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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】青色染料を含む毛髪染色組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20240820BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20240820BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20240820BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20240820BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/41
A61K8/46
A61K8/02
A61Q5/10
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023516795
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2021075792
(87)【国際公開番号】W WO2022069281
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】20199264.1
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルムビア,スーザン
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-524331(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0258695(US,A1)
【文献】特開2019-151615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1種又は複数種のアルカリ化剤、
b)HCブルー18及び/又はその塩 0.001重量%以上0.75重量%以下
c)テトラブロモフェノールブルー及び/又はその塩 0.02重量%以上0.5重量%以下
を含み、b)による化合物に対するc)による化合物の重量比が0.8以上140以下の範囲である、ケラチン繊維のための染色組成物。
【請求項2】
酸化染料前駆体、酸化染料カプラー、及び/又は直接染料から選択される、b)及びc)群とは異なる1種又は複数種の染料化合物を4重量%以下含むか、或いは
酸化染料前駆体、酸化染料カプラー、及び/又は直接染料から選択される、b)及びc)群とは異なる1種又は複数種の染料化合物を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
a)による1種又は複数種の化合物が、1種若しくは複数種の有機アルカリ化剤及び/又はアンモニア及び/又はその塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
a)による1種又は複数種の化合物が、1種若しくは複数種のアルカノールアミン及び/若しくはその/それらの塩並びに/又はアンモニア及び/若しくはその塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
a)による1種又は複数種の化合物が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールメチルアミン、モノエタノールジメチルアミン、ジエタノールメチルアミン、モノエタノールエチルアミン、モノエタノールジエチルアミン、ジエタノールエチルアミン、モノエタノールプロピルアミン、モノエタノールジプロピルアミン、ジエタノールプロピルアミン、モノエタノールブチルアミン、ジエタノールブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン及び/若しくはその/それらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
a)による化合物の全濃度が、組成物の全重量に対して計算して、0.1重量%~40重量%の範囲である、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
7~12の範囲のpHを有する水性組成物である、請求項1~のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
d)による化合物として1種又は複数種の有機溶媒を含み、組成物の全重量に対して計算して、水の含有量が1重量%未満である、25℃及び大気圧で液体の組成物である、請求項1~のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
粉末組成物であり、任意に、e)による化合物として1種又は複数種の粉状賦形剤を含む、請求項1~のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
f)による化合物として1種又は複数種の親油性化合物を含む、請求項1~のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
エマルジョンであり、C12~C22の範囲の分岐又は直鎖の飽和又は不飽和の炭素鎖長を有する脂肪アルコール、C12~C22の範囲の分岐又は直鎖の飽和又は不飽和の炭素鎖長を有する脂肪酸、エステル油、植物油、シリコーン油、パラフィン油から選択される、f)による1種又は複数種の化合物を含む、請求項又は10に記載の組成物。
【請求項12】
g)による化合物として、1種又は複数種の界面活性剤を含む、請求項1~11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
g)による化合物として、非イオン性、陽イオン性、陰イオン性、双性イオン性/両性界面活性剤から選択される1種又は複数種の界面活性剤を含む、請求項1~11のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の第1の組成物と、1~6の範囲のpHを有し、任意に1種又は複数種の酸化剤を含む第2の水性組成物とを含む、二剤式染色組成物。
【請求項15】
- 請求項1~13に記載のa)による化合物及びb)による化合物を含む、第1の組成物と、
- 請求項1~13に記載のa)による化合物及びc)による化合物を含む、7~12の範囲のpHを有する第2の水性組成物と、
- 1~6の範囲のpHを有し、任意に1種又は複数種の酸化剤を含む、第3の水性組成物と
を含む、キットオブパーツ。
【請求項16】
i)請求項1~13のいずれかに記載の組成物を、請求項14に記載の第2の水性組成物と混合して、7~12の範囲のpHを有する、即時使用可能な組成物を得るステップと、
ii)即時使用可能な組成物をケラチン繊維上に適用し、それを1分~60分間の範囲の間、放置するステップと、
iii)ケラチン繊維をすすぎ、任意にケラチン繊維をシャンプーするステップと
を含む、ケラチン繊維を染色するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための染色組成物、キットオブパーツ(kit-of-parts)、及び染色方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直接染料は、過去10年にわたって特に化粧産業の関心の対象となってきた。直接染料は、それらの酸化対応物とは対照的に、より容易にケラチン繊維に適用することができるが、時間と共に鮮やかさ(vibrancy)、色の強度、及び色の安定性を欠くことが多い。
【0003】
本出願人は、既存の直接染料の入手可能性及び色の範囲を補う、新しい直接染料を開発した(特許文献1)。上記の開発された染料の1つが、HCブルー18である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】EP1366752
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
HCブルー18の色は、そのフェノール構造に起因して、pH依存性である。HCブルー18は、低pH(プロトン化形態)では、薄いベージュ色を示し、高pH(脱プロトン化形態)では、鮮やかな青色~青紫色を示す。しかし消費者は、広範なpHスペクトルにわたって毛髪の色が安定であることを期待する。
【0006】
しかしながら、ほとんどの毛髪ケア製品は、4~6のpH範囲を有しており、このpH範囲は、HCブルー18がその色のシフトを示す点と重複している。結果として、pHが低すぎる毛髪ケア製品を消費者が選択する場合、青色染料は、染料の色を喪失し、色調がベージュ色にシフトし、毛髪全体が色深度を喪失する。言うまでもなく、このようなシフトは、消費者にとっては大きな期待外れであり、極めて望ましくないものである。
【0007】
毛髪ケア製品の選択上の問題に加えて、消費者のあるサブグループの頭皮は、正常な皮膚よりも低いpHを有する皮脂を産生する。したがって、こうした消費者の染色された髪は、根元部分以外は本来意図した人工的な色のままであるのに対し、毛根部分は望ましくない色にシフトしがちである。
【0008】
つまり、広範なpH範囲にわたって安定な色をもたらすと同時に、長期保存期間にわたって安定な、ケラチン繊維のための染色組成物を開発することが、真に必要とされている。この問題は、従来技術ではまだ満足に解決されていない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明の第1の目的は、
a)1種又は複数種のアルカリ化剤、
b)HCブルー18及び/又はその塩、
c)テトラブロモフェノールブルー及び/又はその塩
を含む、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための染色組成物である。
【0010】
本発明の第2の目的は、
- 先に定義されるa)による化合物及びb)による化合物を含む、第1の組成物と、
- 先に定義されるa)による化合物及びc)による化合物を含む、7~12の範囲のpHを有する第2の水性組成物と、
- 1~6の範囲のpHを有し、任意に1種又は複数種の酸化剤を含む、第3の水性組成物と
を含む、キットオブパーツである。
【0011】
本発明の第2の目的は、先に定義される第1の組成物と、1~6の範囲のpHを有し、任意に1種又は複数種の酸化剤を含む第2の水性組成物とを含む、二剤式染色組成物である。
【0012】
本発明の第3の目的は、
i)先に定義される染色組成物を、二剤式組成物について先に定義される第2の水性組成物と混合して、7~12の範囲のpHを有する、即時使用可能な組成物を得るステップと、
ii)即時使用可能な組成物をケラチン繊維上に適用し、それを1分~60分間の範囲の間、放置するステップと、
iii)ケラチン繊維をすすぎ、任意にケラチン繊維をシャンプーするステップと
を含む、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪を染色するための方法である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、HCブルー18と、別の青色染料であるテトラブロモフェノールブルーとの組合せが、幅広いpHにわたって非常に安定な色の結果をもたらすことを、予想外に見出した。両方の染料の組合せは、ケラチン繊維上で鮮やかな、強烈な、かつ安定な色の結果をもたらした。2種の染料を単独で使用しても、そのいずれもが鮮やかさ及びpH安定性を同時にもたらすことはできなかった。加えて、染色組成物は、経時的に非常に良好な保存安定性を示した。
【0014】
・染色組成物
本発明は、
a)1種又は複数種のアルカリ化剤、
b)HCブルー18及び/又はその塩、
c)テトラブロモフェノールブルー及び/又はその塩
を含む、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための染色組成物を対象とする。
【0015】
・a)による化合物
本発明の組成物は、a)による化合物として1種又は複数種のアルカリ化剤を含む。
【0016】
アルカリ度及び化粧安全性を提供する観点から、a)による1種又は複数種の化合物は、1種若しくは複数種の有機アルカリ化剤及び/又はアンモニア及び/又はその塩であることが好ましい。
【0017】
好ましくは、1種又は複数種の有機アルカリ化剤は、アルカリ度及び化粧安全性の提供、並びにそれらの匂いの少なさの観点から、アルキルアミン及び/又はアルカノールアミン及び/又はその/それらの塩から選択され、より好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールメチルアミン、モノエタノールジメチルアミン、ジエタノールメチルアミン、モノエタノールエチルアミン、モノエタノールジエチルアミン、ジエタノールエチルアミン、モノエタノールプロピルアミン、モノエタノールジプロピルアミン、ジエタノールプロピルアミン、モノエタノールブチルアミン、ジエタノールブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン及び/若しくはその/それらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される。
【0018】
最も好ましいアルカリ化剤は、アルカリ度及び化粧安全性を提供する観点から、モノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン及び/若しくはその/それらの塩、アンモニア及び/若しくはその塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される。
【0019】
本発明の一態様では、保存安定性の観点から、a)群による1種又は複数種の化合物は、好ましくはメタケイ酸塩、炭酸塩、及び/若しくは重炭酸塩、並びに/又はそれらのアルカリ塩若しくはアルカリ土類塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の無機アルカリ化剤であり、好ましくはメタケイ酸ナトリウムであることが適していることがある。
【0020】
アルカリ度を提供する観点から、a)による化合物の全濃度、好ましくは1種若しくは複数種のアルカノールアミン及び/若しくはその/それらの塩並びに/又はアンモニア及び/若しくはその塩の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、0.1重量%以上、より好ましくは0.25重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上であることが好ましい。
【0021】
アルカリ度の提供、毛髪への損傷、及び匂いの観点から、a)による化合物の全濃度、好ましくは1種若しくは複数種のアルカノールアミン及び/若しくはその/それらの塩並びに/又はアンモニア及び/若しくはその塩の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは25重量%以下であることが好ましい。
【0022】
前述の効果を得るために、a)による化合物の全濃度、好ましくは1種若しくは複数種のアルカノールアミン及び/若しくはその/それらの塩並びに/又はアンモニア及び/若しくはその塩の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、0.1重量%~40重量%の範囲、好ましくは0.25重量%~30重量%の範囲、より好ましくは0.5重量%~25重量%の範囲であることが好ましい。
【0023】
・b)による化合物
本発明の染色組成物は、b)による化合物として、HCブルー18及び/又はその塩を含む。
【0024】
色の強度の観点から、b)による化合物の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、0.001重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、さらに好ましくは0.01重量%以上であることが好ましい。
【0025】
色の強度及び経済的理由の観点から、b)による化合物の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、さらにより好ましくは0.75重量%以下であることが好ましい。
【0026】
前述の効果を得るために、b)による化合物の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、0.001重量%~10重量%の範囲、好ましくは0.005重量%~5重量%の範囲、より好ましくは0.01重量%~1重量%の範囲、さらに好ましくは0.01重量%~0.75重量%の範囲であることが好ましい。
【0027】
・c)による化合物
本発明の染色組成物は、c)による化合物として、テトラブロモフェノールブルー及び/又はその塩を含む。
【0028】
色の強度の観点から、c)による化合物の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、さらに好ましくは0.02重量%以上である。
【0029】
色の強度及び経済的理由の観点から、c)による化合物の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、さらにより好ましくは0.5重量%以下である。
【0030】
前述の効果を得るために、c)による化合物の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは0.001重量%~10重量%の範囲、より好ましくは0.01重量%~5重量%の範囲、さらに好ましくは0.02重量%~1重量%の範囲、さらにより好ましくは0.02重量%~0.5重量%の範囲である。
【0031】
広範なpH範囲にわたる色の安定性及び色の強度の観点から、b)による化合物に対するc)による化合物の重量比は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.8以上、さらにより好ましくは5以上の範囲である。
【0032】
広範なpH範囲にわたる色の安定性及び色の強度の観点から、b)による化合物に対するc)による化合物の重量比は、好ましくは200以下、より好ましくは160以下、さらに好ましくは140以下、さらにより好ましくは100以下、さらにより好ましくは50以下の範囲である。
【0033】
前述の効果を得るために、b)による化合物に対するc)による化合物の重量比は、好ましくは0.1~200の範囲、より好ましくは0.5~160の範囲、さらに好ましくは0.8~140の範囲、さらにより好ましくは5~100の範囲、さらにより好ましくは5~50の範囲である。
【0034】
・組成物の化粧品形態
本発明の染色組成物は、様々な化粧品形態で利用可能である。
【0035】
・水性組成物
本発明の一態様では、染色組成物は、水性組成物である。
【0036】
「水性」という用語は、水が大部分を占める組成物を示し、すなわち組成物は、化粧的に許容される組成物を達成する観点から、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、さらにより好ましくは80重量%以上の水を含む。
【0037】
染色強度の観点から、組成物は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは98重量%以下、より好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは92重量%以下の水を含む。
【0038】
前述の効果を達成するために、水の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは50重量%~98重量%の範囲、より好ましくは60重量%~95重量%の範囲、さらに好ましくは70重量%~92重量%の範囲、さらにより好ましくは80重量%~92重量%の範囲である。
【0039】
染色性能の観点から、水性組成物のpHは、好ましくは7以上、より好ましくはpHは7.5以上、さらに好ましくはpHは8以上、さらにより好ましくはpHは9以上である。
【0040】
毛髪への損傷及び染色性能の観点から、組成物のpHは、好ましくは12以下、より好ましくはpHは11以下、さらに好ましくはpHは10.5以下である。
【0041】
前述の効果を得るために、水性染色組成物は、好ましくは7~12の範囲、より好ましくは7.5~11の範囲、さらに好ましくは8~10.5の範囲、さらにより好ましくは9~10.5の範囲のpHを有する。
【0042】
したがって、本開示はまた、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための水性染色組成物であって、7~12の範囲、好ましくは7.5~11の範囲、より好ましくは8~10.5の範囲、さらに好ましくは9~10.5の範囲のpHを有し、
a)1種又は複数種のアルカリ化剤、
b)HCブルー18及び/又はその塩、
c)テトラブロモフェノールブルー及び/又はその塩
を含み、組成物の全重量に対して計算して50重量%以上の水を含む、水性染色組成物を対象とする。
【0043】
・水の含有量が1重量%未満である液体組成物
本発明の別の態様では、染色組成物は、d)による化合物として1種又は複数種の有機溶媒を含み、組成物の全重量に対して計算して水の含有量が1重量%未満であり、25℃及び大気圧で液体の組成物である。好ましくは、組成物は、染料安定性の観点から無水である。
【0044】
「液体」という用語は、25℃及び大気圧での物理的状態を指し、すなわち、染色組成物は、室温で液体である。
【0045】
「無水」という用語は、水が添加されていない組成物を示す。これは、空気からの残留水分又は成分に結合した結晶水の存在を除外するものではない。
【0046】
本発明における本態様では、組成物は、d)による化合物として1種又は複数種の有機溶媒を含み得る。
【0047】
有機溶媒は、化合物a)~c)を溶解させるために選択され得る。好ましい溶媒は、一価、二価、及び三価アルコール、並びに/又はそれらの混合物である。
【0048】
化粧安全性及び溶解能の観点から好ましい一価、二価、及び三価アルコールは、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、及びグリセロール、並びに/又はそれらの混合物である。
【0049】
溶液安定性の観点から、d)による化合物の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上である。
【0050】
染色強度の観点から、d)による化合物の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは98重量%以下、より好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは92重量%以下である。
【0051】
前述の効果を得るために、d)による化合物の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは75重量%~98重量%の範囲、より好ましくは80重量%~95重量%、さらに好ましくは85重量%~92重量%の範囲である。
【0052】
したがって、本開示はまた、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための無水染色組成物であって、
a)1種又は複数種のアルカリ化剤、
b)HCブルー18及び/又はその塩、
c)テトラブロモフェノールブルー及び/又はその塩、
d)1種又は複数種の有機溶媒
を含み、
d)による化合物の全濃度が、組成物の全重量に対して計算して75重量%以上である、
無水染色組成物に関するものである。
【0053】
・粉末組成物
本発明の一態様では、染色組成物は、粉末組成物であり得る。
【0054】
「粉末」という用語は、25℃及び大気圧で固体の組成物を示す。この用語は、自由流動性粉末及び圧縮粉末、例えば錠剤に関する。粉末組成物はまた、25℃でその固体の性質が変化しない限り、水を含んでいてもよい。粉末の種類に応じて、組成物の全重量に対して計算して10重量%以上の含水量が許容され得る。これは、空気からの残留水分又は成分に結合した結晶水の存在を除外するものではない。
【0055】
組成物の安定性及び使用の利便性の観点から、染色組成物は、e)による化合物として1種又は複数種の粉状賦形剤を含むことが好ましい。
【0056】
「賦形剤」という用語は、染色組成物のその他の化合物のための充填材料及び分散剤として作用することができ、染料ともアルカリ化剤とも反応せず、したがって高度な保存安定性を長期間にわたって付与する化合物を示す。
【0057】
本発明の染色組成物は、有機及び/又は無機の粉状賦形剤を含むことができ、それに、アルカリ化剤及び直接染料が分散させられる。
【0058】
適切な有機及び/又は無機の粉状賦形剤は、例えば、珪藻土、カオリン、ベントナイト、デンプン、特にトウモロコシ、タピオカ、コメ、コムギ及びジャガイモのデンプン、ナイロン粉末、モンモリロナイト、石こう、おがくず、並びにパーライトである。
【0059】
有機及び/又は無機の粉状賦形剤の全濃度は、粉末への直接染料の良好な分散性及び粉末の急速溶解を達成する観点から、組成物の全体に対して計算して、好ましくは50重量%以上、より好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、さらにより好ましくは65重量%以上、さらにより好ましくは70重量%以上、さらにより好ましくは75重量%以上である。
【0060】
有機及び/又は無機の粉状賦形剤の全濃度は、粉末への直接染料の良好な分散性及び配合しやすさを達成する観点から、組成物の全体に対して計算して、好ましくは98重量%以下、より好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下である。
【0061】
前述の効果を得るために、有機及び/又は無機の粉状賦形剤の全濃度は、組成物の全体に対して計算して、好ましくは50重量%~98重量%の範囲、より好ましくは55重量%~95重量%の範囲、さらに好ましくは60重量%~90重量%の範囲、さらにより好ましくは65重量%~90重量%の範囲、さらにより好ましくは70重量%~90重量%の範囲、さらにより好ましくは75重量%~90重量%の範囲である。
【0062】
したがって、本開示はまた、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための染色組成物であって、
a)1種又は複数種のアルカリ化剤、
b)HCブルー18及び/又はその塩、
c)テトラブロモフェノールブルー及び/又はその塩、
e)1種又は複数種の粉状賦形剤
を含み、
粉末組成物であり、
好ましくはe)による化合物の全濃度が、組成物の全重量に対して計算して50重量%以上である、
染色組成物に関するものである。
【0063】
・f)による親油性化合物
本発明の染色組成物は、f)による化合物として1種又は複数種の親油性化合物を含むことが好ましい。
【0064】
「親油性」という用語は、25℃及び大気圧で液体の化合物を示し、前述の条件下で水と完全には混合しない。
【0065】
好ましくは親油性化合物は、膜の均質性及び色素沈着の観点において、脂肪アルコール、脂肪酸、ワックス、植物油、ワセリンベースの製品、シリコーン、アミノ化シリコーン、及び一般構造:
【0066】
【化1】
[式中、R1は、1個のヒドロキシ基で任意に修飾されている、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC11~C21アルキルから選択され、R2は、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC3~C18アルキルから選択される]による化合物から選択され、好ましくは化合物は、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシルである。
【0067】
適切な脂肪アルコールは、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC12~C22脂肪アルコールであり、それらは、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、及び/又はそれらの混合物である。
【0068】
適切な脂肪酸は、ヒドロキシ基を有している又は有していない、飽和又は不飽和の脂肪酸である。適切な脂肪酸は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、及び/又はそれらの混合物である。
【0069】
前述の一般構造による適切な化合物は、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸オクチル、オレイン酸オレイル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ベヘン酸ベヘニル、及び/又はそれらの混合物である。
【0070】
適切な植物油は、ホホバ油、アボカド油、ヒマワリ種子油、クルミ油、ピーナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、綿実油、パーム油、ゴマ油、大豆油、ヤシ油、ベニバナ油、アーモンド油、マカダミアナッツ油、グレープフルーツ種子油、レモンカーネル油、オレンジカーネル油、杏仁油、ヒマシ油、及び/又はそれらの混合物である。
【0071】
適切なワセリンベースの製品は、流動パラフィン、特に低粘度流動パラフィン(paraffinum perliquidum)及び高粘度流動パラフィン(paraffinum subliquidum)、並びに鉱油、特に白色鉱油、並びに/又はそれらの混合物である。
【0072】
適切なシリコーンは、ジメチルポリシロキサン、及び変性シリコーン(例えば、アミノ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、又はアルキル変性シリコーン)であるが、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン及びアミノ変性シリコーンが好ましい。アミノ変性シリコーンは、一般に、それらのCTFA名アモジメチコンで知られている。
【0073】
商業的に入手可能な適切なアモジメチコン油の具体例、例えば、SF8452C、SS-3551(すべてDow Corning Toray Co.,Ltd.製)、KF-8004、KF-867S、及びKF-8015(すべてShin-Etsu Chemical Co.,Ltd.製)、並びにアモジメチコンエマルジョン、例えばSM8704C、SM8904、BY22-079、FZ-4671、及びFZ-4672(すべてDow corning Toray Co.,Ltd.製)。
【0074】
アミノ変性シリコーンは、アミノ基又は第四級アンモニウム基を有するいかなるシリコーンであってもよく、その例として、例えば末端ヒドロキシ基のすべて又は一部がメチル基でキャップされているアミン変性シリコーン油、及び末端がキャップされていないアモジメチコンが挙げられる。
【0075】
組成物は、1種又は複数種のワックスを含み得る。適切な非限定的な好ましい例は、ワセリン、オゾケライト、カルナウバワックス、パラフィン、ラノリンワックス、キャンデリラワックス、蜜蝋、微結晶性ワックス及びココグリセリルである。
【0076】
染色組成物は、染色強度の観点から、f)による親油性化合物を、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上の全濃度で含み得る。
【0077】
染色組成物は、染色強度及びケラチン繊維(fibes)のすすぎやすさ(rinsibility)の観点から、f)による親油性化合物を、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは25重量%以下の全濃度で含み得る。
【0078】
前述の効果を得るために、染色組成物は、f)による親油性化合物を、組成物の全重量に対して計算して、0.1重量%~40重量%の範囲、より好ましくは0.5重量%~30重量%の範囲、さらに好ましくは1重量%~25重量%の範囲の全濃度で含むことが好ましい。
【0079】
本発明の一態様では、本開示はまた、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための水性染色組成物であって、7~12の範囲、好ましくは7.5~11の範囲、より好ましくは8~10.5の範囲、さらに好ましくは9~10.5の範囲のpHを有し、
a)1種又は複数種のアルカリ化剤、
b)HCブルー18及び/又はその塩、
c)テトラブロモフェノールブルー及び/又はその塩
を含み、
組成物の全重量に対して計算して50重量%以上の水を含み、
エマルジョンであり、C12~C22の範囲の分岐又は直鎖の飽和又は不飽和の炭素鎖長を有する脂肪アルコール、C12~C22の範囲の分岐又は直鎖の飽和又は不飽和の炭素鎖長を有する脂肪酸、エステル油、植物油、シリコーン油、パラフィン油から選択される、f)による1種又は複数種の化合物を含む、
水性染色組成物に関するものである。
【0080】
本発明の別の態様では、本開示はまた、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための染色組成物であって、
a)1種又は複数種のアルカリ化剤、
b)HCブルー18及び/又はその塩、
c)テトラブロモフェノールブルー及び/又はその塩、
e)1種又は複数種の粉状賦形剤
を含み、
粉末組成物であり、
好ましくはe)による化合物の全濃度が、組成物の全重量に対して計算して50重量%以上であり、
f)による1種又は複数種の親油性化合物を、好ましくは1重量%以上の全濃度で含む、
染色組成物に関するものである。
【0081】
当業者は、後者の組成物が、ダストフリーの染色用粉末又は染色用ペーストのいずれかであることに気付くであろう。
【0082】
・g)による化合物としての界面活性剤
本発明の組成物は、本発明の組成物の混合性及びケラチン繊維の濡れ性の観点から、さらにg)による化合物として、1つ又は複数の界面活性剤、より好ましくは、ノニオン性、カチオン性、アニオン性、双性イオン性/両性界面活性剤から選択される界面活性剤を含むことがさらに好ましい。
【0083】
好適なアニオン性界面活性剤は、基本的にはクレンジング組成物から公知である。これらは、硫酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩及びアルキルリン酸塩タイプのアニオン性界面活性剤であり、例えば、公知のC10-C18アルキル硫酸塩、特にそれぞれのエーテル硫酸塩、例えばC12-C14アルキルエーテル硫酸塩、ラウリルエーテル硫酸塩、特に分子中に1~4つのエチレンオキシド基を有するもの、モノグリセリド(エーテル)硫酸塩、エトキシ化及び後続の脂肪酸アルカノールアミドの硫酸化により得られる脂肪酸アミド硫酸塩及びそれらのアルカリ塩、並びに長鎖のモノ-及びジ-アルキルリン酸塩が挙げられる。好ましいアニオン性界面活性剤は、アルキル硫酸塩界面活性剤、特にラウリル硫酸塩及びその塩である。
【0084】
さらに好適な界面活性剤はノニオン性界面活性剤である。非限定的な例としては、ココ脂肪酸モノ-又はジ-エタノールアミド及びミリスチン脂肪酸モノ-又はジ-エタノールアミド、ステアリン酸モノ-又はジ-エタノールアミド等の長鎖の脂肪酸モノ-及びジ-アルカノールアミド;炭素原子数8~18のアルキル基、及びグルコシド単位を1~5単位有するアルキルポリグルコシド;ポリエチレングリコールソルビタンステアリン酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタンパルミチン酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタンミリスチン酸エステル及びポリエチレングリコールソルビタンラウリル酸エステル等のソルビタンエステル;脂肪酸ポリグリコールエステル又は「Pluronics(登録商標)」等の商品名で市販されているエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの重縮合物、並びにCTFA命名法により「Laureth」、「Myristeth」、「Oleth」、「Ceteth」、「Deceth」、「Steareth」及び「Ceteareth」との通称により知られている脂肪族アルコールエトキシレート、C10-C22脂肪アルコールエトキシレート、「Laureth-16」等のエチレンオキシド分子数が付記されており、その平均エトキシ化度が約2.5と約100との間、好ましくは約10と約30との間にあるものが挙げられる。
【0085】
好適な両性/双性イオン性界面活性剤は、特に、アルキルベタイン、脂肪酸アミドアルキルベタイン及びスルホベタイン等の各種公知のベタイン、例えば、ラウリルヒドロキシスルホベタイン;ココアミノアセテート、ココアミノプロピオネート等の長鎖アルキルアミノ酸、並びにココアンホプロピオン酸ナトリウム及びココアンホ酢酸ナトリウムも好適である。
【0086】
一般的なカチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリモニウムクロライド、ジパルミトイルジモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ステアラミドプロピルトリモニウムクロライド、ジオレオイルエチルジメチルアンモニウムメトスルフェート、ジオレオイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトスルフェートである。
【0087】
g)による化合物の合計濃度は、組成物の安定性、ケラチン繊維の濡れ性、及び原材料の分散性の観点から、組成物の合計重量に対して計算して、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、さらに好ましくは0.25重量%以上である。
【0088】
g)による化合物の合計濃度は、組成物の安定性、ケラチン繊維の濡れ性、及び原材料の分散性の観点から、組成物の合計重量に対して計算して、好ましくは5重量%以下、より好ましくは4重量%以下、さらに好ましくは2.5重量%以下である。
【0089】
上述の効果を得るため、g)による化合物の合計濃度は、組成物の合計重量に対して計算して、好ましくは0.1~5重量%の範囲内、より好ましくは0.2~4重量%の範囲内、さらに好ましくは0.2~2.5重量%の範囲内である。
【0090】
・b)及びc)とは異なる染料
本発明の染色組成物は、好ましくは酸化染料前駆体、酸化染料カプラー、及び/又は直接染料から選択される、b)及びc)群とは異なる1種又は複数種の染料化合物を含み得る。
【0091】
適切な酸化染料前駆体クラスは、p-フェニレンジアミン、p-アミノフェノール、並びに複素環式化合物、例えばジアミノピラゾール及び置換ピリミジンであり、適切なカップリング物質は、レゾルシノール、m-アミノフェノール、m-フェニレンジアミン、ピリジン及び置換誘導体、並びにナフトールである。
【0092】
適切な酸化染料カプラーは、5-アミノ-2-メチルフェノール、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、2-メチル-5-アミノ-6-クロロフェノール、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、2-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノトルエン、2-アミノ-5-メチルフェノール、レゾルシノール、2-メチル-レゾルシノール、4-クロロレゾルシノール、2-アミノ-4-クロロフェノール、5-アミノ-4-メトキシ-2-メチルフェノール、2-アミノフェノール、3-アミノ-フェノール、1-メチル-2-ヒドロキシ-4-アミノベンゼン、3-N,N-ジメチルアミノフェノール、2,6-ジヒドロキシ-3,5-ジメトキシピリジン、5-アミノ-3-メチルフェノール、6-アミノ-3-メチルフェノール、1,3-ジアミノ-ベンゼン、1-アミノ-3-(2'-ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン、1-アミノ-3-[ビス(2'-ヒドロキシ-エチル)アミノ]ベンゼン、α-ナフトール、4,6-ジクロロレゾルシノール、1,3-ジアミノ-トルエン、4-ヒドロキシ-1,2-メチレンジオキシベンゼン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1-ヒドロキシ-2-メチルナフタレン、4-ヒドロキシ-1,2-メチルジオキシベンゼン、2,4-ジアミノ-3-クロロフェノール、5-アミノ-2-メトキシフェノール及び/若しくは1-メトキシ-2-アミノ-4-(2'-ヒドロキシエチルアミノ)-ベンゼン、及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物である。
【0093】
本発明の染色組成物は、酸化染料カプラー及び/又は前駆体を、ほぼ等モルの割合で、例えば組成物の全重量に対して計算して0.001~5%の範囲の全濃度で含み得る。
【0094】
b)及びc)群による化合物以外の直接染料は、陽イオン性、陰イオン性及び/又は非イオン性直接染料から選択され得る。
【0095】
本発明の組成物におけるb)及びc)群による化合物以外の1種又は複数種の直接染料の全濃度は、それが存在する場合、ケラチン繊維を十分に染色する観点から、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上である。
【0096】
本発明の組成物におけるb)及びc)群による化合物以外の1種又は複数種の直接染料の全濃度は、それが存在する場合、経済的理由及び配合しやすさの観点から、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは10重量%以下、より好ましくは9重量%以下、さらに好ましくは7.5重量%以下、さらにより好ましくは6重量%以下、さらにより好ましくは4重量%以下である。
【0097】
前述の効果を得るために、本発明の組成物におけるb)及びc)群による化合物以外の1種又は複数種の直接染料の全濃度は、それが存在する場合、組成物の全重量に対して計算して、0.01重量%~10重量%、好ましくは0.05重量%~9重量%、より好ましくは0.1重量%~7.5重量%、さらに好ましくは0.1重量%~6重量%、さらにより好ましくは0.1重量%~4重量%の範囲である。
【0098】
・増粘ポリマー
化粧安全性の観点から、本発明の組成物は、1種又は複数種の増粘ポリマーをさらに含むことが有利である。
【0099】
好ましくは増粘ポリマーは、ブルックフィールド粘度計によって、例えば10rpmで1分間、適切なスピンドルを25℃で用いて決定される、組成物の全重量に対して計算して水中1重量%のポリマー濃度で25℃で測定して少なくとも5,000mPa・sの粘度を有する、pH8~10の間の水溶液及び/又は水性分散液をもたらすポリマーから選択される。
【0100】
適切な非イオン性増粘ポリマーは、セルロースベースのポリマーである。セルロースベースのポリマーの適切な例は、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチル-メチルセルロース、及びアルキル化ヒドロキシルセルロース、例えば(C2~C8)アルキルセルロース又はセチルヒドロキシエチルセルロースである。
【0101】
適切な陰イオン性増粘ポリマーは、天然ベースの陰イオン性ポリマー及び/又は合成陰イオン性ポリマーから選択される。
【0102】
適切には、天然陰イオン性ポリマーは、キサンタンガム、デヒドロキサンタンガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、カルボキシメチルセルロース及びデンプンベースのポリマー、例えば植物デンプン及び/又はそれらの合成的に変性された誘導体、例えばヒドロキシプロピルデンプンリン酸から選択され得る。同様に、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、アラビアガム、及びグアーガムも適している。
【0103】
本発明の組成物のための好ましい増粘ポリマーは、それらの生分解性及び環境への影響の少なさの観点から、天然陰イオン性ポリマー、より好ましくはキサンタンガム及び/又はデヒドロキサンタンガムである。
【0104】
好ましくは本発明の増粘ポリマーの全濃度は、組成物に十分な粘度を提供する観点から、組成物の全重量に対して計算して、0.1重量%以上、より好ましくは0.25重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上である。
【0105】
好ましくは本発明の増粘ポリマーの全濃度は、組成物への十分な粘度の提供及び製品の費用の観点から、組成物の全重量に対して計算して、15重量%以下、より好ましくは12重量%以上、さらに好ましくは10重量%以下である。
【0106】
前述の効果を得るために、本発明の組成物における増粘ポリマーの全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは0.1重量%~15重量%の範囲、より好ましくは0.25重量%~12重量%の範囲、さらに好ましくは0.5重量%~10重量%の範囲である。
【0107】
・二剤式組成物
本発明はまた、
- 先に定義される第1の組成物と、
- 1~6の範囲のpHを有し、任意に1種又は複数種の酸化剤を含む第2の水性組成物と
を含む、二剤式染色組成物に関するものである。
【0108】
第2の水性組成物は、好ましくは、酸化剤として過酸化水素を含む。好適な濃度は、第2の水性組成物の全重量に対して計算して、0.1重量%~20重量%、より好ましくは0.25重量%~15重量%、さらに好ましくは0.5重量%~12重量%の範囲である。
【0109】
第2の水性組成物のpHは、適切な酸及び塩基によって調整して、好ましくは1.5~5の範囲、より好ましくは2~4.5の範囲である。
【0110】
第1の組成物との混合性の観点から、第2の水性組成物は、染色組成物について先に説明したとおり、f)による1種又は複数種の親油性化合物を含むことがさらに好ましい。このような場合、第2の水性組成物は、エマルジョンであり、染色組成物について先に説明したとおり、g)による化合物として、好ましくは1種又は複数種の界面活性剤も含む。
【0111】
本発明のこの態様の第1及び第2の組成物は、ケラチン繊維上に適用する直前に混合されることを想定している。
【0112】
・キットオブパーツ
本発明はまた、
- 先に定義されるa)による化合物及びb)による化合物を含む、第1の組成物と、
- 先に定義されるa)による化合物及びc)による1種又は複数種の化合物を含む、7~12の範囲のpHを有する第2の水性組成物と、
- 1~6の範囲のpHを有し、任意に1種又は複数種の酸化剤を含む、第3の水性組成物と
を含む、キットオブパーツに関するものである。
【0113】
本発明のこの態様について、第1の組成物は、先に定義されるとおりであるがc)による化合物を含まない、無水液体組成物であることが好ましい。前述の開示はまた、c)による化合物を除く、第1の無水組成物に関する。
【0114】
本発明のこの態様について、第2の水性組成物は、先に定義されるとおりであるがb)による化合物を含まない、水性染色組成物であることが好ましい。任意に、a)による化合物が存在していてもよい。前述の開示はまた、b)による化合物を除く、第2の水性組成物に関する。
【0115】
本発明のこの態様について、第3の水性組成物は、二剤式組成物について第2の組成物として先に定義される水性酸化組成物であることが好ましい。
【0116】
キットの3種の組成物は、ケラチン繊維上へのそれらの使用の直前に混合されることを想定している。
【0117】
・染色方法
本発明はまた、
i)先に定義される染色組成物を、二剤式組成物について定義される第2の水性組成物と混合して、7~12の範囲のpHを有する、即時使用可能な組成物を得るステップと、
ii)即時使用可能な組成物をケラチン繊維上に適用し、それを1分~60分間の範囲の間、放置するステップと、
iii)ケラチン繊維をすすぎ、任意にケラチン繊維をシャンプーするステップと
を含む、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪を染色するための方法に関するものである。
【0118】
色の強度の観点から、ステップi)に定義される、即時使用可能な組成物のpHは、好ましくは8~11の範囲、より好ましくは8.5~10.5の範囲である。
【0119】
染色強度及び染色方法の節約の観点から、ステップii)に定義される放置時間は、好ましくは2分~45分の範囲、より好ましくは5分~40分の範囲、さらに好ましくは10分~30分の範囲である。
【0120】
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【実施例
【0121】
実施例1
以下の表1の染色組成物を、まずアルカリ化剤を溶解させ、次にその後、染料を水に添加することによって調製した。最後に、pHを調整した。
【0122】
【表1】
【0123】
次に、前述の組成物を、6重量%の過酸化水素及びリン酸を含む水性酸化組成物と1:1の重量比で混合して、pHを3.5に調整した。結果として生じた即時使用可能な組成物は、約10.1のpHを有していた。
【0124】
次に、即時使用可能な組成物を、ヤクのケラチン繊維上に適用し、40℃で30分間放置した。次に、繊維を微温の水ですすぎ、シャンプーし、ブロー乾燥させた。
【0125】
次に、染色された毛束を、pH5.5又はpH4.5のいずれかを有する緩衝溶液に1分間浸漬させることによって処理し、次に、さらに5分間休ませた。次に、毛束を、水分を拭き取り、風乾させた。ΔE*1を、pH5.5の緩衝溶液で処理した毛束で測定し、一方、ΔE*2値を、pH4.5の緩衝溶液で処理した毛束で決定した。測色値は、色差計を用いてCIE表色系(L*、a*、b*)によって得、色差(ΔE*)を次式によって計算した。
【0126】
【数1】
【0127】
外観は、pH4.5で処理した束で裸眼で判断した。
【0128】
結果として、比較品組成物1は、両方のpH値で色の強度が最も高かった(列の中で最高のΔE*値)と同時に、pH5.5~pH4.5の間で色のシフトが最大であった。比較品組成物2は、試験したすべての組成物の中で、色のシフトが最小であったと同時に、色の強度が最も低かった。染料b)及びc)の組合せは、より良好な全体的な染色強度をもたらし、5.5から4.5へのpHシフトに対する感受性がはるかに低かった。
【0129】
実施例2
以下の組成物を、実施例1に説明したものと同じやり方で調製し、すなわち、同じ混合、試験及び測定を実施した。
【0130】
【表2】
【0131】
結果として、HCブルー18の濃度とは独立に、c)による青色染料の添加により、赤色~青色からニュートラルブルーに色がシフトした。さらに、pH5.5の処理とpH4.5の処理との差は、あまり顕著にならなかった。
【0132】
実施例3
以下の酸化染色組成物を調製した。界面活性剤及び水からなる水性相を、80℃に加熱した。同時に、脂肪アルコール及びオレイン酸からなる親油性相を、80℃に加熱した。両方の相を、混合しながら一体にし、室温に達するまで撹拌した。次に、毛髪染料及び残りの成分を、結果として生じたエマルジョンに溶解させることによって組成物に添加した。
【0133】
【表3】
【0134】
以下の酸化組成物を調製した。
重量%
セテアリルアルコール 2.0
サリチル酸 0.1
エチドロン酸 0.2
リン酸 0.3
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
過酸化水素 6.0
水 100まで
【0135】
前述の酸化染色組成物を、1:1の重量比で混合した直後に、前述の酸化組成物を毛に適用した。次に、即時使用可能な各組成物1gを、ヤクの毛繊維2gに適用した。同じ試験及び測定を、実施例1及び2について説明したとおりに実施した。
【0136】
【表4】
【0137】
以下の実施例は、本発明の範囲に含まれる。
実施例4
【0138】
以下の組成物の安定性試験を、室温で6週間実施した。次に、試験した組成物の色を、裸眼によって観察した。
【0139】
【表5】
【0140】
したがって、HCブルー15は、安定であることが見出されず、その色が赤色にシフトし、一方で本発明の組成物は、良好な保存安定性を示した。
【0141】
実施例5
以下の染色組成物は、従来の配合技術によって生成することができる。
重量%
アミノメチルプロパノール 5.0
HCブルー18 0.7
テトラブロモフェノールブルー 0.5
1,2-プロピレングリコール 100.0まで添加
【0142】
実施例6
以下の染色組成物は、従来の配合技術によって生成することができる。
重量%
アミノメチルプロパノール 5.0
HCブルー18 0.7
テトラブロモフェノールブルー 0.5
珪藻土 100まで