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特許7541064ガラクトース血症を処置するための組成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ガラクトース血症を処置するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5025 20060101AFI20240820BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240820BHJP
   A61P 27/12 20060101ALI20240820BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240820BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240820BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240820BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240820BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20240820BHJP
   A61K 45/00 20060101ALN20240820BHJP
   A61K 31/502 20060101ALN20240820BHJP
【FI】
A61K31/5025
A61P3/00
A61P27/12
A61P25/28
A61P25/00
A61P25/08
A61P43/00 111
A61K31/426
A61K45/00
A61K31/502
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022169791
(22)【出願日】2022-10-24
(62)【分割の表示】P 2020527861の分割
【原出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2022188305
(43)【公開日】2022-12-20
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】62/538,443
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520032826
【氏名又は名称】アプライド セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ショーシャナ シェンデルマン
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/223179(WO,A1)
【文献】特表2016-505040(JP,A)
【文献】特開昭62-114988(JP,A)
【文献】Exp. Eye Res.,1998年,Vol.66,pp.217-222
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラクトース血症を処置するかまたはガラクトース血症に関連する合併症を予防するための、経口投与される医薬組成物であって、治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤を含み、ここで、前記経口投与される医薬組成物は、懸濁液であり、そしてここで、前記アルドースレダクターゼ阻害剤は、式:
【化1】
を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩である、経口投与される医薬組成物。
【請求項2】
ガラクトース血症を有する被験体におけるガラクチトールの量またはレベルを減少させるための、経口投与される医薬組成物であって、治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤を含み、ここで、前記経口投与される医薬組成物は、懸濁液であり、そしてここで、前記アルドースレダクターゼ阻害剤は、式
【化2】
を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩である、経口投与される医薬組成物。
【請求項3】
ガラクトース血症を有する被験体に発生する白内障を処置するための、経口投与される医薬組成物であって、治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤を含み、ここで、前記経口投与される医薬組成物は、懸濁液であり、そしてここで、前記アルドースレダクターゼ阻害剤は、式
【化3】
を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩である、経口投与される医薬組成物。
【請求項4】
ガラクトース血症に関連する認知的または神経学的な機能不全を処置または予防するための、経口投与される医薬組成物であって、治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤を含み、ここで、前記経口投与される医薬組成物は、懸濁液であり、そしてここで、前記アルドースレダクターゼ阻害剤は、式
【化4】
を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩である、経口投与される医薬組成物。
【請求項5】
前記ガラクトース血症に関連する認知的または神経学的な機能不全が、発話機能障害、運動失調、認知機能障害、偽脳腫瘍および痙攣からなる群から選択される、請求項4に記載の経口投与される医薬組成物。
【請求項6】
前記ガラクトース血症が、血液、尿または眼内液中のアルジトールレベルの増加として被験体において現れる、請求項1~5のいずれか1項に記載の経口投与される医薬組成物。
【請求項7】
前記アルジトールがガラクチトール、ミオイノシトールまたはソルビトールである、請求項6に記載の経口投与される医薬組成物。
【請求項8】
前記ガラクトース血症が、肝硬変、網膜障害、黄斑浮腫、目の白内障、卵巣機能障害、筋肉または神経の機能障害、網膜症、ニューロパチー、神経伝導障害または精神遅滞の増加として被験体において現れる、請求項1~7のいずれか1項に記載の経口投与される医薬組成物。
【請求項9】
前記ガラクトース血症がI型ガラクトース血症(GALT欠損症)である、請求項1~8のいずれか1項に記載の経口投与される医薬組成物。
【請求項10】
前記ガラクトース血症がII型ガラクトース血症(GALK欠損症)である、請求項1~8のいずれか1項に記載の経口投与される医薬組成物。
【請求項11】
前記ガラクトース血症がIII型ガラクトース血症(GALE欠損症)である、請求項1~8のいずれか1項に記載の経口投与される医薬組成物。
【請求項12】
前記被験体がヒトである、請求項2、3、6または8のいずれか1項に記載の経口投与される医薬組成物。
【請求項13】
前記懸濁液が水を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の経口投与される医薬組成物。
【請求項14】
前記懸濁液がさらに、セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはクエン酸を含む、請求項13に記載の経口投与される医薬組成物。
【請求項15】
前記経口投与される医薬組成物が、1日1回の投与のためのものである、請求項1~14のいずれか1項に記載の経口投与される医薬組成物。
【請求項16】
前記経口投与される医薬組成物が、1日2回の投与のためのものである、請求項1~14のいずれか1項に記載の経口投与される医薬組成物。
【請求項17】
前記経口投与される医薬組成物が、0.5mg/kg~60mg/kg体重/日の用量での投与のためのものである、請求項1~16のいずれか1項に記載の経口投与される医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年7月28日に出願された米国仮出願第62/538,443号(これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
ガラクトース血症は、ガラクトースを代謝する能力の低下または不能に起因する代謝障害である。前記疾患は、典型的には、ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(GALT)、ガラクトキナーゼ(GALK)およびガラクトース-6-リン酸エピメラーゼ(GALE)を含む、ルロワール経路に関与する1つまたはそれを超える酵素の欠損により引き起こされる。これらの酵素の1つまたはそれよりも多くの欠損は、ルロワール経路の破壊、ならびにガラクトースおよび特定のガラクトース代謝産物、例えばガラクトース1-リン酸(G1P)およびガラクトネートの蓄積をもたらす。加えて、ガラクトースが蓄積すると、それは、グルコース代謝のポリオール経路の酵素であるアルドースレダクターゼ(AR)の基質になり得る。ARは、通常、ソルビトールへのグルコースの還元(ポリオール経路の最初の段階)を触媒するが、ガラクトースレベルが上昇すると、ガラクトースをガラクチトールに変換することもできる。ガラクトースおよびガラクトース代謝産物の蓄積は、肝臓、中枢神経系(例えば、脳)、腎臓、目および他の身体系への損傷を引き起こし得る(Quan-Maら、Am J Dis Child.,112(5):477-478,1966)。
【0003】
ガラクトース血症を引き起こす遺伝的障害は、適切なスクリーニング試験を使用して検出され得る(Berryら、in“Classic Galactosemia and
Clinical Variant Galactosemia,”GeneReviews,Roberta A.Pagon,Eds.University of Washington,Seattle;March,2017)。現在のところ、ガラクトース血症の治療法はなく、疾患は、酪農食品およびガラクトースまたはラクトースを含有する他の食品を食事から排除することにより、主に食事制限を通じて管理される(Wellingら、“International Clinical Guideline for the Management of Classical Galactosemia:Diagnosis,Treatment,and Follow up,”J Inherit Metab Dis,40(2):171-176,2017;Laiら、IUBMB Life,61(11):1063-74,2009)。しかしながら、ガラクトース血症が早期に検出され、厳格な食事制限を介して管理される場合であっても、ガラクトース代謝産物レベルは依然として高く、患者の大部分は、長期合併症、例えば言語障害、認知機能障害、神経学的症候および卵巣不全を経験する(Schadewaldtら、Arch Physiol Biochem.,120(5):228-39,2014;Berryら、Mol Genet Metab.,81(1):22-30,2004)。しかしながら、食事管理を厳格にしたとしても、体内におけるガラクトースの内因性(または内部)合成により、ガラクトース血症患者は依然として合併症のリスクが高い。内因性ガラクトース産生は、乳児期および幼児期において最高であることが示されているが、青年期および成人期を通じて引き続き安定状態である。食事コンプライアンスを完全にしたとしても、ガラクトースの内因性産生は、患者における高レベルのガラクトース代謝産物をもたらし、中枢神経系合併症(認知、知性、言語および運動の機能不全)ならびに目の白内障(部分的な失明をもたらし得る)およびガラクトース血症の女性では原発性卵巣機能不全症(POI)を含む長期合併症の発生につながる。
【0004】
ガラクトース血症の最も一般的な形態であるI型ガラクトース血症(OMIM#230400)は、ルロワール経路の第2の酵素であるGALTの突然変異により引き起こされる。GALKの突然変異は、II型ガラクトース血症(OMIM#230200)を引き起こす。III型ガラクトース血症(OMIM#230350)は、GALEの突然変異により引き起こされる。3つのタイプはすべて、常染色体劣性障害である。酵素の機能障害の程度(生化学的表現型)、遺伝子型、ならびに急性合併症および長期合併症を発症する可能性に基づいて、ガラクトース血症のさらなるサブタイプが同定されている。
【0005】
ガラクトース血症病理の基本的機構は完全に理解されていないが、ガラクトースの内因性産生およびその結果として生じる代謝産物が重要な要因であると考えられている(Wellingら、J Inherit Metab Dis,40(2):171-176,2017)。現在のところ、ガラクトース血症の唯一の治療はガラクトースの食事制限であり、生涯にわたるガラクトース制限食が現在の標準治療である。食事は、新生児における急性臨床像を回復させ得るが、それは、長期合併症の出現を予防しない。長期合併症のいずれか1つの処置様式または予防様式は存在しない。
したがって、ガラクトース血症の処置および/または管理のための方法に対する認識されているが満たされていない必要性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Quan-Maら、Am J Dis Child.,112(5):477-478,1966
【文献】Berryら、in“Classic Galactosemia and Clinical Variant Galactosemia,”GeneReviews,Roberta A.Pagon,Eds.University of Washington,Seattle;March,2017
【文献】Wellingら、“International Clinical Guideline for the Management of Classical Galactosemia:Diagnosis,Treatment,and Follow up,”J Inherit Metab Dis,40(2):171-176,2017
【文献】Laiら、IUBMB Life,61(11):1063-74,2009
【文献】Schadewaldtら、Arch Physiol Biochem.,120(5):228-39,2014
【文献】Berryら、Mol Genet Metab.,81(1):22-30,2004
【文献】Wellingら、J Inherit Metab Dis,40(2):171-176,2017
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、野生型仔ラット(GALT+)、GALTヌル仔ラット、およびアルドースレダクターゼ阻害剤(ARI)(化合物A)で処置したGALTヌル仔ラットの体重増加を示すグラフであり、体重(g)は縦軸にプロットされ、年齢(日)は横軸にプロットされている。
【0008】
図2-1】図2A~2Dは、ガラクトース血症ラットにおける白内障に対するアルドースレダクターゼ阻害剤の効果を示すチャートである。図2Aは、対照(化合物Aで処置した野生型ラット)、およびプラセボまたは化合物Aで処置したGALTヌルラットにおける9日目の白内障の定性的評価の存在/重症度スコア(0~3のスケール)の結果を示す。スコア0は、白内障が存在しないことを示す;スコア1は、サイズおよび不透明度の点で白内障が軽度であることを示す;スコア2は、サイズおよび不透明度の点で白内障が中等度であることを示す;スコア3は、サイズおよび不透明度の点で白内障が重度であることを示す。生後22日目に、白内障を評価した。図2Bは、生後22日目における、化合物Bまたはプラセボで処置した野生型またはGALTヌルラットの白内障の定量的デジタル評価の結果を示す。図2Cは、生後10日目における、化合物Bまたはプラセボで処置した野生型またはGALTヌルラットの白内障の定性的評価の結果を示す。図2Dは、生後22日目における、化合物Bまたはプラセボで処置した野生型またはGALTヌルラットの白内障の定性的評価を示す。図2Aと同じスコア化方法を使用して、図2Cおよび図2Dの定性分析を実施した。
図2-2】図2A~2Dは、ガラクトース血症ラットにおける白内障に対するアルドースレダクターゼ阻害剤の効果を示すチャートである。図2Aは、対照(化合物Aで処置した野生型ラット)、およびプラセボまたは化合物Aで処置したGALTヌルラットにおける9日目の白内障の定性的評価の存在/重症度スコア(0~3のスケール)の結果を示す。スコア0は、白内障が存在しないことを示す;スコア1は、サイズおよび不透明度の点で白内障が軽度であることを示す;スコア2は、サイズおよび不透明度の点で白内障が中等度であることを示す;スコア3は、サイズおよび不透明度の点で白内障が重度であることを示す。生後22日目に、白内障を評価した。図2Bは、生後22日目における、化合物Bまたはプラセボで処置した野生型またはGALTヌルラットの白内障の定量的デジタル評価の結果を示す。図2Cは、生後10日目における、化合物Bまたはプラセボで処置した野生型またはGALTヌルラットの白内障の定性的評価の結果を示す。図2Dは、生後22日目における、化合物Bまたはプラセボで処置した野生型またはGALTヌルラットの白内障の定性的評価を示す。図2Aと同じスコア化方法を使用して、図2Cおよび図2Dの定性分析を実施した。
図2-3】図2A~2Dは、ガラクトース血症ラットにおける白内障に対するアルドースレダクターゼ阻害剤の効果を示すチャートである。図2Aは、対照(化合物Aで処置した野生型ラット)、およびプラセボまたは化合物Aで処置したGALTヌルラットにおける9日目の白内障の定性的評価の存在/重症度スコア(0~3のスケール)の結果を示す。スコア0は、白内障が存在しないことを示す;スコア1は、サイズおよび不透明度の点で白内障が軽度であることを示す;スコア2は、サイズおよび不透明度の点で白内障が中等度であることを示す;スコア3は、サイズおよび不透明度の点で白内障が重度であることを示す。生後22日目に、白内障を評価した。図2Bは、生後22日目における、化合物Bまたはプラセボで処置した野生型またはGALTヌルラットの白内障の定量的デジタル評価の結果を示す。図2Cは、生後10日目における、化合物Bまたはプラセボで処置した野生型またはGALTヌルラットの白内障の定性的評価の結果を示す。図2Dは、生後22日目における、化合物Bまたはプラセボで処置した野生型またはGALTヌルラットの白内障の定性的評価を示す。図2Aと同じスコア化方法を使用して、図2Cおよび図2Dの定性分析を実施した。
【0009】
図3-1】図3A~3Cは、対照(野生型ラット)およびプラセボまたは化合物Bで処置したGALTヌルラットの肝臓、脳または血漿における代謝産物ガラクチトール、ガラクトースおよびガラクトース1リン酸のレベルを示す棒グラフである。図3Aは、ガラクチトールレベルを示す;図3Bは、ガラクトースレベルを示す;および図3Cは、ガラクトース-1-リン酸(Gal1P)レベルを示す。
図3-2】図3A~3Cは、対照(野生型ラット)およびプラセボまたは化合物Bで処置したGALTヌルラットの肝臓、脳または血漿における代謝産物ガラクチトール、ガラクトースおよびガラクトース1リン酸のレベルを示す棒グラフである。図3Aは、ガラクチトールレベルを示す;図3Bは、ガラクトースレベルを示す;および図3Cは、ガラクトース-1-リン酸(Gal1P)レベルを示す。
図3-3】図3A~3Cは、対照(野生型ラット)およびプラセボまたは化合物Bで処置したGALTヌルラットの肝臓、脳または血漿における代謝産物ガラクチトール、ガラクトースおよびガラクトース1リン酸のレベルを示す棒グラフである。図3Aは、ガラクチトールレベルを示す;図3Bは、ガラクトースレベルを示す;および図3Cは、ガラクトース-1-リン酸(Gal1P)レベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
概要
本開示は、ガラクトース血症の処置およびガラクトース血症の合併症の処置または予防を必要とする被験体に治療有効量のAR阻害剤を投与することにより、ガラクトース血症を処置し、ガラクトース血症の合併症を処置または予防するための方法に関する。いかなる特定の理論にも縛られるものではないが、本明細書に記載されるように、ARの阻害は、ガラクチトールの蓄積およびその結果として生じるガラクトース血症に関連する病状を軽減または予防し得ると考えられる。
【0011】
一例では、ガラクトース血症(またはガラクトース血症の合併症)の処置または予防のための方法は、それを必要とする被験体に治療有効量のゾポルレスタットを投与することを含む。一例では、ガラクトース血症(またはガラクトース血症合併症)の処置または予防のための方法は、それを必要とする被験体に治療有効量のエパルレスタットを投与することを含む。一例では、ガラクトース血症(またはガラクトース血症合併症)の処置または予防のための方法は、それを必要とする被験体に治療有効量の式I~VIのいずれか1つの化合物を投与することを含む。いくつかの態様では、投与されるAR阻害剤は、ポナルレスタット、エパルレスタット、ソルビニルまたはソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゾポルレスタット、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル、ベルベリンまたはSPR-210ではない。
【0012】
本明細書に開示される方法にしたがって処置すべき被験体は、血液、尿または眼内液中のアルジトールレベルの増加、例えば血液、尿または眼内液中のガラクチトール、ミオイノシトールまたはソルビトールレベルの上昇を有し得る。本明細書に開示される方法にしたがって処置すべき被験体は、肝硬変、網膜障害、黄斑浮腫、目の白内障、卵巣機能障害、筋肉または神経の機能障害、網膜症、ニューロパチー、認知機能障害、運動失調、痙攣、偽脳腫瘍(pseudomotor cerebrii)、発話機能障害、神経伝導障害または精神遅滞を含むガラクトース血症の合併症または兆候を有し得る。別の実施形態では、本開示は、ガラクトース血症に関連する合併症の処置または予防を必要とする被験体におけるガラクトース血症に関連する合併症を処置または予防する方法であって、AR阻害剤および薬学的に許容され得る担体を含む治療有効量の医薬組成物を投与することを含む方法に関する。本開示は、ガラクトース血症を有する被験体におけるガラクチトールの量またはレベルを減少させる方法であって、前記被験体に治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤を投与することを含む方法に関する。
【0013】
本開示は、白内障を処置するための方法であって、それを必要とする被験体に治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤を投与することを含む方法に関する。好ましくは、それを必要とする被験体は、ガラクトース血症を有する。
【0014】
本開示は、ガラクトース血症に関連する認知的または神経学的な機能不全を処置または予防するための方法であって、ガラクトース血症を有する被験体に治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤を投与することを含む方法に関する。実施形態では、ガラクトース血症に関連する認知的または神経学的な機能不全は、発話機能障害である。実施形態では、ガラクトース血症に関連する認知的または神経学的な機能不全は、運動失調である。実
施形態では、ガラクトース血症に関連する認知的または神経学的な機能不全は、認知機能障害である。実施形態では、ガラクトース血症に関連する認知的または神経学的な機能不全は、偽脳腫瘍である。実施形態では、ガラクトース血症に関連する認知的または神経学的な機能不全は、痙攣である。
【0015】
別の実施形態では、本開示は、ガラクトース血症の処置または予防を必要とする被験体におけるガラクトース血症を処置または予防する方法であって、治療有効量の
(a)式I~VIの化合物および薬学的に許容され得る担体を含む第1の医薬組成物;ならびに
(b)アルポナルレスタット、エパルレスタット、ソルビニルまたはソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゾポルレスタット、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル、ベルベリンまたはSPR-210および薬学的に許容され得る担体を含む第2の医薬組成物
を投与することを含む方法に関する。
【0016】
別の実施形態では、ガラクトース血症の治療のためにアルジトール(例えば、ガラクチトール)の産生を阻害するためのAR阻害剤の使用が本明細書に開示される。
【0017】
別の実施形態では、ガラクトース血症または白内障および原発性卵巣機能不全症(POI)から選択されるガラクトース血症の臨床兆候を処置するための医薬の製造のためのAR阻害剤の使用が本明細書に開示される。
【0018】
本開示はまた、ガラクトース血症の処置ならびに/またはガラクトース血症に関連する合併症の処置および予防のための、AR阻害剤(例えば、ゾポルレスタット、エパルレスタット、式I~VIのいずれか1つの化合物)の使用に関する。
【0019】
本開示はまた、ガラクトース血症の処置ならびに/またはガラクトース血症に関連する合併症の処置および予防のための医薬の製造のための、AR阻害剤(例えば、ゾポルレスタット、エパルレスタット、式I~VIのいずれか1つの化合物)に関する。
【0020】
本開示はまた、ガラクトース血症の処置ならびに/またはガラクトース血症に関連する合併症の処置および予防のための医薬製剤であって、活性成分としてAR阻害剤(例えば、ゾポルレスタット、エパルレスタット、式I~VIのいずれか1つの化合物)を含有する医薬製剤に関する。
詳細な説明
【0021】
以下、様々な態様をより詳細に説明する。しかしながら、このような態様は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に示される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない;むしろ、これらの実施形態は、本開示が網羅的かつ完全であるように提供されるものである。
【0022】
本開示は、ガラクトース血症の処置のためのAR阻害剤の使用に関する。本明細書に記載される方法は、ガラクトース血症の病態生理におけるAR活性の役割に関する本発明者の洞察に部分的に基づく。健常被験体では、ARは、ソルビトールへのグルコースの還元(グルコース代謝のポリオール経路の最初の段階)を主に触媒する。しかしながら、ルロワール経路の欠陥(例えば、関連酵素の欠損または欠乏による)および/または他の理由(例えば、ラクトースの過剰消費、糖尿病、ガラクトースの内因性産生による)により、高いレベルのガラクトースを有する被験体では、過剰なガラクトースは、ARによりガラクチトールに変換される。ガラクチトールは、ポリオール経路の次の酵素であるソルビト
ールデヒドロゲナーゼの基質ではないので、この機構により産生されたガラクチトールは細胞に蓄積する。ガラクチトールのこの蓄積は、ガラクトース血症組織における病態生理学的事象、例えば高浸透圧、糖不均衡、酸化ストレスなどを引き起こすかまたはそれに寄与する。したがって、本開示は、ガラクトース血症またはガラクトース血症の合併症の処置または予防を必要とする被験体に治療有効量のAR阻害剤を投与することにより、ガラクトース血症またはガラクトース血症の合併症を処置または予防するための方法に関する。いかなる特定の理論にも縛られるものではないが、ARの阻害は、ガラクチトールの蓄積およびその結果として生じるガラクトース血症に関連する病状および合併症を軽減または予防し得ると考えられる。これらの合併症は、(例えば、ルロワール経路の酵素の欠損または欠乏、ガラクトースレベルの上昇、異常なAR活性、(例えば、腎障害による)組織からのガラクチトールの排泄の減少による)ガラクチトールの合成の増加および/またはガラクチトールの蓄積の増加を介して部分的に媒介され得る。アルドースレダクターゼの阻害は、組織中のガラクチトールの合成および蓄積ならびにその結果として生じるガラクトース血症に関連する病状および合併症を軽減し得る。したがって、本開示はさらに、アルドースレダクターゼ阻害のバイオマーカーとしての、ならびにさらにガラクトース血症の開始、進行および兆候をモニタリングするためのバイオマーカーとしてのガラクチトールの使用に関する。
【0023】
本開示において値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の各介在値および記述されている範囲内の任意の他の記述されている値または介在値は、本開示内に包含されることが意図される。例えば、1μM~8μMの範囲が記述されている場合、2μM、3μM、4μM、5μM、6μMおよび7μM、ならびに1μMを超えるかまたはそれに等しい値の範囲および8μM未満またはそれに等しい値の範囲も明示的に開示されていることが意図される。
【0024】
文脈上特に明確な指示がない限り、「a」、「an」および「the」という単数形は、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「式Iの化合物」への言及は、単一の化合物、および同じまたは異なる化合物の2つまたはそれよりも多くを含む;「賦形剤」への言及は、単一の賦形剤、および同じまたは異なる賦形剤の2つまたはそれよりも多くを含む、など。
【0025】
「約」という語は、本開示の文脈上特に指示がない限り、またはこのような解釈との矛盾がない限り、その値のプラスまたはマイナス10%の範囲を意味し、例えば、「約50」は45~55を意味し、「約25,000」は22,500~27,500を意味する、など。例えば、「約49、約50、約55」などの数値のリストでは、「約50」は、前述の値と後述の値との間の間隔の半分未満まで拡大する範囲、例えば49.5超~52.5未満を意味する。さらに、「約ある値未満」または「約ある値を超える」という語句は、本明細書で提供される「約」という用語の定義を考慮して理解すべきである。
【0026】
様々な実施形態の完全、簡潔かつ明確な説明を提供するために、本開示は、より広い開示の様々な要素、要素のグループ、範囲および他のエレメントの説明を含む。このようなエレメントを様々に組み合わせて、本開示のさらなる実施形態を提供し得ることを意図する。また、グループ内の任意のサブ範囲またはサブ範囲の組み合わせを含む任意の開示されるグループの個々のメンバーを含む任意の開示される特徴(例えば、置換基、類似体、化合物、構造、要素)は、任意の理由により、本開示または本開示の実施形態から除外され得ることを意図する。
【0027】
本開示の様々な実施形態は、以下の番号の段落においてさらに詳細に説明される。
I.方法
【0028】
一般に、本開示は、ガラクトース血症(またはガラクトース血症合併症)の処置のための方法であって、それを必要とする被験体にアルドースレダクターゼ活性を阻害する治療有効量の化合物を投与することを含む方法に関する。前記方法は、ガラクトース血症に関連する合併症の処置および/または予防に特に有用である。化合物は、AR活性を阻害する任意の適切な化合物、例えば(例えば、5kDaまたはそれ未満のサイズを有する)小分子化合物、生物学的薬剤(例えば、アルドースレダクターゼに対する阻害性RNA)またはそれらの組み合わせであり得る。好ましくは、AR阻害剤は小分子化合物である。適切な小分子AR阻害剤は当技術分野で公知であり、本明細書に開示される。小分子AR阻害剤としては、ポナルレスタット、ソルビニル、ソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル、ベルベリン、SPR-210、ゾポルレスタット、エパルレスタット、米国特許第8,916,563号、米国特許第9,650,383号に開示されている化合物、および本明細書に開示される化合物が挙げられる。本発明において使用するために好ましいAR阻害剤としては、ゾポルレスタット、エパルレスタット、米国特許第8,916,563号、米国特許第9,650,383号に開示されている化合物、および本明細書に開示される化合物が挙げられる。AR阻害剤は、薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、プロドラッグ、および水素に代えて1つまたはそれを超える原子の安定同位体形態、例えば重水素を含有する化合物を含む任意の適切な分子形態で投与され得る。
【0029】
一例では、ガラクトース血症(またはガラクトース血症合併症)の処置のための方法は、それを必要とする被験体に治療有効量のゾポルレスタットを投与することを含む。したがって、本開示は、ガラクトース血症を有する患者におけるガラクトース血症の処置およびガラクトース血症合併症の予防のための方法であって、それを必要とする被験体に治療有効量のゾポルレスタットを投与することを含む方法を提供する。
【0030】
一例では、ガラクトース血症(またはガラクトース血症合併症)の処置のための方法は、それを必要とする被験体に治療有効量のエパルレスタットを投与することを含む。したがって、本開示は、ガラクトース血症を有する患者におけるガラクトース血症の処置およびガラクトース血症合併症の予防のための方法であって、それを必要とする被験体に治療有効量のエパルレスタットを投与することを含む方法を提供する。
【0031】
一例では、ガラクトース血症(またはガラクトース血症合併症)の処置のための方法は、それを必要とする被験体に治療有効量のアルドースレダクターゼを投与することを含み、アルドースレダクターゼ阻害剤は、ポナルレスタット、エパルレスタット、ソルビニルまたはソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゾポルレスタット、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル、ベルベリンまたはSPR-210ではない。
【0032】
一例では、ガラクトース血症(またはガラクトース血症合併症)の処置のための方法は、それを必要とする被験体に治療有効量の式I~VIのいずれか1つの化合物を投与することを含む。したがって、本開示は、ガラクトース血症を有する患者におけるガラクトース血症の処置およびガラクトース血症合併症の予防のための方法を提供し、それを必要とする被験体に治療有効量の式I~VIのいずれか1つの化合物を投与することを含む。特定の例では、投与される化合物は化合物Aであるか、または投与される化合物は化合物Bである。
【0033】
本明細書で使用される場合、「処置する」という用語は、治癒的または緩和的(例えば、疾患または疾患症候を制御または緩和する)治療を指す。これは、被験体の症状を改善または安定化する方法で、ガラクトース血症の症候、臨床徴候および基本的病状を回復さ
せ、軽減し、停止させまたは遅延させることを含み得る。本方法の文脈内における「予防する」という用語は、例えば、ガラクトース血症を有する個体の予防的処置、例えばガラクトース血症に関連する合併症(例えば、症候および臨床徴候)の予防を指す。例えば、糖尿病の家族歴または素因は、被験体が、ガラクトース血症および関連合併症のリスクがあることを示し得る。したがって、前記方法は、ガラクトース血症の処置、ガラクトース血症の合併症(例えば、症候および臨床徴候)の処置、ならびに/またはガラクトース血症の合併症(例えば、症候および臨床徴候)の処置および予防に使用され得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」は、投与条件下で所望の治療効果を達成するために十分な化合物の量、例えば、ガラクトース血症または1つもしくはそれを超えるその臨床兆候(例えば、白内障または原発性卵巣機能不全症(POI))の重症度および/または持続期間を軽減または改善し、ガラクトース血症に関連する症状もしくは症候の進行を予防するか、またはガラクトース血症の処置もしくは管理のための別の治療(例えば、POIの場合にはホルモン療法、または白内障の場合には手術)の治療効果を増強しもしくは他の方法で改善する量である。治療有効量は、処置されている被験体におけるガラクトースまたはガラクトース代謝産物、特にガラクチトールの量またはレベルを減少させ、好ましくは正常化する量であり得る。投与される実際の量は、例えば、被験体の年齢、体重、性別、一般的健康(general heath)および薬物耐性、疾患の重症度、選択される剤形、投与経路および他の要因に基づいて、通常の技能の臨床医により決定され得る。典型的には、投与されるAR阻害剤の量は、約0.5~約60mg/kg体重/日、例えば約1.0~10mg/kgである。
【0035】
本明細書に開示される方法の実施のいくつかの例では、治療有効量は、(例えば、処置前レベルと比較して)細胞内アルドースレダクターゼ活性を少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%またはそれを超えて、例えば約100%減少させるために十分な量である。治療有効量は、(例えば、処置前レベルと比較して)細胞内ガラクチトールレベルを少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%またはそれを超えて、例えば約100%減少させる量であり得る。治療有効量は、ガラクトース血症を有するヒト被験体において、血漿ガラクチトール濃度を200μM未満、特に100μM未満、特に50μM未満、好ましくは10μM未満に減少させる量であり得る。血漿ガラクチトールレベルは、未処置の古典的ガラクトース血症患者(120~500μmol/l)では、対照(0.08~0.86μmol/l)と比較して上昇している。(Jakobsら、Eur J Pediatr.,154(7 Suppl 2):S50-2,1995)。治療有効量は、ガラクトース血症において減退する生理学的特質、例えば、白内障被験体の場合には視力の低下、またはPOIを有する患者におけるエストロゲンレベルの減少を回復させるために十分であり得る。アルドースレダクターゼ阻害剤の治療有効量は、組織(例えば、肝臓ガラクチトールレベル、脳ガラクチトールレベル)または血液(血漿)中のガラクチトールレベルを正常化するために十分な量であり得る。
【0036】
「被験体」は、限定されないが、ヒト、飼育動物、例えばネコまたはイヌの被験体、家畜、例えば限定されないが、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、鳥類およびブタの被験体、野生動物(野生または動物園にかかわらず)、研究動物または実験動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコなど、鳥類、例えばニワトリ、七面鳥、鳴き鳥などを含む任意の動物、特に哺乳動物であり得る。好ましくは、「被験体」は、(遺伝的異常により)ガラクトース血症の素因を有するか、またはガラクトース血症と診断されたヒトである。典型的には、本明細書に開示される方法を使用して処置すべきヒト被験体は、酵素的または遺伝的スクリーニングにより新生児の際にガラクトース血症と診断され、GALT活性、GALK活性またはGALE活性の欠損を有する。
【0037】
本開示はまた、被験体におけるガラクトース血症の少なくとも1つの臨床的特徴または合併症の予防または処置に関する。子供、青年または成人に存在し得る代表的な臨床的特徴または合併症としては、例えば、肝機能障害、感染症への感受性、発育障害、白内障、網膜症、神経心理学および卵巣の問題が挙げられる。例えば、本開示は、黄疸(発生率:被験体の74%)、嘔吐(被験体の47%)、肝腫大(被験体の43%)、発育障害(被験体の29%)、摂食不良(被験体の23%)、倦怠感(被験体の16%)、下痢(被験体の12%)、敗血症(被験体の10%)、より具体的には大腸菌敗血症(敗血症の76%)、凝固障害、腹水、痙攣、肝腫大、低血圧症、浮腫、完全な泉門、脳症、および過度の打撲傷または出血、原発性卵巣機能不全症および早発性卵巣不全(POF)から選択されるガラクトース血症被験体の少なくとも1つの特質の処置に関する。加えて、ガラクトース血症患者は、低い骨密度を有し得る。好ましくは、臨床的特徴は、水晶体白内障、網膜症または卵巣機能障害(例えば、原発性卵巣機能不全症(POI)または早発性卵巣不全(POF))である。Berryら、“Classic Galactosemia and Clinical Variant Galactosemia,”in GeneReviews,Pagon RA,Adam MP,Ardinger HHら、Eds.University of Washington,Seattle,2017を参照のこと。
【0038】
疾患が早期に診断され、ガラクトース制限食で管理される場合であっても、ガラクトース血症を有する患者は、長期の神経学的および認知的な合併症を経験し得る。このような合併症は様々であり、平均IQ未満、実行機能障害、振戦、失調、構音障害、発語失行、うつ病および不安が挙げられる。したがって、本明細書に記載される方法を使用して処置または予防され得るガラクトース血症のさらなる好ましい臨床的特徴は、神経学的および認知的な機能不全、例えば発話機能障害(例えば、言語の遅滞または障害)、運動失調、痙攣、偽脳腫瘍および認知機能障害(例えば、低IQ(約85未満のIQ))を含む中枢神経系機能不全である。
【0039】
特定の態様では、本開示は、ガラクトース血症の臨床的特徴または合併症の処置のための方法に関し、それを必要とする被験体に治療有効量のゾポルレスタットを投与することを含む。
【0040】
一例では、本開示は、ガラクトース血症の臨床的特徴または合併症の処置のための方法に関し、それを必要とする被験体に治療有効量のエパルレスタットを投与することを含む。
【0041】
一例では、本開示は、ガラクトース血症の臨床的特徴または合併症の処置のための方法に関し、それを必要とする被験体に治療有効量の式I~VIのいずれか1つの化合物を投与することを含む。
【0042】
実施形態では、処置または予防すべきガラクトース血症の臨床的特徴または合併症は、網膜症または白内障である。初老性白内障は、ガラクトース血症を有する患者における一般的な合併症であり、特定の実施形態では、前記方法は、白内障を処置するための方法である。白内障は、水晶体の後部に発生する嚢下白内障、水晶体の中心部(核)に形成する核白内障、および水晶体皮質に影響を及ぼす皮質(スポーク様)白内障であり得る。前記方法はまた、手術を受けたかまたは手術を受けている白内障、既存の混濁した水晶体の外科的除去後に発生する白内障、すなわち二次白内障、網膜剥離および網膜剥離の修復手術後に発生する白内障、目または頭の外傷に関連する白内障、腫瘍に関連する白内障、放射線への曝露に関連する白内障、ならびに糖毒性に関連する白内障の処置において有用である。本方法はまた、全身性障害、例えば限定されないが、ガラクトース血症に起因する白
内障の予防的処置において有用である。
【0043】
実施形態では、処置または予防すべきガラクトース血症の臨床的特徴または合併症は、ガラクトース血症の長期の神経学的および認知的な合併症である。疾患が早期に診断され、ガラクトース制限食で管理される場合であっても、ガラクトース血症を有する患者は、長期の神経学的および認知的な合併症を経験し得る。このような合併症は様々であり、平均IQ未満、実行機能障害、振戦、失調、構音障害、発語失行、うつ病および不安が挙げられる。
【0044】
実施形態では、処置または予防すべきガラクトース血症の臨床的特徴または合併症は、原発性卵巣機能不全症(POI)または早期卵巣不全(POF)、またはそれに関連する症候である。前記方法は、それを必要とする被験体に、本開示の化合物または化合物を含有する組成物を投与することを含む。POIは、機能障害卵巣(例えば、エストロゲンおよびリプロダクティブヘルスに重要な他のホルモンの産生不能)を特徴とする。ガラクトース血症は少数の公知のPOI原因の1つであり、ガラクトース血症を有するほぼすべての女性は、人生のある時点においてPOIを有するかまたはそれを発症する。POIを有する女性は、骨疾患の骨粗鬆症になるかまたは心臓の問題を有する可能性が高い場合があり、POIはまた、不妊症を引き起こし得る。Fridovich-Keilら、J Inherit Metab Dis.34(2):357-366,2011を参照のこと。POIに関連する症候または特質としては、例えば、発症期間の遅延、期間の突然の停止または中断、乳房の奇形、ほてり、情動障害、例えば気分変動もしくは過敏性、膣乾燥および/または睡眠不足が挙げられる。
【0045】
いくつかの態様では、本開示は、被験体におけるガラクチトールの量またはレベルを減少させるための方法であって、それを必要とする被験体に、アルドースレダクターゼ活性を阻害する治療有効量の化合物を投与することを含む方法に関する。前記方法は、組織、例えば肝臓、脳、目、網膜および/または循環(例えば、血液または血漿)および/または尿中のガラクチトールを減少させるために使用され得る。好ましくは、ガラクチトールレベルは正常化される。ガラクトース血症を有する患者では、ガラクトースレベルは上昇し得、好ましくは、ガラクチトールを減少させる方法は、ガラクトースレベルのさらなる上昇を引き起こさない。ガラクチトールの正常な量またはレベルは、制限食の状況にない健常被験体に存在する量またはレベルである。このような正常な量またはレベルは周知であり、表1に示されている。
【0046】
実施形態では、処置または予防すべきガラクトース血症の臨床的特徴または合併症は、網膜症または白内障である。初老性白内障は、ガラクトース血症を有する患者における一般的な合併症であり、特定の実施形態では、前記方法は、白内障を処置するための方法である。白内障は、水晶体の後部に発生する嚢下白内障、水晶体の中心部(核)に形成する核白内障、および水晶体皮質に影響を及ぼす皮質(スポーク様)白内障であり得る。前記方法はまた、手術を受けたかまたは手術を受けている白内障、既存の混濁した水晶体の外科的除去後に発生する白内障、すなわち二次白内障、網膜剥離および網膜剥離の修復手術後に発生する白内障、目または頭の外傷に関連する白内障、腫瘍に関連する白内障、放射線への曝露に関連する白内障、ならびに糖毒性に関連する白内障の処置において有用である。本方法はまた、全身性障害、例えば限定されないが、ガラクトース血症に起因する白内障の予防的処置において有用である。
【0047】
特定の態様では、本開示は、白内障の処置または予防のための方法に関し、それを必要とする被験体に治療有効量のゾポルレスタットを投与することを含む。
【0048】
一例では、本開示は、白内障の処置または予防のための方法に関し、それを必要とする
被験体に治療有効量のエパルレスタットを投与することを含む。
【0049】
一例では、本開示は、白内障の処置または予防のための方法であって、それを必要とする被験体に治療有効量の式I~VIのいずれか1つの化合物を投与することを含む方法に関する。特定の例では、投与される化合物は化合物Aであるか、または投与される化合物は化合物Bである。
【0050】
好ましくは、白内障の処置または予防のための治療を必要とする患者は、ガラクトース血症を有する。
【0051】
実施形態では、処置または予防すべきガラクトース血症の臨床的特徴または合併症は、ガラクトース血症の長期の神経学的および認知的な合併症である。疾患が早期に診断され、ガラクトース制限食で管理される場合であっても、ガラクトース血症を有する患者は、長期の神経学的および認知的な合併症を経験し得る。このような合併症は様々であり、平均IQ未満、実行機能障害、振戦、失調、構音障害、発語失行、うつ病および不安が挙げられる。
【0052】
特定の態様では、本開示は、ガラクトース血症に関連する神経学的および認知的な機能不全の処置または予防のための方法に関し、ガラクトース血症を有する被験体に治療有効量のゾポルレスタットを投与することを含む。特定の実施形態では、ガラクトース血症に関連する神経学的または認知的な機能不全は、発話機能障害、例えば言語遅滞または言語障害である。特定の実施形態では、ガラクトース血症に関連する神経学的または認知的な機能不全は、運動失調である。特定の実施形態では、ガラクトース血症に関連する神経学的または認知的な機能不全は、認知機能障害、例えば低IQである。特定の実施形態では、ガラクトース血症に関連する神経学的または認知的な機能不全は、偽脳腫瘍である。特定の実施形態では、ガラクトース血症に関連する神経学的または認知的な機能不全は、痙攣である。
【0053】
一例では、本開示は、ガラクトース血症に関連する神経学的および認知的な機能不全の処置または予防のための方法に関し、ガラクトース血症を有する被験体に治療有効量のエパルレスタットを投与することを含む。特定の実施形態では、ガラクトース血症に関連する神経学的または認知的な機能不全は、発話機能障害、例えば言語遅滞または言語障害である。特定の実施形態では、ガラクトース血症に関連する神経学的または認知的な機能不全は、運動失調である。特定の実施形態では、ガラクトース血症に関連する神経学的または認知的な機能不全は、認知機能障害、例えば低IQである。特定の実施形態では、ガラクトース血症に関連する神経学的または認知的な機能不全は、偽脳腫瘍である。特定の実施形態では、ガラクトース血症に関連する神経学的または認知的な機能不全は、痙攣である。
【0054】
一例では、本開示は、ガラクトース血症に関連する神経学的および認知的な機能不全の処置または予防のための方法に関し、ガラクトース血症を有する被験体に治療有効量の式I~VIのいずれか1つの化合物を投与することを含む。特定の例では、投与される化合物は化合物Aであるか、または投与される化合物は化合物Bである。特定の実施形態では、ガラクトース血症に関連する神経学的または認知的な機能不全は、発話機能障害、例えば言語遅滞または言語障害である。特定の実施形態では、ガラクトース血症に関連する神経学的または認知的な機能不全は、運動失調である。特定の実施形態では、ガラクトース血症に関連する神経学的または認知的な機能不全は、認知機能障害、例えば低IQである。特定の実施形態では、ガラクトース血症に関連する神経学的または認知的な機能不全は、偽脳腫瘍である。特定の実施形態では、ガラクトース血症に関連する神経学的または認知的な機能不全は、痙攣である。
【0055】
実施形態では、処置または予防すべきガラクトース血症の臨床的特徴または合併症は、原発性卵巣機能不全症(POI)または早期卵巣不全(POF)、またはそれに関連する症候である。前記方法は、それを必要とする被験体に、本開示の化合物または化合物を含有する組成物を投与することを含む。POIは、機能障害卵巣(例えば、エストロゲンおよびリプロダクティブヘルスに重要な他のホルモンの産生不能)を特徴とする。ガラクトース血症は少数の公知のPOI原因の1つであり、ガラクトース血症を有するほぼすべての女性は、人生のある時点においてPOIを有するかまたはそれを発症する。POIを有する女性は、骨疾患の骨粗鬆症になるかまたは心臓の問題を有する可能性が高い場合があり、POIは、不妊症を引き起こし得る。Fridovich-Keilら、J Inherit Metab Dis.34(2):357-366,2011を参照のこと。POIに関連する症候または特質としては、例えば、発症期間の遅延、期間の突然の停止または中断、乳房の奇形、ほてり、情動障害、例えば気分変動もしくは過敏性、膣乾燥および/または睡眠不足が挙げられる。
【0056】
特定の態様では、本開示は、POIまたはPOFの処置または予防のための方法に関し、ガラクトース血症を有する被験体に治療有効量のゾポルレスタットを投与することを含む。
【0057】
一例では、本開示は、POIまたはPOFの処置または予防のための方法に関し、ガラクトース血症を有する被験体に治療有効量のエパルレスタットを投与することを含む。
【0058】
一例では、本開示は、POIまたはPOFの処置または予防のための方法に関し、ガラクトース血症を有する被験体に治療有効量の式I~VIのいずれか1つの化合物を投与することを含む。特定の例では、投与される化合物は化合物Aであるか、または投与される化合物は化合物Bである。
【0059】
いくつかの態様では、本開示は、被験体におけるガラクチトールの量またはレベルを減少させるための方法であって、それを必要とする被験体に、アルドースレダクターゼ活性を阻害する治療有効量の化合物を投与することを含む方法に関する。前記方法は、組織、例えば肝臓、脳、目、網膜および/または循環(例えば、血液または血漿)および/または尿中のガラクチトールを減少させるために使用され得る。好ましくは、ガラクチトールレベルは正常化される。ガラクトース血症を有する患者では、ガラクトースレベルは上昇し得、好ましくは、ガラクチトールを減少させる方法は、ガラクトースレベルのさらなる上昇を引き起こさない。ガラクチトールの正常な量またはレベルは、制限食の状況にない健常被験体に存在する量またはレベルである。このような正常な量またはレベルは周知であり、表1に示されている。
【表1】
【0060】
特定の態様では、本開示は、ガラクトース血症を有する被験体におけるガラクチトールの量またはレベルを減少させ、好ましくは正常化するための方法に関し、それを必要とする被験体に治療有効量のゾポルレスタットを投与することを含む。
【0061】
一例では、本開示は、ガラクトース血症を有する被験体におけるガラクチトールの量またはレベルを減少させ、好ましくは正常化するための方法に関し、それを必要とする被験体に治療有効量のエパルレスタットを投与することを含む。
【0062】
一例では、本開示は、ガラクトース血症を有する被験体におけるガラクチトールの量またはレベルを減少させ、好ましくは正常化するための方法に関し、それを必要とする被験体に治療有効量の式I~VIのいずれか1つの化合物を投与することを含む。特定の例では、投与される化合物は化合物Aであるか、または投与される化合物は化合物Bである。
【0063】
いくつかの実施形態では、前述の方法は、単回投与量または単回投与の(例えば、単回注射またはデポーとしての)1つまたはそれを超えるAR阻害剤を含む製剤を投与することにより行われる。あるいは、前記方法は、それを必要とする被験体に、投与に適合された製剤を約2~約28日間または約7~約10日間または約7~約15日間またはそれを
超える期間にわたって1日1回、1日2回、1日3回または1日4回投与することにより行われる。いくつかの実施形態では、前記方法は、慢性投与に適合された製剤を投与することにより行われる。さらに他の実施形態では、前記方法は、数週間、数カ月間、数年間または数十年間にわたる投与に適合された製剤を投与することにより行われる。さらに他の実施形態では、前記方法は、数週間にわたる投与に適合された製剤を投与することにより行われる。さらに他の実施形態では、前記方法は、数カ月間にわたる投与に適合された製剤を投与することにより行われる。さらに他の実施形態では、前記方法は、数年間にわたる投与に適合された製剤を投与することにより行われる。さらに他の実施形態では、前記方法は、数十年間にわたる投与に適合された製剤を投与することにより行われる。
II.AR阻害剤
【0064】
適切な小分子AR阻害剤は当技術分野では知られておあり、本明細書に開示される。小分子AR阻害剤としては、ポナルレスタット、ソルビニル、ソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル、ベルベリン、SPR-210、ゾポルレスタット、エパルレスタット、米国特許第8,916,563号、米国特許第9,650,383号、国際公開第2012/009553号に開示されている化合物、および本明細書に開示される化合物が挙げられる。本発明において使用するために好ましいAR阻害剤としては、ゾポルレスタット、エパルレスタット、米国特許第8,916,563号、米国特許第9,650,383号、国際公開第2017/038505号に開示されている化合物、および本明細書に開示される化合物が挙げられる。米国特許第8,916,563号、米国特許第9,650,383号、国際公開第2012/009553号および国際公開第2017/038505号の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、本明細書に記載される方法において使用するために適切な化合物を開示する。
式IおよびIIのAR阻害剤
【0065】
一例では、AR阻害剤は、式(I)の化合物
【化1】
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物であり、
【0066】
式中、
【0067】
はH、(C-C)-アルキル、(C-C)-ヒドロキシアルキルまたは(C-C)-アミノアルキルであり;
【0068】
はNまたはCRであり;
【0069】
はNまたはCRであり;
【0070】
はNまたはCRであり;
【0071】
はNまたはCRであり;ただし、X、X、XまたはXの2つまたは3つはNであり;
【0072】
Yは結合、C=O、C=S、C=NHまたはC=N(C-C)-アルキルであり;
【0073】
Zは
【化2】
であり;
【0074】
はNR11、O、SまたはCHであり;
【0075】
はNまたはCHであり;
【0076】
はNR11、OまたはSであり;
【0077】
~R10は独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C-C)-アルキル、(C-C)-アルコキシ、(C-C)-アルキルチオ、(C-C)-アルキルスルフィニルもしくは(C-C)-アルキルスルホニルであるか;またはR~Rの2つもしくはR~R10の2つは共に(C-C)-アルキレンジオキシであり;ならびに
【0078】
11は水素、C-CアルキルまたはC(O)O-(C-C)-アルキルである。
【0079】
Zが
【化3】
であるか、またはZが
【化4】
であるという指定は、
【0080】
Zが
【化5】
である場合には、
【0081】
式(I)の化合物は、
【化6】
を包含し、
【0082】
Zが
【化7】
である場合には、
【0083】
式(I)の化合物は、
【化8】
を包含することを示すことが当業者により認識されるであろう。
【0084】
特定の実施形態では、Rは水素または(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、Rは水素である。特定の実施形態では、Rは(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、Rはtert-ブチルである。
【0085】
特定の実施形態では、R~R10は独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R~R10は独立して、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキルである。
【0086】
特定の実施形態では、R~Rは水素である。
【0087】
特定の実施形態では、R~R10は独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R~R10は独立して、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキルである。
【0088】
特定の実施形態では、RおよびR10は水素である。
【0089】
特定の実施形態では、Rは水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形
態では、Rは水素である。特定の実施形態では、Rはハロゲンである。特定の実施形態では、Rはハロアルキルである。
【0090】
特定の実施形態では、Rは水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、Rは水素である。特定の実施形態では、Rはハロゲンである。特定の実施形態では、Rはハロアルキルである。
【0091】
特定の実施形態では、YはC=O、C=S、C=NHまたはC=N(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、YはC=OまたはC=Sである。特定の実施形態では、YはC=Oである。特定の実施形態では、YはC=Sである。特定の実施形態では、YはC=NHまたはC=N(C-C)-アルキルである。
【0092】
特定の実施形態では、AはNR11、SまたはCHである。特定の実施形態では、AはNR11またはOである。特定の実施形態では、AはNR11またはSである。特定の実施形態では、AはNR11である。特定の実施形態では、AはOである。特定の実施形態では、AはSである。
【0093】
特定の実施形態では、AはNまたはCHである。特定の実施形態では、AはNである。特定の実施形態では、AはCHである。
【0094】
特定の実施形態では、AはOまたはSである。特定の実施形態では、AはOである。特定の実施形態では、AはSである。
【0095】
特定の実施形態では、XおよびXは窒素である。
【0096】
特定の実施形態では、XおよびXは窒素である。
【0097】
特定の実施形態では、XおよびXは窒素である。
【0098】
特定の実施形態では、XおよびXは窒素である。
【0099】
特定の実施形態では、XおよびXは窒素である。
【0100】
特定の実施形態では、XおよびXは窒素である。
【0101】
特定の実施形態では、Zは
【化9】
である。
【0102】
特定の実施形態では、Zは
【化10】
である。
【0103】
特定の実施形態では、Rは水素または(C-C)-アルキルであり;
【0104】
およびXはNであり;
【0105】
はCRであり;
【0106】
はCRであり;
【0107】
YはC=Oであり;
【0108】
Zは
【化11】
であり;
【0109】
はNR11、OまたはSであり;
【0110】
はNであり;
【0111】
はOまたはSであり;
【0112】
およびRは水素であり;
【0113】
~R10は独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、(C-C)-アルキル、(C-C)-アルコキシ、(C-C)-アルキルチオ、(C-C)-アルキルスルフィニルまたは(C-C)-アルキルスルホニルであり;ならびに
【0114】
11は水素、C-CアルキルまたはC(O)O-(C-C)-アルキルである。
【0115】
特定の実施形態では、Rは水素またはtert-ブチルであり;
【0116】
およびXはNであり;
【0117】
はCRであり;
【0118】
はCRであり;
【0119】
YはC=Oであり;
【0120】
Zは
【化12】
であり;
【0121】
はNR11、OまたはSであり;
【0122】
はNであり;
【0123】
はOまたはSであり;
【0124】
およびRは水素であり;
【0125】
~R10は独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり;ならびに
【0126】
11は水素、(C-C)-アルキルまたはC(O)O-tert-ブチルである。
【0127】
特定の実施形態では、Rは水素またはtert-ブチルであり;
【0128】
およびXはNであり;
【0129】
はCHであり;
【0130】
はCHであり;
【0131】
YはC=Oであり;
【0132】
Zは
【化13】
であり;
【0133】
はNR11、OまたはSであり;
【0134】
はNであり;
【0135】
はOまたはSであり;
【0136】
、RおよびR10は独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり;
【0137】
はハロゲンまたはハロアルキルであり;ならびに
【0138】
11は水素またはメチルである。
【0139】
特定の実施形態では、Rは水素またはtert-ブチルであり;
【0140】
およびXはNであり;
【0141】
はCHであり;
【0142】
はCHであり;
【0143】
YはC=Oであり;
【0144】
Zは
【化14】
であり;
【0145】
はNR11、OまたはSであり;
【0146】
はNであり;
【0147】
はOまたはSであり;
【0148】
、RおよびR10は独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり;
【0149】
は塩素またはトリフルオロメチルであり;ならびに
【0150】
11は水素またはメチルである。
【0151】
特定の実施形態では、AR阻害剤は、式(II)の化合物:
【0152】
【化15】
またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物であり、
【0153】
式中、R、R-RおよびYは式Iに記載されるとおりであり、好ましくは、Rは水素または(C-C)-アルキルであり、YはC=Oである。式IIの例示的な化合物としては、以下のものおよびそれらの塩が挙げられる:
【化16】
【0154】
式IIIの化合物
【0155】
AR阻害剤は、式(III)の化合物
【0156】
【化17】
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよび溶媒和物であり得、
【0157】
式中、
【0158】
はCOまたはCO であり;
【0159】
はH、(C-C)-アルキル、(C-C)-ヒドロキシアルキルまたは(C-C)-アミノアルキルであり;
【0160】
はHまたはハロゲンであり;
【0161】
はHまたはハロゲンであり;
【0162】
Yは結合、C=O、C=S、C=NHまたはC=N(C-C)-アルキルであり;
【0163】
Zは
【化18】
であり;
【0164】
はNR、O、SまたはCHであり;
【0165】
はNまたはCHであり;
【0166】
はNR、OまたはSであり;
【0167】
~Rは独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C-C)-アルキル、(C-C)-アルコキシ、(C-C)-アルキルチオ、(C-C)-アルキルスルフィニルまたは(C-C)-アルキルスルホニルであり;
【0168】
は水素、C-CアルキルまたはC(O)O-(C-C)-アルキルであり;ならびに
【0169】
は対イオンである。
【0170】
Zが
【0171】
【0172】
【化19】
であるか、またはZが
【化20】
であるという指定は、Zが
【0173】
【化21】
である場合には、式(III)の化合物は、
【化22】
を包含すると理解され;Zが
【化23】
である場合には、式(I)の化合物は、
【化24】
を包含すると理解されることを示すことが当業者により認識されるであろう。
【0174】
特定の実施形態では、RはCOまたはCO である。特定の実施形態では、RはCOである。特定の実施形態では、RはCO である。
【0175】
特定の実施形態では、Rは水素または(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、Rは水素または(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、Rは水素または(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、Rは水素、メチルまたはエチルである。特定の実施形態では、Rは水素またはメチルである。特定の実施形態では、Rはメチルまたはエチルである。特定の実施形態では、Rはメチルである。特定の実施形態では、Rは水素である。特定の実施形態では、Rは(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、Rは(C-C)-n-アルキルである。特定の実施形態では、Rは(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、Rは(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、Rは(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、Rはtert-ブチルである。
【0176】
特定の実施形態では、R~Rは独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C-C)-アルキル、(C-C)-アルコキシ、(C-C)-アルキルチオ、(C-C)-アルキルスルフィニルまたは(C-C)-アルキルスルホニルである。
【0177】
特定の実施形態では、R~Rは独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R~Rは独立して、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキルである。
【0178】
特定の実施形態では、RおよびRは水素である。特定の実施形態では、R、RおよびRは水素である。
【0179】
特定の実施形態では、Rは水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、Rは水素である。特定の実施形態では、Rはハロゲンである。特定の実施形態では、Rはハロアルキルである。特定の実施形態では、RはCFである。
【0180】
特定の実施形態では、R~Rは水素である。特定の実施形態では、R、R、Rは水素であり、Rはハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R、R、Rは水素であり、Rはハロアルキルである。特定の実施形態では、R、R、Rは水素であり、RはCFである。特定の実施形態では、R、R、Rは水素であり、Rはハロゲンである。特定の実施形態では、R、R、Rは水素であ
り、RはFである。特定の実施形態では、R、R、Rは水素であり、RはClである。
【0181】
特定の実施形態では、YはC=O、C=S、C=NHまたはC=N(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、YはC=OまたはC=Sである。特定の実施形態では、YはC=Oである。特定の実施形態では、YはC=Sである。特定の実施形態では、YはC=NHまたはC=N(C-C)-アルキルである。
【0182】
特定の実施形態では、AはNR、O、SまたはCHである。特定の実施形態では、AはNR、OまたはSである。特定の実施形態では、AはNR、SまたはCHである。特定の実施形態では、AはNRまたはOである。特定の実施形態では、AはNRまたはSである。特定の実施形態では、AはNRである。特定の実施形態では、AはOである。特定の実施形態では、AはSである。
【0183】
特定の実施形態では、AはNまたはCHである。特定の実施形態では、AはNである。特定の実施形態では、AはCHである。
【0184】
特定の実施形態では、AはNR、OまたはSである。特定の実施形態では、AはOである。特定の実施形態では、AはSである。特定の実施形態では、AはNRである。
【0185】
特定の実施形態では、XおよびXは水素である。
【0186】
特定の実施形態では、XおよびXはハロゲンである。特定の実施形態では、XおよびXはClである。
【0187】
特定の実施形態では、XおよびXは独立して、水素またはハロゲンである。特定の実施形態では、Xは水素であり、XはClである。特定の実施形態では、XはClであり、Xは水素である。
【0188】
特定の実施形態では、Zは
【化25】
である。
【0189】
特定の実施形態では、Zは
【化26】
である。
【0190】
特定の実施形態では、Rは水素、C-CアルキルまたはC(O)O-(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、Rは水素である。特定の実施形態では、
はC-Cアルキルである。特定の実施形態では、RはC-Cアルキルである。特定の実施形態では、RはC-Cアルキルである。特定の実施形態では、RはC-Cn-アルキルである。特定の実施形態では、RはC-Cn-アルキルである。特定の実施形態では、RはC(O)O-(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、RはC(O)O-(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、RはC(O)O-(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、RはC(O)O-(C-C)-n-アルキルである。特定の実施形態では、RはC(O)O-(C-C)-n-アルキルである。
【0191】
特定の実施形態では、RはCOであり;
【0192】
はHまたは(C-C)-アルキルであり;
【0193】
はHであり;
【0194】
はHであり;
【0195】
YはC=Oであり;
【0196】
Zは
【化27】
であり;
【0197】
はNR、OまたはSであり;
【0198】
はNであり;
【0199】
はOまたはSであり;
【0200】
~Rは独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C-C)-アルキル、(C-C)-アルコキシ、(C-C)-アルキルチオ、(C-C)-アルキルスルフィニルまたは(C-C)-アルキルスルホニルであり;ならびに
【0201】
は水素、C-CアルキルまたはC(O)O-(C-C)-アルキルである。
【0202】
特定の実施形態では、RはCOであり;
【0203】
はHまたはtert-ブチルであり;
【0204】
はHであり;
【0205】
はHであり;
【0206】
YはC=Oであり;
【0207】
Zは
【化28】
であり;
【0208】
はNR、OまたはSであり;
【0209】
はNであり;
【0210】
はOまたはSであり;
【0211】
~Rは独立して、水素、ハロゲン、ハロアルキルであり;ならびに
【0212】
は水素、C-CアルキルまたはC(O)O-(C-C)-アルキルである。
【0213】
特定の実施形態では、RはCOであり;
【0214】
はHまたはtert-ブチルであり;
【0215】
はHであり;
【0216】
はHであり;
【0217】
YはC=Oであり;
【0218】
Zは
【化29】
であり;
【0219】
はNR、OまたはSであり;
【0220】
はNであり;
【0221】
はOまたはSであり;
【0222】
、RおよびRは水素であり;
【0223】
は水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり;ならびに
【0224】
は水素、C-CアルキルまたはC(O)O-(C-C)-アルキルである。
【0225】
特定の実施形態では、RはCOであり;
【0226】
はHまたは(C-C)-アルキルであり;
【0227】
はハロゲンであり;
【0228】
はハロゲンであり;
【0229】
YはC=Oであり;
【0230】
Zは
【化30】
であり;
【0231】
はNR、OまたはSであり;
【0232】
はNであり;
【0233】
はOまたはSであり;
【0234】
~Rは独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C-C)-アルキル、(C-C)-アルコキシ、(C-C)-アルキルチオ、(C-C)-アルキルスルフィニルまたは(C-C)-アルキルスルホニルであり;ならびに
【0235】
は水素、C-CアルキルまたはC(O)O-(C-C)-アルキルである。
【0236】
特定の実施形態では、RはCOであり;
【0237】
はHまたはtert-ブチルであり;
【0238】
はハロゲンであり;
【0239】
はハロゲンであり;
【0240】
YはC=Oであり;
【0241】
Zは
【化31】
であり;
【0242】
はNR、OまたはSであり;
【0243】
はNであり;
【0244】
はOまたはSであり;
【0245】
~Rは独立して、水素、ハロゲン、ハロアルキルであり;ならびに
【0246】
は水素、C-CアルキルまたはC(O)O-(C-C)-アルキルである。
【0247】
特定の実施形態では、RはCOであり;
【0248】
はHまたはtert-ブチルであり;
【0249】
はClであり;
【0250】
はClであり;
【0251】
YはC=Oであり;
【0252】
Zは
【化32】
であり;
【0253】
はNR、OまたはSであり;
【0254】
はNであり;
【0255】
はOまたはSであり;
【0256】
~Rは独立して、水素、ハロゲン、ハロアルキルであり;ならびに
【0257】
は水素、C-CアルキルまたはC(O)O-(C-C)-アルキルである。
【0258】
特定の実施形態では、RはCOであり;
【0259】
はHまたはtert-ブチルであり;
【0260】
はClであり;
【0261】
はClであり;
【0262】
YはC=Oであり;
【0263】
Zは
【化33】
であり;
【0264】
はNR、OまたはSであり;
【0265】
はNであり;
【0266】
はOまたはSであり;
【0267】
、RおよびRは水素であり;
【0268】
は水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり;ならびに
【0269】
は水素、C-CアルキルまたはC(O)O-(C-C)-アルキルである。
【0270】
特定の実施形態では、式(III)の化合物は、
【化34】
【化35】
からなる群より選択される。
【0271】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は
【化36】
またはその薬学的に許容され得る塩である。
【0272】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は
【化37】
またはその薬学的に許容され得る塩である。
式IV、VおよびVIの化合物
【0273】
AR阻害剤は、式(IV)の化合物
【0274】
【化38】
またはその薬学的に許容され得る塩および溶媒和物であり得、
【0275】
式中、
【0276】
はHまたはハロゲンであり;
【0277】
はHまたはハロゲンであり;
【0278】
Yは結合、C=O、C=S、C=NHまたはC=N(C-C)-アルキルであり;
【0279】
およびZは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群より独立して選択されるか、またはZおよびZは、それらが結合しているホウ素原子と共に、
【0280】
【化39】
を形成し、
【0281】
ここで、
【0282】
Xは置換または非置換C-Cアルキレンであり;
【0283】
Zは
【化40】
であり;
【0284】
はNR、O、SまたはCHであり;
【0285】
はNまたはCHであり;
【0286】
はNR、OまたはSであり;
【0287】
~Rは独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C-C)-アルキル、(C-C)-アルコキシ、(C-C)-アルキルチオ、(C-C)-アルキルスルフィニルまたは(C-C)-アルキルスルホニルであり;ならびに
【0288】
は水素、C-CアルキルまたはC(O)O-(C-C)-アルキルである。
【0289】
-Cアルキレン上の適切な置換基としては、1つまたはそれを超えるアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオが挙げられる。好ましい置換C-Cアルキレンは置換エチレンである。よ
り好ましい置換C-Cアルキレンは-C(CHC(CH-である。
【0290】
Zが
【0291】
【化41】
であるか、またはZが
【化42】
であるという指定は、Zが
【化43】
である場合には、式(IV)の化合物は、
【化44】
を包含すると理解され;
【0292】
Zが
【化45】
である場合には、式(IV)の化合物は、
【化46】
を包含すると理解されることを示すことが当業者により認識されるであろう。
【0293】
式中、
【0294】
およびZは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群より独立して選択されるか、またはZおよびZは、それらが結合しているホウ素原子と共に、
【0295】
【化47】
を形成し、
【0296】
ここで、
【0297】
Xは置換または非置換C-Cアルキレンである。
【0298】
特定の実施形態では、式(IV)のR~Rは独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C-C)-アルキル、(C-C)-アルコキシ、(C-C)-アルキルチオ、(C-C)-アルキルスルフィニルまたは(C-C)-アルキルスルホニルである。
【0299】
特定の実施形態では、式(IV)のR~Rは独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R~Rは独立して、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキルである。
【0300】
特定の実施形態では、式(IV)のRおよびRは水素である。特定の実施形態では、R、RおよびRは水素である。
【0301】
特定の実施形態では、式(IV)のRは水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、Rは水素である。特定の実施形態では、Rはハロゲンである。
特定の実施形態では、Rはハロアルキルである。特定の実施形態では、RはCFである。
【0302】
特定の実施形態では、式(IV)のR~Rは水素である。特定の実施形態では、R、R、Rは水素であり、Rはハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R、R、Rは水素であり、Rはハロアルキルである。特定の実施形態では、R、R、Rは水素であり、RはCFである。特定の実施形態では、R、R、Rは水素であり、Rはハロゲンである。特定の実施形態では、R、R、Rは水素であり、RはFである。特定の実施形態では、R、R、Rは水素であり、RはClである。
【0303】
特定の実施形態では、式(IV)のYはC=O、C=S、C=NHまたはC=N(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、YはC=OまたはC=Sである。特定の実施形態では、YはC=Oである。特定の実施形態では、YはC=Sである。特定の実施形態では、YはC=NHまたはC=N(C-C)-アルキルである。
【0304】
特定の実施形態では、式(IV)のAはNR、O、SまたはCHである。特定の実施形態では、AはNR、OまたはSである。特定の実施形態では、AはNR、SまたはCHである。特定の実施形態では、AはNRまたはOである。特定の実施形態では、AはNRまたはSである。特定の実施形態では、AはNRである。特定の実施形態では、AはOである。特定の実施形態では、AはSである。
【0305】
特定の実施形態では、式(IV)のAはNまたはCHである。特定の実施形態では、AはNである。特定の実施形態では、AはCHである。
【0306】
特定の実施形態では、式(IV)のAはNR、OまたはSである。特定の実施形態では、AはOである。特定の実施形態では、式(IV)のAはSである。特定の実施形態では、AはNRである。
【0307】
特定の実施形態では、式(IV)のXおよびXは水素である。
【0308】
特定の実施形態では、式(IV)のXおよびXはハロゲンである。特定の実施形態では、XおよびXはClである。
【0309】
特定の実施形態では、式(IV)のXおよびXは独立して、水素またはハロゲンである。特定の実施形態では、Xは水素およびXはClである。特定の実施形態では、XはClおよびXは水素である。
【0310】
特定の実施形態では、式(IV)のZは
【化48】
である。
【0311】
特定の実施形態では、式(IV)のZは
【化49】
である。
【0312】
特定の実施形態では、式(IV)のRは水素、C-CアルキルまたはC(O)O-(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、Rは水素である。特定の実施形態では、RはC-Cアルキルである。特定の実施形態では、RはC-Cアルキルである。特定の実施形態では、RはC-Cアルキルである。特定の実施形態では、RはC-Cn-アルキルである。特定の実施形態では、RはC-Cn-アルキルである。特定の実施形態では、RはC(O)O-(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、RはC(O)O-(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、RはC(O)O-(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、RはC(O)O-(C-C)-n-アルキルである。特定の実施形態では、RはC(O)O-(C-C)-n-アルキルである。
【0313】
特定の実施形態では、式(IV)の化合物は、
【0314】
【化50】
【0315】
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり;
【0316】
式中、
【0317】
およびZは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群より独立して選択されるか、またはZおよびZは、それらが結合しているホウ素原子と共に、
【0318】
【化51】
を形成し、
【0319】
ここで、
【0320】
Xは置換または非置換C-Cアルキレンである。
【0321】
特定の実施形態では、式(IV)の化合物は、
【0322】
【化52】
【0323】
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり;
【0324】
式中、
【0325】
およびZは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群より独立して選択されるか、またはZおよびZは、それらが結合しているホウ素原子と共に、
【0326】
【化53】
を形成し、
【0327】
ここで、
【0328】
Xは置換または非置換C-Cアルキレンである。
【0329】
特定の実施形態では、式(IV)の化合物は、
【0330】
【化54】
【0331】
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり;
【0332】
式中、
【0333】
およびZは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群より独立して選択されるか、またはZおよびZは、それらが結合しているホウ素原子と共に、
【0334】
【化55】
を形成し、
【0335】
ここで、
【0336】
Xは置換または非置換C-Cアルキレンである。
【0337】
特定の実施形態では、式(IV)の化合物は、
【0338】
【化56】
【0339】
【化57】
【0340】
【化58】
【0341】
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり;
【0342】
式中、
【0343】
およびZは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群より独立して選択されるか、またはZおよびZは、それらが結合しているホウ素原子と共に、
【0344】
【化59】
を形成し、
【0345】
ここで、
【0346】
Xは置換または非置換C-Cアルキレンである。
【0347】
別の態様では、アルドースレダクターゼ阻害剤は、式(V)の化合物
【0348】
【化60】
【0349】
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり;
【0350】
式中、
【0351】
はNまたはCRであり;
【0352】
はNまたはCRであり;
【0353】
はNまたはCR10であり;
【0354】
はNまたはCR11であり;ただし、X、X、XまたはXの2つまたは3つはNであり;
【0355】
およびZは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群より独立して選択されるか、またはZおよびZは、それらが結合しているホウ素原子と共に、
【0356】
【化61】
を形成し、
【0357】
ここで、
【0358】
Xは置換または非置換C-Cアルキレンであり;
【0359】

【化62】
であり;
【0360】
はNR16、O、SまたはCHであり;
【0361】
はNまたはCHであり;
【0362】
はNR16、OまたはSであり;
【0363】
~R15は独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C-C)-アルキル、(C-C)-アルコキシ、(C-C)-アルキルチオ、(C-C)-アルキルスルフィニルもしくは(C-C)-アルキルスルホニルであるか;またはR~R11の2つもしくはR12~R15の2つは共に、(C-C)-アルキレンジオキシであり;ならびに
【0364】
16は水素、C-CアルキルまたはC(O)O-(C-C)-アルキルである。
【0365】
-Cアルキレン上の適切な置換基としては、1つまたはそれを超えるアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオが挙げられる。好ましい置換C-Cアルキレンは置換エチレンである。より好ましい置換C-Cアルキレンは-C(CHC(CH-である。
【0366】
Zが
【0367】
【化63】
であるか、またはZが
【化64】
であるという指定は、Zが
【化65】
である場合には、式(V)の化合物は、
【化66】
を包含すると理解され;Zが
【化67】
である場合には、式(V)の化合物は、
【化68】
を包含すると理解されることを示すことが当業者により認識されるであろう。
【0368】
いくつかの式Vの化合物では、R~R15は独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり、例えば、R~R15は独立して、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキル(例えば、-CF)である。
【0369】
式Vの他の化合物では、R~R11は水素である。
【0370】
式Vの化合物の特定の実施形態では、R12~R15は独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり、例えば、R12~R15は独立して、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキル(例えば、-CF)である。
【0371】
特定の実施形態では、式(V)のR12およびR15は水素である。
【0372】
特定の実施形態では、式(V)のR13は水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R13は水素である。特定の実施形態では、R13はハロゲンである。特定の実施形態では、R13はハロアルキルである。
【0373】
特定の実施形態では、式(V)のR14は水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。特定の実施形態では、R14は水素である。特定の実施形態では、R14はハロゲンである。特定の実施形態では、R14はハロアルキルである。
【0374】
特定の実施形態では、式(V)のYはC=O、C=S、C=NHまたはC=N(C-C)-アルキルである。特定の実施形態では、YはC=OまたはC=Sである。特定の実施形態では、YはC=Oである。特定の実施形態では、YはC=Sである。特定の実施形態では、YはC=NHまたはC=N(C-C)-アルキルである。
【0375】
特定の実施形態では、式(V)のAはNR16、SまたはCHである。特定の実施形態では、AはNR16またはOである。特定の実施形態では、AはNR16またはSである。特定の実施形態では、AはNR16である。特定の実施形態では、AはOである。特定の実施形態では、AはSである。
【0376】
特定の実施形態では、式(V)のAはNまたはCHである。特定の実施形態では、AはNである。特定の実施形態では、AはCHである。
【0377】
特定の実施形態では、式(V)のAはOまたはSである。特定の実施形態では、AはOである。特定の実施形態では、AはSである。
【0378】
特定の実施形態では、式(V)のXおよびXは窒素である。
【0379】
特定の実施形態では、式(V)のXおよびXは窒素である。
【0380】
特定の実施形態では、式(V)のXおよびXは窒素である。
【0381】
特定の実施形態では、式(V)のXおよびXは窒素である。
【0382】
特定の実施形態では、式(V)のXおよびXは窒素である。
【0383】
特定の実施形態では、式(V)のXおよびXは窒素である。
【0384】
特定の実施形態では、式(V)のZ
【化69】
である。
【0385】
特定の実施形態では、式(V)のZ
【化70】
である。
【0386】
いくつかの実施形態では、式(V)の化合物は、
【0387】
【化71】
【0388】
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり;
【0389】
式中、
【0390】
14は、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキル(例えば、-CF)であり;ならびに
【0391】
およびZは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群より独立して
選択されるか、またはZおよびZは、それらが結合しているホウ素原子と共に、
【0392】
【化72】
を形成し、
【0393】
ここで、
【0394】
Xは置換または非置換C-Cアルキレンである。
【0395】
実施形態では、式(V)の化合物は、
【0396】
【化73】
【0397】
【化74】
【0398】
【化75】
【0399】
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物である。
【0400】
一態様では、アルドースレダクターゼ阻害剤は、式(VI)の化合物
【0401】
【化76】
【0402】
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり;
【0403】
式中、
【0404】
およびZは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群より独立して選択されるか、またはZおよびZは、それらが結合しているホウ素原子と共に、
【0405】
【0406】
【化77】
を形成し、
【0407】
ここで、
【0408】
Xは置換または非置換C-Cアルキレンである。
【0409】
一実施形態では、式(VI)のアルドースレダクターゼ阻害剤は、
【0410】
【化78】
【0411】
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物である。
【0412】
一実施形態では、式(VI)のAH阻害剤は、
【0413】
【化79】
【0414】
またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグもしくは溶媒和物である。
【0415】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、特に指示がない限り、直鎖、分枝鎖、単環式部分または多環式部分またはそれらの組み合わせを有する一価脂肪族炭化水素ラジカルであって、直鎖、分枝鎖、単環式部分または多環式部分またはそれらの組み合わせの1つまたはそれを超える炭素において、各炭素における1つまたはそれを超える置換基で必要に応じて置換された一価脂肪族炭化水素ラジカルを指し、1つまたはそれを超える置換基は独立して、C-C10アルキルである。「アルキル」基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニルなどが挙げられる。
【0416】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」または「ハロ-」という用語は、塩素(Cl)、フッ素(F)、ヨウ素(I)または臭素(Br)を意味する。
【0417】
本明細書で使用される場合、「アシル」という用語は、タイプRCO-のラジカル(式中、Rは、置換または非置換、飽和または不飽和のアルキル、アラルキル、アリール、脂環式または複素環式ラジカルであり得る有機ラジカルを表す)を指定するために広い意味で使用されるか;または異なる定義によれば、「アシル」という用語は、カルボキシルラジカルのOH基がカルボン酸の分子から除去された場合に残る一価ラジカルを広く指定するために使用される。
【0418】
「アルコキシ」という用語は、式:-O-Rの基(式中、Rは、ハロゲンなどの置換基を必要に応じて含有するアルキル基である)を指定するために用いられる。好ましくは、「アルコキシ」という用語は、1~6個の炭素原子のアルキル基を有するアルコキシを指定するために使用される。最も好ましくは、「アルコキシ」という用語は、1~3個の炭素原子のアルキル基を有するアルコキシ、例えばメトキシまたはエトキシを指定するために用いられる。
【0419】
「シクロアルキル基」という用語は、本明細書では、3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル基、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを特定するために使用される。
【0420】
本明細書で使用される場合、「溶媒和物」という用語は、適切な溶媒の分子が結晶格子に組み込まれた化合物またはその薬学的に許容され得る塩を意味する。適切な溶媒は、投
与される投与量で生理学的に許容可能である。適切な溶媒の例は、エタノール、水などである。水が溶媒である場合、分子は「水和物」と称される。
【0421】
「プロドラッグ」は、インビボで親薬物に変換される薬剤を指す。プロドラッグは、いくつかの場合では、親薬物よりも投与するのが容易であるので有用であることが多い。それらは、例えば、経口投与により生体利用可能であるのに対して、親薬物は、あまり生体利用可能ではないか、または全く生体利用可能ではない。プロドラッグはまた、医薬組成物において、親薬物よりも改善された溶解性を有する。例えば、化合物は、体液、例えば血流中で加水分解により分割されて、活性化合物が放出される保護基を担持するか、または体液中で酸化もしくは還元されて、化合物が放出される。「プロドラッグ」という用語は、このような官能基、例えば式Iの化合物の酸性官能基に適用され得る。プロドラッグは、酸性基が、例えばエステルまたはアミドとして保護された構造から構成され得る。プロドラッグのさらなる例は、本明細書で議論される。参照により組み込まれる、Alexanderら(J.Med.Chem.1988,31,318)も参照のこと。プロドラッグの例としては、限定されないが、生体加水分解性部分、例えば、生体加水分解性アミド、生体加水分解性エステル、生体加水分解性カルバミン酸塩、生体加水分解性炭酸塩、および生体加水分解性リン酸塩の類似体などを含む化合物の誘導体および代謝産物が挙げられる。プロドラッグはまた、例えば、The Practice of Medicinal Chemistry(Camille Wermuth,ed.,1999,Academic Press(これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。特定の実施形態では、カルボキシル官能基を有する化合物のプロドラッグは、カルボン酸の低級アルキルエステルである。カルボン酸エステルは、好都合には、分子に存在するカルボン酸部分のいずれかをエステル化することにより形成される。プロドラッグは、典型的には、周知の方法、例えば、Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery 6thed.(Donald J.Abraham ed.,2001,Wiley)およびDesign
and Application of Prodrugs(H.Bundgaard
ed.,1985,Harwood Academic Publishers Gmfh(これはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)により記載されるものを使用して調製され得る。式Iの化合物の生体加水分解性部分は、(a)化合物の生物学的活性に干渉しないが、インビボで有利な特性、例えば取り込み、作用持続時間もしくは作用の発現をその化合物に付与し得るか;または(b)生物学的に不活性であり得るが、生物学的に活性な化合物にインビボで変換される。生体加水分解性エステルの例としては、限定されないが、低級アルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステルおよびコリンエステルが挙げられる。生体加水分解性アミドの例としては、限定されないが、低級アルキルアミド、α-アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミドおよびアルキルアミノアルキルカルボニルアミドが挙げられる。生体加水分解性カルバミン酸塩の例としては、限定されないが、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環および複素環式芳香族アミンおよびポリエーテルアミンが挙げられる。
【0422】
「塩」という用語は、当技術分野で周知の任意の適切な有機対イオンおよび無機対イオンに由来する塩を含み、例として、前述のアミノ酸の塩酸塩または臭化水素酸塩またはアルカリ塩または酸性塩が挙げられる。この用語は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、グリコール酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、マロン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ナフタレン-2スルホン酸および他の酸を含む無機酸または有機酸に由来する塩;ならびに例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムまたはテトラフルオロホウ酸塩を含む無機塩基または有機塩基に由来する塩を含むことが意図される。例示的な薬学的に許容され得る塩は、例えば、B
ergeら(J.Pharm.Sci.1977,66(1),1;ならびに米国特許第6,570,013号および米国特許第4,939,140号(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に見られる。薬学的に許容され得る塩はまた、化合物:酸の比がそれぞれ、2:1である半塩を包含することが意図される。例示的な半塩は、2つのカルボン酸基を含む酸、例えばリンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、グルタル酸、シュウ酸、アジピン酸およびクエン酸に由来する塩である。他の例示的な半塩は、硫酸などの二陽子鉱酸に由来する塩である。例示的な好ましい半塩としては、限定されないが、ヘミマレイン酸塩、ヘミフマル酸塩およびヘミコハク酸塩が挙げられる。
【0423】
「酸」という用語は、すべての薬学的に許容され得る無機酸または有機酸を企図する。無機酸としては、鉱酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば臭化水素酸および塩酸、硫酸、リン酸および硝酸が挙げられる。有機酸としては、すべての薬学的に許容され得る脂肪族、脂環式および芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸および脂肪酸が挙げられる。好ましい酸は、ハロゲン基もしくはヒドロキシル基で必要に応じて置換された直鎖もしくは分枝状飽和もしくは不飽和C-C20脂肪族カルボン酸、またはC-C12芳香族カルボン酸である。このような酸の例は、炭酸、ギ酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、吉草酸、アルファ-ヒドロキシ酸、例えばグリコール酸および乳酸、クロロ酢酸、安息香酸、メタンスルホン酸ならびにサリチル酸である。ジカルボン酸の例としては、シュウ酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸およびマレイン酸が挙げられる。トリカルボン酸の例は、クエン酸である。脂肪酸としては、4~24個の炭素原子を有するすべての薬学的に許容され得る飽和または不飽和脂肪族または芳香族カルボン酸が挙げられる。例としては、酪酸、イソ酪酸、sec-ブチル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびフェニルステリック酸が挙げられる。他の酸としては、グルコン酸、グリコヘプトン酸およびラクトビオン酸が挙げられる。
III.組成物
【0424】
化合物は、医薬組成物などの適切な組成物の形態で投与され得る。医薬組成物は生理学的に許容され得るものであり、典型的には、活性化合物および担体を含む。「担体」という用語は、化合物と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを指す。このような薬学的担体の非限定的な例としては、石油、動物、植物または合成起源のものを含む液体、例えば水および油、例えばピーナツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などが挙げられる。薬学的担体はまた、生理食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプン糊、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素などであり得る。加えて、補助剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤および着色剤が使用され得る。適切な薬学的担体の他の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Alfonso Gennaro ed.,Krieger Publishing Company(1997);Remington’s:The Science and Practice of Pharmacy,21stEd.(Lippincot,Williams&Wilkins(2005);Modern Pharmaceutics,vol.121(Gilbert Banker and Christopher Rhodes,CRC Press(2002)(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。特に、担体は、眼疾患、例えば白内障の処置のために、眼適用、例えば目への適用に適切であり得る。別の実施形態では、担体は、例えば早発性卵巣機能不全症(POI)の処置のために、膣投与のための坐薬を含み得る。
【0425】
組成物は、生理学的および/または薬学的に許容され得る所望の形態、例えばテーブル、カプセル、溶液、エマルジョン、懸濁液、ゲル、ゾルまたはコロイドであり得る。所望により、担体は、例えば、緩衝液、例えばアルカリ性緩衝液、例えばアンモニウム緩衝液
、酸性緩衝液、例えばエタン酸塩、クエン酸塩、乳酸、酢酸塩など、または両性イオン緩衝液、例えばグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンおよびフェニルアラニン、クレブスリンガー緩衝液、TRIS、MES、ADA、ACES、PIPES、MOPSO、塩化コラミン、MOPS、BES、TES、HEPES、DIPSO、MOBS、TAPSO、アセトアミドグリシン、TEA、POPSO、HEPPSO、EPS、HEPPS、トリシン、TRIZMA、グリシンアミド、グリシル-グリシン、HEPBS、ビシン、TAPS、AMPB、CHES、AMP、AMPSO、CAPSO、CAPSおよびCABSを含み得る。
【0426】
組成物が液体形態である実施形態では、担体は、限定されないが、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、脂質(例えば、トリグリセリド、植物油、リポソーム)およびそれらの組み合わせを含む溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により;例えば、液体ポリオールまたは脂質などの担体への分散による必要な粒子サイズの維持により;例えば、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤の使用により;またはこのような方法の組み合わせにより維持され得る。所望により、例えば、糖、塩化ナトリウムまたはそれらの組み合わせなどの張度調整剤が含められ得る。いくつかの実施形態では、組成物は等張性である。
【0427】
組成物はまた、さらなる成分、例えば許容され得る界面活性剤、共溶媒、皮膚軟化剤、pHおよび浸透圧を調整する薬剤、ならびに/または1つもしくはそれを超える成分の酸化を遅らせる抗酸化剤を含み得る。
【0428】
組成物は、任意の適切な経路による投与、例えば眼(眼周囲および硝子体内投与を含む)投与、経口投与、非経口投与、鼻腔内投与、経肛門投与、膣内投与、局所投与、皮下投与、静脈内投与、動脈内投与、くも膜下投与および腹腔内投与のために調製され得る。本明細書に開示される実施例に示されているように、アルドースレダクターゼ阻害剤の経口投与は、血液および組織(脳を含む)中のガラクチトールレベルを有効に低下させて正常化した。したがって、くも膜下投与は必要に応じたものであり、臨床医により選択され得るが(例えば、アルドースレダクターゼ阻害剤が中枢神経系浸透剤ではない場合)、アルドースレダクターゼ阻害剤をくも膜下投与しないことが一般に好ましい。眼投与では、組成物は、例えば、点滴薬、溶液、懸濁液、エマルジョン、軟膏、徐放性製剤、トローチ、エリキシル、シロップ、ウエハース、粉末またはそれらの組み合わせとして製剤化され得る。Gaudanaら、AAPS J.,12(3):348-360,2010を参照のこと。経口組成物は、食事の食品に直接組み込まれ得る。経口投与のための好ましい担体は、不活性希釈剤、食用担体またはそれらの組み合わせを含む。薬学的に許容され得る担体の例としては、例えば、水または生理食塩水、ポリマー、例えばポリエチレングリコール、炭水化物およびその誘導体、油、脂肪酸またはアルコールが挙げられ得る。例えば、洗剤などの界面活性剤もまた、製剤において使用するために適切である。界面活性剤の具体例としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルおよびビニルピロリドンのコポリマー、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトールまたはソルビタンのポリオキシエチレン化エステル;レシチンまたはカルボキシメチルセルロースナトリウム;またはアクリル誘導体、例えばメタクリレートなど、アニオン性界面活性剤、例えばアルカリ性ステアリン酸塩、特にステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムまたはステアリン酸アンモニウム;ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸トリエタノールアミン;アルキル硫酸塩、特にラウリル硫酸ナトリウムおよびセチル硫酸ナトリウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムまたはジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;または脂肪酸、特にココナッツオイルに由来するもの、カチオン性界面活性剤、例えば式NR’R”R’”R”“Y”の水溶性第4級アンモニウム塩(式中、Rラジカルは、必要に応じてヒドロキシル化された同一のまた
は異なる炭化水素ラジカルであり、Y’’は、強酸のアニオン、例えばハロゲン化物、硫酸およびスルホン酸アニオンである);使用され得るカチオン性界面活性剤の1つである臭化セチルトリメチルアンモニウム、NR’R’R”のアミン塩(式中、Rラジカルは、必要に応じてヒドロキシル化された同一のまたは異なる炭化水素ラジカルである);使用され得るカチオン性界面活性剤の1つであるオクタデシルアミン塩酸塩、非イオン界面活性剤、例えばソルビタンの必要に応じてポリオキシエチレン化されたエステル、特にポリソルベート80またはポリオキシエチレン化アルキルエーテル;ステアリン酸ポリエチレングリコール、ヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセリンエステル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸またはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー、両性界面活性剤、例えばベタインの置換ラウリル化合物が挙げられる。
【0429】
所望により、経口組成物は、1つまたはそれを超える結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、香味剤およびそれらの組み合わせを含み得る。特定の実施形態では、組成物は、以下:結合剤、例えばトラガカントゴム、アカシア、コーンスターチ、ゼラチンもしくはそれらの組み合わせなど;賦形剤、例えばリン酸二カルシウム、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムもしくはそれらの組み合わせなど;崩壊剤、例えばコーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸もしくはそれらの組み合わせなど;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム;甘味剤、例えばスクロース、ラクトース、サッカリンもしくはそれらの組み合わせなど;香味剤、例えばペパーミント、ウィンターグリーン油、チェリーフレーバー、オレンジフレーバー、または上記の2つもしくはそれを超えるものを含有するそれらの組み合わせの1つまたはそれよりも多くを含み得る。
【0430】
他の投与様式に適切なさらなる製剤としては、坐薬が挙げられる。また、滅菌注射溶液は、適切な溶媒を使用して調製され得る。一般に、分散液は、様々な滅菌アミノ酸成分を、基本分散媒および/または他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことにより調製される。任意の所望の投与様式のための適切な製剤化方法は、当技術分野で周知である(一般に、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18thEd.Mack Printing Company,1990を参照のこと)。
【0431】
典型的な薬学的に許容され得る組成物は、約0.01~約2wt%、例えば0.01~約1wt%または約0.05~約0.5wt%の範囲の濃度でAR阻害剤および/またはその薬学的に許容され得る塩を含有し得る。組成物は、溶液、懸濁液、軟膏またはカプセルなどとして製剤化され得る。医薬組成物は水溶液として調製され得、さらなる成分、例えば保存剤、緩衝液、等張化剤、抗酸化剤、安定剤、粘度調整成分などを含有し得る。他の同等の投与様式は、米国特許第4,939,140号に見られ得る。
【0432】
被験体に投与される場合、AR阻害剤および薬学的に許容され得る担体は滅菌のものであり得る。適切な薬学的担体はまた、賦形剤、例えばデンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、プロピレングリコール300、水、エタノール、ポリソルベート20などを含み得る。本組成物は、所望により、少量の湿潤剤もしくは乳化剤またはpH緩衝剤を含有し得る。
【0433】
本開示の医薬製剤は、薬学で周知の方法により調製される。必要に応じて、1つまたはそれを超える補助成分(例えば、緩衝液、香味剤、表面活性剤など)も添加される。担体の選択は、化合物の溶解度および化学的性質、選択された投与経路ならびに標準薬務によ
り決定される。
【0434】
いくつかの実施形態では、組成物は、単位剤形、例えば錠剤、カプセル、または単回投与バイアルである。適切な単位用量、すなわち治療有効量は、選択された化合物の投与が示される各条件について適切に設計された臨床試験中に決定され得、当然のことながら、所望の臨床エンドポイントに応じて変動するであろう。
【0435】
本開示の化合物および/または組成物はいずれも、化合物および/または組成物を含むキットで提供され得る。したがって、一実施形態では、本開示の化合物および/または組成物は、同じパッケージまたは別個のパッケージにおいて、担体と、必要に応じて、治療用途または予防用途のためにキットを使用するための説明書とを含むキットで提供される。
IV.併用療法
【0436】
本明細書に記載される方法は、AR阻害剤および1つまたはそれを超えるさらなる治療剤の投与を含む。さらなる治療剤は、AR阻害剤の前に、それと同時に、またはその後に投与され得るが、AR阻害剤およびさらなる治療剤の薬理学的活性の重複を提供する方法で投与され得る。さらなる治療剤は、例えば、第2のアルドースレダクターゼ阻害剤、抗酸化剤またはその両方であり得る。
【0437】
例えば、第2のアルドースレダクターゼは、例えば、米国特許第5,677,342号;米国特許第5,155,259号;米国特許第4,939,140号;米国特許出願公開第2006/0293265号;およびRoyら(Diabetes Research and Clinical Practice,10,Issue 1,91-97,1990;ならびにそこで引用されている参考文献(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている化合物であり得る。アルドースレダクターゼ阻害剤としては、例えば、米国特許第4,939,140号;米国特許第6,159,976号;および米国特許第6,570,013号に記載されている例えばゾポルレスタット、エパルレスタット、ラニレスタット、ベルベリンおよびソルビニルが挙げられる。好ましくは、第2のアルドースレダクターゼ阻害剤は、ポナルレスタット、エパルレスタット、ソルビニルまたはソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゾポルレスタット、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル、ベルベリンまたはSPR-210から選択される。
【0438】
投与され得る他の治療剤としては、例えば、コルチコステロイド、例えばプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾンまたはトリアムシナロンアセチニドまたは非コルチコステロイド抗炎症化合物、例えばイブプロフェンまたはフルビプロベンが挙げられる。同様に、ビタミンおよびミネラル、例えば亜鉛および微量栄養素が同時投与され得る。加えて、ケルセチン、ラベンデュスチンA、エルブスタチンおよびハービマイシンAのような天然タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、ならびにチルホスチンのような合成タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤を含むタンパク質チロシンキナーゼ経路の阻害剤(例えば、AG490、AG17、AG213(RG50864)、AG18、AG82、AG494、AG825、AG879、AG1112、AG1296、AG1478、AG126、RG13022、RG14620およびAG555)、ジヒドロキシ-およびジメトキシベンジリデンマロノニトリル、ラベンデュスチンAの類似体(例えば、AG814およびAG957)、キナゾリン(例えば、AG1478)、4,5-ジアニリノフタルイミドおよびチアゾリジンジオンは、ゲニステインまたはその類似体、プロドラッグもしくは薬学的に許容され得る塩と同時投与され得る(Levitzkiら、Science 267:1782-1788(1995);およびCunninghamら、Anti-
Cancer Drug Design 7:365-384(1992)を参照のこと)。これに関して、ゲニステインの潜在的に有用な誘導体としては、Mazurekらの米国特許第5,637,703号に記載されているものが挙げられる。セレノインドール(2-チオインドール)および関連ジスルフィドセレニド、例えばDobrusinらの米国特許第5,464,961号に記載されているものは、有用なタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤である。成長因子に対する中和タンパク質、例えば所定の成長因子、例えばVEGF(例えば、Aielloら、PNAS USA 92:10457-10461(1995)を参照のこと)またはホスホチロシン(Dharら、Mol.Pharmacol.37:519-525(1990))に特異的なモノクローナル抗体が同時投与され得る。同時投与され得る他の様々な化合物としては、プロテインキナーゼCの阻害剤(例えば、米国特許第5,719,175号および米国特許第5,710,145号を参照のこと)、サイトカインモジュレーター、増殖の内皮細胞特異的阻害剤、例えばトロンボスポンジン、内皮細胞特異的阻害成長因子、例えばTNFα、抗増殖性ペプチド、例えばSPARCおよびプロフェリン様ペプチド、グルタミン酸受容体アンタゴニスト、アミノグアニジン、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、例えばアンジオテンシンII、カルシウムチャネル遮断薬、y-テクトリゲニン、ST638、ソマトスタチン類似体、例えばSMS 201-995、モノシアロガングリオシドGM1、チクロピジン、神経栄養成長因子、メチル-2,5-ジヒドロキシシンナメート、血管新生阻害剤、例えば組換えEPO、スルホニル尿素経口血糖降下剤、例えばグリクラジド(インスリン非依存性糖尿病)、ST638(Asahiら、FEBS Letter 309:10-14(1992))、サリドマイド、ニカルジピン塩酸塩、アスピリン、ピセアタンノール、スタウロスポリン、アドリアマイシン、エピデルスタチン、(+)-アエロプリシニン-1、フェナゾシン、ハロメチルケトン、抗脂血剤、例えばエトフィブラート、クロルプロマジン、スピンゴシンおよびレチノイン酸およびそれらの類似体(Burkeら、Drugs of the Future 17(2):119-131(1992);およびTomlinsonら、Pharmac.Ther.54:151-194(1992))が挙げられる。
V.診断用途
【0439】
本開示はさらに、ガラクトース血症に関連する1つまたはそれを超えるバイオマーカーを測定することにより、被験体におけるガラクトース血症の発症リスクを診断または予知することに関する。一実施形態では、ガラクトース血症に関連するバイオマーカーは、被験体から得られた生物学的サンプル中のガラクチトールレベルの増加である。診断は、例えば、生物学的サンプル、例えば眼の房水または硝子体液、血液組織、脳脊髄液、尿などの中の糖代謝産物、例えばガラクトース(例えば、ガラクチトール)および/またはグルコース(例えば、ソルビトール)の代謝産物のレベルの上昇を検出することにより実施され得る。
【0440】
表1および2は、古典的なガラクトース血症(GALT欠損症)または重度のGALK欠損症を有する被験体の血漿(または全血)、赤血球および/または尿サンプル中のガラクトースおよびその代謝産物の濃度を示す。
【0441】
本開示はさらに、ガラクトース血症の複合的な診断および治療介入のための方法であって、被験体から得られたサンプル中の1つまたはそれを超えるバイオマーカーの検出により、ガラクトース血症の診断を前述のように行う方法に関する。診断の結果に基づいて、被験体がガラクトース血症を有すると決定されるか、またはガラクトース血症を発症するリスクがあるとみなされる場合、アルドースレダクターゼ阻害剤(ARI)を含む組成物が被験体に投与される。好ましくは、ARIは、本開示の化合物または本開示の化合物を含む組成物を含む。
【0442】
特定の実施形態では、本開示は、ガラクトース血症を処置するための方法であって、血漿ガラクチトール濃度の上昇(例えば、>10μMのガラクチトール)および/または尿中ガラクチトールレベルの上昇(例えば、クレアチン1mol当たり>100mmolのガラクチトール)を検出することにより、ガラクトース血症について被験体を診断すること;ならびにそれを必要とするガラクトース血症被験体に、アルドースレダクターゼ活性を阻害する治療有効量の組成物を投与することを含む方法を提供する。別の実施形態では、診断工程は、遺伝子検査、例えば、ルロワール経路に関与する酵素(例えば、GALT、GALK、GALEなど)の1つまたはそれを超える突然変異を検出することをさらに含み得る。さらに別の実施形態では、診断工程は、検出可能な基質を使用して酵素アッセイ、例えば、GALT、GALKおよび/またはGALE活性のアッセイ(これらの産物は、通常の方法、例えばHPLCまたは質量分析を使用して検出され得る)を行うことをさらに含み得る(Koら、Clinical Chemistry 56:5 764-771,2010)。
【0443】
本開示はさらに、ガラクトース血症により引き起こされるかまたはそれに関連する疾患状態および/または症状を処置する方法における、式I~VIの化合物またはそれらの薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグの使用を提供する。別の実施形態では、本開示は、ガラクトース血症により引き起こされるかまたはそれに関連する疾患状態および/または症状を処置する方法であって、(a)このような処置を必要とする被験体を特定する工程;(b)式I~VIの化合物またはそれらの薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグを提供する工程;ならびに(c)治療有効量で式I~VIの前記化合物を投与して、このような処置を必要とする被験体における疾患状態または症状を処置、抑制および/または予防する工程を含む方法における、式I~VIの化合物またはそれらの薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグの使用に関する。
【0444】
別の実施形態では、本開示は、ガラクトース血症により引き起こされるかまたはそれに関連する疾患状態および/または症状を処置する方法であって、(a)このような処置を必要とする被験体を特定する工程;(ii)式I~VIの化合物またはそれらの薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグまたは互変異性体を含む組成物を提供する工程;ならびに(iii)治療有効量で前記組成物を投与して、このような処置を必要とする被験体における疾患状態または症状を処置、抑制および/または予防する工程を含む方法における、式I~VIの化合物またはそれらの薬学的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグの使用に関する。
【0445】
前述の実施形態では、化合物または組成物は、好ましくは、経口的に使用される。
【実施例
【0446】
本明細書に記載される構造、材料、組成物および方法は、本開示の代表的な実施例であることを意図しており、本開示の範囲は、実施例の範囲により限定されないと理解されよう。当業者は、開示される構造、材料、組成物および方法の変形物を用いて本開示を実施し得、このような変形物が本開示の範囲内であるとみなされると認識するであろう。
【0447】
遺伝的改変(GALTヌル)によるGALT活性障害を有するラットを、ガラクトース血症のモデルとして使用した。このラットモデルは、いくつかの重要な点においてヒトの古典的なガラクトース血症を反映する。ラットは、ガラクトースへの曝露後の白内障、成長異常および神経学的/認知的な異常を含む身体的特徴(これは、ヒト患者における異常を反映し、定量可能である)を発症する。ラットはまた、血液および組織中のガラクチトールおよびGal1)を含むガラクトースおよびガラクトース代謝産物のレベルの上昇を含む、ヒト疾患を反映する生化学的特徴を有する。
【0448】
1つまたはそれを超えるアルドースレダクターゼ阻害剤(ARI)を含有する食餌をラットに給餌し、組織レベルおよびさらにはインビトロレベルでAR阻害の効果を分析する。例えば、本明細書に開示されるARIによる処置前および処置後に、GALT欠損ラットの眼のガラクチトールレベルを測定し得る。あるいはまたは加えて、ガラクトース血症の頻度および重症度の減少ならびに/または疾患の転帰の改善(例えば、視覚能力、運動能力または記憶能力の改善)におけるARIの効果を、通常な方法を使用して測定する。実施例1
【0449】
研究を行って、古典的なガラクトース血症のラットモデル(GALTヌルラット)におけるアルドースレダクターゼ阻害剤(ARI)(化合物Aまたは化合物B)の効果を試験した。母乳に曝露したGALTヌルラットの成長、白内障の形成ならびに肝臓および脳および循環中の代謝産物レベル(ガラクトースおよびガラクチトール)を含む、ガラクトース血症の重要な側面に対するアルドースレダクターゼ阻害剤処置の効果を分析した。
【0450】
【化80】
方法論
【0451】
遺伝モデル:ヘテロ接合体交配からラットを作製した(古典的なガラクトース血症を示すヘテロ接合M3 GALTヌル系統)。野生型(WT、+/+)およびヘテロ接合ラット(+/M3)は正常レベルのGALTを発現するのに対して、M3ホモ接合体(M3/M3)は、検出可能なレベルでGALTを発現せず、肝臓および脳において異常に高いレベルのガラクトースおよびガラクチトールを示す。
【0452】
薬物およびプラセボの適用:新生仔に薬物を投与するために使用したビヒクルは、製造業者の指示(157.5mgの粉末を1mlの脱イオン水に添加し、使用前に十分に混合する)にしたがって調製したGerber Good Start Birth-12 Months大豆調合乳であった。粉末から液体調合乳を新たに毎日調製し、使用まで4℃で保存した。液体調合乳のみ(薬物粉末を添加せず)はプラセボ対照としての役割を果たした。
【0453】
Gerber調合乳に懸濁したアルドースレダクターゼ阻害剤(化合物Aまたは化合物B)を、各投与について1mg阻害剤/グラム仔体重(=1000mg/kg)で約12時間間隔(BID)で経口投与した。使用前に、薬物を、アルミホイルでラッピングしたボトルまたはチューブに-20℃で保存した。各給餌の直前に、薬物のアリコートを調合乳に再懸濁し、十分に混合し、個々のチューブにピペッティングして、仔に給餌した(容量は、その朝に測定した仔の体重にしたがって計算した)。給餌の直前に、調合乳のすべてのプラセボおよび薬物チューブを37℃に加温した。
【0454】
シリンジおよびチューブを使用して、プラセボおよび薬物を手で仔に給餌した。また、
薬物を投与した仔には、薬物給餌の直後にチューブおよびシリンジを洗浄するために使用したさらなる少量のGerber調合乳を給餌した。摂食を促すために、仔を母親から引き離し(授乳を防止するため)、各給餌の前に35~37℃の加湿インキュベーター内の寝床で約2時間維持した。別々のシリンジをプラセボおよび薬物に使用した。給餌中、仔をフリースに包み、それぞれ約2~5分間続けた。
【0455】
成長の追跡:各仔を毎日計量することにより、成長を追跡した(グラム単位)。
【0456】
白内障の追跡/定量:研究の第1部では、盲検化評価者が、3点スケールで白内障を視覚的にスコア化し、0は白内障が存在せず(非存在)、1は軽度であり、2は中程度であり、3は重度の白内障が存在する。研究の第2部では、安楽死後に目を切開し、デジタルカメラにより撮影し、ソフトウェアにより白内障を定量した
【0457】
遺伝子型の決定:生後5~8日にすべての仔から収集した尾の断片から単離したDNAを使用して、Transnetyxにより、仔のGALT遺伝子型(M3/M3対M3/+対+/+)を決定した。安楽死後に仔から採取した肝臓サンプルにおいて測定したGALT酵素活性により、代表的な仔における遺伝子型を確認した。試験したすべてのサンプルにおいて、観察されたGALT活性はGALT遺伝子型と一致していた。
【0458】
仔の安楽死:標準的な手順にしたがってCO吸入により、仔を安楽死させた。
【0459】
酵素アッセイ:以前に記載されているように(Sandersら、Dis Model
Mech.,3(9-10):628-38,2010)、肝臓の凍結サンプルから調製した溶解物を使用して、ガラクトース-1-Pウリジルトランスフェラーゼ(GALT)およびガラクトキナーゼ(GALK)アッセイを実施した。サンプルの完全性の対照として、GALKアッセイを実施した。10mlの100mMグリシン、pH8.7に溶解させた1つの完全ミニプロテアーゼ阻害剤カクテルタブレット、EDTAフリー(Roche,REF 04 693 159 001)からなる100μlの溶解緩衝液中で肝臓の小片(10~50mg)をホモジナイズすることにより、溶解物を調製した。溶解物を4℃、16,110×gで5分間遠心分離し、得られた上清をMICRO BIO-SPIN P-6クロマトグラフィーカラム(Bio-Rad,Inc.)に通して、小分子を除去した。標準としてBSAを用いるBIO-RAD DCタンパク質アッセイを使用して、各サンプルについてタンパク質濃度を決定した。反応ごとに4μgの総タンパク質を使用して、GALTおよびGALKアッセイを実行した。以前に記載されているように(Ross,2004)、HPLCにより基質および生成物を定量した。
【0460】
代謝産物:以下のように、代謝産物分析のための溶解物を調製した:予め凍結した肝臓または脳の50~100mgの小片を、125μlの氷冷HPLCグレード水中で、テフロン(登録商標)マイクロペッスルおよびハンドヘルドマイクロペッスルモーター(Kimble Chase Life Science and Research Products LLC)を使用して30秒間粉砕することによりホモジナイズした。代謝産物を分離し、HPLCにより定量した(例えば、Daenzerら、Dis.Model
Mech.2016,9(11):1375-1382)を参照のこと)。(Daenzer,2016)によりガラクトースを定量するために記載されているのと同じHPLC条件を使用して、ガラクチトール、イノシトールおよびグルコースを定量した。そのサンプルの関連カラムおよび溶出ランにより検出された総ピーク面積から、ホモ接合M3/M3サンプルを対照と最も区別したピークを差し引いたものに対して、代謝産物レベルを正規化した。具体的には、総ピーク面積からガラクトースおよびガラクチトールを差し引いたものに対して、MA1カラムで分離した代謝産物(ガラクチトール、イノシトール、ガラクトースおよびグルコース)を正規化し、総ピーク面積からガラクトースおよびガラ
クトース-1Pを差し引いたものに対して、PA10カラムで分離した代謝産物(ガラクトース-1P)を正規化した。
結果
【0461】
生存期間からの観察:薬物を含む調合乳は調合乳のみよりも粘度がわずかに「濃かった」が、仔は、明らかに拒絶せずに両方を消費した。
【0462】
成長:仔を毎朝計量し、質量をグラム単位で記録した。体重が増加し続けた仔の質量は、図1に示されている。示されているように、ホモ接合GALTヌル仔の体重は、それらの野生型およびヘテロ接合GALT+同腹仔に遅れる傾向があったが、差異はわずかであった。他の研究では、生後3週目以後に遅延がより顕著になり、統計的に有意になることが実証された。
【0463】
図1に示されているデータは、薬物処置がホモ接合体における成長遅延を軽減または予防し得ることを示している。
【0464】
白内障:白内障は、ラットモデルにおけるGALTヌル状態に関連する最も明らかな目に見える表現型である。生後14日目にラットは目を開き、両側性白内障が存在する。注目すべきことに、古典的なガラクトース血症を有する幼児であって、食事由来のガラクトース(例えば、母乳)に曝露された幼児もまた、両側性白内障を発症する。GALTヌルラットモデルでは、治療介入の非存在下では、白内障は、すべてのM3/M3ホモ接合仔において見られるが、M3/+仔または+/+仔では見られない。初期研究では、生後9日目に化合物Aまたはプラセボで処置したGALTヌルラットにおいて、白内障を定性的に評価した。定性的評価は0~3のスケールであり、0は白内障の非存在を示し、3は重度の白内障を示す。図2Aに示されているように、プラセボで処置したGALTヌルラットは、生後9日目までに重度の白内障を発症した。対照的に、化合物Aで処置したGALTヌルラットは、白内障を有していなかった。1,000mg/kgまたは250mg/kgの化合物Aでラットを1日2回処置し、目をデジタル写真撮影し、白内障を定量する追跡研究を実施した。両研究において、化合物Aは白内障を減少させた。
【0465】
化合物Bを使用してさらなる研究を行い、生後22日目に白内障を評価した。0~3のスケールによる定性的評価は、この研究では、プラセボで処置したGALTヌルラットは白内障を発症し、平均重症度は1.5であったが、化合物Bで処置した野生型ラットおよびGALTヌルラットは白内障を有していなかったことを示している(図2D)。デジタル定量分析により同じ結果が得られ、化合物Bで処置したGALTヌルラットは、野生型ラットと同じスコアを有していたが、プラセボで処置したGALTヌルラットは、白内障を示すより高いスコアを有していた(図2B)。
【0466】
GALTヌルラットは、生後14日目に目を開く際に白内障を有するので、アルドースレダクターゼ阻害剤による新生ラットの処置は、出生後の白内障の形成を予防し、および/または子宮内で形成される白内障を減少させることが可能である。化合物Bを使用したさらなる研究により、アルドースレダクターゼ阻害剤は、既に形成された白内障を軽減し得るという証拠が得られた。この研究では、生後10日目および22日目に、白内障を評価した。図2Cおよび図2Dに示されているように、10日目および22日目において、プラセボで処置したGALTヌルラットは白内障を有していた。しかしながら、10日目において、化合物Bで処置したGALTヌルラットは白内障を有していたが、22日目において、白内障は存在していなかった。データは、アルドースレダクターゼ阻害剤による処置が白内障を軽減および解消し得ることを実証している。
【0467】
代謝産物:安楽死させた仔由来の肝臓および脳の両方のサンプルにおいて、HPLCに
より、ガラクトースおよびガラクチトール代謝産物を分離および定量した。化合物Aによる処置は、プラセボと比較して、9日目において、GALTヌルラットにおける肝臓ガラクチトールレベルを87%減少させ、15~18日目において57%減少させた。化合物Aによる処置は、プラセボと比較して、9日目において、GALTヌルラットにおける脳ガラクチトールレベルを40%減少させ、15~18日目において57%減少させた。化合物Bを使用して処置したラットにおいてさらなる研究を行い、生後10日目にガラクトースおよびガラクチトールレベルを測定した。この研究の結果により、GALTヌルラットは、肝臓、脳および血漿において、野生型ラットと比較して上昇したレベルのガラクチトールを有していたことが示された。化合物Bによる処置は、GALTヌルラットにおけるガラクチトールレベルを正常またはほぼ正常レベルまで減少させた(図3A)。GALTヌルラットはまた、野生型ラットと比べて上昇したガラクトースおよびGal1Pレベルを有していた。化合物Bによる処置は、GALTヌルラットにおけるガラクトースまたはGal1Pレベルをさらに増加させなかった(図3Bおよび図3C)。データは、アルドースレダクターゼ阻害剤が、罹患動物におけるガラクチトールレベルを減少させて正常化し得るが、ガラクトースおよびGal1Pレベルをさらに上昇させないことを実証している。
結論および考察
【0468】
この研究では、GALTヌル仔ラットにおける成長、白内障形成およびガラクチトール蓄積に対するアルドースレダクターゼ阻害剤曝露(化合物Aまたは化合物B)の効果を調べた。予想どおり、母乳曝露GALTヌル動物は、肝臓および脳の両方において、GALT+ヘテロ接合体または野生型動物と比べて劇的に上昇したガラクトースおよびガラクチトールを蓄積した。アルドースレダクターゼ阻害剤による処置は、脳、肝臓および血液(血漿)中のガラクチトールを有意に低下させた。アルドースレダクターゼ阻害剤による処置は白内障に対しても劇的な効果を有しており、アルドースレダクターゼ阻害剤は、白内障がもはや存在しない程度まで既存の白内障を軽減し得ることを実証している。これらのデータは、アルドースレダクターゼ阻害剤を投与して、ガラクトース血症を有効に処置し得ることを実証している。
実施例2
【0469】
この研究では、プラセボまたはアルドースレダクターゼ阻害剤で処置したGALTヌルラットおよび正常対照ラットにおいて、ガラクトース血症に関連する長期の認知的および神経学的な機能不全を研究する。実質的に実施例1に記載されているようにアルドースレダクターゼ阻害剤を投与し、バランス、運動制御および学習を評価するためのロータロッド試験を使用して、ならびに認知および記憶を評価するための新規物体認識試験を使用して、中枢神経系転帰について、ラットを評価する。これらの試験では、GALTヌルラットは、野生型ラットと比較して変化した反応を示す。データは、アルドースレダクターゼ阻害剤による処置が、GALTヌルラットの認知的および神経学的な機能不全を減少させ、GALTヌルラットの一部または全部の反応が、野生型ラットにおいて観察された反応まで正常化されたことを示している。
実施例3
【0470】
新生児は、新生児検査により古典的なガラクトース血症と診断され、上昇した血中ガラクトースおよびガラクチトールレベルを示す。早急に、子供は、ガラクトースおよびラクトース制限食に置かれる。血中ガラクトースおよび/またはガラクチトールレベルを正常化するために、アルドースレダクターゼ阻害剤(例えば、化合物Aまたは化合物B)による治療は、臨床医により選択された用量で開始される。処置は、血中ガラクチトールレベルの減少および最終的な正常化をもたらす。子供は治療を無期限に継続し、定期的な検査により、血中ガラクチトールレベルが正常であることを確認する。必要な場合には、投与を調整して、正常な血中ガラクチトールレベルを維持する。子供は、年を取るにつれて、
成長遅延、言語遅滞、学習障害、運動失調または初老性白内障を示さない。
実施例4
【0471】
ガラクトース血症を有する成人患者は、運動失調、痙縮および平衡障害を示す。血中ガラクトースおよび/またはガラクチトールレベルを正常化するために、アルドースレダクターゼ阻害剤(例えば、化合物Aまたは化合物B)による治療は、臨床医により選択された用量で開始される。処置は、血中ガラクチトールレベルの減少および最終的な正常化をもたらす。ガラクチトールレベルが正常化するにつれて、患者は、運動失調および痙縮の減少ならびにバランスの改善を示す。必要な場合には、投与を調整して、正常な血中ガラクチトールレベルならびに患者の運動制御およびバランスの改善を維持する。
【0472】
特に定義がない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はすべて、本開示が属する分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0473】
本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料を本開示の実施または試験に使用し得るが、適切な方法および材料は前述の段落に記載されている。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定的であることを意図しない。本明細書で引用される米国特許および公開または未公開米国特許出願はすべて、参照により組み込まれる。本明細書で引用される公開外国特許および特許出願はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で引用される公開参考文献、文書、原稿、科学文献はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で参照される科学データベース(例えば、PUBMED、NCBI、GENBANK、EBI)に関する識別子およびアクセッション番号はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。
【0474】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
ガラクトース血症を処置するかまたはガラクトース血症に関連する合併症を予防する方法であって、それを必要とする被験体に治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤を投与することを含む、方法。
(項2)
ガラクトース血症を有する被験体におけるガラクチトールの量またはレベルを減少させる方法であって、前記被験体に治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤を投与することを含む、方法。
(項3)
白内障を処置するための方法であって、それを必要とする被験体に治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤を投与することを含む、方法。
(項4)
前記それを必要とする被験体がガラクトース血症を有する、上記項3に記載の方法。
(項5)
ガラクトース血症に関連する認知的または神経学的な機能不全を処置または予防するための方法であって、ガラクトース血症を有する被験体に治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤を投与することを含む、方法。
(項6)
ガラクトース血症に関連する前記認知的または神経学的な機能不全が発話機能障害である、上記項5に記載の方法。
(項7)
ガラクトース血症に関連する前記認知的または神経学的な機能不全が運動失調である、上記項5に記載の方法。
(項8)
ガラクトース血症に関連する前記認知的または神経学的な機能不全が認知機能障害である、上記項5に記載の方法。
(項9)
ガラクトース血症に関連する前記認知的または神経学的な機能不全が偽脳腫瘍である、上記項5に記載の方法。
(項10)
ガラクトース血症に関連する前記認知的または神経学的な機能不全が痙攣である、上記項5に記載の方法。
(項11)
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が式I~VIのいずれか1つの化合物またはそれらの塩である、上記項1~10のいずれか一項に記載の方法。
(項12)
前記アルドースレダクターゼ阻害剤がゾポルレスタットもしくはその塩またはエパルレスタットもしくはその塩である、上記項1~10のいずれか一項に記載の方法。
(項13)
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が式(II)の化合物またはその塩である、上記項1~10のいずれか一項に記載の方法。
(項14)
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、以下
【化81】

またはそれらの塩から選択される、上記項13に記載の方法。
(項15)
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が式IIIの化合物である、上記項1~10のいずれか一項に記載の方法。
(項16)
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、以下
【化82】

またはそれらの塩から選択される、上記項15に記載の方法。
(項17)
前記被験体がヒトである、上記項1~16のいずれか一項に記載の方法。
(項18)
前記ガラクトース血症が、血液、尿または眼内液中のアルジトールレベルの増加として前記被験体において現れる、上記項1~17のいずれか一項に記載の方法。
(項19)
前記アルジトールがガラクチトール、ミオイノシトールまたはソルビトールである、上記項18に記載の方法。
(項20)
前記ガラクトース血症が、肝硬変、網膜障害、黄斑浮腫、目の白内障、卵巣機能障害、筋肉または神経の機能障害、網膜症、ニューロパチー、神経伝導障害または精神遅滞の増加として前記被験体において現れる、上記項1~19のいずれか一項に記載の方法。
(項21)
前記ガラクトース血症がI型ガラクトース血症(GALT欠損症)である、上記項1~20のいずれか一項に記載の方法。
(項22)
前記ガラクトース血症がII型ガラクトース血症(GALK欠損症)である、上記項1~20のいずれか一項に記載の方法。
(項23)
前記ガラクトース血症がIII型ガラクトース血症(GALE欠損症)である、上記項1~10のいずれか一項に記載の方法。
(項24)
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が化合物Aまたはその塩である、前述の上記項のいずれか一項に記載の方法。
(項25)
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が化合物Bまたはその塩である、前述の上記項のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図3-1】
図3-2】
図3-3】