(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】表示装置および表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240820BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240820BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20240820BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/00 338
G09F9/30 365
H10K59/12
(21)【出願番号】P 2021005723
(22)【出願日】2021-01-18
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】523290528
【氏名又は名称】JDI Design and Development 合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】小原 将紀
【審査官】村上 遼太
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210516004(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0127220(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0373518(US,A1)
【文献】特表2020-531879(JP,A)
【文献】特開2019-016474(JP,A)
【文献】特開2020-126222(JP,A)
【文献】特開2020-060651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素回路を有する画素領域部と、前記画素領域部の外側を囲む外周領域部と、を備え、
前記外周領域部は、底面および側面を有しかつ前記画素領域部を囲む外周溝と、前記側面に繋がる天面と、を備え、
前記側面には、前記天面および前記底面に対して傾きを有する複数の傾斜部、ならびに、前記複数の傾斜部の間に位置する凹部が設けられ、
前記天面、前記複数の傾斜部の表面、前記凹部の表面および前記底面は、金属パターン層によって覆われ、
前記金属パターン層は、前記複数の画素回路に電気的に接続されている
表示装置。
【請求項2】
前記天面に設けられた前記金属パターン層および前記底面に設けられた前記金属パターン層は、前記複数の傾斜部の表面および前記凹部の表面に設けられた前記金属パターン層を介して電気的に接続されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記凹部は、溝状であり、前記画素領域部を囲むように設けられている
請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記凹部は、前記側面に複数設けられている
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数の画素回路のそれぞれは、発光素子を有し、
前記発光素子は、陽極層、発光層および陰極層が積層されたEL(Electro-Luminescence)層によって構成され、
前記金属パターン層は、前記陰極層に接続され、前記発光素子の陰極に電圧を供給する
請求項1~4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記外周領域部は、前記発光素子の陰極に供給する電圧が入力される電源端子と、前記電源端子に接続された第1の給電配線層と、を備え、
前記第1の給電配線層の一部は、前記外周溝の前記底面を構成し、前記底面に設けられた前記金属パターン層に電気的に接続されている
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記外周領域部は、さらに、前記第1の給電配線層上に設けられた第2の給電配線層を備え、
前記第1の給電配線層は、前記底面において、前記第2の給電配線層を介して前記金属パターン層に電気的に接続されている
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記複数の画素回路のそれぞれは、前記発光素子を発光させるために駆動するトランジスタを有し、
前記トランジスタは、チャネル領域を有する半導体層、ゲート電極を構成する第1配線層、ならびに、ドレイン電極およびソース電極を構成する第2配線層を有するTFT(Thin Film Transistor)層によって形成され、
前記TFT層と前記EL層との間には、層間絶縁層が設けられ、
前記外周領域部は、前記層間絶縁層の一部によって構成され、
前記外周溝は、当該層間絶縁層の一部を貫通する溝である
請求項5~7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記層間絶縁層は、前記TFT層上に設けられた第1の層間絶縁層、および、前記第1の層間絶縁層上に設けられた第2の層間絶縁層を含み、
前記複数の傾斜部および前記凹部は、前記第1の層間絶縁層および前記第2の層間絶縁層のそれぞれに設けられている
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
さらに、前記側面には、前記天面および前記底面に対して平行な平坦部が設けられている
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
複数の画素回路を有する画素領域部と、前記画素領域部を囲む外周領域部と、を備える表示装置の製造方法であって、
前記外周領域部に、底面、および、凹部を含む側面を有する外周溝を形成する溝形成工程と、
前記底面、前記凹部を含む前記側面、および、前記側面に繋がる前記外周領域部の天面に金属パターン層を形成する金属パターン層形成工程と、
を含む表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記溝形成工程は、
前記底面、および、前記凹部を含む前記側面を有する前記外周溝に対応するパターン形状を有するフォトマスクを用いて、前記外周領域部を露光する工程と、
露光後の前記外周領域部を現像することで前記外周溝を形成する工程と、
を含む請求項11に記載の表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記金属パターン層形成工程は、
前記底面、前記凹部を含む前記側面、および、前記天面に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜上に所定パターンを有するレジストを形成した後、前記レジストに覆われていない前記金属膜をエッチングする工程と、
前記レジストを除去することで前記金属パターン層を形成する工程と、
を含む請求項11または12に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の画素回路を備える表示装置、および、表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機EL(Electro-Luminescence)素子を用いたアクティブマトリクス型の表示装置が実用化されている(例えば、特許文献1など参照)。表示装置は、発光色がそれぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の発光素子を搭載した3つのサブ画素回路から構成される画素回路を、複数個マトリクス状に配置して構成される。表示装置は、サブ画素回路ごとに発光輝度を制御することにより、カラー画像を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示装置では、複数の画素回路を囲む外周領域において、複数の画素回路に電圧を供給するための配線である金属パターン層が形成される。しかし、従来の表示装置では、金属パターン層が外周領域内で分断して形成され、画素回路に電圧を安定して供給できない場合がある。そのため、画素回路の発光素子に発光不良が起きることがある。
【0005】
そこで、本開示は、画素回路に電圧を安定して供給することができる表示装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、開示される一態様に係る表示装置は、複数の画素回路を有する画素領域部と、前記画素領域部の外側を囲む外周領域部と、を備え、前記外周領域部は、底面および側面を有しかつ前記画素領域部を囲む外周溝と、前記側面に繋がる天面と、を備え、前記側面には、前記天面および前記底面に対して傾きを有する複数の傾斜部、ならびに、前記複数の傾斜部の間に位置する凹部が設けられ、前記天面、前記複数の傾斜部の表面、前記凹部の表面および前記底面は、金属パターン層によって覆われ、前記金属パターン層は、前記複数の画素回路に電気的に接続されている。
【0007】
上記目的を達成するために、開示される一態様に係る表示装置の製造方法は、複数の画素回路を有する画素領域部と、前記画素領域部を囲む外周領域部と、を備える表示装置の製造方法であって、前記外周領域部に、底面、および、凹部を含む側面を有する外周溝を形成する溝形成工程と、前記底面、前記凹部を含む前記側面、および、前記側面に繋がる前記外周領域部の天面に金属パターン層を形成する金属パターン層形成工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る表示装置等によれば、画素回路に電圧を安定して供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】比較例の表示装置を模式的に示す平面図である。
【
図2】比較例の表示装置を模式的に示す断面図である。
【
図3】比較例の表示装置の外周溝の断面を示す拡大図である。
【
図4】比較例の外周溝における金属パターン層の形成方法を示す図である。
【
図5】実施の形態に係る表示装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図6】実施の形態に係る表示装置が備える画素回路の回路図である。
【
図7】実施の形態の画素回路を模式的に示す平面図である。
【
図8】実施の形態に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
【
図9】実施の形態に係る表示装置を模式的に示す平面図である。
【
図10】実施の形態に係る表示装置の外周溝の断面を示す拡大図である。
【
図11】実施の形態に係る表示装置の外周溝の他の断面を示す拡大図である。
【
図12】実施の形態に係る表示装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図13】実施の形態の外周溝における金属パターン層の形成方法を示す図である。
【
図14】
図13に引き続き、外周溝における金属パターン層の形成方法を示す図である。
【
図15】外周領域部におけるコンタクト抵抗を示す図である。
【
図16】実施の形態の画素回路の駆動方法を示すタイミングチャートである。
【
図17】実施の形態に係る表示装置の駆動方法を示すタイミングチャートである。
【
図18】実施の形態の変形例1に係る表示装置の外周溝の断面を示す拡大図である。
【
図19】実施の形態の変形例2に係る表示装置の外周溝の断面を示す拡大図である。
【
図20】実施の形態の変形例3に係る表示装置の画素回路を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示に至る経緯)
本開示に至る経緯について、
図1~
図4に示す比較例を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、比較例の表示装置101を模式的に示す平面図である。
図2は、比較例の表示装置101を模式的に示す断面図である。
【0012】
図1および
図2に示すように、比較例の表示装置101は、複数の画素回路110を有する画素領域部121と、画素領域部121の外側を囲む外周領域部122とを備えている。
【0013】
複数の画素回路110のそれぞれは、R、G、Bの発光色にそれぞれ対応する3つのサブ画素回路11R、11G、11Bを有している。各サブ画素回路11R、11G、11Bは、有機ELの発光素子、および、発光素子を発光させるために駆動する複数のトランジスタを有している(図示省略)。
【0014】
外周領域部122は、絶縁材料等によって構成されている。外周領域部122には、外部から画素領域部121に水分が侵入することを抑制するための外周溝125が設けられている。また、外周領域部122には、電源から画素回路110に電圧を供給するための給電配線141および金属パターン層143が形成されている。
【0015】
図3は、表示装置101の外周溝125の断面を示す拡大図である。
図3には、
図1に示す外周溝125をIII-III線から見た断面が示されている。
【0016】
外周溝125は、底面126と、底面126に対して傾斜する側面127とを有している。底面126および側面127には、発光素子の陰極に接続される金属パターン層143が形成される。金属パターン層143は、外周溝125の底面126にて給電配線141に接続され、画素回路110に電圧を供給する。しかしながら比較例の表示装置101では、
図3に示すように、金属パターン層143が外周溝125の側面127にて分断され、画素回路110に電圧を供給できないことがある。
【0017】
図4は、外周溝125における金属パターン層143の形成方法を示す図である。
【0018】
外周溝125は、例えば、絶縁材料からなる外周領域部122を露光および現像処理することで形成される。この露光および現像処理によって、外周溝125の側面127は、
図4の(a)に示すように、底面126に対して傾きを有して形成される。
【0019】
次に、
図4の(b)に示すように、外周溝125の底面126および側面127の全面を覆うように、金属膜133を形成する。
【0020】
次に、金属膜133上に液状のレジスト132が塗布されるが、側面127は傾きを有しており、側面127に塗布されたレジスト132の一部は、底面126側に向かって流動する。そのため、
図4の(c)に示すように、側面127には、レジスト132に覆われず金属膜133の露出した領域が形成される。
【0021】
次に、エッチングによって金属パターン層143を形成するが、この例では、本来レジスト132が形成されるべき領域にレジスト132が形成されていないため、
図4の(d)に示すように、エッチングすべきでない領域の金属膜133がエッチングされる。そのため、金属パターン層143が外周溝125の側面127にて分断して形成され、画素回路110に電圧を安定して供給できないことがある。
【0022】
それに対し、本開示の表示装置は、側面に塗布されたレジストが底面側に流動することを抑制することが可能な構造を有している。本開示の表示装置によれば、金属パターン層が外周溝の側面にて分断して形成されることを抑制し、画素回路に電圧を安定して供給することができる。
【0023】
以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示における一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、並びに、工程の順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示における最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0024】
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺などは必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0025】
また、本明細書において、「上」及び「下」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上」及び「下」という用語は、2つの構成要素が互いに接する状態で配置される場合のみならず、2つの構成要素が互いに間隔をあけて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合にも適用される。
【0026】
(実施の形態)
[表示装置の構成]
まず、実施の形態に係る表示装置1の全体構成について、
図5~
図7を参照しながら説明する。
【0027】
図5は、実施の形態に係る表示装置1の機能的な構成を示すブロック図である。以下の説明では、簡潔のため、信号と信号を伝達する配線とを同一の符号で参照し、電圧と電圧を供給する配線とを同一の符号で参照することがある。また、回路と回路が形成される領域とを同一の符号で参照することがある。
【0028】
図5に示すように、表示装置1は、表示パネル12、ゲートドライバ13、データドライバ15、コントローラ16、および、電源17を備える。
【0029】
表示パネル12は、マトリクス状に配置された複数の画素回路10を有している。複数の画素回路10は、第1方向d1、および、第1方向d1に交差する第2方向d2に沿って配置されている。第1方向d1および第2方向d2は、互いに直交している。
【0030】
各画素回路10は、R、G、Bの発光色にそれぞれ対応する3つのサブ画素回路11R、11G、11Bを有している。
【0031】
表示パネル12には、画素回路10に接続される初期化信号線INI、参照信号線REF、書き込み信号線WSが設けられる。初期化信号線INI、参照信号線REF、書き込み信号線WSは、ゲートドライバ13から供給される初期化信号INI、参照信号REFおよび書き込み信号WSを、画素回路10へ、それぞれ伝達する。
【0032】
また、表示パネル12には、画素回路10に接続されるデータ信号線VdatR、VdatG、VdatBが設けられる。データ信号線VdatR、VdatG、VdatBは、データドライバ15から供給されるR、G、Bの発光輝度に関連するデータ信号VdatR、VdatG、VdatBを、画素回路10へ、それぞれ伝達する。
【0033】
コントローラ16は、外部から映像信号を受信し、当該映像信号の各フレームの画像を表示パネル12で表示するための制御信号を、ゲートドライバ13およびデータドライバ15へ供給する。
【0034】
電源17は、表示パネル12、ゲートドライバ13、データドライバ15、およびコントローラ16へ電圧を供給する。表示パネル12には、初期化電圧VINI、参照電圧VREF、正電源電圧VCCおよび負電源電圧VCATHが、電源17から供給される。
【0035】
図6は、表示装置1が備える画素回路10の回路図である。
図7は、画素回路10を模式的に示す平面図である。
【0036】
図6および
図7に示すように、各サブ画素回路11R、11G、11Bは、有機ELの発光素子EL
R、EL
G、EL
B、および、発光素子EL
R、EL
G、EL
Bを発光させるために駆動する複数のトランジスタを有している。画素回路10には、発光素子EL
R、EL
G、EL
Bを発光させるための電圧である正電源電圧VCCが供給される。また、画素回路10には、発光素子EL
R、EL
G、EL
Bを発光させるための電圧である負電源電圧VCATHが、陰極層56(
図8参照)等を介して供給される。
【0037】
画素回路10を構成するサブ画素回路11R、11G、11Bは、互いに同一の構成を有している。以下、画素回路10の構成について、サブ画素回路11Rに着目して説明する。
【0038】
サブ画素回路11Rは、初期化トランジスタT1R、電圧補償トランジスタT2R、書き込みトランジスタT3R、駆動トランジスタTDR、保持容量CSR、発光素子ELRを有している。
【0039】
初期化トランジスタT1Rは、初期化信号INIに従ってオン状態となり、駆動トランジスタTDRのソースノードを初期化電圧VINIに設定する。電圧補償トランジスタT2Rは、参照信号REFに従ってオン状態となり、駆動トランジスタTDRのゲートノードを参照電圧VREFに設定する。書き込みトランジスタT3Rは、書き込み信号WSに従ってオン状態となり、データ信号VdatRの電圧を保持容量CSRに保持する。駆動トランジスタTDRは、保持容量CSRに保持された電圧に応じて、発光素子ELRに電流を供給する。これにより、発光素子ELRは、データ信号VdatRの電圧に応じた輝度で発光する。
【0040】
サブ画素回路11G、11Bも、サブ画素回路11Rと同様に構成される。そのため、サブ画素回路11G、11Bにおいても、初期化信号INI、参照信号REF、書き込み信号WSに従って同じタイミングでデータ信号VdatG、VdatBが保持され、保持されたデータ信号の電圧に応じた輝度で発光素子ELG、ELBが発光する。
【0041】
次に、表示装置1の具体的な構成について、
図8~
図11を参照しながら説明する。
【0042】
【0043】
図8に示されている表示パネル12は、トップエミッション構造を有する有機EL表示パネルである。この表示パネル12の画素回路10は、基板50上に設けられたTFT(Thin Film Transistor)層51、TFT層51上に設けられた層間絶縁層66、67、68、および、層間絶縁層67、68上に設けられたEL層53等によって構成されている。なお、EL層53上に、保護膜、封止樹脂および封止基板がこの順で積層されてもよい(図示省略)。
【0044】
基板50は、平坦な基台であり、例えば、ガラス基板またはガラスフィルムである。
【0045】
TFT層51は、チャネル領域を有する半導体層L0、ゲート電極を構成する第1配線層L1、ドレイン電極およびソース電極を構成する第2配線層L2、ならびに、複数の絶縁層61、62および63等を有している。
【0046】
TFT層51上には、第1の層間絶縁層66および第2の層間絶縁層67が設けられ、さらに、複数のバンク(隔壁)を構成する第3の層間絶縁層68が設けられている。各層間絶縁層66~68は、例えば、ポリイミド、ポリアミドまたはアクリル系樹脂材料などの絶縁材料によって構成される。
【0047】
第1の層間絶縁層66は、絶縁層63を覆うように設けられている。第2の層間絶縁層67は、第1の層間絶縁層66を覆うように設けられている。第3の層間絶縁層68は、第2の層間絶縁層67上に格子状に形成される。この格子状の第3の層間絶縁層68によって、複数のバンクが形成され、隣り合うバンクの間にコンタクトホールが形成される。
【0048】
EL層53は、第2の層間絶縁層67および第3の層間絶縁層68を覆うように設けられている。EL層53は、発光素子ELR、ELG、ELBの陽極を構成する陽極層54、所定の電圧が印加されることで発光する発光層55、および、発光素子ELR、ELG、ELBの陰極を構成する陰極層56が、この順で積層されることで形成されている。
【0049】
陽極層54は、各発光素子ELR、ELG、ELBのコンタクトホールに対応して複数設けられている。陰極層56は、表示パネル12の全体で繋がった1枚の透明かつ面状の電極で構成され、第2の層間絶縁層67上に設けられた金属パターン層43に接続されている。陰極層56には、金属パターン層43を介して電圧が供給される。
【0050】
図9は、表示装置1を模式的に示す平面図である。なお、
図9では、画素領域部21および金属パターン層43をハッチングで示している。
【0051】
図8および
図9に示すように、表示装置1は、複数の画素回路10を有する画素領域部21と、画素領域部21の外側を囲む外周領域部22と、を備えている。
【0052】
外周領域部22は、底面26および側面27を有する外周溝25と、側面27に繋がる天面24と、を備えている。
【0053】
外周溝25は、外部から画素領域部21に水分が侵入することを抑制するための溝である。外周溝25は、画素領域部21を囲むように四角形状に形成されている。
【0054】
天面24は、第2の層間絶縁層67の上側の面である。前述した陰極層56および金属パターン層43は、外周溝25と画素領域部21との間に位置する天面24上にて接続されている。
【0055】
外周領域部22は、電源端子40と、第1の給電配線層41および第2の給電配線層42と、を備えている。
図8および
図9には、1つの電源端子40、2本の第1の給電配線層41および2本の第2の給電配線層42が示されている。
【0056】
電源端子40は、発光素子ELR、ELG、ELBの陰極に供給する電圧、すなわち、負電源電圧VCATHが入力される端子である。電源端子40は、絶縁層63上に設けられている。
【0057】
第1の給電配線層41は、電源端子40に入力された電圧を画素回路10に供給するための配線層である。第1の給電配線層41は、絶縁層63上に設けられている。第1の給電配線層41は、一方端が電源端子40に接続され、他方端が外周溝25の底面26に到達するまで引き出されている。第1の給電配線層41の一部である他方端は、外周溝25の底面26を構成し、外周溝25に形成された金属パターン層43に電気的に接続されている。具体的には、第1の給電配線層41は、底面26において、第2の給電配線層42を介して金属パターン層43に電気的に接続されている。
【0058】
第2の給電配線層42は、第1の給電配線層41による給電を補助するための配線層である。第2の給電配線層42は、第1の層間絶縁層66上に設けられている。第2の給電配線層42は、一方端が電源端子40に電気的に接続され、他方端が外周溝25の側面27および底面26に到達するまで引き出されている。第2の給電配線層42の一部である他方端も、外周溝25の底面26を構成し、外周溝25に形成された金属パターン層43に電気的に接続されている。
【0059】
図10は、表示装置1の外周溝25の断面を示す拡大図である。
図11は、表示装置1の外周溝25の他の断面を示す拡大図である。
図10には、
図9に示す外周溝25をX-X線から見た断面図が示され、
図11には、
図9に示す外周溝25をXI-XI線から見た断面図が示されている。なお、
図10および
図11の断面の拡大図では、基板50、絶縁層61、62、陰極層56等の図示を省略している(以下の断面の拡大図においても同様)。
【0060】
図10および
図11に示すように、外周領域部22は、層間絶縁層66、67の一部によって構成されている。外周溝25は、外周領域部22に位置する層間絶縁層66、67の一部を貫通する溝である。外周溝25の側面27は、層間絶縁層66、67の一部である、層間絶縁層66、67の貫通側面によって構成されている。外周溝25の底面26は、前述したように給電配線層41、42によって構成されている。
【0061】
外周溝25の側面27には、複数の傾斜部27a、および、複数の傾斜部27aの間に位置する凹部27bが設けられている。複数の傾斜部27aおよび凹部27bは、第1の層間絶縁層66および第2の層間絶縁層67のそれぞれに設けられている。
【0062】
傾斜部27aは、天面24または底面26に対して傾きを有している。傾斜部27aは、直線状であってもよいし、曲線状であってもよい。傾斜部27aの平均の傾斜角は、例えば、15°以上45°以下である。傾斜部27aは、外周溝25の両側面27のそれぞれに、複数設けられている。
図10および
図11に示す例では、片側の側面27に5つの傾斜部27aが設けられている。
【0063】
凹部27bは、溝状であり、画素領域部21を囲むように設けられている。凹部27bは、複数の画素回路10で構成される画面すなわち表示パネル12に対して垂直な方向から見た場合に、四角形状である。複数の四角形状の凹部27bは、相似形であり、中心の位置が同じである。凹部27bは、外周溝25の両側面27のそれぞれに、複数設けられている。
図10および
図11に示す例では、側面27に4つの凹部が設けられている。凹部27bは、画面に対して垂直な方向に窪んでいる。凹部27bの深さは、第1の層間絶縁層66の厚み寸法または第2の層間絶縁層67の厚み寸法よりも浅い。凹部27bの幅は、金属パターン層43の厚みの2倍よりも大きく、例えば、2μmよりも大きく5μmよりも小さい。凹部27bは、深さ方向に向かうに従って幅が狭くなっていてもよい。凹部27bのアスペクト比は、例えば、0.5以上1以下である。
【0064】
なお、凹部27bは、四角形状の溝に限られず、非貫通穴であってもよいし、長さの短い溝であってもよい。すなわち、外周溝25の側面27には、画素領域部21の外側をドット状または破線状に囲む複数の凹部が設けられていてもよい。
【0065】
金属パターン層43は、所定パターンを有する配線層であり、画素回路10に電気的に接続されている。具体的には、金属パターン層43は、発光素子ELR、ELG、ELBを構成する陰極層56に接続され、発光素子ELR、ELG、ELBの陰極に電圧を供給する。金属パターン層43は、例えば、アルミニウムまたは銀などの金属材料によって構成される。金属パターン層43の厚みは、例えば、0.5μm以上1μm以下である。
【0066】
天面24、底面26、複数の傾斜部27aの表面および複数の凹部27bの表面は、この金属パターン層43によって覆われている。天面24に設けられた金属パターン層43および底面26に設けられた金属パターン層43は、複数の傾斜部27aの表面および複数の凹部27bの表面に設けられた金属パターン層43を介して、電気的に接続されている。
【0067】
このように表示装置1では、外周溝25の側面27の傾斜部27aおよび凹部27bに金属パターン層43が形成される。そのため、金属パターン層43が側面27にて分断して形成されることを抑制できる。これにより、画素回路10に電圧を安定して供給することができる。
【0068】
[表示装置の製造方法]
次に、表示装置1の製造方法について、
図12~
図14を参照しながら説明する。
【0069】
図12は、表示装置1の製造方法を示すフローチャートである。
図13および
図14は、外周溝25における金属パターン層43の形成方法を示す図である。
【0070】
表示装置1の製造方法では、まず、基板50上に、TFT層51、第1の給電配線層41および第1の層間絶縁層66を形成する(ステップS10)。具体的には、基板50上に、絶縁層61、半導体層L0、絶縁層62、第1配線層L1および絶縁層63を形成する。次に、絶縁層63上に第2配線層L2および電源端子40を形成する。第2配線層L2の一部は、第1の給電配線層41となる。そして、第1の給電配線層41を覆うように、絶縁層63上に第1の層間絶縁層66を形成する(
図13の(a)参照)。
【0071】
次に、外周領域部22に外周溝25および複数の凹部27bを形成する溝形成工程を実行する(ステップS20)。この溝形成工程は、外周溝25の下部分を形成する第1段階および下部分を形成する第2段階に分けて実行される。
【0072】
第1段階では、まず、フォトマスク31aを用いて、外周領域部22に位置する第1の層間絶縁層66を露光する(ステップS21)。フォトマスク31aとしては、外周溝25および複数の凹部27bの下部分に対応するパターン形状を有するものが用いられる。なお、フォトマスク31aとしては、エリアによって透過率が異なるグレイトーンマスクが用いられてもよい。
【0073】
次に、露光後の第1の層間絶縁層66を現像することで、露光された部分の第1の層間絶縁層66を除去し、
図13の(b)に示すように、外周溝25の下部分を形成する(ステップS22)。このステップS22の処理にて、第1の給電配線層41の一部が、外周溝25の底面26を構成し、第1の層間絶縁層66の一部が、外周溝25の側面27の下部分を構成する構造となる。なお、側面27の下部分が形成される際に、下部分に対応する複数の傾斜部27aおよび複数の凹部27bも形成される。
【0074】
次に、
図13の(c)に示すように、第1の層間絶縁層66上に第2の給電配線層42を形成する(ステップS23)。第2の給電配線層42は、堆積、露光および現像処理によって、所定のパターン形状に形成される。
【0075】
そして、第2の給電配線層42および第1の層間絶縁層66を覆うように、第2の層間絶縁層67を形成する(ステップS24)。
【0076】
第2段階では、まず、フォトマスク31bを用いて、外周領域部22に位置する第2の層間絶縁層67を露光する(ステップS25)。フォトマスク31bとしては、外周溝25および複数の凹部27bの上部分に対応するパターン形状を有するものが用いられる。なお、フォトマスク31bとしては、エリアによって透過率が異なるグレイトーンマスクが用いられてもよい。
【0077】
次に、露光後の外周領域部22を現像することで、露光された部分の第2の層間絶縁層67を除去し、
図13の(d)に示すように、外周溝25の上部分を形成する(ステップS26)。このステップS26の処理にて、第2の層間絶縁層67の一部が、外周溝25の側面27の上部分を構成する構造となる。なお、側面27の上部分が形成される際に、上部分に対応する複数の傾斜部27aおよび複数の凹部27bも形成される。これらのステップS21~S26が実行されることで、外周領域部22に、複数の凹部27bを有する外周溝25が形成される。
【0078】
次に、底面26、凹部27bを含む側面27、および、側面27に繋がる外周領域部22の天面24に金属パターン層43を形成する金属パターン層形成工程を実行する(ステップS30)。
【0079】
まず、
図14の(a)に示すように、底面26、凹部27bを含む側面27、および、天面24の全面に金属膜33を形成する(ステップS31)。
【0080】
次に、金属膜33上に所定パターンを有するレジスト32を形成する(ステップS32)。具体的には、まず、
図14の(b)に示すように、金属膜33の全面を覆うように液状のレジスト32を塗布する。本実施の形態では、側面27に凹部27bが設けられているので、レジスト32が凹部27bの表面に保持され、レジスト32の流動が抑制される。そして、レジスト32の流動が抑制された状態で、レジスト32を感光させることで、所定パターンを有するレジスト32を形成する。レジスト32としては、例えば、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)を含む感光レジストが用いられる。
【0081】
次に、レジスト32で覆われていない領域の金属膜33をエッチングして除去する(ステップS33)。
【0082】
そして、
図14の(c)に示すように、レジスト32を除去することで金属パターン層43を形成する(ステップS34)。
【0083】
これらのステップS10、S20(S21~S26)およびS30(S31~S34)が実行されることで、金属パターン層43が外周溝25において分断して形成されることを抑制できる。
【0084】
図15は、外周領域部22におけるコンタクト抵抗を示す図である。なお、
図15の横軸はコンタクト抵抗であり、縦軸は度数(個数)である。コンタクト抵抗は、天面24における金属パターン層43および陰極層56の接続点と、電源端子40との間の配線抵抗である。この図に示すように、実施の形態は、比較例に比べてコンタクト抵抗が低い。また、実施の形態は、比較例に比べてコンタクト抵抗のばらつきが小さい。
【0085】
このように表示装置1の製造方法では、外周溝25の側面27に凹部27bが形成される。これによれば、レジスト32を塗布した際に、凹部27bによってレジスト32が保持され、側面27からレジスト32が流動して無くなることを抑制できる。そのため、エッチングすべきでない領域の金属膜33がエッチングされることを抑制し、金属パターン層43が側面27にて分断して形成されることを抑制できる。これにより、比較例に比べて、陰極層56に電圧を供給する配線の配線抵抗を低くすることができる。また、金属パターン層43が分断して形成されることを抑制できるので、比較例に比べて、配線抵抗のばらつきを小さくすることができる。
【0086】
[画素回路および表示装置の駆動方法]
次に、画素回路10および表示装置1の駆動方法について説明する。
【0087】
図16は、実施の形態の画素回路10の駆動方法を示すタイミングチャートである。画素回路10では、発光色R、G、Bにそれぞれ対応する次の動作が行われる。
【0088】
まず、消灯期間で駆動トランジスタTDR、TDG、TDBのゲートノードに参照電圧VREFが供給され、サブ画素回路11R、11G、11Bが消灯する。次に初期化期間で、駆動トランジスタTDR、TDG、TDBのソースノードに初期化電圧VINIが供給される。次に電圧補償期間で、駆動トランジスタTDR、TDG、TDBのゲートノードに参照電圧VREFが供給され、保持容量CSR、CSG、CSBに駆動トランジスタTDR、TDG、TDBの閾値電圧Vth相当の電荷が保持される(Vth補償動作)。次に、書き込み信号WSに応じて発光輝度に関連するデータ信号Vdatが、保持容量CSR、CSG、CSBに保持され、各データ信号Vdatに応じた電流が、駆動トランジスタTDR、TDG、TDBから出力される。駆動トランジスタTDR、TDG、TDBから出力された電流は、発光素子ELR、ELG、ELBに供給される。これにより各発光素子ELR、ELG、ELBは発光する。
【0089】
図17は、実施の形態に係る表示装置1の駆動方法を示すタイミングチャートである。
図17において、信号名に付したかっこ書きの数字は、信号が供給される行を示している。この図に示すように、画素回路10の動作は、表示装置1のすべての行0~nの画素回路において、行順次に行われる。
【0090】
[変形例1]
実施の形態の変形例1に係る表示装置1について説明する。変形例1では、外周溝25Aの形状が、実施の形態と異なる例について説明する。
【0091】
図18は、実施の形態の変形例1に係る表示装置1の外周溝25Aの断面を示す拡大図である。
【0092】
変形例1の表示装置1では、外周溝25Aの側面27に、5つの傾斜部27aおよび3つの凹部27bが設けられ、そのうちの2つの傾斜部27aの間に、凹部27bの代わりに平坦部27cが設けられている。平坦部27cは、第1の層間絶縁層66上に形成されている。平坦部27cには、凹部27bのような窪みが形成されておらず、天面24または底面26に対して平行である。変形例1に係る表示装置1も、実施の形態と同様の効果を有する。
【0093】
[変形例2]
実施の形態の変形例2に係る表示装置1について説明する。変形例2では、外周溝25Bの形状が、実施の形態と異なる例について説明する。
【0094】
図19は、実施の形態の変形例2に係る表示装置1の外周溝25Bの断面を示す拡大図である。
【0095】
変形例2の表示装置1では、外周溝25Bの2つの層間絶縁層66、67が、1つの層間絶縁層によって構成されている。この1つの層間絶縁層は、層間絶縁層66によって構成されていてもよいし、層間絶縁層67によって構成されていてもよい。変形例2に係る表示装置1も、実施の形態と同様の効果を有する。
【0096】
[変形例3]
実施の形態の変形例3に係る表示装置1の画素回路10Cについて説明する。変形例3では、実施の形態に対して、画素回路10Cに電圧を供給する電圧供給線がさらに追加されている例について説明する。
【0097】
図20は、変形例3に係る表示装置1の画素回路10Cを模式的に示す平面図である。
【0098】
変形例3の表示装置1は、複数の画素回路10Cに電圧を供給する複数の電圧供給線Vs1および複数の電圧供給線Vs2をさらに備えている。電圧供給線Vs1、Vs2のそれぞれは、複数の画素回路10Cのそれぞれに接続されている。なお、
図20では、電圧供給線Vs1、Vs2をハッチング無しで示している。
【0099】
画素回路10Cには、発光素子ELR、ELG、ELBを発光させるための電圧である正電源電圧VCCが第1方向d1に沿って延在している。変形例3では、さらに、正電源電圧VCCを補助するための電圧が、3本の電圧供給線Vs1を用いて供給される。電圧供給線Vs1は、ビアを介して正電源電圧VCCに接続されている。また、画素回路10Cには、発光素子ELR、ELG、ELBを発光させるための電圧である負電源電圧VCATHが、陰極層56によって供給される。変形例3では、さらに、負電源電圧VCATHを補助するための電圧が、3本の電圧供給線Vs2を用いて供給される。これにより、画素回路10Cに電圧を安定して供給することができる。
【0100】
[効果等]
本実施の形態に係る表示装置1は、複数の画素回路10を有する画素領域部21と、画素領域部21の外側を囲む外周領域部22と、を備える。外周領域部22は、底面26および側面27を有しかつ画素領域部21を囲む外周溝25と、側面27に繋がる天面24と、を備える。側面27には、天面24および底面26に対して傾きを有する複数の傾斜部27a、ならびに、複数の傾斜部27aの間に位置する凹部27bが設けられている。天面24、複数の傾斜部27aの表面、凹部27bの表面および底面26は、金属パターン層43によって覆われている。金属パターン層43は、複数の画素回路10に電気的に接続されている。
【0101】
このように、外周溝25の側面27の傾斜部27aおよび凹部27bに金属パターン層43が形成されることで、金属パターン層43が側面27にて分断して形成されることを抑制できる。これにより、画素回路10に電圧を安定して供給することができる。
【0102】
また、天面24に設けられた金属パターン層43および底面26に設けられた金属パターン層43は、複数の傾斜部27aの表面および凹部27bの表面に設けられた金属パターン層43を介して電気的に接続されていてもよい。
【0103】
これによれば、天面24に設けられた金属パターン層43および底面26に設けられた金属パターン層43を、確実に接続することができる。これにより、画素回路10に電圧を安定して供給することができる。
【0104】
また、凹部27bは、溝状であり、画素領域部21を囲むように設けられていてもよい。
【0105】
これによれば、画素領域部21の周囲において、金属パターン層43が分断して形成されることを抑制できる。これにより、画素回路10に電圧を安定して供給することができる。
【0106】
また、凹部27bは、側面27に複数設けられていてもよい。
【0107】
これによれば、側面27において、さらに金属パターン層43が分断して形成されることを抑制でき、画素回路10に電圧を安定して供給することができる。
【0108】
また、複数の画素回路10のそれぞれは、発光素子ELR、ELG、ELBを有し、発光素子ELR、ELG、ELBは、陽極層54、発光層55および陰極層56が積層されたEL層53によって構成され、金属パターン層43は、陰極層56に接続され、発光素子ELR、ELG、ELBの陰極に電圧を供給してもよい。
【0109】
この構成によれば、画素回路10に電圧を安定して供給することができ、発光素子ELR、ELG、ELBの発光不良の発生を抑制することができる。
【0110】
また、外周領域部22は、発光素子ELR、ELG、ELBの陰極に供給する電圧が入力される電源端子40と、電源端子40に接続された第1の給電配線層41と、を備え、第1の給電配線層41の一部は、外周溝25の底面26を構成し、底面26に設けられた金属パターン層43に電気的に接続されていてもよい。
【0111】
これによれば、電源端子40に入力された電圧を確実に金属パターン層43へ供給することができる。これにより、画素回路10に電圧を安定して供給することができ、発光素子ELR、ELG、ELBの発光不良の発生を抑制することができる。
【0112】
また、外周領域部22は、さらに、第1の給電配線層41上に設けられた第2の給電配線層42を備え、第1の給電配線層41は、底面26において、第2の給電配線層42を介して金属パターン層43に電気的に接続されていてもよい。
【0113】
このように、外周領域部22が、第1の給電配線層41に加え、さらに第2の給電配線層42を備えることで、画素回路10に電圧を供給する配線の配線抵抗を低くすることができる。これにより、画素回路10に電圧を安定して供給することができ、発光素子ELR、ELG、ELBの発光不良の発生を抑制することができる。
【0114】
また、複数の画素回路10のそれぞれは、発光素子ELR、ELG、ELBを発光させるために駆動するトランジスタ(例えば駆動トランジスタTDR、TDG、TDB)を有し、トランジスタは、チャネル領域を有する半導体層L0、ゲート電極を構成する第1配線層L1、ならびに、ドレイン電極およびソース電極を構成する第2配線層L2を有するTFT層51によって形成されている。TFT層51とEL層53との間には、層間絶縁層66、67が設けられ、外周領域部22は、層間絶縁層66、67の一部によって構成され、外周溝25は、層間絶縁層66、67の一部を貫通する溝であってもよい。
【0115】
この構成によれば、外周領域部22において、外周溝25を適切に形成することができる。これにより、外周溝25の側面27に凹部27bを適切に設けることができ、金属パターン層43が側面27にて分断して形成されることを抑制できる。これにより、画素回路10に電圧を安定して供給することができる。
【0116】
また、層間絶縁層は、TFT層51上に設けられた第1の層間絶縁層66、および、第1の層間絶縁層66上に設けられた第2の層間絶縁層67を含み、複数の傾斜部27aおよび凹部27bは、第1の層間絶縁層66および第2の層間絶縁層67のそれぞれに設けられていてもよい。
【0117】
これによれば、外周溝25を構成する層間絶縁層66、67において、金属パターン層43が分断して形成されることを抑制できる。これにより、画素回路10に電圧を安定して供給することができる。
【0118】
また、さらに、側面27には、天面24および底面26に対して平行な平坦部27cが設けられていてもよい。
【0119】
これによれば、金属パターン層43が側面27にて分断して形成されることを抑制できる。これにより、画素回路10に電圧を安定して供給することができる。
【0120】
本実施の形態に係る表示装置1の製造方法は、複数の画素回路10を有する画素領域部21と、画素領域部21を囲む外周領域部22と、を備える表示装置1の製造方法であって、外周領域部22に、底面26、および、凹部27bを含む側面27を有する外周溝25を形成する溝形成工程と、底面26、凹部27bを含む側面27、および、側面27に繋がる外周領域部22の天面24に金属パターン層43を形成する金属パターン層形成工程と、を含む。
【0121】
このように、外周領域部22に、凹部27bを含む側面27を有する外周溝25を形成することで、例えば側面27にレジスト32を形成する際に、凹部27bによってレジスト32が保持され、側面27のレジスト32が流動して無くなることを抑制できる。そのため、エッチングすべきでない領域の金属パターン層43がエッチングされることを抑制でき、金属パターン層43が側面27にて分断して形成されることを抑制できる。これにより、画素回路10に電圧を安定して供給することができる。
【0122】
また、溝形成工程は、底面26、および、凹部27bを含む側面27を有する外周溝25に対応するパターン形状を有するフォトマスク31a、31bを用いて、外周領域部22を露光する工程と、露光後の外周領域部22を現像することで外周溝25を形成する工程と、を含んでいてもよい。
【0123】
これによれば、外周溝25の側面27に凹部27bを適切に形成することができる。これにより、金属パターン層43が側面27にて分断して形成されることを適切に抑制できる。これにより、画素回路10に電圧を安定して供給することができる。
【0124】
また、金属パターン層形成工程は、底面26、凹部27bを含む側面27、および、天面24に金属膜33を形成する工程と、金属膜33上に所定パターンを有するレジスト32を形成した後、レジスト32に覆われていない金属膜33をエッチングする工程と、レジスト32を除去することで金属パターン層43を形成する工程と、を含んでいてもよい。
【0125】
これによれば、側面27にレジスト32を形成する際に、凹部27bによってレジスト32が保持され、側面27のレジスト32が流動することを抑制できる。これにより、エッチングすべきでない領域の金属パターン層43がエッチングされることを抑制でき、金属パターン層43が分断して形成されることを抑制できる。これにより、画素回路10に電圧を安定して供給することができる。
【0126】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の各実施の形態に係る表示装置について説明したが、本開示は、個々の実施の形態には限定されない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0127】
例えば、上記説明では、画素回路10は、発光素子を発光させる表示装置として、駆動トランジスタと、初期化トランジスタと、電圧補償トランジスタと、書き込みトランジスタと、保持容量とを有する、いわゆる4Tr1Cの構成について説明した。しかし、画素回路10の構成は、これに限らず、例えば、駆動トランジスタ回路と、書き込みトランジスタと、保持容量とを有する、いわゆる2Tr1Cの構成であってもよい。
【0128】
また、各トランジスタは、例えばN型チャネルのTFT素子であるが、それに限られず、P型チャネルのTFT素子であってもよい。また、複数のトランジスタのうちの一部のトランジスタがN型チャネルのTFT素子であって、他のトランジスタがP型チャネルのTFT素子であってもよい。
【0129】
例えば、ゲートドライバ13は、表示パネル12の片側に配置されていてもよいが、両側に配置されていてもよい。ゲートドライバ13は、フリップフロップ回路を多段に接続したシフトレジスタで構成されてもよい。また、ゲートドライバ13は、CMOSトランジスタ、N型チャネルトランジスタ、およびP型チャネルトランジスタのいずれのトランジスタで構成されてもよい。
【0130】
また、データドライバ15は、表示パネル12にCOG(Chip on Glass)で実装されてもよく、COF(Chip On Film)で実装されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本開示は、表示装置として、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、テレビジョン受信機などの様々な映像表示装置に広く利用できる。
【符号の説明】
【0132】
1 表示装置
10、10C 画素回路
11R、11G、11B サブ画素回路
12 表示パネル
13 ゲートドライバ
15 データドライバ
16 コントローラ
17 電源
21 画素領域部
22 外周領域部
24 天面
25、25A、25B 外周溝
26 底面
27 側面
27a 傾斜部
27b 凹部
27c 平坦部
31a、31b フォトマスク
32 レジスト
33 金属膜
40 電源端子
41 第1の給電配線層
42 第2の給電配線層
43 金属パターン層
50 基板
51 TFT層
53 EL層
54 陽極層
55 発光層
56 陰極層
61、62、63 絶縁層
66 第1の層間絶縁層
67 第2の層間絶縁層
68 第3の層間絶縁層
ELR、ELG、ELB 発光素子
L0 半導体層
L1 第1配線層
L2 第2配線層
TDR、TDG、TDB 駆動トランジスタ
VCATH 負電源電圧線(負電源電圧)
VCC 正電源電圧線(正電源電圧)