IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社の特許一覧

特許7541168レコメンド装置、レコメンド方法及びレコメンドプログラム
<>
  • 特許-レコメンド装置、レコメンド方法及びレコメンドプログラム 図1
  • 特許-レコメンド装置、レコメンド方法及びレコメンドプログラム 図2
  • 特許-レコメンド装置、レコメンド方法及びレコメンドプログラム 図3
  • 特許-レコメンド装置、レコメンド方法及びレコメンドプログラム 図4
  • 特許-レコメンド装置、レコメンド方法及びレコメンドプログラム 図5
  • 特許-レコメンド装置、レコメンド方法及びレコメンドプログラム 図6
  • 特許-レコメンド装置、レコメンド方法及びレコメンドプログラム 図7
  • 特許-レコメンド装置、レコメンド方法及びレコメンドプログラム 図8
  • 特許-レコメンド装置、レコメンド方法及びレコメンドプログラム 図9
  • 特許-レコメンド装置、レコメンド方法及びレコメンドプログラム 図10
  • 特許-レコメンド装置、レコメンド方法及びレコメンドプログラム 図11
  • 特許-レコメンド装置、レコメンド方法及びレコメンドプログラム 図12
  • 特許-レコメンド装置、レコメンド方法及びレコメンドプログラム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】レコメンド装置、レコメンド方法及びレコメンドプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/01 20230101AFI20240820BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240820BHJP
【FI】
G06Q30/01
G06Q50/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023175605
(22)【出願日】2023-10-10
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 仁徳
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-092363(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0392625(US,A1)
【文献】特開2023-066133(JP,A)
【文献】特開2020-067844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの音声データ、前記ユーザから入力された文字データ、前記ユーザの顔を撮像した画像、及び/または、前記ユーザの生体情報を基に、前記ユーザの感情及び前記ユーザの価値観を推定する推定部と、
前記推定部によって推定された前記ユーザの感情及び前記ユーザの価値観を基に、前記ユーザの感情及び前記ユーザの価値観に沿うとともに前記ユーザが良好な状態になることが見込まれる行動を推測する推測部と、
依頼元が推奨する行動一覧のうち、前記行動に対応する行為と、前記ユーザが前記行為を実施した際に行動実施へのモチベーション向上が見込まれる感覚共有コンテンツとを含むレコメンド情報を前記ユーザが使用するユーザ端末に送信するレコメンド部と、
前記行為を経験した前記ユーザまたは前記ユーザとは異なる人の感覚データに基づいた情報を、前記行為を実施する前記ユーザが使用するデバイスから出力させる共有制御部と、
を有することを特徴とするレコメンド装置。
【請求項2】
前記共有制御部は、前記行為の実施時の感覚を、前記ユーザが装着した電気刺激装置による前記ユーザの筋肉への電気刺激の実行、及び/または、前記ユーザが使用するデバイスによる音声、テキスト及び/または画像の出力によって、前記ユーザに共有させることを特徴とする請求項1に記載のレコメンド装置。
【請求項3】
対話モデルを用いて、前記ユーザに対し、前記行為の実施前、実施中、及び/または実施後において、前記ユーザをフォローする対話を行うコミュニケーション部をさらに有し、
前記推定部は、前記コミュニケーション部と前記ユーザとの対話によって得られた前記ユーザの音声データ及び/または前記ユーザから入力された文字データ、対話中の前記ユーザの顔を撮像した画像、及び/または、対話中の前記ユーザの生体情報を基に、前記行為の実施前、実施中、及び/または実施後における前記ユーザの感情及び前記ユーザの価値観を推定することを特徴とする請求項1に記載のレコメンド装置。
【請求項4】
前記ユーザによる前記行為の実施前、実施中、及び/または実施後における前記ユーザの感情及び前記ユーザの価値観を基に、前記ユーザの感情及び前記ユーザの価値観の変動を示す時系列データを生成し、前記ユーザ端末に送信する生成部をさらに有することを特徴とする請求項3に記載のレコメンド装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記時系列データとして、前記ユーザの感情及び前記ユーザの価値観の変動を示すショートムービーを生成することを特徴とする請求項4に記載のレコメンド装置。
【請求項6】
前記レコメンド部は、所定のタイミングで、前記行為の継続的な実施をレコメンドするレコメンド情報を前記ユーザ端末に送信することを特徴とする請求項1に記載のレコメンド装置。
【請求項7】
前記レコメンド部は、前記ユーザが前記行為を所定回数及び/または所定期間実施した場合、及び/または、前記ユーザの感情及び前記ユーザの価値観が変動した場合、前記行為とは異なる他の行為、及び、前記他の行為に対応する感覚共有コンテンツとを含むレコメンド情報を前記ユーザ端末に送信することを特徴とする請求項1に記載のレコメンド装置。
【請求項8】
レコメンド装置が実行するレコメンド方法であって、
ユーザの音声データ、前記ユーザから入力された文字データ、前記ユーザの顔を撮像した画像、及び/または、前記ユーザの生体情報を基に、前記ユーザの感情及び前記ユーザの価値観を推定する工程と、
前記ユーザの感情及び前記ユーザの価値観を基に、前記ユーザの感情及び前記ユーザの価値観に沿うとともに前記ユーザが良好な状態になることが見込まれる行動を推測する工程と、
依頼元が推奨する行動一覧のうち、前記行動に対応する行為と、前記ユーザが前記行為を実施した際に行動実施へのモチベーション向上が見込まれる感覚共有コンテンツとを含むレコメンド情報を前記ユーザが使用するユーザ端末に送信する工程と、
前記行為を経験した前記ユーザまたは前記ユーザとは異なる人の感覚データに基づいた情報を、前記行為を実施する前記ユーザが使用するデバイスから出力させる工程と、
を含んだことを特徴とするレコメンド方法。
【請求項9】
ユーザの音声データ、前記ユーザから入力された文字データ、前記ユーザの顔を撮像した画像、及び/または、前記ユーザの生体情報を基に、前記ユーザの感情及び前記ユーザの価値観を推定するステップと、
前記ユーザの感情及び前記ユーザの価値観を基に、前記ユーザの感情及び前記ユーザの価値観に沿うとともに前記ユーザが良好な状態になることが見込まれる行動を推測するステップと、
依頼元が推奨する行動一覧のうち、前記行動に対応する行為と、前記ユーザが前記行為を実施した際に行動実施へのモチベーション向上が見込まれる感覚共有コンテンツとを含むレコメンド情報を前記ユーザが使用するユーザ端末に送信するステップと、
前記行為を経験した前記ユーザまたは前記ユーザとは異なる人の感覚データに基づいた情報を、前記行為を実施する前記ユーザが使用するデバイスから出力させるステップと、
をコンピュータに実行させるためのレコメンドプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レコメンド装置、レコメンド方法及びレコメンドプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生活者のWell-being(身体的、精神的、社会的に、良好な状態になること)の向上に向けて、行政庁手動の基、各種取り組みが行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】内閣府, "Well-beingに関する取組", [令和5年8月28日検索],インターネット<URL:https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、生活者は、心地良い生活を送りたいものの、現在の感情やどのような行動をすると自分が心地よくなるかが分からない。これに対し、例えば、各省庁は、各省庁が推奨する活動や行動を、Well-beingの向上に資する体験として生活者に選択してほしいと希望している。
【0005】
このため、各生活者の行動を、各省庁が推奨する活動や行動に誘導しながら、この活動や行動の実施に対して、各生活者の現在感情を、常に心地よい方向に変化させることで、生活者のWell-beingの向上を図ることが望まれている。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、生活者の行為を、依頼元が推奨する活動や行動に誘導しながら、この行為の実施により、生活者のWell-beingの向上を図るレコメンド装置、レコメンド方法及びレコメンドプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るレコメンド装置は、ユーザの音声データ、前記ユーザから入力された文字データ、前記ユーザの顔を撮像した画像、及び/または、前記ユーザの生体情報を基に、前記ユーザの感情及び前記ユーザの価値観を推定する推定部と、前記推定部によって推定された前記ユーザの感情及び前記ユーザの価値観を基に、前記ユーザの感情及び前記ユーザの価値観に沿うとともに前記ユーザが良好な状態になることが見込まれる行動を推測する推測部と、依頼元が推奨する行動一覧のうち、前記行動に対応する行為と、前記ユーザが前記行為を実施した際に行動実施へのモチベーション向上が見込まれる感覚共有コンテンツとを含むレコメンド情報を前記ユーザが使用するユーザ端末に送信するレコメンド部と、前記行為を経験した前記ユーザまたは前記ユーザとは異なる人の感覚データに基づいた情報を、前記行為を実施する前記ユーザが使用するデバイスから出力させる共有制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、生活者の行為を、依頼元が推奨する活動や行動に誘導しながら、この行為の実施により、生活者のWell-beingの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係るレコメンドシステムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、図1に示すユーザ端末の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、図1に示すレコメンドサーバの構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、感情・価値観マスタの一例を示す図である。
図5図5は、感情・価値観変動ポイント推測部が参照する行動一覧の一例を示す図である。
図6図6は、依頼元が推奨する行動一覧の一例を示す図である。
図7図7は、依頼元が推奨する行動一覧の一例を示す図である。
図8図8は、依頼元が推奨する行動一覧の一例を示す図である。
図9図9は、感覚共有用データベース(DB)に格納されるデータのデータ構成を示す図である。
図10図10は、掲示板のメニュー画面の一例を示す図である。
図11図11は、実施の形態に係るレコメンド処理の処理手順を示すシーケンス図である。
図12図12は、図1に示すレコメンドシステムによるユーザのWell-beingの向上化を説明する図である。
図13図13は、プログラムが実行されることにより、レコメンドシステムの各装置が実現されるコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0011】
[実施の形態]
実施の形態では、依頼元が推奨する活動や行動のうち、ユーザ(生活者)の感情及びユーザの価値観に沿うとともにユーザが良好な状態になることが見込まれる行為をレコメンドする。これとともに、実施の形態では、レコメンドした行為を経験した人の感覚データをユーザに共有させることで、依頼元が推奨する活動や行動にユーザを誘導しながら、この行為の実施により、ユーザのWell-being(身体的、精神的、社会的に、良好な状態になること)の向上を図る。
【0012】
[レコメンドシステム]
次に、実施の形態に係るレコメンドシステムについて説明する。図1は、実施の形態に係るレコメンドシステムの構成の一例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、実施の形態に係るレコメンドシステム100は、レコメンドサーバ10(レコメンド装置)、活動や行動(以降、行動とする)のレコメンド対象となるユーザが使用するユーザ端末30、ユーザが装着するウェアラブルデバイス40、ユーザが装着する共有用出力デバイス50-1,50-2を有する。
【0014】
レコメンドサーバ10が接続する依頼元サーバ20は、推奨する行動一覧を送信して、推奨する行動へのユーザの誘導をレコメンドサーバ10に依頼する。依頼元サーバ20を有する依頼元は、例えば、各省庁(環境省、厚生労働省、文部科学省、農林水産省、国土交通省等)のほか、自治体、地域コミュニティ、業者、医療機関、学校、などの団体、または、個人である。
【0015】
レコメンドサーバ10は、依頼元サーバ20から送信された行動一覧を基に、依頼元が推奨する行動一覧のうち、ユーザの感情及びユーザの価値観に沿うとともにユーザが良好な状態になることが見込まれる行為をユーザ端末30にレコメンドする。これとともに、レコメンドサーバ10は、レコメンドした行為を経験した人(ユーザ本人、または、ユーザとは異なる他の人)の感覚データをユーザに共有させることで、依頼元が推奨する活動や行動にユーザを誘導しながら、この行為の実施により、ユーザのWell-beingの向上を図る。
【0016】
ユーザ端末30は、例えば、スマートフォン、タブレット等のスマートデバイスであり、位置検出機能等を有する。ユーザ端末30は、ウェアラブルデバイス40、共有用出力デバイス50-1,50-2の制御を行う。ユーザ端末30は、ネットワークを介して、レコメンドサーバ10と通信を行う。
【0017】
ウェアラブルデバイス40は、各種センサを有し、無線通信を用いて、ユーザ端末30に各種センサのセンサ情報を送信する。ウェアラブルデバイス40は、例えば、バイタルセンサ及び加速度センサを有し、ウェアラブルデバイス40を装着したユーザの、心拍数、心拍変動、血圧、心電位、体温、呼吸数等のデータや、動き、歩数等を計測する。例えば、ウェアラブルデバイス40は、腕時計型のものやリング型のものがある。
【0018】
共有用出力デバイス50-1,50-2は、共有用出力デバイス50-1,50-2を装着したユーザに、レコメンドサーバ10がレコメンドした行為を経験した人の感覚データを共有させるためのデバイスである。図1では、一例として、筋肉に電気刺激を与えて収縮させる触覚共有と、VR(Virtual Reality)などで映像を映し、スピーカーにて音声を出力することで視覚や聴覚も共有する場合を例に説明する。共有用出力デバイス50-1,50-2は、ユーザ端末30の制御の基、ユーザに触覚、視覚、聴覚等の感覚データを共有させる処理を行う。
【0019】
共有用出力デバイス50-1(電気刺激装置)は、筋肉への電気刺激を実行し、筋肉に電気刺激を与えて収縮させることで、装着者に触覚を与える。例えば、共有用出力デバイス50-1は、装着したユーザの筋変位データを取得する筋変位センシング装置を兼ねる。共有用出力デバイス50-2は、例えば、仮想的なコンテンツを表示可能であるARグラスである。
【0020】
共有用出力デバイス50-2は、例えば、眼鏡型で、ユーザの頭部に装着されるVRグラスである。共有用出力デバイス50-2は、撮像機能、音声入出力機能、通信機能、表示機能を有するとともに、実空間を撮像し、撮像した実空間の画像を、レンズ部分に相当するディスプレイに表示させる。なお、共有用出力デバイス50-2が行う撮像、音声入出力、画像表示は、ユーザ端末30が実行することも可能である。以降、共有用出力デバイス50-1,50-2を総称して、共有用出力デバイス50と記載する。
【0021】
[ユーザ端末]
次に、ユーザ端末30について説明する。図2は、図1に示すユーザ端末30の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、ユーザ端末30は、通信部31、入出力部32、撮像部33、記憶部34及び制御部35を有する。
【0022】
通信部31は、各種情報に関する通信を制御する。例えば、通信部31は、ウェアラブルデバイス40、共有用出力デバイス50との間で行われる通信、及び、レコメンドサーバ10との間で行われる通信を制御する。
【0023】
入出力部32は、各種情報を出力し、ユーザからの入力を受信する。入出力部32は、例えば、液晶画面、タッチパネル、スピーカー、マイクロフォン等を含む。入出力部32は、レコメンドサーバ10から送信されたレコメンド情報を画像及び/または音声により出力する。レコメンド情報は、レコメンドされた行為と、ユーザがこの行為を実施した際に行為実施へのモチベーション向上が見込まれる感覚共有コンテンツとを含む。感覚共有コンテンツは、共有用出力デバイス50、ユーザ端末30によってユーザに共有させる触覚、視覚、聴覚用のコンテンツであり、筋肉への電気刺激、画像、音声等である。
【0024】
撮像部33は、撮像モジュールによって構成され、ユーザの操作またはレコメンドアプリ制御部351(後述)の制御にしたがって、画像を撮像する。撮像部33は、レコメンドアプリ制御部351の制御にしたがって、対話中のユーザの顔を撮像する。
【0025】
記憶部34は、制御部35による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納する。例えば、記憶部34は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置などである。記憶部34は、位置検出部352(後述)が検出した位置データ341及びウェアラブルデバイス40から送信された生体情報342を記憶する。
【0026】
制御部35は、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。ここで、制御部35は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路である。制御部35は、レコメンドアプリ制御部351、位置検出部352、生体情報取得部353及び感覚データ出力制御部354を有する。
【0027】
レコメンドアプリ制御部351は、ユーザ端末30にインストールされた、行為レコメンド用のアプリケーションである。レコメンドアプリ制御部351は、レコメンドサーバ10との通信を基に、行為レコメンドのために行われる対話処理、ユーザ端末30によるレコメンド情報の出力、感覚データ出力や共有制御等の各種処理、ユーザによる行為実施履歴出力処理等を制御する。対話処理は、後述するように、アバター、合成された人物画像、チャット画面等を介して、音声、動画、テキストといったデータを、レコメンドサーバ10との間で送受信することによって実行される。また、レコメンドアプリ制御部351は、ユーザ端末30の位置データや、ウェアラブルデバイス40が検出した生体情報を、レコメンドサーバ10に送信する。
【0028】
位置検出部352は、GPS(Global Positioning System)等の測位システムを用いて、ユーザ端末30の現在位置を検出し、検出した位置を示す位置データを出力する。
【0029】
生体情報取得部353は、ウェアラブルデバイス40から、ウェアラブルデバイス40が検出した生体情報を収集する。
【0030】
感覚データ出力制御部354は、共有用出力デバイス50または入出力部32を制御し、触覚、視覚、聴覚等の感覚データの共有処理を実行する。これによって、共有用出力デバイス50を装着したユーザは、レコメンドサーバ10がレコメンドした行為を経験した人の触覚、視覚、聴覚等の感覚データを共有できる。
【0031】
[レコメンドサーバ]
図3は、図1に示すレコメンドサーバ10の構成の一例を示すブロック図である。レコメンドサーバ10は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM、CPU等を含むコンピュータ等に所定のプログラムが読み込まれて、CPUが所定のプログラムを実行することで実現されるサーバ装置である。また、レコメンドサーバ10は、ネットワーク等を介して接続された他の装置との間で、各種情報を送受信する通信インタフェースを有する。
【0032】
レコメンドサーバ10は、コミュニケーションAI(Artificial Intelligence)部11(コミュニケーション部)、感情・価値観推定部12(推定部)、感情・価値観変動ポイント推測部13(推測部)、レコメンド部14、感覚共有部15(共有制御部)、自己認識情報生成部16、投稿環境提供部17、チャット環境提供部18を有する。
【0033】
コミュニケーションAI部11は、例えば、訓練済みの対話モデル(機械学習モデル)を用いて、ユーザ端末30を介して、ユーザとの対話を行う。コミュニケーションAI部11は、アバター、合成された人物画像、チャット画面を介して、ユーザとの間の対話を行う。対話は、音声、身振り手振り動画、テキストのユーザ端末30からの出力、これに応じたユーザの音声、身振り手振り動画、テキストのユーザ端末30を介した受信の繰り返しによって行われる。ユーザが手話を用いて自身の意思を表現する場合には、ユーザの手、指、顔等を撮像した動画を解析することで、ユーザの意思を取得する。
【0034】
コミュニケーションAI部11は、ユーザ端末30から送信されたデータであって、ユーザが発した音声データ、ユーザによってユーザ端末30に入力された文字データ、及び/または、ユーザの顔を撮像した画像(以降、顔画像とする)を取得する。コミュニケーションAI部11は、ユーザに対し、レコメンドされた行為の実施前、実施中、及び/または実施後において、ユーザをフォローする対話を継続して行う。
【0035】
コミュニケーションAI部11は、ユーザが発した音声データ、ユーザによってユーザ端末30に入力された文字データ、ユーザの行為結果ログ、ユーザの顔画像を入力とする。コミュニケーションAI部11は、会話内容の生成を行う。例えば、会話内容として、自然に共感を促す内容がある。また、会話内容として、レコメンドされた行為の実施前、実施中、及び/または実施後をフォローする内容がある。また、会話内容として、ユーザの感情及び/または価値観を示す内容や、レコメンドされた行為の実施結果に基づくユーザの感情・価値観の定義の更新を示す内容等がある。
【0036】
感情・価値観推定部12は、コミュニケーションAI部11が取得したユーザの音声データ、ユーザから入力された文字データ、ユーザの顔画像、及び/または、ユーザの生体情報を基に、ユーザの感情及びユーザの価値観を推定する。例えば、感情・価値観推定部12は、コミュニケーションAI部11とユーザとの対話によって得られたユーザの音声データ、ユーザから入力された文字データ、ユーザの顔画像、及び/または、ユーザの生体情報を基に、レコメンドされた行為の実施前、実施中、及び/または実施後におけるユーザの感情及びユーザの価値観を推定する。感情・価値観推定部12は、ユーザの顔画像や生体情報から、ユーザの表情の種別を分類し、表情の種別を基にユーザの感情を推定する。感情価値観推定部12は、感情の種別と対話部分とを照合して、ユーザの価値観を推定する。
【0037】
感情・価値観推定部12は、感情・価値観マスタを用いて、ユーザの感情及びユーザの価値観を推定してもよい。この場合、感情・価値観推定部12は、ユーザの音声データ及び/またはユーザから入力された文字データ、感情・価値観マスタを入力とし、ユーザの現在の感情の推定結果と、現在の価値観の分類結果とを出力する。図4は、感情・価値観マスタの一例を示す図である。図4に示す区分を用いて、感情・価値観マスタの作成を行う(参考文献1)。
参考文献1:渡邊淳司, "わたしたちのウェルビーイングカード", [令和5年9月12日検索],インターネット<URL:https://socialwellbeing.ilab.ntt.co.jp/tool_measure_wellbeingcard.html>
【0038】
例えば、感情マスタとして、人間感情を、ポジティブまたはネガティブと、その強度と、に分類するための音声波形パターン及び発話文言が事前に登録される。そして、感情マスタと関連させ、音声波形パターン・発話文言から喜怒哀楽を推定するための特徴量情報(音声波形パターン・発話文言など)を事前に登録する。感情・価値観推定部12は、ユーザの音声データ及び/またはユーザから入力された文字データを、特徴量に変換し、登録された特徴量情報と比較することで、ユーザの感情が、ポジティブまたはネガティブであるか、及び、その強度を推定する。
【0039】
そして、価値観マスタとして、図4に示す一覧のように、価値観区分に紐づく単語を事前に登録する。感情・価値観推定部12は、図4に示す価値観区分を基に、ユーザの音声データ及び/またはユーザから入力された文字データを単語分解し、各単語のうち価値観区分に紐づく単語が出現した際に、この単語が紐づく価値観区分を分類する。
【0040】
例えば、「I(パターンA)」は自分個人の要因、「WE(パターンB)」は特定の他者との関係性の要因、「SOCIETY(パターンC)」はより広がった不特定多数の他者を含む社会との関係性の要因、「UNIVERSE(パターンD)」はそれらを超越したあらゆるものを含む視座をもつ要因とした価値観区分である。感情・価値観推定部12は、ユーザの音声データ及び/またはユーザから入力された文字データに含まれる単語が、これらの価値観区分のいずれにより多く該当するかを基に、ユーザの現在の価値観を分類する。なお、感情・価値観推定部12は、ユーザ端末30から送信された生体情報も用いて、ユーザの感情及びユーザの価値観を推定してもよい。
【0041】
感情・価値観変動ポイント推測部13は、感情・価値観推定部12によって推定されたユーザの感情及びユーザの価値観を基に、行動を推定する。推定される行動は、ユーザの感情及びユーザの価値観に沿うとともにユーザが良好な状態になることが見込まれる行動である。感情・価値観変動ポイント推測部13は、ユーザの感情、価値観にフィットした行動を推定する。
【0042】
図5は、感情・価値観変動ポイント推測部13が参照する行動一覧の一例を示す図である。図5には、推奨したい行動と、感情及び価値観パターンとが対応付けられている。このように、行動一覧の各行動は、ユーザそれぞれのWell-Being向上に資する種類別にタグが付与されている。
【0043】
感情・価値観変動ポイント推測部13は、図5の行動一覧を参照し、ユーザの感情及び価値観に合致する行動を抽出する。ユーザの感情が「ポジティブ」であり、価値観が「パターンC」である場合、感情・価値観変動ポイント推測部13は、「植物駆除」、「山間部の活動」、「健康チェック」を行動として推定する。
【0044】
または、感情・価値観変動ポイント推測部13は、ユーザの感情及びユーザの価値観が入力されると、ユーザが、身体的、精神的、社会的に良好な状態になることが見込まれる行動を出力する、訓練済みの機械学習モデルを用いて、行動を推定する。例えば、訓練済みの機械学習モデルは、「体を動かすとwell-Beingが向上しやすいため、身体を動かす行動」を行動として推定する。
【0045】
レコメンド部14は、依頼元が推奨する行動一覧のうち、行動に対応する行為と、ユーザが、この行為を実施した際に行動実施へのモチベーション向上が見込まれる感覚共有コンテンツとを含むレコメンド情報を作成する。そして、レコメンド部14は、レコメンド情報をユーザが使用するユーザ端末30に送信し、出力させる。レコメンド部14がレコメンドする行為は、依頼元が推奨する行動であって、ユーザの感情及びユーザの価値観に沿いながら、well-being向上に資するユーザの行動である。また、レコメンド部14は、ユーザが柔軟に選択できるように、複数の行為をレコメンドしてもよい。
【0046】
図6図8は、依頼元が推奨する行動一覧の一例を示す図である。例えば、図6に示すように、依頼元が省庁Kである場合、例えば、河川の外来種植物駆除、家庭ごみの削減等である。図7に示すように、依頼元が省庁Lである場合、例えば、ウォーキング、ストレッチ、ヨガ等である。図8に示すように、依頼元が省庁Nである場合、例えば、資格取得講座受講等である。各行動一覧は、依頼元の依頼元サーバ20から送信され、行動DB141に格納される。
【0047】
レコメンド部14は、ユーザの位置情報、ユーザのスケジュール、気象情報、交通情報等も考慮して、レコメンドする行為、感覚共有コンテンツ、レコメンドする行為の実施タイミング、及び、感覚共有タイミングを推定する。
【0048】
レコメンド部14は、例えば、感情・価値観変動ポイント推測部13によって推定されたユーザの行動が「食物駆除」、「山間部の活動」、「健康チェック」であり、晴天時に、ユーザが河川の徒歩圏内にいる場合、「河川の外来種植物駆除」をレコメンドする行為として推定する。そして、河川への経路上で、共有用出力デバイス50のレンタルができる場合には、レコメンド部14は、触覚、視覚、聴覚を感覚共有コンテンツとして推定する。感覚共有コンテンツは、共有用出力デバイス50により出力されるほか、感覚共有コンテンツが視覚、聴覚の場合には、ユーザ端末30からの出力も可能である。
【0049】
レコメンド部14は、所定のタイミングで、レコメンドした行為の継続的な実施をレコメンドするレコメンド情報をユーザ端末30に送信することにより、ユーザによる行為の習慣化を支援する。
【0050】
また、レコメンド部14は、ユーザが行為を所定回数及び/または所定期間実施した場合、及び/または、ユーザの感情及び前記ユーザの価値観が変動した場合、行為とは異なる他の行為、及び、他の行為に対応する感覚共有コンテンツとを含むレコメンド情報をユーザ端末30に送信する。レコメンド部14は、ユーザが行為に飽きた場合には、他の行為をレコメンドして、Well-being向上の継続を図る。
【0051】
感覚共有部15は、行為を経験したユーザまたはユーザとは異なる人の感覚データ(センサデータ)に基づいた情報を、ユーザ端末30を介して、ユーザが使用するデバイスから出力させる。感覚共有部15は、ユーザ自身の行為実施時の感覚データ、或いは、ユーザと同じ属性であって行為に該当する感覚データを用いる。
【0052】
感覚共有部15は、ユーザが装着した共有用出力デバイス50-1によるユーザの筋肉への電気刺激を実行することによって、行為の実施時の感覚(例えば、触覚)をユーザに共有させる。及び/または、感覚共有部15は、ユーザが使用するデバイス(共有用出力デバイス50-2、ユーザ端末30)による音声、テキスト及び/または画像の出力によって、行為を実施時に感じた感覚(例えば、聴覚、視覚)をユーザに共有させる。
【0053】
感覚共有部15は、感覚共有コンテンツ一覧、行為実施時におけるユーザまたはユーザとは異なる人の感覚データを入力とする。感覚共有部15は、例えば、各行為を実行した多数の人の感覚データ(センサデータ)を予め計測しておき、行為及び属性に対応させて感覚共有用DB151に格納する。
【0054】
図9は、感覚共有用DB151に格納されるデータのデータ構成を示す図である。図9に示すように、感覚共有用DB151には、各行為の識別情報(名称)、その行為を実施した人の属性(年代、性別等)、行為実施時に取得した時系列の感覚データ、及び、感覚データ共有に適したコンテンツの識別情報が対応付けられて、格納される。感覚データは、行為を実施した人が装着した筋変位センシング装置を介して取得された筋変位データ、行為を実施した人が見た風景を撮像した画像データ、行為を実施した人が聞いた音声データ(他の人またはアバターから掛けられた音声を含む)或いはそのテキストデータ等がある。
【0055】
感覚共有部15は、ユーザの指示に沿って事前に用意した感覚共有コンテンツを実行する。感覚共有部15は、行為の実施時における感覚データを基に、行為実施時におけるユーザの感覚ハイライトを生成し、出力する。感覚ハイライトは、体験によって心地よく感じる状態に近づくための外的刺激である。外的刺激は、筋肉への電気刺激、音声、画像等である。感覚データの出力デバイスは、例えば、レコメンド部14によってレコメンドされた共有コンテンツのうち、ユーザが選択したコンテンツを出力可能であるデバイスである。
【0056】
感覚共有のタイミングは、例えば、レコメンド部14によってレコメンドされたタイミングのうち、ユーザが選択したタイミングである。例えば、感覚共有部15は、行為を経験した他の人の感覚を、この行為を実施する前のユーザに共有させる。これによって、ユーザは、これから実施する行為を疑似的に体験できる。したがって、ユーザは、どの程度、自身が良好な状態になることが見込まれるかを確認することができ、行為の実施を前向きに検討することができる。
【0057】
また、感覚共有部15は、行為を経験したユーザ自身の感覚を、行為を実施した後のユーザに共有させる。これによって、ユーザは、行為によってどの程度自身が良好な状態になるかを振り返ることができ、行為を継続するモチベーションを得ることができる。
【0058】
また、感覚共有部15は、行為を経験した他の人の感覚を、この行為を実施中のユーザに共有させる。例えば、感覚共有部15は、これによって、行為を経験した他の人の感覚を共有しながら行為を実施するため、行為を円滑に実施できる。
【0059】
感情・価値観推定部12による、ユーザの感情及びユーザの価値観の推定結果は、ユーザ間の対話が継続されることによって、ユーザによる行為の実施前、実施中、及び、実施後にわたって蓄積される。
【0060】
自己認識情報生成部16は、蓄積された、ユーザによる行為の実施前、実施中、及び/または実施後におけるユーザの感情及びユーザの価値観を基に、ユーザの感情及びユーザの価値観の変動を示す時系列データを生成する。例えば、自己認識情報生成部16は、ユーザの価値観が変動した場合、行為の実施開始から所定期間経過時、或いは、行為の実施回数が所定回数に達した場合等のタイミングにおいて、時系列データを生成する。
【0061】
自己認識情報生成部16は、ユーザの感情及びユーザの価値観の変動を示す時系列データを、ユーザ端末30に送信し、出力させる。自己認識情報生成部16は、時系列データとして、行為実施タイミングを明示した、ユーザの感情及びユーザの価値観の変動を示すサマライズ情報を生成するほか、感情及びユーザの価値観の変動を示すショートムービーを生成する。
【0062】
ユーザは、行為実施のためのイベント参加履歴や行為の履歴も参照しながら、ユーザの感情及びユーザの価値観の変動を示す時系列データを確認できる。これによって、ユーザは、行為の実施を踏まえて、自分の感情や価値観がどのように変化したかを把握することができる。そして、ユーザは、行為により日々のwell-beingが向上したことを実感することができる。
【0063】
投稿環境提供部17は、各依頼元と、ユーザとの間を繋ぐ投稿環境をネットワーク上に提供する。例えば、投稿環境提供部17は、依頼元からの困りごとやお願い事項が投稿されると、掲示板形式で困りごとやお願い事項を掲示する。
【0064】
図10は、掲示板のメニュー画面の一例を示す図である。図10のメニュー画面M1では、例えば、サークルEの利用者内で、困りごとやお願い事項が投稿されると、困りごとやお願い事項が一覧表示される。ユーザは、メニュー画面M1内の各投稿を検索することや、各投稿の詳細を参照することができる。ユーザ自身が実施したい行動がある場合には、メニュー画面M1内の該当する投稿欄を選択して応募することができる。掲示された困りごとやお願い事項は、ユーザからの応募、ユーザによる行為の実施によって解消される。
【0065】
投稿環境提供部17は、依頼元やユーザが使用する端末装置に、困りごとやお願い事項の投稿掲示板を表示させるほか、ユーザからの応募結果も表示する。また、困りごとやお願い事項の実施日時が近づくと、ユーザの端末装置にリマインドを出力させる。
【0066】
チャット環境提供部18は、依頼元とユーザとの間でのチャットが可能となるように、チャット環境を提供する。チャット環境提供部18は、ユーザ端末30や依頼元の端末から文字データ、会話用の定型文が入力されると、チャット環境にて表示する。
【0067】
[レコメンド処理]
次に、実施の形態に係るレコメンドシステム100のレコメンド処理について説明する。図11は、実施の形態に係るレコメンド処理の処理手順を示すシーケンス図である。
【0068】
ユーザ端末30において、レコメンドアプリが起動され(ステップS1)、ユーザ端末30からレコメンドサーバ10にログインが行われる(ステップS2)。続いて、ユーザ端末30とレコメンドサーバ10との間の通信を介して、ユーザとレコメンドサーバ10との対話が実行される(ステップS3)。
【0069】
レコメンドサーバ10は、ステップS3において、ユーザが発した音声データ、ユーザによってユーザ端末30に入力された文字データ、及び/または、ユーザの顔画像を取得する(ステップS6)。なお、ユーザ端末30は、対話の間にウェアラブルデバイス40が取得した生体情報をレコメンドサーバ10に送信してもよい(ステップS4,S5)。ユーザ端末30は、ユーザ端末30の位置データをレコメンドサーバ10に送信してもよい。
【0070】
レコメンドサーバ10は、ユーザが発した音声データ、ユーザによってユーザ端末30に入力された文字データ、ユーザの顔画像、及び/または、対話中のユーザの生体情報を基に、ユーザの感情及びユーザの価値観を推定する(ステップS7)。レコメンドサーバ10は、ユーザ端末30から送信された生体情報も用いて、ユーザの感情及びユーザの価値観を推定してもよい。
【0071】
レコメンドサーバ10へのログイン中、ユーザへの行為フォローの対話を継続しながら、レコメンドサーバ10及びユーザ端末30がステップS3~ステップS7の処理を継続して実行する。これによって、レコメンドサーバ10は、ユーザの感情及びユーザの価値観に関するデータを蓄積していく。
【0072】
レコメンドサーバ10は、ステップS7において推定されたユーザの感情及びユーザの価値観を基に、行動を推測する(ステップS8)。
【0073】
レコメンドサーバ10は、依頼元が推奨する行動一覧のうち、行動に対応する行為と、ユーザが行為を実施した際に行動実施へのモチベーション向上が見込まれる感覚共有コンテンツとを含むレコメンド情報を作成する(ステップS9)。
【0074】
レコメンドサーバ10は、レコメンド情報をユーザ端末30に送信し(ステップS10)、ユーザ端末30を介して、行為と感覚共有コンテンツとをレコメンドする(ステップS11)。
【0075】
ユーザによるユーザ端末30の操作によって、レコメンドした行為と感覚共有コンテンツとが選択されると(ステップS12)、ユーザ端末30の操作から、ステップS12の選択結果がレコメンドサーバに送信される(ステップS13)。
【0076】
例えば、レコメンドサーバ10は、ユーザの行為に対するモチベーション向上のために、ユーザに、行為実施前に、行為実施時の感覚データを共有させる処理を行う。この場合、レコメンドサーバ10は、感覚共有用DB151に格納された感覚データの中から、同じ行為を経験した人の他の人の感覚データを参照し(ステップS14)、感覚ハイライトを生成する(ステップS15)。レコメンドサーバ10は、ユーザ端末30に感覚共有制御情報を送信して(ステップS16)、ユーザ端末30に、共有用出力デバイス50による感覚データの出力処理を実行させる(ステップS17)。
【0077】
ユーザ端末30は、ユーザの操作により行為の実施開始の入力を受け付けると(ステップS18)、共有用出力デバイス50を制御し、共有用出力デバイス50を装着したユーザの筋変位データ等の感覚データを取得し、レコメンドサーバ10に送信する(ステップS19,S20)。レコメンドサーバ10は、ユーザ端末30から送信された、ユーザの感覚データに、ユーザの識別情報及びユーザが実施した行為の識別情報を対応付けて、感覚共有用DB151に格納する。
【0078】
例えば、レコメンドサーバ10は、ユーザの行為に対する振り返りのために、ユーザに、行為実施時における感覚データを共有させる処理を行う。この場合、レコメンドサーバ10は、行為を経験したユーザ自身の感覚データを基に感覚ハイライトを生成する(ステップS21)。そして、レコメンドサーバ10は、ユーザ端末30に感覚共有制御情報を送信して(ステップS22)、ユーザ端末30に、共有用出力デバイス50による感覚データの出力処理を実行させる(ステップS23)。
【0079】
レコメンドサーバ10は、所定のタイミングにおいて、これまで蓄積された、ユーザによる行為の実施前、実施中、及び/または実施後におけるユーザの感情及びユーザの価値観を取得する(ステップS24)。レコメンドサーバ10は、ステップS24において取得したデータを基に、ユーザの感情及びユーザの価値観の変動を示す時系列データを生成する(ステップS25)。そして、レコメンドサーバ10は、ユーザの感情及びユーザの価値観の変動を示す時系列データを、ユーザ端末30に送信し(ステップS26)、出力させる(ステップS27)。
【0080】
[実施の形態の効果]
図12は、図1に示すレコメンドシステム100によるユーザのWell-beingの向上化を説明する図である。
【0081】
例えば、ユーザが、日常に漠然とした不満を抱えている状態である場合を例とする(図12の(A))。ユーザ端末30は、ユーザとコミュニケーションAI部11との対話により、初回挨拶のユーザの音声データ、テキストデータ、及び/または、ユーザの顔画像を取得し、レコメンドサーバ10へ送信する(図12の(1))。感情・価値観推定部12は、ユーザの音声データ、ユーザから入力された文字データ、及び/または、ユーザの顔画像を基に、ユーザの感情及びユーザの価値観を推定する。コミュニケーションAI部11は、アバター等による自然な会話及び動作を行うことで、ユーザとの対話を継続し、ユーザの感情及びユーザの価値観の推定結果を蓄積していく。
【0082】
そして、レコメンドサーバ10は、ユーザを依頼元が推奨する活動や行動に誘導しながら、ユーザによる行為の実施を習慣化させる(図12の(B))。
【0083】
具体的には、レコメンドサーバ10は、コミュニケーションAI部11とユーザとの間の対話により、日次挨拶のユーザの音声データ、テキストデータ、ユーザの顔画像、及び/または、ユーザの生体情報を取得し、ユーザの感情及びユーザの価値観の推定を継続する(図12の(2))。レコメンド部14は、依頼元が推奨する行動一覧のうち、環境保全活動と、感覚共有コンテンツとをユーザにレコメンドする。環境保全活動は、ユーザの感情及びユーザの価値観に基づいて推定された行動に対応する行為に該当する。
【0084】
この際、レコメンドシステム100では、環境保全活動時における他の人の感覚データを、共有用出力デバイス50を介して、ユーザに共有させる(図12の(3))。これによって、ユーザは、環境保全活動への行動モチベーションが向上し、環境保全活動に前向きに取り組むことができる。
【0085】
環境保全活動実施後、レコメンドサーバ10は、コミュニケーションAI部11による行動をフォローする自然な会話や動作によるユーザの音声データ、テキストデータ、及び/または、ユーザの顔画像の取得、ユーザの感情及びユーザの価値観の推定を継続する(図12の(4))。
【0086】
さらに、レコメンドサーバ10は、環境保全活動時におけるユーザ自身の感覚データを、共有用出力デバイス50を介して、ユーザに共有させる(図12の(5))。これによって、ユーザは、環境保全活動によって、どの程度、自身が良好な状態になったかを振り返ることができ、以降における環境保全活動を継続するモチベーションを得ることができる。
【0087】
レコメンドサーバ10は、図12の(2)~(5)のループにより、ユーザの行動(環境保全活動)を習慣化させる。言い換えると、レコメンドシステム100は、ユーザの行為を、依頼元が推奨する活動や行動に誘導しながら、この行為の実施により、ユーザの日々のWell-beingの向上を図ることができる(図12の(C))。このように、レコメンドシステム100は、ユーザに大きな負担をかけず、自然に生活が心地よくなった、とユーザに感じさせることができる。
【0088】
したがって、レコメンドシステム100によれば、ユーザの行為を、依頼元が推奨する活動や行動に誘導しながら、この行為の実施により、ユーザのWell-beingの向上を図ることができる。
【0089】
また、ユーザが環境保全活動に飽きた場合には、レコメンド部14は、他の行為をレコメンドし、更なる心地よさに向けた別の社会行動を探索できるようにしている(図12の(6))。この際、レコメンド部14は、環境保全活動は継続してもらいつつ、他テーマに対しても行為をレコメンドする(図12の(7))。このため、レコメンドシステム100によれば、ユーザのWell-beingの向上が継続するように、依頼元が推奨する他の活動や行動に誘導することも可能になる。
【0090】
例えば、依頼元が環境省の場合には、レコメンシステム100は、環境省で推奨している環境保全活動(家庭ごみの削減や地域の河川・山の保全活動など)の行動一覧から、ユーザの感情・価値観に沿い、well-being向上に資する行為をレコメンドする。家庭ごみの削減が習慣化した際は、次に、山の保全活動をレコメンドするなど、複数の行為のレコメンドを想定する。
【0091】
また、依頼元が厚生労働省である場合には、レコメンドシステム100は、厚生労働省で推奨している予防医療(生活習慣の改善や定期的な健康診断など)の行動一覧から、ユーザの感情・価値観に沿い、well-being向上に資する行為をレコメンドする。適度な食生活が習慣化した際は週1回の運動をレコメンドするなど、複数の行為のレコメンドを想定する。
【0092】
また、依頼元が文部科学省の場合には、レコメンドシステム100は、文部科学省が推奨しているリスキリング(学習支援や就職・転職支援など)の行動一覧から、ユーザの感情・価値観に沿い、well-being向上に資する行為をレコメンドする。一つのスキルを習得した後に別のスキル習得を促すなど、複数の行為のレコメンドを想定する。
【0093】
[実施の形態のシステム構成について]
レコメンドシステム100の各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、レコメンドシステム100の各装置の機能の分散及び統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散または統合して構成することができる。
【0094】
また、レコメンドシステム100の各装置においておこなわれる各処理は、全部または任意の一部が、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、及び、CPU、GPUにより解析実行されるプログラムにて実現されてもよい。また、レコメンドシステム100の各装置において行われる各処理は、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されてもよい。
【0095】
また、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともできる。もしくは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上述及び図示の処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて適宜変更することができる。
【0096】
[プログラム]
図13は、プログラムが実行されることにより、レコメンドシステム100の各装置が実現されるコンピュータの一例を示す図である。コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010、CPU1020を有する。また、コンピュータ1000は、ハードディスクドライブインタフェース1030、ディスクドライブインタフェース1040、シリアルポートインタフェース1050、ビデオアダプタ1060、ネットワークインタフェース1070を有する。これらの各部は、バス1080によって接続される。
【0097】
メモリ1010は、ROM1011及びRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、例えばディスプレイ1130に接続される。
【0098】
ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS(Operating System)1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、レコメンドシステム100の各装置の各処理を規定するプログラムは、コンピュータ1000により実行可能なコードが記述されたプログラムモジュール1093として実装される。プログラムモジュール1093は、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。例えば、レコメンドシステム100の各装置における機能構成と同様の処理を実行するためのプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1090に記憶される。なお、ハードディスクドライブ1090は、SSD(Solid State Drive)により代替されてもよい。
【0099】
また、上述した実施の形態の処理で用いられる設定データは、プログラムデータ1094として、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して実行する。
【0100】
なお、プログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限らず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ1100等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶されてもよい。そして、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、他のコンピュータから、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0101】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施の形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0102】
10 レコメンドサーバ
11 コミュニケーションAI部
12 感情・価値観推定部
13 感情・価値観変動ポイント推測部
14 レコメンド部
15 感覚共有部
16 自己認識情報生成部
17 投稿環境提供部
18 チャット環境提供部
20 依頼元サーバ
30 ユーザ端末
31 通信部
32 入出力部
33 撮像部
34 記憶部
35 制御部
40 ウェアラブルデバイス
50,50-1,50-2 共有用出力デバイス
100 レコメンドシステム
141 行動データベース(DB)
151 感覚共有用DB
【要約】
【課題】生活者の行為を、依頼元が推奨する活動や行動に誘導しながら、この行為の実施により、生活者のWell-beingの向上を図る。
【解決手段】レコメンドサーバ10は、ユーザの音声データ、文字データ、ユーザの顔を撮像した画像、及び/または、ユーザの生体情報を基に、ユーザの感情及びユーザの価値観を推定する。レコメンドサーバ10は、ユーザの感情及びユーザの価値観を基に、ユーザの感情及びユーザの価値観に沿うとともにユーザが良好な状態になることが見込まれる行動を推定する。レコメンドサーバ10は、依頼元が推奨する行動一覧のうち、行動に対応する行為と感覚共有コンテンツとを含むレコメンド情報をユーザ端末に送信する。レコメンドサーバ10は、行為を経験したユーザまたはユーザとは異なる人の感覚データに基づいた情報を、行為を実施するユーザが使用するデバイスから出力させる。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13