(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター形質導入のエンハンサー及びインヒビターを検出する並びに/又は抗AAV結合抗体を検出する若しくは定量化するためのインビトロアッセイ
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6897 20180101AFI20240820BHJP
C12Q 1/66 20060101ALI20240820BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20240820BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20240820BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240820BHJP
G01N 33/569 20060101ALI20240820BHJP
C12Q 1/70 20060101ALI20240820BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
C12Q1/6897 Z ZNA
C12Q1/66
C12N7/01
C12M1/34 Z
G01N33/53 D
G01N33/569 L
C12Q1/70
C12N15/864 100Z
(21)【出願番号】P 2021526649
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(86)【国際出願番号】 US2019061851
(87)【国際公開番号】W WO2020102753
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-11-01
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518138077
【氏名又は名称】スパーク セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SPARK THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】キュランダ, クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】アングエラ, シャビエル
(72)【発明者】
【氏名】ミンゴッツィ, フェデリコ
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525347(JP,A)
【文献】特表2014-534245(JP,A)
【文献】国際公開第2017/075619(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/170310(WO,A1)
【文献】FITZPATRICK, Zachary et al.,“Influence of Pre-existing Anti-capsid Neutralizing and Binding Antibodies on AAV Vector Transduction”,Molecular Therapy - Methods & Clinical Development,2018年06月,Vol. 9,pp.119-129,DOI: 10.1016/j.omtm.2018.02.003
【文献】WANG, M. et al.,“Direct interaction of human serum proteins with AAV virions to enhance AAV transduction: immediate impact on clinical applications”,Gene Therapy,2016年11月11日,Vol. 24, No. 1,pp.49-59,DOI: 10.1038/gt.2016.75
【文献】SCHUETTRUMPF, Joerg et al.,“The inhibitory effects of anticoagulation on in vivo gene transfer by adeno-associated viral or adenoviral vectors”,Molecular Therapy,2006年01月,Vol. 13, No. 1,pp.88-97,DOI: 10.1016/j.ymthe.2005.08.004
【文献】NICOLSON, Sarah C. et al.,“Identification and Validation of Small Molecules That Enhance Recombinant Adeno-associated Virus Transduction following High-Throughput Screens”,Journal of Virology,2016年08月15日,Vol. 90, No. 16,pp.7019-7031,DOI: 10.1128/JVI.02953-15
【文献】MINGOZZI, Federico et al.,“Immune responses to AAV vectors: overcoming barriers to successful gene therapy”,Blood,2013年07月04日,Vol. 122, No. 1,pp.23-36,DOI: 10.1182/blood-2013-01-306647
【文献】GARCIA, Vanessa et al.,“High-throughput Titration of Luciferase-expressing Recombinant Viruses”,Journal of Visualized Experiments,2014年09月19日,No. 91,DOI: 10.3791/51890
【文献】MELIANI, Amine et al.,“Determination of Anti-Adeno-Associated Virus Vector Neutralizing Antibody Titer with an In Vitro Reporter System”,Human Gene Therapy Methods,2015年04月,Vol. 26, No. 2,pp.45-53,DOI: 10.1089/hgtb.2015.037
【文献】KURANDA, Klaudia et al.,“Exposure to wild-type AAV drives distinct capsid immunity profiles in humans”,Journal of Clinical Investigation,2018年10月22日,Vol. 128, No. 12,pp.5267-5279,DOI: 10.1172/JCI122372
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00- 3/00
C12N 15/00- 15/90
G01N 33/48- 33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象由来の生体試料中でアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター細胞形質導入のエンハンサーについて分析する又は前記エンハンサーの存在を検出するための方法であって、
(a)組換えAAVベクターを含む感染性組換えAAV粒子を提供するステップであって、
(i)前記ベクターがレポータートランス遺伝子を含み、
(ii)前記レポータートランス遺伝子が一本鎖又は自己相補的ゲノムを含み、
(iii)前記レポータートランス遺伝子が1つ又は複数の発現調節エレメントに作動可能に連結されており、且つ
(iv)前記レポータートランス遺伝子が1つ又は複数のフランキングエレメントに隣接している、
ステップと、
(b)前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(c)(b)の前記細胞が(a)の前記感染性組換えAAV粒子により形質導入され、前記レポータートランス遺伝子が(b)の前記細胞により発現される条件下で(b)の前記細胞を(a)の前記感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(d)前記レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(c)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するMAXと表示された値を割り当てるステップと、
(e)(a)の感染性組換えAAV粒子を提供するステップと、
(f)対象由来の生体試料を提供するステップと、
(g)前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(h)(f)の前記生体試料を空のカプシドAAV粒子と混合して混合物(M)を作製し、前記空のカプシドAAV粒子が前記生体試料に存在するいずれかのAAV結合抗体に結合するのを可能にする条件下で前記Mをインキュベートするステップと、
(i)(e)の前記感染性組換えAAV粒子が(g)の前記細胞に形質導入し、(g)の前記細胞で前記レポータートランス遺伝子を発現することができる条件下で、(g)の前記細胞を前記M及び(e)の前記感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(j)前記レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(i)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するS.EVと表示された値を割り当てるステップと、
(k)前記S.EVを前記MAXと比較するステップであって、前記S.EVが前記MAXよりも大きい場合には、前記対象由来の前記生体試料はAAVベクター細胞形質導入のエンハンサーを含有するステップと
を含む方法。
【請求項2】
対象由来の生体試料中でアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター細胞形質導入のインヒビターについて分析する又は前記インヒビターの存在を検出するための方法であって、
(a)組換えAAVベクターを含む感染性組換えAAV粒子を提供するステップであって、
(i)前記ベクターがレポータートランス遺伝子を含み、
(ii)前記レポータートランス遺伝子が一本鎖又は自己相補的ゲノムを含み、
(iii)前記レポータートランス遺伝子が1つ又は複数の発現調節エレメントに作動可能に連結されており、且つ
(iv)前記レポータートランス遺伝子が1つ又は複数のフランキングエレメントに隣接している、
ステップと、
(b)前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(c)(b)の前記細胞が(a)の前記感染性組換えAAV粒子により形質導入され、前記レポータートランス遺伝子が(b)の前記細胞により発現される条件下で(b)の前記細胞を(a)の前記感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(d)前記レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(c)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するMAXと表示された値を割り当てるステップと、
(e)(a)の感染性組換えAAV粒子を提供するステップと、
(f)対象由来の生体試料を提供するステップと、
(g)前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(h)(f)の前記生体試料を空のカプシドAAV粒子と混合して混合物(M)を作製し、前記空のカプシドAAV粒子が前記生体試料に存在するいずれかのAAV結合抗体に結合するのを可能にする条件下で前記Mをインキュベートするステップと、
(i)(e)の前記感染性組換えAAV粒子が(g)の前記細胞に形質導入し、(g)の前記細胞で前記レポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(g)の前記細胞を前記M及び(e)の前記感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(j)前記レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(i)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するS.EVと表示された値を割り当てるステップと、
(k)前記S.EVを前記MAXと比較するステップであって、前記S.EVが前記MAXよりも小さい場合には、前記対象由来の前記生体試料は、前記ベクターにコードされるタンパク質のAAVベクター細胞形質導入、発現又は分泌のインヒビターを含有するステップと
を含む方法。
【請求項3】
対象由来の生体試料中でアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター細胞形質導入のエンハンサーについて分析する又は前記エンハンサーの存在を検出するための方法であって、
(a)組換えAAVベクターを含む感染性組換えAAV粒子を提供するステップであって、
(i)前記ベクターがレポータートランス遺伝子を含み、
(ii)前記レポータートランス遺伝子が一本鎖又は自己相補的ゲノムを含み、
(iii)前記レポータートランス遺伝子が1つ又は複数の発現調節エレメントに作動可能に連結されており、且つ
(iv)前記レポータートランス遺伝子が1つ又は複数のフランキングエレメントに隣接している、
ステップと、
(b)前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(c)対象由来の生体試料を提供するステップと、
(d)(c)の前記生体試料を空のカプシドAAV粒子と混合して混合物(M)を作製し、前記空のカプシドAAV粒子が前記生体試料に存在するいずれかのAAV結合抗体に結合するのを可能にする条件下で前記Mをインキュベートするステップと、
(e)(a)の前記感染性組換えAAV粒子が(b)の前記細胞に形質導入し、(b)の前記細胞で前記レポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(b)の前記細胞を前記M及び(a)の前記感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(f)前記レポータートランス遺伝子の発現を測定するステップと、
(g)(f)の前記発現を陽性(+)対照と比較するステップであって、前記+対照が、前記対象由来の前記試料なしの及び前記空のカプシドAAV粒子の添加なしの前記レポータートランス遺伝子の発現であり、(f)の発現が前記+対照よりも大きい場合、前記対象由来の前記生体試料はAAVベクター細胞形質導入のエンハンサーを含有するステップと
を含む方法。
【請求項4】
対象由来の生体試料中でアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター細胞形質導入のインヒビターについて分析する又は前記インヒビターの存在を検出するための方法であって、
(a)組換えAAVベクターを含む感染性組換えAAV粒子を提供するステップであって、
(i)前記ベクターがレポータートランス遺伝子を含み、
(ii)前記レポータートランス遺伝子が一本鎖又は自己相補的ゲノムを含み、
(iii)前記レポータートランス遺伝子が1つ又は複数の発現調節エレメントに作動可能に連結されており、且つ
(iv)前記レポータートランス遺伝子が1つ又は複数のフランキングエレメントに隣接している、
ステップと、
(b)前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(c)対象由来の生体試料を提供するステップと、
(d)(c)の前記生体試料を空のカプシドAAV粒子と混合して混合物(M)を作製し、前記空のカプシドAAV粒子が前記生体試料に存在するいずれかのAAV結合抗体に結合するのを可能にする条件下で前記Mをインキュベートするステップと、
(e)(a)の前記感染性組換えAAV粒子が(b)の前記細胞に形質導入し、(b)の前記細胞で前記レポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(b)の前記細胞を前記M及び(a)の前記感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(f)前記レポータートランス遺伝子の発現を測定するステップと、
(g)(f)の前記発現を陽性(+)対照と比較するステップであって、前記+対照が、前記対象由来の前記試料なしの及び前記空のカプシドAAV粒子の添加なしの前記レポータートランス遺伝子の発現であり、(f)の発現が前記+対照よりも小さい場合、前記対象由来の前記生体試料はAAVベクター細胞形質導入のインヒビターを含有するステップと
を含む方法。
【請求項5】
対象由来の生体試料中でAAVベクター細胞形質導入を阻害するAAV結合抗体について分析する、前記AAV結合抗体を検出する又は定量化するための方法であって、
(a)組換えAAVベクターを含む感染性組換えAAV粒子を提供するステップであって、
(i)前記ベクターがレポータートランス遺伝子を含み、
(ii)前記レポータートランス遺伝子が一本鎖又は自己相補的ゲノムを含み、
(iii)前記レポータートランス遺伝子が1つ又は複数の発現調節エレメントに作動可能に連結されており、且つ
(iv)前記レポータートランス遺伝子が1つ又は複数のフランキングエレメントに隣接している、
ステップと、
(b)前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(c)(b)の前記細胞が(a)の前記感染性組換えAAV粒子により形質導入され、前記レポータートランス遺伝子が(b)の前記細胞により発現される条件下で(b)の前記細胞を(a)の前記感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(d)前記レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(c)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するMAXと表示された値を割り当てるステップと、
(e)(a)の感染性組換えAAV粒子を提供するステップと、
(f)対象由来の希釈された生体試料を提供するステップと、
(g)前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(h)(f)の前記希釈された生体試料を空のカプシドAAV粒子と混合して混合物(M)を作製し、前記空のカプシドAAV粒子が前記希釈された生体試料に存在するいずれかのAAV結合抗体に結合するのを可能にする条件下で前記Mをインキュベートするステップと、
(i)(e)の前記感染性組換えAAV粒子が(g)の前記細胞に形質導入し、(g)の前記細胞で前記レポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(g)の前記細胞を前記M及び(e)の前記感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(j)前記レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(i)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するS.EVと表示された値を割り当てるステップと、
(k)(a)の感染性組換えAAV粒子を提供するステップと、
(l)(f)の前記試料を提供したのと同じ対象由来の希釈された生体試料を提供するステップと、
(m)前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(n)(l)の前記希釈された生体試料を(k)の前記感染性組換えAAV粒子と混合して混合物(M)を作製するステップと、
(o)(k)の前記感染性組換えAAV粒子が(m)の前記細胞に形質導入し(m)の前記細胞で前記レポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(m)の前記細胞を前記Mと接触させるステップと、
(p)前記レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(o)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するSと表示された値を割り当てるステップと、
(q)ステップ(h)~(j)及び(n)~(p)を少なくとも2回異なる試料希釈度で実施するステップと、
(r)SがMAXよりも小さくS.EVがMAXに等しい又はMAXよりも大きい場合には、AAVベクター細胞形質導入を阻害するAAV結合抗体が前記希釈された生体試料中に存在するステップ
と
を含む方法。
【請求項6】
ステップ(r)後又はステップ(s)後に、前記生体試料中のAAV結合抗体の力価であって、レポータートランス遺伝子発現
を50%又はそれよりも多く阻害する前記生体試料の最低希釈度に対応する力価を計算するステップをさらに含み、レポータートランス遺伝子発現
を50%若しくはそれよりも多く阻害する最低希釈度
が1対5よりも大きい若しくはこれに等しい場合には、前記力価は式S/MAXにより決定され
る50%若しくはそれよりも多い阻害をもたらす希釈度であり、又はレポータートランス遺伝子発現
を50%若しくはそれよりも多く阻害する最低希釈度
が1対5よりも小さい場合には、前記力価は式S/S.EVにより決定され
る50%若しくはそれよりも多い阻害をもたらす希釈度である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記生体試料中のAAV結合抗体の力価であって、レポータートランス遺伝子発現
を50%又はそれよりも多く阻害する前記生体試料の最低希釈度に対応する力価を計算するステップ(t)をさらに含み、レポータートランス遺伝子発現
を50%若しくはそれよりも多く阻害する最低希釈度
が1対5よりも大きい若しくはこれに等しい場合には、前記力価は式100-[[(S-MIN)/(MAX-MIN)]×100]により決定され
る50%若しくはそれよりも多い阻害をもたらす希釈度であり、又はレポータートランス遺伝子発現
を50%若しくはそれよりも多く阻害する最低希釈度
が1対5よりも小さい場合には、前記力価は式100-[[(S-MIN)/(S.EV-MIN)]×100]により決定され
る50%若しくはそれよりも多い阻害をもたらす希釈度である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
(a)の感染性組換えAAV粒子を用意するステップと;
前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと;
空のカプシドAAV粒子を提供するステップと;
前記細胞を前記用意された空のカプシドAAV粒子に接触させるステップと;
(b)の前記細胞に、(a)の前記感染性組換えAAV粒子により形質導入し、前記レポータートランス遺伝子が前記細胞により発現される条件下で、前記空のカプシドAAV粒子に接触させた前記細胞を(a)の前記感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと;
前記レポータートランス遺伝子の発現を測定し、レポーター遺伝子発現の量を反映するMAX.EVと表示された値を割り当てるステップとをさらに含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
S/N=MAX/MINである、S/Nと表示されるシグナル対ノイズ比を計算するステップをさらに含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
%CV=(標準偏差/平均)×100%である、パーセント変動係数(%CV)を計算するステップをさらに含む、請求項5~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
EV干渉=MAX/MAX.EVである、EV干渉を計算するステップをさらに含む、請求項5~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
(a)AAVベクターに結合するAAV結合抗体の1つ又は複数の希釈度を含む対照条件下で前記レポータートランス遺伝子の発現を測定し、MAX若しくはMAX-MINと相対的な、レポータートランス遺伝子発現の前もって選択した量を与える希釈度の前記発現測定値にHQCと表示された値を割り当てるステップ;及び/又は
(b)空のカプシドAAV粒子の存在下でMAX若しくはMAX-MINと相対的な、レポータートランス遺伝子発現の前記前もって選択した量を与えるステップ(a)の希釈度を含む対照条件下で前記レポータートランス遺伝子の発現を測定し、HQC.EVと表示される値を割り当てるステップをさらに含む、請求項5~1
1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(a)のレポータートランス遺伝子発現の前記前もって選択した量が、MAX又はMAX-MIN
の30%に等しい又はそれ未満である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
EV有効性=HQC.EV/HQCである、EV有効性を計算するステップをさらに含む請求項12又は13に記載される方法。
【請求項15】
ステップ(h)~(j)及び(n)~(p)が、少なくとも
3回、前記生体試料の3、4、5又は6つの異なる希釈度で実施される、請求項5~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記生体試料が、(a)、(e)又は(k)の前記感染性組換えAAV粒子に接触させる又はこれと一緒にインキュベートする前
に1対1
~1対1000で希釈される、請求項5~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(h)~(j)及び(n)~(p)が、前記生体試料
の1対1
、1対2.5
、1対5
、1対10
、1対100及び/又
は1対1000の希釈度で実施される、請求項5~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、ステップ(c)又は(d)
の48時間以内に完了される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる前記細胞が、凍結細胞アリコートから播種される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(c)、(e)、(i)、又は(o)のいずれかの前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる前記細胞が、前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる前記細胞が凍結から解凍された
後2時間以内に接触される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(c)、(e)、(i)、又は(o)のいずれかの前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる前記細胞が、少なくと
も80%コンフルエントである、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
(a)レポータートランス遺伝子を含む感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞、及び前記レポータートランス遺伝子を含む前記感染性組換えAAV粒子、
(b)対象由来の希釈された生体試料、感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞、及び空のカプシドAAV粒子、並びに
(c)(b)の試料を提供したのと同じ対象由来の希釈された生体試料、レポータートランス遺伝子を含む感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞、及び前記レポータートランス遺伝子を含む前記感染性組換えAAV粒子
が個別に配置されているキャリア又はプレート。
【請求項23】
前記キャリア又はプレートがプラスチック又はグラスを含む、請求項22に記載のキャリア又はプレート。
【請求項24】
前記キャリア又はプレートがマルチウェルプレート又は皿である、請求項22又は23に記載のキャリア又はプレート。
【請求項25】
(a)、(b)及び(c)のそれぞれが、マルチウェルキャリア又はプレートの別々のチューブ又は別々の単一ウェル内に配置されている。請求項22~24のいずれか一項に記載のキャリア又はプレート。
【請求項26】
前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる前記細胞が哺乳動物細胞を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項27】
前記細胞が、AAV血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV3B、AAV-2i8、Rh74、Rh10、SPK1(配列番号1)、SPK2(配列番号2)又は前述のAAV血清型のいずれか1つのハイブリッド若しくはキメラのVP1、VP2又はVP3配列に90%又はそれよりも多く同一であるVP1、VP2又はVP3配列を含むAAV粒子に感染することができる、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項28】
前記細胞が、AAV血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV3B、AAV-2i8、Rh74、Rh10、SPK1(配列番号1)、SPK2(配列番号2)又は前述のAAV血清型のいずれか1つのハイブリッド若しくはキメラに感染することができる、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項29】
前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる前記細胞が、2V6.11、HEK-293、CHO、BHK、MDCK、10T1/2、WEHI細胞、COS、BSC 1、BSC 40、BMT 10、VERO、WI38、MRC5、A549、HT1080、B-50、3T3、NIH3T3、HepG2、Saos-2、Huh7、HER、HEK、HEL、又はHeLa細胞を含
む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項30】
前記レポータートランス遺伝子が分泌される又は分泌可能なタンパク質をコードする、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項31】
前記レポータートランス遺伝子が、酵素的、比色分析的、蛍光性、発光性、化学発光性、又は電気化学的シグナルを出すタンパク質をコードする、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項32】
前記レポータートランス遺伝子がルシフェラーゼ遺伝子を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項33】
前記レポータートランス遺伝子が、ウミシイタケルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼ、ガウシアルシフェラーゼ遺伝子を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項34】
前記レポータートランス遺伝子が、β-ガラクトシダーゼ遺伝子、β-グルクロニダーゼ遺伝子、又はクロラムフェニコールトランスフェラーゼ遺伝子を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項35】
前記レポータートランス遺伝子が、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)及びアルカリホスファターゼをコードする、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項36】
前記発現調節エレメントが、哺乳動物細胞において作動可能であるプロモーター及び/又はエンハンサー核酸配列を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項37】
前記発現調節エレメントが、CAG(配列番号3)、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーター/エンハンサー、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター/エンハンサー、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)プロモーター、ニワトリβアクチン(CBA)プロモーター、ホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーター、又は伸長因子-1アルファ(EF1-アルファ)プロモーターを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項38】
前記フランキングエレメントが1つ又は複数のAAV逆位末端反復配列(ITR)を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項39】
前記レポータートランス遺伝子が、1つ又は複数の5’及び/又は3’AAV ITR間に位置している、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項40】
フランキングエレメントが、AAV Repタンパク質によりプロセシングされない突然変異した、改変された又はバリアントAAV ITRを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項41】
前記フランキングエレメントが、感染性組換えAAV粒子において二本鎖逆位反復配列構造体への自己相補性レポータートランス遺伝子ゲノムの形成を可能にする又は促進する突然変異した、改変された又はバリアントAAV ITRを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項42】
前記突然変異した、改変された又はバリアントAAV ITRが、欠失したD配列、及び/又は突然変異した、改変された又はバリアント末端分離部位(TRS)配列を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項43】
前記組換えベクターが、AAVの第1の逆位末端反復(ITR);哺乳動物細胞において作動可能なプロモーター;前記レポータートランス遺伝子;
及びポリアデニル化シグナル
;を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項44】
前記組換えベクターが、哺乳動物細胞において作動可能であるプロモーターの下流への前記レポータートランス遺伝子の挿入を可能にする制限部位、及び前記制限部位の下流の転写後調節エレメントを含み、前記プロモーター、前記制限部位及び前記転写後調節エレメントが5’AAV ITRの下
流に位置している、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項45】
前記感染性組換えAAV粒子が、霊長類に感染するAAV血清型を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項46】
前記感染性組換えAAV粒子が、ヒト又はアカゲザルに感染するAAV血清型を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項47】
前記感染性組換えAAV粒子が、AAV血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV3B、AAV-2i8、Rh74、Rh10、SPK1(配列番号1)、SPK2(配列番号2)又は前述のAAV血清型のいずれかのハイブリッド若しくはキメラのVP1、VP2又はVP3配列に90%又はそれよりも多く同一であるVP1、VP2又はVP3配列を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項48】
前記感染性組換えAAV粒子が、AAV血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV3B、AAV-2i8、Rh74、Rh10、SPK1(配列番号1)、SPK2(配列番号2)又は前述のAAV血清型のいずれかのハイブリッド若しくはキメラを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項49】
前記生体試料が霊長類試料を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項50】
前記生体試料が血清を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項51】
前記生体試料が血漿を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項52】
前記生体試料がヒト血清又はヒト血漿を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項53】
前記対象が哺乳動物である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項54】
前記対象がヒトで
ある、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項55】
前記対象が、タンパク質の発現又は活性が不十分なせいで障害に罹っている、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項56】
前記対象が、異常な、常軌を逸した又は望ましくないタンパク質の発現又は活性のせいで障害に罹っている、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項57】
前記対象が遺伝性障害に罹っている、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項58】
前記対象が遺伝子補充又は補給療法の候補者である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項59】
前記対象が、遺伝子ノックダウン又はノックアウト療法の候補者である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項60】
前記対象が、肺疾
患、嚢胞性線維
症、出血障
害、インヒビターのある又はなしの血友病A
、インヒビターのある又はなしの血友病
B、地中海貧血病、血液障
害、貧
血、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋委縮性側索硬化症(ALS)、癲癇、リソソーム蓄積
症、アスパルチルグルコサミン尿症、バッテン病、シスチン症、遅発性小児性神経セロイドリポフスチン沈着症2型(CLN2)、ファブリー病、ゴーシェ病I型、II型、及びIII型、糖原病II型(ポンペ病)、GM2-ガングリオシドーシスI型(テイサックス病)、GM2-ガングリオシドーシスII型(サンドホフ病)、ムコリピドーシスI型(シアリドーシスI型及びII型)、II型(I細胞病)、III型(偽ハーラー病)及びIV型、ムコ多糖蓄積症(ハーラー病及びバリアント、ハンター、サンフィリポA型、B型、C型、D型、モルキオA型及びB型、マロトーラミー並びにスライ病)、ニーマンピック病A/B型、C1型及びC2型、並びにシンドラー病I型及びII
型、遺伝性血管性浮腫(HAE)、銅又は鉄蓄積障
害、ウィルソン
病、メンケス
病、リソソーム酸性リパーゼ欠損症、神経又は神経変性障害、がん、1型又は2型糖尿病、アデニシンデアミナーゼ欠損症、代謝性欠損
症、糖原
病、網膜変性疾
患、RPE65欠損、コロイデレミア、シュタルガルト病、
、他の眼の疾
患、実質臓
器の疾患、脳
の疾患、肝臓
の疾患、腎臓
の疾患、心
臓の疾患
、伝染病ウイルス
疾患、B型肝炎
、C型肝炎、HI
V、細菌
病又は真菌病に罹っている、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項61】
前記生体試料中のAAV結合抗体の存在又はその力価に関する情報を前記対象に関連する報告書に記入するステップをさらに含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項62】
前記生体試料中のAAV結合抗体の存在又はその力価に関する情報をデータベースに入力し、それによって、前記対象に関連するデータベースエントリーを作製するステップをさらに含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項63】
分析された又は検出された前記AAV結合抗体が、AAV血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV3B、AAV-2i8、Rh74、Rh10又は前述のAAV血清型のいずれかのハイブリッド若しくはキメラに結合する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項64】
前記生体試料が、(a)、(e)又は(k)の前記感染性組換えAAV粒子に接触させる前に希釈される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項65】
複数の希釈度の前記生体試料が分析される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項66】
前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる前記細胞が、前記レポータートランス遺伝子の発現を測定するのに先立って溶解されない、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項67】
前記生体試料が熱不活化される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項68】
ステップ(c)、(d)、(h)、(i)、(j)、又は(k)のうちの1つ又は複数が自動システムを用いて実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項69】
前記自動システムが、接触コンポーネント、測定コンポーネント、混合コンポーネント、インキュベートコンポーネント、プロセッサー、及び非一時的電子記憶装置を含み、前記非一時的電子記憶装置が、前記プロセッサーに前記接触コンポーネント、前記測定コンポーネント、前記混合コンポーネント、及び前記インキュベートコンポーネントを制御させるように設計されており、
前記方法が、
(c)(b)の細胞が(a)の前記感染性組換えAAV粒子により形質導入され、前記レポータートランス遺伝子が(b)の前記細胞により発現される条件下で(b)の前記細胞を(a)の前記感染性組換えAAV粒子に、前記接触コンポーネントを用いて接触させるステップと、
(d)前記レポータートランス遺伝子の発現を、前記測定コンポーネントを用いて測定し、(c)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するMAXと表示された前記値を、前記プロセッサーを用いて割り当て、前記非一時的電子記憶装置にMAXと表示された前記値を、前記プロセッサーを用いて保存するステップと、
(h)(f)の前記生体試料を前記空のカプシドAAV粒子と、前記混合コンポーネントを用いて混合して前記混合物(M)を作製し、前記空のカプシドAAV粒子が、前記生体試料に存在しAAVベクター細胞形質導入を阻害する、低減する又は減少させるいずれかのAAV結合抗体に結合するのを可能にする条件下で前記Mを、前記インキュベートコンポーネントを用いてインキュベートするステップと、
(i)(e)の前記感染性組換えAAV粒子が(g)の前記細胞に形質導入し、(g)の前記細胞で前記レポータートランス遺伝子を発現することができる条件下で、(g)の前記細胞を前記M及び(e)の前記感染性組換えAAV粒子に、前記接触コンポーネントを用いて接触させるステップと、
(j)前記レポータートランス遺伝子の発現を、前記測定コンポーネントを用いて測定し、(i)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するS.EVと表示された前記値を、前記プロセッサーを用いて割り当て、前記非一時的電子記憶装置にS.EVと表示された前記値を、前記プロセッサーを用いて保存するステップと、
(k)前記S.EVを前記MAXと、前記プロセッサーを用いて比較するステップであって、前記S.EVが前記MAXよりも大きい場合には、前記対象由来の前記生体試料がAAVベクター細胞形質導入のエンハンサーを含有すると前記プロセッサーが判定するステッ
プと
をさらに含む、請求項6
8に記載の方法。
【請求項70】
ステップ(c)、(d)、(h)、(i)、(j)、又は(k)のうちの1つ又は複数が自動システムを用いて実施される、請求項2に記載の方法。
【請求項71】
前記自動システムが、接触コンポーネント、測定コンポーネント、混合コンポーネント、インキュベートコンポーネント、プロセッサー、及び非一時的電子記憶装置を含み、前記非一時的電子記憶装置が、前記プロセッサーに前記接触コンポーネント、前記測定コンポーネント、前記混合コンポーネント、及び前記インキュベートコンポーネントを制御させるように設計されており、
前記方法が、
(c)(b)の前記細胞が(a)の前記感染性組換えAAV粒子により形質導入され、前記レポータートランス遺伝子が(b)の前記細胞により発現される条件下で(b)の前記細胞を(a)の前記感染性組換えAAV粒子に、前記接触コンポーネントを用いて接触させるステップと、
(d)前記レポータートランス遺伝子の発現を、前記測定コンポーネントを用いて測定し、(c)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するMAXと表示された前記値を、前記プロセッサーを用いて割り当て、前記非一時的電子記憶装置にMAXと表示された前記値を、前記プロセッサーを用いて保存するステップと、
(h)(f)の前記生体試料を前記空のカプシドAAV粒子と、前記混合コンポーネントを用いて混合して前記混合物(M)を作製し、前記空のカプシドAAV粒子が、前記生体試料に存在しAAVベクター細胞形質導入を阻害する、低減する又は減少させるいずれかのAAV結合抗体に結合するのを可能にする条件下で前記Mを、前記インキュベートコンポーネントを用いてインキュベートするステップと、
(i)(e)の前記感染性組換えAAV粒子が(g)の前記細胞に形質導入し、(g)の前記細胞で前記レポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(g)の前記細胞を前記M及び(e)の前記感染性組換えAAV粒子に、前記接触コンポーネントを用いて接触させるステップと、
(j)前記レポータートランス遺伝子の発現を、前記測定コンポーネントを用いて測定し、(i)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するS.EVと表示された前記値を、前記プロセッサーを用いて割り当て、前記非一時的電子記憶装置にS.EVと表示された前記値を、前記プロセッサーを用いて保存するステップと、
(k)前記S.EVを前記MAXと、前記プロセッサーを用いて比較するステップであって、前記S.EVが前記MAXよりも小さい場合には、前記対象由来の前記生体試料が、前記ベクターによりコードされたタンパク質のAAVベクター細胞形質導入、発現又は分泌のインヒビターを含有すると前記プロセッサーが判定するステッ
プと
をさらに含む、請求項7
0に記載の方法。
【請求項72】
ステップ(d)、(e)、(f)、又は(g)のうちの1つ又は複数が自動システムを用いて実施される、請求項3に記載の方法。
【請求項73】
前記自動システムが、接触コンポーネント、測定コンポーネント、混合コンポーネント、インキュベートコンポーネント、プロセッサー、及び非一時的電子記憶装置を含み、前記非一時的電子記憶装置が、前記プロセッサーに前記接触コンポーネント、前記測定コンポーネント、前記混合コンポーネント、及び前記インキュベートコンポーネントを制御させるように設計されており、
前記方法が、
(d)(c)の前記生体試料を前記空のカプシドAAV粒子と、前記混合コンポーネントを用いて混合して前記混合物(M)を作製し、前記空のカプシドAAV粒子が前記生体試料に存在しAAVベクター細胞形質導入を阻害する、低減する又は減少させるいずれかのAAV結合抗体に結合するのを可能にする条件下で前記Mを、前記インキュベートコンポーネントを用いてインキュベートするステップと、
(e)(a)の前記感染性組換えAAV粒子が(b)の前記細胞に形質導入し、(b)の前記細胞で前記レポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(b)の前記細胞を前記M及び(a)の前記感染性組換えAAV粒子に、前記接触コンポーネントを用いて接触させるステップと、
(f)前記レポータートランス遺伝子の発現を、前記測定コンポーネントを用いて測定するステップと、
(g)(f)の前記発現を前記陽性(+)対照と、前記プロセッサーを用いて比較するステップであって、(f)の前記発現が前記+対照よりも大きい場合は、前記対象由来の前記生体試料はAAVベクター細胞形質導入、前記ベクターによりコードされるタンパク質の発現又は分泌のエンハンサーを含有すると前記プロセッサーが判定するステッ
プと
をさらに含む、請求項7
2に記載の方法。
【請求項74】
ステップ(d)、(e)、(f)、又は(g)のうちの1つ又は複数が自動システムを用いて実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項75】
前記自動システムが、接触コンポーネント、測定コンポーネント、混合コンポーネント、インキュベートコンポーネント、プロセッサー、及び非一時的電子記憶装置を含み、前記非一時的電子記憶装置が、前記プロセッサーに前記接触コンポーネント、前記測定コンポーネント、前記混合コンポーネント、及び前記インキュベートコンポーネントを制御させるように設計されており、
前記方法が、
(d)(c)の前記生体試料を前記空のカプシドAAV粒子と、前記混合コンポーネントを用いて混合して前記混合物(M)を作製し、前記空のカプシドAAV粒子が前記生体試料に存在しAAVベクター細胞形質導入を阻害する、低減する又は減少させるいずれかのAAV結合抗体に結合することを可能にする条件下で前記Mを、前記インキュベートコンポーネントを用いてインキュベートするステップと、
(e)(a)の前記感染性組換えAAV粒子が(b)の前記細胞に形質導入し、(b)の前記細胞で前記レポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(b)の前記細胞を前記M及び(a)の前記感染性組換えAAV粒子に、前記接触コンポーネントを用いて接触させるステップと、
(f)前記レポータートランス遺伝子の発現を、前記測定コンポーネントを用いて測定するステップと、
(g)(f)の前記発現を前記陽性(+)対照と、前記プロセッサーを用いて比較するステップであって、(f)の前記発現が前記+対照よりも小さい場合は、前記対象由来の前記生体試料はAAVベクター細胞形質導入、前記ベクターによりコードされるタンパク質の発現又は分泌のインヒビターを含有すると前記プロセッサーが判定するステッ
プと
をさらに含む、請求項7
4に記載の方法。
【請求項76】
ステップ(c)、(d)、(h)、(i)、(j)、(n)、(o)、(p)、又は(s)のうちの1つ又は複数は自動システムを用いて実施される、請求項5に記載の方法。
【請求項77】
前記自動システムが、接触コンポーネント、測定コンポーネント、混合コンポーネント、インキュベートコンポーネント、プロセッサー、及び非一時的電子記憶装置を含み、前記非一時的電子記憶装置が、前記プロセッサーに前記接触コンポーネント、前記測定コンポーネント、前記混合コンポーネント、及び前記インキュベートコンポーネントを制御させるように設計されており、
前記方法が、
(c)(b)の前記細胞が(a)の前記感染性組換えAAV粒子により形質導入され、前記レポータートランス遺伝子が(b)の前記細胞により発現される条件下で(b)の前記細胞を(a)の前記感染性組換えAAV粒子に、前記接触コンポーネントを用いて接触させるステップと、
(d)前記レポータートランス遺伝子の前記発現を、前記測定コンポーネントを用いて測定し、(c)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するMAXと表示された前記値を、前記プロセッサーを用いて割り当て、前記非一時的電子記憶装置にMAXと表示された前記値を、前記プロセッサーを用いて保存するステップと、
(h)(f)の前記希釈された生体試料を前記空のカプシドAAV粒子と、前記混合コンポーネントを用いて混合して前記混合物(M)を作製し、前記空のカプシドAAV粒子が、前記生体試料に存在しAAVベクター細胞形質導入を阻害する、低減する又は減少させるいずれかのAAV結合抗体に結合することを可能にする条件下で前記Mを、前記インキュベートコンポーネントを用いてインキュベートするステップと、
(i)(e)の前記感染性組換えAAV粒子が(g)の前記細胞に形質導入し、(g)の前記細胞で前記レポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(g)の前記細胞を前記M及び(e)の前記感染性組換えAAV粒子に、前記接触コンポーネントを用いて接触させるステップと、
(j)前記レポータートランス遺伝子の前記発現を、前記測定コンポーネントを用いて測定し、(i)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するS.EVと表示された前記値を、前記プロセッサーを用いて割り当て、前記非一時的電子記憶装置にS.EVと表示された前記値を、前記プロセッサーを用いて保存するステップと、
(n)(l)の前記希釈された生体試料を(e)の前記感染性組換えAAV粒子と、前記混合コンポーネントを用いて混合して前記混合物Mを作製するステップと、
(o)(k)の前記感染性組換えAAV粒子が(m)の前記細胞に形質導入し(m)の前記細胞で前記レポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(m)の前記細胞を前記Mと、前記接触コンポーネントを用いて接触させるステップと、
(p)前記レポータートランス遺伝子の発現を、前記測定コンポーネントを用いて測定し、(o)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するSと表示された前記値を、前記プロセッサーを用いて割り当て、前記非一時的電子記憶装置にSと表示された前記値を、前記プロセッサーを用いて保存するステップ
とと
をさらに含む、請求項7
6に記載の方法。
【請求項78】
前記AAV結合抗体の力価を、前記プロセッサーを用いて計算し、前記力価はレポータートランス遺伝子発現
の50%又はそれよりも多い阻害をもたらす前記生体試料の最小の希釈度に対応し、前記プロセッサーは、レポータートランス遺伝子発現
の50%若しくはそれよりも多い阻害をもたらす最小の希釈度
が1対5よりも大きい若しくは等しい場合には、前記力価は式S/MAXにより決定され、又はレポータートランス遺伝子発現力価
の50%若しくはそれよりも多い阻害をもたらす最小の希釈度
が1対5よりも小さい場合は、前記力価は式S/S.EVにより決定されるように設定されて
いる、
ステップ(s
)をさらに含む、請求項7
7に記載の方法。
【請求項79】
前記AAV結合抗体の力価を、前記プロセッサーを用いて計算し、前記力価はレポータートランス遺伝子発現
の50%又はそれよりも多い阻害をもたらす前記生体試料の最小の希釈度に対応し、前記プロセッサーは、レポータートランス遺伝子発現
の50%若しくはそれよりも多い阻害をもたらす前記最小の希釈度
が1対5よりも大きい若しくは等しい場合には、前記力価は式100-[[(S-MIN)/(MAX-MIN)]×100]により決定され、又はレポータートランス遺伝子発現力価
の50%若しくはそれよりも多い阻害をもたらす前記最小の希釈度
が1対5よりも小さい場合は、前記力価は式100-[[(S-MIN)/(S.EV-MIN)]×100]により決定されるように設定されて
いる、
ステップ(t)をさらに含む、請求項7
8に記載の方法。
【請求項80】
感染性組換えAAV粒子(a)を提供するステップと;
前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと;
空のカプシドAAV粒子を提供するステップと;
前記細胞を前記提供された空のカプシドAAV粒子に、前記接触コンポーネントを用いて接触させるステップと;
前記空のカプシドAAV粒子に接触させた前記細胞を、(b)の前記細胞が(a)の前記感染性組換えAAV粒子により形質導入され、前記レポータートランス遺伝子が前記細胞により発現される条件下で(a)の前記感染性組換えAAV粒子に、前記接触コンポーネントを用いて接触させるステップと;
前記レポータートランス遺伝子の発現を、前記測定コンポーネントを用いて測定し、レポータートランス遺伝子発現の量を反映するMAX.EVを表示される値を、前記プロセッサーを用いて割り当て、前記非一時的電子記憶装置にMAX.EVと表示された前記値を、前記プロセッサーを用いて保存するステップと
をさらに含む、請求項7
7~
79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
S/Nで示され、前記S/NはMAX/MINに等しいシグナル対ノイズ比を、前記プロセッサーを用いて計算するステップと;前記非一時的電子記憶装置にS/Nを、前記プロセッサーを用いて保存するステップ
とをさらに含む、請求項7
7~8
0のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
パーセント変動係数(%CV)、%CV=(標準偏差/平均)×100%、を、前記プロセッサーを用いて計算するステップと、前記非一時的電子記憶装置に%CVを、前記プロセッサーを用いて保存するステップ
とをさらに含む、請求項7
7~8
1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
EV干渉、EV干渉=MAX/MAX.EVを、前記プロセッサーを用いて計算するステップと、前記非一時的電子記憶装置にEV干渉を、前記プロセッサーを用いて保存するステップ
とをさらに含む、請求項7
7~8
2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
MAX若しくはMAX-MINと相対的な、レポータートランス遺伝子発現の前もって選択された量を提供する希釈度の発現測定値に基づいてHQCを、及び/又は空のカプシドAAV粒子の存在下でMAX若しくはMAX-MINと相対的な、レポータートランス遺伝子発現の前記前もって選択された量を提供するステップ(a)の希釈度を含む対照条件下で前記レポータートランス遺伝子の発現に基づいてHQC EVを及び/又はHQC EV/HQCを、前記プロセッサーを用いて計算するステップと、前記非一時的電子記憶装置にHQC及び/又はHQC EV及び/又はHQC EV/HQCを、前記プロセッサーを用いて保存するステップ
とをさらに含む、請求項7
7~8
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
(a)の前記感染性組換えAAV粒子に感染することができるが(a)の感染性組換えAAV粒子が感染していない細胞の負の対照の発現を測定し、MINと表示されたバックグラウンド値を提供するステップであって、MINはS、MAX及び/又はS.EVのうちのいずれか1つから引いてもよいステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項86】
前記細胞のいずれかがアデノウイルスE4遺伝子を発現する、請求項29に記載の方法。
【請求項87】
AAVの第2のITRをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項88】
前記ヒトが、遺伝子治療による処置を受け入れることができる遺伝性疾患に苦しんでいるヒトである、請求項54に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0002]アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター遺伝子移入は、レーバー先天黒内障の処置における並びに出血障害血友病A及びBについてのヒト臨床試験における臨床効果を実証してきた。野生型AAVに曝露されるせいで、変動するパーセントのヒトで抗体がカプシドに結合し、そのせいでAAVベクター細胞形質導入が阻害される又は妨げられることがある。AAVに結合するそのような抗体はAAVベースの遺伝子治療ベクターには大きな障害物であり、一部の患者は救命の可能性がある治療を利用できないでいる。その結果、AAVに対する中和抗体(NAb)に陽性である対象は遺伝子治療治験への登録から除外されることが多く、遺伝子治療処置の候補としても最適ではなくなる。
【0002】
[0003]抗AAV抗体は、ウイルスへのIgG結合を検出する結合アッセイ、又はレポーターベクターの細胞形質導入の効率をインビトロで測定する細胞形質導入阻害アッセイを用いて測定することができる。抗体結合アッセイは、始めるのは容易であるが、どの結合抗体がAAVベクター形質導入に影響を及ぼすのかを特定しない。逆に、細胞ベースのNAbアッセイは、抗AAV循環因子により媒介されるベクター形質導入の阻害の程度を確かに測定はするが、時間がかかり感度と精度の両方の点で課題を突き付ける。さらに、NAbアッセイについての手順の標準化が欠如していることは、遺伝子治療治験による結果の解釈にとり障壁となっている。
【発明の概要】
【0003】
[0004]本明細書で開示されるように、AAVベクター細胞形質導入を阻害する、低減する又は減少させ得るAAV結合抗体とははっきり異なっている他の因子が存在する。本明細書でも開示されるように、AAVベクター細胞形質導入を増強することができる因子が存在する。これらの増強及び阻害因子は、AAVベースの遺伝子治療での処置又はAAVベースの遺伝子治療臨床試験への参加を受けることができるある特定の対象に存在することがある。典型的には、対象は、遺伝子治療処置に対する適合性/適格性を判定するためにAAV結合抗体の存在について評価される。対象は、抗体の発生をモニターする目的で遺伝子治療処置又は遺伝子治療処置のそれに続く再投与を受けた後のAAV結合抗体の存在についても評価を受けることができる。しかし、AAV結合抗体を測定することが望まれる対象がAAVベクター細胞形質導入のエンハンサー又はインヒビターを有している場合は、典型的な細胞ベースの抗体アッセイは、AAV結合抗体力価の点で不正確な定量的結果を出すことになる。
【0004】
[0005]例えば、AAVベクター細胞形質導入を増強する因子が、AAV結合抗体を有する対象に存在する場合、AAV結合抗体の量は過小評価されると考えられ、十分に低い場合は、対象中のAAV結合抗体について偽陰性を生じることがある。そのような偽陰性対象は実際にはAAV結合抗体に陽性である。
【0005】
[0006]AAVベクター細胞形質導入を阻害する因子が、対象に存在する場合、たとえ検出可能なAAV結合抗体が存在しなくても、AAVベクター細胞形質導入を阻害する又は低減するほどのインヒビターが存在しているならば、試験の結果は対象中のAAV結合抗体について偽陽性になると考えられる。そのような偽陽性対象は、実際にはAAV結合抗体に陰性である又は比較的低いAAV抗体力価を有する。
【0006】
[0007]したがって、本発明は、とりわけ、対象由来の生体試料等の試料中でそのようなエンハンサー因子又は阻害性因子について試料を分析するための方法及びこれらの存在を検出するための方法を提供する。
[0008]ある特定の実施形態では、対象由来の生体試料中でアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター細胞形質導入のエンハンサーについて分析する又はエンハンサーの存在を検出するための方法は、
(a)a.組換えAAVベクターを含む感染性組換えAAV粒子、組換えAAVベクターは1つ又は複数の発現調節エレメントに作動可能に連結されたレポータートランス遺伝子を含む、b.空のカプシドAAV粒子、c.AAV感染に許容状態の細胞及びd.対象由来の生体試料を提供するステップと、
(b)a.細胞が感染性組換えAAV粒子を形質導入され、レポータートランス遺伝子が細胞により発現される条件下で、細胞を感染性組換えAAV粒子に接触させることと、b.レポータートランス遺伝子の発現を測定しMAXと表示された値を割り当てることにより第1のアッセイを実施するステップと、
(c)a.生体試料を空のカプシドAAV粒子と混合して混合物(M)を作製し、空のカプシドAAV粒子が生体試料に存在するいずれかのAAV結合抗体に結合するのを可能にする条件下でMをインキュベートすることと、b.細胞が感染性組換えAAV粒子を形質導入され、レポータートランス遺伝子が細胞により発現される条件下で、細胞をM及び感染性組換えAAV粒子に接触させることとc.レポータートランス遺伝子の発現を測定し、S.EVと表示された値を割り当てることにより第2のアッセイを実施するステップと、
(d)S.EVをMAXと比較するステップであって、S.EVがMAXよりも大きい場合には、対象由来の生体試料はAAVベクター細胞形質導入のエンハンサーを含有するステップと
を含む。
【0007】
[0009]ある特定の実施形態では、対象由来の生体試料中でアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター細胞形質導入のインヒビターについて分析する又はインヒビターの存在を検出するための方法は、
(a)a.組換えAAVベクターを含む感染性組換えAAV粒子、組換えAAVベクターは1つ又は複数の発現調節エレメントに作動可能に連結されたレポータートランス遺伝子を含む、b.空のカプシドAAV粒子、c.AAV感染に許容状態の細胞及びd.対象由来の生体試料を提供するステップと、
(b)a.細胞が感染性組換えAAV粒子を形質導入され、レポータートランス遺伝子が細胞により発現される条件下で、細胞を感染性組換えAAV粒子に接触させることと、b.レポータートランス遺伝子の発現を測定し、MAXと表示された値を割り当てることにより第1のアッセイを実施するステップと、
(c)a.生体試料を空のカプシドAAV粒子と混合して混合物(M)を作製し、空のカプシドAAV粒子が生体試料に存在するいずれかのAAV結合抗体に結合するのを可能にする条件下でMをインキュベートすることと、b.細胞が感染性組換えAAV粒子を形質導入され、レポータートランス遺伝子が細胞により発現される条件下で、細胞をM及び感染性組換えAAV粒子に接触させることと、c.レポータートランス遺伝子の発現を測定し、S.EVと表示された値を割り当てることにより第2のアッセイを実施するステップと、
(d)S.EVをMAXと比較するステップであって、S.EVがMAXよりも小さい場合には、対象由来の生体試料はAAVベクター細胞形質導入のインヒビターを含有するステップと
を含む。
【0008】
[0010]ある特定の実施形態では、対象由来の生体試料中でアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター細胞形質導入のエンハンサーについて分析する又はエンハンサーの存在を検出するための方法は、
(a)(i)ベクターがレポータートランス遺伝子を含み、(ii)レポータートランス遺伝子が一本鎖又は自己相補的ゲノムを含み、(iii)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数の発現調節エレメントに作動可能に連結されており、且つ(iv)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数のフランキングエレメントに隣接している、組換えAAVベクターを含む感染性組換えAAV粒子を提供するステップと、
(b)感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(c)(b)の細胞が(a)の感染性組換えAAV粒子により形質導入され、レポータートランス遺伝子が(b)の細胞により発現される条件下で、(b)の細胞を(a)の感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(d)レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(c)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するMAXと表示された値を割り当てるステップと、
(e)感染性組換えAAV粒子(a)を提供するステップと、
(f)対象由来の生体試料を提供するステップと、
(g)感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(h)(f)の生体試料を空のカプシドAAV粒子と混合して混合物(M)を作製し、空のカプシドAAV粒子が生体試料に存在するいずれかのAAV結合抗体に結合することを可能にする条件下でMをインキュベートするステップと、
(i)(e)の感染性組換えAAV粒子が(g)の細胞に形質導入し、(g)の細胞でレポータートランス遺伝子を発現することができる条件下で、(g)の細胞をM及び(e)の感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(j)レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(i)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するS.EVと表示された値を割り当てるステップと、
(k)S.EVをMAXと比較するステップであって、S.EVがMAXよりも大きい場合には、対象由来の生体試料はAAVベクター細胞形質導入のエンハンサーを含有するステップと
を含む。
【0009】
[0011]ある特定の実施形態では、対象由来の生体試料中でアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター細胞形質導入のインヒビターについて分析する又はインヒビターの存在を検出するための方法は、(a)(i)ベクターがレポータートランス遺伝子を含み、(ii)レポータートランス遺伝子が一本鎖又は自己相補的ゲノムを含み、(iii)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数の発現調節エレメントに作動可能に連結されており、且つ(iv)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数のフランキングエレメントに隣接している、組換えAAVベクターを含む感染性組換えAAV粒子を提供するステップと、
(b)感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(c)(b)の細胞が(a)の感染性組換えAAV粒子により形質導入され、レポータートランス遺伝子が(b)の細胞により発現される条件下で(b)の細胞を(a)の感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(d)レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(c)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するMAXと表示された値を割り当てるステップと、
(e)感染性組換えAAV粒子(a)を提供するステップと、
(f)対象由来の生体試料を提供するステップと、
(g)感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(h)(f)の生体試料を空のカプシドAAV粒子と混合して混合物(M)を作製し、空のカプシドAAV粒子が生体試料に存在するいずれかのAAV結合抗体に結合することを可能にする条件下でMをインキュベートするステップと、
(i)(e)の感染性組換えAAV粒子が(g)の細胞に形質導入し、(g)の細胞でレポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(g)の細胞をM及び(e)の感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(j)レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(i)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するS.EVと表示された値を割り当てるステップと、
(k)S.EVをMAXと比較するステップであって、S.EVがMAXよりも小さい場合には、対象由来の生体試料はAAVベクター細胞形質導入、ベクターにコードされるタンパク質の発現又は分泌のインヒビターを含有するステップと
を含む。
【0010】
[0012]ある特定の実施形態では、対象由来の生体試料中でアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター細胞形質導入のエンハンサーについて分析する又はエンハンサーの存在を検出するための方法は、
(a)(i)ベクターがレポータートランス遺伝子を含み、(ii)レポータートランス遺伝子が一本鎖又は自己相補的ゲノムを含み、(iii)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数の発現調節エレメントに作動可能に連結されており、且つ(iv)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数のフランキングエレメントに隣接している、組換えAAVベクターを含む感染性組換えAAV粒子を提供するステップと、
(b)感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(c)対象由来の生体試料を提供するステップと、
(d)(c)の生体試料を空のカプシドAAV粒子と混合して混合物(M)を作製し、空のカプシドAAV粒子が生体試料に存在するいずれかのAAV結合抗体に結合するのを可能にする条件下でMをインキュベートするステップと、
(e)(a)の感染性組換えAAV粒子が(b)の細胞に形質導入し、(b)の細胞でレポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(b)の細胞をM及び(a)の感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(f)レポータートランス遺伝子の発現を測定するステップと、
(g)(f)の発現を陽性(+)対照と比較するステップであって、+対照は対象由来の試料なしの及び空のカプシドAAV粒子の添加なしのレポータートランス遺伝子の発現であり、(f)の発現が+対照よりも大きい場合、対象由来の生体試料はAAVベクター細胞形質導入のエンハンサーを含有するステップと
を含む。
【0011】
[0013]ある特定の実施形態では、対象由来の生体試料中でアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター細胞形質導入のインヒビターについて分析する又はインヒビターの存在を検出するための方法は、
(a)(i)ベクターがレポータートランス遺伝子を含み、(ii)レポータートランス遺伝子が一本鎖又は自己相補的ゲノムを含み、(iii)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数の発現調節エレメントに作動可能に連結されており、且つ(iv)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数のフランキングエレメントに隣接している、組換えAAVベクターを含む感染性組換えAAV粒子を提供するステップと、
(b)感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(c)対象由来の生体試料を提供するステップと、
(d)(c)の生体試料を空のカプシドAAV粒子と混合して混合物(M)を作製し、空のカプシドAAV粒子が生体試料に存在するいずれかのAAV結合抗体に結合するのを可能にする条件下でMをインキュベートするステップと、
(e)(a)の感染性組換えAAV粒子が(b)の細胞に形質導入し、(b)の細胞でレポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(b)の細胞をM及び(a)の感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(f)レポータートランス遺伝子の発現を測定するステップと、
(g)(f)の発現を陽性(+)対照と比較するステップであって、+対照は対象由来の試料なしの及び空のカプシドAAV粒子の添加なしのレポータートランス遺伝子の発現であり、(f)の発現が+対照よりも小さい場合、対象由来の生体試料はAAVベクター細胞形質導入のインヒビターを含有するステップと
を含む。
【0012】
[0014]本発明は、とりわけ、対象由来の生体試料等の試料中でAAVベクター細胞形質導入を阻害する、低減する又は減少させるAAV結合抗体について分析する、AAV結合抗体を検出する又は定量化するための方法も提供する。
【0013】
[0015]ある特定の実施形態では、対象由来の生体試料中でAAVベクター細胞形質導入を阻害するAAV結合抗体について分析する、AAV結合抗体を検出する又は定量化するための方法は、
(a)(i)ベクターがレポータートランス遺伝子を含み、(ii)レポータートランス遺伝子が一本鎖又は自己相補的ゲノムを含み、(iii)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数の発現調節エレメントに作動可能に連結されており、且つ(iv)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数のフランキングエレメントに隣接している、組換えAAVベクターを含む感染性組換えAAV粒子を提供するステップと、
(b)感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(c)(b)の細胞が(a)の感染性組換えAAV粒子により形質導入され、レポータートランス遺伝子が(b)の細胞により発現される条件下で(b)の細胞を(a)の感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(d)レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(c)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するMAXと表示された値を割り当てるステップと、
(e)感染性組換えAAV粒子(a)を提供するステップと、
(f)対象由来の希釈された生体試料を提供するステップと、
(g)感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(h)(f)の希釈された生体試料を空のカプシドAAV粒子と混合して混合物(M)を作製し、空のカプシドAAV粒子が生体試料に存在するいずれかのAAV結合抗体に結合することを可能にする条件下でMをインキュベートするステップと、
(i)(e)の感染性組換えAAV粒子が(g)の細胞に形質導入し、(g)の細胞でレポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(g)の細胞をM及び(e)の感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(j)レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(i)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するS.EVと表示された値を割り当てるステップと、
(k)感染性組換えAAV粒子(a)を提供するステップと、
(l)(f)の試料を提供したのと同じ対象由来の希釈された生体試料を提供するステップと、
(m)感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(n)(l)の希釈された生体試料を(k)の感染性組換えAAV粒子と混合して混合物(M)を作製するステップと、
(o)(k)の感染性組換えAAV粒子が(m)の細胞に形質導入し(m)の細胞でレポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(m)の細胞をMと接触させるステップと、
(p)レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(o)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するSと表示された値を割り当てるステップと、
(q)ステップ(h)~(j)及び(n)~(p)を少なくとも2回、異なる試料希釈度で実施するステップと、
(r)SがMAXよりも小さくS.EVがMAXに等しい又はMAXよりも大きい場合には、AAVベクター細胞形質導入を阻害するAAV結合抗体が希釈された試料中に存在するステップと、
任意選択で、
(s)感染性組換えAAV粒子(a)に感染することができるが感染性組換えAAV粒子(a)が感染していない細胞の負の対照の発現を測定し、MINと表示されたバックグラウンド値を提供するステップであって、MINはS、MAX及び/又はS.EVのうちのいずれか1つから引いてもよいステップと
を含む。
【0014】
[0016]ある特定の実施形態では、方法ステップは、本明細書で別段指示されなければ、いかなる適切な順番でも実施することができる。
【0015】
[0017]ある特定の実施形態では、方法は、ステップ(r)後又はステップ(s)後に、生体試料中のAAV結合抗体の力価であって、レポータートランス遺伝子発現を約50%又はそれよりも多く阻害する生体試料の最低希釈度に対応する力価を計算するステップをさらに含み、レポータートランス遺伝子発現を約50%若しくはそれよりも多く阻害する最低希釈度が約1対5よりも大きい若しくはこれに等しい場合には、力価は式S/MAXにより決定される約50%若しくはそれよりも多い阻害をもたらす希釈度であり、又はレポータートランス遺伝子発現を約50%若しくはそれよりも多く阻害する最低希釈度が約1対5よりも小さい場合には、力価は式S/S.EVにより決定される約50%若しくはそれよりも多い阻害をもたらす希釈度である。
【0016】
[0018]ある特定の実施形態では、方法は、生体試料中のAAV結合抗体の力価、レポータートランス遺伝子発現を約50%又はそれよりも多く阻害する生体試料の最低希釈度に対応する力価を計算するステップ(t)をさらに含み、レポータートランス遺伝子発現を約50%若しくはそれよりも多く阻害する最低希釈度が約1対5よりも大きい若しくはこれに等しい場合には、力価は式100-[[(S-MIN)/(MAX-MIN)]×100]により決定される約50%若しくはそれよりも多い阻害をもたらす希釈度であり、又はレポータートランス遺伝子発現を約50%若しくはそれよりも多く阻害する最低希釈度が約1対5よりも小さい場合には、力価は式100-[[(S-MIN)/(S.EV-MIN)]×100]により決定される約50%若しくはそれよりも多い阻害をもたらす希釈度である。
【0017】
[0019]ある特定の実施形態では、方法は、(a)の感染性組換えAAV粒子を提供するステップと;感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと;空のカプシドAAV粒子を提供するステップと、細胞を提供された空のカプシドAAV粒子に接触させるステップと;(b)の細胞を(a)の感染性組換えAAV粒子により形質導入し、レポータートランス遺伝子が細胞により発現される条件下で、空のカプシドAAV粒子に接触させた細胞を(a)の感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと;レポータートランス遺伝子の発現を測定し、レポーター遺伝子発現の量を反映するMAX.EVと表示された値を割り当てるステップとをさらに含む。
【0018】
[0020]ある特定の実施形態では、方法は、S/NがMAX/MINに等しい、S/Nと表示されるシグナル対ノイズ比を計算するステップをさらに含む。
【0019】
[0021]ある特定の実施形態では、方法は、%CV=(標準偏差/平均)×100%である、パーセント変動係数(%CV)を計算するステップをさらに含む。
【0020】
[0022]ある特定の実施形態では、方法は、EV干渉=MAX/MAX.EVである、EV干渉を計算するステップをさらに含む。
【0021】
[0023]ある特定の実施形態では、方法は、(a)AAVベクターに結合するAAV結合抗体の1つ又は複数の希釈度を含む制御条件下でレポータートランス遺伝子の発現を測定し、MAX若しくはMAX-MINと相対的な、レポータートランス遺伝子発現の前もって選択した量を与える希釈度の発現測定値にHQCと表示された値を割り当てるステップ;及び/又は(b)空のカプシドAAV粒子の存在下でMAX若しくはMAX-MINと相対的な、レポータートランス遺伝子発現の前もって選択した量を与えるステップ(a)の希釈度を含む制御条件下でレポータートランス遺伝子の発現を測定し、HQC.EVと表示される値を割り当てるステップをさらに含む。
【0022】
[0024]ステップ(a)のレポータートランス遺伝子発現の前もって選択した量は、MAX又はMAX-MINの約75%に等しい又はそれ未満、例えば、限定せずに、MAX又はMAX-MINの約60%に等しい又はそれ未満、MAX又はMAX-MINの約50%に等しい又はそれ未満、MAX又はMAX-MINの約40%に等しい又はそれ未満、MAX又はMAX-MINの約30%に等しい又はそれ未満が可能である。ある特定の実施形態では、ステップ(a)のレポータートランス遺伝子発現の前もって選択した量は、MAX又はMAX-MINの約25%に等しい又はそれ未満である。ある特定の実施形態では、ステップ(a)のレポータートランス遺伝子発現の前もって選択した量は、MAX又はMAX-MINの約20%に等しい又はそれ未満である。
【0023】
[0025]ある特定の実施形態では、方法は、EV有効性=HQC.EV/HQCである、EV有効性を計算するステップをさらに含む。
【0024】
[0026]ある特定の実施形態では、ステップ(h)~(j)及び(n)~(p)は少なくとも3、4、5又は6回、生体試料の3、4、5又は6つの異なる希釈度で実施される。
【0025】
[0027]ある特定の実施形態では、試料は、(a)、(e)又は(k)の感染性組換えAAV粒子に接触させる又はこれと一緒にインキュベートする前に約1対1~約1対5000で希釈される。
【0026】
[0028]ある特定の実施形態では、試料は、(a)、(e)又は(k)の感染性組換えAAV粒子に接触させる又はこれと一緒にインキュベートする前に約1対1~約1対1000で希釈される。
【0027】
[0029]ある特定の実施形態では、試料は、(a)、(e)又は(k)の感染性組換えAAV粒子に接触させる又はこれと一緒にインキュベートする前に約1対1~約1対500で希釈される。
【0028】
[0030]ある特定の実施形態では、試料は、(a)、(e)又は(k)の感染性組換えAAV粒子に接触させる又はこれと一緒にインキュベートする前に約1対1~約1対100で希釈される。
【0029】
[0031]ある特定の実施形態では、ステップ(h)~(j)及び(n)~(p)は、生体試料の約1対1、約1対2.5、約1対5、約1対10、約1対100及び/又は約1対1000の希釈度で実施される。
【0030】
[0032]ある特定の実施形態では、方法は、ステップ(c)若しくは(d)が始まる時又はステップ(c)若しくは(d)が完了する時から約48時間以内に完了される。
【0031】
[0033]ある特定の実施形態では、ステップ(c)、(e)、(i)、又は(o)のいずれかの感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞は、感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞が凍結から解凍された後約2時間以内に接触させる。
【0032】
[0034]ある特定の実施形態では、ステップ(c)、(e)、(i)、又は(o)のいずれかの感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞は、感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞が凍結から解凍された後約1時間以内に接触させる。
【0033】
[0035]ある特定の実施形態では、ステップ(c)、(e)、(i)、又は(o)のいずれかの感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞は、少なくとも約60%コンフルエントである。
【0034】
[0036]ある特定の実施形態では、ステップ(c)、(e)、(i)、又は(o)のいずれかの感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞は、少なくとも約70%コンフルエントである。
【0035】
[0037]ある特定の実施形態では、ステップ(c)、(e)、(i)、又は(o)のいずれかの感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞は、少なくとも約80%コンフルエントである。
【0036】
[0038]ある特定の実施形態では、ステップ(c)、(e)、(i)、又は(o)のいずれかの感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞は、少なくとも約90%コンフルエントである。
【0037】
[0039]本発明は、とりわけ、本発明の方法で使用される1つ又は複数の構成成分を有するキャリア及びプレートも提供する。キャリア及びプレートは、例えば、限定せずに、感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞、対象由来の希釈された生体試料及び/又は空のカプシドAAV粒子等の対象由来の生体試料を含むことができる。
【0038】
[0040]ある特定の実施形態では、キャリア又はプレートには、
(a)レポータートランス遺伝子を含む感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞及びレポータートランス遺伝子を含む感染性組換えAAV粒子、
(b)対象由来の希釈された生体試料、感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞及び空のカプシドAAV粒子、並びに/又は
(c)(b)の試料を提供したのと同じ対象由来の希釈された生体試料、レポータートランス遺伝子を含む感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞及びレポータートランス遺伝子を含む感染性組換えAAV粒子
が個別に配置されている。
【0039】
[0041]ある特定の実施形態では、キャリア又はプレート上の構成成分のそれぞれは、個別のウェル内にあることが可能である。ある特定の実施形態では、キャリア又はプレート上の構成成分のそれぞれは、本明細書の方法について開示されている量であることが可能である。
【0040】
[0042]ある特定の実施形態では、キャリア又はプレートは、マルチウェルキャリア又はプレートの別々のチューブ又は別々の単一ウェル内に配置された(a)、(b)及び(c)構成成分のそれぞれを有する。
【0041】
[0043]ある特定の実施形態では、キャリア又はプレートはプラスチック又はグラスを含む。
【0042】
[0044]ある特定の実施形態では、キャリア又はプレートはマルチウェルプレート又は皿である。
【0043】
[0045]本明細書に記載されるように、ある特定の実施形態では、対象由来の生体試料中でアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター細胞形質導入のエンハンサーについて分析する又はエンハンサーの存在を検出するための方法は、
(a)(i)ベクターがレポータートランス遺伝子を含み、(ii)レポータートランス遺伝子が一本鎖又は自己相補的ゲノムを含み、(iii)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数の発現調節エレメントに作動可能に連結されており、且つ(iv)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数のフランキングエレメントに隣接している、組換えAAVベクターを含む感染性組換えAAV粒子を提供するステップと、
(b)前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(c)(b)の細胞が(a)の感染性組換えAAV粒子により形質導入され、レポータートランス遺伝子が(b)の前記細胞により発現される条件下で(b)の細胞を(a)の感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(d)レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(c)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するMAXと表示された値を割り当てるステップと、
(e)感染性組換えAAV粒子(a)を提供するステップと、
(f)対象由来の生体試料を提供するステップと、
(g)前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(h)(f)の生体試料を空のカプシドAAV粒子と混合して混合物(M)を作製し、空のカプシドAAV粒子が生体試料に存在するいずれかのAAV結合抗体に結合することを可能にする条件下で前記Mをインキュベートするステップと、
(i)(e)の感染性組換えAAV粒子が(g)の前記細胞に形質導入し、(g)の前記細胞でレポータートランス遺伝子を発現することができる条件下で、(g)の前記細胞を前記M及び(e)の前記感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(j)レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(i)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するS.EVと表示された値を割り当てるステップと、
(k)前記S.EVを前記MAXと比較するステップであって、前記S.EVが前記MAXよりも大きい場合には、対象由来の生体試料はAAVベクター細胞形質導入のエンハンサーを含有するステップと
を含む。
【0044】
[0046]ある特定の実施形態では、ステップ(c)、(d)、(h)、(i)、(j)、又は(k)のうちの1つ又は複数は自動システムを用いて実施してもよい。
【0045】
[0047]ある特定の実施形態では、自動システムは、接触コンポーネント、測定コンポーネント、混合コンポーネント、インキュベートコンポーネント、プロセッサー、及び非一時的電子記憶装置を含む。非一時的電子記憶装置は、プロセッサーに接触コンポーネント、測定コンポーネント、混合コンポーネント、及びインキュベートコンポーネントを制御させるように設計されている。方法は、
(c)(b)の細胞が(a)の感染性組換えAAV粒子により形質導入され、レポータートランス遺伝子が(b)の前記細胞により発現される条件下で(b)の細胞を(a)の感染性組換えAAV粒子に、接触コンポーネントを用いて接触させるステップと、
(d)レポータートランス遺伝子の発現を、測定コンポーネントを用いて測定し、(c)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するMAXと表示された値を、プロセッサーを用いて割り当て、非一時的電子記憶装置にMAXと表示された値を、プロセッサーを用いて保存するステップと、
(h)(f)の生体試料を空のカプシドAAV粒子と、混合コンポーネントを用いて混合して混合物(M)を作製し、空のカプシドAAV粒子が、生体試料に存在しAAVベクター細胞形質導入を阻害する、低減する又は減少させるいずれかのAAV結合抗体に結合するのを可能にする条件下で前記Mを、インキュベートコンポーネントを用いて、インキュベートするステップと、
(i)(e)の感染性組換えAAV粒子が(g)の前記細胞に形質導入し、(g)の前記細胞でレポータートランス遺伝子を発現することができる条件下で、(g)の前記細胞を前記M及び(e)の前記感染性組換えAAV粒子に、接触コンポーネントを用いて接触させるステップと、
(j)レポータートランス遺伝子の発現を、測定コンポーネントを用いて測定し、(i)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するS.EVと表示された値を、プロセッサーを用いて割り当て、非一時的電子記憶装置にS.EVと表示された値を、プロセッサーを用いて保存するステップと、
(k)前記S.EVを前記MAXと、プロセッサーを用いて比較するステップであって、前記S.EVが前記MAXよりも大きい場合には、対象由来の生体試料がAAVベクター細胞形質導入のエンハンサーを含有するとプロセッサーが判定するステップ、及び任意選択で、対象由来の生体試料がエンハンサーを含有するというインディケーションを、プロセッサーを用いて、表示するために出力するステップと
をさらに含む。
【0046】
[0048]本明細書に記載されるように、ある特定の実施形態では、対象由来の生体試料中でアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター細胞形質導入のインヒビターについて分析する又はインヒビターの存在を検出するための方法は、
(a)(i)ベクターがレポータートランス遺伝子を含み、(ii)レポータートランス遺伝子が一本鎖又は自己相補的ゲノムを含み、(iii)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数の発現調節エレメントに作動可能に連結されており、且つ(iv)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数のフランキングエレメントに隣接している、組換えAAVベクターを含む感染性組換えAAV粒子を提供するステップと、
(b)前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(c)(b)の細胞が(a)の感染性組換えAAV粒子により形質導入され、レポータートランス遺伝子が(b)の前記細胞により発現される条件下で(b)の細胞を(a)の感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(d)レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(c)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するMAXと表示された値を割り当てるステップと、
(e)感染性組換えAAV粒子(a)を提供するステップと、
(f)対象由来の生体試料を提供するステップと、
(g)前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(h)(f)の生体試料を空のカプシドAAV粒子と混合して混合物(M)を作製し、空のカプシドAAV粒子が生体試料に存在するいずれかのAAV結合抗体に結合するのを可能にする条件下で前記Mをインキュベートするステップと、
(i)(e)の感染性組換えAAV粒子が(g)の前記細胞に形質導入し、(g)の前記細胞でレポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(g)の前記細胞を前記M及び(e)の前記感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(j)レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(i)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するS.EVと表示された値を割り当てるステップと、
(k)前記S.EVを前記MAXと比較するステップであって、前記S.EVが前記MAXよりも小さい場合には、対象由来の生体試料はAAVベクター細胞形質導入、ベクターによりコードされるタンパク質の発現又は分泌のインヒビターを含有するステップと
を含む。
【0047】
[0049]ある特定の実施形態では、ステップ(c)、(d)、(h)、(i)、(j)、又は(k)のうちの1つ又は複数は自動システムを用いて実施してもよい。
【0048】
[0050]ある特定の実施形態では、自動システムは、接触コンポーネント、測定コンポーネント、混合コンポーネント、インキュベートコンポーネント、プロセッサー、及び非一時的電子記憶装置を含む。非一時的電子記憶装置は、プロセッサーに接触コンポーネント、測定コンポーネント、混合コンポーネント、及びインキュベートコンポーネントを制御させるように設計されている。方法は、
(c)(b)の細胞が(a)の感染性組換えAAV粒子により形質導入され、レポータートランス遺伝子が(b)の前記細胞により発現される条件下で(b)の細胞を(a)の感染性組換えAAV粒子に、接触コンポーネントを用いて接触させるステップと、
(d)レポータートランス遺伝子の発現を、測定コンポーネントを用いて測定し、(c)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するMAXと表示された値を、プロセッサーを用いて割り当て、非一時的電子記憶装置にMAXと表示された値を、プロセッサーを用いて保存するステップと、
(h)(f)の生体試料を空のカプシドAAV粒子と、混合コンポーネントを用いて混合して混合物(M)を作製し、空のカプシドAAV粒子が、生体試料に存在しAAVベクター細胞形質導入を阻害する、低減する又は減少させるいずれかのAAV結合抗体に結合するのを可能にする条件下で前記Mを、インキュベートコンポーネントを用いてインキュベートするステップと、
(i)(e)の感染性組換えAAV粒子が(g)の前記細胞に形質導入し、(g)の前記細胞でレポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(g)の前記細胞を前記M及び(e)の前記感染性組換えAAV粒子に、接触コンポーネントを用いて接触させるステップと、
(j)レポータートランス遺伝子の発現を、測定コンポーネントを用いて測定し、(i)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するS.EVと表示された値を、プロセッサーを用いて割り当て、非一時的電子記憶装置にS.EVと表示された値を、プロセッサーを用いて保存するステップと、
(k)前記S.EVを前記MAXと、プロセッサーを用いて比較するステップであって、前記S.EVが前記MAXよりも小さい場合には、対象由来の生体試料がAAVベクター細胞形質導入、ベクターによりコードされるタンパク質の発現又は分泌のインヒビターを含有するとプロセッサーが判定するステップ、及び任意選択で、対象由来の生体試料がインヒビターを含有するというインディケーションを、プロセッサーを用いて、表示するために出力するステップと
をさらに含む。
【0049】
[0051]本明細書に記載されるように、ある特定の実施形態では、対象由来の生体試料中でアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター細胞形質導入のエンハンサーについて分析する又はエンハンサーの存在を検出するための方法は、
(a)(i)ベクターがレポータートランス遺伝子を含み、(ii)レポータートランス遺伝子が一本鎖又は自己相補的ゲノムを含み、(iii)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数の発現調節エレメントに作動可能に連結されており、且つ(iv)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数のフランキングエレメントに隣接している、組換えAAVベクターを含む感染性組換えAAV粒子を提供するステップと、
(b)前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(c)対象由来の生体試料を提供するステップと、
(d)(c)の生体試料を空のカプシドAAV粒子と混合して混合物(M)を作製し、空のカプシドAAV粒子が生体試料に存在するいずれかのAAV結合抗体に結合するのを可能にする条件下で前記Mをインキュベートするステップと、
(e)(a)の感染性組換えAAV粒子が(b)の前記細胞に形質導入し、(b)の前記細胞でレポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(b)の前記細胞を前記M及び(a)の前記感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(f)レポータートランス遺伝子の発現を測定するステップと、
(g)(f)の前記発現を陽性(+)対照と比較するステップであって、+対照は対象由来の試料なし及び空のカプシドAAV粒子の添加なしでのレポータートランス遺伝子の発現であり、(f)の発現が前記+対照よりも大きい場合は、対象由来の生体試料はAAVベクター細胞形質導入のエンハンサーを含有するステップと
を含む。
【0050】
[0052]ある特定の実施形態では、ステップ(d)、(e)、(f)、又は(g)のうちの1つ又は複数は自動システムを用いて実施してもよい。
【0051】
[0053]ある特定の実施形態では、自動システムは、接触コンポーネント、測定コンポーネント、混合コンポーネント、インキュベートコンポーネント、プロセッサー、及び非一時的電子記憶装置を含む。非一時的電子記憶装置は、プロセッサーに接触コンポーネント、測定コンポーネント、混合コンポーネント、及びインキュベートコンポーネントを制御させるように設計されている。方法は、
(d)(c)の生体試料を空のカプシドAAV粒子と、混合コンポーネントを用いて混合して混合物(M)を作製し、空のカプシドAAV粒子が生体試料に存在しAAVベクター細胞形質導入を阻害する、低減する又は減少させるいずれかのAAV結合抗体に結合するのを可能にする条件下で前記Mを、インキュベートコンポーネントを用いてインキュベートするステップと、
(e)(a)の感染性組換えAAV粒子が(b)の前記細胞に形質導入し、(b)の前記細胞でレポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(b)の前記細胞を前記M及び(a)の前記感染性組換えAAV粒子に、接触コンポーネントを用いて接触させるステップと、
(f)レポータートランス遺伝子の発現を、測定コンポーネントを用いて測定するステップと、
(g)(f)の前記発現を陽性(+)対照と、プロセッサーを用いて比較するステップであって、(f)の前記発現が前記+対照よりも大きい場合は、対象由来の生体試料はAAVベクター細胞形質導入、ベクターによりコードされるタンパク質の発現又は分泌のエンハンサーを含有するとプロセッサーが判定するステップ、及び任意選択で、対象由来の生体試料がエンハンサーを含有するというインディケーションを、プロセッサーを用いて、表示するために出力するステップと
をさらに含む。
【0052】
[0054]本明細書に記載されるように、ある特定の実施形態では、対象由来の生体試料中でアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター細胞形質導入のインヒビターについて分析する又はインヒビターの存在を検出するための方法は、
(a)(i)ベクターがレポータートランス遺伝子を含み、(ii)レポータートランス遺伝子が一本鎖又は自己相補的ゲノムを含み、(iii)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数の発現調節エレメントに作動可能に連結されており、且つ(iv)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数のフランキングエレメントに隣接している、組換えAAVベクターを含む感染性組換えAAV粒子を提供するステップと、
(b)前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(c)対象由来の生体試料を提供するステップと、
(d)(c)の生体試料を空のカプシドAAV粒子と混合して混合物(M)を作製し、空のカプシドAAV粒子が生体試料に存在するいずれかのAAV結合抗体に結合することを可能にする条件下で前記Mをインキュベートするステップと、
(e)(a)の感染性組換えAAV粒子が(b)の前記細胞に形質導入し、(b)の前記細胞でレポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(b)の前記細胞を前記M及び(a)の前記感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(f)レポータートランス遺伝子の発現を測定するステップと、
(g)(f)の前記発現を陽性(+)対照と比較するステップであって、+対照は対象由来の試料なし及び空のカプシドAAV粒子の添加なしでのレポータートランス遺伝子の発現であり、(f)の発現が前記+対照よりも小さい場合は、対象由来の生体試料はAAVベクター細胞形質導入のインヒビターを含有するステップと
を含む。
【0053】
[0055]ある特定の実施形態では、ステップ(d)、(e)、(f)、又は(g)のうちの1つ又は複数は自動システムを用いて実施してもよい。
【0054】
[0056]ある特定の実施形態では、自動システムは、接触コンポーネント、測定コンポーネント、混合コンポーネント、インキュベートコンポーネント、プロセッサー、及び非一時的電子記憶装置を含む。非一時的電子記憶装置は、プロセッサーに接触コンポーネント、測定コンポーネント、混合コンポーネント、及びインキュベートコンポーネントを制御させるように設計されている。方法は、
(d)(c)の生体試料を空のカプシドAAV粒子と、混合コンポーネントを用いて混合して混合物(M)を作製し、空のカプシドAAV粒子が生体試料に存在しAAVベクター細胞形質導入を阻害する、低減する又は減少させるいずれかのAAV結合抗体に結合することを可能にする条件下で前記Mを、インキュベートコンポーネントを用いてインキュベートするステップと、
(e)(a)の感染性組換えAAV粒子が(b)の前記細胞に形質導入し、(b)の前記細胞でレポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(b)の前記細胞を前記M及び(a)の前記感染性組換えAAV粒子に、接触コンポーネントを用いて接触させるステップと、
(f)レポータートランス遺伝子の発現を、測定コンポーネントを用いて測定するステップと、
(g)(f)の前記発現を陽性(+)対照と、プロセッサーを用いて比較するステップであって、(f)の前記発現が前記+対照よりも小さい場合は、対象由来の生体試料はAAVベクター細胞形質導入、ベクターによりコードされるタンパク質の発現又は分泌のインヒビターを含有するとプロセッサーが判定するステップ、及び任意選択で、対象由来の生体試料がインヒビターを含有するというインディケーションを、プロセッサーを用いて、表示するために出力するステップと
をさらに含む。
【0055】
[0057]本明細書に記載されるように、ある特定の実施形態では、対象由来の生体試料においてAAVベクター細胞形質導入を阻害するAAV結合抗体について分析し、AAV結合抗体を検出する又は定量化するための方法は、
(a)(i)ベクターがレポータートランス遺伝子を含み、(ii)レポータートランス遺伝子が一本鎖又は自己相補的ゲノムを含み、(iii)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数の発現調節エレメントに作動可能に連結されており、且つ(iv)レポータートランス遺伝子が1つ又は複数のフランキングエレメントに隣接している、組換えAAVベクターを含む感染性組換えAAV粒子を提供するステップと、
(b)前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(c)(b)の細胞が(a)の感染性組換えAAV粒子により形質導入され、レポータートランス遺伝子が(b)の細胞により発現される条件下で(b)の前記細胞を(a)の感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(d)レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(c)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するMAXと表示された値を割り当てるステップと、
(e)感染性組換えAAV粒子(a)を提供するステップと、
(f)対象由来の希釈された生体試料を提供するステップと、
(g)前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(h)(f)の希釈された生体試料を空のカプシドAAV粒子と混合して混合物(M)を作製し、空のカプシドAAV粒子が生体試料に存在するいずれかのAAV結合抗体に結合することを可能にする条件下で前記Mをインキュベートするステップと、
(i)(e)の前記感染性組換えAAV粒子が(g)の前記細胞に形質導入し、(g)の前記細胞でレポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(g)の前記細胞を前記M及び(e)の前記感染性組換えAAV粒子に接触させるステップと、
(j)前記レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(i)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するS.EVと表示された値を割り当てるステップと、
(k)感染性組換えAAV粒子(a)を提供するステップと、
(l)(f)の試料を提供したのと同じ対象由来の希釈された生体試料を提供するステップと、
(m)前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと、
(n)(l)の前記希釈された生体試料を(k)の前記感染性組換えAAV粒子と混合して混合物(M)を作製するステップと、
(o)(k)の前記感染性組換えAAV粒子が(m)の前記細胞に形質導入し(m)の前記細胞で前記レポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(m)の前記細胞を前記Mと接触させるステップと、
(p)前記レポータートランス遺伝子の発現を測定し、(o)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するSと表示された値を割り当てるステップと、
(q)ステップ(h)~(j)及び(n)~(p)を少なくとも2回、異なる試料希釈度で実施するステップと、
(r)SがMAXよりも小さくS.EVがMAXに等しい又はMAXよりも大きい場合には、AAVベクター細胞形質導入を阻害するAAV結合抗体が前記希釈された試料中に存在するステップと、任意選択で、
(s)前記感染性組換えAAV粒子(a)に感染することができるが感染性組換えAAV粒子(a)が感染していない細胞の負の対照の発現を測定し、MINと表示されたバックグラウンド値を提供するステップであって、MINはS、MAX及び/又はS.EVのうちのいずれか1つから引いてもよいステップと
を含む。
【0056】
[0058]ある特定の実施形態では、ステップ(c)、(d)、(h)、(i)、(j)、(n)、(o)、(p)、又は(s)のうちの1つ又は複数は自動システムを用いて実施してもよい。
【0057】
[0059]ある特定の実施形態では、自動システムは、接触コンポーネント、測定コンポーネント、混合コンポーネント、インキュベートコンポーネント、プロセッサー、及び非一時的電子記憶装置を含む。非一時的電子記憶装置は、プロセッサーに接触コンポーネント、測定コンポーネント、混合コンポーネント、及びインキュベートコンポーネントを制御させるように設計されている。方法は、
(c)(b)の細胞が(a)の感染性組換えAAV粒子により形質導入され、レポータートランス遺伝子が(b)の前記細胞により発現される条件下で(b)の細胞を(a)の感染性組換えAAV粒子に、接触コンポーネントを用いて接触させるステップと、
(d)レポータートランス遺伝子の発現を、測定コンポーネントを用いて測定し、(c)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するMAXと表示された値を、プロセッサーを用いて割り当て、非一時的電子記憶装置にMAXと表示された値を、プロセッサーを用いて保存するステップと、
(h)(f)の希釈された生体試料を空のカプシドAAV粒子と、混合コンポーネントを用いて混合して混合物(M)を作製し、空のカプシドAAV粒子が、生体試料に存在しAAVベクター細胞形質導入を阻害する、低減する又は減少させるいずれかのAAV結合抗体に結合することを可能にする条件下で前記Mを、インキュベートコンポーネントを用いてインキュベートするステップと、
(i)(e)の感染性組換えAAV粒子が(g)の前記細胞に形質導入し、(g)の前記細胞でレポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(g)の前記細胞を前記M及び(e)の前記感染性組換えAAV粒子に、接触コンポーネントを用いて接触させるステップと、
(j)レポータートランス遺伝子の発現を、測定コンポーネントを用いて測定し、(i)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するS.EVと表示された値を、プロセッサーを用いて割り当て、非一時的電子記憶装置にS.EVと表示された値を、プロセッサーを用いて保存するステップと、
(n)(l)の希釈された生体試料を(e)の感染性組換えAAV粒子と、混合コンポーネントを用いて混合して混合物Mを作製するステップと、
(o)(k)の感染性組換えAAV粒子が(m)の前記細胞に形質導入し(m)の前記細胞でレポータートランス遺伝子を発現することを可能にする条件下で、(m)の前記細胞を前記Mと、接触コンポーネントを用いて接触させるステップと、
(p)レポータートランス遺伝子の発現を、測定コンポーネントを用いて測定し、(o)のレポータートランス遺伝子発現の量を反映するSと表示された値を、プロセッサーを用いて割り当て、非一時的電子記憶装置にSと表示された値を、プロセッサーを用いて保存するステップと、
(s)任意選択で、前記感染性組換えAAV粒子(a)に感染することができるが感染性組換えAAV粒子(a)が感染していない細胞の負の対照の発現を、測定コンポーネントを用いて測定し、MINと表示されたバックグラウンド値を提供するステップであって、MINはS、MAX及び/又はS.EVのうちのいずれか1つから、プロセッサーによって引いてもよいステップと
をさらに含む。
【0058】
[0060]ある特定の実施形態では、方法は、AAV結合抗体の力価を、プロセッサーを用いて計算し、前記力価はレポータートランス遺伝子発現の約50%又はそれよりも多い阻害をもたらす生体試料の最小の希釈度に対応し、プロセッサーは、レポータートランス遺伝子発現の約50%若しくはそれよりも多い阻害をもたらす最小の希釈度が約1対5よりも大きい若しくは等しい場合には、力価は式S/MAXにより決定され、又はレポータートランス遺伝子発現力価の約50%若しくはそれよりも多い阻害をもたらす最小の希釈度が約1対5よりも小さい場合は、力価は式S/S.EVにより決定されるように設定されており、及び任意選択で、力価のインディケーションを、プロセッサーを用いて、表示するために出力する、ステップ(s)又は(t)をさらに含んでもよい。
【0059】
[0061]ある特定の実施形態では、方法は、AAV結合抗体の力価を、プロセッサーを用いて計算し、前記力価はレポータートランス遺伝子発現の約50%又はそれよりも多い阻害をもたらす生体試料の最小の希釈度に対応し、プロセッサーは、レポータートランス遺伝子発現の約50%若しくはそれよりも多い阻害をもたらす最小の希釈度が約1対5よりも大きい若しくは等しい場合には、力価は式100-[[(S-MIN)/(MAX-MIN)]×100]により決定され、又はレポータートランス遺伝子発現力価の約50%若しくはそれよりも多い阻害をもたらす最小の希釈度が約1対5よりも小さい場合は、力価は式100-[[(S-MIN)/(S.EV-MIN)]×100]により決定されるように設定されており、及び任意選択で、力価のインディケーションを、プロセッサーを用いて、表示するために出力する、ステップ(t)をさらに含んでもよい。
【0060】
[0062]ある特定の実施形態では、方法は、感染性組換えAAV粒子(a)を提供するステップと;前記感染性組換えAAV粒子に感染することができる細胞を提供するステップと;空のカプシドAAV粒子を提供するステップと;前記細胞を提供された空のカプシドAAV粒子に、接触コンポーネントを用いて接触させるステップと;空のカプシドAAV粒子に接触させた前記細胞を、(b)の細胞が(a)の感染性組換えAAV粒子により形質導入され、レポータートランス遺伝子が前記細胞により発現される条件下で(a)の感染性組換えAAV粒子に、接触コンポーネントを用いて接触させるステップと;レポータートランス遺伝子の発現を、測定コンポーネントを用いて測定し、レポータートランス遺伝子発現の量を反映するMAX.EVと表示される値を、プロセッサーを用いて割り当て、非一時的電子記憶装置にMAX.EVと表示された値を、プロセッサーを用いて保存するステップとをさらに含む。
【0061】
[0063]ある特定の実施形態では、方法は、S/Nと表示され、S/NはMAX/MINに等しいシグナル対ノイズ比を、プロセッサーを用いて計算するステップと;非一時的電子記憶装置にS/Nを、プロセッサーを用いて保存するステップと;任意選択で、S/Nのインディケーションを、プロセッサーを用いて、表示するために出力するステップをさらに含む。
【0062】
[0064]ある特定の実施形態では、方法は、パーセント変動係数(%CV)、%CV=(標準偏差/平均)×100%、を、プロセッサーを用いて計算するステップと、非一時的電子記憶装置に%CVを、プロセッサーを用いて保存するステップと、任意選択で%CVのインディケーションを、プロセッサーを用いて、表示するために出力するステップとをさらに含む。
【0063】
[0065]ある特定の実施形態では、方法は、EV干渉、EV干渉=MAX/MAX.EVを、プロセッサーを用いて計算するステップと、非一時的電子記憶装置にEV干渉を、プロセッサーを用いて保存するステップと、任意選択でEV干渉のインディケーションを、プロセッサーを用いて、表示するために出力するステップとをさらに含む。
【0064】
[0066]ある特定の実施形態では、方法は、MAX若しくはMAX-MINと相対的な、レポータートランス遺伝子発現の前もって選択された量を提供する希釈度の発現測定値に基づいてHQC、及び/又は空のカプシドAAV粒子の存在下でMAX若しくはMAX-MINと相対的な、レポータートランス遺伝子発現の前もって選択された量を提供するステップ(a)の希釈を含む制御条件下で前記レポータートランス遺伝子の発現に基づいてHQC EV及び/又はHQC EV/HQCを、プロセッサーを用いて計算するステップと、非一時的電子記憶装置にHQC及び/又はHQC EV及び/又はHQC EV/HQCを、プロセッサーを用いて保存するステップと、任意選択で、HQC及び/又はHQC EV及び/又はHQC EV/HQCのインディケーションを、プロセッサーを用いて、表示するために出力するステップとをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1A】
図1Aは、健康なドナー(HD;いかなる既知の疾患にも罹っていない正常人)試料の27%が、これらの試料中でAAV NAb力価の不正確な推定値をもたらすエンハンサー(E)を有していたことを示す。HDの49%が>1対40 AAV NAb力価を有し、HDの14%が1対1~1対20 AAV NAb力価を有し、HDの10%がAAV NAbに陰性であることも示す。
【
図1B】
図1Bは、エンハンサーの存在下では、AAV NAb力価を計算しても不正確であることを示す。「BAb」=AAV結合抗体
【
図2】
図2は、空のカプシドAAV粒子(EV)を使用する血清中のAAV NAbの検出を示す。
【
図3】
図3A~3Eは、空のカプシドAAV粒子(EV)と一緒のプレインキュベーションを使用しての2日アッセイの結果を示す。X軸力価は1対1、1対2.5、1対5、1対10、1対100、及び1対1000。A)NAb
+(1対10);B)NAb
-(<1対1);C)NAb
-(<1対1)、エンハンサー;D)NAb
-(<1対1)、インヒビター、偽陽性;E)NAb
+(1対1)、エンハンサー、偽陰性。
【
図4】
図4は、AAV NAb力価計算のための決定樹を示す。
【
図5A】
図5Aは、%阻害(MAX)を計算するための代表的な式を示す。MIN=バックグラウンド
【
図5B】
図5Bは、%阻害(SEV)を計算するための代表的な式を示す。MIN=バックグラウンド
【
図6A】
図6Aは、AAV NAb力価計算の例を示す。試験試料希釈度に従ってAAV NAb力価を割り当てるための決定樹。
【
図6B】
図6Bは、AAV NAb力価計算の例を示す。-試料
【
図6C】
図6Cは、AAV NAb力価計算の例を示す。低いNAb力価
【
図6D】
図6Dは、AAV NAb力価計算の例を示す。試料中にエンハンサー
【
図6E】
図6Dは、AAV NAb力価計算の例を示す。高いNAb力価
【
図7】
図7は、例示的アッセイプレートレイアウトを示す。
【
図8A】
図8Aは、アッセイ基準(1)を示す。シグナル対ノイズ比(S/N)
【
図11】
図11は、中和プレートへの希釈された試料の例示的移動を示す。
【
図12】
図12は、中和プレートへのFBSの例示的添加を示す(ウェル:MIN=2B;S=4B~4G;S.EV=5B~5G;FACT=3B~3D;FACT.EV=3E、3F;MAX=2G;及びMAX.EV=3G)。
【
図13A】
図13Aは、中和プレートへの空のカプシドAAV粒子(EV)の例示的添加を示す(ウェル:MIN=2B;S=4B~4G;S.EV=5B~5G;FACT=3B~3D;FACT.EV=3E、3F;MAX=2G;及びMAX.EV=3G)。
【
図13B】
図13Bは、中和プレートへのDMEM培地の例示的添加を示す(ウェル:MIN=2B;S=4B~4G;S.EV=5B~5G;FACT=3B~3D;FACT.EV=3E、3F;MAX=2G;及びMAX.EV=3G)。
【
図14】
図14は、中和プレートへのAAVレポーターベクターの例示的添加を示す(ウェル:MIN=2B;S=4B~4G;S.EV=5B~5G;FACT=3B~3D;FACT.EV=3E、3F;MAX=2G;及びMAX.EV=3G)。
【
図15】
図15は、中和プレートから形質導入プレートへの対照及び試料の移動を示す(ウェル:MIN=2B~2D;S=2E~2G;S.EV=9B~9G、10B~10G及び11B~11G;FACT=3B~3D、4B~4D及び5B~5D;FACT.EV=3E、3F、4E、4F、5E及び5F;MAX=2E~2G;及びMAX.EV=3G、4G及び5G)。
【
図16】
図16は、サイトメガロウイルス(CMV)初期エンハンサーエレメント(「C」)、ニワトリベータアクチン遺伝子の第1のエキソン及び第1のイントロン(「A」)、並びにウサギベータグロビン遺伝子のスプライスアクセプター(「G」)で構成されているCAGプロモーター配列(配列番号3)の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
[0086]AAVベクター形質導入のエンハンサー及びインヒビターの検出のための方法並びにAAVベクター細胞形質導入を阻害する、低減する又は減少させる、その他の点では中和抗体(NAb)として知られるAAV結合抗体を検出する及び/又は定量化するための方法が本明細書で開示される。本発明に従った方法は、レポーターベクター(レポータートランス遺伝子を保有するAAV粒子)を用いたAAV許容的細胞株の形質導入に一部頼っている。本発明に従った方法は、対象由来の試料中の大多数の又はすべてのAAV結合抗体を吸収し、それによってAAV NAbについて分析される試料中のAAVベクター細胞形質導入のエンハンサー又はインヒビターの存在を、もしあれば、明らかにする空のカプシドAAV粒子の使用にも一部頼っている。本発明に従った方法は、とりわけ、エンハンサー又はインヒビターの存在がそれぞれ偽陰性及び偽陽性をもたらすことがある、対象由来の試料中のAAV NAb力価をもっと正確に決定するのに使用してもよい。
【0067】
[0087]ある特定の実施形態では、本発明に従ったアッセイ方法でのある特定のステップは最適化される。ある特定の実施形態では、アッセイ完了時間が低減される。ある特定の実施形態では、アッセイ変動性が低減される及び/又はマトリックス干渉が低減される。特に、例えば、従来のNAbアッセイ(Melianiら、2015年、Human Gene TherapyMethods、26:45~53頁、doi:10.1089/hgtb.2015.037)と比べると、本発明に従ったアッセイ方法は、3日どころか約2日内に実施することができ、アッセイ内変動性は、3通りの処置の変動係数(%CV)により評価すると、30.5%から8.7%まで低減され、アッセイのアッセイ内精度評価は、品質管理試料について12.5%の%CVを明らかにした。
【0068】
[0088]本発明に従った方法は、種々の状況においてAAVベクター細胞形質導入を阻害する、低減する又は減少させるAAV結合抗体(AAV中和抗体(NAb))を検出する又は定量化するのに使用することができる能率的で信頼性が高くより正確なアッセイを提供する。例えば、ある特定の実施形態では、アッセイを使用すれば、AAV NAbについて分析する、これを検出する又は定量化して、遺伝子治療処置を受ける対象を選択する又は遺伝子治療処置から対象を除外するのを支援することができる。ある特定の実施形態では、アッセイを使用すれば、遺伝子治療試験を受ける対象を選択する又は遺伝子治療試験への算入から対象を除外するためにAAV NAbについて分析する、これを検出する又は定量化することができる。ある特定の実施形態では、アッセイを使用すれば、遺伝子治療処置を受けた後の抗AAV抗体の発生について対象をモニターするためにAAV NAbについて分析する、これを検出する又は定量化することができる。ある特定の実施形態では、アッセイを使用すれば、AAV NAbの量を低減する必要がある又はこれを低減するための処置を受けている場合がある対象においてAAV NAbをモニターするためにAAV NAbについて分析する、これを検出する又は定量化することができる。
【0069】
[0089]ある特定の実施形態では、対象由来の生体試料中でAAVベクター細胞形質導入を阻害する、低減する又は減少させるAAV結合抗体について分析する、これを検出する又は定量化するための方法。
【0070】
[0090]ある特定の実施形態では、対象由来の生体試料中でAAVベクター細胞形質導入を阻害する、低減する又は減少させるAAV中和抗体について分析する、これを検出する又は定量化するための方法。
【0071】
[0091]アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、とりわけ、ヒト等の霊長類に感染するウイルスベクターである。
【0072】
[0092]本明細書で使用される場合、限定せずに、組換えAAV(rAAV)ベクター等のウイルスベクターの修飾語句、並びに、組換えポリヌクレオチド及びポリペプチド等の配列の修飾語句としての用語「組換え」は、組成物が、一般には自然界では起こらない方法でマニピュレートされている(すなわち、操作されている)ことを意味する。組換えAAVベクターの特定の例は、通常であれば野生型AAVゲノムには存在しない核酸(異種ポリヌクレオチド)がウイルスゲノム内に挿入されている場合であると考えられる。その例は、レポータートランス遺伝子をコードする核酸(例えば、遺伝子)がベクター中にクローニングされている場合であると考えられる。用語「組換え」は、必ずしもAAVベクター、並びに、トランス遺伝子等の配列に関して本明細書で使用されているわけではないが、AAVベクター、ポリヌクレオチド、等を含む組換え型は、いかなるそのような省略にもかかわらず明白に含まれている。
【0073】
[0093]「rAAVベクター」は、例えば、野生型AAVゲノムのすべて又は一部を取り除く分子法を使用し、レポータータンパク質をコードするレポータートランス遺伝子等の非天然(異種)核酸で置き換えることにより、AAVの野生型ゲノムから導かれる。典型的には、rAAVベクターでは、AAVゲノムの逆位末端反復(ITR)配列のうちの一方又は両方は保持されている。rAAVはAAVゲノムから区別される。なぜならば、AVVゲノムのすべて又は一部が、レポータータンパク質をコードするレポータートランス遺伝子で等の、AAVゲノム核酸に関して非天然配列で置き換えられているからである。したがって、非天然(異種)配列の組込みは、AAVを「組換え」AAVベクターとして定義し、このベクターは「rAAVベクター」と呼ぶことができる。
【0074】
[0094]組換えAAVベクター配列は、エクスビボ、インビトロ又はインビボでの細胞のそれに続く感染(形質導入)のためにパッケージングされることが可能であり、本明細書では「粒子」と呼ばれる。組換えベクター配列がAAV粒子中にキャプシド形成される又はパッケージングされる場合、粒子は「rAAV」、「rAAV粒子」及び/又は「rAAVビリオン」と呼ぶこともできる。そのようなrAAV、rAAV粒子及びrAAVビリオンは、ベクターゲノムをキャプシド形成する又はパッケージングするタンパク質を含む。特定の例は、AAVの場合、カプシドタンパク質を含む。
【0075】
[0095]本明細書で使用される場合、「感染性組換えAAV粒子(複数可)」とは、エクスビボ、インビトロ又はインビボで細胞に感染する又は形質導入することができるパッケージングされた組換えAAVベクター配列のことである。本明細書で使用される場合、「感染することができる細胞(複数可)」とは、感染性組換えAAV粒子による感染又は形質導入に受容性である細胞のことである。ある特定の実施形態では、本発明の方法は、感染性rAAV粒子がインビトロで感染することができる細胞を使用する。
【0076】
[0096]「ベクターゲノム」、これは「vg」と略記されることもあるが、組換えプラスミド配列のうち、最終的にパッケージングされ又はキャプシド形成されてrAAV粒子を形成する部分のことである。組換えプラスミドを使用して組換えAAVベクターを構築する又は製造する場合には、AAVベクターゲノムは、「プラスミド」のうち、組換えプラスミドのベクターゲノム配列に対応しない部分は含まない。組換えプラスミドのこの非ベクターゲノム部分は「プラスミド骨格」と呼ばれ、これは、増殖及び組換えAAVベクター作製に必要な工程である、プラスミドのクローニング及び増幅にとり重要であるが、それ自体はrAAV粒子中にパッケージングもキャプシド形成もされない。したがって、「ベクターゲノム」とは、rAAVによりパッケージングされる又はキャプシド形成される核酸のことである。
【0077】
[0097]空のカプシドAAV粒子(EV)又は空のベクター(EV)とは、ベクターゲノムを欠くAAV粒子のことである。空のカプシドAAV粒子は、AAVベクター細胞形質導入のエンハンサー又はAAVベクター細胞形質導入のインヒビターについて分析する又はそれらの存在を検出するために、AAV結合抗体を吸収する(に結合する)のに有用である。空のカプシドAAV粒子は、比較的低力価(例えば、約1対5未満)でAAV NAb力価を定量化するのにも有用である。
【0078】
[0098]本明細書で使用される場合、AAVベクターに関して用語「血清型」とは、血清学的に他のAAV血清型とははっきり異なるカプシドを意味する。血清学的特殊性は、別のAAVと比べた場合の1つのAAVに対する抗体間の交差反応性の欠如に基づいて決定される。交差反応性の違いは通常、カプシドタンパク質配列/抗原決定基の違いのせいである(例えば、AAV血清型のVP1、VP2、及び/又はVP3配列の違いのせいである)。1つのAAVカプシド血清型に対する抗体は、カプシドタンパク質配列の相同性又は類似する若しくは同一の立体構造エピトープのせいで1つ又は複数の他のAAVカプシド血清型と交差反応する場合がある。
【0079】
[0099]従来の定義の下では、血清型は、目的のウイルスが、すべての既存の中和活性について特徴付けられた血清型に特有の血清に対して試験されており、目的のウイルスを中和する抗体は見つかっていないことを意味する。より多くの天然に存在するウイルス分離株が発見される及び/又はカプシド変異体が作製されるに従って、現存する血清型のいずれとも血清学的違いがある場合もあればない場合もある。したがって、新しいウイルス(例えば、AAV)が血清学的違いを持たない場合には、この新しいウイルス(例えば、AAV)は対応する血清型のサブグループ又はバリアントであると考えられる。多くの場合、中和活性についての血清学的試験は、カプシド配列改変を有する変異ウイルスで、それが血清型の従来の定義に従って別の血清型であるかどうかを判定するためにまだ実施されていない。したがって、便宜上及び繰り返しを避けるため、用語「血清型」とは広く、血清学的にはっきり異なっているウイルス(例えば、AAV)、並びに、血清学的にはっきり異なってはおらず、所与の血清型のサブグループ又はバリアント内にある可能性のあるウイルス(例えば、AAV)の両方のことである。
【0080】
[0100]rAAVベクター及び空のカプシドAAV粒子は、いかなるウイルス株又は血清型でも含む。例えば、限定せずに、AAVベクターゲノム又は粒子(VP1、VP2及び/又はVP3等のカプシド)は、例えば、AAV-1、-2、-3、-4、-5、-6、-7、-8、-9、-10、-11、-12、-rh74、-rh10、AA3B又はAAV-2i8等のいかなるAAV血清型にでも基づくことが可能である。そのようなベクター及び空のカプシドAAV粒子は、同じ株若しくは血清型(又はサブグループ若しくはバリアント)に基づいている又は互いに異なっていることが可能である。例えば、限定せずに、1つの血清型ゲノムに基づいているrAAVベクターゲノム又は粒子(カプシド)は、ベクターをパッケージングするカプシドタンパク質のうちの1つ又は複数と同一であることが可能である。さらに、rAAVベクターゲノムは、ベクターゲノムをパッケージングするカプシドタンパク質のうちの1つ又は複数とははっきり異なっているAAV血清型ゲノムに基づくことが可能であり、その場合、3つのカプシドタンパク質のうちの少なくとも1つは異なるAAV血清型、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、-rh74、-rh10、AAV3B、AAV-2i8、SPK1(配列番号1)、SPK2(配列番号2)、又は、例えば、それらのバリアントである可能性がある。さらに具体的には、rAAVベクターゲノムは、AAV2 ITR、しかし、AAV1、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、-rh74、-rh10、AAV3B、AAV-2i8、SPK1(配列番号1)、SPK2(配列番号2)、又は、例えば、それらのバリアント等の異なる血清型由来のカプシドを含むことができる。したがって、rAAVベクターは、特定の血清型に特徴的な遺伝子/タンパク質配列と同一の遺伝子/タンパク質配列、並びに、「混合」血清型を含み、それを「偽型」と呼ぶこともできる。
【0081】
[0101]ある特定の実施形態では、レポーターを含むAAVベクターは、空のカプシドAAV粒子のカプシド血清型と同一のカプシド血清型を有する。しかし、空のカプシドAAV粒子が、例えば、交差反応性のせいで、レポーターを含むAAVベクターに結合する抗体を吸収する(これに結合する)ことができさえすれば、空のカプシドAAV粒子のカプシド血清型は、レポーターを含むAAVベクターのカプシド血清型と同じ血清型である必要はない。
【0082】
[0102]ある特定の実施形態では、rAAVベクター又は空のカプシドAAV粒子は、1つ又は複数のAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、-rh74、-rh10、AAV3B、AAV-2i8、SPK1(配列番号1)、SPK2(配列番号2)カプシドタンパク質(VP1、VP2、及び/又はVP3配列)に少なくとも70%又はそれよりも多く(例えば、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、等)同一であるカプシド配列を含む又はからなる。ある特定の実施形態では、rAAVベクターは、1つ又は複数のAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、-rh74、-rh10 ITR(複数可)に少なくとも70%又はそれよりも多く(例えば、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、等)同一である配列を含む又はからなる。
【0083】
[0103]ある特定の実施形態では、rAAVベクター又は空のカプシドAAV粒子は、例えば、国際公開第2013/158879号(国際出願PCT/US2013/037170)、国際公開第2015/013313号(国際出願PCT/US2014/047670)、及び米国特許出願公開第2013/0059732号(米国特許仮出願第13/594,773号)に示される、そのAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、Rh10、Rh74、AAV3B及びAAV-2i8バリアント(例えば、rAAVベクターの文脈でのアミノ酸挿入、付加、置換及び欠失並びにITRヌクレオチド挿入、付加、置換及び欠失等のカプシドバリアント)を含む。
【0084】
[0104]AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、-rh74、-rh10、AAV3B、AAV-2i8、SPK1(配列番号1)、SPK2(配列番号2)並びにバリアント、ハイブリッド及びキメラ配列等のrAAV及び空のカプシドAAV粒子は、5’及び/又は3’末端で1つ又は複数の機能的AAV ITR配列に隣接している1つ又は複数の異種ポリヌクレオチド配列(トランス遺伝子)を含むように、当業者に公知である組換え技法を使用して構築することができる。rAAVベクターは典型的には、組換えベクターの救出、複製、及びrAAVベクター粒子内へのパッケージングに必要な少なくとも1つの機能的フランキングITR配列(複数可)を保持する。したがって、rAAVベクターゲノムは、複製及びパッケージングにシスで必要な配列(例えば、機能的ITR配列)を含むと考えられる。
【0085】
[0105]ある特定の実施形態では、AAVベクターを使用して、標的細胞をレポータートランス遺伝子で形質導入し、このトランス遺伝子はそれに続いて転写され、任意選択で、翻訳され、それによってトランス遺伝子発現を検出する又は定量化するための検出可能なシグナルを発する。シグナルの量は、細胞形質導入及びそれに続く発現の効率に比例する。レポータートランス遺伝子をパッケージング若しくはキャプシド形成するベクタータンパク質に結合する抗体又はインヒビター因子は、ベクター細胞形質導入、それに続くレポーター発現及び、したがって、検出可能なシグナルの量を阻害する、低減する又は減少させることになる。
【0086】
[0106]抗体についての分析、抗体の検出、及び定量化のための本明細書に記載されるアッセイでは、レポータートランス遺伝子をパッケージング又はキャプシド形成する特定のカプシドタンパク質(複数可)血清型の選択を使用すれば、NAbが結合する血清型(複数可)を同定することができる。例えば、AAV-2抗体を検出するのが望まれる場合、レポータートランス遺伝子はAAV-2カプシドタンパク質(複数可)によりキャプシド形成することができる。AAV-8抗体を検出するのが望まれる場合、レポータートランス遺伝子はAAV-8カプシドタンパク質(複数可)によりキャプシド形成することができる。AAV-9抗体を検出するのが望まれる場合、レポータートランス遺伝子はAAV-9カプシドタンパク質(複数可)によりキャプシド形成することができる。抗体が存在する場合、抗体はレポータートランス遺伝子をキャプシド形成するカプシドタンパク質(複数可)に結合し、ベクター細胞形質導入及び結果として起こるレポータートランス遺伝子発現を阻害する、低減する又は減少させる。エンベロープ又はカプシドタンパク質(複数可)に結合する抗体の量又は力価が大きくなるにしたがって、細胞のベクター形質導入及び結果として起こるレポータートランス遺伝子発現及びシグナルは少なくなる。したがって、ウイルス(例えば、AAV)カプシドタンパク質等のベクタータンパク質に結合する抗体について分析する、抗体を検出する、及び定量化するための本明細書の方法を使用すれば、任意の特定のAAVカプシド血清型に結合する抗体の存在又は非存在を確認することもできる。
【0087】
[0107]用語「核酸」及び「ポリヌクレオチド」とは、本明細書では互換的に使用され、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)を含む、あらゆる形態の核酸、オリゴヌクレオチドのことである。核酸は、ゲノムDNA、cDNA及びアンチセンスDNA、並びにスプライスされた若しくはスプライスされていないmRNA、rRNA、tRNA並びに抑制DNA又はRNA(RNAi、例えば、低分子若しくは低分子ヘアピン型(sh)RNA、マイクロRNA(miRNA)、低分子若しくは低分子干渉(si)RNA、トランススプライシングRNA、又はアンチセンスRNA)を含む。
【0088】
[0108]核酸は、天然に存在する、合成、及び意図的に改変された又は変更されたポリヌクレオチドを含む。核酸は、一本鎖、二本鎖、又は三本鎖、線形又は環状が可能であり、いかなる長さでも可能である。核酸を議論する際には、特定のポリヌクレオチドの配列又は構造は、5’から3’方向に配列を与える慣習に従って本明細書では記載する場合がある。
【0089】
[0109]「異種」トランス遺伝子又は核酸とは、細胞中へのポリヌクレオチドのベクター媒介移入/送達を目的にベクター(例えば、AAV)中へ挿入されたポリヌクレオチドのことである。異種トランス遺伝子はベクター(例えば、AAV)核酸とははっきり異なっており、すなわち、ウイルス(例えば、AAV)核酸配列に関して非天然である。細胞中に移入され/送達された後は、異種トランス遺伝子を、ビリオン内に含まれるが、発現することができる(例えば、転写され、必要な場合には翻訳される)。用語「異種の」は、必ずしもトランス遺伝子又は核酸に関連して本明細書で使用されるわけではないが、修飾語句「異種の」がない場合でもトランス遺伝子又は核酸への言及は、省略にもかかわらず異種トランス遺伝子及び核酸を含むことが意図されている。
【0090】
[0110]本明細書で使用される場合、「レポーター」トランス遺伝子は、検出可能なシグナルを出すポリヌクレオチドである。検出可能なシグナルは、レポータートランス遺伝子それ自体、トランス遺伝子の転写物又はレポータートランス遺伝子によりコードされるタンパク質により出されてもよい。
【0091】
[0111]本明細書に開示されるレポータートランス遺伝子及びコードされたタンパク質の限定しない例を含むトランス遺伝子のすべての哺乳動物型及び非哺乳動物型が、既知のものであれ未知のものであれ、明らかに含まれる。したがって、本発明に従った方法は、微生物及び他の生物由来のレポータートランス遺伝子及びタンパク質を含み、そのレポータートランス遺伝子及びタンパク質は、本明細書に記載される形質導入又は移入後細胞において検出可能である。
【0092】
[0112]ある特定の実施形態では、レポータートランス遺伝子は分泌される又は分泌可能なタンパク質をコードする。ある特定の実施形態では、レポータートランス遺伝子は、酵素的、比色分析的、蛍光、発光、化学発光、又は電気化学的シグナルを出すタンパク質をコードする。
【0093】
[0113]例えば、限定せずに、レポータートランス遺伝子は、ルシフェラーゼタンパク質をコードするルシフェラーゼ遺伝子、例えば、限定せずに、ウミシイタケ(Renilla)ルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼ、ガウシア(Gaussia)ルシフェラーゼ遺伝子を含む。
【0094】
[0114]例えば、限定せずに、レポータートランス遺伝子は、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、クロラムフェニコールトランスフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)及びアルカリホスファターゼをコードしてもよい。
【0095】
[0115]「トランス遺伝子」によりコードされる「ポリペプチド」、「タンパク質」及び「ペプチド」は、天然に存在するタンパク質の場合と同様に、完全長天然配列を、並びに、部分配列改変型又はバリアントが天然の完全長タンパク質のある程度の機能性を保持してさえいれば、機能的部分配列改変型又は配列バリアントを含む。本発明では、トランス遺伝子によりコードされるそのようなポリペプチド、タンパク質及びペプチドは、野生型タンパク質と同一であることが可能であるが、同一であることを必要としない。
【0096】
[0116]ある特定の実施形態では、レポータートランス遺伝子(トランス遺伝子は検出可能なシグナルを出す)は、一本鎖又は自己相補的ゲノムを含むことができる。自己相補的トランス遺伝子は、ウイルス粒子(例えば、AAVベクター)中にパッケージングされると、又はウイルスベクター細胞形質導入、及び形質導入された細胞内でのウイルス脱穀が起きると、二本鎖になる又は二本鎖ダイマーになる。
【0097】
[0117]トランス遺伝子等の核酸に関連して使用される場合の用語「相補的な」又は「相補体」とは、塩基対合を通じて、1つの一本鎖配列が別の一本鎖配列と「特異的にハイブリダイズする」若しくは結合する(アニールする)又はこれをすることができて二本鎖又は二重鎖分子を形成するような複数の化学塩基のことである。2つの一本鎖配列が互いに特異的にハイブリダイズする又は結合して(アニールして)二本鎖(又は二重鎖)分子を形成する能力は、1つの鎖(例えば、センス)上の塩基の官能基のせいであり、これは反対の核酸鎖(例えば、アンチセンス)上の別の塩基と水素結合する。互いに結合することができる相補的塩基は典型的には、DNAでは、AとT及びCとG、RNAではCとG、及びUとAである。したがって、自己相補的配列の例は、ATCGXXXCGATが可能と考えられ、Xは非相補的塩基を表し、ハイブリダイズしないX塩基を有するそのような二本鎖又は二重鎖分子の構造は以下のようになると考えられる。
【0098】
【0099】
[0118]トランス遺伝子等のポリヌクレオチド又は核酸に関連して使用される場合の用語「相補的な」又は「相補体」とは、したがって、二本鎖若しくは二重鎖ポリヌクレオチド若しくは核酸分子が形成される物理的状態を記述することが意図されている、又はそれぞれの一本鎖分子がもう一方と二本鎖を形成することができると考えられるような2つのポリヌクレオチド若しくは核酸分子間の配列関係を記述するだけである。したがって、「相補的な」又は「相補体」とは、それぞれのポリヌクレオチド又は核酸分子鎖の塩基の関係のことであり、2つの鎖が二本鎖(又は二重鎖)立体配置又は二重鎖における互いの物理的状態として存在しなければならないということではない。
【0100】
[0119]典型的には、AAV等の一本鎖核酸をパッケージングするウイルスベクターでは、逆位末端反復(ITR)配列が複製に関与してヘアピンループを形成し、このループが第2のDNA鎖の開始及び合成を可能にする自己プライミングに寄与する。第2のDNA鎖の合成後、AAV ITRはいわゆる末端分離部位(TRS)を有し、そのためヘアピンループは、それぞれがウイルスパッケージングのための5’及び3’末端反復を有する2つの一本鎖に切断される。
【0101】
[0120]少なくとも1つのITRで欠失した、突然変異した、改変した又は非機能的TRSを使用すれば、TRSで切断されない二本鎖デュプレックスが形成される。自己相補的レポータートランス遺伝子二本鎖デュプレックス構造体では、典型的には、欠失した、突然変異した、又はバリアントTRSを有するITRが2つの相補鎖間に位置している。切断可能でない又は分解可能でないTRSでは、二本鎖型は切断されないので、自己相補的レポータートランス遺伝子二本鎖デュプレックス構造形成が可能である。欠失した、突然変異した、又はバリアントTRSを有する分解可能でないITR、又は分離可能なITRのいずれかがウイルスパッケージングに適している場合がある。分離可能なAAV ITRは、ITRが所望の機能、例えば、パッケージング、自己プライミング、複製、等を媒介しさえすれば、野生型ITR配列である必要はない。
【0102】
[0121]欠失している、突然変異している、改変されている、又は変化している場合がある種々のAAV血清型のITR及びTRS配列は、本明細書に示される又は当業者には公知であると考えられるいかなるAAV血清型でも含む。例えば、限定せずに、種々のAAV血清型のITR及びTRS配列は、AAV-1、-2、-3、-4、-5、-6、-7、-8、-9、-10、-11、-rh74、-rh10を含む。別の例は、AAV Repタンパク質によりプロセシングされていない改変又はバリアントAAV ITRである。別の例は、欠失したD配列を有する突然変異した、改変された若しくはバリアントAAV ITR及び/又は突然変異した、改変された若しくはバリアント末端分離部位(TRS)配列である。AAV2では、代表的な突然変異したTRS配列は「CGGTTG」である。
【0103】
[0122]1つ又は複数のITR、発現調節配列、下流配列、等等の外側に位置する自己相補的レポータートランス遺伝子配列では、レポータートランス遺伝子の外側のベクター配列のそのような配列は、自己相補的であることは可能であるが、その必要はない。したがって、自己相補的は、例えば、レポータートランス遺伝子等のトランス遺伝子に関連して、レポータートランス遺伝子等のトランス遺伝子だけが自己相補的であり、その他の非トランス遺伝子配列は自己相補的でもよいが、その必要がないような、特定の文脈で使用することができる。
【0104】
[0123]自己相補的であるためには、一本鎖のすべての塩基が反対の相補鎖の各々のすべての塩基に相補的でなければならないわけではない。2つのポリヌクレオチド又は核酸分子が互いに特異的にハイブリダイズする又は結合する(アニールする)ことができるようにするだけの数の相補的ヌクレオチド又はヌクレオシド塩基が存在するだけでよい。したがって、自己相補的ポリヌクレオチド又は核酸分子の間には非相補的塩基の短い配列セグメント又は領域が存在してもよい。例えば、限定せずに、1~5、5~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~75、75~100、又は100~150又はそれよりも多い連続する又は非連続非相補的塩基が存在してもよいが、2つのポリヌクレオチド又は核酸分子が互いに特異的にハイブリダイズする又は結合して(アニールして)二本鎖(又は二重鎖)配列を形成することができるように、2つの配列の長さにわたって十分な相補的塩基が存在してもよい。したがって、2つの一本鎖領域の配列は互いに相補性が100%未満であり、それでもまだ二本鎖デュプレックス分子を形成することができてもよい。ある特定の実施形態では、2つの一本鎖配列は、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又はそれよりも多い互いに対する相補性を有する。
【0105】
[0124]自己相補的ポリヌクレオチド又は核酸分子間の非相補的塩基のそのようなセグメント又は領域は、2つの一本鎖分子の相補的な部分が二本鎖又は二重鎖を形成する場合、非相補的塩基はループ又はバルジ立体配置を形成し、全体構造はヘアピンに類似するように、内部配列であることが可能である。自己相補的ポリヌクレオチド又は核酸分子間の非相補的塩基のそのようなセグメント又は領域は、相補的領域に隣接することも可能であり、その場合、5’又は3’フランキング領域のどちらか又は両方が二本鎖デュプレックスを形成しなくてもよい。
【0106】
[0125]トランス遺伝子を有する細胞では、トランス遺伝子は、ウイルスベクター(例えば、AAV)等のベクター経由で導入/移入されている。このプロセスは、細胞の「形質導入」又は「トランスフェクション」と呼ばれる。用語「形質導入する」及び「トランスフェクトする」とは、トランス遺伝子等の分子を細胞中に導入することである。
【0107】
[0126]トランス遺伝子が導入されている細胞は、「形質導入された」又は「トランスフェクトされた」細胞と呼ばれる。したがって、「形質導入された」又は「トランスフェクトされた」細胞とは、ポリヌクレオチド(例えば、トランス遺伝子を含むAAVベクター)等の外来性分子の細胞中への取り込みに続く細胞の変化を意味する。したがって、「形質導入された」又は「トランスフェクトされた」細胞は、例えば、外来性分子が導入されている細胞、又はその子孫である。細胞(複数可)は増殖することができ、導入されたトランス遺伝子は転写される及び/又はタンパク質発現することができる。
【0108】
[0127]トランス遺伝子を保有するベクター(例えば、ウイルスベクター)を用いた形質導入のための標的となり得る細胞は、感染しやすい又はベクターに感染することができるいかなる細胞でもよい。そのような細胞は哺乳動物細胞を含む。そのような細胞は感染に対して低い、中程度の又は高い感受性率を有する場合がある。したがって、標的細胞は、いかなる組織又は器官型の、いかなる起源(例えば、中胚葉、外胚葉又は内胚葉)の細胞でも含む。感染することができ、本発明に従った方法で使用し得る細胞の例は、例えば、限定せずに、肝臓(例えば、肝細胞、類洞内皮細胞)、膵臓(例えば、ベータ膵島細胞)、肺、脳(例えば、神経、グリア又は上衣細胞)若しくは脊椎等の中枢若しくは末梢神経系、腎臓(HEK-293細胞)、眼(例えば、網膜、細胞成分)、脾臓、皮膚、胸腺、精巣、肺、横隔膜、心臓(心臓性)、筋肉若しくは腰筋、又は腸(例えば、内分泌)、脂肪組織(白色、褐色又はベージュ)、筋肉(例えば、線維芽細胞)、滑膜細胞、軟骨細胞、破骨細胞、上皮細胞、内皮細胞、唾液腺細胞、内耳神経細胞又は造血(例えば、血液又はリンパ)細胞を含む。
【0109】
[0128]ある特定の実施形態では、トランス遺伝子を保有するベクター(例えば、ウイルスベクター)を用いた形質導入のための標的となり得る細胞は、凍結細胞アリコットから又は細胞バンクから播種してもよい。ある特定の実施形態では、トランス遺伝子を保有するベクター(例えば、ウイルスベクター)を用いた形質導入のための標的となり得る細胞は、培養細胞から播種してもよい。
【0110】
[0129]トランス遺伝子を保有するベクター(例えば、ウイルスベクター)を用いた形質導入のための標的となることができる細胞株の例は、例えば、限定せずに、2V6.11、HEK-293、CHO、BHK、MDCK、10T1/2、WEHI細胞、COS、BSC 1、BSC 40、BMT 10、VERO、WI38、MRC5、A549、HT1080、B-50、3T3、NIH3T3、HepG2、Saos-2、Huh7、HER、HEK、HEL、及びHeLa細胞を含む。
【0111】
[0130]ある特定の実施形態では、トランス遺伝子を保有するベクター(例えば、ウイルスベクター)を用いた形質導入のための標的となり得る細胞は、アデノウイルスからE4遺伝子を一過性に又は安定的に発現することができる。E4遺伝子発現は、AAVベクターによる効率的な細胞形質導入を保証する。
【0112】
[0131]AVVベクター及びベクター配列は、1つ又は複数の「発現制御エレメント」又は「発現調節エレメント」を含むことができる。典型的には、発現制御又は調節エレメントは、作動可能に連結されたポリヌクレオチド(例えば、トランス遺伝子)の発現に影響を及ぼす核酸配列(複数可)である。プロモーター及びエンハンサー等の本明細書で示される発現制御及び調節エレメントを含む、ベクター内に存在する制御エレメントは、適切なトランス遺伝子転写及び必要な場合には翻訳を促進するように含まれる(例えば、プロモーター、エンハンサー、イントロン用のスプライシングシグナル、mRNAのインフレーム翻訳を可能にするポリヌクレオチドの正しいリーディングフレームの維持及び停止コドン、等)。そのようなエレメントは典型的にはシスで作用するが、トランスで作用する場合もある。
【0113】
[0132]発現制御は、転写、翻訳、スプライシング、メッセージ安定性、等のレベルで成し遂げられることがある。典型的には、転写をモジュレートする発現制御エレメントは、転写されたポリヌクレオチドの5’末端(すなわち、「上流」)近くに並置されている。発現制御エレメントは、転写された配列の3’末端(すなわち、「下流」)に又は転写物内(例えば、イントロン中)に位置することも可能である。発現制御エレメントは、転写された配列から離れて(例えば、ポリヌクレオチドから100~500、500~1000、2000~5000、5000~10,000又はそれよりも多いヌクレオチド)、かなりの距離でさえ離れて位置することができる。にもかかわらず、ポリヌクレオチド長限界のせいで、AAVベクターでは、そのような発現制御エレメントは典型的にはポリヌクレオチドから1~1000ヌクレオチド内にある。
【0114】
[0133]機能的には、作動可能に連結されたトランス遺伝子の発現は、エレメントがポリヌクレオチドの転写及び、必要に応じて、転写物の翻訳をモジュレートするように、少なくとも一部はエレメントにより制御可能である。発現制御エレメントの特定の例はプロモーターであり、これは通常は転写された配列の5’に位置している。発現制御エレメントの別の例はエンハンサーであり、これは転写された配列の5’若しくは3’に、又は転写された配列内に位置することができる。
【0115】
[0134]本明細書で使用される「プロモーター」は、典型的にはトランス遺伝子に隣接して位置するDNA配列を指すことができる。プロモーターは典型的には、プロモーターが存在しない場合に発現される量と比べてトランス遺伝子から発現される量を増加させる。
【0116】
[0135]本明細書で使用される「エンハンサー」は、トランス遺伝子に隣接して位置する配列を指すことができる。エンハンサーエレメントは、典型的にはプロモーターエレメントの上流に位置しているが機能もし、DNA配列(例えば、トランス遺伝子)の下流に又は内に位置することができる。それゆえに、エンハンサーエレメントは、トランス遺伝子の100塩基対、200塩基対、又は300塩基対又はそれよりも多い塩基対上流又は下流に位置することが可能である。エンハンサーエレメントは、典型的には、プロモーターエレメントにより提供される増加した発現より多くトランス遺伝子の発現を増やす。
【0117】
[0136]本発明に従った方法で使用することができる発現調節エレメント又は発現制御エレメントの例は、例えば、限定せずに、CAG(配列番号3)、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーター/エンハンサー、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター/エンハンサー、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)プロモーター、ニワトリβアクチン(CBA)プロモーター、ホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーター、及び伸長因子-1アルファ(EF1-アルファ)プロモーターを含む。
【0118】
[0137]rAAVベクター等の、遺伝子治療法に有用である組換えウイルスベクターに結合する抗体は、「中和」抗体と呼ぶことができるが、ウイルスベクターによる細胞形質導入を低減する、阻害する又は減少させることができる。その結果、理論に縛られることはないが、細胞形質導入は低減され、阻害され又は減少され、それによってウイルスパッケージングされた異種ポリヌクレオチドの細胞中への導入及びそれに続く発現、及び、必要に応じて、それに続くタンパク質又はペプチドへの翻訳は低減される。
【0119】
[0138]液性免疫等の免疫応答は、野生型ウイルスに曝露された対象において野生型ウイルスに対して発生することがある。そのような曝露は、ウイルスベクターを用いる遺伝子治療法での処置の前でも、野生型ウイルスに基づくウイルスベクターに結合する予め存在する抗体を対象中にもたらすことができる。或いは、組換えウイルスベクターでの処置後又は野生型ウイルスへの曝露後に抗体が対象において発生する場合もある。
【0120】
[0139]生体試料は典型的には生物学的生物から得られる又はこれにより作製される。本発明に従った方法を使用して分析してもよい対象由来の生体試料の例は、例えば、限定せずに、全血、血清、血漿、同等の物及びそれらの組合せを含む。本発明に従った方法で使用してもよい対象由来の他の生体試料は、例えば、限定せずに、脳脊髄液又は単に髄液を含む。生体試料は細胞を欠く場合があり、又は細胞(例えば、赤血球、血小板及び/又はリンパ細胞)を含む場合もある。
【0121】
[0140]本発明に従った方法を使用することによる分析のために生体試料を得ることができる適切な対象は、霊長類(例えば、ヒト)等の哺乳動物、並びに非ヒト哺乳動物を含む。用語「対象」とは、動物、典型的には、ヒト、非ヒト霊長類(類人猿、テナガザル、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、マカク)、飼育動物(イヌ及びネコ)、家畜(ニワトリ及びアヒル等の家禽、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)、及び実験動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット)等の哺乳動物のことである。適切なヒト対象は、胎児、新生児、幼児、若年及び成人対象を含む。対象は、動物疾患モデル、例えば、マウス及び非ヒト霊長類等の他の動物モデルも含む。
【0122】
[0141]生体試料を本発明に従った方法を使用して分析してもよい由来となる適切な対象(例えば、ヒト)は、例えば、限定せずに、機能喪失型及び機能獲得型遺伝性疾患、障害及び欠損を有する対象も含む。したがって、対象(例えば、ヒト)は、タンパク質/酵素補充療法等の遺伝子補充又は補給療法の候補者である又はこの療法を受けている対象、さらに遺伝子ノックダウン又はノックアウト療法の候補者である又はこの療法を受けている対象(例えば、ヒト)を含む。
【0123】
[0142]本明細書で使用される遺伝子欠損に関連する用語「機能喪失型」とは、遺伝子がコードするタンパク質(すなわち、変異タンパク質)が通常、野生型タンパク質に関連している機能の部分的又は完全喪失を示す遺伝子の任意の突然変異のことである。これは、タンパク質の不十分な発現又は活性により引き起こされる又はから生じる任意の疾患、障害又は欠損を含む。
【0124】
[0143]本明細書で使用される遺伝子欠損に関連する用語「機能獲得型」とは、遺伝子がコードするタンパク質(すなわち、変異タンパク質)が、通常はタンパク質(すなわち、野生型タンパク質)に関連しない機能を獲得し、疾患又は傷害を引き起こす又はその一因となる遺伝子の任意の突然変異のことである。機能獲得型突然変異は、コードされたタンパク質の機能の変化を生じ得る遺伝子中のヌクレオチド(単数又は複数)の欠失、付加、又は置換が可能である。機能獲得型突然変異は、突然変異タンパク質の機能を変化させることができる又は他のタンパク質との相互作用を引き起こす。機能獲得型突然変異は、例えば、変更された突然変異タンパク質と正常な野生型タンパク質の相互作用により、正常な野生型タンパク質の減少を又は正常な野生型タンパク質の除去を引き起こすこともできる。機能獲得型突然変異は、異常な、常軌を逸した又は望ましくないタンパク質の発現又は活性により引き起こされる又はこれらから生じる障害又は疾患をもたらすことがある。
【0125】
[0144]生体試料を本発明に従った方法を使用して分析してもよい由来となる適切なヒト対象は、例えば、限定せずに、遺伝子治療による処置を受け入れられる遺伝性疾患又は遺伝性障害を有する対象を含む。遺伝子治療処置又は治療は、疾患又は傷害の処置のための核酸のベクター(例えば、AAVベクター等のウイルスベクター)媒介送達を含む。
【0126】
[0145]生体試料を本発明に従った方法を使用して分析してもよい由来となる適切なヒト対象は、例えば、限定せずに、肺疾患(例えば、嚢胞性線維症)、出血障害(例えば、インヒビターのある又はなしの血友病A又は血友病B)、地中海貧血病、血液障害(例えば、貧血)、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋委縮性側索硬化症(ALS)、癲癇、リソソーム蓄積症(例えば、アスパルチルグルコサミン尿症、バッテン病、遅発性小児性神経セロイドリポフスチン沈着症2型(CLN2)、シスチン症、ファブリー病、ゴーシェ病I型、II型、及びIII型、糖原病II型、ポンペ病(酸性α-グルコシダーゼ(GAA;グリコーゲンの分解を触媒する)での突然変異又はこの機能若しくは発現の喪失により引き起こされる)、GM2-ガングリオシドーシスI型(テイサックス病)、GM2-ガングリオシドーシスII型(サンドホフ病)、ムコリピドーシスI型(シアリドーシスI型及びII型)、II型(I細胞病)、III型(偽ハーラー病)及びIV型、ムコ多糖蓄積症(ハーラー病及びバリアント、ハンター、サンフィリポA型、B型、C型、D型、モルキオA型及びB型、マロトーラミー並びにスライ病)、ニーマンピック病A/B型、C1型及びC2型、並びにシンドラー病I型及びII型)、遺伝性血管性浮腫(HAE)、銅又は鉄蓄積障害(例えば、ウィルソン又はメンケス病)、リソソーム酸性リパーゼ欠損症、神経又は神経変性障害、がん、1型又は2型糖尿病、アデニシンデアミナーゼ欠損症、代謝性欠損症(例えば、糖原病)、実質臓器(例えば、脳、肝臓、腎臓、心臓)の疾患、又は伝染病ウイルス(例えば、B型肝炎及びC型肝炎、HIV、等)、細菌又は真菌病を有する対象をさらに含む。生体試料を本発明の方法に従って分析してもよい由来となる適切なヒト対象は、血液凝固障害を有する対象、例えば、限定せずに、血友病A、血友病B、いずれかの凝固因子:第VII、第VIII、第IX、第X、第XI、第V、第XII、第II、フォンウィルブランド因子の欠損症、若しくはFV/FVIII合併欠損症、地中海貧血症、ビタミンKエポキシド還元酵素C1欠損症又はガンマカルボキシラーゼ欠損症を有する対象をさらに含む。
【0127】
[0146]生体試料を本発明に従った方法を使用して分析してもよい由来となる対象は、例えば、限定せずに、治療目的で対象に送達されるタンパク質に対する抑制抗体を発生させている対象をさらに含み、例えば、限定せずに、それぞれGAA、第VIII因子、及び第IX因子を投与された、ポンペ病、血友病A、又は血友病Bを有する対象は、それぞれGAA、第VIII因子、及び第IX因子に対する抑制抗体を発生させることができる。したがって、対象は抑制抗体を持たない対象、並びに、タンパク質に対する抑制抗体を有する対象を含む。
【0128】
[0147]生体試料を本発明の方法に従って、分析してもよい由来となる適切なヒト対象は、中枢神経系(CNS)に影響を及ぼす若しくはそこに起こる疾患、又は例えば、限定せずに、アルツハイマー病、ハンチントン病、ALS、遺伝性痙攣性片麻痺、原発性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、ケネディ病、ポリグルタミンリピート病、パーキンソン病、及び、例えば、限定せずに、脊髄小脳失調症(例えば、SCA1、SCA2、SCA3、SCA6、SCA7、又はSCA17)を含むポリグルタミンリピート病等の神経変性疾患を有する対象をさらに含む。
【0129】
[0148]本発明は、包装材料及び1つ又は複数の構成成分を含む、キット等の組成物を提供する。キットは、典型的には、構成成分の説明書を含むラベル若しくは包装挿入物又は構成成分のインビトロ、インビボ、若しくはエクスビボでの使用説明を含む。キットは、そのような構成成分、例えば、組換えウイルス(例えば、rAAV)ベクター、空のカプシドAAV粒子、及び任意選択で、本発明の方法を実施するのに適した1つ又は複数の試薬のコレクションを含有することができる。
【0130】
[0149]キットとは、キットの1つ又は複数の構成成分を収納する物理的構造物のことである。包装材料は構成成分を無菌的に維持することができ、そのような目的に一般的に使用される材料(例えば、紙、波形線維、ガラス、プラスチック、ホイル、アンプル、バイアル、チューブ、等)で作ることができる。
【0131】
[0150]ラベル又は挿入物は、1つ又は複数の構成成分、含量の識別情報を含むことができる。ラベル又は挿入物は、製造業者、ロット番号、製造場所及び日付、有効期限を識別する情報を含むことができる。ラベル又は挿入物は、製造業者情報、ロット番号、及び日付を識別する情報を含むことができる。ラベル又は挿入物は、キット構成成分をどう使用すればよいのかに関する情報を含むことができる。ラベル又は挿入物は、本発明の方法又は使用においてキット構成成分のうちの1つ又は複数を使用するための説明書を含むことができる。
【0132】
[0151]別段定義されなければ、本明細書で使用されるすべての専門及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者が一般的に理解しているのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法及び材料に類似する又は等しい方法及び材料は、本発明の実行又は試験において使用することができるが、適切な方法及び材料が本明細書に記載される。
【0133】
[0152]本明細書に引用されるすべての特許、特許出願、出版物、及び他の参考文献、ジェンバンク引用及びATCC引用は、参照によりその全体を組み込まれる。食い違いがある場合は、定義を含めて明細書により支配されることになる。
【0134】
[0153]本明細書で開示される特徴のすべては、いかなる組合せで組み合わせてもよい。明細書に開示されるそれぞれの特徴は、同じ、等価な、又は類似する目的を果たす代替の特徴で置き換えてもよい。したがって、別段明白に述べられなければ、開示された特徴は等価な又は類似する特徴の属の例である。
【0135】
[0154]本明細書で使用される場合、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「その(the)」は、文脈が別段はっきりと示さなければ、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「核酸」への言及は複数のそのような核酸を含み、「ベクター」への言及は複数のそのようなベクターを含み、「ウイルス」又は「粒子」への言及は複数のそのようなウイルス/粒子を含む。
【0136】
[0155]本明細書で使用される用語「約(about)」とは、根底にあるパラメータの10%以内(すなわち、プラス又はマイナス10%)の値のことである。例えば、「約1対10」とは、1.1対10.1又は0.9対9.9を意味し、約5時間は4.5時間又は5.5時間を意味する、等である。一連の値の始まりでの用語「約」はその値のそれぞれを10%で修正する。
【0137】
[0156]すべての数値又は数値範囲は、文脈が別段はっきりと示さなければ、そのような範囲内の整数及び値の分数又は範囲内の整数を含む。したがって、例証すれば、95%又はそれよりも多いへの言及は、95%、96%、97%、98%、99%、100%等、並びに95.1%、95.2%、95.3%、95.4%、95.5%、等、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、等、等を含む。したがって、その上例証すれば、「1~4」等の数値範囲への言及は、1、2、3、並びに1.1、1.2、1.3、1.4、等、等を含む。例えば、「1~4週間」は、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は28日を含む。
【0138】
[0157]さらに、「0.01~10」等の数値範囲への言及は、0.011、0.012、0.013、等、並びに、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、等、等を含む。例えば、「約0.01~約10」の範囲は、0.011、0.012、0.013、0.014、0.015、等、並びに9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、等、等を含む。
【0139】
[0158]よりも多い(大きい)又は少ない整数への言及は、それぞれ、参照数字よりも大きい又は小さいいかなる数も含む。したがって、例えば、2よりも多いへの言及は、2.1、2.2、3、3.1、3.2、4、4.1、4.2、5、5.1、5.2、等、等を含む。「2つ又はそれよりも多い」への言及は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又はそれよりも多い回数を含む。
【0140】
[0159]さらに、「1~90」等の数値範囲への言及は、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、等、並びに81、82、83、84、85、等、等を含む。例えば、「約1分~約90日の間」は、1.0分、1.1分、1.2分、1.3分、1.4分、1.5分、等、並びに1日、2日、3日、4日、5日...81日、82日、83日、84日、85日、等を含む。
【0141】
[0160]本発明は、本発明の数多くの実施形態を記載するのに肯定言語を使用して本明細書で一般に開示される。本発明は、物質又は材料、方法ステップ及び条件、プロトコール、又は手順等の特定の主題が全部又は一部排除される実施形態も特に含む。例えば、本発明のある特定の実施形態では、材料及び/又は方法ステップが排除される。したがって、本発明は、本発明が何を含まないかの点で本明細書で一般的に表されていないといえども、本発明で明白に排除されていない態様は、にもかかわらず本明細書で開示されている。
【0142】
[0161]本発明のいくつかの実施形態が説明された。にもかかわらず、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、本発明に様々な変化及び修正を加えて、本発明を種々の使用状況及び条件に適合させることができる。したがって、以下の例は、主張される本発明の範囲を説明するが決して限定しないことが意図されている。
【実施例】
【0143】
実施例1
[0162]これは、レポータートランス遺伝子としてルシフェラーゼを発現するAAVベクターを使用して血清又は血漿試料から抗AAV中和抗体(NAb)力価を決定するための例示的細胞ベースのインビトロアッセイの説明である。
【0144】
[0163]この説明は、ヒト臨床試験対象、及び遺伝子治療処置法の臨床前又は非臨床研究ヒト候補者、並びに、遺伝子治療処置を受けたことのある対象又はリスクのある若しくはAAV NAbを発生させた対象等のAAV NAbについてのモニタリング対象由来の血清及び血漿並びに他の生体試料中のAAV NAb力価を決定するのに、並びに、処置の前及び/又は後でNAbの存在又は量を決定する、及び任意選択で、AAV NAbの量を低減するのが望ましい場合にAAV NAb力価を決定するのに適用可能である。
【0145】
[0164]使用した例示的2V6.11細胞株(Mohammadiら、Nucl.Acids Res.32:2652頁(2004))は、アデノウイルス由来のE4遺伝子を安定的に発現する遺伝子改変されたヒト胎児性腎臓(HEK)293細胞株である。E4遺伝子発現は、AAVベクターによる効率的な形質導入を保証する。使用に適している他の細胞もある。
【0146】
[0165]血清試料は潜在的なAAV NAbの供給源としての役割を果たし、このAAV NAbは存在すれば、2V6.11細胞のAAVレポーターベクター形質導入を減少させ、測定されるルシフェラーゼ活性を低減する。血清試料は希釈され、例えば、限定せずに、一定範囲の希釈度(例えば、1対1、1対2.5、1対5、1対10、1対100及び1対1000)で調製され、レポーターベクターと混合され、したがって、AAV NAbは(存在すれば)AAVレポーターベクターカプシド表面に結合し、中和が起こる。
【0147】
[0166]一部のヒト、及び、したがって、その血清(又は他の生体試料)は、AAVカプシドに結合しないが、AAVベクター細胞形質導入にプラスの(細胞形質導入を増やす)又はマイナスの(細胞形質導入を減らす)影響を及ぼすことができる他の因子を含有する場合があり、本明細書では、それぞれエンハンサー及びインヒビターと呼ばれる。このように、並行して、段階希釈の血清試料は空のカプシドAAV粒子(EV)と一緒にプレインキュベートもされ、続いてAAVレポーターベクターが添加される。
【0148】
[0167]血清を空のカプシドAAV粒子(EV)と一緒にプレインキュベートすると、例えば、AAVベクター投与に先立って対象において、低力価(例えば、約1対5未満若しくはこれに等しい、又は≦1対5)、又はエンハンサー若しくはインヒビターの存在について陰性のNAb試料を分析する手段となる。これは、インヒビターの存在のせいで、偽NAb陽性対象、及び、エンハンサーの存在のせいで偽NAb陰性対象の識別を可能にする。偽NAb陽性対象は、AAVベクターベースの遺伝子治療法を手段として処置することができる。NAb力価に応じて、偽NAb陰性対象を登録する又はAAVベクターベースの遺伝子治療試験又は方法から排除することを決定してもよい。AAVベクター注入2週間後に対象から採取した臨床試料は典型的には高NAb力価(例えば、約1対5より大きい若しくはこれに等しい、又は≧1対5)を有し、空のカプシドAAV粒子(EV)を使用することはこれらの対象においてNAb力価決定に必要ではない。
【0149】
[0168]品質管理(QC)を使用すれば、アッセイの完全性及び/又は正確さを実証することもできる。例えば、AAV NAb対照は、アッセイが生体試料中のいかなるエンハンサー又はインヒビターの存在も判定するために、空のカプシドAAV粒子(EV)がAAV NAbを吸収している/これに結合していることを確かめることができる。そのような品質管理は、本明細書ではEV有効性と呼ばれる。
【0150】
[0169]AAV NAbの供給源は、AAV NAbを発現する1人又は複数の対象由来の1つ又は複数の試料を経て提供することができる。典型的には、AAV NAbは、対照中のAAV NAbの存在を確実にするためにプールされた試料由来である。しかし、PBSの溶液中等のいかなる形態のAAV NAbでも本明細書で開示される対照として機能することができる。
【0151】
[0170]2V6.11細胞は先ず96ウェルプレートにおいてAAVレポーターベクターの調製された懸濁液で形質導入され、続いて一晩インキュベートする。ルシフェラーゼ活性は発光プレート読取り機により読み取られる。全プレートについてバックグラウンド(MIN)差引き後、試料結果は、3通りのウェルで実行され、血清なしのAAVレポーターベクター単独で形質導入された細胞を含有する正の対照ウェルから生じる最大(MAX)シグナルと比較される。ルシフェラーゼ活性が約50%又はそれよりも多く阻害される血清試料の希釈度が、試料を提供する対象についてのAAV NAb力価として報告される。
【0152】
[0171]例示的研究では、試料は、血友病Aの処置についての第I/II相遺伝子治療試験に登録する前に89人のヒト対象から収集された。アッセイにより、評価された89人の対象のうち、58人(65.2%)の対象が<1対1のAAV NAb力価を有し、これは陰性と見なされ、16人(18%)の対象が≧1対1であるが1対10に等しい又はそれよりも低い力価を有し、15人(16.8%)の対象が>1対10の力価を有することが明らかにされた。
【0153】
実施例2
【0154】
【0155】
【0156】
実施例3
材料及び機器
[0172]細胞は2V6.11細胞株(Mohammadiら、Nucl.Acids Res.32:2652頁(2004))であり、これはアデノウイルスE4遺伝子を安定的に発現するヒト胎児性腎臓(HEK)細胞株である。マスター、ワーキング、及びアッセイレディー細胞バンクを作製する。「細胞バンク」アリコート、1e7/mLは液体窒素に保存する。
【0157】
【0158】
実施例4
試薬調製
試薬容積は必要に応じて調整してよい。
【0159】
[0173]50mLの熱不活化FBSを55mLの完全DMEM(cDMEM)に添加する。5mLの100×ペニシリン/ストレプトマイシン/グルタミン溶液を添加する。無菌ボトルフィルターで濾過する。1カ月の有効期限を指定し、4℃で保存する。
【0160】
[0174]FACT QCストック:FACTの種々のロットにおけるAAV NAb力価は異なっている場合があり、希釈スキームは、2つの中間希釈度間で50%阻害を達成するように適応させてもよい。血漿又は血清等の、他の対照AAV NAbを使用してもよい。
【0161】
[0175]実施例:ロット3696では、熱不活化FACT試料を熱不活化FBSを用いて1対10で希釈し、アリコートで凍結させる。<-60℃で保存し、有効期限を指定する。凍結-解凍サイクルは3回を超えない。HQC、MQC、及びLQCは以下の例示的スキームを使用して設定されるアッセイの間に希釈される。
[0176]
【0162】
【0163】
[0177]ポナステロンA:ウイルスを急速回転させ、100%エタノール中において濃度1mg/mLで再構成する。勢いよくボルテックスする。-20℃で保存する。
【0164】
[0178]DPBS中のプルロニックF68:二段階希釈計画を使用して、10%のプルロニックストック溶液の1部をDPBSの10,000部と混合する。調製の日に使用する。
【0165】
[0179]AAV-CAG-ルシフェラーゼベクター:製造ストックを最初に解凍すると、ベクターを0.001%のプルロニックF68で希釈して、ストック濃度2×1011vg/mLを得る。50μLアリコートとして無菌のこびり付かない表面を持つチューブ中に分配する。アリコートを-60℃で保存する。
【0166】
[0180]空のカプシドAAV粒子(EV):製造ストックを最初に解凍した後、適切な容積を無菌のこびり付かない表面を持つチューブ中に等分し、-60℃で保存する。そのアリコートを解凍後残りは破棄する。
【0167】
[0181]試験試料:最初の解凍後、血清試料を56℃で30分間熱不活化する。400μLアリコートを無菌のこびり付かない表面を持つチューブで調製し、使用するまで-60℃で保存する。解凍後、未使用血清は取っておいて-60℃で保存することができる又は破棄することができる。取っておく場合、チューブ上に凍結-解凍サイクルを標識する。凍結-解凍サイクルは3回を超えない。
【0168】
[0182]希釈血清:ウシ胎仔血清(FBS)。使い捨てアリコートを調製し、-20℃で保存する。
【0169】
[0183]1×ウミシイタケルシフェラーゼアッセイ試薬:アッセイバッファー及び基質を解凍する又は室温(外界温度)まで戻す。ウォターバスを使用することができる。解凍により密度及び組成勾配ができるのでよく混合する。試薬は、明らかな活性消失がなければ5回まで解凍してよい。試薬を調製するため、50mLの円錐チューブにおいて、1容積の100×ウミシイタケルシフェラーゼアッセイ基質を100容積のウミシイタケルシフェラーゼアッセイバッファーに添加する。チューブを10~20秒間ボルテックスすることにより徹底的に混合する。試薬は暗所に保管しておく。調製後、バッファーは外界温度で12時間安定である。
【0170】
実施例5
1日目:2V6.11細胞を蒔く、試料を中和する、細胞に形質導入する
[0184]cDMEM培地を37℃ CO2インキュベーターに、ルーズキャップを付けて最低限30分間は置く。これにより、pH及び温度をリセットさせる。この培地は、細胞解凍及びプレーティングのために後で使用される。
【0171】
[0185]試料、FACT QCストック、熱不活化FBS及びFBSなしのDMEMを貯蔵場所から移し、これらを外界温度まで平衡にさせる。
【0172】
[0186]任意選択:血清試料が熱不活化されていない場合は、試料を56℃で30分間熱不活化する。熱不活化を示すためにチューブに標識する。以前熱不活化されている場合は試料を再び加熱しない。
【0173】
[0187]96ウェルU字形底組織培養プレートを使用して
図10Aに示されるようにFACT QCストック溶液から希釈物を調製する。このプレートは希釈プレートと呼ばれる。指示された容積は1つの試料の調製に十分であり、必要であればスケールアップするべきである。ピペットで均質になるまで混合する。同じ希釈プレートを使用して、
図10Bに示される試料希釈物を調製する。
【0174】
[0188]
図11に示されるように、それぞれの希釈されたFACT対照及び試料20μLを希釈プレートから新しい96ウェルU字形底中和プレートに移す。
【0175】
[0189]20μLの熱不活化FBSを、
図12に示される中和プレート上のMIN、MAX及びMAX.EVウェルに添加する。
【0176】
[0190]EVが使用される場合だけ、FBSなしのDMEM中1.5×1011cp/mLの空のカプシドAAV粒子(EV)の作業濃度を調製する。勢いのあるボルテックスは避ける。容積0.8mLの希釈EVで1つの全アッセイプレートに十分である。
【0177】
[0191]EVが使用される場合だけ、
図13Aに示されるように、10μLのEVをS.EV、FACT.EV及びMAX.EVと示されたウェルに添加する。
図13Bに示されるように、FBSなしの10μLのDMEMを試料(S)、FACT及びMAXを含有するウェルに、FBSなしの20μLのDMEMをMIN対照ウェルに添加する。EVが使用される場合だけ、中和プレートを30±5分間、37℃でインキュベートする。
【0178】
[0192]FBSなしのDMEM中3.2×109vg/mLのAAVレポーターベクター(RV)の作業濃度を調製する。勢いのあるボルテックスは避ける。容積0.8mLの希釈ベクターで1つの全アッセイプレートに十分である。
【0179】
[0193]
図14に示されるように、中和プレートのMIN対照を含有するウェルを除いて、すべてのウェルに10μLのRVを添加する。中和プレートを30±5分間、37℃でインキュベートする。
【0180】
[0194]1バイアルの2V6.11細胞を低温貯蔵から取り出し、直ちに37℃ウォターバスに4分間置く。複数のバイアルが必要な場合には、それに従ってスケールアップする。ウォターバスからバイアルを取り出し、70%EtOHで洗浄し、2回180°ひっくり返して細胞を再懸濁する。
【0181】
[0195]1又は2mLの血清ピペットを使用して冷凍保存バイアルからすべての細胞懸濁液を吸引して、それを空の15mL円錐チューブに移す。細胞は、このステップでは剪断力に脆い。
【0182】
[0196]10mLピペットを使用して、9mLの温培地を15mL円錐チューブに添加する。最初の3mLはゆっくりと一滴ずつ添加するべきである。残りの6mLの培地はもっと素早くピペットから添加する。この時点で、細胞は約10mLに懸濁される。
【0183】
[0197]15mL円錐チューブを閉じて、2回180°ひっくり返して細胞懸濁液をホモジナイズする。50μLの細胞懸濁液を計数目的でエッペンチューブに移し、残りの細胞懸濁液は240×gで10分間回転させる。
【0184】
[0198]生存及び死亡細胞を計数する。生存率が70%未満の場合は、細胞は破棄し別のバイアルを解凍する。
【0185】
[0199]細胞をcDMEM中4.0×105細胞/mLまで希釈する。ポナステロンAを最終濃度1μg/mLまで添加する。それぞれのプレートは10mLの細胞懸濁液を必要とする。
【0186】
[0200]平底96ウェル組織培養プレートをとり、ウェルあたり100μLの細胞懸濁液(4.0×104細胞)を添加する。このプレートは形質導入プレートと呼ばれる。使用するまで37℃、5%CO2インキュベーターでインキュベートする。使用される細胞バンクのロット数、及び生存率を記述する。
【0187】
[0201]中和後、
図15に示されるように、中和プレート上のそれぞれのウェルから7.5μLを形質導入プレートの3通りウェルに移す。形質導入プレートをパラフィンで包み、形質導入プレートを37℃、5%CO
2組織培養インキュベーターで24時間±30分間インキュベートする。インキュベート開始時間を記録する。
2日目:ルシフェラーゼ活性の測定
[0202]分泌されたルシフェラーゼを含有する細胞培養上澄みは、中和プレートから移された7.5μL/ウェルを形質導入プレートへ添加後約24~25時間以内にウェルから取り出すべきである。分泌されたルシフェラーゼは時間と共に培養培地に蓄積するので、この時間を変えると活性読取りの範囲に大きな影響を及ぼすことになる。
【0188】
[0203]十分な容積の1×ウミシイタケルシフェラーゼアッセイ試薬を調製し、アッセイに先立って室温に平衡させておく。インキュベーターからアッセイプレートを取り出す。細胞を観察し、毒性のいかなる兆候(低い培養密集、ウェル底から離れた細胞、付着しているが丸い形の細胞、等)も記述し、書き留める。
【0189】
[0204]GloMax Navigator Systemマイクロプレート読取り機のスイッチを入れ、次に読取りに先立って少なくとも5分間タブレットPCのスイッチを入れておく。約24時間のインキュベーションが終わると、マルチチャンネルピペットを用いて上澄みを1回上下させ、約90μLの培養上澄みを96ウェル組織培養プレートに移す。過剰な上澄みは、所望な場合、第2の読取りに役立ててもよい。使用しない場合は、破棄する又は<-60°で凍結させてもよい。
【0190】
[0205]40μLの培養上澄みを96ウェル黒プレートに移す。アッセイプレート配置図は
図7に示されている。任意選択で、プレートを直ちに読み取るのでなければ、プレートをシーラーで封をし、それを暗所条件下、室温で4時間まで保存する。
【0191】
[0206]読取り機にプレートを積載する。GloMax Navigatorソフトウェアアイコンを軽くたたいてGloMax Navigatorソフトウェアを開始する。プロトコールを選択する。下に詳述されている器機設定を使用する。
読込みモード:発光
積分時間:1秒
プレートタイプ:96ウェル標準
読取り領域:測定される列と行を強調している
注入及び遅延:
インジェクター1:選択解除する
インジェクター2:選択する
容積:100μL
遅延:2秒
速度:230μL/秒
暗所順応:3分間
プレートを読み取る
【0192】
実施例6
データ解析
[0207]すべての対照及び試料希釈度について平均(average)(平均(mean)とも呼ばれる)標準偏差(SD)、及び発光読取り値[RLU]の%CVを計算する。
【0193】
[0208]MAX3通りウェル及びMIN3通りウェルの平均発光値[RLUAV]を使用してシグナル対ノイズ比(S/N)を計算する。S/N=MAX[RLUAV]/MIN[RLUAV]
【0194】
[0209]以下の計算には、それぞれ空のベクターあり及びなしのMAX、MIN、QC希釈度(例えば、HQC、MQC、LQC、HQC EV、MQC EV及びLQC EV)、及び試験試料(S)3通りウェルの平均発光値[RLUAV]を使用する:
[0210]%阻害MAX(%I.MAX)=100-[(S-MIN)/(MAX-MIN)]×100]。表2に示されるように、これは試料(S)希釈度ごとに計算される。
【0195】
【0196】
[0211]%阻害S.EV(%I.SEV)=100-[(S-MIN)/(S.EV-MIN)]×100]。表3に示されるように、これは試料(S)希釈度ごとに計算される。
【0197】
【0198】
[0212]HQC%阻害=100-[(HQC-MIN)×100)/(MAX-MIN)]
【0199】
[0213]EV干渉=MAX/MAX.EV
【0200】
[0214]EV有効性=HQC EV/HQC
【0201】
[0215]AAV NAb力価は、%阻害≧50を有する最も低い試料希釈度として定義される。
図6A~6Eに示されるように、それぞれの試料にNAb力価を指定する。
アッセイ受入れ基準
[0216]アッセイ基準1:HQC(例えば、FACT 1対100)は予め定義されたロット特異的%I.MAX±3SDを満たさなければならない。
【0202】
[0217]アッセイ基準2:HQC(例えば、FACT 1対100)は、3通りウェル間の値[RLU]についてはCV%≦35%の精度を満たさなければならない。
【0203】
[0218]アッセイ基準3:正の形質導入対照(MAX)は、3通りウェル間の発光値[RLU]についてはCV%≦35%の精度を満たさなければならない。
【0204】
[0219]アッセイ基準4(アッセイにおいてEVが使用される場合のみ適用可能):計算されたEV干渉は0.7~1.3の範囲になければならない。
【0205】
[0220]アッセイ基準5(アッセイにおいてEVが使用される場合のみ適用可能):計算されたEVは≧2でなければならない。
【0206】
[0221]上記の適用可能基準すべてを満たさないアッセイプレートは、失敗したプレートと見なされる。失敗したプレートからの結果を報告すべきではない。アッセイは繰り返される。
【0207】
試料力価受入れ基準
[0222]基準1:最終NAb力価として報告される試料希釈度は、3通りウェル間の発光値[RLU]についてCV%≦35%の精度を満たすべきである。基準を満たさないいかなる試料も、結果は無効だと見なされ、試料が使い果たされてはいない又は特に正当化されなければ、再試験が必要なこととされる。妥当な結果を持つ試料は、技術的ミスが確認されない又は再分析が望まれなければ、再分析するべきではない。
【0208】
実施例7
【0209】
【0210】
実施例8
[0223]Spk1(配列番号1)
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWDLKPGAPKPKANQQKQDNGRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLQAGDNPYLRYNHADAEFQERLQEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVESPVKTAPGKKRPVEPSPQRSPDSSTGIGKKGQQPAKKRLNFGQTGDSESVPDPQPIGEPPAAPSGVGPNTMAAGGGAPMADNNEGADGVGSSSGNWHCDSTWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISNGTSGGSTNDNTYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNEGTKTIANNLTSTIQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFEFSYNFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTQSTGGTAGTQQLLFSQAGPNNMSAQAKNWLPGPCYRQQRVSTTLSQNNNSNFAWTGATKYHLNGRDSLVNPGVAMATHKDDEERFFPSSGVLMFGKQGAGKDNVDYSSVMLTSEEEIKTTNPVATEQYGVVADNLQQQNAAPIVGAVNSQGALPGMVWQNRDVYLQGPIWAKIPHTDGNFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPADPPTTFNQAKLASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYYKSTNVDFAVNTEGTYSEPRPIGTRYLTRNL
【0211】
[0224]Spk2(配列番号2)
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWALQPGAPKPKANQQHQDNARGLVLPGYKYLGPGNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLKAGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRLLEPLGLVEEAAKTAPGKKRPVDQSPQEPDSSSGVGKSGKQPARKRLNFGQTGDSESVPDPQPLGEPPAAPTSLGSNTMASGGGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSQWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKKLSFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFQFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLNRTQGTTSGTTNQSRLLFSQAGPQSMSLQARNWLPGPCYRQQRLSKTANDNNNSNFPWTAASKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPMHGNLIFGKEGTTASNAELDNVMITDEEEIRTTNPVATEQYGTVANNLQSSNTAPTTRTVNDQGALPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQIMIKNTPVPANPPTTFSPAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRPL
【0212】
[0225]CAGプロモーター配列(
図16にも模式的に示されている)(配列番号3)
ATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTCGAGGTGAGCCCCACGTTCTGCTTCACTCTCCCCATCTCCCCCCCCTCCCCACCCCCAATTTTGTATTTATTTATTTTTTAATTATTTTGTGCAGCGATGGGGGCGGGGGGGGGGGGGGGGCGCGCGCCAGGCGGGGCGGGGCGGGGCGAGGGGCGGGGCGGGGCGAGGCGGAGAGGTGCGGCGGCAGCCAATCAGAGCGGCGCGCTCCGAAAGTTTCCTTTTATGGCGAGGCGGCGGCGGCGGCGGCCCTATAAAAAGCGAAGCGCGCGGCGGGCGGGGAGTCGCTGCGACGCTGCCTTCGCCCCGTGCCCCGCTCCGCCGCCGCCTCGCGCCGCCCGCCCCGGCTCTGACTGACCGCGTTACTCCCACAGGTGAGCGGGCGGGACGGCCCTTCTCCTCCGGGCTGTAATTAGCGCTTGGTTTAATGACGGCTTGTTTCTTTTCTGTGGCTGCGTGAAAGCCTTGAGGGGCTCCGGGAGGGCCCTTTGTGCGGGGGGAGCGGCTCGGGGGGTGCGTGCGTGTGTGTGTGCGTGGGGAGCGCCGCGTGCGGCTCCGCGCTGCCCGGCGGCTGTGAGCGCTGCGGGCGCGGCGCGGGGCTTTGTGCGCTCCGCAGTGTGCGCGAGGGGAGCGCGGCCGGGGGCGGTGCCCCGCGGTGCGGGGGGGGCTGCGAGGGGAACAAAGGCTGCGTGCGGGGTGTGTGCGTGGGGGGGTGAGCAGGGGGTGTGGGCGCGTCGGTCGGGCTGCAACCCCCCCTGCACCCCCCTCCCCGAGTTGCTGAGCACGGCCCGGCTTCGGGTGCGGGGCTCCGTACGGGGCGTGGCGCGGGGCTCGCCGTGCCGGGCGGGGGGTGGCGGCAGGTGGGGGTGCCGGGCGGGGCGGGGCCGCCTCGGGCCGGGGAGGGCTCGGGGGAGGGGCGCGGCGGCCCCCGGAGCGCCGGCGGCTGTCGAGGCGCGGCGAGCCGCAGCCATTGCCTTTTATGGTAATCGTGCGAGAGGGCGCAGGGACTTCCTTTGTCCCAAATCTGTGCGGAGCCGAAATCTGGGAGGCGCCGCCGCACCCCCTCTAGCGGGCGCGGGGCGAAGCGGTGCGGCGCCGGCAGGAAGGAAATGGGCGGGGAGGGCCTTCGTGCGTCGCCGCGCCGCCGTCCCCTTCTCCCTCTCCAGCCTCGGGGCTGTCCGCGGGGGGACGGCTGCCTTCGGGGGGGACGGGGCAGGGCGGGGTTCGGCTTCTGGCGTGTGACCGGCGGCTCTAGAGCCTCTGCTAACCATGTTCATGCCTTCTTCTTTTTCCTACAGCTCCTGGGCAACGTGCTGGTTATTGTGCTGTCTCATCATTTTGGCAAA
【0213】
【0214】
〔関連出願〕
[0001]本出願は2018年11月16日に提出された米国特許仮出願第62/768,665号の優先権を主張するものである。前述の出願の全内容は、本文、表、配列表及び図すべてを含めて、参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】