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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ロケット支持抱持装置
(51)【国際特許分類】
   F41F 3/042 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
F41F3/042
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022524069
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2020126217
(87)【国際公開番号】W WO2021088815
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】201911071459.X
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519218187
【氏名又は名称】藍箭航天空間科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】張 瑜
(72)【発明者】
【氏名】張 彦杰
(72)【発明者】
【氏名】呉 雪
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第205784866(CN,U)
【文献】特開平8-11800(JP,A)
【文献】特開2000-247300(JP,A)
【文献】米国特許第3122891(US,A)
【文献】中国特許出願公開第110274520(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110949694(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41F 3/04,
B64G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持組立体と抱持組立体とを含むロケット支持抱持装置であって、前記支持組立体は、ロケットを支持するように構成され、支持されたロケットの水平載置状態におけるロケットの左右径方向に沿って直立アームの底部に設置されており、前記抱持組立体は、直立アームの両側の上に設置され、ロケットを抱持するように構成され、
前記支持組立体は、ブラケットと、回転ユニットと、ガイドユニットと駆動ユニットとを含み、前記ブラケットは、前記回転ユニットに設置され、前記回転ユニットは、前記ブラケットを軸中心が前記ロケットの左右径に平行するシャフトの周りを既定角度だけ回転させるように構成され、前記回転ユニットは、前記ガイドユニットと駆動ユニットとに設置され、前記ガイドユニットは、支持されたロケットの前記左右径方向に沿って直立アームの底部に設置され、支持されたロケットの前記左右径方向に沿って前記ブラケットの移動をガイドするように構成され、前記駆動ユニットは、前記回転ユニットによって、支持されたロケットの前記左右径方向に沿って移動するように前記ブラケットを駆動するように構成されている
ことを特徴とする前記ロケット支持抱持装置。
【請求項2】
前記回転ユニットは、回動シャフトと、支持プレートとリミテッドブロックとを含み、前記ブラケットは、前記回動シャフトにより前記支持プレートに接続され、前記リミテッドブロックは、前記ブラケットの下端と前記支持プレートとの間に設置され、前記リミテッドブロックの高さ方向の中心軸は、前記ブラケット及び支持プレートと同時に直交する方向の中心軸と一致し、前記リミテッドブロックは、前記ブラケットの回転の限界位置を制限するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のロケット支持抱持装置。
【請求項3】
前記ガイドユニットは、ガイドレールと、スライダーと、ストッパーとを含み、前記ガイドレールは2本設置され、2本の前記ガイドレールは支持されたロケットの前記左右径方向に沿って直立アームの底部に平行に設置され、
前記支持プレートの長さ方向に沿って、前記支持プレートの底面の両側には、それぞれ1つのスライダーが設置され、前記スライダーは前記ガイドレール上に移動可能に設置され、前記ガイドレールの両端の何れにも前記ストッパーが設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載のロケット支持抱持装置。
【請求項4】
前記駆動ユニットは、ねじ棒と、駆動シートと、油圧モーターとを備え、前記ねじ棒は、直立アームの底部に設けられ、且つ2本の前記ガイドレールの間に平行に設置され、
前記支持プレートの下端は、前記駆動シートを介してねじ棒に接続され、前記油圧モーターは前記ねじ棒を回転させるように構成され、前記ねじ棒は、前記支持プレートの前記ガイドレール上の移動を駆動する
ことを特徴とする請求項3に記載のロケット支持抱持装置。
【請求項5】
前記抱持組立体は、直立アームの両側の上に対向して設置され、ロケットの上半部を抱持するように構成された2つの抱持アームユニットと、パワーユニットとを含み、前記パワーユニットは、2つの前記抱持アームユニットが収縮してロケットを抱持できるように、前記抱持アームユニットにパワーを供給するように構成されている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のロケット支持抱持装置。
【請求項6】
前記抱持アームユニットは、大抱持アームと、第1の抱持クランプと、小抱持アームと第2の抱持クランプとを含み、前記大抱持アームの内側には前記第1の抱持クランプが接続され、前記大抱持アームの一方の端は直立アームに接続され、もう一方の端は前記小抱持アームの一端に接続され、前記小抱持アームのもう一方の端には前記第2の抱持クランプが接続されている
ことを特徴とする請求項5に記載のロケット支持抱持装置。
【請求項7】
前記第1の抱持クランプ及び第2の抱持クランプの抱持クランプ面の弧度は、いずれもロケットの円弧の弧度と一致している
ことを特徴とする請求項6に記載のロケット支持抱持装置。
【請求項8】
前記パワーユニットは、第1の油圧シリンダと第2の油圧シリンダとを含み、前記第1の油圧シリンダの一端は直立アームに接続され、もう一方の端は前記大抱持アームに接続され、前記第1の油圧シリンダは前記大抱持アームを駆動するように構成されている。前記第2の油圧シリンダの一端は前記大抱持アームに接続され、もう一方の端は前記小抱持アームに接続され、前記第2の油圧シリンダは前記小抱持アームを駆動するように構成されている
ことを特徴とする請求項7に記載のロケット支持抱持装置。
【請求項9】
前記ブラケットのトップ表面は、ロケットの外面に合わせた凹弧面とされ、前記ブラケットのトップ表面の中央には指示マークが設けられ、
ロケットの側にはセンタリングマークが設置され、前記センタリングマークは、指示マークとそろえることで、ロケットとブラケットの凹弧面とを密着させるように構成されている
ことを特徴とする請求項3~6のいずれか一項に記載のロケット支持抱持装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロケット補助支持装置の技術分野に属し、具体的には、ロケット支持抱持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空宇宙技術の発展、特にここ数年の商用航空宇宙の長足の発展に伴い、「3レベル」というテスト・発射モードは、その発射コストが低く、多くの地上固定施設を必要とせず、発射が柔軟で、高効率などの利点により、ますます多くの商用航空宇宙企業の選択肢になっている。
【0003】
本発明の発明者らは、研究開発の過程において、中型液体キャリアロケットが上述の「三つの水平」というテスト・発射モードを採用してテスト・発射を行う場合、ロケットの移載、輸送及び直立の過程で、ロケットの自由度を制限し、輸送中のロケットの過負荷と振動を低減し、ロケットが衝突するリスクを下げるために、ロケット本体を確実に支持して抱持して1セットの輸送・直立装置が必要となることを見出した。特に、ロケットが直立状態から垂直状態になった後は、風荷重が存在するため、ロケット本体が風で吹き飛ばされるのを防ぐため、ロケットを抱持して挟持する抱持アーム機構を設けなければならない。同時に、ロケット発射前に抱持アーム機構を確実に開く必要があるため、抱持アーム機構能力の信頼性設計にはより高い要件が求めされるようになった。
関連技術として、特許文献1(CN201620657910.1)には、支持座1と、支持座1の一端に設けられた支持アーム2と、ネジ棒により支持座1に取り付けられた昇降座3と、昇降座3に取り付けられた挟持部4と、両端がそれぞれ挟持部4と支持アーム2の上端とに接続されている支持部10と、を有するロケット起立フレーム後端ロッキング装置が開示され、ロケットを吊り上げて起立フレーム21にドッキングさせる前、まず、支持部10におけるナット12を回してネジ棒13を伸縮させることにより起立フレーム21の後端ロッキング装置について位置度調整を行ってから、昇降座3における昇降ナット17を回して昇降ネジ棒16の高さを変化させることにより挟持部4における位置決めピン15の位置度がロケットの精度誤差要求に満たすことを保証することが開示されてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
関連技術に存在する問題を少なくともある程度解決するために、本発明は、ロケット支持抱持装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例によれば、本発明は、支持組立体と抱持組立体とを含むロケット支持抱持装置を提供し、前記支持組立体は、ロケットを支持するように構成され、支持されたロケットの径方向に沿って直立アームの凹部断面の底部に設置されており、前記抱持組立体は、直立アームの凹部断面の両側の上に設置され、ロケットを抱持するように構成されている。
【0006】
上記ロケット支持抱持装置において、前記支持組立体は、ブラケットと、回転ユニットと、ガイドユニットと駆動ユニットとを含み、前記ブラケットは、前記回転ユニットに設置され、前記回転ユニットは、前記ブラケットを水平に既定角度だけ回転させるように構成され、前記回転ユニットは、前記ガイドユニットと駆動ユニットとに設置され、前記ガイドユニットは、支持されたロケットの径方向に沿って直立アームの凹部断面の下端に設置され、支持されたロケットの径方向に沿って前記ブラケットの移動をガイドするように構成され、前記駆動ユニットは、前記回転ユニットによって、支持されたロケットの径方向に沿って移動するように前記ブラケットを駆動するように構成されている。
【0007】
さらに、前記回転ユニットは、回動シャフトと、支持プレートとリミテッドブロックとを含み、前記ブラケットは、前記回動シャフトにより前記支持プレートに接続され、前記位置制限ブロックは、前記ブラケットの下端と前記支持プレートとの間に設置され、前記リミテッドブロックの高さ方向の中心軸は、前記ブラケット及び支持プレートと同時に直交する方向の中心軸と一致し、前記位置制限ブロックは、前記ブラケットの水平回転の限界位置を制限するように構成されている。
【0008】
さらに、前記ガイドユニットは、ガイドレールと、スライダーと、ストッパーとを含み、前記ガイドレールは2本設置され、2本の前記ガイドレールは支持されたロケットの径方向に沿って直立アームの凹部断面の下端に平行に設置されている。
【0009】
前記支持プレートの長さ方向に沿って、前記支持プレートの底面の両側には、それぞれ1つのスライダーが設置され、前記スライダーは前記ガイドレール上に移動可能に設置され、前記ガイドレールの両端の何れにも前記ストッパーが設けられている。
【0010】
さらに、前記駆動ユニットは、ねじ棒と、駆動シートと、油圧モーターとを備え、前記ねじ棒は、直立アームの凹部断面の下端に設けられ、且つ2本の前記ガイドレールの間に平行に設置されている。
【0011】
前記支持プレートの下端は、前記駆動シートを介してねじ棒に接続され、前記油圧モーターは前記ねじ棒を回転させるように構成され、前記ねじ棒は、前記駆動シートを介して前記支持プレートの前記ガイドレール上の移動を駆動する。
【0012】
上記ロケット支持抱持装置において、前記抱持組立体は、抱持アームユニットとパワーユニットとを含み、2つの前記抱持アームユニットは、直立アームの凹部断面の両側の上に対向して設置され、ロケットの上半部を抱持するように構成され、前記パワーユニットは、2つの前記抱持アームユニットが近づくように収縮してロケットを抱持できるように、前記抱持アームユニットにパワーを供給するように構成されている。
【0013】
さらに、前記抱持アームユニットは、大抱持アームと、第1の抱持クランプと、小抱持アームと第2の抱持クランプとを含み、前記大抱持アームの内側には前記第1の抱持クランプが接続され、前記大抱持アームの一方の端は直立アームに接続され、もう一方の端は前記小抱持アームの一端に接続され、前記小抱持アームのもう一方の端には前記第2の抱持クランプが接続されている。
【0014】
さらに、前記第1の抱持クランプ及び第2の抱持クランプの抱持クランプ面のラジアンは、いずれもロケットの円弧と一致している。
【0015】
さらに、前記パワーユニットは、第1の油圧シリンダと第2の油圧シリンダとを含み、前記第1の油圧シリンダの一端は直立アームに接続され、もう一方の端は前記大抱持アームに接続され、前記第1の油圧シリンダは前記大抱持アームを駆動するように構成されている。前記第2の油圧シリンダの一端は前記大抱持アームに接続され、もう一方の端は前記小抱持アームに接続され、前記第2の油圧シリンダは前記小抱持アームを駆動するように構成されている。
【0016】
さらに、前記ブラケットのトップ表面は、ロケットの外面に合わせた凹弧面とされ、前記ブラケットのトップ表面の中央には指示マークが設けられている。
【0017】
ロケットの片側にはセンタリングマークが設置され、前記センタリングマークは、指示マークとそろえることで、ロケットとブラケットの凹弧面とを密着させるように構成されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の上述した具体的な実施例によれば、少なくとも以下の有益な効果があることが分かる。本発明のロケット支持抱持装置には、支持組立体と抱持組立体とが設けられ、支持組立体が支持されたロケットの径方向に沿って直立アームの凹部断面の底部に設置され、抱持組立体が直立アームの凹部断面の両側の上に設置されているので、ロケットの輸送、直立の過程においてロケット本体を確実に支持及び抱持し、輸送による過負荷や振動がロケット本体への影響を回避できる。
【0019】
特にロケット本体が直立状態から垂直状態になった後は、本発明のロケット支持抱持装置において、ブラケットは、ロケットの微小な回転角度変形に適応するように、回動シャフト周りに既定角度だけ回転し、ロケットの表面に損傷を与えるのを避けるとともに、風荷重の作用によりロケット本体が倒れてしまうのを効果的に防ぐこともできる。
【0020】
本発明はさらに、ロケット本体の二次再抱持時の支持調整能力や抱持位置適応能力を有しており、様々な検出センサーや制御機構などの過剰な付加による信頼性低下のリスクを回避することができる。
【0021】
上記の一般的な説明及び以下の具体的な実施形態は、例示的及び説明的なものにすぎず、本発明が主張しようとする範囲を限定できるものではないことは、認識されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下の添付図面は、本発明の実施例を示す明細書の一部であり、添付図面は明細書の説明と共に本発明の原理を説明するために使用される。
図1図1は本発明の実施例で提供されるロケット支持抱持装置のロケット抱持状態での構造模式図である。
図2図2は本発明の実施例で提供されるロケット支持抱持装置における支持組立体の上面図である。
図3図3図1のマークIでの拡大模式図である。
図4図4図1のマークIIでの拡大模式図である。
図5図5図2のマークIIIでの拡大模式図である。
図6図6は本発明の実施例で提供されるロケット支持抱持装置のロケット解放状態での構造模式図である。
図7図7はロケットにその径方向で小さな変位偏差Sがある場合での、本発明の実施例で提供されるロケット支持抱持装置のロケット抱持状態での構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、添付図面及び詳細な記述を用いて、本発明に開示される内容の精神を明確に説明するが、当業者であれば、本発明の内容の実施例を理解した上で、本発明の内容に教示された技術に基づいて、本発明の内容の精神及び範囲を逸脱しない変更及び修飾を加えることができる。
【0024】
本発明の例示的な実施例及びその説明は、本発明に対する限定ではなく、本発明を説明するためのものである。さらに、添付図面及び実施形態において同一又は類似の符号が使用される要素/部材は、同一又は類似の部分を表す。
【0025】
本文で使用される「第1の」、「第2の」、…等に関しては、特に順序又は順位を表す意味を指すものでもないし、本発明を限定するものでもなく、単に同じ技術用語で説明される要素又は動作を区別するためのものである。
【0026】
本文で使用される方向用語、例えば、上、下、左、右、前又は後などは、図面の方向を参照するものに過ぎない。したがって、使用される方向用語は、本創作を制限するものではなく、説明するためのものである。
【0027】
本文で使用される「含む」、「備える」、「有する」、「具備する」などは、いずれも開放的な用語であり、すなわち、含むがこれに限定されないことを意図する。
【0028】
本文で使用される「及び/又は」は、記載されたもののいずれか一つ又はすべての組み合わせを含む。
【0029】
本文における「複数の」は、「2つ」及び「2つ以上」を含む。なお、本文における「複数の組」は、「2組」及び「2組以上」を含む。
【0030】
本文で使用される用語「おおむね」、「約」などは、わずかに変化できる任意の数量又は誤差を修飾するために使用されるが、これらのわずかな変化又は誤差は、その本質を変えることはない。通常、このような用語によって修飾される微小な変化または誤差の範囲は、一部の実施例では20%、一部の実施形態では10%、一部の実施形態では5%、または他の値であってもよい。当業者であれば、前述の数値は実際の需要に応じて調整可能であり、これに限定されるものではないことを理解できるはずである。
【0031】
当業者に本発明に関する説明の追加的なガイドを提供するために、本発明を説明するために使用されるいくつかの用語は、以下又は本明細書の他の箇所で説明される。
【0032】
図1~7に示すように、本発明は、支持組立体1及び抱持組立体2とを含むロケット支持抱持装置を提供し、支持組立体1は、ロケット4を支持するように構成され、支持されたロケット4の径方向に沿って直立アーム3の底部に設置され、抱持組立体2は直立アーム3の両側の上に設置され、ロケット4を抱持するように構成されている。
【0033】
直立アーム3は、断面凹形状のトラス構造を採用することができる。具体的には、支持組立体1は支持されたロケット4の径方向に沿って直立アーム3の凹部断面の底部に設置されてもよく、抱持組立体2は直立アーム3の凹部断面の両側の上に設置されてもよい。
【0034】
支持組立体1は、ブラケット11と、回転ユニット12と、ガイドユニット13と、駆動ユニット14とを含む。このうち、ブラケット11は、回転ユニット12に設置され、回転ユニット12は、後端支点を中心としたロケット4の回動変位に適応するために、ブラケット11を水平に既定角度だけ回転させるように構成されている。回転ユニット12はガイドユニット13と駆動ユニット14とに設置され、ガイドユニット13は支持されたロケット4の径方向に沿って直立アーム3の凹部断面の下端に設置され、支持されたロケット4の径方向に沿ってブラケット11の移動をガイドする。駆動ユニット14は、ブラケット11とそれによって支持されたロケット4との位置ずれを調整するために、回転ユニット12によって、支持されたロケット4の径方向に沿って移動するようにブラケット11を駆動するように構成されている。
【0035】
一つの具体的な実施例において、回転ユニット12は、回動軸121と、支持プレート122と、リミテッドブロック123とを含む。ここで、ブラケット11は、回動軸121によって支持プレート122に接続されている。回動軸121は2つ設置され、支持プレート122に垂直な方向の中心軸を対称軸として、2つの回動軸121は対称に支持プレート122に設置されている。リミテッドブロック123は、ブラケット11の下端と支持プレート122との間に設置され、リミテッドブロック123の高さ方向の中心軸は、ブラケット11及び支持プレート122と同時に直交する方向の中心軸と一致している。リミテッドブロック123は、ブラケット11が片側に傾くことを防止するように、ブラケット11の水平回転の限界位置を規制するように構成されている。
【0036】
図2に示すように、ガイドユニット13は、ガイドレール131と、スライダー132と、ストッパー133とを含む。ここで、ガイドレール131は2本設置され、2本のガイドレール131は支持されたロケット4の径方向に沿って直立アーム3の凹部断面の下端に平行に設置されている。支持プレート122の長さ方向に沿って、支持プレート122の底面の両側には、1つのスライダー132がそれぞれ設置され、スライダー132はガイドレール131上に移動可能に設置されている。ガイドレール131の両端にはいずれもストッパー133が設置され、ストッパー133は、支持プレート122の移動が限界を超えて危険になるのを防止するように、ガイドレール131上におけるスライダー132の最大移動距離を規制するように構成されている。
【0037】
図5に示すように、駆動ユニット14は、ねじ棒141と、駆動シート142と、油圧モーター143とを備える。ここで、ねじ棒141は、直立アーム3の凹部断面の下端に設けられ、且つ2本のガイドレール131の間に平行に設置されている。支持プレート122の下端は、駆動シート142を介してねじ棒141に接続され、ねじ棒141は、ねじ棒141を回転させるように構成された油圧モーター143に接続され、ブラケット11とそれによって支持されたロケット4との位置ずれを調整するように、ねじ棒141は駆動シート142を介して支持プレート122のガイドレール131上の移動を駆動する。
【0038】
当然ながら、液圧モーター143によるねじ棒141の駆動は、電気モーターによる駆動又は手動駆動に置き換えることもできることが理解できる。
【0039】
抱持組立体2は、抱持アームユニット21と、パワーユニット22とを含む。2つの抱持アームユニットは、直立アーム3の凹部断面の両側の上に対向して設置され、ロケット4の上半部を抱持するように構成されている。パワーユニット22は、2つの抱持アームユニット21が収縮してロケット4を保持することができるように、又は、2つの抱持アームユニット21が展開してロケット4を解放することができるように、抱持アームユニット21にパワーを供給するように構成されている。
【0040】
1つの具体的な実施例において、抱持アームユニット21は、大抱持アーム211と、第1の抱持クランプ212と、小抱持アーム213と、第2の抱持クランプ214とを含む。大抱持アーム211の内側にはピンシャフトを介して第1の抱持クランプ212が接続され、大抱持アーム211の一端はピンシャフトを介して直立アーム3に接続されている。もう一方の端はピンシャフトを介して小抱持アーム213の一端に接続され、小抱持アーム213のもう一方の端にはピンシャフトを介して第2の抱持クランプ214が接続されている。第1の抱持クランプ212及び第2の抱持クランプ214の抱持クランプ面のラジアンは、いずれもロケット4の円弧と一致している。大抱持アーム211と小抱持アーム213との二重関節配置により、ロケット4表面にかかる力を最適化することができる。
【0041】
パワーユニット22は、第1の油圧シリンダ221と第2の油圧シリンダ222とを含み、第1の油圧シリンダ221の一端は直立アーム3に接続され、もう一方の端は大抱持アーム211に接続され、第1の油圧シリンダ221は大抱持アーム211を駆動するように構成されている。第2の油圧シリンダ222の一端は大抱持アーム211に接続され、もう一方の端は小抱持アーム213に接続され、第2の油圧シリンダ222は小抱持アーム213を駆動するように構成されている。第1の油圧シリンダ221と第2の油圧シリンダ222の伸出力の作用下で、大抱持アーム211は第1の抱持クランプ212によってロケットを抱持4し、小抱持アーム213は第2の抱持クランプ214によってロケット4を抱持する。
【0042】
ロケット4の下半部はブラケット11によって支持され、ロケット4の上半部は大抱持アーム211と小抱持アーム213によって保持されることによって、ロケット4の表面に複数の点で力を受けるため、ロケット4を確実に支持して抱持することができる。
【0043】
なお、第1の油圧シリンダ221と第2の油圧シリンダ222は、大抱持アーム211及び小抱持アーム213を駆動するために、エアシリンダと電動シリンダに置き換えることができることが理解され得る。
【0044】
上記実施例において、ブラケット11のトップ表面は、ロケット4の外面に合わせた凹弧面とされている。図3に示すように、ブラケット11のトップ表面の中央には指示マーク111が設けられ、この指示マーク111は、ロケット4がブラケット11の凹弧面に密着できるように、ロケット4のブラケット11の凹弧面の中央への載置を補助するためのものである。
【0045】
図4に示すように、ロケット4の片側にはセンタリングマーク41が設置され、ロケット4をブラケット11に載置する前に、ロケット4のセンタリングマーク41とブラケット11の指示マーク111とをそろえるように、駆動ユニット14によりブラケット11の位置を調整することによって、ロケット4の外面とブラケット11の弧面とを密着させることができる。
【0046】
本発明によって提供されるロケット支持抱持装置を用いて、輸送及び直立の過程でロケット4を支持して抱持する場合、その具体的な過程には次のステップが含まれる。
(ステップS1)
ロケット4を支持して抱持する。
ロケット4をブラケット11上に水平に載置する前に、第1の油圧シリンダ221と第2の油圧シリンダ222を収縮させ、大抱持アーム211と小抱持アーム213の両方が開放状態にある。
【0047】
油圧モーター143は起動し、ブラケット11上の指示マーク111とロケット4上のセンタリングマーク41とがそろうように、ねじ棒141と駆動シート142により支持プレート122の位置を調整して、ロケット4を下ろすと、ブラケット11の円弧面がロケット4の下面に密着し、ブラケット11によってロケット4を確実に支持する。
【0048】
第1の油圧シリンダ221と第2の油圧シリンダ222を伸出させ、大抱持アーム211と小抱持アーム213を収縮させ、第1の抱持クランプ212と第2の抱持クランプ214をロケット4の表面に密着し、ロケット4を抱持する。ここで、第1の抱持クランプ212は、主にロケット4のその径方向での変位を制限するように構成され、第2の抱持クランプ214は、主にロケット4のその長手方向での変位を制限するように構成されている。
【0049】
(ステップS2)
ロケット4の輸送と直立支持を担う。
ロケット4の輸送中、道路の凹凸により、輸送直立車両にある程度の振動が発生し、ロケット4が一定の過負荷がかかることがある。
【0050】
ロケット4の直立の過程において、直立アーム3が力を受ける位置の変化により、直立アーム3にある程度変形し、ロケット4は後部支点を中心に反時計回りに小さな角度だけ回転する。ブラケット11が過負荷や直立アーム3の変形等による影響を受けるのを防ぐために、ブラケット11は、ロケット4の微小な回転角度変形に適応するように、回動シャフト121周りに既定角度だけ回転し、ロケット4の表面に損傷を与えるのを回避する。
【0051】
(ステップS3)
抱持アームユニット21を開き、ロケット4を離陸させて漂動空間をあける。
ロケット4が直立状態から鉛直状態になって充填が完了した後、発射の30分前にロケット4に対する拘束を解除する必要があり、大抱持アーム211と小抱持アーム213を確実に開かれる。このとき、図6に示すように、第1の油圧シリンダ221と第2の油圧シリンダ222とを同時に収縮させ、大抱持アーム211及び小抱持アーム213をゆっくりと開き、ロケット4を離陸させて漂動空間をあける。
【0052】
抱持アームユニット21が確実に開く必要があることを考慮して、大抱持アーム211の回動角度は40~50°に設定されている。こうして、故障等により小抱持アーム213を開くことができなくても、大抱持アーム211の動きにより小抱持アーム213を駆動させることでも、ロケット4の離陸と漂動空間の要求も十分に満足させることができる。
【0053】
(ステップS4)
ロケット4の再び支持・抱持を行う。
発射を終了する場合は、鉛直状態のロケット4を再び水平にする必要がある。図7に示すように、この時点ではロケット4はすでに充填とレベリングが行われているため、充填前とはある程度の位置ずれが必ず存在する。ロケット4がその径方向で小さな変位偏差Sがあると仮定すると、油圧モーター143はねじ棒141を回転してブラケット11の位置を調整し、ブラケット11の指示マーク111とロケット4のセンタリングマーク41との位置を遠隔カメラを通してリアルタイムで観察し、両者の位置を揃うようにする。その後、第1の油圧シリンダ221と第1の油圧シリンダ222とを伸出させ、大抱持アーム211の第1の抱持クランプ212及び小抱持アーム213の第2の抱持クランプ214を押してロケット4を抱持させる。直立アーム3片側の第1の油圧シリンダ221と直立アーム3他方側の第1の油圧シリンダ221とが連通し、直立アーム3片側の第2の油圧シリンダ222と直立アーム3他方側の第2の油圧シリンダ222とが連通しているので、第1の油圧シリンダ221と第2の油圧シリンダ222の伸出長さの差は、ロケット4の位置ずれに自動的に適応して、ロケット4を抱持することが可能である。ロケット4の前後位置ずれは、直立アーム3の回転により適応できるが、ここで詳述しない。
【0054】
本発明のロケット支持保持装置は、支持組立体1と保持組立体2とを備えることによって、ロケット4の輸送、直立の過程でロケット本体を確実に支持及び抱持し、輸送による過負荷や振動がロケット本体への影響を回避できる。特にロケット本体が直立状態から垂直状態になった後は、本発明のロケット支持抱持装置によって風荷重の作用によりロケット本体が倒れてしまうのを効果的に防ぐことができる。したがって、本発明は、ロケット本体にかかる力を最適化し、防風押え装置によるロボット足への固定荷重を低減することができる。それと同時に、本発明はさらに、ロケット本体の二次再抱持時の支持調整能力や抱持位置適応能力を有しており、様々な検出センサーや制御機構などの過剰な付加による信頼性低下のリスクを回避することができる。
【0055】
本発明のロケット支持抱持装置は、二重関節の大抱持アーム211と小抱持アーム213及び第1の抱持クランプ212と第2の抱持クランプ214を設置することによって、ロケット4表面にかかる力を最適化することができ、ブラケット11と、回転ユニット12と、ガイドユニット13と、駆動ユニット14とを設置することによって、ブラケット11の位置を柔軟に調整して、支持組立体1の適応力を強化することができ、大抱持アーム211が大きく開く冗長設計、すなわち大抱持アーム211の回動角度を40~50°とすることによって、小抱持アーム213が故障により開けない場合に、大抱持アーム211の移動により小抱持アーム213を移動させて、ロケット4の離陸漂動空間の要求を満足させることができる。
【0056】
以上に述べたのは本発明の例示的な具体的実施例にすぎない。本発明の構想と原則を逸脱しないことを前提として、当業者が行った如何なる均等な変更と補正も、本発明の保護範囲に属するものとする。
【符号の説明】
【0057】
1 支持組立体、
11 ブラケット、
111 指示マーク、
12 回転ユニット、
121 回動シャフト、
122 支持プレート、
123 リミテッドブロック、
13 ガイドユニット、
131 ガイドレール、
132 スライダー、
133 ストッパー、
14 駆動ユニット、
141 ねじ棒、
142 駆動シート、
143 油圧モーター、
2 抱持組立体、
21 抱持アームユニット、
211 大抱持アーム、
212 第1の抱持クランプ、
213 小抱持アーム、
214 第2の抱持クランプ、
22 パワーユニット、
221 第1の油圧シリンダ、
222 第2の油圧シリンダ、
3 直立アーム、
4 ロケット、
41 センタリングマーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7