(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
G01F 23/263 20220101AFI20240821BHJP
G01F 23/24 20060101ALI20240821BHJP
F04B 39/02 20060101ALI20240821BHJP
F04B 39/16 20060101ALI20240821BHJP
F04B 39/04 20060101ALI20240821BHJP
F04C 29/12 20060101ALI20240821BHJP
F04C 29/02 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
G01F23/263
G01F23/24 N
F04B39/02 A
F04B39/16 L
F04B39/04 G
F04C29/12 C
F04C29/02 351Z
F04C29/02 B
(21)【出願番号】P 2019180466
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慶
(72)【発明者】
【氏名】増田 正典
(72)【発明者】
【氏名】山口 潤己
(72)【発明者】
【氏名】岩井田 ゆめみ
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-197349(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0187173(US,A1)
【文献】特開2011-149326(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141322(WO,A1)
【文献】特開2015-197243(JP,A)
【文献】特開2004-125393(JP,A)
【文献】特開平09-096618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/00-23/80
F25B
F04B
F04C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍装置(10)に用いられ、内部に気体の流れが存在しかつ液を貯留する円筒状の容器(
32)であって、
上記容器(32)は、圧縮機構(35)を有する圧縮機(31)のケーシング(32)であり、
上記圧縮機(31)は、上記圧縮機構(35)の下方に設けられかつ該圧縮機構(35)を駆動する電動機(36)を有し、
上記電動機(36)には、上記容器(32)の軸方向に延びるコアカット部(38a)が形成され、上記気体は上記コアカット部(38a)に沿って、上記容器(32)の軸方向に流れ、
上記コアカット部(38a)の下方における上記気体が流れる位置に配置され、上記容器(
32)内の液面を検出する液面センサ(70)を備え、
上記液面センサ(70)は、上記気体の流れ方向と平行に延びる形状にそれぞれ形成された一対の電極(72)を有し、
上記電極(72)は、長手状に形成され、その長手方向が上記容器(
32)の径方向となるように配置され
る
ことを特徴とする容器。
【請求項2】
請求項1において、
上記液面センサ(70)は、上記気体が吹き込む位置に配置される
ことを特徴とする容器。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記一対の電極(72)は、上記気体の流れ方向と平行に延びる板状にそれぞれ形成される
ことを特徴とする容器。
【請求項4】
請求項1または2において、
上記一対の電極(72)は、共通の基板(71)上にプリントされる
ことを特徴とする容器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項において、
上記液面センサ(70)は、上記一対の電極(72)の間の静電容量または抵抗値に基づいて上記容器(
32)内の液面を検出する
ことを特徴とする容器。
【請求項6】
請求項
1において、
上記液面センサ(70)は、上記圧縮機構(35)が吐出する上記気体が上記一対の電極(72)の間に吹き込む位置に配置される
ことを特徴とする容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、内部に気体の流れが存在しかつ液を貯留する容器に設けられ、当該容器内の液面を検出する液面センサを備える容器が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の液面センサは、第1板状部材および第2板状部材を有していて、第1板状部材が、容器内における第1板状部材の周囲の気体の流れ方向と直交するように配置される。このような配置により、第1板状部材が遮蔽部を兼ねることになり、液面の検出精度が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、第1板状部材と第2板状部材との間に液滴が存在する場合、液面センサのサイズによっては表面張力により両板状部材の間に液滴が留まる。その場合、液面センサによる液面検出に誤りが生じるおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、液面センサの検出精度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、冷凍装置(10)に用いられる内部に気体の流れが存在しかつ液を貯留する容器(32,45,53,57)を対象とする。容器(32,45,53,57)は、上記気体が吹き込む位置に配置され、上記容器(32,45,53,57)内の液面を検出する液面センサ(70)を備える。上記液面センサ(70)は、上記気体の流れ方向と平行に延びる形状にそれぞれ形成された一対の電極(72)を有する。
【0007】
第1の態様では、一対の電極(72)が気体の流れ方向と平行に延びているので、当該一対の電極(72)によって気体の流れが阻害されにくい。よって、電極(72)に液滴が付着しても、スムーズに流れる気体によって当該液滴が容易に飛ばされる。よって、液滴の付着に起因する誤検出が抑止され、液面センサ(70)の検出精度を高めることができる。
【0008】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、上記一対の電極(72)は、上記気体の流れ方向と平行に延びる板状にそれぞれ形成されることを特徴とする。
【0009】
第2の態様では、一対の電極(72)が気体の流れ方向と平行に延びる板状に形成されているので、当該一対の電極(72)の間をより一層スムーズに気体が流れる。
【0010】
本開示の第3の態様は、上記第1の態様において、上記一対の電極(72)は、共通の基板(71)上にプリントされることを特徴とする。
【0011】
第3の態様では、一対の電極(72)が実質的に1つの平面上に配置されるので、当該一対の電極(72)によって気体の流れが阻害されにくい。よって、電極(72)に液滴が付着しても、スムーズに流れる気体によって当該液滴がより一層容易に飛ばされる。
【0012】
本開示の第4の態様は、上記第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、上記液面センサ(70)は、上記一対の電極(72)の間の静電容量または抵抗値に基づいて上記容器(32,45,53,57)内の液面を検出することを特徴とする。
【0013】
第4の態様では、電極(72)に液滴が付着しにくいために、一対の電極(72)の間の静電容量または抵抗値を正確に検知することができる。よって、液面センサ(70)の検出精度をより一層高めることができる。
【0014】
本開示の第5の態様は、上記第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、上記容器(32,45,53,57)は、圧縮機構(35)を有する圧縮機(31)のケーシング(32)であることを特徴とする。
【0015】
第5の態様では、圧縮機(31)のケーシング(32)内に貯留される液の液面を、液面センサ(70)によって精度良く検出することができる。
【0016】
本開示の第6の態様は、上記第5の態様において、上記液面センサ(70)は、上記圧縮機構(35)が吐出する上記気体が上記一対の電極(72)の間に吹き込む位置に配置されることを特徴とする。
【0017】
第6の態様では、一対の電極(72)の間に液滴が存在しても、圧縮機構(35)が吐出する気体によって当該液滴が飛ばされる。よって、圧縮機(31)のケーシング(32)内に貯留される液の液面を、より一層精度良く検出することができる。
【0018】
本開示の第7の態様は、上記第5または第6の態様において、上記圧縮機(31)は、上記圧縮機構(35)の下方に設けられかつ該圧縮機構(35)を駆動する電動機(36)を有し、上記液面センサ(70)は、上記電動機(36)に形成されたコアカット部(38a)の下方に配置されることを特徴とする。
【0019】
第7の態様では、圧縮機構(35)が吐出した気体の流れは、電動機(36)のコアカット部(38a)とケーシング(32)との間を通過する際に加速する。一対の電極(72)の間に液滴が存在しても、そのように加速した気体によって当該液滴が飛ばされる。
【0020】
本開示の第8の態様は、上記第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、上記容器(32,45,53,57)は、オイルセパレータ(44)のケーシング(45)であることを特徴とする。
【0021】
第8の態様では、オイルセパレータ(44)のケーシング(45)内に貯留される液の液面を、液面センサ(70)によって精度良く検出することができる。
【0022】
本開示の第9の態様は、上記第8の態様において、上記ケーシング(45)は、筒状に形成され、かつ内周面に沿って上記気体の旋回流が生じるように構成され、上記液面センサ(70)は、上記ケーシング(45)の内周面において、上記気体の旋回流が上記一対の電極(72)の間に吹き込む位置に配置されることを特徴とする。
【0023】
第9の態様では、一対の電極(72)の間に液滴が存在しても、ケーシング(45)内で生じる気体の旋回流によって当該液滴が飛ばされる。よって、オイルセパレータ(44)のケーシング(45)内に貯留される液の液面を、より一層精度良く検出することができる。
【0024】
本開示の第10の態様は、上記第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、上記容器(32,45,53,57)は、アキュムレータ(52)のケーシング(53)であることを特徴とする。
【0025】
第10の態様では、アキュムレータ(52)のケーシング(53)内に貯留される液の液面を、液面センサ(70)によって精度良く検出することができる。
【0026】
本開示の第11の態様は、上記第10の態様において、上記アキュムレータ(52)は、上記気体を上記ケーシング(53)内に流入させる流入管(54)を有し、上記液面センサ(70)は、上記流入管(54)の出口の延長線上であって、流入した上記気体が上記一対の電極(72)の間に吹き込む位置に配置されることを特徴とする。
【0027】
第11の態様では、一対の電極(72)の間に液滴が存在しても、流入管(54)から流れ出る気体によって当該液滴が飛ばされる。よって、アキュムレータ(52)のケーシング(53)内に貯留される液の液面を、より一層精度良く検出することができる。
【0028】
本開示の第12の態様は、上記第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、上記容器(32,45,53,57)は、レシーバ(56)のケーシング(57)であることを特徴とする。
【0029】
第12の態様では、レシーバ(56)のケーシング(57)内に貯留される液の液面を、液面センサ(70)によって精度良く検出することができる。
【0030】
本開示の第13の態様は、上記第12の態様において、上記レシーバ(56)は、上記気体を上記ケーシング(57)内に流入させる流入管(58)を有し、上記液面センサ(70)は、上記流入管(58)の出口の延長線上であって、流入した上記気体が上記一対の電極(72)の間に吹き込む位置に配置されることを特徴とする。
【0031】
第13の態様では、一対の電極(72)の間に液滴が存在しても、流入管(58)から流れ出る気体によって当該液滴が飛ばされる。よって、レシーバ(56)のケーシング(57)内に貯留される液の液面を、より一層精度良く検出することができる。
【0032】
本開示の第14の態様は、上記第1の態様において、上記液面センサ(70)は、周辺温度に基づいて上記容器(32,45,53,57)内の液面を検出することを特徴とする。
【0033】
第14の態様では、液面センサ(70)の周囲に液が存在する場合としない場合とで、液面センサ(70)の周辺温度が異なることに基づいて液面が検出される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、実施形態1の冷凍装置の概略構成を示す冷媒回路図である。
【
図2】
図2は、実施形態1の圧縮機の概略構成を示す縦断面図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線における平面断面図であって、電動機の外郭形状を二点鎖線で示してある。
【
図4】
図4は、実施形態1の変形例の液面センサとその周辺を拡大して示す縦断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態2のオイルセパレータの概略構成を示す縦断面図である。
【
図6】
図6は、
図5のVI-VI線における平面断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態3のアキュムレータの概略構成を示す縦断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態4のレシーバの概略構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
《実施形態1》
実施形態1について説明する。本実施形態は、対象空間の空気の冷却および加熱に用いられる冷凍装置(10)に関する。本実施形態の冷凍装置(10)は、空気調和装置として構成されていて、冷房運転と暖房運転を選択的に実行するように構成される。
【0036】
冷凍装置(10)は、冷媒が充填された冷媒回路(20)を備える。冷媒回路(20)では、冷媒を循環させて蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。
【0037】
冷媒回路(20)は、1つの室外ユニット(30)と、複数(この例では、3つ)の室内ユニット(60)とを備える。各室内ユニット(60)は、液連絡配管(21)およびガス連絡配管(22)によって室外ユニット(30)に対して互いに並列に接続される。
【0038】
〈室外ユニット〉
室外ユニット(30)は、圧縮機(31)と、四路切換弁(41)と、室外熱交換器(42)と、室外側膨張弁(43)と、オイルセパレータ(44)と、アキュムレータ(52)と、レシーバ(56)とを備える。
【0039】
圧縮機(31)は、吸入した冷媒を圧縮し、その圧縮した冷媒を吐出する。圧縮機(31)の運転容量は、所定の範囲内で可変である。具体的には、インバータ制御により圧縮機(31)の運転容量が変化する。圧縮機(31)の吐出管は、四路切換弁(41)の第1ポートに接続される。圧縮機(31)の吸入管は、アキュムレータ(52)の出口に接続される。圧縮機(31)の構成については、後に詳述する。
【0040】
四路切換弁(41)は、第1~第4ポートを備える。第1ポートは、圧縮機(31)の吐出管と接続される。第2ポートは、アキュムレータ(52)の入口と接続される。第3ポートは、室外熱交換器(42)、室外側膨張弁(43)、およびレシーバ(56)を介して液連絡配管(21)の一端と接続される。第4ポートは、ガス連絡配管(22)の一端と接続される。四路切換弁(41)は、第1ポートと第4ポートが連通しかつ第2ポートと第3ポートが連通する第1状態(
図1に破線で示す状態)と、第1ポートと第3ポートが連通しかつ第2ポートと第4ポートが連通する第2状態(
図1に実線で示す状態)とに切換可能に構成される。
【0041】
室外熱交換器(42)は、クロスフィンアンドチューブ式の熱交換器であってもよい。室外熱交換器(42)の近傍には、室外熱交換器(42)へ室外空気を搬送する室外ファン(図示せず)が配置される。室外側膨張弁(43)は、開度調節可能な電子膨張弁であってもよい。
【0042】
オイルセパレータ(44)は、圧縮機(31)の吐出管に設けられる。オイルセパレータ(44)は、圧縮機(31)が吐出した冷媒から冷凍機油を分離する。オイルセパレータ(44)には、油戻し管(49)の一端が接続される。油戻し管(49)の他端は、圧縮機(31)の吸入管と接続される。油戻し管(49)には、キャピラリチューブ(51)が設けられる。このような構成により、オイルセパレータ(44)で分離された冷凍機油は、油戻し管(49)を流れる際に減圧されて圧縮機(31)に戻される。
【0043】
アキュムレータ(52)は、気液二相冷媒を液冷媒とガス冷媒とに分離し、液冷媒を内部に貯留してガス冷媒を外部へ流出させる。アキュムレータ(52)の入口は、四路切換弁(41)の第2ポートに接続される。アキュムレータ(52)の出口は、圧縮機(31)の吸入管に接続される。
【0044】
レシーバ(56)は、室外側膨張弁(43)と液連絡配管(21)との間に設けられる。レシーバ(56)は、冷媒回路(20)内の余剰冷媒を貯留する。
【0045】
〈室内ユニット〉
各室内ユニット(60)は、室内熱交換器(61)および室内側膨張弁(62)を備える。室内熱交換器(61)は、クロスフィンアンドチューブ式の熱交換器であってもよい。室内熱交換器(61)の近傍には、室内熱交換器(61)へ室内空気を搬送する室内ファン(図示せず)が配置される。室内側膨張弁(62)は、開度調節可能な電子膨張弁であってもよい。
【0046】
室内ユニット(60)では、液連絡配管(21)の他端が、室内側膨張弁(62)および室内熱交換器(61)を介してガス連絡配管(22)の他端に接続される。
【0047】
《圧縮機》
図2に示すように、圧縮機(31)は、ケーシング(32)と、圧縮機構(35)と、電動機(36)と、液面センサ(70)とを備える。
【0048】
ケーシング(32)は、上下端が閉塞された筒状の容器である。ケーシング(32)には、吸入管(33)および吐出管(34)が設けられる。吸入管(33)は、低圧の冷媒をケーシング(32)内に導く。吐出管(34)は、高圧の冷媒をケーシング(32)外へ導く。ケーシング(32)の底部には、冷凍機油が貯留される。ケーシング(32)は、内部に気体(ガス冷媒)の流れが存在しかつ液(冷凍機油)を貯留する容器を構成する。
【0049】
圧縮機構(35)は、回転駆動されることで低圧の冷媒を圧縮して高圧の冷媒にする。圧縮機構(35)は、スクロール式の圧縮機構であってもよい。圧縮機構(35)には、ケーシング(32)の軸方向に延びる駆動軸(39)が連結される。なお、圧縮機構(35)は、任意のタイプの圧縮機構であってもよい。
図2では、圧縮機構(35)が吐出する高圧冷媒の流れの一部を矢印で示してある。
【0050】
電動機(36)は、駆動軸(39)を介して圧縮機構(35)を回転駆動する。電動機(36)は、圧縮機構(35)の下方に設けられる。電動機(36)は、回転子(37)および固定子(38)を備える。回転子(37)は、駆動軸(39)に固定される。固定子(38)は、ケーシング(32)に固定される。固定子(38)には、周方向に所定の間隔をおいて、複数のコアカット部(38a)が形成される。各コアカット部(38a)は、固定子(38)の実質的に円形の外周面を、直線状に切り欠いたような形状の部分である。圧縮機構(35)が吐出する気体(高圧の冷媒)の一部は、コアカット部(38a)とケーシング(32)の内周面との間を通って電動機(36)の下方に流れる。
【0051】
液面センサ(70)は、ケーシング(32)の下部の側壁に設けられる。液面センサ(70)は、電動機(36)の固定子(38)に形成されたコアカット部(38a)の下方に配置される(特に、
図3を参照)。コアカット部(38a)とケーシング(32)の内周面との間を通って電動機(36)の下方に流れてきた高圧の冷媒は、液面センサ(70)に吹き込む。
【0052】
液面センサ(70)は、それぞれ板状に形成された一対の電極(72)を有する。液面センサ(70)は、一対の電極(72)の間の静電容量に基づいて、ケーシング(32)内の液面(冷凍機油の液面)を検出する。具体的に、液面センサ(70)は、一対の電極(72)の間に冷凍機油が存在する場合に、一対の電極(72)の間に冷凍機油が存在しない場合に比べて、一対の電極(72)の間の静電容量の値が小さくなることに基づいて、ケーシング(32)内の液面を検出する。ここで、「液面を検出する」とは、「液面の高さが所定の高さ位置よりも高いか否かを検出する」ことを意味する。なお、液面センサ(70)は、一対の電極(72)の間の抵抗値に基づいて、ケーシング(32)内の液面(冷凍機油の液面)を検出してもよい。
【0053】
各電極(72)は、鉛直面内を延びる板状に形成される。換言すると、各電極(72)は、圧縮機構(35)が吐出する気体(高圧の冷媒)の流れ方向と平行に延びる板状に形成される。圧縮機構(35)が吐出する高圧の冷媒は、電動機(36)のコアカット部(38a)とケーシング(32)の内周面との間を通る際に加速され、下方に向かって流れて少なくとも一部が一対の電極(72)の間に吹き込む。この下方に向かう高圧冷媒の流れにより、液面センサ(70)の近傍では、ケーシング(32)内の他の領域に比べて冷凍機油の液面が押し下げられる。このことは、液面センサ(70)で冷凍機油の不足を確実に検出したい場合に特に有利である。
【0054】
なお、各電極(72)は、高圧の冷媒の流れ方向と平行に延びていなくてもよい。ただし、圧縮機構(35)が吐出する気体(高圧の冷媒)が一対の電極(72)の間に吹き込むような向きに各電極(72)が延びていることが好ましい。
【0055】
-実施形態1の効果-
本実施形態の容器(32,45,53,57)は、冷凍装置(10)に用いられる内部に気体の流れが存在しかつ液を貯留するものであって、上記気体が吹き込む位置に配置され、上記容器(32,45,53,57)内の液面を検出する液面センサ(70)を備え、上記液面センサ(70)が、上記気体の流れ方向と平行に延びる形状にそれぞれ形成された一対の電極(72)を有する。この構成によると、一対の電極(72)が気体の流れ方向と平行に延びているので、当該一対の電極(72)によって気体の流れが阻害されにくい。よって、電極(72)に液滴が付着しても、スムーズに流れる気体によって当該液滴が容易に飛ばされる。よって、液滴の付着に起因する誤検出が抑止され、液面センサ(70)の検出精度を高めることができる。
【0056】
また、本実施形態の容器(32,45,53,57)は、上記一対の電極(72)が、上記気体の流れ方向と平行に延びる板状にそれぞれ形成される。この構成によると、一対の電極(72)が気体の流れ方向と平行に延びる板状に形成されているので、当該一対の電極(72)の間をより一層スムーズに気体が流れる。
【0057】
また、本実施形態の容器(32,45,53,57)は、上記液面センサ(70)が、上記一対の電極(72)の間の静電容量に基づいて上記容器(32,45,53,57)内の液面を検出する。電極(72)に液滴が付着しにくいために、一対の電極(72)の間の静電容量を正確に検知することができる。よって、液面センサ(70)の検出精度をより一層高めることができる。
【0058】
また、本実施形態の容器(32,45,53,57)は、圧縮機構(35)を有する圧縮機(31)のケーシング(32)である。この構成では、圧縮機(31)のケーシング(32)内に貯留される液の液面を、液面センサ(70)によって精度良く検出することができる。
【0059】
また、本実施形態の容器(32,45,53,57)は、上記液面センサ(70)が、上記圧縮機構(35)が吐出する上記気体が上記一対の電極(72)の間に吹き込む位置に配置される。したがって、一対の電極(72)の間に液滴が存在しても、圧縮機構(35)が吐出する気体によって当該液滴が飛ばされる。よって、圧縮機(31)のケーシング(32)内に貯留される液の液面を、より一層精度良く検出することができる。
【0060】
また、本実施形態の容器(32,45,53,57)は、上記圧縮機(31)が、上記圧縮機構(35)の下方に設けられかつ該圧縮機構(35)を駆動する電動機(36)を有し、上記液面センサ(70)が、上記電動機(36)に形成されたコアカット部(38a)の下方に配置される。圧縮機構(35)が吐出した気体の流れは、電動機(36)のコアカット部(38a)とケーシング(32)との間を通過する際に加速する。一対の電極(72)の間に液滴が存在しても、そのように加速した気体によって当該液滴が飛ばされる。
【0061】
-実施形態1の変形例-
実施形態1の変形例について説明する。本変形例は、上記実施形態1と液面センサ(70)の構成が異なる。以下、上記実施形態1と異なる点について主に説明する。
【0062】
図4に示すように、液面センサ(70)は、1つの基板(71)と、この基板(71)上にプリントされた一対の電極(72)とを有する。液面センサ(70)は、コアカット部(38a)とケーシング(32)の内周面との間を通って下方に流れてきた高圧の冷媒が吹き込む位置に設けられる。液面センサ(70)の基板(71)は、鉛直面内を延びている。換言すると、基板(71)および一対の電極(72)は、圧縮機構(35)が吐出する気体(高圧の冷媒)の流れ方向と平行に延びている。
【0063】
各電極(72)は、1つの幹部(72a)と、複数の枝部(72b)とを有する。各幹部(72a)は、互いに実質的に平行に延びている。各電極(72)の枝部(72b)は、相手方の電極(72)に向かって延びている。各電極(72)の枝部(72b)は、相手方の電極(72)の隣り合う枝部(72b)の間に入り込んでいる。このような構成により、小さなスペース内で一対の電極(72)の間の対向面積を大きくすることができ、よって液面センサ(70)の検出精度をより一層高めることができる。
【0064】
-実施形態1の変形例の効果-
本変形例の容器(32,45,53,57)によっても、上記実施形態1と同様の効果が得られる。
また、本変形例の容器(32,45,53,57)は、上記一対の電極(72)が、共通の基板(71)上にプリントされる。一対の電極(72)が実質的に1つの平面上に配置されるので、当該一対の電極(72)によって気体の流れが阻害されにくい。よって、電極(72)に液滴が付着しても、スムーズに流れる気体によって当該液滴がより一層容易に飛ばされる。
【0065】
《実施形態2》
実施形態2について説明する。本実施形態は、液面センサ(70)がオイルセパレータ(44)に設けられる点で上記実施形態1と異なる。以下、上記実施形態1と異なる点について主に説明する。
【0066】
図5および
図6に示すように、オイルセパレータ(44)は、ケーシング(45)と、液面センサ(70)とを備える。
【0067】
ケーシング(45)は、上下端が閉塞された筒状の容器である。ケーシング(45)には、流入管(46)、流出管(47)、および油管(48)が設けられる。流入管(46)は、圧縮機(31)が吐出した冷媒をケーシング(45)内に導く。流入管(46)は、ケーシング(45)の内周面に沿って気体(高圧の冷媒)の旋回流を生じさせるように構成される(
図5および
図6の矢印を参照)。この旋回流に伴う遠心力により、高圧の冷媒から冷凍機油が分離されやすくなる。流出管(47)は、冷凍機油が分離された後の高圧冷媒をケーシング(45)外へ導く。油管(48)は、高圧冷媒から分離された冷凍機油をケーシング(45)外へ導く。ケーシング(45)は、内部に気体(ガス冷媒)の流れが存在しかつ液(冷凍機油)を貯留する容器を構成する。
【0068】
液面センサ(70)は、ケーシング(45)の上下方向の中間部の側壁に設けられる。液面センサ(70)は、高圧冷媒の旋回流が一対の電極(72)の間に吹き込む位置に配置される。
【0069】
液面センサ(70)の各電極(72)は、水平面内を延びる板状に形成される。換言すると、各電極(72)は、ケーシング(45)内における気体(高圧の冷媒)の流れ方向と実質的に平行に延びる板状に形成される。なお、各電極(72)は、高圧の冷媒の流れ方向と平行に延びていなくてもよい。ただし、ケーシング(45)内を流れる気体(高圧の冷媒)が一対の電極(72)の間に吹き込むような向きに各電極(72)が延びていることが好ましい。
【0070】
-実施形態2の効果-
本実施形態の容器(32,45,53,57)によっても、上記実施形態1と同様の効果が得られる。
【0071】
また、本実施形態の容器(32,45,53,57)は、オイルセパレータ(44)のケーシング(45)である。この構成では、オイルセパレータ(44)のケーシング(45)内に貯留される液の液面を、液面センサ(70)によって精度良く検出することができる。
【0072】
また、本実施形態の容器(32,45,53,57)は、上記ケーシング(45)が、筒状に形成され、かつ内周面に沿って上記気体の旋回流が生じるように構成され、上記液面センサ(70)が、上記ケーシング(45)の内周面において、上記気体の旋回流が上記一対の電極(72)の間に吹き込む位置に配置される。したがって、一対の電極(72)の間に液滴が存在しても、ケーシング(45)内で生じる気体の旋回流によって当該液滴が飛ばされる。よって、オイルセパレータ(44)のケーシング(45)内に貯留される液の液面を、より一層精度良く検出することができる。
【0073】
《実施形態3》
実施形態3について説明する。本実施形態は、液面センサ(70)がアキュムレータ(52)に設けられる点で上記実施形態1と異なる。以下、上記実施形態1と異なる点について主に説明する。
【0074】
図7に示すように、アキュムレータ(52)は、ケーシング(53)と、液面センサ(70)とを備える。
【0075】
ケーシング(53)は、上下端が閉塞された筒状の容器である。ケーシング(53)には、流入管(54)および流出管(55)が設けられる。流入管(54)は、気液二相冷媒をケーシング(53)内に導く。流入管(54)は、ケーシング(53)内で下方に向かう気体(高圧の冷媒)の流れを生じさせるように構成される(
図7の矢印を参照)。流出管(55)は、液冷媒が分離された後のガス冷媒をケーシング(53)外へ導く。ケーシング(53)は、内部に気体(ガス冷媒)の流れが存在しかつ液(液冷媒)を貯留する容器を構成する。
【0076】
液面センサ(70)は、ケーシング(53)の上下方向の中間部の側壁に設けられる。液面センサ(70)は、気液二相冷媒の流れが一対の電極(72)(
図7の紙面直交方向に並んでいる)の間に吹き込む位置に配置される。液面センサ(70)は、流入管(54)の出口の延長線上(この例では、流入管(54)の出口の下方)に配置される。
【0077】
液面センサ(70)の各電極(72)は、鉛直面内を延びる板状に形成される。換言すると、各電極(72)は、ケーシング(53)内における気体(気液二相冷媒)の流れ方向と実質的に平行に延びる板状に形成される。なお、各電極(72)は、気液二相冷媒の流れ方向と平行に延びていなくてもよい。ただし、ケーシング(53)内を流れる気体(気液二相冷媒)が一対の電極(72)の間に吹き込むような向きに各電極(72)が延びていることが好ましい。
【0078】
-実施形態3の効果-
本実施形態の容器(32,45,53,57)によっても、上記実施形態1と同様の効果が得られる。
【0079】
また、本実施形態の容器(32,45,53,57)は、アキュムレータ(52)のケーシング(53)である。この構成では、アキュムレータ(52)のケーシング(53)内に貯留される液の液面を、液面センサ(70)によって精度良く検出することができる。
【0080】
また、本実施形態の容器(32,45,53,57)は、上記アキュムレータ(52)が、上記気体を上記ケーシング(53)内に流入させる流入管(54)を有し、上記液面センサ(70)が、上記流入管(54)の出口の延長線上であって、流入した上記気体が上記一対の電極(72)の間に吹き込む位置に配置される。したがって、一対の電極(72)の間に液滴が存在しても、流入管(54)から流れ出る気体によって当該液滴が飛ばされる。よって、アキュムレータ(52)のケーシング(53)内に貯留される液の液面を、より一層精度良く検出することができる。
【0081】
《実施形態4》
実施形態4について説明する。本実施形態は、液面センサ(70)がレシーバ(56)に設けられる点で上記実施形態1と異なる。以下、上記実施形態1と異なる点について主に説明する。
【0082】
図8に示すように、レシーバ(56)は、ケーシング(57)と、液面センサ(70)とを備える。
【0083】
ケーシング(57)は、上下端が閉塞された筒状の容器である。ケーシング(57)には、流入管(58)および流出管(59)が設けられる。流入管(58)は、気液二相冷媒をケーシング(57)内に導く。流入管(58)は、ケーシング(57)内で下方に向かう気体(気液二相冷媒)の流れを生じさせるように構成される(
図8の矢印を参照)。流出管(59)は、冷媒をケーシング(57)外へ導く。ケーシング(57)は、内部に気体(気液二相冷媒)の流れが存在しかつ液(液冷媒)を貯留する容器を構成する。
【0084】
液面センサ(70)は、ケーシング(57)の下部に設けられる。液面センサ(70)は、気液二相冷媒の流れが一対の電極(72)(
図8の紙面直交方向に並んでいる)の間に吹き込む位置に配置される。液面センサ(70)は、流入管(58)の出口の延長線上(この例では、流入管(58)の出口の下方)に配置される。
【0085】
液面センサ(70)の各電極(72)は、鉛直面内を延びる板状に形成される。換言すると、各電極(72)は、ケーシング(57)内における気体(気液二相冷媒)の流れ方向と実質的に平行に延びる板状に形成される。なお、各電極(72)は、気液二相冷媒の流れ方向と平行に延びていなくてもよい。ただし、ケーシング(57)内を流れる気体(気液二相冷媒)が一対の電極(72)の間に吹き込むような向きに各電極(72)が延びていることが好ましい。
【0086】
-実施形態4の効果-
本実施形態の容器(32,45,53,57)によっても、上記実施形態1と同様の効果が得られる。
【0087】
また、本実施形態の容器(32,45,53,57)は、レシーバ(56)のケーシング(57)である。この構成では、レシーバ(56)のケーシング(57)内に貯留される液の液面を、液面センサ(70)によって精度良く検出することができる。
【0088】
また、本実施形態の容器(32,45,53,57)は、上記レシーバ(56)が、上記気体を上記ケーシング(57)内に流入させる流入管(58)を有し、上記液面センサ(70)が、上記流入管(58)の出口の延長線上であって、流入した上記気体が上記一対の電極(72)の間に吹き込む位置に配置される。したがって、一対の電極(72)の間に液滴が存在しても、流入管(58)から流れ出る気体によって当該液滴が飛ばされる。よって、レシーバ(56)のケーシング(57)内に貯留される液の液面を、より一層精度良く検出することができる。
【0089】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0090】
例えば、上記各実施形態では、冷凍装置(10)のいずれかの構成機器に液面センサ(70)が設けられるが、これに限らず、複数の構成機器に液面センサ(70)が設けられてもよい。一例として、圧縮機(31)とレシーバ(56)の各々に液面センサ(70)を設けることが考えられる。
【0091】
また、例えば、液面センサ(70)は、その周辺温度に基づいてケーシング(32,45,53,57)内の液面を検出してもよい。この場合、液面センサ(70)は、周囲に液が存在する場合としない場合とで、液面センサ(70)の周辺温度が異なることに基づいて液面を検出する。一例として、液面センサ(70)は、サーミスタであってもよい。
【0092】
また、液面センサ(70)が設けられる構成機器は、上記各実施形態で挙げたものに限らない。一例として、室内熱交換器(61)または室外熱交換器(42)に液面センサ(70)を設けることが考えられる。
【0093】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上説明したように、本開示は、容器について有用である。
【符号の説明】
【0095】
10 冷凍装置
31 圧縮機
32 ケーシング(容器)
35 圧縮機構
36 電動機
38a コアカット部
44 オイルセパレータ
45 ケーシング(容器)
52 アキュムレータ
53 ケーシング(容器)
54 流入管
56 レシーバ
57 ケーシング(容器)
58 流入管
70 液面センサ
71 基板
72 電極