(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20240820BHJP
【FI】
G06Q30/0207 350
(21)【出願番号】P 2023020021
(22)【出願日】2023-02-13
(62)【分割の表示】P 2020044971の分割
【原出願日】2020-03-16
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】507009009
【氏名又は名称】株式会社博報堂DYホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼久 真也
(72)【発明者】
【氏名】稲井 祐介
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-054224(JP,A)
【文献】特開2020-030658(JP,A)
【文献】特開2015-156180(JP,A)
【文献】特許第6586217(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品又は役務に関する取引の記録を含む取引データを、一以上の取引事業者システムから取得するように構成される取引データ取得部と、
記憶装置が複数のユーザのそれぞれに関して記憶する、対応するユーザの商取引に用いられる決済手段の識別情報に基づき、前記複数のユーザのそれぞれの前記決済手段を用いた決済の記録を含む決済データを、決済事業者システムから取得するように構成される決済データ取得部と、
前記取引データ取得部が取得した前記取引データから識別される複数の取引のそれぞれに関し、対応する取引を行ったユーザを、対応する取引の記録と前記決済データ取得部が取得した前記決済データとに基づき判別するように構成される判別部と、
前記判別部の判別結果に従い、前記取引データの取得元に対応する一以上の取引事業者に関して、取引事業者毎に、対応する取引事業者に関する説明データを生成するように構成される説明データ生成部と、
を備え
、
前記記憶装置は、前記複数のユーザのそれぞれに関して、前記決済手段の識別情報に関連付けて、対応するユーザの顧客IDを記憶し、
前記対応する取引事業者に関する前記説明データは、前記対応する取引事業者の取引のそれぞれに関して、対応する取引と、前記対応する取引を行ったユーザの顧客IDとの関係を説明するデータであり、
前記決済のそれぞれには、対応する決済事業者により個別の承認コードが発行され、
前記決済の記録は、対応する決済の承認コードを少なくとも含み、
前記取引の記録は、対応する取引で発生した決済の承認コードを少なくとも含み、
前記判別部は、前記複数の取引のそれぞれに関して、対応する取引を行ったユーザの顧客IDを、前記対応する取引で発生した前記決済の承認コードを有する決済の記録に基づいて、判別するように構成される情報処理システム。
【請求項2】
商品又は役務に関する取引の記録を含む取引データを、一以上の取引事業者システムから取得するように構成される取引データ取得部と、
記憶装置が複数のユーザのそれぞれに関して記憶する、対応するユーザの商取引に用いられる決済手段の識別情報に基づき、前記複数のユーザのそれぞれの前記決済手段を用いた決済の記録を含む決済データを、決済事業者システムから取得するように構成される決済データ取得部と、
前記取引データ取得部が取得した前記取引データから識別される複数の取引のそれぞれに関し、対応する取引を行ったユーザを、対応する取引の記録と前記決済データ取得部が取得した前記決済データとに基づき判別するように構成される判別部と
、
前記判別部の判別結果に従い、前記取引データの取得元に対応する一以上の取引事業者に関して、取引事業者毎に、対応する取引事業者に関する説明データを生成するように構成される説明データ生成部と、
を備え
、
前記記憶装置は、前記複数のユーザのそれぞれに関して、前記決済手段の識別情報に関連付けて、対応するユーザの顧客IDを記憶し、
前記対応する取引事業者に関する前記説明データは、前記対応する取引事業者の取引のそれぞれに関して、対応する取引と、前記対応する取引を行ったユーザの顧客IDとの関係を説明するデータであり、
前記決済の記録は、対応する決済が行われた時間及び場所の情報を少なくとも含み、
前記取引の記録は、対応する取引が行われた時間及び場所の情報を少なくとも含み、
前記判別部は、前記決済データ及び前記取引データに含まれる前記時間及び場所の情報に基づき、前記複数の取引のそれぞれに関して、対応する取引で発生した前記決済の記録を判別し、前記対応する取引で発生した前記決済の記録に基づき、前記対応する取引を行ったユーザの顧客IDを判別するように構成される情報処理システム。
【請求項3】
前記顧客IDは、取引事業者において顧客識別のために用いられるIDである
請求項1又は請求項2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記対応する取引事業者
に関する前記説明データは、前記対応する取引事業者で使用される顧客IDを用いて、前記対応する取引事業者の取引のそれぞれに関して、対応する取引と、前記対応する取引を行ったユーザの顧客IDとの関係を説明するデータである請求項
1~請求項3のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記記憶装置は、前記複数のユーザのそれぞれに関して、前記対応するユーザの顧客IDとして、一以上の顧客IDを記憶し、前記一以上の顧客IDのそれぞれは、複数の取引事業者のうちの対応する一つの取引事業者において顧客識別のために用いられるIDであり、
前記説明データ生成部は、前記複数の取引事業者に関して、取引事業者毎に、
前記対応する
取引事業者に関する前記説明データを生成し、
前記対応する取引事業者に関する前記説明データは、前記対応する取引事業者の取引のそれぞれに関して、対応する取引と、前記対応する取引を行ったユーザの顧客IDであって前記対応する取引事業者における顧客IDと、の関係を説明するデータである請求項
1~請求項3のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記複数の取引には、前記取引データにおいて、対応する取引行為者の顧客IDが記録される第一種の取引と、対応する取引行為者の顧客IDが記録されない第二種の取引と、が含まれ、
前記判別部は、前記第一種の取引に関する前記取引の記録に基づき、前記取引行為者の顧客IDを、対応するユーザの前記決済手段の識別情報と関連付けて、前記記憶装置に登録するように構成される請求項1~請求項
5のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項7】
請求項
1~請求項
6のいずれか一項記載の情報処理システムが備える前記決済データ取得部と、前記取引データ取得部と、前記判別部と、前記説明データ生成部としての機能をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項8】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
商品又は役務に関する取引の記録を含む取引データを、一以上の取引事業者システムから取得することと、
記憶装置が複数のユーザのそれぞれに関して記憶する、対応するユーザの商取引に用いられる決済手段の識別情報に基づき、前記複数のユーザのそれぞれの前記決済手段を用いた決済の記録を含む決済データを、決済事業者システムから取得することと、
取得した前記取引データから識別される複数の取引のそれぞれに関し、対応する取引を行ったユーザを、対応する取引の記録と取得した前記決済データとに基づき判別することと
、
前記判別の結果に従い、前記取引データの取得元に対応する一以上の取引事業者に関して、取引事業者毎に、対応する取引事業者に関する説明データを生成することと、
を含
み、
前記記憶装置は、前記複数のユーザのそれぞれに関して、前記決済手段の識別情報に関連付けて、対応するユーザの顧客IDを記憶し、
前記対応する取引事業者に関する前記説明データは、前記対応する取引事業者の取引のそれぞれに関して、対応する取引と、前記対応する取引を行ったユーザの顧客IDとの関係を説明するデータであり、
前記決済のそれぞれには、対応する決済事業者により個別の承認コードが発行され、
前記決済の記録は、対応する決済の承認コードを少なくとも含み、
前記取引の記録は、対応する取引で発生した決済の承認コードを少なくとも含み、
前記判別することは、前記複数の取引のそれぞれに関して、対応する取引を行ったユーザの顧客IDを、前記対応する取引で発生した前記決済の承認コードを有する決済の記録に基づいて、判別することを含む情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
商品又は役務に関する取引の記録を含む取引データを、一以上の取引事業者システムから取得することと、
記憶装置が複数のユーザのそれぞれに関して記憶する、対応するユーザの商取引に用いられる決済手段の識別情報に基づき、前記複数のユーザのそれぞれの前記決済手段を用いた決済の記録を含む決済データを、決済事業者システムから取得することと、
取得した前記取引データから識別される複数の取引のそれぞれに関し、対応する取引を行ったユーザを、対応する取引の記録と取得した前記決済データとに基づき判別することと、
前記判別の結果に従い、前記取引データの取得元に対応する一以上の取引事業者に関して、取引事業者毎に、対応する取引事業者に関する説明データを生成することと、
を含み、
前記記憶装置は、前記複数のユーザのそれぞれに関して、前記決済手段の識別情報に関連付けて、対応するユーザの顧客IDを記憶し、
前記対応する取引事業者に関する前記説明データは、前記対応する取引事業者の取引のそれぞれに関して、対応する取引と、前記対応する取引を行ったユーザの顧客IDとの関係を説明するデータであり、
前記決済の記録は、対応する決済が行われた時間及び場所の情報を少なくとも含み、
前記取引の記録は、対応する取引が行われた時間及び場所の情報を少なくとも含み、
前記判別することは、前記決済データ及び前記取引データに含まれる前記時間及び場所の情報に基づき、前記複数の取引のそれぞれに関して、対応する取引で発生した前記決済の記録を判別し、前記対応する取引で発生した前記決済の記録に基づき、前記対応する取引を行ったユーザの顧客IDを判別することを含む情報処理方法。
【請求項10】
前記対応する取引事業者に関する説明データは、前記対応する取引事業者で使用される顧客IDを用いて、前記対応する取引事業者の取引のそれぞれに関して、対応する取引と、前記対応する取引を行ったユーザの顧客IDとの関係を説明するデータである請求項8又は請求項9のいずれか一項記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記記憶装置は、前記複数のユーザのそれぞれに関して、前記対応するユーザの顧客IDとして、一以上の顧客IDを記憶し、前記一以上の顧客IDのそれぞれは、複数の取引事業者のうちの対応する一つの取引事業者において顧客識別のために用いられるIDであり、
前記説明データを生成することは、前記複数の取引事業者に関して、取引事業者毎に、
前記対応する取引事業者に関する説明データを生成することを含み、
前記対応する取引事業者に関する説明データは、対応する取引事業者の取引のそれぞれに関して、対応する取引と、前記対応する取引を行ったユーザの顧客IDであって前記対応する取引事業者における顧客IDと、の関係を説明するデータである請求項
8~請求項10のいずれか一項記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顧客の購買を記録し、購買に応じて顧客に有価ポイントを付与するシステムが既に知られている(例えば特許文献1参照)。ユーザの携帯端末との通信のためにブルートゥース(登録商標)等の短距離無線通信機能を備えた自動販売機も知られている。
【0003】
例示的な飲料の自動販売機は、商品販売時にユーザの携帯端末と通信して、ユーザの購買を顧客管理システム(例えばCRMシステム)に記録する。ユーザは、携帯端末に特定のアプリケーションプログラムをインストールすることにより、アプリケーションプログラムを通じて自動販売機での商品購入に応じた報酬を受け取ることができる。報酬の例としては、購入量が所定条件を満足すると発行される無料クーポンを挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、商品購入が上記購入量に反映されるのは、ユーザが短距離無線通信機能を備えた自動販売機で商品を購入した場合だけである。すなわち、従来技術では、リワードプログラムに参加するユーザが様々な場所で行う商品の購買を詳細に捕捉し、その購買をリワードプログラムに反映させることができない。リワードプログラムに限らず、商取引を詳細に把握することができないことは、多くの場合、商品又は役務を取り扱う企業にとって不便である。
【0006】
そこで、本開示の一側面によれば、ユーザの商取引を詳細に把握可能な技術を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る情報処理システムは、決済データ取得部と、取引データ取得部と、抽出部とを備える。決済データ取得部は、記憶装置が記憶するユーザの商取引に用いられる決済手段の識別情報に基づき、当該決済手段を用いた決済の記録を含む決済データを、決済事業者システムから取得するように構成される。
【0008】
取引データ取得部は、特定の取引対象である特定商品又は役務に関する取引の記録を含む取引データを、一以上の取引事業者システムから取得するように構成される。
【0009】
抽出部は、決済データ取得部が取得した決済データに基づき、取引データ取得部が取得した取引データの中から、注目取引の記録として、ユーザの決済手段を用いた特定の取引対象に関する取引の記録を抽出するように構成される。
【0010】
本開示の一側面によれば、上述したようにユーザの決済手段を目印にして、取引データからユーザの特定の取引対象に関する取引の記録を抽出することができる。
【0011】
近年では、クレジットカードや電子マネーなどの電子決済手段が普及してきている。従
って、決済手段を目印に上記取引の記録を抽出すれば、様々な時間及び場所で行われるユーザの特定商品又は役務に関する取引を、広範囲に捕捉することができる。
【0012】
従って、本開示の一側面によれば、ユーザによる特定商品又は役務に関する商取引を詳細に把握することができ、把握した情報を特定商品又は役務の販売促進等の営業活動に活用可能な技術を提供することができる。
【0013】
ところで、決済のそれぞれに対しては、対応する決済事業者により個別の承認コードが発行され得る。従って、本開示の一側面によれば、決済の記録は、対応する決済の承認コードを含み得る。取引の記録は、対応する取引で発生した決済の承認コードを含み得る。従って、抽出部は、決済データ及び取引データに含まれる承認コードに基づき、注目取引の記録を抽出するように構成されてもよい。
【0014】
本開示の一側面によれば、決済の記録は、対応する決済の承認コード及び対応する決済が行われた時間の情報を含んでいてもよい。取引の記録は、対応する取引で発生した決済の承認コード及び対応する取引が行われた時間の情報を含んでいてもよい。この場合、抽出部は、決済データ及び取引データに含まれる承認コード及び時間の情報に基づき、注目取引の記録を抽出してもよい。決済時刻の異なる複数の決済に対して、同一の承認コードが発行される場合がある。従って、承認コード及び時間の情報に基づけば、決済と取引との関係を精度よく特定し得る。
【0015】
本開示の一側面によれば、決済の記録は、対応する決済の承認コード並びに対応する決済が行われた時間及び場所の情報を含んでいてもよい。取引の記録は、対応する取引で発生した決済の承認コード並びに対応する取引が行われた時間及び場所の情報を含んでいてもよい。この場合、抽出部は、決済データ及び取引データに含まれる承認コード、時間、及び場所の情報に基づき、注目取引の記録を抽出してもよい。
【0016】
本開示の一側面によれば、決済の記録は、対応する決済が行われた時間及び場所の情報を含み得る。取引の記録は、対応する取引が行われた時間及び場所の情報を含み得る。従って、抽出部は、決済データ及び取引データに含まれる時間及び場所の情報に基づき、注目取引の記録を抽出するように構成されてもよい。
【0017】
本開示の一側面によれば、決済の記録は、対応する決済が行われた時間及び場所並びに決済金額の情報を含み得る。取引の記録は、対応する取引が行われた時間及び場所並びに取引金額の情報を含み得る。従って、抽出部は、決済データに含まれる時間及び場所並びに決済金額の情報と、取引データに含まれる時間及び場所並びに取引金額の情報と、に基づいて、注目取引の記録を抽出するように構成されてもよい。
【0018】
本開示の一側面によれば、記憶装置には、第一の取引対象としての第一の特定商品又は役務の識別情報と、第二の取引対象としての第二の特定商品又は役務の識別情報とが記憶されてもよい。取引の記録は、対応する取引対象の識別情報を含んでいてもよい。
【0019】
この場合、抽出部は、第一の取引対象の識別情報及び第二の取引対象の識別情報に基づき、取引データ取得部が取得した取引データの中から、注目取引の記録として、ユーザの決済手段を用いた第一の取引対象に関する取引の記録及び第二の取引対象に関する取引の記録を抽出するように構成され得る。
【0020】
本開示の一側面によれば、情報処理システムは、抽出部により抽出された注目取引の記録に基づく処理を実行する処理実行部を備えていてもよい。処理実行部は、抽出部により抽出された注目取引の記録に基づき、ユーザの特定の取引対象の取引行動に関するデータ
を出力するように構成されてもよい。
【0021】
本開示の一側面によれば、処理実行部は、抽出部により抽出された注目取引の記録に基づき、特定商品又は役務を提供する企業の顧客管理システムに、当該顧客管理システムが管理するユーザの顧客管理データを更新させるように構成されてもよい。
【0022】
本開示の一側面によれば、処理実行部は、抽出部により抽出された注目取引の記録に基づき、ユーザの第一の取引対象の取引行動に関するデータを第一の出力先に出力し、ユーザの第二の取引対象の取引行動に関するデータを、第一の出力先とは異なる第二の出力先に出力するように構成されてもよい。
【0023】
本開示の一側面によれば、第一の出力先は、第一の特定商品又は役務を提供する第一の企業の顧客管理システムであり得る。第二の出力先は、第二の特定商品又は役務を提供する第二の企業の顧客管理システムであり得る。
【0024】
本開示の一側面によれば、処理実行部は、抽出部により抽出された第一の取引対象に関する取引の記録に基づき、第一の特定商品又は役務を提供する第一の企業の顧客管理システムに、当該顧客管理システムが管理するユーザの顧客管理データを更新させるように構成されてもよい。
【0025】
処理実行部は、抽出部により抽出された第二の取引対象に関する取引の記録に基づき、第二の特定商品又は役務を提供する第二の企業の顧客管理システムに、当該顧客管理システムが管理するユーザの顧客管理データを更新させるように構成されてもよい。
【0026】
本開示の一側面によれば、記憶装置には、ユーザの商取引に用いられる決済手段の識別情報として、第一の決済手段の識別情報、及び、第一の決済手段とは異なる第二の決済手段の識別情報が記憶されてもよい。
【0027】
決済データ取得部は、第一の決済手段を用いた決済の記録を含む第一の決済データを、第一の決済事業者システムから取得し、第二の決済手段を用いた決済の記録を含む第二の決済データを、第一の決済事業者システムとは異なる第二の決済事業者システムから取得するように構成されてもよい。
【0028】
抽出部は、第一及び第二の決済データに基づき、取引データ取得部が取得した取引データの中から、注目取引の記録として、ユーザの第一及び第二の決済手段を用いた特定の取引対象に関する取引の記録を抽出するように構成されてもよい。
【0029】
本開示の一側面によれば、記憶装置は、複数のユーザに関して、ユーザ毎に、決済手段の識別情報を記憶してもよい。抽出部は、決済データ取得部により取得された決済データに基づき、ユーザ毎に、対応するユーザの決済手段を用いた決済の記録をまとめた参照テーブルを生成してもよい。抽出部は、ユーザ毎に、対応するユーザの参照テーブルに基づき、取引データの中から、注目取引の記録として、対応するユーザの決済手段を用いた特定の取引対象に関する取引の記録を抽出するように構成されてもよい。
【0030】
本開示の一側面によれば、記憶装置は、ユーザ毎に、第一の決済手段の識別情報及び第二の決済手段の識別情報を記憶してもよい。抽出部は、決済データ取得部により取得された第一の決済データ及び第二の決済データに基づき、ユーザ毎に、対応するユーザの第一の決済手段を用いた決済の記録及び第二の決済手段を用いた決済の記録をまとめた参照テーブルを生成してもよい。抽出部は、ユーザ毎に、対応するユーザの参照テーブルに基づき、取引データの中から、注目取引の記録として、対応するユーザの第一及び第二の決済
手段を用いた特定の取引対象に関する取引の記録を抽出するように構成されてもよい。上記参照テーブルを用いることによっては、取引の記録を効率的に抽出することが可能である。
【0031】
本開示の一側面によれば、情報処理システムは、ユーザ端末装置からの登録要求に従って、対応するユーザの商取引に用いられる一以上の決済手段の識別情報を、記憶装置に登録する登録部を備えていてもよい。抽出部は、一以上の決済手段の識別情報が登録されたユーザのそれぞれに関して、登録された一以上の決済手段の識別情報に基づき、取引の記録を抽出するように構成されてもよい。登録要求に従って決済手段の識別情報を登録することによっては、少なくとも間接的にユーザからの承諾を得て、取引の記録の抽出を行うことが可能であり、個人情報保護の観点で有益である。
【0032】
本開示の一側面によれば、商品又は役務に関する取引の記録を含む取引データを、一以上の取引事業者システムから取得するように構成される取引データ取得部と、記憶装置が複数のユーザのそれぞれに関して記憶する、対応するユーザの商取引に用いられる決済手段の識別情報に基づき、複数のユーザのそれぞれの上記決済手段を用いた決済の記録を含む決済データを、決済事業者システムから取得するように構成される決済データ取得部と、取引データ取得部が取得した取引データから識別される複数の取引のそれぞれに関し、対応する取引を行ったユーザを、対応する取引の記録と決済データ取得部が取得した決済データとに基づき判別するように構成される判別部と、を備える情報処理システムが提供されてもよい。
【0033】
この情報処理システムによれば、取引の記録だけでは特定できない取引の当事者を、決済の記録の活用により特定することができる。従って、ユーザの商取引を詳細に把握することができる。
【0034】
本開示の一側面によれば、記憶装置は、複数のユーザのそれぞれに関して、対応するユーザの顧客IDを、決済手段の識別情報に関連付けて記憶してもよい。判別部は、複数の取引のそれぞれに関して、対応する取引を行ったユーザの顧客IDを判別するように構成されてもよい。
【0035】
本開示の一側面によれば、情報処理システムは更に、判別部の判別結果に従い、複数の取引のそれぞれと、対応する取引を行ったユーザの顧客IDと、の対応関係を説明する説明データを生成するように構成される説明データ生成部を備えていてもよい。本開示の一側面によれば、顧客IDは、取引事業者において顧客識別のために用いられるIDであってもよい。
【0036】
本開示の一側面によれば、説明データ生成部は、取引データの取得元に対応する取引事業者毎に、対応する取引事業者向けの説明データを生成するように構成されてもよい。対応する取引事業者向けの説明データは、対応する取引事業者の取引のそれぞれに関して、対応する取引と、対応する取引を行ったユーザの顧客IDとの関係を説明するデータであってもよい。
【0037】
本開示の一側面によれば、上記複数の取引には、取引データにおいて、対応する取引行為者の顧客IDが記録される第一種の取引と、対応する取引行為者の顧客IDが記録されない第二種の取引と、が含まれ得る。この場合、判別部は、第一種の取引に関する取引の記録に基づき、取引行為者の顧客IDを、対応するユーザの決済手段の識別情報と関連付けて、記憶装置に登録するように構成されてもよい。
【0038】
本開示の一側面によれば、上述した情報処理システムとしての機能を少なくとも部分的
にコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。本開示の一側面によれば、情報処理システムが備える決済データ取得部と、取引データ取得部と、抽出部としての機能をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。本開示の一側面によれば、情報処理システムが備える決済データ取得部と、取引データ取得部と、判別部としての機能をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータ読取可能な一時的でない記録媒体に記録されてもよい。
【0039】
本開示の一側面によれば、上述した情報処理システムに対応する情報処理方法が提供されてもよい。情報処理方法は、コンピュータにより実行されてもよい。
【0040】
本開示の一側面によれば、情報処理方法は、記憶装置が記憶するユーザの商取引に用いられる決済手段の識別情報に基づき、決済手段を用いた決済の記録を含む決済データを、決済事業者システムから取得することと、特定の取引対象である特定商品又は役務に関する取引の記録を含む取引データを、一以上の取引事業者システムから取得することと、取得した決済データに基づき、取得した取引データの中から、ユーザの決済手段を用いた特定の取引対象に関する取引の記録を抽出することと、を備えていてもよい。
【0041】
本開示の一側面によれば、情報処理方法は、商品又は役務に関する取引の記録を含む取引データを、一以上の取引事業者システムから取得することと、記憶装置が複数のユーザのそれぞれに関して記憶する、対応するユーザの商取引に用いられる決済手段の識別情報に基づき、複数のユーザのそれぞれの決済手段を用いた決済の記録を含む決済データを、決済事業者システムから取得することと、取得した取引データから識別される複数の取引のそれぞれに関し、対応する取引を行ったユーザを、対応する取引の記録と取得した決済データとに基づき判別することと、を備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本開示の例示的実施形態に係るシステムの構成を表すブロック図である。
【
図2】
図2Aは、決済データの構成を表す図であり、
図2Bは、レシートデータの構成を表す図である。
【
図3】サービス提供システムの動作を説明する図である。
【
図4】サービス提供システムの効果を説明する図である。
【
図5】
図5Aは、サービス提供システムが有するデータベースの一群を説明する図であり、
図5Bは、顧客データベースが備える顧客データの構成を表す図である。
【
図6】サービス提供システムのプロセッサが実行する決済データ取得処理を表すフローチャートである。
【
図7】
図7Aは、決済中間テーブルの構成を表す図であり、
図7Bは、購買中間テーブルの構成を表す図である。
【
図8】サービス提供システムのプロセッサが実行するレシートデータ取得処理を表すフローチャートである。
【
図9】サービス提供システムのプロセッサが実行する照合抽出処理を表すフローチャートである。
【
図10】サービス提供システムの顧客管理システムに対する作用を説明する図である。
【
図11】
図11Aは、第二実施形態のサービス提供システムが有するデータベースの一群を説明する図であり、
図11Bは、第二実施形態の顧客データベースが有する顧客データの構成を表す図である。
【
図12】第二実施形態の照合抽出処理を表すフローチャートである。
【
図13】第三実施形態の顧客データの構成を表す図である。
【
図14】サービス提供システムのプロセッサが実行するテーブル更新処理を表すフローチャートである。
【
図15】サービス提供システムのプロセッサが実行する分析処理を表すフローチャート(その1)である。
【
図16】分析処理を表すフローチャート(その2)である。
【
図17】
図17Aは、マッチングテーブルの構成を表す図であり、
図17Bは、流通事業者向けの分析報告データの構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下に本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
[第一実施形態]
図1に示す本開示の第一実施形態では、サービス提供システム10が、ブランド毎に設けられた顧客管理システム30のそれぞれに対し、対応ブランド商品の購買に関する情報を提供するように構成される。ここでいうブランドは、企業ブランド又は製品ブランドのことである。顧客管理システム30の例には、CRM(Customer Relationship Management)システムが含まれる。以下では、顧客のことをユーザとも表現する。
【0044】
サービス提供システム10は、一以上のサーバ装置を備えるシステムとして構成される。
図1において簡易表現されるサービス提供システム10は、プロセッサ11と、メモリ13と、通信インタフェース15と、記憶装置17とを備える。
【0045】
プロセッサ11は、コンピュータプログラムに従う処理を実行するように構成される。メモリ13は、コンピュータプログラムを記憶する。メモリ13の例には、ROM、RAM、及び、NVRAM(フラッシュメモリ等)が含まれる。通信インタフェース15は、広域ネットワークNTを通じて外部装置と通信可能に構成される。記憶装置17は、各種データベースを記憶する。サービス提供システム10の構成及び動作の詳細は、後述される。
【0046】
サービス提供システム10と通信する各ブランドの顧客管理システム30は、管理装置31と、記憶装置33とを備える。記憶装置33は、対応ブランドの顧客管理データベース35を記憶する。顧客管理データベース35は、対応ブランドのユーザ毎の顧客管理データD35を備える。各顧客管理データD35は、対応するユーザのユーザIDと、対応ブランド商品の購買履歴情報と、リワード情報とを有する(
図10参照)。
【0047】
各ブランドに対応する企業は、購買行動に係る情報の収集及び対応ブランド商品の販売促進のために、リワード(報酬)プログラムを提供する。企業は、リワードプログラムに参加するユーザの購買履歴を顧客管理データベース35に管理し、ユーザに対し、対応ブランド商品の購入実績に応じた報酬を付与する。上記リワード情報は、対応するユーザに付与された報酬に関する情報である。報酬の例には、有価ポイント及び商品の割引クーポンが含まれる。
【0048】
顧客管理システム30の管理装置31は、プロセッサ311と、メモリ313とを備える。管理装置31は、図示しない通信インタフェースを更に備え、広域ネットワークNTを通じて外部装置と通信可能に構成される。
【0049】
管理装置31では、メモリ313が記憶するコンピュータプログラムに従う処理をプロセッサ311が実行することにより顧客管理データベース35の管理に係る処理が実行される。管理には、顧客管理データベース35の更新が含まれる。
【0050】
顧客管理データベース35の更新のために、サービス提供システム10は、決済事業者
毎の決済事業者システム50及び流通事業者毎の流通事業者システム70と通信するように構成される。
【0051】
図1に示すように各決済事業者システム50は、管理装置51と、記憶装置53とを備える。記憶装置53は、決済データベース55を記憶する。決済データベース55は、対応する決済事業者により発行された決済手段を用いた決済毎に、決済データD55を記憶する。
【0052】
決済データD55は、
図2Aに示すように、対応する決済の記録として、決済承認番号、決済手段ID、決済店舗情報、決済日時情報、及び決済金額情報を備える。決済承認番号は、複数の決済のそれぞれを識別するために用いられる決済別の識別コードである。決済手段IDは、決済手段の識別コードである。
【0053】
ここでいう決済手段の例には、現金以外のキャッシュレス決済手段が含まれる。キャッシュレス決済手段は、電子決済手段と理解されてもよい。決済手段の例には、クレジットカード、デビットカード、及び電子マネーが含まれ、決済手段IDの例には、クレジットカード番号、デビットカード番号、及び電子マネー番号が含まれる。
【0054】
決済データD55に含まれる決済店舗情報は、決済が行われた場所、特には店舗を示す情報であり、決済日時情報は、決済日時を少なくとも秒単位まで詳細に記述する情報であり、決済金額情報は、決済金額を示す情報である。
【0055】
管理装置51は、プロセッサ511と、メモリ513とを備える。管理装置51は、図示しない通信インタフェースを更に備え、広域ネットワークNTを通じて外部装置と通信可能に構成される。
【0056】
管理装置51では、メモリ513が記憶するコンピュータプログラムに従う処理をプロセッサ511が実行することにより決済データベース55の管理に係る処理が実行される。以下で説明する管理装置51によって実行される処理は、プロセッサ511により実行されると理解されてよい。
【0057】
管理装置51は、対応する決済事業者により発行された決済手段を用いた決済の承認要求メッセージを外部装置から受信すると、決済を承認するかを判断する。管理装置51は、決済を承認すると判断したときに、決済を承認することを示すメッセージを、決済承認番号と共に承認要求元に送信する。この決済承認番号は、上述したように、決済事業者が承認した決済に対して発行する個別の承認コードである。
【0058】
管理装置51は、承認した決済に関する完了メッセージを受信すると、例えばメッセージ送信元との間の通信で取得した情報に基づいて、対応する決済の決済データD55を、決済データベース55に登録する。
【0059】
更に、管理装置51は、サービス提供システム10からの要求に応じて、決済データD55を決済データベース55から読み出し、サービス提供システム10に送信するように構成される。
【0060】
各流通事業者システム70は、管理装置71と、記憶装置73とを備える。記憶装置73は、売上データベース75を記憶する。売上データベース75は、流通事業者と消費者との間の商取引毎に、具体的には売買に付随する消費者からの代金の受け取り毎に、レシートデータD75を記憶する。
【0061】
レシートデータD75は、商取引(売買)の完了時に流通事業者のPOS(Point
Of Sale)端末79から消費者に対して発行されるレシートに対応するディジタルデータである。レシートデータD75は、商取引によって発生した売上を説明するジャーナルデータであると理解されてもよい。
【0062】
図2Bに示すように、レシートデータD75は、対応する取引の記録として、レシート番号、取引店舗情報、取引日時情報、取引金額情報、及び、取引詳細情報を備える。レシート番号は、レシート毎に固有の識別コードである。取引店舗情報は、取引が行われた場所、特には店舗を示す情報である。取引日時情報は、取引日時を少なくとも秒単位まで詳細に記述する情報である。取引金額情報は、対応する取引での取引金額、換言すれば商品販売金額を示す情報である。
【0063】
取引詳細情報は、対応する取引にて消費者により購入された商品毎に、商品コード、商品名、商品の購入個数、商品の単価、及び、商品の合計購入金額(すなわち、単価×購入個数)を示す。商品コードは、商品の識別コードであり、例えばJAN(Japanese Article Number)コードにより表される。
【0064】
レシートデータD75は更に、消費者に提供されるレシートには示されない非消費者向けの情報として、決済に用いられた決済手段の種別及び識別コード(決済手段ID)、並びに、決済事業者システム50からの決済承認番号を含む決済詳細情報を、例えば決済事業者への請求のために有することができる。
【0065】
管理装置71は、プロセッサ711と、メモリ713とを備える。管理装置71は、図示しない通信インタフェースを更に備え、広域ネットワークNTを通じて外部装置と通信可能に構成される。
【0066】
管理装置71では、メモリ713が記憶するコンピュータプログラムに従う処理をプロセッサ711が実行することにより売上データベース75の管理に係る処理が実行される。以下で説明する管理装置71によって実行される処理は、プロセッサ711により実行されると理解されてよい。
【0067】
管理装置71は、POS端末79からの情報に基づいて、POS端末79が発行したレシートに対応するレシートデータD75を、売上データベース75に登録する。管理装置71は更に、サービス提供システム10からの要求に応じて、レシートデータD75を売上データベース75から読み出し、サービス提供システム10に送信するように構成される。
【0068】
続いて、本実施形態のサービス提供システム10の簡単な動作説明を、その詳細を説明する前に行う。上述したように、各ブランドからはリワードプログラムが提供される。このリワードプログラムに参加するユーザは、自己が使用する決済手段を説明する決済手段情報として、決済手段の種別及び決済手段IDを、自己のユーザIDと共に、サービス提供システム10に登録することができる。以下では、登録された決済手段のことを登録決済手段とも言う。
【0069】
例えば、ユーザは、自己のユーザ端末装置90(スマートフォン等)にインストールされた各ブランドの顧客向けアプリケーションプログラムを通じて、上記決済手段情報を登録することができる。ユーザ端末装置90は、タッチパネル等のユーザインタフェースを通じて、ユーザから決済手段情報の入力操作、及び決済手段情報の登録指示を受け付けることができる。ユーザ端末装置90は、登録指示が入力されると、登録要求と共に、顧客向けアプリケーションプログラムによって管理されるユーザID及びブランドの情報、並
びに上記入力された決済手段情報を、サービス提供システム10に送信することができる。
【0070】
サービス提供システム10のプロセッサ11は、コンピュータプログラムに従う処理の実行により
図3に示す登録部11Aとして機能する。登録部11Aは、ユーザ端末装置90からの登録要求に従って、併せて受信した決済手段情報を登録するように構成される(詳細後述)。
【0071】
サービス提供システム10は、上記登録された決済手段情報に基づいて、
図3に示すように、対応するユーザの決済データD55を、対応する決済事業者システム50から取得する。サービス提供システム10は更に、一以上の流通事象者の流通事業者システム70からレシートデータD75を取得する。
【0072】
サービス提供システム10は、取得した決済データD55と、レシートデータD75との照合により、登録決済手段を用いたユーザによる対応ブランド商品の購買を検出する。サービス提供システム10は、検出した購買に関する情報を、対応ブランドの顧客管理システム30に提供する。
【0073】
このような情報提供によって、顧客管理システム30は、ユーザによる登録決済手段を用いた対応ブランド商品の購買を詳細に捕捉し、購買履歴を記録し、ユーザに対して適切な報酬を提供することができる。
【0074】
ユーザは、自己のユーザ端末装置90にインストールされた顧客向けアプリケーションプログラムを通じて、顧客管理システム30にアクセスし、対応ブランド商品の購買履歴を確認したり、報酬(有価ポイントや電子クーポンなど)を受け取ったりすることができる。このような報酬提供は、対応ブランド商品の販売促進に役立つ。
【0075】
例示的な従来のリワードプログラムによれば、ユーザは、特定企業ブランドのアプリケーションプログラムをインストールしたユーザ端末装置90を携帯した状態で、特定の自動販売機95を通じて特定企業ブランドの飲料を購入することで、報酬を受け取ることができる。特定の自動販売機95は、例えば、短距離無線通信(例えばブルートゥース通信)可能な自動販売機95である。
【0076】
この従来のリワードプログラムによれば、ユーザは、特定の自動販売機95で飲料を購入するときだけ報酬を受け取ることができ、短距離無線通信機能のない古い自動販売機、コンビニエンスストア、及びスーパーマーケット等で飲料を購入しても報酬を受け取ることができない。
【0077】
なぜなら、特定の自動販売機95でのユーザの購買に関しては、
図4に示すように、自動販売機95、ユーザ端末装置90、及び、対応ブランドの顧客管理システム30の連携動作により、ユーザの購買が補足され、ユーザの顧客管理データD35が更新されるものの、それ以外の購買では、顧客管理データD35が更新されないためである。
【0078】
本実施形態によれば、サービス提供システム10が、特定の自動販売機95以外のユーザの登録決済手段を用いた対応ブランド商品の購買を検出して、顧客管理データD35を更新可能な情報を顧客管理システム30に提供する。
【0079】
このため、本実施形態によれば、対応ブランド商品の様々な場所でのユーザの購買に応じて、顧客管理データD35を更新することができ、ユーザに便利なリワードプログラムを提供することができる。企業は、リワードプログラムを通じて、ユーザの購買行動を詳
細に収集することができる。
【0080】
続いて、サービス提供システム10の詳細構成及び動作を説明する。本実施形態のサービス提供システム10は、複数ブランドのそれぞれの顧客管理データベース35の更新を支援するために、
図5Aに示すように、ブランド毎の顧客データベース21と、ブランド毎の商品データベース25とを記憶装置17内に備える。
【0081】
各ブランドの顧客データベース21は、対応するブランドのリワードプログラムに参加するユーザ毎の顧客データD21を備える。顧客データD21は、
図5Bに示すように、対応するユーザのユーザIDと、決済手段登録データとを備える。
【0082】
決済手段登録データは、対応ブランド商品の購買に際してユーザにより使用される一つ以上の決済手段のそれぞれに関し、対応する決済手段の情報として、対応する決済手段の種別及び決済手段IDの情報を有する。決済手段の種別の情報は、対応する決済手段の決済データD55を、対応する決済事業者システム50から取得するために必要な情報と理解されてもよく、決済事業者の識別情報と理解されてもよい。決済手段の種別の例には、A社クレジットカード及びB社電子マネーなどが含まれる。
【0083】
この決済手段登録データに含まれる各決済手段の種別及び決済手段IDの情報は、上述した登録部11Aにより、ユーザ端末装置90からの登録要求に従って登録される。登録部11Aは、ユーザ端末装置90からの登録要求を受信すると、併せて受信したユーザID及びブランドの情報並びに決済手段情報に基づいて、対応するユーザ及びブランドの顧客データD21に、対応する決済手段の種別及び決済手段IDの情報を追加登録するように動作する。
【0084】
各ブランドの商品データベース25は、対応するブランドの商品であって、購買を捕捉すべき商品のリストである。商品データベース25は、商品毎に、商品コード及び商品名のレコードを有する。以下では、商品データベース25に登録された商品のことを登録商品とも表現する。
【0085】
サービス提供システム10のプロセッサ11は、ブランド毎に、対応するブランドの顧客データベース21を参照して、
図6に示す決済データ取得処理を繰返し実行することにより、対応するブランドのリワードプログラムに参加するユーザの決済データD55を取得する。
【0086】
図6に示す処理を開始すると、プロセッサ11は、予め登録されている複数の決済事業者のうち、問合せ先の決済事業者を選択する(S110)。更に、選択された決済事業者により発行された決済手段であって、対応するブランドの顧客データベース21に登録されている決済手段の決済手段IDの一群を判別する(S120)。
【0087】
その後、プロセッサ11は、判別した決済手段IDの一群をリストアップした問合せ信号を、選択した決済事業者の決済事業者システム50に、通信インタフェース15を介して送信する(S130)。プロセッサ11は、この問合せ信号に対する応答信号を、問合せ先の決済事業者システム50から通信インタフェース15を介して受信する(S140)。
【0088】
応答信号の受信により、プロセッサ11は、上記リストアップした決済手段IDに対応する決済データD55であって、未取得の決済データD55を決済事業者システム50から取得する(S140)。取得される各決済手段IDに対応する決済データD55は、対応する決済手段IDが付与された決済手段による決済の記録を示す。
【0089】
S140での処理後、プロセッサ11は、対応ブランドのユーザ別に、詳細にはユーザID別に、
図7Aに示す決済中間テーブルを生成する(S150)。生成されたユーザ毎の決済中間テーブルは、レシートデータD75との照合のために、対応するユーザIDと関連付けられて、メモリ13に記憶される。
【0090】
決済中間テーブルは、対応するユーザによる決済毎のレコードを備える。各レコードは、対応する決済で用いられた決済手段の種別及び決済手段IDの情報と、決済店舗、決済日時、及び決済金額の情報と、決済詳細情報と、を有する。これらの情報は、決済データD55が有する情報に基づく。
【0091】
プロセッサ11は、このようにして
図6に示す決済データ取得処理を、S110で選択する決済事業者を変えながら繰返し実行することにより、複数の決済事業者の決済データD55に基づく、ユーザ別の決済中間テーブルを生成する。生成は、前回生成した決済中間テーブルから所定期間以上前の古いレコードを削除し、上記取得した新しい決済データD55に基づくレコードを追加することにより実現され得る。
【0092】
上述したように、決済データ取得処理は、ブランド毎に実行される。各ブランドの決済データ取得処理は、S110で選択する決済事業者を変えながら繰返し実行される。これにより、本実施形態では、ブランド毎に、対応するブランドのユーザ別の決済中間テーブルであって、ユーザにより登録された一以上の決済手段を用いた決済に関するレコードが混合した決済中間テーブルが生成される。
【0093】
この他、プロセッサ11は、複数ブランドに共通する処理として、
図8に示すレシートデータ取得処理を繰返し実行する。レシートデータ取得処理を開始すると、プロセッサ11は、予め登録されている複数の流通事業者のうち、データ要求先の流通事業者を選択する(S210)。その後、プロセッサ11は、データ要求信号を、選択した流通事業者の流通事業者システム70に、通信インタフェース15を介して送信する(S220)。
【0094】
プロセッサ11は、このデータ要求信号に対する応答信号を、データ要求先の流通事業者システム70から通信インタフェース15を介して受信する(S220)。応答信号の受信により、プロセッサ11は、未取得のレシートデータD75を流通事業者システム70から取得する(S220)。
【0095】
S220におけるデータ取得後、プロセッサ11は、ブランド別に
図7Bに示す購買中間テーブルを生成する(S230-S260)。生成された購買中間テーブルは、メモリ13に記憶される。
【0096】
S230において、プロセッサ11は、複数ブランドのうちの一つを選択する。S240において、プロセッサ11は、選択ブランドの商品データベース25を参照して、選択ブランドの各登録商品の商品コードを判別する。
【0097】
S250において、プロセッサ11は、S220で取得したレシートデータD75のそれぞれから、選択ブランドの登録商品の取引記録を抽出する。すなわち、S240で判別した各商品コードを、取引詳細情報内で検索し、対応する商品コードが検出された場合には、検出された商品コードに関する取引記録の主情報として、商品コード、商品名、及び購入個数の情報を、取引詳細情報から抽出し、更には、副情報として、取引店舗、取引日時、及び取引金額の情報を、レシートデータD75から抽出する。
【0098】
これにより、プロセッサ11は、商品コード、商品名、購入個数、取引店舗、取引日時
、及び取引金額を含む取引記録をレシートデータD75から抽出する。取引詳細情報には、選択ブランドの複数の登録商品の購買情報が含まれる場合があり得る。この場合には、取引詳細情報に含まれる登録商品のそれぞれの取引記録を抽出する。
【0099】
S260において、プロセッサ11は、選択ブランドの購買中間テーブルを生成する。購買中間テーブルは、取引記録毎のレコードを備える。各レコードは、対応する取引で購入された商品の商品コード、商品名、及び購入個数の情報と、取引店舗、取引日時、及び取引金額の情報と、を備える。
【0100】
プロセッサ11は、決済詳細情報の一部又は全部を含むレシートデータD75を流通事業者システム70から取得可能である場合、取引記録の抽出時に、レシートデータD75から決済詳細情報の一部又は全部を抽出してもよい。この場合、購買中間テーブルのレコードには、決済詳細情報の一部又は全部が追加されてもよい。
【0101】
プロセッサ11は、上述したS240-S260の処理を、全ブランドを選択するまで、選択ブランドを変更しながら繰返し実行する。これにより、プロセッサ11は、ブランド毎に、購買中間テーブルを生成する。以上の説明から理解できるように、購買中間テーブルは、ユーザ識別を伴わずに、対応ブランドの登録商品に関するすべての取引記録に基づいて生成される。
【0102】
プロセッサ11は、全ブランドに関して、購買中間テーブルを生成したと判断すると(S270でYes)、レシートデータ取得処理を終了する。プロセッサ11は、このように
図8に示すレシートデータ取得処理を実行することにより、ブランド別の購買中間テーブルを生成する。
【0103】
付言すると、各ブランドの購買中間テーブルの生成は、前回生成した対応ブランドの購買中間テーブルに上記取得した新しいレシートデータD75に基づくレコードを追加することにより実現される。
【0104】
上述したレシートデータ取得処理は、S210で選択する流通事業者を変えながら繰返し実行される。各ブランドの購買中間テーブルは、複数流通事業者に共通して一つ用意される。すなわち、各ブランドの購買中間テーブルには、レシートデータ取得処理の繰返し実行の過程で、複数の流通事業者の取引記録に基づくレコードが追加される。これにより、本実施形態では、ブランド毎に、複数の流通事業者の取引記録に基づく購買中間テーブルが生成される。
【0105】
購買中間テーブル内の各レコードは、対応するブランドの全ユーザの決済中間テーブルの全レコードとの照合が完了すると、購買中間テーブルから削除される。照合は、
図9に示す照合抽出処理で実現される。照合抽出処理は、ブランド毎に実行される。すなわち、プロセッサ11は、ブランド毎に、対応するブランドの各ユーザの決済中間テーブルを参照して、
図9に示す照合抽出処理を繰返し実行することにより、対応するブランドの各ユーザの顧客管理データD35の更新に必要な情報を生成及び出力する。
【0106】
照合抽出処理を開始すると、プロセッサ11は、対応するブランドの顧客データベース21を参照して、登録されたユーザの一人を処理対象に選択する(S310)。すなわち、顧客データベース21にユーザIDが登録されたユーザの一人を処理対象に選択する。
【0107】
その後、プロセッサ11は、処理対象ユーザのユーザIDに関連付けられた処理対象ユーザの決済中間テーブルを参照し(S320)、当該決済中間テーブル内のレコードの一つを選択する(S330)。
【0108】
更に、プロセッサ11は、上記選択したレコードに対応する決済で購入された登録商品のレコード(以下、決済関連レコードという)を、対応するブランドの購買中間テーブル内で検索する(S340)。S340での検索は、以下に説明する例に従って実現される。
【0109】
上述したように、決済中間テーブルの各レコードには、決済店舗、決済日時、及び決済金額の情報が含まれる。購買中間テーブルの各レコードには、取引店舗、取引日時、及び取引金額の情報が含まれる。
【0110】
第一例によれば、プロセッサ11は、取引店舗及び取引日時の組み合わせが、S330での選択レコードが示す決済店舗及び決済日時の組み合わせと同一であるレコードを購買中間テーブル内で検索することにより、上記決済関連レコードを検索する。
【0111】
第二例によれば、プロセッサ11は、取引店舗、取引日時、及び取引金額の組み合わせが、S330での選択レコードが示す決済店舗、決済日時、及び決済金額の組み合わせと同一であるレコードを購買中間テーブル内で検索する。
【0112】
購買中間テーブルのレコードに決済詳細情報として決済手段の種別及び決済手段IDの情報が含まれる実施形態も考え得られる。従って、第三例として、プロセッサ11は、取引日時、決済手段の種別、及び決済手段IDの組み合わせが、S330での選択レコードが示す決済日時、決済手段の種別、及び決済手段IDの組み合わせと同一であるレコードを購買中間テーブル内で検索することにより、上記決済関連レコードを検索してもよい。決済手段の種別は検索に用いられなくてもよい。
【0113】
決済中間テーブルのレコード及び購買中間テーブルのレコードの両方に、決済詳細情報として、決済承認番号が含まれる実施形態も考えられる。従って、第四例として、プロセッサ11は、決済承認番号が、S330での選択レコードが示す決済承認番号と同一であるレコードを購買中間テーブル内で検索することにより、上記決済関連レコードを検索してもよい。
【0114】
この他、同一の決済承認番号が、決済日時の離れた複数の決済に対して発行される可能性があることから、次のように、上記決済関連レコードを検索してもよい。すなわち、第五例として、プロセッサ11は、決済承認番号及び取引日時の組み合わせが、S330での選択レコードが示す決済承認番号及び決済日時の組み合わせと同一であるレコードを購買中間テーブル内で検索することにより、上記決済関連レコードを検索してもよい。こうした検索方法によれば、同一の決済承認番号が、異なる決済に再利用される場合も、決済関連レコードを、購買中間テーブル内で正しく検索することができる。
【0115】
この他、第六例として、プロセッサ11は、決済承認番号、取引日時、及び取引店舗の組み合わせが、S330での選択レコードが示す決済承認番号、決済日時及び決済店舗の組み合わせと同一であるレコードを購買中間テーブル内で検索することにより、上記決済関連レコードを検索してもよい。
【0116】
第七例として、プロセッサ11は、決済承認番号、取引日時、取引店舗、及び取引金額の組み合わせが、S330での選択レコードが示す決済承認番号、決済日時、決済店舗、及び取引金額の組み合わせと同一であるレコードを購買中間テーブル内で検索することにより、上記決済関連レコードを検索してもよい。こうした検索方法によれば、同一の決済承認番号が、異なる決済に再利用される場合も、決済関連レコードを、購買中間テーブル内で一層正しく検索することができる。
【0117】
S340では、上記の例に限定されることなく、照合可能な様々な情報に基づいて、決済関連レコードを検索することができる。一般的には、照合する情報量が増えるほど、誤検索の可能性が低下する。
【0118】
S340での検索により決済関連レコードが、対応するブランドの購買中間テーブル内で発見されると(S350でYes)、プロセッサ11は、S360に移行し、購買中間テーブルから発見された決済関連レコードを抽出する。この際、プロセッサ11は、抽出した決済関連レコードを、購買中間テーブルに残さず、購買中間テーブルから削除することができる。
【0119】
S360での処理を終えると、プロセッサ11は、処理対象ユーザの決済中間テーブルに存在するすべてのレコードに関してS340の処理を実行したか否かを判断する。すべてのレコードに関して実行していないと判断すると(S370でNo)、プロセッサ11は、S330に移行し、選択レコードを変更してS340の処理を実行する。
【0120】
プロセッサ11は、このような処理を繰返し実行することにより、処理対象ユーザの決済中間テーブルに存在する各レコードに対応する決済関連レコードを、対応するブランドの購買中間テーブルから抽出する。
【0121】
すべてのレコードに関してS340の処理を実行したと判断すると(S370でYes)、プロセッサ11は、S380に移行して、S360で抽出した決済関連レコードに基づき、処理対象ユーザの対応するブランドの顧客管理データD35を更新するためのデータである更新用データを生成する。そして、生成した更新用データを、
図10に示すように対応ブランドの顧客管理システム30に送信する。
【0122】
更新用データは、S360で抽出された一つ以上の決済関連レコードをまとめたデータであり得る。更新用データは、ユーザの顧客管理データD35を、対応する顧客管理システム30に更新させるためのデータと理解されてもよいし、ユーザの対応ブランド商品の購買行動に関するデータと理解されてもよい。
【0123】
更新用データは、処理対象ユーザのユーザIDと共に、ユーザが購入した各商品の、商品コード、商品名及び購入個数の情報を有することができる。更新用データは、各商品に関し、購買日毎に、購入個数の情報を有していてもよい。顧客管理システム30は、サービス提供システム10から受信した更新用データに基づき、対応するユーザの顧客管理データD35を更新することができる(S380)。
【0124】
以上に説明した本実施形態のサービス提供システム10によれば、決済手段を通じてユーザの購買行動を詳細に捕捉して、リワードプログラム及び販売促進に役立てることができる。企業にとっては、ユーザの購買行動に関する情報を詳細に収集することができる。
【0125】
特に、上記実施形態によれば、複数の決済事業者の決済手段を取り扱うことができる。更には、これら複数の決済手段による決済を、複数の流通事業者の取引データ(レシートデータD75)と照合することができる。複数種類の決済手段の決済を捕捉できること、その決済に基づく商品の購買を、複数流通事業者に亘って捕捉できることは、より詳細な購買行動の捕捉に役立つ。このことは、ユーザに対して便利なリワードプログラムを提供することに役立つ。
【0126】
上記実施形態によれば、ブランド毎に、個別のユーザIDが消費者に対して付与される。しかしながら、複数ブランドに共通するユーザIDが用意されてもよい。すなわち、複
数ブランドの各リワードプログラムに参加する一人のユーザに対して、複数ブランドに共通のユーザIDが付与されてもよい。
【0127】
[第二実施形態]
続いて、
図11A、
図11B、及び
図12を用いて本開示の第二実施形態を説明する。第二実施形態では、各個人に対して複数ブランドに共通するユーザIDが付与される。第二実施形態のサービス提供システム10は、上述した第一実施形態の変形例である。従って、以下では、第二実施形態の第一実施形態とは異なる構成を選択的に説明し、第一実施形態と同じ構成の説明を省略する。
【0128】
第二実施形態のサービス提供システム10は、
図11Aに示すように、記憶装置17内に、ブランド毎の顧客データベース21に代えて、複数ブランド共通の顧客データベース22を備える。顧客データベース22は、複数ブランドの少なくとも一つのリワードプログラムに参加するユーザ毎に、顧客データD22を備える。
【0129】
顧客データD22は、上述の顧客データD21と同様に、ユーザID及び決済手段登録データを備える他、
図11Bに示すように、登録ブランドリストを有する。登録ブランドリストは、対応するユーザがリワードプログラムに参加しており、ユーザの顧客管理データD35が顧客管理システム30に登録されているブランドのリストである。
【0130】
第二実施形態において、プロセッサ11は、この複数ブランド共通の顧客データベース22を参照して、
図6に示す決済データ取得処理を実行する。この際、決済データ取得処理は、ブランド毎に実行されない。プロセッサ11は、問合せ先の決済事業者を切り替えながら、決済データ取得処理を繰返し実行し、ユーザ別に、複数ブランド共通の決済中間テーブルを生成する。この他、プロセッサ11は、
図8に示すレシートデータ取得処理を、上述の実施形態と同様に繰返し実行し、ブランド毎に、購買中間テーブルを生成する。
【0131】
第二実施形態において、プロセッサ11は、
図9に示す照合抽出処理をブランド毎に実行することに代えて、
図12に示す照合抽出処理を複数ブランドに共通する処理として実行する。
図12に示す照合抽出処理では、
図9に示す照合抽出処理と同一ステップ番号が付されたステップにおいて、上記実施形態と同様の処理が実行される。
【0132】
プロセッサ11は、
図12に示す照合抽出処理を開始すると、S310で処理対象ユーザを選択した後、処理対象ブランドを、処理対象ユーザの登録ブランドリストに登録された一以上のブランドの中から一つ選択する(S315)。その後、プロセッサ11は、処理対象ユーザの決済中間テーブル及び処理対象ブランドの購買中間テーブルを参照し(S320)、処理対象ユーザの決済中間テーブル内の各レコードに対応する決済関連レコードを、処理対象ブランドの購買中間テーブル内で検索し、購買中間テーブルから抽出する処理を実行する(S330-S370)。
【0133】
処理対象ユーザの決済中間テーブル内のすべてのレコードに関して、処理対象ブランドの購買中間テーブル内での、対応する決済関連レコードの検索が完了すると(S370でYes)、プロセッサ11は、S380に移行する。
【0134】
S380において、プロセッサ11は、S360で抽出した決済関連レコードに基づき、処理対象ユーザの顧客管理データD35を更新するための更新用データを生成し、生成した更新用データを、処理対象ブランドの顧客管理システム30に送信する。
【0135】
プロセッサ11は、S320-S380の処理を、S315において処理対象ブランドを切り替えながら登録ブランドリストに登録された一以上のブランドのそれぞれについて
実行し、すべてのブランドについて実行した後(S390でYes)、照合抽出処理を終了する。
【0136】
プロセッサ11は、S310において処理対象ユーザを切り替えながら、
図12に示す照合抽出処理を繰返し実行することにより、各ユーザ及び各ブランドの顧客管理データD35を更新する。
【0137】
第二実施形態のようにユーザIDを複数ブランドに対して統合する場合には特に、顧客管理システム30の機能を、サービス提供システム10に組み込んでもよい。すなわち、サービス提供システム10は、各ブランドの顧客管理データベース35を備え、各ブランドの顧客管理システム30として機能するように構成されてもよい。
【0138】
この場合、プロセッサ11は、S380において更新用データを外部に送信する代わりに、記憶装置17が記憶する顧客管理データベース35内の顧客管理データD35を更新する処理を実行することができる。
【0139】
第二実施形態によれば、サービス提供システム10の運営企業は、顧客管理システムの運用を含む統合したサービスを各ブランドの企業に提供することができる。ユーザ向けの顧客向けアプリケーションプログラムは、ホワイトラベルとして各ブランドに対応する企業を通じてユーザに提供することができる。
【0140】
別例として、サービス提供システム10は、単一のブランド向けに構築されてもよい。サービス提供システム10は、ブランド別に構築されてもよい。ブランド別のサービス提供システム10は、対応するブランドの顧客管理システム30と統合されてもよい。
【0141】
この他、上述の第一実施形態及び第二実施形態では、流通事業者システム70が登録商品以外の取引記録を含むレシートデータD75をサービス提供システム10に提供する。しかしながら、流通事業者システム70は、各ブランドの登録商品に関する取引記録のみをサービス提供システム10に提供してもよい。すなわち、各ブランドの購買中間テーブルと同様のデータが、流通事業者システム70からサービス提供システム10に提供されてもよい。
【0142】
上記実施形態では、サービス提供システム10からの問い合わせ及び要求に応じて決済事業者システム50及び流通事業者システム70が受動的に決済データD55及びレシートデータD75をサービス提供システム10に提供する。
【0143】
しかしながら、決済事業者システム50は、新規決済データD55の発生毎に、その新規決済データD55をサービス提供システム10に能動的に送信するように構成されてもよい。
【0144】
サービス提供システム10は、各決済事業者システム50に対して、各ユーザの決済手段IDの情報を事前に提供することができる。各決済事業者システム50は、事前に提供された各ユーザの決済手段IDの情報に基づいて、対応する決済手段を用いた決済に関する新規決済データD55の発生毎に、その新規決済データD55をサービス提供システム10に送信することができる。
【0145】
この他、流通事業者システム70は、新規レシートデータD75の発生毎に、新規レシートデータD75を、サービス提供システム10に能動的に送信するように構成されてもよい。
【0146】
流通事業者システム70は、新規レシートデータD75の発生毎に、新規レシートデータD75の取引詳細情報を参照して、登録商品の取引の有無を判別し、登録商品の取引があるときのみ、新規レシートデータD75又は新規レシートデータD75から抽出した登録商品の取引記録を、サービス提供システム10に送信するように構成されてもよい。登録商品の取引の有無を判別するために、流通事業者システム70は、各ブランドの商品データベース25を、記憶装置73を記憶することができる。
【0147】
上述したサービス提供システム10により得られる効果は、参加する流通事業者が多いほど高まる。従って、流通事業者システム70の参加を促すために、サービス提供システム10は、決済データD55を用いて流通事業者向けのサービスを提供するように構成されてもよい。
【0148】
[第三実施形態]
第三実施形態のサービス提供システム10は、上述の流通事業者向けのサービスを提供するように構成される。第三実施形態のサービス提供システム10は、第二実施形態のサービス提供システム10に対して、流通事業者向けのサービスを提供するための構成を付加した構成にされる。以下では、第三実施形態の第二実施形態とは異なる構成を選択的に説明し、第一及び第二実施形態と同じ構成の説明を省略する。
【0149】
第三実施形態のサービス提供システム10では、記憶装置17内の顧客データベース22が、第二実施形態の顧客データD22に代えて、
図13に示す顧客データD23をユーザ毎に備える。顧客データD23のそれぞれは、顧客データD22と同じデータに加えて更に顧客IDリストを備える。
【0150】
顧客IDリストは、流通事業者から対応するユーザに付与された顧客IDのリストである。この顧客IDは、上述のユーザIDとは区別される。顧客IDは、例えば、流通事業者が提供するリワードプログラムにユーザが参加する際に、ユーザに発行される。
【0151】
顧客IDは、例えば、流通事業者から発行される会員カードに記録される。会員カードの例には、有価ポイントの蓄積に利用されるポイントカードが含まれる。紙媒体の会員カードに代えて、ディジタル会員証がユーザ端末装置90に発行されてもよい。顧客IDは、例えば会員カードの提示により、対応するユーザの流通事業者からの商品購入に際し、ユーザから流通事業者に提示される。
【0152】
一人のユーザが複数の流通事業者のリワードプログラムに参加している場合、顧客IDリストには、複数の流通事業者のそれぞれからユーザに付与された顧客IDが記録される。顧客IDは、対応する流通事業者の情報と関連付けて顧客IDリストに登録される。
【0153】
このように第三実施形態の顧客データD23では、対応するユーザの決済手段IDに顧客IDの情報が関連付けられている。上述の流通事業者向けのサービスは、この顧客データD23が有する決済手段IDと顧客IDとの関連付け情報を利用して提供される。
【0154】
サービス提供システム10のプロセッサ11は、第二実施形態と同様に、
図6に示す決済データ取得処理を実行し、ユーザID別の決済中間テーブルを作成する(S150)。更にサービス提供システム10は、流通事業者毎の分析用テーブルを記憶装置17に記憶している。プロセッサ11は、
図14に示すテーブル更新処理を繰返し実行することにより、記憶装置17が記憶する流通事業者毎の分析用テーブルを更新する。
【0155】
図14に示す処理において、プロセッサ11は、データ要求先の流通事業者を選択する(S410)。その後、プロセッサ11は、データ要求信号を、選択した流通事業者の流
通事業者システム70に、通信インタフェース15を介して送信し、未取得のレシートデータD85を流通事業者システム70から取得する(S420)。
【0156】
プロセッサ11は、S420で取得したレシートデータD85を、一つのレコードとして、上記選択した流通事業者の分析用テーブルに追加登録する(S430)。このようにしてプロセッサ11は、分析用テーブルを更新する。
【0157】
レシートデータD85は、各流通事業者システム70が第一及び第二実施形態のレシートデータD75に代えて有するレシートデータである。このレシートデータD85は、対応する取引において、取引の当事者である消費者から提示された顧客IDの情報がレシートデータD75に対して追加された構成にされる。
【0158】
但し、顧客IDは、取引の度に消費者から常に提示されるものではない。消費者が顧客IDを有さない場合、消費者が顧客IDの提示を忘れる場合が存在する。こうした取引に対応するレシートデータD85は、顧客IDの情報を有さず、実質、第一及び第二実施形態のレシートデータD75と同じデータとして構成される。レシートデータD85を取得するためのS410及びS420の処理は、S210及びS220の処理と実質同じであり、共通化され得る。
【0159】
プロセッサ11による
図14に示す処理の繰返し実行により、記憶装置17が記憶する各流通事業者の分析用テーブルには、対応する流通事業者のレシートデータD85が蓄積される。流通事業者毎の分析用テーブルには、直近所定期間分のレシートデータD85のみが蓄積され得る。
【0160】
プロセッサ11は更に、所定期間毎に、
図15及び
図16に示す分析処理を実行して、流通事業者毎のマッチングテーブルDMを更新する。マッチングテーブルDMは、レシートデータD85が有するレシート番号と対応する取引を行ったユーザの顧客IDとの対応関係を説明するテーブルである。
【0161】
図15に示す処理を開始すると、プロセッサ11は、一つの流通事業者を選択する(S510)。そして、選択した流通事業者の分析用テーブルを参照し、分析用テーブルから処理対象のレコードを一つ選択する(S520)。上述したように一つのレコードは、一つのレシートデータD85に対応する。
【0162】
その後、プロセッサ11は、処理対象のレコードに関連する決済のレコードを、決済中間テーブル内で検索する(S530)。この決済のレコードのことを、以下では、レシート関連レコードとも表現する。すなわち、レシート関連レコードは、処理対象のレコードに対応する取引で行われた決済を説明するレコードである。S530では、ユーザ別の決済中間テーブルを順に参照して、処理対象のレコードに対応するレシート関連レコードを検索することができる。
【0163】
レシート関連レコードの検索方法は、第一実施形態における決済関連レコードの検索方法と同じである。すなわち、プロセッサ11は、処理対象のレコードに含まれる、取引日時、取引店舗、取引金額、及び、決済承認番号のいずれか一つ以上と、決済中間テーブルの各レコードに含まれる、決済日時、決済店舗、決済金額、及び、決済承認番号のいずれか一つ以上との間の同一性に基づき、レシート関連レコードを検索することができる。
【0164】
プロセッサ11は、上記検索により、レシート関連レコードがユーザ別の決済中間テーブルのいずれかで発見されると(S540でYes)、レシート関連レコードが発見された決済中間テーブルに対応するユーザを、処理対象のレコードに対応する取引の当事者、
すなわち取引行為者であると判別する(S550)。
【0165】
更にプロセッサ11は、S550で判別したユーザの顧客データD23を参照し、処理対象のレコードに対応する顧客IDとして、このユーザの、対応する流通事業者から発行された顧客IDを判別する(S560)。ここでいう「対応する流通事業者」は、処理対象のレコードに対応する流通事業者であり、S510で選択された流通事業者である。
【0166】
S560で顧客IDを判別できた場合(S570でYes)、プロセッサ11は、S620に移行する。一方、S560で顧客IDを判別できなかった場合(S570でNo)、プロセッサ11は、処理対象のレコードに、顧客IDの情報が存在するか否かを判断する(S580)。顧客IDの情報が存在すると判断すると(S580でYes)、プロセッサ11は、処理対象のレコードに記述された顧客IDを、処理対象のレコードに対応する取引行為者の顧客IDであると判別する(S590)。その後、S600に移行する。
【0167】
S600において、プロセッサ11は、S590で判別した顧客IDを、対応するユーザの顧客データD23が有する顧客IDリストに、流通事業者の情報と関連付けて登録する。その後、S620に移行する。この他、プロセッサ11は、S580において顧客IDの情報が存在しないと判断すると、顧客IDが不明であると判定する(S610)。その後、S620に移行する。
【0168】
S620において、プロセッサ11は、処理対象のレコードが示すレシート番号と、S560又はS590で判別した顧客IDとを、対応するユーザID及び決済手段IDに関連付けたレコードを、
図17Aに示すように、対応する流通事業者のマッチングテーブルDMに登録する。S610で対応するユーザの顧客IDが不明であると判定した場合、プロセッサ11は、顧客IDが不明であることを示したレコードを、マッチングテーブルDMに登録する。これにより、マッチングテーブルDMを更新する(S620)。
【0169】
この他、プロセッサ11は、S560で判別された顧客IDが、処理対象のレコードが有する顧客IDの情報と一致しない場合、処理対象のレコードが有する顧客IDの情報を信用して、この顧客ID及び対応するレシート番号を、対応するユーザID及び決済手段IDに関連付けたレコードを、マッチングテーブルDMに登録することができる。更に、プロセッサ11は、対応するユーザの顧客IDリストに登録されている顧客IDを訂正する処理を行うことができる。
【0170】
S620での処理を終えた場合、又は、処理対象のレコードに対応するレシート関連レコードが発見されなかった場合(S540でNo)、プロセッサ11は、S630に移行する。
【0171】
S630において、プロセッサ11は、分析用テーブル内のレコードのすべてを処理対象に選択したか否かを判断する。S630で否定判断すると、プロセッサ11は、S520に移行し、分析用テーブルから新たに処理対象のレコードを一つ選択することにより、処理対象のレコードを切り替えて、S530以降の処理を実行する。
【0172】
S630で肯定判断すると、プロセッサ11は、S510で選択された流通事業者のマッチングテーブルDMに登録されている各レコードから、ユーザID及び決済手段IDの情報を取り除いたテーブルを、
図17Bに示すように、対応する流通事業者向けの分析報告データD9として作成し、作成した分析報告データD9を出力する(S640)。
【0173】
分析報告データD9の出力は、当該分析報告データD9を、対応する流通事業者の流通事業者システム70に送信することによって実現され得る。流通事業者システム70の管
理装置71は、受信した分析報告データD9に基づいて、売上データベース75における各レシートデータD85を更新するように動作し得る。レシートデータD85の更新は、顧客IDの情報が欠損したレシートデータD85に、上記分析報告データD9に基づいて、顧客IDの情報を追加することにより実現され得る。
【0174】
プロセッサ11は、S640での処理を終えると、全ての流通事業者に関して分析報告データD9を生成及び出力したか否かを判断する(S650)。S650で否定判断すると、プロセッサ11は、S510に移行し、次の流通事業者を選択して、S520以降の処理を実行する。この他、プロセッサ11は、S650で肯定判断すると、
図15に示す分析処理を終了する。
【0175】
以上に説明した第三実施形態のサービス提供システム10によれば、流通事業者は、レシートデータD85を提供することに対する見返りとして、レシートデータD85において欠損した顧客IDの情報を得ることができる。従って、第三実施形態では、流通事業者が、顧客IDの情報が補完された売上データベース75に基づいて、顧客の購買行動を詳細に把握することができる。従って、第三実施形態によれば、流通事業者の企業活動も支援することができる。
【0176】
付言すると、第三実施形態における流通事業者向けのサービスは、第一実施形態及び第二実施形態における顧客管理データベース35の更新に関するサービスとは独立して提供され得る。すなわち、第三実施形態のサービス提供システム10は、上述した流通事業者向けのサービスの提供するために必要な構成のみを有したシステムに置き換えられてもよい。
【0177】
[その他]
本開示が、上記の実施形態に限定されるものではなく種々の態様を採ることができることは言うまでもない。本開示の技術は、役務を取り扱うシステムに適用されてもよい。例えば、本開示の技術は、役務に関する取引の記録を抽出するために活用されてもよい。
【0178】
上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。上記実施形態の構成の少なくとも一部は、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0179】
10…サービス提供システム、11…プロセッサ、11A…登録部、13…メモリ、15…通信インタフェース、17…記憶装置、21,22…顧客データベース、25…商品データベース、30…顧客管理システム、31…管理装置、33…記憶装置、35…顧客管理データベース、50…決済事業者システム、51…管理装置、53…記憶装置、55…決済データベース、70…流通事業者システム、71…管理装置、73…記憶装置、75…売上データベース、90…ユーザ端末装置、D21,D22,D23…顧客データ、D35…顧客管理データ、D55…決済データ、D75,D85…レシートデータ、D9…分析報告データ、DM…マッチングテーブル、NT…広域ネットワーク。