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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/523 20180101AFI20240820BHJP
【FI】
F24F11/523
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021023050
(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公開番号】P2022125457
(43)【公開日】2022-08-29
【審査請求日】2023-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅人
(72)【発明者】
【氏名】三浦 眞由美
(72)【発明者】
【氏名】坂井 昌由加
(72)【発明者】
【氏名】古賀 宏
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-249441(JP,A)
【文献】特開平10-47736(JP,A)
【文献】実開昭58-62042(JP,U)
【文献】実開昭55-145334(JP,U)
【文献】特開2013-221725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調対象の部屋の温度を測定する第1温度計と、
前記部屋の外の温度を測定する第2温度計と、
前記第1温度計が測定した第1温度と、前記第2温度計が測定した第2温度との差を求めるように構成された算出部と、
前記部屋の利用者に、前記部屋と前記部屋の外との温度差を認識させる複数の目的を記憶するように構成された記憶部と、
前記複数の目的のいずれかに対応する表示モードを設定する設定部と、
表示部に、前記設定部が設定した表示モードで前記算出部が算出した前記第1温度と前記第2温度との差についての情報を表示させるように構成された表示制御部と
を備える表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置において、
前記第2温度計は、前記部屋を備える建物の外の気温を測定することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1記載の表示装置において、
前記第2温度計は、前記部屋を備える建物の内部の、前記部屋に続く廊下、または便所の温度を測定することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置において、
前記複数の目的は、空調効果の提示を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置において、
前記複数の目的は、前記利用者に対する健康リスクの提示を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の表示装置において、
前記表示制御部は、前記第1温度と前記第2温度との差の方向を、三角形または矢印を用いて前記表示部に表示することを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項6記載の表示装置において、
前記表示制御部は、前記第1温度と前記第2温度との差に応じて、前記三角形の底辺から頂点までの長さ、または矢印の長さを変化させることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項6または7記載の表示装置において、
前記部屋の、冷房または暖房のいずれかの空調の状態を取得するように構成された取得部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記取得部が取得した空調の状態をもとに前記第1温度と前記第2温度との差の方向を設定することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調の状態を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数のテナントを収用する商業施設など、大規模な建築物においては、在室者に対する快適な空間の提供を目指し、計測される温度や湿度などをもとに、様々な技術により温度および湿度などの制御を行っている。この種の制御では、居住者の要望に添うことが重要となる。例えば、温度設定を変更したときの、室内温度の変化の現れ方を居住者にとって認識しやすくし、居住者の不快感を緩和する表示装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この技術では、外気温度計測値と室内温度計測値と外気冷房機の状態情報と室内温度設定値とから、居住者が室内温度設定値を変更したときに外気冷房機のみによる完全外気冷房モードで室内温度が変更後の室内温度設定値に達するまでの時間である室内温度変化時間の推定値を算出し、室内温度変化時間推定値を居住者が認識できるように提示(表示)している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5371575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、空調制御の技術は、地球環境に影響し、また人間の健康にも影響を与え、どちらも重要であり、さらなる省エネルギー促進行動が求められると同時に、例えば、ヒートショックを予見するような健康面の認識を向上することも求められている。
【0006】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、省エネルギー行動の促進や、ヒートショックや熱中症の予見の促進などが可能となる表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示装置は、空調対象の部屋の温度を測定する第1温度計と、部屋の外の温度を測定する第2温度計と、第1温度計が測定した第1温度と、第2温度計が測定した第2温度との差を求めるように構成された算出部と、部屋の利用者に、部屋と部屋の外との温度差を認識させる複数の目的を記憶するように構成された記憶部と、複数の目的のいずれかに対応する表示モードを設定する設定部と、表示部に、設定部が設定した表示モードで算出部が算出した第1温度と第2温度との差についての情報を表示させるように構成された表示制御部とを備える。
【0008】
上記表示装置の一構成例において、第2温度計は、部屋を備える建物の外の気温を測定する。
【0009】
上記表示装置の一構成例において、第2温度計は、部屋を備える建物の内部の、部屋に続く廊下、または便所の温度を測定する。
【0010】
上記表示装置の一構成例において、複数の目的は、空調効果の提示を含む。
【0011】
上記表示装置の一構成例において、複数の目的は、利用者に対する健康リスクの提示を含む。
【0012】
上記表示装置の一構成例において、表示制御部は、第1温度と第2温度との差の方向を、三角形または矢印を用いて表示部に表示する。
【0013】
上記表示装置の一構成例において、表示制御部は、第1温度と第2温度との差に応じて、三角形の底辺から頂点までの長さ、または矢印の長さを変化させる。
【0014】
上記表示装置の一構成例において、部屋の、冷房または暖房のいずれかの空調の状態を取得するように構成された取得部をさらに備え、表示制御部は、取得部が取得した空調の状態をもとに第1温度と第2温度との差の方向を設定する。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、設定部が設定した表示モードで第1温度と第2温度との差についての情報を表示するので、省エネルギー行動の促進や、ヒートショックや熱中症の予見の促進などが可能となる表示装置の提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る表示装置の構成を示す構成図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る表示装置による表示例を示す説明図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る表示装置による表示例を示す説明図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る表示装置による表示例を示す説明図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る表示装置による表示例を示す説明図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る表示装置による表示例を示す説明図である。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る表示装置による表示例を示す説明図である。
図8図8は、本発明の実施の形態に係る表示装置の一部のハードウエア構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る表示装置について図1を参照して説明する。この表示装置は、第1温度計101、第2温度計102、算出部103、記憶部104、設定部105、表示制御部106、表示部107、および入力部108を備える。
【0018】
第1温度計101は、空調対象の部屋(部屋内)の温度(室温)を測定する。第2温度計102は、部屋の外の温度を測定する。第2温度計102は、例えば、部屋を備える建物の外の気温を測定する。また、第2温度計102は、部屋を備える建物の内部の、部屋に続く廊下、または便所(トイレ)の温度を測定する。
【0019】
算出部103は、第1温度計101が測定した第1温度と、第2温度計102が測定した第2温度との差を求める。記憶部104は、部屋の利用者に、部屋と部屋の外との温度差を認識させる複数の目的を記憶する。記憶部104が記憶する複数の目的は、例えば、空調効果の提示を含む。また、記憶部104が記憶する複数の目的は、例えば、利用者に対する健康リスクの提示を含む。
【0020】
設定部105は、記憶部104が記憶する複数の目的のいずれかに対応する表示モードを設定する。例えば、設定部105は、利用者の入力部108の操作による選択指示を受け付けて、複数の目的のいずれかに対応する表示モードを設定する。入力部108は、空調対象の部屋内に設置され、利用者による操作が可能とされている。また、設定部105は、予め設定されている切り替えサイクルに応じて、複数の目的を切り替えて、表示モードを設定することもできる。
【0021】
表示制御部106は、表示部107に、設定部105が設定した表示モードで算出部103が算出した第1温度と第2温度との差についての情報を表示させる。表示部107は、空調対象の部屋内に設置され、利用者に視認可能とされている。表示制御部106は、第1温度と第2温度との差の方向を、三角形または矢印を用いて表示部107に表示する。また、表示制御部106は、第1温度と第2温度との差に応じて、三角形の底辺から頂点までの長さ、または矢印の長さを変化させる。
【0022】
また、実施の形態に係る表示装置は、対象となる部屋の、冷房または暖房のいずれかの空調の状態を取得する取得部109を備えることもできる。この場合、表示制御部106は、取得部109が取得した空調の状態をもとに第1温度と第2温度との差の方向を設定する。例えば、取得部109が取得した空調の状態が冷房中の場合、表示制御部106は、第1温度と第2温度との差の方向を、第2温度の表示を上側とし、第1温度の表示を下側とする。一方、取得部109が取得した空調の状態が暖房中の場合、表示制御部106は、第1温度の表示を上側とし、第2温度の表示を下側とする。
【0023】
ここで、表示制御部106は、空調効果の提示が目的である場合の表示モードでは、部屋の外の温度から、部屋の内部の温度への変化として認識できる表示とする。また、表示制御部106は、健康リスクの提示が目的である場合の表示モードでは、部屋の内部の温度から部屋の外の温度への変化として認識できる表示とする。
【0024】
例えば、空調効果の提示が目的である場合は、図2図3図4に例示する表示とする。この例では、表示されている三角形の頂点の方向が室内温度であり、温度差の大きさに対応して、三角形の底辺から頂点までの長さが変化している。また、取得されている空調の状態が表示される。図2図3では、冷房中であることがわかる。また、図4では、暖房中であることがわかる。
【0025】
また、例えば、健康リスクの提示が目的である場合は、図5図6図7に例示する表示とする。表示されている三角形の頂点の方向が室外温度であり、温度差の大きさに対応して、三角形の底辺から頂点までの長さが変化している。この例では、第2温度として、屋外の温度(外気)、廊下の温度、およびトイレの温度が表示されている。
【0026】
上述した実施の形態によれば、表示されている温度が、部屋の外から部屋の中への温度変化を示すものであるか、部屋の中から部屋の外への温度変化を示すものであるかを、部屋の利用者に示すことができる。
【0027】
なお、上述した実施の形態に係る表示装置は、図8に示すように、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)301と主記憶装置302と外部記憶装置303とネットワーク接続装置304となどを備えたコンピュータ機器とし、主記憶装置302に展開されたプログラムによりCPU301が動作する(プログラムを実行する)ことで、上述した各機能が実現されるようにすることもできる。上記プログラムは、上述した実施の形態で示した表示装置の機能をコンピュータが実施するためのプログラムである。ネットワーク接続装置304は、ネットワーク305に接続する。また、各機能は、複数のコンピュータ機器に分散させることもできる。
【0028】
また、上述した実施の形態に係る表示装置は、FPGA(field-programmable gate array)などのプログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)により構成することも可能である。例えば、FPGAのロジックエレメントに、算出部103、記憶部104、設定部105、表示制御部106の各々を回路として備えることで、表示装置として機能させることができる。算出回路、記憶回路、設定回路、表示制御回路の各々は、所定の書き込み装置を接続してFPGAに書き込むことができる。また、FPGAに書き込まれた上記の各回路は、FPGAに接続した書き込み装置により確認することができる。
【0029】
以上に説明したように、本発明によれば、設定部が設定した表示モードで第1温度と第2温度との差についての情報を表示するので、省エネルギー行動の促進や、ヒートショックや熱中症の予見の促進などが可能となる表示装置の提供できるようになる。
【0030】
空調システムの利用においては、部屋の内部と外部(外気や他の部屋)とを比較した場合の温度変化方向と温度差を、目的に応じて視覚的に表示変更することが、有効であることに発明者らは着眼した。
【0031】
例えば、省エネルギー行動を促進するのであれば、外気温度が異常に高いことにより冷房が不十分になる場合に、部屋の温度の不十分さを認識するだけではなく、空調により外気温度からどのくらいの温度降下を達成しているのかを認識しやすい表示をする。例えば、ヒートショックや熱中症の予見を促進するのであれば、暖房により十分に快適である場合に、部屋の温度の十分さを認識するだけではなく、部屋の外に出たときにどのくらいの温度降下を感じることになるのかを認識しやすい表示をする。これら2つの状況であれば、部屋外から部屋内への温度変化であるか、部屋内から部屋外への温度変化であるかを切り替え、この切り替えが認識できる表示とするべきであることに想到した。
【0032】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0033】
101…第1温度計、102…第2温度計、103…算出部、104…記憶部、105…設定部、106…表示制御部、107…表示部、108…入力部、109…取得部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8