(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】薄膜形成装置およびこれを用いた薄膜形成方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/44 20060101AFI20240820BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240820BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20240820BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
C23C16/44 B
H01L21/31 B
H01L21/316 X
H01L21/318 B
H01L21/318 C
(21)【出願番号】P 2021508305
(86)(22)【出願日】2019-08-21
(86)【国際出願番号】 KR2019010656
(87)【国際公開番号】W WO2020040549
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2018-0097671
(32)【優先日】2018-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】504210651
【氏名又は名称】ジュスン エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クー ブン ヘイ
(72)【発明者】
【氏名】ファン チュル ジュ
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-213289(JP,A)
【文献】特開2012-222024(JP,A)
【文献】特開2010-206029(JP,A)
【文献】特開平06-204147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/44
H01L 21/31
H01L 21/316
H01L 21/318
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜形成装置において、
反応空間を提供する工程チャンバと、
前記工程チャンバの内部に設けられ、基板を支持する基板支持部と、
前記工程チャンバの上部を覆うチャンバリッドと、
前記チャンバリッドの下面に設けられ、工程ガスを前記基板に注入するガス注入モジュールと、を備え、
前記反応空間は、
前記基板にシリコン薄膜を形成
し、かつ前記シリコン薄膜の形成と同時にまたは順次にシリコン内に不純物注入が行われる第1空間と、
前記基板上に形成された自然酸化膜及び前記基板の表面に含まれた不純物からなる群より選択される一種以上を除去するために、プラズマを用いて前記基板の表面を処理する第2空間と、を含み、
前記基板は、前記基板支持部の回転によって前記第1空間と前記第2空間を移動することを特徴とする薄膜形成装置。
【請求項2】
前記第1空間は、
化学気相蒸着(CVD)、原子層蒸着(ALD)、または選択的エピタキシャル成長(Selectively Epitaxial Growth)によって前記基板にシリコン薄膜を形成するシリコン形成領域であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
【請求項3】
前記シリコン薄膜は、
非晶質シリコン薄膜、結晶質シリコン薄膜、または単結晶シリコン薄膜であることを特徴とする請求項2に記載の薄膜形成装置。
【請求項4】
前記第2空間は、
前記基板に形成された前記シリコン薄膜を不活性ガスのプラズマに露出させて、前記シリコン薄膜内部の不純物を除去するか、前記シリコン薄膜のグレインサイズを均一化するプラズマ処理領域であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
【請求項5】
前記ガス注入モジュールは、
前記第1空間で前記基板にソースガスを注入するソースガス注入部と、
前記第2空間で前記基板にプラズマガスを注入するプラズマガス注入部と、
前記第1空間と前記第2空間との間にパージガスを注入するパージガス注入部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
【請求項6】
前記第1空間で前記基板に反応ガスを注入する反応ガス注入部をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の薄膜形成装置。
【請求項7】
前記シリコン薄膜は、
1~20Åの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
【請求項8】
前記ソースガス注入部は、
複数のソースガス注入器を含み、
前記複数のソースガス注入器は、同一のソースガス、または互いに異なるソースガスを注入することを特徴とする請求項5に記載の薄膜形成装置。
【請求項9】
工程チャンバ内の第2空間で基板上に形成された自然酸化膜及び前記基板の表面に含まれた不純物からなる群より選択される一種以上を除去するために、プラズマを用いて前記基板の表面を処理するプラズマ前処理ステップと、
第2パージガスを供給する第2パージガス供給ステップと、
工程チャンバ内の第1空間で基板上にシリコンソースガスを供給してシリコン薄膜を形成
し、かつ前記シリコン薄膜の形成と同時にまたは順次にシリコン内に不純物を注入するシリコン薄膜形成ステップと、
第1パージガスを供給する第1パージガス供給ステップと、
前記工程チャンバ内の第2空間で前記シリコン薄膜内の不純物を除去するか、シリコン薄膜の結晶のグレインサイズを均一化するために、前記シリコン薄膜の表面をプラズマを用いて処理するプラズマ表面処理ステップと、
第2パージガスを供給する第2パージガス供給ステップと、を含むことを特徴とする薄膜形成方法。
【請求項10】
前記シリコン薄膜形成ステップは、
非晶質シリコン薄膜を形成するか、結晶質シリコン薄膜を形成するか、単結晶シリコンを成長させるステップのいずれか1つであることを特徴とする請求項9に記載の薄膜形成方法。
【請求項11】
前記シリコン薄膜形成ステップは、
化学気相蒸着(CVD)、原子層蒸着(ALD)、または選択的エピタキシャル成長(Selectively Epitaxial Growth)によって前記基板にシリコン薄膜を形成するステップであることを特徴とする請求項9に記載の薄膜形成方法。
【請求項12】
前記プラズマ表面処理ステップは、
前記シリコン薄膜を水素(H
2)、窒素(N
2)、アルゴン(Ar)、および不活性ガスの少なくとも1つ以上のガスのプラズマに露出させて、前記シリコン薄膜の表面を処理するステップであることを特徴とする請求項9に記載の薄膜形成方法。
【請求項13】
前記基板に形成されたシリコン薄膜の厚さを確認する薄膜厚さ確認ステップをさらに含み、
所望の厚さのシリコン薄膜が形成されるまで前記シリコン薄膜形成ステップから前記第2パージガス供給ステップを繰り返すことを特徴とする請求項9に記載の薄膜形成方法。
【請求項14】
前記反応空間は、
前記第1空間と前記第2空間との間にパージガスを注入して、基板の上部に残っているソースガスを除去する領域である第1パージ空間と、
前記第2空間と前記第1空間との間にパージガスを注入して、基板の上部に残っているプラズマガスを除去する領域である第2パージ空間と、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
【請求項15】
前記第1空間、前記第1パージ空間、前記第2空間、および前記第2パージ空間は、物理的にまたは時間的に分離された空間であることを特徴とする請求項14に記載の薄膜形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜形成装置およびこれを用いた薄膜形成方法に関し、より詳しくは、薄膜形成装置の工程チャンバ内部の反応空間を分離して、第1空間では基板にシリコン薄膜を形成させ、第2空間ではプラズマを用いて第1空間で形成されたシリコン薄膜の表面を処理することにより、シリコン薄膜の膜質を改善できるようにした薄膜形成装置およびこれを用いた薄膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体ウエハやガラスなどの基板上に所定の厚さの薄膜を形成するためには、スパッタリング(Sputtering)のように物理的な衝突を利用する物理気相蒸着法(PVD;Physical Vapor Deposition)と、化学反応を利用する化学気相蒸着法(CVD;Chemical Vapor Deposition)、および原子層蒸着方法(ALD;Atomic Layer Deposition)などを利用した薄膜製造方法が使用される。
【0003】
ここで、化学気相蒸着法としては、常圧化学気相蒸着法(APCVD;Atmospheric Pressure CVD)、低圧化学気相蒸着法(LPCVD;Low Pressure CVD)、プラズマ有機化学気相蒸着法(Plasma Enhanced CVD)などがあり、このうち、低温蒸着が可能で薄膜形成速度が速いという利点からプラズマ有機化学気相蒸着法が多く使用されている。
【0004】
一方、原子層の厚さの微細パターンを非常に均一に形成できるだけでなく、ステップカバレッジ(step coverage)に優れた単原子層蒸着方法(ALD;Atomic Layer Deposition)の使用がさらに増大している。
【0005】
図1は、従来技術によるシリコン薄膜形成方法を示すフローチャートである。
【0006】
図1を参照すれば、従来技術によるシリコン薄膜形成方法は、非晶質シリコン膜形成ステップS10と、プラズマ後処理ステップS20と、パージおよびポンピングステップS30とを含む。
【0007】
非晶質シリコン膜形成ステップS10は、チャンバ内の基板上に非晶質シリコン薄膜を形成するステップであり、前記基板上にSixHy系のモノ、ジ、トリシランガスをソースガスとして供給して、CVDまたはALD工程でシリコン薄膜を形成する。
【0008】
プラズマ後処理ステップS20では、亜酸化窒素プラズマ、一酸化窒素プラズマ、アンモニアプラズマなどを用いて前記非晶質シリコン膜の上部表面部を表面処理する。
【0009】
次いで、パージおよびポンピングステップS30では、チャンバ内にパージガスを供給してパージし、チャンバの内部をポンピングする。
【0010】
このように、従来のシリコン薄膜形成方法の場合、チャンバ内で非晶質シリコン膜形成ステップS10を行って所望の厚さのシリコン膜を形成した後、プラズマを用いてシリコン膜の表面処理を施していた。
【0011】
しかし、パターンが形成された基板においてパターンの線幅が狭くなりアスペクト比が大きくなることによって、パターン上に均一なシリコン薄膜を形成または成長させることが困難になった。
【0012】
このように、パターンの線幅が狭くなりアスペクト比が大きくなることによって、従来のような一般的な薄膜形成方式では、パターンの上部と側面と下部に均一または適切な段差被覆性を有するシリコン薄膜を形成または成長させることが困難になった。また、パターンの上部と側面と下部に形成されたシリコン薄膜内の不純物を均一に除去することも非常に難しい問題があった。
【0013】
そのため、微細パターン上に均一な薄膜を形成し、薄膜内の不純物を除去することで、優れた特性を有する薄膜を形成できるように構造的な改善が要求されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、薄膜形成装置の工程チャンバ内部の反応空間を分離して、第1空間では基板にシリコン薄膜を形成させ、第2空間ではプラズマを用いて第1空間で形成されたシリコン薄膜の表面を処理することにより、シリコン薄膜の膜質を改善できるようにした薄膜形成装置およびこれを用いた薄膜形成方法を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、パターンが複雑化しそのパターンの深さが深くなる傾向において、薄膜内の不純物を除去してパターン上に均一な薄膜を形成可能であり、シリコン薄膜の結晶のグレインサイズを均一化できる装置および方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を解決するための、本発明による薄膜形成装置は、反応空間を提供する工程チャンバと、前記工程チャンバの内部に設けられ、基板を支持する基板支持部と、前記工程チャンバの上部を覆うチャンバリッドと、前記チャンバリッドの下面に設けられ、工程ガスを前記基板に注入するガス注入モジュールと、を備え、前記反応空間は、前記基板にシリコン薄膜を形成する第1空間と、プラズマを用いてシリコン薄膜が形成された前記基板の表面を処理する第2空間と、を含むことを特徴とする。
【0017】
上記の目的を解決するための、本発明の一実施例による薄膜形成方法は、工程チャンバ内の第1空間で基板上にシリコンソースガスを供給してシリコン薄膜を形成するシリコン薄膜形成ステップと、第1パージガスを供給する第1パージガス供給ステップと、前記工程チャンバ内の第2空間で前記シリコン薄膜内の不純物を除去するか、シリコン薄膜の結晶のグレインサイズを均一化するために、前記シリコン薄膜の表面をプラズマを用いて処理するプラズマ表面処理ステップと、第2パージガスを供給する第2パージガス供給ステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
上記の目的を解決するための、本発明の他の実施例による薄膜形成方法は、工程チャンバ内の第2空間で基板上に形成された自然酸化膜や前記基板の表面に含まれた不純物を除去するために、プラズマを用いて基板の表面を処理するプラズマ前処理ステップと、第2パージガスを供給する第2パージガス供給ステップと、前記工程チャンバ内の第1空間で前記基板上にシリコンソースガスを供給してシリコン薄膜を形成するシリコン薄膜形成ステップと、第1パージガスを供給する第1パージガス供給ステップと、前記工程チャンバ内の第2空間で前記シリコン薄膜内の不純物を除去するか、シリコン薄膜の結晶のグレインサイズを均一化するために、前記シリコン薄膜の表面をプラズマを用いて処理するプラズマ表面処理ステップと、第2パージガスを供給する第2パージガス供給ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明による薄膜形成装置およびこれを用いた薄膜形成方法によれば、薄膜形成装置の反応空間を分離して、第1空間では基板にシリコン薄膜を形成または成長させ、第2空間ではプラズマを用いて第1空間で形成されたシリコン薄膜の表面を処理することにより、シリコン薄膜内の不純物を除去し、シリコン薄膜のグレインサイズを均一化することで、優れた特性のシリコン薄膜が得られるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来技術によるシリコン薄膜形成方法を示すフローチャートである。
【
図2】本発明による薄膜形成装置のチャンバ内の平面構造を説明するための図である。
【
図3】
図2のA-A部分におけるチャンバの断面を簡略に示す図である。
【
図4】本発明の一実施例による薄膜形成方法を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の他の実施例による薄膜形成方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳しく説明する。各図面に提示された参照符号のうち同一の参照符号は同一の部材を表す。
【0022】
本発明を説明するにあたり、かかる公知の技術に関する具体的な説明が本発明の要旨をあいまいにしうると判断された場合、その詳しい説明を省略する。
【0023】
第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使われるが、前記構成要素は前記用語によって限定されるのではなく、前記用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。
【0024】
図2は、本発明による薄膜形成装置のチャンバ内の平面構造を説明するための図であり、
図3は、
図2のA-A部分におけるチャンバの断面を簡略に示す図である。
【0025】
図2および
図3を参照すれば、本発明による薄膜形成装置200は、反応空間201を提供する工程チャンバ210と、前記工程チャンバの内部に設けられ、基板Wを支持する基板支持部220と、前記工程チャンバ210の上部を覆うチャンバリッド230と、前記チャンバリッド230の下面に設けられ、工程ガスを前記基板Wに注入するガス注入モジュール240と、を備える。
【0026】
工程チャンバ210は、チャンバリッド230とともに反応空間201を形成し、内部に基板支持部220およびガス注入モジュール240を収容する。
【0027】
前記反応空間201は、前記基板Wにシリコン薄膜を形成する第1空間S1と、プラズマを用いてシリコン薄膜が形成された前記基板Wの表面を処理する第2空間S2と、を含む。
【0028】
基板支持部220は、複数の基板Wを支持し、下部の回転軸222を中心に回転しながら基板を第1空間S1および第2空間S2に位置させる。
【0029】
前記第1空間S1は、化学気相蒸着(CVD)、原子層蒸着(ALD)、または選択的エピタキシャル成長(Selectively Epitaxial Growth)によって前記基板Wにシリコン薄膜を形成するシリコン形成領域に相当する。
【0030】
一方、前記第2空間S2は、前記基板Wに形成されたシリコン薄膜を不活性ガスのプラズマに露出させて、前記シリコン薄膜内部の不純物を除去するか、前記シリコン薄膜のグレインサイズを均一化するプラズマ処理領域に相当する。
【0031】
基板支持部220の上部およびチャンバリッド230の下部には、工程ガスを前記基板に注入するガス注入モジュール240を備える。
【0032】
前記ガス注入モジュール240は、ソースガス注入部241~245と、プラズマガス注入部246と、パージガス注入部247、248とを備える。
【0033】
ソースガス注入部241~245は、前記第1空間S1で前記基板Wにシリコンソースガスを注入して、基板Wにシリコン薄膜を形成する。ソースガス注入部241~245では、シリコンソースガスのほか、水素やアルゴンまたは窒素などのようなキャリアガスがシリコンソースガスとともに流入して基板W上に注入されてもよい。
【0034】
プラズマガス注入部246は、前記第2空間S2で前記基板にプラズマガスを注入する。プラズマガスとしては、水素(H2)、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、および不活性ガスの少なくとも1つ以上のガスが使用できる。
【0035】
パージガス注入部247、248は、前記第1空間S1と前記第2空間S2との間にパージガスを注入して、前記第1空間S1と前記第2空間S2とを分離させる。パージガス注入部247、248から注入されるパージガスによって、複数の基板が置かれる基板支持部220上部の反応空間201は、シリコン形成領域である第1空間S1と、プラズマ処理領域である第2空間S2とに区分される。
【0036】
図示しないが、前記第1空間S1と前記第2空間S2との間にパージガスを注入して、基板の上部に残っているソースガスを除去する領域は、第1パージ空間と定義され、前記第2空間S2と前記第1空間S1との間にパージガスを注入して、基板の上部に残っているプラズマガスを除去する領域は、第2パージ空間と定義される。
【0037】
この時、前記第1空間S1、前記第1パージ空間、前記第2空間S2、および前記第2パージ空間は、物理的に分離された空間に相当する。また、前記第1空間S1、前記第1パージ空間、前記第2空間S2、および前記第2パージ空間は、シリコンの形成とパージおよびプラズマ表面処理とパージが時差をおいて行われる、時間的に分離された空間であってもよい。
【0038】
窒素(N2)ガスの場合、分解されるかラジカルに励起されると、シリコン膜の形成や成長において不純物であるドーパント(dopant)として作用して膜質に悪い影響を及ぼすこともあるので、シリコンソースガスのキャリアガスやプラズマガスとしての使用に際して注意が要求される。
【0039】
図2および
図3では、第1空間S1で前記基板にシリコン薄膜を形成するためにシリコンソースガスを注入する複数のソースガス注入部241~245と、第2空間でプラズマガスを注入する1つのプラズマガス注入部246と、前記第1空間と前記第2空間とを分離させるパージガスを注入する2つのパージガス注入部247、248とを備える装置を説明しているが、ソースガス注入部、プラズマガス注入部、およびパージガス注入部の個数を適宜調整できることは当然である。
【0040】
また、必要に応じて、複数のソースガス注入部241~245の一部を、反応ガスを注入する反応ガス注入部に置き換えてもよい。
【0041】
図4は、本発明の一実施例による薄膜形成方法を示すフローチャートである。
【0042】
図4を参照すれば、本発明による薄膜形成方法は、シリコン薄膜形成ステップS410と、第1パージガス供給ステップS420と、プラズマ表面処理ステップS430と、第2パージガス供給ステップS440と、薄膜厚さ確認ステップS450と、を含む。
【0043】
シリコン薄膜形成ステップS410では、工程チャンバ内の基板支持部が回転することによって、前記基板支持部の上部に置かれた基板において、シリコン形成領域である第1空間を通りながらシリコンソースガスが注入されて、基板の上部にシリコン薄膜が形成される。
【0044】
この時形成される薄膜は、シリコンを含む酸化膜、酸窒化膜、または窒化膜を含むことができ、フォトリソグラフィ工程でハードマスクとして用いられるSOH膜を含むこともできる。
【0045】
シリコン薄膜形成ステップS410は、化学気相蒸着(CVD)、原子層蒸着(ALD)、または選択的エピタキシャル成長(Selectively Epitaxial Growth)によって前記基板にシリコン薄膜を形成するステップを含むことができる。
【0046】
非晶質シリコン薄膜が形成される場合は、シリコンソースガスと反応ガスが基板に同時にまたは順次に供給されて、基板上にシリコン原子のみが吸着または形成されるようにする。
【0047】
結晶質シリコン薄膜が形成される場合は、非晶質シリコンが形成される場合よりも高い温度で行われ、工程温度やその他の条件によって形成される結晶のグレインサイズ(Grain Size)が異なる。
【0048】
一方、単結晶シリコン薄膜が成長する場合は、シリコンソースガスと還元ガスとして作用する反応ガスが基板に供給されて、基板上にシリコン結晶が成長するようにする。
【0049】
第1空間S1であるシリコン形成領域で形成されるシリコン薄膜は、シリコン単一層膜であるか、これと厚さが類似するシリコン薄膜であってもよい。この時形成されるシリコン薄膜内には、シリコンのほか、少量の不純物が含まれる。尚、シリコン薄膜の結晶のグレインサイズ(Grain Size)が基板上で均一化しないこともあり、また、シリコンが局部的に形成されない領域もありうる。したがって、前記基板に形成されたシリコン薄膜の表面を処理する過程が要求される。
【0050】
第1パージガス供給ステップS420では、パージガスを注入して、基板の上部に残っているシリコンソースガスを除去する。その後、シリコン形成領域を通過した基板がプラズマ処理領域である第2空間S2を通る時、基板上に形成されたシリコン薄膜は、水素や窒素またはアルゴンやその他の不活性ガスのプラズマに露出する。
【0051】
プラズマ表面処理ステップS430では、水素や窒素またはアルゴンやその他の不活性ガスのプラズマによってシリコン薄膜の表面を処理して、シリコン薄膜に吸着したり内部に含まれた不純物を除去することができる。
【0052】
特に、水素プラズマの場合は、シリコン薄膜内に残留しうる酸素や炭素などのような不純物を除去するのに有用に使用できる。また、水素プラズマによって、基板上に形成されたシリコン薄膜の結晶のグレインサイズを均一化するか、そのサイズの変化を制御することもできる。
【0053】
第2パージガス供給ステップS440では、パージガスを注入して、基板の上部に残っているプラズマガスを除去する。
【0054】
その後、基板に形成されたシリコン薄膜の厚さを確認して(S450)、所望の厚さのシリコン薄膜が形成されるまで上記の過程を繰り返す。
【0055】
一方、必要に応じて、シリコン形成ステップS410では、シリコン薄膜の形成と同時にまたは順次にシリコン内に不純物を注入するステップが行われる。このように、シリコン薄膜を形成し、不純物を注入する工程を進行させた基板がプラズマ処理領域である第2空間S2を通る時、水素プラズマなどのプラズマによって、基板上に形成されたシリコン薄膜またはシリコン薄膜内部の不純物を除去して不純物の濃度を調節することもできる。
【0056】
図5は、本発明の他の実施例による薄膜形成方法を示すフローチャートである。
【0057】
図5を参照すれば、本発明の他の実施例によるシリコン薄膜形成方法は、プラズマ前処理ステップS510と、第2パージガス供給ステップS520と、シリコン薄膜形成ステップS530と、第1パージガス供給ステップS540と、プラズマ表面処理ステップS550と、第2パージガス供給ステップS560と、薄膜厚さ確認ステップS570と、を含む。
【0058】
シリコン薄膜形成ステップS530の前に、基板に対して、プラズマ処理領域でプラズマ前処理ステップS510を行うことにより、基板上に形成された自然酸化膜や基板の表面に吸着したり基板の表面に含まれている不純物を予め除去することができる。
【0059】
その後、パージガスを供給して(S520)、残存するプラズマガスを除去した後、シリコン形成ステップS530を行う。
【0060】
図5に示す方法は、シリコン薄膜形成ステップS530の前に、プラズマ前処理ステップS510および第2パージガス供給ステップS520を行う以外は、
図4に示す方法と同一であるので、他の工程に関する詳しい説明は省略する。
【0061】
上述のように、パターンが複雑化しそのパターンの深さが深くなる傾向において、本発明のように1つの工程チャンバ内で反応空間を分離して、第1空間でシリコン薄膜を形成し、第2空間でプラズマ表面処理を進行させる場合、薄膜内の不純物をさらに効率的に除去し、パターン上に均一な薄膜を形成できるという効果がある。
【0062】
また、パターンの上部と下部および側面に形成されるシリコン薄膜の不純物を均一に除去可能であり、シリコン薄膜の結晶のグレインサイズを均一化できるという利点がある。
【0063】
本発明は、図面に示された実施例を参照して説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、本技術分野における通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形および均等な他の実施例が可能であることを理解するであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は添付した請求範囲の技術的思想によって定められなければならない。