(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ビスシリルアミノ官能化共役ジエン、それらの調製及びゴムの製造におけるそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C07F 7/10 20060101AFI20240820BHJP
C08F 36/22 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
C07F7/10 F CSP
C08F36/22
(21)【出願番号】P 2021542531
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2020051760
(87)【国際公開番号】W WO2020152332
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-13
(32)【優先日】2019-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515308903
【氏名又は名称】シントス エス.アー.
【氏名又は名称原語表記】SYNTHOS S.A.
(73)【特許権者】
【識別番号】319007860
【氏名又は名称】シントス ドボリ 7 スプウカ ズ オグラニザツィーノン オトゥポビエジャルノシチョン
【氏名又は名称原語表記】SYNTHOS DWORY 7 SPOLKA Z OGRANICZONA ODPOWIEDZIALNOSCIA
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】シオレック-コモレク、マリア
(72)【発明者】
【氏名】コザック、ラドスワフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェダ、パヴェウ
(72)【発明者】
【氏名】ボガチュ、ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】スクロック、トマシュ
(72)【発明者】
【氏名】ピエログ、マルゴルザータ
【審査官】▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-532743(JP,A)
【文献】特表2020-508975(JP,A)
【文献】特表2020-510122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C,C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される官能化共役ジエンを調製する方法であって、
【化1】
・Rは分岐した不飽和ヒドロカルビレン基であり、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の官能化共役ジエンが由来する式(IIa)、(IIb)、(IIc)
【化2】
の化合物の群から選択される出発共役ジエンは、少なくとも10個の炭素原子を有し、
・R
1は
単結合であり;
・R
2及びR
3は同じでも異なっていてもよく、Si(R
5)
3を表し、ここで、各R
5は同じでも異なっていてもよく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含むオルガニル基を表し
;
前記方法は、
式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)
【化3】
式中、Halは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子から選択さ
れる
の化合物の群から選択される共役ジエンハロゲン化物を、
式(IV)のアミド
【化4】
式中、Mはリチウム、ナトリウム、及びカリウムから選択されるアルカリ金属で
ある
と反応させることを含む方法。
【請求項2】
式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される官能化共役ジエンであって、
【化5】
・Rは分岐した不飽和ヒドロカルビレン基であり、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の官能化共役ジエンが由来する式(IIa)、(IIb)、(IIc)
【化6】
の化合物の群から選択される出発共役ジエンは、少なくとも10個の炭素原子を有し、
・R
1は
単結合であり;
・R
2及びR
3は同じでも異なっていてもよく、Si(R
5)
3を表し、ここで、各R
5は同じでも異なっていてもよく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含むオルガニル基を
表す、官能化共役ジエン。
【請求項3】
式(IIa)、(IIb)、(IIc)の出発共役ジエンは、テルペン及び4,8-ジメチル-1,3,7-ノナトリエンから選択され
る、請求項
2に記載の官能化共役ジエン。
【請求項4】
テルペンはミルセン及びオシメンから選択される、請求項3に記載の官能化共役ジエン。
【請求項5】
テルペンはα-ミルセン及びβ-ミルセンから選択されるミルセンである、請求項4に記載の官能化共役ジエン。
【請求項6】
式(Ia1)、(Ib1)、又は(Ic1)のミルセン誘導
体である、請求項
3~5のいずれか一項に記載の官能化共役ジエン。
【化7】
【請求項7】
R
2及びR
3は同じである、請求項2~
6のいずれか一項に記載の官能化共役ジエン。
【請求項8】
各R
5は同じであり、線状又は分枝状の、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基を表
す、請求項
7に記載の官能化共役ジエン。
【請求項9】
各R
5
は同じであり、線状又は分枝状のアルキル、アリール、又はアルカリル基を表す、請求項8に記載の官能化共役ジエン。
【請求項10】
各R
5
はCH
3
である、請求項9に記載の官能化共役ジエン。
【請求項11】
ミルセン誘導体が式(Ia2)、(Ib2)、又は(Ic2)のもので
ある、請求項
8~10のいずれか一項に記載の官能化共役ジエン。
【化8】
【請求項12】
エラストマーコポリマーの製造における請求項2~
11のいずれか一項に記載の1つ以上の官能化共役ジエンの使用。
【請求項13】
エラストマーコポリマーは、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンに由来する1つ以上の単位に加えて、1つ以上の共役ジエンモノマーに由来する単位を含
む、請求項
12に記載の使用。
【請求項14】
共役ジエンモノマーは、1,3-ブタジエン及びイソプレンから選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
共役ジエンモノマーは1,3-ブタジエンである、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
エラストマーコポリマーの製造はアニオン重合又は配位重合によるものである、請求項
12~15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
エラストマーコポリマーは、1つ以上のビニル芳香族モノマーに由来する単位をさらに含
む、請求項
12~
16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
ビニル芳香族モノマーは、スチレン、3-メチルスチレン、及びα-メチルスチレンから選択される、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
ビニル芳香族モノマーはスチレンである、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンに由来する単位の量は
、エラストマーコポリマーの重量に基づいて、0.05~5重量%の範
囲である、請求項
12~
19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンに由来する単位の量は、エラストマーコポリマーの重量に基づいて、0.1~1.5重量%の範囲である、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される官能化共役ジエンのアルカリ金属塩誘導体の使用であって、
【化9】
・Rは分岐した不飽和ヒドロカルビレン基であり、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の官能化共役ジエンが由来する式(IIa)、(IIb)、(IIc)
【化10】
の化合物の群から選択される出発共役ジエンは、少なくとも10個の炭素原子を有し、
・R
1は
単結合であり;
・R
2及びR
3は同じでも異なっていてもよく、Si(R
5)
3を表し、ここで、各R
5は同じでも異なっていてもよく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含むオルガニル基を表し
;
1つ以上の共役ジエンモノマー、任意選択で1つ以上のビニル芳香族モノマー、及び任意選択で、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンのアニオン共重合の開始剤としての、前記アルカリ金属塩誘導体の使用。
【請求項23】
カップリングコポリマー及び末端修飾コポリマーを含むコポリマー成分の製造方法であって、以下の工程:
(1)開始剤成分を提供する工程であって、前記開始剤成分は、任意選択で式(Ia)、(Ib)、(Ic)
【化11】
式中、
・Rは分岐した不飽和ヒドロカルビレン基であり、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の官能化共役ジエンが由来する式(IIa)、(IIb)、(IIc)
【化12】
の化合物の群から選択される出発共役ジエンは、少なくとも10個の炭素原子を有し、
・R
1は
単結合であり;
・R
2及びR
3は同じでも異なっていてもよく、Si(R
5)
3を表し、ここで、各R
5は同じでも異なっていてもよく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含むオルガニル基を表
す
の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンの1つ以上のアルカリ金属塩誘導体を含
み、アルカリ金属はリチウム、ナトリウム、及びカリウムから選択される、開始剤成分を提供する工程、
(2)
i)任意選択で式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエン、
ii)1つ以上の共役ジエンモノマー、及び
iii)任意選択で1つ以上のビニル芳香族モノマー
を含むモノマー成分を、開始剤成分と接触させてアニオン共重合を開始する工程;
(3)共重合を継続してコポリマーを得る工程;
(4)任意選択で、1つ以上の官能化モノマーの存在下でコポリマーの共重合を継続して、官能化コポリマーを得る工程;
(5)工程(3)のコポリマーの一部又は工程(4)の官能化コポリマーの一部を1つ以上のカップリング剤とカップリングさせて、カップリングコポリマーを得る工程;
(6)工程(3)のコポリマーの一部又は工程(4)の官能化コポリマーの一部を1つ以上の末端修飾剤で末端修飾して、末端修飾コポリマーを得る工程;
(7)任意選択で、工程(3)のコポリマー、又は工程(4)の官能化コポリマー、又は工程(5)のカップリングコポリマー、又は工程(6)の末端修飾コポリマーの重合後修飾であって、
a.開始剤成分で再開始してアニオン共重合を開始すること、及び
b.1つ以上の官能化モノマーの存在下で共重合を継続して、官能化側基を有するコポリマーを得ること
による重合後修飾
を含み、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される官能化共役ジエンは、工程(1)及び(2)の少なくとも一方で使用される方法。
【請求項24】
エラストマーコポリマーを製造する方法であって、
i)式(Ia)、(Ib)、(Ic)
【化13】
式中、
・Rは分岐した不飽和ヒドロカルビレン基であり、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の官能化共役ジエンが由来する式(IIa)、(IIb)、(IIc)
【化14】
の化合物の群から選択される出発共役ジエンは、少なくとも10個の炭素原子を有し、
・R
1は
単結合であり;
・R
2及びR
3は同じでも異なっていてもよく、Si(R
5)
3を表し、ここで、各R
5は同じでも異なっていてもよく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含むオルガニル基を表
す
の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエン、
ii)1つ以上の共役ジエンモノマー、及び
iii)任意選択で1つ以上のビニル芳香族モノマー
を、アニオン重合条件に供することを含
む、方法。
【請求項25】
エラストマーコポリマーを製造する方法であって、
i)式(Ia)、(Ib)、(Ic)
【化15】
式中、
・Rは分岐した不飽和ヒドロカルビレン基であり、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の官能化共役ジエンが由来する式(IIa)、(IIb)、(IIc)
【化16】
の化合物の群から選択される出発共役ジエンは、少なくとも10個の炭素原子を有し、
・R
1は
単結合であり;
・R
2及びR
3は同じでも異なっていてもよく、Si(R
5)
3を表し、ここで、各R
5は同じでも異なっていてもよく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含むオルガニル基を表
す
の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエン、及び
ii)1つ以上の共役ジエンモノマー
を、チーグラー・ナッタ重合条件に供することを含む方法。
【請求項26】
チーグラー・ナッタ重合条件は、1)金属塩化物及び2)助触媒を含む触媒系を含
む、請求項
25に記載の方法。
【請求項27】
チーグラー・ナッタ重合条件は、1)非ハロゲン化金属化合物、2)助触媒、及び3)ハロゲン化物供与体化合物を含む触媒系を含
む、請求項
25に記載の方法。
【請求項28】
非ハロゲン化金属化合物1)は、ネオジムカルボキシラート、ネオジムアルコラート、ネオジムホスファート、ネオジムホスホナート、ネオジムアリル化合物、ネオジムシクロペンタジエニル錯体、ネオジムアミド、及びネオジムアセチルアセトナートから選択される1つ以上のNd化合物である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
以下に由来する繰り返し単位:
A)コポリマーの0.05重量%~5重量%の、式(Ia)、(Ib)、(Ic)
【化17】
式中、
・Rは分岐した不飽和ヒドロカルビレン基であり、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の官能化共役ジエンが由来する式(IIa)、(IIb)、(IIc)
【化18】
の化合物の群から選択される出発共役ジエンは、少なくとも10個の炭素原子を有し、
・R
1は
単結合であり;
・R
2及びR
3は同じでも異なっていてもよく、Si(R
5)
3を表し、ここで、各R
5は同じでも異なっていてもよく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含むオルガニル基を表
す
の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエン;
B)コポリマーの45重量%~99.95重量%の、1つ以上の共役ジエンモノマー;
C)コポリマーの0重量%~50重量%の、1つ以上のビニル芳香族モノマー
を含むエラストマーコポリマー。
【請求項30】
B)
共役ジエンモノマーの量は、コポリマーの50~92重量
%である、請求項
29に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項31】
B)共役ジエンモノマーの量は、コポリマーの65~80重量%である、請求項30に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項32】
ビニル芳香族モノマーは、スチレン、1-ビニルナフタレン、3-メチルスチレン、3,5-ジエチルスチレン、4-プロピルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、4-ドデシルスチレン、3-メチル-5-n-ヘキシルスチレン、4-フェニルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、3,5-ジフェニルスチレン、2,3,4,5-テトラエチルスチレン、3-エチル-1-ビニルナフタレン、6-イソプロピル-1-ビニルナフタレン、6-シクロヘキシル-1-ビニルナフタレン、7-ドデシル-2-ビニルナフタレン、及びα-メチルスチレンから選択さ
れる、請求項
29~31のいずれか一項に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項33】
ビニル芳香族モノマーはスチレンである、請求項32に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項34】
C)ビニル芳香族モノマーの量は、コポリマーの8~45重量
%である、請求項
29~
33のいずれか一項に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項35】
C)ビニル芳香族モノマーの量は、コポリマーの20~35重量%である、請求項34に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項36】
エラストマーコポリマーは、1重量%未満のC)ビニル芳香族モノマーを含
み、B)共役ジエンモノマーの量は、コポリマーの95~99.95重量
%である、請求項
29に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項37】
B)共役ジエンモノマーの量は、コポリマーの99.0~99.4重量%である、請求項36に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項38】
共役ジエンモノマーは、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ペンタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、及び4,5-ジエチル-1,3-オクタジエンから選択さ
れる、請求項
29~
37のいずれか一項に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項39】
共役ジエンモノマーは、1,3-ブタジエン及びイソプレンから選択される、請求項38に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項40】
共役ジエンモノマーは1,3-ブタジエンである、請求項39に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項41】
前記コポリマーは線状構造を有する単位を含む、請求項
29~
40のいずれか一項に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項42】
前記コポリマーは分岐構造を有する単位を含む、請求項
29~
41のいずれか一項に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項43】
前記コポリマーは、星型構造を有し、アニオン重合条件において金属で終端しているリビング線形コポリマーと1つ以上のカップリング剤との反応によって生成される単位を含
む、請求項
29~
42のいずれか一項に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項44】
1つ以上の加硫剤の存在下で請求項
29~
43のいずれか一項に記載のエラストマーコポリマーを加硫することを含む、ゴムを製造する方法。
【請求項45】
加硫された請求項
29~43のいずれか一項に記載のエラストマーコポリマーを含むゴム。
【請求項46】
請求項
45に記載のゴムを含むx)ゴム成分を含むゴム組成
物。
【請求項47】
シリカ及びカーボンブラックからなる群から選択される1つ以上のフィラーをさらに含む、請求項46に記載のゴム組成物。
【請求項48】
前記ゴム組成物はy)シリカ及びカーボンブラックの両方を含む、請求項47に記載のゴム組成物。
【請求項49】
フィラー成分y)の量は、ゴム成分x)の100質量部に対して10~150質量部(phr)で
ある、請求項
46~48のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【請求項50】
フィラー成分y)の量は30~130phrである、請求項49に記載のゴム組成物。
【請求項51】
ゴム成分x)は、1つ以上のさらなるゴム状ポリマーを含
む、請求項
46~50のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【請求項52】
請求項
51に記載のゴム組成物を含むタイヤ構成要
素。
【請求項53】
請求項
52に記載のタイヤ構成要素を含むタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスシリルアミノ官能化共役ジエン、それらの調製、及びゴムの製造におけるそれらの使用に関する。さらに、本発明は、ゴム及びゴム組成物、ならびにそれらから製造されるタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
合成ゴムの製造に使用できる様々な共役ジエンモノマーが知られている。しかしながら、当技術分野では、有利な重合プロセスで使用でき、又は共役ジエンモノマーから製造されたゴムに有利な特性を与える、さらなる共役ジエンモノマーが必要である。
【0003】
特許文献1は、共役ジエンモノマーの重合においてモノマーを修飾するのに有用なアミノシラン官能化ジエン化合物を、任意選択で芳香族ビニルモノマーと共に使用して、タイヤなどのゴム製品に使用可能なポリマー、特にエラストマーポリマーを製造することを教示している。
【0004】
特許文献2及び特許文献3は、アミノシリル官能化スチレン及びそれらの調製方法、ならびにそれらのコポリマーの調製におけるスチレン誘導体の使用を開示している。
特許文献4は、ゴムの製造におけるビニルシランの使用を教示している。特許文献5は、共役ジエンに由来する共役ジエンポリマー、モノマー単位V1-S1、及びモノマー単位V2-A2を教示しており、ここで、V1及びV2はそれぞれ、重合可能な炭素-炭素二重結合を含むヒドロカルビル基を表し、S1は置換シリルを表し、A2はアミノ基又は窒素含有複素環基である。
【0005】
非特許文献1は、チーグラー・ナッタ条件下での硫黄及び窒素で官能化されたアルキルジエンの挙動について報告している。
非特許文献2は、ミルセンベースのモノマーを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許出願公開第3159346号明細書
【文献】国際公開第2016/162473号
【文献】国際公開第2016/162528号
【文献】欧州特許出願公開第3064546号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2857446号明細書
【非特許文献】
【0007】
【文献】Leicht et al.,JACS 2017,139,6823-6826
【文献】Tavtorkin et al.Polymer Science,Series B 2018,第60巻、第6号、699-707頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、合成ゴムの製造のための共役ジエンモノマーを提供することであった。これらの共役ジエンモノマーは、簡単に入手できる出発物質に基づいている必要があり、単純な合成経路を介して入手できる必要がある。さらに、共役ジエンモノマーは、普遍的に適用可能である必要があり、すなわち、様々な異なる重合プロセスにおいて適用可能であり、ゴム、ゴム組成物、及びそれから製造されるタイヤに有利な特性を付与すべきものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、本発明によれば、この目的は、ビスシリルアミノ官能化を有する特定の共役ジエンの使用によって解決されることが見出された。本発明の官能化共役ジエンは、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される。
【0010】
【0011】
ここで、
・Rは分岐した不飽和ヒドロカルビレン基であり、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の官能化共役ジエンが由来する式(IIa)、(IIb)、(IIc)
【0012】
【0013】
の化合物の群から選択される出発共役ジエンは、少なくとも10個の炭素原子を有し、
・R1は、
i)単結合、
ii)酸素原子、硫黄原子、及びNR4基のうちの1つ以上;及び
iii)酸素原子、硫黄原子、及びNR4基から選択される1つ以上を任意に含むオルガニレン基
から選択され;
・R2及びR3は同じでも異なっていてもよく、Si(R5)3を表し、ここで、各R5は同じでも異なっていてもよく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含むオルガニル基を表し;
・R4は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含むオルガニル基を表す。
【0014】
これらの官能化共役ジエンは、好ましくは、エラストマーコポリマーの製造におけるコモノマーとして使用される。これに代えて、又はこれに加えて、これらは、好ましくは、重合開始剤の調製に使用される。本発明の官能化共役ジエンが、開始剤及び/又はコモノマーとしてエラストマーコポリマーに組み込まれる場合、追加の官能化コモノマーの組み込み、及び/又はオメガ官能化を低減することができ、又は完全に省くことができる。
【0015】
本発明の官能化共役ジエンは、例えば、溶液スチレンブタジエンゴム(S-SBR)及びチーグラー・ナッタ触媒(ネオジムなど)で触媒されたブタジエンゴム(Nd-BR)の製造に使用すると、ポリマーとフィラーとの相互作用を高めてポリマーマトリックス内のフィラーの分散を向上させることで、タイヤトレッドコンパウンドの動的及び機械的特性の向上を助ける。本発明の官能化共役ジエンは、簡単な合成方法によって、容易に入手可能な出発物質から合成することができる。これは、出発物質としてクロロプレンを使用する合成方法に依存する特許文献1の教示とは対照的である。しかしながら、クロロプレンは揮発性が高く可燃性の化学物質である。非特許文献1の官能化アルキルジエンとは対照的に、本発明の官能化共役ジエンは、基Rに二重結合などの不飽和を有し、この不飽和は加硫段階で重要な役割を果たすことができ、より良い適用結果(特により良い機械的特性)をもたらすことができる。また、非特許文献2に開示されているミルセンベースのモノマーとは対照的に、本発明の官能化共役ジエンは、シリル基(R2、R3)があることにより、シリカとの改善された相互作用を示す。
【0016】
第1の態様では、本発明は、官能化共役ジエンの調製方法に関する。
第2の態様では、本発明は、官能化共役ジエンに関する。
第3の態様では、本発明は、エラストマーコポリマーの製造における官能化共役ジエンの使用に関する。
【0017】
第4の態様では、本発明は、カップリングコポリマー及び末端修飾コポリマーを含むコポリマー成分の製造方法に関する。
第5の態様では、本発明は、アニオン重合条件を含むエラストマーコポリマーを製造するための方法に関する。
【0018】
第6の態様では、本発明は、チーグラー・ナッタ重合条件を含むエラストマーコポリマーを製造するための方法に関する。
第7の態様では、本発明はエラストマーコポリマーに関する。
【0019】
第8の態様では、本発明は、ゴムを製造するための方法に関する。
第9の態様では、本発明はゴムに関する。
第10の態様では、本発明はゴム組成物に関する。
【0020】
第11の態様では、本発明はタイヤ構成要素に関する。
最後に、第12の態様では、本発明はタイヤに関する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の詳細な説明
第1の態様において、本発明は、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される官能化共役ジエンの調製方法に関する。
【0022】
【0023】
ここで、
・Rは分岐した不飽和ヒドロカルビレン基であり、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の官能化共役ジエンが由来する式(IIa)、(IIb)、(IIc)
【0024】
【0025】
の化合物の群から選択される出発共役ジエンは、少なくとも10個の炭素原子を有し、
・R1は、
i)単結合、
ii)酸素原子、硫黄原子、及びNR4基のうちの1つ以上;及び
iii)酸素原子、硫黄原子、及びNR4基から選択される1つ以上を任意に含むオルガニレン基
から選択され;
・R2及びR3は同じでも異なっていてもよく、Si(R5)3を表し、ここで、各R5は同じでも異なっていてもよく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含むオルガニル基を表し;
・R4は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含むオルガニル基を表し;
上記方法は、
式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)
【0026】
【0027】
式中、Halは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子から選択され、Halは、好ましくは塩素原子である
の化合物の群から選択される共役ジエンハロゲン化物を、
式(IV)のアミド
【0028】
【0029】
式中、Mはリチウム、ナトリウム、及びカリウムから選択されるアルカリ金属であり、Mは好ましくはナトリウムである
と反応させることを含む。
【0030】
Y1が塩素原子である式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)の共役ジエンハロゲン化物中間体の調製は、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸のアルカリ金属塩、又はそれらの混合物を含む塩素化剤を使用して行うことができる。式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)のこの共役ジエン塩化物中間体の合成に関するさらなる詳細は、国際公開第2019/030059号に記載されており、この文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0031】
本発明の第2の態様の官能化共役ジエンは、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択され、
【0032】
【0033】
ここで、
・Rは分岐した不飽和ヒドロカルビレン基であり、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の官能化共役ジエンが由来する式(IIa)、(IIb)、(IIc)
【0034】
【0035】
の化合物の群から選択される出発共役ジエンは、少なくとも10個の炭素原子を有し、
・R1は、
i)単結合、
ii)酸素原子、硫黄原子、及びNR4基のうちの1つ以上;及び
iii)酸素原子、硫黄原子、及びNR4基から選択される1つ以上を任意に含むオルガニレン基
から選択され;
・R2及びR3は同じでも異なっていてもよく、Si(R5)3を表し、ここで、各R5は同じでも異なっていてもよく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含むオルガニル基を表し;
・R4は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含むオルガニル基を表す。
【0036】
本発明の説明において、オルガニル基は、官能基の種類に関係なく、炭素原子に1つの自由原子価を有する任意の有機置換基である。好ましくは、オルガニル基は、1~10個の炭素原子、及び任意選択で、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子、及び該当する場合はケイ素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む。又は、オルガニル基は、アリール、ヘテロアリール又はアラルキル基の場合、6~10個の炭素原子、及び任意選択で、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子、及び該当する場合はケイ素から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む。
【0037】
また、オルガニレン基は、官能基の種類に関係なく、1つの炭素原子に2つの自由原子価、又はその2つの炭素原子のそれぞれに1つの自由原子価を有する任意の有機置換基である。好ましくは、オルガニレン基は、1~10個の炭素原子、及び任意選択で、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子、及び該当する場合はケイ素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む。又は、オルガニレン基は、アリーレン、ヘテロアリーレン又はアルキレン基の場合、6~10個の炭素原子、及び任意選択で、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子、及び該当する場合はケイ素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む。
【0038】
好ましくは、本発明の官能化共役ジエンのR1は、i)単結合である。
本発明によれば、Rは分岐した不飽和ヒドロカルビレン基である。より好ましくは、式(IIa)、(IIb)、(IIc)の出発共役ジエンは、テルペン及び4,8-ジメチル-1,3,7-ノナトリエンから選択される。特に、テルペンはミルセン及びオシメンから選択される。例えば、テルペンは、α-ミルセン及びβ-ミルセンから選択されるミルセンである。
【0039】
式(Ia)、(Ib)、(Ic)の官能化共役ジエンを調製するための式(IIa)、(IIb)、(IIc)のテルペン出発物質は、モノテルペン、セスキテルペン、及びジテルペンから選択されることが好ましい。好ましくは、テルペンは、ミルセン又はオシメンなどのモノテルペンである。特に、第1の態様による方法のためのミルセン出発物質は、α-ミルセン及びβ-ミルセンから選択され、最も好ましくは、ミルセンはβ-ミルセンである。
【0040】
モノテルペンはイソプレノイド前駆体の二量体であり、ミルセンは多くのテルペンに関係する前駆体であるため、最も重要なものの1つである。ミルセンは、非常に活性なジエン構造を有するモノテルペンである。これは様々な工業プロセスで使用される。例えば、メントール、ゲラニオール、ネロール、及びリナロールなどの香料の技術的合成は、通常、ミルセンから始まる。また、ミルセンは比較的安価で環境に優しい出発物質である。
【0041】
出発共役ジエンの例は、次のモノテルペンである:ミルセン、又は3,7-ジメチル-1,3,7-オクタトリエン((E)-α-オシメン)、(Z)-3,7-ジメチル-1,3,6-オクタトリエン((Z)-β-オシメン)、(E)-3,7-ジメチル-1,3,6-オクタトリエン((E)-β-オシメン)、又は2,6-ジメチル-2,4,6-オクタトリエン(アロオシメン)。
【0042】
あるいは、4,8-ジメチル-1,3,7-ノナトリエンを出発共役ジエンとして使用する。例えば、そして最も好ましいのは、本発明の官能化共役ジエンは、式(Ia1)、(Ib1)、又は(Ic1)のミルセン誘導体である。
【0043】
【0044】
好ましい実施形態では、R2及びR3は同じであり、それぞれの基Si(R5)3の各R5は同じでも異なっていてもよく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含むオルガニル基を表す。より好ましくは、それぞれの基Si(R5)3の各R5は同じであり、線状又は分枝状の、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基を表し、最も好ましくは、各R5は同じであり、線状又は分枝状のアルキル、アリール、又はアルカリル基を表し、特に、各R5は同じであり、CH3又はC6H5を表す。各R5がCH3であること、すなわちR2及びR3がそれぞれSiMe3であることが最も好ましい。
【0045】
結果として、本発明によるミルセン誘導体は、最も好ましくは、式(Ia2)、(Ib2)、又は(Ic2)のものである。
【0046】
【0047】
第3の態様では、本発明は、エラストマーコポリマーの製造における第2の態様の1つ以上の官能化共役ジエンの使用に関する。
エラストマーコポリマーは、好ましくは、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンに由来する1つ以上の単位に加えて、1つ以上の共役ジエンモノマーに由来する単位を含む。
【0048】
本発明の第3の態様によるエラストマーコポリマーの製造に使用される共役ジエンモノマーは、好ましくは、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ペンタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、及び4,5-ジエチル-1,3-オクタジエンから選択される。より好ましくは、共役ジエンモノマーは、1,3-ブタジエン及びイソプレンから選択され、特に、共役ジエンモノマーは、1,3-ブタジエンである。
【0049】
好ましくは、第3の態様による使用は、1)アニオン重合又は2)配位重合によるエラストマーコポリマーの製造における使用である。
エラストマーコポリマーは、1つ以上のビニル芳香族モノマーに由来する単位をさらに含むことが好ましい。ビニル芳香族モノマーは、好ましくは、スチレン、1-ビニルナフタレン、3-メチルスチレン、3,5-ジエチルスチレン、4-プロピルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、4-ドデシルスチレン、3-メチル-5-n-ヘキシルスチレン、4-フェニルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、3,5-ジフェニルスチレン、2,3,4,5-テトラエチルスチレン、3-エチル-1-ビニルナフタレン、6-イソプロピル-1-ビニルナフタレン、6-シクロヘキシル-1-ビニルナフタレン、7-ドデシル-2-ビニルナフタレン、及びα-メチルスチレンから選択される。より好ましくは、ビニル芳香族モノマーは、スチレン、3-メチルスチレン、及びα-メチルスチレンから選択される。特に、ビニル芳香族モノマーはスチレンである。
【0050】
本発明によれば、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンに由来する単位の量は、それぞれエラストマーコポリマーの重量に基づいて、好ましくは0.05~5重量%の範囲、より好ましくは0.1~1.5重量%の範囲、最も好ましくは0.2~0.8重量%の範囲、例えば、0.2~0.6重量%の範囲、例えば、約0.5重量%などである。
【0051】
第3の態様による使用は、1つ以上の共役ジエンモノマー、任意選択で1つ以上のビニル芳香族モノマー、及び任意選択で、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンのアニオン共重合の開始剤としての、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される官能化共役ジエンのアルカリ金属塩誘導体の使用であり得る。
【0052】
第4の態様では、本発明は、カップリングコポリマー及び末端修飾コポリマーを含むコポリマー成分の製造方法に関する。この方法は以下の工程を含む:
(1)開始剤成分を提供する工程であって、前記開始剤成分は、任意選択で式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンの1つ以上のアルカリ金属塩誘導体を含む、開始剤成分を提供する工程、
(2)
i)任意選択で式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエン、
ii)1つ以上の共役ジエンモノマー、及び
iii)任意選択で1つ以上のビニル芳香族モノマー
を含むモノマー成分を、開始剤成分と接触させてアニオン共重合を開始する工程;
(3)共重合を継続してコポリマーを得る工程;
(4)任意選択で、1つ以上の官能化モノマーの存在下でコポリマーの共重合を継続して、官能化コポリマーを得る工程;
(5)任意選択で、工程(3)のコポリマーの一部又は工程(4)の官能化コポリマーの一部を1つ以上のカップリング剤とカップリングさせて、カップリングコポリマーを得る工程;
(6)任意選択で、工程(3)のコポリマーの一部又は工程(4)の官能化コポリマーの一部を1つ以上の末端修飾剤で末端修飾して、末端修飾コポリマーを得る工程;
(7)任意選択で、工程(3)のコポリマー、又は工程(4)の官能化コポリマー、又は工程(5)のカップリングコポリマー、又は工程(6)の末端修飾コポリマーの重合後修飾であって、
a.開始剤成分で再開始してアニオン共重合を開始すること、及び
b.1つ以上の官能化モノマー、好ましくは式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンの存在下で共重合を継続して、官能化側基を有するコポリマーを得ること
による重合後修飾。
【0053】
式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される官能化共役ジエンは、工程(1)及び(2)の少なくとも一方で使用される。
第5の態様において、本発明はエラストマーコポリマーを製造するための方法に関し、この方法は、
i)式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエン、
ii)1つ以上の共役ジエンモノマー、及び
iii)任意選択で1つ以上のビニル芳香族モノマー
を、アニオン重合条件に供することを含む。好ましくは、アニオン重合条件は、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の1つ以上の官能化共役ジエンのアルカリ金属塩誘導体で重合を開始することを含み、アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、及びカリウムから選択される。
【0054】
重合は、典型的には、有機リチウム化合物、リチウムアミド化合物、又は窒素原子含有官能化開始剤などのアニオン開始剤で開始される。有機リチウム化合物としては、1~20個の炭素原子を有する炭化水素基を有するものが好ましい。例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-オクチルリチウム、n-デシルリチウム、フェニルリチウム、2-ナフチルリチウム、2-ブチルフェニルリチウム、4-フェニル-ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、及びジイソプロピルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物が挙げられる。これらの化合物のうち、n-ブチルリチウム及びsec-ブチルリチウムが好ましい。
【0055】
リチウムアミド化合物としては、例えば、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジヘプチルアミド、リチウムジヘキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ-2-エチルヘキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウムN-メチルピペラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド及びリチウムメチルフェネチルアミドが挙げられる。これらの化合物のうち、重合開始能力の観点から好ましいのは、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド及びリチウムドデカメチレンイミドなどの環状リチウムアミドである。特に好ましいのは、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド及びリチウムピペリジドである。
【0056】
リチウムアミド化合物は、存在する場合、大抵は、第二級アミンとリチウム化合物から事前に調製され、続いて重合に使用される。しかしながら、これは重合システム(in situ)において調製されてもよい。利用されるリチウム開始剤の量は、重合されるモノマー及び合成されるポリマーに望まれる分子量によって変化する。
【0057】
官能化開始剤は、好ましくは、有機金属化合物、すなわち、n-ブチルリチウムなどのアルカリ金属の塩と、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される官能化共役ジエンとの反応によって調製される。
【0058】
アニオン重合を用いて、線状構造又は星型構造を有するコポリマーを得ることができる。また、分岐形成は、例えば、ジビニルベンゼンを用いて行われる。特定のポリマー画分を分画することは困難であるため、分岐レベルを予測することは困難である。したがって、アニオン重合によって得られるコポリマーを、それらの分散度指数Mw/Mnによって定義することがより適切であり、これは通常、以下のとおりである。
【0059】
・線状コポリマー:1.01~2.0;
・カップリングコポリマー:1.1~3;及び
・分岐コポリマー:1.1~8.0。
【0060】
第6の態様によれば、本発明は、エラストマーコポリマーを製造するための方法に関し、この方法は、
i)式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエン、及び
ii)1つ以上の共役ジエンモノマー
を、チーグラー・ナッタ重合条件に供することを含む。
【0061】
共役ジエン(1,3-ブタジエンなど)の配位重合では、チーグラー・ナッタ触媒が使用される。典型的な触媒組成は、二成分系、三成分系、又は四成分系である。二成分系は、触媒金属塩化物(例えば、Ni、Co、Ti、Nd、V、Ti、Zr、又はFeの塩化物)及び助触媒(例えば、アルミニウムアルキル又はマグネシウムアルキル化合物)を含む。三成分触媒系では、ハロゲン化物を含まない金属前駆体(リン酸ネオジムなど)が助触媒(アルミニウム又はマグネシウムアルキルなど)及びハロゲン化物供与体と組み合わされる。ハロゲン化物を含まない触媒系にハロゲン化物供与体を追加すると、触媒活性及びシス-1,4又はトランス-1,4の含有量が大幅に増加する。四成分触媒系では、三成分系で使用される成分に加えて、金属塩又はハロゲン化物供与体のいずれかのための可溶化剤が使用される。
【0062】
したがって、チーグラー・ナッタ重合条件は、好ましくは、1)金属塩化物及び2)助触媒を含む触媒系を含む。より好ましくは、金属塩化物1)は、Ni、Co、Ti、Nd、V、Ti、Zr、及びFeのうちの1つ以上の塩化物から選択され、助触媒2)は、アルミニウム及びマグネシウムアルキル化合物のうちの1つ以上から選択される。また、チーグラー・ナッタ重合条件には、さらなるモノマーの存在が含まれる場合がある。
【0063】
あるいは、チーグラー・ナッタ重合条件が、1)非ハロゲン化金属化合物、2)助触媒、及び3)ハロゲン化物供与体化合物を含む触媒系を含むことが好ましい。非ハロゲン化金属化合物1)は、好ましくは1つ以上のNd化合物であり、より好ましくは、Nd化合物は、ネオジムカルボキシラート、ネオジムアルコラート、ネオジムホスファート、ネオジムホスホナート、ネオジムアリル化合物、ネオジムシクロペンタジエニル錯体、ネオジムアミド、及びネオジムアセチルアセトナートから選択される。
【0064】
高シスポリブタジエンの製造に最も効果的な触媒は、ネオジムをベースとする三成分系であり、1)ネオジムカルボキシラート(例えば、ネオジム(III)バーサタート(versatate)(NdV)、ネオジム(III)オクタノアート(NdO)、ネオジム(III)イソオクタノアート(NdiO)、ネオジム(III)ナフテナート(NdN);2)ネオジムアルコラート(例えば、Nd(OBu)3、Nd(OiPr)3);3)ネオジムホスファート及びホスホナート(例えば、ネオジムビス(2-エチルヘキシル)ホスファート(NdP)、ビス(2-エチルヘキサノール)ホスホナート);4)ネオジムアリル化合物;5)ネオジムシクロペンタジエニル錯体(例えば、モノシクロペンタジエニルネオジムジクロリド(CpNdCl2)、モノシクロペンタジエニルジアルキルネオジム(CpNdR2)、モノシクロペンタジエニルジアリルネオジム(CpNd(η3-C3H5)2)、モノクロペンタジエニルトリスアリルネオジムの塩(例えば、Li[CpNd(η3-C3H5)3])、ジシクロペンタジエニルネオジム一塩化物(Cp2NdCl)、ジシクロペンタジエニルモノアルキルネオジム(Cp2NdR)、シリレン架橋ジシクロペンタジエニルネオジム誘導体(例えば、[R2Si(Cp)2]Nd(Cl/R));6)ネオジムアミド(例えば、Nd(N(SiMe3)2)3);又は7)ネオジムアセチルアセトナートなどの触媒前駆体を、1つ以上の助触媒、例えばAlMe3(TMA)、AlEt3(TEA)、AliBU3(TIBA)、AlOct3、メチルアルモキサン(MAO)、テトライソブチルジアルモキサン(TIBAO)、B(C6F5)3、修飾メチルアルモキサン(MMAO)、ヘキサイソブチルアルモキサン(HIBAO)、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAH)、MgR2、AlPr3、AlBu3、AlHex3、AlOct3、AlDodec3、AlEt3、又はAlMe3と組み合わせて使用する。
【0065】
ハロゲン化物供与体の例は、SiCl4、セスキ塩化エチルアルミニウム(EASC)、塩化ジエチルアルミニウム(DEAC)、塩化ジメチルアルミニウム、塩化ブチル(BuCl)、塩化ジブチルアルミニウム、AlBr3、EtAlCl2、及びMe3SiClである。
【0066】
第6の態様に従って、すなわち配位重合によって製造されたコポリマーは、好ましくは、線状構造又は分岐構造を有する。ポリマー構造は触媒組成によって決定され、通常は次のとおりである(Mw/Mn):
・線状コポリマー:1.5~5.0、
・分岐コポリマー:1.5~20.0。
【0067】
第7の態様によれば、本発明は、以下に由来する繰り返し単位を含むエラストマーコポリマーに関する。
A)コポリマーの0.05重量%~5重量%の、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエン;
B)コポリマーの45重量%~99.95重量%の、1つ以上の共役ジエンモノマー;
C)コポリマーの0重量%~50重量%の、1つ以上のビニル芳香族モノマー。
【0068】
第7の態様のエラストマーコポリマー中のB)コンジュゲートジエンモノマーの量は、好ましくはコポリマーの50~92重量%、より好ましくはコポリマーの60~90重量%、特にコポリマーの65~80重量%である。
【0069】
ビニル芳香族モノマーは、存在する場合、好ましくは、スチレン、1-ビニルナフタレン、3-メチルスチレン、3,5-ジエチルスチレン、4-プロピルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、4-ドデシルスチレン、3-メチル-5-n-ヘキシルスチレン、4-フェニルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、3,5-ジフェニルスチレン、2,3,4,5-テトラエチルスチレン、3-エチル-1-ビニルナフタレン、6-イソプロピル-1-ビニルナフタレン、6-シクロヘキシル-1-ビニルナフタレン、7-ドデシル-2-ビニルナフタレン、及びα-メチルスチレンから選択される。より好ましくは、ビニル芳香族モノマーは、スチレン、3-メチルスチレン及びα-メチルスチレンから選択される。特に、ビニル芳香族モノマーはスチレンである。
【0070】
本発明の第7の態様によるエラストマーコポリマー中のC)ビニル芳香族モノマーの量は、好ましくはコポリマーの8~45重量%、より好ましくはコポリマーの10~40重量%であり、特に、コポリマーの20~35重量%である。
【0071】
あるいは、エラストマーコポリマーは、1重量%未満のC)ビニル芳香族モノマーを含み(及び好ましくはC)ビニル芳香族モノマーを含まず)、B)共役ジエンモノマーの量は、コポリマーの95~99.95重量%、好ましくはコポリマーの98~99.6重量%であり、特に、コポリマーの99.0~99.4重量%である。
【0072】
第7の態様によるエラストマーコポリマー中の共役ジエンモノマーは、好ましくは、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ペンタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、及び4,5-ジエチル-1,3-オクタジエンから選択される。より好ましくは、共役ジエンモノマーは、1,3-ブタジエン及びイソプレンから選択される。共役ジエンモノマーは特に1,3-ブタジエンである。
【0073】
本発明によるエラストマーコポリマーは、線状構造を有する単位を含み得る。
また、コポリマーは、分岐構造を有する単位を含み得る。
さらに、エラストマーコポリマーは、星型構造を有し、アニオン重合条件において金属で終端しているリビング線形コポリマーと1つ以上のカップリング剤との反応によって生成される単位を含み得る。カップリング剤は、
I)ハロゲン化スズカップリング剤(好ましくはハロゲン化スズカップリング剤は四塩化スズである)、又は
II)ハロゲン化ケイ素カップリング剤(好ましくは、ハロゲン化ケイ素カップリング剤は、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四フッ化ケイ素、四ヨウ化ケイ素、ヘキサクロロジシラン、ヘキサブロモジシラン、ヘキサフルオロジシラン、ヘキサヨードジシラン、オクタクロロトリシラン、オクタブロモトリシラン、オクタフルオロトリシラン、オクタヨードトリシラン、ヘキサクロロジシロキサン、2,2,4,4,6,6-ヘキサクロロ-2,4,6-トリシラヘプタン-1,2,3,4,5,6-ヘキサキス[2-(メチルジクロロシリル)エチル]ベンゼン、及び一般式(V)のアルキルケイ素塩化物であって、
R6
n-Si-X4-n(V)、
式中、R6は、1~20個の炭素原子を有する一価の脂肪族炭化水素基、又は6~18個の炭素原子を有する一価の芳香族炭化水素基であり、nは1~2の整数であり、Xは、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、又はヨウ素原子であり得るアルキルケイ素塩化物から選択される)
であり得る。
【0074】
第7の態様によるエラストマーコポリマーにおいて、星型構造を有する単位の割合は、好ましくは、コポリマーの0~75重量%である。
第8の態様によれば、本発明は、1つ以上の加硫剤の存在下で第7の態様によるエラストマーコポリマーを加硫することを含む、ゴムを製造するための方法に関する。
【0075】
第9の態様によれば、本発明は、第8の態様の方法に従って得られるゴムに関する。
第10の態様によれば、本発明は、第9の態様によるゴムを含むx)ゴム成分を含むゴム組成物に関する。好ましくは、ゴム組成物は、y)1つ以上のフィラーをさらに含む。フィラーは、好ましくは、シリカ及びカーボンブラックからなる群から選択される。最も好ましくは、ゴム組成物は、y)シリカ及びカーボンブラックの両方を含む。
【0076】
第10の態様の好ましい実施形態では、ゴム組成物中のフィラー成分y)の量は、ゴム成分x)の100質量部に対して10~150質量部(phr)である。好ましくは、フィラー成分y)の量は、20~140prhである。より好ましくは、フィラー成分y)の量は30~130phrである。
【0077】
好ましくは、第10の態様によるゴム組成物中のゴム成分x)は、1つ以上のさらなるゴム状ポリマーをさらに含む。天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレン-α-オレフィンコポリマーゴム、エチレン-α-オレフィン-ジエンコポリマーゴム、アクリロニトリル-ブタジエンコポリマーゴム、クロロプレンゴム、及びハロゲン化ブチルゴムからなる群から、さらなるゴム状ポリマーを選択することが好ましい。
【0078】
本発明の第11の態様によるタイヤ構成要素は、第10の態様によるゴム組成物を含む。好ましくは、タイヤ構成要素はタイヤトレッドである。
本発明の第12の態様によるタイヤは、第11の態様のタイヤ構成要素を含む。
【0079】
本発明の利点は、以下の実施例からより明らかになる。別段の指定がない限り、すべてのパーセンテージは重量基準で示されている。
実施例
出発物質であるクロロミルセンを、国際公開第2019/030059号に従って、ベータミルセン(7-メチル-3-メチレン-1,6-オクタジエン)から調製し、3つの異性体の混合物である生成物を得た。この混合物は、95%を超える3-クロロ-2-メチル-6-メチレン-1,7-オクタジエン
【0080】
【0081】
を含む。
I.モノマーの合成:実施例1a
マグネチックスターラー、滴下漏斗、ならびに、ガス導入アタッチメント及びオイルバルブを備えた還流冷却器を備えた1L容量の反応器(ザイツェフウォッシャー(Zaitsev washer))を、クロロミルセン(すなわち上記の混合物、150g、0.88mol)を充填したアルゴン雰囲気下に置いた。続いて、乾燥及び脱酸素化したテトラヒドロフラン(THF、200mL)を添加した。これは、反応器の内容物を撹拌しながら、室温で行われた。次に、滴下漏斗に、THF中の402.9gのナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド40%溶液(0.88mol、161.5gの純粋なナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド)を充填した。ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド溶液を反応物に滴下し、反応温度を30℃未満に維持した。ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド溶液の投入が完了した後、反応器温度を30℃の範囲に1時間維持し、続いて室温に冷却した。次に、減圧下で反応後混合物から溶媒を蒸発させ、1.0Lのn-ヘキサンを反応残留物に加えた。得られた懸濁液を濾別し、沈殿物をそれぞれ200mlのn-ヘキサンの3つの部分で洗浄した。次に、得られた濾液から、減圧下40℃で定圧になるまで溶媒を蒸発させ、252gの生成物が80%の収率で得られた。
【0082】
GC-MS:295(1.69),280(6.59),174(22.46),134(1.58),100(9.18),86(6.55),73(100.00),59(18.51),45(12.56)
II.官能化ゴムの合成例
II.1 アニオン重合における官能化ミルセンの適用
本発明に従って製造されたエラストマーの合成及び特性に関する詳細を提供するために、正確に制御されたミクロ及びマクロ構造及び官能基を有する官能化スチレン-ブタジエンコポリマーを以下の実施例2b、3b及び4bに記載し、比較例1bに記載されているように非官能化コポリマーと比較する。
【0083】
重合
不活性化工程:
シクロヘキサン(1.2kg)を窒素パージした2リットルの反応器に加え、シクロヘキサン中の1.6M n-ブチルリチウム溶液1グラムで処理した。溶液を70℃に加熱し、10分間激しく撹拌して、反応器の洗浄及び不活性化を行った。その後、ドレンバルブを介して溶媒を除去し、窒素を再度パージした。
【0084】
例1b(比較)
シクロヘキサン(820g)を不活性化した2リットル反応器に加え、続いてスチレン(31g)及び1,3-ブタジエン(117g)を加えた。スチレン及び1,3-ブタジエンからのインヒビターを除去した。次に、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、2.21mmol)を加え、ブタジエン由来の単位から、スチレンモノマーをランダムに取り込ませ、ビニル含有量を増加させた。反応器内の溶液を60℃に加熱し、プロセス全体を通して継続的に撹拌した。所望の温度に達したら、n-ブチルリチウム(0.045mmol)を加えて、残留不純物のクエンチングを行った。次に、n-ブチルリチウム(0.845mmol)を添加して、重合プロセスを開始した。反応は等温プロセスとして60分間行った。この後、カップリング剤として四塩化ケイ素(5.25×10-2mmol)をポリマー溶液に添加した。カップリングは5分間行った。窒素パージしたイソプロピルアルコール(1mmol)を用いて反応溶液を停止し、2-メチル-4,6-ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノールを(1.0phrポリマーで)添加することにより迅速に安定化させた。ポリマー溶液をイソプロパノールで処理すると、ポリマーの沈殿が生じた。最終生成物を真空オーブンで一晩乾燥させた。
【0085】
実施例2b(コモノマーとしての実施例1aからのミルセン誘導体)
シクロヘキサン(820g)を不活性化した2リットル反応器に加え、続いてスチレン(31g)、実施例1aの官能化ミルセン(0.75g)及び1,3-ブタジエン(117g)を加えた。スチレン及び1,3-ブタジエンからのインヒビターを除去した。次に、2,2-ビス(2-テトラヒドロフリル)プロパン(DTHFP、2.52mmol)を加え、ブタジエン由来の単位から、スチレンモノマーをランダムに取り込ませ、ビニル含有量を増加させた。反応器内の溶液を60℃に加熱し、プロセス全体を通して継続的に撹拌した。所望の温度に達したら、n-ブチルリチウム(0.045mmol)を加えて、残留不純物のクエンチングを行った。次に、n-ブチルリチウム(0.845mmol)を添加して、重合プロセスを開始した。反応は等温プロセスとして60分間行った。この後、カップリング剤として四塩化ケイ素(6.30×10-2mmol)をポリマー溶液に加えた。カップリングは5分間行った。窒素パージしたイソプロピルアルコール(1mmol)を用いて反応溶液を停止し、2-メチル-4,6-ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノールを(1.0phrポリマーで)添加することにより迅速に安定化させた。ポリマー溶液をイソプロパノールで処理すると、ポリマーの沈殿が生じた。最終生成物を真空オーブンで一晩乾燥させた。
【0086】
実施例3b(開始剤成分及びコモノマーの両方としての実施例1aからのミルセン誘導体)
シクロヘキサン(820g)を不活性化した2リットル反応器に加え、続いてスチレン(31g)、実施例1aの官能化ミルセン(0.50g)及び1,3-ブタジエン(117g)を加えた。スチレン及び1,3-ブタジエンからのインヒビターを除去した。次に、2,2-ビス(2-テトラヒドロフリル)プロパン(DTHFP、3.69mmol)をスチレンランダマイザーとして添加し、ブタジエン由来の単位からビニル含有量を増加させた。反応器内の溶液を60℃に加熱し、プロセス全体を通して継続的に撹拌した。温度に達したら、n-ブチルリチウム(0.045mmol)を反応器に加えて、残留不純物のクエンチングを行った。
【0087】
実施例1aのn-ブチルリチウム(1.23mmol)及び官能化ミルセン(0.25g)をビュレット中で混合した。接触時間は約15分であり、次いで混合物を重合プロセスの開始のために添加した。等温プロセスとして、反応を60分かけて行った。この後、カップリング剤として四塩化ケイ素(6.30×10-2mmol)をポリマー溶液に添加した。カップリングは5分間行った。窒素パージしたイソプロピルアルコール(1mmol)を用いて反応溶液を停止し、2-メチル-4,6-ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノールを(1.0phrポリマーで)添加することにより迅速に安定化させた。ポリマー溶液をイソプロパノールで処理すると、ポリマーの沈殿が生じた。最終生成物を真空オーブンで一晩乾燥させた。
【0088】
実施例4b(連続重合)
ブタジエン-スチレンコポリマーを、それぞれ10L(反応器1)、20L(反応器2)及び10L(反応器3)の容積を有する3つの連続反応器のカスケードで調製した。各反応器はパドルスターラーを備えていた。撹拌速度は150~200rpmであり、充填率は50%~60%のレベルであった。ヘキサン、スチレン、1,3-ブタジエン、1,2-ブタジエン(ゲル形成防止添加剤)、DTHFP、及び実施例1aの官能化ミルセン(最後の3つの反応物はヘキサン溶液として)を第1の反応器に投入した。流量はそれぞれ、10752.00g/h、398.00g/h、1499.00g/h、19.00g/h、102.00g/h、46.03g/hとした。n-ブチルリチウムの流量(ヘキサン溶液として)は107.00g/hであり、実施例1aの官能化ミルセン(ヘキサン溶液として)の流量は141.48g/hであった。実施例1aのn-ブチルリチウムの流れ及び重量で50/50の官能化ミルセンを、反応器に入れる前にパイプスタティックミキサーで混合した。接触時間は約15分であった。反応器内の温度は70℃~85℃であった。分岐ゴムを得るために、四塩化ケイ素を反応器3の入口で、スタティックミキサーの入口で、SiCl4/活性n-ブチルリチウム比0.05で加えた。カップリング反応は70~85℃で行った。反応器3の出口で、抗酸化剤として2-メチル-4,6-ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノールを(ヘキサン溶液として)加えた(142g/h)。
【0089】
続いて、ポリマー溶液をストリッパーに移した。ポリマー溶液の総質量の2倍の量の蒸留水、ならびにpH調整剤及び石鹸をポリマー溶液に加え、次にストリッパーの内容物を蒸気で処理した。溶媒が全量除去されるまでスチームストリッピングを行い、ゴムクラムを得た。次に、ゴムクラムをストリッパーから取り出し、室温に冷却し、粉砕し、熱風の流れの中で乾燥させた。
【0090】
特性評価
ビニル含有量(%)
BS ISO 21561:2005に基づき、600MHz1H-NMRによって決定する。
【0091】
結合スチレン含有量(%)
BS ISO 21561:2005に基づき、600MHz1H-NMRによって決定する。
【0092】
分子量測定
サンプル調製のために、PSS Polymer Standards Service製の複数のカラム(ガードカラム付き)を通して、THFを溶離液として使用してゲル浸透クロマトグラフィーを行った。Wyatt Technologies Dawn Heleos II光散乱検出器、DAD(PDA)Agilent 1260 Infinity UV-VIS検出器及びAgilent 1260 Infinity屈折率検出器を用いて、マルチアングルレーザー光散乱測定を行った。
【0093】
ガラス転移温度(℃)
PN-EN ISO 11357-1:2009に基づいて決定する。
ムーニー粘度(ML(1+4)/100℃)
ASTM D 1646-07に基づき、予熱=1分、ローター動作時間=4分、温度=100℃の条件下で大型ローターを使用して決定する。
【0094】
加硫特性
ASTM D6204に基づき、RPA 2000 Alpha Technologiesゴム加工アナライザーを使用して、動作時間=30分、温度=170℃で決定する。
【0095】
ゴム組成物の特性の評価及び測定
各実施例で得られたポリマーを用いて加硫ゴム配合物を調製し、以下の試験パラメータについて測定した。
【0096】
i)タイヤ予測値(60℃でのtanδ、0℃でのtanδ、-10℃でのtanδ)
加硫ゴム配合物をテストサンプルとして使用し、動的機械分析装置(DMA450+MetraviB)を使用して、動的ひずみ=2%、周波数=10Hz、温度範囲-70~70℃、加熱速度2.5K/分の条件下で単一せん断モードでこのパラメータを測定した。
【0097】
ii)反発弾性率
ISO 4662に基づいて測定する。
表1は、この研究のために合成された4つのサンプルの特性評価結果を示す。
【0098】
【0099】
配合
実施例2b、3b、4b及び比較例1bでそれぞれ得られたゴムを使用して、表2に示す「ゴム組成物の配合レシピ」に従って配合を行った。溶液スチレンブタジエンゴム、フィラー、及びゴム添加剤の配合は、バンバリー型の内部ミキサー(350E Brabender GmbH&Co.KG)及び実験室サイズの2ロールミルで行った。ゴム配合物を2つの異なる段階で混合し、最終パスは2ロールミルで完了した。第1段階は、ポリマーをオイル、シリカ、シランカップリング剤、6PPD、及び活性剤といくつかのステップで混合するのに使用した。第2段階は、カーボンブラックの添加とともにシリカの分布をさらに改善することであった。その後、配合物を24時間放置した。最終パスのためにコンディショニングするために、ゴム配合物を4時間コンディショニングした。最終的な混合は2ロールミルで行った。最後のステップは、硬化パッケージを追加するために使用した。次に、各配合物を170℃でT95+1.5分間(RPAの結果に基づいて)加硫し、加硫物を得た。各加硫ゴム配合物を、上記の硬化特性、タイヤ予測値、及び反発弾性率について評価及び測定した。結果を表3に示す。
【0100】
【0101】
【0102】
これらの結果から、シリカ混合物において、加硫状態での特性に基づいて判断すると、本発明によるSSBR3bは、対応するゴム組成物3cに、対照のSSBR1b及び本発明による他のSSBR2bで得られるものよりも優れた強化特性を与えることが明らかである。さらに、表3のデータは、連続重合で得られたSSBR4bが、SSBR1b対照及びSSBR2bと比較して優れた強化特性を有することを示している。
【0103】
さらに、本発明によるゴム組成物3cのタイヤ予測値は、本発明による対照ゴム組成物1cならびにゴム組成物2c及び4cのものと比較して(転がり抵抗に関して)改善されている。さらに、前記タイヤ予測値は、対照ゴム組成物1cと比較して、本発明によるゴム組成物2cについて改善されている。さらに、タイヤ予測値は、対照ゴム組成物1cと比較して、本発明によるゴム組成物4cについて改善されており、また、アイストラクション性能及びドライトラクション性能は、ゴム組成物1c、2c、及び3cのものと比較して改善されている。
【0104】
II.2 配位重合における官能化ミルセンの応用
本発明に従って製造されるエラストマーの合成及び特性に関するさらなる詳細を提供するために、官能基を有する官能化ブタジエンホモポリマーを以下の実施例6b及び8bに記載し、比較例5b及び7bに記載の非官能化ホモポリマーと比較する。これらの例で使用されている出発物質の量を表4に示す。特性の測定方法及び評価方法を以下に示す。
【0105】
重合(追加情報については、アニオン的に得られたポリマーに関する上記の情報を参照されたい)
触媒の組成及び手順については、下記の出版物を参照されたい。
【0106】
1. Lars Friebe, Oskar Nuyken and Werner Obrecht, “A Comparison of Neodymium Versatate, Neodymium Neopentanolate and Neodymium Bis(2-ethylhexyl)phosphate in Ternary Ziegler Type Catalyst Systems With Regard to their Impact on the Polymeriza-tion of 1,3-Butadiene”(1,3-ブタジエンの重合への影響に関する、三成分チーグラー型触媒系におけるベルサチン酸ネオジム、ネオペンタノリン酸ネオジム、及びビス(2-エチルヘキシル)リン酸ネオジムの比較), J. Macromol. Sci. A., (2005), 42, 7, 839-851
2. Friebe, L., Nuyken, O., Windisch, H., and Obrecht, W. “Polymerization of 1,3-butadiene initiated by neodymium versatate/diisobutylaluminum hydride/ethylaluminum sesquichloride: Kinetics and conclusions about the reaction mechanism”(ベルサチン酸ネオジム/水素化ジイソブチルアルミニウム/エチルアルミニウムセスキクロライドによって開始される1,3-ブタジエンの重合:反応メカニズムに関する速度論及び結論), Macromol. Chem. Phys., (2002), 203, 8, 1055-1064
全般的な重合の説明:
20リットル反応器に、乾燥1,3-ブタジエン及び乾燥溶媒(シクロヘキサン)、及び実施例1aの官能化ミルセンを充填し、60℃に加熱した。続いて、触媒を次の順序で添加した:ネオジムビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート(NdP)、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAH)(両方ともシクロヘキサン中の0.1mol/L溶液)。重合は、エチルアルミニウムセスキクロリド(EASC)(シクロヘキサン中の1.0mol/L溶液)の添加により開始した。反応器内の溶液を加熱し、プロセス全体を通して継続的に撹拌した。反応混合物の温度は60~90℃に保持した。窒素パージしたイソプロピルアルコールを使用して反応溶液を停止し、2-メチル-4,6-ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノールを(1.0phrポリマーで)添加することにより迅速に安定化させた。
【0107】
ポリマーを、溶媒のスチームストリッピングを使用する従来の回収操作によって回収し、熱風の流れの中で乾燥させた。
反応条件、使用したレシピ、得られたポリマーの特性の詳細を以下の表4に示す。
【0108】
【0109】
特性評価(追加情報については、アニオン的に得られたポリマーに関する上記の情報を参照されたい)
ビニル含有量、シス-1,4含有量、トランス-1,4含有量(%)
ブタジエンゴムの微細構造を、赤外分光法(Thermo Scientific Nicolet Is10)によって決定した。ポリ(ブタジエン)の微細構造の定量には、次のピークを使用した。
【0110】
735cm-1(δ(シス-R-CH=CR-H)、→シス-1,4、ε=0.192)、
912cm-1(δ(R-CH=CH-H)、→ビニル(1,2)、ε=1.0)、
965cm-1(δ(トランス-R-CH=CR-H)、→トランス-1,4、ε=0.769)。
【0111】
方法論は以下に記載されている:
1. M. Kraft, Struktur und Absorptionsspektroskopie der Kunststoffe, VCH, Weinheim 1973, p. 93;及び
2. E. O. Schmalz, W. Kimmer, Z. Anal. Chem. 1961, 181, 229。
【0112】
加硫ゴム組成物の特性の評価及び測定(追加情報については、アニオン的に得られたポリマーに関する上記の情報を参照されたい)
各実施例で得られたポリマーを用いて加硫ゴム配合物を製造し、以下の試験パラメータについて測定した。
【0113】
i)タイヤ予測値(60℃でのtanδ、0℃でのtanδ、-10℃でのtanδ、30℃でのJ”)
加硫ゴム組成物をテストサンプルとして使用し、動的機械分析装置(DMA450+MetraviB)を使用して、引張ひずみ=2%、周波数=10Hz、温度範囲-80~80℃、加熱速度2.5K/分の条件下、せん断モードでこのパラメータを測定した。
【0114】
ii)反発弾性率
ISO 4662に基づいて測定する。
iii)強化係数
弾性率300%から弾性率100%の間の比率として表され、Zwick/Roel Z005を使用してPN-ISO 37:2007に基づいて決定する。
【0115】
iv)シリカ分散
disperGRADER Alpha Technologiesを使用して、ISO 1134C、D、E:ASTM D7723に基づいて決定する。
【0116】
配合(追加情報については、アニオン的に得られたポリマーに関する上記の情報を参照されたい)
実施例6b及び8bならびに比較例5b及び7bでそれぞれ得られたゴムを使用して、表5に示される配合レシピに従って配合を行った。溶液スチレンブタジエンゴム、フィラー、及びゴム添加剤の配合は、ファレルタイプの内部ミキサー(Mixer Farrel BR+1600)及び実験室サイズの2ロールミルで行った。ゴム配合物を3つの異なる段階で混合した。最初の2段階は内部ミキサーで、第3段階(最終パス)は2ロールミルで完了した。
【0117】
第1段階は、ゴムをオイル、シリカ、シランカップリング剤、6PPD、及び活性剤といくつかのステップで混合するのに使用した。第2段階は、カーボンブラックの添加とともにシリカの分布をさらに改善するために実施し、次に組成物を24時間コンディショニングした。最終的な混合は2ロールミルで行った。最後のステップは、硬化パッケージを追加するために使用した。次に、各配合物を170℃でT95+1.5分間(RPAの結果に基づいて)加硫し、加硫物を得た。各加硫ゴム配合物を、上記の硬化特性、ペイン効果及びタイヤ予測値について評価及び測定した。結果を表6に示す。
【0118】
【0119】
【0120】
実施例6c及び8cならびに比較例5c及び7cでそれぞれ得られたゴムを試験し、互いに比較した(官能化対非官能化)。表6に提示された結果を参照されたい。
同様の高い(58、64)ムーニー範囲に対応する実施例5cと実施例6cとを比較し、同様の低い(44、51)ムーニー範囲に対応する実施例7cと実施例8cとを比較した。
【0121】
いずれの場合も、転がり抵抗、ドライトラクション、冬季トラクションなどの、DMAから得られたタイヤ予測値は、官能化(例6c、8c-表6)と非官能化(例5c、7c-表6)のゴムを比較すると改善されている。高温でのリバウンドについても同様である。強化指数、弾性率100%に対する弾性率300%の比率も増加し、シリカの分散率(dispeGRADER)がはるかに高くなることが分かった。これにより、非官能化ゴムを使用した場合と比較して、官能化シス-ポリブタジエンゴムとフィラー(シリカ)との間の相互作用がはるかに高いことが確認された。
【0122】
本発明を説明する目的で、特定の代表的な実施形態及び詳細を示したが、本技術分野の当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができることが明らかである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。