(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】走査可能な治療コンポーネント
(51)【国際特許分類】
A61C 8/00 20060101AFI20240820BHJP
A61C 13/36 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
A61C13/36
(21)【出願番号】P 2021570468
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 US2020034980
(87)【国際公開番号】W WO2020243348
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-01-07
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517204841
【氏名又は名称】バイオメット 3アイ,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(72)【発明者】
【氏名】ザカリー ビー.サッティン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー チェルミンスキ
(72)【発明者】
【氏名】ミゲル ジー.モンテロ
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-538014(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0173862(US,A1)
【文献】特表2015-506184(JP,A)
【文献】特表2009-501616(JP,A)
【文献】特開2015-027319(JP,A)
【文献】特表2000-501012(JP,A)
【文献】特表2002-527138(JP,A)
【文献】特表2012-521236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
A61C 13/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想歯科コンポーネントを設計するためのシステムにおいて、少なくとも1つのプロセッサによって実行された場合に、前記少なくとも1つのプロセッサに:
少なくとも治療アバットメントデータを含む走査データを受信するオペレーションであって、前記治療アバットメントデータが、患者の口の中に設置された歯科インプラントに取付けられた治療アバットメントを表わし、前記治療アバットメントデータが前記治療アバットメントの頂部表面上の第1の情報マーカを含み、前記第1の情報マーカが、
最歯冠側表面と;
前記頂部表面と前記治療アバットメントの側方表面の間の境界を画定する縁部と、前記最歯冠側表面との間の円周方向部分であって、前記最歯冠側表面と前記縁部との間で前記頂部表面の一部分に沿って恒常なテーパを有し、長手方向軸に直交する平面に沿って恒常な曲率半径を有する円周方向部分と;
を含んでいる、オペレーション;
前記走査データの3次元(3D)仮想モデルを作成するオペレーション;
少なくとも1つの第2の情報マーカによって仮想治療アバットメントライブラリから対応する仮想治療アバットメントを識別するオペレーションであって、前記仮想治療アバットメントライブラリが前記ライブラリ内の各々の仮想治療アバットメントについての特性を含むオペレーション;
前記第1の情報マーカの形状と、前記識別された仮想治療アバットメント上の第1の情報マーカの形状と、の整合に基づいて、前記3Dモデル内部の前記歯科インプラントの場所および配向を決定するオペレーション;
前記歯科インプラントの前記場所および配向に基づいて、歯科コンポーネントの寸法情報を含む仮想歯科コンポーネントを開発するオペレーション;
を行なわせるシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第2の情報マーカが、直径、出現プロファイル形状及び/又は前記治療アバットメントのタイプを提供し、これらは前記治療アバットメントの前記第1の情報マーカの配向及び位置と組み合わせて使用され、3D仮想モデル内の歯科インプラントの据付け表面の位置および配向を決定し、前記少なくとも1つの第2の情報マーカが、前記治療アバットメントの高さの識別を可能にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第2の情報マーカがさらに、
前記治療アバットメントのプロファイルの形状;
前記歯科インプラントの連結タイプ;
前記治療アバットメントの断面形状;および
前記治療アバットメントの幅;
のうちの少なくとも1つの特性の識別を可能にする、請求項1ないし2のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項4】
前記3D仮想モデル内部の前記歯科インプラントの前記場所および配向を決定するステップが、前記少なくとも1つのプロセッサに:
前記患者の口の中に設置された前記歯科インプラントに取付けられた前記治療アバットメントと整合する前記識別された仮想治療アバットメントを前記治療アバットメントライブラリから選択するオペレーションであって、前記仮想治療アバットメントが第1の仮想情報マーカを含んでいるオペレーション;および
第1の修正済み3Dモデルを形成するために前記第1の情報マーカと前記仮想治療アバットメントの前記第1の仮想情報マーカとを形状整合することによって前記仮想治療アバットメントと前記治療アバットメントデータとをマージするオペレーション;
を行なわせる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記3D仮想モデル内部の前記歯科インプラントの前記場所および配向を決定するステップが、前記少なくとも1つのプロセッサに:
前記第1の修正済み3Dモデルから前記仮想治療アバットメントを減算することによって第2の修正済み3Dモデルを形成するオペレーションであって、前記第2の修正済み3Dモデルが、仮想歯科インプラントの少なくとも1つの据付け表面の場所および配向を示し、前記仮想歯科インプラントの前記据付け表面の前記場所および配向が前記患者の口の内部に設置された前記歯科インプラントの据付け表面の場所および配向に対応している、オペレーション;
を行なわせる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
仮想歯科コンポーネントを設計する方法において:
患者の口の中に設置された歯科インプラントに取付けられた治療アバットメントを表わす、少なくとも治療アバットメントデータを含む走査データを受信するステップであって、前記治療アバットメントデータが前記治療アバットメントの頂部表面上の第1の情報マーカを含み、前記第1の情報マーカが、
最歯冠側表面と;
前記頂部表面と前記治療アバットメントの側方表面の間の境界を画定する縁部と、前記最歯冠側表面との間の円周方向部分であって、前記最歯冠側表面と前記縁部との間で前記頂部表面の一部分に沿って恒常なテーパを有し、長手方向軸に直交する平面に沿って恒常な曲率半径を有する円周方向部分と;
を含んでいる、ステップと;
前記走査データの3次元(3D)仮想モデルを作成するステップと;
仮想治療アバットメントライブラリから対応する仮想治療アバットメントを識別するステップであって、前記仮想治療アバットメントライブラリが前記ライブラリ内の各々の仮想治療アバットメントについての特性を含むステップ;
前記第1の情報マーカの形状と、前記識別された仮想治療アバットメント上の第1の情報マーカの形状と、の整合に基づいて、前記3Dモデル内部の仮想歯科インプラントの一部分の場所および配向を決定するステップであって、前記仮想歯科インプラントが前記患者の口の中に設置された前記歯科インプラントに対応しているステップと;
前記歯科インプラントの前記場所および配向に基づいて、歯科コンポーネントの寸法情報を含む前記仮想歯科コンポーネントを開発するステップと;
を含む方法。
【請求項7】
前記治療アバットメントが少なくとも1つの第2の情報マーカを含み、前記少なくとも1つの第2の情報マーカが、直径、出現プロファイル形状及び/又は前記治療アバットメントのタイプを提供し、これらは前記治療アバットメントの前記第1の情報マーカの配向及び位置と組み合わせて使用され、3D仮想モデル内の歯科インプラントの据付け表面の位置および配向を決定し、前記第1の情報マーカが、前記歯科インプラントの非回転特徴部を標示する走査可能な特徴部を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記識別は、前記治療アバットメント上の1つ又は複数の第2の情報マーカを識別することに基づき、前記最歯冠側表面が平面である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記最歯冠側表面が前記治療アバットメントの前記長手方向軸に直交している、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記最歯冠側表面が内側リッジと外側リッジを含んでいる、請求項6ないし9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記治療アバットメントデータが、前記治療アバットメントの高さの識別を可能にする少なくとも1つの第2の情報マーカを含む、請求項6、9、10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第2の情報マーカが、
前記治療アバットメントのプロファイルの形状;
前記歯科インプラントの連結タイプ;
前記治療アバットメントの断面形状;および
前記治療アバットメントの幅;
のうちの少なくとも1つの特性の識別を可能にする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記3D仮想モデル内部の前記歯科インプラントの前記場所および配向を決定するステップが:
前記患者の口の中に設置された前記歯科インプラントに取付けられた前記治療アバットメントと整合する前記識別された仮想治療アバットメントを治療アバットメントライブラリから選択するステップであって、前記仮想治療アバットメントが第1の仮想情報マーカを含んでいるステップと;
第1の修正済み3Dモデルを形成するために前記第1の情報マーカと前記仮想治療アバットメントの前記第1の仮想情報マーカとを形状整合することによって前記仮想治療アバットメントと前記治療アバットメントデータとをマージするステップと;
を含む、請求項6ないし12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の修正済み3Dモデルから前記仮想治療アバットメントを減算することによって第2の修正済み3Dモデルを形成するステップであって、前記第2の修正済み3Dモデルが、仮想歯科インプラントの少なくとも1つの据付け表面の場所および配向を示し、前記仮想歯科インプラントの前記据付け表面の前記場所および配向が前記患者の口の内部に設置された前記歯科インプラントの据付け表面の場所および配向に対応している、ステップ;
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、開示全体が参照により本明細書に組込まれている、「走査可能な治療コンポーネント」という名称の2019年5月28日出願の米国特許出願第62/853,652号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本明細書は、概して、ただし非限定的に、歯科用補綴システムおよび方法に関し、より具体的には、走査可能な特徴部を伴う治療アバットメントなどの治療コンポーネントに関する。
【背景技術】
【0003】
喪失歯または不整列歯などの患者の顎内の欠陥を再構築する目的で歯科補綴システムを使用することができる。歯科補綴システムは、歯科インプラント、アバットメントなどの中間構造および、歯冠、ブリッジまたは義歯など、患者の単数または複数の喪失歯を複製し得る最終的補綴物または復元物などのコンポーネントを含むことができる。
【0004】
歯科インプラントの配置は、段階的に達成可能である。例えば、第1段階では、歯科医は、レントゲン写真および歯科モデルを精査して、歯科インプラントの適切な配置および軸方向整列を決定することができる。第2の段階では、口腔外科医は、粘膜組織を通って骨にアクセスすることができる。外科医は、上顎骨または下顎骨にドリルで穴を開け穿孔することができる。その後歯科インプラントを骨の中に圧入するかまたは螺入することができる。概して少なくとも歯肉組織の厚みに等しい高さを有する治療アバットメントを歯科インプラントに結合させて、治療期間中歯肉組織の成長を誘導することができる。
【0005】
一部の手順においては、歯科インプラントが移植された後、印象を取ることができる。印象は、歯科インプラントの頂部表面(例えば据付け表面)の位置および配向を記録するために使用され得る。その後、インプラントの頂部表面の位置および配向を患者の口の歯型の中で再現することができる。印象の主要な目的は、歯科技工士に対して、恒久的に配置された歯科インプラントの頂部表面との関係において隣接する歯および軟組織のサイズおよび形状を適切に伝達することにある。歯型は、検査技師に、周囲の歯との関係における頂部表面歯科インプラントの配向および位置を含めた患者の口の精確なモデルを提供する。このモデルに基づいて、技工師は、患者の口の中に位置付けされた歯科インプラントと正確に噛合する最終的復元物を構築することができる。印象プロセスを補助するため、印象コーピングまたはデバイスを、歯科インプラントの頂部表面に結合することができる。いくつかの事例においては、治療アバットメントを除去することができ、印象コーピングを歯科インプラントに結合する。治療アバットメントを除去すると、治療組織が乱され、印象コーピングが治療アバットメントと同じかまたは類似する歯肉寸法を有していない場合には、印象コーピングと歯肉組織の壁の間に間隙が形成してアパーチャを画定する可能性があり、これは患者の口の状態のあまり正確でない印象の原因となり得る。印象コーピングは、印象材料中に印象を残すか、または取出された印象材料中に保定され得る。復元プロセスの最終段階においては、治療アバットメントを最終復元物で置換することができる。
【0006】
より最近では、患者の口の物理的印象を取りかつ/またはその歯型を作成することの代替案として、口腔内走査(IOS)が出現した。このような手技においては、手持ち式口腔内スキャナを使用して、恒久的に配置されたインプラントとの関係における隣接する歯の形状および/または歯科インプラントの頂部に結合可能である走査本体の使用を通した歯科インプラントの構成および配向の3次元データおよび/または画像を捕捉することができる。この情報を用いて、最終復元物を設計および/または製造するために使用可能である患者の解剖学的構造の物理的またはデジタルモデルを構築することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
当該発明人らは、なかでも、先の治療アバットメントがいくつかの欠点を有し得ることを認識した。例えば、治療アバットメントの頂部上の複雑なコードシステムは、製造が困難であり得、かつ走査を用いて正確に捕捉するのが困難であり得、これによりコードの解釈の正確さが低減する可能性がある。さらに、いくつかの先行する治療アバットメントは、最終的な補綴物の形状に対応し得ない可能性のある形状に歯肉が治ゆするような非解剖学的形状を有している。複雑なコードに関しては、先のアプローチは、走査データ内の治療アバットメントについての情報を伝達するのにさまざまな方法を使用していた。例えば、計算可能な特徴部を有する複数の突出部、溝および非対称形状を、治療アバットメントおよびインプラントについての情報を決定する上で使用することができる。しかしながら、インプラントの位置および配向を正確に決定するためには、全てのコードが取上げられるような走査品質が重要である。走査データの品質は、インプラントの位置および配向を特定する正確さに影響を及ぼし得ることから、複雑なコードが使用される場合、走査データからインプラントの正確な位置および配向を取得する上でのむずかしさが増大する可能性がある。さらに、複雑なコードが使用される場合、製造が困難になり得、実際の治療アバットメントと設計ファイル(仮想治療アバットメント)の間の不正確さが増大し得る。その上、複雑なコードは、データ操作、例えば形状整合などの解釈およびアラインメント中のむずかしさを増大させ得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
当該発明人らは、歯科インプラントの位置および配向を正確に決定するために使用可能である走査可能な特徴部(「情報マーカ」とも呼ばれる)を含む歯科コンポーネントに結合するための治療アバットメントまたは走査本体(以下の説明において、治療アバットメントは同様に、治療要素、治療キャップ、または走査本体を意味することもできる)を提供することによって、一つの解決法を提供した。走査可能な特徴部は、さほど複雑ではなく、したがって製造の容易さが増大し、これにより、製造された治療アバットメントと設計ファイル(仮想治療アバットメント)の間の正確さを増大させることができる。走査可能な特徴部がさほど複雑でないことから治療アバットメント走査の品質がより正確でかつより高品質であるために、データ収集は増加する。さらにデータ操作の容易さおよび正確さは、コードがさほど複雑でないことから増大し、これにより、仮想治療アバットメントと治療アバットメントの走査データとのアラインメントの正確さが増大する。
【0009】
本明細書中で使用される「走査可能な特徴部」(本明細書中では「情報マーカ」とも呼ばれる)は、基礎をなすインプラントの位置および配向を決定する上でユーザを支援する、走査データ内で取上げられ治療アバットメントの独特の特性を識別するために使用することのできる治療アバットメント(取付け部材)の任意の基準部分/表面を含むことができる。例えば、「走査可能な特徴部」は、治療アバットメントの表面の形状、インディシア(非限定的にテキスト、色および数などを含む識別マークを含む)、溝、突出部、平担部ならびに、特に形状整合、整列および基準表面のためにまたはそれらとして使用可能である形状を含むことができる。すなわち、治療アバットメントの形状を画定する全体的表面ならびに任意の識別マーク、表面ライン、プロファイルまたは断面形状などが、本明細書中で論述されている通りの走査可能な特徴部であり得る。
【0010】
例えば情報マーカを介して、複数の情報が走査データ内で提供され得る。しかしながら、当該発明人らは、一部のデータが他のデータよりもさらに正確さを必要とすると判断した。例えば、最終的補綴物を設計するときには、歯科インプラントの場所および配向を決定するために使用されるいくつかの走査可能な特徴部(「第1の情報マーカ」、「ハードコード」または「第1の走査可能な特徴部」とも呼ばれる)からの情報が重要であり、情報は可能なかぎり正確である必要がある。しかしながら、対照的に、軟組織のプロファイルまたはインプラントのタイプなどの情報を決定するために使用される他の走査可能な特徴部(本明細書中では「第2の情報マーカ」、「ソフトコード」、または「第2のコード」と呼ばれている)は、それほど正確である必要はない。例えば、軟組織はしなやかで可動であり、そのため3Dモデル内で軟組織の正確な形状を決定することは歯科インプラントの場所および配向を決定することほど重要ではない。したがって、本発明では、情報マーカまたは走査可能な特徴部の複雑さが最小限に抑えられており、こうして歯科インプラントの場所および配向を決定するために使用される情報マーカは本開示の治療アバットメント上に位置設定され、歯科インプラントの場所および配向を正確に決定するために使用可能となっている。
【0011】
ユーザは、患者の口の中の治療アバットメントの走査データを含めた走査データを受信したとき、治療アバットメントの一部分を含む走査データの3次元(3D)仮想モデルを作成することができる。ユーザはその後、3D仮想モデルと仮想治療アバットメントを組合わせることによって、データを操作することができる。本明細書中で論述されているように、ひとたび仮想治療アバットメントが走査データの3D仮想モデル内部に正確に配置されたならば、歯科インプラントの頂部据付け表面の位置および配向が分かるように、仮想治療アバットメントを3Dモデルから除去することができる。
【0012】
治療アバットメントの走査可能な特徴部を捕捉するために走査技術が使用される場合、コンピュータソフトウェアが、隣接する歯との関係におけるインプラントの位置および配向を決定することができる。例えば、インプラントの位置は、「X」、「Y」および「Z」軸を有するデカルト座標系の中で定義される。共通点は、インプラントの中心線とインプラントの据付け表面を表わす平面の交差点にある。
【0013】
一例において、第1の走査可能な特徴部は、仮想治療アバットメント(設計ファイル)の対応する第1の走査可能な特徴部に形状整合され得る。仮想治療アバットメントの寸法は分かっていることから、3D仮想モデルを修正することができる。3D仮想モデルの内部で仮想治療アバットメントを適切に整列させ、座標系を決定するために、基準表面が決定される。当該発明人らは、一部の走査可能な特徴部が、基準表面を決定するために他の走査可能な特徴部よりも重要であると判断した。したがって、基準表面の場所および配向が3D仮想モデルの内部で正確に決定されるように第1の走査可能な特徴部を形状整合するのに使用することができる。すなわち、第1の走査可能な特徴部は、仮想治療アバットメント上の対応する特徴部に形状整合するために使用される。仮想治療アバットメントの第1の走査可能な特徴部は、ひとたび形状整合されると、6つのうちの5つの自由度で座標系に係止される。本明細書中でさらに論述されるように、据付け表面の場所は治療アバットメントの下側であることから、第1の走査可能な特徴部を形状整合することで、据付け表面のZ軸に沿った場所が提供されることはない。
【0014】
少なくとも1つの第2の走査可能な特徴部は、治療アバットメントの特性のさまざまな情報を提供することができる。例えば、治療アバットメントの高さ寸法が、第2の走査可能な特徴部から標示され得る。ひとたび高さ寸法が分かると、仮想治療アバットメントは、第6の自由度で係止され、歯科インプラントの一部分の正確な場所および配向は、座標系内部で分かる。さらに、少なくとも1つの第2の走査可能な特徴部からのデータを使用して、治療アバットメントについての追加情報、例えばプロファイル形状およびインプラント連結タイプを決定することができる。
【0015】
一例において、治療アバットメントは、歯冠側端部部分から根尖側端部部分まで延在する本体を含むことができる。本体は、側方表面および縁部を画定する頂部表面を含むことができ、ここで、頂部表面は最歯冠側表面および、頂部表面と縁部の間に延在する円周方向部分を含む。円周方向部分の一部分は、最歯冠側表面から縁部に向かってテーパがかかっている可能性がある。側方および/または頂部表面はさらにインディシアを含むことができる。しかしながら、本明細書中で論述されているように、最歯冠側表面および円周方向部分は、患者の3D仮想モデルの内部で仮想治療アバットメントを正確に位置付けするように形状整合するために使用される。
【0016】
この概要は、本特許出願の主題の概要を提供するように意図されている。これにより本発明の排他的または網羅的説明を提供することは意図されていない。詳細な説明は、本特許出願についてのさらなる情報を提供するために含められている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、1つの例示的実施形態に係る、治療アバットメントおよび保定ねじの断面図である。
【
図2A】
図2Aは、1つの例示的実施形態に係る、歯科インプラントの上面図である。
【
図3】
図3は、1つの例示的実施形態に係る、治療アバットメントの断面図である。
【
図4】
図4は、1つの例示的実施形態に係る、治療アバットメントの一部分の断面図である。
【
図5】
図5は、1つの例示的実施形態に係る、治療アバットメントの一部分の断面図である。
【
図6】
図6は、1つのf図例示的実施形態に係る、治療アバットメントの一部分の断面図である。
【
図7】
図7は、1つの例示的実施形態に係る、治療アバットメントの一部分の断面図である。
【
図8A】
図8Aは、1つの例示的実施形態に係る、治療アバットメントの上面図である。
【
図9】
図9は、1つの例示的実施形態に係る、長手方向軸に直交する平面に沿った
図8A中の治療アバットメントの断面図である。
【
図10】
図10は、1つの例示的実施形態に係る、長手方向軸に直交する平面に沿った
図8A中の治療アバットメントの断面図である。
【
図11】
図11は、1つの例示的実施形態に係る、長手方向軸に直交する平面に沿った治療アバットメントの断面図である。
【
図12A】
図12Aは、1つの例示的実施形態に係る、治療アバットメントの上面図を例示する。
【
図13A】
図13Aは、1つの例示的実施形態に係る、治療アバットメントの上面図を例示する。
【
図14A】
図14Aは、1つの例示的実施形態に係る、治療アバットメントの上面図を例示する。
【
図15A】
図15Aは、1つの例示的実施形態に係る、治療アバットメントの上面図を例示する。
【
図16】
図16は、の例示的実施形態に係る、患者とスキャナを例示する。
【
図17】
図17は、1つの例示的実施形態に係る、座標系の斜視図を例示する。
【
図18】
図18は、1つの例示的実施形態に係る、患者の口の3D仮想モデルの斜視図を例示する。
【
図19A】
図19Aは、治療アバットメントが3D仮想モデルから除去された状態の、
図18の修正済み3-D仮想モデルの斜視図を例示する。
【
図19B】
図19Bは、治療アバットメントが3D仮想モデルから除去された状態の、
図18の修正済み3-D仮想モデルの斜視図を例示する。
【
図20】
図20は、1つの例示的実施形態に係るシステムを例示する。
【
図21】
図21は、1つの例示的実施形態に係る、治療アバットメントの斜視図を例示する。
【
図22】
図22は、1つの例示的実施形態に係る、治療アバットメントライブラリからの治療アバットメントの仮想モデルを例示する。
【
図23】
図23は、1つの例示的実施形態に係る、方法流れ図を例示する。
【0018】
必ずしも原寸に比例して描かれていない図面の中で、同様の数字は、異なる図における類似のコンポーネントを表わし得る。異なる添え字を有する同様の数字は、類似のコンポーネントの異なる事例を表わし得る。図面は、概して、一例として、非限定的に、本明細書中で論述されているさまざまな実施形態を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、全体を通して同様の数字が同様のまたは類似の要素を意味している添付図面を参照しながら、治療アバットメントおよび方法の実施形態について説明する。いくつかの実施形態、実施例および例示が以下で開示されているものの、当業者であれば、本明細書中に記載の発明が、具体的に開示されている実施形態、実施例および例示を超えて拡がり、本発明の他の用途、およびその明白な修正、組合せおよび下位組合せおよび/または等価物を含み得ることを理解するものである。本明細書中で提示されている説明の中で使用される用語は、単にそれが本発明の一部の具体的実施形態の詳細な説明と併せて使用されていることを理由として限定的または制限的に解釈するようには意図されていない。さらに、本発明の実施形態は、複数の新規の特徴部を含むことができ、どの1つの特徴部も、単独でその所望される属性を担っておらず、また本明細書中に記載の発明の実践にとって不可欠ではない。
【0020】
以下の説明において、一部の用語は、参考を目的として使用されている可能性があり、したがって限定するようには意図されていない。例えば、「~の上方(above)」および「~の下方(below)」などの用語は、参照が指示されている図面中の方向を意味している。「近位の(proximal)」、「遠位の(distal)」、「根尖側(apical)」、「前部(front)」、「背部(back)」、「歯冠側(coronal)」、「後部(rear)」および「側方(side)」などの用語は、論述中のコンポーネントまたは要素を説明する本文および付随する図面を参照することで明確になる一貫した、ただし任意の基準枠内部のコンポーネントまたは要素の各部分の配向および/または場所を描写する。このような用語は、以上で具体的に言及された単語、その派生語および類似の意味の単語を含み得る。
【0021】
図1、2および8A~Cは、保定ねじ30を介して歯科インプラント42(
図2Aおよび2B参照)に結合され得る治療アバットメント10を例示する。一実施形態において、歯科インプラント42は、以下で説明するような「骨レベル」の歯科インプラントであり得る。修正された配設において、治療アバットメント10は、歯科インプラント42に対して直接かまたは歯科インプラント42と治療アバットメント10の間の1つ以上の中間コンポーネントに対して結合可能である。
【0022】
治療アバットメント10は、歯冠側端部部分12から根尖側端部部分14まで延在する本体16を含む。根尖側端部部分14は、インプラント42の頂部表面44と接触するように構成された据付け表面26を含むことができる。根尖側端部部分14は同様に、インプラント42の対応するボア46の内部に収容され得る非回転特徴部28も含むことができる。インプラント42のボア46は、治療アバットメント10の非回転特徴部28に対応する非回転特徴部48を有する。
図1中では突出部として示されているものの、
図3は、非回転特徴部27がインプラントの頂部表面から延在する非回転特徴部を収容し得る非回転キャビティ25である一例を例示している。治療アバットメント10とインプラント42の間の回転を防止するための他の非回転特徴部が企図されている。根尖側端部部分14は、治療アバットメント10がインプラント42に結合された場合にインプラント42上で頂部表面44と接触できる停止表面40を非回転特徴部28の根尖側端部に含むことができる。
【0023】
治療アバットメント10は、アバットメントを通って延在するボア21を含み、保定ねじ30の頭32の肩部33と係合するように構成された肩部23を含む。
図1に見られるように、保定ねじ30は、治療アバットメント10を歯科インプラント42にしっかり固定するためにインプラント42内のボア51のねじ山54と係合できるねじ山36を含む。保定ねじ30は同様に、ねじ30を回転させるための工具を受入れるボア38も含んでいる。
【0024】
治療アバットメント10は、縁部22を画定する側方表面24と頂部表面18を含む。すなわち、縁部22は、側方表面24と頂部表面18の間に位置付けされている。換言すると、縁部22は、側方表面24と頂部表面18の間の境界を画定し、頂部表面18の円周の周りに連続的に延在している。本明細書中に記載されている通り、縁部22によって画定される外周は、非対称形状を画定できる(
図8A参照)。一例においては、縁部によって画定される外周は、円形であり得る。縁部22は円形であり得るものの、概して、非対象形状は、円筒と比べて、置換対象の患者の歯の自然な形状により近いものであり得る。しかしながら、縁部22の外周によって画定される円形および非対称の形状の両方共が企図されている。したがって、縁部22は、置換対象の異なる歯に対応するさまざまな形状を有することができる。
【0025】
一実施例において、側方表面24は、治療歯肉組織の整形を支援し得る出現プロファイルを含むことができる。例えば、側方表面24は歯肉の形成を支援するために1つ以上の湾曲した表面を含むことができる。さらに、外側表面24は、互いに傾斜した直線部分を含むことができる。修正された実施形態においては、他の構成が可能である。したがって、縁部22および側方表面24の形状は、歯肉を所望の形状に整形する一助となることができる。縁部22の下方の治療アバットメント10の断面形状は同様に、非対称または対称であり得、縁部22と比較して類似のまたは異なる形状22を有することができる。
【0026】
一実施例において、頂部表面18は、最歯冠側表面20を含む。一例において、最歯冠側表面20は平面で、治療アバットメント10の長手方向軸19に直交する(
図8A~Cを参照)。最歯冠側表面20はボア30を取囲むことができることから、内側縁部29と外側縁部31を含み得る。内側および外側縁部29、31の間の最歯冠側表面20の厚み72は変動し得、さまざまな要因に基づくものであり得る。本明細書中で論述されているように、最歯冠側部分20は、平面であり得、歯科インプラントについての情報を提供する走査可能な特徴部である。一例において、最歯冠側部分20は、長手方向軸19に直交している。別の例においては、最歯冠側部分20は、長手方向軸19との関係において直交せず、90度以外の角度を成している。さらに、いくつかの例において、最歯冠側表面20は平面ではない。
【0027】
一実施例において、頂部表面18は、最歯冠側表面20と縁部22の間に延在する円周方向部分60を含む。本明細書中で論述されているように、円周方向部分60は、円周方向部分60の走査データを同じ円周方向部分60を有する仮想治療アバットメントに形状整合できるように、円錐体の少なくとも一部分を形成する頂部表面18の一部分である。本明細書中でさらに論述される通り、円周方向部分60(円錐形状を有するかまたは円錐形状の部分と整合する部分を有する)の中心軸が分かっていることから、3D仮想モデル内の治療アバットメントの中心軸の配向も同様に分かっている。
【0028】
一例において、円周方向部分60は最歯冠側表面20から離れるようにテーパがかかっている。本明細書中で論述されるように、円周方向部分60は、円錐体の少なくとも一部分を画定する。すなわち、円周方向部分60に沿って、頂部表面18の一部分は、長手方向軸に直交する平面に沿って恒常な曲率半径を有して円周方向に延在し、恒常なテーパ角を有して半径方向に延在する。円周方向部分60は円錐形状を有するものとして論述されているものの、円周方向部分60から中心軸を決定できるかまたは分かるような、任意の軸対称の幾何形状を使用することができる。円錐形状は製造が容易であるが、中心軸を決定できるような任意の形状/走査可能な特徴部を使用することができることが企図されている。
【0029】
一実施例において、使用中、第1の走査可能な特徴部または第1の情報マーカ、すなわち最歯冠側部分20および円周方向部分60は、走査データ内で提供され、走査データの3Dモデルが生成される。患者の口の中に設置された歯科インプラントの場所および配向に対応する3Dモデル内の仮想歯科インプラントの場所および配向を決定するための基準表面として、第1の情報マーカを使用することができる。走査データは、治療アバットメントデータ、軟組織データ、および何らかの周辺歯が患者に存在する場合には周辺歯データ、を含むことができる。
【0030】
一実施例においては、仮想治療アバットメントライブラリから、正しい仮想治療アバットメントを識別するために、少なくとも1つの第2の情報マーカを使用することができる。仮想治療アバットメントライブラリは、ライブラリ内の各々の仮想治療アバットメントについての特性を含む。したがって、例えば第2の情報マーカによってひとたび正しい仮想治療アバットメントが識別されたならば、寸法情報(高さと幅)、プロファイルおよび断面形状、および歯科インプラントの連結タイプなどのさまざまな特性についての情報を決定することができる。このタイプの情報は、形状整合のために使用される第1の情報マーカ中では提供される必要はない。したがって、第2の情報マーカは、第1の情報マーカとは別個である。実際、第2の情報マーカは、走査データ内に提供される必要はなく、走査データと共に送られるファイル内部に注釈として提供され得る。これにより、歯科インプラントの場所および配向を決定する一助となる基準表面として使用される第1の情報マーカを、単純で他の情報マーカとは別個のものにすることができる。こうして、治療アバットメントの製造をより容易にし、走査をより正確にし、情報マーカの解釈および使用をより正確かつより単純にして、全体的プロセスの改善およびより正確なデータを導くことができる。
【0031】
走査データ内の治療アバットメントと整合する仮想治療アバットメントがひとたび識別されたならば、選択された仮想治療アバットメントを3Dモデルと形状整合させて、3Dモデル内の第1の走査可能な特徴部が仮想治療アバットメントの第1の仮想走査可能な特徴部と整列するようにすることができる。例えば、仮想治療アバットメントの仮想最歯冠側部分は、患者の口の3Dモデル内の治療アバットメントの最歯冠側表面20と整列し、仮想円周方向部分が、患者の口の3Dモデル内の治療アバットメントの円周方向部分60と整列させられる。ひとたび形状整合されたならば、仮想治療アバットメントは患者の口の3Dモデルとマージされる。この時点で、患者の口の3Dモデルの内部で座標系が決定されている。すなわち、最歯冠側表面および円周方向部分は5つの自由度で固定され、第1の情報マーカは、X軸およびY軸に沿って並進係止され、X軸、Y軸およびZ軸に沿って回転係止される。この時点で、座標系についての唯一の情報は、Z軸に沿ったどこに据付け表面が位置設定されているかである。
【0032】
選択された仮想治療アバットメントの高さは第2の情報マーカにより分かっていることから、仮想治療アバットメントの仮想最歯冠側表面に対して3Dモデル内の最歯冠側表面20を形状整合することにより、歯科インプラントの据付け表面の正確な位置が分かる。例えば、第2の情報マーカは、仮想治療アバットメントの高さを提供することができ、したがって、最歯冠側表面20の場所に基づいて、最終的な自由度を決定することができ、歯科インプラントの少なくとも据付け表面の正確な場所および配向が分かる。すなわち、据付け表面は今や座標系を補完するZ軸に沿って遷移的に係止され、座標系内部の据付け表面の場所および配向が決定される。本明細書中でさらに論述されているように、据付け表面の場所および配向は、3Dモデル内部の決定された座標系であり得、かつ/または仮想歯科インプラントの据付け表面の仮想表現を含むことができる。
【0033】
図4~7は、治療アバットメント10の頂部表面18のさまざまな断面形状を例示する。本明細書中で論述されているように、治療アバットメント10の1つの走査可能な特徴部は、円錐体の一部分を画定する頂部表面18の円周方向部分60であり得る。一例において、最歯冠側表面20と縁部22の間に延在する頂部表面18全体は、円錐体形状を有することができる。しかしながら、円周方向部分60が長手方向軸の周りで360度未満だけ延在し、最歯冠側表面20と縁部22の間の全長未満だけ延在するような他の構成も可能である。縁部22は頂部表面と側方表面の間の交差点として示されているものの、縁部22は、例えば
図1および8Cに示されているように丸み付けされたコーナーであり得る。
【0034】
さまざまな他の例示的実施形態が
図4~7に示されている。
図4を見れば分かるように、円周方向部分60は、最歯冠側表面20から縁部22まで延在する。円周方向部分60は、頂部表面全体の周りを例えば360度、または360度未満、例えば180度、90度、45度、25度などだけ延在できると考えられる。例えば、機械加工の問題点および仮想治療アバットメントに治療アバットメント10の走査データを正確に形状整合するのに充分な表面積が、頂部表面のどれほどが円周方向部分60を形成するかを決定する上での要因であり得る。
【0035】
さらに、円周方向部分60は、最歯冠側表面20と縁部22の間に延在する長さの一部分のみについて360度延在することができる。治療アバットメント10の長手方向軸の周りで円周方向部分(長手方向軸に直交する平面に沿って恒常な曲率半径および恒常なテーパ角を有する)が延在する範囲、および最歯冠側表面20と縁部20の間の長さは変動し得る。
図5の例に示されている円周方向部分60は、最歯冠側部分20から円周方向部分60に比較して異なるテーパ角を有する頂部表面18の別の部分62まで延在する。
図6の例に示されている第2の部分63は、湾曲した表面を含む。
図5および6中の第2の部分63は、円周方向部分60に対して根尖側に位置付けされているものの、
図7は、第2の部分63が円周方向部分60に対し歯冠側に位置付けされている実施例を例示している。一実施例において、円周方向部分60は2つの第2の部分63の間に位置付けされ得る。
【0036】
図8~11は、治療アバットメント10を例示する。
図8Aは、治療アバットメント10の上面図を例示する。ここで分かるように、縁部22の外周は、非対称形状を画定し、最歯冠側表面20はボア21を取囲んでいる。ここでもまた、一実施例において、縁部22の外周は円であり得る。
【0037】
一実施例において、治療アバットメント10は、インプラント42の非回転特徴部48の表面の位置を標示する走査可能な特徴部を含むことができる(
図2Aを参照)。一実施例において、走査可能な特徴部は、頂部表面18上に位置設定され得る。一実施例において、走査可能な特徴部は、側方表面24上に位置設定され得る。
図8Aに示されている実施例において、頂部表面18は、インプラント42の非回転特徴部48の表面の位置を標示する走査可能な特徴部を含む(
図2A参照)。例えば、非回転特徴部が六角形である場合、非回転特徴部を識別する走査可能な特徴部は、六角形の表面を標示することができる。
図8Aの実施例において示されているように、走査可能な特徴部は、リッジ65を画定するカットアウト64である。リッジ65の第1の側66およびリッジ65の第2の側67は縁部22まで延在する。しかしながら、インプラントの非回転特徴部を識別するために他の構成が企図されている。例えば、治療アバットメントの走査可能な特徴部は、インプラント42の対応する非回転特徴部48と噛合する治療アバットメントの非回転特徴部、例えば非回転特徴部28と整列する。
【0038】
図9は、最歯冠側表面20とリッジ65の間の治療アバットメント10の断面形状を例示する。
図9に見られるように、円周方向部分60は、長手方向軸19の周りで360度延在する。
図10は、カットアウト65の一部分に沿った治療アバットメントの断面形状を例示している。
図10に見られるように、円周方向部分60は、長手方向軸の周りで360度未満延在している。本明細書中で論述されている円周方向部分60は、治療アバットメントの長手方向軸19を患者の口の仮想モデル内で演繹でき、したがってインプラントの長手方向軸が分かるように、円錐体の一部分を形成している。
図11は、円周方向部分60が長手方向軸19の一部分の周りだけ延在している別の実施例を例示する。
図11に示された実施例においては、外周は、恒常な曲率半径を有していない部分74を含む。
図11中の部分74は、直線を含むが、湾曲したまたは円周方向部分60の曲率半径と整合しない他の形状を使用することも可能である。
【0039】
本明細書中で論述されているように、最歯冠側表面20および円周方向部分60の走査データは、3D仮想モデル(または3Dモデル)内部の治療アバットメント10の場所が分かるように、対応する仮想治療アバットメントに形状整合される。最歯冠側表面20および円周方向部分60は、当該発明人らが可能なかぎり正確である必要があると判断した「ハードコード」(同様に、「第1のコード」、「第1の情報マーカ」または「第1の走査可能な特徴部」)である。正確さを高めるために、ハードコードは、他のあらゆるコードから分離され、単純化されて、形状整合をより正確なものにしている。
【0040】
図8Cは、据付け表面26から最歯冠側表面20までのアバットメント10の高さ70、この実施例においてはリング状である最歯冠側表面20の幅72を例示しており、円周方向部分60の長さ61は分かっている。一実施例において、走査データの最歯冠側表面20および円周方向部分60がひとたび対応する仮想治療アバットメントと形状整合されたならば、仮想治療アバットメントの高さが分かっていることから、インプラントの頂部表面を公知と決定することができる。本明細書中で論述されているように、仮想治療アバットメントの高さは、1つ以上「ソフトコード」(同様に、「第2のコード」、「第2の情報マーカ」または「第2の走査可能な特徴部」)から決定できる。すなわち、ソフトコードは治療アバットメントに関する情報のみを提供し、形状整合されていない。
【0041】
本明細書中で論述されているように、頂部表面18は、治療アバットメント10が走査システムによって走査された時点で、インプラント42の位置および配向についての情報が治療アバットメント10の頂部表面18の第1の情報マーカに基づいて演繹され得るように構成され得る。
【0042】
最歯冠側表面20は平面であり、
図8Cに示されている実施例においては、長手方向軸に直交している。平面は、整合させるべき単純な基準表面であるが、非平面的な最歯冠側表面が企図されている。他の実施例において、最歯冠側表面20は長手方向軸と鋭角を形成することができる。例えば、角度の付いた治療アバットメントが口の中に配置される事例においては、治療アバットメントのボアを取囲む最歯冠側表面には角度が付けられる必要があるかもしれない。一実施例において、最歯冠側表面は、長手方向軸に対して約45度の角度を成す。一実施例において、長手方向軸に対する最歯冠側表面の角度は、10度~30度である。
【0043】
一実施例において、治療アバットメント10は、同様に、例えばなかでもコンポーネントのサイズ、直径、高さ、メーカー、出現プロファイル形状、断面形状またはプラットフォームタイプなどの、治療アバットメント10および/または歯科インプラント42の物理的特性についての情報を転送または伝達するために使用可能な特徴(1つ以上の第2の情報マーカ)を有することもできる。しかしながら、ユーザにこの情報が伝達された場合であっても、3Dモデル内で歯科インプラントの場所および配向をユーザが決定できるようにするのは、走査データの3Dモデルの最歯冠側表面20および円周方向部分60と仮想治療アバットメントとのアラインメントである。第2の情報マーカは、治療アバットメントの頂部表面18または側方表面24の上に位置設定可能である。さらに、第2の情報マーカは、走査データ内に含められず、走査データに付随するファイル内の注釈である可能性がある。
【0044】
一実施例において、治療アバットメント10は、歯科インプラント42に結合され得、第1の期間中歯科インプラント42に結合された状態にとどまることができ、一実施例においては、この第1の期間は、治療アバットメント10の側方表面16によって歯肉組織を整形できる治療期間に対応し得る。第1の期間の後、治療アバットメント10を除去することができ、最終復元物または最終復元物の一部分を歯科インプラント42に取付けることができる。頂部表面18は、治療アバットメント10および/または歯科インプラント42の位置、配向および/または物理的特性についての情報を伝達できる走査可能な特徴部を含むことができる。本明細書中で説明されているように、頂部表面18は、口腔内スキャナの使用を通しておよび/または物理的印象の使用を通して記録可能である。したがって、治療アバットメント10は、歯科インプラント42の配向および位置を決定するために使用される走査本体として機能し得る。
【0045】
図8Aおよび8Bは、頂部表面18上に含められるインディシア68-1、68-2(集合的に「インディシア68」と呼ばれる)を含む第2の情報マーカを例示する。しかしながら、インディシア68は、側方表面16上または走査データと共に送達される注釈セクション内で提供され得る。インディシア68は、数字、文字、記号、または他の識別特徴部を含むことができ、1つ以上のインディシアを含むことができる。一実施例において、インディシア68は、それが口腔内スキャナまたは印象材料によって記録され得るように形成される。インディシア68は、治療アバットメント10または基礎を成すインプラント42についてのさまざまなタイプの情報を中継して伝えることができる。例えば、最歯冠側表面20および円周方向部分60は対応する仮想治療アバットメントと形状整合されるものの、インディシア68は、形状整合プロセス中無視される。一実施例において、最歯冠側表面20および円周方向部分60は、「第1の走査可能な特徴部」または「ハードコード」として特徴付けされ得、インディシア68は、「第2の走査可能な特徴部」または「ソフトコード」として特徴付けされ得る。ハードコードは、3D仮想データ内部の治療アバットメントの位置および配向を決定するために使用される基準表面である。走査可能な特徴部を単純化し、座標系上の治療アバットメントの位置および配向を得るために、例えば頂部表面18上の全ての走査可能な特徴部ではなく第1の走査可能な特徴部のみに整列(例えば形状整合)することによって、インプラントの位置および配向の正確さは高められる。第2の走査可能な特徴部または「ソフトコード」は、走査データの一部であり得る(または走査データに付随するファイル内で指摘され得る)。一実施例においては、インディシア68(走査可能な特徴部としてかまたはファイルに付随して提供される)を用いて、対応する仮想治療アバットメントを決定することができる。例えば、口内の異なる場所、異なるサイズ、異なるインプラント連結および側方プロファイル形状用にさまざまな異なる治療アバットメントが存在し得る。仮想治療アバットメントがひとたび選択されると、仮想治療アバットメントが3Dモデル内の治療アバットメントに形状整合される。すなわち、最歯冠側表面20および円周方向部分60は、歯科インプラントの中心軸および据付け表面を座標系内部で決定できるように形状整合される。インディシア68によって提供される情報は、治療アバットメントおよび/または歯科インプラント10の他の特徴部を決定するために使用可能である。例えば、インディシア68は、なかでも、インプラントタイプ、連結タイプ、治療アバットメント10(側方表面24および縁部22を含む)の形状を提供することができる。側方表面に沿った治療アバットメントの形状ならびに断面形状は、インディシア68に基づいて理解されるが、これらは、ハードコードほど正確に形状整合される必要はない。
【0046】
本明細書中で論述されているように、仮想治療アバットメントは3D仮想モデルと形状整合されマージされ、第1の情報マーカ(最歯冠側表面20および円周方向部分60)は6つのうちの5つの自由度で係止される。唯一分かっていないのは、Z軸に沿った並進運動の場所である。しかしながら、Z軸に沿った場所は、仮想治療アバットメントを識別した第2の情報マーカから分かっている仮想治療アバットメントの高さに基づいて決定され可能である。したがって、第1の情報マーカは、基準表面として作用し、この基準表面から歯科インプラントの場所および配向を決定することができる。
【0047】
図12~15は、さまざまな治療アバットメント10、10-1、10-2および10-3の実施例を例示する。ここで見られるように、縁部22、22-1、22-2、22-3の形状は、側方表面24、24-1、24-2、24-3の形状および高さ70、70-1、70-2、70-3と同様に変動し得る。4つの異なる治療アバットメントが示されているが、異なる縁部および出現プロファイル形状およびサイズを有する任意の数の治療アバットメントが存在し得る。一実施例において、歯科医師には、異なるベース直径、異なる高さ、異なる形状および異なる連結メカニズムを有する一組の治療アバットメントが提供され得る。医師は、置換対象の歯、使用されるインプラント、患者および周辺部域に基づく他の要因に基づいて、適切な治療アバットメントを選択することができる。
【0048】
走査可能な特徴部を伴う治療アバットメントが配置された後、例えば印象コーピングを使用することなく、治療アバットメントを含めた口についての走査データが得られる。走査データは、患者の口を走査することまたは印象を作成し印象または印象から作った歯型のいずれかを走査することによって、得ることができる。走査可能な特徴部は、治療アバットメントの頂部および/または側方に配置されることから、ユーザ(例えば技工所)は、歯肉の開口、インプラントサイズ、および基礎を成すインプラントおよび六角の配向を決定するのに必要な全ての情報を有している。これにより、技工所は、恒久的コンポーネントを迅速に調製することができることになる。先行するシステムではひとたび治療アバットメントが除去されると軟組織は閉じることになったが、本発明のシステムでは同様に、治療アバットメントを取囲む軟組織のメンテナンスも可能となる。該システムは、移植された歯科インプラントの走査を得るために治療アバットメントを除去する苦痛から患者を解放する。
【0049】
恒久的補綴物を作成するために、上述のように、歯型から、印象材料から、または走査技術、写真走査技術または機械的検知技術を用いて直接口の中で、歯科領域が走査される。
図16は、口腔内スキャナ86が患者80の口腔82内を走査することのできる走査技術を示している。ユーザは、治療アバットメント、周辺歯、周辺軟組織および患者の顎骨84内またはそれに隣接して配置された他のコンポーネントを走査することができる。
【0050】
図17を参照すると、治療アバットメントについての情報を学習するのに走査技術が使用される場合、コンピュータソフトウェアは、隣接する歯および軟組織との関係における仮想インプラント90の位置および配向を決定することができる。決定された仮想インプラント90の位置は、患者の歯の中に設置された歯科インプラントの場所および配向を表わすことができる。仮想インプラント90の位置は、「X」、「Y」および「Z」軸を有するデカルト座標系の中で定義される。共通点は、インプラント90の頂部表面92を表わす平面93とインプラントの中心線の交差点である。
【0051】
以上で指摘した通り、第2の走査可能な特徴部は、インプラントの上方の治療アバットメントの高さの決定を支援する。この高さは、インプラント90の据付け表面92を含む平面93内にある「Z」軸上のゼロ点を識別するために使用可能である。「Y」軸94は、正の「Y」方向が可能なかぎり顔面から頬側の方向に近い状態で、据付け表面94を表わす平面93の内部にある。「X」軸98は平面93内にあり、インプラントの六角面に直交している。こうして、平面93内の据付け表面92の幅は、歯肉を通って出現する治療アバットメントの幅と同様、公知である。したがって、人工歯の出現プロファイルも同様に分かっている。
【0052】
ひとたび走査されると、走査データは、治療アバットメントデータ、軟組織データおよび任意の周辺歯データを含むことができる。走査データは、
図18に示されているように、コンピュータ援用設計(「CAD」)プログラムなどのグラフィカル画像形成プログラム内に転送され、こうして患者の口の3次元(「3-D」)CADモデル100(本明細書中では「3D仮想モデル100」または「3Dモデル100」と呼ぶ)が作成される。
図18を見れば分かるように、3Dモデル100は、治療アバットメント10’の頂部表面および側方表面の一部分、ならびに歯肉104および周辺歯102を含む。本明細書中で論述したように、3Dモデル100内の治療アバットメント10’は、本明細書中で論述した仮想治療アバットメントと置換またはマージされ得る。すなわち、ユーザは、仮想治療アバットメントを3Dモデル100内の治療アバットメントと形状整合し、データを共にマージして第1の修正済み3Dモデルを形成することができる。
【0053】
走査データとマージするための正しい仮想治療アバットメントを選択するために、システムは、精確なフィットが見い出されるまでライブラリ内部の全ての仮想治療アバットメントをくまなく調べるべく形状整合アルゴリズムを実行することができ、あるいは、第2の情報マーカからの情報を使用して仮想治療アバットメントライブラリから仮想治療アバットメントを選定することが可能である。
【0054】
図19AおよびBに示されているように、患者の口の3Dモデル100を次にさらに修正して、3Dモデル100内の治療アバットメント10に取って代る仮想治療アバットメントを除去する第2の修正済みCADモデル106を作成する。仮想治療アバットメントを除去することによって、軟組織内部の開口部108および仮想インプラント116の少なくとも据付け表面114(または頂部表面)の配向および場所が、座標系内部で公知となる。論述されているように、据付け表面の仮想表現を、第2の修正済み3Dモデル106内で表示することができるが、ひとたび座標系が分かったならば、仮想表現を視覚化する必要はない。仮想インプラント116の据付け表面114は、患者の口の中に設置された歯科インプラントの頂部表面の位置および場所に整合する。例えば、据付け表面114、ボア110および回転防止特徴部112を、第2の修正済み3Dモデル106内に表示することができる。一実施例においては、
図19Bに見られるように、患者の口の中に設置された仮想インプラントのアウトラインを、第2の修正済み3Dモデル106内で示すことができる。しかしながら、据付け表面114の場所および配向は、最終復元物を設計するために必要とされる歯科インプラントの部分である。
【0055】
仮想治療アバットメントは、本明細書中で論述されている通り、第1の修正済みCADモデル106を形成する3D仮想モデル100内で表現された治療アバットメント10に対して形状整合され得る。ひとたび形状整合されたならば、第2の修正済み3Dモデル106内で少なくとも歯科インプラントの据付け表面の場所および配向が分かるように、3Dモデルから仮想治療アバットメントを除去する(または減算する)ことができる。開口部108は、軟組織を通って延在する開口部であり、治療アバットメントの輪郭の形状を有する。本明細書中で論述されている通り、第2の修正済み3Dモデル106は、例えば、治療アバットメント10上のインディシアから、どの仮想治療アバットメントが患者の口の中に設置される治療アバットメントに対応するかを決定することによって形成される。
【0056】
CADプログラムはさらに、インプラントに取付けるのに適応されるように、特定患者用のカスタムの歯科コンポーネントを設計するために使用される。一実施例において、歯科コンポーネントは、カスタムのアバットメントであり得る。カスタムのアバットメントは、多くの場合歯冠と呼ばれる最終的補綴物を支持する。第2の修正済み3Dモデル106は、患者の口の特異的寸法および条件に基づいて軟組織内部および隣接する歯の間でフィットするようにアバットメントおよび/または歯冠を設計するために使用される。したがって、歯科インプラントの正確な位置を得ることは、正確な歯科アバットメントおよび最終補綴物を設計する上で極めて重要である。しかしながら、以上で論述したように、軟組織のプロファイル形状は、インプラントの場所および配向ほど重要ではない。カスタムのアバットメントを設計するためにひとたびCADプログラムが使用されたならば、カスタムのアバットメントの設計は、通常チタンまたはチタン合金である金属ブランクから、またはセラミック材料からカスタムのアバットメントを作成するためにCNCフライス盤などの精密製造装置中に入力される。
【0057】
治療アバットメント10の頂部表面18(最歯冠側表面20および円周方向部分60を含む)は、3Dモデル内部の歯科インプラント116の頂部表面114(据付け表面)および非回転特徴部112(例えば割出し部分)の配向および位置を決定するために使用可能である。
【0058】
治療アバットメント10および患者の解剖学的構造の周辺組織(例えば隣接歯、歯肉組織および/またはインプラントまたはアバットメント)のスキャナ204を介して採取した走査データを解析システム208に転送することのできるシステム200が、
図20に示されている。走査データの3D仮想モデルを作成することができる。解析システム208は、3D仮想モデル内部の治療アバットメント10の第1の情報マーカの配向および位置を識別するために形状整合を利用することができる。このような配設においては、治療アバットメント10の長手方向中心軸ひいては治療アバットメント10が上に組付けられる歯科インプラント116の長手方向中心軸を決定するために、第1の情報マーカを使用することができる。第1の情報マーカは同様に、座標系内部の治療アバットメントの空間的位置を決定するためにも使用可能である。治療アバットメント10の座標系内部の空間的位置がひとたび決定されたならば、特定の治療アバットメントのサイズおよび形状は決定され、治療アバットメント10の頂部表面18の位置および配向から、頂部表面および/または非回転特徴部(例えば割出し部分)の位置および配向についてのベクトルを決定することができる。本明細書中で論述されているように、第1の情報マーカは形状整合されることから、座標系の5つの自由度が所定の場所で係止され、唯一未知であるのは、据付け表面がZ軸に沿ったどこに位置設定されているかである。第2の情報マーカからの情報は、どの仮想治療アバットメントがユーザの口の中の治療アバットメントと整合するかをユーザが決定できるようにし、寸法情報を決定することができる。本明細書中で論述されるように、仮想治療アバットメントの高さは、据付け表面の場所および配向がZ軸に沿って係止され得るように、形状整合された第1の情報マーカと共に参考として使用可能である。
【0059】
一実施形態において、治療アバットメント10のタイプは、入力デバイス206(例えばコンピュータキーボードまたはマウス)を通してユーザ202により解析システム208内に入力され得るか、または治療アバットメント走査データ内部のインディシアを介して決定され得る。治療アバットメント10のタイプから、物理的構造に関する情報(例えば治療アバットメントの高さおよび直径、縁部形状、プロファイル形状など)が解析システム208に提供され得る。以上で指摘されているように、治療アバットメント10の公知の物理的構造を第1の情報マーカの位置および配向と組み合わせて、インプラントの据付け表面の配向および場所およびインプラントの非回転特徴部の配向を決定することができる。このようにして、解析システム208のユーザ202は、患者の口内に設置された歯科インプラントと正確に噛合できる最終復元物214(例えば歯科アバットメント)を設計することができる。
【0060】
本明細書中で論述されているように、歯科インプラントの位置および配向を決定するために、第1の走査可能な特徴部を使用することができる。すなわち、3D仮想モデル内の治療アバットメントにひとたび形状整合されると、基準表面として第1の走査可能な特徴部を使用することで、歯科インプラントの少なくとも据付け表面の場所および配向を知ることができる。第2の走査可能な特徴部は、治療アバットメントについての情報をユーザ202に提供できる。例えば、第2の走査可能な特徴部は、形状整合される必要がなく、解析システム208中に入力されて、治療アバットメント10の物理的構造に関する情報および患者の口の中の歯科インプラントに結合された治療アバットメント10をどの仮想治療アバットメントが表現しているかを決定することができる。第2の走査可能な特徴部は走査データ内に提供され得るものの、これらは形状整合プロセスの一部ではない。(第1の情報マーカを含めた)頂部表面18の位置および配向が仮想治療アバットメントと形状整合されている間、ソフトコードは無視される。
【0061】
一実施例において、ユーザ202は、コンピュータスクリーン206または類似のデバイス上で最終復元物を検分しかつ/またはコンピュータスクリーン206を用いて最終復元物を立案し設計することができる。最終復元物の形状(寸法データ)および構成に関する製造データ210を、製造施設212に送ることができる。製造施設212は、製造データ210にしたがって最終復元物214を製造することができる。
【0062】
一実施例において、解析システム208は、仮想治療アバットメントの頂部表面形状の記憶されたライブラリに対して頂部表面18上の第1の情報マーカの形状を整合させることができ、このようにして、解析システム208は走査システムによって走査された治療アバットメントの頂部表面18を整合させることができる。一実施例において、解析システム208は、治療アバットメントの表面上のまたは別個に提供される第2の情報マーカ(1つ以上のインディシア)に関する入力をユーザ202から受信することができ、記憶されたライブラリ内のどの仮想治療アバットメントが患者の口の中の歯科インプラントに取付けられた治療アバットメントと整合するかを自動的に決定することができる。解析システム208は、今や患者の口の内部の治療アバットメントと整合する仮想治療アバットメントを識別したことから、3D仮想モデル内の治療アバットメントに対して選択された仮想治療アバットメント上の第1の情報マーカを形状整合することができる。本明細書中に論述されているように、こうして、座標系に3D仮想モデルが提供される。ひとたび形状整合されたならば、解析システム208は、3D仮想モデル内部の仮想治療アバットメントの5つの自由度を知ることになる。解析システム209は、なかでも、最後の自由度を決定するために形状整合済みの第1の情報マーカと共に使用するために、仮想治療アバットメント121の寸法情報を決定することができ、これはZ軸に沿った並進運動位置である。据付け表面の場所は、治療アバットメントの下側にあり、患者からの走査データでは示されていない。したがって、この情報(治療アバットメントの高さ)は、Z軸に沿った並進運動の場所がバイナリであり治療アバットメントの最歯冠側表面および治療アバットメントの高さから決定されることから、第1の情報マーカとは別個に提供され得る。第2の情報マーカは、仮想治療アバットメントの他の物理的特性(例えば直径、出現プロファイル形状および/または治療アバットメントタイプ)を提供することができ、これは治療アバットメントを取囲む軟組織の形状を決定するために治療アバットメント10の第1の情報マーカの配向および位置と組み合わせて使用することができる。
【0063】
図21は、例示的治療アバットメント10を示す。
図18に見られるように、走査データは、治療アバットメントデータを含む。すなわち、患者からの走査データは、治療アバットメント10の少なくとも頂部表面18を含み、第1の走査可能な特徴部(例えば最歯冠側表面20および円周方向部分60)を含み、いくつかの実施例においては、第2の走査可能な特徴部が走査データの外部で提供され得ることから第2の走査可能な特徴部(例えばインディシア68)を含む。本明細書中で論述されているように、走査データ中に両方の走査可能な特徴部が提供されているものの、3D仮想モデル内部の座標系が知られており歯科インプラントの位置および配向を決定できるように、第1の走査可能な特徴部のみが形状整合される。
図22は、仮想治療アバットメントのライブラリから選択された例示的仮想治療アバットメントを例示する。仮想治療アバットメントのライブラリは、置換対象である異なる歯のためおよび患者の体内に設置された異なるインプラントのためのさまざまな治療アバットメントを含むことができる。形状整合だけを通してかまたは第2の情報マーカの使用を通してのいずれであれ、選択された仮想治療アバットメントは、走査データから形成された3D仮想モデル内に提供された治療アバットメントに対し形状整合するために使用される。
図22に見られるように、仮想治療アバットメント121は、第1の情報マーカ(すなわち最歯冠側表面122および円周方向部分124)を含む頂部表面123を含む。頂部表面123は同様に、カットアウト126および縁部128も含んでいる。根尖側端部132および出現プロファイル130を含む側方表面133も同様に示されているものの、これらの寸法は形状整合されておらず、ひとたび治療アバットメントの配向が分かった時点で提供され得る。例えば、3D仮想モデル内の治療アバットメントと仮想治療アバットメント121の間の第1の情報マーカを形状整合することにより3D仮想モデル内部でひとたび座標系が決定されたならば、3Dモデル内部の仮想治療アバットメント121の位置および配向は、5つの自由度で知られる。寸法情報(例えば高さ)は選択された仮想治療アバットメント121から公知であることから、歯科インプラントの据付け表面の位置および配向を、形状整合された第1の情報マーカから決定することができる。なかでも直径、出現プロファイルなどの追加情報も同様に分かる。
図22に見られるように、治療アバットメント由来のインディシア68は、仮想治療アバットメント上に存在しない。形状整合のために使用されないことから、インディシアは仮想治療アバットメント上に存在する必要がない。他の実施例では、形状整合のために使用されていなくても、インディシアは存在してよい。
【0064】
図12~15を参照すると、例示されている治療アバットメントの各サイズにおいて、頂部表面の縁部の形状は、異なっている。以上で指摘した通り、解析システム208は、患者解剖学的構造との関係における治療アバットメントの配向および位置を識別するために形状整合を利用することができる。すなわち、最歯冠側表面20および円周方向部分60を形状整合することができる。一実施形態においては、アバットメントのタイプは解析システム208内に(例えばインディシアを読取るシステムのユーザによって)入力され得、これにより、解析システムには物理的構造に関する情報(例えば治療アバットメントの高さおよび直径)が提供される。治療アバットメントの公知の物理的構造は、歯科インプラントの据付け表面の配向および位置および歯科インプラントの非回転特徴部の配向を決定するために、最歯冠側表面および円周方向部分の測定された位置および配向と組合せ可能である。
【0065】
図20を参照すると、システム200は、1つ以上のディスプレイ206、1つ以上の入力デバイス206および1つ以上のスキャナ204、例えば口腔内スキャナに結合され得る1つ以上のコンピュータ(解析システム208)を含むことができる。歯科医、歯科技工士または他の人物であり得るユーザまたはオペレータ202は、キーボードおよび/またはマウスであり得る1つ以上の入力デバイス206を操作することによって歯科補綴物解析システムのためのデータを立案し得る。一部の実施形態においては、最終復元物用の設計について作業する間、オペレータ202はディスプレイ206上に最終復元物のための案を見ることができる。修正された実施形態において、スキャナは、治療アバットメントについて物理的印象が採取される実施形態において印象または石膏の類似物を走査するように構成されたスキャナ(例えば卓上スキャナ)であり得る。
【0066】
さまざまな実施形態において、解析システム208は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のメモリおよび/または1つ以上の通信メカニズムを伴う1つ以上のコンピュータを含み得る。いくつかの実施形態においては、本明細書中で論述されているモジュール、方法およびプロセスを実行するために、2つ以上のコンピュータを使用することができる。さらに、本明細書中のモジュールおよびプロセスは各々、1つ以上のコンピュータ上の1つまたは多数のプロセッサ上で実行でき、あるいは、本明細書中のモジュールは、専用ハードウェア上で実行し得る。入力デバイス206は、1つ以上のキーボード(片手式または両手式)、マウス、タッチスクリーン、ボイスコマンドおよび付随するハードウェア、ジェスチャ認識または、オペレータ202とコンピュータの間の通信を提供する他の任意の手段、を含み得る。
【0067】
ディスプレイ206は、2Dまたは3Dディスプレイであり得、LCD、CRT、プラズマ、プロジェクションなどの任意の技術に基づくものであってよい。スキャナ204は、2Dまたは3Dスキャナであってよい。スキャナ204は、口腔内スキャナまたは別のタイプのスキャナ(例えば口腔内走査を行なうように構成されていないスキャナ)であり得る。いくつかの実施形態において、スキャナ204内の3D走査は、飛行時間型計算、三角形分割、コノスコープホログラフィ、構造化光、変調光、コンピュータ断層撮影、微小断層撮影、磁気共鳴画像法、または任意の適切な技術または技法を用いて達成される。いくつかの実施形態において、3Dスキャナは、X線、可視光、レーザ光、超音波放射線または任意の他の適切な放射線または技術を使用し得る。いくつかの実施形態において、3Dスキャナは、立体鏡検査、測光法、シルエット化、タッチプローブ、または他の任意の適切な技法を使用し得る。好ましい実施形態において、スキャナ204は、口腔内スキャナである。
【0068】
図20のシステムのさまざまなコンポーネントの間の通信は、USB、VGAケーブル、同軸ケーブル、ファイアワイヤ、シリアルケーブル、パラレルケーブル、SCSIケーブル、IDEケーブル、SATAケーブル、802.11またはBluetooth(登録商標)に基づくワイヤレス、または他の任意の有線または無線接続を含めた任意の適切な結合を介して達成され得る。システム内のコンポーネントの1つ以上は同様に、単一のユニットに組合わされてもよい。いくつかの実施形態において、
図20に示されているシステムの電子コンポーネントは全て、単一の物理的ユニット内に含められている。
【0069】
ここで
図23を参照すると、使用方法200の一実施形態が提供されている。ステップ202においては、インプラントが提供され、患者の骨組織内に移植され得、移植されたインプラントに対し治療アバットメントが結合され得る。物理的印象を作成しなければならない場合、方法200は、ステップ204~208を含むことができ、ここでステップ204において、治療アバットメントを含む患者の口の印象が採取され、ステップ206では、印象から歯型が作成され、ステップ208では、治療アバットメントの少なくとも頂部表面および周辺歯を含むストーンキャストが走査される。歯型を作成するかまたは印象を走査する代りに、ステップ210では、患者の口の内部の治療アバットメントの頂部表面を走査するために、口腔内スキャナまたは他の走査装置を使用することができる。患者の口の内側の治療アバットメントの走査データが(歯型または口腔内スキャナのいずれかから)ひとたび採取されると、ステップ212において、走査データは受信され解釈される。例えば、走査データの3D仮想モデルを作成することができる。本明細書中で論述されているように、仮想治療アバットメントが走査データとマージされて、第1の修正済み3D仮想モデルを提供する。仮想治療アバットメントは、修正済み3D仮想モデル内部の座標系を決定するために使用される。すなわち、走査データ内の治療アバットメントの第1の情報マーカは、仮想治療アバットメントの第1の情報マーカに対し形状整合される。そうすることによって、座標系が作成され、仮想治療アバットメントの第1の情報マーカの場所および配向が修正済み3D仮想モデル内で公知となる。こうして、歯科インプラントの場所および配向も同様に公知となるが、5つの自由度のみで公知となる。すなわち、歯科インプラントの据付け表面が治療アバットメントの下側にあることから、仮想治療アバットメントの高さがひとたび決定されると、Z軸に沿った場所は、第1の情報マーカの形状整合と同時にかまたはそれに続いて決定される。
【0070】
本明細書中で論述されているように、歯科インプラントの場所および配向は可能なかぎり正確である必要があることから、当該発明人らは、形状整合のために使用される情報マーカを最小限に抑え、簡略化した。
【0071】
ステップ214では、第1の修正済み3Dモデルは、さらに修正されて、歯科インプラントの頂部表面(据付け表面)、非回転特徴部および角度的配向(中心軸)が示されている第2の修正済み3Dモデルを形成する。すなわち、仮想治療アバットメントの特性を提供する第2の情報マーカに基づいて、修正済み3Dモデルから治療アバットメントを減算して、歯科インプラントの据付け表面の配向および場所を正確に示す第2の修正済み3Dモデルを形成することができる。例えば、仮想治療アバットメントの高さが分かり、こうして、歯科インプラントの据付け表面が最歯冠側表面を形成する距離も同様に分かる。こうして、解析システム206は仮想治療アバットメントを除去し、歯科インプラントの少なくとも据付け表面を例示することができるようになる。
【0072】
ステップ216において、歯科インプラントの頂部表面、長手方向軸、および/または非回転特徴部の位置および配向がひとたび分かると、ユーザは、最終復元物を設計し、その後最終復元物を製造することができる。
【0073】
一定期間(例えば治療およびオッセオインテグレーション期間)の後、歯科インプラントから治療アバットメントを除去することができ、歯科インプラントに対してその連結界面において、単一の歯、ブリッジまたは他の枠組などの最終歯科復元物を適用することができる。以上で指摘したように、最終復元物は、治療アバットメントから収集した情報(位置および配向)に基づいて設計および/または作製され得る。上述の通り、最終復元物は、治療アバットメントの走査およびそれから導出された情報から決定することのできる歯科インプラントの正確な位置および配向についての知識を用いて設計可能である。治療アバットメントの走査は、一定期間(例えば治療およびオッセオインテグレーション期間)の前、途中または後で行なうことができる。以下で指摘されるように、一部の実施形態において、治療アバットメントの物理的印象を、治療アバットメントの口腔内走査に加えてかまたはその代替として採取することができる。
【0074】
本明細書中に記載されているプロセス、コンピュータ可読媒体およびシステムは、コンピュータシステムなどのさまざまなタイプのハードウェア上で実施され得る。コンピュータシステムは、情報を通信するためのバスまたは他の通信メカニズム、および情報を処理するためにバスに結合された他の通信メカニズムを含み得る。コンピュータシステムは、主メモリ、例えばランダムアクセスメモリまたは、バスに結合された他の動的記憶デバイスを有し得る。主メモリは、命令および一時変数を記憶するために使用され得る。コンピュータシステムは同様に、静的情報および命令を記憶するためにバスに結合された読取り専用メモリまたは他の静的記憶デバイスを含んでいてもよい。コンピュータシステムは同様に、CRTまたはLCDモニタなどのディスプレイに結合されていてもよい。入力デバイスも同様にコンピュータシステムに結合され得る。これらの入力デバイスは、マウス、トラックボール、またはカーソル方向キーを含み得る。本明細書中に記載のコンピュータシステムは、コンピュータ、ディスプレイ、スキャナおよび/または入力デバイスを含み得る。各々のコンピュータシステムは、1つ以上の物理的コンピュータまたはコンピュータシステムまたはその一部分を用いて実装され得る。コンピュータシステムにより実行される命令は同様に、コンピュータ可読媒体から読み込まれ得る。コンピュータ可読媒体は、CD、DVD、光ディスクまたは磁気ディスク、レーザディスク、搬送波またはコンピュータシステムにより可読である他の任意の媒体であり得る。いくつかの実施形態においては、プロセッサにより実行されるソフトウェア命令の代りにまたはそれと組合わせた形で、ハードワイヤード回路を使用することができる。
【0075】
本明細書中に記載のおよび/または添付図面で描かれている流れ図の中のあらゆるプロセス説明、要素またはブロックは、プロセス中の特定の論理機能またはステップの実装のための1つ以上の実行可能な命令を含むモジュール、セグメントまたはコード部分を潜在的に表現しているものとして理解されるべきものである。当業者であれば理解するように、要素または機能が、関与する機能性に応じて、実質的に同時にまたは逆の順序でを含め、図示または論述されたものからは逸脱した順序で実行されて、抹消され得る代替的な実装が、本明細書中に記載の実施形態の範囲内に含まれる。
【0076】
本明細書中に記載の実施例は、論理または多くのコンポーネントまたはメカニズムを含むことができ、またはそれらによって動作することができる。回路セットは、ハードウェア(例えば単純な回路、ゲート、論理など)を含む有体物において実装される回路集合である。回路セットの成員は、経時的におよび基礎を成すハードウェアの可変性に応じて柔軟であり得る。回路セットは、単独でまたは組み合わせた形で、動作中に規定のオペレーションを行なうことのできる成員を含む。一実施例において、回路セットのハードウェアは、特定のオペレーションを実施するように不変的に設計され得る(例えばハードワイヤード)。一実施例において、回路セットのハードウェアは、特定のオペレーションの命令をエンコードするために物理的に修正された(例えば磁気的に、電気的に、不変質量粒子の移動可能な配置、など)コンピュータ可読媒体を含めた可変的に連結された物理的コンポーネント(例えば実行ユニット、トランジスタ、単純回路など)を含み得る。物理的コンポーネントを連結するにあたり、ハードウェア構成物質の基礎を成す電気的特性は、例えば絶縁体から導体へ、またはその逆に変化させられる。命令は、動作中、特定のオペレーションの一部分を実施するために埋込み型ハードウェア(例えば実行ユニットまたはローディングメカニズム)が可変的接続を介してハードウェア内の回路セットの成員を作成できるようにする。したがって、コンピュータ可読媒体は、デバイスが動作しているとき、回路セット成員の他のコンポーネントに対して通信可能な形で結合されている。一実施例においては、2つ以上の回路セットのうちの2つ以上の成員において、物理的コンポーネントのいずれでも使用することができる。例えば、動作中、実行ユニットは、1つの時点で第1の回路セットの第1の回路の中で使用され得、異なる時点で第1の回路セット内の第2の回路によってかまたは第2の回路セット内の第3の回路によって再使用され得る。
【0077】
機械(例えば解析システムまたはコンピュータシステム)208は、ハードウェアプロセッサ(例えば中央処理ユニット(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、ハードウェアプロセッサコア、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはそれらの任意の組合せ)、主メモリ、およびスタティックメモリを含むことができ、それらのいくつかまたは全てが、インタリンク(例えばバス)を介して互いに通信し得る。機械208はさらに、ディスプレイユニット206および英数字入力デバイス206(例えばキーボード)およびユーザインタフェース(UI)ナビゲーションデバイス(例えばマウス)を含み得る。一実施例においては、ディスプレイユニット206、入力デバイス206およびUIナビゲーションデバイスは、タッチスクリーンディスプレイであってよい。機械208は、さらに、記憶デバイス(例えばドライブユニット)を含み得る。
【0078】
記憶デバイスは、本明細書中に記載の技術または機能のうちのいずれか1つ以上を具現するかまたはそれによって使用される、データ構造または命令(例えばソフトウェア)の1つ以上のセットが記憶されている機械可読媒体を含むことができる。命令は同様に、完全にまたは少なくとも部分的に、機械208による命令の実行中、主メモリ内部、スタティックメモリ内部またはハードウェアプロセッサ内部に存在し得る。一実施例においては、ハードウェアプロセッサ、主メモリ、スタティックメモリ、または記憶デバイスの1つまたは任意の組合せが、機械可読媒体を構成し得る。
【0079】
機械可読媒体は、1つ以上の命令を記憶するように構成された単一の媒体または多数の媒体(例えば集中または分散データベース、および/または付随するキャッシュおよびサーバ)であり得る。
【0080】
「機械可読媒体」なる用語は、機械208による実行のために命令を記憶、エンコードまたは担持する能力を有するか、またはこのような命令によって使用されるかまたはそれらと結びつけられたデータ構造を記憶、エンコードまたは担持する能力を有するあらゆる媒体を含み得る。非限定的な機械可読媒体の例としては、ソリッドステートメモリおよび光学および磁気媒体が含まれ得る。一実施例において、質量機械可読媒体は、不変(静止)質量を有する複数の粒子を伴う機械可読媒体を含む。したがって、質量機械可読媒体は、非一時的な伝播信号である。質量機械可読媒体の具体的例としては、不揮発性メモリ、例えば半導体メモリデバイス(例えば電気的プログラマブル読取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM))およびフラッシュメモリデバイス;磁気ディスク、例えば内蔵ハードディスクおよびリムーバブルディスク、磁気光ディス;およびCD-ROMおよびDVD-ROMディスクが含まれ得る。
【0081】
命令はさらに、数多くの転送プロトコル(例えばフレームリレー、インタネットプロトコル(IP)、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパテキスト転送プロトコル(HTTP)など)のうちのいずれか1つを利用するネットワークインタフェースデバイスを介して、伝送媒体を用いる通信ネットワーク上で伝送または受信されてよい。例示的通信ネットワークには、なかでも、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(例えばインタネット)、携帯電話網(例えばセルラーネットワーク)、単純従来型電話(POTS)ネットワーク、および無線データネットワーク(例えば、Wi-Fi(登録商標)として知られる米国電気電子学会(IEEE)802.11規格ファミリ、WiMax(登録商標)として知られるIEEE802.16規格ファミリ)、IEEE802.15.4規格ファミリ、ピアツーピア(P2P)ネットワークが含まれ得る。一実施例において、ネットワークインタフェースデバイスは、通信ネットワークに接続するために1つ以上の物理的ジャック(例えばイーサネット(登録商標)、同軸または電話ジャック)または1つ以上のアンテナを含み得る。一実施例において、ネットワークインタフェースデバイスは、単一入力多重出力(SIMO)、多重入力多重出力(MIMO)、または多重入力単一出力(MISO)技術のうちの少なくとも1つを使用して無線通信するための複数のアンテナを含み得る。「伝送媒体」なる用語は、機械208による実行のための命令を記憶、エンコードまたは担持する能力を有する任意の無形媒体を含むものと捉えられ、このようなソフトウェアの通信を容易にするためのデジタルまたはアナログ通信信号または他の無形媒体を含む。
【0082】
本明細書中に記載の治療アバットメントは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマ材料で製造され得るが、他の実施形態では、治療アバットメントは、金属(例えばチタン)などの他の材料で製造され得る。治療アバットメントは、単一のモノリシック材料部片(例えば射出成形されたもの)から作られ得るが、他の実施形態では、治療アバットメントは、多数の部片および/または金属、セラミック、プラスチックまたはポリマなどの異なる材料の部片から作られ得る。
【0083】
一実施例において、走査されるように構成されている治療アバットメントの頂部表面は、約0.05Raから約0.5Raまでの粗度値(Ra)を有する粗化された表面を有する。粗化された表面は、走査性を増大させる。さらに、アバットメントの表面をさらに陽極酸化して、治療中の美観上の理由からピンク色を含めることができる。
【実施例】
【0084】
これらの非限定的実施例の各々は、自立したものであり得、あるいは、他の実施例の1つ以上とのさまざまな置換または組合せと組み合わせることも可能である。
【0085】
実施例1は、患者の口の中に設置された歯科インプラントに取付けられた治療アバットメントを表わす、少なくとも治療アバットメントデータを含む走査データを受信するステップであって、治療アバットメントデータが治療アバットメントの頂部表面上の第1の情報マーカを含み、第1の情報マーカが:最歯冠側表面と;頂部表面と治療アバットメントの側方表面の間の境界を画定する縁部と、最歯冠側表面との間の円周方向部分であって、最歯冠側表面と縁部との間で頂部表面の一部分に沿って恒常なテーパを有し、長手方向軸に直交する平面に沿って恒常な曲率半径を有する円周方向部分と;を含んでいる、ステップと;走査データの3次元(3D)仮想モデルを作成するステップと;第1の情報マーカに基づいて、3Dモデル内部の仮想歯科インプラントの一部分の場所および配向を決定するステップであって、仮想歯科インプラントが患者の口の中に設置された歯科インプラントに対応しているステップと;歯科インプラントの場所および配向に基づいて、歯科コンポーネントの寸法情報を含む仮想歯科コンポーネントを開発するステップと;を提供する。
【0086】
実施例2において、実施例1の主題には任意には、第1の情報マーカが、歯科インプラントの非回転特徴部を標示する走査可能な特徴部を含む、ことが含まれる。
【0087】
実施例3において、実施例2の主題には任意には、最歯冠側表面が平面である、ことが含まれる。
【0088】
実施例4において、実施例1~2の主題には任意には、最歯冠側表面が治療アバットメントの長手方向軸に直交している、ことが含まれる。
【0089】
実施例5において、実施例1~3の主題には任意には、最歯冠側表面が内側リッジと外側リッジを含んでいる、ことが含まれる。
【0090】
実施例6において、実施例1~4の主題には任意には、治療アバットメントデータが、治療アバットメントの高さの識別を可能にする少なくとも1つの第2の情報マーカを含む、ことが含まれる。
【0091】
実施例7において、実施例6の主題には任意には、少なくとも1つの第2の情報マーカが、治療アバットメントのプロファイルの形状;歯科インプラントの連結タイプ;治療アバットメントの断面形状;および治療アバットメントの幅;のうちの少なくとも1つの識別を可能にする、ことが含まれる。
【0092】
実施例8において、実施例1~7の主題には任意には、3D仮想モデル内部の歯科インプラントの場所および配向を決定するステップが:患者の口の中に設置された歯科インプラントに取付けられた治療アバットメントと整合する仮想治療アバットメントを治療アバットメントライブラリから選択するステップであって、仮想治療アバットメントが第1の仮想情報マーカを含んでいるステップと;第1の修正済み3Dモデルを形成するために第1の情報マーカと仮想治療アバットメントの第1の仮想情報マーカとを形状整合することによって仮想治療アバットメントと治療アバットメントデータとをマージするステップと;を含む、ことが含まれる。
【0093】
実施例9において、実施例8の主題には任意には、第1の修正済み3Dモデルから仮想治療アバットメントを減算することによって第2の修正済み3Dモデルを形成するステップであって、第2の修正済み3Dモデルが、仮想歯科インプラントの少なくとも1つの据付け表面の場所および配向を示し、仮想歯科インプラントの据付け表面の場所および配向が患者の口の内部に設置された歯科インプラントの据付け表面の場所および配向に対応している、ステップ;がさらに含まれる。
【0094】
実施例10は、仮想歯科コンポーネントを設計するためのシステムにおいて、少なくとも1つのプロセッサによって実行された場合に、少なくとも1つのプロセッサに:少なくとも治療アバットメントデータを含む走査データを受信するオペレーションであって、治療アバットメントデータが、患者の口の中に設置された歯科インプラントに取付けられた治療アバットメントを表わし、治療アバットメントデータが治療アバットメントの頂部表面上の第1の情報マーカを含み、第1の情報マーカが:最歯冠側表面と;頂部表面と治療アバットメントの側方表面の間の境界を画定する縁部と、最歯冠側表面との間の円周方向部分であって、最歯冠側表面と縁部との間で頂部表面の一部分に沿って恒常なテーパを有し、長手方向軸に直交する平面に沿って恒常な曲率半径を有する円周方向部分と;を含んでいる、オペレーション;走査データの3次元(3D)仮想モデルを作成するオペレーション;第1の情報マーカに基づいて、3Dモデル内部の歯科インプラントの場所および配向を決定するオペレーション;歯科インプラントの場所および配向に基づいて、歯科コンポーネントの寸法情報を含む仮想歯科コンポーネントを開発するオペレーション;を行なわせるシステム、を提供する。
【0095】
実施例11において、実施例10の主題には任意には、治療アバットメントデータが、治療アバットメントの高さの識別を可能にする少なくとも1つの第2の情報マーカを含む、ことが含まれる。
【0096】
実施例12において、実施例11の主題には任意には、第2の情報マーカがさらに、治療アバットメントのプロファイルの形状;歯科インプラントの連結タイプ;治療アバットメントの断面形状;および治療アバットメントの幅;のうちの少なくとも1つの識別を可能にする、ことが含まれる。
【0097】
実施例13において、実施例10~12の主題には任意には、3D仮想モデル内部の歯科インプラントの場所および配向を決定するステップが、少なくとも1つのプロセッサに:患者の口の中に設置された歯科インプラントに取付けられた治療アバットメントと整合する仮想治療アバットメントを治療アバットメントライブラリから選択するオペレーションであって、仮想治療アバットメントが第1の仮想情報マーカを含んでいるオペレーション;および第1の修正済み3Dモデルを形成するために第1の情報マーカと仮想治療アバットメントの第1の仮想情報マーカとを形状整合することによって仮想治療アバットメントと治療アバットメントデータとをマージするオペレーション;を行なわせる、ことが含まれる。
【0098】
実施例14において、実施例13の主題には任意には、3D仮想モデル内部の歯科インプラントの場所および配向を決定するステップが、少なくとも1つのプロセッサに:第1の修正済み3Dモデルから仮想治療アバットメントを減算することによって第2の修正済み3Dモデルを形成するオペレーションであって、第2の修正済み3Dモデルが、仮想歯科インプラントの少なくとも1つの据付け表面の場所および配向を示し、仮想歯科インプラントの据付け表面の場所および配向が患者の口の内部に設置された歯科インプラントの据付け表面の場所および配向に対応している、オペレーション;を行なわせる、ことが含まれる。
【0099】
実施例15は、歯科コンポーネントに結合するための治療アバットメントにおいて、歯冠側端部部分から根尖側端部部分まで延在する本体であって:側方表面と;縁部を画定し、かつ最歯冠側表面、および最歯冠側表面と縁部の間に延在する円周方向部分であって、最歯冠側表面から縁部に向かってテーパがかかり、長手方向軸に直交する平面に沿って恒常な曲率半径を有する円周方向部分;を含む第1の情報マーカを有する頂部表面と;を含む本体、を含む治療アバットメントを提供する。
【0100】
実施例16において、実施例15の主題には任意には、最歯冠側表面が平面であり、本体の長手方向軸に直交している、ことが含まれる。
【0101】
実施例17において、実施例15~16の主題には任意には、頂部表面の円周方向部分は、最歯冠側表面から縁部に向かって恒常なテーパ角でテーパがかかっている、ことが含まれる。
【0102】
実施例18において、実施例15~17の主題には任意には、テーパがかかっている頂部表面の円周方向部分が、長手方向軸の周りで少なくとも15度の円周方向長さを有する、ことが含まれる。
【0103】
実施例19において、実施例15~18の主題には任意には、縁部によって画定された外周が、非対称形状を形成する、ことが含まれる。
【0104】
実施例20において、実施例15~19の主題には任意には、本体が、治療アバットメントの少なくとも高さを標示するインディシアを含む少なくとも1つの情報マーカを含む、ことが含まれる。
【0105】
実施例21にあるのは、実施例または実施例1~20の要素のいずれか1つまたは組合せである。
【0106】
以上で詳述した説明は、詳細な説明の一部を成す添付図面に対する参照を含んでいる。図面は、例示として、本発明を実践できる具体的実施形態を示している。これらの実施形態は、本明細書において「実施例」とも呼ばれている。このような実施例は、図示または説明されているものに加えた要素を含み得る。しかしながら、当該発明人は、これらの図示または説明された要素のみが提供されている実施例も企図している。その上、当該発明人は同様に、特定の実施例(またはその1つ以上の態様)に関してかまたは本明細書中で図示または説明されている他の実施例(またはその1つ以上の態様)に関して、これらの図示または説明されている要素(またはその1つ以上の態様)の任意の組合せまたは置換を用いた実施例も企図している。
【0107】
本明細書と参照によりそのように組込まれているあらゆる文書との間に一貫性のない用法が存在する場合には、本明細書中の用法が支配する。
【0108】
本明細書中、「a」または「an」なる用語は、特許文書において一般的であるように、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」という他のいずれかの事例または用法とは無関係に、1つまたは2つ以上を含めるように使用される。本明細書において、「or」なる用語は、別段の指示の無いかぎり、非排他的orを意味するように使用され、したがって、「A or B」は、「BではなくA」、「AではなくB」および「AおよびB」を含むことになる。本明細書中で、「including」および「in which」なる用語は、それぞれの用語「comprising」および「wherein」のプレインイングリッシュ等価物として使用される。同様に、以下のクレーム中では、「including」および「comprising」は、開放形式である、すなわちクレーム中でこのような用語の後に列挙されているものに加えた要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、調合物またはプロセスがなお、このクレームの範囲内に入るものとみなされる。その上、以下のクレームにおいて、「第1の」、「第2の」および「第3の」などの用語は、単にラベルとして用いられ、それらの目的語に対して数的な要件を課すように意図されていない。
【0109】
本明細書中に記載の方法実施例は、少なくとも一部は機械またはコンピュータ実装され得る。いくつかの実施例は、以上の実施例で説明されている方法を行なうように電子デバイスを構成するために動作可能な命令を用いてエンコードされたコンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含むことができる。このような方法の実装には、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コードなどのコードが含まれ得る。このようなコードは、さまざまな方法を行なうためのコンピュータ可読命令を含み得る。コードは、コンピュータプログラムプロダクツの一部分を形成し得る。さらに、一実施例において、コードは、例えば実行中または他の時点で、1つ以上の揮発性、非一時的または不揮発性有形コンピュータ可読媒体上に、有形的に記憶され得る。これらの有形コンピュータ可読媒体の例としては、非限定的に、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えばコンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)などが含まれ得る。
【0110】
本明細書中に記載の実施形態に対しては、多くの変更および修正を加えることができ、その要素は他の受容可能な実施例の中に入るものとして理解されなければならない、ということを強調しておくべきである。このような修正および変形形態は、本明細書中で本開示の範囲内に含まれ、以下のクレームによって保護されるように意図されている。さらに、本明細書中に記載のステップはいずれも、同時に、または本明細書中で順序付けされているステップとは異なる順序で行なうことができる。その上、明白であるように、本明細書中で開示されている具体的実施形態の特徴部および属性を異なる形で組合わせて追加の実施形態を形成することができ、これらの実施形態は全て、本開示の範囲内に入る。
【0111】
なかでも「can」、「could」、「might」、「may」、「e.g.」などの本明細書中で使用されている条件言語は、別段の具体的記述のない限り、または前後関係の中で他の形で使用されているものと理解されているのでない限り、概して、他の実施形態では含まれないものの一部の実施形態が一部の特徴部、要素および/または状態を含むことを伝えるように意図されている。したがって、このような条件言語は概して、特徴部、要素および/または状態が1つ以上の実施形態のために何らかの形で必要とされていること、または1つ以上の実施形態が必然的に、作者の入力またはプロンプトを伴ってまたは伴わずに、これらの特徴部、要素および/または状態がいずれかの特定の実施形態内に含まれるかまたはその中で行なわれなければならないかを決定するための論理を含んでいること、を暗示するように意図されていない。
【0112】
以上の説明は、限定的ではなく例示的であるように意図されている。例えば、上述の実施例(またはその1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用されてよい。例えば、以上の説明を精査した上で当業者によって、他の実施形態も使用され得る。要約書は、読者が技術的開示の内容を迅速に確認できるように、37C.F.R.§1.72(b)に準じて提供されている。それは、クレームの範囲または意味を解釈または限定するために使用されないという了解の下で提出されるものである。同様に、以上の詳細な説明においては、本開示を簡素化するために、さまざまな特徴をまとめることが可能である。これは、請求されていない開示された特徴がいずれかのクレームに不可欠であることを意図するものとして解釈されるべきではない。むしろ、発明力ある主題は、特定の開示された実施形態の全てには満たない特徴の中に存在し得る。したがって、以下のクレームは、ここで実施例または実施形態として詳細な説明の中に組込まれ、各クレームは、別個の実施形態として独立しており、このような実施形態をさまざまな組合せまたは置換の形で互いに組み合わせることができる、ということが企図されている。本発明の範囲は、添付クレームと同時にこのようなクレームが権限を有する等価物の全範囲を参照して決定されるべきものである。