(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】インプラント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/86 20130101AFI20240820BHJP
A61F 2/844 20130101ALI20240820BHJP
A61F 2/04 20130101ALI20240820BHJP
【FI】
A61F2/86
A61F2/844
A61F2/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022199329
(22)【出願日】2022-12-14
【審査請求日】2023-02-07
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510320416
【氏名又は名称】オリンパス・ウィンター・アンド・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ヴォスニツア
(72)【発明者】
【氏名】トルシュテン・ユルゲンス
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング・シュヴァインバーガー
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0059704(US,A1)
【文献】特表2020-528790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/86
A61F 2/844
A61F 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿道の組織に、少なくとも2本のワイヤ(12)
の遠位端どうしがアーチ状に接続されたワイヤ構造(11)で局所的な阻血圧力を加えることによって、ヒトの尿路を治療するためのインプラント(10、20)、具体的には、抜去可能なインプラント(10、20)であって、
折り畳み状態で遠位端(19)を先頭にして尿道に挿入可能であり、前記尿道で拡張して組織の治療のために前記ワイヤ構造(11)になり、
前記インプラント(10,20)は、前記尿道において、治療中に前記インプラント(10,20)をアンカー留めまたは固定するためのアンカー留めクランプ(17)を有し、
組織を緊縛または切開する少なくとも1つの更なる手段が、ヒトの中葉に局所的な阻血圧力をかけるように前記ワイヤ構造(11)上に位置決めされ
、
前記手段は、前記ワイヤ構造(11)からさらに遠位方向へ延びて自由端を有する形状記憶材料のワイヤ(18)であり、
前記ワイヤ(18)は、少なくとも部分的に曲がっており、前記曲がったワイヤ(18)が中葉の周りに巻き付くことができるように前記インプラント(10、20)の長軸に対して凸状に湾曲している、
インプラント(10、20)。
【請求項2】
前記ワイヤ(18)は、前記インプラント(10、20)に対する折り畳み状態で尿道に挿入可能であり、前記尿道において、前記ワイヤ構造(11)と所定の角度を形成するように拡張することを特徴とする、請求項1に記載のインプラント(10、20)。
【請求項3】
前記ワイヤ(18)は、前記ワイヤ構造(11)のワイヤ(12)とインターレース加工されていることを特徴とする、請求項1に記載のインプラント(10、20)。
【請求項4】
前記ワイヤ構造(11)に更なるワイヤ(22)が配置されており、そのワイヤ(22)は、治療中に中葉を押し上げるように方向付けられていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のインプラント(10、20)。
【請求項5】
全てのワイヤ(12)は、前記インプラント(10、20)の近位端(14)あるいは圧着点に集められており、前記ワイヤ(12)は、前記近位端(14)あるいは前記圧着点に固定されるかまたは尿道を通して外向きに案内されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のインプラント(10、20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の包括的な用語によるインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
尿路、特に、良性前立腺肥大(BPH:benign prostatic hyperplasia)の治療のための様々な方法または技術が知られている。BPH症状の低侵襲性治療、特に、身体温存治療において、尿道にまたは患者の尿道の前立腺部分に、抜去可能なインプラントが一時的に配置される。このようなインプラントは、ニチノールなどの形状記憶合金製のワイヤ構造である。ワイヤ構造は、つぶされた状態で、カテーテルによって適切な位置に押し込まれ、そこで、拡張してその所定の基本構造になる。その構造は、3本または4本のワイヤから形成可能であり、バスケット構造である。そのバスケット構造は尿道を押し広げる。尿道の組織に対してワイヤ構造が広がることで数日のうちに尿道の組織を変性させる。組織のそのような変性は、組織の細胞への個々のワイヤの阻血圧力によって起こり、血流が減少するかまたは完全に不足する。その結果、血流の不足によって、細胞の酸素が欠乏し、最後には細胞が死滅する。数日以内に、尿流がほぼ正常に戻る程度まで組織を減らすことができる。この治療の完了後に、カテーテルによって尿道からインプラントを取り出すことができる。
【0003】
上述の技術によって、尿道の組織を非常に有効に治療することができる。前立腺の腫脹により、中葉(lobus medius、medial lobe)が膀胱内部の奥まで膨らむ恐れもある。中葉のこのような突出だけではなく、起こり得る中葉の腫脹によっても、膀胱下尿道が変位することが考えられる。しかし、中葉の突出および腫脹の少なくとも一方による膀胱下尿道のこのような変位は、前立腺の腫脹とは関係なく起こることもある。膀胱下尿道閉塞を避けることは、医学的理由から重要である。しかし、そのための公知の方法および技術はやや複雑であり、患者に外傷を与える。上述の技術も、尿路を適切に治療するためには十分ではない。
【発明の概要】
【0004】
そのことを基準として、本発明は、単純かつ確実に尿路を治療できるインプラントを作り出すという課題に基づいている。
【0005】
その課題の解決策は、請求項1の特徴部に記載されている。したがって、インプラント、具体的には、少なくとも2本のワイヤを有するワイヤ構造から構成された、抜去可能なインプラントが、折り畳み状態で遠位端を先頭にして患者の尿道に挿入可能であることが提供される。尿道内において、ワイヤ構造は組織を治療するために展開される。周囲の組織へのワイヤの阻血圧力が上述の変性を引き起こす。本発明は、ワイヤ構造上に位置決めされた、組織を血流遮断または切開する少なくとも1つの更なる手段を提供する。この少なくとも1つの更なる手段は、インプラントの展開状態で、中葉に局所的な阻血圧力をかけるように設計されている。このように、更なる手段によって、尿道組織の治療に加えて、中葉も治療される。治療の終了時に、中葉の組織は継続的な圧力によって変性されている。組織の変性により、更なる尿流のために空間が与えられる。この更なる手段がBPH症状の治療のためのワイヤ構造上に配置されるということで、尿路を特に有効、単純、かつ穏やかな方法で治療することが可能になる。
【0006】
好ましくは、本発明は、血流遮断するかまたは切り込む手段が形状記憶材料のワイヤまたは糸であることを提供する。ニチノールなどの形状記憶材料の使用は、その手段の形状またはワイヤ構造に対するその手段の相対的な向きをあらかじめ定めることができるため、特に有利である。したがって、カテーテルを通して身体に挿入した後で、インプラントは拡張して所定の初期構造に戻る。その初期構造は、所与の解剖学的状況に最適に適合されており、そのため、特に有効な組織の治療を実現することができる。
【0007】
糸の使用は、技術的に特に単純であり廉価である。例えば、糸は、組織の周りでどのような形状にも結ぶことができ、治療が完了した後で再び抜去することができる。さらに、単純な糸は特に省スペースであり、そのことは、低侵襲性の治療に特に関係がある。
【0008】
具体的には、本発明はさらに、ワイヤが、インプラントに対する折り畳み状態で尿道に挿入可能であり、尿道において、ワイヤ構造との間に所定の角度を形成するように拡張することを提供する。その角度は、インプラントが尿道だけでなく中葉にも到達するようになっている。さらに、その角度は、機械的プレテンション下でワイヤが中葉の組織を押圧するようになっている。ワイヤ構造に対するワイヤの横方向の向きはこのようにして決定することもできる。付加的なワイヤがワイヤ構造と同じ長軸上を延びる場合に特に有利であることが証明されている。このような相対的な向きにより、インプラントを非常に精密に位置決めし、治療後に抜去するかまたはカテーテル中に引き入れることが可能になる。
【0009】
好ましくは、血流遮断するかまたは切り込む手段、具体的には、ワイヤまたは糸が、ワイヤ構造のワイヤとインターレース加工されていることがさらに考えられる。このようにワイヤまたは糸をワイヤ構造と編み合わせることによって、十分に頑強な接続を行うことができる。さらに、このように、更なる手段をワイヤ構造に接続するための更なる締結手段は必要ない。このような編み合わせによって、更なる手段は、ワイヤ構造と連成運動(motion-coupled)し、そうすることで、既定の尿道ならびに中葉の組合せ治療を実現することができる。
【0010】
本発明によれば、ワイヤが少なくとも部分的に曲がっており、曲がったワイヤが中葉の周りに巻き付くことができるようにインプラントの長軸に対して凸状に曲がっていることがさらに考えられる。記載したワイヤ形状により、ワイヤはその全長に沿って中葉に圧力をかけることが可能になる。そのことから、組織の治療または変性を非常に有効に行うことが可能になる。凸形状のおかげで組織にプレテンションもかけられるため、この形状によって、組織を切ることは特に有効に実行することもできる。
【0011】
本発明の更なる有利な実施形態は、糸がループとして形成されており、そのループがセントラルフラップ(central flap)の周りに配置可能であることを提供し得る。中葉の組織に糸の圧力を加えることによって、上述の組織の変性が起こり、それゆえ、中葉のサイズが小さくなる。糸は、非常に柔軟であるため、非常に効果的に中葉の形状に適合することができる。ループのサイズを変更することによって、血管の必要な緊縛を達成することができる。直径を大きくすることによって、セントラルフラップを再び解放することができ、ループまたは糸は抜去される。
【0012】
さらに、本発明によれば、ループの一端はインプラントに堅固に接続されており、他端はインプラントの近位端に未接続で案内されており、ループの直径のサイズは、未接続の端部を引っ張ることによって変更でき、具体的には、未接続の端部は、治療中にワイヤ構造に着脱可能に固定できることが考えられる。その一端の固定接続は、例えば、絞り加工、接着または圧着によって行うことができる。未接続の端部は、手動でまたは補助的な機器によって移動させることができる。未接続の端部を引っ張るとループが締め付けられ、そうすることで、中葉に圧力が加えられる。未接続の端部を解放することによって、残渣を残さずにインプラントおよび縫合糸(suture)を尿路から抜去することができる。
【0013】
ワイヤ構造において糸を案内するためには、少なくとも1つまたは複数のスリーブがワイヤ構造に配置され、それらスリーブを通して、糸、具体的には、ループの両端を案内できることが考えられる。その場合は、スリーブまたはより長いホース様もしくはチューブ様のスリーブが、ワイヤ構造のワイヤを覆うように案内される。これらスリーブはワイヤの一定の位置に固定されており、そうすることで、ワイヤ構造に沿って滑動できないことが考えられる。代替的に、このようなスリーブがいくつかのワイヤに割り当てられており、そうすることで、あるワイヤのスリーブが糸の一端を受けることができ、別のワイヤのスリーブが糸の他端を受けることができることも考えられる。それらスリーブにより、まさに定められた通りに、糸が方向付けられて移動することが可能である。さらに、定められた通りに糸がワイヤ構造に沿って案内され、ワイヤ構造と結ばれないことを保証することができる。ワイヤ構造のワイヤが治療中に尿道の組織に押圧されるときに、スリーブは、ループのサイズを変更するために糸が治療中に移動し得ることを保証することもできる。
【0014】
本発明の更なる実施形態は、ワイヤ構造に更なるワイヤが配置されることと、そのワイヤが治療中に中葉を持ち上げるように方向付けられることを提供する。このような中葉の持ち上げにより、障害のない尿流のために膀胱下尿道がすでに開いている可能性がある。さらに、このような持ち上げによって、ワイヤまたはスリングで中葉に到達することが簡単になる。このワイヤは、形状記憶材料製、特に、ニチノール製とすることもできる。ワイヤは、遠位方向を向くことと、中葉を押し上げ可能な突出した遠位端を有することを除いて、ワイヤ構造と同じように尿道において拡張する。この他のワイヤは、組織を切るかまたは切開するための糸またはワイヤと同じように、ワイヤ構造に取り付けられてよい。
【0015】
図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】
図2によるインプラントの実施形態の別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図は、考え得る本発明の実施形態を概略的に示す。本発明はそれらの実施形態に限定されるものではないことに特に留意されたい。むしろ、本発明は他の実施形態によって実現することもできることが意図されている。
【0018】
図1は、基本的にワイヤ構造11から構成されたインプラント10を示す。
図1に示すワイヤ構造は、3本のワイヤ12によって伸長されたバスケットを形成する。ワイヤ12は部分的に撚り合わされている。遠位端13において、ワイヤ12はアーチ状であり、それぞれが近位端14まで延び、そこで、コネクター15に集められている。近位端14に位置決めされたこのコネクター15は、ハンドリング手段16に接続するようにも働く。そのハンドリング手段16は、糸またはロッドとして形成されるか、あるいは、カテーテルの一部とすることもできる。
【0019】
さらに、インプラント10は、アンカー留めクランプ17を有する。そのアンカー留めクランプ17は、アーチ形であり、図示しない尿道に、治療中にインプラント10をアンカー留めまたは固定するように働く。上記で説明したように、インプラント10は、治療のために折り畳み状態で、図示しないカテーテルを通して患者の尿道に挿入される。その到達位置において、インプラント10は拡張して
図1に示す形状になる。そうなると、ワイヤ12は周りの尿道組織を押圧して、組織を変性させる。治療後は、インプラント10は、ハンドリング手段16を用いて、カテーテルを通して尿道から引き出すことができる。そうする際に、インプラント10は折り畳まれてカテーテルに戻る。インプラント10が尿道の適切な位置で拡張するために、インプラント10は形状記憶材料製、すなわち、ニチノール製である。しかし、こうした前述の材料に加えて、他の形状記憶材料も考えられる。
【0020】
ここで、
図1に示す実施形態の例は更なるワイヤ18を有する。そのワイヤ18は、インプラント10の拡張状態で遠位方向に伸長している。その場合、ワイヤ18は、ワイヤ構造11のワイヤ12の1つに取り付けられている。配置中または折り畳み状態の間は、そのワイヤ18は折り畳まれたワイヤ構造11内で旋回して入れられている。インプラント10が拡張されると、ワイヤ18は、遠位方向前方へ枢動して、他のワイヤ12と角度を形成する。ワイヤ18は、インプラント10の長軸に対して凸状の湾曲を形成するようにわずかに曲がっている。その湾曲により、ワイヤ18が非常に有効に中葉(central lobe)の周りに巻き付くことが可能になる。
【0021】
ワイヤの遠位端19は尖っているかまたは鋭利であってよい。ワイヤ構造11による尿道の治療中に、ワイヤ18は図示しない中葉または組織を継続的に押圧する。こうした押圧によって組織が変性する。インプラント10が引き抜かれるとワイヤ18の遠位端19は中葉に沿ってまたはそこを通って移動して、中葉を切開できる。中葉の変性および切開の両方によって、尿流のために通路が再開される。
【0022】
図2に示すインプラント20の代替の実施形態は、糸21がワイヤ12の少なくとも1つに取り付けられることを提供する。その糸21の一端は、ワイヤ構造11へ堅固に取り付けられている。糸21のもう一方の端部もワイヤ構造11に関連付けられているが、自由に動く。ここで、糸21のその自由端すなわち未接続の端部は、ワイヤ12に沿ってインプラント20の近位端14に案内される。そこで、糸21の自由端は、手動でまたはツールによって把持することができる。
【0023】
本発明によれば、糸21によって形成されたループがセンターフラップ(centre flap)の周りを通されること、および糸21の未接続の端部を引っ張ることでセンターフラップの組織が絞扼されることが想定される(
図3)。このような絞扼は組織の変性を引き起こすこともできる。必要な場合は、中葉の退行を加速するために糸21の張力が定期的に増大される。治療の最後に、糸21の張力は取り除かれる。インプラント20が患者から引き出されると、セントラルフラップも糸21から解放される。
【0024】
糸21は、ワイヤ構造11のワイヤ12と編み合わされるか、または図示しないスリーブ内で案内され得るる。ワイヤ12がスリーブ内で案内され、次いで、そのスリーブ内で糸21も案内され得ることが考えられる。糸21の固定端および未接続の端部は両方ともそのスリーブ内で案内され得るる。代替的に、糸21の固定端がスリーブの外側に配置され、糸21の未接続の端部だけがスリーブを通して案内されることも考えられる。更なる実施形態の例は、ワイヤ構造11のワイヤ12が、各ワイヤ12に固定された複数のスリーブと関連付けられており、それらスリーブを通して糸21の少なくとも一端が案内されることを提供し得る。
【0025】
図2および
図3によるインプラント20の実施形態の例もやはり更なるワイヤ22を有する。そのワイヤ22も、ワイヤ構造11に取り付けられており、遠位方向において斜め上向きに曲がっている。ワイヤ22は、好ましくは、形状記憶材料製でよく、糸21と同様に、ワイヤ12の少なくとも1つの端部に取り付けられている。インプラント20の折り畳み状態では、そのワイヤ22もワイヤ構造11内で折り畳まれて配置されている。ワイヤ構造11が拡張されると、ワイヤ22はワイヤ構造11から出て、治療中は、膀胱の開口部を閉じないようにセンターフラップを押し上げるように働く。さらに、このように中葉を押し上げることも、中葉の周りに糸21またはループを配置するように働く。ワイヤ22の形状が曲がっていることで、ワイヤ22は一定の機械的プレテンションを有し、そのプレテンションによって中葉に弾力をかけることができる。治療が終わった後は、ワイヤ22はインプラント20と一緒に尿道から引き出される。
なお、上記実施形態から把握し得る技術的思想について、その態様を以下に記載する。
[態様1]
泌尿器、具体的には、尿道および中葉の少なくとも一方の組織に、少なくとも2本のワイヤ(12)を有するワイヤ構造(11)で局所的な阻血圧力を加えることによって、ヒトの尿路を治療するためのインプラント(10、20)、具体的には、抜去可能なインプラント(10、20)であって、
折り畳み状態で遠位端(19)を先頭にして尿道に挿入可能であり、前記尿道で拡張して組織の治療のために前記ワイヤ構造(11)になり、
組織を緊縛または切開する少なくとも1つの更なる手段が、ヒトの中葉に局所的な阻血圧力をかけるように前記ワイヤ構造(11)上に位置決めされた、インプラント(10、20)。
[態様2]
血流遮断するかまたは切り込む前記手段は、形状記憶材料のワイヤ(18)または糸(21)であることを特徴とする、態様1に記載のインプラント(10、20)。
[態様3]
前記ワイヤ(18)は、前記インプラント(10、20)に対する折り畳み状態で尿道に挿入可能であり、前記尿道において、前記ワイヤ構造(11)と所定の角度を形成するように拡張することを特徴とする、態様2に記載のインプラント(10、20)。
[態様4]
血流遮断するかまたは切り込む前記手段、具体的には、前記ワイヤ(18)または前記糸(21)は、前記ワイヤ構造(11)のワイヤ(12)とインターレース加工されていることを特徴とする、態様1から態様3のいずれか1項に記載のインプラント(10、20)。
[態様5]
前記ワイヤ(18)は、少なくとも部分的に曲がっており、前記曲がったワイヤ(18)が中葉の周りに巻き付くことができるように前記インプラント(10、20)の長軸に対して凸状に曲がっていることを特徴とする、態様2から態様4のいずれか1項に記載のインプラント(10、20)。
[態様6]
前記糸(21)はループとして形成されており、そのループは中葉の周りに配置可能であることを特徴とする、態様2に記載のインプラント(10、20)。
[態様7]
前記ループの直径は変更可能であることを特徴とする、態様6に記載のインプラント(10、20)。
[態様8]
前記ループの一端は、前記インプラント(10、20)に堅固に接続されており、他端は、前記インプラント(10、20)の近位端(14)に未接続で案内されており、前記ループの前記直径のサイズは、前記糸(21)の前記未接続の端部を引っ張ることによって変更でき、具体的には、前記糸(21)の前記未接続の端部は、治療中に前記ワイヤ構造(11)に解放可能に固定されることを特徴とする、態様6または態様7に記載のインプラント(10、20)。
[態様9]
前記糸(21)は、前記ワイヤ構造(11)の少なくとも1つのスリーブ内で案内されることを特徴とする、態様6から態様8のいずれか1項に記載のインプラント(10、20)。
[態様10]
前記ワイヤ構造(11)に更なるワイヤ(22)が配置されており、そのワイヤ(22)は、治療中に中葉を押し上げるように方向付けられていることを特徴とする、態様1から態様9のいずれか1項に記載のインプラント(10、20)。
[態様11]
全てのワイヤ(12)および糸(21)は、前記インプラント(10、20)の近位端(14)あるいは圧着点に集められており、前記未接続のワイヤ(12)および糸(21)は、前記近位端(14)あるいは前記圧着点に固定するかまたは尿道を通して外向きに案内されることを特徴とする、態様1から態様10のいずれか1項に記載のインプラント(10、20)。
【符号の説明】
【0026】
10…インプラント、11…ワイヤ構造、12…ワイヤワイヤ、13…遠位端、14…近位端、15…コネクター、16…ハンドリング手段、17…アンカー留めクランプ、18…ワイヤ、19…遠位端、20…インプラント、21…糸、22…ワイヤ