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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】水上スキー板
(51)【国際特許分類】
   B63B 32/10 20200101AFI20240820BHJP
   B63B 34/56 20200101ALI20240820BHJP
   B63B 32/30 20200101ALI20240820BHJP
   B63H 5/08 20060101ALI20240820BHJP
   B63H 11/08 20060101ALI20240820BHJP
   B63H 21/21 20060101ALI20240820BHJP
   B63H 25/46 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B63B32/10
B63B34/56
B63B32/30
B63H5/08
B63H11/08 Z
B63H21/21
B63H25/46
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021574998
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 AT2020060130
(87)【国際公開番号】W WO2020257832
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】A50562/2019
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】521548320
【氏名又は名称】ペーター・ローレンツ・ローラント
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ローレンツ・ローラント
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】実公昭46-023234(JP,Y1)
【文献】特開2018-130985(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0118923(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00169818(EP,A1)
【文献】特開平10-024897(JP,A)
【文献】米国特許第05643029(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 32/10
B63B 34/56
B63B 32/30
B63H 5/08
B63H 11/08
B63H 21/21
B63H 25/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮くことができるスキー板本体(2)と、駆動力を設定するための制御装置(6)とを有する水上スキー板(1)であって、
スキー本体(2)には、ビンディング(3)の他に、回転駆動機(4)を有する回転駆動ユニット及びそれによって駆動可能なスクリュー駆動機を備える走行駆動機が設けられている、
水上スキー板(1)において、
一対の水上スキー板の水上スキー板(1)は、それぞれ、少なくとも1つの駆動センサ(7)を有する回転駆動ユニット、割り当てられているエネルギー貯蔵部(8)、及び通信装置(9)を備え、
この通信装置(9)は、駆動センサデータおよび制御装置(6)の設定されたデータに依存して2つの水上スキー板(1)の回転駆動機(4)を調整
水上スキー板(1)は、水上での相互位置を検出するために、位置センサが装備されている、
ことを特徴とする水上スキー板(1)。
【請求項2】
回転駆動ユニットは、ジェット駆動機(5)であり、ジェット駆動機(5)の出口ノズル(11)は、水上スキー板の後端部の領域に、ウォーターラインの領域に、配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の水上スキー板(1)。
【請求項3】
ジェット駆動機(5)の出口ノズル(11)は、少なくとも1つの軸線を中心として、旋回可能にジェット駆動機本体(12)に設置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の水上スキー板(1)。
【請求項4】
ジェット駆動機(5)の出口ノズル(11)は、制御装置(6)の設定されたデータに依存して調整可能なアクチュエータによって少なくとも1つの軸線を中心として、旋回可能に、ジェット駆動機本体(12)に設置されている、ことを特徴とする請求項3に記載の水上スキー板(1)。
【請求項5】
水上スキー板(1)は、水上の水上スキー板の向きを検出するために、水上スキー板長手軸線を中心とした少なくとも1つの傾斜角を測定するセンサが装備されている、ことを特徴とする請求項14のいずれか一項に記載の水上スキー板(1)。
【請求項6】
ビンディング(3)、特にビンディングプレートは、転倒を検出するために圧力センサが装備されている、ことを特徴とする請求項15のいずれか一項に記載の水上スキー板(1)。
【請求項7】
水上スキー板(1)は、連結装置によって機械的に接続可能である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の水上スキー板(1)。
【請求項8】
水上スキー板(1)は水中翼が装備されていて、回転駆動ユニットは水中翼の翼の領域に配置されている、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の水上スキー板(1)。
【請求項9】
通信装置(9)は、データを読み取るために、コンピュータユニットと無線で連結可能である、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の水上スキー板(1)。
【請求項10】
一対のスキーストックが一対の水上スキー板に割り当てられていて、
その際、スキーストックは、グリップから離れた端部にフロートが装備されていて、及び2つのスキーストックのうちの少なくとも1つは、制御装置(6)を操作するための操作機構が装備されている、
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の水上スキー板(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビンディングの他に走行駆動機が設けられていて、浮くことができるスキー板本体と、駆動力を設定するための制御装置とを有する水上スキー板に関するものであって、この走行駆動機は、回転駆動機を有する回転駆動ユニット及びそれによって駆動可能なスクリュー駆動機を備える。
【背景技術】
【0002】
牽引ボートまたは水上スキーリフトなしで水上を走行することができるこのような電動水上スキー板は、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3から知られている。特許文献3から知られている装置は、プロペラ駆動機を有する水上スキー板を備え、駆動は、柔軟なシャフトを介してプロペラシャフトに駆動接続されているリュックサック内に配置されたモータによって行われる。
【0003】
浮くことができる水上スキー板の場合、ライフジャケットを装着したスキーヤーが座った姿勢でいる場合には、水上スキー板後部が水中に沈み、他方では、シャベル形状のスキー先端部が、水面の上方に突出するのが一般的である。スキーヤーが制御装置を操作する場合、回転駆動機は、スクリュー駆動機、プロペラまたはジェット駆動機を回転させ、そしてスキーを加速する。水上スキー板は、加速すると次第に浮力が増大する結果、滑走段階に至るまで水面上を浮遊し、その後、スキーヤーは、直立した上半身およびわずかに屈曲した膝で自分の走行姿勢をとることが可能である。
【0004】
特許文献4は、駆動機を有するサーフボードのような装置を開示する。特許文献1は、船体間に配置されている機外エンジンを有する双胴船と構造が類似している。特許文献2では、水がスキー板の下から吸い込まれ、配管を介してリュックサックに供給され、推進用の水がリュックサックの後部から放出されることが企図されている。リュックサックソリューションの主な欠点は、走行中の運動の自由度を著しく制限することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第3646905号明細書
【文献】米国特許第3113550号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0169818号明細書
【文献】独国実用新案第29919545号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、スキー板操縦者の運動の自由を制限せず、危険な走行状態を解消するインテリジェントな制御装置が装備されている、冒頭で述べられているタイプの水上スキー板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一対の水上スキー板の水上スキー板が、それぞれ、少なくとも1つの駆動センサを有する回転駆動ユニット、割り当てられているエネルギー貯蔵部、及び通信装置を備え、この通信装置が、駆動センサデータおよび制御装置の設定されたデータに依存して2つの水上スキー板の回転駆動機を調整する、ことによって上述の課題を解決する。
【0008】
それ故、スキー操縦者の運動の自由を制限しない水上スキー板が提供される。2つ水上スキー板は、好ましくは電気モータまたは内燃機関、プロペラ駆動機またはジェット駆動機、および駆動するために必要なすべての構成要素がそれぞれ装備されている。危険な走行状態を回避するために、制御装置と回転駆動ユニットの間のインターフェースを示す通信装置は、駆動センサデータと制御装置の設定されたデータとに依存して、2つの水上スキー板の回転駆動を調整する。駆動センサは、例えば、回転数センサ、又は駆動力を決定するためのトルクセンサ、又は回転駆動ユニットの駆動推進力を測定するための力センサ、又はこれらと同種のものとすることが可能である。速度は、例えば無線ネットワークを介して2つのスキー板の通信装置に無線で接続されているハンドルとして形成されている制御装置で設定することができる。完全に機能的で運動の自由を制限しない電動水上スキー板を提供できるようにするために、安全で安定した走行を可能にするために、2つの回転駆動ユニットが互いに通信できるようにするインテリジェントな通信システムを必要とする。これによって、電動水上スキー板が制御された運動を行い、制御不能な走行状態を防止することができるので、事故の危険性を最小限にする。
【0009】
有利で、特にコンパクトで、可能な限り安全な駆動条件を作り出すために、回転駆動ユニットがジェット駆動機であり、ジェット駆動機の出口ノズルが、水上スキー板の後端部の領域に、ウォーターラインの領域に配置されている、ことが企図される。ジェット駆動機の出口ノズルは、場合によってはスキー板操縦者の走行能力に応じて、水上スキー板を調整することができるように、少なくとも一つの軸線を中心として、旋回可能にジェット駆動本体に設置され得る。この設定は、永続的に行うことができる。走行中に再調整が可能である場合、制御装置の設定されたデータに依存して調整可能なアクチュエータを用いてジェット駆動機の出口ノズルは、少なくとも1つの軸線を中心として、旋回可能に、ジェット駆動機本体に設置され得る。
【0010】
水上スキー板は、水上の水上スキー板の向きを検出するために、水上スキー板長手軸線を中心として少なくとも1つの傾斜角度を測定するセンサが装備され得る。
【0011】
水上の水上スキー板の向きを検出するために利用可能なセンサは、例えば、慣性センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、傾斜センサまたは角度センサ、及びこれらと同種のものである。例えば、水上スキーヤーが左折したい場合、水上スキーヤーは左に傾き、左に走行する。ここで、2つのスキー板のセンサは、左への特定の傾斜角度がスキーヤーによって決定されることを検出する場合、コーナリングを容易にするために、例えば、右のスキー板は、左のスキー板と比べて加速することができる。加えて、加速度センサによって、運動が行われる速度を検出することができ、即ち、例えば、サーフィン若しくは水上スキー走行のスポーツで一般的なように、タイトなコーナリングを実行するかどうかを検出する。また、移動方向の変更は、割り当てられているアクチュエータによる出口ノズルの相応な制御によって行うこともできる又はサポートすることもできる。
【0012】
2つのスキー板は、通信装置を介して連続的に互いに通信し、これは、好ましくは、無線で、例えば、ブルートゥース接続を介して行われる。
【0013】
加えて、例えば、スキー板の内の1つに水の進入または予定外の温度変化、および速度の変化、およびモータの他の変化を把握することができる、したがって、スキー板を常に管理することができ、スキーヤーに対して危険な走行条件を回避する為に、種々のセンサが水上スキー板に組み込まれ得る。2つのスキー板のデータが互いに相違している場合には、これがスキー板の通信によって直ちに検出され、結果として場合によっては、介入することができる、または緊急動作を開始することができる。例えば、1つのスキー板の速度または温度が高くなりすぎた場合、2つのスキー板の速度は、とりわけ、相応に等しく、より低いレベルに自動的に弱めることができる。例えば、水接触センサのような別の安全センサを用いて、走行中にスキー板が水と接触しているかどうかを判断することができ、そしてスキー板またはスキー板の速度を自動的に調整することができる。
【0014】
別の安全対策は、転倒の場合のための非常停止スイッチを使用することである。この目的のために、接触センサがビンディングに設けられ得るか、又は身体に固定したリストバンドはリップコードを介して水上スキー板と接続され得る。操縦者が転倒すると、リップコードがスキー板から取り外され、回転駆動機が直ちに止まる。
【0015】
水上スキー板はまた、水上での相互位置を検出するために、位置センサが装備され得る。2つのスキー板間の距離が横方向に、または長手方向のずれの結果として変化する場合、これは、特に検出すべきであり、場合によっては、駆動推進力または出口ノズルの相応な制御によって補正されるべきである。位置の変化(この位置の変更は相応して再び補償することができる)を検出するこのような位置センサに対して複数の可能性(例えばジャイロセンサ)が可能である。加えて、スキー板は、相応な相互の位置の変更を補正するために、DGPSセンサも装備され得る。強力な磁石、カメラソリューション、エコーサウンダ、及び、これらと同種のもの用いた解決策も考えられる。例えばビンディング、特にビンディングベースプレートに割り当てられている力センサおよび/または圧力センサを用いて、例えば、水上スキーヤーが左、右、後方または前方に圧力を加えたときに、検出することができる。即ち、水上スキーヤーが、操縦中に、例えばうねりによって落下危険姿勢に入った場合、これはセンサデータによって検出され、そして相応な打ち消すことができる。操縦者が、例えばコーナリングを開始するために、左のスキー板を少し後方に移動させたい場合、操縦者はスキーを後方に押し、これはセンサによって検出され、したがって、センサが再び通常の荷重スペクトルを有するまで、左のスキー板は右のスキー板よりも遅くなる。したがって、運動はサポートされる。同じ原理が速度センサでも機能する。例えば、左のスキー板が減速した場合、センサは、操縦者がスキー板を制動したことを検出する、すなわち、操縦者がスキー板をさらに後ろに戻したいことを認識する。この運動は、速度が他のスキーと同じになるまでそれぞれのスキー板を減速することによってサポートされる。
【0016】
操縦初心者の為に、若しくはデバイスを習得する為に、水上スキー板を連結装置によって機械的に接続可能である場合には、有利であり得る。この場合、2つの水上スキー板の回転駆動機は、好ましくは、固定して連結しなければならない、若しくは同期しなければならない。機械的な連結装置を用いて、水上スキー板は、場合によっては、モノスキー若しくはサーフボードのようなものになるように接続することができる。機械的な連結装置を用いて、スキー板は容易に接続することができ、そして再び取り外すこともできる。特に、取り外しは、リモコンによるスイッチを介して、または場合によっては手動で行い得る。それ故、例えば、水からの発進をより容易にすることができる。スキー板が接続されていると、出発の前後に連結装置を取り外す前に、スキー板の上に自分自身を置き、足をビンディングに滑り込ませることが非常に容易になる。
【0017】
特別な操縦体験のために、水上スキー板は、水中翼を装備することができ、その際、回転駆動ユニットは、好ましくは、水中翼の翼の領域に配置されている。
【0018】
通信装置は、データを読み取るために、コンピュータユニットと無線で連結可能に形成することが望ましい。それ故、プログラミング、例えば動作モードの選択は、いつでも外部で実行することができる。
【0019】
さらに、一対のスキーストックが一対の水上スキー板に割り当てられていて、その際、スキーストックは、グリップから離れた端部にフロートが装備されていて、及び2つのスキーストックのうちの少なくとも1つは、制御装置を操作するための操作機構が装備されている。
【0020】
2つの水上スキー板の各々に対して、1つは左手に、もう1つは右手に、別個の制御装置を有することが可能である。そのため、左側のスキー板の速度を左手の制御装置で制御することができ、そして右側のスキー板の速度を右手の制御装置で制御することができる。その結果、カーブの走行が特に容易になる。2つのスキー板の速度を正確に同じにすることはできないので、2つのリモコンのうちの一方のボタンで、2つのスキー板を同時に制御することが可能である。通信装置は、無効な、特に危険な走行状態を回避する。操縦者が、例えば、電動水上スキー板の内の一方を、他方よりも速く走行させたい場合、操縦者は、片方の速度を、現在の速度のある一定の割合だけ高めることができる。プログラミングされたロックによって、一方のスキー板を誤って速く走行しすぎること、すなわちスキー板が離れてドリフトすることを防止する。
【0021】
基本的に、電動水上スキー板の本体は、例えば、カーボン又はプラスチックのような軽い材料で作られる。さらに、スキー板は、駆動技術がそのすべての構成要素と組み込まれている膨張可能な本体からなることができる。この構造の主な利点は、収納スペースがほとんど必要ないことである。
【0022】
この構造には2つの変形例があり、そのうちの1つは、操縦者が動いていないときでも水面上で浮遊するように電動水上スキー板を形成することである。したがって、スキー板は体重を支え得る。第2の変形例は、操縦者がある速度で走行していない限り、電動水上スキー板が操縦者の体重を支えることができないことである。水上スキー板が相応な速度で水の上を運動するとき、操縦者を水から持ち上げるために、必要な浮力が始めて達成される。子供または操縦初心者に対して走行をより容易にするために、水上スキー板の安定性または接触面をいくつかの簡単なステップで改善することができるようにするために、それぞれの水上スキー板を周囲に取り囲むか、または水上スキー板が挿入可能である、別個の膨張可能な本体、つまり浮き輪のようなものを設けることが企図される。
【0023】
水上スキー板の安全性を高めるために、スキー板のビンディング、特にビンディングプレートに圧力センサが割り当てられ得る。スキーヤーが圧力センサ上に十分な圧力を加える間は、スキー板は所望の方法で操作することができる。転倒等でこの圧力がなくなると、スキー板が制御されずにさらに走行することを防ぐため、回転駆動機は無動力に切り換えられるか、またはビンディングが取り外される。
【0024】
更に、湿度センサを遠隔制御装置に割り当てることが有利である。これは、転倒の場合に遠隔制御装置が水中に沈んだことを検出し、回転駆動機を無電力に切り換える。
【0025】
さらなる追加の機能として、第三者による水上スキー板の権限のない人の使用を防止することができるようにするために、個別のロック解除機構が設けられ得る。このロック解除機構により、スキー板が許可された人によってのみ扱うことができることを確実にするために、例えば、遠隔制御装置またはスキー上の指紋センサによって、制御装置をロック解除することが可能である。
【0026】
図面には、本発明の対象が例示的に図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明による水上スキー板を概略斜視図で示す。
図2】水上スキー板を部分断面側面図で示す。
図3】始動プロセスで実行可能な運動シーケンスを示す。
図4】始動プロセスで実行可能な運動シーケンスを示す。
図5】始動プロセスで実行可能な運動シーケンスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
一対の水上スキー板の水上スキー板1は、各々浮くことができるスキー本体2を備え、このスキー板本体2には、ビンディング3の他に、回転駆動機4を有する回転駆動ユニット、電動モータ、及びそれによって駆動可能なスクリュー駆動機、実施例ではジェット駆動機5を備える走行駆動機が、設けられている。加えて、駆動力を設定するための制御装置6が設けられている。
【0029】
一対の水上スキー板の水上スキー板1は、それぞれ、少なくとも1つの駆動センサ7、例えば速度センサ又はこれと同様のもの、を有する回転駆動ユニットと、割り当てられているエネルギー貯蔵部8、充電式電池パック、及び通信装置9を備える。通信装置9は、駆動センサデータおよび制御装置6の設定されたデータに依存して2つの水上スキー板1の回転駆動機4を調整し、水上スキー板1を相応に制御する。例えば、始動時、コーナリングの間、または速度変更時である。この目的のために、2つの水上スキー板1の通信装置9は、無線リンクを介して、例えばブルートゥース(登録商標)を用いて、相応に通信する。安定化のために、水上スキー板の下面、ビンディング3の下には、フィン10が水上スキー板に配置されている。
【0030】
ジェット駆動機5の出口ノズル11は、水上スキー板の後端部の領域に、ウォーターラインの領域に配置されている。加えて、出口ノズル11は、少なくとも1つの軸線H、Vを中心として旋回可能に、ジェット駆動体12に設置され得る。この旋回調節のために、(詳細には図示されていない)アクチュエータを設けることができ、このアクチュエータを用いて、出口ノズル11が、制御装置6の設定されたデータに依存して、旋回調節可能にジェット駆動機本体12に設置されている。ジェット駆動機5は、噴射されるべき水を、水上スキー板の下側のプロペラ(インペラ)の前で通常の方法で吸引し、そしてプロペラ(インペラ)の後方で駆動推進力を発生する為にノズルを介して噴射する。
【0031】
加えて、水上スキー板1は、水上の水上スキー板の向きを検出するために、水上スキー板長手軸線Lを中心として少なくとも1つの傾斜角を測定する傾斜角センサ13が装備されている。
【0032】
1つの可能な始動姿勢において、ライフジャケットを装着した水上スキー板操縦者は、スキー板を締着した状態で水中に座る(図3)。この場合、水上スキー板後部は、水中へ沈み、他方で、シャベル形状のスキー板先端部は、水面の上に突出する。
【0033】
スキー板操縦者が手動で制御装置6を操作する場合、回転駆動機4がジェット駆動機5のスクリュー駆動機を回転させ、スキー板を加速する。その際、スキー板操縦者は、初めのうちは体重を前方に移動させた状態で座った姿勢に留まる。この場合、旋回調節可能なノズルは、走行速度に依存して相応する軸線を中心として旋回することによって多かれ少なかれさらに加わる浮力を提供することによって、安定性を保証し得る。場合によって、ジェット噴射がスキー板の後端部を水中へ押しつけるか、又は水から持ち上げるかによって異なる(図4)。水上スキー板1の、増加する速度と共に増加する浮力の結果として、水上スキー板1は滑走段階に至るまで水面上に浮遊し、その後、スキー板操縦者は、まっすぐ立った上半身およびわずかに屈曲した膝で自分自身の走行姿勢につくことができる(図5)。この姿勢では、旋回調節可能なノズルが、相応の操縦による進行方向の変更をサポートする為に使用することができる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下も含む。
1.
浮くことができるスキー板本体(2)と、駆動力を設定するための制御装置(6)とを有する水上スキー板(1)であって、
スキー本体(2)には、ビンディング(3)の他に、回転駆動機(4)を有する回転駆動ユニット及びそれによって駆動可能なスクリュー駆動機を備える走行駆動機が設けられている、
水上スキー板(1)において、
一対の水上スキー板の水上スキー板(1)は、それぞれ、少なくとも1つの駆動センサ(7)を有する回転駆動ユニット、割り当てられているエネルギー貯蔵部(8)、及び通信装置(9)を備え、
この通信装置(9)は、駆動センサデータおよび制御装置(6)の設定されたデータに依存して2つの水上スキー板(1)の回転駆動機(4)を調整する、
ことを特徴とする水上スキー板(1)。
2.
回転駆動ユニットは、ジェット駆動機(5)であり、ジェット駆動機(5)の出口ノズル(11)は、水上スキー板の後端部の領域に、ウォーターラインの領域に、配置されている、ことを特徴とする上記1に記載の水上スキー板(1)。
3.
ジェット駆動機(5)の出口ノズル(11)は、少なくとも1つの軸線を中心として、旋回可能にジェット駆動機本体(12)に設置されている、ことを特徴とする上記2に記載の水上スキー板(1)。
4.
ジェット駆動機(5)の出口ノズル(11)は、制御装置(6)の設定されたデータに依存して調整可能なアクチュエータによって少なくとも1つの軸線を中心として、旋回可能に、ジェット駆動機本体(12)に設置されている、ことを特徴とする上記3に記載の水上スキー板(1)。
5.
水上スキー板(1)は、水上の水上スキー板の向きを検出するために、水上スキー板長手軸線を中心とした少なくとも1つの傾斜角を測定するセンサが装備されている、ことを特徴とする上記1~4のいずれか一つに記載の水上スキー板(1)。
6.
ビンディング(3)、特にビンディングプレートは、転倒を検出するために圧力センサが装備されている、ことを特徴とする上記1~5のいずれか一つに記載の水上スキー板(1)。
7.
水上スキー板(1)は、水上での相互位置を検出するために、位置センサが装備されている、ことを特徴とする上記1~6のいずれか一つに記載の水上スキー板(1)。
8.
水上スキー板(1)は、連結装置によって機械的に接続可能である、ことを特徴とする上記1~7のいずれか一つに記載の水上スキー板(1)。
9.
水上スキー板(1)は水中翼が装備されていて、回転駆動ユニットは水中翼の翼の領域に配置されている、ことを特徴とする上記1~8のいずれか一つに記載の水上スキー板(1)。
10.
通信装置(9)は、データを読み取るために、コンピュータユニットと無線で連結可能である、ことを特徴とする上記1~9のいずれか一つに記載の水上スキー板(1)。
11.
一対のスキーストックが一対の水上スキー板に割り当てられていて、
その際、スキーストックは、グリップから離れた端部にフロートが装備されていて、及び2つのスキーストックのうちの少なくとも1つは、制御装置(6)を操作するための操作機構が装備されている、
ことを特徴とする上記1~10のいずれか一つに記載の水上スキー板(1)。
図1
図2
図3
図4
図5