(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】浮遊船舶のハルの抵抗を低減させるためのベルト及び方法
(51)【国際特許分類】
B63B 1/38 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
B63B1/38
(21)【出願番号】P 2022562755
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2021060042
(87)【国際公開番号】W WO2021209639
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-04-05
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522402139
【氏名又は名称】アルファ・ラヴァル・ロッテルダム・ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カプテイン,ピーター カール アントン
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0000711(KR,A)
【文献】特表2013-529570(JP,A)
【文献】国際公開第88/007956(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0259257(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0214762(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮遊船舶(17)のハル(27)の抵抗を低減させるためのベルト(15)であって、前記ベルト(15)が、
- 長さ方向(L)に延在するベルト本体(18)
と、
- 前記ベルト本体(18)に組み込まれた一連の泡発生器(1)
と、
- 前記泡発生器(1)に加圧空気を供給するための空気流路(19)
と、
- 前記浮遊船舶(17)のハル(27)のまわりで前記ベルト(15)に張力をかけるための少なくとも1つのテンションケーブル(20)と、
を備え、
前記空気流路(19)が前記長さ方向(L)に延在し、前記泡発生器(1)が前記空気流路(19)に接続される、ベルト(15)において、
前記ベルト本体(18)が可撓性材料からなることを特徴とする、ベルト(15)。
【請求項2】
前記空気流路(19)が、前記ベルト本体(18)に完全に囲まれていることを特徴とする、請求項1に記載のベルト(15)。
【請求項3】
前記ベルト本体(18)が、ゴム又は弾性プラスチックからなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のベルト(15)。
【請求項4】
前記テンションケーブル(20)が、前記ベルト本体(18)に完全に組み込まれることを特徴とする、請求項
3に記載のベルト(15)。
【請求項5】
前記テンションケーブル(20)が、鋼及び/又はアラミド繊維及び/又はポリプロピレン繊維からなることを特徴とする、請求項
3に記載のベルト(15)。
【請求項6】
前記ベルト(15)が、前記ベルト本体(18)に組み込まれた磁石(21)を備え、前記磁石が、浮遊船舶(17)の金属製ハル(27)に前記ベルト(15)を取り付けるための磁石(21)であることを特徴とする、請求項1~
5のいずれか一項に記載のベルト(15)。
【請求項7】
前記泡発生器が、一定の空気流から1つ又は複数の脈動空気流を発生させるための流体発振器(1)であることを特徴とする、請求項1~
6のいずれか一項に記載のベルト(15)。
【請求項8】
浮遊船舶(17)のハル(27)の抵抗を低減させるためのデバイス(16)であって、請求項1~
7のいずれか一項に記載のベルト(15)と、浮遊船舶(17)のハル(27)のまわりで部分的に又は完全に前記ベルト(15)に張力をかけるためのテンショニングデバイス(25)とを備えることを特徴とする、デバイス(16)。
【請求項9】
前記空気流路(19)に接続される加圧空気源(23)を備えることを特徴とする、請求項
8に記載のデバイス(16)。
【請求項10】
所望の範囲の外側にある張力を示す張力ステータス信号を示すステータス信号を発生させることが可能な張力監視システムを備えることを特徴とする、請求項9に記載のデバイス(16)。
【請求項11】
前記張力監視システムが、前記加圧空気源(23)に接続され、前記デバイス(16)が、前記ステータス信号の出現により前記加圧空気源が加圧空気の供給を中止するように配置されることを特徴とする、請求項10
に記載のデバイス(16)。
【請求項12】
請求項1~
7のいずれか一項に記載のベルト(15)又は請求項
8~11のいずれか一項に記載のデバイス(16)を使用して、浮遊船舶(17)のハル(27)の抵抗を低減させる方法であって、前記ベルト(15)が前記ハル(27)の下に設置され、加圧空気が前記空気流路(19)に供給される、方法。
【請求項13】
前記ベルト(15)が請求項
6に記載のベルト(15)であり、前記ベルト(15)が、最初に、張力がかけられていない状態で、前記磁石(21)によって前記ハル(27)に取り付けられ、その後、前記ベルト(15)が前記ハル(27)に対して張力がかけられ、前記ベルト(15)の使用中、張力が維持される、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記
浮遊船舶(17)が、別の船舶によって曳航されている
、請求項
12又は13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮遊船舶のハルの抵抗を低減させるためのベルト及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バージ又は船のような浮遊船舶のハルの、水中を移動するときの抵抗、換言すれば、摩擦抵抗は、ハルと水との間の界面で気泡を利用することによって低減させることができることが知られている。これは、空気潤滑とも呼ばれる。国際公開第2011/161187号は、これを行うための装置を開示している。
【0003】
このような装置の設置のために、装置をハルに強固且つ恒久的に取り付ける必要があるため、ハルを改修する必要がある。したがって、このような装置の設置は、船舶が乾ドックにあるときのみ行うことができる。
【0004】
曳船に曳航される長旅をたまにしかしない、掘削リグ及び浮体式貯蔵生産ユニットなどの船舶については、知られている装置を設置することは非実用的であり、費用効果がよくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、設置が簡単であり、損傷なしに簡単に取り外すことができる、ハルに気泡を発生させる装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、これらの問題を解決することを目的とし、したがって、浮遊船舶のハルの抵抗を低減させるためのベルトを提供し、ベルトは長さ方向に延在するベルト本体を備え、ベルトは長さ方向にベルト本体に組み込まれた一連の泡発生器を備え、ベルトは泡発生器に加圧空気を供給するための空気流路を備え、空気流路は長さ方向に延在し、泡発生器は空気流路に接続され、ベルト本体は弾性材料及び可撓性材料からなる。
【0007】
このようなベルトは、ハルの一部のまわりに、特に、ハルの下面、場合によっては、側面のまわりにも容易に配置することができ、次いで、所定の位置に保持するために張力をかけることができる。それによって、その可撓性のために、ベルトはハルの形状に追従し、ハルに密接して置かれる。
【0008】
使用後、このようなベルトは、張力を解放することによって取り外すこともでき、その後、別の船舶で再利用することができる。
【0009】
したがって、このようなベルトは、恒久的な空気潤滑システムを設置する現実的な機会、すなわち、主要なメンテナンスが利用できない場合、又は、船舶が主に単一の場所で使用されて、たまにしか、別の遠方の場所に移動する必要がない場合に、船舶に空気潤滑能力を備え付けるのに特に適している。
【0010】
韓国特許出願公開第20170000711号は、空気を発生及び提供する空気プロバイダと、空気プロバイダから吐出された空気が流れる空気提供管と、分離された空気噴射管とを備える、分離された空気噴射管を含むベルトを開示しており、分離された空気噴射管は、その片側に形成された複数の空気噴射穴を有する。国際公開第2005/122676号は、ボートのハルの壁に取り付けられ、加圧水のための第1の導管及び加圧ガスのための第2の導管が横切る少なくとも1つの主循環シャフトを備えるマルチセルシステムからなる泡発生デバイスを開示しており、前記2つの導管は複数の泡放出セルを供給している。米国特許出願公開第2011/259257号は、船舶の底部に圧縮空気を送り込むことで、ハルと船舶が移動している水の流れとの間に気泡を介在させることによって、水中を移動するときに船舶のハルが受ける抵抗を低減させるための装置を開示している。米国特許出願公開第2011/214762号は、第1の方向にメーターを通る流体の流量に応じて周波数が変動する周期的圧力変動を発生させるための第1の手段と、第1の方向とは反対の第2の方向にメーターを通る流体の流量に応じて周波数が変動する周期的圧力変動を発生させるための第2の手段とを備え、前記第1及び第2の発生手段が入口ポートと出口ポートとの間で直列に接続されている双方向流量計のための流管を開示している。米国特許第7080664号は、第1の制御流れ流路及び第2の制御流体流れ流路のうちの少なくとも1つを選択的に開閉するための可動要素を有する少なくとも1つの制御弁を備え、制御弁が可動要素を隔離するための膜も含む流体増幅器を開示している。
【0011】
好ましい実施形態において、空気流路はベルト本体に完全に囲まれ、そのため、簡単に傷つくことはない。好ましくは、空気流路は、ベルト本体の材料の流路形状空洞として形成される。
【0012】
好ましい実施形態において、ベルトは、浮遊船舶のハルのまわりでベルトに張力をかけるための少なくとも1つのテンションケーブルを備え、好ましくは、テンションケーブルは、損傷を避けるために、ベルト本体に完全に組み込まれる。
【0013】
このようなテンションケーブルにより、大きな緊張力を加えることが可能となり、そのため、ベルトは使用中、所定の位置に適切にとどまる。
【0014】
好ましい実施形態において、ベルトはベルト本体に組み込まれた磁石を備え、磁石は、浮遊船舶の金属製ハルにベルトを取り付けるための磁石である。
【0015】
このような磁石は、張力をかける代わりではあるが、好ましくは、張力をかけることに加えて、締結機構として使用することができ、磁石は、ベルトを設置及び位置付ける間、張力が加えられる前に、ベルトをハルに取り付けるために特に有用である。
【0016】
好ましい実施形態において、泡発生器は、一定の空気流から1つ又は複数の脈動空気流を発生させるための流体発振器である。これらは、泡サイズ及び泡間隔の制御を可能にし、そのため、泡の凝集を減少させることができる。
【0017】
本発明はさらに、請求項1~8のいずれか一項に記載のベルトと、浮遊船舶のハルのまわりで少なくとも部分的にベルトに張力をかけるためのテンショニングデバイスとを備える、浮遊船舶のハルの抵抗を低減させるためのデバイスに関する。
【0018】
好ましくは、デバイスは、第1の所望の臨界張力を下回っている及び/又は第2の臨界張力を上回っている張力を示すステータス信号を発生させることが可能な張力監視システムを備える。この結果、第1の臨界張力と第2の臨界張力との間の範囲は、ベルトの正常な使用を可能にする張力の所望の範囲である。
【0019】
このようなステータス信号は、任意の種類の信号、たとえば、電子信号、無線信号、視覚信号、又は可聴信号であってもよい。ステータス信号は、張力を作業員が確認及び/又は調整する必要があるような第1又は第2の臨界張力でトリガされるように設定されてもよい。この場合、ステータス信号は、張力を確認する必要がある警告信号である。ハルへのベルトの取付けがもはや保証されない第1の臨界張力を下回ったときにトリガされるようにも設定されてもよい。この場合、ステータス信号は、十分な張力が失われたことを示す警報信号として機能するが、ベルトがハルから外れる可能性があるので好ましくない。ベルトが障害物にひっかかったことを表す第2の臨界張力を上回ったときにトリガされるようにも設定されてもよい。この場合、ステータス信号は警報信号としても働く。
【0020】
好ましい実施形態において、デバイスは、空気流路に接続される加圧空気源を備え、張力監視システムは、加圧空気源に接続され、デバイスは、前記ステータス信号の出現により加圧空気源が加圧空気の供給を中止するように配置される。
【0021】
これは、かけられた張力が不十分なベルトの連続的な動作を避ける、さらなる安全機能である。
【0022】
本発明はさらに、本発明によるベルト又はデバイスを使用して、浮遊船舶のハルの抵抗を低減させる方法に関し、ベルトはハルの下に設置され、加圧空気は空気流路に供給される。
【0023】
本方法の好ましい変形形態において、ベルトは、ベルト本体に組み込まれた磁石を備え、ベルトは、最初に、張力がかけられていない状態で、磁石によってハルに取り付けられ、その後、ベルトはハルに対して張力がかけられ、ベルトの使用中、張力は維持される。
【0024】
これは、張力が加えられる前に、最初にベルトを適切に位置付けることができるため、このようなベルトの簡単な設置方法である。
【0025】
本方法の好ましい変形形態において、それは、前記抵抗を一時的に低減させる方法であり、前記ベルトは、前記抵抗を低減させるために使用された後に取り外され、好ましくは、保管のために巻き上げられる、及び/又は、別の船舶で使用される。
【0026】
本方法の好ましい変形形態において、船舶は、別の船舶によって曳航されている船舶である。
【0027】
最後の2つの変形形態では、方法は、長い航海、たとえば、海洋を横断する国際航海をたまにしか行わず、そのような長い航海のための十分な船上推進能力を有してさえいなくてもよい船舶に、空気潤滑システムを備えることに焦点が合わせられている。
【0028】
本発明を示すために、以下の図を参照して例示的な実施形態が以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明による、ベルト及びデバイスの構成要素の斜視図を示す。
【
図2】線A-Aによる、
図1の構成要素の断面を示す。
【
図3】線B-Bによる、
図1及び2の構成要素の断面を示す。
【
図4】本発明によるベルト及びデバイスを使用する船舶の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1~3の発振器1は、伝統的な流体発振器であり、その空気出口2、3には、それぞれ1.7mmの直径の50個の丸穴を有する多孔板4が設けられる。
【0031】
発振器1は、空気入口5と、空気入口5から通じる空気入口流路6とを備える。空気入口流路6は広がり、2つの空気出口流路、より詳細には、第1の出口流路7及び第2の出口流路8に分かれ、第1の出口流路7及び第2の出口流路8は、2つの上述の空気出口2、3、より詳細には、前記多孔板4が設けられた第1の空気出口2及び第2の空気出口3に通じる。
【0032】
2つの出口流路7、8は、凹状ノーズ10を有するスプリッタ9によって分離される。
【0033】
スプリッタ9及び空気入口流路6及び出口流路7、8は、制御信号を増幅するように配置される双安定流体増幅器を一緒に構成し、この場合、制御信号は、第1の制御ポート11及び第2の制御ポート12を介して流体増幅器に供給される。
【0034】
空気出口2、3のそれぞれから、フィードバック流路13は、空気入口流路6が広がる点における制御ポートに戻る。
【0035】
発振器1は、以下のように働く。一定の空気流は、空気入口5で、空気入口流路6を通して確立される。この空気流は、第1の出口流路7又は第2の出口流路8中のいずれかを通って流れるが、同時に両方を流れることはない。乱されていない場合、空気は、流体が曲面に従う傾向を強めるコアンダ効果のために、このように流れ続ける。空気入口流路6から出口流路7、8のそれぞれへの移行は、そのような曲面である。スプリッタ9の凹状ノーズ10は、その特定の出口流路7、8を通る空気流をさらに安定化する誘導された二次空気流の作成を支援する。
【0036】
この出口流路7、8を通って流れる空気の大部分は、次いで、対応する空気出口2、3を出る。しかしながら、この空気流は、対応するフィードバック流路13を介して、対応する制御ポート11、12に戻され、空気流を他の出口流路7、8に切り替える、圧力パルスも発生させる。
【0037】
乱されていないままの場合、ここで、他の出口流路7、8を通る安定した空気流が確立される。しかしながら、他の空気出口2、3においても、圧力波が発生し、それは、フィードバック流路13を介して、対応する制御ポート11、12にフィードバックされ、空気流は再び、他の出口流路7、8に切り替わる。
【0038】
このように、空気流を、第1の出口流路7から第2の出口流路8に切り替える、及び、第2の出口流路8から第1の出口流路7に戻すごとに、一連の圧力制御信号、換言すれば、圧力制御波が、両方の制御ポート11、12で確立され、それによって、出口流路7、8のそれぞれに1つずつの2つの脈動空気流を発生させ、それぞれ、同じ発振周波数、及び半波周期だけずれた位相で脈動している。
【0039】
それによって、これらの一連の制御信号は、流体増幅器によって増幅される。
【0040】
発振器1の発振周波数は、発振器1の正確なデザインに応じて、ある程度、固定される。発振器1を通る総空気流量の変化をもたらす、空気入口5の空気圧の変化は、比較的小さい程度だけ発振周波数に影響を与えるが、発振周波数は、空気流量とは無関係に制御することはできない。
【0041】
この発振器1は有利なことには、本発明によるベルト15及びデバイス16において使用することができる。これは、
図4~6に示されている。
【0042】
これらの図は、通常は抵抗を低減させるための手段が設けられていないが、この場合は、本発明によるデバイス16 15が一時的に設けられた船舶17を示す。船舶17は、曳船によって曳航されることが意図されている。
【0043】
デバイス16は、船舶17のまわりに取り付けられた3つの可撓性ベルト15を備える。
【0044】
ベルト15は、軟質ゴムからなるベルト本体18を備える。ベルト本体18は、長さ方向Lに延在する。ベルト本体18には、空気流路19として働き、ベルト本体18の全長にわたって延在する空洞が設けられる。
【0045】
ベルト15は、互いから一定の間隔でベルト本体18内に設けられる流体発振器1をさらに備え、通常、ベルト本体18の長さ1メートルあたり2~40個の発振器1が設けられる。これらの発振器1のそれぞれの空気入口5は空気流路19に接続され、これらの発振器1の空気出口2、3はベルト本体18の外面に配置され、そのため、それらは空気を自由に放出することができる。
【0046】
ベルト15は、ベルト本体18内に設けられ、ベルト本体18の全長にわたって延在し、その末端でベルト本体18の外に突出するスチールテンションケーブル20をさらに備える。
【0047】
ベルト15は、ベルト本体18と一体化された強力な工業用磁石21をさらに備える。
【0048】
デバイス16は、圧縮機23と、ベルト本体18内の空気流路19を圧縮機23に接続するための接続パイプ24とをさらに備える。デバイス16は、ベルト15に張力をかけるための3つのテンショニングデバイス25をさらに備える。テンショニングデバイス25にはそれぞれ、張力監視機能が備えられている。デバイス16には、テンショニングデバイス25と圧縮機23との間にデータケーブル26が設けられる。
【0049】
デバイス16のこの設置及び使用は以下の通りである。
【0050】
最初に、ベルト15は、船舶17のハル27の下及び周囲の一部に配置される。この時点で、磁石21は、ベルト15をハル27に一時的に固定する。この段階でベルト15は、簡単に取り外すことができ、他のどこかに配置することができ、そのため、意図した位置に、簡単に配置することができる。
【0051】
次いで、それらのテンションケーブル20は、デッキ上で、ベルト15の一方の末端において係留点26に、及び、ベルト15の他方の末端においてテンショニングデバイス25に接続され、所定の位置に確実に固定されるように張力をかけられる。ベルト15は、ハル27の輪郭に従うように曲がる。
【0052】
次いで、圧縮機23によって、圧縮空気が空気流路19に供給される。次いで、この圧縮空気は、発振器1の空気入口5まで、空気流路19内で分配され、そのため、発振器1は、それらの空気出口2、3から泡の流れを放出し始める。
【0053】
これは、船舶17のハル27と周囲の水との間に空気潤滑を提供し、抵抗の低減が得られる。
【0054】
明らかに、テンションケーブル20に加えられている張力が不十分な場合は非常に好ましくない。それは、その場合、船舶17が水中を移動している間に、ベルト15が緩むことがあるためである。また、張力の損失は、ベルト15が壊れている、又は、もはやデッキに固定されていないことを示していることがある。
【0055】
明らかに、ベルト15が壊れることがあるので、張力があまりに高い場合も非常に好ましくない。
【0056】
したがって、テンショニングデバイス25は、張力を連続的に監視し、張力が不十分である、又は、張力があまりにも大きい場合に、データケーブル26を介して、圧縮機23に、及び、船舶17又は曳船のスタッフに、警報信号を送信し、スタッフは、この状況を調査及び改善することができる。
【0057】
警報信号が検出された場合、安全対策として、圧縮機23を遮断するように手配される。