(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】コンクリート剥落防止工法
(51)【国際特許分類】
E21D 11/00 20060101AFI20240821BHJP
C04B 41/71 20060101ALI20240821BHJP
E01D 22/00 20060101ALI20240821BHJP
E21D 11/10 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
E21D11/00 Z
C04B41/71
E01D22/00 A
E21D11/10
(21)【出願番号】P 2018067207
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2021-03-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003322
【氏名又は名称】大日本塗料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】服部 絢子
(72)【発明者】
【氏名】梶 章二
(72)【発明者】
【氏名】田邉 康孝
(72)【発明者】
【氏名】宮下 剛
(72)【発明者】
【氏名】関 智行
(72)【発明者】
【氏名】作 周平
【合議体】
【審判長】古屋野 浩志
【審判官】土屋 真理子
【審判官】加藤 範久
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-247290(JP,A)
【文献】特開2017-119995(JP,A)
【文献】特開2015-78600(JP,A)
【文献】特開昭63-63758(JP,A)
【文献】特開2016-125193(JP,A)
【文献】特開2016-203517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D11/00-11/08,E04G23/02,C09D5/00-175/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物の表面に、プライマー層、粘着剤層、及びシート層を備える積層体を形成させて、コンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止する方法であって、
プライマー塗料でコンクリート構造物の表面を塗装する第1の工程と、
コンクリート構造物上に塗装されたプライマー塗料が未乾燥状態のうちに、該プライマー塗料から形成されるプライマー層上に粘着剤層及び
複合繊維シート層を備える複合シートを配置させる第2の工程と
を含
み、前記粘着剤層がアクリル系粘着剤を50質量%以上含むことを特徴とする、コンクリート剥落防止方法。
【請求項2】
前記複合シートの前記プライマー層上への配置が、プライマー塗料による塗装が完了した直後から1時間以内に行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プライマー塗料が、重量平均分子量1,000~200,000のエポキシ樹脂を少なくとも含むことを特徴とする、請求項1~2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記プライマー塗料が、メチルエチルケトン、及び酢酸エチルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤を含み、該プライマー塗料中に含まれる揮発分が40~90質量%の範囲内であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記プライマー塗料の塗装手段がエアゾールスプレー塗装であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記積層体は、プライマー層の厚さが0.01~0.1mmの範囲内であり、粘着剤層の厚さが0.1~2.0mmの範囲内であり、シート層の厚さが0.001~0.5mmの範囲内であることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止する方法(以下、コンクリート剥落防止工法ともいう)に関し、特には、様々な環境下に設置されたコンクリート構造物に対しても、簡単な方法で短時間の施工が可能であるとともに、安定した高レベルの剥落防止機能を実現可能であるコンクリート剥落防止工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高架橋、トンネル、橋梁やその他の構造物は、その強度や耐久性を向上させる必要性から、コンクリート製の構造物が広く用いられている。しかしながら、近年では、コンクリートの塩害による鉄筋の腐食や排ガス等による中性化、アルカリ骨材反応、ひび割れに浸入した水分の凍結等により、コンクリートが劣化し、劣化が進行するとコンクリート構造物の表面からコンクリート片が剥がれ落ち、コンクリート構造物自体の強度低下や美観の低下、剥落による事故の危険性等の課題が発生している。
このような状況下、かかる課題を考慮しつつ、様々な観点から、コンクリート剥落防止工法の開発が行われている。
【0003】
特開2018-3444号公報は、コンクリート構造物の表面に、下塗り塗膜、繊維シート及び上塗り塗膜を備える積層体を形成させて、コンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止する方法であって、下塗り塗料及び上塗り塗料が、数平均分子量が300~10,000であり且つ1分子あたりの水酸基の数が2.0~9.0であるポリオールと、イソシアネート基の割合が10.0~20.0質量%であるポリイソシアネートとを含み、該ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5~1.5当量であり、該ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネートよりなる群から選択される少なくとも1種である2液硬化型塗料であることを特徴とする方法を記載し、これにより、剥落防止システムの施工を短期間で実施可能なコンクリート剥落防止工法を提供できることを記載している。
【0004】
特開2004-27718号公報は、保護層と接着剤塗布層とを接着するとともに接着剤塗布層のコンクリート構造物への接着面に接着剤層を形成したことを特徴とするコンクリート構造物の補修・補強・劣化防止用シート、及び、かかるコンクリート構造物の補修・補強・劣化防止用シートをコンクリート構造物に、該シートの接着剤塗布層のコンクリート構造物への接着面に有する接着剤層を用いて貼着することを特徴とするコンクリート構造物の補修・補強・劣化防止方法を記載し、これにより、コンクリートの剥落を防止するための補修や補強の作業を軽減・短縮化し得るとしている。
【0005】
特開2015-78600号公報は、コンクリートに、ガラス転移温度が15℃以下のアクリル系樹脂を含むとともに、液状エポキシ樹脂、固形エポキシ樹脂、及び硬化剤をさらに含む粘接着層と、前記粘接着層を覆うコンクリートの補修用又は補強用のシートと、を設けることを特徴とするコンクリートの補修又は補強方法を記載し、これにより、補修用又は補強用のシートをコンクリート等の被着体に貼り合わせる際に、そのシートを被着体に仮固定でき、被着体の補修又は補強を容易に行うことができるとしている。
【0006】
特開2017-119995号公報は、コンクリート構造体の剥落を防止する粘着性物品の施工方法であって、粘着性アクリルポリマー及び無機微粒子を含有する粘着剤層と、前記粘着剤層中に配置される繊維シートとを含む粘着性物品であって、該物品の両主面上に粘着剤層が存在する、粘着性物品を、コンクリート構造体に直接適用する工程、を備える、施工方法を記載し、これにより、従来の施工方法に比べて短時間で施工することができ、コンクリート片の剥落防止性能をより向上させ得るとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-3444号公報
【文献】特開2004-27718号公報
【文献】特開2015-78600号公報
【文献】特開2017-119995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のコンクリート剥落防止工法は、剥落防止システムの施工を短期間で実施可能なコンクリート剥落防止工法であり、従来2日以上を要していたコンクリート剥落防止工法を1日で施工可能とすると共に高いレベルで剥落防止性能を発揮できるものである。しかしながら、更なる省工程化や作業の簡略化が依然として求められている。
【0009】
一方、特許文献2~4に記載の方法は、接着剤層や粘着剤層を備える複合シートを用いることで、作業の簡略化を図る方法であるが、特許文献2~4に記載の方法においては、かかる複合シートを、コンクリート基材に直接貼り付けているか、あるいは、コンクリート基材上に形成された乾燥塗膜上に貼り付けている。しかしながら、特許文献2~4に記載の方法では、巣穴の大きさや緻密さが様々であるコンクリート構造物の表面に対して、安定した高レベルの剥離防止機能を付与することができるとは言えない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、様々な環境下に設置されたコンクリート構造物に対しても、簡単な方法で短時間の施工が可能であるとともに、安定した高レベルの剥落防止機能を実現可能であるコンクリート剥落防止工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、プライマー塗料でコンクリート構造物の表面を塗装し、コンクリート構造物上に塗装されたプライマー塗料が未乾燥状態のうちに該プライマー塗料から形成されるプライマー層上に粘着剤層及び繊維シート層を備える複合シートを配置させることで、様々なコンクリート構造物に対して安定した高レベルの剥落防止機能を実現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち、本発明のコンクリート剥落防止工法は、コンクリート構造物の表面に、プライマー層、粘着剤層、及びシート層を備える積層体を形成させて、コンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止する方法であって、
プライマー塗料でコンクリート構造物の表面を塗装する第1の工程と、
コンクリート構造物上に塗装されたプライマー塗料が未乾燥状態のうちに、該プライマー塗料から形成されるプライマー層上に粘着剤層及び繊維シート層を備える複合シートを配置させる第2の工程と
を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明のコンクリート剥落防止工法の好適例においては、前記複合シートの前記プライマー層上への配置が、プライマー塗料による塗装が完了した直後から1時間以内に行われる。
【0014】
本発明のコンクリート剥落防止工法の他の好適例においては、前記プライマー塗料が、重量平均分子量1,000~200,000のエポキシ樹脂を少なくとも含む。
【0015】
本発明のコンクリート剥落防止工法の他の好適例においては、前記プライマー塗料が、メチルエチルケトン、及び酢酸エチルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤を含み、該プライマー塗料中に含まれる揮発分が40~90質量%の範囲内である。
【0016】
本発明のコンクリート剥落防止工法の他の好適例においては、前記プライマー塗料の塗装手段がエアゾールスプレー塗装である。
【0017】
本発明のコンクリート剥落防止工法の他の好適例において、前記積層体は、プライマー層の厚さが0.01~0.1mmの範囲内であり、粘着剤層の厚さが0.1~2.0mmの範囲内であり、シート層の厚さが0.001~0.5mmの範囲内である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、様々な環境下に設置されたコンクリート構造物に対しても、簡単な方法で短時間の施工が可能であるとともに、安定した高レベルの剥落防止機能を実現可能であるコンクリート剥落防止工法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明のコンクリート剥落防止工法の一実施態様によってコンクリート構造物の表面に形成された積層体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明のコンクリート剥落防止工法を詳細に説明する。本発明のコンクリート剥落防止工法は、コンクリート構造物の表面に、プライマー層、粘着剤層、及びシート層を備える積層体を形成させて、コンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止する方法であって、プライマー塗料でコンクリート構造物の表面を塗装する第1の工程と、コンクリート構造物上に塗装されたプライマー塗料が未乾燥状態のうちに、該プライマー塗料から形成されるプライマー層上に粘着剤層及び繊維シート層を備える複合シートを配置させる第2の工程とを含むことを特徴とする。
【0021】
本発明のコンクリート剥落防止工法においては、まず、プライマー塗料でコンクリート構造物の表面を塗装する(第1の工程)。第1の工程によってプライマー層を形成することができる。なお、後述するように、本発明のコンクリート剥落防止工法においては、コンクリート構造物上に塗装されたプライマー塗料が未乾燥状態のうちに、粘着剤層及び繊維シート層を備える複合シートの配置が行われる。
【0022】
本明細書において「コンクリート構造物」は、コンクリートを単体で利用した構造物、鉄筋コンクリートを利用した構造物、それらの部材等であり、その具体例としては、高架橋、橋梁、橋脚、橋台、桁、床版、高欄、ドルフィン、トンネル、道路、導水路、貯蔵槽、壁等の各種コンクリート構造物やその部材等が挙げられる。
【0023】
本明細書において「プライマー塗料」とは、何らかの改善効果を目的として予め基材上に適用される塗料である。本発明のコンクリート剥落防止工法のようにシートをコンクリート構造物に適用する前に適用されるプライマー塗料は、該シートの付着性等を改善することを目的としている。
【0024】
上記プライマー塗料は、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂は、コンクリート構造物に対する付着性に優れるため、高度なコンクリート剥落防止性能を提供することができる。ここで、エポキシ樹脂としては、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する樹脂であることが好ましく、例えば、多価アルコール又は多価フェノールとハロヒドリンとを反応させて得られるものであり、具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ化油、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル及びネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる他、このようなエポキシ樹脂の変性物である、アミン変性エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、アクリル変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ポリエステル変性エポキシ樹脂等の、変性エポキシ樹脂等も含まれる。これらの中でも、塗膜の耐久性やコンクリート構造物に対する付着性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。なお、これらエポキシ樹脂は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記プライマー塗料中において、エポキシ樹脂の含有量は、10~50質量%であることが好ましい。
【0025】
上記エポキシ樹脂は、その重量平均分子量が1,000~200,000であることが好ましく、5,000~100,000であることが更に好ましく、8,000~70,000であることが特に好ましい。上記特定した範囲の重量平均分子量のような高分子量のエポキシ樹脂をプライマー塗料が含んでいると、例えば溶媒が揮発した乾燥後のプライマー層に高い付着性を付与することができる。なお、エポキシ樹脂の重量平均分子量が200,000以下であれば、塗装作業性を容易に確保することができる。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した値であり、標準物質にはポリスチレンが使用され、移動相にはテトラヒドロフランが使用される。
【0026】
上記エポキシ樹脂は、その軟化点が20~80℃の範囲内であることが好ましい。上記特定した範囲の軟化点を有するエポキシ樹脂をプライマー塗料が含んでいると、耐湿性に優れた塗膜が得られる。
なお、本明細書において、軟化点は、JIS K 7234に規定される軟化点試験方法(環球法)によって測定された値である。
【0027】
上記プライマー塗料は、水、有機溶媒又はそれらの混合溶媒を溶媒として使用できる。ここで、有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、炭化水素類(脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素など)、ケトン類、エステル類、エーテル類、アルコール類等の各種有機溶媒が使用できる。なお、有機溶媒は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
上記プライマー塗料は、メチルエチルケトン及び酢酸エチルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤(a)を含むことが好ましい。安定して高レベルの剥落防止機能を付与する観点から、プライマー塗料にこれらの好ましい有機溶媒(a)を配合することが好ましい。
上記プライマー塗料中において、有機溶媒(a)の含有量は、30~60質量%以上であることが好ましい。
【0029】
上記プライマー塗料には、その他の成分として、他の樹脂、硬化剤、顔料、増粘剤、防錆剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、ダレ止め剤、硬化促進剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を必要に応じて適宜配合してもよい。
【0030】
上記プライマー塗料は、安定して高レベルの剥落防止機能を付与する観点から、該プライマー塗料中に含まれる揮発分が40~90質量%の範囲内であることが好ましく、50~90質量%の範囲内であることが更に好ましく、65~85質量%の範囲内であることが特に好ましい。本明細書において「揮発分」は、本発明のコンクリート剥落防止工法の過程で揮発し、最終的に得られる積層体中に残存しない成分を意味し、溶媒等が挙げられる。
【0031】
上記プライマー塗料は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって調製できる。
【0032】
上記プライマー塗料の塗装手段は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、コテ塗装、ヘラ塗装、フローコーター塗装、スプレー塗装(例えばエアゾールスプレー塗装、エアースプレー塗装、エアレススプレー塗装など)等が利用できるが、施工作業の簡略化の観点から、エアゾールスプレー塗装が好ましい。
なお、エアゾールスプレー塗装の際には、上記プライマー塗料をスプレー缶から噴霧させるための溶剤として噴射剤が使用される。噴射剤は、上記プライマー塗料と共にスプレー缶に封入されている。噴射剤としては、例えば、ジメチルエーテル(DME)、液化石油ガス(LPG)、HFO-1234zE等が挙げられ、ジメチルエーテル(DME)が好ましい。なお、噴射剤は市販品を使用できる。
【0033】
本発明のコンクリート剥落防止工法においては、次に、コンクリート構造物上に塗装されたプライマー塗料が未乾燥状態のうちに、該プライマー塗料から形成されるプライマー層上に粘着剤層及び繊維シート層を備える複合シートを配置させる(第2の工程)。第2の工程によって、コンクリート構造物上に積層体を形成することができるが、ここで、積層体の粘着剤層は、配置された複合シートの粘着剤層によって構成され、積層体のシート層は、配置された複合シートのシートによって構成されている。
【0034】
本発明のコンクリート剥落防止工法は、コンクリート構造物上に塗装されたプライマー塗料が未乾燥状態のうちに(即ち、プライマー層の乾燥を待たずに)粘着剤層及び繊維シート層を備える複合シートの貼り付けを行うため、様々な環境下に設置されたコンクリート構造物に対し安定して高レベルの剥落防止機能を付与することができる。また、上記第1の工程及び第2の工程により作業を完了できるため、簡単な方法で短時間の施工が可能である。このため、本発明のコンクリート剥落防止工法は、高所作業車での作業を要するようなコンクリート構造物に対しても実施可能である。
更に、本発明のコンクリート剥落防止工法は、第2工程において、プライマー塗料中に含まれる溶剤が粘着剤層の一部に浸透し、プライマー層と粘着剤層との界面で各層を構成する成分が混在する混在層が形成され、及び/又は各層を構成する成分の一部が反応し、プライマー層を介した複合シートのコンクリート構造物への付着性を向上させているものと考えられる。そして、これにより、高レベルの剥落防止機能が実現できるものと考えられる。
【0035】
本明細書において「未乾燥状態」とは、塗装された塗料又は該塗料から形成される塗膜(本明細書においては「層」ともいう)に揮発分が残存している状態を意味し、「乾燥状態」とは、塗装された塗料又は該塗料から形成される塗膜に揮発分が存在していない状態を意味する。
【0036】
上記第2の工程においては、コンクリート構造物上に塗装されたプライマー塗料が未乾燥状態のうちに、該プライマー塗料から形成されるプライマー層上に粘着剤層及び繊維シート層を備える複合シートを配置させるが、ここで、より確実に、安定して高レベルの剥落防止機能を付与する観点から、複合シートのプライマー層上への配置は、プライマー塗料による塗装が完了した直後から1時間以内に行われることが好ましく、プライマー塗料による塗装が完了した直後から30分以内に行われることが更に好ましい。
本明細書において「プライマー塗料による塗装の完了」とは、プライマー塗料の塗装手段による塗装作業を終了した時点を意味し、本発明のコンクリート剥落防止工法においては、通常、プライマー塗料で、少なくとも、コンクリート構造物において複合シートが配置される表面領域を塗装する。
【0037】
本発明のコンクリート剥落防止工法に用いる複合シートは、粘着剤層とシートとを備えるが、上記第2工程においては、粘着剤層をプライマー層上に配置させることから、該複合シートの少なくとも一方の表面には粘着剤層が存在している。
【0038】
上記粘着剤層は、粘着剤を含むが、該粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤やブチルゴム系粘着剤等の公知の粘着剤を使用することができ、好ましくはアクリル系粘着剤である。なお、上記粘着剤は、感圧型接着剤とも呼ばれる。
【0039】
アクリル系粘着剤は、例えば、アルキル基の炭素数が4~20である非第三級アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種からなる第1のモノマーと、必要に応じて第1のモノマーと共重合する第2のモノマーとを重合して得られるポリマーである。ただし、第2のモノマーは、第1のモノマーとは異なるモノマーである。
【0040】
第1のモノマーは、単独重合した場合にガラス転移温度が0℃以下のポリマーを与えるモノマーとすることができる。ここで、ガラス転移温度は、動的粘弾性測定における(周波数は1.0Hz、昇温速度は5℃/minにすることができる)、tanδのピーク位置の温度をいう。第1のモノマーとしては、例えば、アルキル基の炭素数が4~20又は4~18である非第三級アルキルアルコールの単官能(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、具体例としては、n-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、n-デシルアクリレート、n-ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレートが挙げられる。なお、第1のモノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
第2のモノマーは、少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有し、単独重合した場合にガラス転移温度が0℃を超えるポリマーを与えるモノマーとすることができる。また、剥離防止機能を向上させる観点から、アクリル系粘着剤は、第2のモノマーを繰り返し単位として含むものが好ましい。第2のモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N,N-ジメチルアクリルアミドなどの置換(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、イソボルニルアクリレート、アルキル基の炭素数が1~3であるアルコールのアクリレート、カルボキシエチルアクリレートが挙げられ、(メタ)アクリル酸が好ましい。なお、第2のモノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。第2のモノマーとして置換(メタ)アクリルアミド等の塩基性のモノマーを用いる場合には、弱塩基性の三級アミン化合物等を用いることができる。
【0042】
第1のモノマーと第2のモノマーとの質量比に関しては、第1のモノマーの割合が50質量%以上、60質量%以上又は70質量%以上で、100質量%以下、98質量%以下又は95質量%以下であり、第2のモノマーの割合が0質量%以上、2質量%以上又は5質量%以上で、50質量%以下、40質量%以下又は30質量%以下であることが好ましい。
【0043】
上記粘着剤層中において、粘着剤の含有量は、例えば50質量%以上、70質量%以上、又は90質量%以上、99質量%以下、97質量%以下、又は95質量%以下とすることができる。
【0044】
上記粘着剤層は、無機微粒子を含むことが好ましい。無機微粒子としては、例えばシリカ微粒子や鉱物の微粒子等の公知の無機微粒子を使用することができる。無機微粒子は、中実の微粒子であってもよいし、中空の微粒子であってもよい。無機微粒子の形状は、球形のものに限らず、扁平形等の異形状のものも使用することができる。
【0045】
無機微粒子は、1μm以上、5μm以上又は10μm以上で、500μm以下、300μm以下又は100μm以下の粒子径(メディアン径)を有する第1の無機微粒子を含むことが好ましい。本明細書において、粒子径(メディアン径)は、体積基準粒度分布の50%粒子径(D50)を指し、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定される粒度分布から求めることができる。そして、本明細書における粒子径は、レーザ回折・散乱法による球相当径で表される。
【0046】
上記粘着剤層中において、第1の無機微粒子の含有量は、粘着剤100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以上、又は3質量部以上、20質量部以下、18質量部以下、又は15質量部以下が好ましい。
【0047】
無機微粒子は、上記特定の粒子径(メディアン径)を有する第1の無機微粒子に加えて、0.0001μm以上、0.001μm以上、又は0.005μm以上、1μm以下、0.1μm以下、又は0.05μm以下の粒子径(メディアン径)を有する第2の無機微粒子を更に含むことが好ましい。この場合、第1の無機微粒子と第2の無機微粒子との質量比に関しては、例えば、第1の無機微粒子の割合が1質量%以上、3質量%以上、又は5質量%以上、100質量%以下、20質量%以下、又は10質量%以下であってよく、第2の無機微粒子の割合が0質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上、99質量%以下、97質量%以下、又は95質量%以下であってよい。
【0048】
第1の無機微粒子としては、例えば3M社製のK15、及び松本油脂社製のマイクロスフィアM-600を用いることができる。第2の無機微粒子としては、例えば日本アエロジル社製のA-200及びR-972を用いることができる。
【0049】
上記粘着剤層は、粘着付与剤を更に含有していてもよい。粘着付与剤としては、炭化水素樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂及びこれらの水素化物等が挙げられる。入手可能な粘着付与剤の例としては、イーストマンケミカルジャパン社製のRegalrezTM1085、RegalrezTM1094、RegalrezTM6108及びGegalrezTM3102、荒川化学工業(株)製のArkon P-140などが挙げられる。
【0050】
上記粘着剤層中において、粘着付与剤の含有量は、粘着剤100質量部に対して、10質量部以下、又は5質量部以下が好ましい。粘着付与剤の含有量は、例えば粘着剤100質量部に対して0.5質量部以上であってよい。
【0051】
上記粘着剤層は、上記した成分に加えて、重合開始剤、架橋剤、可塑剤、充填剤、耐エージング剤、紫外線吸収剤、色素等の粘着剤層に使用される公知の添加剤などを更に含有していてもよい。
【0052】
上記粘着剤層は、ゲル分率が50~70質量%の範囲内であることが好ましい。
なお、ゲル分率は下記式(1)より算出することができる。
ゲル分率(質量%)=(B/A)×100 式(1)
A:粘着剤層(試験片)の重量
B:23℃のテトラヒドロフランに粘着剤層(試験片)を12時間浸漬し、その後の粘着剤層の不溶解分の乾燥重量
【0053】
本発明のコンクリート剥落防止工法に用いる複合シートを構成するシートとしては、繊維シートが使用できる。繊維シートの形状は、特に制限されず、例えば不織布であってもよいが、格子状のシートであることが好ましい。上記繊維シートとしては、例えば、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレン繊維、ポリアリレート繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の繊維で構成されるシートが挙げられる。
なお、繊維シートを単独で使用してもよいが、繊維シート、中間層及び繊維シートを順に備えるような複合繊維シートを使用することもできる。
【0054】
上記複合繊維シートを構成する中間層は、樹脂フィルムであることが好ましい。樹脂フィルムの具体例としては、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH樹脂)フィルム、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂フィルム、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂フィルム、金属又はその酸化物が蒸着されてなる樹脂フィルム、PVDCコートフィルム、PVAコートフィルム、ならびにメタキシレンジアミンをアミン成分とするナイロンフィルムなどが挙げられる。樹脂フィルムは、異なる樹脂フィルムを積層したものであってもよく、その一例として、EVOH樹脂層の両面にナイロンフィルムを積層してなる積層フィルムが挙げられる。上記の金属又はその酸化物とは、例えば、アルミニウム、珪素などまたはそれらの酸化物などが好ましく挙げられる。
【0055】
上記複合繊維シートにおいて、繊維シートと樹脂フィルムは、例えば接着剤を介して積層されていてもよい。ここで、接着剤としては、公知の接着剤を使用できるが、具体例としては、ウレタン系接着剤、エステル系接着剤、シリコーン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられる。
【0056】
本発明のコンクリート剥落防止工法に用いる複合シートの構造は、少なくとも一方の表面に粘着剤層が存在している限り特に制限されるものではなく、粘着剤層やシートはそれぞれ1層でもよいし、複数層であってもよい。また、上記複合シートは、耐候性、防汚性、防水性、ガスバリア性、遮塩性、吸音性等の目的で追加の層を備えてもよい。追加の層には、付与すべき性能に応じた各種シートやフィルムが適用できる。
上記複合シートの構造として、具体的には、粘着剤層、シートを順に備える構造、粘着剤層、追加の層、シートを順に備える構造、粘着剤層、シート、追加の層を順に備える構造、粘着剤層、追加の層、シート、追加の層を順に備える構造等を例示することができる。
【0057】
本発明のコンクリート剥落防止工法に用いる複合シートを構成し得る追加の層としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH樹脂)フィルム、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂フィルム、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂フィルム、金属又はその酸化物が蒸着されてなる樹脂フィルム、PVDCコートフィルム、PVAコートフィルム、メタキシレンジアミンをアミン成分とするナイロンフィルム、アクリル発泡材シート、ポリエチレン発泡材シート、クロロプレン発泡材シート、ウレタン発泡材シート、無機化合物又は金属を含む材質で構成される構造物などが挙げられる。
【0058】
なお、上記複合シートにおいて、粘着剤層、シート及び追加の層は、例えば接着剤を介して積層されていてもよい。ここで、接着剤としては、公知の接着剤を使用できるが、具体例としては、ウレタン系接着剤、エステル系接着剤、シリコーン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられる。
【0059】
上記複合シートは、常法に従って製造することができるが、市販品を使用することもできる。
【0060】
本発明のコンクリート剥落防止工法によって得られる積層体は、プライマー層、粘着剤層、及びシート層を備える。ここで、プライマー層は、プライマー塗料により形成される塗膜であり、その厚さは0.01~0.1mmの範囲内であることが好ましい。粘着剤層は、上記複合シートの粘着剤層によって構成され、その厚さは0.1~2.0mmの範囲内であることが好ましく、0.1~1.0mmの範囲内であることが更に好ましい。シート層は、上記複合シートのシートによって構成され、その厚さは0.001~0.5mmの範囲内であることが好ましく、1~500μmの範囲内であることが更に好ましく、5~200μmの範囲内であることが特に好ましい。なお、コンクリート構造物上に形成される積層体の厚さは、0.2~2.5mmの範囲内であることが好ましい。
【0061】
上記積層体は、例えば上塗り塗料でシート層を塗装することにより、シート層上に追加の層を備えることができるが、作業の簡略化を実現する観点から、シート層等の、第2の工程において配置される複合シート由来の層が最外層(コンクリート構造物表面から最も離れた外側の層)であることが好ましい。
なお、上記積層体を構成する最外層の表面は、N7.5程度のコンクリート色であることが好ましい。これによって、コンクリート構造物表面との色差が小さくなり、積層体を形成した部分は、一般の人には目立たなくすることができる。
【0062】
次に、図を参照しながら、本発明のコンクリート剥落防止工法の一実施態様によってコンクリート構造物の表面に形成された積層体について説明する。
図1の積層体1は、コンクリート構造物2上に配置されたプライマー層3と、プライマー層3上に配置された粘着剤層4と、粘着剤層4上に配置されたシート層5とを備える。図示しないが、プライマー層3と粘着剤層4の界面には混在層が形成されている。
また、
図1の積層体1を得るために、複合シートとして、シートと該シート上に配置された粘着剤層とを備える複合シートが使用されている。
【実施例】
【0063】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0064】
(プライマー塗料の調製例)
表1~2の「プライマー」に示される配合処方に従い、プライマー塗料を調製した。
【0065】
(複合シートの作製例)
表1~2の「粘着剤」に示される配合処方に従い、粘着剤組成物を調製した。具体的には、アクリルモノマーを一部重合し、粘度を5000cpsに調整したプレポリマーを得、そこに、その他の添加剤を加え、粘着剤組成物を調製した。なお、重合方法は、熱重合でも光重合でもよい。
得られた粘着剤組成物をPET製セパレータに規定厚み塗布し、さらに塗布された粘着剤組成物の上からPET製セパレートをかぶせた。次いで、ゲル分率が50~70質量%になるように紫外線を照射し、粘着剤シートを作製した。
得られた粘着剤シートを表1~2の「シート」に示される繊維シートに貼り合わせて、粘着剤層及び繊維シート層を備える複合シートを作製した。
【0066】
(実施例1~20及び比較例1~4)
上記調製例に従い用意したプライマー塗料及び上記作製例に従い用意した複合シートを用いて、耐荷性試験、耐湿性試験を行った。結果を表1~2に示す。
【0067】
<耐荷性試験>
プライマー塗料を噴射剤(ジメチルエーテル(DME))と共にエアゾール缶に封入し、コンクリート基材に対してエアゾールスプレー塗装を行った。
プライマー塗料によるコンクリート基材への塗装が完了した後、表1~2に示される「複合シートを配置するまでの時間」に従い、該プライマー塗料から形成されるプライマー層上に複合シートを配置させ、積層体を作製した。その後、得られた積層体を温度23℃相対湿度50%で168時間乾燥させた。
なお、コンクリート基材は、表1~2に示される基材を用いた。具体的に、基材1及び基材2は、いずれも、JIS A 5372:2004(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)に規定するU形ふた、呼び名1種(400×600×60mm)であるが、基材1は表面の凹凸差が1mm以下のコンクリート基材であり、基材2は表面の凹凸差が2~3mmのコンクリート基材である。
積層体の乾燥後、積層体を備えるコンクリート基材に対して、「首都高速道路株式会社 橋梁構造物設計要領 コンクリート片剥落防止編 平成18年8月版」に準拠して剥落防止性能試験を行い、下記基準に従い耐荷性を評価した。
なお、比較例3は、プライマー層を有しない、粘着剤層及び繊維シート層を備える積層体を対象とするものであるため、コンクリート基材上に複合シートを直接配置させた。また、比較例4は、複合シートに代えて繊維シートを用いており、粘着剤層を有しない、プライマー層及び繊維シート層を備える積層体を対象とするものである。
◎:φ10cmあたりの押抜き荷重0.3kN以上。
〇:φ10cmあたりの押抜き荷重0.1kN以上~0.3kN未満。
×:φ10cmあたりの押抜き荷重0.1kN未満。
【0068】
<耐湿性試験>
コンクリート基材を、JSCE-K511-2007に規定されたモルタル(70×70×20mm)に変えた以外は、耐荷性試験と同様の方法にて積層体を作製した。JIS K 5600-7-2(5.回転式)の湿潤箱の露受板を外し、その位置に水平に金網を設置し、この金網上に積層体を備えたコンクリート基材を10日間静置し、外観を評価した。
○:膨れ、剥がれ、割れのいずれも認められない。
×:膨れ、剥がれ、割れのいずれかが認められる。
【0069】
【0070】
【0071】
(注1)重量平均分子量35,000のビスフェノールA型エポキシ樹脂
(注2)重量平均分子量4,700のビスフェノールA型エポキシ樹脂
(注3)重量平均分子量150,000のビスフェノールA型エポキシ樹脂
(注4)重量平均分子量900のビスフェノールA型エポキシ樹脂
(注5)重量平均分子量200,000のビスフェノールA型エポキシ樹脂
(注6)covestro製、「Desmodur E14」
(注7)スリーエム(株)製、無機微粒子
(注8)荒川化学工業(株)製、粘着付与剤
(注9)ケー・エフ・シー(株)製、「ShieM-CSシート」
(注10)キョーワ(株)製、「KSMシート」
【符号の説明】
【0072】
1 積層体
2 コンクリート構造物
3 プライマー層
4 粘着剤層
5 シート層