(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ガスセンサ
(51)【国際特許分類】
G01N 29/24 20060101AFI20240820BHJP
G01N 29/02 20060101ALI20240820BHJP
G01N 29/32 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
G01N29/24
G01N29/02
G01N29/32
(21)【出願番号】P 2022579062
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 CN2022093812
(87)【国際公開番号】W WO2023206663
(87)【国際公開日】2023-11-02
【審査請求日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】202221018274.X
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
【住所又は居所原語表記】A-Block, Nanjing University Research Center Shenzhen Branch, No.6 Yuexing 3rd Road, South Hi-Tech Industrial Park, Nanshan District, Shenzhen Guangdong 518057 People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 金宇
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112730264(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0212036(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112630165(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112384785(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108226050(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - G01N 29/52
G01N 21/00 - G01N 21/61
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスセンサであって、基板と、前記基板に固定されかつ前記基板とともに囲んで第1キャビティを形成する第1ハウジングと、前記基板に接続された第1赤外線送信器及び第1音響センサとを含み、前記第1音響センサ及び前記第1赤外線送信器は、いずれも前記第1キャビティ内に収容され、前記第1ハウジングには、第1通気孔が開設され、前記第1音響センサは、前記第1キャビティ内の圧力を第1検出信号に変換するために用いられ、前記第1検出信号は、環境音声信号及び振動信号を含み、前記ガスセンサは、前記基板に接続されかつ前記第1ハウジング外に位置する環境検出アセンブリと、前記基板に接続された差分プロセッサとをさらに含み、
前記環境検出アセンブリは、前記基板に固定されかつ前記基板とともに囲んで第2キャビティを形成する第2ハウジングと、前記基板に接続された第2赤外線送信器及び第2音響センサとを含み、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングは、一体に設置されて筐体を形成し、前記筐体には、チャンバが設けられ、前記チャンバの底部には、前記チャンバを連通しない前記第1キャビティと前記第2キャビティに分割できる仕切板が固定され、前記仕切板の前記第1キャビティに対応する板面と前記仕切板の前記第2キャビティに対応する板面には、いずれも遮音層が塗布され、前記環境検出アセンブリにより生成された第2検出信号は、環境音声信号及び振動信号を含み、前記差分プロセッサは、前記第1音響センサ及び前記環境検出アセンブリに電気的に接続され、前記差分プロセッサは、前記第2検出信号に基づいて前記第1検出信号における環境音声信号及び振動信号を相殺するために用いられることを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
前記第2ハウジングには、第2通気孔が開設され、前記差分プロセッサは、前記第2音響センサに電気的に接続され、前記第1赤外線送信器及び前記第2赤外線送信器は、波長が同じであり且つ位相差が180°である赤外光を発することを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記第1キャビティの内壁と前記第2キャビティの内壁には、いずれも反射膜が塗布され、前記反射膜は、赤外光を反射するために用いられることを特徴とする請求項2に記載のガスセンサ。
【請求項4】
前記第1キャビティの構造と前記第2キャビティの構造は、同じであり、前記第1通気孔の寸法と前記第2通気孔の寸法は、同じであり、前記第1音響センサ及び前記第1赤外線送信器の前記第1キャビティ内での配列と前記第2音響センサ及び前記第2赤外線送信器の前記第2キャビティ内での配列は、同じであることを特徴とする請求項2に記載のガスセンサ。
【請求項5】
前記第1通気孔は、前記第1ハウジングの前記基板から離れる側に開設され、かつ前記第1通気孔は、前記第1音響センサに対向して設置され、前記第2通気孔は、前記第2ハウジングの前記基板から離れる側に開設され、かつ前記第2通気孔は、前記第2音響センサに対向して設置されていることを特徴とする請求項
4に記載のガスセンサ。
【請求項6】
前記第1ハウジングには、前記第1通気孔を覆う第1ダンピングメッシュが固定され、前記第2ハウジングには、前記第2通気孔を覆う第2ダンピングメッシュが固定され、前記第1ダンピングメッシュと前記第2ダンピングメッシュは、同一種類のダンピングメッシュであることを特徴とする請求項2に記載のガスセンサ。
【請求項7】
前記第1音響センサと前記第2音響センサは、前記基板に平行に設置され、前記第1音響センサと前記第2音響センサは、同一種類の音響センサであることを特徴とする請求項2~
6のいずれか1項に記載のガスセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサの技術分野に属し、特にガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスセンサは、あるガスの体積分率を対応する電気信号に変換する変換器である。従来のガスセンサは、一般的にハウジングと、ダンピングメッシュと、基板と、赤外線送信器と、音響センサとを含み、外部ガスは、拡散作用によりダンピングメッシュを通過し、内部ガスの濃度とバランスする。センサが動作する時、赤外線送信器は、ある音波周波数(例えば30Hz)で特定波長の赤外光を発し、当該波長の赤外光は、被測定ガスに強く吸収され、熱に変換され、内部チャンバに交番圧力信号を生成し、音響センサに受け取られ、電気信号に変換される。ガス中の被測定ガス濃度が高いほど、生成された低周波信号が強くなり、マイクロフォンから出力された信号強度により、被測定ガスの濃度を算出することができる。関連技術におけるガスセンサにより生成された信号は、音波検出に基づくため、外部環境における音声信号と振動信号との強い干渉を受けやすいことにより、ガスセンサの検出結果が不精確になる。
【0003】
したがって、上記問題を解決するためのガスセンサを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、関連技術におけるガスセンサが外部環境における音声信号と振動信号との強い干渉を受けやすいことにより、検出結果が精確ではない技術課題を解決できるガスセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術案は、ガスセンサであって、基板と、前記基板に固定されかつ前記基板とともに囲んで第1キャビティを形成する第1ハウジングと、前記基板に接続された第1赤外線送信器及び第1音響センサとを含み、前記第1音響センサ及び前記第1赤外線送信器は、いずれも前記第1キャビティ内に収容され、前記第1ハウジングには、第1通気孔が開設され、前記第1音響センサは、前記第1キャビティ内の圧力を第1検出信号に変換するために用いられ、前記第1検出信号は、環境音声信号及び振動信号を含み、前記ガスセンサは、前記基板に接続されかつ前記第1ハウジング外に位置する環境検出アセンブリと、前記基板に接続された差分プロセッサとをさらに含み、前記環境検出アセンブリにより生成された第2検出信号は、環境音声信号及び振動信号を含み、前記差分プロセッサは、前記第1音響センサ及び前記環境検出アセンブリに電気的に接続され、前記差分プロセッサは、前記第2検出信号に基づいて前記第1検出信号における環境音声信号及び振動信号を相殺するために用いられる。
【0006】
好ましくは、前記環境検出アセンブリは、前記基板に固定されかつ前記基板とともに囲んで第2キャビティを形成する第2ハウジングと、前記基板に接続された第2赤外線送信器及び第2音響センサとを含み、前記第2ハウジングには、第2通気孔が開設され、前記差分プロセッサは、前記第2音響センサに電気的に接続され、前記第1赤外線送信器及び前記第2赤外線送信器は、波長が同じであり且つ位相差が180°である赤外光を発する。
【0007】
好ましくは、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングは、一体に設置されて筐体を形成し、又は前記第1ハウジングと前記第2ハウジングは、間隔を隔てて設置されている。
【0008】
好ましくは、前記第1キャビティの前記第2キャビティに近接する側の内壁と前記第2キャビティの前記第1キャビティに近接する側の内壁には、いずれも遮音層が塗布されている。
【0009】
好ましくは、前記第1キャビティの内壁と前記第2キャビティの内壁には、いずれも反射膜が塗布され、前記反射膜は、赤外光を反射するために用いられる。
【0010】
好ましくは、前記第1キャビティの構造と前記第2キャビティの構造は、同じであり、前記第1通気孔の寸法と前記第2通気孔の寸法は、同じであり、前記第1音響センサ及び前記第1赤外線送信器の前記第1キャビティ内での配列と前記第2音響センサ及び前記第2赤外線送信器の前記第2キャビティ内での配列は、同じである。
【0011】
好ましくは、前記第1通気孔は、前記第1ハウジングの前記基板から離れる側に開設され、かつ前記第1通気孔は、前記第1音響センサに対向して設置され、前記第2通気孔は、前記第2ハウジングの前記基板から離れる側に開設され、かつ前記第2通気孔は、前記第2音響センサに対向して設置されている。
【0012】
好ましくは、前記第1ハウジングには、前記第1通気孔を覆う第1ダンピングメッシュが固定され、前記第2ハウジングには、前記第2通気孔を覆う第2ダンピングメッシュが固定され、前記第1ダンピングメッシュと前記第2ダンピングメッシュは、同一種類のダンピングメッシュである。
【0013】
好ましくは、前記環境検出アセンブリは、前記基板に接続された第2音響センサをさらに含み、前記差分プロセッサは、前記第2音響センサに電気的に接続され、前記第2音響センサは、環境に露出する。
【0014】
好ましくは、前記第1音響センサと前記第2音響センサは、前記基板に平行に設置され、前記第1音響センサと前記第2音響センサは、同一種類の音響センサである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の有益な効果は、基板に環境検出アセンブリを設置することにより、環境検出アセンブリは、環境における音声及び振動を検出して第2検出信号に変換することができ、それにより差分プロセッサは、第2検出信号に基づいて第1検出信号における環境音声信号及び振動信号を相殺することができ、外部環境におけるノイズ及び振動の強い干渉を除去することができ、それにより正確な被測定ガスの濃度データを取得し、ガスセンサの検出ガス濃度の精確性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る実施例の第1実施形態におけるガスセンサの全体構造概略図である。
【
図2】本発明に係る実施例の第1実施形態におけるガスセンサの上面図である。
【
図3】
図2におけるA-A方向における断面図である。
【
図4】本発明に係る実施例の第1実施形態におけるガスセンサの左側面図である。
【
図5】
図4におけるB-B方向における断面図である。
【
図6】本発明に係る実施例の第2実施形態におけるガスセンサのある方向における断面図である。
【
図7】本発明に係る実施例におけるガスセンサの信号の流れの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下は図面及び実施形態を参照して本発明をさらに説明する。
【0018】
図1~
図7に示すとおり、本実施例において、ガスセンサは、基板1と、基板1に固定されかつ基板1とともに囲んで第1キャビティ32を形成する第1ハウジング21と、基板1に接続された第1赤外線送信器35及び第1音響センサ31とを含み、第1音響センサ31及び第1赤外線送信器35は、いずれも第1キャビティ32内に収容され、第1ハウジング21には、第1通気孔33が開設され、第1音響センサ31は、第1キャビティ32内の圧力を第1検出信号に変換するために用いられ、第1検出信号は、環境音声信号及び振動信号を含み、ガスセンサは、基板1に接続されかつ第1ハウジング21外に位置する環境検出アセンブリ4と、基板1に接続された差分プロセッサとをさらに含み、環境検出アセンブリ4により生成された第2検出信号は、環境音声信号及び振動信号を含み、差分プロセッサは、第1音響センサ31及び環境検出アセンブリ4に電気的に接続され、差分プロセッサは、第2検出信号に基づいて第1検出信号における環境音声信号及び振動信号を相殺するために用いられる。
【0019】
本実施例におけるガスセンサは、差分式PAS(PhotoAcoustic Spectroscopy光音響分光法)ガスセンサであり、理解されるように、基板1に環境検出アセンブリ4を設置することにより、環境検出アセンブリ4は、環境における音声及び振動を検出して第2検出信号に変換することができ、それにより差分プロセッサは、第2検出信号に基づいて第1検出信号における環境音声信号及び振動信号を相殺することができ、外部環境におけるノイズ及び振動の強い干渉を除去することができ、それにより正確な被測定ガスの濃度データを取得し、ガスセンサの検出ガス濃度の精確性を向上させる。
【0020】
図3及び
図5に示すとおり、本実施例の第1実施形態において、環境検出アセンブリ4は、基板1に固定されかつ基板1とともに囲んで第2キャビティ43を形成する第2ハウジング22と、基板1に接続された第2赤外線送信器41及び第2音響センサ42とを含み、第2ハウジング22には、第2通気孔44が開設され、差分プロセッサは、第2音響センサ42に電気的に接続され、第1赤外線送信器35と第2赤外線送信器41は、波長が同じであり且つ位相差が180°である赤外光を発し、第1音響センサ31と第2音響センサ42は、互いに平行であり、第1音響センサ31と第2音響センサ42は、同一種類の音響センサである。具体的には、第1ハウジング21及び第2ハウジング22は、いずれも矩形状のハウジングであってもよく、対応する第1キャビティ32及び第2キャビティ43は、矩形状のキャビティであり、第1通気孔33及び第2通気孔44は、矩形状孔であってもよく、差分プロセッサは、差分増幅器であってもよく、第1音響センサ31及び第2音響センサ42は、いずれもマイクロフォンであってもよく、ガスセンサの構造が簡単であり、成形しやすい。第1赤外線送信器35と第2赤外線送信器41は、波長が同じで、位相差が180°の赤外光を発することにより、第1キャビティ32内と第2キャビティ43内に位相差が180°の波を生成し、第1音響センサ31と第2音響センサ42は、平行に配置され、第1音響センサ31と第2音響センサ42は、同一種類の音響センサであり、それにより第1音響センサ31と第2音響センサ42は、外部振動の干渉によって生成された振動信号の位相が同じである。被測定ガスは、第1通気孔33から第1キャビティ32内に入り、第2通気孔44から第2キャビティ43内に入り、かつ同相信号を生成する。
【0021】
理解できるように、赤外線送信器は、一定の周波数(例えば30Hz)で特定波長の赤外光を発し、当該波長赤外光は、被測定ガスに強く吸収され、熱に変換され、キャビティ内に交番圧力信号を生成し、それにより音響センサによって受け取ることができ、音響センサは、交番圧力信号を電気信号に変換して差分プロセッサに伝送する。差分プロセッサは、受け取られた第2検出信号及び第1検出信号を処理することにより、同相の環境音と振動が相殺され、それにより光音響分光法に基づくガスセンサは、外部ノイズ及び振動の干渉を受けやすいという欠陥を解消することができる。さらに、ガス中の被測定ガスの濃度が高いほど、生成された低周波信号が強くなり、音響センサから出力された信号強度に基づいて、被測定ガスの濃度を算出することができる。
【0022】
図3及び
図5に示すとおり、本実施形態において、第1ハウジング21と第2ハウジング22は、一体に設置されて筐体2を形成し、第1キャビティ32の第2キャビティ43に近接する側の内壁と第2キャビティ43の第1キャビティ32に近接する側の内壁には、いずれも遮音層が塗布されている。具体的には、第1ハウジング21と第2ハウジング22は、一体式の筐体2であってもよく、筐体2には、チャンバが設けられ、チャンバの底部には、チャンバを連通しない第1キャビティ32と第2キャビティ43に分割できる仕切板が固定され、仕切板の第1キャビティ32と第2キャビティ43に対応する板面に遮音層が塗布され、第1キャビティ32と第2キャビティ43のうちの1つのキャビティで生成された音が仕切板を通過して他のキャビティに干渉を生成することを回避し、さらにガス濃度測定の精確性を向上させる。他の実施例において、第1ハウジング21と第2ハウジング22は、間隔を隔てて設置され、第1ハウジング21と第2ハウジング22との間の隙間を利用し、第1キャビティ32と第2キャビティ43との間に生成された音が互いに干渉することを回避する。
【0023】
図3及び
図5に示すように、好ましくは、第1キャビティ32の内壁と第2キャビティ43の内壁には、いずれも反射膜が塗布され、第1赤外線送信器35と第2赤外線送信器41から発された赤外光は、反射膜に伝送し、反射膜で反射され、反射膜を利用して赤外線送信器から発された赤外光をキャビティ内に複数回反射させることができ、それにより赤外光が被測定ガスと十分に接触し、被測定ガスが赤外光を吸収することに役立つ。第1キャビティ32の構造と第2キャビティ43の構造は、同じであり、第1通気孔33の寸法と第2通気孔44の寸法は、同じであり、それにより被測定ガスがキャビティ内に流入する速度が一致しかつ被測定ガスの濃度が同じであることを保証することができ、当該ガスセンサの測定の精確性を向上させる。
【0024】
図3及び
図5に示すとおり、本実施形態において、第1通気孔33は、第1ハウジング21の基板1から離れる側に開設され、かつ第1通気孔33と第1音響センサ31は、対向して設置され、第2通気孔44は、第2ハウジング22の基板1から離れる側に開設され、かつ第2通気孔44と第2音響センサ42は、対向して設置されている。具体的には、第2音響センサ42は、第2キャビティ43の一方側に設置され、第2赤外線送信器41は、第2キャビティ43の他方側に設置され、それにより第2赤外線送信器41から発された赤外光が第2通気孔44を介して第2キャビティ43の外に照射されにくく、また、被測定ガスが一部の第2キャビティ43に充填された後、被測定ガスがさらに第2赤外線送信器41から発された赤外光を吸収することを保証することができ、ガスセンサの検出能力を保証することに役立つ。
【0025】
図3及び
図5に示すとおり、本実施形態において、第1ハウジング21には、第1通気孔33を覆う第1ダンピングメッシュ34が固定され、第2ハウジング22には、第2通気孔44を覆う第2ダンピングメッシュ45が固定され、第1ダンピングメッシュ34と第2ダンピングメッシュ45は、同一種類のダンピングメッシュである。具体的には、第1ダンピングメッシュ34及び第2ダンピングメッシュ45は、いずれも水遮断通気濾過膜であってもよく、他の不純物(例えば水及び固体粒子状物質)がキャビティに入って、ガスセンサの検出効果を干渉することを防止することができ、被測定ガスのみが入ることを確保する。第1ダンピングメッシュ34と第2ダンピングメッシュ45は、同一種類のダンピングメッシュであり、第1キャビティ32と第2キャビティ43内に入る被測定ガスの一致性を保持することを確保し、第1ダンピングメッシュ34と第2ダンピングメッシュ45との間に存在しえる差異を低減し、それにより差分測定の一致性を保つ。
【0026】
図6に示すとおり、本実施例の第2実施形態において、環境検出アセンブリ4は、基板1に接続された第2音響センサ42をさらに含み、差分プロセッサは、第2音響センサ42に電気的に接続され、第2音響センサ42は、環境に露出する。具体的には、第1音響センサ31と第2音響センサ42は、いずれもマイクロフォンであってもよい。第1音響センサ31と第2音響センサ42は、互いに平行である。第1音響センサ31と第2音響センサ42は、同一種類の音響センサである。第1音響センサ31が差分プロセッサに伝送する第1検出信号は、環境音声信号と、振動信号と、被測定ガス濃度信号とを含む。第2音響センサ42が差分プロセッサに伝送する第2検出信号は、環境音声信号及び振動信号を含む。差分プロセッサは、第1検出信号及び第2検出信号を処理することにより、環境音声信号及び振動信号が除去され、外部環境におけるノイズ及び振動の干渉を解消し、それにより当該ガスセンサは、精確な被測定ガスの濃度を測定することができる。
【0027】
理解すべきことは、第1実施形態において2つのキャビティが設置されることに比べて、第2実施形態は、サイズ及びコストがより低く、また、第2実施形態に係る第2音響センサ42は、一般的なマイクロフォンとして用いられることができ、当該ガスセンサに必要な音声信号を提供する。第1実施形態における第1検出信号及び第2検出信号は、いずれも環境音声信号と、振動信号と、被測定ガス濃度信号とを含み、かつ2つの赤外線送信器が発した赤外光の波長が同じであり、位相差が180°であり、差分プロセッサの計算により強度が1倍増加した信号を出力することにより、第1実施形態により得られた被測定ガスの濃度は、実際の被測定ガスの濃度の2倍である。第2実施形態における第1検出信号は、環境音声信号と、振動信号と、被測定ガスの濃度信号とを含み、第2検出信号は、環境音声信号及び振動信号のみを含み、それにより第2実施形態により得られた被測定ガスの濃度は、実際の被測定ガスの濃度と同じである。
【0028】
上記したのは、本発明の実施形態だけであり、本発明が属する技術分野の当業者にとって、本発明の創造的構想から逸脱することなく、更に改善することができるが、これらはいずれも本発明の保護範囲内に属するものと理解されるべきである。