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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
G06F1/16 312E
G06F1/16 312Q
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023176806
(22)【出願日】2023-10-12
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓太
(72)【発明者】
【氏名】潮田 達也
【審査官】漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-260459(JP,A)
【文献】特開2011-228917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上板、下板および四周を形成する側板とからなる扁平形状の筐体と、
前記筐体内に設けられた基板と、
前記基板に取り付けられて、プラグ挿入開口が前記筐体の側方を指向するレセプタクルコネクタと、
前記筐体の前記側板で前記プラグ挿入開口が臨む箇所から前記下板に亘って形成されたカバー嵌合切欠と、
前記基板に取り付けられたカバーアセンブリと、
を有し、
前記カバーアセンブリは、
前記基板に対して着脱可能なように固定されるブロックと、
前記ブロックに軸支されて回動し、閉状態で前記カバー嵌合切欠を塞ぎ、開状態で前記プラグ挿入開口を露呈させるカバーと、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記カバーは、前記側板の内面に当接して開方向の回動を制限するストッパを有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
前記側板は、前記上板の縁から立設した立壁で形成されており、
前記下板は、側方に向かって前記上板に近づいて端部が前記側板の下端と略接する傾斜板を形成しており、
前記カバーは、閉状態の外観視で前記側板と同一面を形成する側方カバー、および前記傾斜板と同一面を形成する傾斜カバーを有し、
前記レセプタクルコネクタは、前記プラグ挿入開口の周壁を形成するプラグ保持筒体を備え、
前記プラグ保持筒体は、側方の下部に前記傾斜カバーの内面と略一定間隔の隙間を形成するように傾斜した傾斜切欠が形成されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記レセプタクルコネクタに接続されるプラグコネクタの下面は、前記カバーによって下方への変位が制限される
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記上板の内面に中継固定材が固定されており、
前記基板は前記ブロックと前記中継固定材とによって挟持され、
前記基板、前記ブロックおよび前記中継固定材はネジによって共締めされて固定されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記カバーアセンブリは、前記カバーを閉方向に弾性付勢する弾性体を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記レセプタクルコネクタに接続されるプラグコネクタは、前記プラグ挿入開口に挿入されるプラグ、および端部から前記プラグが突出しているハウジングを備え、
前記ハウジングは前記プラグより断面積が大きく該プラグとの間に段差部を形成し、
前記カバーは閉状態で前記段差部と当接しない
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記レセプタクルコネクタは前記プラグ挿入開口における上下方向の略中間部に電極端子を備える舌部を有する
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の側方にレセプタクルコネクタを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型またはタブレット型のパソコンは扁平形状の筐体の側面にコネクタを備えている。特許文献1に示されるように側方に設けられたコネクタを保護するために開閉式のカバーを設けることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平09-330146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなコネクタを保護するカバーはヒンジによって筐体に対して回動動作するようになっており、筐体形状に強く依存する機構となっているため異なる機種間での汎用性に乏しい。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、コネクタの保護カバーが機種間で汎用性に富む電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の態様に係る電子機器は、上板、下板および四周を形成する側板とからなる扁平形状の筐体と、前記筐体内に設けられた基板と、前記基板に取り付けられて、プラグ挿入開口が前記筐体の側方を指向するレセプタクルコネクタと、前記筐体の前記側板で前記プラグ挿入開口が臨む箇所から前記下板に亘って形成されたカバー嵌合切欠と、前記基板に取り付けられたカバーアセンブリと、を有し、前記カバーアセンブリは、前記基板に対して着脱可能なように固定されるブロックと、前記ブロックに軸支されて回動し、閉状態で前記カバー嵌合切欠を塞ぎ、開状態で前記プラグ挿入開口を露呈させるカバーと、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、開状態で前記プラグ挿入開口を露呈させるカバーをブロックとともにアセンブリ形態とすることにより機種ごとの形状に依存することなく機種間で汎用性に富むようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態にかかる電子機器であるノートブック型PCの斜視図である。
図2図2は、側板におけるレセプタクルコネクタとその周辺で、カバーが閉状態を示す一部断面斜視図である。
図3図3は、側板におけるレセプタクルコネクタとその周辺で、カバーが開状態を示す斜視図である。
図4図4は、側板におけるレセプタクルコネクタとその周辺で、プラグコネクタが接続された状態を示す斜視図である。
図5図5は、図2におけるV~V線視による断面図である。
図6図6は、図2におけるVI~VI線視による断面図である。
図7図7は、レセプタクルコネクタおよびその周辺の構成要素の分解斜視図である。
図8図8は、カバーの斜視図である。
図9図9は、ブロックの斜視図である。
図10図10は、カバーアセンブリの斜視図である。
図11図11は、図3におけるXI~XI線視による断面側面図である。
図12図12は、図4におけるXII~XII線視による断面側面図である。
図13図13は、プラグコネクタがやや大きい力で押し下げられた場合におけるレセプタクルコネクタとその周辺部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
図1は、本発明の実施形態にかかる電子機器10であるノートブック型PCの斜視図である。本発明にかかる電子機器は、例えばモバイル型タブレット端末など扁平形状の筐体を有するものであればよい。
【0011】
電子機器10は、筐体12に対して蓋体14がヒンジ16により開閉可能となっており、蓋体14を閉じることによってコンパクトになりモバイル用途に好適である。蓋体14の正面にはその面積の大部分を占める表示装置18、電子デバイス20などが設けられている。筐体12について蓋体14を閉じた状態で表示装置18に対面する側を上、その反対を下とする。後述するレセプタクルコネクタ38の周辺では、筐体12の側方を外側とし、その反対で筐体12の内部を内側とする。ただし電子機器10の使用態様はこれら向きに限定されない。
【0012】
筐体12は、上板22、下板24および四周を形成する側板26とからなる横長矩形の扁平形状である。側板26は、上板22の縁から立設した立壁で形成されている。つまり上板22と側板26とは一体であって浅いバスタブ状になっている。下板24は、外側に向かって上板22に近づいて端部が側板26の下端と略接する傾斜板28(図5参照)を形成している。そのため側板26は筐体12の厚みに対して薄く好適な外観をなしている。側板26は、筐体12に対して、例えば1/2程度の厚みである。傾斜板28は下板24と一体で該下板24の一部と見做されるが、下板24において傾斜板28を除く部分を底板24a(図5参照)とする。
【0013】
筐体12の上板22には奥側にキーボード装置30、手前側にタッチパッド32が設けられている。筐体12の内部には奥側に基板34、手前側にバッテリー36が設けられ、さらに図示しない記憶装置、通信装置、冷却装置などが設けられている。基板34は上板22の内面22a(図5参照)に固定されている。基板34は電子機器10の全体を制御するマザーボードである。上板22は、キーボード装置30、タッチパッド32、基板34などを固定するためにある程度の厚みを有し(図5参照)、かつ側板26が一体構成となっていることで高剛性となっている。上板22は金属材で形成することによって特に高い剛性が確保されるが、条件によっては樹脂材であってもよい。これに対して、下板24は基本的に筐体12の下面を覆っていればよいため、上板22と比較して薄く(図5参照)剛性は低い。
【0014】
基板34の左右幅は筐体12よりやや小さい程度であり、図1における右側端部にはレセプタクルコネクタ38が取り付けられている。レセプタクルコネクタ38は、例えばHDMI(High Definition Multimedia Interface:登録商標)であり、規格化された仕様・形状になっている。レセプタクルコネクタ38は、USB(Universal Serial Bus)などであってもよい。図1の例ではレセプタクルコネクタ38およびカバー40が筐体12の右側にあるが、左側、手前側または奥側にあってもよい。レセプタクルコネクタ38は基板34以外のサブ基板に設けられていてもよい。
【0015】
図2は、側板26におけるレセプタクルコネクタ38とその周辺で、カバー40が閉状態を示す一部断面斜視図である。図3は、側板26におけるレセプタクルコネクタ38とその周辺で、カバー40が開状態を示す斜視図である。図4は、側板26におけるレセプタクルコネクタ38とその周辺で、プラグコネクタ44が接続された状態を示す斜視図である。
【0016】
図2に示すように、レセプタクルコネクタ38は閉状態のカバー40によって一部が覆われている。カバー40は上向きに弾性付勢されており、外力の無い状態では閉状態に維持される。カバー40には切欠40aが形成されている。カバー40は、ブロック48(図10参照)およびコイルバネ50とともにカバーアセンブリ42を構成している。レセプタクルコネクタ38のプラグ挿入開口38aは筐体12の外側を指向しており、切欠40aから一部が露呈しているが少なくとも下部はカバー40によって覆われている。つまりカバー40および該カバー40を構成要素とするカバーアセンブリ42はレセプタクルコネクタ38の保護カバーとなっている。
【0017】
図3に示すように、カバー40は開閉式であって下方にやや下げることにより開状態となってプラグ挿入開口38aが下部まで露呈される。カバー40の開操作は人手により切欠40aを押し下げ、またはプラグコネクタ44を保持した人手よって切欠40aを押し下げるように行えばよい。
【0018】
図4に示すように、カバー40を開状態にすることによってレセプタクルコネクタ38に対してプラグコネクタ44が接続可能となる。
【0019】
図5は、図2におけるV~V線視による断面図である。図6は、図2におけるVI~VI線視による断面図である。ただし、図5図6では図2でカットしている上板22、下板24なども含めて示している。図7は、レセプタクルコネクタ38およびその周辺の構成要素の分解斜視図である。
【0020】
基板34の縁には矩形の切欠34aが形成されている。レセプタクルコネクタ38は一部が切欠34aに嵌りこんだ状態で基板34に取り付けられ、所謂ミッドマウント方式になっているが、切欠34aのない基板34上に取り付ける所謂トップマウント方式で取り付けてもよい。プラグ挿入開口38aは外側を指向する。基板34における切欠34aの近傍には前後方向に並んだ2つのネジ孔34bが形成されている。レセプタクルコネクタ38はプラグ挿入開口38aにおける上下方向の略中間部に舌部38bを有する。舌部38bは上下面に電極端子を備えており外側に向かって突出している。レセプタクルコネクタ38は、プラグ挿入開口38aの周壁を形成するプラグ保持筒体38cを備える。プラグ保持筒体38cは一般に金属材であり、電気的にグランド接続されている。プラグ保持筒体38cは、外側の下部に傾斜カバー58の内面と略一定間隔の隙間を形成するように傾斜した傾斜切欠38dが形成されている。
【0021】
筐体12には側板26でプラグ挿入開口38aが臨む箇所から下板24に亘ってカバー嵌合切欠46が形成されている。カバー嵌合切欠46は側板26に形成される上部切欠46aと、下板24に形成される下部切欠46bとによって構成される。下部切欠46bは傾斜板28から底板24aに亘って形成されているが、傾斜板28の傾斜が緩やかで内外方向に長い場合には傾斜板28の範囲だけに形成されていてもよい。
【0022】
上板22の内面22aにはブロック状の中継固定材52が固定されている。中継固定材52は上板22と別体で内面22aに対して圧入・接着などによって固定されていてもよいし、上板22と一体となっていてもよい。中継固定材52の下面には前後に並んだスタッド52aが設けられている。基板34はブロック48と中継固定材52のスタッド52aとによって挟持される。
【0023】
固定用の2本のネジ54は、それぞれブロック48に形成されたネジ孔48aaを通り、さらに基板34のネジ孔34bを通って中継固定材52のスタッド52aに螺合する。つまり、基板34、ブロック48および中継固定材52はネジ54によって共締めされて固定されている。ネジ54は小さく、例えばM2サイズである。
【0024】
なお、図7では理解を容易にするためにカバー40とブロック48とを分離して示しているが、電子機器10の組み立て時においてカバー40、コイルバネ(弾性体)50およびブロック48はカバーアセンブリ42(図10参照)として予め組み立てられている。
【0025】
図8は、カバー40の斜視図である。カバー40は、閉状態の外観視で側板26と同一面を形成する側方カバー56、傾斜板28と同一面を形成する傾斜カバー58、および底板24aと同一面を形成する下カバー60と、下カバー60の内側縁に沿って形成された回転軸62を有する。側方カバー56と傾斜カバー58との接続部、および傾斜カバー58と下カバー60との接続部はそれぞれ鈍角状になっている。傾斜板28の傾斜が緩やかで内外方向に長い場合には、該傾斜板28に合わせて傾斜カバー58を長くし、下カバー60を省略してもよい。カバー40は、回転軸62がブロック48に軸支されて回動し、閉状態でカバー嵌合切欠46をほぼ塞ぎ、開状態でプラグ挿入開口38aを露呈させる。
【0026】
側方カバー56には上記の切欠40aが形成されている。切欠40aはレセプタクルコネクタ38の下端形状に合わせて前後端において下方に向かって狭まるように略2段階の傾斜40aaを形成しており、その間には前後方向にやや長い切欠縁面40abがある。
【0027】
カバー40は前後端においてそれぞれ側方カバー56の内側面から傾斜カバー58の上面に亘って上方に突出する補強壁64を備えている。側方カバー56と補強壁64の高さは等しくなっている。補強壁64は内外方向に適度な幅を有しており高強度である。
【0028】
各補強壁64には前後方向に互いに離間する向きの突出するストッパ66が設けられている。ストッパ66は補強壁64の内側端で、かつ上端近傍に設けられており、側方カバー56の外側面とはやや離れている。ストッパ66は前後方向視で略矩形であって、上下方向に適度な厚みを有し、内外方向にはさらに厚くなっており高強度である。ストッパ66は、カバー40が開状態にあるときに側板26の内面26a(図11参照)に当接して開方向の変位を制限する。ストッパ66は外側の2つの隅が円弧状になっており、内面26aと接触することによる該内面26aの損傷およびストッパ66の機能損失を防止することができる。ストッパ66の内側の2つの隅は円弧状である必要はなく、本実施例ではC面としている。
【0029】
回転軸62は両端が下カバー60から突出する丸棒形状である。回転軸62の一端62aは他端62bより長く突出しており、この部分にコイルバネ(図7参照)50が設けられる。コイルバネ50の一端50aおよび他端50bはL字形状になっている。下カバー60の上面において一端62aの近傍には前後方向視で山形のバネ係合部68が設けられている。バネ係合部68における前後方向のバネ孔68aにはコイルバネ50の一端50aが係合する。
【0030】
カバー40はアルミニウム材などの金属材で構成されており、しかも図6に示すように、各部が適度な厚みを有していて高強度である。カバー40の各部は下板24より厚く、特に回転軸62に近い下カバー60が厚くなっている。側方カバー56および傾斜カバー58は下カバー60より薄いが、上板22と同程度の厚みを有しており、しかも前後両端が補強壁64で補強されているので十分な強度が担保されている。上記の傾斜切欠38dは、傾斜カバー58の内面と略一定間隔の隙間を形成している。傾斜カバー58は下カバー60と比較して薄く、傾斜切欠38dの範囲を可及的に限定することができる。カバー40は強度条件を満たせば樹脂材、またはインサート成型などによる金属と樹脂との複合材にしてもよい。
【0031】
図9は、ブロック48の斜視図である。図9図7に示すように、ブロック48は前後方向に長い直方体の主部48aと、主部48aの両端から外側に突出する軸支持部48bと、主部48aの一端から前後方向に突出するバネ係合片48cとを有する。上記の2つのネジ孔48aaは主部48aにおいて前後に並んで形成されている。軸支持部48bには外側に開口するU字型の軸溝48baが形成されている。軸溝48baには回転軸62の一端62aおよび他端62bが嵌り込んで軸支される。2つの軸支持部48bの間には下カバー60の内側縁がほぼ隙間なく入り込み、カバー40が前後方向に位置決めされる。カバー40はステンレス材などの金属材で構成されており高強度であるが、強度条件を満たせば樹脂材にしてもよい。
【0032】
図10は、カバーアセンブリ42の斜視図である。上記のとおり、カバーアセンブリ42はカバー40、コイルバネ50およびブロック48によって構成されている。カバー40はブロック48に軸支され、コイルバネ50によって閉方向(図10の円弧矢印方向)に付勢されている。カバー40は弾性付勢でなく、開閉2位置のいずれかにラッチされるような構造でもよい。バネ係合片48cは回転軸62の一端62aの内側近傍に配置される。バネ係合片48cには下に開口するバネ溝48caが形成されている。バネ溝48caにはコイルバネ50の他端50bが係合する。他端50bはL字形状であることからその先端はバネ係合片48cの内側面に当接してコイルバネ50およびカバー40の外側への抜け防止になる。コイルバネ50のコイル部分はやや圧縮されカバー40を前後方向の一方に軽く弾性付勢する。これにより、カバー40は前後方向のがたつきがなくなり安定する。
【0033】
このようなカバーアセンブリ42は、カバー40が上板22、下板24、または側板26に対して軸支されるのではなくブロック48に軸支されて1つのアセンブリ体となっているため、筐体12にはヒンジなどが不要であり、該筐体12の形状に依存することなく多機種に適用可能であって汎用性に富む。
【0034】
ブロック48はネジ54がスタッド52a(図7参照)に螺合することにより基板34と固定されるため、ネジ54を抜けば基板34から取り外すことができる。つまり、カバーアセンブリ42は基板34に対して着脱および交換が可能となっている。
【0035】
カバーアセンブリ42は、電子機器10の組み立て工程において予めアセンブリ体として組み立てられていて実質的に1つの部品として扱うことができ、コイルバネ50の装着や回転軸62の軸支作業が不要であり、基本的にはネジ54の螺着だけで筐体12に装着可能であり、装着が容易となる。
【0036】
図11は、図3におけるXI~XI線視による断面側面図である。上記のとおりカバー40を下方に押し下げることにより開状態となってプラグ挿入開口38aが下部まで露呈される。このとき、図11に示すように、ストッパ66が側板26の内面26aに当接して変位を制限し、過度に開くことを防止する。
【0037】
カバー40がやや大きい力(例えば人が通常操作で発生しうる力)で押し下げられた場合であっても、ストッパ66は内外方向に適度に厚いため変形することはない。ストッパ66による押圧力の一部は側板26の内面26aで受け止められる。また、カバー40が受ける力の一部は回転軸62からブロック48、基板34、および中継固定材52を介して上板22に受け止められる。上板22および側板26はやや厚い金属材で構成されて高強度であるため変形することがない。ただし、基板34が十分に高強度であり、または中継固定材52の近傍に別のスタッドが設けられている場合には中継固定材52を省略してもよい。下板24はカバー40の開操作による力を受けることはなく、上板22、側板26と比較して薄くかつ低強度で足りる。
【0038】
仮想線で示すように、レセプタクルコネクタ38に接続されるプラグコネクタ44は、プラグ挿入開口38aに挿入されるプラグ44a、および端部からプラグ44aが突出しているハウジング44bを備える。ハウジング44bはプラグ44aより断面積が大きく該プラグ44aとの間に段差部44cを形成する。段差部44cは側板26よりやや外側にある。カバー40は、ストッパ66が内面26aに当接した開状態で段差部44cと当接しないようになっている。回転軸62が適度に内側で、かつ上下位置が適切に設定されているためである。
【0039】
カバー40は、ストッパ66が内面26aに当接した完全な開状態においてはプラグ44aの下面との間にわずかに余裕隙間が設けられている。製造のばらつきを考慮し回動制限がされる位置と、プラグコネクタ44が挿入された通常位置とを同じにはしていないためである。つまり、押し下げる外力がなければ、カバー40はコイルバネ50の付勢力によって、図11に示す状態よりも若干上向きに回動して次に示す図12の状態となる。
【0040】
図12は、図4におけるXII~XII線視による断面側面図である。カバー40は上向きに弾性付勢されているため、切欠縁面40abがプラグ44aを下支えする。プラグ保持筒体38cは外側の下部に傾斜切欠38dが形成されていることから上面板より下面板の方が短く、プラグ保持筒体38cに挿入されたプラグ44aは下方に対して不安定になり得るが、切欠縁面40abが下支えしてこれを補完している。切欠縁面40abによる支持点は段差部44cの近傍部で、プラグ保持筒体38cの上面板の外側端部よりさらに外側であり、プラグ44aが図12の反時計方向に傾動することを効果的に防止する。
【0041】
図13は、プラグコネクタ44がやや大きい力(例えば人が通常操作で発生しうる力)で押し下げられた場合におけるレセプタクルコネクタ38とその周辺部の断面図である。プラグコネクタ44は、レセプタクルコネクタ38への挿入時またはその後の電子機器10の使用時にユーザが意図せず押し下げてしまうことがある。これにより、プラグコネクタ44は下向きに変位し、または図13における反時計方向に傾動する力を受ける。
【0042】
そうすると図13に示すように、プラグコネクタ44は下向きに変位するが、プラグ44aを下支えしているカバー40も押し下げられてストッパ66が側板26の内面26aに当接してそれ以上の下方への変位を阻止する。プラグコネクタ44およびプラグ44aの変位量はわずかであり、該プラグ44aの先端に嵌り込んでいる舌部38bにストレスがかかることなく、電極端子の導通状態が維持される。プラグコネクタ44に加わる力が高強度の上板22、および側板26等によって確実に支持されるのはカバー40が押し下げられた場合(図11参照)と同様である。プラグコネクタ44が外力を受けずに下方に変位していない状態(図12参照)において、ストッパ66が内面26aに当接して動作制限をしてもよい。
【0043】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
10 電子機器
12 筐体
22 上板
24 下板
26 側板
28 傾斜板
34 基板
38 レセプタクルコネクタ
38a プラグ挿入開口
38b 舌部
38c プラグ保持筒体
38d 傾斜切欠
40 カバー
40a 切欠
40ab 切欠縁面
42 カバーアセンブリ
44 プラグコネクタ
44a プラグ
44b ハウジング
44c 段差部
46 カバー嵌合切欠
48 ブロック
48b 軸支持部
50 コイルバネ
52 中継固定材
54 ネジ
56 側方カバー
58 傾斜カバー
60 下カバー
62 回転軸
64 補強壁
66 ストッパ
【要約】
【課題】コネクタの保護カバーが機種間で汎用性に富む電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器10は、上板22、下板24および四周を形成する側板26とからなる扁平形状の筐体12と、筐体12内に設けられた基板と34と、基板34に取り付けられて、プラグ挿入開口38aが筐体12の側方を指向するレセプタクルコネクタ38と、側板26でプラグ挿入開口38aが臨む箇所から下板24に亘って形成されたカバー嵌合切欠46と、基板34に取り付けられたカバーアセンブリ42とを有する。カバーアセンブリ42は、基板34に対して着脱可能なように固定されるブロック48と、ブロック48に軸支されて回動し、閉状態でカバー嵌合切欠46を塞ぎ、開状態でプラグ挿入開口38aを露呈させるカバー40とを有する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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図12
図13