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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ロケット支援油圧サポート装置
(51)【国際特許分類】
   F41F 3/04 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
F41F3/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022525538
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2020126220
(87)【国際公開番号】W WO2021088818
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】201911071475.9
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519218187
【氏名又は名称】藍箭航天空間科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】張 瑜
(72)【発明者】
【氏名】楊 俊
(72)【発明者】
【氏名】韓 召洋
(72)【発明者】
【氏名】張 彦杰
(72)【発明者】
【氏名】韋 銀利
(72)【発明者】
【氏名】呉 雪
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110274520(CN,A)
【文献】特表2000-505387(JP,A)
【文献】中国実用新案第206216236(CN,U)
【文献】米国特許第6186039(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第111006546(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111023899(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41F 3/04,
B64G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロケットをサポートするロケットホルダと、
前記ロケットホルダの下方に設けられ、前記ロケットホルダを浮動サポートする弾性サポートアセンブリと、
前記弾性サポートアセンブリの下方に設けられたガイドサポートシリンダーと、
前記ガイドサポートシリンダーの中心軸の方向に沿ってサポート力を発生させるようにガイドサポートシリンダーを駆動する油圧システムと、
を備え、
前記弾性サポートアセンブリは、リミットブラケットと、フランジベースと、ホルダロータリベースと、バネ取付脚部と、リミットサポートバネとを有し、
前記リミットブラケットは、前記ガイドサポートシリンダーの頂上に設けられ、その中心において前記フランジベースが設けられており、前記フランジベースは、ロータリピンシャフトを介して前記ホルダロータリベースに接続されており、前記バネ取付脚部は、前記リミットブラケットの天井面に固定して設けられるとともに、前記リミットブラケットとホルダロータリベースのトッププレートとの間に位置し、
前記リミットサポートバネは、前記リミットサポートバネをガイドするための前記バネ取付脚部内に設けられており、前記リミットサポートバネは、一端が前記バネ取付脚部に固定して接続され、他端が前記ホルダロータリベースのトッププレートに接触しており、前記リミットサポートバネは、前記ガイドサポートシリンダーの中心軸の方向における前記ロケットホルダの自由的な動きを規制することを特徴とする、ロケット支援油圧サポート装置。
【請求項2】
前記油圧システムは、ガイドサポートシリンダーに接続される油圧シリンダーと、ロッドキャビティオイルパイプおよびロッドレスキャビティオイルパイプを介して前記油圧シリンダーに接続されるパワーアセンブリと、作動油を前記パワーアセンブリに供給するオイルソースとを有することを特徴とする、請求項1に記載のロケット支援油圧サポート装置。
【請求項3】
前記油圧シリンダーは、油圧シリンダーバレルと、前記油圧シリンダーバレル内に摺動可能に設けられた油圧シリンダーロッドと、前記油圧シリンダーロッドの長手方向に沿ってその油圧シリンダーロッドに付けられ、前記油圧シリンダーバレルにおける当該油圧シリンダーロッドのストロークを規制するためのストロークスペーシングスリーブと、オイルシリンダーピンシャフトとを有し、前記油圧シリンダーロッドの先端は、前記オイルシリンダーピンシャフトを介して前記ガイドサポートシリンダーに接続されることを特徴とする、請求項2に記載のロケット支援油圧サポート装置。
【請求項4】
前記ストロークスペーシングスリーブの直径は、前記油圧シリンダーロッドの底部の直径以下であり、前記油圧シリンダーロッドの中間部の直径よりも大きいことを特徴とする、請求項3に記載のロケット支援油圧サポート装置。
【請求項5】
前記パワーアセンブリは、電磁逆転弁と、アキュムレータと、圧力センサと、安全弁と、比例リリーフ弁と、チェック弁とを有し、
オイルソースは、前記チェック弁を介して前記電磁逆転弁の給油キャビティに接続され、前記電磁逆転弁の戻り油キャビティは、オイルタンクに接続され、前記電磁逆転弁の第1作動油キャビティは、ロッドレスキャビティオイルパイプを介して前記油圧シリンダーのロッドレスチャンバに接続され、前記電磁逆転弁の第2作動油キャビティは、ロッドキャビティオイルパイプを介して前記油圧シリンダーのロッドキャビティに接続されており、
前記チェック弁と電磁逆転弁の給油キャビティとの接続チューブにおいて、アキュムレータおよび圧力センサが接続されており、前記チェック弁と電磁逆転弁の給油キャビティとの接続チューブおよびオイルタンクと前記電磁逆転弁の戻り油キャビティとの接続チューブの間には、安全弁および比例リリーフ弁が並列的に接続されることを特徴とする、請求項2又は3又は4に記載のロケット支援油圧サポート装置。
【請求項6】
前記ガイドサポートシリンダーは、ガイドサポートシリンダーバレルと、ガイドサポートシリンダーロッドと、シリンダーロッドリミットブロックと、駆動オイルシリンダーベースとを有し、
前記ガイドサポートシリンダーロッドは前記ガイドサポートシリンダーバレルにおいて摺動可能に設けられ、前記ガイドサポートシリンダーロッドは前記油圧シリンダーの駆動によって上下移動されており、
前記ガイドサポートシリンダーバレルの幅方向に沿って、前記ガイドサポートシリンダーロッドの外壁と前記ガイドサポートシリンダーバレルの内壁との間には、前記ガイドサポートシリンダーロッドの回転移動を規制するための前記2つのシリンダーロッドリミットブロックが対向して設けられており、
前記駆動オイルシリンダーベースは、前記ガイドサポートシリンダーロッドの底部において固定して設けられ、前記駆動オイルシリンダーベースは前記オイルシリンダーピンシャフトを介して油圧シリンダーロッドに接続されることを特徴とする、請求項3又は4に記載のロケット支援油圧サポート装置。
【請求項7】
前記ガイドサポートシリンダーバレルの側壁にスルーホールが開けられていることを特徴とする、請求項6に記載のロケット支援油圧サポート装置。
【請求項8】
前記リミットサポートバネは2本設けられており、前記2本のリミットサポートバネは、前記ロケットホルダの長手方向に沿って前記リミットブラケットに対して垂直な方向の中軸線を対称軸として、前記リミットブラケット上において対称して設けられることを特徴とする、請求項1に記載のロケット支援油圧サポート装置。
【請求項9】
前記リミットブラケットおよびフランジベースは一体的に成形されるか、又は、固定して接続されることを特徴とする、請求項1に記載のロケット支援油圧サポート装置。
【請求項10】
前記ロケットホルダの上部サポート面においてフェルトパッドが設けられることを特徴とする、請求項1又は2又は3又は4に記載のロケット支援油圧サポート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロケット支援サポート装置の技術分野に関し、具体的にはロケット支援油圧サポート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空宇宙の技術の発展に伴い、特に、近年の商業航空宇宙の活発な台頭に伴い、従来の「3垂直」発射モードにおいて、固定された発射塔が必要であり、且つそのインフラの建設に掛かる比較的長い期間および高い維持費などの欠点が徐々に明らかになっているので、現在での商業航空宇宙の発射ニーズを満たすためには、高速で柔軟かつ低コストの発射モードが希望されている。
【0003】
海外で成功している商業宇宙企業は、ほとんどが「三つの水平」のテストおよび発射モード、すなわち水平組立、水平輸送、水平テスト、起立発射という発射モードを採用している。したがって、ロケットの運搬、輸送および起立中において、ロケット本体を確実にサポートし、ロケット本体が自身の重力以外の付加力を受けないようにすることが非常に重要となっている。特に、起立アームの起立中において、起立アームの変形の影響によって、従来の単純な剛性サポートでは、ロケット本体に大きな追加的なサポート力がかかり、深刻な場合には、ロケットが変形して壊される。また、ロケットの起立中において、必要なサポート力が絶えず変化しているので、従来の剛性サポートでサポート力に対する制御を実現することができない。発射を終了する場合には、2次位置決めのずれにより、ロケットを元のサポート位置に正確に位置決めさせることができない。
関連技術として特許文献(特開2000-247300)には、起立フレーム7を垂直状態および水平状態に起伏させるフレーム可動機構8とを備えるロケット発射装置3が開示されてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、関連技術における課題をある程度解消するために、ロケット支援油圧サポート装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例によれば、本発明は、鉛直方向におけるサポート力を発生させるようにガイドサポートシリンダーを駆動するための油圧システムと、上方には弾性サポートアセンブリが設けられたガイドサポートシリンダーと、上方にはロケットホルダが設けられ、前記ロケットホルダを浮動サポートさせるための前記弾性サポートアセンブリと、ロケットをサポートするための前記ロケットホルダとを備え、
前記弾性サポートアセンブリは、リミットブラケットと、フランジベースと、ホルダロータリベースと、バネ取付脚部と、リミットサポートバネとを有し、
前記リミットブラケットは、前記ガイドサポートシリンダーの頂上に設けられ、その中心において前記フランジベースが設けられており、前記フランジベースは、ロータリピンシャフトを介して前記ホルダロータリベースに接続されており、前記バネ取付脚部は、前記リミットブラケットの天井面に固定して設けられるとともに、前記リミットブラケットとホルダロータリベースのトッププレートとの間に位置し、
前記リミットサポートバネは、前記リミットサポートバネをガイドするための前記バネ取付脚部内に設けられており、前記リミットサポートバネは、一端が前記バネ取付脚部に固定して接続され、他端が前記ホルダロータリベースのトッププレートに接触しており、前記リミットサポートバネは、前記ロケットホルダの鉛直方向における自由的な動きを規制するロケット支援油圧サポート装置を提供する。
【0006】
前記ロケット支援油圧サポート装置において、前記油圧システムは、ガイドサポートシリンダーに接続される油圧シリンダーと、ロッドキャビティオイルパイプおよびロッドレスキャビティオイルパイプを介して前記油圧シリンダーに接続されるパワーアセンブリと、作動油を前記パワーアセンブリに供給するオイルソースとを有する。
【0007】
さらに、前記油圧シリンダーは、油圧シリンダーバレルと、前記油圧シリンダーバレル内に摺動可能に設けられた油圧シリンダーロッドと、前記油圧シリンダーロッドの長手方向に沿ってその油圧シリンダーロッドに付けられ、前記油圧シリンダーバレルにおける当該油圧シリンダーロッドのストロークを規制するためのストロークスペーシングスリーブと、オイルシリンダーピンシャフトとを有し、前記油圧シリンダーロッドの先端は、前記オイルシリンダーピンシャフトを介して前記ガイドサポートシリンダーに接続される。
【0008】
さらに、前記ストロークスペーシングスリーブの直径は、前記油圧シリンダーロッドの底部の直径以下であり、前記油圧シリンダーロッドの中間部の直径よりも大きい。
【0009】
前記ロケット支援油圧サポート装置において、前記パワーアセンブリは、電磁逆転弁と、アキュムレータと、圧力センサと、安全弁と、比例リリーフ弁と、チェック弁とを有し、
オイルソースは、前記チェック弁を介して前記電磁逆転弁の給油キャビティに接続され、前記電磁逆転弁の戻り油キャビティは、オイルタンクに接続され、前記電磁逆転弁の第1作動油キャビティは、ロッドレスキャビティオイルパイプを介して前記油圧シリンダーのロッドレスチャンバに接続され、前記電磁逆転弁の第2作動油キャビティは、ロッドキャビティオイルパイプを介して前記油圧シリンダーのロッドキャビティに接続されており、
前記チェック弁と電磁逆転弁の給油キャビティとの接続チューブにおいて、アキュムレータおよび圧力センサが接続されており、前記チェック弁と電磁逆転弁の給油キャビティとの接続チューブおよびオイルタンクと前記電磁逆転弁の戻り油キャビティとの接続チューブの間には、安全弁および比例リリーフ弁が並列的に接続される。
【0010】
前記ロケット支援油圧サポート装置において、前記ガイドサポートシリンダーは、ガイドサポートシリンダーバレルと、ガイドサポートシリンダーロッドと、シリンダーロッドリミットブロックと、駆動オイルシリンダーベースとを有し、
前記ガイドサポートシリンダーロッドは前記ガイドサポートシリンダーバレル内に摺動可能に設けられ、前記ガイドサポートシリンダーロッドは前記油圧シリンダーの駆動によって上下移動されており、
前記ガイドサポートシリンダーバレルの幅方向に沿って、前記ガイドサポートシリンダーロッドの外壁と前記ガイドサポートシリンダーバレルの内壁との間には、前記ガイドサポートシリンダーロッドの回転移動を規制するための2つのシリンダーロッドリミットブロックが対向して設けられており、
前記駆動オイルシリンダーベースは、前記ガイドサポートシリンダーロッドの底部において固定して設けられ、前記駆動オイルシリンダーベースは前記オイルシリンダーピンシャフトを介して油圧シリンダーロッドに接続される。
【0011】
さらに、前記ガイドサポートシリンダーバレルの側壁にスルーホールが開けられている。
【0012】
さらに、前記リミットサポートバネは2本設けられており、前記ロケットホルダの長手方向に沿って前記リミットブラケットに対して垂直な方向の中軸線を対称軸としており、前記2本のリミットサポートバネは、前記リミットブラケットに対称して設けられる。
【0013】
さらに、前記リミットブラケットおよびフランジベースは一体的に成形されるか、又は、固定して接続される
【0014】
前記ロケット支援油圧サポート装置において、前記ロケットホルダの上部サポート面においてフェルトパッドが設けられる。
【0015】
本発明の前記実施形態によれば、少なくとも以下のような有益な効果が得られる。本発明において、ロケットの運搬、輸送中においてロケットを確実に浮動サポートすることができる。ロケットの起立中において比例リリーフ弁の電流を調節することにより、サポート力を制御可能とすることができるとともに、安全弁によって最大サポート力を規制することができるので、起立中において起立アームの変形によってロケット本体に追加的に付加する大きなサポート力を回避されつつ、ロケットの発射終了時における位置決めのずれに適応されることが可能である。
【0016】
前記一般的な説明および以下の具体的な実施形態は、例示的かつ説明的なものにすぎず、本発明で主張されるものの範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下に添付されている図面は、本発明の明細書の一部であり、本発明の実施例を示しており、明細書の説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。
図1】本発明の実施例に係るロケット支援油圧サポート装置の一部の構造の模式図である。
図2】本発明の実施例に係るロケット支援油圧サポート装置の断面図である。
図3】本発明の実施例に係るロケット支援油圧サポート装置のロケット起立中における状態の模式図である。
図4】本発明の実施例に係るロケット支援油圧サポート装置のロケットに対する2次サポートおよびロケットの水平戻し中における状態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例の目的、技術的手段およびメリットをより明らかにするために、以下、本発明に開示される内容の思想を添付図面および詳細な説明とともに明確にする。本発明の実施例を理解される当業者であれば、本発明の思想および範囲から逸脱しない、本発明で教示される技術によって変更および修正を行うことができる。
【0019】
本発明の模式的な実施例およびその説明は本発明を説明するためのものであるが、本発明を限定することを意図するものではない。また、図面および実施形態における同じまたは類似の参照符号で示される素子・部材は同じまたは類似の素子・部材を表すことを意図している。
【0020】
本明細書で使用される「第1」、「第2」などの用語は、特に順序や順位を指すのではなく、本発明を限定するものでもなく、同じ専門用語で示される素子または操作を区別するためのものにすぎない。
【0021】
本明細書で使用される上、下、左、右、前または後などの方向に関する用語は、添付図面の方向を示すものにすぎない。したがって、使用される方向に関する用語は、説明を目的としたものであり、本発明を限定するものを意図するものではない。
【0022】
本明細書で使用される「包含」、「含む」、「有する」、「含有」などの用語は、いずれも制限のない用語であり、これらを含むがこれらに限定されない。
【0023】
本明細書で使用される「および/または」は、説明されるもののいずれかまたはすべての組み合わせを含む。
【0024】
本明細書で使用される「複数」は「2つ」および「2つ以上」を含む。本明細書で使用される「複数群」は「2群」および「2群以上」を含む。
【0025】
本明細書で使用される「ほぼ」、「約」などの用語は、わずかに変化する可能性があるがその本質を変えない量または誤差を修正するために使用される。一般に、このような用語で修正されるニュアンスまたは誤差の範囲は、いくつかの実施例では20%、いくつかの実施例では10%、いくつかの実施例では5%または他の値であり得る。当業者であれば、前記の値は実際の必要に応じて調整可能であり、それに限定されないことを理解されるだろう。
【0026】
本明細書を説明するために使用されるいくつかの用語は、本明細書の説明における追加のガイダンスを当業者に提供するために、本明細書の以下または他の場所で説明する。
【0027】
図1に示されるように、本発明は、油圧システム1と、ガイドサポートシリンダー2と、弾性サポートアセンブリ3と、ロケットホルダ4とを備えるロケット6支援油圧サポート装置を提供する。油圧システム1は、鉛直方向におけるサポート力を発生させるようにガイドサポートシリンダー2を駆動し、ガイドサポートシリンダー2の上方には、弾性サポートアセンブリ3が設けられ、弾性サポートアセンブリ3の上方には、ロケットホルダ4が設けられ、弾性サポートアセンブリ3は、ロケットホルダ4を浮動サポートするためのものであり、ロケットホルダ4は、ロケット6をサポートするためのものである。ガイドサポートシリンダー2は、下端のフランジを介して起立アーム本体5に接続される。
【0028】
具体的には、油圧システム1は、油圧シリンダー11と、パワーアセンブリ12と、オイルソース(図示せず)とを有する。オイルソースはパワーアセンブリ12に作動油を提供し、パワーアセンブリ12はロッドキャビティオイルパイプおよびロッドレスキャビティオイルパイプを介して油圧シリンダー11に接続される。油圧シリンダー11はガイドサポートシリンダー2に接続され、鉛直方向におけるサポート力を発生させるようにガイドサポートシリンダー2を駆動する。
【0029】
油圧シリンダー11は、油圧シリンダーバレル111と、油圧シリンダーロッド112と、ストロークスペーシングスリーブ113と、オイルシリンダーピンシャフト114とを有する。油圧シリンダーロッド112は、油圧シリンダーバレル111内に摺動可能に設けられ、ストロークスペーシングスリーブ113は、油圧シリンダーバレル111における油圧シリンダーロッド112のストロークを規制するために、油圧シリンダーロッド112の長手方向に沿って油圧シリンダーロッド112に付けられる。油圧シリンダーロッド112の先端は、オイルシリンダーピンシャフト114を介してガイドサポートシリンダー2に接続される。
【0030】
具体的には、ストロークスペーシングスリーブ113の直径は、油圧シリンダーロッド112の底部の直径以下であり、油圧シリンダーロッド112の中間部の直径よりも大きい。ストロークスペーシングスリーブ113は油圧シリンダーロッド112の中間部に付けられ、油圧シリンダーロッド112の底部を止めることにより、油圧シリンダーバレル111における油圧シリンダーロッド112のストロークを規制する目的を達成することができる。
【0031】
パワーアセンブリ12は、電磁逆転弁121と、アキュムレータ122と、圧力センサ123と、安全弁124と、比例リリーフ弁125と、チェック弁126とを備える。オイルソースはチェック弁126を介して電磁逆転弁121の給油キャビティPに接続され、電磁逆転弁121の戻り油キャビティTはオイルタンクに接続される。電磁逆転弁121の第1作動油キャビティAはロッドレスキャビティオイルパイプを介して油圧シリンダー11のロッドレスチャンバに接続され、電磁逆転弁121の第2作動油キャビティBはロッドキャビティオイルパイプを介して油圧シリンダー11のロッドキャビティに接続される。チェック弁126と電磁逆転弁121の給油キャビティPとの接続チューブには、アキュムレータ122および圧力センサ123が接続される。チェック弁126と電磁逆転弁121の給油キャビティPとの接続チューブおよびオイルタンクと電磁逆転弁121の戻り油キャビティTとの接続チューブの間には、安全弁124および比例リリーフ弁125が並列的に接続される。
【0032】
電磁逆転弁121は、電源オフの場合には、作動油はそれぞれチェック弁126を通して油圧シリンダー11のロッドキャビティおよびロッドレスチャンバに入るとともに、アキュムレータ122にも入り、油圧シリンダー11は差動接続状態になる。アキュムレータ122の作用の下で、パワーアセンブリ12は特定のサポート力補償能力を有する。安全弁124は、パワーアセンブリ12の最大圧力、すなわち油圧シリンダー11のエジェクト力の大きさを規制することによりエジェクト力が大きすぎてロケット本体を損傷することを防止する。比例リリーフ弁125は、パワーアセンブリ12の圧力変化をリアルタイムに制御し、圧力センサ123は、パワーアセンブリ12の圧力をリアルタイムに検出する。ロケット6が所定位置に起立した後、電磁逆転弁121が電源オンにされ、アキュムレータ122のオイルは油圧シリンダー11のロッドキャビティチューブを通して油圧シリンダー11のロッドキャビティに入り、ロッドレスチャンバのオイルは油圧シリンダー11のロッドレスチャンバチューブを通してオイルタンクに戻る。
【0033】
図2に示されるように、ガイドサポートシリンダー2は、ガイドサポートシリンダーバレル21と、ガイドサポートシリンダーロッド22と、シリンダーロッドリミットブロック23と、駆動オイルシリンダーベース24とを有する。ガイドサポートシリンダーロッド22は、ガイドサポートシリンダーバレル21内に摺動可能に設けられる。ガイドサポートシリンダーロッド22は油圧シリンダー11の駆動によって上下移動されている。ガイドサポートシリンダーバレル21の幅方向に沿って、ガイドサポートシリンダーロッド22の外壁とガイドサポートシリンダーバレル21の内壁との間には、ガイドサポートシリンダーロッド22の回転移動を規制するための2つのシリンダーロッドリミットブロック23が対向して設けられる。駆動オイルシリンダーベース24は、ガイドサポートシリンダーロッド22の底部に固定して設けられる。駆動オイルシリンダーベース24は、オイルシリンダーピンシャフト114を介して油圧シリンダーロッド112に接続される。
【0034】
駆動オイルシリンダーベース24と油圧シリンダーロッド112との接続箇所においてオイルシリンダーピンシャフト114を取り付けるために、ガイドサポートシリンダーバレル21の側壁にスルーホール211が開けられている。スルーホール211によってオイルシリンダーピンシャフト114に対して取付又は調整を行うことができる。
【0035】
弾性サポートアセンブリ3は、リミットブラケット31と、フランジベース32と、ホルダロータリベース33と、バネ取付脚部34と、リミットサポートバネ35とを有する。リミットブラケット31は、ガイドサポートシリンダー2の上方に設けられ、その中心にフランジベース32が固定して設けられる。フランジベース32は、ボルトを介してガイドサポートシリンダーロッド22に固定して接続される。フランジベース32は、ロータリピンシャフト36を介してホルダロータリベース33に接続される。バネ取付脚部34は、リミットブラケット31の天井面に固定して設けられるとともに、リミットブラケット31とホルダロータリベース33のトッププレートとの間に位置する。リミットサポートバネ35は、リミットサポートバネ35に対してガイドするためのバネ取付脚部34内に設けられる。リミットサポートバネ35は、一端がバネ取付脚部34に固定して接続され、他端がホルダロータリベース33のトッププレートに接触される。リミットサポートバネ35は、鉛直方向におけるロケットホルダ4の自由的な動きを規制する。
【0036】
また、ホルダロータリベース33のトッププレートの底面における、リミットサポートバネ35に対応する位置においてバネリミットブロック37が設けられる。
【0037】
具体的な他の実施例において、リミットブラケット31およびフランジベース32は一体的に成形されてもよい。
【0038】
具体的な一実施例において、リミットサポートバネ35は2本設けられており、ロケットホルダ4の長手方向に沿ってリミットブラケット31に対して鉛直方向の中軸線を対称軸としており、2本のリミットサポートバネ35はリミットブラケット31に対称して設けられる。
【0039】
ロケット6の表面がロケットホルダ4に壊されるのを防止するために、ロケットホルダ4の上部サポート面にフェルトパッド41が設けられる。
【0040】
本発明に係るロケット支援油圧サポート装置によって運搬、輸送及び起立中においてロケットをサポートするときの、その具体的なプロセスは以下のとおりである。
【0041】
S1:事前準備
【0042】
S11:油圧システム1に必要な圧力値Pを算出する。その具体的なプロセスは以下のとおりである。
まず、ロケットに必要な理論上の支援サポート力Nを算出する。
次に、油圧シリンダーロッド112を含む油圧で持ち上げる必要のあるすべての部材の重量を測定して、油圧で持ち上げる必要のあるすべての部材の重力Gを算出する。
それから、摩擦力の影響を無視すると、ロケットに必要な理論上の支援サポート力Nと、油圧で持ち上げる必要のあるすべての部材の重力Gとの和は、初期状態において油圧システム1により提供される必要のあるサポート力Fとなる。
最後に、初期状態において油圧システム1により提供される必要のあるサポート力Fに基づいて、油圧システム1に必要な圧力値Pを算出する。
【0043】
S12:算出される圧力値Pに基づいて、安全弁124を調節することによりロケット支援油圧サポート装置の最大なサポート圧力を規制する。その具体的なプロセスは以下のとおりである。
最初に、電磁逆転弁121は電源オフ状態になる。まず、比例リリーフ弁125がロケット支援油圧サポート装置の最大なサポート圧力に影響を及ぼさないように、比例リリーフ弁125の電流を最大に調節する。
油圧ポンプを始動すると、油圧ポンプはチェック弁126を介してパワーアセンブリ12に対してオイルを供給し、油圧シリンダーロッド112がストロークスペーシングスリーブ113の規制位置まで伸ばされ、安全弁124の圧力調節ネジを調節して、圧力センサ123によって検出される圧力がP値に達し、かつ変化し続けなくなったら、安全弁124の圧力調節ネジを締める。これまでのところ、ロケット支援油圧サポート装置の最大なサポート圧力が限定されており、ロケットに必要な最大なサポート力を超えないことが保証されている。
【0044】
S13:ロケット支援油圧サポート装置が初期のサポート能力を有するように、比例リリーフ弁125を調節する。その具体的なプロセスは以下のとおりである。
比例リリーフ弁125の電流を徐々に減少させることにより、油圧システム1の圧力がゆっくりと減少する。
圧力センサ123は、油圧システム1における圧力変化をリアルタイムに監視し、油圧システム1における圧力がP/4に達すると、比例リリーフ弁125に対する調節を終える。このとき、ロケット支援油圧サポート装置は、特定のサポート能力を有する。
【0045】
S2:ロケットの運搬サポート
天井クレーンによりロケットをロケット支援油圧サポート装置の真上に徐々に吊り上げる。
【0046】
3支点によるサポートであるので、まず、後支点のサポートと位置決めを行い、そして、ロケット本体のサポート面がロケットホルダ4の半凹溝内に落ちるように緩やかにロケットを下げ、引き続きロケットおよび油圧シリンダーロッド112を下方に移動し、このとき、ロケットは天井クレーンと後支点と中間支援支点との共同作用で移動する。
【0047】
前支点によるサポートを行った後、比例リリーフ弁125の電流を徐々に増加させて、油圧システム1の圧力を緩やかに増加させるとともに、引き続きロケットを緩やかに下げ、圧力センサ123によって検出される圧力が圧力値Pに達すると、比例リリーフ弁125の電流調節を停止する。
【0048】
このとき、作動油は、油圧シリンダー11およびアキュムレータ122内に封止され、ロケットは3支点で吊り上げる状態から、起立アームによる3支点でのサポート状態に運搬されることで、運搬中においてロケットが受ける付加的な外力が最小となる。
【0049】
S3:ロケットの輸送
ロケットの輸送中において、チェック弁126の作用の下で、作動油は常にアキュムレータ122および油圧シリンダー11内に封止され、アキュムレータ122は弾性補償能力を有するので、搬送中の揺れや振動を効果的に吸収することができ、それにより、輸送中において、ロケットを所定の過負荷加速度を超えないように保護することができるととに、アキュムレータ122は電磁逆転弁121の漏れを補償する役割も果たす。
【0050】
S4:ロケットの起立
ロケットの起立始めると、起立アームの変形によって、ロケットは支援油圧サポート装置における油圧シリンダー11をさらに圧縮させ、安全弁124および比例リリーフ弁125の規制によって、余剰のオイルは比例リリーフ弁125を通してオイルタンクにオーバーフローし、油圧システム1の圧力が上昇し続けることなく、理論的な圧力値に維持される。
【0051】
ロケットの起立中において、ロケットの中間支点の支援サポート力は、起立角の増大に伴って徐々に小さくなるように求められているため、理論によって異なる起立角下での必要な理論的なサポート圧力値Prを算出され、この場合には、異なる起立角に応じて比例リリーフ弁125の電流を調節し、圧力センサ123は、圧力値が必要なサポート圧力Prを満たすかどうかをリアルタイムに検出する。
【0052】
起立角が60°に達すると、ロケットは基本的に中間支援サポート装置によるサポート力を必要としないため、電磁逆転弁121が電源オンにされ、アキュムレータ122内のオイルは、電磁逆転弁121およびロッドキャビティオイルパイプを通して油圧シリンダー11のロッドキャビティに入る。図3に示されるように、ロケットホルダ4がロケット本体から約100mm離れるように、油圧シリンダーロッド112によってロケットホルダ4を後退させるように駆動され、それにより、誤動作によるロケットへの損傷を回避する。
【0053】
動作の信頼性を確保するために、電磁逆転弁121には、操作ハンドルも設けられており、操作ハンドルは冗長バックアップであり、操作者は操作ハンドルによって電磁逆転弁121の動作を手動で制御することができる。
【0054】
S5:2次サポートおよび水平戻し
発射ミッションがキャンセルされると、ロケットを再サポートして配置する必要があり、この時、充填変形又はレベリングファクターの影響により、ロケットと起立アームとの間に一定の位置ずれがある。
【0055】
ロケットが水平戻し始めると、必要な支援サポート力が非常に小さいため、ロケット支援油圧サポート装置は移動しなくてもよい。ロケットが60°に下がると、電磁逆転弁121が電源オフされるように制御し、比例リリーフ弁125の電流を徐々に増加させるように制御する。
【0056】
図4に示されるように、ずれ位置として、起立アーム支援サポート装置に対してロケットが横方向における変位Sがあれば、ロケットホルダ4によってロケットを緩やかに持ち上げ中において、ロータリピンシャフト36回りに回転する。回転角θが比較的に小さいので、リミットサポートバネに対する圧縮量が非常に小さく、ロケット支援油圧サポート装置がロケットの横方向の位置ずれに適応できるように、ガイドサポートシリンダーロッド22の持ち上げ位置を合わせて調整する。
【0057】
ずれ位置がロケットに対して離れることまたは接近していれば、ロケットホルダ4を回転させることなく、ガイドサポートシリンダーロッド22の伸縮位置を調整することによりロケット本体の位置に適合させることができる。
【0058】
ロケットの水平戻し中において、ロケットの中間支点の支援サポート力は、起立角が小さくなるに伴って徐々に大きくなるように求められるので、異なる角度での必要な理論サポート圧力値Prを理論に従って算出し、この時、オイルソースに接続して油圧システム1にオイルを補給する必要があるので、対応する異なる起立角に応じて比例リリーフ弁の電流を調節し、圧力センサ123は、油圧システム1の圧力値が必要なサポート圧力Prを満たすかどうかをリアルタイムに検出する。起立アームが水平になると、水平戻し工程が完了する。
【0059】
本発明のロケット支援油圧サポート装置は、ロケットの運搬、輸送、起立中におけるサポートリスクを効果的に低減し、起立アームの構造変形によってロケットに生じる追加的な付加力を回避することができる。特に、ロケットの起立中において、ロケットのサポートから離れるまで、本発明のロケット支援油圧サポート装置のサポート力が継続的に低減されるように制御するので、ロケット起立のサポート要件をよりよく満たすことができる。
【0060】
特に、発射を終了する場合、本発明のロケット支援油圧サポート装置は、ロケットと起立アームとの位置ずれに自動的に適応することができ、高空での複雑な手動調整作業を避けるので、操作リスクが低減され、ロケットの故障検査および水平戻しの時間が節約される。
【0061】
以上、本発明の模式的な実施形態に関する説明にすぎず、本発明の概念および原理から逸脱することなく、当業者によって行った同等の変更および修正は、いずれも本発明の請求範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0062】
1 油圧システム、
11 油圧シリンダー、
111 油圧シリンダーバレル、
112 油圧シリンダーロッド、
113 ストロークスペーシングスリーブ、
114 オイルシリンダーピンシャフト、
12 パワーアセンブリ、
121 電磁逆転弁、
122 アキュムレータ、
123 圧力センサ、
124 安全弁、
125 比例リリーフ弁
126 チェック弁、
2 ガイドサポートシリンダー、
21 ガイドサポートシリンダーバレル、
211 スルーホール、
22 ガイドサポートシリンダーロッド、
23 シリンダーロッドリミットブロック、
24 駆動オイルシリンダーベース、
3 弾性サポートアセンブリ、
31 リミットブラケット、
32 フランジベース、
33 ホルダロータリベース、
34 バネ取付脚部、
35 リミットサポートバネ、
36 ロータリピンシャフト、
37 バネリミットブロック、
4 ロケットホルダ、
41 フェルトパッド
5 起立アーム本体、
6 ロケット。
図1
図2
図3
図4