IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社インターネットイニシアティブの特許一覧

特許7541209走行ルート管理システム、および走行ルート管理方法
<>
  • 特許-走行ルート管理システム、および走行ルート管理方法 図1
  • 特許-走行ルート管理システム、および走行ルート管理方法 図2
  • 特許-走行ルート管理システム、および走行ルート管理方法 図3
  • 特許-走行ルート管理システム、および走行ルート管理方法 図4
  • 特許-走行ルート管理システム、および走行ルート管理方法 図5
  • 特許-走行ルート管理システム、および走行ルート管理方法 図6
  • 特許-走行ルート管理システム、および走行ルート管理方法 図7
  • 特許-走行ルート管理システム、および走行ルート管理方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】走行ルート管理システム、および走行ルート管理方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
G01C21/34
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024079107
(22)【出願日】2024-05-15
【審査請求日】2024-05-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397036309
【氏名又は名称】株式会社インターネットイニシアティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】柿島 純
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-271275(JP,A)
【文献】特開2006-177804(JP,A)
【文献】特開2004-45054(JP,A)
【文献】国際公開第2021/199175(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G08G 1/00 - 1/16
G09B 29/00 - 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が過去に走行した、第1出発地点から第1目的地点までの第1ルート情報を取得するように構成された第1取得部と、
前記第1ルート情報を、前記第1出発地点から前記第1目的地点までの真のルート情報として、前記真のルート情報に類似する疑似ルート情報を生成する生成器と、前記生成器によって生成された前記疑似ルート情報と前記真のルート情報とを識別する識別器とを有する生成モデルの敵対的学習を行うように構成された第1学習部と、
前記第1学習部によって構築された学習済みの生成器を用いて前記疑似ルート情報を生成するように構成された生成部と、
前記第1出発地点から前記第1目的地点に最小コストで到達する第2ルート情報と、前記学習済みの生成器によって生成された前記疑似ルート情報との関係を、識別モデルを用いて学習するように構成された第2学習部と、
前記第2学習部によって構築された学習済みの識別モデルを記憶するように構成された記憶部と
を備える走行ルート管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の走行ルート管理装置において、
さらに、前記車両において新たに設定された第2出発地点から第2目的地点に最小コストで到達する第3ルート情報を取得するように構成された第2取得部と、
前記第3ルート情報を未知の入力として前記学習済みの識別モデルに与え、前記学習済みの識別モデルの演算を行って、前記第2出発地点から前記第2目的地点までの疑似ルート情報を出力し、出力された疑似ルート情報を推奨されるルート情報として決定するように構成された決定部と
を備える走行ルート管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の走行ルート管理装置において、
さらに、前記決定部により決定された前記推奨されるルート情報に沿って、前記車両を前記第2出発地点から前記第2目的地点まで誘導するように構成された誘導部を備える
ことを特徴とする走行ルート管理装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の走行ルート管理装置において、
前記第2ルート情報および前記第3ルート情報は、前記車両が出発地点から目的地点までに最短距離または最短時間で到達するルート情報である
ことを特徴とする走行ルート管理装置。
【請求項5】
車両が過去に走行した、第1出発地点から第1目的地点までの第1ルート情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1ルート情報を、前記第1出発地点から前記第1目的地点までの真のルート情報として、前記真のルート情報に類似する疑似ルート情報を生成する生成器と、前記生成器によって生成された前記疑似ルート情報と前記真のルート情報とを識別する識別器とを有する生成モデルの敵対的学習を行う第1学習ステップと、
前記第1学習ステップで構築された学習済みの生成器を用いて前記疑似ルート情報を生成する生成ステップと、
前記第1出発地点から前記第1目的地点に最小コストで到達する第2ルート情報と、前記学習済みの生成器によって生成された前記疑似ルート情報との関係を、識別モデルを用いて学習する第2学習ステップと、
前記第2学習ステップで構築された学習済みの識別モデルを記憶部に記憶する記憶ステップと
を備える走行ルート管理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の走行ルート管理方法において、
さらに、前記車両において新たに設定された第2出発地点から第2目的地点に最小コストで到達する第3ルート情報を取得する第2取得ステップと、
前記第3ルート情報を未知の入力として前記学習済みの識別モデルに与え、前記学習済みの識別モデルの演算を行って、前記第2出発地点から前記第2目的地点までの疑似ルート情報を出力し、出力された疑似ルート情報を推奨されるルート情報として決定する決定ステップと
を備える走行ルート管理方法。
【請求項7】
請求項6に記載の走行ルート管理方法において、
さらに、前記決定ステップで決定された前記推奨されるルート情報に沿って、前記車両を前記第2出発地点から前記第2目的地点まで誘導する誘導ステップを備える
ことを特徴とする走行ルート管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行ルート管理システム、および走行ルート管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両などに搭載されるカーナビゲーションシステムが知られている。例えば、特許文献1は、車両の現在位置から目的地までの距離が最短となる走行ルートや最短時間で目的地まで到達する走行ルートを設定して、車両のルート案内を行う技術を開示する。また、特許文献1では、信号機の有無や交差点の有無、車両の施設への入りやすさなどから、車両がより効率的に目的地に到達するルートが設定されている。
【0003】
ここで、車両を運転するドライバーであるユーザは、最短時間や最短距離に基づいて画一的に設定された案内ルートに対して、案内に沿った道路とは異なる抜け道などを頻繁に使用して走行する場合がある。しかし、特許文献1が開示するカーナビゲーションシステムによるルート設定では、ユーザごとの運転の傾向に合わせて個別化された走行ルートを生成することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-220265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の技術によれば、ユーザごとの運転の傾向に合わせた走行ルートを生成することは困難であった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ユーザごとの運転の傾向に合わせた走行ルートを生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明に係る走行ルート管理装置は、車両が過去に走行した、第1出発地点から第1目的地点までの第1ルート情報を取得するように構成された第1取得部と、前記第1ルート情報を、前記第1出発地点から前記第1目的地点までの真のルート情報として、前記真のルート情報に類似する疑似ルート情報を生成する生成器と、前記生成器によって生成された前記疑似ルート情報と前記真のルート情報とを識別する識別器とを有する生成モデルの敵対的学習を行うように構成された第1学習部と、前記第1学習部によって構築された学習済みの生成器を用いて前記疑似ルート情報を生成するように構成された生成部と、前記第1出発地点から前記第1目的地点に最小コストで到達する第2ルート情報と、前記学習済みの生成器によって生成された前記疑似ルート情報との関係を、識別モデルを用いて学習するように構成された第2学習部と、前記第2学習部によって構築された学習済みの識別モデルを記憶するように構成された記憶部とを備える。
【0008】
また、本発明に係る走行ルート管理装置において、さらに、前記車両において新たに設定された第2出発地点から第2目的地点に最小コストで到達する第3ルート情報を取得するように構成された第2取得部と、前記第3ルート情報を未知の入力として前記学習済みの識別モデルに与え、前記学習済みの識別モデルの演算を行って、前記第2出発地点から前記第2目的地点までの疑似ルート情報を出力し、出力された疑似ルート情報を推奨されるルート情報として決定するように構成された決定部とを備えていてもよい。
【0009】
また、本発明に係る走行ルート管理装置において、さらに、前記決定部により決定された前記推奨されるルート情報に沿って、前記車両を前記第2出発地点から前記第2目的地点まで誘導するように構成された誘導部を備えていてもよい。
【0010】
また、本発明に係る走行ルート管理装置において、前記第2ルート情報および前記第3ルート情報は、前記車両が出発地点から目的地点までに最短距離または最短時間で到達するルート情報であってもよい。
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明に係る走行ルート管理方法は、車両が過去に走行した、第1出発地点から第1目的地点までの第1ルート情報を取得する第1取得ステップと、前記第1ルート情報を、前記第1出発地点から前記第1目的地点までの真のルート情報として、前記真のルート情報に類似する疑似ルート情報を生成する生成器と、前記生成器によって生成された前記疑似ルート情報と前記真のルート情報とを識別する識別器とを有する生成モデルの敵対的学習を行う第1学習ステップと、前記第1学習ステップで構築された学習済みの生成器を用いて前記疑似ルート情報を生成する生成ステップと、前記第1出発地点から前記第1目的地点に最小コストで到達する第2ルート情報と、前記学習済みの生成器によって生成された前記疑似ルート情報との関係を、識別モデルを用いて学習する第2学習ステップと、前記第2学習ステップで構築された学習済みの識別モデルを記憶部に記憶する記憶ステップとを備える。
【0012】
また、本発明に係る走行ルート管理方法において、さらに、前記車両において新たに設定された第2出発地点から第2目的地点に最小コストで到達する第3ルート情報を取得する第2取得ステップと、前記第3ルート情報を未知の入力として前記学習済みの識別モデルに与え、前記学習済みの識別モデルの演算を行って、前記第2出発地点から前記第2目的地点までの疑似ルート情報を出力し、出力された疑似ルート情報を推奨されるルート情報として決定する決定ステップとを備えていてもよい。
【0013】
また、本発明に係る走行ルート管理方法において、さらに、前記決定ステップで決定された前記推奨されるルート情報に沿って、前記車両を前記第2出発地点から前記第2目的地点まで誘導する誘導ステップを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1出発地点から第1目的地点に最小コストで到達する第2ルート情報と、学習済みの生成器によって生成された疑似ルート情報との関係を、識別モデルを用いて学習するので、ユーザごとの運転の傾向に合わせた走行ルートを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る走行ルート管理装置を備える走行ルート管理システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本実施の形態に係る走行ルート管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図3は、本実施の形態に係る走行ルート管理装置が備える第1学習部を説明するための図である。
図4図4は、本実施の形態に係る走行ルート管理装置が備える第1学習部を説明するための図である。
図5図5は、本実施の形態に係る走行ルート管理装置が備える第1学習部を説明するための図である。
図6図6は、本実施の形態に係る走行ルート管理装置が備える第2学習部を説明するための図である。
図7図7は、本実施の形態に係る走行ルート管理装置の動作を示すフローチャートである。
図8図8は、本実施の形態に係る走行ルート管理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図1から図8を参照して詳細に説明する。
【0017】
[走行ルート管理システムの構成]
まず、図1を参照して、本発明の実施の形態に係る走行ルート管理装置1を備える走行ルート管理システムの概要について説明する。走行ルート管理システムは、車両2による走行ルートの傾向を反映した最適な走行ルートを生成することで、車両2の走行ルートを管理する。
【0018】
走行ルート管理システムは、例えば、車両2の車載ナビゲーションシステムに設けられる。車両2と走行ルート管理装置1とは、車載ネットワークNWを介して接続される。
【0019】
車両2は、ドライバーによって運転操作される自動車、原動機付自動車、自動二輪車などが含まれる。車両2は、図示されないECU(Electronic Control Unit)、および従来のルート探索機能を有するナビゲーションシステムを備え、車載ネットワークNWを介して走行ルート管理装置1と連携する。従来のルート探索機能を有するナビゲーションシステムは、設定された出発地点から目的地点までの最小コストの走行ルートを算出する。なお、出発地点は、車両2の現在位置を示すGPS位置情報とすることができる。
【0020】
目的地点までの最小コストの走行ルートは、よく知られているダイクストラ法などの従来のルート探索技術により算出される。具体的には、図1に示すように、地図データを構成するノードN、およびリンクLに基づいて、出発地点「START」から目的地点「GOAL」に到達するまでの道路であるリンクLを探索し、その評価値であるコストを計算する。目的地点までのコストが最小となる連続するリンクLの列が、最小コストのルート情報(第2ルート情報、第3ルート情報)として算出される。また、最小コストのルート情報は、交通状況、道路の種類、制限速度などの要因を考慮して算出することができる。
【0021】
地図データは、地図上の道路をリンクLで表現した道路ネットワークからなり、交差点、分岐点等などの予め設定されたノードNに基づいて道路を複数の区間に分割した区間データとして与えられることができる。各ノードNは、経度および緯度からなるGPS位置情報を有する。また各区間を構成するリンクLは、始点および終点の経度および緯度からなるGPS位置情報、長さ、道路の幅や種別などのデータを含むことができる。
【0022】
図1に示す、地図データ上のノードNを「ノード1-ノード2-ノード3-ノードn」の順番で経由する破線で示すルート情報は、目的地点に最小コストで到達する走行ルートとして算出されている。目的地点までの最短距離をコストと定義する場合の他、最短時間をコストと定義し、最短時間による走行ルートを算出することもできる。
【0023】
一方、図1に示す、「ノード1-ノード2’-ノード3’-ノード4’-ノード5’-ノードn」の順にノードNを経由する実線で示すルート情報は、本実施の形態に係る走行ルート管理システムによって生成されたルート情報である。本実施の形態において生成されたルート情報は、車両2のドライバーの運転傾向が反映されたルート情報である。そのため、実線で示されるルート情報は、必ずしも最短時間または最短距離で目的地点まで到達する走行ルートとはならない。
【0024】
本実施の形態に係る走行ルート管理システムは、車両2において設定された出発地点から目的地点に到達するまでに、車両2が実際に走行した過去のルート情報を真のルート情報として、GAN(Generative Adversarrial Network:敵対的生成ネットワーク)の敵対的学習を行い、真のルート情報に類似する疑似ルート情報を生成する生成器111を構築する。
【0025】
さらに、構築された学習済みの生成器111’によって生成された疑似ルート情報を教師ラベルとした教師データにより、例えば、従来のルート探索機能を有するナビゲーションシステムによって算出された出発地点から目的地点までを最小コストで到達するルート情報と、疑似ルート情報との関係を、識別モデルを用いて学習する。走行ルート管理システムは、車両2において新たに設定された出発地点から目的地点までの最小コストのルート情報を未知の入力として学習済みの識別モデルに与え、出力された疑似ルート情報を推奨されるルート情報として決定する。
【0026】
[走行ルート管理装置の機能ブロック]
次に、本実施の形態に係る走行ルート管理装置1の機能ブロックについて、図1のブロック図を参照して説明する。図1に示すように、走行ルート管理装置1は、第1取得部10、第1学習部11、生成部12、第1記憶部(記憶部)13、第2学習部14、第2取得部15、決定部16、誘導部17、および第2記憶部18を備える。
【0027】
第1取得部10は、車両2が過去に走行した、出発地点(第1出発地点)から目的地点(第1目的地点)までの第1ルート情報を取得する。より詳細には、第1取得部10は、車両2の走行ルートの履歴から、過去に設定した出発地点から目的地点に到達するまでに経由した複数のノードNの情報を第1ルート情報として取得する。第1ルート情報は、複数の連続するノードNの識別子にGPS位置情報が関連付けられた情報である。なお、第1ルート情報は、車両2が実際に過去に走行した、様々なルート情報の履歴であり、第2記憶部18に記憶されている。第1取得部10は、第2記憶部18から第1ルート情報を取得することができ、また、第1取得部10は、直近1年間などといったように任意に設定された期間の走行ルートの履歴を第1ルート情報として用いることができる。
【0028】
第1学習部11は、第1ルート情報を、出発地点(第1出発地点)から目的地点(第1目的地点)までの真のルート情報として、真のルート情報に類似する疑似ルート情報を生成する生成器111と、生成器111によって生成された疑似ルート情報と真のルート情報とを識別する識別器112とを有する生成モデルの敵対的学習を行う。
【0029】
第1学習部11は、図4に示すように、生成器111および識別器112を有するGANを敵対的に学習させる。第1学習部11の学習によって学習済み生成器111’が構築される。
【0030】
図4および図5は、第1学習部11が用いるGANの生成器111および識別器112のニューラルネットワーク構成を模式的に表した図である。図4に示すように、生成器111は、入力層、隠れ層、および出力層を有するニューラルネットワークで構成される。生成器111は、ランダムな雑音から疑似ルート情報を生成するモデルである。生成器111の入力ノードには、例えば、ガウス雑音のベクトルがランダムにm個サンプルされて入力される(z~z)。
【0031】
生成器111は、入力と重みパラメータの積和演算および活性化関数によるしきい値処理を経て出力G(z)を出力する。生成器111からの出力G(z)は、車両2が所定の出発地点から目的地点までに到達するまでに実際に走行した第1ルート情報に類似する疑似ルート情報である。生成器111を構成するニューラルネットワークとしてCNNやResNetを用いることができる。
【0032】
図5に示す識別器112は、入力層、隠れ層、および出力層を有するニューラルネットワークで構成される。図5の例では、訓練データの入力として、第1取得部10によって取得された、車両2が過去に所定の出発地点から目的地点まで走行した第1ルート情報xが与えられる。例えば、図5に示すxには、出発地点のノード1のGPS位置情報が入力され、xには、第2番目に経由したノード2のGPS位置情報が入力され、xには、目的地点のノードnのGPS位置情報が入力される。
【0033】
識別器112は、入力と重みパラメータの積和演算および活性化関数によるしきい値処理を経て、1または0の二値出力を出す。識別器112は、入力された真のルート情報に係る訓練データを正しく真のルート情報であると識別すると出力y=1を出力する。一方、入力された疑似ルート情報に係る訓練データを正しく疑似ルート情報であると識別すると出力y=0を出力する。このように、識別器112は、生成器111が生成したモデル分布を真の分布である訓練データのデータ分布から区別するモデルである。識別器112を構成するニューラルネットワークとしてCNNを用いることができる。
【0034】
図3は、第1学習部11によるGANの敵対的学習を説明するためのブロック図である。第1学習部11が採用するGANの生成器111を関数G、識別器112を関数Dと表す。また、真のルート情報をx、識別器112による出力である予測値はyと表し、正解ラベルをtと表す。正解ラベルtは、真のルート情報に対して1、生成器111で生成された疑似ルート情報に対して0と設定される。このとき、識別器112は、二値分類問題として次式(1)の交差エントロピーECEで表すことができる。
【0035】
【数1】
【0036】
上式(1)のブレース内の第1項が表すtlnyにおいて、識別器112の予測値yが、真のルート情報の正解ラベルt=1の値に近づくことが望ましい。一方、ブレース内の第2項が表す(1-t)ln(1-y)においては、識別器112の予測値yが、疑似ルート情報と識別する正解ラベルの値(1-t)=0に近づくことが望ましい。このように交差エントロピーECEは、予測値が正解ラベルの値に一致している場合に最大値となる。
【0037】
ここで、GANを構成する生成器111は、パラメータw,θを有し、関数G(w,θ)と表す。また、識別器112は、パラメータw,θを有し、関数D(w,θ)と表す。上式(1)の交差エントロピーECEに基づいた生成器111と識別器112とを備えるGANの目的関数Eは、次式(2)で表すことができる。
【数2】
【0038】
上式(2)の第1項が表すED(x)=1lnD(w,θ)は、識別器112が真のルート情報を真のルート情報であると識別する期待値である。上式(2)の第2項が表すED(x)=0ln(1-D(G(w,θ),w,θ))は、生成器111により生成された疑似ルート情報を識別器112が疑似ルート情報であると識別する期待値である。GANの学習では、目的関数Eのmin-max最適化により、生成器111と識別器112とを敵対的に学習する。したがって、識別器112をだますような疑似ルート情報を生成できるように生成器111を学習し、生成器111が生成した疑似ルート情報を疑似ルート情報であると識別するように識別器112を学習する。
【0039】
識別器112の学習では、真のルート情報が与えられた場合に、識別器112がy=1に近い出力を出すことで、上式(2)の目的関数Eの第1項を最大化する。一方、疑似ルート情報が与えられた場合に、識別器112がy=0に近い出力を出すことで目的関数Eの第2項を最大化するように学習が行われる。
【0040】
生成器111の学習では、上式(2)のD(G(w,θ),w,θ)(図3のD(G(z)))が1に近くなるようなG(w,θ)(図3のG(z))を出力することで、目的関数Eを最小化する。第1学習部11は、生成器111のパラメータと識別器112のパラメータとを交互に更新する学習手順を用いる。なお、第1学習部11による生成器111および識別器112の学習手順の詳細は後述する。
【0041】
第1学習部11は、GANの目的関数Eが最適化されると、学習済み生成器111’を生成部12に渡す。
【0042】
生成部12は、GANの学習により構築された学習済み生成器111’を用いて、第1取得部10によって取得された真のルート情報に類似する疑似ルート情報を生成する。
【0043】
第1記憶部13は、学習済みの強化学習モデルのパラメータ、および学習済みの生成器111’を記憶する。また、第1学習部11は、後述の第2学習部14によって学習された学習済みの識別モデルを記憶する。
【0044】
第2学習部14は、出発地点(第1出発地点)から目的地点(第1目的地点)に最小コストで到達する第2ルート情報と、生成部12によって生成された疑似ルート情報との関係を、識別モデルを用いて学習する。図6は、本実施の形態における識別モデルとして採用されるニューラルネットワークの構造を示す模式図である。ニューラルネットワークは、入力層X、隠れ層H、出力層Yからなる多層構造を用いることができる。入力層Xの各入力ノードには、例えば、従来のルート探索機能を有するナビゲーションシステムにより算出された、車両2が出発地点から目的地点に最短距離または最短時間で到達する第2ルート情報が与えられる。また、第2ルート情報は、出発地点のノードN(=X)から目的地点のノードN(=X)までの各ノードNのGPS位置情報で与えられる。
【0045】
図6に示すニューラルネットワークは、入力層Xに与えられた出発地点から目的地点までの各ノードNのPGS位置情報に対して、入力の重み付け総和に活性化関数を適用し、しきい値処理により決定された出力を出力層Yに渡す。図6に示すように、入力ノードの数は、出発地点から目的地点までの最小コストのノードNの数であるL個に対応する。出力層Yの各出力ノードは、ルート情報を構成する複数のノードNのGPS位置情報の各々を出力する。
【0046】
第2学習部14は、目的地点までを最短距離または最短時間で到達する第2ルート情報、すなわち第2ルート情報の複数のノードNのGPS位置情報が入力として与えられたときの出力が、正解ラベルの疑似ルート情報の値、すなわち疑似ルート情報の複数のノードNのGPS位置情報の値となるように、各ニューロンであるノード間の結線の重みwやバイアスθ等のパラメータを調整する。第2学習部14は、例えば、誤差逆伝搬などを利用して、与えた入力値に対して、得られた出力値を比較し、それぞれの重みの誤差を調べて逆方向に伝搬していき、最適化されたパラメータを決定する。このような学習処理を経て、第2学習部14は、学習済みの識別モデルを構築する。
【0047】
第2学習部14によって構築された学習済みの識別モデルは、第1記憶部13に記憶される。
【0048】
第2取得部15は、車両2において新たに設定された出発地点(第2出発地点)から目的地点(第2目的地点)に最小コストで到達する第3ルート情報を取得する。より具体的には、第2取得部15は、車両2が備える従来のルート探索機能を有するナビゲーションシステムによって算出された最短距離または最短時間による第3ルート情報を、車載ネットワークNWを介して取得することができる。また、車両2のナビゲーションシステムは、車両2の現在位置を出発地点とし、ユーザ入力の受け付けによって設定された目的地点に基づいて最小コストの第3ルート情報を算出することができる。第3ルート情報は、連続する複数のノードNの識別子の各々とGPS位置情報とが関連付けられた情報である。
【0049】
決定部16は、第2取得部15が取得した、最小コストで目的地点までに到達する第3ルート情報を未知の入力として学習済みの識別モデルに与え、学習済みの識別モデルの演算を行って、設定された出発地点(第2出発地点)から目的地点(第2目的地点)までの疑似ルート情報を出力し、出力された疑似ルート情報を推奨されるルート情報として決定する。
【0050】
より詳細には、決定部16は、車両2に設定された出発地点および目的地点に基づいて、従来のルート探索機能を有する車両2のナビゲーションシステムで算出された最短距離または最短時間による第3ルート情報を学習済みの識別モデルに与える。決定部16は、学習済みの重み等のパラメータに基づく積和演算およびしきい値処理を経て、出発地点から目的地点までの疑似ルート情報を出力する。決定部16が決定する推奨されるルート情報は、車両2のドライバーに固有の運転傾向を表す真のルート情報にきわめて類似するルート情報である。
【0051】
誘導部17は、決定部16により決定された推奨されるルート情報に沿って、車両2を出発地点から目的地点まで誘導する。より詳細には、誘導部17は、推奨されるルート情報を後述の表示装置109の画面に地図上に他のルートとは区別されるように表示することができる。また、誘導部17は、車両2のGPS位置情報に基づいて、車両2が、各ノードNの位置など、推奨される走行ルート上の所定の位置に到達した際に、スピーカ110により音声案内を出力することができる。
【0052】
第2記憶部18は、車両2による走行ルートの履歴を記憶することができる。第2記憶部18が記憶するルート情報は、出発地点から目的地点までに車両2が経由した複数の連続するノードNの識別子とGPS位置情報とが関連付けられた情報である。また、第2記憶部18は、地図データを記憶する。地図データは、例えば、日本全土の道路地図データや、それに付随する各種施設や店舗等の施設データ等を含み、予め設定されたノードNおよびリンクLの情報を含む。
【0053】
[走行ルート管理装置のハードウェア構成]
次に、上述した機能を有する走行ルート管理装置1を実現するハードウェア構成の一例について、図2を用いて説明する。
【0054】
図2に示すように、走行ルート管理装置1は、例えば、バス101を介して接続されるプロセッサ102、主記憶装置103、通信インターフェース104、補助記憶装置105、入出力I/O106を備えるコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。さらに、走行ルート管理装置1は、GPS受信機107、センサ108、表示装置109、およびスピーカ110を備える。
【0055】
プロセッサ102は、CPU、GPU、FPGA、ASICなどによって実現される。
【0056】
主記憶装置103には、プロセッサ102が各種制御や演算を行うためのプログラムが予め格納されている。プロセッサ102と主記憶装置103とによって、図1に示した第1取得部10、第1学習部11、生成部12、第2学習部14、決定部16、および誘導部17など走行ルート管理装置1の各機能が実現される。
【0057】
通信インターフェース104は、走行ルート管理装置1と各種外部電子機器との間をネットワーク接続するためのインターフェース回路である。
【0058】
補助記憶装置105は、読み書き可能な記憶媒体と、その記憶媒体に対してプログラムやデータなどの各種情報を読み書きするための駆動装置とで構成されている。補助記憶装置105には、記憶媒体としてハードディスクやフラッシュメモリなどの半導体メモリを使用することができる。
【0059】
補助記憶装置105は、推奨されるルート情報を決定し、決定されたルート情報に沿って車両2を誘導するための走行ルート管理プログラムを格納するプログラム格納領域を有する。また、補助記憶装置105は、走行ルート管理装置1が実行するGANの敵対的学習を行うための第1学習プログラム、および識別モデルの教師あり学習を行う第2学習プログラムを格納するプログラム格納領域を有する。補助記憶装置105によって、図1で説明した第1記憶部13および第2記憶部18が実現される。さらには、例えば、上述したデータやプログラムなどをバックアップするためのバックアップ領域などを有していてもよい。
【0060】
入出力I/O106は、外部機器からの信号を入力したり、外部機器へ信号を出力したりする入出力装置である。
【0061】
GPS受信機107は、GPS衛星の絶対位置および時刻を受信し、このGPS位置情報に基づいて、車両2の現在位置が特定される。
【0062】
センサ108は、地磁気センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、車速センサ、カメラやLiDARなどの各種センサによって実現される。センサ108によって、車両2の方向、傾斜角度、移動距離などが検出され、車両2の位置の特定に利用される。
【0063】
表示装置109は、有機ELディスプレイや液晶ディスプレイなどによって構成される。表示装置109は、地図データに推奨されるルート情報、ならびに自車位置および進行方向を画面表示させる。また、表示装置109は、タッチパネルとして機能し、ユーザからの目的地点の設定を受け付けることができる。
【0064】
スピーカ110は、音声案内のデジタルデータをアナログデータに変換し出力する。
【0065】
[走行ルート管理装置の動作]
次に、上述した構成を有する走行ルート管理装置1の動作を、図7および図8のフローチャートを参照して説明する。
【0066】
図7に示すように、まず、第1取得部10は、車両2が過去に走行した第1ルート情報を取得する(ステップS1)。第1取得部10は、例えば、第2記憶部18に記憶されている車両2の走行ルートの履歴を取得することができる。次に、第1学習部11は、第1学習処理を行う(ステップS2)。ステップS2では、第1学習部11は、第1ルート情報を、真のルート情報として、真のルート情報に類似する疑似ルート情報を生成する生成器111と、生成器111によって生成された疑似ルート情報と真のルート情報とを識別する識別器112とを有するGANの敵対的学習を行う。なお、第1学習部11による第1学習処理の詳細は後述する。
【0067】
次に、生成部12は、第1学習部11によって構築された学習済みの生成器111’を用いて疑似ルート情報を生成する(ステップS3)。その後、第2学習部14は、第2学習処理を実行する(ステップS4)。ステップS4において、第2学習部14は、第1ステップS1で取得された第1ルート情報の出発地点および目的地点と同じ出発地点から目的地点までに最短距離または最短時間で到達する第2ルート情報と、ステップS3で生成部12によって生成された第1ルート情報、すなわち真のルート情報に類似する疑似ルート情報との関係を、識別モデルを用いて学習する。
【0068】
ステップS4では、第2学習部14は、第2ルート情報を示す各ノードNのGPS位置情報と、学習済みの生成器111’により生成された疑似ルート情報を示す各ノードNのGPS位置情報とから構成される教師データを用いて、図6に示すニューラルネットワーク構成を有する識別モデルの教師あり学習を行う。
【0069】
第2学習部14は、従来のルート探索機能を有するナビゲーションシステムにより算出された、車両2に設定された最短距離または最短時間による第2ルート情報を表す各ノードNのGPS位置情報を入力として与える。さらに、第2学習部14は、第2ルート情報が与えられたときのニューラルネットワークの出力が、正解ラベルである疑似ルート情報を表す各ノードNのGPS位置情報の値となるように、各ニューロンであるノード間の結線の重みwやバイアスθを調整する。第2学習部14は、例えば、誤差逆伝搬などを利用して、与えた入力値に対して、得られた出力値を比較し、それぞれの重みの誤差を調べて逆方向に伝搬していき、最適なパラメータを決定する。ステップS4での第2学習処理によって、学習済みの識別器が構築される。
【0070】
その後、第1記憶部13は、ステップS4で構築された学習済みの識別器を記憶する(ステップS5)。次に、第2取得部15は、車両2において新たに設定された出発地点から目的地点に最短距離または最短時間で到達する第3ルート情報を取得する(ステップS6)。具体的には、第2取得部15は、車載ネットワークNWを介して、従来のルート探索機能を有するナビゲーションシステムから第3ルート情報を取得することができる。
【0071】
次に、決定部16は、ステップS6で取得された第3ルート情報を未知の入力として、学習済みの識別器に与え、学習済み識別器の演算を行って、新たに設定された出発地点から目的地点までの疑似ルート情報を出力し、出力された疑似ルート情報を推奨されるルート情報として決定する(ステップS7)。
【0072】
その後、誘導部17は、ステップS7で決定された推奨されるルート情報に沿って、車両2を目的地点まで誘導する(ステップS8)。
【0073】
次に、図8を参照し、図7で説明したステップS2での第1学習処理を説明する。まず、第1学習部11は、真のルート情報を訓練データ114として識別器112に入力し、真のルート情報を真のルート情報(y=1)と識別するように、識別器112のパラメータw,θを学習し、更新する(ステップS20)。図3の第1学習部11のブロック図に示すように、図7のステップS1で収集された真のルート情報は、識別器112を学習する際に入力される訓練データ114として用いられる。
【0074】
ステップS20において、第1学習部11は、例えば、誤差逆伝搬法などを用いて識別器112に真のルート情報を学習させることができる。ステップS20により、真のルート情報を真のルート情報と識別することができる識別器112が事前に構築される。
【0075】
次に、第1学習部11は、ガウス雑音を発生し、発生したガウス雑音のランダムなベクトルを生成器111に入力として与える(ステップS21)。続いて、生成器111は、与えられたガウス雑音に基づいて、入力zと重みパラメータw,θの積和演算および活性化関数によるしきい値処理を行い、疑似ルート情報G(z)を生成する(ステップS22)。
【0076】
次に、第1学習部11は識別器112の学習を行う。識別器112の学習は、生成器111のパラメータw,θを固定して行われる。まず、第1学習部11は、図7のステップS1で取得された真のルート情報を訓練データ114として識別器112に入力として与える。そして、第1学習部11は、上式(2)の目的関数Eが最大となるように、誤差逆伝搬法などによりパラメータw,θを更新する(ステップS23)。なお、訓練データ114のラベルは1(真のルート情報)が設定されている。
【0077】
次に、第1学習部11は、ステップS22で生成器111によって生成された疑似ルート情報を識別器112に入力として与え、上式(2)の目的関数Eが最大となるように、誤差逆伝搬法などによりパラメータw,θを更新する(ステップS24)。すなわち、ステップS23およびステップS24では、上式(2)の目的関数Eを最大にするために、第1項はD(w,θ)=1が出力され、第2項はD(G(w,θ),w,θ)=0となるように最適化が行われる。なお、訓練データ114には、ラベルは0(疑似ルート情報)が設定されている。
【0078】
ステップS23およびステップS24での識別器112の学習は、図3に示す第1学習部11のブロック図において、識別器112からの出力113に基づいて、目的関数Eのブロック115で識別器誤差が算出され、その後、識別器112へ誤差逆伝搬されることを示す破線の矢印に対応する。
【0079】
次に、第1学習部11は生成器111の学習を行う。生成器111の学習では、識別器112のパラメータが固定されて行われる。第1学習部11は、ランダムなガウス雑音を生成器111に与えた際に疑似ルート情報が生成されるように生成器111を学習する。具体的には、第1学習部11は、上式(2)の目的関数Eを最小とするために、誤差逆伝搬法などによりパラメータw,θを更新する(ステップS25)。
【0080】
ステップS25での学習は、図3の第1学習部11のブロック図において、生成器111へ誤差逆伝搬されることを示す破線の矢印のフローに対応する。すなわち、ステップS25は、図3の生成器111で生成された疑似ルート情報が識別器112に入力され、その出力113から目的関数Eのブロック115で生成器誤差が算出され、さらには、生成器111へ誤差逆伝搬される破線矢印のフローに対応する。
【0081】
その後、目的関数Eの値がナッシュ均衡に到達して収束するまで(ステップS26:NO)、ステップS22からステップS25までの識別器112および生成器111の学習が繰り返し行われる。一方、目的関数Eの値が収束した場合(ステップS26:YES)、M個すべての真のルート情報のうち、残りのM-1個の真のルート情報を用いて、生成器111および識別器112の学習が行われるまで(ステップS27:NO)、ステップS20からステップS26までの処理が繰り返される。
【0082】
その後、残りのM-1個の真のルート情報を用いて生成器111および識別器112の学習が行われた場合(ステップS27:YES)、第1学習部11は、学習済み生成器111’を第1記憶部13に記憶する(ステップS28)。以上のステップS20からステップS28までの処理によって学習済み生成器111’が構築される。さらにその後、処理は、図7のステップS3に移る。
【0083】
以上説明したように、本実施の形態に係る走行ルート管理装置1によれば、車両2の過去の走行ルートの履歴を真のルート情報としてGANの敵対的学習を行い、生成された学習済みの生成器111’を用いて疑似ルート情報を生成する。さらに、学習済みの生成器111’によって生成された、真のルート情報に類似する疑似ルート情報を教師データとして用いて、例えば、従来のルート探索機能を有するナビゲーションシステム等で算出された最小コストのルート情報と疑似ルート情報との関係を、識別モデルに学習させる。そのため、ドライバーごとの運転の傾向に合わせた走行ルートを生成することができる。
【0084】
なお、説明した実施の形態に係る走行ルート管理装置1は、車両2が備える従来のルート探索機能を有するナビゲーションシステムとは別の構成として説明した。しかし、走行ルート管理装置1は、従来のルート探索機能を有するナビゲーションシステムと一体的に構成することができる。この場合、走行ルート管理装置1は、最短時間や最短距離のルート情報、およびドライバーの運転傾向を反映した推奨されるルート情報を、ドライバーに選択可能に画面表示し、選択されたルート情報に基づいて車両2の目的地点まで誘導することができる。
【0085】
以上、本発明の走行ルート管理装置、および走行ルート管理方法における実施の形態について説明したが、本発明は説明した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に記載した発明の範囲において当業者が想定し得る各種の変形を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1…走行ルート管理装置、2…車両、10…第1取得部、11…第1学習部、12…生成部、13…第1記憶部、14…第2学習部、15…第2取得部、16…決定部、17…誘導部、18…第2記憶部、101…バス、102…プロセッサ、103…主記憶装置、104…通信インターフェース、105…補助記憶装置、106…入出力I/O、107…GPS受信機、108…センサ、109…表示装置、110…スピーカ、111…生成器、112…識別器、113…出力、114…訓練データ、115…目的関数Eのブロック、NW…車載ネットワーク。
【要約】
【課題】ユーザごとの運転の傾向に合わせた走行ルートを生成することを目的とする。
【解決手段】
走行ルート管理装置1は、車両2が過去に走行した第1ルート情報を真のルート情報として、真のルート情報に類似する疑似ルート情報を生成する生成器111と、生成器111によって生成された疑似ルート情報と真のルート情報とを識別する識別器112とを有する生成モデルの敵対的学習を行う第1学習部11と、第1学習部11によって構築された学習済みの生成器111’を用いて疑似ルート情報を生成する生成部12と、目的地点に最小コストで到達する第2ルート情報と、学習済みの生成器111’よって生成された疑似ルート情報との関係を、識別モデルを用いて学習する第2学習部14と、第2学習部14によって構築された学習済みの識別モデルを記憶する第1記憶部13とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8