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特許7541172情報生成装置、情報生成方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】情報生成装置、情報生成方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/398 20200101AFI20240820BHJP
   G06F 30/27 20200101ALI20240820BHJP
【FI】
G06F30/398
G06F30/27
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023190764
(22)【出願日】2023-11-08
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】小林 基之
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特表2023-519139(JP,A)
【文献】特開2019-133222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/398
G06F 30/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路の設計において用いられる部品ごとのデータシートから、前記データシートのテキスト情報および前記データシートの領域をセクションに区分した情報であるレイアウト情報を取得する解析手段と、
機械学習された学習済みモデルに、前記データシート、前記テキスト情報、および前記レイアウト情報を入力し、出力として、回路シンボルデータおよびデザインルールチェックパラメータの生成に使用される情報を格納するテーブルシートの生成に必要な項目の値である抽出情報を得る抽出手段と、
前記デザインルールチェックパラメータの生成に必要な項目である入力分類名および出力分類名の検索に用いられるシートである入出力分類シートから、前記抽出情報を用いて、前記抽出情報の項目に対応する入力分類名および出力分類名を前記抽出情報と紐づけて取得する入出力分類名取得手段と、
前記抽出情報と、前記抽出情報に紐づけられた入力分類名および出力分類名とを用いて、前記テーブルシートを生成するテーブルシート生成手段と、
を備える、情報生成装置。
【請求項2】
前記学習済みモデルは、前記テーブルシートの項目名である検索対象、前記抽出情報を抽出する際に使用するクエリ、前記検索対象が含まれる前記セクションの名称であるセクション名、および前記検索対象の値として抽出する項目である抽出項目を教師データとして学習される、請求項1に記載の情報生成装置。
【請求項3】
前記学習済みモデルは、前記データシートのブロック図に含まれる記号と、前記記号に対応する入出力の種類とを教師データとして学習され、出力として前記記号に関連するピンの前記入出力の種類を前記抽出情報として得る、請求項1または2に記載の情報生成装置。
【請求項4】
前記記号は、矢印の方向を含む矢印であり、前記記号に対応する入出力の種類は、前記矢印の方向に対応する入出力の種類である、請求項3に記載の情報生成装置。
【請求項5】
前記テーブルシートを用いて、あらかじめ決められたフォーマットの前記回路シンボルデータを生成する回路シンボル生成手段と、
前記テーブルシートを用いて、前記フォーマットの前記デザインルールチェックパラメータを生成するデザインルールチェックパラメータ生成手段と、
をさらに備える請求項1に記載の情報生成装置。
【請求項6】
前記抽出情報を情報処理端末に出力し、前記抽出情報の変更にかかる情報の入力を前記情報処理端末に要求し、受信した前記入力された情報を用いて前記抽出情報を変更する入力要求手段をさらに備える、請求項1に記載の情報生成装置。
【請求項7】
前記学習済みモデルは、抽出した情報の確からしさを定量化した値である信頼度を併せて出力し、前記抽出手段は、前記抽出情報と前記信頼度とを紐づけて記憶部に記憶する、請求項6に記載の情報生成装置。
【請求項8】
前記入力要求手段は、
前記抽出情報のうち、前記データシートから前記抽出情報を抽出できなかった項目および前記信頼度の低い項目をハイライト表示する、請求項7に記載の情報生成装置。
【請求項9】
コンピュータが、
電気回路の設計において用いられる部品ごとのデータシートから、前記データシートのテキスト情報および前記データシートの領域をセクションに区分した情報であるレイアウト情報を取得し、
機械学習された学習済みモデルに、前記データシート、前記テキスト情報、および前記レイアウト情報を入力し、
前記学習済みモデルからの出力として、回路シンボルデータおよびデザインルールチェックパラメータの生成に使用される情報を格納するテーブルシートの生成に必要な項目の値である抽出情報を得て、
前記デザインルールチェックパラメータの生成に必要な項目である入力分類名および出力分類名の検索に用いられるシートである入出力分類シートから、前記抽出情報を用いて、前記抽出情報の項目に対応する入力分類名および出力分類名を前記抽出情報と紐づけて取得し、
前記抽出情報と、前記抽出情報に紐づけられた入力分類名および出力分類名とを用いて、前記テーブルシートを生成する
情報生成方法。
【請求項10】
コンピュータに、
電気回路の設計において用いられる部品ごとのデータシートから、前記データシートのテキスト情報および前記データシートの領域をセクションに区分した情報であるレイアウト情報を取得する処理と、
機械学習された学習済みモデルに、前記データシート、前記テキスト情報、および前記レイアウト情報を入力する処理と、
前記学習済みモデルからの出力として、回路シンボルデータおよびデザインルールチェックパラメータの生成に使用される情報を格納するテーブルシートの生成に必要な項目の値である抽出情報を得る処理と、
前記デザインルールチェックパラメータの生成に必要な項目である入力分類名および出力分類名の検索に用いられるシートである入出力分類シートから、前記抽出情報を用いて、前記抽出情報の項目に対応する入力分類名および出力分類名を前記抽出情報と紐づけて取得する処理と、
前記抽出情報と、前記抽出情報に紐づけられた入力分類名および出力分類名とを用いて、前記テーブルシートを生成する処理とを実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報生成装置、情報生成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気回路は、CAD(Computer-Aided Design)装置を用いて設計される。ユーザは、CAD装置に登録された回路シンボルデータを用いて、電気回路の設計を行う。
【0003】
特許文献1に記載の処理装置は、ピン情報を含むピンマップデータベースに基づいて、回路シンボルデータを生成する。処理装置は、生成した回路シンボルデータを、CAD装置のライブラリデータフォーマットとしてのファイル形式の回路シンボルデータに変換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-322463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CAD装置には、デザインルールに沿って設計した回路が正しく設計されているか否かを確認するデザインルールチェック(DRC:Design Rule Check)の機能を有するものがある。DRC実行時には、複数あるデザインルールのうち、どのデザインルールを使用してチェックを行うかを判定するための指標であるDRCパラメータが設定される。DRCパラメータを生成する際には、情報生成装置が回路シンボルのライブラリデータを読み込んで、ピン情報を取得する必要があった。つまり、電気回路CAD用ライブラリ作成においては、ピン情報を二度取得する必要があり、非効率的であった。
【0006】
本開示の目的は、回路シンボルデータおよびDRCパラメータを効率的に生成することを可能とする情報生成装置、情報生成方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の情報生成装置は、電気回路の設計において用いられる部品ごとのデータシートから、データシートのテキスト情報およびデータシートの領域をセクションに区分した情報であるレイアウト情報を取得する解析手段と、機械学習された学習済みモデルに、データシート、テキスト情報、およびレイアウト情報を入力し、出力として、回路シンボルデータおよびデザインルールチェックパラメータの生成に使用される情報を格納するテーブルシートの生成に必要な項目の値である抽出情報を得る抽出手段と、デザインルールチェックパラメータの生成に必要な項目である入力分類名および出力分類名の検索に用いられるシートである入出力分類シートから、抽出情報を用いて、抽出情報の項目に対応する入力分類名および出力分類名を抽出情報と紐づけて取得する入出力分類名取得手段と、抽出情報と、抽出情報に紐づけられた入力分類名および出力分類名とを用いて、テーブルシートを生成するテーブルシート生成手段と、を備える。
【0008】
本開示の一態様の情報生成方法は、コンピュータが、電気回路の設計において用いられる部品ごとのデータシートから、データシートのテキスト情報およびデータシートの領域をセクションに区分した情報であるレイアウト情報を取得し、機械学習された学習済みモデルに、データシート、テキスト情報、およびレイアウト情報を入力し、学習済みモデルからの出力として、回路シンボルデータおよびデザインルールチェックパラメータの生成に使用される情報を格納するテーブルシートの生成に必要な項目の値である抽出情報を得て、デザインルールチェックパラメータの生成に必要な項目である入力分類名および出力分類名の検索に用いられるシートである入出力分類シートから、抽出情報を用いて、抽出情報の項目に対応する入力分類名および出力分類名を抽出情報と紐づけて取得し、抽出情報と、抽出情報に紐づけられた入力分類名および出力分類名とを用いて、テーブルシートを生成する。
【0009】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータに、電気回路の設計において用いられる部品ごとのデータシートから、データシートのテキスト情報およびデータシートの領域をセクションに区分した情報であるレイアウト情報を取得する処理と、機械学習された学習済みモデルに、データシート、テキスト情報、およびレイアウト情報を入力する処理と、学習済みモデルからの出力として、回路シンボルデータおよびデザインルールチェックパラメータの生成に使用される情報を格納するテーブルシートの生成に必要な項目の値である抽出情報を得る処理と、デザインルールチェックパラメータの生成に必要な項目である入力分類名および出力分類名の検索に用いられるシートである入出力分類シートから、抽出情報を用いて、抽出情報の項目に対応する入力分類名および出力分類名を抽出情報と紐づけて取得する処理と、抽出情報と、抽出情報に紐づけられた入力分類名および出力分類名とを用いて、テーブルシートを生成する処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、回路シンボルデータおよびDRCパラメータを効率的に生成することを可能とする情報生成装置、情報生成方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示にかかる情報生成システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】本開示にかかるデータシートの一例を示す図である。
図3】本開示にかかる入力分類シートの一例を示す図である。
図4】本開示にかかる出力分類シートの一例を示す図である。
図5】本開示にかかる抽出部が用いる学習済みモデルの教師データの一例を示す図である。
図6】本開示にかかる抽出部が用いる学習済みモデルの教師データの一例を示す図である。
図7】本開示にかかるデータシートに含まれる情報のうちブロック図の一例を示す図である。
図8】本開示にかかる入力要求画面の一例を示す図である。
図9】本開示にかかるテーブルシートの一例を示す図である。
図10】本開示にかかる情報生成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図11】本開示にかかる情報生成装置の構成の一例を示すブロック図である。
図12】本開示にかかる情報生成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図13】各実施形態にかかる制御や処理を実行するハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示にかかる実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に述べる実施形態には、本開示を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0013】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態にかかる情報生成システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態の情報生成システムは、CAD(Computer-Aided Design)装置を用いた電気回路の設計において用いられる。本実施形態の情報生成システムは、電気回路の設計において用いられる回路シンボルデータおよびDRC(Design Rule Check)パラメータを生成する。本実施形態の情報生成システムは、CAD装置を用いた電気回路の設計に限らず、任意の電気回路の設計に適用できる。
【0014】
(情報生成システム)
図1は、本開示にかかる情報生成システムの構成の一例を示す図である。情報生成システム1は、情報生成装置10、データシート記憶装置110、および入出力分類シート記憶装置140を備える。データシート記憶装置110と入出力分類シート記憶装置140とは、同一の記憶装置として構成されてもよい。
【0015】
データシート記憶装置110には、複数のデータシート70が記憶される。データシート70は、電気部品の製造元から提供される文書である。例えば、データシート70は、パッケージ寸法、ピン配置、ピン機能、絶対最大規格、電気的特性などの情報を含む。データシート70は、部品ごとに用意される。そのため、データシート70は、電気回路の設計に必要な部品ごとのデータシート70を含む。設計に必要な部品の数がn個の場合、n個の部品の各々に対応付けられたn個のデータシート70-1~nが用意される(nは自然数)。以降の説明において、各々のデータシートを区別する必要がないときは、データシート70と記す。データシート記憶装置110に記憶されるデータシート70のコンテンツは、テキスト情報やレイアウト情報を含むPDF(Portable Document Format)形式のものと、画像情報のみから構成される形式のものとに大別される。レイアウト情報は、データシート70の内容に基づいて、データシート70の領域をセクションに区分した情報である。例えば、データシート70は、データシート70の章または節を単位としてセクションに区分される。各々のセクションには、セクション名が設定される。例えば、セクション名は、該セクションに含まれる見出しである。
【0016】
データシート70に含まれる情報について、図2を用いてさらに説明する。図2は、データシートの一例を示す図である。図2には、部品C(ABCD1234)のデータシート70-1が示されている。図2の例において、データシート70-1は、セクションS1~S5に区分される。それぞれのセクションには、該セクションの見出しがセクション名として設定される。セクションS1は部品Cの特徴を示す情報であり、「Feature」がセクション名である。セクションS2はピン配置を示す情報であり、「Pin Configuration」がセクション名である。セクションS3は、ピン機能を示す情報であり、「Pin Description」がセクション名である。セクションS4は、電気的特性を示す情報であり、「Electrical Characteristics」がセクション名である。セクションS5はブロック図を示す情報であり、「Block Diagram」がセクション名である。図2に示す情報は一例であり、データシート70-nは、上述した以外の情報を含み得る。また、各々のセクションに含まれる情報は、データシートごとに異なる。
【0017】
入出力分類シート記憶装置140には、入出力分類シート80が記憶される。入出力分類シート80は、DRCパラメータの生成において必要とされる入力分類名および出力分類名の検索に用いられるシートである。入出力分類シート80は、データシート70とは別に、あらかじめ用意される。入出力分類シート80は、入力分類シート81および出力分類シート82を有する。図3は、入力分類シート81の一例(入力分類シート810)を示す図である。図3の入力分類シート810は、インターフェース(I/F)の電源電圧、インターフェース(I/F)種別、入力分類名、主要IC名、設計仕様などの項目についての情報を含む(IC:Integrated Circuit)。図4は、出力分類シート82の一例(出力分類シート820)を示す図である。図4の出力分類シート820は、回路の電源電圧、種別、出力分類名、主要IC名、設計仕様などの項目についての情報を含む。
【0018】
情報処理端末60は、設計者が使用する情報処理端末である。情報処理端末60は、情報生成装置10から受信した情報を表示する表示部(図示せず)と、情報生成装置10に対して情報を送信するための入力部(図示せず)とを備える。例えば、表示部は、ディスプレイなどにより実現される。例えば、入力部は、キーボードやタッチパネルにより実現される。
【0019】
(情報生成装置)
次に、情報生成装置10について、図1を参照して説明する。情報生成装置10は、解析部11、抽出部12、入力要求部13、入出力分類名取得部14、テーブルシート生成部15、回路シンボル生成部16、DRCパラメータ生成部17、および記憶部18を備える。
【0020】
解析部11は、データシート70のテキスト情報およびレイアウト情報を取得する。
【0021】
データシート70のコンテンツが、テキスト情報やレイアウト情報などを含むPDF形式のものである場合、解析部11は、PDFに組み込まれたテキスト情報およびレイアウト情報を取得する。
【0022】
データシート70のコンテンツが画像情報のみから構成される形式のものである場合、解析部11は、光学文字認識技術(OCR:Optical Character Reader)によって画像情報からテキスト情報を抽出する。解析部11は、抽出されたテキスト情報を既知の自然言語処理技術によって解析することで、レイアウト情報を特定する。あるいは、解析部11は、画像情報を既知の画像処理技術によって解析することで、レイアウト情報を特定する。
【0023】
既知の自然言語処理技術によってレイアウト情報を特定する手段の一例について、以下で説明する。例えば、解析部11は、テキスト情報から章番号または節番号と想定される数字(1-1など)を特定することによって、データシート70をセクションに区分してもよい。この場合、解析部11は、章番号または節番号の直後のセンテンスをセクション名として設定する。他の例として、解析部11は、データシート70のテキスト情報から見出しを特定することによって、データシート70をセクションに区分してもよい。例えば、解析部11は、あらかじめ記憶された見出しの一覧を用いて、データシート70のテキスト情報から見出しを特定する。この場合、解析部11は、特定した見出しを、該セクションの名称とする。上述した手段は一例であり、解析部11は、他の手段によってレイアウト情報を特定してもよい。
【0024】
既知の画像処理技術によってレイアウト情報を特定する手段の一例について、以下で説明する。例えば、解析部11は、余白の広さを用いて、データシート70をセクションに区分してもよい。あるいは、解析部11は、フォントの大きさを用いて、データシート70の見出しを特定することによって、データシートをセクションに区分してもよい。解析部11は、特定した見出しを、該セクションの名称とする。上述した手段は一例であり、解析部11は、他の手段によってレイアウト情報を特定してもよい。
【0025】
セクションに表が含まれる場合、解析部11は、テキスト情報を用いて表の項目および項目の配置順を特定する。例えば、図2の表のセクションS3において、表の項目は「Number|Name|Type|Description」の4つであり、左記の配置順である。解析部11は、テキスト情報を用いて、表の項目および項目の配置順を表情報として特定し、記憶部18に記憶させる。
【0026】
抽出部12は、データシート70からテーブルシート生成のために必要な項目の値を抽出する。抽出部12は、機械学習された学習済みモデルに、データシート70と、解析部11によって特定されたテキスト情報、レイアウト情報、および表情報とを入力することで、出力としてテーブルシート生成のために必要な項目の値を得る。
【0027】
機械学習された学習済みモデルについて、図5および図6を用いて説明する。図5および図6は、学習済みモデルの教師データの一例を示す図である。図5は、表から情報を抽出するための教師データの一例を示す図である。図5の例において、教師データは、検索対象、クエリ、セクション名、および抽出項目を含む。検索対象は、抽出した情報をテーブルシートのどの項目に反映するかを示す情報である。クエリは、情報を抽出する際に使用するキーワードやキーセンテンスである。セクション名は、抽出する情報が格納されるセクション名である。抽出項目は、表情報から抽出する情報の項目である。図6は、ブロック図の矢印の方向から入出力(I/O)の情報を抽出するための教師データの一例を示す図である。教師データは、検索記号および値を含む。検索記号は、矢印の方向を示す情報である。値は、該矢印の方向に対応する入出力(I/O)の種類を示す情報である。学習済みモデルは、図5および図6の両方を教師モデルとして学習した1つのモデルであってもよいし、図5および図6のそれぞれを教師モデルとして学習した2つのモデルであってもよい。
【0028】
抽出部12が学習済みモデルを用いて情報を抽出する一例について、図2を用いて説明する。抽出部12は、図5に示す情報を教師データとして学習された学習済みモデルに対して、図2のデータシート70と、解析部11が特定したテキスト情報、レイアウト情報、および表情報を入力する。学習済みモデルは、セクション名の領域から、クエリを含む領域を特定する。例えば、学習済みモデルは、図2のセクション名「Electrical Characteristics」(セクションS4)から、クエリ「VIN」を含む領域、すなわち表の1行目を特定する。学習済みモデルは、クエリを含む領域から、検索対象の値として抽出項目を出力する。例えば、学習済みモデルは、図2でクエリを含む領域として特定された表の1行目から、端子耐圧の値として「Max.」の値を出力する。抽出部12は、学習済みモデルから出力された値を、テーブルシートに入力する値として抽出する。抽出部12は、抽出した情報を抽出情報として記憶部18に記憶する。
【0029】
抽出部12が学習済みモデルを用いて情報を抽出する一例について、図7を用いてさらに説明する。図7は、図2のデータシート70-1におけるセクションS5の情報の一例を示す図である。図7において、一点鎖線で囲った領域の情報は省略される。抽出部12は、図6に示す情報を教師データとして学習された学習済みモデルに対して、図2図7)のデータシート70と、解析部11が特定したテキスト情報、レイアウト情報、および表情報を入力する。学習済みモデルは、セクション名「Block Diagram」の領域から、画像処理によって矢印を含む領域、矢印の方向、および矢印の先にあるピン名を特定する。例えば、学習済みモデルは、図7のセクション名「Block Diagram」の領域から、左上の矢印と、矢印の方向が左向きであることと、矢印の先にあるピン名「OE1」とを特定する。学習済みモデルは、特定されたピンの入出力(I/O)の種類を示す情報を出力する。例えば、学習済みモデルは、図7のピン「OE1」の入出力の種類がI(Input)であることを出力する。抽出部12は、学習済みモデルから出力された値を、テーブルシートに入力する値として抽出する。抽出部12は、抽出した情報を抽出情報として記憶部18に記憶する。
【0030】
学習済みモデルは、情報を抽出する際に、抽出した情報の信頼度を示す値を併せて出力してもよい。信頼度は、学習済みモデルが出力した値の確からしさを定量化した値であり、既知の手法を用いて算出される。例えば、信頼度は、教師データとデータシート70との類似性を定量化した値である。信頼度は、抽出情報と紐づけられて記憶部18に記憶される。
【0031】
入力要求部13は、情報処理端末60に対して、抽出情報の変更にかかる入力を要求する。入力要求部13は、情報処理端末60に、抽出情報を出力し、情報の変更にかかる入力を要求する。入力要求部13は、情報処理端末60から送信された変更にかかる情報を取得する。
【0032】
入力要求部13が抽出情報の変更にかかる入力を要求する具体例について、図8を参照して説明する。図8は、入力要求画面の一例を示す図である。まず、入力要求部13は、抽出情報を含む入力要求画面を情報処理端末60に出力する。例えば、入力要求画面は、抽出情報(D1)および情報の変更にかかる入力を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)(B1)を含む。入力要求部13は、入力要求画面において、入力を要求したい箇所をハイライト表示してもよい。例えば、図6に示す例では、値が空である欄の色を変更する。また、入力要求部13は、抽出部12によって抽出された値のうち、信頼度が低いものをハイライト表示してもよい。例えば、図8に示す例において、信頼度があらかじめ決められた値以下である欄がNo.1の「端子耐圧」および「I/F種別」であった場合、入力要求部13は、これらの欄の色を変更する。情報処理端末60は、入力部を介して、入力要求画面に表示された抽出情報D1を編集する。情報処理端末60は、入力が終了したことを検知すると、入力された情報を情報生成装置10へ送信する。例えば、情報処理端末60は、「確定」ボタンB2の押下の検知に応じて、入力された情報を情報生成装置10へ送信する。入力要求部13は、送信された情報を受信する。入力要求部13は、受信した情報を用いて、記憶部18に記憶された抽出情報を変更する。なお、抽出部12によって使用される学習済みモデルは、入力要求部13から受信した変更にかかる情報を用いて再学習を行ってもよい。再学習は、新たな教師データを与えて学習済みモデルを調整することを指す。再学習を行うことにより、学習済みモデルの判定精度を向上させることができる。
【0033】
入出力分類名取得部14は、入力分類名および出力分類名を取得する。入出力分類名取得部14は、記憶部18に記憶された抽出情報に含まれる各項目の値を用いて、入出力分類シート80を検索する。入出力分類名取得部14は、抽出情報に合致する入出力分類シートの項目があれば、その項目に対応する入力分類名または出力分類名を抽出情報と紐づけて取得する。
【0034】
テーブルシート生成部15は、記憶部18に記憶された抽出情報と、抽出情報に紐づけられた入力分類名および出力分類名とを用いてテーブルシートを生成する。図9は、テーブルシートの一例(テーブルシート150)を示す図である。テーブルシート生成部15は、抽出情報(D2)と、入力分類名および出力分類名(D3)とを結合することにより、テーブルシートを生成する。生成されたテーブルシートの項目は、共通部、回路シンボル生成専用部、およびDRCパラメータ生成専用部に分類される。共通部に含まれる項目は、回路シンボルデータの生成およびDRCパラメータの生成に使用される。回路シンボル生成専用部に含まれる項目は、回路シンボルデータの生成に使用される。DRCパラメータ生成専用部に含まれる項目は、DRCパラメータの生成に使用される。テーブルシート生成部15は、生成されたテーブルシートを記憶部18へ記憶させる。また、テーブルシート生成部15は、生成したテーブルシートを情報処理端末60へ出力する。
【0035】
回路シンボル生成部16は、生成されたテーブルシートを用いて、あらかじめ決められたフォーマットの回路シンボルデータを生成する。回路シンボル生成部16は、テーブルシートのうち、共通部と、回路シンボル生成専用部とのデータを使用して、回路シンボルデータを生成する。回路シンボル生成部16は、あらかじめ決められたCAD装置のフォーマットに合わせて、回路シンボルデータを生成する。回路シンボル生成部16は、生成した回路シンボルデータを情報処理端末60へ出力する。
【0036】
DRCパラメータ生成部17は、生成されたテーブルシートを用いて、あらかじめ決められたフォーマットのDRCパラメータを生成する。DRCパラメータ生成部17は、テーブルシートのうち、共通部と、DRCパラメータ生成専用部とのデータを使用して、回路シンボルデータを生成する。DRCパラメータ生成部17は、あらかじめ決められたCAD装置のフォーマットに合わせて、DRCパラメータを生成する。DRCパラメータ生成部17は、生成したDRCパラメータを情報処理端末60へ出力する。
【0037】
記憶部18は、情報生成装置10の処理に必要な情報を記憶する。例えば、記憶部18は、抽出部12が使用する学習済みモデル、抽出情報、テーブルシート、およびテーブルシートの内容をCAD装置のフォーマットに変換するためのプログラムを記憶する。記憶部18に記憶される上述の情報は一例であり、記憶部18は上述した情報に加えて他の情報を記憶してもよい。
【0038】
(動作)
次に、本実施形態にかかる情報生成装置10の動作の一例について、図面を参照して説明する。図10および図11は、本開示にかかる情報生成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【0039】
図10において、解析部11は、データシート70のテキスト情報およびレイアウト情報を取得する(ステップS11)。まず、解析部11は、データシート記憶装置110からデータシートを取得する。解析部11は、データシート70のコンテンツが、テキスト情報やレイアウト情報などを含むPDF形式のものである場合、解析部11は、PDFに組み込まれたテキスト情報およびレイアウト情報を取得する。解析部11は、データシート70のコンテンツが画像情報のみから構成される形式のものである場合、既知の光学文字認識技術や、自然言語処理技術、画像処理技術を用いて、テキスト情報およびレイアウト情報を取得する。
【0040】
次に、抽出部12は、データシート70からテーブルシート生成のために必要な項目の値を抽出する(ステップS12)。抽出部12は、機械学習された学習済みモデルに、データシート70と、解析部11によって特定されたテキスト情報、レイアウト情報、および表情報とを入力することで、出力としてテーブルシート生成のために必要な項目の値を得る。抽出部12は、抽出した情報を抽出情報として記憶部18に記憶させる。学習済みモデルは、情報を抽出する際に、抽出した情報の信頼度を示す値を併せて出力してもよい。信頼度は、抽出情報と紐づけられて記憶部18に記憶される。
【0041】
次に、入力要求部13は、情報処理端末60に対して、抽出情報の変更にかかる入力を要求する。まず、入力要求部13は、情報処理端末60の表示部に、抽出情報を出力し、抽出情報の変更にかかる入力を要求する(ステップS13)。次に、入力要求部は、情報処理端末60から送信された、抽出情報の変更にかかる情報を受信する(ステップS14)。入力要求部13は、受信した情報を用いて、記憶部18に記憶された抽出情報を変更する。
【0042】
次に、入出力分類名取得部14は、入力分類名および出力分類名を取得する(ステップS15)。入出力分類名取得部14は、記憶部18に記憶された抽出情報に含まれる各項目の値を用いて、入出力分類シート80を検索する。入出力分類名取得部14は、抽出情報に合致する入出力分類シートの項目があれば、その項目に対応する入力分類名または出力分類名を抽出情報と紐づけて取得する。
【0043】
次に、テーブルシート生成部15は、記憶部18に記憶された抽出情報と、抽出情報に紐づけられた入力分類名および出力分類名とを用いてテーブルシートを生成する(ステップS16)。テーブルシート生成部15は、抽出情報と、入力分類名および出力分類名とを結合することにより、テーブルシートを生成する。
【0044】
次に、回路シンボル生成部16は、生成されたテーブルシートを用いて回路シンボルデータを生成する(ステップS17)。
【0045】
次に、DRCパラメータ生成部17は、生成されたテーブルシートを用いてDRCパラメータを生成する(ステップS18)。
【0046】
次に、情報生成装置10は、生成した情報を出力する(ステップS19)。具体的には、情報生成装置10は、生成したテーブルシート、回路シンボルデータ、またはDRCパラメータのうちの少なくともいずれか1つを出力する。ステップS18の処理を終えると、情報生成装置10は、上述した一連の処理を終了する。
【0047】
以上のように、本実施形態の情報生成装置は、解析部、抽出部、入出力分類名取得部、およびテーブルシート生成部を備える。解析部は、データシートのテキスト情報およびレイアウト情報を取得する。抽出部は、データシートからテーブルシート生成のために必要な項目の値を抽出情報として抽出する。入出力分類名取得部は、抽出情報に含まれるそれぞれの項目の入力分類名および出力分類名を取得する。テーブルシート生成部は、抽出情報と、抽出情報に紐づけられた入力分類名および出力分類名とを用いてテーブルシートを生成する。
【0048】
本実施形態の情報生成装置は、上記構成により、回路シンボルデータおよびDRCパラメータを効率的に生成することができる。その理由は、生成されたテーブルシートが、回路シンボルデータを生成するための情報と、DRCパラメータを生成するための情報とを含むためである。一般的な電気回路CAD用ライブラリ作成においては、回路シンボルデータ生成時と、DRCパラメータ生成時とでピン情報を二度取得する必要があり、非効率的であるという課題があった。これに対し、本実施形態の情報生成装置によれば、テーブルシート生成の際にピン情報を取得するのみで済むため、ピン情報を二度取得する必要がなく、回路シンボルデータおよびDRCパラメータを効率的に生成することができる。
【0049】
また、本実施形態の一態様の情報生成装置において、抽出部は、機械学習された学習済みモデルに、データシートと、解析部によって特定されたテキスト情報、レイアウト情報、および表情報とを入力することで、出力としてテーブルシート生成のために必要な項目の値を得る。学習済みモデルは、検索対象、クエリ、セクション名、および抽出項目を教師データとして学習される。また学習済みモデルは、データシートのブロック図に含まれる記号と、その記号に対応する入出力の種類とを教師データとして学習される。この場合、学習済みモデルは、出力として記号に関連するピンの入出力の種類を抽出情報として得る。一般的な電気回路CAD用ライブラリ作成においては、作業者が、部品のデータシートを、クエリを用いて検索し、各項目の値をテーブルシートに入力するため、非効率的であった。本実施形態の情報生成装置によれば、学習済みモデルによってテーブルシートに入力する情報を取得できる。これにより、本実施形態の情報生成装置によれば、人手に依らずに効率的にテーブルシートを作成することができる。そのため、本実施形態の情報生成装置は、回路シンボルデータおよびDRCパラメータを効率的に生成できる。
【0050】
また、本実施形態の一態様の情報生成装置において、学習済みモデルは、情報を抽出する際に、抽出した情報の信頼度を示す値を併せて出力する。信頼度は、学習済みモデルが出力した値の確からしさを定量化した値である。これにより、学習済みモデルによって出力された値の確からしさを直感的に把握することができる。
【0051】
本実施形態の一態様にかかる情報生成装置は、入力要求部をさらに備える。入力要求部は、抽出情報を情報処理端末に出力し、抽出情報の変更にかかる情報の入力を情報処理端末に要求する。入力の要求を受けた情報処理端末では、データシートから抽出できなかった情報についての補完や、誤りの訂正が行われる。入力要求部は、記憶部に記憶された抽出情報を受信した変更にかかる情報を用いて更新する。入力要求部を備えることにより、本実施形態の情報生成装置は、学習済みモデルによって抽出された値が誤っていた場合にも正確な情報を用いてテーブルシートを生成することができる。
【0052】
本実施形態の一態様の情報生成装置において、入力要求部は、抽出情報のうち入力を要求したい箇所をハイライト表示する。例えば、入力要求部は、抽出部が値を抽出できなかった項目および信頼度の低い項目をハイライト表示する。これにより、入力の要求を受けた情報処理端末の操作者は、抽出情報のうち変更すべき箇所を直感的に把握することができる。
【0053】
本実施形態の一態様の情報生成装置において、学習済みモデルは、更新されたルール情報を教師データとして再学習を行う。これにより、学習済みモデルの判定精度を向上できる。
【0054】
本実施形態の情報生成装置は、以下の理由によっても、回路シンボルデータおよびDRCパラメータを効率的に生成することができる。一般的に、入力分類名および出力分類名の入力は、入出力分類シートを手動で検索し、人が入力を行っており、非効率的であった。本実施形態の情報生成装置によれば、ルール情報に該当する入力分類名および出力分類名を割り当てるため、効率的にテーブルシートを作成することができる。そのため、本実施形態の情報生成装置は、回路シンボルデータおよびDRCパラメータを効率的に生成できる。
【0055】
本実施形態の一態様にかかる情報生成装置は、回路シンボル生成部と、DRCパラメータとをさらに備える。回路シンボル生成部は、あらかじめ決められたフォーマットの回路シンボルデータを生成する。DRCパラメータ生成部は、あらかじめ決められたフォーマットのDRCパラメータを生成する。本実施形態の情報生成装置は、あらかじめ決められたフォーマットに合わせた回路シンボルデータおよびDRCパラメータを生成することができる。これにより、生成された回路シンボルデータおよびDRCパラメータを受信する情報処理端末では、特段の処理を行う必要なく、情報生成装置に回路シンボルデータおよびDRCパラメータを読み込むことができる。
【0056】
(第2実施形態)
【0057】
(構成)
次に、本実施形態にかかる情報生成装置の構成について、図面を参照して説明する。情報生成装置20は、第1実施形態にかかる情報生成装置を簡略化した構成である。以降の説明において、第1実施形態と同様の部分については、適宜説明を省略する。
【0058】
図11は、本開示にかかる情報生成装置の構成の一例を示すブロック図である。情報生成装置20は、解析部21、抽出部22、入出力分類名取得部24、およびテーブルシート生成部25を備える。解析部21は、データシートのテキスト情報およびデータシートの領域をセクションに区分した情報であるレイアウト情報を取得する。抽出部22は、機械学習された学習済みモデルに、データシート、テキスト情報、およびレイアウト情報を入力し、出力としてテーブルシートの生成に必要な項目の値である抽出情報を得る。学習済みモデルは、テーブルシートの項目名である検索対象、抽出情報を抽出する際に使用するクエリ、検索対象が含まれるセクションの名称であるセクション名、および検索対象の値として抽出する項目である抽出項目を教師データとして学習される。入出力分類名取得部24は、デザインルールチェックパラメータの生成に必要な項目である入力分類名および出力分類名の検索に用いられるシートである入出力分類シートから、抽出情報を用いて、抽出情報の項目に対応する入力分類名および出力分類名を抽出情報と紐づけて取得する。テーブルシート生成部25は、抽出情報と、抽出情報に紐づけられた入力分類名および出力分類名とを用いて、テーブルシートを生成する。
【0059】
(動作)
次に、本開示にかかる情報生成装置の動作の一例について、図12を参照して説明する。
【0060】
まず、解析部21は、データシートのテキスト情報およびデータシートの領域をセクションに区分した情報であるレイアウト情報を取得する(ステップS21)。
【0061】
次に、抽出部22は、機械学習された学習済みモデルに、データシート70、テキスト情報、およびレイアウト情報を入力し、出力としてテーブルシートの生成に必要な項目の値である抽出情報を得る(ステップS22)。学習済みモデルは、テーブルシートの項目名である検索対象、抽出情報を抽出する際に使用するクエリ、検索対象が含まれるセクションの名称であるセクション名、および検索対象の値として抽出する項目である抽出項目を教師データとして学習される。
【0062】
次に、入出力分類名取得部24は、デザインルールチェックパラメータの生成に必要な項目である入力分類名および出力分類名の検索に用いられるシートである入出力分類シートから、抽出情報を用いて、抽出情報の項目に対応する入力分類名および出力分類名を抽出情報と紐づけて取得する(ステップS23)。
【0063】
次に、テーブルシート生成部25は、抽出情報と、抽出情報に紐づけられた入力分類名および出力分類名とを用いてテーブルシートを生成する(ステップS24)。
【0064】
本実施形態の情報生成装置は、データシートおよび入力分類シートを用いてテーブルシートを生成する。テーブルシートは、回路シンボルデータを生成するための情報と、デザインルールチェック(DRC)パラメータを生成するための情報とを含む。一般的な電気回路設計の工程においては、回路シンボルデータ生成時と、DRCパラメータ生成時とでピン情報を二度取得する必要があり、非効率的であるという課題があった。これに対し、本実施形態の情報生成装置によれば、ピン情報を二度取得する必要がなくなるため、回路シンボルデータおよびDRCパラメータを効率的に生成することができる。
【0065】
(ハードウェア構成)
以上説明した本開示の各実施形態にかかる各構成要素は、その機能をハードウェア的に実現することは勿論、プログラム制御に基づくコンピュータ装置、ファームウェアによって実現することができる。
【0066】
図13は、本開示にかかる情報生成装置を、プロセッサを含むコンピュータ装置90で実現したハードウェア構成の一例を示す図である。各実施形態の情報生成装置は、コンピュータ装置90によって実現される。コンピュータ装置90は、図13に示すように、CPU(Central Processing Unit)91、メモリ92、プログラムを格納するハードディスク等の記憶装置93、入力装置および出力装置接続用の入出力インタフェース94、およびネットワーク接続用の通信インタフェース95を含む。
【0067】
CPU91は、オペレーティングシステムを動作させて、本開示の情報生成装置を制御する。例えば、CPU91は、ドライブ装置等に装着された記憶媒体からメモリ92にプログラムやデータを読み出す。また、CPU91は、例えば、本開示の情報生成装置10にかかる、解析部11、抽出部12、入力要求部13、入出力分類名取得部14、テーブルシート生成部15、回路シンボル生成部16、DRCパラメータ生成部17、および記憶部18の一部として機能し、プログラムに基づいて処理または命令を実行する。
【0068】
記憶装置93は、例えば光ディスク、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、または半導体メモリ等である。記憶装置の一部の記憶媒体は、不揮発性記憶装置であり、そこにプログラムを記録する。また、プログラムは、通信網に接続されている外部コンピュータ(図示せず)からダウンロードされてもよい。
【0069】
入出力インタフェース94に接続される入力装置は、例えばマウスやキーボード等により実現され、入力操作に用いられる。同様に、入出力インタフェース94に接続される出力装置は、例えばディスプレイ等によって実現され、出力結果の表示および確認に用いられる。
【0070】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。そして、各実施の形態は、適宜他の実施の形態と組み合わせることができる。
【0071】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうる。
(付記1)
電気回路の設計において用いられる部品ごとのデータシートから、前記データシートのテキスト情報および前記データシートの領域をセクションに区分した情報であるレイアウト情報を取得する解析手段と、
機械学習された学習済みモデルに、前記データシート、前記テキスト情報、および前記レイアウト情報を入力し、出力として、回路シンボルデータおよびデザインルールチェックパラメータの生成に使用される情報を格納するテーブルシートの生成に必要な項目の値である抽出情報を得る抽出手段と、
前記デザインルールチェックパラメータの生成に必要な項目である入力分類名および出力分類名の検索に用いられるシートである入出力分類シートから、前記抽出情報を用いて、前記抽出情報の項目に対応する入力分類名および出力分類名を前記抽出情報と紐づけて取得する入出力分類名取得手段と、
前記抽出情報と、前記抽出情報に紐づけられた入力分類名および出力分類名とを用いて、前記テーブルシートを生成するテーブルシート生成手段と、
を備える、情報生成装置。
(付記2)
前記学習済みモデルは、前記テーブルシートの項目名である検索対象、前記抽出情報を抽出する際に使用するクエリ、前記検索対象が含まれる前記セクションの名称であるセクション名、および前記検索対象の値として抽出する項目である抽出項目を教師データとして学習される、付記1に記載の情報生成装置。
(付記3)
前記学習済みモデルは、前記データシートのブロック図に含まれる記号と、前記記号に対応する入出力の種類とを教師データとして学習され、出力として前記記号に関連するピンの前記入出力の種類を前記抽出情報として得る、付記1または2に記載の情報生成装置。
(付記4)
前記記号は、矢印の方向を含む矢印であり、前記記号に対応する入出力の種類は、前記矢印の方向に対応する入出力の種類である、付記3に記載の情報生成装置。
(付記5)
前記テーブルシートを用いて、あらかじめ決められたフォーマットの前記回路シンボルデータを生成する回路シンボル生成手段と、
前記テーブルシートを用いて、前記フォーマットの前記デザインルールチェックパラメータを生成するデザインルールチェックパラメータ生成手段と、
をさらに備える付記1乃至4のいずれか1つに記載の情報生成装置。
(付記6)
前記抽出情報を情報処理端末に出力し、前記抽出情報の変更にかかる情報の入力を前記情報処理端末に要求し、受信した前記入力された情報を用いて前記抽出情報を変更する入力要求手段をさらに備える、付記1乃至5のいずれか1つに記載の情報生成装置。
(付記7)
前記学習済みモデルは、抽出した情報の確からしさを定量化した値である信頼度を併せて出力し、前記抽出手段は、前記抽出情報と前記信頼度とを紐づけて記憶部に記憶する、付記6に記載の情報生成装置。
(付記8)
前記入力要求手段は、
前記抽出情報のうち、前記データシートから前記抽出情報を抽出できなかった項目および前記信頼度の低い項目をハイライト表示する、付記7に記載の情報生成装置。
(付記9)
前記学習済みモデルは、変更された前記抽出情報を教師データとして再学習される、付記6乃至8のいずれか1つに記載の情報生成装置。
(付記10)
コンピュータが、
電気回路の設計において用いられる部品ごとのデータシートから、前記データシートのテキスト情報および前記データシートの領域をセクションに区分した情報であるレイアウト情報を取得し、
機械学習された学習済みモデルに、前記データシート、前記テキスト情報、および前記レイアウト情報を入力し、
前記学習済みモデルからの出力として、回路シンボルデータおよびデザインルールチェックパラメータの生成に使用される情報を格納するテーブルシートの生成に必要な項目の値である抽出情報を得て、
前記デザインルールチェックパラメータの生成に必要な項目である入力分類名および出力分類名の検索に用いられるシートである入出力分類シートから、前記抽出情報を用いて、前記抽出情報の項目に対応する入力分類名および出力分類名を前記抽出情報と紐づけて取得し、
前記抽出情報と、前記抽出情報に紐づけられた入力分類名および出力分類名とを用いて、前記テーブルシートを生成する
情報生成方法。
(付記11)
前記学習済みモデルは、前記テーブルシートの項目名である検索対象、前記抽出情報を抽出する際に使用するクエリ、前記検索対象が含まれる前記セクションの名称であるセクション名、および前記検索対象の値として抽出する項目である抽出項目を教師データとして学習される、付記10に記載の情報生成方法。
(付記12)
前記学習済みモデルは、前記データシートのブロック図に含まれる記号と、前記記号に対応する入出力の種類とを教師データとして学習され、出力として前記記号に関連するピンの前記入出力の種類を前記抽出情報として得る、付記10または11に記載の情報生成方法。
(付記13)
前記記号は、矢印の方向を含む矢印であり、前記記号に対応する入出力の種類は、前記矢印の方向に対応する入出力の種類である、付記12に記載の情報生成方法。
(付記14)
コンピュータが、さらに、
前記テーブルシートを用いて、あらかじめ決められたフォーマットの前記回路シンボルデータを生成し、
前記テーブルシートを用いて、前記フォーマットの前記デザインルールチェックパラメータを生成する、付記10乃至13のいずれか1つに記載の情報生成方法。
(付記15)
コンピュータが、さらに、
前記抽出情報を情報処理端末に出力し、
前記抽出情報の変更にかかる情報の入力を前記情報処理端末に要求し、
受信した前記入力された情報を用いて前記抽出情報を変更する、付記10乃至14のいずれか1つに記載の情報生成方法。
(付記16)
前記学習済みモデルは、抽出した情報の確からしさを定量化した値である信頼度を併せて出力し、前記抽出手段は、前記抽出情報と前記信頼度とを紐づけて記憶部に記憶する、付記15に記載の情報生成方法。
(付記17)
前記抽出情報の出力において、コンピュータが、前記抽出情報のうち、前記データシートから前記抽出情報を抽出できなかった項目および前記信頼度の低い項目をハイライト表示する、付記16に記載の情報生成方法。
(付記18)
前記学習済みモデルは、変更された前記抽出情報を教師データとして再学習される、付記15乃至17のいずれか1つに記載の情報生成方法。
(付記19)
コンピュータに、
電気回路の設計において用いられる部品ごとのデータシートから、前記データシートのテキスト情報および前記データシートの領域をセクションに区分した情報であるレイアウト情報を取得する処理と、
機械学習された学習済みモデルに、前記データシート、前記テキスト情報、および前記レイアウト情報を入力する処理と、
前記学習済みモデルからの出力として、回路シンボルデータおよびデザインルールチェックパラメータの生成に使用される情報を格納するテーブルシートの生成に必要な項目の値である抽出情報を得る処理と、
前記デザインルールチェックパラメータの生成に必要な項目である入力分類名および出力分類名の検索に用いられるシートである入出力分類シートから、前記抽出情報を用いて、前記抽出情報の項目に対応する入力分類名および出力分類名を前記抽出情報と紐づけて取得する処理と、
前記抽出情報と、前記抽出情報に紐づけられた入力分類名および出力分類名とを用いて、前記テーブルシートを生成する処理とを実行させる
プログラム。
(付記20)
前記学習済みモデルは、前記テーブルシートの項目名である検索対象、前記抽出情報を抽出する際に使用するクエリ、前記検索対象が含まれる前記セクションの名称であるセクション名、および前記検索対象の値として抽出する項目である抽出項目を教師データとして学習される、付記19に記載のプログラム。
(付記21)
前記学習済みモデルは、前記データシートのブロック図に含まれる記号と、前記記号に対応する入出力の種類とを教師データとして学習され、出力として前記記号に関連するピンの前記入出力の種類を前記抽出情報として得る、付記19または20に記載のプログラム。
(付記22)
前記記号は、矢印の方向を含む矢印であり、前記記号に対応する入出力の種類は、前記矢印の方向に対応する入出力の種類である、付記21に記載のプログラム。
(付記23)
コンピュータに、さらに、
前記テーブルシートを用いて、あらかじめ決められたフォーマットの前記回路シンボルデータを生成する処理と、
前記テーブルシートを用いて、前記フォーマットの前記デザインルールチェックパラメータを生成する処理とを実行させる、付記19乃至22のいずれか1つに記載のプログラム。
(付記24)
コンピュータに、さらに、
前記抽出情報を情報処理端末に出力する処理と、
前記抽出情報の変更にかかる情報の入力を前記情報処理端末に要求する処理と、
受信した前記入力された情報を用いて前記抽出情報を変更する処理とを実行させる、付記19乃至23のいずれか1つに記載のプログラム。
(付記25)
前記学習済みモデルは、抽出した情報の確からしさを定量化した値である信頼度を併せて出力し、前記抽出手段は、前記抽出情報と前記信頼度とを紐づけて記憶部に記憶する、付記24に記載のプログラム。
(付記26)
前記抽出情報の出力において、コンピュータが、前記抽出情報のうち、前記データシートから前記抽出情報を抽出できなかった項目および前記信頼度の低い項目をハイライト表示する、付記25に記載のプログラム。
(付記27)
前記学習済みモデルは、変更された前記抽出情報を教師データとして再学習される、付記24乃至26のいずれか1つに記載のプログラム。
【符号の説明】
【0072】
1 情報生成システム
10、20 情報生成装置
11、21 解析部
12、22 抽出部
13 入力要求部
14、24 入出力分類名取得部
15、25 テーブルシート生成部
16 回路シンボル生成部
17 DRC(Design Rule Check)パラメータ生成部
18 記憶部
60 情報処理端末
70 データシート
80 入出力分類シート
90 コンピュータ装置
91 CPU(Central Processing Unit)
92 メモリ
93 記憶装置
94 入出力インタフェース
95 通信インタフェース
【要約】
【課題】 回路シンボルデータおよびデザインルールチェックパラメータを効率的に生成することを可能にする。
【解決手段】 データシートのテキスト情報およびデータシートの領域をセクションに区分した情報であるレイアウト情報を取得する解析手段と、機械学習された学習済みモデルに、データシート、テキスト情報、およびレイアウト情報を入力し、出力として、回路シンボルデータおよびデザインルールチェックパラメータの生成に使用される情報を格納するテーブルシートの生成に必要な項目の値である抽出情報を得る抽出手段と、入出力分類シートから、抽出情報を用いて、抽出情報の項目に対応する入力分類名および出力分類名を抽出情報と紐づけて取得する入出力分類名取得手段と、抽出情報と、抽出情報に紐づけられた入力分類名および出力分類名とを用いて、テーブルシートを生成するテーブルシート生成手段とを備える、情報生成装置。
【選択図】 図11
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13