(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20240820BHJP
F25D 23/06 20060101ALI20240820BHJP
F25D 23/08 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
F25D23/02 304E
F25D23/02 304A
F25D23/02 304B
F25D23/02 304C
F25D23/06 W
F25D23/08 Q
(21)【出願番号】P 2023035704
(22)【出願日】2023-03-08
(62)【分割の表示】P 2019040461の分割
【原出願日】2019-03-06
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】元井 啓順
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 浩一
(72)【発明者】
【氏名】松永 健吾
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-211721(JP,A)
【文献】特開2018-194166(JP,A)
【文献】特開2009-073731(JP,A)
【文献】特開2009-063064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
F25D 23/06
F25D 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を含む冷蔵庫本体と、
前記貯蔵室を開閉可能に閉じる扉と、
を備え、
前記扉は、箱状の外郭部材と、前記外郭部材の内部に設けられた発泡断熱材と、前記外郭部材の内部に設けられた内部部品と、前記外郭部材の内部または前記外郭部材の一部として設けられ、エアロゲル、キセロゲルまたはクライオゲルを含み、冷蔵庫を正面から見た場合に前記内部部品と重なる断熱部材とを有し、
前記扉の内部は、前記冷蔵庫の奥行方向に関して、前記内部部品が存在することで前記内部部品が存在しない領域と比べて前記発泡断熱材が充填される空間が小さくなる領域を有し、
前記断熱部材は、前記冷蔵庫を正面から見た場合に、前記発泡断熱材が充填される空間が小さくなる前記領域と重なる位置に配置されるとともに、前記扉において前記冷蔵庫を正面から見た場合に部分的に設けら
れ、
前記内部部品は、電子部品であり、
前記断熱部材は、前記外郭部材の内部で前記電子部品を収容したケースであり、
前記発泡断熱材は、前記冷蔵庫の奥行方向で、前記ケースの少なくとも一部よりも後方に位置した部分と、前記ケースの少なくとも一部よりも前方に位置した部分とを含む、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記断熱部材は、前記内部部品の外形に沿って曲がった部分を含む、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記断熱部材の少なくとも一部は、前記内部部品と前記発泡断熱材との間において前記内部部品の外形に沿って配置された、
請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
貯蔵室を含む冷蔵庫本体と、
前記貯蔵室を開閉可能に閉じる扉と、
を備え、
前記扉は、箱状の外郭部材と、前記外郭部材の内部に設けられた発泡断熱材と、前記外郭部材の内部に設けられた真空断熱材と、前記外郭部材に設けられた特定構造部と、前記外郭部材の内部または前記外郭部材の少なくとも一部として設けられ、エアロゲル、キセロゲルまたはクライオゲルを含み、冷蔵庫を正面から見た場合に前記特定構造部と重なる断熱部材とを有し、
前記扉は、前記特定構造部の内部が前記真空断熱材の厚さよりも小さいために前記真空断熱材を配置することができない領域を有し、
前記断熱部材は、前記冷蔵庫を正面から見た場合に、前記扉において前記真空断熱材を配置することができない前記領域と重なる位置に配置されるとともに、前記扉において前記冷蔵庫を正面から見た場合に部分的に設けられた、
冷蔵庫。
【請求項5】
前記断熱部材は、前記特定構造部の外形に沿って曲がった部分を含む、
請求項
4に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記断熱部材の少なくとも一部は、前記特定構造部と前記発泡断熱材との間において前記特定構造部の外形に沿って配置された、
請求項
4または請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記発泡断熱材は、前記冷蔵庫の奥行方向で、前記断熱部材の少なくとも一部よりも後方に位置した部分と、前記断熱部材の少なくとも一部よりも前方に位置した部分とを含む、
請求項
4から請求項
6のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記発泡断熱材は、前記冷蔵庫の奥行方向で、前記特定構造部および前記断熱部材の各々の少なくとも一部よりも後方に位置した部分と、前記特定構造部および前記断熱部材の各々の少なくとも一部よりも前方に位置した部分とを含む、
請求項
4に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
貯蔵室を含む冷蔵庫本体と、
前記貯蔵室を開閉可能に閉じる扉と、
を備え、
前記扉は、箱状の外郭部材と、前記外郭部材の内部に設けられた発泡断熱材と、前記外郭部材の内部に設けられた内部部品と、前記外郭部材の内部または前記外郭部材の少なくとも一部として設けられ、エアロゲル、キセロゲルまたはクライオゲルを含み、冷蔵庫を正面から見た場合に前記内部部品と重なる断熱部材とを有し、
前記外郭部材は、枠体と、前記枠体の外側から前記枠体に取り付けられたガラス板とを含み、
前記断熱部材の少なくとも一部は、1つ以上の開口部を有して前記ガラス板に沿って配置され、
前記発泡断熱材は、前記1つ以上の開口部の内側で前記ガラス板に接合され、前記ガラス板を前記扉の内部に向けて保持する、
冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
断熱材を有した冷蔵庫が知られている。ところで、冷蔵庫は、さらなる断熱性の向上が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、断熱性の向上を図ることができる冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、冷蔵庫本体と、扉とを持つ。前記冷蔵庫本体は、貯蔵室を含む。前記扉は、前記貯蔵室を開閉可能に閉じる。前記扉は、箱状の外郭部材と、前記外郭部材の内部に設けられた発泡断熱材と、前記外郭部材の内部に設けられた内部部品と、前記外郭部材の内部または前記外郭部材の一部として設けられ、エアロゲル、キセロゲルまたはクライオゲルを含み、冷蔵庫を正面から見た場合に前記内部部品と重なる断熱部材とを有する。前記扉の内部は、前記冷蔵庫の奥行方向に関して、前記内部部品が存在することで前記内部部品が存在しない領域と比べて前記発泡断熱材が充填される空間が小さくなる領域を有する。前記断熱部材は、前記冷蔵庫を正面から見た場合に、前記発泡断熱材が充填される空間が小さくなる前記領域と重なる位置に配置されるとともに、前記扉において前記冷蔵庫を正面から見た場合に部分的に設けられている。前記内部部品は、電子部品である。前記断熱部材は、前記外郭部材の内部で前記電子部品を収容したケースである。前記発泡断熱材は、前記冷蔵庫の奥行方向で、前記ケースの少なくとも一部よりも後方に位置した部分と、前記ケースの少なくとも一部よりも前方に位置した部分とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】
図1中に示された冷蔵庫のF2-F2線に沿う断面図。
【
図4】第1実施形態の操作パネルユニットと開動作操作ユニットを示す斜視図。
【
図5】
図3中に示された左冷蔵室扉のF5-F5線に沿う断面図。
【
図6】
図3中に示された左冷蔵室扉のF6-F6線に沿う断面図。
【
図7】第1実施形態のテープ部材の一例を示す平面図。
【
図11】
図10中に示された左冷蔵庫扉のF11-F11線に沿う断面図。
【
図17】第10実施形態の左冷蔵庫扉を示す断面図。
【
図18】第11実施形態の左冷蔵庫扉を示す断面図。
【
図19】第12実施形態の左冷蔵庫扉を示す断面図。
【
図20】
図19中に示された左冷蔵庫扉のF20-F20線に沿う断面図。
【
図21】第12実施形態の左冷蔵庫扉の製造途中の状態を示す断面図。
【
図22】第13実施形態の右冷蔵庫扉を示す断面図。
【
図23】第14実施形態の右冷蔵庫扉を示す断面図。
【
図25】
図24中に示された野菜室扉のF25-F25線に沿う断面図。
【
図29】
図28中に示された野菜室扉のF29-F29線に沿う断面図。
【
図30】第19実施形態の主冷凍室扉を示す断面図。
【
図31】第20実施形態の主冷凍室扉を示す断面図。
【
図32】第21実施形態の主冷凍室扉を示す断面図。
【
図33】第22実施形態の主冷凍室扉を示す断面図。
【
図34】実施形態の変形例の左冷蔵室扉を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書では、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「横幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「奥行方向」とは、上記定義における前後方向を意味する。図中において、+X方向が右方向、-X方向が左方向、+Y方向が後方向、-Y方向が前方向、+Z方向が上方向、-Z方向が下方向である。
【0008】
本明細書で「重なる」とは、少なくとも一部同士が重なる場合も含む。本明細書において「接する」とは、厳密な意味で直接接する場合に限定されず、接着剤や接着テープなどの接着層が間に存在する場合も含む。本明細書において「穴部」として説明される部分は、「切欠き」であってもよい。
【0009】
(第1実施形態)
<1.冷蔵庫の全体構成>
図1から
図7を参照し、第1実施形態の冷蔵庫1について説明する。まず、冷蔵庫1の全体構成について説明する。ただし、冷蔵庫1は、以下に説明する構成の全てを有する必要はなく、いくつかの構成が適宜省略されてもよい。
【0010】
図1は、冷蔵庫1を示す斜視図である。
図2は、
図1中に示された冷蔵庫1のF2-F2線に沿う断面図である。
図1および
図2に示すように、冷蔵庫1は、例えば、筐体10、複数の扉11、複数の棚12、複数の容器13、流路形成部品14、冷却ユニット15、および制御基板16を有する。本実施形態では、複数の扉11以外の上記構成によって冷蔵庫本体5が形成されている。
【0011】
筐体10は、例えば、内箱10aと、外箱10bと、発泡断熱材10cとを含む。内箱10aは、筐体10の内面を形成する部材であり、例えば合成樹脂製である。外箱10bは、筐体10の外面を形成する部材であり、例えば金属製である。外箱10bは、内箱10aよりも一回り大きく形成されており、内箱10aの外側に配置されている。発泡断熱材10cは、例えば発泡ウレタンのような発泡状の断熱材であり、内箱10aと外箱10bとの間に充填されている。これにより、筐体10は、断熱性を有する。
【0012】
図1に示すように、筐体10は、上壁21、下壁22、左右の側壁23,24、および後壁25を有する。上壁21および下壁22は、略水平に広がっている。左右の側壁23,24は、下壁22の左右の端部から上方に起立し、上壁21の左右の端部に繋がる。後壁25は、下壁22の後端部から上方に起立し、上壁21の後端部に繋がる。
【0013】
筐体10の内部には、複数の貯蔵室27が設けられている。複数の貯蔵室27は、例えば、冷蔵室27A、野菜室27B、製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eを含む。本実施形態では、最上部に冷蔵室27Aが配置され、冷蔵室27Aの下方に野菜室27Bが配置され、野菜室27Bの下方に製氷室27Cおよび小冷凍室27Dが配置され、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dの下方に主冷凍室27Eが配置されている。ただし、貯蔵室27の配置は、上記例に限定されず、例えば、冷蔵室27Aの下方に製氷室27Cおよび小冷凍室27Dが配置され、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dの下方に主冷凍室27Eが配置され、主冷凍室27Eの下方に野菜室27Bが配置されてもよい。筐体10は、各貯蔵室27の前面側に、各貯蔵室27に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。
【0014】
複数の貯蔵室27の開口は、複数の扉11によって開閉可能に閉じられる。複数の扉11は、例えば、冷蔵室27Aの開口を閉じる左右の冷蔵室扉11Aa,11Ab、野菜室27Bの開口を閉じる野菜室扉11B、製氷室27Cの開口を閉じる製氷室扉11C、小冷凍室27Dの開口を閉じる小冷凍室扉11D、および主冷凍室27Eの開口を閉じる主冷凍室扉11Eを含む。
【0015】
左右の冷蔵室扉11Aa,11Abは、例えば、観音開き式の扉である。左右の冷蔵室扉11Aa,11Abは、例えばヒンジ30によって筐体10に回動可能に支持されている。本実施形態では、右冷蔵室扉11Abの横幅方向の幅は、左冷蔵室扉11Aaの横幅方向の幅よりも大きい。
【0016】
本実施形態では、左冷蔵室扉11Aaの表面は、後述する操作パネルユニット71により実現される操作/表示領域31を有する。操作/表示領域31は、冷蔵庫1の動作状態(動作モード)に関するユーザの操作を受け付ける1つ以上の操作部31aと、冷蔵庫1の動作状態を表示する1つ以上の表示部31bとを含む。なお操作/表示領域31は、操作部31aと表示部31bとのうちいずれか一方のみを有してもよい。
【0017】
また、左右の冷蔵室扉11Aa,11Abの表面は、後述する開動作操作ユニット72により実現される開動作操作部32を有する。開動作操作部32は、ユーザが軽く触れることで、筐体10に対して冷蔵室扉11Aa,11Abを電動により自動で開くための操作を受け付ける。詳しく述べると、筐体10の上壁21には、後述する制御基板16と電気的に接続された開動作補助ユニット33が設けられている。開動作補助ユニット33は、左右の冷蔵室扉11Aa,11Abの上端部の背後に配置されたソレノイド33aを有する。ソレノイド33aは、ユーザによって開動作操作部32が触れられた場合に、制御基板16を介して制御され、前方に向けて押し出される。これにより、ソレノイド33aによって左右の冷蔵室扉11Aa,11Abが自動で開かれる。
【0018】
一方で、野菜室扉11B、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eは、例えば、引き出し式の扉である。野菜室扉11B、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eは、レール35(野菜室27Bおよび主冷凍室27Eにおいて左方のレール35のみ図示)によって筐体10に対して引き出し可能に支持されている。なお、扉11については詳しく後述する。
【0019】
図2に示すように、筐体10は、第1および第2の仕切部28,29を有する。第1および第2の仕切部28,29は、例えば、それぞれ略水平方向に沿う仕切壁である。第1仕切部28は、冷蔵室27Aと野菜室27Bとの間に位置し、冷蔵室27Aと野菜室27Bとの間を仕切っている。一方で、第2仕切部29は、野菜室27Bと、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dとの間に位置し、野菜室27Bと、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dとの間を仕切っている。なお、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dと、主冷凍室27Eとの間には、仕切壁は設けられていない。
【0020】
複数の棚12は、冷蔵室27Aに配置されている。
複数の容器13は、冷蔵室27Aに配置された冷蔵室容器13A(例えばチルド室容器)、野菜室27Bに配置された第1および第2の野菜室容器13Ba,13Bb、製氷室27Cに配置された製氷室容器(不図示)、小冷凍室27Dに配置された小冷凍室容器13D、および主冷凍室27Eに配置された第1および第2の主冷凍室容器13Ea,13Ebを含む。
【0021】
流路形成部品14は、筐体10内に配置されている。流路形成部品14は、例えば、第1ダクト部品14Aと、第2ダクト部品14Bとを含む。第1ダクト部品14Aは、筐体10の後壁25に沿って設けられ、鉛直方向に延びている。第1ダクト部品14Aと筐体10の後壁25との間には、冷気(空気)が流れる通路である第1ダクト空間S1が形成されている。第1ダクト部品14Aは、冷蔵室27Aに開口した複数の冷気吹出口h1と、野菜室27Bに開口した冷気戻り口h2とを有する。第2ダクト部品14Bは、筐体10の後壁25に沿って設けられ、鉛直方向に延びている。第2ダクト部品14Bと筐体10の後壁25との間には、冷気(空気)が流れる通路である第2ダクト空間S2が形成されている。第2ダクト部品14Bは、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dなどに開口した複数の冷気吹出口h3と、主冷凍室27Eに開口した冷気戻り口h4とを有する。
【0022】
冷却ユニット15は、第1冷却ユニット15Aと、第2冷却ユニット15Bと、圧縮機45とを含む。
【0023】
第1冷却ユニット15Aは、例えば、それぞれ第1ダクト空間S1に配置された第1冷却器41および第1ファン42を含む。第1ファン42が駆動されると、野菜室27Bの空気が冷気戻り口h2から第1ダクト空間S1内に流入して第1冷却器41によって冷却される。第1冷却器41によって冷却された冷気は、複数の冷気吹出口h1から冷蔵室27Aに吹き出される。これにより、冷蔵室27Aおよび野菜室27Bで冷気が循環され、冷蔵室27Aおよび野菜室27Bの冷却が行われる。
【0024】
第2冷却ユニット15Bは、例えば、それぞれ第2ダクト空間S2に配置された第2冷却器43および第2ファン44を含む。第2ファン44が駆動されると、主冷凍室27Eの空気が冷気戻り口h4から第2ダクト空間S2内に流入して第2冷却器43によって冷却される。第2冷却器43によって冷却された冷気は、冷気吹出口h3から製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eに吹き出される。これにより、製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eで空気が循環され、製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eの冷却が行われる。
【0025】
圧縮機45は、例えば、冷蔵庫1の底部の機械室に設けられている。圧縮機45は、貯蔵室27の冷却に用いられる冷媒ガスを圧縮する。圧縮機45により圧縮された冷媒ガスは、放熱パイプなどを経由して、第1および第2の冷却器41,43に送られる。
【0026】
制御基板(制御部)16は、冷蔵庫1の全体を統括的に制御する。例えば、制御基板16は、冷蔵室27Aおよび主冷凍室27Eなどに設けられた温度センサの検出結果に基づき、第1ファン42、第2ファン44、および圧縮機45の駆動を制御する。
【0027】
<2.各断熱材の特性>
ここで、本実施形態の冷蔵庫1に用いられる各断熱材(「真空断熱材」、「発泡断熱材」、および「特定断熱材G」)の特性について説明する。
【0028】
「真空断熱材」とは、VIP(Vacuum Insulation Panel)とも呼ばれ、例えば、外装体と、外装体に収容された芯材とを含み、外装体の内部が減圧された断熱材である。芯材は、例えば、グラスウールのような繊維素材、または発泡体のような多孔質体である。
【0029】
「発泡断熱材」は、例えば、発泡ウレタンのような発泡状の断熱材である。発泡断熱材は、流動性を有する状態で扉11の内部に注入され、加熱して発泡させることで形成されている。
【0030】
「特定断熱材G」とは、エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む断熱材であり、「断熱部材」の一例である。なお「エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルを含む」とは、「エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルのうち1つ以上を含む」の意味で用いている。エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、それぞれ、低密度構造体(乾燥ゲル)である。「エアロゲル」とは、例えば、ゲル中に含まれる溶媒を超臨界乾燥により気体に置換した多孔性物質である。「キセロゲル」とは、ゲル中に含まれる溶媒を蒸発乾燥により気体に置換した多孔性物質である。「クライオゲル」とは、ゲル中に含まれる溶媒を凍結乾燥により気体に置換した多孔性物質である。
【0031】
なお、エアロゲルのなかには、例えば特定の元素を導入することで、超臨界乾燥を使わずに乾燥させることができるものも存在する。本明細書でいう「エアロゲル」とは、そのようなエアロゲルも含む。すなわち本明細書でいう「エアロゲル」とは、超臨界乾燥を用いて製造されたものに限定されず、「エアロゲル」として流通する各種素材を広く意味する。超臨界乾燥が不要なエアロゲルとしては、例えば、二酸化ケイ素の分子ネットワークにメチル基などの有機鎖が導入された有機-無機ハイブリッドエアロゲルが知られており、PMSQ(CH3SiO1.5)エアロゲルなどがある。ただし、これらはあくまで例示である。
【0032】
エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、微細な空孔(空隙)を多数持ち、極めて高い空隙率(90%以上、好ましくは95%以上の空隙率)を持つ超低密度の乾燥多孔体である。上記乾燥多孔体の密度は、例えば150mg/cm3以下である。エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、例えば、二酸化ケイ素などが数珠状に結合された構造を持ち、ナノメータレベル(例えば100nm以下、好ましくは2nm~50nm)の空隙を多数持つ。このようにナノメータレベルの細孔と格子状構造を持つため、気体分子の平均自由行程を縮小することができ、常圧でも気体分子同士の熱伝導が非常に少なく、熱伝導率が非常に小さいものである。例えば、エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、空気の平均自由行程より小さな微細な空隙を持つ。
【0033】
エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルとしては、ケイ素、アルミニウム、鉄、銅、ジルコニウム、ハフニウム、マグネシウム、イットリウムなどの金属酸化物からなる無機エアロゲル、無機キセロゲル、または無機クライオゲルでもよく、例えば二酸化ケイ素を含むシリカエアロゲル、シリカキセロゲル、またはシリカクライオゲルなどでもよい。これらは、直径10nm~20nmのシリカ(SiO2)微粒子が連なった構造で、数10nmの幅の細孔を持つ。低密度のため固体部分の熱伝導が極めて小さいことに加え、細孔内部の空気の運動が制限されることから、非常に低い熱伝導率(0.012~0.02W(m・K)を示す。さらに、シリカ微粒子や細孔が可視光の波長よりも小さく、可視光を散乱しないため、光透過性が高い。また、エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルを構成する素材は、カーボンなどでもよい。
【0034】
エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、素材を選択することで、任意の性質(例えば弾性や柔軟性)を持たせることができる。例えば、ポリプロピレンを素材とすることで、高い弾性または柔軟性を持たせることができる。
【0035】
エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、それぞれ単体で特定断熱材Gを形成してもよい。これに代えて、エアロゲル、キセロゲル、およびクライオゲルは、それぞれ前駆体の状態で別の素材(例えば繊維構造物)が浸漬されることで複合体断熱材である特定断熱材Gを形成してもよい。このような繊維構造物は、乾燥ゲルを補強し、また支持するための補強材ないし支持体として作用するものであり、フレキシブルな複合体断熱材を得るためにフレキシブルな織布、編布、不織布などが用いられ、より好ましくはフェルトまたはブランケット状のものが用いられる。繊維構造物の材質としては、ポリエステル繊維などの有機繊維の他、ガラス繊維などの無機繊維を用いることもできる。
【0036】
上記繊維構造物は、例えば、天然高分子のキトサンである。特定断熱材Gは、疎水化された微細なキトサン繊維の三次元網目構造を含み、超高空隙率(体積の96~97%が空隙)を持つ。疎水化によって、親水性キトサンエアロゲルの均質なナノ構造を維持しつつ、多糖類のナノ繊維からなる材料の課題である耐湿性が高められ撥水性を持つ。
【0037】
特定断熱材Gは、例えば、ポリプロピレン発泡体と、シリカエアロゲル、キセロゲル、クライオゲルから選択される1つとを複合化した断熱材であってもよい。
【0038】
特定断熱材Gの熱伝導率は、真空断熱材の熱伝導率よりも高いが、発泡断熱材の熱伝導率よりも低い。特定断熱材Gの断熱性は、真空断熱材の断熱性には及ばないが、発泡断熱材の断熱性よりも優れている。特定断熱材Gの熱伝導率は、例えば、0.010W/m・K~0.015W/m・Kである。真空断熱材の熱伝導率は、例えば、0.003W/m・K~0.005W/m・Kである。発泡断熱材の熱伝導率は、例えば、0.020W/m・K~0.022W/m・Kである。なおこれら数値はあくまで例示である。
【0039】
特定断熱材Gが柔軟性を有する場合、特定断熱材Gの柔軟性(曲げやすさ)は、例えば、真空断熱材の柔軟性よりも高く、発泡断熱材の柔軟性よりも高い。また、特定断熱材が弾性を有する場合、特定断熱材Gの弾性は、例えば、真空断熱材の弾性(実質的にゼロに近い)よりも高く、発泡断熱材の弾性(実質的にゼロに近い)よりも高い。
【0040】
<3.左冷蔵室扉11Aaの構成>
<3.1 外装部材およびガスケット>
図3は、左冷蔵室扉11Aaを示す斜視図である。左冷蔵室扉11Aaは、例えば、外郭部材50と、ガスケット55とを備えている。外郭部材50は、箱状に形成されている。本明細書でいう「箱状」とは、扁平な箱状も含む。外郭部材50は、例えば、枠体51、前面板52(
図5参照)、および後面部材53を有する。
【0041】
枠体51は、矩形の枠状に形成されている。枠体51は、上辺部材51a、下辺部材51b、左辺部材51c、および右辺部材51dを含む。上辺部材51aは、横幅方向および奥行方向に沿う板状であり、左冷蔵室扉11Aaの上面を形成している。下辺部材51bは、横幅方向および奥行方向に沿う板状であり、左冷蔵室扉11Aaの下面を形成している。左辺部材51cは、鉛直方向および奥行方向に沿う板状であり、左冷蔵室扉11Aaの左側面を形成している。右辺部材51dは、鉛直方向および奥行方向に沿う板状であり、左冷蔵室扉11Aaの右側面を形成している。これら上辺部材51a、下辺部材51b、左辺部材51c、および右辺部材51dが互いに組み合わされることで、枠体51が形成されている。枠体51は、例えば合成樹脂製である。
【0042】
前面板52(
図5参照)は、枠体51に取り付けられ、左冷蔵室扉11Aaの前端部に位置する。前面板52は、鉛直方向および横幅方向に沿う板部材であり、左冷蔵室扉11Aaの前面を形成している。前面板52は、例えば、ガラス板である。ただし、前面板52は、ガラス板に限定されず、合成樹脂や他の素材で形成されてもよい。
【0043】
後面部材53は、前面板52とは反対側から枠体51に取り付けられ、左冷蔵室扉11Aaの後端部に位置する。後面部材53は、左冷蔵室扉11Aaの後面を形成している。後面部材53は、例えば合成樹脂製である。
【0044】
後面部材53は、後方に突出したリブ(突出部、膨出部)61を有する。リブ61は、左冷蔵室扉11Aaが筐体10に対して閉じられた状態で後面部材53から冷蔵室27A(貯蔵室)に向けて突出している。なお本明細書において「リブ」とは、説明の便宜上の名称であり、後面部材53から後方に突出した部分を広く意味し、特定の形状や作用のものに限定されない。
【0045】
リブ61は、例えば、枠体51の外形よりも一回り小さな環状に形成されている。本明細書でいう「環状」とは、全周が完全に連続している場合に限定されず、切欠きなどが設けられて一部が途切れている場合も含む。本実施形態では、リブ61は、上辺部材51aに沿って横幅方向に延びたリブ(上リブ)61a、下辺部材51bに沿って横幅方向に延びたリブ(下リブ)61b、左辺部材51cに沿って鉛直方向に延びたリブ(左リブ)61c、および右辺部材51dに沿って鉛直方向に延びたリブ(右リブ)61dを含む。
【0046】
リブ61は、例えば、冷蔵室27A(貯蔵室)内の冷気が左冷蔵室扉11Aaと筐体10との間の隙間から逃げることを抑制するために設けられている。リブ61は、比較的大きく後方に突出している。例えば、後方へのリブ61の突出量は、リブ61を除く外郭部材50の奥行方向の厚さの半分以上である。本実施形態では、リブ61の突出量は、リブ61を除く外郭部材50の奥行方向の厚さよりも大きい。また、リブ61には、左冷蔵室扉11Aaが開かれた場合に、冷蔵室27A内を照らす照明部62が設けられている。なお照明部62については後述する。
【0047】
ガスケット(シール部材、緩衝部材)55は、後面部材53に取り付けられている。詳しく述べると、後面部材53は、左冷蔵室扉11Aaの内部に向けて窪んだ窪みであるスロート63を有する。例えば、スロート63は、リブ61の外周側を取り囲む環状に形成されている。本実施形態では、スロート63は、上辺部材51aに沿って横幅方向に延びたスロート(上スロート)63a、下辺部材51bに沿って横幅方向に延びたスロート(下スロート)63b、左辺部材51cに沿って鉛直方向に延びたスロート(左スロート)63c、および右辺部材51dに沿って鉛直方向に延びたスロート(右スロート63d)を含む。
【0048】
ガスケット55は、ガスケット本体55aと、ガスケット取付部55bとを有する(
図5参照)。ガスケット本体55aは、リブ61の外周側を取り囲む環状に形成されている。ガスケット本体55aは、左冷蔵室扉11Aaが筐体10に対して閉じられた場合に、左冷蔵室扉11Aaと筐体10との間(または左冷蔵室扉11Aaと不図示の回転仕切板との間)に挟まれて、左冷蔵室扉11Aaと筐体10との間(または左冷蔵室扉11Aaと回転仕切板との間)の隙間を塞ぐ。ガスケット取付部55bは、左冷蔵室扉11Aaの後面部材53に設けられたスロート63(スロート63a,63b,63c,63d)の内部に挿入されることで、スロート63に取り付けられている。これにより、ガスケット55が後面部材53に固定されている。
【0049】
ここで、右冷蔵室扉11Ab、野菜室扉11B、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eの構成は、上述した左冷蔵室扉11Aaの構成と同様である。すなわち、右冷蔵室扉11Ab、野菜室扉11B、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eの構成は、上述した左冷蔵室扉11Aaに関する説明において、「左冷蔵室扉11Aa」を「右冷蔵室扉11Ab」、「野菜室扉11B」、「製氷室扉11C」、「小冷凍室扉11D」、または「主冷凍室扉11E」と読み替えればよい。
【0050】
<3.2 操作パネルユニットおよび開動作操作ユニット>
本実施形態では、左冷蔵室扉11Aaには、操作/表示領域31を実現する操作パネルユニット71と、開動作操作部32を実現する開動作操作ユニット72とが内蔵されている。
【0051】
図4は、操作パネルユニット71および開動作操作ユニット72を示す斜視図である。本実施形態では、左冷蔵室扉11Aaの内部には、第1ケース81(
図5、
図6参照)によって操作パネルユニット71が着脱可能に収容される第1収容部(第1収容空間)73が形成されている。例えば、操作パネルユニット71は、左冷蔵室扉11Aaの枠体51の右辺部材51dに設けられた第1開口部74を通じて第1収容部73に収容される。第1開口部74は、着脱可能な蓋75により閉鎖される。
【0052】
操作パネルユニット71は、第1収容部73において、外郭部材50の前面板52の後面に沿って配置される。操作パネルユニット71は、操作/表示領域31の各操作部31aに対応する位置に、静電容量式のタッチ検出部とLEDのような光源とを含む。操作パネルユニット71は、操作/表示領域31の各表示部31bに対応する位置に、LEDのような光源を含む。操作パネルユニット71は、タッチ検出部で検出された情報をケーブルC1(
図10参照)を介して冷蔵庫本体5の制御基板16に出力するとともに光源を制御する制御基板を含む。例えば、操作パネルユニット71の表面には、操作/表示領域31の操作部31aおよび表示部31bの内容を示す文字が抜き文字印刷で設けられている。操作パネルユニット71は、「電子部品」の一例である。
【0053】
左冷蔵室扉11Aaの前面板52は、冷蔵庫1を正面から見た場合に操作パネルユニット71と重なる第1領域と、第1領域を外れた第2領域とを有する。第1領域は、光透過性を有し、例えば操作パネルユニット71の光源が発光する場合に、冷蔵庫1の外部から操作パネルユニット71の表面が視認可能である。一方で、第2領域は、前面板52の後面が有色の塗料が塗布され、左冷蔵室扉11Aaの内部が外部から見えなくなっている。なお、操作パネルユニット71は、上記例に代えて、左冷蔵室扉11Aaに設けられた物理的なボタンやスイッチを介してユーザの操作を受け付けるユニットでもよい。
【0054】
同様に、左冷蔵室扉11Aaの内部には、第2ケース82(
図6参照)によって開動作操作ユニット72が着脱可能に収容される第2収容部(第2収容空間)76が形成されている。開動作操作ユニット72は、左冷蔵室扉11Aaの枠体51の右辺部材51dに設けられた第2開口部77を通じて第2収容部76に収容される。第2開口部77は、着脱可能な蓋78により閉鎖される。
【0055】
開動作操作ユニット72は、第2収容部76において、外郭部材50の前面板52の後面に沿って配置される。開動作操作ユニット72は、開動作操作部32に対応する各位置に、1つ以上の静電容量式のタッチ検出部と、LEDのような光源とを含む。開動作操作ユニット72は、タッチ検出部で検出された情報をケーブルC1を介して冷蔵庫本体5の制御基板16に出力するとともに光源を制御する制御基板を含む。開動作操作ユニット72は、「電子部品」の一例である。なお、開動作操作ユニット72は、上記例に代えて、左冷蔵室扉11Aaに設けられた物理的なボタンやスイッチを介してユーザの操作を受け付けるユニットでもよい。
【0056】
<3.3 左冷蔵室扉の内部構成の概要>
図5は、
図3中に示された左冷蔵室扉11AaのF5-F5線に沿う断面図である。
図6は、
図3中に示された左冷蔵室扉11AaのF6-F6線に沿う断面図である。
図5および
図6に示すように、左冷蔵室扉11Aaは、例えば、第1ケース81、第2ケース82、補強部材83、発泡断熱材84、特定断熱材G、およびテープ部材85を有する。なお、第2ケース82は第1ケース81と同様の構成を有するので、第2ケース82および第2ケース82に取り付けられた特定断熱材Gに関する詳しい説明は省略する。
【0057】
<3.4 第1ケース>
第1ケース81は、前面板52の後面に沿って配置されている。第1ケース81は、前方および右側方が開放された椀状に形成されている。すなわち、第1ケース81は、後壁81a、上壁81b、下壁81c、左側壁81d、および張出部81eを含む。後壁81aは、左冷蔵室扉11Aaの前面板52から離れた位置に設けられ、前面板52と略平行に広がっている。上壁81bは、後壁81aの上端部から前方に向けて延びており、前面板52の後面に接している。下壁81cは、後壁81aの下端部から前方に向けて延びており、前面板52の後面に接している。左側壁81dは、後壁81aの左端部から前方に向けて延びており、前面板52の後面に接している。左側壁81dは、操作パネルユニット71から延びたケーブルC1が通される穴部81daを有する(
図10参照)。ケーブルC1は、ヒンジ30を経由して冷蔵庫本体5の制御基板16に接続されている。張出部81eは、左側壁81dの前端部から左方に向けて延びている。張出部81eは、前面板52の後面に沿って延びている。張出部81eは、冷蔵庫1の正面から見た場合に、後述するテープ部材85の第3部分85cの少なくとも一部と重なる。
【0058】
これにより、第1ケース81の後壁81aと前面板52との間には、操作パネルユニット71が収容される第1収容部73が形成されている。操作パネルユニット71は、例えば、不図示の係合部によって第1ケース81の内面に固定される。本明細書でいう「ケース」とは、箱状に形成された部材に限定されず、上記例のように複数の方向が開放された部材を含む。第1ケース81は、「内部部品」の一例である。左冷蔵室扉11Aaのなかで第1ケース81が設けられた領域は、左冷蔵室扉11Aaの厚さ方向(奥行方向)において、少なくとも第1ケース81が設けられた分だけ発泡断熱材84が充填される空間が小さくなる。
【0059】
第1ケース81の右端部は、左冷蔵室扉11Aaの枠体51に係合する係合部81fを有する。第1ケース81の右端部は、枠体51に比較的強固に固定される。一方で、第1ケース81の左端部は、枠体51には固定されない。第1ケース81の左端部は、例えば、後述するテープ部材85によって前面板52の後面に固定される。
【0060】
本実施形態では、第1ケース81は、左冷蔵室扉11Aaの内部で右方向に偏った位置に配置される。第1ケース81は、冷蔵庫1を正面から見た場合に、後面部材53のスロート63dと重なる。このため、第1ケース81とスロート63dとの間では、発泡断熱材84が充填される空間がさらに小さくなる。
【0061】
<3.5 補強部材>
補強部材83は、左冷蔵室扉11Aaの右端部に設けられ、鉛直方向に延びている。補強部材83は、例えばコの字形の断面形状を有した金属部材である。補強部材83は、例えば、冷蔵室27Aの温度と冷蔵庫1の外部の温度との温度差による枠体51の変形を抑制するために設けられている。補強部材83は、冷蔵庫1の奥行方向で、第1ケース81とスロート63dとの間に設けられている。このため、第1ケース81、補強部材83、およびスロート63dが重なる領域は、発泡断熱材84が充填される空間がさらに小さくなる。また、補強部材83の内部は、発泡断熱材84が充填されにくい場所の一つである。
【0062】
<3.6 発泡断熱材>
発泡断熱材84は、外郭部材50の内部に設けられている。例えば、発泡断熱材84は、第1ケース81を外れた領域において前面板52と後面部材53との間に充填されている。また、発泡断熱材84は、特定断熱材Gと後面部材53との間にも充填されている。
【0063】
ここで、左冷蔵室扉11Aaの製造方法の一例について先に説明する。まず、上述した上辺部材51a、下辺部材51b、左辺部材51c、および右辺部材51dが組み合わされることで枠体51が形成される。次に、枠体51の前端部に前面板52が取り付けられることで、中間組立体が形成される。次に、前面板52を下側にした姿勢で中間組立体が作業台上に載置され、枠体51に第1および第2のケース81,82が取り付けられる。
【0064】
次に、後述する特定断熱材Gを第1および第2のケース81,82に取り付ける。なお、特定断熱材Gは、第1および第2のケース81,82を枠体51に取り付ける前に、第1および第2のケース81,82に取り付けられてもよい。次に、後述するテープ部材85によって第1および第2のケース81,82の左端部を前面板52に固定する。次に、枠体51の内部に発泡前の発泡断熱材84を供給する。次に、後面部材53を枠体51の後端部に取り付ける。次に、発泡断熱材84を加熱することで、発泡断熱材84を発泡させる。最後に、操作パネルユニット71および開動作操作ユニット72が第1および第2の収容部73,76に収容される。これにより、左冷蔵室扉11Aaが製造される。
【0065】
<3.7 特定断熱材>
特定断熱材Gは、外郭部材50の内部に設けられている。特定断熱材Gは、冷蔵庫1を正面から見た場合に、第1ケース81と重なる。本実施形態では、特定断熱材Gは、冷蔵庫1を正面から見た場合に、第1ケース81、スロート63d、および補強部材83と重なる。本実施形態では、特定断熱材Gは、第1ケース81と、後面部材53との間に配置されている。例えば、特定断熱材Gの少なくとも一部は、第1ケース81と、スロート63dとの間に配置されている。例えば、特定断熱材Gの少なくとも一部は、第1ケース81と、補強部材83との間に配置されている。
【0066】
本実施形態では、特定断熱材Gは、冷蔵庫1を正面から見た場合、第1ケース81の全体を覆う大きさを有する。例えば、特定断熱材Gは、第1ケース81の後壁81a、上壁81b、下壁81c、左側壁81d、および張出部81eに沿う椀状に形成され、第1ケース81の後壁81a、上壁81b、下壁81c、左側壁81d、および張出部81eを覆う。
【0067】
本実施形態では、特定断熱材Gは、第1ケース81の形状に応じて凹凸が形成された成形品であり、剛性を有する。例えば、特定断熱材Gは、シート状に形成された素材が第1ケース81の形状に対応した金型にセットされ、加熱およびプレス加工されることで第1ケース81の外形に沿う形状に加工されている。特定断熱材Gは、第1ケース81の外形に沿って曲がった部分を含む。例えば、特定断熱材Gは、第1ケース81の後壁81aと左側壁81dとの間の折曲部に沿って曲がった部分を含む。特定断熱材Gが剛性を有した成形品であると、特定断熱材Gを第1ケース81に取り付けやすく、組立作業性を向上させることができる場合がある。
【0068】
なお、特定断熱材Gは、成形品に代えて、柔軟性を有するシートであってもよい。この場合、特定断熱材Gは、第1ケース81の外形に沿って曲げながら第1ケース81に取り付けられ、第1ケース81の外形に沿って曲がった部分を含む。
【0069】
特定断熱材Gは、例えば両面テープまたは接着剤により、第1ケース81に固定されている。特定断熱材Gは、第1ケース81の穴部81daに向かい合う穴部haを有する(
図10参照)。操作パネルユニット71から延びたケーブルC1は、第1ケース81の穴部81daおよび特定断熱材Gの穴部haを通って左冷蔵室扉11Aaの内部に延びている。
【0070】
<3.8 テープ部材>
テープ部材85は、第1ケース81の左端部を前面板52に固定する。テープ部材85は、例えば、第1部分(第1端部)85aと、第2部分(第2端部)85bと、第3部分85cとを有する。例えば、第1部分85aは、第1ケース81の左端部に対応する位置で、特定断熱材Gの後面に取り付けられている。第2部分85bは、前面板52の後面に取り付けられている。第3部分85cは、第1部分85aと第2部分85bとの間で延びて、第1部分85aと第2部分85bとを繋いでいる。第3部分85cは、左冷蔵室扉11Aaの前面板52から離れている。このような構成によれば、テープ部材85の第3部分85cと前面板52との間は、テープ85が邪魔になって発泡断熱材84が充填されにくい空間が形成されることになり、断熱性が低下する場合がある。本実施形態では、特定断熱材Gの少なくとも一部(例えば、第1ケース81の張出部81eを覆う部分)は、テープ部材85の第3部分85cと前面板52との間に位置する。
【0071】
本実施形態では、テープ部材85は、特定断熱材Gに取り付けられ、特定断熱材Gを介して第1ケース81の左端部を左冷蔵室扉11Aaの前面板52に固定している。これに代えて、第1部分85aは、第1ケース81に直接に取り付けられてもよいし、特定断熱材Gと第1ケース81との両方に取り付けられてもよい。
【0072】
なお、テープ部材85は、固定用のテープ部材に限定されない。例えば、テープ部材85は、発泡断熱材84の発泡時に第1ケース81と前面板52と境界に作用する発泡圧を低減させるために設けられたテープ部材でもよい。すなわち、第1ケース81と前面板52と境界に作用する発泡圧が過度に大きいと、第1ケース81と前面板52との間に発泡断熱材84が侵入する。その結果、第1ケース81および操作パネルユニット71が前面板52から離れる方向にずれ、操作パネルユニット71のタッチ検出部の検出精度が低下する可能性がある。そのため、上述したようなテープ部材85を設けることで、第1ケース81と前面板52との境界に向かう発泡断熱材84の流量を制限し、発泡断熱材84から第1ケース81と前面板52と境界に作用する発泡圧を低減させてもよい。この場合、テープ部材85は、例えば第1ケース81の上端から下端に亘る大きさを有してもよい。
【0073】
図7は、テープ部材85の一例を示す平面図である。テープ部材85の第3部分85cは、発泡中の発泡断熱材84がテープ部材85と後面部材53との間の空間から、テープ部材85の第3部分85cと前面板52との間の空間に適量だけ流入させる1つ以上(例えば複数)の穴部hbを有してもよい。このようなテープ部材85が設けられる場合であっても、テープ部材85の第3部分85cと前面板52との間は、他の場所と比べて発泡断熱材84の充填密度が小さくなり、断熱性が低下する場合がある。そこで本実施形態では、特定断熱材Gの少なくとも一部がテープ部材85の第3部分85cと前面板52との間に位置するように特定断熱材Gが設けられる。
【0074】
以上のような構成によれば、左冷蔵室扉11Aaのなかで第1ケース81が設けられた領域は、左冷蔵室扉11Aaの厚さ方向において、発泡断熱材84が充填される空間が小さくなる。このため、第1ケース81が設けられた領域の周囲で枠体51および前面板52に結露が生じる可能性が大きくなる。しかしながら、本実施形態では、冷蔵庫1を正面から見た場合に第1ケース81と重なる特定断熱材Gが設けられている。これにより、例えば第1ケース81の背後の断熱性が向上し、第1ケース81が設けられた領域の周囲において枠体51および前面板52に結露が生じることを抑制することができる。
【0075】
本実施形態では、特定断熱材Gは、第1ケース81の外形に沿って曲がった部分を含む。このような構成によれば、特定断熱材Gと第1ケース81との間に発泡断熱材84が充填されない空間(断熱性が低い空間)が生じることを抑制することができる。これにより、断熱性のさらなる向上を図ることができる。
【0076】
本実施形態では、特定断熱材Gは、冷蔵庫1を正面から見た場合に、テープ部材85の第3部分85cの少なくとも一部と重なる部分を有する。このような構成によれば、テープ部材85に起因して発泡断熱材84が充填されにくい領域の断熱性を向上させることができる。これにより、テープ部材85が設けられた領域において前面板52に結露が生じることを抑制することができる。
【0077】
なお、特定断熱材Gは、第1ケース81に代えて/加えて、第2ケース82に対して設けられてもよい。この場合、第2ケース82は、「内部部品」の一例である。また、第1または第2のケース81,82に収容される電子部品は、操作パネルユニット71や開動作操作ユニット72に限定されない。第1または第2のケース81,82に収容される電子部品は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイのような表示装置でもよく、カメラなどでもよい。この場合、表示装置やカメラが「電子部品」の一例に該当する。これら変形例は、以下に説明する全ての実施形態において適用可能である。
【0078】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1および第2のケース81,82自体が特定断熱材Gで形成された点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。また、第2ケース82は、第1ケース81と同様の構成を有するので、説明を省略する。
【0079】
図8は、第2実施形態の左冷蔵室扉11Aaを示す断面図である。本実施形態では、第1ケース81自体が特定断熱材Gにより形成されている。第1ケース81は、剛性を有した成形品である。第1ケース81の内部には、操作パネルユニット71が収容される。第1ケース81は、冷蔵庫1を正面から見た場合に、操作パネルユニット71に重なる。例えば、第1ケース81は、冷蔵庫1を正面から見た場合に、操作パネルユニット71の全体を覆う。第1ケース81は、冷蔵庫1を正面から見た場合に、テープ部材85の第3部分85cの少なくとも一部と重なる部分を有する。本実施形態では、操作パネルユニット71が「内部部品」の一例であり、第1ケース81が「断熱部材」の一例である。このような構成によれば、第1実施形態と同様に、断熱性の向上を図ることができる。
【0080】
なお上述したように、第1または第2のケース81,82に収容される電子部品は、例えば、表示装置やカメラなどでもよい。この場合、表示装置やカメラが「内部部品」の一例であり、「電子部品」の一例に該当する。例えば、表示装置およびカメラは、前面板52の後面に沿って配置される。
【0081】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1ケース81と左冷蔵室扉11Aaの前面板52とに亘る特定断熱材Gが設けられた点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0082】
図9は、第3実施形態の左冷蔵室扉11Aaを示す断面図である。本実施形態では、特定断熱材Gは、例えば、シート状に形成され、柔軟性を有する。特定断熱材Gは、例えば、第1部分(第1端部)91aと、第2部分(第2端部)91bと、第3部分91cとを有する。第1部分91aは、第1ケース81の後面の左端部に取り付けられている。例えば、第1部分91aは、両面テープまたは接着剤により第1ケース81に固定されている。第2部分91bは、前面板52の後面に取り付けられている。例えば、第2部分91bは、両面テープまたは接着剤により前面板52に固定されている。第3部分91cは、第1部分91aと第2部分91bとの間で延びて、第1部分91aと第2部分91bとを繋いでいる。
【0083】
本実施形態では、特定断熱材Gは、第1実施形態のテープ部材85と同様の役割で設けられている。すなわち、特定断熱材Gは、第1ケース81の左端部を前面板52に固定する目的、および/または、発泡断熱材84から第1ケース81と前面板52との境界に作用する発泡圧を低減させる目的で設けられている。例えば、特定断熱材Gの第3部分91cは、第1実施形態のテープ部材85と同様に、発泡中の発泡断熱材84を通す1つ以上(例えば複数)の穴部hbを有してもよい。
【0084】
以上のような構成によれば、特定断熱材Gは、冷蔵庫1を正面から見た場合に第1ケース81の一部と重なる位置に設けられているため、冷蔵庫1を正面から見た場合に第1ケース81と重なる領域の断熱性が向上し、前面板52に結露が生じることを抑制することができる。また、特定断熱材Gの第3部分91cの近くに生じ得る発泡断熱材84が充填されにくい領域の断熱性を向上させることができる。
【0085】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態は、冷蔵庫1を正面から見た場合に、左冷蔵室扉11Aaの略全域に特定断熱材Gが設けられた点で第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0086】
図10は、第4実施形態の左冷蔵室扉11Aaを示す断面図である。
図11は、
図10中に示された左冷蔵室扉11AaのF11-F11線に沿う断面図である。本実施形態では、特定断熱材Gは、第1から第8の部分95a,95b,95c,95d,95e,95f,95g,95hを含む。第1から第8の部分95a,95b,95c,95d,95e,95f,95g,95hは、互いに連続している。
【0087】
図10に示すように、第1部分95aは、枠体51の右辺部材51dの内面に沿って設けられている。第1部分95aは、右辺部材51dの内面に設けられた構造体ST(例えば突起やリブ)が通される穴部hcを有する。第1部分95aは、構造体STが穴部hcに通されることで右辺部材51dの内面に接している。
【0088】
第2部分95bは、第1ケース81の後壁81aに沿って設けられている。第3部分95cは、第1ケース81の左側壁81dに沿って設けられている。第3部分95cには、第1ケース81の左側壁81dの穴部81daに向かい合いケーブルC1が通される穴部haが設けられている。第4部分95dは、前面板52の後面に沿って設けられている。
【0089】
第5部分95eは、枠体51の左辺部材51cの内面に沿って設けられている。第5部分95eは、左辺部材51cの内面に設けられた構造体ST(例えば突起やリブ)が通される穴部hcを有する。第5部分95eは、構造体STが穴部hcに通されることで左辺部材51cの内面に接している。
【0090】
図11に示すように、第6部分95fは、第2ケース82の後壁に沿って設けられている。第7部分95gは、枠体51の上辺部材51aの内面に沿って設けられている。第7部分95gは、上辺部材51aの内面に設けられた構造体ST(例えば突起やリブ)が通される穴部hcを有する。第7部分95gは、構造体STが穴部hcに通されることで上辺部材51aの内面に接している。第8部分95hは、枠体51の下辺部材51bの内面に沿って設けられている。第8部分95hは、後述する第8実施形態と同様に、手掛け用の窪み110の形状に沿って設けられている。
【0091】
以上のような構成によれば、第1実施形態と同様に、断熱性を向上させることができる。また本実施形態では、特定断熱材Gの第1部分95a、第5部分95e、第7部分95g、および第8部分95hにより、枠体51の表面に結露が生じることをさらに抑制することができる。なお、第1から第8部分95a~95hのうち1つ以上は、省略されてもよい。例えば、特定断熱材Gは、第1部分95a、第5部分95e、第7部分95g、および第8部分95hのみを有してもよい。
【0092】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態は、第4実施形態の特定断熱材Gの第4部分95dに1つ以上の穴部hdが設けられた点で第4実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第4実施形態と同じである。
【0093】
図12は、第5実施形態の左冷蔵室扉11Aaを示す断面図である。本実施形態では、前面板52は、ガラス板である。このため本実施形態では、前面板52をガラス板52と称する。ここで、左冷蔵室扉11Aaは、いわゆるフレームレスの扉であり、ガラス板52を前方から支持する支持部を有しない。枠体51は、ガラス板52の周端部を後方から支持する支持部51eを有する。ガラス板52の周端部は、枠体51の支持部51eに両面テープまたは接着剤によって固定されている。この場合、両面テープまたは接着剤は、長期使用に対する信頼性が高いものが採用されるが、製品寿命よりも長期間に亘って冷蔵庫1が使用された場合、腐食などが進む可能性がある。両面テープや接着剤の腐食が進むと、ガラス板52を保持する接着力が弱まり、強い衝撃が作用した場合に枠体51からガラス板52が外れる可能性はゼロではない。
【0094】
本実施形態では、特定断熱材Gの第4部分95dは、1つ以上の穴部hdを有してガラス板52に沿って配置されている。第4部分95dは、ガラス板52の後面に接している。本実施形態では、第4部分95dは、複数の穴部hdを有する。複数の穴部hdは、鉛直方向および横幅方向に並べられている。発泡断熱材84の一部は、特定断熱材Gの第4部分95dと後面部材53との間に充填されている。発泡断熱材84の一部は、発泡時に特定断熱材Gの複数の穴部hdの内側に入り込み、複数の穴部hdの内側でガラス板52に接合されている。すなわち本実施形態によれば、支持部51eに設けられた両面テープや接着剤に加え、発泡断熱材84とガラス板52との接合力によりガラス板52が保持されている。このため、ガラス板52を保持する両面テープや接着剤の腐食が進んだ場合であっても、ガラス板52が外れる可能性が低減される。
【0095】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。第6実施形態は、特定断熱材Gがスロート63dを覆うように設けられた点で第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0096】
図13は、第6実施形態の左冷蔵室扉11Aaを示す断面図である。本実施形態では、特定断熱材Gは、外郭部材50の内部に設けられている。特定断熱材Gは、冷蔵庫1を正面から見た場合に、スロート63dと重なる。例えば、特定断熱材Gは、スロート63dの上端と下端とに亘る長さを有して鉛直方向に延びている。スロート63dは、「特定構造部」の一例である。
【0097】
詳しく述べると、後面部材53の内面101(外郭部材50の内部に露出した面)は、スロート63dに対応して外郭部材50の内部に突出した突出部102を有する。突出部102は、スロート63dの形状に対応した曲面状の表面を有する。本実施形態では、特定断熱材Gは、後面部材53の内面101に取り付けられ、突出部102を覆う。特定断熱材Gは、外郭部材50の内部で突出部102の表面に沿うように設けられ、スロート63dの形状に対応して曲がった部分を含む。本実施形態では、特定断熱材Gは、突出部102の形状に応じて形成された成形品であり、剛性を有する。なお、特定断熱材Gは、柔軟性を有するシートでもよい。
【0098】
以上のような構成によれば、左冷蔵室扉11Aaのなかでスロート63dが設けられた領域は、左冷蔵室扉11Aaの厚さ方向において、少なくともスロート63dが設けられた分だけ発泡断熱材84が充填される空間が小さくなる。このため、スロート63dが設けられた領域の周囲で枠体51および前面板52に結露が生じる可能性が大きくなる。しかしながら、本実施形態では、冷蔵庫1を正面から見た場合にスロート63dと重なる特定断熱材Gが設けられている。これにより、例えばスロート63dの前方で断熱性が向上し、スロート63dが設けられた領域の周囲において枠体51および前面板52に結露が生じることを抑制することができる。
【0099】
本実施形態では、特定断熱材Gは、後面部材53の内面101のなかでスロート63dに対応して外郭部材50の内部に突出した突出部102を覆うように設けられ、スロート63dの形状に対応して曲がった部分を含む。このような構成によれば、スロート63dの周囲の断熱性をより効果的に向上させることができる。
【0100】
本実施形態では、特定断熱材Gは、枠体51ではなく、後面部材53に取り付けられている。このような構成によれば、多くの突起やリブなどが設けられる枠体51に特定断熱材Gを取り付ける場合と比べて、特定断熱材Gの形状を単純化することができるとともに、組立時の作業性も良好になる。
【0101】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。第7実施形態は、特定断熱材Gがスロート63dの内部に設けられた点で第6実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第6実施形態と同じである。
【0102】
図14は、第7実施形態の左冷蔵室扉11Aaを示す断面図である。本実施形態では、特定断熱材Gは、後面部材53の後面に取り付けられ、外郭部材50の一部として設けられている。本実施形態では、特定断熱材Gは、スロート63dの内部に設けられており、冷蔵庫1を正面から見た場合にスロート63dと重なる。例えば、特定断熱材Gは、スロート63dの上端と下端とに亘る長さを有して鉛直方向に延びている。
【0103】
詳しく述べると、スロート63dは、例えば円弧状の内面(内周面)103を有する。例えば、特定断熱材Gは、スロート63dの内面103に沿って設けられ、スロート63dの形状に対応して曲がった部分を含む。特定断熱材Gは、スロート63dの内面103と、スロート63dに挿入されたガスケット取付部55bとの間に配置される。本実施形態では、特定断熱材Gは、スロート63dの内面103に対応して形成された成形品であり、剛性を有する。なお、特定断熱材Gは、柔軟性を有するシートでもよい。
【0104】
このような構成によれば、特定断熱材Gは、スロート63dの内面103に沿うように設けられ、スロート63dの形状に対応して曲がった部分を含む。このような構成によれば、スロート63dの周囲の断熱性をより効果的に向上させることができる。
【0105】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。第8実施形態は、特定断熱材Gが手掛け用の窪み110を覆う点で第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0106】
図15は、第8実施形態の左冷蔵室扉11Aaを示す断面図である。
図15に示すように、左冷蔵室扉11Aaの下端部は、手掛け用の窪み110を有する。窪み110は、外郭部材50の下辺部材51bに設けられ、外郭部材50の内部に向けて(すなわち上方に向けて)窪んでいる。窪み110は、左冷蔵室扉11Aaを開くときにユーザが手を掛ける窪みである。窪み110は、横幅方向に延びている。
【0107】
本実施形態では、特定断熱材Gは、外郭部材50の内部に設けられている。特定断熱材Gは、冷蔵庫1を正面から見た場合に、窪み110と重なる。また、特定断熱材Gは、冷蔵庫1を上方から見た場合に、窪み110と重なる。例えば、特定断熱材Gは、窪み110の左端部と右端部とに亘る長さを有して横幅方向に延びている。窪み110は、「特定構造部」の一例である。
【0108】
詳しく述べると、外郭部材50の下辺部材51bの内面111(外郭部材50の内部に露出した面)は、窪み110に対応して外郭部材50の内部に突出した突出部112を有する。突出部112は、窪み110の形状に対応した曲面状の表面を有する。本実施形態では、特定断熱材Gは、下辺部材51bの内面111に取り付けられ、突出部112を覆う。特定断熱材Gは、外郭部材50の内部で突出部112の表面に沿うように設けられ、窪み110の形状に対応して曲がった部分を含む。本実施形態では、特定断熱材Gは、突出部112の形状に応じて形成された成形品であり、剛性を有する。なお、特定断熱材Gは、柔軟性を有するシートでもよい。特定断熱材Gの少なくとも一部は、冷蔵室27A(貯蔵室27)と窪み110との間に位置する。
【0109】
以上のような構成によれば、左冷蔵室扉11Aaのなかで手掛け用の窪み110が設けられた領域は、左冷蔵室扉11Aaの厚さ方向において、少なくとも窪み110が設けられた分だけ発泡断熱材84が充填される空間が小さくなる。このため、窪み110が設けられた領域の周囲で枠体51や前面板52、窪み110の内側に結露が生じる可能性が大きくなる。しかしながら、本実施形態では、冷蔵庫1を正面から見た場合に窪み110と重なる特定断熱材Gが設けられている。これにより、例えば窪み110の背後で断熱性が向上し、窪み110が設けられた領域の周囲で枠体51や前面板52、窪み110の内側に結露が生じることを抑制することができる。
【0110】
本実施形態では、特定断熱材Gの少なくとも一部は、冷蔵室27Aと窪み110との間に位置する。このような構成によれば、冷蔵室27Aの冷気が窪み110に伝わりにくく、窪み110の内側に結露が生じることをさらに抑制することができる。
【0111】
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について説明する。第9実施形態は、特定断熱材Gがブロック状の成形品として設けられた点で第8実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第8実施形態と同じである。
【0112】
図16は、第9実施形態の左冷蔵室扉11Aaを示す断面図である。本実施形態では、特定断熱材Gは、例えば、成形品であり、剛性を有する。ただし、特定断熱材Gは、柔軟性を有してもよい。特定断熱材Gは、第2ケース82を外郭部材50(例えば枠体51)に取り付けた後であって、発泡断熱材84が供給される前に、第2ケース82と突出部112との間に挿入されることで外郭部材50の内部に取り付けられる。特定断熱材Gは、冷蔵庫1を正面から見た場合に、窪み110と重なる。また、特定断熱材Gは、冷蔵庫1を上方から見た場合に、窪み110と重なる。特定断熱材Gは、外郭部材50の内部で突出部112の表面に沿うように設けられ、窪み110の形状に対応して曲がった部分を含む。
【0113】
例えば、特定断熱材Gは、第1および第2部分115a,115bを有する。第1部分115aは、第2ケース82と突出部112との間に挿入される。一方で、第2部分115bは、第1部分115aよりも下方に設けられ、冷蔵庫1を正面から見た場合に、窪み110と重なる。特定断熱材Gは、第1部分115aが第2ケース82と突出部112との間の隙間に嵌合されることで、または第2部分115bが両面テープ或いは接着剤により突出部112に固定されることで、外郭部材50に対して固定される。
【0114】
このような構成によれば、第8実施形態と同様に、断熱性を向上させることができる。また本実施形態のように特定断熱材Gが成形品であると、組立時の作業性を向上させることができる。
【0115】
(第10実施形態)
次に、第10実施形態について説明する。第10実施形態は、特定断熱材Gが柔軟性を有するブロック状の成形品として設けられた点で第9実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第9実施形態と同じである。
【0116】
図17は、第10実施形態の左冷蔵室扉11Aaを示す断面図である。本実施形態では、特定断熱材Gは、柔軟性を有するブロック状に形成されている。特定断熱材Gは、第2ケース82が外郭部材50(例えば枠体51)に取り付けられる前に、第2ケース82に取り付けられている。特定断熱材Gは、第2ケース82が外郭部材50(例えば枠体51)に取り付けられる際に、第2ケース82と突出部112との間に挟まれて、第2ケース82と突出部112との間で圧縮されて変形する。特定断熱材Gは、冷蔵庫1を正面から見た場合に、窪み110と重なる。また、特定断熱材Gは、冷蔵庫1を上方から見た場合に、窪み110と重なる。特定断熱材Gの少なくとも一部は、特定断熱材Gが第2ケース82と突出部112との間に挟まれた状態で、冷蔵室27Aと窪み110との間に位置する。
【0117】
このような構成によれば、第9実施形態と同様に、断熱性を向上させることができる。また本実施形態のように特定断熱材Gが予め第2ケース82に取り付けられていると、組立時の作業性をさらに向上させることができる。
【0118】
(第11実施形態)
次に、第11実施形態について説明する。第11実施形態は、外郭部材50の内部空間の一部を埋める比較的大きなブロック状の成形品として特定断熱材Gが設けられた点で第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0119】
図18は、第11実施形態の左冷蔵室扉11Aaを示す断面図である。本実施形態では、比較的大きなブロック状に形成されている。特定断熱材Gは、例えば、複数のシート状の特定断熱材GSが積層されることで形成されている。これら複数のシート状の特定断熱材GSは、両面テープや接着剤、または熱圧着などによって一体化されている。
【0120】
特定断熱材Gは、左冷蔵室扉11Aaの少なくとも一部において、第1および第2のケース81,82と後面部材53との間の空間を埋めている。特定断熱材Gは、第1および第2のケース81,82の形状に応じて凹凸が形成された成形品である。例えば、特定断熱材Gは、特定断熱材Gを薄く形成する領域では積層されるシート状の特定断熱材GSの数を減らし、特定断熱材Gを厚く形成する領域では積層されるシート状の特定断熱材GSの数を増やすことで凹凸が形成されている。
【0121】
より詳しく述べると、特定断熱材Gは、例えば、第1から第6部分121a,121b,121c,121d,121e,121fを含む。第1部分121aは、左冷蔵室扉11Aaの下端部に位置し、冷蔵室27Aと手掛け用の窪み110との間に位置する。第1部分121aは、冷蔵庫1を正面から見た場合に、窪み110と重なる。第2部分121bは、リブ61bの内部に挿入されている。例えば、第2部分121bは、奥行方向においてリブ61bの半分以上の領域に挿入されている。第3部分121cは、第2ケース82の後方に位置し、第2ケース82と後面部材53との間の空間を埋めている。
【0122】
第4部分121dは、第3部分121cの上方に位置し、前面板52と後面部材53との間の空間を埋めている。第5部分121eは、第1ケース81の後方に位置し、第1ケース81と後面部材53との間に空間を埋めている。第6部分121fは、第5部分121eの上方に位置し、前面板52と後面部材53との間の空間を埋めている。第6部分121fよりも上方の領域には、発泡断熱材84が設けられている。
【0123】
以上のような構成によれば、特定断熱材Gを外郭部材50の内部に設置することで、外郭部材50内の多くの領域の断熱性を向上させることができる。また、特定断熱材Gが成形品であると、組立時の作業性を向上させることができる。
【0124】
(第12実施形態)
次に、第12実施形態について説明する。第12実施形態は、外郭部材50の内部に比較的大きなシート状の特定断熱材Gが設けられた点で第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0125】
図19は、第12実施形態の左冷蔵室扉11Aaを示す断面図である。
図20は、
図19に示された左冷蔵室扉11AaのF20-F20線に沿う断面図である。本実施形態では、特定断熱材Gは、後面部材53の略全域を覆う大きさを有する。例えば、
図19に示すように、特定断熱材Gは、冷蔵庫1を正面から見た場合、左方のスロート63cと右方のスロート63dの両方に重なる大きさを有する。また
図20に示すように、特定断熱材Gは、冷蔵庫1を正面から見た場合、上方のスロート63aと下方のスロート63bの両方に重なる大きさを有する。スロート63a,63b,63c,63dの各々は、「特定構造部」の一例である。
【0126】
特定断熱材Gは、特定断熱材Gのなかで冷蔵庫1を正面から見た場合にリブ61と重なる中間領域125を有する。リブ61は、「特定構造部」の別の一例である。特定断熱材Gの中間領域125には、発泡断熱材84の発泡時に発泡断熱材84の一部が特定断熱材Gと前面板52との間の空間からリブ61の内部に向けて通過可能な1つ以上の穴部heが設けられている。本実施形態では、特定断熱材Gの中間領域125には、複数の穴部heが設けられている。
【0127】
ここで、リブ61には、左冷蔵室扉11Aaが開かれた場合に、冷蔵室27A内を照らす照明部62が設けられている。照明部62は、リブ61の表面に設けられた光拡散板62aと、リブ61の内部に設けられた光源62bとを有する。本実施形態では、特定断熱材Gは、光源62bに接続されたケーブルC2が通される穴部hfが設けられている。ケーブルC2は、特定断熱材Gの穴部hfに通されて左冷蔵室扉11Aaの内部に延びている。ケーブルC2は、ヒンジ30を経由して冷蔵庫本体5の制御基板16に接続されている。
【0128】
図21は、左冷蔵室扉11Aaの製造途中の状態を示す断面図である。発泡断熱材84は、前面板52と特定断熱材Gとの間の空間に注入された後に加熱されて発泡する。発泡した発泡断熱材84は、前面板52と特定断熱材Gとの間の空間から特定断熱材Gの複数の穴部heを通じてリブ61の内部に流入し、リブ61の内部に充填される。
【0129】
以上のような構成によれば、第6実施形態などと同様に、断熱性を向上させることができる。また本実施形態では、特定断熱材Gの中間領域125には、複数の穴部heが設けられている。このような構成によれば、発泡断熱材84の発泡時の流動経路を気にせず、特定断熱材Gを大きくすることができる。これにより、左冷蔵室扉11Aaのより広い領域の断熱性を向上させることができる。
【0130】
(第13実施形態)
次に、第13実施形態について説明する。第13実施形態は、右冷蔵室扉11Abに関するものであり、外郭部材50の内部に真空断熱材130が設けられた点で第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0131】
図22は、第13実施形態の右冷蔵室扉11Abを示す断面図である。
図22に示すように、右冷蔵室扉11Abは、例えば、第2ケース82(以下、単にケース82を称する)、真空断熱材130、補強部材83、左特定断熱材G1、右特定断熱材G2、および発泡断熱材84を有する。左特定断熱材G1および右特定断熱材G2は、それぞれ特定断熱材Gである。
【0132】
真空断熱材130は、矩形の板状に形成されている。真空断熱材130は、外郭部材50の内部に設けられ、前面板52と後面部材53との間に配置されている。本実施形態では、真空断熱材130は、後面部材53の内面に沿って配置されている。真空断熱材130の横幅は、左方のリブ61cと、右方のリブ61dとの間の距離よりも小さい。また後面部材53には、真空断熱材130の位置決め用の突起131(例えばリブ)が設けられている。
【0133】
左特定断熱材G1は、例えば、成形品であり、剛性を有する。左特定断熱材G1は、真空断熱材130の左方に配置されている。左特定断熱材G1は、外郭部材50の内部に設けられ、ケース82と後面部材53との間に配置されている。左特定断熱材G1は、冷蔵庫1を正面から見た場合、ケース82、左方のスロート63c、および左方のリブ61cと重なる。左特定断熱材G1は、例えば、第1から第3部分135a,135b,135cを含む。第1部分135aは、ケース82と後面部材53との間に配置され、真空断熱材130と隣り合う。第2部分135bは、補強部材83とスロート63cとの間に配置されている。第3部分135cは、リブ61cの内部に挿入されている。
【0134】
同様に、右特定断熱材G2は、例えば、成形品であり、剛性を有する。右特定断熱材G2は、真空断熱材130の右方に配置されている。右特定断熱材G2は、外郭部材50の内部に設けられ、前面板52と後面部材53との間に配置されている。右特定断熱材G2は、冷蔵庫1を正面から見た場合、右方のスロート63dおよび右方のリブ61dと重なる。右特定断熱材G2は、例えば、第1および第2部分136a,136bを含む。第1部分136aは、前面板52と後面部材53との間に配置され、真空断熱材130と隣り合う。第2部分136bは、リブ61dの内部に挿入されている。
【0135】
このような構成によれば、真空断熱材130と特定断熱材G1,G2との組み合わせにより右冷蔵室扉11Abの内部の広い領域の断熱性を向上させることができる。例えば、真空断熱材130は、板状にしか形成できないため、また発泡断熱材84が通る穴部を設けることができないため、冷蔵庫1の正面から見てリブ61と重なる領域には配置することができない。そこで本実施形態では、冷蔵庫1の正面から見てリブ61と重なる領域に特定断熱材G1,G2を配置している。これにより、断熱性を向上させることができる。
【0136】
(第14実施形態)
次に、第14実施形態について説明する。第14実施形態は、外郭部材50の内部にシート状の特定断熱材Gが設けられた点で第13実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第13実施形態と同じである。
【0137】
図23は、第14実施形態の右冷蔵室扉11Abを示す断面図である。本実施形態では、特定断熱材Gは、シート状に形成されている。例えば、特定断熱材Gは、冷蔵庫1を正面から見た場合に、左方のスロート63cと右方のスロート63dの両方に重なる大きさを有する。
【0138】
本実施形態では、特定断熱材Gは、第1から第3部分141a,141b,141cを有する。第1部分141aは、真空断熱材130と後面部材53との間に配置され、真空断熱材130に沿って延びている。第2部分141bは、真空断熱材130よりも左方に延びている。第2部分141bは、真空断熱材130の位置決め用の突起131(例えばリブ)が通される穴部hgを有する。第2部分141bは、突起131が穴部hgに通されることで、後面部材53の内面に接している。第2部分141bは、冷蔵庫1を正面から見た場合、左方のリブ61cおよび左方のスロート63cと重なる。第3部分141cは、真空断熱材130よりも右方に延びている。第3部分141cは、真空断熱材130の位置決め用の突起131(例えばリブ)が通される穴部hgを有する。第3部分141cは、突起131が穴部hgに通されることで、後面部材53の内面に接している。第3部分141cは、冷蔵庫1を正面から見た場合、右方のリブ61dおよび右方のスロート63dと重なる。第2部分141bおよび第3部分141cの各々は、発泡中の発泡断熱材84を通すための1つ以上の穴部heが設けられている。
【0139】
このような構成によれば、第13実施形態と同様に、断熱性を向上させることができる。なお、特定断熱材Gは、第1部分141aを有さずに、第2部分141bと第3部分141cのみを有してもよい。
【0140】
(第15実施形態)
次に、第15実施形態について説明する。第15実施形態は、野菜室扉11Bに係るものであり、野菜室扉11Bのなかでレール35が取り付けられる固定部161に対して特定断熱材Gが設けられた点で第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。なお本実施形態の構成は、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eにも適用可能である。
【0141】
図24は、第15実施形態の野菜室扉11Bを示す断面図である。
図25は、
図24中に示された野菜室扉11BのF25-F25線に沿う断面図である。
図24および
図25に示すように、野菜室扉11Bは、冷蔵庫本体5の筐体10に対して野菜室扉11Bを引き出し可能に支持するレール35を有する。レール35は、例えば、金属材料で形成され、レール本体35aと、レール取付部35bとを有する。レール本体35aは、冷蔵庫1の奥行方向に延びており、滑車のような摺動部によって奥行方向に伸縮可能(または移動可能)に支持されている。レール取付部35bは、レール本体35aの前端部で折れ曲がり、野菜室扉11Bの後面部材53に取り付けられている。レール取付部35bは、複数の締結部材151(例えばねじ)が通される挿通穴35baを有する。
【0142】
野菜室扉11Bは、後面部材53に設けられた固定部161と、外郭部材50の内部に設けられた固定金具162(
図25参照)とを有する。固定部161は、レール取付部35bが取り付けられる台座部である。固定部161は、後面部材53の中央部と比べて後方に突出している。固定部161は、レール取付部35bと略平行な平面部161aを有する。平面部161aは、鉛直方向および横幅方向に広がる。平面部161aは、複数の締結部材151が通される挿通穴161bを有する。固定部161は、「特定構造部」の一例である。
【0143】
固定金具162は、例えば金属材料で形成され、固定部161の内側に配置されている。固定金具162は、第1から第3部分162a,162b,162cを含む。第1部分162aは、固定部161の平面部161aと略平行に配置されている。第1部分162aは、締結部材151が係合する係合穴162aa(例えばねじ穴)を有する。締結部材151がレール取付部35bの挿通穴35baおよび固定部161の挿通穴161bに通されて第1部分162aの係合穴162aaに係合することで、レール35が後面部材53に固定される。第2部分162bおよび第3部分162cは、第1部分162aの両端部から外郭部材50の内部に向けて折れ曲がっている。第2部分162bおよび第3部分162cの周囲に発泡断熱材84が設けられることで、固定金具162が外郭部材50のなかで安定して支持される。
【0144】
本実施形態では、特定断熱材Gは、例えば、シート状に形成され、野菜室扉11Bの外郭部材50の内部に設けられている。特定断熱材Gは、冷蔵庫1を正面から見た場合に、少なくとも固定部の平面部161aおよび固定金具162の第1部分162aと重なる。特定断熱材Gは、固定金具162の第2部分162bおよび第3部分162cが通される穴部hhを有する。特定断熱材Gは、固定金具162の第2部分162bおよび第3部分162cが穴部hhに通されることで、固定金具162の第1部分162aに接している。特定断熱材Gは、複数の締結部材151の締結を阻害しないように、複数の締結部材151が通される挿通穴hiを有してもよい。
【0145】
ここで、後面部材53の固定部161および固定金具162は、レール35を介して野菜室27Bの温度が伝わり、冷やされやすい。しかしながら、本実施形態では、冷蔵庫1を正面から見た場合に後面部材53の固定部161と重なる特定断熱材Gが設けられている。このため、例えば後面部材53の固定部161の前側で断熱性が向上し、レール35から後面部材53の固定部161に伝わる温度が野菜室扉11Bの内部に伝わりにくい。これにより、枠体51および前面板52に結露が生じることを抑制することができる。
【0146】
なお上記構成に代えて、特定断熱材Gは、固定金具162の第1部分162aと固定部161の平面部161aとの間(すなわち、固定金具162と後面部材53との間)に設けられてもよい。
【0147】
(第16実施形態)
次に、第16実施形態について説明する。第16実施形態は、レール取付部35bと後面部材53の固定部161との間に特定断熱材Gが設けられた点で第15実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第15実施形態と同じである。なお本実施形態の構成は、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eにも適用可能である。
【0148】
図26は、第16実施形態の野菜室扉11Bを示す断面図である。本実施形態では、特定断熱材Gは、例えば、シート状に形成され、レール取付部35bと後面部材53の固定部161との間に挟まれている。すなわち、特定断熱材Gは、外郭部材50の一部として設けられている。特定断熱材Gは、冷蔵庫1を正面から見た場合に、少なくとも固定部161の平面部161aおよび固定金具162の第1部分162aと重なる。特定断熱材Gは、締結部材151が通される複数の穴部hiを有する。このような構成によれば、第15実施形態と同様に、野菜室扉11Bの断熱性を向上させることができ、枠体51および前面板52に結露が生じることを抑制することができる。
【0149】
(第17実施形態)
次に、第17実施形態について説明する。第17実施形態は、特定断熱材Gが野菜室扉11Bの手掛け用の窪み110を覆う点で第15実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第15実施形態と同じである。なお本実施形態の構成は、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eにも適用可能である。
【0150】
図27は、第17実施形態の左冷蔵室扉11Aaを示す断面図である。
図27に示すように、野菜室扉11Bの上端部は、手掛け用の窪み110を有する。窪み110は、外郭部材50の上辺部材51aに設けられ、外郭部材50の内部に向けて(すなわち下方に向けて)窪んでいる。窪み110は、野菜室扉11Bを開くときにユーザが手を掛ける窪みである。窪み110は、横幅方向に延びている。
【0151】
本実施形態では、特定断熱材Gは、外郭部材50の内部の上端部に設けられている。特定断熱材Gは、冷蔵庫1を正面から見た場合に、窪み110と重なる。また、特定断熱材Gは、冷蔵庫1を上方から見た場合に、窪み110と重なる。例えば、特定断熱材Gは、窪み110の左端部と右端部とに亘る長さを有して横幅方向に延びている。窪み110は、「特定構造部」の一例である。
【0152】
詳しく述べると、外郭部材50の上辺部材51aの内面111(外郭部材50の内部に露出した面)は、窪み110に対応して外郭部材50の内部に突出した突出部112を有する。突出部112は、窪み110の形状に対応した曲面状の表面を有する。
【0153】
特定断熱材Gは、上辺部材51aの内面111に取り付けられ、突出部112を覆う。本実施形態では、特定断熱材Gは、突出部112の形状に応じて形成された成形品であり、剛性を有する。なお、特定断熱材Gは、柔軟性を有するシートでもよい。特定断熱材Gの少なくとも一部は、野菜室27B(貯蔵室27)と窪み110との間に位置する。
【0154】
本実施形態では、特定断熱材Gは、第1から第3部分171a,171b,171cを含む。第1部分171aは、外郭部材50の内部で突出部112の表面に沿うように設けられ、窪み110の形状に対応して曲がった部分を含む。第2部分171bは、前面板52の後面に沿って配置されている。例えば、第2部分171bは、リブ61aの下端よりも下方まで延びている。第3部分171cは、上辺部材51aの内面に沿って配置されている。
【0155】
以上のような構成によれば、野菜室扉11Bのなかで手掛け用の窪み110が設けられた領域の周囲は、野菜室扉11Bの厚さ方向において、発泡断熱材84が充填される空間が小さくなる。このため、窪み110が設けられた領域の周囲で枠体51や前面板52、窪み110の内側に結露が生じる可能性が大きくなる。しかしながら、本実施形態では、冷蔵庫1を正面から見た場合に窪み110と重なる特定断熱材Gが設けられている。これにより、例えば窪み110の背後で断熱性が向上し、窪み110が設けられた領域の周囲において枠体51や前面板52、窪み110の内側に結露が生じることを抑制することができる。
【0156】
ここで、冷蔵庫本体5の筐体10において、冷蔵室27Aと野菜室27Bとは、同じ冷蔵温度帯の貯蔵室である。このため、冷蔵室27Aと野菜室27Bとの間の第1仕切部28は、野菜室27Bと、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dとの間に位置する第2仕切部29と比べて断熱性が小さい構造を有する。例えば、第1仕切部28は、一般的な合成樹脂製の部材で形成され、発泡断熱材11cを含まない。言い換えると、野菜室扉11Bの上端部の後方には、断熱性が高い壁部が存在しない。このため、冷蔵室27Aの冷気吹出口h1から供給された冷気は、野菜室扉11Bの上端部に接しやすく、野菜室扉11Bの上端部の温度を低下させやすい。このため、野菜室扉11Bの上側のリブ61aは、下側のリブ61bに比べて大きく形成されている。
【0157】
しかしながら、本実施形態では、外郭部材50の内部の上端部に特定断熱材Gが設けられ、外郭部材50の上端部の断熱性が向上している。外郭部材50の上端部の断熱性が向上すると、野菜室扉11Bの上側のリブ61aを小さくすることができる。上側のリブ61aを小さくすることができると、野菜室容器13Ba,13Bbの大型化や、野菜室27Bの見栄えの向上(開口の大型化)を図ることができる。
【0158】
(第18実施形態)
次に、第18実施形態について説明する。第18実施形態は、特定断熱材Gがブロック状に形成された点で第17実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第17実施形態と同じである。なお本実施形態の構成は、製氷室扉11C、小冷凍室扉11D、および主冷凍室扉11Eにも適用可能である。
【0159】
図28は、第17実施形態の野菜室扉11Bを示す断面図である。
図29は、
図28中に示された野菜室扉11BのF29-F29線に沿う断面図である。
図28および
図29に示すように、本実施形態では、野菜室扉11Bは、特定断熱材Gとして、上特定断熱材G3、下特定断熱材G4、左特定断熱材G1、および右特定断熱材G2を有する。
【0160】
上特定断熱材G3は、外郭部材50の内部の上端部に設けられている。上特定断熱材G3は、外郭部材50の内部の上端部の構造(例えばリブ61aや突出部102,112、その他の突起など)に応じた形状を有した成形品である。上特定断熱材G3は、第1から第3部分181a,181b,181cを含む。第1部分181aは、窪み110とスロート63aとの間に配置される。第2部分181bは、窪み110とリブ61aとの間に配置されている。第2部分181bの一部は、リブ61aの内部に挿入されている。第3部分181cは、前面板52とリブ61aとの間に配置されている。第3部分181cの一部は、リブ61aの内部に挿入されている。
【0161】
下特定断熱材G4は、外郭部材50の内部の下端部に設けられている。下特定断熱材G4は、外郭部材50の内部の下端部の構造(例えばリブ61bや突出部102、その他の突起など)に応じた形状を有した成形品である。下特定断熱材G4は、第1および第2部分182a,182bを含む。第1部分182aは、前面板52とスロート63bとの間に配置される。第2部分182bは、前面板52とリブ61bとの間に配置されている。第2部分182bの一部は、リブ61bの内部に挿入されている。
【0162】
左特定断熱材G1は、外郭部材50の内部の左端部に設けられている。左特定断熱材G1は、外郭部材50の内部の左端部の構造(例えばリブ61cや突出部102、その他の突起など)に応じた形状を有した成形品である。左特定断熱材G1は、第1および第2部分183a,183bを含む。第1部分183aは、前面板52とスロート63cとの間に配置される。第2部分183bは、前面板52とリブ61cとの間に配置されている。第2部分183bの一部は、リブ61cの内部に挿入されている。
【0163】
右特定断熱材G2は、外郭部材50の内部の右端部に設けられている。右特定断熱材G2は、外郭部材50の内部の右端部の構造(例えばリブ61dや突出部102、その他の突起など)に応じた形状を有した成形品である。右特定断熱材G2は、第1および第2部分184a,184bを含む。第1部分184aは、前面板52とスロート63dとの間に配置される。第2部分184bは、前面板52とリブ61dとの間に配置されている。第2部分184bの一部は、リブ61dの内部に挿入されている。
【0164】
本実施形態では、特定断熱材Gは、上特定断熱材G3、下特定断熱材G4、左特定断熱材G1、および右特定断熱材G2によって、特定断熱材Gによる矩形枠状の断熱構造が形成されている。そして本実施形態では、上特定断熱材G3、下特定断熱材G4、左特定断熱材G1、および右特定断熱材G2によって囲まれる領域に発泡断熱材84が設けられている。このような構成によれば、野菜室扉11Bの断熱性が向上し、枠体51や前面板52、窪み110の内側に結露が生じることを抑制することができる。
【0165】
(第19実施形態)
次に、第19実施形態について説明する。第19実施形態は、主冷凍室扉11Eに関するものである点で第17実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第17実施形態と同じである。なお本実施形態の構成は、野菜室27B、製氷室扉11C、および小冷凍室扉11Dにも適用可能である。
【0166】
図30は、第19実施形態の主冷凍室扉11Eを示す断面図である。
図30に示すように、主冷凍室扉11Eは、真空断熱材130を有する。真空断熱材130は、鉛直方向および横幅方向に沿う板状に形成され、外郭部材50の内部に設けられている。
【0167】
主冷凍室27Eの上端部は、手掛け用の窪み110を有する。本実施形態では、特定断熱材Gは、第17実施形態と同様に、外郭部材50の内部の上端部に設けられている。特定断熱材Gは、第17実施形態と同様に、第1から第3部分171a,171b,171cを含む。本実施形態では、第2部分171bは、冷蔵庫1を正面から見た場合に、真空断熱材130と重なる。すなわち、第2部分171bは、真空断熱材130の上端よりも下方まで延びている。例えば、第2部分171bは、冷蔵庫1を正面から見た場合、窪み110と真空断熱材130との間の領域の少なくとも一部を覆うようにして真空断熱材130の少なくとも一部と重なる。第2部分171bは、冷蔵庫1を正面から見た場合、少なくとも窪み110の下端と真空断熱材130の上端との間を連続して延びている。
【0168】
以上のような構成によれば、冷蔵庫1を正面から見た場合に窪み110と重なる特定断熱材Gが設けられている。これにより、例えば窪み110の背後で断熱性が向上し、窪み110が設けられた領域の周囲において枠体51や前面板52、窪み110の内側に結露が生じることを抑制することができる。
【0169】
ここで、冷蔵庫本体5の筐体10において、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dと、主冷凍室27Eとは、同じ冷凍温度帯の貯蔵室である。このため、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dと、主冷凍室27Eとの間の仕切構造は、野菜室27Bと、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dとの間に位置する第2仕切部29と比べて断熱性が小さい。例えば、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dと、主冷凍室27Eとの間には、実質的な仕切り部は存在しない。言い換えると、主冷凍室27Eの上端部の後方には、断熱性が高い壁部が存在しない。このため、製氷室27Cや小冷凍室27Dなどの冷気吹出口h3から供給された冷気は、主冷凍室扉11Eの上端部に接しやすく、主冷凍室扉11Eの上端部の温度を低下させやすい。このため、主冷凍室扉11Eの上側のリブ61aは、下側のリブ61bに比べて大きく形成されている。
【0170】
しかしながら、本実施形態では、外郭部材50の内部の上端部に特定断熱材Gが設けられ、外郭部材50の上端部の断熱性が向上している。外郭部材50の上端部の断熱性が向上すると、主冷凍室扉11Eの上側のリブ61aを小さくすることができる。上側のリブ61aを小さくすることができると、主冷凍室容器13Ea,13Ebの大型化や、主冷凍室27Eの見栄えの向上(開口の大型化)を図ることができる。
【0171】
本実施形態では、特定断熱材Gは、冷蔵庫1を正面から見た場合に、窪み110と真空断熱材130との間の領域の少なくとも一部を覆うようにして真空断熱材130の少なくとも一部と重なる。このような構成によれば、主冷凍室扉11Eの上端部において、特定断熱材Gと真空断熱材130とにより切れ目のない断熱構造を実現することができる。これにより、主冷凍室扉11Eの断熱性をさらに高めることができる。
【0172】
(第20実施形態)
次に、第20実施形態について説明する。第20実施形態は、板状の特定断熱材Gが設けられた点で第19実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第19実施形態と同じである。なお本実施形態の構成は、野菜室27B、製氷室扉11C、および小冷凍室扉11Dにも適用可能である。
【0173】
図31は、第20実施形態の主冷凍室扉11Eを示す断面図である。本実施形態では、特定断熱材Gは、板状に形成されて、横幅方向に延びている。特定断熱材Gは、冷蔵庫1を正面から見た場合、窪み110、上側のスロート63a、上側のリブ61a、および真空断熱材130の上端部と重なる。特定断熱材Gは、冷蔵庫1を正面から見た場合に、窪み110と真空断熱材130との間の領域の少なくとも一部を覆うようにして真空断熱材130の少なくとも一部と重なる。特定断熱材Gは、窪み110と主冷凍室27Eとの間に配置されている。このような構成によれば、第19実施形態と同様に、断熱性の向上を図ることができる。
【0174】
(第21実施形態)
次に、第21実施形態について説明する。第21実施形態は、外郭部材50の内部の左右に特定断熱材Gが設けられた点で第19実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第19実施形態と同じである。なお本実施形態の構成は、野菜室27B、製氷室扉11C、および小冷凍室扉11Dにも適用可能である。
【0175】
図32は、第21実施形態の主冷凍室扉11Eを示す断面図である。本実施形態では、主冷凍室扉11Eは、特定断熱材Gとして、左特定断熱材G1と右特定断熱材G2とを有する。左特定断熱材G1および右特定断熱材G2は、真空断熱材130よりも後方に配置されている。
【0176】
左特定断熱材G1は、外郭部材50の内部の左端部に設けられている。左特定断熱材G1は、第1および第2部分191a,191bを含む。第1部分191aは、冷蔵庫1を正面から見た場合にスロート63cと重なる。第2部分191bは、冷蔵庫1を正面から見た場合に真空断熱材130の左端部と重なる。第2部分191bの一部は、左側のリブ61cの内部に挿入されている。
【0177】
右特定断熱材G2は、外郭部材50の内部の右端部に設けられている。右特定断熱材G2は、第1および第2部分192a,192bを含む。第1部分192aは、冷蔵庫1を正面から見た場合にスロート63dと重なる。第2部分192bは、冷蔵庫1を正面から見た場合に真空断熱材130の右端部と重なる。第2部分192bの一部は、右側のリブ61dの内部に挿入されている。
【0178】
このような構成によれば、主冷凍室27Eの断熱性の向上を図ることができる。また、左特定断熱材G1および右特定断熱材G2は、真空断熱材130よりも後方に配置されると、真空断熱材130を枠体51の内部に位置決めした後に、左特定断熱材G1および右特定断熱材G2を設置し、後面部材53を取り付けることができる。このような構成によれば、作業性の向上を図ることができる場合がある。
【0179】
(第22実施形態)
次に、第22実施形態について説明する。第22実施形態は、真空断熱材130に対する保護部材として特定断熱材Gが設けられた点で第21実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第21実施形態と同じである。なお本実施形態の構成は、左冷蔵室扉11Aa、右冷蔵室扉11Ab、野菜室27B、製氷室扉11C、および小冷凍室扉11Dにも適用可能である。
【0180】
図33は、第22実施形態の主冷凍室扉11Eを示す断面図である。本実施形態では、主冷凍室扉11Eは、特定断熱材Gとして、左特定断熱材G1と右特定断熱材G2とを有する。左特定断熱材G1および右特定断熱材G2は、例えば柔軟性を有する。
【0181】
左特定断熱材G1は、真空断熱材130の左端部が挿入される窪み202を有する。すなわち、左特定断熱材G1は、真空断熱材130の左端部を左方および前後の3方向から抱え込む形状を有する。左特定断熱材G1の窪み202の内面と真空断熱材130の左端部との間には、柔軟性を有したシート201が挟まれる。シート201は、左特定断熱材G1と比べて表面粗さが小さいシートである。シート201は、例えば、ナイロン製であるが、これに限定されない。左特定断熱材G1の表面粗さが十分に小さい場合、シート201は省略されてもよい。
【0182】
同様に、右特定断熱材G2は、真空断熱材130の右端部が挿入される窪み202を有する。すなわち、右特定断熱材G2は、真空断熱材130の右端部を右方および前後の3方向から抱え込む形状を有する。右特定断熱材G2の窪み202と真空断熱材130の右端部との間には、柔軟性を有したシート201が挟まれる。シート201は、右特定断熱材G2と比べて表面粗さが小さいシートである。右特定断熱材G2の表面粗さが十分に小さい場合、シート201は省略されてもよい。
【0183】
本実施形態では、左特定断熱材G1および右特定断熱材G2は、真空断熱材130を枠体51内に設置する前に、真空断熱材130に対して取り付けられる。例えば、真空断熱材130は、後面部材53が枠体51に取り付けられる前に、左特定断熱材G1および右特定断熱材G2が取り付けられる。そして、真空断熱材130は、左特定断熱材G1および右特定断熱材G2が後面部材53(または枠体51)に取り付けられることで、左特定断熱材G1および右特定断熱材G2と一体に後面部材53(または枠体51)に取り付けられる。その後、後面部材53が枠体51に取り付けられる。これにより、真空断熱材130の外装体が破損する可能性(例えば、外装体の横幅方向の端部が破損する可能性)を低減しつつ、真空断熱材130の横幅方向の位置決めを行うことができる。これにより、真空断熱材130の取り付けに関する作業性を向上させることができる。なお、主冷凍室扉11Eは、左特定断熱材G1および右特定断熱材G2に代えて/加えて、真空断熱材130の上端部を保護する上特定断熱材G3および真空断熱材130の下端部を保護する下特定断熱材G4を有してもよい。
【0184】
(変形例)
次に、第1から第22実施形態に関する変形例について説明する。本変形例では、扉11のリブ61の外面に特定断熱材Gが取り付けられた点で上述した実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、上述した実施形態と同じである。
【0185】
図34は、実施形態の変形例の左冷蔵室扉11Aaを示す断面図である。本変形例では、左冷蔵室扉11Aaは、リブ61の表面に取り付けられた特定断熱材Gを有する。特定断熱材Gは、例えば柔軟性を有するシート状に形成されている。特定断熱材Gは、リブ61の表面に沿って鉛直方向または横幅方向に延びている。特定断熱材Gは、リブ61と筐体10の壁部(例えば、左側壁23であるが、右側壁24、上壁21、または下壁22でもよい)との間に配置され、リブ61と筐体10の壁部との間に隙間を小さくしている。例えば、特定断熱材Gの少なくとも一部は、リブ61のなかで、横幅方向で筐体10の壁部の内面に面する位置に設けられている。
【0186】
このような構成によれば、経年劣化により冷蔵庫本体5の筐体10に対して扉11の上下位置や左右位置がずれてしまった場合でも、筐体10と扉11との間に生じる隙間の大きさを特定断熱材Gによって小さくすることができる。貯蔵室27の冷気が外部に漏出することを抑制することができる。例えば、特定断熱材Gが柔軟性を有すると、冷蔵庫本体5の筐体10に対して扉11の上下位置や左右位置がずれてしまった場合、違和感のある音が生じることなどを抑制することができる。
【0187】
以上、いくつかの実施形態に係る特定断熱材Gについて説明したが、実施形態は上記例に限定されない。例えば、上述した2つ以上の実施形態は、互いに組み合わされて実施されてもよい。また、特定断熱材Gは、外郭部材50の少なくとも一部として設けられてもよい。例えば、特定断熱材Gは、枠体51の少なくとも一部(例えば全部)として設けられてもよい。また、特定断熱材Gは、後面部材53の少なくとも一部(例えば全部)として設けられてもよい。
【0188】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、エアロゲル、キセロゲルまたはクライオゲルを含み、外郭部材の内部に設けられた内部部品または外郭部材に設けられた特定構造部を重なる断熱部材を有することで、断熱性の向上を図ることができる。
【0189】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0190】
以下、いくつかの冷蔵庫を付記する。
[1]
貯蔵室を含む冷蔵庫本体と、
前記貯蔵室を開閉可能に閉じる扉と、
を備え、
前記扉は、箱状の外郭部材と、発泡断熱材とは異なる部品であって前記外郭部材の内部に設けられた内部部品と、前記外郭部材の内部または前記外郭部材の少なくとも一部として設けられ、エアロゲル、キセロゲルまたはクライオゲルを含み、冷蔵庫を正面から見た場合に前記内部部品と重なる断熱部材とを有した、
冷蔵庫。
[2]
前記外郭部材は、枠体と、前記枠体に取り付けられた前面板と、前記前面板とは反対側から前記枠体に取り付けられた後面部材とを含み、
前記内部部品は、前記前面板に沿って配置されており、
前記断熱部材は、前記内部部品と前記後面部材との間に配置されている、
[1]に記載の冷蔵庫。
[3]
前記内部部品は、前記外郭部材の内部で電子部品を収容したケースである、
[2]に記載の冷蔵庫。
[4]
前記断熱部材は、前記ケースの外形に沿って曲がった部分を含む、
[3]に記載の冷蔵庫。
[5]
前記内部部品は、電子部品であり、
前記断熱部材は、前記外郭部材の内部で前記電子部品を収容したケースである、
[2]に記載の冷蔵庫。
[6]
前記扉は、前記ケースと前記断熱部材とのうち少なくとも一方に取り付けられた第1部分と、前記前面板に取り付けられた第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを繋ぐとともに前記前面板から離れた第3部分とを含むテープ部材を有し、
前記断熱部材は、前記冷蔵庫を正面から見た場合に前記テープ部材の第3部分の少なくとも一部と重なる、
[3]から[5]のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
[7]
前記断熱部材は、前記扉の少なくとも一部において、前記内部部品と前記後面部材との間の空間を埋めている、
[2]から[6]のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
[8]
前記断熱部材は、前記内部部品の形状に応じて凹凸が形成された成形品である、
[7]に記載の冷蔵庫。
[9]
前記外郭部材は、枠体と、前記枠体に取り付けられたガラス板と、前記ガラス板とは反対側から前記枠体に取り付けられた後面部材とを含み、
前記断熱部材の少なくとも一部は、1つ以上の穴部を有して前記ガラス板に沿って配置されており、
前記扉は、前記外郭部材の内部に設けられた発泡断熱材を有し、
前記発泡断熱材は、前記1つ以上の穴部の内側で前記ガラス板に接合されている、
[1]から[8]のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
[10]
貯蔵室を含む冷蔵庫本体と、
前記貯蔵室を開閉可能に閉じる扉と、
を備え、
前記扉は、箱状の外郭部材と、前記外郭部材に設けられた特定構造部と、前記外郭部材の内部または前記外郭部材の少なくとも一部として設けられ、エアロゲル、キセロゲルまたはクライオゲルを含み、冷蔵庫を正面から見た場合に前記特定構造部と重なる断熱部材とを有した、
冷蔵庫。
[11]
前記外郭部材は、枠体と、前記枠体に取り付けられた前面板と、前記前面板とは反対側から前記枠体に取り付けられた後面部材とを含み、
前記特定構造部は、前記後面部材に設けられ、前記扉の内部に向けて窪んでガスケットが取り付けられる窪みである、
[10]に記載の冷蔵庫。
[12]
前記後面部材は、前記窪みに対応して前記外郭部材の内部に突出した突出部を有し、 前記断熱部材は、前記外郭部材の内部で前記突出部の表面に沿うように設けられ、前記窪みの形状に対応して曲がった部分を含む、
[11]に記載の冷蔵庫。
[13]
前記断熱部材は、前記窪みの内部に設けられ、前記窪みの形状に対応して曲がった部分を含む、
[11]に記載の冷蔵庫。
[14]
前記特定構造部は、前記扉の上端部または下端部に設けられ、前記扉の内部に向けて窪んで前記扉を開くときにユーザが手を掛ける窪みである、
[10]に記載の冷蔵庫。
[15]
前記断熱部材は、前記窪みの形状に対応して曲がった部分を含む、
[14]に記載の冷蔵庫。
[16]
前記断熱部材の少なくとも一部は、前記貯蔵室と前記窪みとの間に位置する、
[14]または[15]に記載の冷蔵庫。
[17]
前記扉は、前記外郭部材の内部に設けられた真空断熱材を有し、
前記断熱部材は、前記冷蔵庫を正面から見た場合に、前記窪みと前記真空断熱材との間の領域の少なくとも一部を覆うようにして前記真空断熱材の少なくとも一部と重なる、
[14]から[16]のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
[18]
前記扉は、前記外郭部材の内部に設けられた発泡断熱材を有し、
前記外郭部材は、枠体と、前記枠体に取り付けられた前面板と、前記前面板とは反対側から前記枠体に取り付けられた後面部材とを含み、
前記特定構造部は、前記後面部材に設けられ、前記扉が前記筐体に対して閉じられた状態で前記後面部材から前記貯蔵室に向けて突出した突出部であり、
前記断熱部材は、前記断熱部材のなかで前記冷蔵庫を正面から見た場合に前記突出部と重なる領域に、前記発泡断熱材の発泡時に前記発泡断熱材の一部が前記突出部の内部に向けて通過可能な1つ以上の穴部を有した、
[10]に記載の冷蔵庫。
[19]
前記扉は、前記筐体に対して前記扉を引き出し可能に支持するレールを有し、
前記外郭部材は、枠体と、前記枠体に取り付けられた前面板と、前記前面板とは反対側から前記枠体に取り付けられた後面部材とを含み、
前記特定構造部は、前記後面部材に設けられて前記レールが固定される固定部である、
[10]に記載の冷蔵庫。
【符号の説明】
【0191】
1…冷蔵庫、11,11Aa,11Ab,11B,11C,11D,11E…扉、35…レール、50…外郭部材、51…枠体、52…前面板(ガラス板)、53…後面部材、61…リブ(突出部)63…スロート(窪み)、81…第1ケース、82…第2ケース、83…補強部材、84…発泡断熱材、85…テープ部材、110…手掛け用の窪み、112…突出部、G,G1,G2,G3,G4…特定断熱材。