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特許7541074有機エレクトロルミネセンス材料及びデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネセンス材料及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/12 20230101AFI20240820BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20240820BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240820BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240820BHJP
   H10K 85/30 20230101ALI20240820BHJP
   H10K 101/10 20230101ALN20240820BHJP
   H10K 101/20 20230101ALN20240820BHJP
   H10K 101/30 20230101ALN20240820BHJP
【FI】
H10K50/12
C09K11/06 690
G09F9/30 365
H10K59/10
H10K85/30
H10K101:10
H10K101:20
H10K101:30
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022209151
(22)【出願日】2022-12-27
(62)【分割の表示】P 2018138172の分割
【原出願日】2018-07-24
(65)【公開番号】P2023040097
(43)【公開日】2023-03-22
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】62/537,029
(32)【優先日】2017-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/037,167
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503055897
【氏名又は名称】ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】チュン・リン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ジェイ・トンプソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド・フェルドマン
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/098246(WO,A1)
【文献】特表2020-533341(JP,A)
【文献】特開2017-108108(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0295197(US,A1)
【文献】特開2013-201153(JP,A)
【文献】特開2017-028283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/12
C09K 11/06
G09F 9/30
H10K 59/10
H10K 85/30
H10K 101/10
H10K 101/20
H10K 101/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードと、
カソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に配された有機発光層とを含む有機発光デバイス(OLED)であって、前記有機発光層が、
最高被占分子軌道(HOMO)エネルギー、最低空分子軌道(LUMO)エネルギー、及びT三重項エネルギーを有する第1のホストと、
最高被占分子軌道(HOMO)エネルギー、最低空分子軌道(LUMO)エネルギー、及びT三重項エネルギーを有する第2のホストと、
最高被占分子軌道(HOMO)エネルギー、最低空分子軌道(LUMO)エネルギー、及びT三重項エネルギーを有する発光体と、を含み、
前記発光体が、リン光金属錯体及び遅延蛍光発光体からなる群から選択され、
前記第1のホストの前記T三重項エネルギーであるEH1Tが、前記発光体の前記T三重項エネルギーであるEETよりも高く、
ETは、少なくとも2.50eVであり、
前記第1のホストの前記HOMOエネルギーが、前記第2のホストの前記HOMOエネルギーよりも高く、
前記発光体の前記HOMOエネルギーと前記第1のホストの前記HOMOエネルギーとの間の差の絶対値が、ΔE2であり、
ΔE2≦dであり、
dは、1.2eVであり、
前記発光体の前記LUMOエネルギーと前記第1のホストの前記HOMOエネルギーとの間の差の絶対値が、ΔE3であり、
a≦ΔE3-EET≦bであり、
a≧0.05eV且つb≦0.60eVであり、
前記発光体が、式Pt(L又はPt(L)(L)で表され、Lは、他のL又はLと結合し、四座配位子を形成してもよく、
、及び は、同一であっても異なっていてもよく、
、及び は、それぞれ独立して、下記からなる群から選択されることを特徴とするOLED。
【化1】
【化2】
(式中、X~X17は、それぞれ独立して、炭素及び窒素からなる群から選択され、
Xは、BR’、NR’、PR’、O、S、Se、C=O、S=O、SO、CR’R’’、SiR’R’’、及びGeR’R’’からなる群から選択され、
R’及びR’’は、縮合又は結合して環を形成してもよく、
、R、R、及びRは、それぞれ、モノ置換から可能な最大数の置換を表す、又は無置換を表してもよく、
R’、R’’、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、環状アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され;
任意の2つのR、R、R、及びRは、縮合又は結合して環を形成する、又は多座配位子を形成してもよい。)
【請求項2】
アノードと、
カソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に配された有機発光層とを含む有機発光デバイス(OLED)であって、前記有機発光層が、
最高被占分子軌道(HOMO)エネルギー、最低空分子軌道(LUMO)エネルギー、及びT三重項エネルギーを有する第1のホストと、
最高被占分子軌道(HOMO)エネルギー、最低空分子軌道(LUMO)エネルギー、及びT三重項エネルギーを有する第2のホストと、
最高被占分子軌道(HOMO)エネルギー、最低空分子軌道(LUMO)エネルギー、及びT三重項エネルギーを有する発光体と、を含み、
前記発光体が、リン光金属錯体及び遅延蛍光発光体からなる群から選択され、
前記第1のホストの前記T三重項エネルギーであるEH1Tが、前記発光体の前記T三重項エネルギーであるEETよりも高く、
ETは、少なくとも2.50eVであり、
前記第1のホストの前記HOMOエネルギーが、前記第2のホストの前記HOMOエネルギーよりも高く、
前記発光体の前記HOMOエネルギーと前記第1のホストの前記HOMOエネルギーとの間の差の絶対値が、ΔE2であり、
ΔE2≦dであり、
dは、1.2eVであり、
前記発光体の前記LUMOエネルギーと前記第1のホストの前記HOMOエネルギーとの間の差の絶対値が、ΔE3であり、
a≦ΔE3-EET≦bであり、
a≧0.05eV且つb≦0.60eVであり、
前記発光体が、式M(L又はM(L)(L)で表され、
Mは、Ir、Rh、Re、Ru、又はOsであり、
及びLは、それぞれ異なる三座配位子であり、それぞれ独立して、下記からなる群から選択されることを特徴とするOLED。
【化3】
【化4】
(式中、X~X17は、それぞれ独立して、炭素及び窒素からなる群から選択され、
Xは、BR’、NR’、PR’、O、S、Se、C=O、S=O、SO、CR’R’’、SiR’R’’、及びGeR’R’’からなる群から選択され、
R’及びR’’は、縮合又は結合して環を形成してもよく、
、R、R、及びRは、それぞれ、モノ置換から可能な最大数の置換を表す、又は無置換を表してもよく、
R’、R’’、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、環状アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され;
任意の2つのR、R、R、及びRは、縮合又は結合して環を形成する、又は多座配位子を形成してもよい。)
【請求項3】
アノードと、
カソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に配された有機発光層とを含む有機発光デバイス(OLED)であって、前記有機発光層が、
最高被占分子軌道(HOMO)エネルギー、最低空分子軌道(LUMO)エネルギー、及びT三重項エネルギーを有する第1のホストと、
最高被占分子軌道(HOMO)エネルギー、最低空分子軌道(LUMO)エネルギー、及びT三重項エネルギーを有する第2のホストと、
最高被占分子軌道(HOMO)エネルギー、最低空分子軌道(LUMO)エネルギー、及びT三重項エネルギーを有する発光体と、を含み、
前記発光体が、リン光金属錯体及び遅延蛍光発光体からなる群から選択され、
前記第1のホストの前記T三重項エネルギーであるEH1Tが、前記発光体の前記T三重項エネルギーであるEETよりも高く、
ETは、少なくとも2.50eVであり、
前記第1のホストの前記HOMOエネルギーが、前記第2のホストの前記HOMOエネルギーよりも高く、
前記発光体の前記HOMOエネルギーと前記第1のホストの前記HOMOエネルギーとの間の差の絶対値が、ΔE2であり、
ΔE2≦dであり、
dは、1.2eVであり、
前記発光体の前記LUMOエネルギーと前記第1のホストの前記HOMOエネルギーとの間の差の絶対値が、ΔE3であり、
a≦ΔE3-EET≦bであり、
a≧0.05eV且つb≦0.60eVであり、
前記発光体が、式M(L(L(Lで表され、
、L、及びLは、同一であっても異なっていてもよく、
xは、1、2、又は3であり、
yは、0、1、又は2であり、
zは、0、1、又は2であり、
x+y+zは、金属Mの酸化状態であり、
が、下記からなる群から選択され、
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
、及びLは、それぞれ独立して、下記からなる群から選択されることを特徴とするOLED。
【化12】
【化13】
(式中、X~X17は、それぞれ独立して、炭素及び窒素からなる群から選択され、
Xは、BR’、NR’、PR’、O、S、Se、C=O、S=O、SO、CR’R’’、SiR’R’’、及びGeR’R’’からなる群から選択され、
R’及びR’’は、縮合又は結合して環を形成してもよく、
、R、R、及びRは、それぞれ、モノ置換から可能な最大数の置換を表す、又は無置換を表してもよく、
R’、R’’、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、環状アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され;
任意の2つのR、R、R、及びRは、縮合又は結合して環を形成する、又は多座配位子を形成してもよい。)
【請求項4】
前記第1のホストが、電子輸送ホストである請求項1から3のいずれかに記載のOLED。
【請求項5】
前記発光層中の全ての成分において、最も高いHOMOエネルギーと最も低いLUMOエネルギーとの間の差の絶対値が、EETよりも少なくともaだけ大きい請求項1から3のいずれかに記載のOLED。
【請求項6】
前記第2のホストが、正孔輸送ホストである請求項1から3のいずれかに記載のOLED。
【請求項7】
前記第1のホストが、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、イミダゾール、アザ-トリフェニレン、アザ-カルバゾール、アザ-ジベンゾチオフェン、アザ-ジベンゾフラン、及びアザ-ジベンゾセレノフェンからなる群から選択される少なくとも1つの化学基を含む請求項1から3のいずれかに記載のOLED。
【請求項8】
前記発光体が、Ir(L)(L)(L)、Ir(L(L)、及びIr(Lからなる群から選択される式で表され、
、L、及びLは、異なっており、
、及びLは、それぞれ独立して、下記からなる群から選択される請求項3に記載のOLED。
【化14】
【請求項9】
請求項1から3のいずれかに記載のOLEDを含む消費者製品であって、フラットパネルディスプレイ、カーブドディスプレイ、コンピュータモニター、メディカルモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全又は部分透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、ローラブルディスプレイ、フォールダブルディスプレイ、ストレッチャブルディスプレイ、レーザープリンター、電話、モバイル電話、タブレット、ファブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ウェアラブルデバイス、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ビューファインダー、マイクロディスプレイ、3-Dディスプレイ、バーチャルリアリティ又は拡張現実ディスプレイ、車両、共に並べた複数のディスプレイを含むビデオウォール、劇場又はスタジアムのスクリーン、及び看板のいずれかであることを特徴とする消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その内容の全体を参照によって援用する、2017年7月26日出願の米国仮出願第62/537,029号の優先権を主張する非仮出願である。
【0002】
本発明は、特定のエネルギー準位を有する電子輸送ホスト及び/又は正孔輸送ホストを用いて青色スペクトル領域の光を発する有機発光デバイスのための新規なデバイス構造に関する。
【背景技術】
【0003】
有機材料を利用する光電子デバイスは、いくつもの理由から、次第に望ましいものとなりつつある。そのようなデバイスを作製するために使用される材料の多くは比較的安価であるため、有機光電子デバイスは無機デバイスを上回るコスト優位性の可能性を有する。加えて、柔軟性等の有機材料の固有の特性により、該材料は、フレキシブル基板上での製作等の特定用途によく適したものとなり得る。有機光電子デバイスの例は、有機発光ダイオード/デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池及び有機光検出器を含む。OLEDについて、有機材料は従来の材料を上回る性能の利点を有し得る。例えば、有機発光層が光を放出する波長は、概して、適切なドーパントで容易に調整され得る。
【0004】
OLEDはデバイス全体に電圧が印加されると光を放出する薄い有機膜を利用する。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明及びバックライティング等の用途において使用するためのますます興味深い技術となりつつある。数種のOLED材料及び構成は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、特許文献1、特許文献2及び特許文献3において記述されている。
【0005】
リン光性発光分子の1つの用途は、フルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイの業界標準は、「飽和(saturated)」色と称される特定の色を放出するように適合された画素を必要とする。特に、これらの標準は、飽和した赤色、緑色及び青色画素を必要とする。若しくは、OLEDは、白色光を照射するように設計することができる。従来の、白色バックライトからの液晶ディスプレイ発光は、吸収フィルターを用いてフィルタリングされ、赤色、緑色、及び青色発光を生成する。同様の技術は、OLEDでも用いられることができる。白色OLEDは、単一のEMLデバイス又は積層体構造のいずれかであることができる。色は、当技術分野において周知のCIE座標を使用して測定することができる。
【0006】
緑色発光分子の一例は、下記の構造:
【化1】
を有する、Ir(ppy)と表示されるトリス(2-フェニルピリジン)イリジウムである。
【0007】
この図面及び本明細書における後出の図面中で、本発明者らは、窒素から金属(ここではIr)への配位結合を直線として描写する。
【0008】
本明細書において使用される場合、用語「有機」は、有機光電子デバイスを製作するために使用され得るポリマー材料及び小分子有機材料を含む。「小分子」は、ポリマーでない任意の有機材料を指し、且つ「小分子」は実際にはかなり大型であってよい。小分子は、いくつかの状況において繰り返し単位を含み得る。例えば、長鎖アルキル基を置換基として使用することは、「小分子」クラスから分子を排除しない。小分子は、例えばポリマー骨格上のペンダント基として、又は該骨格の一部として、ポリマーに組み込まれてもよい。小分子は、コア部分上に構築された一連の化学的シェルからなるデンドリマーのコア部分として役立つこともできる。デンドリマーのコア部分は、蛍光性又はリン光性小分子発光体であってよい。デンドリマーは「小分子」であってよく、OLEDの分野において現在使用されているデンドリマーはすべて小分子であると考えられている。
【0009】
本明細書において使用される場合、「頂部」は基板から最遠部を意味するのに対し、「底部」は基板の最近部を意味する。第一層が第二層「の上に配置されている」と記述される場合、第一層のほうが基板から遠くに配置されている。第一層が第二層「と接触している」ことが指定されているのでない限り、第一層と第二層との間に他の層があってもよい。例えば、間に種々の有機層があるとしても、カソードはアノード「の上に配置されている」と記述され得る。
【0010】
本明細書において使用される場合、「溶液プロセス可能な」は、溶液又は懸濁液形態のいずれかの液体媒質に溶解、分散若しくは輸送することができ、且つ/又は該媒質から堆積することができるという意味である。
【0011】
配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合、「光活性」と称され得る。配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に寄与していないと考えられる場合には「補助」と称され得るが、補助配位子は、光活性配位子の特性を変化させることができる。
【0012】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるであろう通り、第一の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)エネルギー準位は、第一のエネルギー準位が真空エネルギー準位に近ければ、第二のHOMO又はLUMOエネルギー準位「よりも大きい」又は「よりも高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は、真空準位と比べて負のエネルギーとして測定されるため、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有するIP(あまり負でないIP)に相当する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有する電子親和力(EA)(あまり負でないEA)に相当する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、材料のLUMOエネルギー準位は、同じ材料のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりもそのような図の頂部に近いように思われる。
【0013】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるであろう通り、第一の仕事関数がより高い絶対値を有するならば、第一の仕事関数は第二の仕事関数「よりも大きい」又は「よりも高い」。仕事関数は概して真空準位と比べて負数として測定されるため、これは「より高い」仕事関数が更に負であることを意味する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、「より高い」仕事関数は、真空準位から下向きの方向に遠く離れているものとして例証される。故に、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に準ずる。
【0014】
OLEDについての更なる詳細及び上述した定義は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許文献4において見ることができる。
【発明の概要】
【0015】
商業的な高性能青色発光デバイス、即ち、青色(発光スペクトルの最大波長が約500nm未満)を発するデバイス(以下、「青色デバイス」と称する)を高効率且つ長デバイス寿命で達成するために、OLED産業は、大きな課題を持ち続けている。過去においては、青色発光デバイスは、その発光層に、主に、広いバンドギャップホスト材料又は正孔輸送ホスト材料を使用した。本開示において、発明者らは、特定のエネルギー要件を有する電子輸送ホスト(e-ホスト)材料及び/又は正孔輸送ホスト(h-ホスト)材料を利用する新規デバイスを開示する。これらの新しいデバイスは、全体的なデバイス性能を著しく改善することができる。
【0016】
OLEDが開示され、前記OLEDは、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配された有機発光層とを含む。前記有機発光層は、第1のホストと発光体とを含む。前記第1のホストと前記発光体はそれぞれ、HOMOエネルギー、LUMOエネルギー、及びT三重項エネルギーを有する材料のものである。前記発光体は、リン光金属錯体及び遅延蛍光発光体からなる群から選択される。前記第1のホストのT三重項エネルギーであるEH1Tは、前記発光体のT三重項エネルギーであるEETよりも高く、EETは、少なくとも2.50eVである。前記第1のホストのLUMOエネルギー準位は、前記発光体のHOMOエネルギー準位よりも高い。前記発光体のHOMOエネルギーと前記第1のホストのLUMOエネルギーとの間の差の絶対値は、ΔE1で表され、a≦ΔE1-EET≦bであり、a≧0.005eV且つb≦0.60eVである。
【0017】
幾つかの実施形態においては、OLEDが開示され、前記OLEDは、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配された有機発光層とを含む。前記有機発光層は、第1のホストと、第2のホストと、発光体とを含む。前記第1のホスト、前記第2のホスト、及び前記発光体はそれぞれ、HOMOエネルギー、LUMOエネルギー、及びT三重項エネルギーを有する材料のものである。前記発光体は、リン光金属錯体及び遅延蛍光発光体からなる群から選択される。前記第1のホストのT三重項エネルギーであるEH1Tが、前記発光体のT三重項エネルギーであるEETよりも高く、EETは、少なくとも2.50eVである。前記第1のホストのHOMOエネルギー準位は、前記第2のホストのHOMOエネルギー準位よりも高く、前記発光体のHOMOと前記第1のホストのHOMOとの間の差の絶対値は、ΔE2で表され、ΔE2≦dであり、dは、1.2eVである。前記発光体のLUMOと前記第1のホストのHOMOとの間の差の絶対値は、ΔE3で表され、a≦ΔE3-EET≦bであり、a≧0.05eV且つb≦0.60eVである。
【0018】
幾つかの実施形態においては、OLEDが開示され、前記OLEDは、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配された有機発光層とを含む。前記有機発光層は、HOMOエネルギー、LUMOエネルギー、及びT三重項エネルギーを有する第1のホストと、HOMOエネルギー、LUMOエネルギー、及びT三重項エネルギーを有する第2のホストと、HOMOエネルギー、LUMOエネルギー、及びT三重項エネルギーを有する第3のホストと、HOMOエネルギー、LUMOエネルギー、及びT三重項エネルギーを有する発光体とを含む。前記発光体は、少なくとも2.50eVのT三重項エネルギーであるEETを有するリン光金属錯体である。前記第1のホストのLUMOエネルギーは、前記発光体のHOMOエネルギーよりも高く、前記発光体のHOMOエネルギーと前記第1のホストのLUMOエネルギーとの間の差の絶対値は、ΔE1である。前記第2のホストのHOMOエネルギーは、前記発光体のHOMOエネルギーよりも低く、前記発光体のHOMOエネルギーと前記第2のホストのHOMOエネルギーとの間の差の絶対値は、ΔE4である。この実施形態においては、a≦ΔE1-EET≦bであり、a≧0.005eV且つb≦0.60eVであり、ΔE4≦dであり、dは、1.2eVであり、前記第3のホストのHOMOエネルギーは、前記第2のホストのHOMOエネルギーよりも低い。
【0019】
幾つかの実施形態においては、OLEDが開示され、前記OLEDは、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配された有機発光層とを含む。前記有機発光層は、HOMOエネルギー、LUMOエネルギー、及びT三重項エネルギーを有する第1のホストと、HOMOエネルギー、LUMOエネルギー、及びT三重項エネルギーを有する第2のホストと、HOMOエネルギー、LUMOエネルギー、及びT三重項エネルギーを有する第3のホストと、HOMOエネルギー、LUMOエネルギー、及びT三重項エネルギーを有する発光体とを含む。前記発光体は、少なくとも2.50eVのT三重項エネルギーであるEETを有するリン光金属錯体である。前記第1のホストのLUMOエネルギーは、前記発光体のHOMOエネルギーよりも高い。前記第2のホストのHOMOエネルギー準位と前記第1のホストのLUMOエネルギーとの間の差の絶対値は、ΔE5である。前記第2のホストのHOMOエネルギー準位は、前記発光体のHOMOエネルギーよりも高く、前記発光体のHOMOエネルギー準位と前記第2のホストのHOMOエネルギーとの間の差の絶対値は、ΔE4である。この実施形態においては、a≦ΔE5-EET≦bであり、a≧0.005eV且つb≦0.60eVであり、ΔE4≦dであり、dは、1.2eVである。
【0020】
更に別の実施形態によれば、本明細書に開示されるOLEDを1つ以上含む消費者製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、有機発光デバイスを示す。
【0022】
図2図2は、別の電子輸送層を有さない、反転された有機発光デバイスを示す。
【0023】
図3図3は、幾つかの実施形態に係る1ホスト1発光体システムデバイスにおける第1の発光体及び第1のホストの相対的HOMO及びLUMOエネルギー準位を示す。
【0024】
図4図4は、幾つかの実施形態に係る1発光体2ホストシステムデバイスにおける第1の発光体、第1のホスト、及び第2のホストの相対的HOMO及びLUMOエネルギー準位を示す。
【0025】
図5図5は、幾つかの実施形態に係る1発光体2ホストシステムデバイスにおける第1の発光体、第1のホスト、及び第2のホストの相対的HOMO及びLUMOエネルギー準位を示す。
【0026】
図6A図6Aは、幾つかの実施形態に係る1発光体2ホストシステムデバイスにおける第1の発光体、第1のホスト、及び第2のホストの相対的HOMO及びLUMOエネルギー準位を示す。第1のホストのHOMOが、第1の発光体のHOMOよりもΔEだけ深い。
【0027】
図6B図6Bは、幾つかの実施形態に係る1発光体2ホストシステムデバイスにおける第1の発光体、第1のホスト、及び第2のホストの相対的HOMO及びLUMOエネルギー準位を示す。第1のホストのHOMOが、第1の発光体のHOMOよりもΔEだけ浅い。
【0028】
図7図7は、幾つかの実施形態に係る1発光体3ホストシステムデバイスにおける第1の発光体、第1のホスト、第2のホスト、及び第3のホストの相対的HOMO及びLUMOエネルギー準位を示す。
【0029】
図8図8は、幾つかの他の実施形態に係る1発光体3ホストシステムデバイスにおける第1の発光体、第1のホスト、第2のホスト、及び第3のホストの相対的HOMO及びLUMOエネルギー準位を示す。
【0030】
図9図9は、発光体2の固有発光スペクトルを示す、室温でのドロップキャストポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)中の発光体2のフォトルミネッセンスのプロットを示す。
【0031】
図10図10は、発光層(EML)以外の層の材料が特定された赤色プローブデバイス300の概略図である。点線は、赤色感知層(red sensing layer)が挿入された異なる位置を示す。赤色感知層の位置は、EBL/EMLインターフェース332に対する距離でオングストローム単位で示される。
【0032】
図11A図11Aは、化合物4のEBLから0Å、150Å、及び300Åの距離に設けられた20Å厚の化合物9で形成された赤色感知層をそれぞれ有する3つの例示的赤色プローブデバイスからのエレクトロルミネッセンススペクトルを示す。
【0033】
図11B図11Bは、感知層の位置の関数として、規格化した赤色対青色強度比(R/B)を示す。R/B値が高いほど、その空間位置での励起子ポピュレーションが大きくなる。測定値は、10mA/cmの駆動電流密度で得た。
【0034】
図12図12は、1、10、及び100mA/cmの駆動密度における図11A及び図11BのデバイスのR/B比を示す。10mA/cmで得られたR/B比のプロットは、図11Bに示されたものと同じプロットである。
【0035】
図13A図13Aは、デバイス2aの、駆動電流密度の関数としてのR/B比のプロットである。
図13B図13Bは、デバイス2bの、駆動電流密度の関数としてのR/B比のプロットである。
図13C図13Cは、デバイス2cの、駆動電流密度の関数としてのR/B比のプロットである。
図13D図13Dは、デバイス2dの、駆動電流密度の関数としてのR/B比のプロットである。
【0036】
図14図14は、幾つかの実施形態に係る3ホストシステムデバイスにおける第1の発光体、第1のホスト、第2のホスト、及び第3のホストの相対的HOMO及びLUMOエネルギー準位を示す。
【0037】
図15図15は、実験デバイスのデバイス1及びデバイス2のエレクトロルミネッセンススペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
概して、OLEDは、アノード及びカソードの間に配置され、それらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が印加されると、アノードが正孔を注入し、カソードが電子を有機層(複数可)に注入する。注入された正孔及び電子は、逆帯電した電極にそれぞれ移動する。電子及び正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在電子正孔対である「励起子」が形成される。光は、励起子が緩和した際に、光電子放出機構を介して放出される。いくつかの事例において、励起子はエキシマー又はエキサイプレックス上に局在し得る。熱緩和等の無輻射機構が発生する場合もあるが、概して望ましくないとみなされている。
【0039】
初期のOLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第4,769,292号において開示されている通り、その一重項状態から光を放出する発光分子(「蛍光」)を使用していた。蛍光発光は、概して、10ナノ秒未満の時間枠で発生する。
【0040】
ごく最近では、三重項状態から光を放出する発光材料(「リン光」)を有するOLEDが実証されている。参照によりその全体が組み込まれる、Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、395巻、151~154、1998;(「Baldo-I」)及びBaldoら、「Very high-efficiency green organic light emitting devices based on electrophosphorescence」、Appl.Phys.Lett.、75巻、3号、4~6(1999)(「Baldo-II」)。リン光については、参照により組み込まれる米国特許第7,279,704号5~6段において更に詳細に記述されている。
【0041】
図1は、有機発光デバイス100を示す。図は必ずしも一定の縮尺ではない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子ブロッキング層130、発光層135、正孔ブロッキング層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、カソード160、及びバリア層170を含み得る。カソード160は、第一の導電層162及び第二の導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。これらの種々の層の特性及び機能並びに材料例は、参照により組み込まれるUS7,279,704、6~10段において更に詳細に記述されている。
【0042】
これらの層のそれぞれについて、更なる例が利用可能である。例えば、フレキシブル及び透明基板-アノードの組合せは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5、844、363号において開示されている。p-ドープされた正孔輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、50:1のモル比でm-MTDATAにF-TCNQをドープしたものである。発光材料及びホスト材料の例は、参照によりその全体が組み込まれるThompsonらの米国特許第6,303,238号において開示されている。n-ドープされた電子輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、1:1のモル比でBPhenにLiをドープしたものである。参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,703,436号及び同第5,707,745号は、上を覆う透明の、導電性の、スパッタリング蒸着したITO層を持つMg:Ag等の金属の薄層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示している。ブロッキング層の理論及び使用は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,097,147号及び米国特許出願公開第2003/0230980号において更に詳細に記述されている。注入層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において提供されている。保護層についての記述は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において見ることができる。
【0043】
図2は、反転させたOLED200を示す。デバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、及びアノード230を含む。デバイス200は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。最も一般的なOLED構成はアノードの上に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下に配置されたカソード215を有するため、デバイス200は「反転させた」OLEDと称されることがある。デバイス100に関して記述されたものと同様の材料を、デバイス200の対応する層において使用してよい。図2は、いくつかの層が如何にしてデバイス100の構造から省略され得るかの一例を提供するものである。
【0044】
図1及び2において例証されている単純な層構造は、非限定的な例として提供されるものであり、本発明の実施形態は多種多様な他の構造に関連して使用され得ることが理解される。記述されている特定の材料及び構造は、事実上例示的なものであり、他の材料及び構造を使用してよい。機能的なOLEDは、記述されている種々の層を様々な手法で組み合わせることによって実現され得るか、又は層は、設計、性能及びコスト要因に基づき、全面的に省略され得る。具体的には記述されていない他の層も含まれ得る。具体的に記述されているもの以外の材料を使用してよい。本明細書において提供されている例の多くは、単一材料を含むものとして種々の層を記述しているが、ホスト及びドーパントの混合物等の材料の組合せ、又はより一般的には混合物を使用してよいことが理解される。また、層は種々の副層を有してもよい。本明細書における種々の層に与えられている名称は、厳しく限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し、正孔を発光層220に注入し、正孔輸送層又は正孔注入層として記述され得る。一実施形態において、OLEDは、カソード及びアノードの間に配置された「有機層」を有するものとして記述され得る。有機層は単層を含んでいてよく、又は、例えば図1及び2に関して記述されている通りの異なる有機材料の多層を更に含んでいてよい。
【0045】
参照によりその全体が組み込まれるFriendらの米国特許第5,247,190号において開示されているもののようなポリマー材料で構成されるOLED(PLED)等、具体的には記述されていない構造及び材料を使用してもよい。更なる例として、単一の有機層を有するOLEDが使用され得る。OLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第5,707,745号において記述されている通り、積み重ねられてよい。OLED構造は、図1及び2において例証されている単純な層構造から逸脱してよい。例えば、基板は、参照によりその全体が組み込まれる、Forrestらの米国特許第6,091,195号において記述されている通りのメサ構造及び/又はBulovicらの米国特許第5,834,893号において記述されている通りのくぼみ構造等、アウトカップリングを改良するための角度のついた反射面を含み得る。
【0046】
別段の規定がない限り、種々の実施形態の層のいずれも、任意の適切な方法によって堆積され得る。有機層について、好ましい方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,013,982号及び同第6,087,196号において記述されているもの等の熱蒸着、インクジェット、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第6,337,102号において記述されているもの等の有機気相堆積(OVPD)、並びに参照によりその全体が組み込まれる米国特許第7,431,968号において記述されているもの等の有機気相ジェットプリンティング(OVJP)による堆積を含む。他の適切な堆積法は、スピンコーティング及び他の溶液ベースのプロセスを含む。溶液ベースのプロセスは、好ましくは、窒素又は不活性雰囲気中で行われる。他の層について、好ましい方法は熱蒸着を含む。好ましいパターニング法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,294,398号及び同第6,468,819号において記述されているもの等のマスク、冷間圧接を経由する堆積、並びにインクジェット及び有機気相ジェットプリンティング(OVJP)等の堆積法のいくつかに関連するパターニングを含む。他の方法を使用してもよい。堆積する材料は、特定の堆積法と適合するように修正され得る。例えば、分枝鎖状又は非分枝鎖状であり、且つ好ましくは少なくとも3個の炭素を含有するアルキル及びアリール基等の置換基は、溶液プロセシングを受ける能力を増強するために、小分子において使用され得る。20個以上の炭素を有する置換基を使用してよく、3~20個の炭素が好ましい範囲である。非対称構造を持つ材料は、対称構造を有するものよりも良好な溶液プロセス性を有し得、これは、非対称材料のほうが再結晶する傾向が低くなり得るからである。溶液プロセシングを受ける小分子の能力を増強するために、デンドリマー置換基が使用され得る。
【0047】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、バリア層を更に含んでいてよい。バリア層の1つの目的は、電極及び有機層を、水分、蒸気及び/又はガス等を含む環境における有害な種への損傷性暴露から保護することである。バリア層は、基板、電極の上、下若しくは隣に、又はエッジを含むデバイスの任意の他の部分の上に堆積し得る。バリア層は、単層又は多層を含んでいてよい。バリア層は、種々の公知の化学気相堆積技術によって形成され得、単相を有する組成物及び多相を有する組成物を含み得る。任意の適切な材料又は材料の組合せをバリア層に使用してよい。バリア層は、無機若しくは有機化合物又は両方を組み込み得る。好ましいバリア層は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,968,146号、PCT特許出願第PCT/US2007/023098号及び同第PCT/US2009/042829号において記述されている通りの、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物を含む。「混合物」とみなされるためには、バリア層を構成する前記のポリマー及び非ポリマー材料は、同じ反応条件下で及び/又は同時に堆積されるべきである。ポリマー材料対非ポリマー材料の重量比は、95:5から5:95の範囲内となり得る。ポリマー材料及び非ポリマー材料は、同じ前駆体材料から作成され得る。一例において、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物は、ポリマーケイ素及び無機ケイ素から本質的になる。
【0048】
本発明の実施形態にしたがって作製されたデバイスは、種々の電気製品又は中間部品に組み込まれることができる多種多様な電子部品モジュール(又はユニット)に組み込まれることができる。このような電気製品又は中間部品としては、エンドユーザーの製品製造者によって利用されることができるディスプレイスクリーン、照明デバイス(離散的光源デバイス又は照明パネル等)が挙げられる。このような電子部品モジュールは、駆動エレクトロニクス及び/又は電源を任意に含むことができる。本発明の実施形態にしたがって作製されたデバイスは、組み込まれた1つ以上の電子部品モジュール(又はユニット)を有する多種多様な消費者製品に組み込まれることができる。OLEDの有機層に本開示の化合物を含むOLEDを含む消費者製品が開示される。このような消費者製品は、1つ以上の光源及び/又は1つ以上のある種の表示装置を含む任意の種類の製品を含む。このような消費者製品の幾つかの例としては、フラットパネルディスプレイ、カーブドディスプレイ、コンピュータモニター、メディカルモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全又は部分透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、ローラブルディスプレイ、フォールダブルディスプレイ、ストレッチャブルディスプレイ、レーザープリンター、電話、モバイル電話、タブレット、ファブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDAs)、ウェアラブルデバイス、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ビューファインダー、マイクロディスプレイ(対角で2インチ未満のディスプレイ)、3-Dディスプレイ、バーチャルリアリティ又は拡張現実ディスプレイ、車両、共に並べた複数のディスプレイを含むビデオウォール(video walls)、劇場又はスタジアムのスクリーン、及び看板を含む。パッシブマトリックス及びアクティブマトリックスを含む種々の制御機構を使用して、本発明に従って製作されたデバイスを制御することができる。デバイスの多くは、摂氏18度から摂氏30度、より好ましくは室温(摂氏20~25度)等、ヒトに快適な温度範囲内での使用が意図されているが、この温度範囲外、例えば、摂氏-40度~+80度で用いることもできる。
【0049】
本明細書において記述されている材料及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有し得る。例えば、有機太陽電池及び有機光検出器等の他の光電子デバイスが、該材料及び構造を用い得る。より一般的には、有機トランジスタ等の有機デバイスが、該材料及び構造を用い得る。
【0050】
用語「ハロ」、「ハロゲン」、及び「ハライド」は、相互交換可能に使用され、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を意味する。
【0051】
用語「アシル」は、置換カルボニル基(C(O)-R)を意味する。
【0052】
用語「エステル」は、置換オキシカルボニル(-O-C(O)-R又は-C(O)-O-R)基を意味する。
【0053】
用語「エーテル」は、-OR基を意味する。
【0054】
用語「スルファニル」又は「チオ-エーテル」は、相互交換可能に使用され、-SR基を意味する。
【0055】
用語「スルフィニル」は、-S(O)-R基を意味する。
【0056】
用語「スルフォニル」は、-SO-R基を意味する。
【0057】
用語「ホスフィノ」は、-P(R基を意味し、各Rは、同一であっても異なっていてもよい。
【0058】
用語「シリル」は、-Si(R基を意味し、各Rは、同一であっても異なっていてもよい。
【0059】
前記のそれぞれにおいて、Rは、水素であるか、又は重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択される置換基であることができる。好ましいRは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0060】
用語「アルキル」は、直鎖及び分岐鎖アルキル基のいずれをも意味し、これらを含む。好ましいアルキル基としては、1個から15個までの炭素原子を含むものであり、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、及び2,2-ジメチルプロピル等が挙げられる。更に、前記アルキル基は、置換されていてもよい。
【0061】
用語「シクロアルキル」は、単環状、多環状、及びスピロアルキル基を意味し、これらを含む。好ましいシクロアルキル基としては、3~12個の環炭素原子を含むものであり、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、スピロ[4.5]デシル、スピロ[5.5]ウンデシル、及びアダマンチル等が挙げられる。更に、前記シクロアルキル基は、置換されていてもよい。
【0062】
用語「ヘテロアルキル」又は「ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロ原子によって置換された少なくとも1つの炭素原子を有するアルキル又はシクロアルキル基をそれぞれ意味する。任意に、少なくとも1つのヘテロ原子は、O、S、N、P、B、Si、及びSeから選択され、好ましくはO、S、又はNである。更に、ヘテロアルキル又はヘテロシクロアルキル基は、置換されていてもよい。
【0063】
用語「アルケニル」は、直鎖及び分岐鎖アルケン基のいずれをも意味し、これらを含む。アルケニル基は、本質的に、アルキル鎖中に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含むアルキル基である。シクロアルケニル基は、本質的に、シクロアルキル環中に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含むシクロアルキル基である。本明細書で使用される用語「ヘテロアルケニル」は、ヘテロ原子によって置換された少なくとも1つの炭素原子を有するアルケニル基を意味する。任意に、少なくとも1つのヘテロ原子は、O、S、N、P、B、Si、及びSeから選択され、好ましくはO、S、又はNである。好ましいアルケニル、シクロアルケニル、又はヘテロアルケニル基としては、2~15個の炭素原子を含むものである。更に、前記アルケニル、シクロアルケニル、又はヘテロアルケニル基は、置換されていてもよい。
【0064】
用語「アルキニル」は、直鎖及び分岐鎖アルキン基のいずれをも意味し、これらを含む。好ましいアルキニル基は、2~15個の炭素原子を含むアルキニル基である。更に、前記アルキニル基は置換されていてもよい。
【0065】
用語「アラルキル」又は「アリールアルキル」は、相互交換可能に使用され、アリール基で置換されるアルキル基を意味する。更に、前記アラルキル基は、置換されていてもよい。
【0066】
用語「ヘテロ環基」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む芳香族環基及び非芳香族環基を意味し、これらを含む。任意に、少なくとも1つのヘテロ原子は、O、S、N、P、B、Si、及びSeから選択され、好ましくはO、S、又はNである。ヘテロ芳香族環基は、ヘテロアリールと相互交換可能に使用することができる。好ましいヘテロ非芳香族環基は、3~7個の環原子を含む少なくとも1つのヘテロ原子であり、モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノ等の環状アミンを含み、及びテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオフェン等の環状エーテル/チオ-エーテルを含む。更に、前記ヘテロ環基は、置換されていてもよい。
【0067】
用語「アリール」は、単環芳香族ヒドロカルビル基及び多環芳香族環系のいずれをも意味し、これらを含む。多環とは、2つの隣接する環により2つの炭素が共有されている(前記環は、「縮合」している)2つ以上の環を有することができ、前記環の少なくとも1つは、芳香族ヒドロカルビル基であり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロ環、及び/又はヘテロアリールである。好ましいアリール基は、6~30個の炭素原子を含むものであり、6~20個の炭素原子を含むものが好ましく、6~12個の炭素原子を含むものが更に好ましい。6個の炭素を有するアリール基、10個の炭素を有するアリール基、又は12個の炭素を有するアリール基が特に好ましい。好適なアリール基としては、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、テトラフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナンスレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、及びアズレン等が挙げられ、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、フルオレン、及びナフタレンが好ましい。更に、前記アリール基は、置換されていてもよい。
【0068】
用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む単環複素芳香族基及び多環芳香族環系のいずれをも意味し、これらを含む。ヘテロ原子としては、O、S、N、P、B、Si、及びSeが挙げられるが、これらに限定されない。多くの場合、O、S、又はNが好ましいヘテロ原子である。ヘテロ単環芳香族系は、好ましくは5又は6個の環原子を有する単環であり、環は、1~6個のヘテロ原子を有することができる。ヘテロ多環系は、2つの隣接する環により2つの原子が共有されている(前記環は、「縮合」している)2つ以上の環を有することができ、前記環の少なくとも1つは、ヘテロアリールであり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロ環、及び/又はヘテロアリールであることができる。ヘテロ多環芳香族系は、多環芳香族環系の1つの環当たり1~6個のヘテロ原子を有することができる。好ましいヘテロアリール基は、3~30個の炭素原子を含むものであり、3~20個の炭素原子を含むものが好ましく、3~12個の炭素原子を含むものがより好ましい。好適なヘテロアリール基としては、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジンが挙げられ、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、イミダゾール、ピリジン、トリアジン、ベンズイミダゾール、1,2-アザボリン、1,3-アザボリン、1,4-アザボリン、ボラジン、及びこれらのアザ類似体が好ましい。更に、前記ヘテロアリール基は、置換されていてもよい。
【0069】
前記アリール及びヘテロアリール基のうち、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、イミダゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、及びベンズイミダゾールの各基、並びにこれらのそれぞれのアザ類似体が特に興味深い。
【0070】
本明細書で使用する、用語アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アラルキル、ヘテロ環基、アリール、及びヘテロアリールは、独立して、無置換である、又は1つ以上の一般的な置換基で置換される。
【0071】
多くの場合、前記一般的な置換基は、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、環状アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0072】
幾つかの例では、好ましい一般的な置換基は、重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0073】
幾つかの例では、好ましい一般的な置換基は、重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アリール、ヘテロアリール、スルファニル、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0074】
更に他の例では、より好ましい一般的な置換基は、重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0075】
用語「置換(された)」は、炭素などの関連している位置に結合している、H以外の置換基を意味する。例えば、Rが一置換を表す場合、RはH以外でなくてはならない。同様に、Rが二置換を表す合、Rのうちの2つは、H以外でなくてはならない。同様に、Rが無置換である場合、Rは全ての置換位置において水素である。構造(例えば、特定の環又は縮合環系)中の可能な最大数の置換は、利用可能な原子価を有する原子の数に依存する。
【0076】
本明細書中で使用される場合、「これらの組合せ」は、適用されるリストから当業者が想到することができる知られた又は化学的に安定な配置を形成するために、適用されるリストの1つ以上のメンバーが組み合わされることを示す。例えば、アルキルと重水素は、部分的又は完全に重水素化されたアルキル基を形成するために組み合わせることができる;ハロゲンとアルキルは、ハロゲン化アルキル置換基を形成するために組み合わせることができる;ハロゲンと、アルキルと、アリールは、ハロゲン化アリールアルキルを形成するために組み合わせることができる。ある例では、置換という用語は、リストされた基の2~4個の組合せを含む。別の例では、置換という用語は、2~3個の基の組合せを含む。更に別の例では、置換という用語は、2個の基の組合せを含む。置換基の好ましい組合せは、水素若しくは重水素ではない50個までの原子を含むもの、又は水素若しくは重水素ではない40個までの原子を含むもの、又は水素若しくは重水素ではない30個までの原子を含むものである。多くの場合、置換基の好ましい組合せは、水素又は重水素ではない20個までの原子を含む。
【0077】
本明細書において記述されるフラグメント、例えば、アザ-ジベンゾフラン、アザ-ジベンゾチオフェン等の中の「アザ」という名称は、各フラグメント中のC-H基の1つ以上が窒素原子に置き換わることができることを意味し、例えば、何ら限定するものではないが、アザトリフェニレンは、ジベンゾ[f,h]キノキサリンとジベンゾ[f,h]キノリンのいずれをも包含する。当業者であれば、上述のアザ誘導体の他の窒素アナログを容易に想像することができ、このようなアナログ全てが本明細書に記載の前記用語によって包含されることが意図される。
【0078】
本明細書中で使用される場合、「重水素」は、水素の同位体を意味する。重水素化化合物は、当該技術分野において知られた方法を用いて容易に調製することができる。例えば、それらの内容の全体を参照によって援用する、米国特許第8,557,400号、国際公開第WO2006/095951号、及び米国特許出願公開第US2011/0037057号は、重水素置換有機金属錯体の製造について記載している。更に、それらの内容の全体を参照によって援用する、Ming Yanら、Tetrahedron 2015、71、1425-30及びAtzrodtら、Angew.Chem.Int.Ed.(Reviews)2007、46、7744-65を参照でき、これは、ベンジルアミン中でのメチレン水素の重水素化、及び芳香環水素を重水素で置換する効率的な経路をそれぞれ記載している。
【0079】
分子フラグメントが置換基として記述される、又は他の部分に結合されているものとして記述される場合、その名称は、フラグメント(例えば、フェニル、フェニレン、ナフチル、ジベンゾフリル)又は分子全体(例えば、ベンゼン、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるように記載されることがあることを理解されたい。本明細書においては、置換基又は結合フラグメントの表示の仕方が異なっていても、これらは、等価であると考える。
【0080】
OLEDが開示され、前記OLEDは、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配された有機発光層とを含む。前記有機発光層は、第1のホストと発光体とを含み、前記発光体は、リン光金属錯体及び遅延蛍光発光体からなる群から選択される。前記第1のホストのT三重項エネルギーであるEH1Tは、前記発光体のT三重項エネルギーであるEETよりも高く、EETは、少なくとも2.50eVである。前記第1のホストのLUMOエネルギー準位は、前記発光体のHOMOエネルギー準位よりも高い。前記発光体のHOMOと前記第1のホストのLUMOとの間の差の絶対値は、ΔE1で表され、a≦ΔE1-EET≦bであり、a≧0.05eV且つb≦0.60eVである。このエネルギー構成を、図3に示す。
【0081】
幾つかの実施形態では、a≦ΔE1-EET≦bの関係が維持され、aは、0.10eVである。幾つかの実施形態では、aが0.15eVである。幾つかの実施形態では、aが0.20eVである。幾つかの実施形態では、bが0.50eVである。幾つかの実施形態では、bが0.40eVである。幾つかの実施形態では、bが0.30eVである。幾つかの実施形態では、bが0.25eVである。幾つかの実施形態では、EETが少なくとも2.60eVである。幾つかの実施形態では、EETが少なくとも2.70eVである。幾つかの実施形態では、EETが少なくとも2.75eVである。幾つかの実施形態では、EETが少なくとも2.80eVである。
【0082】
前記OLEDの幾つかの実施形態では、前記発光体は、リン光金属錯体である。前記OLEDの幾つかの実施形態では、前記発光体は、遅延蛍光発光体である。
【0083】
前記OLEDの幾つかの実施形態では、前記第1のホストは、e-ホストである。
【0084】
前記OLEDの幾つかの実施形態では、前記発光層中の全ての成分において、最も高いHOMOエネルギーと最も低いLUMOエネルギーとの間の差の絶対値が、EETよりも少なくともaだけ大きい。
【0085】
図4及び図5を参照すると、前記OLEDの幾つかの実施形態では、前記OLEDは、第2のホストを更に含み、第2のホストのT三重項エネルギーであるEH2Tは、EETよりも高い。図4に示すように、幾つかの実施形態では、第2のホストのHOMOエネルギーは、第1のホストのHOMOエネルギーよりも低く、第2のホストのLUMOエネルギーは、第1のホストのLUMOエネルギーよりも高い。図5に示すように、幾つかの実施形態では、第2のホストのHOMOエネルギーは、第1のホストのHOMOエネルギーよりも高く、第2のホストのLUMOエネルギーは、第1のホストのLUMOエネルギーよりも高い。
【0086】
幾つかの実施形態では、第1のホストと第2のホストのHOMOエネルギー準位間の差は、0.1~0.6eVである。本明細書に開示されるように、エネルギー準位がaa~bbeVまでであると言及される場合、上下限値aa及びbbが含まれる。幾つかの実施形態では、第1のホストと第2のホストのHOMOエネルギー準位間の差は、0.1~0.3eVである。幾つかの実施形態では、第1のホストと第2のホストのHOMOエネルギー準位間の差は、0.1~0.2eVである。幾つかの実施形態では、第1のホストと第2のホストのHOMOエネルギー準位間の差は、0.1~0.15eVである。幾つかのの実施形態では、第1のホストと第2のホストのLUMOエネルギー準位間の差は、0.1~0.50eVである。幾つかの実施形態では、第1のホストと第2のホストのLUMOエネルギー準位間の差は、0.1~0.35eVである。幾つか実施形態では、第1のホストと第2のホストのLUMOエネルギー準位間の差は、0.1~0.20eVである。幾つかの実施形態では、第1のホスト、第2のホスト、及び発光体が、発光層における唯一の成分である。
【0087】
幾つかの実施形態では、第2のホストは、正孔輸送ホストである。
【0088】
前記OLEDの幾つかの実施形態では、前記OLEDは、10mA/cmで6.0V未満の動作電圧を有する。幾つかの実施形態では、前記OLEDは、10mA/cmで5.0V未満の動作電圧を有する。幾つかの実施形態では、前記OLEDは、10mA/cmで4.0V未満の動作電圧を有する。
【0089】
前記OLEDの幾つかの実施形態では、第1のホストは、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、イミダゾール、アザ-トリフェニレン、アザ-カルバゾール、アザ-ジベンゾチオフェン、アザ-ジベンゾフラン、及びアザ-ジベンゾセレノフェンからなる群から選択される少なくとも1つの化学基を含む。
【0090】
前記OLEDの幾つかの実施形態では、発光体は、リン光青色発光体である。
【0091】
前記OLEDの幾つかの実施形態では、発光体は、式M(L(L(Lで表され、L、L、及びLは、同一であっても異なっていてもよく、xは、1、2、又は3であり、yは、0、1、又は2であり、zは、0、1、又は2であり、x+y+zは、金属Mの酸化状態であり、L、L、及びLは、それぞれ独立して、下記からなる群から選択される。
【化2】
【化3】
【化4】
式中、X~X17は、それぞれ独立して、炭素及び窒素からなる群から選択され、Xは、BR’、NR’、PR’、O、S、Se、C=O、S=O、SO、CR’R’’、SiR’R’’、及びGeR’R’’からなる群から選択され、R’及びR’’は、縮合又は結合して環を形成してもよく、R、R、R、及びRは、それぞれ、モノ置換から可能な最大数の置換を表す、又は無置換を表してもよく、R’、R’’、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、環状アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され;任意の2つのR、R、R、及びRは、縮合又は結合して環を形成する、又は多座配位子を形成してもよい。
【0092】
発光体が式M(L(L(Lで表されるOLEDの幾つかの実施形態では、R’、R’’、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、重水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0093】
発光体が式M(L(L(Lで表されるOLEDの幾つかの実施形態では、化合物は、Ir(L)(L)(L)、Ir(L(L)、及びIr(Lからなる群から選択される式で表され、L、L、及びLは、異なっており、それぞれ独立して、下記からなる群から選択される。
【化5】
【0094】
発光体が式M(L(L(Lで表されるOLEDの幾つかの実施形態では、化合物は、式Pt(L又はPt(L)(L)で表される。幾つかの実施形態では、Lは、他のL又はLと結合し、四座配位子を形成する。
【0095】
発光体が式M(L(L(Lで表されるOLEDの幾つかの実施形態では、化合物は、式M(L又はM(L)(L)で表され、Mは、Ir、Rh、Re、Ru、又はOsであり、L及びLは、それぞれ異なる三座配位子である。幾つかの実施形態では、Lが、下記からなる群から選択される。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0096】
OLEDを含む消費者製品も開示する。前記OLEDは、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配された有機発光層とを含む。前記有機発光層は、第1のホストと発光体とを含み、前記発光体は、リン光金属錯体及び遅延蛍光発光体からなる群から選択される。前記第1のホストのT三重項エネルギーであるEH1Tは、前記発光体のT三重項エネルギーであるEETよりも高く、EETは、少なくとも2.50eVである。前記第1のホストのLUMOエネルギーは、前記発光体のHOMOエネルギーよりも高い。前記発光体のHOMOエネルギーと前記第1のホストのLUMOエネルギーとの間の差の絶対値は、ΔE1で表され、a≦ΔE1-EET≦bであり、a≧0.05eV且つb≦0.60eVである。
【0097】
別の実施形態に係るOLEDは、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配された有機発光層とを含み、前記有機発光層は、第1のホストと、第2のホストと、発光体とを含み、前記発光体は、リン光金属錯体及び遅延蛍光発光体からなる群から選択され、前記第1のホストのT三重項エネルギーであるEH1Tは、前記発光体のT三重項エネルギーであるEETよりも高く、EETは、少なくとも2.50eVであり、前記第1のホストのHOMOエネルギーは、前記第2のホストのHOMOエネルギーよりも高く、前記発光体のHOMOエネルギーと前記第1のホストのHOMOエネルギーとの間の差の絶対値は、ΔE2で表され、ΔE2≦dであり、dは、1.2eVであり、前記発光体のLUMOエネルギーと前記第1のホストのHOMOエネルギーとの間の差の絶対値は、ΔE3で表され、次の関係:a≦ΔE3-EET≦bが維持され、a≧0.05eV且つb≦0.60eVである。このエネルギー構成を、図6A及び図6Bに示す。前記OLEDの幾つかの実施形態では、dが0.8eVである。幾つかの実施形態では、dが0.5eVである。幾つかの実施形態では、aが0.05eVであり、bが0.4eVである。幾つかの実施形態では、aが0.05eVであり、bが0.2eVである。幾つかの実施形態では、aが0.10eV、0.15eV、又は0.20eVである。幾つかの実施形態では、bが0.50eV、0.40eV、0.30eV、又は0.25eVである。幾つかの実施形態では、EETは、少なくとも2.60eVである。幾つかの実施形態では、EETは、少なくとも2.70eVである。幾つかの実施形態では、EETは、少なくとも2.75eVである。幾つかの実施形態では、EETは、少なくとも2.80eVである。
【0098】
別の実施形態に係るOLEDが開示され、前記OLEDは、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配された有機発光層とを含む。前記有機発光層は、第1のホストと、第2のホストと、第3のホストと、発光体とを含み、前記発光体は、少なくとも2.50eVのT三重項エネルギーであるEETを有するリン光金属錯体であり、前記発光体のHOMOと前記第1のホストのLUMOとの間の差の絶対値は、ΔE1で表され、前記発光体のHOMOと前記第2のホストのHOMOとの間の差の絶対値は、ΔE4であり、次の関係:a≦ΔE1-EET≦bが維持され、a≧0.005eV且つb≦0.60eVであり、ΔE4≦dであり、dは、1.2eVであり、前記第3のホストと前記第1の発光体のHOMO準位間のエネルギー差の絶対値は、ΔE4よりも大きい。このエネルギー構成を、図7に示す。前記OLEDの幾つかの実施形態では、dが0.8eVである。幾つかの実施形態では、dが0.5eVである。幾つかの実施形態では、aが0.005eVであり、bが0.4eVである。幾つかの実施形態では、aが0.005eVであり、bが0.2eVである。幾つかの実施形態では、aが0.10eV、0.15eV、又は0.20eVである。幾つかの実施形態では、bが0.50eV、0.40eV、0.30eV、又は0.25eVである。幾つかの実施形態では、EETは、少なくとも2.60eVである。幾つかの実施形態では、EETは、少なくとも2.70eVである。幾つかの実施形態では、EETは、少なくとも2.75eVである。幾つかの実施形態では、EETは、少なくとも2.80eVである。
【0099】
幾つかの実施形態においては、OLEDが開示され、前記OLEDは、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配された有機発光層とを含む。前記有機発光層は、第1のホストと、第2のホストと、第3のホストと、発光体とを含み、前記発光体は、少なくとも2.50eVのT三重項エネルギーであるEETを有するリン光金属錯体であり、前記第2のホストのHOMOと前記第1のホストのLUMOとの間の差の絶対値は、ΔE5で表され、前記発光体のHOMOと前記第2のホストのHOMOとの間の差の絶対値は、ΔE4であり、次の関係:a≦ΔE5-EET≦bが維持され、a≧0.005eV且つb≦0.60eVであり、ΔE4≦dであり、dは、1.2eVである。このエネルギー構成を、図14に示す。前記OLEDの幾つかの実施形態では、dが0.6eVである。幾つかの実施形態では、dが0.3eVである。幾つかの実施形態では、aが0.005eVであり、bが0.4eVである。幾つかの実施形態では、aが0.005eVであり、bが0.2eVである。幾つかの実施形態では、aが0.10eV、0.15eV、又は0.20eVである。幾つかの実施形態では、bが0.50eV、0.40eV、0.30eV、又は0.25eVである。幾つかの実施形態では、EETは、少なくとも2.60eVである。幾つかの実施形態では、EETは、少なくとも2.70eVである。幾つかの実施形態では、EETは、少なくとも2.75eVである。幾つかの実施形態では、EETは、少なくとも2.80eVである。
【0100】
以下は、選択する具体的な発光体化合物によって、第1のホスト、第2のホスト、及び第3のホストとしての使用に好適なホスト材料の幾つかの例である。
【化13】
化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、及び化合物10のHOMO、LUMO、及びEETを、以下、表1に示す。化合物1の酸化は、ジメチルホルムアミドの溶媒の窓(window)の外側にある。これは、化合物1の酸化が、-5.93eVより深いHOMOに対応する1.13Vよりも高いことを意味する。
【表1】
【0101】
以下は、例示的なホスト化合物と共に使用するのに好適な発光体化合物の幾つかの例である。
【化14】
発光体2及び発光体3のHOMO、LUMO、及びEETを、以下、表2に示す。
【表2】
【0102】
以下は、電荷輸送材料及び赤色感知化合物の幾つかの例である。
【化15】
【0103】
任意の所定の有機化合物についてのHOMO、LUMO、及びEET準位は、容易に測定することができ、当業者であれば、これらのエネルギー値の測定方法を知っており、本明細書に開示されるエネルギー構成を満たす、発光体、第1のホスト、第2のホスト、及び第3のホスト化合物の適切な組合せを選択するであろう。例えば、エネルギー準位を測定するために、本発明者らは、無水ジメチルホルムアミド溶媒及び支持電解質としてテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートを用いるCH Instrumentsモデル6201Bポテンシオスタットを用いて、溶液サイクリックボルタンメトリー(CV)及び微分パルスボルタンメトリーを行った。ガラス状炭素、白金ワイヤ、及び銀ワイヤを、作用電極、対電極、及び参照電極としてそれぞれ使用した。電気化学電位は、微分パルスボルタンメトリーからピーク電位差を測定することにより、内部フェロセン-フェロコニウムレドックス対(Fc/Fc+)を基準とした。対応するHOMO及びLUMOエネルギーは、文献にしたがってフェロセン(4.8eV(対真空))を参照にしてカチオン性及びアニオン性レドックス電位を決定した。材料のT三重項エネルギーは、材料を2-メチルテトラヒドロフランに溶解し、混合物を77Kに冷却して凍結ガラスを形成することによって測定する。フォトルミネセンスは、Horiba Fluorologフロリメーターを使用して測定し、第1発光ピークをTとする。HOMO及びLUMOを、紫外光電子分光法(UPS)又は逆光電子分光法(IPES)などの技術を用いて固体状態で測定する場合、実際の値は、通常、CV法で測定した値と異なる。しかし、異なる分子間のエネルギー準位の相対的な差は、使用される測定技術にかかわらず、かなり類似している。したがって、同じ技術を使用して相対エネルギー準位差を比較する限り、エネルギー差は、比較対象である所定の一組の分子について同様である。
【0104】
幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、可撓性があること、丸めることができること、折ることができること、伸ばすことができること、曲げることができることからなる群から選択される1つ以上の特性を有する。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、透明又は半透明である。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、カーボンナノチューブを含む層を更に含む。
【0105】
幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、遅延蛍光発光体を含む層を更に含む。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、RGB画素配列又は白色及びカラーフィルター画素配列を含む。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、モバイルデバイス、ハンドヘルドデバイス、又はウェラブルデバイスである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、10インチ未満の対角線又は50平方インチ未満の面積を有するディスプレイパネルである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、少なくとも10インチの対角線又は少なくとも50平方インチの面積を有するディスプレイパネルである。幾つかの実施形態においては、前記OLEDは、照明パネルである。
【0106】
OLEDにおける発光領域が開示される。前記発光領域は、第1のホストと発光体とを含み、前記発光体は、リン光金属錯体及び遅延蛍光発光体からなる群から選択される。前記第1のホストのT三重項エネルギーEH1Tは、前記発光体のT三重項エネルギーEETよりも高く、EETは、少なくとも2.50eVである。前記第1のホストのLUMOエネルギーは、前記発光体のHOMOエネルギーよりも高い。前記発光体のHOMOエネルギーと前記第1のホストのLUMOエネルギーとの間の差の絶対値は、ΔE1で表され、0.05eV≦ΔE1-EET≦0.60eVである。
【0107】
図9は、発光体2の固有発光スペクトルを示す、室温でのポリ(メチルメタクリレート)中の発光体2のフォトルミネッセンスを示す。このスペクトルの1931CIE座標は、(0.146,0.149)である。
【0108】
青色デバイスの性能を向上させるための、e-ホストに対する多くの要件がある。電子ホストがデバイスの寿命を延ばすための2つの主要な要件は、(1)e-ホストの添加が、発光体とエキサイプレックス又は電荷移動(CT)状態を形成しないこと、(2)電荷が界面にピン止めされていない励起子プロファイルとバランスがとれていること、である。エキサイプレックスは、2つの分子(一方はドナー、他方はアクセプタ)の間に形成される電子状態であり、後に、失活プロセスで解離し得る。e-ホストの添加が、デバイスにおける最低エネルギー状態としてのエキサイプレックス又はCT状態を形成しないという要件は、リン光発光体の青色を維持する。発光体又はホスト分子上に正孔が存在する又は電子がe-ホスト上に存在する場合、e-ホストと他の成分との間にCT状態が存在する。CT状態エネルギーの概算は、発光体のHOMO準位とeホストのLUMO準位との間のエネルギー差の絶対値、ΔE1である。CT状態は、空間的にかなり良好に分離された電子と正孔で構成されているので、CTのS一重項とT三重項状態との間のエネルギー差は小さく、ΔE1は、CT状態のT三重項状態の良好な近似値である。発光体のT三重項よりもエネルギーが高いCT状態(形成されている場合には)を有することは、デバイス動作にとって問題がない。CT状態のエネルギーが発光体のTよりも高い場合、デバイスには、2つの重要な状況がある。第1に、デバイスの発光スペクトルが、発光体のものであり、CT状態のものではない。第2に、ホストシステムにおける発光体のフォトルミネッセンス量子収率(PLQY)の損失が最小限になる。逆に、CT状態が発光システムにおける最低エネルギー状態である場合、発光体のT三重項がCT状態にクエンチされ、CT状態スペクトルがデバイスの発光スペクトルを支配する。
【0109】
例えば、表3は、青色リン光発光体(発光体2)用の2つの異なる単一成分e-ホストの場合のデバイス構造及びデータを含む。ここでの「デバイス構造」という用語は、デバイス中の各層を構成する材料を意味する。結果において、化合物1(Cmp1)をホスト材料として使用すると、より低いエネルギーのCT状態が形成されることが理解できる。これは、デバイス2の461nmからデバイス1の502nmのピークへのピーク波長の変化によって容易に観察される。これは、図15に提示されたデバイス1及びデバイス2の発光スペクトルに見ることができる。更に、デバイス1のFWHMは、エキサイプレックスが形成されたときに典型的に示されるガウス発光スペクトルと一致して、83nmに増加している。化合物2(Cmp2)をホストとすると、青色デバイスのスペクトル発光は、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)中の発光体2ドロップキャストのものと非常に類似しており、CT状態は、ホストとしての化合物2で形成されないことを示す。室温でのドロップキャストPMMA中の発光体2の発光スペクトルを図9に示すが、これは、発光体2の発光スペクトルを示している。このスペクトルの1931CIE座標は、(0.146,0.149)であり、ピーク発光波長は、452nmである。
表3:デバイス構造とデータ。この表は、2つの部分に分割されている。
【表3】
HIL=正孔注入層;HTL=正孔輸送層;EBL=電子ブロック層;EML=発光層;BL=正孔ブロック層;ETL=電子輸送層;EIL=電子注入層;デバイスは、1000ÅのAlカソードも有していた。ドーピングパーセンテージはいずれも、体積パーセントの単位である。
【0110】
Cmp1と発光体2との間に形成された実験的に実現されたCT状態を、ΔEと、発光体2のT三重項エネルギーとを比較することにより評価することができる。CVによって決定される発光体2のHOMO準位は、-5.37であり、CVによって決定される化合物1のLUMO準位は、-2.71である。化合物1と発光体2の組合せの場合、ΔEは、2.66eVである。発光体2の場合、77K発光ピークは449nmであり、これは、2.76eVの三重項エネルギーに対応する。したがって、エネルギーΔEを有するCT状態は、発光体2のT三重項よりもエネルギーが低いことが分かる。そして、デバイス発光がCT状態によって支配され、非青色発光及び低外部量子効率(EQE)がもたらされる。
【0111】
化合物2は反対の例である。化合物2のLUMO準位は、CVで決定される-2.47eVである。発光体2及び化合物2のΔEは、2.90eVであり、発光体2の2.76eVの三重項エネルギーよりも大きい。デバイスの発光スペクトルがPMMA中の発光体2と一致することから観察されるように、これにより、発光体2のT三重項エネルギーが、デバイスにおける最も低いエネルギー状態であることがもたらされる。
【0112】
CT状態の形成を避けること(要件(1))に加えて、ディープブルーリン光デバイスにおける電子輸送材料の使用は、電荷のバランス(要件(2))を慎重に考慮することを必要とする。適切に電荷をバランスさせたデバイスは、青色リン光デバイスの効率及びLTを大きく上昇させることができ、発光層の厚みに亘って励起子プロファイルを広げることで、デバイスの寿命を延ばすことができる。
【0113】
所定の発光層組成が、発光層の厚みに亘って励起子プロファイルを広げるかどうかを評価するためには、励起子ポピュレーションの位置を空間的にプローブする能力が必要である。発明者らは、発光層中の励起子ポピュレーションの位置をプローブするために、20Å厚の感知層を使用した。図10は、発光層(EML)335以外の全ての層の材料が特定されたところでの赤色プローブデバイス300の概略図である。赤色プローブデバイス300は、ITO(750Å厚)のアノード層315と、正孔注入層(HIL)320としての化合物5(100Å厚)と、正孔輸送層(HTL)325としての化合物6(250Å厚)と、電子ブロック層(EBL)330としての化合物4(50Å厚)と、EML335と、正孔ブロック層(HBL)340としての化合物2(50Å厚)と、電子輸送層(ETL)345としての化合物7及び化合物8(300Å厚;65体積%:35体積%)と、電子注入層(EIL)350としての化合物7(10Å厚)と、カソード360としてのAl(1000Å厚)とから構成される。破線0A、150A、及び300Aは、オングストローム単位で記載されたEBL/EML界面332からの距離として示される位置を示し、赤色発光体である化合物9の20Å厚のニートな層を赤色感知層として、発光層335内に堆積した。赤色感知層近傍の青色リン光分子上の励起子は、赤色リン光発光体上の励起子になるようにクエンチされる一方で、赤色感知層から遠く離れた励起子はクエンチされない。このように、赤色感知層を有するデバイスは、赤と青の発光の組合せを有する。一定量の赤色ドーパントの場合、デバイスのスペクトルにおける赤色発光が多いほど、青色励起子は感知層の輸送半径(transfer radius)内に多く存在する。これは、スペクトル中の赤色発光が多いほど、デバイス中のその空間位置に青色励起子が多く存在することを意味する。本発明者らは、クエンチ効率が青色励起子の数に依存せず、(20Å厚であるため)層が不連続であるので、赤色発光体分子が電荷バランスを乱さないと考える。
【0114】
図11Aは、化合物4のEBLから0、150、及び300Åの距離に設けられた化合物9の20Å厚のプローブ層を有する例示的赤色プローブデバイス300からのエレクトロルミネッセンススペクトルを示す。図11Bは、感知層の位置の関数として、規格化した赤色対青色強度比(R/B)を示す。R/B値が高いほど、その空間位置での励起子ポピュレーションが大きくなる。測定値は、10mA/cmで得た。
【0115】
図12は、1、10、及び100mA/cmの駆動密度におけるデバイス300のR/B比のプロットを示す。
【0116】
図13A図13Dは、デバイス2a、デバイス2b、デバイス2c、及びデバイス2dそれぞれの、駆動電流密度の関数としてのR/B比のプロットである。
【0117】
赤色プローブ実験を使用し、発光層の組成を変化させることによって、良好な励起子プロファイル及び/又は良好な電荷安定性をもたらす特定の組成を示すことができる。そうする際に、図10のデバイス構造を使用し、発光層の組成を変化させる。
【0118】
図11A及び図11Bを参照して、赤色感知デバイスがどのように働くかを理解する一例を説明する。図11Aは、化合物9の20Å層がHTL-EML界面332から様々な距離でドープされた赤色プローブデバイスの規格化された発光スペクトルのプロットを示す。このプロットは、明確化のために、青色発光体のピーク発光の位置で規格化される。「0」、「150」、及び「300」とラベルされた線は、それぞれ、図10に示される0A、150A、及び300Aの位置に、化合物9の赤色感知層を有する3つの赤色感知デバイスに対応する。プローブが異なる空間的位置にあるとき、赤色発光の量が異なることが明らかである。赤色感知層の位置が異なるデバイスを簡単に比較するために、スペクトルを1つの数、即ち、R/B比にまとめることができる。R/B比は、青色発光体のピーク波長におけるEL強度で、赤色発光体のピーク波長におけるEL強度を割ったものである。これは、赤色と青色の発光の比を表す。高いR/B比を有するプローブ位置は、この空間的位置に大多数の青色励起子が存在することを示す。R/B比が低ければ、青色光は、赤色感知層によってクエンチされない青色励起子に由来しており、この空間的位置には青色励起子は殆ど存在しない。図11Bは、図11AのデバイスのR/B比のプロットである。R/B比は、青色励起子がEMLのETL側ではなくHTL-EML界面332、または、EMLの中央に存在することを示す。
【0119】
良好な励起子プロファイルを有することに加えて、青色リン光デバイスは、様々な電荷電流密度(電場強度)に対して安定でなければならない。デバイスの電流密度の関数として、R/B比をモニタリングすることにより、デバイスの電荷安定性をモニターすることができる。図12は、電流密度1、10、及び100mA/cmで測定した、図11A及び11Bの同一の3つのデバイスのR/B比である。異なる動作電流密度間の比較を可能にするために、R/B比は、各電流密度に対して規格化する。図12において、励起子プロファイルは、電流密度に大きく依存している。これは、安定したデバイスの作製には、理想的ではない。これに代えて、励起子プロファイルが略一定で、デバイスの中央に集中している方がよい。
【0120】
安定な青色リン光デバイスの設計方法の一例として、発光体2を使用することができる。発光体2は、デバイス中で460nmの発光のピーク波長又はPMMA中で452nmの発光のピーク波長と、ドロップキャストPMMAにおいて70%のPLQYを有する青色リン光発光体である。図10に示すデバイス構造を用いて、発光体2の量を10体積%に維持しつつ、発光層を構成するホスト化合物を変えた。デバイス結果を、以下の表4に示す。表4のデバイス結果に加えて、赤色リン光プローブ層デバイスを実施した。電流密度の関数としてのR/B比の結果を、図13A図13Dに示す。図13A図13B図13C、及び図13Dはそれぞれ、実験デバイス2a、2b、2c、及び2dのR/B比プロットであり、そのEML組成を表4に示す。以下、これらの2つの図に含まれる結果と、安定な青色リン光OLEDを作製するためのそれらの意味について述べる。
表4:デバイスデータ表。EML組成を記載する。他の全ての層の情報は、図10に特定されている。寿命は、加速係数を1.8と仮定して計算される。
【表4】
【0121】
ホスト化合物Cmp2及びCmp3を特徴とするデバイスは、単一ホスト成分デバイスであり、Cmp2はe-ホストであり、Cmp3はh-ホストである。Cmp2を有するデバイスは、安定な青色リン光デバイスとするための第1の要件が満たされていることを示す、発光体2によるエキサイプレックス発光の証拠がない。特筆すべき点が幾つかある。第1に、このデバイスの効率は非常に低い。第2に、10mA/cmでの電圧が非常に低く、これは良い点である。第3に、図13AにおけるR/B比は、励起子が全てEBL-EML界面332に積み重なっていることを示している。この結論は、EBLなしで同じデバイスを作製することによって確認される。10mA/cmでのEQEは、0.8%に減少し、ELスペクトルは、HTL層からの発光を有することが観察される。これらの2つの現象は、HTLによる発光体2の顕著なクエンチを示している。
【0122】
単一成分e-ホストデバイスとは対照的に、単一成分h-ホストは、著しく高いEQEを有する。しかしながら、このデバイスは、動作電圧が高い。更に、図13Bに示すように、低電流密度での励起子プロファイルは良好であるが、このプロファイルは、電流密度の変化に対して安定ではない。
【0123】
これは、図4と等価なエネルギー準位を有するデバイスの使用につながる。このデバイスは、Cmp3とCmp2の両方で構成される。電子及び正孔伝導ホストの両方を使用すると、10mA/cmで、2つの単一成分デバイスの中間値のEQEを有するデバイスが得られる。しかし、1,000ニトでの寿命は、単一成分デバイスのいずれよりも長い。図13Cにおいて見られるように、励起子プロファイルは、理想的ではないEBL-EML界面332にあり、EQEが単一正孔輸送デバイスより低い理由の説明となり得る。これは、電子伝導ホスト体積分率を低下させることによって、EMLの中央にシフトさせることができる。にもかかわらず、デバイスの寿命は、単一成分デバイスの寿命よりも著しく延びる。
【0124】
Cmp3:Cmp2 40%のデバイスの良好な電子輸送に対処するために、更なるh-ホストを添加することができる。ホスト成分のエネルギー論を、図7に示す。この更なるh-ホストは、電子伝導ホスト又は発光体とのエキサイプレックスを形成することなく、できるだけ浅いHOMO準位を有するべきである。これは、第2のホストのHOMO準位(図7)と電子伝導性の第1のホストのLUMOとの間のエネルギー差が、発光体1の三重項エネルギー(図7)よりも大きいことを必要とする。この更なるホストの追加は、正孔輸送を追加し、励起子プロファイルをEBL-EML界面332から遠去ける。また、正孔伝導性の上昇は、より低い動作電圧をもたらすことが予想される。これは、表2において、第4のデバイスで観察されることである。発光層へのCmp4の添加は、電圧を低下させ、EQEを上昇させる。図13Dにおいて、励起子プロファイルがEMLの中心に移動することが分かる。更に、この励起子プロファイルは、電流密度に対して安定であり、駆動電流密度に伴ってプロファイルが殆ど変化しないことが分かる。最後に、このデバイスは、EQE、動作電圧、及び寿命の最良の組合せを有する点を特筆する。Cmp4の添加は、1000ニトでのデバイスLT80の安定性を大きく変化させなかった。
【0125】
表4における赤色プローブされたデバイスとデバイス結果からのの全体的な結論は、EMLの組成を管理することがデバイス性能を大幅に改善できることを示す。しかし、理想的な組成は、発光体によって変わり得る。例えば、以下の表5において、様々なEML組成の場合における発光体3のデバイス性能を示す。各デバイスのEML組成は、図10の残りの層と共に表に記載されている。この場合、それぞれデバイス3b、3c、及び3dで示される図4図6B、及び図13と同様のエネルギー準位配列を有するデバイスを使用することによって、デバイス性能を単一ホストの場合に対して改善することができる。
表5:デバイスデータ表。EML組成を記載する。他の全ての層の情報は、図10に特定されている。
【表5】
【0126】
表5は、次の重要な情報を強調している。第1に、40%ドーピングで発光層において化合物2を使用することは、10mA/cmのEQEを低下させるが、発光体2と同様に寿命を延ばし、動作電圧を低下させる。しかしながら、発光体3に関しては、化合物4の発光層への添加が、正孔輸送を発光層に与え、単一ホストデバイスに対してEQEを上昇させ、寿命を延ばし、動作電圧を低下させる。発光体2と同様に、化合物10、化合物2、及び化合物4を発光層に使用する場合、発光体3は、最良のEQE、寿命、及び動作電圧となる。
【0127】
本明細書に開示するOLEDは、消費者製品、電子部品モジュール、及び照明パネルの1つ以上に組み込まれることができる。
他の材料との組合せ
【0128】
有機発光デバイス中の特定の層に有用として本明細書において記述されている材料は、デバイス中に存在する多種多様な他の材料と組み合わせて使用され得る。例えば、本明細書において開示されている発光性ドーパントは、多種多様なホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極、及び存在し得る他の層と併せて使用され得る。以下で記述又は参照される材料は、本明細書において開示されている化合物と組み合わせて有用となり得る材料の非限定的な例であり、当業者であれば、組み合わせて有用となり得る他の材料を特定するための文献を容易に閲覧することができる。
伝導性(導電性)ドーパント:
【0129】
電荷輸送層は、伝導性ドーパントでドープされ、電荷キャリアの密度を大きく変え、それによりその伝導性を変えることとなる。伝導性は、マトリックス材料中の電荷キャリアを生成することで、又はドーパントのタイプに応じて増加され、半導体のフェルミ準位における変化も達成することができる。正孔輸送層は、p型伝導性ドーパントでドープされることができ、n型伝導性ドーパントは、電子輸送層中に用いられる。
【0130】
本明細書において開示される材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができる伝導性ドーパントの非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。
EP01617493、EP01968131、EP2020694、EP2684932、US20050139810、US20070160905、US20090167167、US2010288362、WO06081780、WO2009003455、WO2009008277、WO2009011327、WO2014009310、US2007252140、US2015060804、US20150123047、US2012146012
【化16】
HIL/HTL:
【0131】
本発明の実施形態において使用される正孔注入/輸送材料は特に限定されず、その化合物が正孔注入/輸送材料として典型的に使用されるものである限り、任意の化合物を使用してよい。材料の例は、フタロシアニン又はポルフィリン誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フッ化炭化水素を含有するポリマー;伝導性ドーパントを持つポリマー;PEDOT/PSS等の導電性ポリマー;ホスホン酸及びシラン誘導体等の化合物に由来する自己集合モノマー;MoO等の金属酸化物誘導体;1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル等のp型半導体有機化合物;金属錯体、並びに架橋性化合物を含むがこれらに限定されない。
【0132】
HIL又はHTL中に使用される芳香族アミン誘導体の例は、下記の一般構造を含むがこれらに限定されない。
【化17】
【0133】
ArからArのそれぞれは、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基である2から10個の環式構造単位からなる群から選択され、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して、互いに結合している。各Arは、無置換であることができる、又は重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される置換基によって置換されることができる。
【0134】
一態様において、ArからArは、
【化18】
からなる群から独立に選択される。
式中、kは1から20までの整数であり;X101からX108はC(CHを含む)又はNであり;Z101はNAr、O、又はSであり;Arは、上記で定義したものと同じ基を有する。
【0135】
HIL又はHTL中に使用される金属錯体の例は、下記の一般式を含むがこれに限定されない。
【化19】
式中、Metは、40より大きい原子量を有し得る金属であり;(Y101-Y102)は二座配位子であり、Y101及びY102は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;L101は補助配位子であり;k’は、1から金属に結合し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、k’+k’’は、金属に結合し得る配位子の最大数である。
【0136】
一態様において、(Y101-Y102)は2-フェニルピリジン誘導体である。別の態様において、(Y101-Y102)はカルベン配位子である。別の態様において、Metは、Ir、Pt、Os及びZnから選択される。更なる態様において、金属錯体は、Fc/Fcカップルに対して、溶液中で約0.6V未満の最小酸化電位を有する。
【0137】
本明細書において開示される材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができるHIL材料及びHTL材料の非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。
CN102702075、DE102012005215、EP01624500、EP01698613、EP01806334、EP01930964、EP01972613、EP01997799、EP02011790、EP02055700、EP02055701、EP1725079、EP2085382、EP2660300、EP650955、JP07-073529、JP2005112765、JP2007091719、JP2008021687、JP2014-009196、KR20110088898、KR20130077473、TW201139402、US06517957、US20020158242、US20030162053、US20050123751、US20060182993、US20060240279、US20070145888、US20070181874、US20070278938、US20080014464、US20080091025、US20080106190、US20080124572、US20080145707、US20080220265、US20080233434、US20080303417、US2008107919、US20090115320、US20090167161、US2009066235、US2011007385、US20110163302、US2011240968、US2011278551、US2012205642、US2013241401、US20140117329、US2014183517、US5061569、US5639914、WO05075451、WO07125714、WO08023550、WO08023759、WO2009145016、WO2010061824、WO2011075644、WO2012177006、WO2013018530、WO2013039073、WO2013087142、WO2013118812、WO2013120577、WO2013157367、WO2013175747、WO2014002873、WO2014015935、WO2014015937、WO2014030872、WO2014030921、WO2014034791、WO2014104514、WO2014157018
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
EBL:
【0138】
電子ブロキング層(EBL)は、発光層から出る電子及び/又は励起子の数を減らすために使用されることができる。デバイス中のそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して、大幅に高い効率及び/又はより長い寿命をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、OLEDの所望の領域に発光を制限することもできる。幾つかの実施形態においては、EBL材料は、EBLインターフェースに最も近接した発光体よりも高いLUMO(真空準位により近い)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。幾つかの実施形態においては、EBL材料は、EBLインターフェースに最も近接したホストの1つ以上よりも高いLUMO(真空準位により近い)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。1つの態様においては、EBL中に用いられる前記化合物は、下記に記載されるホストの1つとして、同じ分子又は同じ官能基を含む。
更なるホスト:
【0139】
本発明の有機ELデバイスの発光層は、発光ドーパント材料として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、前記金属錯体をドーパント材料として用いる1つ以上の追加のホスト材料を含んでいてもよい。前記ホスト材料の例は、特に限定されず、ホストの三重項エネルギーがドーパントのものより大きい限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。三重項の基準が満たされれば、いずれのホスト材料もいずれのドーパントと共に用いられてもよい。
【0140】
ホスト材料として使用される金属錯体の例は、下記の一般式を有することが好ましい。
【化28】
式中、Metは金属であり;(Y103-Y104)は二座配位子であり、Y103及びY104は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;L101は他の配位子であり;k’は、1から金属に結合し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、k’+k’’は、金属に結合し得る配位子の最大数である。
【0141】
一態様において、金属錯体は、下記の錯体である。
【化29】
式中、(O-N)は、原子O及びNに配位された金属を有する二座配位子である。
【0142】
別の態様において、Metは、Ir及びPtから選択される。更なる態様において、(Y103-Y104)はカルベン配位子である。
【0143】
追加のホスト材料として使用される他の有機化合物の例は、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基であり、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して互いに結合している2から10個の環式構造単位からなる群から選択される。ここで、各基は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される置換基によって更に置換される。
【0144】
一つの態様においては、ホスト化合物は、分子中に、下記基の少なくとも1つを含む。
【化30】
【化31】
式中、R101は、水素、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したAr’のものと同様の定義を有する。kは0から20又は1から20までの整数である。X101~X108は、独立して、C(CHを含む)又はNから選択される。Z101及びZ102は、独立して、NR101、O、又はSから選択される。
【0145】
本明細書において開示されるホスト材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができる追加のホスト材料の非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。
EP2034538、EP2034538A、EP2757608、JP2007254297、KR20100079458、KR20120088644、KR20120129733、KR20130115564、TW201329200、US20030175553、US20050238919、US20060280965、US20090017330、US20090030202、US20090167162、US20090302743、US20090309488、US20100012931、US20100084966、US20100187984、US2010187984、US2012075273、US2012126221、US2013009543、US2013105787、US2013175519、US2014001446、US20140183503、US20140225088、US2014034914、US7154114、WO2001039234、WO2004093207、WO2005014551、WO2005089025、WO2006072002、WO2006114966、WO2007063754、WO2008056746、WO2009003898、WO2009021126、WO2009063833、WO2009066778、WO2009066779、WO2009086028、WO2010056066、WO2010107244、WO2011081423、WO2011081431、WO2011086863、WO2012128298、WO2012133644、WO2012133649、WO2013024872、WO2013035275、WO2013081315、WO2013191404、WO2014142472、US20170263869、US20160163995、US9466803。
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
発光体:
【0146】
発光体の例としては、特に限定されず、前記化合物が典型的に発光体材料として用いられるものであれば、いずれの化合物も用いられることができる。好適な発光体材料としては、リン光、蛍光、熱活性化遅延蛍光、即ちTADF(E型遅延蛍光とも称される;その全体を参照により本明細書に援用する米国出願第15/700,352号を参照)、三重項-三重項消滅、又はこれらの過程の組合せを介して、発光を生成することができる化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0147】
本明細書において開示される材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができる発光体材料の非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。
CN103694277、CN1696137、EB01238981、EP01239526、EP01961743、EP1239526、EP1244155、EP1642951、EP1647554、EP1841834、EP1841834B、EP2062907、EP2730583、JP2012074444、JP2013110263、JP4478555、KR1020090133652、KR20120032054、KR20130043460、TW201332980、US06699599、US06916554、US20010019782、US20020034656、US20030068526、US20030072964、US20030138657、US20050123788、US20050244673、US2005123791、US2005260449、US20060008670、US20060065890、US20060127696、US20060134459、US20060134462、US20060202194、US20060251923、US20070034863、US20070087321、US20070103060、US20070111026、US20070190359、US20070231600、US2007034863、US2007104979、US2007104980、US2007138437、US2007224450、US2007278936、US20080020237、US20080233410、US20080261076、US20080297033、US200805851、US2008161567、US2008210930、US20090039776、US20090108737、US20090115322、US20090179555、US2009085476、US2009104472、US20100090591、US20100148663、US20100244004、US20100295032、US2010102716、US2010105902、US2010244004、US2010270916、US20110057559、US20110108822、US20110204333、US2011215710、US2011227049、US2011285275、US2012292601、US20130146848、US2013033172、US2013165653、US2013181190、US2013334521、US20140246656、US2014103305、US6303238、US6413656、US6653654、US6670645、US6687266、US6835469、US6921915、US7279704、US7332232、US7378162、US7534505、US7675228、US7728137、US7740957、US7759489、US7951947、US8067099、US8592586、US8871361、WO06081973、WO06121811、WO07018067、WO07108362、WO07115970、WO07115981、WO08035571、WO2002015645、WO2003040257、WO2005019373、WO2006056418、WO2008054584、WO2008078800、WO2008096609、WO2008101842、WO2009000673、WO2009050281、WO2009100991、WO2010028151、WO2010054731、WO2010086089、WO2010118029、WO2011044988、WO2011051404、WO2011107491、WO2012020327、WO2012163471、WO2013094620、WO2013107487、WO2013174471、WO2014007565、WO2014008982、WO2014023377、WO2014024131、WO2014031977、WO2014038456、WO2014112450
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
HBL:
【0148】
正孔ブロッキング層(HBL)を使用して、発光層から出る正孔及び/又は励起子の数を低減させることができる。デバイス中のそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して大幅に高い効率及び/又はより長い寿命をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、OLEDの所望の領域に発光を制限することもできる。幾つかの実施形態においては、HBL材料は、HBLインターフェースに最も近接した発光体よりも低いHOMO(真空準位から更に離れて)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。幾つかの実施形態においては、HBL材料は、HBLインターフェースに最も近接したホストの1つ以上よりも低いHOMO(真空準位から更に離れて)及び/又は高い三重項エネルギーを有する。
【0149】
一態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、上述したホストとして使用されるものと同じ分子を含有する。
【0150】
別の態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含有する。
【化43】
式中、kは1から20までの整数であり;L101は他の配位子であり、k’は1から3までの整数である。
ETL:
【0151】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送することができる材料を含み得る。電子輸送層は、真性である(ドープされていない)か、又はドープされていてよい。ドーピングを使用して、伝導性を増強することができる。ETL材料の例は特に限定されず、電子を輸送するために典型的に使用されるものである限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。
【0152】
一態様において、前記ETL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含有する。
【化44】
式中、R101は、水素、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。ArからArは、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。kは1から20までの整数である。X101からX108はC(CHを含む)又はNから選択される。
【0153】
別の態様において、前記ETL中に使用される金属錯体は、下記の一般式を含有するがこれらに限定されない。
【化45】
式中、(O-N)又は(N-N)は、原子O、N又はN、Nに配位された金属を有する二座配位子であり;L101は他の配位子であり;k’は、1から金属に結合し得る配位子の最大数までの整数値である。
【0154】
本明細書において開示される材料と組み合わせて、OLED中に用いられることができるETL材料の非制限的な例は、これらの材料を開示する文献と共に下記に例示される。CN103508940、EP01602648、EP01734038、EP01956007、JP2004-022334、JP2005149918、JP2005-268199、KR0117693、KR20130108183、US20040036077、US20070104977、US2007018155、US20090101870、US20090115316、US20090140637、US20090179554、US2009218940、US2010108990、US2011156017、US2011210320、US2012193612、US2012214993、US2014014925、US2014014927、US20140284580、US6656612、US8415031、WO2003060956、WO2007111263、WO2009148269、WO2010067894、WO2010072300、WO2011074770、WO2011105373、WO2013079217、WO2013145667、WO2013180376、WO2014104499、WO2014104535.
【化46】
【化47】
【化48】
電荷発生層(CGL)
【0155】
タンデム型、又は積層型のOLED中で、CGLは、性能において重要な役割を果たし、それぞれ、電子及び正孔の注入ためのn-ドープ層及びp-ドープ層からなる。電子及び正孔は、前記CGL及び電極から供給される。前記CGL中の消費された電子及び正孔は、それぞれカソード及びアノードから注入された電子及び正孔によって再び満たされ、その後バイポーラ電流が徐々に安定した状態に達する。典型的なCGL材料は、輸送層で用いられるn型及びp型伝導性ドーパントを含む。
【0156】
OLEDデバイスの各層中に使用される任意の上記で言及した化合物において、水素原子は、部分的に又は完全に重水素化されていてよい。故に、メチル、フェニル、ピリジル等であるがこれらに限定されない任意の具体的に挙げられている置換基は、それらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンを包含する。同様に、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール等であるがこれらに限定されない置換基のクラスは、それらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンも包含する。
【0157】
本明細書において記述されている種々の実施形態は、単なる一例としてのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。例えば、本明細書において記述されている材料及び構造の多くは、本発明の趣旨から逸脱することなく他の材料及び構造に置き換えることができる。したがって、特許請求されている通りの本発明は、当業者には明らかとなるように、本明細書において記述されている特定の例及び好ましい実施形態からの変形形態を含み得る。なぜ本発明が作用するのかについての種々の理論は限定を意図するものではないことが理解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0158】
【文献】米国特許第5,844,363号明細書
【文献】米国特許第6,303,238号明細書
【文献】米国特許第5,707,745号明細書
【文献】米国特許第7,279,704号明細書
【符号の説明】
【0159】
100 有機発光デバイス
110 基板
115 アノード
120 正孔注入層
125 正孔輸送層
130 電子ブロッキング層
135 発光層
140 正孔ブロッキング層
145 電子輸送層
150 電子注入層
155 保護層
160 カソード
162 第一の導電層
164 第二の導電層
170 バリア層
200 反転させたOLED、デバイス
210 基板
215 カソード
220 発光層
225 正孔輸送層
230 アノード

図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15