-B*44:02、HLA-B*46:01、HLA-B*50:01、HLA-B*57:01、HLA-B*58:01、HLA-B*08:01、HLA-B*15:01、HLA-B*15:03、HLA-B*35:01、HLA-B*40:02、HLA-B*42:01、HLA-B*44:03、HLA-B*51:01、HLA-B*53:01、HLA-B*13:02、HLA-B*15:07、HLA-B*27:05、HLA-B*35:03、HLA-B*37:01、HLA-B*38:01、HLA-B*41:02、HLA-B*44:05、HLA-B*49:01、HLA-B*52:01、HLA-B*55:01、HLA-C*02:02、HLA-C*03:04、HLA-C*05:01、HLA-C*07:01、HLA-C*01:02、HLA-C*04:01、HLA-C*06:02、HLA-C*07:02、HLA-C*16:01、HLA-C*03:03、HLA-C*07:04、HLA-C*08:01、HLA-C*08:02、HLA-C*12:02、HLA-C*12:03、HLA-C*14:02、HLA-C*15:02、およびHLA-C*17:01からなる群から選択される。
【0012】
一部の実施形態では、HLA対立遺伝子は、配列番号109~174からなる群から選択される配列を含む。
【0013】
一部の実施形態では、β2M対立遺伝子は、哺乳動物β2M対立遺伝子である。一部の実施形態では、β2M対立遺伝子はヒトβ2M対立遺伝子である。一部の実施形態では、β2M対立遺伝子は、配列番号106に示される配列を含む。
【0014】
一部の実施形態では、抗原ペプチドをコードするヌクレオチド配列は、20~60、20~30、25~35、20~45、30~45、40~60、または45~60ヌクレオチド長である。一実施形態では、抗原ペプチドをコードするヌクレオチド配列は、20~30ヌクレオチド長である。
【0015】
一部の実施形態では、第1のユニバーサル標的配列は、4~50、4~15、15~40、15~35、15~30、20~40、25~40、または30~40ヌクレオチド長である。一実施形態では、第1のユニバーサル標的配列は、25~35ヌクレオチド長である。別の実施形態では、第1のユニバーサル標的配列は、少なくとも約15ヌクレオチド長である。別の実施形態では、第1のユニバーサル標的配列は、4~6ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第2のユニバーサル標的配列は、4~50、4~15、15~40、15~35、15~30、20~40、25~40、または30~40ヌクレオチド長である。一実施形態では、第2のユニバーサル標的配列は、25~35ヌクレオチド長である。別の実施形態では、第2のユニバーサル標的配列は、少なくとも約15ヌクレオチド長である。別の実施形態では、第2のユニバーサル標的配列は、4~6ヌクレオチド長である。
【0016】
一部の実施形態では、第1および第2のユニバーサル標的配列は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー標的配列を含む。他の実施形態では、第1および第2のユニバーサル標的配列は、制限酵素切断部位を含む。
【0017】
一部の実施形態では、第1のユニバーサル標的の配列は、配列番号3に示される配列を含む。一部の実施形態では、第2のユニバーサル標的の配列は、配列番号4に示される配列を含む。
【0018】
一部の実施形態では、第1のユニバーサル標的配列は、シグナル配列をさらに含む。一部の実施形態では、シグナル配列は、ヒト成長ホルモンシグナル配列、hIG1カッパ軽鎖シグナル配列、ベータ2ミクログロブリンシグナル配列、またはIL2シグナル配列を含むシグナル配列をコードする。一部の実施形態では、シグナル配列は、配列番号1、24、26、または28に示される配列を含む配列を含む。一実施形態では、シグナル配列はヒト成長ホルモン(HGH)をコードする。一部の実施形態では、シグナル配列は、配列番号1に示される配列を含む。一実施形態では、シグナル配列は、40~90、40~60、45~70、50~80、60~90、55~70、60~80、または70~80ヌクレオチド長である。
【0019】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列の3’末端は、さらに、5’から3’の方向に、(i)第1の親和性タグ配列、(ii)プロテアーゼ切断部位配列、および(iii)第2の親和性タグ配列を含む精製クラスター配列を含む。一部の実施形態では、第1および第2の親和性タグは、AviTag、ストレプトアビジン-タグ、ポリヒスチジン(His6)-タグ、FLAG-タグ、HA-タグ、およびMyc-タグからなる群から選択される。一部の実施形態では、第1の親和性タグは、配列番号29に示される配列を含む配列を含み、第2の親和性タグは、配列番号33に示される配列を含む配列を含む。
【0020】
一部の実施形態では、プロテアーゼ切断部位配列は、TEV切断部位配列、トロンビン切断部位配列、第Xa因子切断部位配列、エンテロペプチダーゼ切断部位配列、およびライノウイルス3Cプロテアーゼ切断部位配列からなる群から選択される。一実施形態では、プロテアーゼ切断部位配列は、配列番号31に示されるTEV切断部位配列を含む。一部の実施形態では、第1の親和性タグ配列はAviTagペプチドをコードし、プロテアーゼ切断部位配列はTEV切断部位をコードし、第2の親和性タグはHis6ペプチドをコードする。一実施形態では、第1の親和性タグ配列は配列番号29に示される配列を含み、プロテアーゼ切断部位は配列番号31に示される配列を含み、第2の親和性タグは配列番号33に示される配列を含む。
【0021】
一部の実施形態では、第2のユニバーサル標的配列は、第1のリンカー配列をさらに含む。一実施形態では、第1のリンカー配列は、配列番号10、14、16、または18に示される配列を含む。
【0022】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、β2M配列とMHC対立遺伝子配列との間に第2のリンカー配列をさらに含む。一実施形態では、第2のリンカー配列は、配列番号10または20に示される配列を含む。
【0023】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、MHC対立遺伝子配列と第1の親和性タグとの間に第3のリンカー配列をさらに含む。一実施形態では、第3のリンカー配列は、配列番号12または22に示される配列を含む。
【0024】
ポリヌクレオチド配列の5’末端は、第1のユニバーサル標的の5’末端に連結されたプロモーター配列をさらに含み得る。一部の実施形態では、プロモーター配列は、CMV、EF1α、またはSV40プロモーターである。一実施形態では、プロモーター配列はCMVプロモーターである。一実施形態では、プロモーター配列はCMVプロモーター配列である。
【0025】
ポリヌクレオチド配列の3’末端は、ポリA配列をさらに含むことができる。一部の実施形態では、ポリA配列は、SV40、hGH、BHG、またはrbGlobポリA配列である。一実施形態では、ポリA配列は、配列番号179に示されるbGHポリA配列を含む。
【0026】
一実施形態では、ポリヌクレオチド分子は、5’から3’の方向に、(i)プロモーター配列、(ii)第1のユニバーサル標的配列、(iii)抗原ペプチドをコードするヌクレオチド配列、(iv)第1のユニバーサル標的配列とは異なる第2のユニバーサル標的配列、(v)β2M配列、(v)MHC対立遺伝子配列、(vi)第1の親和性タグ配列、(vii)プロテアーゼ切断部位配列、および(vii)第2の親和性タグ配列を含む。
【0027】
別の態様では、本明細書には、本明細書に開示されるポリヌクレオチド分子を含む発現コンストラクトが記載される。一実施形態では、発現コンストラクトは、プラスミドまたはウイルスベクターを含む。
【0028】
別の態様では、本明細書には、前述されるように、ポリヌクレオチド分子または発現コンストラクトを含む宿主細胞が記載される。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、細胞ゲノムに組み込まれている。別の実施形態では、ポリヌクレオチドは染色体外である。一部の実施形態では、宿主細胞は哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、宿主細胞はヒト細胞である。一実施形態では、細胞は、幹細胞、腫瘍細胞、不死化細胞、または胎児細胞である。一部の実施形態では、宿主細胞は原核細胞である。一部の実施形態では、細胞は大腸菌細胞である。一部の実施形態では、細胞は、BirAタンパク質またはその断片を発現する。
【0029】
さらに別の態様では、本明細書には、本明細書に記載されるポリヌクレオチド分子または発現コンストラクトを含むライブラリーであって、ライブラリーが、2つ以上の異なるポリヌクレオチド分子を含み、各々異なるポリヌクレオチド分子が、(i)第1のユニバーサル配列、(ii)抗原ペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、ヌクレオチド配列が、2つ以上のポリヌクレオチド分子の各々に対して同一でないヌクレオチド配列、(iii)第2のユニバーサル標的配列、(iv)β2M配列、および(v)MHC対立遺伝子配列を含む、ライブラリーが記載される。一実施形態では、MHC対立遺伝子配列は、2つ以上のポリヌクレオチド分子の各々に対して同一でない。別の実施形態では、ライブラリーは、20~500個の異なるポリヌクレオチド分子を含む。一部の実施形態では、ライブラリーは、少なくとも66個の異なるポリヌクレオチド分子を含む。
【0030】
一部の実施形態では、ライブラリーは、少なくともHLA-A*01:01、HLA-A*02:01、HLA-A*03:01、HLA-A*24:02、HLA-A*30:02、HLA-A*31:01、HLA-A*32:01、HLA-A*33:01、HLA-A*68:01、HLA-A*11:01、HLA-A*23:01、HLA-A*30:01、HLA-A*33:03、HLA-A*25:01、HLA-A*26:01、HLA-A*29:02、HLA-A*68:02、HLA-B*07:02、HLA-B*14:02、HLA-B*18:01、HLA-B*27:02、HLA-B*39:01、HLA-B*40:01、HLA-B*44:02、HLA-B*46:01、HLA-B*50:01、HLA-B*57:01、HLA-B*58:01、HLA-B*08:01、HLA-B*15:01、HLA-B*15:03、HLA-B*35:01、HLA-B*40:02、HLA-B*42:01、HLA-B*44:03、HLA-B*51:01、HLA-B*53:01、HLA-B*13:02、HLA-B*15:07、HLA-B*27:05、HLA-B*35:03、HLA-B*37:01、HLA-B*38:01、HLA-B*41:02、HLA-B*44:05、HLA-B*49:01、HLA-B*52:01、HLA-B*55:01、HLA-C*02:02、HLA-C*03:04、HLA-C*05:01、HLA-C*07:01、HLA-C*01:02、HLA-C*04:01、HLA-C*06:02、HLA-C*07:02、HLA-C*16:01、HLA-C*03:03、HLA-C*07:04、HLA-C*08:01、HLA-C*08:02、HLA-C*12:02、HLA-C*12:03、HLA-C*14:02、HLA-C*15:02、およびHLA-C*17:01対立遺伝子を含む。一部の実施形態では、ライブラリーは、配列番号109~174に示される少なくとも配列を含む。
【0031】
別の態様では、本明細書には、アミノ末端からカルボキシル末端の方向に、(i)第1のユニバーサル標的ペプチド、(ii)抗原ペプチド、(iii)第1のユニバーサル標的ペプチドとは異なる第2のユニバーサル標的ペプチド、(iv)β2Mペプチド、および(v)MHCペプチドを含むポリペプチドが記載される。一部の実施形態では、抗原ペプチドは、腫瘍抗原、ネオ抗原、腫瘍ネオ抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、ホスホ抗原、および微生物抗原からなる群から選択される。一実施形態では、抗原ペプチドはネオ抗原である。
【0032】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、5’から3’の方向に、(i)配列番号2に示される配列を含むプロモーターペプチド、(ii)第1のユニバーサル標的ペプチド、(iii)抗原ペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、抗原ペプチドが腫瘍ネオ抗原であるヌクレオチド配列、(iv)配列番号15または17に示される配列を含む第2のユニバーサル標的ペプチド、(v)配列番号105に示される配列を含むβ2Mペプチド、(vi)配列番号38~103に示される配列を含むMHCペプチド、(vii)配列番号30に示される配列を含む第1の親和性ペプチド、(viii)配列番号32に示される配列を含むプロテアーゼ切断部位ペプチド、および(ix)配列番号36に示される配列を含む第2の親和性ペプチドを含む。
【0033】
一部の実施形態では、ネオ抗原は、1つ以上の体細胞突然変異を同定するために、対象からの腫瘍配列決定データを分析することによって選択される。一実施形態では、分析は、インシリコ予測アルゴリズムを用いて行われる。別の実施形態では、予測アルゴリズムは、ネオ抗原とMHCペプチドとの間の結合を予測するためのMHC結合アルゴリズムをさらに含む。
【0034】
一実施形態では、抗原ペプチドは、7~15アミノ酸、7~10、8~9、7、8、9、10、11、12、13、14、または15アミノ酸長である。
【0035】
一部の実施形態では、MHCペプチドは、哺乳動物MHCペプチドである。一部の実施形態では、MHCペプチドは、ヒトMHCペプチドである。一部の実施形態では、MHCペプチドは、クラスI HLAペプチドである。他の実施形態では、HLAペプチドは、HLA-A、HLA-B、またはHLA-Cペプチドを含む。一実施形態では、HLAペプチドは、対象のHLAペプチドである。一実施形態では、HLAペプチドは、Y84AまたはY84C突然変異を含む。
【0036】
一部の実施形態では、β2Mペプチドは、哺乳動物β2Mペプチドである。一部の実施形態では、β2Mペプチドはヒトβ2Mペプチドである。一部の実施形態では、β2Mペプチドは、配列番号105に示される配列を含む。別の実施形態では、β2MペプチドはS88C突然変異を含む。一部の実施形態では、β2Mペプチドは、アミノ酸88におけるS88C突然変異を含む、配列番号107に示される配列を含む。
【0037】
一部の実施形態では、HLAペプチドは、HLA-A*01:01、HLA-A*02:01、HLA-A*03:01、HLA-A*24:02、HLA-A*30:02、HLA-A*31:01、HLA-A*32:01、HLA-A*33:01、HLA-A*68:01、HLA-A*11:01、HLA-A*23:01、HLA-A*30:01、HLA-A*33:03、HLA-A*25:01、HLA-A*26:01、HLA-A*29:02、HLA-A*68:02、HLA-B*07:02、HLA-B*14:02、HLA-B*18:01、HLA-B*27:02、HLA-B*39:01、HLA-B*40:01、HLA-B*44:02、HLA-B*46:01、HLA-B*50:01、HLA-B*57:01、HLA-B*58:01、HLA-B*08:01、HLA-B*15:01、HLA-B*15:03、HLA-B*35:01、HLA-B*40:02、HLA-B*42:01、HLA-B*44:03、HLA-B*51:01、HLA-B*53:01、HLA-B*13:02、HLA-B*15:07、HLA-B*27:05、HLA-B*35:03、HLA-B*37:01、HLA-B*38:01、HLA-B*41:02、HLA-B*44:05、HLA-B*49:01、HLA-B*52:01、HLA-B*55:01、HLA-C*02:02、HLA-C*03:04、HLA-C*05:01、HLA-C*07:01、HLA-C*01:02、HLA-C*04:01、HLA-C*06:02、HLA-C*07:02、HLA-C*16:01、HLA-C*03:03、HLA-C*07:04、HLA-C*08:01、HLA-C*08:02、HLA-C*12:02、HLA-C*12:03、HLA-C*14:02、HLA-C*15:02、またはHLA-C*17:01を含む。一部の実施形態では、HLAペプチドは、配列番号38~103からなる群から選択される配列を含む。
【0038】
一部の実施形態では、第1のユニバーサル標的ペプチドは、シグナルペプチドをさらに含む。一実施形態では、シグナル配列は、15~45、15~30、20~45、20~30、または30~45アミノ酸長である。一実施形態では、シグナルペプチドはヒト成長ホルモンを含む。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、ヒト成長ホルモンシグナルペプチド、hIG1カッパ軽鎖シグナルペプチド、ベータ2ミクログロブリンシグナルペプチド、またはIL2シグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号2、23、25、または27に示される配列を含む配列を含む。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号2に示されるヒト成長ホルモン(HGH)シグナルペプチド配列を含む。一実施形態では、第2のユニバーサル標的ペプチドは、配列GGGGSGGGGSGGGGSを含む。一実施形態では第2のユニバーサル標的ペプチドは、配列番号15または17に示される配列を含む。
【0039】
一部の実施形態では、ポリペプチドのカルボキシル末端は、アミノ末端からカルボキシル末端の方向に、(i)第1の親和性ペプチド、(ii)プロテアーゼ切断部位、および(iii)第2の親和性ペプチドを含む精製クラスターをさらに含み得る。一部の実施形態では、第1および第2の親和性ペプチドは、AviTag、ストレプ-タグ、ポリヒスチジン(His6)-タグ、FLAG-タグ、HA-タグ、および/またはMyc-タグからなる群から選択される。一部の実施形態では、第1の親和性ペプチドは配列番号30を含む配列を含み、第2の親和性ペプチドは配列番号34を含む配列を含む。
【0040】
一部の実施形態では、プロテアーゼ切断部位は、TEV切断部位、トロンビン切断部位、第Xa因子切断部位、エンテロペプチダーゼ切断部位、またはライノウイルス3Cプロテアーゼ切断部位である。一部の実施形態では、精製クラスターは、AviTagエピトープ、TEV切断部位、およびHis6エピトープを含む。一部の実施形態では、プロテアーゼ切断部位は、配列番号32に示されるTEV切断部位配列を含む。一部の実施形態では、精製クラスターは、配列番号30に示されるAviTagペプチド配列、配列番号32に示されるTEV切断部位配列、および配列番号34または36に示されるHis6ペプチド配列を含む。一部の実施形態では、精製クラスターは、配列番号34に示されるHis6ペプチド配列の2コピー以上を含む。一部の実施形態では、精製クラスターは、配列番号37に示される配列を含む。
【0041】
一部の実施形態では、第2のユニバーサル標的ペプチドは、配列番号9、11、15、または17に示される配列を含むリンカーをさらに含む。
【0042】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、β2M配列とMHC対立遺伝子配列との間に第2のリンカー配列を含む。一部の実施形態では、第2のリンカー配列は、配列番号9または19に示される配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、MHC対立遺伝子配列と第1の親和性タグとの間に第3のリンカー配列をさらに含む。一部の実施形態では、第3のリンカー配列は、配列番号13または21に示される配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、ビオチン化される。
【0043】
一実施形態では、ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシル末端の方向に、(i)第1のユニバーサル標的ペプチド、(ii)抗原ペプチド、(iii)第2のユニバーサル標的ペプチド、(iv)β2Mペプチド、(v)MHCペプチド、(vi)第1の親和性タグペプチド、(vii)プロテアーゼ切断部位、および(vii)第2の親和性タグペプチドを含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、ビオチン化される。
【0044】
別の態様では、本明細書には、2つ以上の異なるポリペプチド分子を含むライブラリーが開示され、異なるポリペプチド分子は、(i)第1のユニバーサル標的ペプチド、(ii)抗原ペプチドが2つ以上のポリペプチド分子の各々に対して同一でない抗原ペプチド、(iii)第1のユニバーサル標的ペプチドとは異なる第2のユニバーサル標的ペプチド、(iv)β2Mペプチド、および(v)MHCペプチドを含む。一実施形態では、MHCペプチドは、2つ以上のポリペプチド分子の各々に対して同一でない。別の実施形態では、ライブラリーは、20~500個の異なるポリペプチド分子を含む。一部の実施形態では、ライブラリーは、少なくとも66個の異なるポリペプチドを含む。
【0045】
一部の実施形態では、ライブラリーは、HLA-A*01:01、HLA-A*02:01、HLA-A*03:01、HLA-A*24:02、HLA-A*30:02、HLA-A*31:01、HLA-A*32:01、HLA-A*33:01、HLA-A*68:01、HLA-A*11:01、HLA-A*23:01、HLA-A*30:01、HLA-A*33:03、HLA-A*25:01、HLA-A*26:01、HLA-A*29:02、HLA-A*68:02、HLA-B*07:02、HLA-B*14:02、HLA-B*18:01、HLA-B*27:02、HLA-B*39:01、HLA-B*40:01、HLA-B*44:02、HLA-B*46:01、HLA-B*50:01、HLA-B*57:01、HLA-B*58:01、HLA-B*08:01、HLA-B*15:01、HLA-B*15:03、HLA-B*35:01、HLA-B*40:02、HLA-B*42:01、HLA-B*44:03、HLA-B*51:01、HLA-B*53:01、HLA-B*13:02、HLA-B*15:07、HLA-B*27:05、HLA-B*35:03、HLA-B*37:01、HLA-B*38:01、HLA-B*41:02、HLA-B*44:05、HLA-B*49:01、HLA-B*52:01、HLA-B*55:01、HLA-C*02:02、HLA-C*03:04、HLA-C*05:01、HLA-C*07:01、HLA-C*01:02、HLA-C*04:01、HLA-C*06:02、HLA-C*07:02、HLA-C*16:01、HLA-C*03:03、HLA-C*07:04、HLA-C*08:01、HLA-C*08:02、HLA-C*12:02、HLA-C*12:03、HLA-C*14:02、HLA-C*15:02、およびHLA-C*17:01ポリペプチドを含む。
【0046】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、粒子に結合され、粒子は、表面、ナノ粒子、ビーズ、またはポリマーである。一実施形態では、ポリペプチドは、リンカーを介して粒子に結合される。一実施形態では、粒子はナノ粒子であり、ナノ粒子は磁性ナノ粒子またはポリスチレンナノ粒子である。一実施形態では、磁性ナノ粒子は、磁性酸化鉄を含む。別の実施形態では、ビーズは、アガロースビーズまたはセファロースビーズである。一部の実施形態では、粒子に結合したポリペプチドは、フルオロフォアをさらに含む。一実施形態では、フルオロフォアは、リンカーの有無にかかわらず、粒子に結合している。
【0047】
一部の実施形態では、ポリペプチドのライブラリーは、粒子に結合しており、ライブラリーは、2つ以上の異なるポリペプチド分子を含み、抗原ペプチドは、2つ以上のポリペプチド分子の各々に対して同一でなく、各々異なるポリペプチドは、粒子に結合される。一実施形態では、MHCペプチドは、2つ以上のポリペプチド分子の各々に対して同一でない。一実施形態では、ライブラリーは、各々異なるポリペプチドの同一性と作動可能に関連付けられた固有の定義されたバーコード配列をさらに含む。別の実施形態では、ライブラリーは、20~500個の異なるポリペプチドを含む。別の実施形態では、ライブラリーは、少なくとも66個の異なるポリペプチドを含む。
【0048】
別の態様では、本明細書に記載されるキットは、上記の実施形態のいずれかの組成物および使用説明書を含むキットである。
【0049】
別の態様では、本明細書には、ポリヌクレオチド分子を製造する方法が開示され、(a)5’から3’の方向に、(i)制限酵素認識部位を含む第1のユニバーサル標的配列、(ii)第1の標的配列と同一でない制限酵素認識部位を含む第2のユニバーサル標的配列、(iii)β2M配列、および(iv)MHC対立遺伝子配列を含む第1のポリヌクレオチド配列を得る工程;(b)5’から3’の方向に、(i)第1のユニバーサル標的配列の一部、(ii)抗原ペプチドをコードする配列、および(iii)第2のユニバーサル標的配列の一部を含む第2のポリヌクレオチドを得る工程;(c)5’から3’の方向に、(i)第2のユニバーサル標的配列の一部分の逆相補配列、(ii)抗原ペプチドをコードする配列の逆相補配列、および(iii)第1のユニバーサル標的配列の一部の逆相補配列を含む第3のポリヌクレオチドを得る工程;(d)相補配列がアニールするように第2および第3のポリヌクレオチドを一緒に混合する工程;(e)第1のポリヌクレオチド配列に対して少なくとも1つの制限酵素で制限消化を行う工程;ならびに(f)消化された第1のポリヌクレオチドおよびアニールした第2および第3のポリヌクレオチドをDNAライゲーション反応試薬と一緒に混合することによって第1および第2のポリヌクレオチドを一緒にライゲーションする工程を含む。
【0050】
一部の実施形態では、本方法は、相補配列アニーリング後に、第2および第3のポリヌクレオチドの5’ヌクレオチドをリン酸化することをさらに含み、リン酸化は、第1または第2および第3のポリヌクレオチドを酵素とともにインキュベートすることを含む。一部の実施形態では、酵素は、T4キナーゼである。一部の実施形態では、第1のポリヌクレオチドは発現コンストラクトである。一部の実施形態では、製造されたポリヌクレオチドを発現コンストラクトに挿入することを含む。
【0051】
一部の実施形態では、第1のポリヌクレオチドは、プロモーター配列をさらに含む。一実施形態では、プロモーター配列は、CMV、EF1α、またはSV40プロモーターである。
【0052】
別の実施形態では、第2のポリヌクレオチド配列の3’末端は、5’から3’の方向に、(i)第1の親和性タグ配列、(ii)プロテアーゼ切断部位配列、および(iii)第2の親和性タグ配列を含む精製クラスター配列をさらに含む。
【0053】
一実施形態では、第2のポリヌクレオチド配列の3’末端は、ポリA配列をさらに含む。
【0054】
一部の実施形態では、第3および第4のポリヌクレオチド配列を得る工程は、対象から腫瘍配列決定データの予測データセットを得ることをさらに含む。一実施形態では、第3および第4のポリヌクレオチド配列を得る工程は、腫瘍配列決定データから抗原ペプチドをコードする配列を予測することをさらに含む。別の実施形態では、第3および第4のポリヌクレオチド配列を得る工程は、予測配列に基づいて抗原ペプチドをコードするポリヌクレオチドを合成することをさらに含む。
【0055】
一部の実施形態では、本方法は、2つ以上の異なるポリヌクレオチド分子を含むライブラリーを製造することをさらに含み、異なるポリヌクレオチド分子は、(i)第1のユニバーサル標的配列、(ii)抗原ペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、抗原ペプチドは、2つ以上のポリペプチド分子の各々に対して同一でないヌクレオチド配列、(iii)第1のユニバーサル標的配列とは異なる第2のユニバーサル標的配列、(iv)β2Mペプチド、および(v)MHC対立遺伝子配列を含む。一実施形態では、MHC対立遺伝子は、2つ以上のポリヌクレオチド分子の各々に対して同一でない。別の実施形態では、ライブラリーは、40~500個の異なるポリヌクレオチド分子を含む。
【0056】
一部の実施形態では、本方法は、製造されたポリヌクレオチドを発現コンストラクトに挿入することをさらに含む。一実施形態では、本方法は、異なるポリヌクレオチド分子を含む2つ以上の発現コンストラクトを含むライブラリーを製造することをさらに含み、異なるポリヌクレオチド分子は、(i)第1のユニバーサル標的配列、(ii)抗原ペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、ヌクレオチド配列が2つ以上のポリヌクレオチド分子の各々に対して同一でないヌクレオチド配列、(iii)第1のユニバーサル標的配列とは異なる第2のユニバーサル標的配列、(iv)β2M配列、および(v)MHC対立遺伝子配列を含む。一実施形態では、MHC対立遺伝子は、2つ以上のポリヌクレオチド分子の各々に対して同一でない。別の実施形態では、ライブラリーは、20~500個の異なる発現コンストラクトを含む。一部の実施形態では、ライブラリーは、少なくとも66個の異なるポリヌクレオチド分子を含む。一部の実施形態では、MHC対立遺伝子は、配列番号109~174からなる群に示される配列から選択される。
【0057】
一部の実施形態では、本方法は、ポリヌクレオチド分子からポリタンパク質分子を発現させることをさらに含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、細胞にトランスフェクトまたは形質導入される。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、細胞ゲノムに組み込まれる。別の実施形態では、ポリヌクレオチドは、細胞内で染色体外に残る。一部の実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物細胞またはヒト細胞である。一実施形態では、細胞は、幹細胞、腫瘍細胞、不死化細胞、または胎児細胞である。一部の実施形態では、細胞は、原核細胞である。一部の実施形態では、細胞は、大腸菌細胞である。
【0058】
一実施形態では、本方法は、ポリタンパク質の発現を定量することをさらに含む。一部の実施形態では、発現および非発現ポリタンパク質配列は、本方法の抗原ペプチド予測分析工程を改良するために使用される。一実施形態では、本方法は、ポリタンパク質をビオチン化することをさらに含む。
【0059】
一部の実施形態では、本方法は、ポリタンパク質を精製することを含む。精製工程は、アフィニティークロマトグラフィーを含み得る。一実施形態では、アフィニティークロマトグラフィーは、支持体、キレート剤および二価金属を含む固定化されている金属アフィニティークロマトグラフィーを含む。アフィニティークロマトグラフィー用のキレート剤は、ニトロロ三酢酸(NTA)またはイミニ二酢酸(IDA)であり得る。一部の実施形態では、二価金属は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、および鉄(Fe)からなる群から選択される。一実施形態では、キレート剤はNTAであり、二価金属はNiである。他の実施形態では、支持体は、アガロースビーズ、セファロースビーズ、および磁気ビーズからなる群から選択される。一部の実施形態では、本方法は、精製ポリタンパク質のビオチン化レベルを定量することをさらに含む。
【0060】
一部の実施形態では、本方法は、粒子にポリペプチドを結合させることをさらに含み、粒子は、表面、ナノ粒子、ビーズ、またはポリマーである。一実施形態では、ポリペプチドは、リンカーを介して粒子に結合される。一実施形態では、粒子はナノ粒子であり、ナノ粒子は磁性ナノ粒子またはポリスチレンナノ粒子である。一実施形態では、磁性ナノ粒子は、磁性酸化鉄を含む。別の実施形態では、ビーズは、アガロースビーズまたはセファロースビーズである。一部の実施形態では、粒子に結合したポリペプチドは、フルオロフォアをさらに含む。一実施形態では、フルオロフォアは、リンカーの有無にかかわらず、粒子に結合している。
【0061】
別の実施形態では、本方法は、少なくとも1つの粒子に結合した2つ以上の異なるポリタンパク質を含むライブラリーを生成することをさらに含み、異なるポリペプチドは、(i)第1のユニバーサル標的ペプチド、(ii)抗原ペプチドが2つ以上のポリペプチド分子の各々に対して同一でない抗原ペプチド、(iii)第1のユニバーサル標的ペプチドとは異なる第2のユニバーサル標的ペプチド、(iv)β2Mペプチド、および(v)MHCペプチドを含む。一実施形態では、MHCペプチドは、2つ以上のポリペプチド分子の各々に対して同一でない。別の実施形態では、ライブラリーは、20~500個の異なる単一ポリタンパク質を含む。別の実施形態では、ライブラリーは、少なくとも66個の異なる単一のポリタンパク質を含む。別の実施形態では、MHCペプチドは、配列番号39~104からなる群に示される配列から選択される。
【0062】
別の態様では、本明細書には、ポリヌクレオチド分子を製造する方法が開示され、(a)5’から3’の方向に、(i)制限酵素認識部位を含む第1のユニバーサル標的配列、(ii)第1の標的配列と同一でない制限酵素認識部位を含む第2のユニバーサル標的配列、(iii)β2M配列、および(iv)MHC対立遺伝子配列を含む第1のポリヌクレオチド配列を得る工程;(b)5’から3’の方向に、(i)第1のユニバーサル標的配列、(ii)抗原ペプチドをコードする配列、および(iii)第2のユニバーサル標的配列を含む第2のポリヌクレオチド配列を得る工程;(c)第1のポリヌクレオチド配列に対して少なくとも1つの制限酵素で制限消化を行う工程;(d)第2のポリヌクレオチド配列に対して少なくとも1つの制限酵素で制限消化を行う工程;ならびに(e)消化された第1および第2のポリヌクレオチドをDNAライゲーション反応試薬と一緒に混合することによって第1および第2のポリヌクレオチドを一緒にライゲーションする工程を含む。
【0063】
別の態様では、本明細書には、ポリヌクレオチド分子を製造する方法が記載され、(a)第1のユニバーサル標的配列を含む第1のポリヌクレオチド配列を得る工程;(b)5’から3’の方向に、(i)第2のユニバーサル標的配列、(ii)β2M配列、および(iii)MHC対立遺伝子配列を含む第2のポリヌクレオチド配列を得る工程;(c)5’から3’の方向に、抗原ペプチドをコードする配列および第2のユニバーサル標的配列を含む第3のポリヌクレオチド配列を得る工程;(d)5’から3’の方向に、抗原ペプチドの逆相補配列および第1のユニバーサル標的配列の逆相補配列を含む第4のポリヌクレオチド配列を得る工程;(e)第1、第2、第3、および第4のポリヌクレオチドを溶液中で組み合わせる工程;(f)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬を添加する工程;ならびに(g)PCR反応を行う工程であって、第2および第3のポリヌクレオチド中の第2のユニバーサル標的配列の相補領域が互いにアニーリングし、第1および第4のポリヌクレオチド中の第1のユニバーサル標的配列の相補領域が互いにアニーリングし;アニーリングした配列は、PCR伸長および増幅反応のためのプライミング配列を提供する工程を含む。
【0064】
また、本明細書には、抗原特異的T細胞を単離するための方法が開示され、(a)アミノ末端からカルボキシル末端の方向に、(i)第1のユニバーサル標的ペプチド、(ii)抗原ペプチド、(iii)第1のユニバーサル標的ペプチドとは異なる第2のユニバーサル標的ペプチド、(iv)β2Mペプチド、および(v)MHCペプチドを含むポリペプチドであって、ポリペプチドが1つの粒子に連結されているポリペプチドを提供する工程;(b)1つ以上のT細胞を含むことが分かっているかまたは疑われる試料を提供する工程;(c)ポリペプチドを試料と接触させる工程であって、単一のT細胞が粒子に結合したポリペプチドに結合するのに十分な条件を提供することを含む工程;ならびに(d)粒子と結合した単一のT細胞を単離する工程を含む。
【0065】
開示された組成物および方法のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明、および添付の図面に関してよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】例示的なcomPACTミニ遺伝子の設計を示す図である。SSは任意のシグナル配列を指し;US1は第1のユニバーサル標的部位を指し;ネオ抗原は抗原ペプチド配列部位を指し;US2は第2のユニバーサル標的部位を指し;L1は任意の第1のリンカー配列を指し;β2Mはβ-2-ミクログロブリンドメイン配列を指し;L2は任意の第2のリンカー配列を指し;MHC重鎖はMHC重鎖対立遺伝子を指し;L3は任意の第3のリンカー配列を指し;精製クラスターはビオチン化配列、プロテアーゼ切断部位、および親和性タグ配列を有する任意の精製クラスターを指す。
【
図2】選択されたMHC対立遺伝子と複合体化された抗原ペプチドリガンドのライブラリーを迅速にアセンブルさせるための例示的なモジュール式の既製プラットフォームの略図を示す。
【
図3】MHC鋳型中のダミー挿入物を選択されたネオエピトープ配列に置換するための例示的な制限消化クローニング反応の略図である。ダミー挿入物(下線、太字)は、異なるフレームに4つの終止コドン、および切断されていない鋳型または再ライゲーションされた鋳型を破壊するための固有の制限酵素認識部位を含有する。挿入物の両側の制限酵素認識部位をボックスに示す。
【
図4】MHC鋳型に選択されたネオエピトープ配列を挿入するための例示的な制限消化クローニング反応の略図である。ネオエピトープ配列(下線、太字)は、2つの異なる制限酵素認識部位(枠囲み)に隣接したプライマーとして合成される。3’制限酵素認識部位の逆相補配列を有するユニバーサルプライマーをPCR反応に使用して、ネオエピトープ配列の二本鎖プライマーダイマーを形成する。ネオエピトープとMCH鋳型ベクターの両方の制限消化は、選択されたネオエピトープ配列をMHC鋳型配列に挿入するライゲーション反応を可能にする。ライゲーション反応は大腸菌に形質転換され、形質転換された大腸菌から調製されたプラスミドは、哺乳動物生成細胞トランスフェクション反応に使用される。
【
図5】MHC鋳型に選択されたネオエピトープ配列を挿入する制限消化クローニング反応の例示的な代替形態の略図である。2つの相補的NeoEをコードするプライマーを5’および3’制限酵素認識部位の一部とともに合成する。これらのプライマーをアニーリングし、制限消化からの突出部をシミュレートする。次に、事前に切断されたベクター(突出末端に5’リン酸基を厳密に保持している)を、アニールしたNeoE挿入物とライゲーションし、ライゲーション産物をプラスミド生成のために大腸菌に形質転換する。
【
図6】MHC鋳型に選択されたネオエピトープ配列を挿入するための例示的なPCRベースの方法の略図である。2つの相補的NeoEをコードするプライマーである、MHC鋳型中の第2のユニバーサル部位のための3’配列を有するフォワードプライマー;およびMHC鋳型中の第1のユニバーサル部位の相補配列のための3’配列を有するリバースプライマーを合成する。これらのプライマーを、第1のユニバーサル配列部位を有するMHC鋳型の5’断片、および第2のユニバーサル部位とcomPACTミニ遺伝子の残りを有するMHC鋳型の第2の断片と混合する。第1のPCR増幅サイクルは、2つのヌクレオチド断片を生成する。一方の断片は、下流のネオエピトープを有する第1のユニバーサル部位領域をコードし、他方は、ネオエピトープ、続くcomPACT遺伝子の残りをコードする。これらの2つの断片は、固有のネオエピトープ配列で重なり合い、次にアセンブルし、完全なアセンブルを増幅し、トランスフェクションのためにクリーンアップする。
【
図7】7日間の時間経過にわたってcomPACT遺伝子(Neo12)がトランスフェクトされた30mLの哺乳動物細胞における総タンパク質発現、およびHis-タグを検出するNTA-HRP試薬を用いたウエスタンブロットを示す図である。
【
図8】Neo12 comPACTタンパク質のNi-NTAアフィニティークロマトグラフィー精製のゲルを示す図である。Preはクルード溶解物を表し、FTはフロースルーを表し、Wは洗浄を表し、Eは溶出を表す。
【
図9】精製されたNeo12タンパク質のサイズ排除クロマトグラフィースペクトルを示す図である。主要なピークは、Neo12タンパク質であり、微小ピークは、ビオチン化工程で付加されたATPである。
【
図10】0.7細胞培養体積を用いた、
図8に示されたものと同様の精製実験を示す図である。
【
図11】8つの異なるNeoE comPACTタンパク質のクルードタンパク質および精製タンパク質を示す図であり、各々は異なる抗原配列を有する。
【
図12】
図11の8つのNeoE comPACTタンパク質のサイズ排除クロマトグラフィースペクトルを示す図である。
【
図13A-B】
図13Aは、プラスミドから生成されたNeoE comPACTタンパク質(プラスミド)と比較して、
図6に記載されるPCRアセンブリ法を用いて生成されたNeoE comPACTタンパク質(線形アンプリコン)を示す図である。
図13Bは、PCRアセンブリ法によって生成された線形アンプリコンのDNAゲルを示す図である。各レーンは、異なるネオエピトープ配列を有するcomPACTミニ遺伝子を含有する。
【
図14】comPACTタンパク質の完全なビオチン化を試験するためのストレプトアビジンビーズプルダウンアッセイを示す図である。
【
図15】ストレプトアビジン-HRPを用いてウエスタンブロットを介して可視化した、クルード細胞溶解物中の異なるcomPACTタンパク質のビオチン化を示す図である。
【
図16A-C】大腸菌におけるBirA酵素(16Bおよび16C)およびTEVプロテアーゼ(16A)の生成および精製を示す図である。
【
図17】BirAを用いたcomPACTタンパク質のビオチン化(レーン2)、およびTEVプロテアーゼを用いたHis6タグの切断(レーン3)を示す図である。未処置のcomPACTタンパク質をレーン1に示す。
【
図18】V5発現に基づいてBirAおよびV5で形質導入された細胞の細胞選別を示す図である。
【
図19】多量体化comPACTタンパク質を用いたT細胞の抗原特異的捕捉を示す図である。
【
図20】S88Cβ2M comPACTタンパク質を用いたcomPACT NTAmer生成を示す図である。
【
図21】Cy5のS88C comPACTタンパク質モノマーへのカップリングを示す図である。
【
図22A-B】
図22Aは、comPACTポリヌクレオチドを製造するためのクローニング戦略の例示的な略図を示す。
図22Bは、824個の個々のcomPACTポリヌクレオチドから得られた配列検証統計を提供する図である。
【
図23】comPACTタンパク質の代表的な選択のためのタンパク質発現および精製を示す図である。
【
図24】comPACTポリヌクレオチドおよびタンパク質を製造するためのワークフローの例示的な略図を提供する。
【
図25】BirAを用いたEBVおよびMART-1 comPACTタンパク質のビオチン化を示す図である。
【
図26A-B】comPACT HLAレパートリーサイズに対する米国の上位HLA I対立遺伝子によってカバーされる患者のパーセントを示す図である。
【
図27A】comPACTタンパク質の代表的な選択のためのcomPACTタンパク質の単分散性、収率、および発現を示す図である。
【
図27B】comPACTタンパク質の代表的な選択のためのcomPACTタンパク質の単分散性、収率、および発現を示す図である。
【
図27C】comPACTタンパク質の代表的な選択のためのcomPACTタンパク質の単分散性、収率、および発現を示す図である。
【
図28A-C】Cy5およびHisタグで修飾されたneo12 comPACT分子が、neo12 TCR編集T細胞に結合することを示す図である。
【
図29A-D】Neo12 NTAmerが抗原特異的な様式でT細胞に結合し、イミダゾールの存在がNTAmerの結合を妨げることを示す図である。
【
図30A-D】MART-1 NTAmerが抗原特異的な様式でT細胞に結合することを示す図である。
【
図31A-C】F5 TCR編集T細胞が、イミダゾールによるNTAmer破壊後に急速なCy5シグナル減衰を示すことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
定義
特許請求の範囲および明細書において使用される用語は、別段の規定がない限り、下記のように定義される。
【0068】
本明細書に開示される組成物および方法の実施形態は、コグネイトT細胞とペアリングすることができる組換え抗原-MHC複合体を含む。本明細書で使用される場合、「抗原-MHC」、「抗原-MHC複合体」、「組換え抗原-MHC複合体」、「ペプチドMHC」、および「p/MHC」は、MHCの抗原結合溝内のペプチドとの主要組織適合性複合体を指すために互換的に使用される。
【0069】
本明細書で使用される場合、「抗原」は、患者特異的なネオ抗原を含む任意の抗原を含む。「抗原ペプチド」とは、MHC分子に結合することができるペプチドまたはペプチド断片を指す。「ネオ抗原」とは、ネオ抗原またはネオ抗原の提示を、その対応する野生型抗原とは異なるようにする、少なくとも1つの変更、例えば、ポリペプチド配列における突然変異、差異が翻訳後修飾である、または発現レベルにおける差異を有する抗原を指す。「腫瘍ネオ抗原」とは、腫瘍またはがん、例えば、患者の腫瘍に由来するネオ抗原を指す。
【0070】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」とは、ssDNA、dsDNA、ssRNA、dsRNA、またはmRNAを指すことができる。当業者は、例えば、ポリヌクレオチドが使用されている状況に基づいて、どの形態が参照されているかを理解することができる。
【0071】
用語「in vivo」とは、細胞を含む、生存生物において起こるプロセスを指す。
【0072】
用語「哺乳動物」とは、本明細書で使用される場合、ヒトと非ヒトの両方を含み、限定されないが、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、マウス、ウシ、ウマ、およびブタを含む。
【0073】
用語「同一性」パーセントとは、2つ以上の核酸またはポリペプチド配列との関連で、以下に記載される配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTPおよびBLASTNまたは当業者に利用可能な他のアルゴリズム)のうちの1つを用いて、または目視検査によって測定した場合、最大一致のために比較および整列された場合に同一であるヌクレオチドまたはアミノ酸残基の特定のパーセンテージを有する2つ以上の配列またはサブ配列を指す。用途に応じて、「同一性」パーセントは、比較される配列の領域、例えば、機能ドメインにわたって存在することができるか、または、あるいは比較されるべき2つの配列の完全長にわたって存在することができる。
【0074】
配列比較のためには、典型的には、1つの配列が、試験配列が比較される参照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験および参照配列がコンピュータに入力され、必要に応じてサブ配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。次に、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列(複数可)の配列同一性パーセントを計算する。
【0075】
比較のための配列の最適アラインメントは、例えば、Smith & Waterman、Adv.Appl.Math.2巻:482頁(1981年)の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman & Wunsch、J.Mol.Biol.48巻:443頁(1970年)の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson & Lipman、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85巻:2444頁(1988年)の類似性検索法によって、これらのアルゴリズムによるコンピュータによる実行(GAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA;Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、Wis.)によって、または目視検査(一般的には、下記Ausubelらを参照されたい)によって行うことができる。
【0076】
配列同一性パーセントおよび配列類似性を決定するために適切なアルゴリズムの一例は、Altschulら、J.Mol.Biol.215巻:403~410頁(1990年)に記載されるBLASTアルゴリズムである。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて公開されている。
【0077】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、複数の参照を含むことに留意されたい。
【0078】
他の解釈規約
本明細書中に列挙された範囲は、列挙されたエンドポイントを含めて、その範囲内の全ての値についての簡略化であると理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、および50からなる群からの任意の数、数の組み合わせ、または部分的範囲を含むと理解される。例えば、1~50の部分的範囲は、2~40、5~25、および10~20を含むことができる。
【0079】
ヌクレオチドおよびペプチド組成物
T細胞媒介性免疫は、細胞表面に主要組織適合性複合体(MHC)中の抗原を提示するそれらの細胞において死を誘導することができる抗原特異的細胞傷害性T細胞の活性化によって特徴付けられる。抗原を負荷されたMHC複合体を提示するこれらの細胞には、ウイルス感染細胞、細胞内細菌を有する細胞、タンパク質の細胞外供給源を内在化したまたは貪食した細胞、および腫瘍抗原を提示するがん細胞が含まれる。
【0080】
天然クラスI MHC重鎖は、約350個のアミノ酸を含み;天然β2-ミクログロブリンは、約100個のアミノ酸を含み;クラスI抗原ペプチドは典型的には約7~約15個のアミノ酸の長さを有する。クラスI重鎖は、ヒトではHLA-A、-Bおよび-C、マウスではH-2K、D、およびLと呼ばれる主要組織適合性複合体の遺伝子によってコードされる。クラスI重鎖およびβ2-ミクログロブリンは、別々に異なる染色体上にコードされる。抗原ペプチドは、通常、例えば、ウイルス、細菌、またはがん細胞などのタンパク質源からの細胞によって処理される。ヒトにおけるHLA-A、-Bおよび-C MHC遺伝子、ならびにマウスのH-2K、DおよびL MHC遺伝子によってコードされるポリペプチドについて、多様な変異体が同定されている。
【0081】
本明細書に開示される方法の実施形態は、選択された抗原(例えば、ネオ抗原)が、β2-ミクログロブリン(β2M)およびMHC重鎖を含むMHC複合体に連結される単一分子を製造する方法に関する。異なるMHC重鎖をβ2M分子に連結させて、様々な数のMHC鋳型を形成することができる。抗原挿入部位に隣接するユニバーサル標的配列を利用することにより、制限消化またはPCRベースのアセンブリを介して抗原をMHC鋳型に挿入する本明細書に開示される方法は、例えば、所与の患者に個別化することができるハイスループット法において、異なる抗原-MHC複合体のライブラリーを構築する能力をもたらす。これらの例示的な複合体は、用語「comPACTs」に含まれ、次に、例えば、患者特異的なネオ抗原を標的とする患者特異的なT細胞集団の単離および同定に使用するために、粒子、バーコード粒子、または表面に連結することができる。抗原-MHC複合体を連結する方法およびこのような複合体の使用は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年3月8日出願のPCT/US2018/021611に開示されている。
【0082】
ペプチド-MHC複合体
簡単に述べれば、本明細書で使用される場合、「comPACTs」とは、ユニバーサル標的配列、抗原ペプチド、第2のユニバーサル標的配列、β2-ミクログロブリン、ならびにMHCディスプレイ部分を形成する、例えばα1、α2、およびα3ドメインを含むMHCクラスI重鎖を含む単一のポリペプチド融合体を指す。MHCディスプレイ部分は、組換えMHC分子を含むことができる。ある実施形態では、comPACTは、各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国出願公開第2009/0117153号および米国出願公開第2008/0219947号に記載されるジスルフィドトラップを含むことができる。comPACTによって形成される抗原-MHC複合体は、コグネイトTCR分子によって認識することができるように抗原の提示をもたらす。一部の実施形態では、MHC複合体は、CD8陽性(CD8+)T「キラー」細胞とペアリングするMHCクラスI(MHC I)複合体であり得る。一部の実施形態では、MHC複合体は、CD4陽性(CD4+)T細胞とペアリングするMHCクラスII(MHC II)複合体であり得る。各comPACTにコードされるMHC対立遺伝子は、他のMHC IまたはII対立遺伝子と容易に交換することができ、任意のMHCハプロタイプの患者からのT細胞の抗原性調査を可能にする。
【0083】
一部の実施形態では、comPACTのMHCクラスI重鎖配列は、プロリン以外の非芳香族アミノ酸でのtyr-84の置換などの1つ以上のアミノ酸の置換、付加、および/または欠失を含むことができる。これらの実施形態では、アミノ酸置換は、ロイシン、イソロイシン、バリン、セリン、スレオニン、アラニン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、アルギニン、セリンもしくはグリシンなどの標準遺伝コードによりコードされるアミノ酸であり得、または修飾されたもしくは異常なアミノ酸であり得る。一実施形態では、comPACTのMHCクラスI重鎖配列は、チロシン-84からアラニンへの置換を含む。別の実施形態では、comPACTのMHCクラスI重鎖配列は、チロシン-84からシステインへの置換を含む。
【0084】
一部の実施形態では、MHC対立遺伝子は膜貫通ドメインを欠損している。一部の実施形態では、MHC対立遺伝子は細胞質ドメインを欠損している。一部の実施形態では、MHC対立遺伝子は、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを欠損している。一部の実施形態では、HLA対立遺伝子は膜貫通ドメインを欠損している。一部の実施形態では、HLA対立遺伝子は細胞質ドメインを欠損している。一部の実施形態では、HLA対立遺伝子は、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを欠損している。
【0085】
任意のMHCまたはHLA対立遺伝子は、本明細書に記載されるcomPACTにおいて使用され得る。例示的なHLA対立遺伝子は、限定されないが、HLA-A*01:01、HLA-A*02:01、HLA-A*03:01、HLA-A*24:02、HLA-A*30:02、HLA-A*31:01、HLA-A*32:01、HLA-A*33:01、HLA-A*68:01、HLA-A*11:01、HLA-A*23:01、HLA-A*30:01、HLA-A*33:03、HLA-A*25:01、HLA-A*26:01、HLA-A*29:02、HLA-A*68:02、HLA-B*07:02、HLA-B*14:02、HLA-B*18:01、HLA-B*27:02、HLA-B*39:01、HLA-B*40:01、HLA-B*44:02、HLA-B*46:01、HLA-B*50:01、HLA-B*57:01、HLA-B*58:01、HLA-B*08:01、HLA-B*15:01、HLA-B*15:03、HLA-B*35:01、HLA-B*40:02、HLA-B*42:01、HLA-B*44:03、HLA-B*51:01、HLA-B*53:01、HLA-B*13:02、HLA-B*15:07、HLA-B*27:05、HLA-B*35:03、HLA-B*37:01、HLA-B*38:01、HLA-B*41:02、HLA-B*44:05、HLA-B*49:01、HLA-B*52:01、HLA-B*55:01、HLA-C*02:02、HLA-C*03:04、HLA-C*05:01、HLA-C*07:01、HLA-C*01:02、HLA-C*04:01、HLA-C*06:02、HLA-C*07:02、HLA-C*16:01、HLA-C*03:03、HLA-C*07:04、HLA-C*08:01、HLA-C*08:02、HLA-C*12:02、HLA-C*12:03、HLA-C*14:02、HLA-C*15:02、およびHLA-C*17:01を含む。当該技術分野において公知である任意の他の適切なHLA対立遺伝子は、本明細書に記載されるcomPACTにおいて使用することができる。
【0086】
β2-ミクログロブリン(β2M)は、組換えβ2M分子を含み得る。一部の実施形態では、β2M配列は、上記されるように、1つ以上のアミノ酸置換、付加、および/または欠失を含むことができる。一実施形態では、この置換は、セリン-88からシステインへの置換を含む。
【0087】
hGHシグナル配列、ダミーネオ抗原挿入物、HLA*A02:01対立遺伝子、AviTagペプチド、TEV切断部位、および連接されたHisタグを有する例示的なcomPACTタンパク質のためのアミノ酸およびヌクレオチド配列を下記の表1に示す。
【0088】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチド分子は、5’から3’の方向に、(i)プロモーター配列、(ii)配列番号3に示される配列を含む第1のユニバーサル標的配列、(iii)抗原ペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、抗原ペプチドが腫瘍ネオ抗原であるヌクレオチド配列、(iv)配列番号4に示される配列を含む第2のユニバーサル標的配列、(v)配列番号106に示される配列を含むβ2M配列、(vi)配列番号109~174に示される配列からなる群から選択される配列を含むMHC対立遺伝子配列、(vii)配列番号29に示される配列を含む第1の親和性タグ配列、(viii)配列番号31に示される配列を含むプロテアーゼ切断部位配列、および(ix)配列番号35に示される配列を含む第2の親和性タグ配列を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド分子は、5’から3’の方向に、(i)プロモーター配列、(ii)配列番号3に示される配列を含む第1のユニバーサル標的配列、(iii)抗原ペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、抗原ペプチドは腫瘍ネオ抗原であるヌクレオチド配列、(iv)配列番号4に示される配列を含む第2のユニバーサル標的配列、(v)配列番号106に示される配列を含むβ2M配列、(vi)配列番号109~174に示される配列からなる群から選択される配列を含むMHC対立遺伝子配列を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド分子は、5’から3’の方向に、(i)プロモーター配列、(ii)配列番号3に示される配列を含む第1のユニバーサル標的配列、(iii)抗原ペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、抗原ペプチドは腫瘍ネオ抗原であるヌクレオチド配列、(iv)配列番号4に示される配列を含む第2のユニバーサル標的配列、(v)β2M配列、(vi)配列番号109~174に示される配列からなる群から選択される配列を含むMHC対立遺伝子配列、(vii)第1の親和性タグ配列、(viii)プロテアーゼ切断部位配列、および(ix)第2の親和性タグを含む。
【0089】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、5’から3’の方向に、(i)配列番号2に示される配列を含むプロモーターペプチド、(ii)第1のユニバーサル標的ペプチド、(iii)抗原ペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、抗原ペプチドは腫瘍ネオ抗原であるヌクレオチド配列、(iv)第2のユニバーサル標的ペプチド、(v)配列番号105に示される配列を含むβ2Mペプチド、および(vi)配列番号38~103に示される配列を含むMHCペプチドを含む。
【0090】
ユニバーサル配列
抗原ペプチドは、一般的に、ユニバーサルな標的配列またはそれらの一部に隣接する。これらの配列は、ポリヌクレオチドMHC鋳型中にヌクレオチドをコードする抗原ペプチドを置換または挿入するための迅速なハイスループット法を可能にする。ユニバーサル配列は、制限消化ベースのクローニングのための制限酵素認識部位を含み得る。例示的な制限酵素認識部位は、限定されないが、NotI、BamHI、BlpI、BspEI、BstBI、Xbal、HindIII、EcoRI、ApaI、NotI、およびそれらの任意の組合せを含む。ある態様では、1つ以上のユニバーサル標的配列は、操作される遺伝物質中に存在せず、例えば、標的外効果を減少もしくは排除し、および/または特異性を増加させる。
【0091】
ユニバーサル標的配列は、4~100、4~15、15~40、15~35、15~30、20~40、25~40、30~40、15~75、50~100、50~75、75~100、25~50、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、または90~100ヌクレオチド長であり得る。ユニバーサル配列は、少なくとも4、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100ヌクレオチド長であり得る。一部の実施形態では、ユニバーサル標的配列は、4~8ヌクレオチド、例えば、4、5、6、7、または8ヌクレオチド長である。他の実施形態では、ユニバーサル標的配列は、25~35ヌクレオチド、例えば、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35ヌクレオチド長である。他の実施形態では、ユニバーサル標的配列は、35~75ヌクレオチド長であり、例えば、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、または75ヌクレオチドである。他の実施形態では、ユニバーサル標的配列は、少なくとも約15ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、同一でない少なくとも2つのユニバーサル標的配列を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、同一である少なくとも2つのユニバーサル標的配列を含む。
【0092】
【0093】
一部の実施形態では、ユニバーサル標的配列は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー標的配列またはプライマー結合部位を含む。当該技術分野において公知であるユニバーサルプライマー配列は、本明細書に開示される組成物および方法において使用することができ、または配列は、前述のユニバーサルプライマー配列とは異なることができる。
【0094】
一部の実施形態では、第1および/または第2のユニバーサル標的配列は、制限酵素切断部位を含む。
【0095】
リンカー
様々な実施形態では、comaPACTは、抗原ペプチドセグメントとβ2-ミクログロブリンセグメントとの間に介在する第1の可撓性リンカーを含むことができる。このようなリンカーは、抗原ペプチドセグメントのカルボキシル末端からβ2-ミクログロブリンセグメントのアミノ末端まで、またはその逆で伸長し、接続することができる。理論に制限されることなく、comPACTが発現された場合、連結されたペプチドリガンドは結合溝にフォールドされ、機能的comPACTタンパク質を生じることができる。種々の実施形態では、このリンカーは、少なくとも約4個のアミノ酸から最大約20個までのアミノ酸、例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個のアミノ酸を含むことができる。
【0096】
様々な実施形態では、coma PACTは、β2-ミクログロブリンセグメントとMHC重鎖セグメントとの間に介在する第2の可撓性リンカーを含むことができる。このようなリンカーは、β2-ミクログロブリンセグメントのカルボキシル末端から重鎖セグメントのアミノ末端まで、またはその逆で伸長し、接続することができる。理論に制限されることなく、comPACTを発現させた場合、β2-ミクログロブリンおよび重鎖は結合溝にフォールドされ、T細胞拡大の促進に機能し得る分子を生じることができる。種々の実施形態では、このリンカーは、少なくとも約4個のアミノ酸から最大約20個までのアミノ酸、例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個のアミノ酸を含むことができる。
【0097】
様々な実施形態では、comPACTは、MHC重鎖セグメントと精製クラスターとの間に介在する第3の可撓性リンカーを含むことができる。このようなリンカーは、重鎖セグメントのカルボキシル末端から精製クラスターのアミノ末端まで伸長し、接続することができ、またはその逆も可能である。
【0098】
当該技術分野において公知である任意の適切な可撓性リンカー配列を使用することができる。このようなリンカー配列は、限定されないが、GS、SG、GGGGS(G4S)、GGGS(G3S)、GSGGS、 またはGCGGS配列モチーフの1つ以上の反復単位を含むグリシン-セリン配列を含む。リンカー配列モチーフの複数の連続した単位を使用することができる。一部の実施形態では、可撓性リンカー配列は、適切なリンカー配列の1、2、3、4、5、6、7、8、または10個の反復単位を含む。
【0099】
リンカーはまた、システイン残基がジスルフィドトラップを形成するように、リンカー配列とMHC対立遺伝子配列との間のジスルフィド結合のためのシステイン残基を含むことができる。一部の実施形態では、リンカー配列または第2のユニバーサル標的ペプチドは、システイン残基を含む。一部の実施形態では、リンカー配列または第2のユニバーサル標的ペプチドは、MHC対立遺伝子とジスルフィド結合を形成するシステイン残基を含む。
【0100】
シグナル配列
種々の実施形態では、comPACTポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、シグナル配列、例えば、ポリヌクレオチドの場合にはシグナルペプチドをコードするシグナル配列を含み得る。シグナル配列は、分泌シグナル配列であり得る。分泌シグナル配列は、哺乳動物細胞の翻訳タンパク質を分泌経路を介して指向し、翻訳されたタンパク質が細胞の品質制御を受けることを確実にする。分泌シグナルを取り込むことにより、comPACTタンパク質が細胞培地に分泌され、その結果、それらが均一に十分にフォールドされ、培地または清澄な上清からより容易に単離されることを確実にすることができる。
【0101】
一実施形態では、シグナル配列は、ヒト成長ホルモン(hGH)からのシグナル配列である。別の実施形態では、シグナル配列は、hIG1カッパ軽鎖、β2ミクログロブリン(β2M)、またはIL2シグナル配列からのシグナル配列である。β2M(例えば、ヒトβ2M)からのシグナル配列、または当該技術分野において公知である任意の他の真核生物もしくは原核生物シグナル配列を含む、さらなるシグナル配列を使用することもできる。
【0102】
シグナル配列は、10~100、10~20、10~50、10~40、20~40、20~60、40~90、40~60、45~70、50~80、60~90、55~70、60~80、70~80、50~100、60~100、70~100、80~100、または90~100ヌクレオチド長であり得る。シグナルペプチドは、3~33アミノ酸、3~10アミノ酸、10~30アミノ酸、10~20アミノ酸、15~30アミノ酸、または20~30アミノ酸長であり得る。
【0103】
【0104】
一部の実施形態では、シグナル配列は、配列番号1、24、26、または28に示される配列を含む配列を含む。一部の実施形態では、シグナル配列は、配列番号2、23、25、または27に示される配列を含む配列を含む。一実施形態では、シグナル配列は、ヒト成長ホルモン(HGH)シグナル配列をコードする。別の実施形態では、シグナル配列は、配列番号1に示される配列を含む。別の実施形態では、シグナル配列は、配列番号2に示される配列を含む。
【0105】
プロモーター
comPACTポリヌクレオチド組成物は、例えば、宿主細胞によって翻訳され得るmRNA転写物の転写のためのプロモーターをさらに含み得る。プロモーターは、起源が原核生物または真核生物(例えば、哺乳動物)であり得る。EF1α、サイトメガロウイルス(CMV)、またはSV40などの、細胞における遺伝子転写のための任意の適切なプロモーターを使用することができる。一部の実施形態では、comPACTポリヌクレオチドは、CMVプロモーターを含む。
【0106】
種々の実施形態では、ポリヌクレオチド配列の5’末端は、第1のユニバーサル標的の5’末端に連結されたプロモーター配列をさらに含む。一部の実施形態では、プロモーター配列は、CMV、EF1α、およびSV40プロモーターからなる群から選択される。一実施形態では、プロモーター配列は、CMVプロモーター配列である。一実施形態では、プロモーター配列は、配列番号37に示される配列を含む配列を含む。
【0107】
親和性タグ
comPACTポリヌクレオチド組成物は、親和性タグまたはペプチドをコードする少なくとも1つの配列をさらに含み得る。一部の実施形態では、comPACTポリヌクレオチドは、少なくとも2つの親和性タグまたはペプチド配列を含む。
【0108】
任意の適切な親和性タグまたはペプチドをcomPACTポリヌクレオチドまたはポリペプチドに使用することができる。このようなペプチドには、限定されないが、AviTag、ストレプトアビジン-タグ、ポリヒスチジン(His6)-タグ、FLAG-タグ、HA-タグ、およびMyc-タグが含まれる。ポリヌクレオチドcomPACT遺伝子中の配列は、典型的には、comPACTポリペプチド中のペプチドに翻訳される。これらのエピトープは、発現されたcomPACTポリペプチドのアフィニティークロマトグラフィー精製または定量に用いることができる。例えば、His6タグを用いて、Ni-NTAアフィニティークロマトグラフィーによりcomPACTタンパク質を精製することができる。一部の実施形態では、Hs6タグは、任意選択的なリンカー配列を有する、複数のHis6単位を含む、連接されたHis6タグであり得る。第1および第2の親和性タグは、同一であり、すなわち、両方がHis6タグであり、もしくは両方がHAタグであり得、またはそれらは、異なるタグであり、すなわち、ストレプトアビジンタグおよびHis6タグであり得る。
【0109】
さらに、AviTagは、BirA酵素によって認識されるビオチン化部位をコードする。このペプチド配列をタンパク質に含めることにより、BirAによる酵素的修飾を介した配列のビオチン化が可能になる。したがって、AviTag配列およびHis6タグを含むcomPACTポリペプチドをビオチン化し、His6タグを介してNi-NTAアフィニティークロマトグラフィーにより精製し、精製されたたタンパク質の純度または量をストレプトアビジンまたは他のアビジン試薬を用いて、ビオチン可視化により評価することができる。
【0110】
一部の実施形態では、comPACTポリヌクレオチドは、AviTag配列を含む。一部の実施形態では、comPACTポリペプチドは、AviTagペプチドを含む。一部の実施形態では、comPACTポリヌクレオチドは、His6配列を含む。一部の実施形態では、comPACTポリペプチドは、His6ペプチドを含む。一部の実施形態では、comPACTポリペプチドは、連接されたHis6ペプチドを含む。一部の実施形態では、comPACTポリヌクレオチドは、AviTag配列およびHis6配列を含む。一部の実施形態では、comPACTポリヌクレオチドは、AviTag配列および連接されたHis6配列を含む。一部の実施形態では、comPACTポリペプチドは、AviTagペプチドおよびHis6ペプチドを含む。一部の実施形態では、comPACTポリペプチドは、AviTagペプチドおよび連接されたHis6ペプチドを含む。
【0111】
一部の実施形態では、第1および第2の親和性タグは、AviTag、ストレプトアビジン-タグ、ポリヒスチジン(His6)-タグ、FLAG-タグ、HA-タグ、およびMyc-タグからなる群から選択される。
【0112】
一部の実施形態では、comPACTポリヌクレオチドはFLAG配列を含む。一部の実施形態では、comPACTポリペプチドはFLAGペプチドを含む。一部の実施形態では、comPACTポリヌクレオチドはHA配列を含む。一部の実施形態では、comPACTポリペプチドはHAペプチドを含む。一部の実施形態では、comPACTポリヌクレオチドはMyc配列を含む。一部の実施形態では、comPACTポリペプチドはMycペプチドを含む。一部の実施形態では、comPACTポリヌクレオチドはストレプトアビジン配列を含む。一部の実施形態では、comPACTポリペプチドはストレプトアビジンペプチドを含む。一部の実施形態では、comPACTポリヌクレオチドはAviTag配列およびFLAG配列を含む。一部の実施形態では、comPACTポリペプチドはAviTagペプチドおよびFLAGペプチドを含む。一部の実施形態では、comPACTポリヌクレオチドはAviTag配列およびHA配列を含む。一部の実施形態では、comPACTポリペプチドはAviTagペプチドおよびHAペプチドを含む。一部の実施形態では、comPACTポリヌクレオチドはAviTag配列およびストレプトアビジン配列を含む。一部の実施形態では、comPACTポリペプチドはAviTagペプチドおよびストレプトアビジンペプチドを含む。
【0113】
一部の実施形態では、第1の親和性タグ配列はAviTagペプチドをコードし、プロテアーゼ切断部位配列はTEV切断部位をコードし、第2の親和性タグはFLAGペプチドをコードする。一部の実施形態では、精製クラスターは、AviTagペプチド、TEV切断部位、およびFLAGペプチドを含む。一部の実施形態では、第1の親和性タグ配列はAviTagペプチドをコードし、プロテアーゼ切断部位配列はTEV切断部位をコードし、第2の親和性タグはHAペプチドをコードする。一部の実施形態では、精製クラスターは、AviTagペプチド、TEV切断部位、およびHAエピトープを含む。一部の実施形態では、第1の親和性タグ配列はAviTagペプチドをコードし、プロテアーゼ切断部位配列はTEV切断部位をコードし、第2の親和性タグはMycペプチドをコードする。一部の実施形態では、精製クラスターは、AviTagペプチド、TEV切断部位、およびMycペプチドを含む。一部の実施形態では、第1の親和性タグ配列はAviTagペプチドをコードし、プロテアーゼ切断部位配列はTEV切断部位をコードし、第2の親和性タグはストレプトアビジンペプチドをコードする。一部の実施形態では、精製クラスターは、AviTagペプチド、TEV切断部位、およびストレプトアビジンペプチドを含む。
【0114】
一部の実施形態では、第1の親和性タグ配列はHisペプチドをコードする。一部の実施形態では、第1の親和性タグ配列はFLAGペプチドをコードする。一部の実施形態では、第1の親和性タグ配列はHAペプチドをコードする。一部の実施形態では、第1の親和性タグ配列はMycペプチドをコードする。一部の実施形態では、第1の親和性タグ配列はストレプトアビジンペプチドをコードする。一部の実施形態では、精製クラスターはHisペプチドを含む。一部の実施形態では、精製クラスターはFLAGペプチドを含む。一部の実施形態では、精製クラスターはHAペプチドを含む。一部の実施形態では、精製クラスターはMycペプチドを含む。一部の実施形態では、精製クラスターはストレプトアビジンペプチドを含む。
【0115】
プロテアーゼ切断部位
comPACTポリヌクレオチド組成物は、プロテアーゼ切断部位、例えば、精製クラスターをコードする配列をさらに含み得る。この切断部位は、第1の親和性タグ配列と第2の親和性タグ配列との間にコードされ得、comPACTが発現され、精製のラウンドが終了した後、comPACTタンパク質からの第2の親和性タグの切断を可能にする。当該技術分野において公知である任意の適切なプロテアーゼ切断部位を使用することができ、限定されないが、特に、TEV、トロンビン、第Xa因子、エンテロペプチダーゼ、およびライノウイルス3Cプロテアーゼによって認識される切断部位を含む。
【0116】
一実施形態では、プロテアーゼ切断部位配列は、TEV切断部位配列、トロンビン切断部位配列、第Xa因子切断部位配列、エンテロペプチダーゼ切断部位配列、および/またはライノウイルス3Cプロテアーゼ切断部位配列である。一実施形態では、プロテアーゼ切断部位ヌクレオチド配列は、TEV切断部位をコードする。別の実施形態では、comPACTポリペプチドは、TEVプロテアーゼ切断部位であるENLYFQGを含む。一実施形態では、プロテアーゼ切断部位ヌクレオチド配列は、第Xa因子切断部位をコードする。一実施形態では、プロテアーゼ切断部位ヌクレオチド配列は、ライノウイルス3C切断部位をコードする。一実施形態では、プロテアーゼ切断部位ヌクレオチド配列は、エンテロペプチダーゼ切断部位をコードする。一実施形態では、プロテアーゼ切断部位ヌクレオチド配列は、トロンビン切断部位をコードする。
【0117】
一部の実施形態では、第1の親和性タグ配列はAviTagペプチドをコードし、プロテアーゼ切断部位配列はTEV切断部位をコードし、第2の親和性タグはHis6ペプチドをコードする。一部の実施形態では、精製クラスターは、AviTagエピトープ、TEV切断部位、およびHis6エピトープを含む。一部の実施形態では、第1の親和性タグ配列はAviTagペプチドをコードし、プロテアーゼ切断部位配列はトロンビン切断部位をコードし、第2の親和性タグはHis6ペプチドをコードする。一部の実施形態では、精製クラスターは、AviTagエピトープ、トロンビン切断部位、およびHis6エピトープを含む。一部の実施形態では、第1の親和性タグ配列はAviTagペプチドをコードし、プロテアーゼ切断部位配列は第Xa因子切断部位をコードし、第2の親和性タグはHis6ペプチドをコードする。一部の実施形態では、精製クラスターは、AviTagエピトープ、第Xa因子切断部位、およびHis6エピトープを含む。一部の実施形態では、第1の親和性タグ配列はAviTagペプチドをコードし、プロテアーゼ切断部位配列はエンテロペプチダーゼ切断部位をコードし、第2の親和性タグはHis6ペプチドをコードする。一部の実施形態では、精製クラスターは、AviTagエピトープ、エンテロペプチダーゼ切断部位、およびHis6エピトープを含む。一部の実施形態では、第1の親和性タグ配列はAviTagペプチドをコードし、プロテアーゼ切断部位配列はライノウイルス3C切断部位をコードし、第2の親和性タグはHis6ペプチドをコードする。一部の実施形態では、精製クラスターは、AviTagエピトープ、ライノウイルス3C切断部位、およびHis6エピトープを含む。
【0118】
PolyAテール
comPACTポリヌクレオチド組成物は、ポリアデニル化(ポリA)テールをさらに含むことができる。哺乳動物、真核生物、または原核生物のポリA配列モチーフを使用することができる。この配列は、comPACTポリヌクレオチドが、宿主細胞への直接トランスフェクションのためにPCRを介してアセンブルされる場合に含まれ得る(例えば、発現コンストラクトまたはベクターとの関連でない)。任意の適切なポリAテールおよび配列モチーフは、限定されないが、SV40、hGH、bGH、およびrbGlob配列を含むcomPACTポリヌクレオチドにおいて使用され得る。このような配列には、RNA配列モチーフ:AAUAAが含まれる。一実施形態では、ポリA配列は、bGHポリA配列を含む。一実施形態では、ポリA配列は、bGHポリA配列、SV40ポリA配列、hGHポリA配列、およびrbGlobポリA配列から選択される。一実施形態では、ポリA配列は、SV40ポリA配列を含む。一実施形態では、ポリA配列は、hGHポリA配列を含む。一実施形態では、ポリA配列は、rbGlobポリA配列を含む。
【0119】
抗原配列
抗原配列は、5~100、5~10、10~20、10~30、10~40、10~50、10~60、10~70、10~80、10~90、10~100、20~100、30~100、40~100、50~100、60~100、70~100、80~100、90~100、20~40、20~50、20~60、20~70、20~80、20~19、20~100、20~30、25~35、20~45、30~45、30~50、30~60、30~70、30~80、30~90、30~100、40~50、40~60、45~60、40~70、40~80、40~90、40~100、50~60、50~70、50~80、50~90、50~100、60~70、60~80、60~90、60~100、70~80、80~90、80~100、または90~100ヌクレオチド長であり得る。抗原配列は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100ヌクレオチド長であり得る。抗原ペプチドは、3~50、3~10、5~15、7~15、5~20、7~20、10~15、10~20、15~20、20~25、20~30、25~35、30~40、または40~50アミノ酸長であり得る。抗原ペプチドは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸長であり得る。抗原ペプチドは、腫瘍抗原、ネオ抗原、腫瘍ネオ抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、ホスホ抗原、または微生物抗原を含み得る。一実施形態では、抗原ペプチドはネオ抗原である。抗原ペプチドは、1つ以上の体細胞突然変異を有する抗原を選択するために、患者データから選択され得る。抗原ペプチドの予測には、予測アルゴリズム、および抗原ペプチドまたはネオ抗原とHMC対立遺伝子との結合の予測が含まれ得る。抗原ペプチドの予測については、以下でさらに検討議される。
【0120】
一部の実施形態では、抗原ペプチドをコードするヌクレオチド配列は、20~60、20~30、25~35、20~45、30~45、40~60、または45~60ヌクレオチド長である。他の実施形態では、抗原ペプチドをコードするヌクレオチド配列は、20~30ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、抗原ペプチドは、7~10、8~9、7、8、9、10、11、12、13、14、または15アミノ酸長である。一部の実施形態では、抗原ペプチドは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または20アミノ酸長である。
【0121】
ビオチン化
本明細書に記載されるcomPACTタンパク質は、さらに、任意の適切な方法によってビオチン化され得る。このような方法の1つは、BirAビオチン-タンパク質リガーゼを利用し、市販されている。AvtiTag配列(GLNDIFEAQKIEWHE)として公知である特異的アミノ酸配列は、目的とするタンパク質にコードされている。BirAリガーゼ、d-ビオチンおよびATPは、目的とするタンパク質を含有する反応混合物に添加される。BirAは、ビオチンをAviTag配列のリジンに共有結合によってライゲーションさせ、それにより、目的とするタンパク質をビオチン化する。次に、新たにビオチン化されたタンパク質を精製し、下流の用途に使用することができる。タンパク質をビオチン化する、当該技術分野において公知である他の方法もまた利用することができる。
【0122】
一部の実施形態では、comPACTタンパク質は、精製されたBirAタンパク質によるタンパク質精製後にビオチン化される。一部の実施形態では、comPACTタンパク質は、精製されたBirAタンパク質によるタンパク質精製の間、細胞溶解物中でビオチン化される。精製されたBirAおよび精製されたまたは部分的に精製されたcomPACTタンパク質を用いるこのような方法は、「in vitro」ビオチン化と呼ばれる。一部の実施形態では、comPACTタンパク質は、細胞内でのタンパク質生成中、細胞質内で細胞発現されたBirAタンパク質によって、細胞表面でビオチン化されるか、または細胞培養培地中に分泌される。細胞発現されたBirAおよび未精製のcomPACTタンパク質を用いるこのような方法は、「in vivo」ビオチン化と呼ばれる。
【0123】
発現コンストラクトおよびベクター
comPACTポリヌクレオチド分子は、例えば、プラスミドおよびタンパク質生成のために、発現コンストラクトまたはベクターに挿入することができる。発現コンストラクトまたはベクターは、プラスミドまたはウイルスベクターであり得る。当該技術分野において公知である任意の適切な発現コンストラクトまたはベクターを使用することができ、細菌発現プラスミド、例えば、大腸菌または枯草菌(Bacillus subtilis)プラスミド;真核生物発現ベクター、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)発現ベクター;またはウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター、ワクシニアベクター、もしくはバキュロウイルスベクターが含まれる。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HEK293、Expi293、または任意の他の適切な哺乳動物細胞株などの培養された哺乳動物細胞株において使用するための哺乳動物発現ベクターもまた意図される。さらに、発現コンストラクトまたはベクターは、ヌクレオチドバーコードを含み得る。ヌクレオチドバーコードは、各発現コンストラクトまたはベクターに対して固有であり得る。一部の実施形態では、シグナル配列、ベータ-2-ミクログロブリン、およびMHC対立遺伝子をコードするヌクレオチド配列は、非コードまたはダミー抗原挿入物を有する発現コンストラクトまたはベクターにライゲーションすることができる。次に、この非コード抗原挿入物は、制限消化などの適切なクローニング技術によって除去され得、所望の抗原配列をライゲーションまたは任意の他の適切なクローニング技術を介して挿入することができる。
【0124】
一部の実施形態では、本明細書では、異なるMHC対立遺伝子をコードする2つ以上の異なるベクターを含むライブラリーが提供される。
【0125】
宿主細胞
別の態様では、本明細書では、本明細書に記載されるポリヌクレオチド分子または発現コンストラクトを含む宿主細胞が提供される。宿主細胞は、当該技術分野において公知である任意の適切な宿主細胞であり得、限定されないが、細菌細胞、例えば、大腸菌または枯草菌、または真核生物の宿主細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HEK293、Expi293、HeLa、昆虫細胞株、例えば、Sf9もしくはSf12、または酵母細胞、例えば、ピキア・パストリスが含まれる。宿主細胞はまた、ビオチン化酵素BirAを安定に発現することができる。宿主細胞は、初代細胞または不死化細胞であり得る。
【0126】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは細胞ゲノムに組み込まれる。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは染色体外である。一部の実施形態では、宿主細胞は哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、細胞はヒト細胞である。一部の実施形態では、細胞は、幹細胞、腫瘍細胞、不死化細胞、および胎児細胞からなる群から選択される。一部の実施形態では、宿主細胞は原核細胞である。一部の実施形態では、細胞は大腸菌細胞である。一部の実施形態では、細胞は、BirAタンパク質またはその断片を発現する。
【0127】
ライブラリー
2つ以上の異なるcomPACTポリヌクレオチド分子、ポリペプチド分子、または粒子に結合したポリペプチド分子を含むライブラリーも考慮される。ライブラリーは、2~1000分子を含み得る。一部の実施形態では、ライブラリーは、2~900、2~800、2~700、2~600、2~500、2~480、2~400、2~300、2~200、2~100、2~50、2~66、2~48、2~30、2~20、2~19、10~1000、10~900、10~800、10~700、10~600、10~500、10~480、10~400、10~300、10~200、10~100、10~50、10~66、10~48、10~30、10~20、20~1000、20~900、20~800、20~700、20~600、20~500、20~480、20~400、20~300、20~200、20~100、20~50、20~50、20~66、20~48、20~30、30~1000、30~900、30~800、30~700、30~600、30~500、30~480、30~400、30~300、30~200、30~100、30~50、30~50、30~66、30~48、30~40、40~1000、40~900、40~800、40~700、40~600、40~500、40~480、40~400、40~300、40~200、40~100、40~60、40~50、40~66、40~48、50~1000、50~900、50~800、50~700、50~600、50~500、50~480、50~400、50~300、50~200、50~100、50~60、50~66、60~1000、60~900、60~800、60~700、60~600、60~500、60~480、60~400、60~300、60~200、60~100、70~1000、70~900、70~800、70~700、70~600、70~500、70~480、70~400、70~300、70~200、70~100、70~80、70~90、80~1000、80~900、80~800、80~700、80~600、80~500、80~480、80~400、80~300、80~200、80~100個のポリヌクレオチドまたはポリペプチド分子を含む。一部の実施形態では、ライブラリーは、2~19、48~480、48~66、66~480、220~240、40~60、48~66、50~70、または60~80個のポリヌクレオチドまたはポリペプチド分子を含む。一部の実施形態では、ライブラリーは、少なくとも2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、48、50、55、60、65、66、70、75、80、85、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、600、562、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、または1000個のcomPACTポリヌクレオチドまたはポリペプチド分子を含む。一部の実施形態では、ライブラリーは、2、10、15、20、24、48、66、100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000個のcomPACTポリヌクレオチドまたはポリペプチド分子を含む。分子は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、または粒子に結合したポリペプチドであり得る。一部の実施形態では、2つ以上のポリヌクレオチドまたはポリペプチド分子は、異なる抗原ペプチド配列を有する。一部の実施形態では、2つ以上の分子は、異なる抗原ペプチド配列および異なるMHC分子を有する。
【0128】
一部の実施形態では、ライブラリーは、2つ以上の異なるポリヌクレオチド分子を含み、各々異なるポリヌクレオチド分子は、(i)第1のユニバーサル配列、(ii)抗原ペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、2つ以上のポリヌクレオチド分子の各々に対して同一でないヌクレオチド配列、(iii)第2のユニバーサル標的配列、(iv)β2M配列、および(v)MHC対立遺伝子配列を含む。一部の実施形態では、MHC対立遺伝子配列は、2つ以上のポリヌクレオチド分子の各々に対して同一でない。
【0129】
一実施形態では、ライブラリーは、HLA-A*01:01、HLA-A*02:01、HLA-A*03:01、HLA-A*24:02、HLA-A*30:02、HLA-A*31:01、HLA-A*32:01、HLA-A*33:01、HLA-A*68:01、HLA-A*11:01、HLA-A*23:01、HLA-A*30:01、HLA-A*33:03、HLA-A*25:01、HLA-A*26:01、HLA-A*29:02、HLA-A*68:02、HLA-B*07:02、HLA-B*14:02、HLA-B*18:01、HLA-B*27:02、HLA-B*39:01、HLA-B*40:01、HLA-B*44:02、HLA-B*46:01、HLA-B*50:01、HLA-B*57:01、HLA-B*58:01、HLA-B*08:01、HLA-B*15:01、HLA-B*15:03、HLA-B*35:01、HLA-B*40:02、HLA-B*42:01、HLA-B*44:03、HLA-B*51:01、HLA-B*53:01、HLA-B*13:02、HLA-B*15:07、HLA-B*27:05、HLA-B*35:03、HLA-B*37:01、HLA-B*38:01、HLA-B*41:02、HLA-B*44:05、HLA-B*49:01、HLA-B*52:01、HLA-B*55:01、HLA-C*02:02、HLA-C*03:04、HLA-C*05:01、HLA-C*07:01、HLA-C*01:02、HLA-C*04:01、HLA-C*06:02、HLA-C*07:02、HLA-C*16:01、HLA-C*03:03、HLA-C*07:04、HLA-C*08:01、HLA-C*08:02、HLA-C*12:02、HLA-C*12:03、HLA-C*14:02、HLA-C*15:02、およびHLA-C*17:01対立遺伝子のうちの少なくとも2つ以上を含む。一実施形態では、ライブラリーは、少なくともHLA-A*01:01、HLA-A*02:01、HLA-A*03:01、HLA-A*24:02、HLA-A*30:02、HLA-A*31:01、HLA-A*32:01、HLA-A*33:01、HLA-A*68:01、HLA-A*11:01、HLA-A*23:01、HLA-A*30:01、HLA-A*33:03、HLA-A*25:01、HLA-A*26:01、HLA-A*29:02、HLA-A*68:02、HLA-B*07:02、HLA-B*14:02、HLA-B*18:01、HLA-B*27:02、HLA-B*39:01、HLA-B*40:01、HLA-B*44:02、HLA-B*46:01、HLA-B*50:01、HLA-B*57:01、HLA-B*58:01、HLA-B*08:01、HLA-B*15:01、HLA-B*15:03、HLA-B*35:01、HLA-B*40:02、HLA-B*42:01、HLA-B*44:03、HLA-B*51:01、HLA-B*53:01、HLA-B*13:02、HLA-B*15:07、HLA-B*27:05、HLA-B*35:03、HLA-B*37:01、HLA-B*38:01、HLA-B*41:02、HLA-B*44:05、HLA-B*49:01、HLA-B*52:01、HLA-B*55:01、HLA-C*02:02、HLA-C*03:04、HLA-C*05:01、HLA-C*07:01、HLA-C*01:02、HLA-C*04:01、HLA-C*06:02、HLA-C*07:02、HLA-C*16:01、HLA-C*03:03、HLA-C*07:04、HLA-C*08:01、HLA-C*08:02、HLA-C*12:02、HLA-C*12:03、HLA-C*14:02、HLA-C*15:02、およびHLA-C*17:01対立遺伝子を含む。
【0130】
一部の実施形態では、ライブラリーは、2つ以上の異なるポリペプチド分子を含み、抗原ペプチドは、2つ以上のポリペプチド分子の各々に対して同一でなく、各々異なるポリペプチドは、粒子に結合される。一部の実施形態では、ライブラリーは、各々異なるポリペプチドの同一性と作動可能に関連付けられた固有の定義されたバーコード配列をさらに含む。
【0131】
実施形態は、定義されたバーコード配列を含むバーコード化されたポリヌクレオチドを含むことができる。バーコード化されたポリヌクレオチドは、T細胞単離後に同定するための固有な抗原特異的配列を提供するポリヌクレオチドであり得る。したがって、各々の固有のcomPACTは、固有に定義されたバーコード配列を有する粒子に結合される。これにより、所与の抗原と、その対に固有の所与のバーコードとの間に作動可能な関連性が可能となる。
【0132】
バーコード化されたポリヌクレオチドは、ssDNAまたはdsDNAであり得る。バーコードを含むポリヌクレオチドは、その5’末端で修飾されて、粒子への結合のための結合部分を含むことができる。例えば、バーコード配列を含むポリヌクレオチドは、デキストランなどの粒子に結合したストレプトアビジン-コアに結合するためにビオチン分子にコンジュゲートされる。しかしながら、任意の適切な結合部分は、粒子へのポリヌクレオチドの結合のために使用することができる。本明細書に記載され、当業者によって理解されるように、適切な結合部分対は当該技術分野において公知である。結合部分の非限定的な例としては、チオール、マレイミド、アダマンタン、シクロデキストリン、アミン、カルボキシ、アジド、およびアルキンが挙げられる。
【0133】
粒子
本明細書で使用される場合、「ナノ粒子」または代替的に「粒子」とは、特異的に選別または単離することができ、他の実体を結合させることができる基質を指す。一部の実施形態では、ナノ粒子は、例えば、磁石を使用した単離のために磁性である。一部の実施形態では、磁性ナノ粒子は、磁性酸化鉄を含む。磁性粒子の例としては、限定されないが、Dynabeads(商標)(Thermo Fisher)が挙げられる。一部の実施形態では、ナノ粒子は、例えば、重力によって単離するためのポリスチレン粒子である。他の実施形態では、粒子は、表面、ビーズ、またはポリマーであり得る。ビーズの例としては、限定されないが、アガロースビーズおよびセファロースビーズが挙げられる。特定の実施形態では、粒子またはナノ粒子は、蛍光性であり得、または直接的もしくは間接的にフルオロフォアに結合され得る。
【0134】
ある実施形態によれば、ナノ粒子は、さらなる分子を結合させるための結合部分を用いて修飾される。ナノ粒子の修飾は、ポリヌクレオチドに結合した対応するコグネイト(例えば、相補的)結合部分とペアリングし得る(例えば、共有結合によって結合し得る)結合部分を含む。結合部分の任意の適切な対を用いて、ナノ粒子およびポリヌクレオチド検出タグを結合のために修飾することができる。結合部分対の非限定的な例としては、ストレプトアビジン/ビオチン系、チオール基(例えば、システイン)とマレイミド、アダマンタンとシクロデキストリン、アミノ基とカルボキシ基、およびアジド基とアルキン(alkynl)基が挙げられる。一部の実施形態では、結合部分は、切断部分を含むことができる。他の実施形態では、相補的コグネイト結合部分に結合した結合部分は、可逆的であり得、例えば、還元性チオール基であり得る。例示的な実施形態では、修飾されたナノ粒子は、1μmナノ粒子(例えば、ThermoFisher ScientificからのDynabeads(商標)MyOne(商標)ストレプトアビジンT1ビーズ)などのストレプトアビジンを被覆した磁性ナノ粒子であり、ポリヌクレオチドは、修飾されたナノ粒子への結合のためにビオチン化され得る。
【0135】
粒子は、ビオチン化されたデキストランまたはストレプトアビジンを被覆したデキストランなどのデキストランであり得る。修飾されたデキストランは、Bethuneら、BioTechniques 62巻:123~130頁、2017年3月および米国特許出願公開第2015/0329617号にさらに詳細に記載され、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ビオチン化されたcomPACTは、ストレプトアビジンを被覆したデキストランに結合させることができる。
【0136】
comPACTはまた、ストレプトアビジンコアに結合した1、2、3、または4個のビオチン化されたcomPACTタンパク質を含む四量体にアセンブルさせることができる。四量体はまた、ストレプトアビジンコアに結合したフィコエリトリン(PE)またはアロフィコシアニン(APC)などのフルオロフォアを含むことができる。MHCクラスIおよびII四量体は、当該技術分野において周知である。MHCクラスI四量体は、Burrow SRら、J Immunol、2000年12月1日、165巻(11号)6229~6234頁にさらに詳細に記載され、MHCクラスII四量体は、Nepom GT、J Immunol、2012年3月15日、188巻(6号)2477~2482頁にさらに詳細に記載され、これら両者はそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0137】
ComPACTタンパク質はまた、多量体にアセンブルされ得る。一部の実施形態では、comPACTタンパク質多量体は、ダイマー、三量体、四量体、五量体、六量体、または高次多量体であり得る。一部の実施形態では、多量体は、少なくとも2つ以上のcomPACTタンパク質を含むことができる。一部の実施形態では、多量体は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のcomPACTタンパク質を含むことができる。
【0138】
生成方法
抗原予測
comPACTを製造するために、初期工程の1つは、患者の腫瘍特異的抗原(例えば、ネオ抗原)の同定を含むことができる。次に、この方法によって生成された組成物は、T細胞媒介性免疫プロセス、例えば、患者特異的がん免疫療法において利用することができる。患者の推定ネオ抗原(腫瘍または病原体)を同定するために、インシリコ予測アルゴリズムプログラムを利用して、全ゲノム、全エキソーム、またはトランスクリプトーム配列決定データを含む腫瘍、ウイルス、または細菌の配列決定データを分析して、推定上発現されたネオ抗原に対応する1つ以上の突然変異を同定することができる。さらに、ヒト白血球抗原(HLA)タイピングは、患者の腫瘍または血液試料から決定することができ、このHLA情報は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれるFritschら、2014年、Cancer Immunol Res.、2巻:522~529頁によって検証されるように、MHC結合の予測アルゴリズムにおける同定された推定ネオ抗原ペプチド配列とともに利用することができる。ヒト集団において共通に見出されるHLAはまた、ネオ抗原予測アルゴリズムに含めることができ、例えば、白色人種ではHLA-A*02、24、01;HLA-B*35、44、51;DRB1*11、13、07;アフリカ系ブラジル人ではHLA-A*02、03、30;HLA-B*35、15、44;DRB1*13、11、03;およびアジア人ではHLA-A*24、02、26;HLA-B*40、51、52;DRB1*04、15、09である。HLA対立遺伝子の特異的なペアリングもまた使用することができる。ヒト集団において見出される共通の対立遺伝子は、Bardiら(Rev Bras Hematol Hemoter.2012年;34巻(1号):25~30頁)にさらに記載されている。
【0139】
ネオ抗原を同定する方法のさらなる例には、配列決定と質量分析およびMHC提示予測(例えば、米国出願公開第2017/0199961号)とを組み合わせること、ならびに配列決定とMHC結合親和性予測(例えば、発行された米国特許第9,115,402号)とを組み合わせることが含まれる。さらに、患者試料中にネオ抗原特異的T細胞が存在するかどうかを同定するために有用な方法は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2017/0003288号およびPCT/US17/59598号に記載されるような、本明細書に記載される方法と組み合わせて使用することができる。これらの分析は、コグネイト抗原特異的T細胞をスクリーニングするための常套方法を用いて容易に合成することができる患者の候補ネオ抗原ペプチドのランク付けされたリストをもたらす。
【0140】
プライマーアニーリングおよび制限消化アセンブリ
一般的に、comaPACTポリヌクレオチドの調製は、本明細書に開示される手順によって、ならびに認識された組換えDNA技術、例えば、プラスミドDNAの調製、制限酵素によるDNAの切断、DNAのライゲーション、宿主の形質転換またはトランスフェクション、宿主の培養、ならびに発現された融合複合体の単離および精製によって達成することができる。このような手順は、一般的に公知であり、Sambrookら(前掲)などの標準的な文献に開示されている。
【0141】
一部の態様では、MHCクラスI重鎖をコードするDNAは、例えば、ヒトリンパ芽球様細胞などの適切な細胞株から得ることができる。種々の形状において、クラスI重鎖をコードする遺伝子またはcDNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または当該技術分野において公知である他の手段によって増幅することができる。一部の態様では、PCR産物はまた、リンカーをコードする配列、および/またはこのような配列をライゲーションするための1つ以上の制限酵素部位を含むことができる。
【0142】
一部の実施形態では、comPACTポリヌクレオチドをコードするベクターは、MHC重鎖およびβ2-ミクログロブリンをコードする配列を、抗原ペプチドをコードする配列にライゲーションすることによって調製することができる。抗原ペプチドをコードするDNAは、天然源からDNAを単離することによって、または公知の合成方法、例えば、リン酸トリエステル法によって得ることができる。例えば、Oligonucleotide Synthesis,IRL Press (M.Gait、編集、1984年)を参照されたい。合成オリゴヌクレオチドはまた、市販の自動化オリゴヌクレオチドシンセサイザーを用いて調製することができる。本明細書において検討されるユニバーサル標的配列をコードするDNA配列は、シグナル配列をコードする配列と抗原ペプチドをコードする配列との間に介在され得、第2のユニバーサル標的配列は、抗原ペプチドセグメントをコードする配列とβ2-ミクログロブリンセグメントをコードする配列との間に介在され得る。一部の実施形態では、セグメントは、リガーゼを用いて連結され得る。一部の実施形態では、抗原ペプチドをコードする配列は、適切なポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化され得る。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドキナーゼは、T4ポリヌクレオチドキナーゼである。限定されないが、T7ポリヌクレオチドキナーゼとしても公知であるT4ポリヌクレオチドキナーゼを含む、当該技術分野において公知である任意の適切なポリヌクレオチドキナーゼを使用することができる。
【0143】
PCRアセンブリ
一部の態様では、comPACTは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を介してアセンブルすることができる。制限消化法と同様に、MHC重鎖およびβ2-ミクログロブリンをコードするDNAを適切な供給源から得ることができる。選択されたシグナル配列をコードする第2のDNA断片もまた、適切な供給源から得ることができる。両方のDNA断片は、異なるユニバーサル標的配列を有し得、その結果、1つのユニバーサル配列に対するプライマーは、第2のユニバーサル配列とアニーリングしない。選択された抗原ペプチドをコードする2つの配列を合成することができる;5’末端に抗原配列、および3’末端にMHC DNA断片上のユニバーサルプライマー配列の相補配列を有する1つのフォワードプライマー;ならびに5’末端に選択された抗原配列の逆相補配列、および3’末端にシグナル配列断片からのユニバーサルプライマーの逆相補配列を有する1つの逆プライマー。シグナル配列断片の5’末端およびMHC対立遺伝子断片の3’末端のための4つすべてのDNA断片およびプライマーとのPCR反応は、3’末端にシグナル配列および5’末端に抗原配列を有する断片、ならびに3’末端に抗原配列および3’末端にMHC対立遺伝子を有する断片の2つのDNA断片の増幅をもたらす。さらなるPCR増幅サイクルは、オーバーラップする抗原ペプチド配列をアニーリングさせ、単一の全長DNA断片をもたらすことを可能にする。一部の実施形態では、シグナルペプチド断片は、プロモーター配列をさらに含む。一部の実施形態では、MHC断片は、精製クラスターおよび/またはポリAテールをさらに含む。
【0144】
宿主細胞のトランスフェクション、形質導入、および遺伝子改変
comPACTポリヌクレオチドは、限定されないが、トランスフェクション、形質導入、エレクトロポレーション、リポフェクション、ソノポレーション、機械的破壊、またはウイルスベクターを含む、公知の適切な方法を介して宿主細胞に挿入することができる。例示的なトランスフェクション試薬は、限定されないが、Expifectamine、Lipofectamine、ポリエチレンイミン(PEI)、またはFugeneを含む。いくつかの例において、Expifectamineは、哺乳動物細胞にcomPACTポリヌクレオチドをトランスフェクトするために使用される。
【0145】
comPACTポリヌクレオチドは、宿主細胞において一過性または安定して発現され得る。一部の実施形態では、comPACTポリヌクレオチドは、宿主ゲノムに組み込まれる。他の実施形態では、comPACTポリヌクレオチドは染色体外に残る。当該技術分野において公知である任意の適切な遺伝子編集技術を採用して、CRISPR/Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、またはTALENヌクレアーゼを含むcomPACTポリヌクレオチドを用いて宿主細胞を修飾することもできる。
【0146】
発現
comPACTポリタンパク質を発現させるために、多数の戦略を用いることができる。例えば、comPACTは、制限酵素およびリガーゼの使用による(例えば、Sambrookら(前掲)を参照されたい)などの公知の方法によって、適切なベクターに組み込むことができる。ベクターは、クローニングプロトコールに関連する因子に基づいて選択することができる。例えば、ベクターは、採用される宿主に対して適合性であり、適切なレプリコンを有することができる。適切な宿主細胞は、真核細胞および原核細胞を含み、容易に形質転換し、培養培地中で迅速な増殖を示す細胞であり得る。宿主細胞の例としては、大腸菌および枯草菌などの原核生物、ならびに動物細胞および酵母などの真核生物、例えば、哺乳動物細胞およびヒト細胞が含まれる。comPACTを発現するための宿主として用いることができる哺乳動物細胞の非限定的な例としては、J558、NSO、SP2-O、293T、Expi293、およびCHOが挙げられる。可能な宿主の他の例には、Sf9またはSf12などの昆虫細胞が含まれ、これらは、従来の培養条件を用いて増殖することができる。Sambrookら(前掲)を参照されたい。様々な実施形態では、comPACTポリペプチドを発現する細胞は、公知の方法を用いて同定することができる。例えば、comPACTポリペプチドの発現は、comPACTのMHC重鎖部分に対する抗体プローブ、またはHis6などの親和性タグに対する抗体、またはcomPACTがビオチン化されている場合はストレプトアビジン試薬を用いたELISAまたはウエスタンブロットによって決定することができる。
【0147】
一部の実施形態では、comPACTは哺乳動物細胞において発現される。大腸菌細胞ではなく、哺乳動物細胞においてタンパク質を発現することの利点は多種多様である。大腸菌細胞で発現されるタンパク質は、リポ多糖(LPS)から注意深く精製される必要がある。哺乳動物細胞におけるタンパク質の発現は、精製されたタンパク質のLPS汚染をもたらさない。さらに、哺乳動物細胞は、ジスルフィド結合の適切な形成を含め、適切なフォールドに必要とされる正しい翻訳後修飾を有するタンパク質を生成するため、哺乳動物細胞は、哺乳動物タンパク質を適切にフォールドする可能性が高い。さらに、哺乳動物細胞は、小胞体またはゴルジ体におけるタンパク質のフォールドを補助するために、正しいシャペロンタンパク質を提供する。これは、大腸菌細胞において発現されるタンパク質と比較して、均一に十分にフォールドされたタンパク質の精製の増加をもたらす。
【0148】
comPACTは、実質的にLPSを含まないことができる。comPACTは、LPSを含まないことができ、例えば、comPACTは、当該技術分野において公知であるLPS検出方法を用いて測定した場合、検出可能なLPSを有していないことができる。comPACTはグリコシル化され得る。comPACTは、真核細胞または哺乳動物細胞における発現を介して、例えば、グリコシル化などの1つ以上の翻訳後修飾を介して修飾することができる。comPACTは、1つ以上の翻訳後修飾を含むことができる。comPACTは、(1)LPSを実質的に含まないかまたはLPSを含まない;および(2)グリコシル化され得る。
【0149】
例示的なComPACTワークフロープロセス
図24は、comPACTタンパク質のアセンブリおよび発現の例示的な概略図を示す。所望のネオ抗原ペプチド配列をコードするセンスおよびアンチセンスオリゴを合成し、アニーリングして、5’および3’末端に突出部を有する二本鎖オリゴを形成し、次に、β2M遺伝子およびMHC対立遺伝子を含むプラスミドにライゲーションすることができる。完全なcomPACTオリゴを二本鎖アンプリコンに増幅し、タンパク質発現および任意のビオチン化のために細胞にトランスフェクトすることができる。comPACTタンパク質は、SDS-PAGEを介して評価することができる。次に、ComPACTを大腸菌におけるプラスミド生成のスケールアップのために選択することができる。タンパク質生成細胞に選択されたプラスミドをトランスフェクトし、comPACTsを機能的アッセイに使用するために生成細胞から精製する。
【0150】
精製(クロマトグラフィー)
発現されたcomPACTポリペプチドは、公知の方法によって単離および精製することができる。例えば、His6親和性タグを含むcomPACTは、一般的に公知であり、開示されている手順によって、Ni-NTAカラム上のアフィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。さらに、ヒトHLA配列を含有するcomPACTは、一般的に公知であり、開示されている手順によって、モノクローナル抗体-セファロースカラム上のアフィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。
【0151】
T細胞の単離
別の態様では、本明細書では、抗原特異的T細胞を単離する方法が提供され、本方法は、(a)アミノ末端からカルボキシル末端の方向に、(i)第1のユニバーサル標的ペプチド、(ii)抗原ペプチド、(iii)第1のユニバーサル標的ペプチドとは異なる第2のユニバーサル標的ペプチド、(iv)β2Mペプチド、および(v)MHCペプチドを含むポリペプチドであって、ポリペプチドが1つの粒子に連結されているポリペプチドを提供する工程;(b)1つ以上のT細胞を含むことが分かっているかまたは疑われる試料を提供する工程;(c)ポリペプチドを試料と接触させる工程であって、単一のT細胞が粒子に結合したポリペプチドに結合するのに十分な条件を提供することを含む工程;ならびに(d)粒子と結合した単一のT細胞を単離する工程を含む。
【0152】
本明細書に記載されるcomPACTを用いた患者由来および抗原特異的T細胞の単離および同定は、患者由来のT細胞とのcomPACTタンパク質をインキュベーションすることを含むことができる。一部の実施形態では、少なくとも2つのcomPACTを含むライブラリーを患者由来のT細胞とともにインキュベートすることができる。T細胞は、血液、リンパ節、または腫瘍などの組織から出発する標準的な方法を用いて調製することができる。
【0153】
患者由来のT細胞は、患者の末梢血単核細胞(PBMC)または腫瘍浸潤リンパ球(TIL)から単離することができる。例えば、CD4+とCD8+ T細胞の両方は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を用いて選別されたCD4+およびCD8+単一陽性細胞の生集団を用いて、抗CD4および抗CD8蛍光性抗体によりPBMCまたはTILSから標識および選別されて、CD4+またはCD8+細胞のみを単離することができる。一部の実施形態では、CD4とCD8の両方に対して陽性であるT細胞は、抗CD3蛍光性抗体、次にFACSを用いて単離することができる。当業者は、使用されるcomPACTタンパク質のタイプまたは複数のタイプについて単離するためにT細胞のタイプを決定することができる。
【0154】
comPACTまたはcomPACTライブラリーをT細胞懸濁液とともにインキュベートすることにより、粒子に結合した抗原を種々のT細胞受容体に完全におよび徹底的に曝露することができる。この方法は、細胞の揺動または回転を含み得る。一部の実施形態では、comPACTは粒子と結合する。
【0155】
comPACTまたはcomPACTライブラリーおよびT細胞をインキュベートした後、結合したcomPACT-T細胞複合体を選択的に分別または選択的に回収する。T細胞は、同一のcomPACTライブラリーエレメントの多数の同一コピーに結合する可能性が高く、これらの相互作用に基づいて分別することができる。例えば、comPACTがフルオロフォアを含むか、またはフルオロフォアを有する粒子に結合している場合、単一細胞選別を含む蛍光性関連細胞選別(FACS)を用いて、T細胞を選択的に単離することができる。comPACTを磁性粒子に結合させた場合、懸濁液に磁石を適用することにより、抗原とペアリングしたT細胞と複合化された粒子を分別し、対を形成していないT細胞を除去することができる。あるいは、粒子がポリスチレン粒子である場合、ペアリングしていないT細胞は、重力(例えば、遠心分離)によって分別され得る。ペアリングしていないT細胞を除去した後、一部の実施形態では、分別された結合粒子を少なくとも1回洗浄して、非特異的に結合したT細胞を除去する。
【0156】
ComPACTに結合したT細胞はまた、FACSによってマルチウェルプレートなどの個々の回収容器に分別することができる。個々の回収容器は、単一細胞反応器であり得る。例えば、下流の処理および分析に使用される成分を各単一細胞反応器に添加することができる。comPACTに結合したT細胞は、FACSによってバルク回収容器に分別することができる(例えば、単離されたすべてのT細胞は同じ容器に回収される)。
【0157】
ComPACTに結合したT細胞はまた、微小流体デバイス(すなわち、「液滴発生器」)を生成する液滴を用いて、液滴中で個別に単離することができる。単一細胞をカプセル化するために使用される液滴発生デバイスは、当業者に公知であり、例えば、米国出願公開第2006/0079583号、米国出願公開第2006/0079584号、米国出願公開第2010/0021984号、米国出願公開第2015/0376609号、米国出願公開第2009/0235990号、および米国出願公開第2004/0180346号に記載される。
【0158】
comPACTに結合したT細胞を単一細胞反応器に単離した後(例えば、個々のウェルまたは液滴中で単離した)、comPACTに結合したT細胞の核酸をさらに下流分析のために処理することができる。具体的には、発現されたTCRαおよびTCRβ mRNA転写物は、最初に逆転写によりcDNAに変換することができ、cDNAは、限定されないが、合成技術による配列決定(Illumina)を含む、当業者に公知である次世代シークエンシング(NGS)法のために増幅される。
【実施例】
【0159】
実施例1:制限酵素消化クローニングによるcomPACTミニ遺伝子の設計およびクローニング
制限酵素消化のためのcomPACTミニ遺伝子の構造:
comPACTミニ遺伝子の基本的な例示的な成分は、タンパク質の分泌を指向するシグナル配列、制限酵素認識部位またはプライマー結合部位などのユニバーサル標的配列、抗原ペプチド(またはネオ抗原、NeoE)、第2のユニバーサル標的部位、不変β2M、MHC対立遺伝子の細胞外ドメイン、ならびに酵素的修飾(例えば、ビオチン化)および親和性タグを介したcomPACTの精製を可能にする精製クラスターである。クラスターはまた、プロテアーゼ切断部位、およびペプチド成分間のリンカー配列を含み得る。ミニ遺伝子はまた、ジスルフィドトラップとして作用するシステイン突然変異を含み得る。comPACTミニ遺伝子の略図を
図1に示す。MHC重鎖配列の上流および下流のさらなる制限酵素認識部位を用いて、他のMHC対立遺伝子を挿入して、異なるMHC鋳型を構築し、MHC鋳型のライブラリーを構築することができる(
図2)。シグナル配列、ユニバーサル標的配列、不変β2M、およびMHC対立遺伝子の細胞外ドメインをコードするDNA断片は、ベースMHC鋳型である。
【0160】
制限消化クローニング法のために、各々のcomPACT DNAコンストラクトは、3つのフレーム内に終止コドン、および切断されていないかまたは再ライゲーションされた鋳型の破壊のための固有の制限酵素認識部位を含有するダミー抗原配列挿入物を有するベースMHC鋳型であり(
図3)、そのMHC対立遺伝子と複合体化された抗原ペプチドのライブラリーを迅速にアセンブルするための既製プラットフォームの一部として使用することができる。また、MHC対立遺伝子は、抗原ペプチドのMHCタンパク質とのフォールディングを改良するかまたはその結合を増加させるために、修飾または突然変異(例えば、Y84AまたはY84C)され得る。さらに、β2Mタンパク質はまた突然変異(例えば、S88C)され、チオール色素と結合させることができる。
【0161】
この実施例では、以下の構造:5’末端のNotI制限酵素認識部位;表3に示されるヒト成長ホルモンhGHからのシグナル配列;表2に示される抗原ペプチド領域の上流の制限酵素認識部位Blp1および抗原ペプチド配列の下流のBamHI制限酵素認識部位;主にグリシンおよびセリン残基のリンカー配列(すなわち、Gly-Serリンカー);β2M配列;BspI制限酵素認識部位を有する第2のGly-Serリンカー配列;MHC重鎖;BstBI制限酵素認識部位を有する第3のGly-Serリンカー配列;ならびにAviTag配列、TEV切断部位、および連接されたヒスチジンタグを有する精製クラスターを有するcomPACTミニ遺伝子が示される。
【0162】
comPACTミニ遺伝子の制限消化クローニングおよびアセンブリ
制限消化を介してネオ抗原を挿入する3つの異なる方法を本明細書に記載する。第1では、
図4の略図として示されるように、抗原ペプチド(NeoE)をコードするプライマーは、5’末端の第1の制限酵素認識部位(この実施例ではBlpI)および3’末端の第2の制限酵素認識部位(この実施例ではBamHI)に及ぶ。このプライマーは、第2の制限酵素認識部位をコードするユニバーサルリバースプライマーを増幅し、約70bpのプライマーダイマーを生させる。
【0163】
第2の方法では、抗原ペプチドをコードするプライマーは、第2の制限酵素認識部位を5’末端として広げ、これは抗原の逆相補配列である。このプライマーは、シグナル配列をコードする鋳型DNAから逆方向にプライムする。最初の制限酵素認識部位配列に広げるフォワードプライマーとペアリングして、この反応により70 bpの産物、または抗原部位のより上流の制限酵素認識部位に広げるフォワードプライマーを用いる場合は約140bpの産物が生じる。
【0164】
第1および第2の方法の両方において、挿入物を市販のカラムで洗浄し、適切な制限酵素で消化し、市販のカラムで再度洗浄し、次に、ベクター中で予め消化されたMHC鋳型でライゲーションする。ライゲーション反応は大腸菌に形質転換され、形質転換された大腸菌から調製されたプラスミドは、哺乳動物生成細胞トランスフェクション反応に使用される。
【0165】
実施例2:プライマーアニーリングを介したcomPACTミニ遺伝子の設計およびクローニング
MHC鋳型ベクターライゲーションに関する第3の変形において、PCRおよび制限消化は、2つの逆相補的ネオ抗原をコードするプライマーをアニーリングすることによってバイパスされた。これらのプライマーは、制限消化からの突出部をシミュレートする相補配列で開始および終結する5’および3’末端を有するように設計された(
図5)。センスプライマーおよびアンチセンスプライマーをT4ポリヌクレオチドキナーゼおよびATPとインキュベートして5’末端をリン酸化した(
図22A)。これらのプライマーが互いにアニールした場合、二本鎖オリゴヌクレオチド配列が形成され、それは制限酵素で消化されたかのように突出ヌクレオチドを有する。リン酸化されたネオ抗原挿入物を、ベクター中の事前に切断されたMHC鋳型中にライゲーションした。comPACTミニ遺伝子は、実施例1に記載されたものと同じ構造を有した。次に、ライゲーション生成物を、挟まれたユニバーサルプライマーを用いて線形comPACTアンプリコンのPCR増幅に使用して、完全なcomPACT遺伝子を増幅し、配列を決定した。この方法を用いて独自のネオ抗原配列を有する824個のcomPACTを作製し、生成されたcomPACTの99%より多くが正しいネオ抗原配列を有していた(
図22B)。
【0166】
次に、大腸菌をライゲーション生成物プラスミドで形質転換し、アンピシリンを含有する選択寒天プレート上に播種した。個々のコロニーを抽出し、プラスミド精製のために一晩増殖させ、完全な遺伝子検証のために配列決定した。塩基配列の確認後、プラスミドロットを保管し、大量に増殖させた。
【0167】
あるいは、事前に切断されたMHC鋳型ベクターがその突出末端に5’リン酸基を保持している場合、T4キナーゼは使用されない。次に、アニーリングした抗原挿入物を、切断されたMHCベクターとライゲーションし、ライゲーション生成物をプラスミド生成のために大腸菌に形質転換させることができる。
【0168】
実施例3:PCRアセンブリを介したcomPACTミニ遺伝子の設計およびクローニング
PCRアセンブリのためのcomPACTミニ遺伝子の構造:
ネオ抗原を挿入する第4の方法もまた使用され得る。この方法では、上流プロモーターおよび下流のポリアデニル化シグナルに挟まれたMHC鋳型に、ポリメラーゼ連鎖反応を介してネオ抗原を挿入し、2.5kbのミニ遺伝子を形成する。PCRアセンブリ反応の略図を
図6に示す。
【0169】
この実施例では、以下の構造:5’末端のプロモーター;第1のユニバーサル標的配列を有するシグナル配列;抗原ペプチド;主にグリシンおよびセリン残基を有するリンカー配列(すなわち、GlySerリンカー)を有する第2のユニバーサル標的配列;β2M配列;第2のGly-Serリンカー配列;MHC重鎖対立遺伝子;第3のGly-Serリンカー配列;精製クラスター;およびポリA配列を有するcomPACTミニ遺伝子が示される。この方法では、ユニバーサル標的配列は同じでない。
【0170】
comPACTミニ遺伝子のPCRアセンブリ:
この方法では、選択されたネオ抗原配列を有する2つのプライマー(<60nt)を合成する。第1のプライマーは、5’末端にネオ抗原配列を有し、続いて3’末端に第2のユニバーサル標的配列のストレッチを有する。第2のプライマーは、5’末端にネオ抗原配列の逆相補配列を有し、3’末端に第1のユニバーサル配列の逆相補配列を有する。これらのプライマーは、プロモーター領域、シグナル配列および第1のユニバーサル標的配列をコードするDNA断片、ならびに第2のユニバーサル標的配列、β2M配列、MHC対立遺伝子、精製クラスターおよびポリA配列をコードする別のDNA断片と混合される。各々の抗原ペプチドプライマーはその相補配列にアニーリングし、PCR反応を行い、プロモーター断片またはMHC対立遺伝子断片のいずれかにネオ抗原配列を増幅する。ここで新たに合成されたこれら2つの断片は、各々、ネオ抗原配列を有する。さらなるPCR反応は、プロモーター配列の5’末端およびポリA配列の3’末端のプライマーとともに、ネオ抗原配列を互いにアニールさせ、完全長の線形comPACTアンプリコンのアセンブリをプライムすることを可能にする。
【0171】
次に、完全にアセンブルされた線形comPACTポリヌクレオチドを、哺乳動物生成細胞への直接トランスフェクションのためにクリーンアップし、大腸菌およびプラスミド生成を完全に用いて工程を迂回する。
【0172】
実施例4:プラスミドからのcomPACTタンパク質の発現および精製
タンパク質の発現
ネオ抗原12(neo12)をHLA-A2鋳型配列にライゲーションし、NotIおよびBamHI制限酵素認識部位の制限消化および前述されるライゲーションを介して発現プラスミド(pPACT0010)に挿入した。
【0173】
30mL振盪フラスコ体積中のExpi293哺乳動物生成細胞に、-1日目にExpifectamineトランスフェクション試薬とともにインキュベートしたpPACT0010をトランスフェクトした。Expifectamineトランスフェクションキットに含まれるエンハンサーを0日目に添加した。1日目~7日目に細胞上清から試料を回収し、SDS-PAGEを介して分泌タンパク質について評価し、Safestain(ThermoFisher)を用いて総タンパク質染色を行った。分泌されたcomPACTタンパク質のレベルは3日目まで増加し、その時点でタンパク質分泌は横ばいになった(
図7)。分泌されたcomPACTタンパク質は、その見かけの分子量(=53kDa)により最初に同定され、His6親和性タグを検出するためにNTA-HRPを用いたウエスタンブロットにより確認された。
【0174】
タンパク質の精製
7日目に回収したNeo12 comPACTタンパク質を、His6親和性タグの結合を介してNi-NTAアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。SDS-PAGEおよびSafestainを介して、試料を総タンパク質についてアッセイした。アフィニティーカラムのフロースルー(FT)画分におけるcomPACTタンパク質の欠如は、His6タグが発現および精製中に切断されないことを確認した(
図8)。精製収量は400mg/L培養容量を超えた。
【0175】
Neo12 comPACTタンパク質をビオチン化し(下記の実施例6において検討される)、さらにサイズ排除クロマトグラフィーにより精製した。単一の主要ピークが観察され、このタンパク質は適切にフォールディングされ、単量体であり、凝集はほとんどないことが示唆された(
図9)。2番目のピークは、BirA触媒ビオチン化反応のために添加されたATPである。
【0176】
生成量の最適化および並行生成
comPACTsの生成を、振盪フラスコ中の培養容量30mLから96ディープウェル振盪ブロック中の0.7mLに縮小した。Expi293哺乳動物生成細胞にpPACT0010プラスミドを含有するプラスミドDNAをトランスフェクトし、分泌されたNeo12 comPACTタンパク質を前述のように精製した。精製Neo12 comPACTタンパク質437mg/Lを、30mL精製実験からの400mg/L超の前述の収率と比較して、0.7mLウェル体積から回収した(
図10)。0.7mLの実験からのタンパク質収率は、300μg超のタンパク質に対応し、または典型的なフローサイトメトリー実験に一般的に必要とされるものより約1000倍高い。
【0177】
次に、複数のcomPACTコンストラクトの並行発現を評価した。異なるネオ抗原(ネオ抗原10、15、64、65、66、67、80、83)を有する8種類の異なるcomPACTコンストラクトを、中間処理アッセイとして30mL振盪フラスコに発現させた(
図11)。各々のcomPACTコンストラクトを前述のように細胞にトランスフェクトし、comPACTタンパク質を発現させ、細胞上清に分泌させた。発現したタンパク質を、前述のように精製し、濃縮し、標準化した。クルード上清および濃縮タンパク質の試料を、前述のように、総タンパク質についてアッセイした。comPACTタンパク質をサイズ排除クロマトグラフィーにより精製した(
図12)。2~20mgのタンパク質を含む単一ピークが各タンパク質に対して見られ、またcomPACTタンパク質が適切にフォールディングされ、単量体であることを示唆した。
【0178】
実施例5:線形アンプリコンからのcomPACTタンパク質の発現および精製
前の実施例では、comPACTタンパク質は、哺乳動物生成細胞にトランスフェクトされたプラスミドから発現された。別の手法として、プロモーター配列およびポリA配列に隣接するneo12 comPACTミニ遺伝子(HLA-A2鋳型配列を有するミニ遺伝子にアセンブルされたネオ抗原12)の線形アンプリコンを、96ディープウェルプレート中の0.7mLの生成細胞にトランスフェクトした。対照として、pPACT0010プラスミドもまた別々の生成細胞にトランスフェクトした。両試料からのタンパク質を発現させ、精製し、前述のように総タンパク質についてアッセイした。同様のレベルの発現タンパク質が線形アンプリコンとプラスミドの両方によって生成され(
図13A)、comPACTミニ遺伝子によってコードされるタンパク質はプラスミド中間体を使用することなく生成できることが示唆された。生成細胞の直接トランスフェクションのために、異なるネオエピトープ配列を有する複数の異なるcomPACTミニ遺伝子が作製された(
図13B)。
【0179】
異なるHLA対立遺伝子を有する追加のcomPACTを、実施例2に記載されるアニーリングおよびリン酸化ワークフローを用いて作製した。線形アンプリコンを、挟まれたPCRおよびユニバーサルプライマーを用いて発現ベクターから誘導し、comPACTタンパク質生成のためにExpi293F細胞にトランスフェクトした。
図23は、アニーリングクローニングワークフローを用いて作製された代表的なcomPACTタンパク質のタンパク質ゲルを示す。ComPACTタンパク質をSDS-PAGEゲル上で泳動させ、Safestain(Thermofisher)で染色した。
【0180】
実施例6:comPACTタンパク質のビオチン化
単離したBirA酵素によるcomPACTsのin vitroでのビオチン化
comPACT精製クラスターは、ビオチン化のためのBirA認識配列(Avitag)を含む。精製されたcomPACTタンパク質はビオチン化されていない(BirA処理なし)か、または市販のBirAタンパク質で製造業者の指示に従ってビオチン化された(BirA処理済み)。一晩のBirA酵素処理後、試料を2種類の磁性ストレプトアビジンビーズ(C1およびT1)に結合させ、インキュベートして、ビオチン化タンパク質をストレプトアビジンビーズに結合させた。上清(SN)およびビーズ(「ペレット」、P)をSDS-PAGEを介して分別した。試料を、NTA-HRPを用いたウエスタンブロットを介して、セーフステインを用いて総タンパク質およびcomPACTタンパク質の存在についてアッセイした(
図14)。未処理試料では、comPACTタンパク質が主にSN画分に認められ、ビオチン化されていないことが確認された。ビオチン化試料では、ビオチン化タンパク質とC1ストレプトアビジンビーズとの間の相互作用が最も完全であったが、comPACTタンパク質は、C1とT1ストレプトアビジンビーズの両方のペレット試料中に見出された。ビオチン化されたcomPACTタンパク質は、C1ストレプトアビジンビーズ除去上清中でウエスタンブロットを介して検出されなかったことから、comPACTタンパク質の約100%がビオチン化されていることが示唆された。
【0181】
ComPACTタンパク質はまた、精製前に、清澄化された上清中でビオチン化され得る。複数のcomPACTタンパク質を前述のように生成細胞で発現させた。細胞培養上清を回収し、遠心分離により清澄化した。清澄化された上清を、製造業者の指示に従って市販のBirAタンパク質で処理し、次に、Ni-NTAアフィニティークロマトグラフィーを介して精製し、ビオチン化をウエスタンブロットを介して評価した(
図15)。試験したすべてのcomPACTタンパク質をこの方法を用いてビオチン化し、清澄化された細胞上清中のcomPACTタンパク質のビオチン化が有効であることを示した。
【0182】
comPACTタンパク質のハイスループットビオチン化用に十分なBirAを生成するために、His6タグを有するBirAタンパク質を大腸菌細胞で発現させた。このHis6タグ化BirAを、Ni-NTAアフィニティークロマトグラフィーにより精製し(
図16B)、comPACTタンパク質をビオチン化するために使用することができる。TEV切断可能なHis6タグを有する第2バージョンのBirA-His6もまた発現させ、Ni-NTAアフィニティークロマトグラフィーにより精製した(
図16C)。このBirA-TEV-His6タンパク質は、Ni-NTAを介して精製することができ、His6タグはTEV切断を介して除去され、次にタグがないBirAはビオチン化されたcomPACTタンパク質に使用される。comPACTタンパク質のビオチン化後、タグがないBirAタンパク質は、Ni-NTAアフィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。さらに、ビオチン化されたcomPACTタンパク質生成に使用するために、BirA-TEV-His6(
図16A)とともに使用するためにTEVプロテアーゼを大腸菌において異種的に発現させた。
【0183】
ビオチン化後のcomPACTタンパク質上のHis6タグの切断もまた評価し、その結果を
図17に示した。ComPACTタンパク質をBirAで処理または未処理して、前述のようにそれらをビオチン化した(
図17のレーン1および2)。comPACTタンパク質の3番目の試料をBirAで処理し、次にTEVで処理して、タンパク質上に存在するHis6タグを切断した(レーン3)。試料をSDS-PAGEを介して分別し、総タンパク質をSafestainを介して評価した。3つ全ての試料は、等量のcomPACTタンパク質を有した。comPACTタンパク質のビオチン化およびHis6タグの切断を、ビオチンシグナルのためのSA-HRP試薬およびHis6タグのためのNTA-HRP試薬を用いてウエスタンブロットにより評価した。ビオチン化されていない試料はビオチンシグナルを示さなかったが、His6シグナルを有し、ビオチン化された試料および未脱離の試料は両方のシグナルを有した。ビオチン化およびTEV切断試料はビオチンシグナルのみを有し、His6タグがcomPACTタンパク質から成功裏に切断されたことを示した。
【0184】
BirAを発現する細胞におけるcomPACTのin vivoビオチン化
comPACTsをビオチン化するための第3の手法は、精製前にExpi293生成細胞においてBirAを発現させ、in vivoでcomPACTsをビオチン化することである。Expi293細胞をレンチウイルスベクターで形質導入して、細胞表面形質導入マーカーとして作用するV5に隣接するBirAを共発現させた。V5+について選別された形質導入細胞もまたBirAを発現する(
図18)。これらの細胞は、comPACTタンパク質精製の前にin vivoでビオチン化されたcomPACTを生成するために使用することができる。2つの細胞株を作製し、培地にBirAを分泌するか(Expi293v0223)、または細胞表面にBirAを発現する(Expi293v0263)。小胞体(ER)保持配列KDELに隣接するBirAを発現する3番目の細胞株もまた作製した。
【0185】
in vitroまたはin vivoでのビオチン化手法下でビオチン標識効率を評価するために、ストレプトアビジンプルダウンアッセイを行った。ComPACTタンパク質(EBVまたはMART-1)は、分類された培地をBirA酵素および適切な反応成分(酵素的、in vitro)で処理するか、またはComPACTをBirA(in vivo)と共発現させることによってビオチン化され、ストレプトアビジン被覆ビーズの濃度を増加させながらインキュベートした。ストレプトアビジン(Dynabeads、Thermo Fisher)で被覆した磁気ビーズを、20μgのcomPACTタンパク質試料に添加し、30分間、室温でインキュベートした。磁気ビーズを磁化によりチューブまたはウェルの底部で分離し、上清のタンパク質含有量をSDS-PAGEによりアッセイした。
図25は、SDS-PAGEゲルの結果を示す。ほぼ完全なビオチン化が、精製中にBirA酵素を添加することによって(in vitro)、またはBirA酵素とcomPACTタンパク質を共発現することによって達成することができる(in vivo)。ストレプトアビジンビーズを欠損する試料は、上清中にかなりの量のビオチン化タンパク質を有していたが、増加量のストレプトアビジンビーズを添加すると、上清からほとんどすべてのタンパク質が除去され、comPACTタンパク質のビオチン化が示された。
【0186】
実施例7:comPACTタンパク質を用いた抗原特異的T細胞染色および親和性評価
comPACTを用いた抗原特異的T細胞染色と従来のペプチド-MHCを比較するために、公表されたプロトコールに従ってcomPACTデキストラマーを調製した(Bethune,M.T.ら、BioTechniques 62巻、123~130頁、doi:10.2144/000114525(2017))。T細胞を操作してA2/neo12特異的TCRを発現させ、HLA-A2/neo12ペプチド-MHCデキストラマーまたはHLA-A2/neo12ペプチドcomPACTデキストラマーのいずれかで染色した。comPACTのデキストラマーによる染色は、ペプチド-MHCのデキストラマーと少なくとも同程度の効率であった(
図19)。このデータは、comPACTデキストラマーがTCR配列決定のための抗原特異的T細胞の選別に使用できることを示唆する。
【0187】
実施例8:機能的T細胞アッセイ
NTAmer結合アッセイ
材料および方法
T細胞の抗原特異的捕捉を超えて、comPACTのモジュラー設計および容易な生成は、機能的T細胞アッセイにおけるそれらの使用を容易にする。例えば、β2Mの突然変異バージョン(S88C)の取り込みは、comPACTをマレイミド-色素コンジュゲートで標識し、NTAmerとしてアセンブリさせ、TCR-comPACT結合の速度論的パラメータを測定するために使用することができる。例えば、NTAmerを用いて、生細胞における一価TCR-MHC I結合事象を解決することができる。CD8の結合および免疫シナプスにおける複数のTCR-MHC I相互作用により、T細胞と抗原提示細胞との間の長期間の接触が可能になる。蛍光性色素コンジュゲート-ComPACT NTAmerを細胞とともにインキュベートして、comPACTとTCRとの結合を可能にする。NTAmerのNi-PE粒子成分を、イミダゾールの添加によりcomPACTから解離し、蛍光性comPACTの放出を経時的に測定する。
【0188】
色素コンジュゲーション
S88C突然変異体comPACTタンパク質を構築し、約150mg/Lで発現させた。これらの突然変異体comPACTsは、突然変異していないcomPACTと同様の純度および溶出プロファイルを示した(
図20)。Cy5などの他の色素もまたS88C comPACTにコンジュベートさせることができる。comPACT88C-HisTagモノマーは、Tris(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)で還元され、マレイミド-Cy5とカップリングされて、comPACT88c-Cy5標識モノマーを生じた。
図21は、Cy5で標識されたcomPACTのA280、A260、およびA650の定量化を示す。comPACTに対する色素の比率は67%であった。
【0189】
NTAmerアセンブリ
ビオチン化されたcomPACTは、ビオチン-NTAにニッケル(Ni)を付加し(ビオチン-NiNTA)、次にビオチン-NiNTAおよびPE-ストレプトアビジン(SA)を用いてcomPACT-Cy5をアセンブルさせることにより、PE-ビオチン-NTAビーズに結合した。ビオチン-NiNTAを、5mgのビオチン-NTAを1mLのニッケル負荷溶液(100mMのHEPES pH7.5中の50mMのNiSO4)と混合してNi2+NTA-ビオチン(7nM)を得た。溶液をHBSで希釈して、70μMのNi2+NTA-ビオチン溶液を得た。Ni2+NTA-ビオチン溶液をSA-PE(300kDa)と5回添加して組み合わせ、各添加の間は5分間であった。次に、20μMのCy5-S88C comPACTをNTAmerコアに添加し、10分間、室温で暗所にてインキュベートし、4℃で保存した。Neo12とMART1 comPACTの両方を作製し、NTAmersにアセンブルした。comPACTタンパク質上のHisタグは、それ自身がPE-ストレプトアビジンに結合するNiNTAに結合する。各々のNTAmerは、フルオロフォアを有するストレプトアビジンコアに結合したcomPACTモノマーの複数コピーを含む。NTAmerのアセンブリは、Schmidtら、J.Biol Chem、2011年12月2日、286巻(48号)41723~41735頁、およびSchmidtら、Front Immunol、2013年7月30日 doi:10.3389/fimmu.2013.00218でさらに検討され、これらはいずれもそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0190】
ビオチン化Neo12およびMART1 comPACTタンパク質はまた、PE標識された四量体およびデキストラマーにアセンブルされた。ペプチド結合リフォールドしたMHC I分子はまた、neo12抗原ペプチドとともに、対照としてPE標識デキストラマーにアセンブルされた。ペプチド-MHCタンパク質を四量体およびデキストラマーにアセンブルさせる方法は、当該技術分野において一般的に公知である。
【0191】
T細胞結合
Neo12またはMART1ネオ抗原(neogantigen)に結合するTCRを発現する遺伝子編集T細胞を、1~2×106細胞/mLの密度で1×染色緩衝液(BDウシ血清アルブミン染色緩衝液、BD554657)に再懸濁した。細胞を、アッセイの間、4℃に維持した。NTAmerを、1:50~1:400(v:v希釈)の種々の濃度で、染色緩衝液中のT細胞に添加し、15分間、4℃で暗所にてインキュベートして、多量体化したNTAmerがT細胞に結合できるようにした。T細胞を1×染色緩衝液で2回洗浄して、結合していないNTAmerを除去し、染色緩衝液に再懸濁した。多量体化NTAmerを破壊し、Cy5シグナル減衰をモニターするために、イミダゾール破壊緩衝液(1.452gのイミダゾールおよび50mLの1×Hank緩衝生理食塩水)を添加し、混合し、試料をフローサイトメーターを介して評価してCy5シグナル減衰をモニターした。種々の細胞マーカーの検出のためのさらなる抗体染色を、15分間、4℃で暗所にてT細胞をインキュベートし、1×染色緩衝液中で2回細胞を洗浄することにより行った。次に、IC固定緩衝液(eBioscience IC固定緩衝液、00-8222-49)を用いてT細胞を固定した。
【0192】
結果
最初に、ビオチン化されたcomPACT-Cy5 NTAmerがコグネイトTCRに結合する能力を評価した。Neo12ペプチド結合リフォールドしたMHC I分子、neo12 comPACT分子、またはneo12 NTAmerを、デキストラマーにアセンブルさせ、neo12 TCRを発現するT細胞とともにインキュベートした。各デキストラマー分子の細胞への結合を決定した。
図28Aは、neo12 TCRを発現する遺伝子編集T細胞が、neo12ペプチド結合リフォールドしたMHC I分子デキストラマー(下のプロット、x軸はデキストラマーPEシグナルである)に特異的結合を示し、この結合は、それらの表面でCD3を発現するT細胞集団(上のプロット、x軸はPE-Cy3シグナルである)に対応することを示す。
図28Bは、neo12 TCRを発現する遺伝子編集T細胞が、neo12 comPACT分子のデキストラマー(下のプロット、x軸はデキストラマーPEシグナである)に特異的結合を示し、この結合は、それらの表面でCD3を発現するT細胞集団(上のプロット、x軸はPE-Cy3シグナルである)に対応することを示す。
図28Cは、neo12 TCRを発現する遺伝子編集T細胞が、neo12 comPACT NTAmerデキストラマー(下のプロット、x軸はデキストラマーPEシグナルである)に特異的結合を示し、この結合は、それらの表面でCD3を発現するT細胞集団(上のプロット、x軸はPE-Cy3シグナルである)に対応することを示す。
【0193】
次に、ビオチン化されたcomPACT-Cy5 NTAmerが抗原特異的にTCRに結合する能力を確認した。Neo12またはF5 TCR T細胞をNTAmerとneo12抗原とともにインキュベートした。F5 TCR T細胞を陰性対照として使用した。Neo12 TCR T細胞をまた、neo12 comPACTタンパク質で構成されるデキストラマーとともにインキュベートした。次に、結合したT細胞を、記載されるようにイミダゾールとともにインキュベートし、NTAmerおよびデキストラマーの結合を、前述のように評価した。イミダゾールの添加は、neo12-ComPACT NTAmerのneo12 T細胞に結合する能力を阻害した(
図29A~C)。Neo12 TCR T細胞は、neo12 NTAmer試薬に特異的結合を示した(
図29A、NTAmer Cy5シグナルはy軸である)。neo12-ComPACT NTAmerはNeo12 T細胞に特異的であり、F5 TCRを発現するT細胞には結合しなかった(
図29B)。Neo12 comPACTのデキストラマーはまたneo12 TCR T細胞に結合した(
図29D)。Neo12 TCR T細胞は、イミダゾールの存在下でインキュベートした場合、neo12 NTAmer試薬との結合を示さなかった(
図29C)。これは、S88C修飾されたcomPACT分子からのCy5シグナルを観察するための多量体化試薬の必要性を実証した。
【0194】
また、MART-1 NTAmerを用いて、F5 TCRを発現するように編集されたT細胞の抗原特異的結合を示した(
図30A-D)。
図30Aは、MART-1 comPACTデキストラマーのF5 TCR T細胞への結合を示す。
図30Bは、MART-1 comPACTデキストラマーのM1W TCR T細胞への結合を示す。
図30Cは、MART-1 comPACT NTAmerのF5 TCR T細胞への結合を示す。
図30Dは、MART-1 comPACT NTAmersのM1W TCR T細胞への結合を示す。M1W T細胞へのMART-1 comPACT NTAmerの低レベルの結合は、コグネイト抗原:MHC Iタンパク質に対するM1W TCRの低い親和性に起因する可能性がある。
【0195】
単量体TCR:pMHC-Cy5の解離は、同じペプチド:MHC I複合体(HLA:A02+MART-1)に対する異なるTCR:MHC I結合親和性を有する2つのTCR、MART-1 F5およびM1WのCy5シグナル減衰を測定することにより評価された。F5 TCRを発現するT細胞へのMART1 NTAmerの結合は、NTAmer破壊を誘導するイミダゾールの不存在下で経時的に安定であった(
図31A)。しかしながら、多量体化MART-1 NTAmerをイミダゾールで破壊すると、単量体MART-1 comPACT分子がF5 TCRに時間依存的に解離した(
図31B)。
図31Cは、
図31Bからの時間データのサブセットを視覚的に拡大したものを示す。
【0196】
結論として、Neo12およびF5 T細胞は、NTAmerと同等のcomPACT デキストラマーとの間で類似した結合レベルを示し、comPACT NTAmerは、抗原特異的な様式でネオ抗原T細胞と結合することができる。Neo12およびF5 T細胞は、neo12とMART-1 comPACTの両方について、NTAmerとcomPACTデキストラマーとの間で同様の結合レベルを実証する。さらに、NTAmer複合体は、イミダゾール添加によって破壊され得、一価TCR:MHC I乖離速度は、生きたT細胞上のcomPACT-Cy5シグナルの減衰によって測定され得る。この減衰は、数十秒の時間スケールで起こる。
【0197】
実施例9:comPACTライブラリー生成
米国のヒト集団におけるHLA対立遺伝子の多様性は、対立遺伝子頻度ネットデータベース(www.allelefrequencies.net)からバイオインフォマティクスにより分析され、対象HLA頻度の高いカバレッジをもたらすHLAレパートリーに含めるべき対立遺伝子の最適数を同定した。9736個の対立遺伝子を分析した。
図26Aは、HLA A、B、およびC遺伝子座の各々からの1つまたは両方の対立遺伝子が66個のHLA対立遺伝子のライブラリーによってカバーされる患者のパーセンテージの分析を示す。実線は1個の対立遺伝子がカバーされていることを示し、点線は両方の対立遺伝子がカバーされていることを示す。66個の対立遺伝子は、全集団の95%を超える患者あたり6つのHLA対立遺伝子のうちの少なくとも4つのカバレッジ、および集団の80%を超える6つの対立遺伝子のうちの6つの対立遺伝子のカバレッジを可能にする(
図26B)。最も頻度の高いHLA-I対立遺伝子はHLA-A02:01であり、米国における有病率は約50%である。したがって、本明細書に最初に示されたHLAライブラリーは、グローバルであり、多様な集団のための個別化されたneoTCR-T細胞療法の広範な実施のための最も潜在的可能性を可能にする。
【0198】
次に、異なるネオエピトープおよび選択されたHLA対立遺伝子を有するcomPACTタンパク質のライブラリーを作製した。ネオエピトープ候補は、Immune Epitope Database(www.iedb.org)から選択された。レパートリー中の66個のHLA-I対立遺伝子の各々についての完全な配列がIMGTデータベースから得られ、Y84C突然変異を含むように修飾された。すべてのクローンを配列検証し、データベースおよび試薬インベントリーに保管した。10個のネオエピトープペプチドをIEDBデータベースから選択し、36個のHLA対立遺伝子のパネルに挿入した。選択されたネオエピトープおよびHLA対立遺伝子のComPACTを発現させ、製造者の指示に従ってAgilent Infinity II HPLCシステム(SEC-HPLC)に接続したサイズ排除クロマトグラフィーカラム(Agilent Sec Bio 300)を介して精製した。結果を
図27A~Cに示す。comPACTsを単分散ポリペプチドとして精製し、単量体ピークの曲線下面積を全クロマトグラム下面積で割った値を測定することによりSEC-HPLCにより評価した(
図27Aおよび27B)。ほとんどのcomPACTは高力価で発現した(
図27C)。記載されている各HLA対立遺伝子について少なくとも1つのcomPACTタンパク質を精製し、HPLCを介して特徴付けた。これは、comPACTプラットフォームは頑強であり、多くの対立遺伝子に感受性があることを示す。
【0199】
本発明を、好ましい実施形態および種々の代替の実施形態を参照して、特に示し、説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、その中で形態および詳細の種々の変更を行うことができることは、当業者には理解される。
【0200】
本明細書の本文中で引用された全ての参考資料、発行された特許および特許出願は、全ての目的のために、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【配列表】