(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】設計支援装置および設計支援方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/31 20200101AFI20240820BHJP
G06F 30/12 20200101ALI20240820BHJP
G06F 30/392 20200101ALI20240820BHJP
【FI】
G06F30/31
G06F30/12
G06F30/392
(21)【出願番号】P 2023503260
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(86)【国際出願番号】 JP2021008181
(87)【国際公開番号】W WO2022185448
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390015587
【氏名又は名称】株式会社図研
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 公一
(72)【発明者】
【氏名】生田 勝義
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-165649(JP,A)
【文献】特開2018-200625(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0205575(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 - 30/398
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路の編集を支援する編集支援装置であって、
接触式入力デバイスに対する操作を第1コマンドに変換する第1変換器と、
音声信号を第2コマンドに変換する第2変換器と、
前記第1コマンドおよび前記第2コマンドに従って前記電気回路を更新する編集部と、を備え、
前記編集部は、前記電気回路の一部を構成する導電性経路を構成する直線経路がある幅を持って始点から引かれている状態で前記第2変換器から前記第2コマンドとして前記導電性経路の幅を指定する幅指定コマンドが提供された場合に、前記直線経路の終点を確定し、前記終点を、前記幅指定コマンドによって指定された幅を持つ新たな直線経路の始点とする、
ことを特徴とする編集支援装置。
【請求項2】
前記編集部は、前記第1コマンドに従って、前記導電性経路を構成する前記直線経路を引く、
ことを特徴とする請求項1に記載の編集支援装置。
【請求項3】
前記編集部は、前記導電性経路が編集されている状態であり、かつ、前記導電性経路を現在の層から他の層にビアを介して接続する層変更を指示する層変更コマンドが入力された場合に、前記導電性経路を前記現在の層から前記第2コマンドによって指定された層にビアを介して接続するように前記導電性経路を更新する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の編集支援装置。
【請求項4】
前記導電性経路を現在の層から他の層にビアを介して接続する層変更を指示する層変更コマンドを実行する際の前記他の層を設定する設定部を更に備え、
前記編集部は、前記層変更コマンドが入力された場合に、前記導電性経路を前記現在の層から前記設定部によって設定されている前記他の層にビアを介して接続するように前記導電性経路を更新する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の編集支援装置。
【請求項5】
前記層変更コマンドは、前記第1コマンドの1つである、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の編集支援装置。
【請求項6】
前記接触式入力デバイスは、ポインティングデバイスを含み、
前記第1コマンドの1つである前記層変更コマンドは、前記ポインティングデバイスに対するダブルクリックに従って生成される、
ことを特徴とする請求項5に記載の編集支援装置。
【請求項7】
前記層変更コマンドは、前記第2コマンドの1つである、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の編集支援装置。
【請求項8】
前記編集部は、前記導電性経路が編集されている状態であり、かつ、前記第2コマンドが現在の層とは異なる層を指定する層指定コマンドである場合に、前記導電性経路を前記現在の層から前記層指定コマンドによって指定された層にビアを介して接続するように前記導電性経路を更新する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の編集支援装置。
【請求項9】
前記編集部は、前記導電性経路が編集されている状態であり、かつ、前記導電性経路を現在の層から他の層にビアを介して接続する層変更を指示する層変更コマンドが入力された場合に、前記導電性経路を前記現在の層から他の層にビアを介して接続するように前記導電性経路を更新し、
前記編集部は、前記他の層が前記第2コマンドによって指定された場合には、前記導電性経路を前記現在の層から前記第2コマンドによって指定された前記他の層に前記ビアを介して接続し、
前記編集部は、前記他の層が前記第2コマンドによって指定されない場合には、前記導電性経路を前記現在の層から前記他の層として予め設定されている層に前記ビアを介して接続するように前記導電性経路を更新する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の編集支援装置。
【請求項10】
電気回路の編集を支援する編集支援装置であって、
接触式入力デバイスに対する操作を第1コマンドに変換する第1変換器と、
音声信号を第2コマンドに変換する第2変換器と、
前記第1コマンドおよび前記第2コマンドに従って前記電気回路を更新する編集部と、を備え、
前記編集部は、前記電気回路の一部を構成する導電性経路の編集時に前記第2変換器から提供される前記第2コマンドに従って前記導電性経路を更新し、
前記編集部は、前記導電性経路が編集されている状態であり、かつ、前記導電性経路を現在の層から他の層にビアを介して接続する層変更を指示する層変更コマンドが入力された場合に、前記導電性経路を前記現在の層から他の層にビアを介して接続するように前記導電性経路を更新し、
前記編集部は、前記他の層が前記第2コマンドによって指定された場合には、前記導電性経路を前記現在の層から前記第2コマンドによって指定された前記他の層に前記ビアを介して接続し、
前記編集部は、前記他の層が前記第2コマンドによって指定されない場合には、前記導電性経路を前記現在の層から前記他の層として予め設定されている層に前記ビアを介して接続するように前記導電性経路を更新する、
ことを特徴とする編集支援装置。
【請求項11】
前記第2コマンドは、既に実行したコマンドをキャンセルするキャンセルコマンドを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の編集支援装置。
【請求項12】
前記キャンセルコマンドは、前記導電性経路が複数の区間で構成されている場合において、前記複数の区間のうち最新の区間を消去する区間消去コマンドを含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の編集支援装置。
【請求項13】
前記キャンセルコマンドは、前記導電性経路が複数の区間で構成されている場合において、前記複数の区間の全てを消去する全区間消去コマンドを含む、
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の編集支援装置。
【請求項14】
前記全区間消去コマンドは、前記導電性経路の生成の開始を指示するコマンドをキャンセルしない、
ことを特徴とする請求項13に記載の編集支援装置。
【請求項15】
前記全区間消去コマンドの直後に編集画面内をポインティングする前記第1コマンドは、新たな導電性経路の始点として認識される、
ことを特徴とする請求項14に記載の編集支援装置。
【請求項16】
前記キャンセルコマンドは、前記導電性経路の生成の開始を指示するコマンドをキャンセルするコマンドキャンセルコマンドを含む、
ことを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項に記載の編集支援装置。
【請求項19】
電気回路の編集を支援する編集支援方法であって、
接触式入力デバイスに対する操作を第1コマンドに変換する第1変換器、および、音声を第2コマンドに変換する第2変換器から前記第1コマンドおよび前記第1コマンドを受けるコマンド受信工程と、
前記第1コマンドおよび前記第2コマンドに従って前記電気回路を更新する更新工程と、を備え、
前記更新工程では、前記電気回路の一部を構成する導電性経路を構成する直線経路がある幅を持って始点から引かれている状態で前記第2変換器から前記第2コマンドとして前記導電性経路の幅を指定する幅指定コマンドが提供された場合に、前記直線経路の終点を確定し、前記終点を、前記幅指定コマンドによって指定された幅を持つ新たな直線経路の始点とする、
ことを特徴とする編集支援方法。
【請求項20】
電気回路の編集を支援する編集支援方法であって、
接触式入力デバイスに対する操作を第1コマンドに変換する第1変換器、および、音声を第2コマンドに変換する第2変換器から前記第1コマンドおよび前記第1コマンドを受けるコマンド受信工程と、
前記第1コマンドおよび前記第2コマンドに従って前記電気回路を更新する更新工程と、を備え、
前記更新工程では、前記電気回路の一部を構成する導電性経路の編集時に前記第2変換器から提供される前記第2コマンドに従って前記導電性経路を更新し、
前記更新工程では、前記導電性経路が編集されている状態であり、かつ、前記導電性経路を現在の層から他の層にビアを介して接続する層変更を指示する層変更コマンドが入力された場合に、前記導電性経路を前記現在の層から他の層にビアを介して接続するように前記導電性経路を更新し、
前記更新工程では、前記他の層が前記第2コマンドによって指定された場合には、前記導電性経路を前記現在の層から前記第2コマンドによって指定された前記他の層に前記ビアを介して接続し、
前記更新工程では、前記他の層が前記第2コマンドによって指定されない場合には、前記導電性経路を前記現在の層から前記他の層として予め設定されている層に前記ビアを介して接続するように前記導電性経路を更新する、
ことを特徴とする編集支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計支援装置および設計支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PCB(プリント配線基板)等の電気回路をCAD(computer-aided design)装置のような設計支援装置を使って設計する場合、作業の大部分は導電性経路の編集である。複数の直線区間を含む導電性経路を編集する場合、例えば、ポインティングデバイスを使って、複数の直線区間が順に確定されてゆく。この際に、導電性経路の途中で導電性経路の幅を変更しようとすると、カーソル(ポインタ)を導電性経路の編集位置から数値入力フィールドに移動させ、キーボードを使って数値を入力してエンターキーを押し、ポインティングデバイスを使ってカーソルを元の編集位置に戻す必要がある。このような作業は非常に不効率である。なお、ここで挙げた作業は1つの例に過ぎず、現在の導電性経路の編集作業は、種々の不効率な作業を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本発明は、導電性経路を効率的に編集するために有利な技術を提供する。
【0005】
本発明の1つの側面は、電気回路の編集を支援する編集支援装置に係り、前記編集支援装置は、接触式入力デバイスに対する操作を第1コマンドに変換する第1変換器と、音声信号を第2コマンドに変換する第2変換器と、前記第1コマンドおよび前記第2コマンドに従って前記電気回路を更新する編集部と、を備え、前記編集部は、前記電気回路の一部を構成する導電性経路の編集時に前記第2変換器から提供される前記第2コマンドに従って前記導電性経路を更新する。
【0006】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
【
図1】一実施形態のコンピュータシステムの構成を示す図。
【
図4】
図3のステップS306における具体的な処理を例示する図。
【
図5】
図3のステップS302における具体的な処理を例示する図。
【
図6】層変更コマンドの実行時における現在の層と変更後の層(他の層)との関係を例示する図。
【
図7】導電性経路の生成の開始を指示する配線コマンドの入力に従って導電性経路を生成する編集作業を例示する図。
【
図8】導電性経路の生成の開始を指示する配線コマンドの入力に従って導電性経路を生成する編集作業を例示する図。
【
図9】導電性経路の生成の開始を指示する配線コマンドの入力に従って導電性経路を生成する編集作業を例示する図。
【
図10】導電性経路の生成の開始を指示する配線コマンドの入力に従って導電性経路を生成する編集作業を例示する図。
【
図11】導電性経路の生成の開始を指示する配線コマンドの入力に従って導電性経路を生成する編集作業を例示する図。
【
図12】導電性経路の生成の開始を指示する配線コマンドの入力に従って導電性経路を生成する編集作業を例示する図。
【
図13】第2コマンドとしてのキャンセルコマンドに応じた動作を例示する図。
【
図14】第2コマンドとしてのキャンセルコマンドに応じた動作を例示する図。
【
図15】第2コマンドとしてのキャンセルコマンドに応じた動作を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
図1には、一実施形態のコンピュータシステム100の構成が例示されている。コンピュータシステム100は、例えば、編集支援装置20と、キーボード10と、ポインティングデバイス12と、マイク14と、ディスプレイ30とを含みうる。キーボード10、ポインティングデバイス12、マイク14およびディスプレイ30の全部または一部は、編集支援装置20の構成要素として理解されてもよい。
【0010】
キーボード10およびポインティングデバイス12は、接触式入力デバイスの例である。接触式入力デバイスは、それに対してユーザが体の一部を直接的に、または間接的に接触させることによって情報(コマンドを含む)を入力するためのデバイスである。間接的な接触は、例えば、手袋または衣類等のようにユーザが身に着ける物品を介した接触、または、ペン等の道具を使った接触を含みうる。ポインティングデバイス12は、例えば、マウス、または、タッチパッドを含みうる。マイク14は、音声信号を入力するデバイスである。
【0011】
編集支援装置20は、CPU(プロセッサ)およびメモリ等を含む汎用または専用のコンピュータにコンピュータプログラムである編集支援プログラムあるいは設計支援ツールを組み込むことによって構成されうる。編集支援プログラムあるいは設計支援ツールは、それ自体が発明を構成しうる。また、編集支援プログラムあるいは設計支援ツールを格納したコンピュータ可読媒体(CD、DVD等のディスク、または、不揮発性メモリ媒体など)もまた発明を構成しうる。編集支援装置20の構成の全部または一部が、本願が出願された国または地域の外に置かれ、本願が出願された国または地域に置かれたコンピュータを実質的または仮想的に編集支援装置20として動作させる場合にも、当該コンピュータは編集支援装置20として解釈される。
【0012】
編集支援装置20は、PCB(プリント配線基板)または半導体デバイス等の電気回路の編集を支援するように構成されうる。編集支援装置20は、例えば、第1変換器22と、第2変換器24と、編集部26とを含みうる。第1変換器22は、接触式入力デバイスの例であるキーボード10およびポインティングデバイス12に対するユーザによる操作を第1コマンドに変換して編集部26に提供しうる。第1コマンドは、編集部26あるいは編集支援装置20に何らかの動作を実行させるための情報であり、例えば、数値および/または文字を伴っていてもよい。他の観点において、第1変換器22は、キーボード10およびポインティングデバイス12から提供される情報あるいは信号を第1コマンドに変換して編集部26に提供しうる。
【0013】
第2変換器24は、ユーザからマイク14を介して提供される音声信号を第2コマンドに変換して編集部26に提供しうる。他の観点において、第2変換器24は、マイク14から提供される音声信号を第2コマンドに変換して編集部26に提供しうる。第2コマンドは、編集部26あるいは編集支援装置20に何らかの動作を実行させるための情報であり、例えば、数値および/または文字を伴っていてもよい。
【0014】
第1コマンドおよび第2コマンドは、ある動作の実行を開始させるメインコマンドと、それに付随する1または複数のサブコマンドを含んでもよく、更にメインコマンドによって実行開始された動作を終了させる終了コマンドを含んでもよい。
【0015】
ディスプレイ30には、編集部26による制御によって、例えば、編集中の電気回路(電気回路データ)を視覚化した情報、および、編集のための情報(例えば、コマンドメニュー)が表示されうる。
【0016】
編集部26は、第1変換器22から提供される第1コマンドおよび第2変換器24から提供される第2コマンドに従って電気回路(電気回路データ)を更新しうる。編集部26は、例えば、電気回路の一部を構成する導電性経路の編集時に第2変換器24から提供される第2コマンドに従って導電性経路を更新するように構成されうる。
【0017】
編集部26は、導電性経路を現在の層から他の層にビアを介して接続する層変更を指示する層変更コマンドを実行する際の該他の層を設定する設定部28を含んでもよい。
図6には、層変更コマンドの実行時における現在の層と変更後の層(他の層)との関係が例示されている。設定部28は、導電性経路を現在の層から他の層にビアを介して接続する層変更を指示する層変更コマンドを実行する際の該他の層を第1コマンドに従って設定するように構成されうる。あるいは、設定部28は、導電性経路を現在の層から他の層にビアを介して接続する層変更を指示する層変更コマンドを実行する際の該他の層を第2コマンドに従って設定するように構成されうる。あるいは、設定部28は、導電性経路を現在の層から他の層にビアを介して接続する層変更を指示する層変更コマンドを実行する際の該他の層を第1コマンドに従って設定し、かつ、設定部28は、導電性経路を現在の層から他の層にビアを介して接続する層変更を指示する層変更コマンドを実行する際の該他の層を第2コマンドに従って設定するように構成されうる。
【0018】
図6の例では、編集部26は、第1層の編集時(現在の層が第1層である例)に層変更コマンドが入力されると、第1層から第3層に至るビアを発生し、編集対象の層を第1層から第3層に変更しうる。層変更コマンドは、第1コマンドとして、即ちキーボード10またはポインティングデバイス12の操作に応じて第1変換器22によって生成されうる。一例において、層変更コマンドは、ポインティングデバイス12がダブルクリックされることによって発生されうる。他の例において、層変更コマンドは、ディスプレイ30に表示されたコマンドメニューからポインティングデバイス12を使って1つのコマンドが選択されることによって発生されうる。更に他の例において、層変更コマンドは、ポインティングデバイス12がダブルクリックされることによって発生されうる。層変更コマンドは、第2コマンドとして、即ちマイク14に対する音声信号の入力に応じて第2変換器24によって生成されてもよい。
【0019】
前述の編集支援プログラムあるいは設計支援ツールは、コンピュータを第1変換器22、第2変換器24および編集部26を含む編集支援装置20として動作させるために、第1変換器22、第2変換器24および編集部26にそれぞれ対応する第1変換サブプログラム、第2変換サブプログラムおよび更新サブプログラムを含みうる。
【0020】
編集支援装置20あるいはコンピュータシステム100によって、電気回路の編集を支援する編集支援方法が実行されうる。該編集支援方法は、例えば、コマンド受信工程および更新工程を含みうる。該コマンド受信工程は、接触式入力デバイスに対する操作を第1コマンドに変換する第1変換器22、および、音声を第2コマンドに変換する第2変換器24から第1コマンドおよび前記第2コマンドを受け取る工程でありうる。該更新工程は、第1コマンドおよび第2コマンドに従って電気回路を更新する工程でありうる。該更新工程では、電気回路の一部を構成する導電性経路の編集時に第2変換器24から提供される第2コマンドに従って導電性経路を更新しうる。
【0021】
図2には、第2変換器24の動作が例示されている。
図2に例示される動作は、それが起動されることによって開始される。第2変換器24の起動は、例えば、音声入力を開始すべきコマンドが第1コマンドとして入力されることによってなされうる。あるいは、第2変換器24の起動は、編集支援装置20の起動に応答してなされうる。
【0022】
ステップS201では、第2変換器24は、マイク14から音声信号が入力されたか否かを継続的に判断し、音声信号が入力されたらステップS202に進む。ステップS202では、第2変換器24は、マイク14から入力された音声信号を第2コマンドに変換するとともに、その第2コマンドの信頼度(確からしさ)を決定しうる。ステップS203では、第2変換器24は、ステップS202で決定した信頼度が予め設定された閾値以上であるかどうかを判断し、該信頼度が該閾値以上であれば、ステップS204に進み、そうでなければ、ステップS201に戻る。ステップS204では、第2変換器24は、ステップS202で変換された第2コマンドを編集部26に提供あるいは出力する。
図2に示された第2変換器24の動作は例示に過ぎず、第2変換器24は、より単純化されてもよいし、より複雑化されてもよい。また、第2変換器24には学習機能が組み込まれてもよい。なお、音声信号のテキスト化、テキストからの意図するコマンドの選定、選定結果の信頼度の算出には、例えば、Microsoft社が提供しているAzureの「Speech to Text」及び「Language Understanding(LUIS)」等を利用することができる。
【0023】
図3には、編集部26の動作が例示されている。ステップS301では、編集部26は、第1変換器22から第1コマンドが入力されたかどうかを判断し、第1コマンドが入力されたらステップS302に進み、そうでなければステップS301を繰り返す。第1コマンドは、例えば、導電性経路(配線)の生成の開始を指示する配線コマンドでありうる。あるいは、第1コマンドは、現在の編集対象の層を他の層に変更する層変更コマンドでありうる。第1コマンドは、設定部28による設定を指示する設定コマンドでありうる。あるいは、第1コマンドは、部品を配置することを指示する部品配置コマンドでありうる。ステップS302では、編集部26は、ステップS301で入力される第1コマンドを実行する。第1コマンドは、ステップS302の1回の実行で完了するものもありうるし、そうでないものもありうる。配線コマンドは、後者の一例である。第1コマンドは、既に実行されていた配線コマンドの終了を指示する終了コマンドであってもよい。第1コマンドは、ディスプレイ30に表示されたコマンドメニューからポインティングデバイス12を使って選択されるコマンドでありうる。
【0024】
ステップS303では、編集部26は、第2コマンドが入力されたかどうかを判断し、第2コマンドが入力されたらステップS304に進み、そうでなければステップS301に戻る。
【0025】
ステップS304では、編集部26は、導電性経路を編集中であるかどうか、即ち経路編集コマンド(配線コマンド)を実行中であるかどうかを判断し、導電性経路を編集であればステップS305に進み、そうでなければステップS307に進む。ステップS305では、編集部26は、ステップS303で入力された第2コマンドが、導電性経路の編集に関する経路編集コマンドであるかどうかを判断し、該第2コマンドが経路編集コマンドであればステップS306に進み、そうでなければステップS307に進む。ここで、ステップS306に進むことは、現時点で導電性経路が編集されている状態であり、かつ、ステップS303で入力された第2コマンドが経路編集コマンドであることを意味する。
【0026】
ステップS306では、編集部26は、ステップS303で入力された第2コマンドである経路編集コマンドに従って導電性経路を更新する。つまり、編集部26は、導電性経路が編集されている状態であり、かつ、第2コマンドが導電性経路の編集に関する経路編集コマンドである場合に、ステップS306では、その経路編集コマンドに従って導電性経路を更新する。
【0027】
ステップS307では、編集部26は、第2コマンドが適切なコマンドであるかどうかを判断し、第2コマンドが適切なコマンドであれば、ステップS308において、その第2コマンドを実行する。例えば、導電性経路を編集中にオブジェクトを配置することを指示する第2コマンドは、適切ではないコマンドである。換言すると、第2コマンドが、それを実行することが現在の編集作業に矛盾するものである場合、該第2コマンドを適切ではないコマンドである。
【0028】
図4には、
図3のステップS306における具体的な処理の例が示されている。ステップS401では、編集部26は、ステップS303で入力された第2コマンド(ステップS305で経路編集コマンドであると判断された第2コマンド)が導電性経路の幅を指定する幅指定コマンドであるかどうかを判断し、該第2コマンドが幅指定コマンドであればステップS402に進み、そうでなければステップS404に進む。ステップS402では、編集部26は、幅指定コマンドに従って導電性経路を更新する。ここで、導電性経路は、複数の直線経路(区間)で構成されることができ、第1コマンドとしての経路変数コマンドに従って導電性経路を構成する直線経路がある幅を持って始点から引かれている状態で第2コマンドとしての幅指定コマンドが提供された場合に、編集部26は、ステップS402において、該直線経路の終点を確定し、ステップS403において、該終点を、該幅指定コマンドによって指定された幅を持つ新たな直線経路の始点とすることができる。この場合、該新たな始点として、幅指定コマンドによって指定された幅を持つ新たな直線経路が第1コマンドに従って引き始められることになりうる。このような処理については、後に説明する
図7に例示されている。その後、編集部26は、
図3のステップS301に戻る。
【0029】
上記のような処理とは異なり、ステップS302において第1コマンドに従って導電性経路を構成する直線経路がある幅を持って始点から引かれ始めた後に、該直線経路の編集に関して第2コマンドの入力がなく、再びステップS301において、例えば、ポインティングデバイス12に対するクリックに従って第1コマンドが生成され、その第1コマンドに従って該直線経路の終点が確定される場合もありうる。その後、ステップS303において第2コマンドとしての幅指定コマンドが入力されると、ステップS304、S305を経てステップS306に至り、更にステップS401を経てステップS402に至りうる。この場合、ステップS402の実行はスキップされ、ステップS403に進みうる。ステップS403において、該終点を、該幅指定コマンドによって指定された幅を持つ新たな直線経路の始点とすることができる。この場合、該新たな始点として、幅指定コマンドによって指定された幅を持つ新たな直線経路が第1コマンドに従って引き始められることになりうる。このような処理については、後に説明する
図8に例示されている。
【0030】
ステップS404では、編集部26は、ステップS303で入力された第2コマンド(ステップS305で経路編集コマンドであると判断された第2コマンド)が現在の層から他の層にビアを介して接続する層変更を指示する層変更コマンドであるかどうかを判断し、該第2コマンドが層変更コマンドであればステップS405に進み、そうでなければステップS406に進む。
【0031】
ステップS405において、編集部26は、導電性経路を現在の層から設定部に28よって設定されている他の層(
図6参照)にビアを介して接続するように導電性経路を更新する。つまり、編集部26は、導電性経路が編集されている状態であり、かつ、導電性経路を現在の層から他の層にビアを介して接続する層変更を指示する層変更コマンドが入力された場合に、導電性経路を現在の層から設定部28によって設定されている他の層にビアを介して接続するように導電性経路を更新する。このような処理については、後に説明する
図9に例示されている。その後、編集部26は、
図3のステップS301に戻る。
【0032】
ステップS406では、編集部26は、ステップS303で入力された第2コマンド(ステップS305で経路編集コマンドであると判断された第2コマンド)が、現在の層とは異なる層を指定する層指定コマンドであるかどうかを判断し、該第2コマンドが層指定コマンドであればステップS407に進み、そうでなければステップS408に進む。
【0033】
ステップS407では、編集部26は、導電性経路を現在の層から層指定コマンドによって指定された層にビアを介して接続するように導電性経路を更新する。つまり、編集部26は、導電性経路が編集されている状態であり、かつ、第2コマンドが現在の層とは異なる層を指定する層指定コマンドである場合に、導電性経路を現在の層から層指定コマンドによって指定された層にビアを介して接続するよう記導電性経路を更新する。このような処理については、後に説明する
図10に例示されている。その後、編集部26は、
図3のステップS301に戻る。
【0034】
ステップS408では、編集部26は、層編集コマンドとしての第2コマンドは適切なコマンドであるかどうかを判断し、第2コマンドが適切なコマンドであれば、ステップS409において、その第2コマンドを実行する。
【0035】
図5には、
図3のステップS302における具体的な処理の例が示されている。ステップS501では、編集部26は、ステップS301で入力された第1コマンドが現在の層から他の層にビアを介して接続する層変更を指示する層変更コマンドであるかどうかを判断し、該第2コマンドが層変更コマンドであればステップS502に進み、そうでなければステップS505に進む。第1コマンドとして与えられうる層変更コマンドは、例えば、ポインティングデバイス12に対するダブルクリックに従って第1変換器22によって生成されうる。
【0036】
ステップS502では、編集部26は、第2コマンドによって行先の層(ビアで接続する先の層)のが指定されたかどうかを判断し、行先が指定されなかった場合は、ステップS503に進み、そうでない場合は、ステップS504に進む。
【0037】
ステップS503において、編集部26は、導電性経路を現在の層から設定部に28よって設定されている他の層(
図6参照)にビアを介して接続するように導電性経路を更新する。つまり、編集部26は、層変更コマンドが入力され、第2コマンドによって行先の層が指定されない場合、導電性経路を現在の層から設定部28によって設定されている他の層にビアを介して接続するように導電性経路を更新する。このような処理については、後に説明する
図11に例示されている。その後、編集部26は、
図3のステップS303に進む。
【0038】
ステップS504では、編集部26は、導電性経路を現在の層から第2コマンドによって指定された層にビアを介して接続するように導電性経路を更新する。つまり、編集部26は、編集部26は、層変更コマンドが入力され、2コマンドによって行先の層が指定された場合、導電性経路を現在の層から2コマンドによって指定された層にビアを介して接続するように導電性経路を更新する。このような処理については、後に説明する
図12に例示されている。その後、編集部26は、
図3のステップS301に戻る。
【0039】
ステップS505では、編集部26は、継続中のコマンドに対して最新の第1コマンドが適切なコマンドであるかどうかを判断し、最新の第1コマンドが適切なコマンドであれば、ステップS506において、その最新のコマンドを実行する。一方、最新の第1コマンドが継続中のコマンドに対して適切でないコマンドであれば、編集部26は、ステップS507において、その継続中であった第1コマンドをキャンセルし、最新の第1コマンドを実行しうる。
【0040】
図4のステップS409で実行されうる第2コマンドは、既に実行したコマンドをキャンセルするキャンセルコマンドを含みうる。キャンセルコマンドは、導電性経路が複数の区間(直線経路)で構成されている場合において、該複数の区間のうち最新の区間を消去する区間消去コマンドを含みうる。
【0041】
キャンセルコマンドは、導電性経路が複数の区間で構成されている場合において、該複数の区間の全てを消去する全区間消去コマンドを含んでもよい。全区間消去コマンドは、導電性経路の生成を開始するコマンド(前述の経路編集コマンド)をキャンセルしなくてもよい。例えば、全区間消去コマンドの直後に編集画面内をポインティングする第1コマンドは、新たな導電性経路の始点として認識されうる。
【0042】
キャンセルコマンドは、導電性経路の生成の開始を指示するコマンドをキャンセルするコマンドキャンセルコマンドを含んでもよい。
【0043】
図7を参照しながら導電性経路の生成の開始を指示する経路編集コマンドの入力に従って導電性経路を生成する編集作業を例示的に説明する。
図7に示される表示は、ディスプレイ30の編集画面に表示される電気回路を模式的に示している。導電性経路は、1または複数の直線経路(区間)で構成されうる。
図7において、黒丸は、導電性経路を構成する複数の直線経路の始点および/または終点を模式的に示している。また、
図7において、矢印は、カーソル(ポインタ)を示している。
【0044】
ステップST101では、編集中の導電性経路を構成する第1直線経路711の終点を始点とする第2直線経路702が仮表示されているが、第2直線経路702はまだ確定していない。
【0045】
ステップST102では、音声信号に応じて第2変換器24によって生成される第2コマンドとしての幅指定コマンドによって第3直線経路703の幅が指定されている。幅指定コマンド(この例は、幅を0.75μmとすることを指示する幅指定コマンド)の入力によって第2直線経路702が第2直線経路712として確定する。これは、第2直線経路712の終点PE2が確定することを意味する。終点PE2は、幅指定コマンドによって指定された幅を持つ新たな第3直線経路703の始点PS3とすることができる。この場合、該新たな始点PS3として、幅指定コマンドによって指定された幅(0.75μm)を持つ新たな第3直線経路703がポインティングデバイス12の操作に応じて第1変換器22によって生成される第1コマンドに従って引き始められることになりうる。
【0046】
図8を参照しながら導電性経路の生成の開始を指示する経路編集コマンドの入力に従って導電性経路を生成する編集作業を例示的に説明する。
図8に示される表示は、ディスプレイ30の編集画面に表示される電気回路を模式的に示している。導電性経路は、1または複数の直線経路(区間)で構成されうる。
図8において、黒丸は、導電性経路を構成する複数の直線経路の始点および/または終点を模式的に示している。また、
図8において、矢印は、カーソル(ポインタ)を示している。
【0047】
ステップST111では、編集中の導電性経路を構成する第1直線経路711の終点を始点とする第2直線経路702が仮表示されているが、第2直線経路702はまだ確定していない。
【0048】
ステップST112では、ポインティングデバイス12の操作(この例では、クリック)に応じて第1変換器22によって生成される第1コマンドによって第2直経経路702が第2直線経路712として確定する。これは、第2直線経路712の終点PE2が確定することを意味する。終点PE2は、新たな第3直線経路703の始点PS3とすることができる。
【0049】
ステップST113では、音声信号に応じて第2変換器24によって生成される第2コマンドとしての幅指定コマンドによって第3直線経路703の幅が指定されている。幅指定コマンド(この例は、幅を0.75μmとすることを指示する幅指定コマンド)の入力によって第3直線経路703の幅が幅指定コマンドによって指定された幅(0.75μm)に指定される。
【0050】
図9を参照しながら導電性経路の生成の開始を指示する経路編集コマンドの入力に従って導電性経路を生成する編集作業を例示的に説明する。
図9に示される表示は、ディスプレイ30の編集画面に表示される電気回路を模式的に示している。導電性経路は、1または複数の直線経路(区間)で構成されうる。
図9において、矢印は、カーソル(ポインタ)を示している。
【0051】
ステップST201では、導電性経路が編集されている状態において、音声信号に応じて第2変換器24によって生成される第2コマンドとして層変更コマンドが入力される。ここで、層変更コマンドの入力に応じて編集中の直線経路911(換言すると、直線経路911の終点)が確定してもよいし、編集中の直線経路911(換言すると、直線経路911の終点)が第1コマンド等に従って確定した後に、第2コマンドとして層変更コマンドが入力されてもよい。
【0052】
ステップST202では、編集部26は、ステップST201で入力された層変更コマンドに従ってビア912を発生し、導電性経路を現在の層(この例では、第1層)から設定部に28よって設定されている他の層(
図6参照)にビア912を介して接続するように導電性経路を更新する。
【0053】
ステップST203では、編集部26は、編集対象の操作をビア912の接続先の層(この例では、第5層)に変更する。ステップST204では、編集部26は、ビア912から延びる新たな直線経路903をポインティングデバイス12の操作に応じて第1変換器22によって生成される第1コマンドに従って引き始める。
【0054】
図10を参照しながら導電性経路の生成の開始を指示する経路編集コマンドの入力に従って導電性経路を生成する編集作業を例示的に説明する。
図10に示される表示は、ディスプレイ30の編集画面に表示される電気回路を模式的に示している。導電性経路は、1または複数の直線経路(区間)で構成されうる。
図10において、矢印は、カーソル(ポインタ)を示している。
【0055】
ステップST211では、導電性経路が編集されている状態において、音声信号に応じて第2変換器24によって生成される第2コマンドとして層指定コマンドが入力される。ここで、層指定コマンドの入力に応じて編集中の直線経路911(換言すると、直線経路911の終点)が確定してもよいし、編集中の直線経路911(換言すると、直線経路911の終点)が第1コマンド等に従って確定した後に、第2コマンドとして層指定コマンドが入力されてもよい。この例では、第1層を編集中に第1層以外の層(ここでは、第3層)を指定する層指定コマンドが入力される。
【0056】
ステップST212では、編集部26は、ステップST211で入力された層指定コマンドに従ってビア912を発生し、導電性経路を現在の層(この例では、第1層)か層指定コマンドによって指定された層(この例では、第3層)にビア912を介して接続するように導電性経路を更新する。
【0057】
ステップST213では、編集部26は、編集対象の操作をビア912の接続先の層(この例では、第5層)に変更する。ステップST214では、編集部26は、ビア912から延びる新たな直線経路903をポインティングデバイス12の操作に応じて第1変換器22によって生成される第1コマンドに従って引き始める。
【0058】
図11を参照しながら導電性経路の生成の開始を指示する経路編集コマンドの入力に従って導電性経路を生成する編集作業を例示的に説明する。
図11に示される表示は、ディスプレイ30の編集画面に表示される電気回路を模式的に示している。導電性経路は、1または複数の直線経路(区間)で構成されうる。
図11において、矢印は、カーソル(ポインタ)を示している。
【0059】
ステップST221では、導電性経路が編集されている状態において、ポインティングデバイス12又はキーボード10の操作に応じて第1変換器22によって生成される第1コマンドとして層変更コマンドが入力される。ここで、層変更コマンドの入力に応じて編集中の直線経路911(換言すると、直線経路911の終点)が確定してもよいし、編集中の直線経路911(換言すると、直線経路911の終点)が第1コマンド等に従って確定した後に、第1コマンドとして層変更コマンドが入力されてもよい。
【0060】
ステップST222では、編集部26は、ステップST221で入力された層変更コマンドに従ってビア912を発生し、導電性経路を現在の層(この例では、第1層)から設定部に28よって設定されている他の層(
図6参照)にビア912を介して接続するように導電性経路を更新する。
【0061】
ステップST223では、編集部26は、編集対象の操作をビア912の接続先の層(この例では、第5層)に変更する。ステップST214では、編集部26は、ビア912から延びる新たな直線経路903をポインティングデバイス12の操作に応じて第1変換器22によって生成される第1コマンドに従って引き始める。
【0062】
図12を参照しながら導電性経路の生成の開始を指示する経路編集コマンドの入力に従って導電性経路を生成する編集作業を例示的に説明する。
図12に示される表示は、ディスプレイ30の編集画面に表示される電気回路を模式的に示している。導電性経路は、1または複数の直線経路(区間)で構成されうる。
図12において、矢印は、カーソル(ポインタ)を示している。
【0063】
ステップST231では、導電性経路が編集されている状態において、ポインティングデバイス12又はキーボード10の操作に応じて第1変換器22によって生成される第1コマンドとして層変更コマンドが入力される。
ここで、層変更コマンドの入力に応じて編集中の直線経路911(換言すると、直線経路911の終点)が確定してもよいし、編集中の直線経路911(換言すると、直線経路911の終点)が第1コマンド等に従って確定した後に、第1コマンドとして層変更コマンドが入力されてもよい。
【0064】
ステップST232では、音声信号に応じて第2変換器24によって生成される第2コマンドとして層指定コマンドが入力される。編集部26は、この層指定コマンドに従ってビア912を発生し、導電性経路を現在の層(この例では、第1層)から層指定コマンドによって指定された層(この例では、第3層)にビア912を介して接続するように導電性経路を更新する。
【0065】
ステップST233では、編集部26は、編集対象の操作をビア912の接続先の層(この例では、第3層)に変更する。ステップST234では、編集部26は、ビア912から延びる新たな直線経路903をポインティングデバイス12の操作に応じて第1変換器22によって生成される第1コマンドに従って引き始める。
【0066】
図13を参照しながら第2コマンドとしてのキャンセルコマンドに応じた動作を例示的に説明する。
図13に示された例では、キャンセルコマンドは、導電性経路が複数の区間(直線経路)1301、1302、1303で構成されている場合において、複数の区間1301、1302、1303のうち最新の区間を消去する区間消去コマンドを含みうる。
【0067】
ステップST301において、複数の区間1301、1302、1303が確定している。ステップST302において、編集部26は、音声信号に応じて第2変換器24によって生成される第2コマンドとしての区間消去キャンセルコマンドに応じて、確定している複数の区間1301、1302、1303のうち最新の区間1303を消去する。ステップST303において、編集部26は、第2コマンドとしての区間消去キャンセルコマンドに応じて、確定している複数の区間1301、1302のうち最新の区間1302を消去する。ステップST304において、編集部26は、第2コマンドとしての区間消去キャンセルコマンドに応じて、確定している最新の区間1301を消去する。
【0068】
図14を参照しながら第2コマンドとしてのキャンセルコマンドに応じた動作を例示的に説明する。
図14に示された例では、キャンセルコマンドは、導電性経路が複数の区間(直線経路)1301、1302、1303で構成されている場合において、複数の区間1301、1302、1303の全てを消去する全区間消去コマンドである。区間消去コマンドは、導電性経路の生成の開始を指示するコマンド(配線コマンド)をキャンセルしなくてもよい。例えば、全区間消去コマンドの直後に編集画面内をポインティングする第1コマンドは、新たな導電性経路の始点として認識されうる。
【0069】
ステップST311では、複数の区間1301、1302、1303が確定している。ステップST312において、編集部26は、音声信号に応じて第2変換器24によって生成される第2コマンドとしての全区間消去キャンセルコマンドに応じて、確定している複数の区間1301、1302、1303の全てを消去する。一方、編集部26は、導電性経路の生成の開始を指示するコマンド(配線コマンド)をキャンセルしない。よって、次のコマンドは、最初の直線経路1311の始点を決定する入力として扱われうる。したがって、全区間消去コマンドの直後に編集画面内をポインティングする第1コマンドは、新たな導電性経路の始点として認識されうる。
【0070】
ステップST313では、編集部26は、ポインティングデバイス12の操作に応じて第1変換器22によって生成される第1コマンドに従って、全区間消去コマンドの後の第1直線経路1311を生成あるいは確定しうる。ステップST314では、編集部26は、ポインティングデバイス12の操作に応じて第1変換器22によって生成される第1コマンドに従って、第1直線経路1311に続く第2直線経路を生成あるいは確定しうる。
【0071】
図15を参照しながら第2コマンドとしてのキャンセルコマンドに応じた動作を例示的に説明する。
図15に示された例では、キャンセルコマンドは、導電性経路の生成の開始を指示するコマンド(配線コマンド)をキャンセルするコマンドキャンセルコマンドを含んである。ステップST321では、複数の区間1301、1302、1303が確定している。ステップST322において、編集部26は、音声信号に応じて第2変換器24によって生成される第2コマンドとしてのコマンドキャンセルコマンドに応じて、確定している複数の区間1301、1302、1303の全てを消去し、配線コマンドをキャンセルする。したがって、編集部26は、次の配線コマンドまたは配置コマンド等の編集コマンドの入力を待状態になる。
【0072】
音声信号に応じて第2変換器24によって生成される第2コマンドは、上記の例に限定されるものではない。第2コマンドは、例えば、信号名、素子名、回路記号名、端子名等の名称を検索、入力または変更するコマンドであってもよい。第2コマンドは、例えば、グリッドのON(表示)/OFF(非表示)、配線角度のロック/アンロック、リアルタイムDRCのオン/オフなどの設定を指示するコマンドを含んでもよい。第2コマンドは、視覚化された電気回路の編集対象領域の大/縮小、左右上下へのスクロール等のウインドウ操作を指示するコマンドを含んでもよい。
【0073】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。