(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】手持ち式電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/02 20060101AFI20240820BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B25F5/02
B25F5/00 B
B25F5/00 C
B25F5/00 H
(21)【出願番号】P 2021562998
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2020061290
(87)【国際公開番号】W WO2020216822
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-02-08
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】502212604
【氏名又は名称】アトラス・コプコ・インダストリアル・テクニーク・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】エーバリ ハンス ニクラス
(72)【発明者】
【氏名】ニーストレーム オーラ ペッテル
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-105384(JP,U)
【文献】特開平11-114847(JP,A)
【文献】特開2002-337074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B25B 23/00 - 23/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結用の手持ち式電動工具(1)であって、
軸方向(A-A)を定める出力アクスルに結合されたモータが配置されるハウジング(10)と、
前記ハウジングに前端部(10a)にて取り付けられたトルクマルチプライヤ(20)と、
第1のハンドル部分(30)と、
前記ハウジングの前端部(10a)に配置され、前記軸方向に平行な方向に延在して、ユーザが前記トルクマルチプライヤにて前記手持ち式電動工具を支持できるようにする第2の支持ハンドル構造(40)と、を備え、
前記手持ち式電動工具は更に、
前記第1のハンドル部分(30)に配置され、前記モータへのエネルギーの供給を制御するように構成された第1のスイッチ(31)と、
前記モータへのエネルギーの供給を制御するように構成された第2のスイッチ(41)と、を備え、
前記手持ち式電動工具は、前記モータにエネルギーを供給するために、前記手持ち式電動工具のユーザが前記第1のスイッチと前記第2のスイッチを同時に作動させることを必要とするように作動し、
前記第2の支持ハンドル構造が、前記軸方向に平行な方向に延在してオペレータの手を支持するように適合された細長い把持部分(42)と、前記細長い把持部分に配置された前記第2のスイッチ(41)とを備える、手持ち式電動工具。
【請求項2】
前記第2の支持ハンドル構造が、前記ハウジングの前記前端部に解除可能に配置されている、請求項1に記載の手持ち式電動工具。
【請求項3】
前記第2の支持ハンドル構造が、前記ハウジングの前記前端部に回転可能に配置されている、請求項1又は2に記載の手持ち式電動工具。
【請求項4】
前記第2の支持ハンドル構造が、前記トルクマルチプライヤに対して円周方向位置で前記出力アクスルに平行な方向に延びるように配置され、これによりユーザは、前記トルクマルチプライヤの下で前記手持ち式電動工具を垂直に支持することができる、請求項1
から3のいずれか一項に記載の手持ち式電動工具。
【請求項5】
前記第2の支持ハンドル構造が、前記手持ち式電動工具の重心の軸方向位置と一致する軸方向位置に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の手持ち式電動工具。
【請求項6】
前記第1のハンドル部分が、前記円周方向位置に延びるように配置されている、請求項4に記載の手持ち式電動工具。
【請求項7】
前記第1のハンドル部分が、前記出力アクスルに実質的に垂直な方向に延びるように配置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の手持ち式電動工具。
【請求項8】
前記細長い把持部分は、前記オペレータの手のひらにフィットするように適合された丸みのある外面(42a)を備える、請求項
1から7のいずれか一項に記載の手持ち式電動工具。
【請求項9】
前記細長い把持部分が、前記トルクマルチプライヤの円周の半分未満にわたって円周方向に更に延びる、請求項
1から8のいずれか一項に記載の手持ち式電動工具。
【請求項10】
前記第2の支持ハンドル構造が、前記第2の支持ハンドル構造を前記ハウジングに取り付けるための取付リング(43)を更に備える、請求項1から
9のいずれか一項に記載の手持ち式電動工具。
【請求項11】
前記取付リングが、前記ハウジングと前記トルクマルチプライヤとの間に装着されるように適合されている、請求項
10に記載の手持ち式電動工具。
【請求項12】
前記手持ち式電動工具は、前記第1及び第2のスイッチのうちの少なくとも1つが解除された場合に、前記モータへの前記エネルギーの供給を遮断するように動作する、請求項1から
11のいずれか一項に記載の手持ち式電動工具。
【請求項13】
前記第1のハンドル部分が、前記ハウジングと一体的に形成されている、請求項1から
12のいずれか一項に記載の手持ち式電動工具。
【請求項14】
前記手持ち式電動工具が、バッテリーを更に含むバッテリー駆動工具である、請求項1から
13のいずれか一項に記載の手持ち式電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、手持ち式電動工具、より具体的には、スイッチを備えて、これらスイッチの動作に基づいてモータへのエネルギー供給を制御するように構成された電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
締結用の手持ち式電動工具は、様々な業界で使用されていることが知られており、使用されるスクリューのサイズは、極めて大きいものから極めて小さいものまで様々である。極めて大きなネジが一般的に使用される場合、これらはまた、極めて高いトルクレベルで締結する必要がある。このため、このような分野で使用される工具は、大型で重量がある傾向があり、工具を取り扱うオペレータにかなりの負担をかけ、工具の人間工学に高い要求を課している。更に、必要とされる高いトルクレベルを提供するために、重量のあるいわゆるフロントギアユニット(トルクマルチプライヤとも呼ばれる)が一般的に使用され、このような工具の重量配分が工具の前端部に向かってシフトし、従って、ユーザにとって人間工学的ではない工具となる。用途によっては、このようなスクリューは更に、届きにくい位置にある状況があり、これはオペレータの負担に悪影響を与える別の要因である。
【0003】
人間工学的状況を改善する既知の方法の1つは、オペレータがフロントギアユニットを保持して前端部にて工具を支持することである。しかしながら、このような工具によって提供される高トルクを考えると、これはかなりの安全上の問題を伴う。例えば、前述の高トルクレベルでは反動アームの使用が一般的であるので、オペレータの手が反動アームとジョイント及び/又はワークピースとの間で圧迫又は挟まれるリスクがある。
【0004】
これらの問題の幾つかを軽減するために、1又は2以上のハンドルを使用して両手グリップを提供する試みがなされてきた。しかしながら、オペレータが必ずしも意図した工具を扱うとは限らず、提供されたハンドルを使用しない可能性があるので、人間工学的でない状況と圧迫の危険性の両方に依然として晒される可能性がある点、更にハンドルの導入自体が工具をより複雑で嵩高にするという点で、依然として問題がある。従って、このような手持ち式電動工具の分野における改善の必要性がある。
【発明の概要】
【0005】
従って、工具のオペレータにかかる負担を少なくして、工具のより人間工学的な取り扱いを可能にする設計を提供することが望ましいであろう。詳細には、作業現場の安全性も向上し、工具に不必要な複雑さ及び嵩高さを加えないこのような設計を提供することが望まれる。これらの懸念点の1又は2以上に適切に対処するために、独立クレームにて定義されている手持ち式電動工具が提供される。好ましい実施形態は、従属請求項にて定義される。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、手持ち式電動工具が提供され、電動工具は、軸方向を定める出力アクスルに結合されたモータが配置されるハウジングと、前端部にてハウジングに取り付けられたフロントギアユニットと、第1のハンドル部分と、ハウジングの前端部に配置され、軸方向に平行な方向に延びてユーザがフロントギアで工具を支持できるようにする第2の支持ハンドル構造とを備える。工具は更に、第1のハンドルに配置され、モータへのエネルギーの供給を制御するように構成された第1のスイッチと、モータへのエネルギーの供給を制御するように構成された第2のスイッチとを更に備え、手持ち式電動工具は、モータにエネルギーを供給するために、電動工具のユーザが第1のスイッチと第2のスイッチを同時に作動させることを必要とするように動作し、第2のスイッチは第2の支持ハンドル構造に配置される。
【0007】
第1の態様によれば、手持ち式電動工具は、ユーザが一般的に重量のあるフロントギアユニットにて工具を人間工学的に支持することを可能にする第2のハンドル構造であって、更にまたユーザが第1のハンドル又は一次ハンドルにて工具を保持し且つフロントギア(すなわち、第2の支持構造)にて工具を支持するときにのみエネルギーがモータに供給されるように第2のスイッチが配置される第2のハンドル構造を組み込む設計によって、上記の懸念点に対する本発明の解決策を提供する。
【0008】
従って、本発明による電動工具は、1つの本発明の構造、すなわち本発明の第2のハンドル構造を提供することによって、改善された人間工学及び改善された安全性を好適に提供し、従って、工具の複雑さ及び嵩高も低減する。これは、モータにエネルギーを供給するために、オペレータが第2の手を第2の支持ハンドルにて保持することを余儀なくされるので、人間工学的な作業位置が常に自動的に達成され、従って、独立請求項1による電動工具の本発明の設計は、人間工学の欠如と安全性の欠如の両方の問題を解決し、これにより、工具の複雑さ及び嵩高さが軽減される。
【0009】
参照される手持ち式電動工具は、例えば、ピストル型ナットランナ、例えば、電気ピストル型ナットランナとすることができる。手持ち式工具は、幾つかの実施形態では、トランスデューサ内蔵工具とすることができる。更に、工具は、用途に応じて、適切な反動アーム、例えば旋回反動バーを更に含むことができる。一実施形態では、この反動アームは、フロントギアの前端部に配置することができ、第2の支持ハンドルは、第1のハンドルと反動バーのアタッチメントとの間に配置することができる。フロントギアユニットは、旋回式フロントギアユニットとすることができる。
【0010】
更に、一実施形態によれば、手持ち式電動工具は、工具を制御するための回路を備える。例えば、このような回路は、プロセッサと、プロセッサによって実行可能な命令を含むメモリとを備えることができ、これらの命令は、手持ち式電動工具において実行されたときに、モータにエネルギーを供給するために、電動工具は、そのユーザが第1のスイッチと2番目のスイッチを同時に動作させることを必要とするようにさせる。一実施形態によれば、第2のスイッチは、第2の支持ハンドル構造によって構成され、すなわち、その一部を形成する。このようなスイッチは、例えば、第2の支持ハンドルの表面の一部を構成することができる。
【0011】
一実施形態によれば、第2のハンドル構造は、上記ハウジングの上記前端部に解除可能に配置される。これにより、組み立て及び分解が容易になり、様々な用途に工具を適合させることができる。
【0012】
一実施形態によれば、第2のハンドル構造は、上記ハウジングの上記前端部に回転可能に配置される。これにより、ユーザは、工具の向きに関係なく、フロントギアユニットの下で工具を支持するために、適切な円周方向位置にて第2のハンドル構造を配置することができる。すなわち、重力が工具に作用する方向のフロントギアユニットの下、すなわち、下方位置。
【0013】
一実施形態によれば、第2のハンドル構造は、フロントギアに対して円周方向の位置で出力アクスルに平行な方向に延びるように配置され、これによりユーザがフロントギアの下方で工具を垂直に支持することが可能になる。このような円周方向の位置は、使用中に、フロントギアユニットの下側位置と呼ばれる位置とすることができる。例えば、このような実施形態では、ユーザは、一方の手で工具を保持して第1のハンドル部分を把持し、他方の手で工具をフロントギアの下に好都合に支持することができる。上記のように、アンダーという用語は、重力が工具に作用する方向でフロントギアユニットの下方の位置であることを理解する必要がある。
【0014】
一実施形態によれば、第2のハンドル構造は、工具の重心の軸方向位置と一致する軸方向位置に配置される。これにより、均衡が取れて適切に工具を支持することができるので、人間工学及び工具の取り扱いが大幅に改善される。
【0015】
一実施形態によれば、第1のハンドル部分は、円周方向の位置でハウジングから延びるように配置されている。すなわち、第1のハンドル部分及び第2の支持構造は、幾つかの実施形態では同じ円周方向位置に配置することができる。一実施形態によれば、工具は、いわゆるピストルタイプの工具とすることができ、第1のハンドルは、使用中、フロントギアの下側又は下方の位置として説明することができる指定された円周方向位置にて延びるピストルハンドルとして説明することができる。このような実施形態では、ユーザは、片方の手でピストルハンドルを把持し、片方の手でフロントギアの下で工具を好都合に支持することにより、工具を保持することができる。一実施形態によれば、第1のハンドル部分は、出力アクスルに実質的に垂直な方向に延びるように配置されている。このような設計、一種のピストル工具設計とも呼ぶことができる。
【0016】
一実施形態によれば、第2の支持ハンドル構造は、オペレータの手を支持するように適合された細長い把持部分と、細長い把持部分に配置されたトリガーとを備える。これにより、人間工学に基づいた工具の取り扱いが容易になる。一実施形態では、把持部分は、ゴムなど、使い勝手を更に向上させる材料で作ることができる。一実施形態によれば、オペレータの手を支持するように適合された細長い把持部分は、オペレータの手のひらにフィットするように適合された丸みのある外面を備える。このような形状は、ユーザの人間工学を更に向上させる。
【0017】
一実施形態によれば、細長い把持部分は、上記フロントギアの円周の半分未満にわたって円周方向に延びる。把持部分は、例えば、ユーザの手のひらにフィットするのに十分なだけ延びるようにすることができる。例えば、支持する第2のハンドル構造それ自体は、ユーザに快適なグリップを提供するために必要なだけ円周方向に延在させることができる。これにより、すなわち、ハンドルの寸法を小さくすることで、ハンドルの重量を軽減し、工具全体の設計をスリムにすることができる。
【0018】
一実施形態によれば、第2の支持ハンドル構造は、ハンドル構造をハウジングに取り付けるための取付リングを更に備える。リング形状は、ハウジングの実質的に円筒形部分への取り付けに好適である。しかしながら、当業者は、ハウジングの設計に応じて、アタッチメント構造に他のいずれかの形状が考えられることを認識している。更に、ある実施形態では、ハンドルは、フロントギアユニットに取り付けることができる。一実施形態によれば、アタッチメントリングは、ハウジングとフロントギアとの間に装着されるように適合されている。
【0019】
一実施形態によれば、手持ち式電動工具は、第1及び第2のスイッチの少なくとも1つが解除された場合に、モータへのエネルギーの供給を遮断するように動作する。例えば、一実施形態によれば、第2のスイッチが解除されると、手持ち式電動工具は、モータへのエネルギーの供給を遮断するように動作する。幾つかの実施形態では、工具は、第1及び第2のスイッチの少なくとも1つが特定の閾値限界未満の圧力に晒された場合に、モータへのエネルギーの供給を遮断するように更に動作可能とすることができる。他の実施形態では、第1及び第2のスイッチの少なくとも1つが特定の所定時間内に動作及び/又は解除された場合、工具はモータへのエネルギーの供給を中断するように動作することができる。
【0020】
一実施形態によれば、手持ち式電動工具は、200~5000Nmの範囲のトルクを提供するように構成される。伝達されるトルク、及び従って、フロントギアユニットのサイズ及び関連する潜在的なリスクが増大するので、本発明の第2のハンドル構造設計の利点は特に重要である。
【0021】
一実施形態によれば、第1のハンドル部分は、上記ハウジングと一体的に形成される。一実施形態では、第1のハンドルは、上記ハウジングの後端部に更に配置される。他の実施形態では、第1のハンドル部分は、ハウジングの前端部と後端部との間に、例えば、これらの端の間のハウジングの中央に配置される。これらの配置は、例えば、ピストンタイプのナットランナなど、上記のピストルタイプの工具の場合に当てはまることができる。
【0022】
一実施形態によれば、工具は、バッテリー駆動の工具、すなわち、バッテリーを更に含む工具である。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、前述の実施形態のいずれかによる電動工具と共に使用するための支持ハンドルが提供される。本発明の第2の態様の範囲内で考えられる目的、利点及び特徴は、本発明の第1の態様を参照する前述の議論によって容易に理解される。
【0024】
本発明の更なる目的、特徴及び利点は、以下の詳細な開示、図面及び添付の特許請求の範囲を検討すると明らかになるであろう。当業者は、本発明の異なる特徴を組み合わせて、以下に記載されるもの以外の実施形態を作成できることを理解している。
【0025】
添付図面を参照しながら、例示的な実施形態の以下の例示的且つ非限定的な詳細な説明において本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】一実施形態による例示的な手持ち式電動工具の斜視図である。
【
図2a】一実施形態による第2の支持ハンドル構造の正面図である。
【
図2b】一実施形態による第2の支持ハンドル構造の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
全ての図は概略図であり、必ずしも縮尺どおりではなく、一般に、本発明を明らかにするために必要な部分のみを示しており、他の部分は省略又は単に示唆されている場合がある。
【0028】
例示的な手持ち式電動工具1が
図1の斜視図で示されており、図示の実施形態は、軸方向AAを定める出力アクスルに結合されたモータ(図示せず)が配置されるハウジング10を備えたバッテリー駆動のピストルタイプナットランナである。ハウジングの前端部10aには、フロントギアユニット20がハウジングに取り付けられている。更に、ギアユニットの前端部20aには、反動アーム60が配置されている。
【0029】
ハウジングの前端部10aと後端部10bとの間の位置に、ピストルハンドル30の形態の第1のハンドル部分30が配置され、ハウジング10の上部並びにアクスルA-Aに対して垂直、又は少なくともほぼ垂直、もしくは実質的に垂直な方向に延びる。図示の実施形態では、第1のハンドル部分は、ハウジング10と一体的に形成されたハンドル30である。バッテリー(図示せず)は、第1のハンドル30の下方に配置されている。
【0030】
第2の支持ハンドル構造40は、ハウジング10の前端部10aに配置され、軸A-Aの方向に平行な方向に延在し、従って、ユーザは、ハンドル30だけでなく、フロントギア20においても工具1を支持することができる。図示の実施形態では、第2のハンドル構造40は、ハウジング10の前端部10aに回転可能且つ解除可能に配置されている。この機能は、第2のハンドル構造40をハウジングに取り付ける取付リング43によって提供され、より詳細には、リング43は、ハウジングとフロントギアとの間に装着されるように適合されている。リングはまた、
図2a及び2bにも詳細に示されている。
【0031】
第2のハンドル40は、アクスルA-Aに平行な方向に延びるように配置され、フロントギアユニット20に対して円周方向位置に示され、これにより、ユーザは、共通作業位置に位置するときに、上記フロントギア20の下方で上記工具1を垂直に支持することができる。図示の実施形態では、この円周方向位置は、フロントギアユニット20の下方の位置として説明することができる。更に、第2のハンドル構造は、工具の重心の軸方向位置とほぼ一致する軸方向位置に配置されている。図示の実施形態では、ピストンハンドル30もまた、ほぼ同じ円周位置に延びるように配置され、すなわち、両方のハンドル30、40は、工具1を同じ側で支持している。
【0032】
オペレータの手に快適なフィット感を提供するために、第2の支持ハンドル構造40は、手を支持するように適合された細長い把持部分42を備え、把持部分42は、手のひらにフィットするように適合された丸みのある外面42aを有する。
図2aに示されるこの細長い把持部分42aは、角度αにわたって円周方向に延在し、図示の実施形態では、リング43(すなわち、フロントギア20)の円周の4分の1未満にわたって延在する。これらの特徴は全て、
図2a及び2bに詳細に示されている。
【0033】
モータへのエネルギー供給を制御するために、工具1は、第1のハンドル30に配置され、モータへのエネルギーの供給を制御するように構成されたトリガー31の形態の第1のスイッチ31と、モータへのエネルギーの供給を制御するように同様に構成され、本明細書では細長い把持部分42上に配置されたトリガー41の形態である第2のスイッチ41とを更に備え、トリガー41もまた幾分細長い形状を有する(
図2aを参照)。ユーザによるこれらのトリガー31、41の動作に基づいて、手持ち式電動工具1は、モータにエネルギーを供給するために、電動工具1のユーザが第1のスイッチ31と第2のスイッチ41を同時に作動させることを必要とするように作動する。これにより、モータを始動するためには、工具1を支持するユーザの前方の手と前端部が第2のハンドル40に安全に位置しなければならないという点で、反動アームによる動作者の手の圧迫又は挟み付けを伴う事故を回避することができる。更に、図示の手持ち式電動工具1は、第1及び第2のスイッチ31、41のうちの少なくとも1つが解除された場合、モータへのエネルギーの供給を遮断するように動作する。例えば、トリガー31、41のいずれかが解除された場合、モータへのエネルギー供給を遮断することができる。工具1の動作中の追加の利点として、オペレータは、エネルギーをモータに供給するために第2の支持ハンドル40にて自分の手を保持することが余儀なくされるので、人間工学的作業位置が常に自動的に達成され、従って、人間工学と安全性の両方が同時に改善される。
【0034】
本発明について、図面及び上述の記載において詳細に例示及び説明してきたが、このような例示及び説明は、例証又は例示のものであって限定ではないと見なされるべきであり、本発明は、開示された実施形態に限定されない。当業者は、添付の特許請求の範囲内で多くの修正、変形及び変更が考えられることを理解している。加えて、開示された実施形態の変形形態は、請求項に係る発明を実施する当業者によって理解及び実施され、図面、本開示及び添付の特許請求の範囲の研究を形成することができる。特許請求の範囲において、用語「含む」は、他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を排除しない。特定の措置が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの措置の組み合わせを用いて恩恵を得ることができないことを示すものではない。特許請求の範囲における参照記号は、特許請求の範囲の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0035】
1 手持ち式電動工具
10 ハウジング
20 フロントギアユニット
30 第1のハンドル部分
31 第1のスイッチ
40 第2の支持ハンドル構造
41 第2のスイッチ