(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】電力管理装置及び動作方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/3287 20190101AFI20240820BHJP
G06F 1/3206 20190101ALI20240820BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
G06F1/3287
G06F1/3206
G08C15/00 E
(21)【出願番号】P 2021502895
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2019076209
(87)【国際公開番号】W WO2020065022
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-27
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】521019026
【氏名又は名称】ナノパワー アクスイェ セルスカプ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム コレイア ザビエル
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-106722(JP,A)
【文献】特開2004-150834(JP,A)
【文献】特開2009-180648(JP,A)
【文献】特開2013-011963(JP,A)
【文献】特開2015-176158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26- 1/3296
G08C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上の周辺装置(100)を有するシステムの電力管理のための電力管理装置(10)であって、
前記電力管理装置(10)の内部で及び
前記一つ以上の周辺装置(100)との間でデータを交換するように構成された
、データ通信線(35)に接続された
処理モジュール(30)であって、タイマ(40)からの割り込み又は前記一つ以上の周辺装置(100)からのウェイクアップ信号によりウェイクアップされるように更に構成された、処理モジュール(30)と、
前記電力管理装置(10)の内部で及び前記一つ以上の周辺装置(100)との間で割り込みを送信及び受信し、前記処理モジュール(30)及び/又は前記一つ以上の周辺装置(100)をウェイクアップして前記一つ以上の周辺装置(100)と前記処理モジュール(30)との間でデータ項目の交換を開始するように構成された割り込みチャネル(25)と、
前記処理モジュール(30)と前記割り込みチャネル(25)とに接続されたタイマ(40)であって、前記処理モジュール(30)をウェイクアップするために、前記割り込みチャネル(25)に沿って、特定の間隔で割り込みを送信するようプログラムされた、タイマ(40)と、
前記処理モジュール(30)に接続され、前記電力管理装置(10)及び前記一つ以上の周辺装置(100)との通信及び操作に関する論理演算を格納するように構成されたローカルストレージ(50)と、
電力線(85)を介して前記周辺装置(100)及び前記処理モジュール(30)へ調整可能な供給電圧を供給するように構成された電力管理部(80)と、
を備える装置に配された、電力管理装置(10)。
【請求項2】
前記システムは、前記データ通信線(35)に接続されたホスト(70)、前記割り込みチャネル(25)、前記電力線(85)、及び、前記電力管理装置(10)と前記周辺装置(100)を制御してルールを設定するように構成された前記ホスト(70)のうち少なくとも一つを更に含む、請求項1に記載の電力管理装置(10)。
【請求項3】
前記一つ以上の周辺装置(100)はマスタ又はスレーブのうち一つ以上を備える、請求項1から2の何れか一項に記載の電力管理装置(10)。
【請求項4】
前記マスタ又は前記スレーブは、加速度計(100a)、ジャイロスコープ(100b)、傾斜センサ(100c)、温度センサ、液面計、流量計、マイク、カメラ、湿度計のうち一つ以上である、請求項3に記載の電力管理装置(10)。
【請求項5】
前記タイマ(40)は、スリープ又はアイドルモードから処理モードを開始するために、前記割り込みチャネル(25)を介して、
ホスト(70)又は一つ以上の第2ホスト(60)のうち一つへ割り込み信号を送信するように
更に構成された、請求項1から4の何れか一項に記載の電力管理装置(10)。
【請求項6】
前記一つ以上の周辺装置(100)、
ホスト(70)又は一つ以上の第2ホスト(60)に接続された割り込み可能な電力線(85)、
を更に備える、請求項1から5の何れか一項に記載の電力管理装置(10)。
【請求項7】
前記調整可能な供給電圧を供給するように構成された電力合成器(84)又はパルス幅変調器(90)のうち少なくとも一つを更に備える、請求項6に記載の電力管理装置(10)。
【請求項8】
前記電力管理装置(10)をIoTハブに接続するように構成された接続部を更に備える、請求項1から7のうちの何れか一項に記載の電力管理装置(10)。
【請求項9】
前記一つ以上の周辺装置(100)は内部レジスタ(110)を有する、請求項1から8の何れか一項に記載の電力管理装置(10)。
【請求項10】
ホスト(70)は、前記一つ以上の周辺装置(100)のうち少なくとも一つと前記データ通信線(35)を介して直接接続されている、請求項2から9の何れか一項に記載の電力管理装置(10)。
【請求項11】
前記ホスト(70)は、命令の受信により、前記一つ以上の周辺装置(100)のうち少なくとも一つと直接通信するよう構成される、請求項10に記載の電力管理装置(10)。
【請求項12】
処理モジュール(30)を有する電力管理装置(10)と、少なくとも一つの周辺装置(100)とを備えるシステムの電源を管理する方法であって、
前記処理モジュール(30)をウェイクアップするために、タイマ(40)によって、特定の間隔で割り込みを前記処理モジュール(30)に送信することであって、前記処理モジュール(30)の前記ウェイクアップは、前記少なくとも一つの周辺装置(100)からの前記割り込み信号又は前記タイマ(40)からのウェイクアップ信号の受信により開始されることと、
前記割り込み信号
への応答を交換することにより前記少なくとも一つの周辺装置(100)と前記処理モジュール(30)との間の接続を開始(250)することと
、
前記少なくとも一つの周辺装置(100)と前記処理モジュール(30)との間におけるデータ項目のデータ転送を開始することと、
前記電力管理装置(10)の電力管理部(80)によって、前記少なくとも一つの周辺装置(100)及び前記処理モジュール(30)へ調整可能な供給電圧を供給することと、
前記電力管理装置(10)のローカルストレージ(50)において、前記電力管理装置(10)及び前記少なくとも一つの周辺装置(100)との通信及び操作に関する命令にアクセスすることと、
前記少なくとも一つの周辺装置(100)についての前記アクセスした命令を使用して論理演算を実行することと、
前記調整可能な供給電圧を前記少なくとも一つの周辺装置(100)に渡すことと、
を含む、方法。
【請求項13】
ホスト(70)が前記処理モジュール(30)から又は前記
少なくとも一つの周辺装置(100)から直接データの受信を開始する論理演算を実行することを更に含み、前記ホスト(70)が、前記電力管理装置(10)と前記周辺装置(100)を制御してルールを設定するように構成されている、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
ホスト(70)の電源を投入することを更に含む、請求項12
又は13に記載の方法。
【請求項15】
アップデートされた命令を前記ローカルストレージ(50)に格納すること(265)を更に含む、請求項12から
14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
ホスト(70)から前記ローカルストレージ(50)へ命令を転送することを更に含む、請求項12から
15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記調整可能な供給電圧を設定することを更に含む、請求項12から
16の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月27日に出願されたルクセンブルク特許出願第LU 100947号明細書の優先権及び利益を主張する。
【0002】
本発明は電力管理装置(power management arrangement)、及びシステム内における電力管理装置の動作方法に関する。
【背景技術】
【0003】
複数の周辺装置及びバッテリ又は環境発電のような供給電源を備えたシステムが知られている。
【0004】
システムの一例としては、温度監視用のバッテリ駆動の無線システムがある。同様に、システムは、管理を必要とする多数の異なる周辺構成要素を持つ携帯電話であることもできる。
【0005】
「モノのインターネット(Internet of Things)」(IoTと略される)は相互に接続された装置を表現するために開発されたものであり、インターネット基盤内で一意に識別可能な外部装置を相互接続することを指す。相互接続されたそれぞれの装置に固有のIPアドレスが割り当てられることで、IoTネットワーク内にて装置が識別できる。IoTネットワークの採用が進み、最終的には、IoT技術は、仮想的にどのような型の物理的な物体でも監視でき、それ自体又は周囲の情報を提供し、そして/又はローカルネットワーク、イントラネット、又はインターネットのようなネットワークを介して遠隔アクセス可能になるという、新しい、幅広い型の応用が期待される。
【0006】
例えば、米国特許第9,497,572号明細書(Brittら、Afero,Inc.に譲渡)より、IoTネットワークを教示し、無線システムを介してIoT装置に接続されたいわゆるIoTハブ、及び複数の異なる型のIoT装置をIoTハブへ通信可能に接続するためのローカル通信インターフェースを使用する方法、のようなIoTネットワークが既知である。IoT装置はプログラムコードを格納するためのメモリ及びプログラムコードを実行するためのマイクロプロセッサを有する。本特許におけるプログラムコードは、開発者が任意の型のIoT装置を開発することを可能にするための基本的なビルディングブロックを含むものとして説明される。
【0007】
同様に、米国特許第9,503,969(B1)号明細書(Zakaria、Afero, Inc.に譲渡)には複数のIoT装置とIoTハブの間の接続性を持つIoTネットワークが記載されている。この特許はIoT装置内に配されたBLE装置のスキャン間隔又はスキャン幅を調整する装置と方法を開示している。IoT装置はIoT装置内に配されたセンサのような、一つ以上の周辺装置を有する。本特許の焦点は、IoT装置内のBLEモジュールの低電力スリープ状態に関連するが、BLEモジュールの起動後にIoT装置とIoTハブの間の無線接続をどのように回復させることができるのかを扱う。本特許はIoT装置内にて低電力状態をどのように有効化し管理するのかについて言及していない。
【0008】
IoTソリューションの開発及び採用は、接続性、安定性の欠如、及び電力消費に関する問題のため、比較的遅れている。
【0009】
IoTソリューションの接続性は現在、Bluetooth(登録商標)プロトコルの使用によって、一般的に解決されている。IEEE 802.11、DECT、Zig bee(登録商標)、及び独自プロトコルのような、他のプロトコルも使用されている。無線通信のためのBluetoothプロトコルはオープンな仕様であり、IoT装置及びIoTハブ間の低消費電力、近距離、及び低コスト接続を促進する。Bluetooth装置としては、非限定的に、市販のスマートフォン、コネクテッドカー、電子カメラ、おもちゃ、健康監視システム等、が挙げられる。しかしながら、これらのBluetoothプロトコルを実装している装置、特にスタンドアロンのものは、Bluetooth送受信機を長期間動かし続けるためのエネルギー源が限られている。
【0010】
Bluetooth4.0プロトコルは、電力消費問題に対処するために、2011年6月にリリースされ、非常に低い電力消費へと導いた。Bluetooth4.0プロトコルは、Bluetooth装置が以前のBluetoothプロトコルに比較して電力消費を著しく抑えながら非常に小さなパケットのデータを伝送することを可能にするBluetooth Low Energy機能(BLE)を含む。したがって、この小さなデータパケット、ブロードキャスト機能を使用して、Bluetooth装置は何か月又は何年も、小さなバッテリにより機能することができる。
【0011】
同じ原理をWi-Fi、Zig Bee、GSM(登録商標)/Cellular等の他の通信技術に適用できるが、これらの電源に関する要求はBLEよりも著しく高い。
【0012】
例えばドアロック、環境センサ、ホームセキュリティーセンサ、ビーコン、又は資産追跡などのようなIoT装置に接続するには、各接続されたIoT装置に電源供給するために、電源又はバッテリなどのような蓄電が必要である。外部電源は便利な場所に配置されていないか利用できないことが多い一方、バッテリは、サイズ及びIoT装置の異なる動作モードにおける電力消費により、寿命が有限である。
【0013】
電子機器のサイズが継続的に縮小されたことにより、バッテリサイズを小さくし長いバッテリ寿命を可能にするために、新しい電力管理装置の開発がなされた。マイクロコントローラーシステムのより最近のトレンドは通信機能を維持しながら電力消費を低くすることである。現在において、BLE、GPS、Wi-Fi又はZig Beeのようなプロトコルを含む小さなシステムがシンプルなCR2450バッテリにより電源供給されることが一般的である。電力消費を削減する追加の技術においては、電力を節約し、その結果バッテリ寿命を延ばすために、マイクロコントローラ及び他の構成要素をできるだけ長い期間何らかの形のアイドルモードに保つ。
【0014】
電力消費におけるこれらの進歩にもかかわらず、バッテリ駆動装置における解決すべき電力消費問題が存在する。まず、マイクロコントローラは電力管理を行わない。次に、マイクロコントローラをベースにしたシステムは、マイクロコントローラそのものによる継続的な電力の消費のために、継続的な電力消費が発生する。そして、無線チップをアイドルモードからアクティブモードにウェイクアップする、又はウェイクアップする処理は時間を要し(上に参照した米国特許第9,503,969号明細書に議論される)、ウェイクアップ期間において、電流ひいては電力消費が追加的に増加する。これはエネルギーを節約するため電源をオン/オフするシステムでは無線チップは滅多に良い選択とはならないということを意味する。
【0015】
これらの問題に対処するために、改善された電力管理装置が開発された。
【発明の概要】
【0016】
本明細書では接続システムにおける電力管理装置及び電力管理の方法が説明される。装置接続システムは電力管理装置及び一つ以上の周辺装置を備える。
【0017】
電力管理装置は独立した構成要素として実装することができ、又はシリコン上に完全に埋め込むこともできる。
【0018】
電力管理装置はIoT装置のような装置内に配置され、電力管理装置内、及び一つ以上の周辺装置とデータを交換するために使用される一つ以上のデータ通信線へ接続された処理モジュールを備える。電力管理装置内には、電力管理装置内にて、又は一つ以上の前記周辺装置との間で割り込みを送信または受信するための割り込みチャネルが存在する。電力管理装置及び一つ以上の周辺装置との通信及び動作に関連した論理演算を格納するローカルストレージが処理モジュールに接続される。
【0019】
割り込みは電力管理装置内、及び周辺装置に対して、双方向的である。処理モジュールと周辺装置との間の通信を開始するために割り込みを処理モジュールから周辺装置の一つへ送信することができる。周辺装置は割り込みを認識し、周辺装置と処理モジュールの間でデータが交換できる。別の態様では、処理モジュールへ割り込みを送信することにより、周辺装置が通信を開始する。割り込みの受信により処理モジュールがアイドルモード又はスリープモードからウェイクアップすることがトリガされる。処理モジュールは割り込みの受信を認識し、周辺装置とデータを交換する。
【0020】
処理モジュール及び周辺装置をウェイクアップするための割り込みは直接でも、又は割り込みインターフェースを介しても可能である。
【0021】
電力管理装置はまた、所望の間隔又は日付時刻にて、割り込みチャネルを介して処理モジュール又は周辺装置へ割り込みを生成することに使用できるタイマを含んでもよい。
【0022】
周辺装置は、多数の異なる型でマスタとスレーブ機能双方を含むことも可能である。マスタは双方向であり、すなわち、設定及びコマンドを受信又は提供可能であり、例えばプロセッサが挙げられる。スレーブは作動させられたときシステムから設定されなければならず、例えば、非限定的に動作、温度、気圧、流体流、及び傾き/角度等のような物理的属性を監視するセンサが挙げられる。センサの非限定例は加速度計、ジャイロスコープ、傾斜センサ、マイク、カメラ/ビデオ、及び湿度計を含む。周辺装置は、典型的には、物理的属性、割り込み、またタイムスタンプのデータ値を、処理、格納及びその他のタスクのために、電力管理装置に転送する。
【0023】
電力管理装置は複数の論理演算ルール及び電力管理装置と周辺装置との通信及び動作に関連したデータを格納した、処理モジュールに接続されたローカルストレージを更に含む。動作中、ローカルストレージは電力管理装置及び周辺装置の状態値の格納に加えてランタイムオペレーションのために利用可能である。ローカルストレージは概して揮発性であるが、特定のスタンドアロン又は供給電源を必要とせず記憶を保持する必要性のある事前に構成されたケースのために、不揮発性ストレージにより補完されることもできる。
【0024】
上記のように、電力管理装置は、一つ以上のデータ通信線を介して周辺装置へ接続される。このデータ通信線はアイドル、すなわちデータを運搬しないということもでき、このアイドル時間には周辺装置はデータを電力管理装置へ伝送しない。周辺装置はデータを記録し続けてもよく、後の時点で記録データを処理モジュール及び/又はホストへ渡す前に、記録データをローカルレジスタへ格納してもよい。周辺装置は、言い換えれば、継続的にアクティブにデータを伝送せず、そのため電力消費を抑えている。
【0025】
ある態様では、電力管理装置はデータ通信線及び割り込みチャネルへも接続されたホストを有する。ホストはデータ通信線を通じて周辺装置と直接データを交換可能である。ホストは処理モジュールを通じてもデータ交換可能である。ホストは双方向割り込みチャネルを介して電力管理装置へも接続される。ホストは、アクティブモードにて、電力管理装置及び周辺装置を制御しルールを設定できるマスタである。ホストは、例えば特定のタスクのために、自身に直接付属した自身のマスタ装置を第2ホストとして有してもよい。ホストは、アクティブモード中、要求があれば周辺装置と直接接続が行える。周辺装置としては、ホストは多くの場合、電力節約のために電源をオフされ、電源をオフにする最中又はスリープ/アイドルモードへ移行中は電力管理装置に制御が移る。ホストの一つの非限定例はワイヤレスチップである。
【0026】
複数の電力線は供給電圧を、周辺装置、ホスト、及び電力管理装置内の構成要素へ、電力合成器を通じて運搬する。電力消費の異なる動作を確実に行うためにちょうど充分な電圧を供給するために、パルス幅変調器のような調整可能電源供給を通じて、供給電圧レベルを調整可能にすることができる。言い換えれば、構成要素は標準的な1.2、3.5又は5V供給電圧を必ずしも供給されず、動作が可能でありながら最小の電力を消費する電圧が供給される。
【0027】
電力管理装置はまた、電力管理装置を有する装置を、当技術分野で既知のIoTハブのような制御ユニットと接続する機能を持つ無線送受信機のような接続部を、例えばホストの一部として含んでもよい。
【0028】
電力管理装置及び少なくとも一つの周辺装置を備えるシステム内における電力管理の方法も開示される。方法は、割り込み信号を交換し、処理モジュールをウェイクアップし、少なくとも一つの周辺装置と処理モジュールの間でデータ項目のデータ転送を開始することにより周辺装置と処理モジュールとの間の接続を開始することを含む。処理モジュールのウェイクアップは、少なくとも一つの周辺装置からの割り込み信号の受信、又はタイマからのウェイクアップ信号の受信、のどちらかにより開始されることができる。
【0029】
本発明のさらなる態様では、命令は、例えば電力管理装置内のローカルストレージからアクセスされることができ、そしてアクセスされた命令は、周辺装置の一つ又は処理モジュールにより論理演算を実行するために使用される。ローカルストレージ内の命令は、処理モジュール、ホスト、及び/又は一つ以上の周辺装置のスイッチをオフにすること、又はスリープ又はアイドルモードに移行し、ウェイクアップ時に状態を回復することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は電力管理装置が装置内にて用いられた場合の例示的な実施形態を示す。
【
図2】
図2は電力管理装置が装置内にて用いられた場合の例示的な実施形態を示す。
【
図3】
図3は電力管理装置が装置内にて用いられた場合の例示的な実施形態を示す。
【
図4】
図4は電力管理装置が装置内にて用いられた場合の例示的な実施形態を示す。
【
図5】
図5は電力管理装置と一つ以上の周辺装置との間でデータを交換する方法の概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1~
図4は本明細書にて説明する装置接続システム5の例を示す。記載された装置接続システム5は典型的な装置接続システムの一例に過ぎず、本発明は任意の特定の型の装置接続システム5に限定されない。
【0032】
装置接続システム5は、周辺装置100へ供給電圧を供給するために電力管理部80から、データ通信線35(
図3)、割り込みチャネル25(
図4)、及び電力線85(
図2)により一つ以上の周辺装置100に接続された電力管理装置10を有する。データ通信線35、割り込みチャネル25、及び電力線85は物理レベルで異なる線として実装されることもでき、又は単一の接続線として実装されることもできる。電力管理装置10は更に処理モジュール30、タイマ40、及びローカルストレージ50を有する。電力管理装置10内におけるこれらのモジュールの機能は後に説明する。
【0033】
データ通信線35は、例えば半導体(例えばシリコンチップ)上のトラック、又は有線接続であることができる。
【0034】
ホスト70は電力管理装置10内の処理モジュール30とは別個の処理部であり、電力管理装置10及び一つ以上の周辺装置100に、接続され制御が可能である。ホスト70の機能はデータをさらに処理すること、データの無線転送等を含む。電力管理装置10、そして場合により周辺装置100のうち一つ以上に接続された第2ホスト60があってもよい。典型的には、第2ホスト60は特別なタスクのために、又はリアルタイム実行又は低電力処理に最適化されている等の特定の能力により使用されるマスタ装置である。そのような第2ホスト60はマルチコア配置で知られており、ホスト70により必要とされる処理電力をオフロードする専用タスクに最適化された処理部を提供する。例えばコアの一つがBluetoothプロトコル下でデータ転送をハンドリングしている一方、もう一つのコアは画像を処理しているというようなことが可能であろう。
【0035】
周辺装置100はマスタ又はスレーブの能力を有することができ、アナログ又はデジタルであることができる。例として、非限定的に動作、温度、気圧、流体流、及び傾き/角度等のような物理的属性を監視するセンサが挙げられる。センサの非限定例は加速度計、ジャイロスコープ、傾斜センサ、マイク、カメラ/ビデオ、及び湿度計を含む。周辺装置100はデータを収集して伝送してもよい。周辺装置100のうち幾つかは内部レジスタ110を有し、そして限られた量の収集されたデータを一つ以上の内部レジスタ110に書き込んでもよい。周辺装置100は、選択された周辺装置に応じて、限られた範囲の操作を実行してもしなくてもよい。周辺装置100が消費した電力の量は型及び活動に依存する。
【0036】
電力管理部80の概要を
図6に示す。電力管理部80は、例えば、供給電圧可変装置又はパルス幅変調器であり、電力線85を介して出力電圧と電力を変化させるために適用することができる。幾つかの周辺装置100はデータ通信線35と同じ物理接続を通じて供給電力を有してもよい。
【0037】
電力管理部80は、例えばバッテリ/エネルギー貯蔵81、環境発電82、及び外部供給電源83のような異なる電源を扱うことができる。このセットアップは、全対全の電力合成器84のセットアップを通じて、例えば、電源間で切り替え可能であることにより環境発電83に基づく異なる動作モードにおける動作を促進するために電力を変化させる。後に説明するように、電力管理装置を操作するために必要な電力が少しであることは、多くの場合、環境発電83が装置接続システムに対して少なくとも部分的に電力供給するのに充分であることを意味する。
【0038】
電力管理部80は、周辺装置100、電力管理装置10の内部構成要素、ホスト70、第2ホスト60等の、独立して電力消費を行う部分へ最適な電圧を供給するようセットアップされている。電力合成器84は、各ユースケースの解を達成するために、幾つかの代替のうち一つに対して供給することに使用される。ユースケースの一例としては、パルス幅変調器90を使用し、パルス幅変調器90のデューティ比の長さにより供給電圧を調整し、それにより電源の電力消費部(例えば一つ以上の周辺装置100)に電力線85を介して供給される電力の量が調整される。供給電圧のレベルを平滑化するために、フィルタ95をパルス幅変調器90と電力消費部の間に接続することができる。典型的な動作レンジは1.2から5Vであろうが、議論中の電力消費部の仕様により各電力消費部の動作電圧レンジが与えられよう。
【0039】
パルス幅変調器90からのデューティ比の長さは、電力消費部が要求する電力の量を削減するために、初期は、周辺装置100のうち一つのような、関連する電力消費部が必要な機能性を維持できる最小の動作電圧が与えられるように設定される。電力消費部の特定の構成要素が古くなるにつれて、高い動作電圧とより多い電力を提供する必要があり得るということが知られている。周辺装置100、例えばセンサ100a、100b、又は100c、は、必要な電力及び/又は必要な動作電圧によって、デューティ比を長く、又は短くするための、周辺装置100からパルス幅変調器90へフィードバック信号を提供する出力ピン130を有する。例えば周辺装置100からのデータがもはや正確に生成されなくなるということが起こるであろう。周辺装置100のうち一つがアイドル又はスリープ状態にあり、周辺装置が少しの電力しか消費しない(例えばナノアンペアの範囲)ということも起こり得る。周辺装置に接続された割り込みチャネル25からの信号を受信すると、周辺装置はウェイクアップし、より多くの電力を消費することが必要になり、接続されたパルス幅変調器90へ信号を送ってデューティ比を長くしより多くの電力を提供する。
【0040】
パルス幅変調器90及びフィルタ95の各対は、電力消費部、例えば周辺装置、の動作電圧が異なるため、異なった電力線85(
図6に示す)に接続される。
【0041】
電力管理装置10はホスト70又は一つ以上の第2ホスト60に、データ接続線35及び割り込みチャネル25を通じて接続される。ホスト70又は第2ホスト60の動作中、周辺装置100はホスト70、又は一つ以上の第2ホスト60により直接制御されてもよい。ホスト70又は第2ホスト60が、エネルギー節約のためにシャットダウンされているときは、あらゆる動作が電力管理装置10に引き継がれる。
【0042】
図3に示される電力管理装置10は、双方向通信、すなわち装置接続システムに接続された全ての構成要素、例えば周辺装置100、ホスト70、第2ホスト60、及び処理モジュール30、内部ストレージ50、及びタイマ40のような電力管理装置10の内部構成要素、の間での制御とデータ交換のために周辺装置100へデータ通信線35を提供する。
【0043】
図2に示されるように、電力管理装置10には、処理モジュール30、ホスト70、第2ホスト60、周辺装置100、及び電力管理装置10の他の構成要素を割り込みチャネル25を通じて接続する割り込みインターフェース20が提供される。割り込みインターフェース20は一つ以上の接続された構成要素への双方向割り込みの経路となることができる。例えば、周辺装置100は、周辺装置100のためのそれぞれの内部レジスタ110に格納され得た任意のデータを転送するよう命令されてもよく、収集されたデータを、データ通信線35を通じて、例えば処理モジュール30、ホスト70、又は第2ホスト60へ渡してもよい。同様に、処理モジュール30は、低電力状態から、周辺装置100からデータを受信するためのアクティブモードへウェイクアップするよう要求されることができる。
【0044】
電力管理装置10上にローカルストレージ50が存在する。ローカルストレージ50は、処理モジュール30、ホスト70、第2ホスト60、及び個々の周辺装置100のためのルール、タスク、データ及び状態変数を格納する。ルール及びタスクはホスト70により生成されるか、又は予め定義され処理モジュール30によりローカルストレージ50に書き込まれている。処理モジュール30及びローカルストレージ50の組み合わせは、ホスト70が周辺装置100を制御するための一種の「ミラー」を提供するためである。ローカルストレージ50は、本発明のある態様において、周辺装置100からデータ通信線35に沿ってデータを取得するために周辺装置100をウェイクアップするのに必要な動作のみを格納する。さらなる態様では、システム上にホスト70が存在せず、ルール及びタスクを提供するために、電力管理装置10は製造時に予めプログラムされているか、電力管理装置10に外部メモリが追加又は接続されている。ローカルストレージは電力で維持することができる揮発性ストレージから成る。ローカルストレージは、ランタイムオペレーションのための必要なストレージを提供するのに加えて、ホスト70のスリープモードが係合する前にホスト70からのルールを格納してもよく、及び/又はより速くウェイクアップするためのシステムの任意の構成要素からの状態変数を格納してもよい。オプションの非揮発性ストレージがすべてのスタンドアロンアプリケーションに対して必要であるか、又は、供給電源がなくても予め定義された設定が維持されなければならない場合に必要である。
【0045】
処理モジュール30は、ホスト70に割り込みを直接又は前述の割り込みインターフェース20を介して送信することにより、ホスト70をウェイクアップすることができる。
【0046】
装置接続システム5のディープスリープモードは、処理モジュール30が通信線35に沿ったあらゆる外部信号にも反応しないモードである。それでも処理モジュール30は割り込みチャネル25を介した割り込みに基づくウェイクアップには反応する。処理モジュール30はウェイクアップに約7ナノ秒を要する。
【0047】
電力管理装置10は処理モジュール30と割り込みインターフェース20とに接続されたタイマ40とを含む。タイマ40は、処理モジュール30がウェイクアップを開始し処理モードに入るための、割り込みチャネル25に沿って割り込み信号を提供する。
【0048】
タイマ40はカウントダウンタイマとして配置されていて、カウントダウン時間が0に到達した時に、処理モジュール30をウェイクアップするために、割り込みチャネル25に沿って、特定の間隔で割り込みを送信するようプログラムされている。カウントダウンタイマ40に設定されている初期値は可変であり、装置通信システム5が使用される環境の要件に依存する。タイマ40はシンプルな装置であり非常に小さな電力を消費する。ディープスリープモードでは、タイマを含む装置接続システム5全体の電力消費は10から15ナノアンペアの範囲となる。
【0049】
タイマ40はカウントアップするよう設定することもでき、カレンダーと組み合わせれば設定した日付時刻にウェイクアップすることができ、平日、休日、一日の時間帯などによる変動を調整することができる。例えば、周辺装置100が日中に使用されるが夜間には使用されない場合、処理モジュール30が一日の時間帯により異なる間隔でウェイクアップするようタイマ40をプログラムすることが可能であろう。例えば夜間には、より少ないデータが収集され、処理されるべきデータも少ないため、タイマ40は処理モジュール30をより少ない頻度でウェイクアップすることができる。ローカルストレージ50はタイマ40を使用したウェイクアップのためのより複雑なルール及びアクションを格納する。
【0050】
処理モジュール30は、ウェイクアップ時、処理モジュール30がデータを受入可能であることを周辺装置100へ知らせるために、割り込みインターフェース20を介して、割り込みチャネル25を通じて、周辺装置100へ信号を送信する。選択された周辺装置100は設定によって電源が投入されるか又は電源が既に入っていて、周辺装置100からデータ通信線35を通じて処理モジュール30、ホスト70、又は第2ホスト60へデータが転送され、通常通りに処理される。
【0051】
電力管理装置10のある態様では、処理モジュール30のウェイクアップ時、選択した周辺装置100からデータを収集するだけのようにプログラムすることができる。周辺装置100が電力を消費するため、処理モジュール30は、割り込みインターフェース20を通じて、データを要求した周辺装置100のみに対して割り込みを送信する。データを要求されなかった周辺装置100は割り込みを受信しないであろう。したがって、例えば周辺装置100のうち幾つかは5分ごとにデータを転送するよう命令されることもでき、その他の周辺装置100は代わりに例えば1時間ごとに転送するよう命令されるであろう。これにより電力消費をさらに削減する機会が与えられる。
【0052】
図4は電力管理装置10の動作の例を示す。第1のステップ200では処理モジュール30が通常動作していて、データはデータ通信線35を通じて処理モジュール30から、また処理モジュール30へ転送されている。続くステップ210では、処理モジュール30へウェイクアップ信号が送信されるまでの時間のカウントダウン値がタイマ40の内部レジスタに書き込まれる。このカウントダウン値は、前述のように、予め格納されたデフォルト値であることもでき、又は一日の時間帯又は他の状況に依存することもできる。
【0053】
ステップ220では、処理モジュール30は周辺装置100の電源をシャットダウンする。そして、ステップ230では、処理モジュール30はスリープモードに入り、データ通信線35をシャットダウンする。処理モジュール30は今ディープスリープモードであり、タイマ40が、ステップ210で内部レジスタに設定された値からカウントダウンし(ステップ240)、ステップ250でのタイマ40からの割り込みの後に自分自身をウェイクアップする。処理モジュール30は通常動作に戻る(ステップ200)。周辺装置100が処理モジュール30をウェイクアップする必要がある時は、ウェイクアップ信号を一つ以上の周辺装置100から発行することも可能である。これは、例えば、周辺装置が収集したデータの値が閾値を超えたときに起こり得る。一つの例は周辺装置100が温度センサの場合である。温度がある閾値を下回った場合、暖房機器のスイッチを入れる必要があり得る。温度がある閾値を上回った場合、冷房機器のスイッチを入れる必要がある。どちらの場合でも、処理モジュール30は制御信号を必要な装置に送信するためにウェイクアップされる必要がある。
【0054】
ウェイクアップ時、処理モジュール30は、ステップ260にて任意の可能性のある外部ホスト70又は第2ホスト60から命令をフェッチしようと試み、ホスト70又は第2ホスト60が存在しないか、ウェイクアップしていないか、又は命令を送信するよう設定されていない場合、自動的にローカルストレージ50の命令へ戻る。ステップ270にて、処理モジュール30は、例えば、異なる論理演算が実行される周辺装置100、ホスト70、又は第2ホスト60のうち一つ以上へこれらの命令を渡す。これらの論理演算は、ステップ280にて、処理モジュール30、ホスト70、又は第2ホスト60へ/から、周辺装置100よりデータを転送することを含む。命令はステップ265にて処理モジュール30、ホスト70、又は第2ホスト60により、ローカルストレージ50に予め格納されている。処理モジュール30は、電力管理部80により周辺装置100、処理モジュール30、ホスト70、及び第2ホスト60へ供給される電力の量に関した命令へもアクセスする。この特定の動作電圧を提供するためにパルス幅変調器90のデューティ比が設定される。
【0055】
周辺装置100の起動時に必要な電力を削減するために、周辺装置は、周辺装置100を操作するために必要な最小の電力でウェイクアップされる。この最小量は初期にプログラムすることもできれば、又は、周辺装置100に電力線85に沿って供給される電力の量は増加させることもできる。電力管理装置10は7ナノ秒でウェイクアップするが、型及び起動方法により周辺装置100がウェイクアップする時間がより長くかかることが理解されよう。
【0056】
そして、また随意に、ステップ290にて、データは処理モジュール30からホスト70へ渡されることができる。ある場合にはデータは周辺装置100からホスト70又は第2ホスト60のうち一つへ直接渡されてもよい。
【0057】
タイマ40、処理モジュール30、及び割り込みインターフェース20を含む電力管理装置10がプログラムされることを可能にする、電力管理装置と通信及び構成するためのライブラリが提供される。開発者がライブラリを使用できるためのAPIドキュメントも提供される。
【0058】
電力管理装置10の実装は、例えばシリコン上の回路内に組み込むことができるIPブロックとして提供される。電力管理装置10は、CSP又はQFNパッケージ、及びCOBアセンブリ用のダイを含む、離散構成要素に基づくモジュールの形で、又はシリコン上に直接提供される。
【符号の説明】
【0059】
5 装置接続システム
10 電力管理装置
20 割り込みインターフェース
25 割り込みチャネル
30 処理モジュール
35 データ通信線
40 タイマ
45 タイマ接続
50 ローカルストレージ
60 第2ホスト
70 ホスト
80 電力管理部
81 蓄電/バッテリ
82 環境発電
83 外部供給電源
84 電力合成器
85 電力線
87 電圧調整器
90 パルス幅変調器
95 フィルタ
100 周辺装置
100a、100b、100c センサ
110 レジスタ
130 出力ピン