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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】加湿システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20240820BHJP
   F24F 3/14 20060101ALI20240820BHJP
   F24F 6/12 20060101ALI20240820BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20240820BHJP
   F24F 7/08 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
F24F6/00 E
F24F3/14
F24F6/12
F24F7/06 Z
F24F7/08 101K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023178421
(22)【出願日】2023-10-16
【審査請求日】2023-10-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅輪 泰久
(72)【発明者】
【氏名】大平 昇
(72)【発明者】
【氏名】伊東 卓也
(72)【発明者】
【氏名】服部 博志
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-036622(JP,A)
【文献】特開2008-206818(JP,A)
【文献】特開2021-038911(JP,A)
【文献】特開2023-012026(JP,A)
【文献】特開2022-190196(JP,A)
【文献】特開2002-357340(JP,A)
【文献】特開平05-312387(JP,A)
【文献】特開2013-053767(JP,A)
【文献】特開昭59-170630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00
F24F 3/14
F24F 6/12
F24F 7/06
F24F 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外から空気を取り込んで室内空間へ供給する給気部と、
前記室内空間から屋外へ空気を排出する排気部と、
水道配管から供給された水を加熱する加熱部と、
前記加熱部が加熱した水を、前記加熱部から、温水を使用する設備と、前記給気部と、へ向けて送る送水部と、
前記送水部が前記給気部へ向けて送った前記水を用いて、前記給気部から前記室内空間へ供給される空気を加湿する加湿部と、
を備え、
前記送水部は、
前記加熱部から送られた温水を消費する前記設備へ向けて、前記加熱部が加熱した水を送り、
前記給気部は、
複数の前記室内空間の各々に分岐する分岐ダクトと、前記分岐ダクトの各々の下流端に設けられ前記室内空間へ開口する給気口と、を有し、複数の前記室内空間の各々へ空気を供給し、
前記加湿部は、
前記給気口の各々の空間内で前記温水を噴霧する
加湿システム。
【請求項2】
前記送水部は、
前記加熱部から前記加湿部へ接続され、前記加熱部から前記加湿部へ水を送る第一管と、
前記第一管から分岐して前記設備に接続され、前記加熱部から前記設備へ水を送る第二管と、
を有している
請求項1に記載の加湿システム。
【請求項3】
前記排気部が前記室内空間から屋外へ排出する空気の相対湿度及び温度を検知する検知部と、
前記検知部の検知した相対湿度及び温度から絶対湿度を算出し、絶対湿度が目標絶対湿度になるように、前記加湿部を制御する制御部と、
を備える請求項1に記載の加湿システム。
【請求項4】
前記排気部が前記室内空間から屋外へ排出する空気の相対湿度を検知する検知部と、
前記検知部の検知した相対湿度が目標相対湿度になるように、前記加湿部を制御する制御部と、
を備える請求項1に記載の加湿システム。
【請求項5】
前記室内空間の相対湿度及び温度を検知する検知部と、
前記検知部の検知した相対湿度及び温度から絶対湿度を算出し、絶対湿度が目標絶対湿度になるように、前記加湿部を制御する制御部と、
を備える請求項1に記載の加湿システム。
【請求項6】
前記室内空間の相対湿度を検知する検知部と、
前記検知部の検知した相対湿度が目標相対湿度になるように、前記加湿部を制御する制御部と、
を備える請求項1に記載の加湿システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、床暖房パネルと、床暖房パネルに温水を供給する熱源機と、床暖房コントローラと、湿度調節器と、を含む床暖房システムであって、床暖房コントローラは、室温センサと、湿度センサと、湿度調節器に対する発停信号送信手段と、を備え、湿度調節器は、床暖房コントローラからの発停信号受信手段を備え、さらに、床暖房コントローラの室温センサ及び湿度センサの検出値に基づいて、温水供給制御及び湿度制御を行うことにより、所定の快適室内環境条件を維持する手段を備えて成ることを特徴とする床暖房システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-32888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、床暖房システムにおいて、床暖房パネルが配置された居室を加湿する技術であり、換気システムにて加湿を実行するものではない。また、特許文献1では、床暖房パネルが配置された居室に設置された加湿器を用いており、加湿器の給水タンクへ水を補充する必要があるため、空気を連続的に且つ大量に加湿する加湿能力に限界がある。
【0005】
本発明は、屋外から取り込んで室内空間へ供給する空気を加湿する加湿能力を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様は、屋外から空気を取り込んで室内空間へ供給する給気部と、前記室内空間から屋外へ空気を排出する排気部と、水道配管から供給された水を加熱する加熱部と、前記加熱部が加熱した水を、前記加熱部から、温水を使用する設備と、前記給気部と、へ向けて送る送水部と、前記送水部が前記給気部へ向けて送った前記水を用いて、前記給気部から前記室内空間へ供給される空気を加湿する加湿部と、を備える。
【0007】
第1態様によれば、給気部が、屋外から空気を取り込んで室内空間へ供給し、排気部が、室内空間から屋外へ空気を排出する。加熱部は、水道配管から供給された水を加熱し、送水部は、加熱部から、温水を使用する設備と、給気部と、へ向けて水を送る。そして、加湿部が、送水部が給気部へ向けて送った水を用いて、給気部から室内空間へ供給される空気を加湿する。
【0008】
このように、第1態様では、水道配管から供給され且つ加熱された水を、送水部が加熱部から給気部へ向けて送り、当該水を用いて給気部から室内空間へ供給される空気を加湿する。このため、室内空間に設置され且つ水を補充する必要がある加湿器を用いて室内空間へ供給される空気を加湿する場合に比べ、当該空気を連続的に且つ大量に加湿できる。したがって、第1態様によれば、屋外から取り込んで室内空間へ供給する空気を加湿する加湿能力を向上させることができる。
【0009】
第2態様は、第1態様において、前記排気部が前記室内空間から屋外へ排出する空気の相対湿度及び温度を検知する検知部と、前記検知部の検知した相対湿度及び温度から絶対湿度を算出し、絶対湿度が目標絶対湿度になるように、前記加湿部を制御する制御部と、を備える。
【0010】
第2態様によれば、制御部が、室内空間から屋外へ排出される空気の絶対湿度が目標絶対湿度になるように、加湿部を制御する。このため、室内空間から屋外へ排出される空気の絶対湿度に応じて、適切な湿度に空気を加湿できる。
【0011】
第3態様は、第1態様において、前記排気部が前記室内空間から屋外へ排出する空気の相対湿度を検知する検知部と、前記検知部の検知した相対湿度が目標相対湿度になるように、前記加湿部を制御する制御部と、を備える。
【0012】
第3態様によれば、制御部が、室内空間から屋外へ排出される空気の相対湿度が目標相対湿度になるように、加湿部を制御する。このため、室内空間から屋外へ排出される空気の相対湿度に応じて、適切な湿度に空気を加湿できる。
【0013】
第4態様は、第1態様において、前記室内空間の相対湿度及び温度を検知する検知部と、前記検知部の検知した相対湿度及び温度から絶対湿度を算出し、絶対湿度が目標絶対湿度になるように、前記加湿部を制御する制御部と、を備える。
【0014】
第4態様によれば、制御部が、室内空間の絶対湿度が目標絶対湿度になるように、加湿部を制御する。このため、室内空間の絶対湿度に応じて、適切な湿度に空気を加湿できる。
【0015】
第5態様は、第1態様において、前記室内空間の相対湿度を検知する検知部と、前記検知部の検知した相対湿度が目標相対湿度になるように、前記加湿部を制御する制御部と、を備える。
【0016】
第5態様によれば、制御部が、室内空間の相対湿度が目標絶対湿度になるように、加湿部を制御する。このため、室内空間の相対湿度に応じて、適切な湿度に空気を加湿できる。
【0017】
第6態様では、第1態様において、前記給気部は、複数の前記室内空間の各々に分岐する分岐ダクトを有し、複数の前記室内空間の各々へ空気を供給し、前記加湿部は、前記分岐ダクトに対する上流において、複数の前記室内空間の各々へ供給される空気を一括で加湿する。
【0018】
第6態様によれば、加湿部が、複数の室内空間の各々に分岐する分岐ダクトに対する上流において、複数の室内空間の各々へ供給される空気を一括で加湿する。このため、複数の室内空間の各々へ供給される空気を個別で加湿する場合に比べ、空気への水分の供給箇所を少なくでき、加湿部の部品点数を低減できる。
【0019】
第7態様では、第1態様において、前記給気部は、複数の前記室内空間の各々に分岐する分岐ダクトを有し、複数の前記室内空間の各々へ空気を供給し、前記加湿部は、前記分岐ダクトにおいて、複数の前記室内空間の各々へ供給される空気を個別で加湿する。
【0020】
第7態様によれば、加湿部が、複数の室内空間の各々に分岐する分岐ダクトにおいて、複数の室内空間の各々へ供給される空気を個別で加湿する。このため、複数の室内空間の各々へ供給される空気を一括で加湿する場合に比べ、複数の室内空間の各々の湿度を個別に調整できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、上記構成としたので、屋外から取り込んで室内空間へ供給する空気を加湿する加湿能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係る加湿システムの一例を示す概略図である。
図2】本実施形態に係る加湿システムの熱交換装置及びその周辺構成の一例を示す概略図である。
図3】本実施形態に係る加湿システムの制御装置の一例を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る加湿システムの制御装置におけるプロセッサの機能構成の一例を示すブロック図である。
図5】変形例に係る加湿システムの一例を示す概略図である。
図6】変形例に係る加湿システムにおける加湿部の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0024】
<加湿システム10>
本実施形態に係る加湿システム10について説明する。図1は、本実施形態に係る加湿システム10の一例を示す概略図である。
【0025】
図1に示される加湿システム10は、屋外90から室内空間92へ空気を供給しつつ、当該空気を加湿するシステムである。この加湿システム10は、図1に示されるように、換気システム12と、給湯システム40と、加湿部70と、制御装置60と、を備えている。以下、加湿システム10の各部について説明する。
【0026】
<換気システム12>
図1に示される換気システム12は、屋外90の空気を取り込んで室内空間92の空気を排出するシステムである。すなわち、換気システム12は、室内空間92の空気を屋外90の空気と入れ替えるシステムである。なお、室内空間92としては、例えば、リビング92A、及び寝室92Bなどがある。
【0027】
ここで、換気システムとしては、第1種換気方式、第2種換気方式、及び第3種換気方式が存在する。第1種換気方式は、給気及び排気の両方について機械換気を行う方式である。第2種換気方式は、給気及び排気のうち、給気について機械換気を行う方式である。第3種換気方式は、給気及び排気のうち、排気について機械換気を行う方式である。
【0028】
換気システム12は、第1種換気方式、第2種換気方式、及び第3種換気方式のうち、一例として、第1種換気方式を採用した換気システムとされる。換気システム12は、具体的には、図1に示されるように、給気部20と、排気部30と、熱交換装置16と、を有している。
【0029】
給気部20は、屋外90から空気を取り込んで室内空間92へ供給する構成部である。給気部20は、具体的には、図1に示されるように、給気ダクト21と、分岐ダクト22と、給気ファン24(図2参照)と、フィルタ25と、を有している。
【0030】
給気ダクト21は、一端が屋外90に接続され、他端が熱交換装置16に接続された管で構成されている。この給気ダクト21は、一端に備えられた取込口21Aを通じて屋外90から空気と取り込み、当該空気を熱交換装置16へ送る。フィルタ25は、給気ダクト21に取り付けられており、屋外90から熱交換装置16へ送られる空気に混入した異物を取り除く。
【0031】
分岐ダクト22は、熱交換装置16から分岐する複数の管で構成され、一端が熱交換装置16に接続され、他端が複数の室内空間92の各々に接続されている。この分岐ダクト22は、熱交換装置16からの空気を、他端に備えられた給気口22Aを通じて複数の室内空間92の各々へ空気を供給する。
【0032】
図2に示される給気ファン24は、熱交換装置16に設けられており、給気ファン24が動作することで、給気ダクト21、及び分岐ダクト22を通じて、屋外90の空気が、室内空間92の各々へ送られる。
【0033】
排気部30は、室内空間92から屋外90へ空気を排出する構成部である。排気部30は、具体的には、図1に示されるように、排気ダクト31と、分岐ダクト32と、排気ファン34(図2参照)と、を有している。
【0034】
分岐ダクト32は、熱交換装置16から分岐する複数の管で構成され、一端が複数の室内空間92の各々に接続され、他端が熱交換装置16に接続されている。この分岐ダクト32は、一端に備えられた取込口32Aを通じて、複数の室内空間97の各々から空気を取り込み、当該空気を熱交換装置16へ送る。室内空間97としては、洗面室97C、及び浴室97Dなどがある。
【0035】
排気ダクト31は、一端が熱交換装置16に接続され、他端が屋外90に接続された管で構成されている。この排気ダクト31は、熱交換装置16からの空気を、他端に備えられた排気口31Aを通じて屋外90へ排出する。
【0036】
図2に示される排気ファン34は、熱交換装置16に設けられており、排気ファン34が動作することで、分岐ダクト32及び排気ダクト31を通じて、室内空間92の各々の空気が屋外90へ排出される。
【0037】
熱交換装置16は、給気部20が室内空間92へ供給する空気と、排気部30が屋外90へ排出する空気との間で、熱交換を行う装置である。熱交換装置16は、具体的には筐体17と、熱交換素子18と、第一給気流路15Aと、第二給気流路15Bと、第一排気流路19Aと、第二排気流路19Bと、を有している。筐体17は、例えば、直方体等の箱状に形成されている。筐体17の内部には、図2に示されるように、熱交換素子18、給気ファン24及び排気ファン34が配置されている。
【0038】
熱交換素子18は、例えば、平板紙上に波板紙(コルゲートシート)を接着して形成された給気用流路18Aと、平板紙上に波板紙(コルゲートシート)を接着して形成された排気用流路18Bとが、互いの流れ方向が直交するように多数積層されて構成されている。
【0039】
第一接続口17Aは、筐体17に1つ(具体的には給気ダクト21と同数)形成され、第一接続口17Aに対して給気ダクト21が接続されている。第一給気流路15Aは、第一接続口17Aから熱交換素子18へ空気を流す流路である。
【0040】
第二接続口17Bは、複数(具体的には分岐ダクト22と同数)形成され、複数の第二接続口17Bの各々に対して、複数の分岐ダクト22の各々が接続されている。第二給気流路15Bは、熱交換素子18から第二接続口17Bへ空気を流す流路である。
【0041】
第三接続口17Cは、複数(具体的には分岐ダクト32と同数)形成され、複数の第三接続口17Cの各々に対して、複数の分岐ダクト32の各々が接続されている。第一排気流路19Aは、第三接続口17Cから熱交換素子18へ空気を流す流路である。
【0042】
第四接続口17Dは、筐体17に1つ(具体的には排気ダクト31と同数)形成され、第四接続口17Dに対して排気ダクト31が接続されている。第二排気流路19Bは、熱交換素子18から第四接続口17Dへ空気を流す流路である。
【0043】
そして、給気ダクト21からの空気が、第一給気流路15A、給気用流路18A及び第二給気流路15Bの順で流れて分岐ダクト22へ送られる。分岐ダクト32からの空気が、第一排気流路19A、排気用流路18B及び第二排気流路19Bの順で流れて排気ダクト31へ送られる。そして、熱交換素子18では、給気用流路18Aを流れる空気と、排気用流路18Bを流れる空気との間で熱交換を行う。これにより、分岐ダクト22を通じて室内空間92へ供給される空気と、室内空間92の空気との間の温度差が小さくなり、室内空間92の温度変化が低減される。
【0044】
<給湯システム40>
図1に示される給湯システム40は、水道配管94から供給された水を加熱し、当該水を、温水を使用する設備(以下、使用設備93という)へ向けて送るシステムである。使用設備93としては、例えば、風呂93A、洗面台93B、及びキッチンなどがある。給湯システム40は、具体的には、加熱部42と、送水部44と、を有している。
【0045】
加熱部42は、水道配管94から供給された水を加熱する構成部である。加熱部42では、例えば、水道配管94から供給された水をパイプ(図示省略)で流しながら、当該パイプをガスの点火によって加熱し、当該水を加熱する。これにより、水道配管94から供給された水が温水となる。
【0046】
なお、加熱部42としては、例えば、水道配管94から供給された水を貯留した状態で加熱するものであってもよい。また、加熱部42としては、電気を利用して水を加熱するものであってもよい。
【0047】
送水部44は、加熱部42が加熱した水(以下、温水という)を、加熱部42から使用設備93と給気部20とへ向けて送る構成部である。この送水部44は、具体的には、加熱部42から使用設備93及び給気部20へ向けて延びる給水管46と、給水管46から使用設備93及び給気部20の各々へ分岐する分岐管48と、を有している。送水部44では、温水を給水管46及び分岐管48を通じて、使用設備93及び給気部20の各々へ送ることで、温水を供給する。給気部20へ分岐する分岐管48Aは、熱交換装置16の筐体17に設けられた加湿部70へ接続されている。
【0048】
なお、給湯システム40としては、使用設備93へ温水を供給する機能に加えて、熱を利用する利用設備(例えば、床暖房、及び浴室乾燥機等)との間で温水を循環させる機能を有していてもよい。
【0049】
<加湿部70>
加湿部70は、送水部44が給気部20へ向けて送った水(具体的には温水)を用いて、給気部20から室内空間92へ供給される空気を加湿する構成部である。この加湿部70は、分岐ダクト22に対する上流において、複数の室内空間92の各々へ供給される空気を一括で加湿する。本実施形態では、加湿部70は、熱交換装置16の筐体17内部に設けられた第二給気流路15Bに配置され、第二給気流路15B(すなわち給気ファン24と分岐ダクト22との間)において、空気を加湿する。
【0050】
加湿部70は、具体的には、ノズル72と、開閉弁74と、を有している。ノズル72は、分岐管48Aの下流端に設けられており、分岐管48Aを通じてノズル72へ温水が流入可能となっている。開閉弁74は、ノズル72に対する上流側において、分岐管48Aに設けられている。開閉弁74が開放されることで、分岐管48Aを通じてノズル72へ温水が流入し、開閉弁74が閉鎖されることで、ノズル72への温水の流入が停止する。
【0051】
ノズル72は、開閉弁74が開放された状態において、分岐管48Aを流れる温水の水道圧により、第二給気流路15Bに対して温水を噴霧する。これにより、第二給気流路15Bを流れる空気が加湿される。すなわち、本実施形態では、加湿部70が、複数の室内空間92の各々に分岐する分岐ダクト22に対する上流において、複数の室内空間92の各々へ供給される空気を一括で加湿する。
【0052】
<湿度センサ80及び温度センサ82>
湿度センサ80は、排気部30が室内空間92から屋外90へ排出する空気の相対湿度を検知するセンサである。温度センサ82は、排気部30が室内空間92から屋外90へ排出する空気の温度を検知するセンサである。この湿度センサ80及び温度センサ82は検知部の一例である。
【0053】
湿度センサ80及び温度センサ82は、具体的には、図2に示されるように、例えば、第一排気流路19Aに配置されており、第一排気流路19Aを流れる空気の相対湿度及び温度の各々を検知する。すなわち、湿度センサ80及び温度センサ82は、分岐ダクト23と熱交換素子18との間にて、空気の相対湿度及び温度の各々を検知する。なお、湿度センサ80及び温度センサ82は、検知した空気の相対湿度及び温度の各々の情報は、制御装置60へ送信する。
【0054】
<入力部64>
入力部64は、ユーザによる指示が入力される構成部である。具体的には、入力部64は、例えば、ユーザによって入力操作がなされる入力キー及びタッチパネル等の操作部(具体的にはリモコン)で構成される。操作部は、図1に示されるように、例えば、室内空間92の壁面に設置される。ユーザによる入力操作としては、例えば、ユーザが希望する室内空間92の希望湿度を設定する操作がある。
【0055】
<制御装置60>
制御装置60は、制御部の一例であり、加湿部70を制御する装置である。具体的には、制御装置60は、コンピュータとしての機能を備え、図3に示されるように、プロセッサ61と、メモリ62と、ストレージ63と、通信部65と、を有している。なお、プロセッサ61を制御部の一例と把握してもよい。
【0056】
プロセッサ61としては、例えば、汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)が用いられる。なお、プロセッサの一例としては、特定の処理を実行させるために専用に設計された回路で構成された専用のプロセッサであってもよい。
【0057】
ストレージ63は、制御プログラム63A(図4参照)を含む各種プログラムと、各種データと、を格納する。ストレージ63は、具体的には、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及びフラッシュメモリ等の記録装置により実現される。
【0058】
メモリ62は、プロセッサ61が各種プログラムを実行するための作業領域であり、プロセッサ61が処理を実行する際に一時的に各種プログラム又は各種データを記録する。プロセッサ61は、ストレージ63から制御プログラム63Aを含む各種プログラムをメモリ62に読み出し、メモリ62を作業領域としてプログラムを実行する。
【0059】
通信部65は、入力部64、加湿部70、湿度センサ80及び温度センサ82等の他の構成部と通信するための構成部である。通信部65は、有線、無線、インターネット及びイントラネット等の通信手段の利用により、他の構成部と通信する。
【0060】
制御装置60において、プロセッサ61は制御プログラム63Aを実行することにより、各種の機能を実現する。以下、ハードウェア資源としてのプロセッサ61とソフトウェア資源としての制御プログラム63Aの協働によって実現される機能構成について説明する。図4は、プロセッサ61の機能構成を示すブロック図である。
【0061】
図4に示されるように、制御装置60において、プロセッサ61は、制御プログラム63Aを実行することにより、取得部61A、算出部61B、及び加湿制御部61Cとして機能する。
【0062】
取得部61Aは、湿度センサ80及び温度センサ82が検知した空気の相対湿度及び温度の各々の情報を取得する。また、取得部61Aは、ユーザが入力部64を通じて入力した各種の指示及び情報を取得する機能部である。本実施形態では、取得部61Aは、例えば、入力部64を通じて入力した希望湿度の情報を取得する。
【0063】
算出部61Bは、取得部61Aが取得した相対湿度及び温度の各々の情報に基づき、排気部30が室内空間92から屋外90へ排出する空気の絶対湿度を算出する。
【0064】
加湿制御部61Cは、希望湿度の情報に基づき、目標絶対湿度を設定し、排気部30が室内空間92から屋外90へ排出する空気の絶対湿度が、目標絶対湿度になるように、加湿部70を制御する。
【0065】
具体的には、本実施形態では、予め、加湿部70(具体的には、ノズル72)の単位時間当たりの加湿量を測定し、当該単位時間当たりの加湿量が既知となっている。そして、加湿制御部61Cが、加湿部70の加湿時間(具体的には、開閉弁74の開放時間)を制御することで、算出部61Bが算出する絶対湿度が、目標絶対湿度になるように、加湿部70の加湿量についてフィードバック制御を行う。
【0066】
<本実施形態に係る作用効果>
本実施形態では、給気部20が、屋外90から空気を取り込んで室内空間92へ供給し、排気部30が、室内空間92から屋外90へ空気を排出する。加熱部42は、水道配管94から供給された水を加熱し、送水部44は、加熱部42から、使用設備93と、給気部20と、へ向けて水を送る。そして、加湿部70が、送水部44が給気部20へ向けて送った水を用いて、給気部20から室内空間92へ供給される空気を加湿する。
【0067】
このように、本実施形態では、水道配管94から供給され且つ加熱された水を、送水部44が加熱部42から給気部20へ向けて送り、当該水を用いて給気部20から室内空間92へ供給される空気を加湿する。このため、室内空間92に設置され且つ水を補充する必要がある加湿器を用いて室内空間92へ供給される空気を加湿する場合に比べ、当該空気を連続的に且つ大量に加湿できる。したがって、本実施形態によれば、屋外90から取り込んで室内空間92へ供給する空気を加湿する加湿能力を向上させることができる。
【0068】
また、本実施形態では、制御装置60が、室内空間92から屋外90へ排出される空気の絶対湿度が目標絶対湿度になるように、加湿部70を制御する。このため、室内空間92から屋外90へ排出される空気の絶対湿度に応じて、適切な湿度に空気を加湿できる。
【0069】
また、本実施形態では、加湿部70が、複数の室内空間92の各々に分岐する分岐ダクト22に対する上流において、複数の室内空間92の各々へ供給される空気を一括で加湿する。このため、複数の室内空間92の各々へ供給される空気を個別で加湿する場合に比べ、空気への水分の供給箇所を少なくでき、加湿部70の部品点数を低減できる。
【0070】
<加湿部70の変形例>
加湿システム10は、筐体17に配置された加湿部70に加えて、図5及び図6に示されるように、給気口29Aの各々に対して配置された加湿部70を備えていてもよい。当該加湿部70では、図6に示されるように、開閉弁74が開放された状態において、分岐管48Aを流れる温水の水道圧により、ノズル72が、給気口29A内の空間に対して温水を噴霧する。これにより、給気口29Aから室内空間92へ放出される空気が加湿される。当該加湿部70は、例えば、筐体17に配置された加湿部70においてノズル詰まり等による故障が生じたと制御装置60が判断した場合や、筐体17に配置された加湿部70では加湿量が不足すると制御装置60が判断した場合に、用いることが可能である。
【0071】
なお、加湿システム10は、筐体17に配置された加湿部70に替えて、給気口29Aの各々に対して配置された加湿部70を備えていてもよい。また、加湿システム10としては、例えば、加湿部70が分岐ダクト22において、複数の室内空間92の各々へ供給される空気を個別で加湿してもよい。この構成によれば、複数の室内空間92の各々へ供給される空気を一括で加湿する場合に比べ、複数の室内空間92の各々の湿度を個別に調整できる。
【0072】
<他の変形例>
本実施形態では、制御装置60が、室内空間92から屋外90へ排出される空気の絶対湿度を算出し、その絶対湿度が目標絶対湿度になるように、加湿部70を制御していたが、これに限られない。
【0073】
例えば、湿度センサ80の検知した相対湿度が目標相対湿度になるように、加湿部70を制御する構成であってもよい。この構成によれば、室内空間92から屋外90へ排出される空気の相対湿度に応じて、適切な湿度に空気を加湿できる。
【0074】
また、本実施形態では、湿度センサ80及び温度センサ82は、排気部30が室内空間92から屋外90へ排出する空気の相対湿度及び温度の各々を検知していたが、これに限られない。例えば、湿度センサ80及び温度センサ82を室内空間92に配置して、湿度センサ80及び温度センサ82が室内空間92の相対湿度及び温度の各々を検知してもよい。
【0075】
この場合では、制御装置60が、湿度センサ80及び温度センサ82が検知した室内空間92の相対湿度及び温度から絶対湿度を算出し、絶対湿度が目標絶対湿度になるように、加湿部70を制御することが可能である。この構成によれば、室内空間92の絶対湿度に応じて、適切な湿度に空気を加湿できる。
【0076】
さらに、湿度センサ80が室内空間92の相対湿度を検知する場合には、例えば、湿度センサ80の検知した室内空間92の相対湿度が目標相対湿度になるように、加湿部70を制御する構成であってもよい。この構成によれば、室内空間92の相対湿度に応じて、適切な湿度に空気を加湿できる。
【0077】
また、本実施形態では、換気システム12は、第1種換気方式、第2種換気方式、及び第3種換気方式のうち、第1種換気方式を採用した換気システムとされていたが、これに限られない。換気システム12は、第2種換気方式、又は第3種換気方式を採用した換気システムであってもよい。
【0078】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【0079】
<付記>
[態様1]
屋外から空気を取り込んで室内空間へ供給する給気部と、
前記室内空間から屋外へ空気を排出する排気部と、
水道配管から供給された水を加熱する加熱部と、
前記加熱部が加熱した水を、前記加熱部から、温水を使用する設備と、前記給気部と、へ向けて送る送水部と、
前記送水部が前記給気部へ向けて送った前記水を用いて、前記給気部から前記室内空間へ供給される空気を加湿する加湿部と、
を備える加湿システム。
【0080】
[態様2]
前記排気部が前記室内空間から屋外へ排出する空気の相対湿度及び温度を検知する検知部と、
前記検知部の検知した相対湿度及び温度から絶対湿度を算出し、絶対湿度が目標絶対湿度になるように、前記加湿部を制御する制御部と、
を備える態様1に記載の加湿システム。
【0081】
[態様3]
前記排気部が前記室内空間から屋外へ排出する空気の相対湿度を検知する検知部と、
前記検知部の検知した相対湿度が目標相対湿度になるように、前記加湿部を制御する制御部と、
を備える態様1に記載の加湿システム。
【0082】
[態様4]
前記室内空間の相対湿度及び温度を検知する検知部と、
前記検知部の検知した相対湿度及び温度から絶対湿度を算出し、絶対湿度が目標絶対湿度になるように、前記加湿部を制御する制御部と、
を備える態様1に記載の加湿システム。
【0083】
[態様5]
前記室内空間の相対湿度を検知する検知部と、
前記検知部の検知した相対湿度が目標相対湿度になるように、前記加湿部を制御する制御部と、
を備える態様1に記載の加湿システム。
【0084】
[態様6]
前記給気部は、複数の前記室内空間の各々に分岐する分岐ダクトを有し、複数の前記室内空間の各々へ空気を供給し、
前記加湿部は、前記分岐ダクトに対する上流において、複数の前記室内空間の各々へ供給される空気を一括で加湿する
態様1~5のいずれか1つに記載の加湿システム。
【0085】
[態様7]
前記給気部は、複数の前記室内空間の各々に分岐する分岐ダクトを有し、複数の前記室内空間の各々へ空気を供給し、
前記加湿部は、前記分岐ダクトにおいて、複数の前記室内空間の各々へ供給される空気を個別で加湿する
態様1~5のいずれか1つに記載の加湿システム。
【符号の説明】
【0086】
10 加湿システム
12 換気システム
15A 第一給気流路
15B 第二給気流路
16 熱交換装置
17 筐体
17A 第一接続口
17B 第二接続口
17C 第三接続口
17D 第四接続口
18 熱交換素子
18A 給気用流路
18B 排気用流路
19A 第一排気流路
19B 第二排気流路
20 給気部
21 給気ダクト
21A 取込口
22 分岐ダクト
22A 給気口
23 分岐ダクト
24 給気ファン
25 フィルタ
30 排気部
31 排気ダクト
31A 排気口
32 分岐ダクト
32A 取込口
34 排気ファン
40 給湯システム
42 加熱部
44 送水部
46 給水管
48 分岐管
48A 分岐管
60 制御装置(制御部の一例)
61 プロセッサ
61A 取得部
61B 算出部
61C 加湿制御部
62 メモリ
63 ストレージ
63A 制御プログラム
64 入力部
65 通信部
70 加湿部
72 ノズル
74 開閉弁
80 湿度センサ(検知部の一例)
82 温度センサ(検知部の一例)
90 屋外
92 室内空間
92A リビング
92B 寝室
92C 洗面室
92D 浴室
93 使用設備
93A 風呂
93B 洗面台
94 水道配管
【要約】      (修正有)
【課題】屋外から取り込んで室内空間へ供給する空気を加湿する加湿能力を向上させる。
【解決手段】加湿システムは、屋外から空気を取り込んで室内空間へ供給する給気部と、前記室内空間から屋外へ空気を排出する排気部と、水道配管から供給された水を加熱する加熱部と、前記加熱部が加熱した水を、前記加熱部から、温水を使用する設備と、前記給気部と、へ向けて送る送水部と、前記送水部が前記給気部へ向けて送った前記水を用いて、前記給気部から前記室内空間へ供給される空気を加湿する加湿部と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6