(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ステントを固定するためのシステムおよび装置
(51)【国際特許分類】
A61F 2/04 20130101AFI20240820BHJP
【FI】
A61F2/04
(21)【出願番号】P 2022506544
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(86)【国際出願番号】 US2020055022
(87)【国際公開番号】W WO2021076419
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-01-31
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】タック、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】フォラン、マーティン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】キーティング、トーマス エム.
(72)【発明者】
【氏名】バーク、マーティン
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-522595(JP,A)
【文献】特表2014-521390(JP,A)
【文献】特表2017-527388(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0298560(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0325983(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0087146(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイパスシステムの一部としての装置において、
前記装置は、
体管腔内で使用するための長尺チューブ状の本体を備える装置であって、前記体管腔は第一の流路と第二の流路との間の流れを制御する締め付け部分を備え、
近位端および遠位端を備えるステントと、
前記ステントに連結され、かつ、可撓性の膜で形成されるスリーブであって、前記スリーブはスリーブを通る流れが制限される締め付けられた形態、およびスリーブを通る流れが可能にされる拡張した形態に適合するように構成されるスリーブと、を備え、
前記ステントおよび前記スリーブは共に前記長尺チューブ状の本体を通る流路を提供し、
前記ステントは前記スリーブの近位端に連結された近位ステントおよび前記スリーブの遠位端に連結された遠位ステントを含む複数のステントの内の一つであり、前記近位ステント、前記遠位ステント、またはその両方は前記長尺チューブ状の本体を前記体管腔に取り付けるために構成されたフレアを少なくとも一つ含み、
前記バイパスシステムは、
バイパススリーブの近位端で前記長尺チューブ状の本体の前記遠位ステントに連結されたバイパススリーブと、
前記バイパススリーブの遠位端に連結された第二の長尺チューブ状の本体とを含み、
前記第二の長尺チューブ状の本体は第二の体管腔内で使用するために構成され、前記第二の体管腔は前記第二の流路と第三の流路との間の流れを制御する第二の締め付け部分を備え、前記第二の長尺チューブ状の本体は
近位端および遠位端を有する第二のステントと、
前記第二のステントに連結され、かつ、第二の可撓性の膜から形成された第二のスリーブとを含み、前記第二のスリーブは第二のスリーブを通る流れを可能にする拡張した形態と前記第二のスリーブを通る流れが制限される締め付けられた形態との間を推移するように構成され、
前記スリーブおよび前記第二のスリーブは前記第一の流路、前記第二の流路および前記第三の流路からなる流路内に前記バイパススリーブを保持するため、それぞれの締め付け部分および第二の締め付け部分、および複数のステントと協働する、バイパスシステムの一部としての装置。
【請求項2】
前記装置は、
近位端および遠位端を備える近位ステントと、
近位端および遠位端を備える遠位ステントと、
を備えるものであり、
前記スリーブは、前記近位ステントの前記遠位端および前記遠位ステントの前記近位端に連結され、かつ
、前記近位ステントの前記遠位端の少なくとも一部および前記遠位ステントの前記近位端の少なくとも一部上のコーティングとして形成され、
前記近位ステントまたは前記遠位ステントの少なくとも一方は、剛性および/または半剛性のステント構造を形成するように組み合わされた1つ以上のストラット部材を有し、
前記スリーブは、前記体管腔の前記締め付け部分内に位置決めされて、前記近位ステントが前記締め付け部分の近位側に隣接した組織に固定されたまま、かつ前記遠位ステントが前記締め付け部分の遠位側に隣接する組織に固定されたまま、前記スリーブを通る流れが制限される、前記締め付け部分の締め付けられた形態と、前記締め付け部分および前記スリーブを通る流れが可能にされる、拡張した形態とに適合するように構成され
る、
請求項1に記載のバイパスシステムの一部としての装置。
【請求項3】
前記近位ステント、前記遠位ステント、またはその両方は、少なくとも一つのフレアを備え、前記フレアは、拡張したスリーブの直径、前記近位ステントもしくは前記遠位ステントの直径、またはその両方を超過する直径を有する、請求項
2に記載の
バイパスシステムの一部としての装置。
【請求項4】
前記近位ステント上および/または前記近位ステントによって形成され、かつ、前記スリーブの近位端に連結された近位フレア、および、前記遠位ステント上および/または前記遠位ステントによって形成され、かつ、前記スリーブの遠位端に連結された遠位フレアを含む、請求項
2または3に記載の
バイパスシステムの一部としての装置。
【請求項5】
前記スリーブの長さは前記体管腔の前記締め付け部分の軸線方向の長さに関連し、前記近位フレアは前記第一の流路内で前記体管腔の組織に取り付けられるように構成され、前記遠位フレアは前記第二の流路内で前記体管腔の組織に取り付けられるように構成され、前記近位フレアおよび前記遠位フレアは大きさ、形状、長手方向の範囲またはパターンまたはそれらの組み合わせにおいて異なる、請求項4に記載の
バイパスシステムの一部としての装置。
【請求項6】
前記可撓性の膜は前記体管腔の前記締め付け部分によって提供される力に対応して前記拡張した形態と前記締め付けられた形態との間を推移するように構成された材料からなる、請求項
2または3に記載の
バイパスシステムの一部としての装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つのフレアは複数のフレアからなり、前記複数のフレアの内の少なくとも二つのフレアは直径において異なる、請求項
2または3に記載の
バイパスシステムの一部としての装置。
【請求項8】
前記体管腔の前記締め付け部分は括約筋を備え、前記スリーブは前記括約筋が開いた時の前記拡張した形態と前記括約筋が閉鎖した時の前記締め付けられた形態との間を推移するように構成されている、請求項
2または3に記載の
バイパスシステムの一部としての装置。
【請求項9】
前記括約筋は食道括約筋、胆膵管括約筋または幽門括約筋からなる、請求項8に記載の
バイパスシステムの一部としての装置。
【請求項10】
前記近位ステントおよび前記遠位ステントは金属、金属合金、ポリマー、金属-ポリマー複合体、セラミック、またはそれらの組み合わせからなる、請求項
2または3に記載の
バイパスシステムの一部としての装置。
【請求項11】
前記可撓性の膜はシリコーンを含む可撓性のポリマーのグループから選択された材料から作製される、請求項
2または3に記載の
バイパスシステムの一部としての装置。
【請求項12】
前記スリーブは20μmと150μmとの間の範囲で一定または可変の厚さの内の一方を有するチューブを備える、請求項
2または3に記載の
バイパスシステムの一部としての装置。
【請求項13】
前記近位ステントおよび前記遠位ステントはチューブ状の骨格、コーティング、メッシュまたはそれらの組み合わせの内の一つからなる治療部分を備える、請求項
2または3に記載の
バイパスシステムの一部としての装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は移植可能な医療装置および、より具体的には、食道および/または胃腸管治療のためのステント、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
持続性食道嚥下障害(嚥下困難)は食道の組織を狭め、または堅く締め、それにより食道通路の直径を縮小する食道狭窄によって引き起こされ得る。食道狭窄は、経時的に食道通路を狭め、体重減少、栄養失調および脱水症状を引き起こす可能性がある炎症および瘢痕組織の蓄積をもたらす、胃酸および刺激物の食道への逆流が原因となり得る。
【0003】
食道狭窄の治療はバルーン拡張のような非侵襲的な治療を必要とし得る。バルーンは、狭窄の近位に配置され、狭窄を広げることにより食道を開くために膨張される。一般的に、本治療は多数の手順を一定の間隔で繰り返されなければならない。あるいは、拡張可能な食道ステントがそこを流れる食物および他の流体の通路を提供するために使用され得る。食道のステント術は食道の生体構造を回復するために食道への編組ステントの挿入を必要とする。
【0004】
食物および液体を胃領域へ移動させる食道筋肉の習慣的な蠕動運動がステントを治療箇所から移動させ、治療の効力を減少させ得るため、食道ステント術に関して一つの問題が発生する。
【発明の概要】
【0005】
様々な実施形態における本開示は一般的に胃腸組織を扱うために使用され得るステント、システムおよび方法に関する。特に、本開示は、習慣的に使用している間にステントが移動する可能性を低減させるため括約筋を含む体管腔の保持力を利用するよう構成された長尺チューブ状の本体を含む胃腸の治療装置に関する。
【0006】
一態様によれば、装置は体管腔内における使用のため長尺チューブ状の本体を含み、前記体管腔は第一の流路と第二の流路との間の流れを制御する締め付け部分を含む。前記装置はまた、近位端および遠位端を有するステントおよび、ステントと連結し、可撓性の膜で形成されたスリーブを含む。スリーブはスリーブを通る流れが可能な拡張した形態とスリーブを通る流れが制限された締め付けられた形態との間を推移するよう構成されている。ステントおよびスリーブは共に長尺チューブ状の本体を通る流路を提供する中央の管腔を規定する。
【0007】
様々な実施形態において、ステントは拡張したスリーブの直径、ステントの直径または両方を超過するフレアの直径を有する少なくとも一つのフレアを含み得る。ステントはスリーブの近位端に連結した近位ステントおよびスリーブの遠位端に連結した遠位ステントを含む複数のステントの一つであり得る。近位ステント、遠位ステントまたは両方は少なくとも一つのフレアを含み得る。装置は、近位ステントによって形成され、かつ、スリーブの近位端に連結した近位フレア、および遠位ステントによって形成され、かつ、スリーブの遠位端に連結した遠位フレアを含み得る。スリーブの長さは体管腔の締め付け部分の軸線方向の長さと関連し得る。近位フレアは第一の流路で体管腔の組織に取り付けるように構成され得る。遠位フレアは第二の流路で体管腔の組織に取り付けるように構成され得る。ステントは複数のフレアを含み、複数のフレアのうち少なくとも二つのフレアの直径は異なる。
【0008】
可撓性の膜は体管腔の締め付け部分によって提供される力に対応して拡張した形態と締め付けられた形態との間を推移するように構成された材料からなり得る。体管腔の締め付け部分は括約筋でもよく、ステントは複数のステントの一つでもよい。スリーブは括約筋が開いた時の拡張した形態と括約筋が閉鎖したときの締め付けられた形態との間を推移するように構成され得る。括約筋は、例えば、食道括約筋、胆膵管括約筋、回盲弁または幽門括約筋でもよい。ステントは金属、金属合金、ポリマー、金属-ポリマー複合体、セラミックまたはそれらの組み合わせで形成され得る。可撓性の膜はシリコーンからなり得る。スリーブは20μmから150μmまでの間の範囲で一定のまたは可変の厚さのうち一方を有するチューブからなり得る。ステントはチューブ状の骨格、コーティング、メッシュまたはそれらの組み合わせの一つを含む治療部分を含み得る。
【0009】
別の態様によれば、システムは一対の長尺状の本体を含む。第一の長尺状の本体は第一の体管腔に取り付けられるように構成され、第二の長尺状の本体は第二の体管腔に取り付けられるように構成される。第一の体管腔および第二の体管腔は各々流路を制御する括約筋を含む。システムは第一の長尺状の本体を第二の長尺状の本体に連結するバイパススリーブを含む。各々の長尺状の本体は近位端および遠位端、およびステントに連結され可撓性の膜で形成されたスリーブを有するステントを含む。スリーブはスリーブを通る流れが可能な拡張した形態と、スリーブを通る流れが制限された締め付けられた形態との間を推移するように構成される。スリーブは流路を制御する括約筋およびステントと協働して一対の長尺状の本体の間にバイパススリーブを保持する。
【0010】
様々な実施形態において、流路を制御する括約筋は食道括約筋および幽門括約筋を含む。第一の長尺状の本体または第二の長尺状の本体のいずれか一方または両方はステントの直径を超過した直径を有するフレア部分を含み得る。可撓性の膜はシリコーンからなり得る。
【0011】
さらなる態様によれば、体管腔の特徴を利用してステントを固定する方法は以下の工程を含む。第一の器官を第二の器官に連結する体管腔内に長尺状の構造を配置する。体管腔の少なくとも一部は締め付けおよび拡張するように構成される。長尺状の構造は可撓性のスリーブが体管腔の組織に取り付けられることを防止するよう構成された可撓性のスリーブ、および可撓性のスリーブに連結され以下によって体管腔に取り付けられるよう構成された少なくとも一つのステントを含む。デリバリーカテーテルから締め付けおよび拡張する体管腔の部分の近位の位置に少なくとも一つのステントを解放する。そして、デリバリーカテーテルから可撓性のスリーブを解放して、締め付けおよび拡張する体管腔の部分と可撓性のスリーブを整列させ、体管腔の締め付けによって体管腔内の長尺状構造の保持を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示の限定しない実施形態は例として添付の図を参照して説明されるが、図は縮尺通りに描かれたことを意図するものではない。図において各々同一にまたは概ね同一に示された構成要素は一般には単一の数字で表される。明瞭さを目的として、全ての構成要素が全ての図において表示されるわけではなく、当業者が本開示を理解するために図解が必ずしも必要でない場合には、各々の実施形態の全ての構成要素が示されるわけではない。さらに、図のいくつかは「部分」断面図、または「近視」断面図を含み、「真の」断面図では視認されるはずの特定の背景線または特徴は図解の明瞭さのため省略されている。図面において、
【0013】
【
図1A】本開示の実施形態による治療装置の透視図である。
【
図1B】本開示の実施形態による治療装置の透視図である。
【
図1C】本開示の実施形態による治療装置の透視図である。
【
図2】本開示の実施形態に従って、
図1Aから
図1Cの治療装置を目的の治療箇所に搬送するために使用され得るデリバリーシステムの一実施形態を示す。
【
図3】本開示の実施形態で開示されているような治療装置を支持する一実施形態のデリバリーカテーテルの遠位先端の断面図である。
【
図4】下部食道括約筋にまたがって配置した後の治療装置の一実施形態を示す。
【
図5】胆膵管括約筋にまたがって配置した後の治療装置の一実施形態を示す。
【
図6】本開示の実施形態で開示されたようなバイパスシステムの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示はここで述べられる特定の実施形態に限定されない。ここで使用される専門用語は特定の実施形態を説明するのみの目的で使用され、添付の特許請求の範囲を超えて限定されることを意図するものではない。そのほか定義しない限り、ここで使用されるすべての技術用語は本開示が属する分野の当業者によって共通して理解される意味と同じである。
【0015】
一態様によれば、治療装置を保持するために体管腔の締め付け構造を利用することで、治療装置が体管腔内に固定される。例えば、体管腔の締め付け構造は括約筋からなり、治療装置には括約筋と協調して動くように構成された可撓性のスリーブが含まれ、治療装置を固定して前記スリーブを通る流路を制限する。スリーブの可撓性により、スリーブと括約筋との干渉が減少するため、括約筋の働きを維持することができる。括約筋が閉じたとき、括約筋からスリーブへ保持力が加わることにより、治療装置が固定され、かつ、蠕動力の効果と治療装置が移動する可能性とが低減される。
【0016】
固定機構を含んだ治療装置のこれらおよびその他の有益な態様は以下に述べられる。本開示が胃腸の括約筋への言及に限って述べられたとしても、ここで開示される動作原理は固定する目的のために締め付け力を利用するあらゆる体管腔に容易に応用されることに注意すべきである。
【0017】
ここで使用されるように、「遠位」という用語は医療装置を患者に導入する際に医療従事者から最も遠く離れた端部を意味し、「近位」という用語は医療装置を患者に導入する際に医療従事者から最も近い端部を意味する。
【0018】
図1Aから
図1Cはここで開示されたような治療装置100の一実施形態の透視図である。
図1Aは近位端105および遠位端135を有する長尺チューブ状の本体を備えた治療装置100の側面図である。治療装置100は可撓性のスリーブ125によって結合された近位ステント110および遠位ステント130を含むように示される。中央の管腔150は近位ステント110、スリーブ125および遠位ステント130を通って延びている。近位ステント110および遠位ステント130はともに示されているが、近位又は遠位ステントのいずれか一方または両方を有する組織治療装置は本開示の範囲内にあるとみなされる。
【0019】
一応用例では、治療装置100は目的の治療箇所に配置された近位ステント110または遠位ステント130のうちの一方または両方および括約筋のような体管腔の締め付け機構を横切って配置された可撓性のスリーブ125を伴って、前記体管腔内に位置決めされる。可撓性のスリーブ125は、括約筋と協働して移動するように構成され、括約筋が閉鎖位置にあるときに、スリーブ125を圧縮および固定する(それに伴って治療装置100を固定する)。このようにスリーブ125を固定することによって体管腔の蠕動運動に起因する移動力から治療装置を守ることにより、治療装置の保持および効能が改善される。近位フレア120、遠位フレア133および治療フレア115などの、長尺状本体から放射状に延びるフレアによって、治療装置100にはさらなる固定が提供される。一実施形態では、治療フレア115は長尺チューブ状の本体の治療部分112を治療箇所の最も近くに保持することを補助するようにしてもよい。近位フレア120および遠位フレア133は、スリーブ125を括約筋内に保持することを補助し、体管腔の筋肉組織を利用して治療装置100の治療部分112を治療箇所の最も近くに保持することをさらに補助する。フレア120,133の形状は体管腔の形状および/またはフレアの目的に基づいて選ばれることが認識される。例えば、フレア120は不快感や閉塞感のない食道での使用において十分な保持を提供するより丸みを帯びた球形状のフレアからなり、一方、フレア133はより角がありより幅が広いフレアを含むが、この後さらに詳細に述べるように食道括約筋の下方で胃の中に保持される治療装置100の保持を改善する。
【0020】
ここで開示されたような治療装置は、無数に存在する病気を治療するための、抗遊走性に関する一貫した継続可能なアプローチのための、GI疾患の治療用システムおよび方法の一部であってもよい。上述したように、この治療装置は一つ以上のステントを含んでもよい。一つ以上のステントのそれぞれは第一の端部とそれとは反対側の第二の端部とを有するチューブ状の骨格を含み、管腔は第一および第二の端部の間に延びる。一実施形態では、近位ステントまたは遠位ステントのうちの一方または両方は、これに限定されないが、管腔狭窄(例えば腫瘍の成長による狭窄や外科的な要因など)やGIバイパス合併症(例えば肥満のリーク治療後)を含む無数の病態の治療のために、胃腸管(GI)全体に最小限に侵襲的な方法で広く使用されるもののように、自己拡張型金属ステント(SEMS)から構成されていてもよい。
【0021】
SEMSは治療中の疾患に応じて、取り外し可能にしたり、常置したりしてもよいが、それは耐久性のあるコーティングの有無によって一般的に定義される取り外し可能性を有している。常置のSEMSは、GI管内に位置するとき、管の過形成が刺激されることによる管組織の内殖を許容するコーティングを備えていなくてもよい。最終的にSEMSは組織の内殖の結果として定位置に埋め込まれる。
【0022】
いくつかの実施形態において、近位または遠位ステントの一つもしくは両方はバルーンや自己拡張するものであってもよい。自己拡張ステントの例は一つ以上の剛性のおよび/または半剛性のステント構造を形成するように組み合わされたストラット部材を有するステントを含んでもよい。例えば、ストラット部材は骨格を形成するために、編み込まれたり、巻き付けられたり、織り込まれたり、編み合わされたり、織られたり、編まれたり、輪にされたり(例えばボビネットスタイル)した一つまたはそれ以上のワイヤやフィラメントであってもよい。あるいは、このステントは単一の円筒チューブ状のレーザーカットされたニチノール製チューブ状部材のような、円筒チューブ状部材から形成されたモノリシック構造であってもよく、チューブ状の部材の残りの部分によってストラット部材が形成される。ステントの壁の開口や隙間は隣接したストラット部材間に規定される。
【0023】
ステントは制限なく様々な材料から作られてもよい。例えば、バルーンや自己拡張するもののとき、ステントは金属からつくられてもよい(例えば、ニチノール、エルジロイ、ステンレス鋼、コバルトクロム、正温度計数の抵抗率など)。ほかの例では、ステントはポリマー材料から作られてもよい(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリ(メタクリル酸メチル))。さらにほかの例では、ステントは金属とポリマー材料との組み合わせから作られてもよい。まださらにほかの例では、ステントは生体吸収性および/または生分解性の材料を含んでもよい(例えばポリ(乳酸・グリコール酸)コポリマー)。追加の実施形態、ならびに、近位および/または遠位のステントを形成するために使われてもよい材料は、この後に示される。
【0024】
一実施形態において、スリーブ125はシリコーンのような可撓性のポリマーでつくられてもよい。いくつかの実施形態では、長尺チューブ状の本体は一つ以上の間隔をおいて配置された複数のステントをマンドレル上で成形すること、および、間隔をおいて配置された複数のステントをシリコーン材料でコーティングすることによって形成され、ステントの間の間隔をおいた領域にスリーブ125を製造している。いくつかの実施形態では、スリーブは固体のシリコーンシリンダからなる。ほかの実施形態では、スリーブの動きが容易になるように、スリーブは開口(スリット、溝など)を備えている。この開示はシリコーンや、限定しないが、PTFE、ETFE、FEP、ポリウレタン、PVC、ポリエーテルエステル(例えばARNITEL(登録商標))、PEBAX、PE、PEEK、PFA、PVDE、Chronoflex、Marlexおよび上記の混合物を含む他の可撓性材料で形成されたスリーブに限定されない。
【0025】
上述したように、それぞれのステントは治療装置100が所望の治療箇所で保持されることを補助するように構成された一つ以上のフレアを含んでもよい。一般的に、フレアの直径、軸線方向の長さ、および形状は、ステントが配置された器官との干渉がない括約筋の両側の筋肉組織によって治療装置の保持を補助するために選択される。それぞれのフレアは一般的に隣接しているステントおよび/またはスリーブより大きい直径を有している。例えば、例示した食道の治療装置では、近位ステントの直径は14mmから25mmの間の範囲でよく、フレアの直径はその近位ステントの直径を3から5mmだけ増やしたものでもよい。
【0026】
図1Bは
図1Aの1B-1B線に沿った治療装置100の断面図である。遠位ステント130の遠位フレア133の直径に該当する直径D(遠位フレア)はスリーブ125の直径D(スリーブ)を超える。このように、遠位フレアは使用中に体管腔の締め付け部分を横切ってスリーブ125を固定する働きをする。
【0027】
図1Cは
図1Aの1C-1C線に沿った治療装置100の断面図である。
図1Cに示すように、遠位フレア133と類似して、近位フレア120の直径D(近位フレア)は、スリーブ125の直径D(スリーブ)はもちろんのこと、近位ステント110の治療部分112の直径D(治療部分)も超える。このような配置により、近位フレア120は使用中に近位ステント110とスリーブ125との位置を保持する助けとなり得る。
【0028】
治療部分112、スリーブ125およびフレア133、120、115を含む治療装置の特徴の軸線方向の長さ、直径、形、数および間隔は治療装置によって提供することを意図した治療の場所、型式または範囲の機能として選択されてもよいことが認識される。ここで、「軸線方向の長さ」とは治療装置の近位端105から遠位端135まで延びる中央の管腔150によって定義される軸線に沿った特徴の長さを意味する。例えば、食道ステント術で使用する治療装置100は患者の生体構造をもとに選ばれた、例えば16mmから150mmの範囲の軸線方向の長さL(治療部分)の治療部分112を有する。フレア115、120および133の大きさ、形、間隔および範囲は治療装置が配置されることを意図した特定の器官に従ってカスタマイズされ得る。
【0029】
例えば、フレア115および120によって食道内に固定される治療装置100は食道のステント治療部分112とフレア115とを含む。下部食道括約筋(LES)をまたがって配置されることが可能なスリーブ125によってさらに固定が補助される。このような実施形態では、スリーブ125の軸線方向の長さL(スリーブ)は、括約筋に隣接している器官の組織に対して露出された近位ステント110および遠位ステント130を残している間、スリーブが括約筋内で締め付けられるようにLESの生体構造に基づいて選択され得る。そのことによって、フレア120および133は中に引っ張られたり括約筋の運動を妨げたりすることなく組織に係合することが許容される。例えば様々な実施形態では、LESを横切って使用するスリーブの長さL(スリーブ)は約2cmから約8cmの範囲であり得る。
【0030】
近位フレア120の軸線方向の長さL(近位フレア)、形、直径は食道に取り付けられるものとして最適化され得るが、一方、遠位フレア133の軸線方向の長さL(遠位フレア)、形および直径は胃に取り付けられるものとして最適化され得る。したがって、
図1Cに示したように、より狭い食道通路とは対照的により大きい胃の器官の中で装置を保持するため、遠位フレア133の直径は近位フレア120の直径よりも大きい。フレア133の形および傾斜は最適な保持を提供するために胃の生体構造に基づいてさらに選択され、したがって、近位フレア120とは異なった形および大きさからなる。治療フレア115の長さL(治療フレア)、直径および形は、例えば食道内の所望の位置に近位ステント110の治療部分112を保持することのような、意図された目的のためにさらに最適化される。
【0031】
スリーブ125は厚さT(スリーブ)を有する可撓性材料から形成される。上述したように、一実施形態では、スリーブ125はシリコーンのような可撓性ポリマーから形成され得る。シリコーンのスリーブは近位および/または遠位ステントが配置されたマンドレルをシリコーンまたは他の可撓性ポリマーでコーティングすること(例えば浸漬、吹き付け等)によって形成されてもよい。一実施形態では、
図1Aから
図1Cに示されたように、コーティングは遠位ステント130および近位ステント110の間にスリーブがつくられた治療装置の全長に沿って均等に適用されてもよい。別の実施形態では、例えば近位または遠位に向かって厚さを増したり、外部に隆起を形成したり、本体の一部のみを覆ったりするように、コーティングは装置の全体に渡って不均一に適用されてもよい。他の実施形態では、スリーブは一つ以上のステントとは別に形成され、ステントに接合されたり、または別の方法で連結されたりしてもよい。いくつかの実施形態では、スリーブの厚さは浸漬処理で40-100μmの間の範囲であり、吹き付け処理では20-150μmの間の範囲であり得る。
【0032】
図2および
図3は
図1Aから
図1Cで説明したような治療装置を治療箇所へ運搬するために使用可能な典型的なデリバリーシステムを図示している。図は一つの典型的な運搬方法を説明するために併せて使用される。このデリバリーシステムは治療箇所へステントを運搬するために遠位先端232内にてステントを支持するように構成されたインナーシース226を摺動可能に受け入れるためのカプラー224を備えたアウターシース227を含む。コントロールハンドル212は、移植片を配置するために外科医によって使用される。例えばハンドル212をカプラー224へ向かって移動することによって、インナーシース226をアウターシース227の中へ前進させ、それによって治療装置を遠位先端232から解放する。
【0033】
図3は治療箇所へ治療装置100を搬送する前のデリバリーカテーテルの遠位先端232の断面図である。
図3では、インナーシース226は遠位先端232に治療装置100を配置するようにアウターシース227を通って前進させられている。インナーシース内部のシャフト338はアウターシース227の遠位先端232を通って治療装置を放出するために設けられている。
【0034】
治療箇所へ治療装置を搬送することは、ガイドワイヤの上を治療部位までデリバリーカテーテル(アウターシース227、インナーシース226および治療装置100からなる)の遠位先端を前進させることによって実施され得る。デリバリーカテーテルの遠位端232は、経口挿入により、例えば括約筋の遠位端または近位端のように、GI管内の目標箇所に隣接して配置され得る。遠位ステント130はハンドル212を遠位に前進させることによって遠位ステント130を最初に放出するように事前に決定された場所に解放され得る。さらに遠位にインナーシースが移動することによってスリーブ125を括約筋にまたがって配置することが可能になる。括約筋をまたがったスリーブの位置の正確性は視覚化技術を用いて、または、例えば括約筋の開口に対して遠位フレアの抵抗を感じるというような、張力のフィードバックによって決定され得る。一旦、スリーブが括約筋内に正確に位置していると決定されたら、近位フレアは治療箇所の近位の位置決めから解放され得る。
【0035】
図4は下部食道括約筋にまたがって配置された治療装置400の典型的な実施形態を図示している。治療装置400は
図1Aの装置と類似しており、近位ステント410、遠位ステント430および近位ステント410と遠位ステント430との間に配置された可撓性スリーブ425からなる長尺チューブ状の本体を含むように示されている。近位フレア420は食道460内の近位ステント410の遠位端に配置されていて、食道通路内で近位ステント410を保持している。遠位ステント430の遠位フレア433は胃の中に配置されており、スリーブ425を下部食道括約筋450にまたがって固定するために近位フレア420と協働している。このような配置で、本来であれば消化管の蠕動力によって発生し得る治療装置が移動する可能性を減衰するためのさらなる固定機構を提供するために、治療装置は体管腔の筋肉組織(例えば括約筋)を利用している。
【0036】
図4に示されたようなLESアンカーを含んだ治療装置は様々な医学的な応用例に使用され得る。例えば、装置は装置が移動する可能性を減らすことによって食道のステント術の効力を改善し得る。あるいは、または組み合わせて、括約筋が効果的に作用せずに、胃酸の食道への逆流によって食道組織の炎症や劣化を引きおこす状況において治療装置は使用されてもよい。可撓性シリコーン製のスリーブを含んだ治療装置を、括約筋に通して配置することにより、繊細な食道組織はこのような炎症から守られる。
【0037】
一態様によれば、改善したステント固定によってステントの効力を改善するために治療装置が修正され得ることが様々な応用例において実現している。例えば、
図5は可撓性スリーブのアンカーを胆道ステントと組み合わせた治療装置の別の応用例を図示している。胆道ステント(胆管ステントとしても知られている)は胆管の開きを維持するように設計された可撓性金属製のチューブであり、胆管が詰まったり、部分的に詰まったりした時に問題に対処するために挿入され得る。胆管に詰まり物が発生すると、消化を助ける胆汁(ビリルビン)のような流体は十二指腸に流れることができない。
【0038】
図5の実施形態では、ファーター膨大部の胆膵管括約筋550は胆管540内で治療装置500を固定するために胆管ステント治療装置500のアンカースリーブ525と協働し得る。治療装置500は近位の傘形フレア520、可撓性スリーブ525および胆道通路を開くように設計された治療ステント512に連結した遠位の球形フレア530を含むように示されている。前述したように、フレア520、530の形は、それが配置される器官の機能と干渉することなくフレア(および連結した治療装置)を保持するという二重の目的に適合するため、それらが配置される予定の特定の生体構造に基づいて選択される。
【0039】
治療装置500は内視鏡505を十二指腸内に前進させた後に内視鏡505の窓506から配置され得る。デリバリーカテーテルは、胆管の働きを回復するために胆膵管括約筋を通って胆管540の中へ装置の治療部分512を前進させ得る。スリーブ525が括約筋にわたって解放され、傘の形をしたフレア520が十二指腸の中に解放される位置であるファーター膨大部の第一側に保持フレア530が配置されるまで、装置500は前進させられ得る。それによって、括約筋内にスリーブを固定し、管540に治療装置500を固定している。このような実施形態で、フレアの直径は、6mから12mmの間の範囲である治療部分512および可撓性スリーブ525の直径を、3mから6mm拡大して選択され得る。
【0040】
図6は胃腸管に沿って治療を提供するために多数の固定ステントを使用するシステム、装置および方法の別の応用例を示している。例えば、システム600は消化されやすい材料と吸収組織構造(例えば、小腸の十二指腸および/または空腸の部分)との間のバリア機構を固定するために胃腸管の締め付け機構を利用する非侵襲的で、可逆的な胃バイパスソリューションを示している。ここで使用されるように、その他に明確に示さない限り、「バリア」は不浸透性の、半浸透性の、および浸透性の壁、表面、膜等を含むことを意図している。バリアは侵襲的手術によって患者の組織構造を変更する必要を減少または排除し得る。例えば、GI管内のチューブ状バリアは内側組織および/または消化酵素またはチューブ状バリアによって塞がれた腸の部分に沿う同様の液体との有意な(または実質的に制限された)接触なくチューブ状バリア内に物質を通過させ得る。物質(例えば胃の糜粥)とGI管との間のこのような管理され、制限され、または遅延された相互作用は体重(肥満)および/または糖尿病性合併症を軽減または少なくとも前向きな影響を及ぼすように支援し得る。例えば十二指腸全長にわたって脂肪および栄養素の摂取の防止のように、侵襲的な手術を行うことなく代謝の影響を与えるが、GI管の自然な生体構造は維持され得る。
【0041】
システム600は下部食道括約筋(LES)675によって固定される第一の治療装置610、および幽門括約筋685によって固定される第二の治療装置615を含む。第一の治療装置610および第二の治療装置615はチューブ状バリア640によって連結され得る。様々な実施形態において、チューブ状バリアはシリコーン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ゴム、これらの組み合わせ等の弾性材料からなる。チューブ状バリアはチューブ状バリアの管腔を介して物質を通過させ得る。チューブ状バリアの展性により、平滑筋はチューブ状バリアを介して物質を移動させるように蠕動波において収縮し得る。チューブ状バリアは浸透性でもよく、それによって物質の一部が装置に沿ってバリアを通り抜けることを許容する。チューブ状バリアの浸透性は、いくらかの物質を通過させ、他を制限し得る細孔の大きさによって限定され得る。チューブ状バリアは、ファイバがないバリアに比べてチューブ状バリアの剛性および/または弾性を増加させ得るナノファイバを含み得る。ナノファイバは例えば十字交差等のパターンに適合され得る。
【0042】
第一の治療装置610は遠位ステント630に可撓性のスリーブ625によって連結された近位ステント620からなる。上述したように、ステントはニチノール等で作成されたチューブ状の骨格から形成され得る。そして、スリーブはシリコーンで形成され得る。上述したように、近位ステントおよび/または遠位ステントは食道内の第一の治療装置の保持を援助するために構成された一つ以上のフレアを有して構築され得る。第一の治療装置の遠位ステント630はチューブ状バリア640に接着、縫合、または別の方法で連結され得る。
【0043】
チューブ状バリア640は例えば接着、縫合、または別の方法で付着されて、第二の治療装置615の近位ステント650に連結され得る。第二の治療装置の近位ステント650はさらに可撓性のスリーブ655および遠位ステント660に連結されて示される。そこで近位ステント650および遠位ステント660は幽門括約筋をまたがって可撓性のスリーブ655を固定する補助となる。典型的な実施形態では、システム600はデリバリーカテーテル内に設置され、まず第二の治療装置615を幽門括約筋にまたがって設置し、そしてバリア640を解放し、その後LESにまたがって第一の治療装置を設置する。このような配置は、患者の生体構造を保護する非侵襲的で安全で取り外し可能なバイパスシを提供する。
【0044】
結果として、治療装置を固定するシステムおよび方法は治療装置保持の改善のために既存の収縮筋組織を利用している。非侵襲的で生体構造を保護する可逆的なバイパスソリューションを提供するためと同様に、限定されないが、食道の狭窄、胃腸の逆流および胆管の閉塞の治療を含む様々な応用例において、このような治療装置が使用され得る。
【0045】
ここで様々な実施形態において説明したステントは金属、金属合金、ポリマー(いくつかの例を以下に説明する)、金属-ポリマー複合材、セラミック、それらの組み合わせ等、または他の適切な材料から作成され得る。いくつかの適切なポリマーの他の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えばデュポン社から入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えばポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)ポリエーテル-エステル(例えばDSMエンジニアリングプラスチック社から入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテルまたはエステルを基にしたコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタル酸塩および/またはポリエステルエラストマー(デュポン社から入手可能なARNITEL(登録商標))等)、ポリアミド(例えばバイヤー社から入手可能なDURETHAN(登録商標)、またはエルフ・アトケム社から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば商品名PEBAX(登録商標)で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、Marlex高密度ポリエチレン、Marlex低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン(例えばREXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフトレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えばKEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMSアメリカン・グリロン社から入手可能なGRILAMID(登録商標)等)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えばSIBSおよび/またはSIBS 50A)、ポリカーボネート、アイオノマ、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、またはそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属混合材等が含まれ得る。いくつかの実施形態では、シースは液晶ポリマー(LCP)と混合し得る。例えば、混合物は最大約6パーセントのLCPを含み得る。
【0046】
適切な金属および金属合金のいくつかの例は、304V、304L、および316LVステンレス鋼等のステンレス鋼、軟鋼、線形弾性および/または超弾性ニチノール等のニッケル-チタン合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金(例えばINCONEL(登録商標)625のようなUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)のようなUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)のようなUNS:N10276、他のHASTELLOY(登録商標)等)、ニッケル-銅合金(例えばMONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、NICORROS(登録商標)400等のようなUNS:04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えばMP35-NのようなUNS:N30035等)、ニッケル-モリブデン合金(例えばHASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)のようなUNS:N10665)、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他の鉄-ニッケル合金、他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステンまたはタングステン合金等のような他のニッケル合金、コバルト-クロム合金、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えばELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)等のようなUNS:R30003)、プラチナ強化ステンレス鋼、チタン、それらの組み合わせ等、または他の適切な材料が含まれる。
【0047】
少なくともいくつかの実施形態では、ステントの一部または全体、およびここで説明したステントの他の構成要素は放射線不透過性材料でドープされ、形成され、または別の方法でそれを含み得る。放射線不透過性材料は医療処置における透視用蛍光板または別の画像化技術で比較的明るい画像を生成することが可能である材料であると理解されている。この比較的明るい画像は、使用者がステントの位置を特定することを支援する。放射線不透過性材料のいくつかの例は、金、プラチナ、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤が充填されたポリマー材料等が含まれ得るが、これらに限定されない。加えて、他の放射線不透過性マーカーバンドおよび/またはコイルもまた、同様の結果を達成するためにステントの設計に組み込まれ得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、一定の核磁気共鳴画像法(MRI)相互性がここで説明したステントに与えられる。例えばステントとステントの他の構成要素、またはそれらの部分は実質的に画像を歪めず、実質的なアーチファクト(例えば画像内の欠落部)を生成しない材料から形成され得る。前記ステントはまた、MRI機械が撮像可能な材料から形成され得る。これらの特徴を示す材料は、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えばELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)等のUNS:R30003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えばMP35-NのようなUNS:R30035等)、ニチノール等、および他のものを含む。
【0049】
いくつかの実施形態は「連結した」および「接続した」という表現をそれらの派生語とともに使用して説明され得る。これらの用語は互いに同義語として意図されない。例えば、いくつかの実施形態は二つ以上の要素が直接物理的または電気的に互いと接触することを指すために「接続した」および/または「連結した」という用語を用いて説明され得る。しかしながら、「連結した」という用語は二つ以上の要素が互いと直接接触しないが、互いと協働または相互作用することも意味する。
【0050】
ここで使用したように、文脈上明確に他の意味を指示さない限り、単数形「a」、「an」および「the」は同様に複数形を含むことを意図している。ここで使用するとき、「からなる」および/または「からなっている」または「含む」および/または「含んでいる」という用語は定められた特徴、領域、工程の要素および/または構成要素の存在を特定するが、一つ以上の他の機能、領域、完全体、工程、操作、要素、構成要素および/またはそれらのグループの存在または追加を除外しないということがさらに理解されるであろう。
【0051】
さらに「実質的な」または「実質的に」という用語だけでなく、「およその」または「およそ」という用語はいくつかの実施形態において同義で使用可能であり、当業者によって受け入れられるあらゆる相対的な基準を用いて説明可能である。例えば、これらの用語は参考パラメータとの比較として、意図された機能をまだ提供可能である逸脱を示すために有用であり得る。例えば参考パラメータからの逸脱は1%未満、3%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満等の量であり得るが、これに限定されない。
【0052】
特定の実施形態はここで示され、および説明されたが、同じ目的を達成するために計画されたあらゆる配置は、示された特定の実施形態の代わりとなり得ることが認識されるべきである。本開示は様々な実施形態のあらゆるおよび全ての改作または変形を対象にすることを意図している。上記の説明は例示的な方法で行われたが、限定するものとしてでないことが理解されるべきである。上記実施形態の組み合わせ、およびここで特に説明していない他の実施形態は上記説明を見直した当業者にとって明白であろう。したがって、様々な実施形態の範囲は上記の構成、構造および方法が使用されたあらゆる他の応用例を含む。
【0053】
さらに、治療装置を配置する例示した方法は一連の行為または事象として上述されたが、特に述べられない限り、本開示は示されたこのような行為または事象の順序付けによって限定されない。例えば、本開示に従い、いくつかの行為は異なった順序で、および/または同時にここで示され、および/または説明されたもの以外の他の行為または事象を伴って生じ得る。加えて、全ての行為または事象が本開示に従う方法を満たす必要があるわけでなくてもよい。
【0054】
主題は構造の特徴および/または方法の行為を特定する言語を用いて説明されたが、添付の特許請求の範囲において規定された主題は必ずしも上述された特定の特徴または行為に限定されないことが理解されるべきである。さらに、上述された特定の特徴および行為は特許請求の範囲を満たすサンプルフォームとして開示される。