(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】筋力表示装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/22 20060101AFI20240821BHJP
A63B 23/20 20060101ALI20240821BHJP
A61H 1/02 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
A61B5/22 200
A63B23/20
A61H1/02 Z
(21)【出願番号】P 2022085118
(22)【出願日】2022-05-25
【審査請求日】2023-09-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505167222
【氏名又は名称】株式会社TENGA
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】山根 真大
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健太
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06059740(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0185123(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03155968(EP,A1)
【文献】特開2016-087387(JP,A)
【文献】登録実用新案第3009292(JP,U)
【文献】特許第4477807(JP,B2)
【文献】米国特許第06183402(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/22
A61H 1/02
A63B 23/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端同士の間隔が後端同士の間隔よりも狭くなるように対向配置され、且つ前記先端同士が連結片によって弾性的に結合された第1挿入片、及び第2挿入片を備え、先端側から膣の内部に着脱自在に挿入されて骨盤底筋の収縮に伴う外力を受け、前記第1挿入片と前記第2挿入片の間隔が狭められる挿入部と、
前記第1挿入片及び前記第2挿入片に対して前記外力が作用したときに抗力を生成する抗力生成部と、
前記外力の値を前記
骨盤底筋の筋力として表示する表示部と、
前記第1挿入片の後端、及び前記第2挿入片の後端にそれぞれ設けられ、前記挿入部が前記膣の内部に挿入された状態で前記膣の外部に位置する第1取付片、及び第2取付片と、
を備え、
前記表示部は、
前記第1取付片と前記第2取付片とに跨がって取り付けられており、且つ
前記第1取付片、及び前記第2取付片の一方に取り付けられた筒部と、
前記第1取付片、及び前記第2取付片の他方に取り付けられた棒状の軸部と、
前記骨盤底筋の収縮時における前記第1挿入片と前記第2挿入片の間隔に応じて移動して前記外力の値を表示し、前記挿入部が前記膣から抜き取られた後も前記外力の値を表示可能な指標体
と、
を備え、
前記軸部は前記筒部の内側空所に挿入され、且つ前記軸部の前記内側空所への挿入深度は前記第1挿入片と前記第2挿入片の間隔が狭いほど大きく、
前記抗力生成部は、前記筒部の前記内側空所に設けられ、且つ前記内側空所に進入した前記軸部によって圧縮されるバネであることを特徴とする筋力表示装置。
【請求項2】
前記第1挿入片、前記第2挿入片、及び前記連結片は、樹脂によって一体に成型され、
前記挿入部は、前記膣と接触する表面にシボ加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載の筋力表示装置。
【請求項3】
前記指標体は、前記軸部に対し、当該軸部の長手方向に沿って相対移動自在に取り付けられており、
前記指標体は、前記軸部の前記内側空所への進入に伴って前記筒部の端部に当接し、
前記指標体の前記軸部の長手方向の位置は、前記軸部の前記挿入深度に応じて定められることを特徴とする請求項1に記載の筋力表示装置。
【請求項4】
前記指標体は、前記軸部が挿通されるリング形状であり、
前記指標体の前記位置は、前記指標体の内周面と前記軸部の外周面との間の摩擦によって前記挿入部が前記膣から抜き取られた後も維持されることを特徴とする請求項3に記載の筋力表示装置。
【請求項5】
前記表示部は、第1のバネが前記内側空所に設けられた第1の表示部と、圧縮時の抗力が前記第1のバネとは異なる第2のバネが前記内側空所に設けられた第2の表示部と、を含み、
前記第1の表示部、及び前記第2の表示部は、前記第1取付片、及び前記第2取付片に対して交換自在に取り付けられることを特徴とする請求項
1に記載の筋力表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨盤底筋の筋力を表示する筋力表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
骨盤底筋は、骨盤の底部に位置するハンモック状の筋肉であり、内臓を支えたり、排泄をコントロールする役目を担う。骨盤底筋の筋力を高めることにより、内臓下垂を防止したり、尿失禁等を防止できる。尿失禁の経験がある成人女性は約4割であり、重症の場合には生活の質を大きく損なうことになる。
骨盤底筋の筋力を高めるためのトレーニングとして、例えば随意的に骨盤底筋を収縮させる「骨盤底筋体操」(「ケーゲル体操」)が知られている。
【0003】
一方、骨盤底筋の筋力を高めるための各種装置も提案されている。
例えば特許文献1に記載された運動装置は、弾性を有した帯板を長手方向の中間で略V字形状に折り返すことにより作製されている。特許文献1の運動装置は、折り返し部を境に第1の部分と第2の部分とを備えており、第1の部分と第2の部分との間隔は折り返し部から離れるにつれて漸次拡げられている。
特許文献1の運動装置は、折り返し部を先頭にして第1の部分と第2の部分とを膣内に挿入することによって使用される。この運動装置は、折り返し部が弾性を有しているため、第1の部分と第2の部分の間隔を狭めるためには、折り返し部の弾性力よりも大きい外力が必要になる。
従って、第1の部分、及び第2の部分を膣内に挿入した状態で骨盤底筋を収縮させると、折り返し部の弾性力(抗力)が骨盤底筋に作用するので筋力が高められる。
【0004】
特許文献2には、感圧センサを備えた丸棒形状の測定部と、接続部(通信コード)を介して測定部と電気的に接続された処理表示部と、を備えた訓練装置が開示されている。
特許文献2の訓練装置によって骨盤底筋を訓練するためには、測定部を肛門から直腸内に挿入し、肛門を引き締める要領で骨盤底筋を収縮させる動作を行う。骨盤底筋を収縮させると測定部からの抗力が骨盤底筋に作用するので筋力が高められる。
処理表示部は、訓練時において、感圧センサから得られた信号に基づいて骨盤底筋の動き成分を表す情報を取り出して表示する。従って、特許文献2の訓練装置では、骨盤底筋の動きに基づいて訓練の客観的評価が行える。
【0005】
特許文献3には、弾性体によって作製された細長い円筒形状の管体と、可撓性チューブを通じて管体に連通された圧力計と、を備えた訓練装置が開示されている。
特許文献3の訓練装置によって骨盤底筋を訓練するためには、管体を膣内に挿入し、膣内の管体を縮径させる要領で骨盤底筋を収縮させる動作を行う。骨盤底筋を収縮させると管体の弾性力(抗力)が骨盤底筋に作用するので筋力が高められる。
圧力計は、訓練時において、管体内の空気圧力を筋力として表示する。従って、特許文献3の訓練装置では、管体内の空気圧力に基づいて訓練(骨盤底筋の筋力)の客観的評価が行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4477807号公報
【文献】特許第3472551号公報
【文献】特開昭52-144190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の装置では、骨盤底筋の筋力を高めることができるものの、骨盤底筋の筋力を客観的に評価することは困難である。特許文献2の装置では、骨盤底筋の筋力を客観的に評価できるが、直腸内に挿入される測定部に電子部品(感圧センサ等)を取り付けていることから、使用者が不安を覚える恐れがある。加えて、直腸の内部に棒状の測定部を挿入することは困難である。特許文献3の装置では、骨盤底筋の筋力を客観的に評価できるが、管体と圧力計との間を可撓性のチューブによって連通しているため、使用時においてチューブや圧力計が邪魔になってしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、骨盤底筋の筋力を表示する筋力表示装置の使い勝手の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る筋力表示装置は、先端同士の間隔が後端同士の間隔よりも狭くなるように対向配置され、且つ前記先端同士が連結片によって弾性的に結合された第1挿入片、及び第2挿入片を備え、先端側から膣の内部に着脱自在に挿入されて骨盤底筋の収縮に伴う外力を受け、前記第1挿入片と前記第2挿入片の間隔が狭められる挿入部と、前記第1挿入片及び前記第2挿入片に対して前記外力が作用したときに抗力を生成する抗力生成部と、前記外力の値を前記骨盤底筋の筋力として表示する表示部と、前記第1挿入片の後端、及び前記第2挿入片の後端にそれぞれ設けられ、前記挿入部が前記膣の内部に挿入された状態で前記膣の外部に位置する第1取付片、及び第2取付片と、を備え、前記表示部は、前記第1取付片と前記第2取付片とに跨がって取り付けられており、且つ前記第1取付片、及び前記第2取付片の一方に取り付けられた筒部と、前記第1取付片、及び前記第2取付片の他方に取り付けられた棒状の軸部と、前記骨盤底筋の収縮時における前記第1挿入片と前記第2挿入片の間隔に応じて移動して前記外力の値を表示し、前記挿入部が前記膣から抜き取られた後も前記外力の値を表示可能な指標体と、を備え、前記軸部は前記筒部の内側空所に挿入され、且つ前記軸部の前記内側空所への挿入深度は前記第1挿入片と前記第2挿入片の間隔が狭いほど大きく、前記抗力生成部は、前記筒部の前記内側空所に設けられ、且つ前記内側空所に進入した前記軸部によって圧縮されるバネであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る筋力表示装置によれば、骨盤底筋の筋力を表示する筋力表示装置の使い勝手の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る筋力表示装置の斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る筋力表示装置の正面図である。
【
図3】第1実施形態に係る筋力表示装置の断面図である。
【
図4】第1の表示部と第2の表示部との交換作業を説明する図である。
【
図5】第1実施形態に係る筋力表示装置の膣への挿入前の状態を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る筋力表示装置を膣内に挿入した状態を示す図である。
【
図8】第1実施形態に係る筋力表示装置を膣外へ抜き取った状態を示す図である。
【
図9】指標体の動きを説明する図であり、(a)は筋力表示装置の挿入前の状態を示し、(b)は第1片と第2片の間隔が狭まった状態を示し、(c)は筋力表示装置を膣外へ抜き取った後の状態を示す。
【
図10】第1実施形態の変形例に係る筋力表示装置を説明する図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【
図11】(a)は第2実施形態に係る筋力表示装置の斜視図、(b)は表示部の拡大図である。
【
図12】第2実施形態の変形例に係る筋力表示装置の斜視図である。
【
図13】第3実施形態に係る筋力表示装置を説明する図であり、(a)は一面側の斜視図、(b)は他面側の斜視図である。
【
図14】第3実施形態の変形例に係る筋力表示装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<筋力表示装置の概要と特徴>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
最初に、筋力表示装置1の概要と特徴について説明する。
図1乃至
図3は、第1実施形態に係る筋力表示装置1の斜視図、正面図、及び断面図である。
【0012】
図1乃至
図3に示すように、筋力表示装置1は、膣VG(
図5等を参照)の内部に着脱自在に挿入される挿入部20と、骨盤底筋MS(
図5等を参照)の筋力を表示する表示部40と、表示部40を挿入部20に取り付けるための取付部30とを備えている。
挿入部20は、細幅帯状の板材で構成された第1片21と、細幅帯状の板材で構成され、且つ第1片21と間隔を空けて略V字形状に対向配置された第2片22と、第1片21と第2片22における間隔の狭い側(先端部側)の端部同士を連結する連結片23とを備えている。
第1片21の後端側には取付部30を構成する第1取付片31が一体に設けられ、第2片22の後端側には取付部30を構成する第2取付片32が一体に設けられている。第1取付片31と第2取付片32は、それぞれ第1片21と第2片22の後端部から連続して外側へ湾曲して延びている。第1取付片31、及び第2取付片32は、挿入部20が膣VGの内部に挿入された状態で膣VGの外部に位置し、且つ筋力表示装置1の着脱時には使用者によって把持される。
【0013】
表示部40は、第1取付片31と第2取付片32とに跨がって取り付けられており、骨盤底筋MSの収縮によって挿入部20が受けた外力の値を骨盤底筋MSの筋力として表示する。
例示した表示部40は、長手方向の一端部が閉塞された円筒形状の筒部41と、筒部41の他端開口から内部に挿入された丸棒形状の軸部42と、リング形状(円環形状)の指標体43とを備えている。筒部41は、第1係合突起33が嵌合することによって、第1取付片31に取り付けられており、その長手方向の他端41a(開口部)は第2取付片32側に向けて延びている。軸部42は、第2係合突起34が嵌合することによって、第2取付片32に取り付けられており、その長手方向の一端部を筒部41の内側空所41c内に進退自在に挿入している。なお、筒部41を第2取付片32に取り付け、軸部42を第1取付片31に取り付けてもよい。
図3に示すように、指標体43は、軸部42の外周面により軸方向へ進退自在に支持された状態となるように軸部に挿通されており、軸部42の長手方向に沿って相対移動自在である。筒部41の内側空所41c内にはコイルバネ50(抗力生成部)が配置されており、コイルバネ50の端面50aと軸部42の端面(軸本体42aの端面42d)とが当接している。コイルバネ50により、軸部42は筒部41から離間する方向へ付勢されている。
なお、抗力生成部は、コイルバネ50に限らず、ゴムや板バネ等の各種の弾性体を使用することができる。
【0014】
次に、筋力表示装置1の使用方法の概略を説明する。
図7は、骨盤底筋の収縮時の状態を示す図、
図9(a)は筋力表示装置の挿入前の状態を示す図、
図9(b)は第1片と第2片の間隔が狭まった状態を示す図、
図9(c)は筋力表示装置を膣外へ抜き取った後の状態を示す図である。
図9(a)に示すように、指標体43は、筋力表示装置1の使用に先立って筒部41の他端41aに接した位置(初期位置)に人手により配置される。使用者は、筋力表示装置1の使用時に、指標体43を初期位置に保持したまま挿入部20を連結片23側(折り返し部側)から膣VG内に挿入する。
図7に示すように、挿入部20の全体が膣VG内に挿入された状態で使用者が骨盤底筋MSを収縮させると、
図9(b)に示すように、第1片21、及び第2片22には、第1片21と第2片22との間隔を狭める方向の外力Fが作用し、表示部40の軸部42が筒部41の内側空所41c内に押し込まれる。このとき、筒部41と軸部42との間に配置されたコイルバネ50が抗力を生成する。外力F(骨盤底筋MSの収縮力)がコイルバネ50の抗力に勝ると、第1片21と第2片22との間隔が狭められ、軸部42は筒部41の内側空所41cに進入する。
【0015】
指標体43は、筒部41の他端41aに当接しているため、軸部42の内側空所41cへの進入に伴って軸部42の長手方向に沿って相対移動する。従って、指標体43の軸部42上の位置(指標体43の軸部42上での移動量)は、骨盤底筋MSの収縮時における第1片21と第2片22との間隔に応じて定まる。
そして、軸部42の内側空所41cへの進入は、外力Fとコイルバネ50の抗力とが釣り合うことにより停止する。
【0016】
使用者が骨盤底筋MSを弛緩させ、挿入部20が膣VGから抜き取られると、連結片23の弾性力、及びコイルバネ50の復元力によって第1片21と第2片22との間隔が拡がる。第1片21と第2片22との間隔が拡がると、表示部40の軸部42は反対方向(筒部41から離れる方向)に移動する。このとき、指標体43は、指標体43の内周面と軸部42の外周面との間の摩擦により、収縮時における位置を維持しつつ、軸部42と共に移動する。つまり、指標体43の内周面と軸部42の外周面との摩擦抵抗は、上記のような操作が可能となるように適切に設定する。
挿入部20が膣VGから抜き取られた状態において、指標体43の軸部42上の位置は、骨盤底筋MSの収縮によって挿入部20が受けた外力Fの値(骨盤底筋MSの筋力)を示す。従って、使用者は、指標体43の軸部42上の位置に基づいて、骨盤底筋MSの筋力を知ることができる。
以上の構成を備えた筋力表示装置1によれば、挿入部20が電子部品を備えておらず、且つ表示部40がチューブや圧力計を備えていないので、使い勝手の向上が図れる。
【0017】
<第1実施形態に係る筋力表示装置1の詳細>
以下、第1実施形態に係る筋力表示装置1について詳細に説明する。
図1乃至
図3に示すように、筋力表示装置1は、挿入部20、取付部30、及び表示部40を備えている。
挿入部20は、弾性を備える樹脂によって構成され、取付部30と一体に形成されている。便宜上、挿入部20と取付部30の組を本体部10ともいう。挿入部20は、連結片23によって略V字形状に連結された第1片21と第2片22とを備えている。従って、第1片21と第2片22との間隔は、連結片23側において最も狭く、連結片23から離れるにつれて漸次広くなっている。
【0018】
第1片21、及び第2片22は細幅帯状の板材であるが、
図1中の拡大断面図に示すように、幅方向の中央が最も厚く、幅方向の両端に向けて漸次厚みが薄くなるように外表面が湾曲されている。同様に、連結片23の外表面も円弧形状に湾曲されている。第1片21の外表面、第2片22の外表面、及び連結片23の外表面を湾曲させたことにより、挿入部20を膣VG内に挿入するときに、使用者に刺激を与え難くしている。
第1片21、及び第2片22の幅は、例えば15mm乃至30mmであり、連結片23を含めた挿入部20の長さは85mm乃至120mmであるが、膣VGへの挿入に支障がなければサイズは限定されない。また、第1片21と第2片22との間の交差角度(内角)は15度乃至25度であるが、膣VGへの挿入に支障がなければ交差角度は限定されない。
【0019】
図3に示すように、本体部10(挿入部20と取付部30の組)は、主に本体部10の外側の表面を形成する第1の樹脂RS1と、主に本体部10の中心部分や内側の表面を形成する第2の樹脂RS2とによって形成されている。本実施形態において、本体部10は、インサート成型によって作製されている。
第1の樹脂RS1は、使用者の膣VGと直接接触する部分であることから、第2の樹脂RS2と比較して表面の摩擦が小さく、且つ柔軟な樹脂で作製されている。本実施形態において、第1の樹脂RS1の表面にはシボ加工が施されている。
第2の樹脂RS2は本体部10における芯材として機能するものであり、コイルバネ50が生成する力に対抗し得る剛性を備えた樹脂によって作製されている。
第1の樹脂RS1と第2の樹脂RS2の種類は、これらの条件を満たすものであれば、特に制限されない。なお、本体部10を、第1の樹脂RS1の特性と第2の樹脂RS2の特性を併せ持つ1種類の樹脂で作製してもよい。
【0020】
取付部30は、第1片21の後端(連結片23とは反対側の端)から連続して設けられた第1取付片31と、第2片22の後端(連結片23とは反対側の端)から連続して設けられた第2取付片32と、第1取付片31における挿入部20側の表面とは反対側の表面に突設された第1係合突起33と、第2取付片32における挿入部20側の表面とは反対側の表面に突設された第2係合突起34と、を備えている。
第1取付片31は第1片21の後端から外側へ向けて拡開するように延びており、第2取付片32は第2片22の後端からV字の拡開方向に延びている。本実施形態において、第1取付片31の長さは第2取付片32の長さよりも長い。第1取付片31において第1係合突起33よりも外側へ延出された端部は、使用者の手指によって把持される把持部35である。
第1係合突起33は球形状の突起であり、第1取付片31と一体に設けられている。第2係合突起34もまた球形状の突起であり、第2取付片32と一体に設けられている。
【0021】
次に、表示部40について説明する。
図2及び
図3に示すように、表示部40は、筒部41と、軸部42と、指標体43とを備えている。
筒部41は、長手方向の一端が閉塞され、他端41aが開放された円筒形状をしている。筒部41の一端側の端面は半球形状をしており、一端側部分の外周面には球形状の第1係合凹所41bが設けられている。第1係合凹所41bには、第1取付片31の第1係合突起33が着脱自在に嵌合される。また、筒部41の内側空所41cにはコイルバネ50(抗力生成部)が配置されている。
【0022】
軸部42は、円筒形状の軸本体42aと、軸本体42aの他端に軸本体42aと一体に設けられた軸基部42bとを備えている。軸本体42aは、筒部41の内側空所41cに挿入可能な直径に作製されている。例えば、軸本体42aの直径は、筒部41の内径(内側空所41cの直径)と同じか、クリアランスの分だけ筒部41の内径よりも小さく定められている。
軸基部42bは、軸本体42aの直径よりも一回り大きな直径を有しており、軸本体42aとは反対側の端面は半球形状をしている。軸基部42bの外周面には、球形状の第2係合凹所42cが設けられている。第2係合凹所42cには、第2取付片32の第2係合突起34が着脱自在に嵌合される。
【0023】
図3に示すように、表示部40が取付部30に取り付けられた状態において、軸本体42aの一端部は筒部41の内側空所41c内に挿入され、軸本体42aの端面42dはコイルバネ50の端面50aに当接している。
従って、挿入部20に対して外力Fが作用し、連結片23が変形して第1片21と第2片22との間隔が狭められると、軸本体42aが筒部41の内側空所41c内に進入してコイルバネ50を押し縮める。軸本体42aは、コイルバネ50、及び連結片23の合力よりも外力Fが大きい状態では、筒部41の内側空所41cの内奥方向へ進入する。また、軸本体42aは、コイルバネ50、及び連結片23の合力と外力Fとが釣り合った状態では、内側空所41cへの進入が停まる。
【0024】
指標体43は円形リング形状をしており、指標体43の内側空所41cには軸本体42aが挿通されている。
指標体43の内径は、軸本体42aの外径と同じか、クリアランスの分だけ軸本体42aの外径よりも大きく、且つ筒部41や軸基部42bの外径よりも小さい。このため、指標体43は、軸本体42aの上を長手方向に沿って相対移動自在である。
指標体43と軸本体42aは、筋力表示装置1を傾けた時に指標体43が自重によって移動しない程度の摩擦を発生する構成を備えている。例えば、指標体43や軸本体42aを必要な摩擦力が得られる材質の樹脂で作製したり、指標体43の内周面及び軸本体42aの外周面の表面粗さを必要な摩擦力が得られる粗さに仕上げている。
【0025】
従って、指標体43を筒部41に当接させた状態で第1片21と第2片22との間隔が狭められると、軸本体42aは筒部41の内側空所41cに進入し、指標体43は軸本体42a上を軸基部42b側に相対移動する。その後、第1片21と第2片22との間隔が拡げられると、軸本体42aが筒部41から離れる方向に移動するが、指標体43は軸本体42aと共に筒部41から離れる方向に移動する。
このように、指標体43の軸本体42a上の位置は、第1片21と第2片22とが近接した状態(骨盤底筋MSの収縮時の状態)における両片21、22間の間隔に基づいて定められる。
第1片21と第2片22の近接時における両片21、22間の間隔は骨盤底筋MSの筋力に応じて変わるため、指標体43の軸本体42a上の位置は骨盤底筋MSの筋力を示している。
【0026】
本実施形態において、表示部40は、本体部10(挿入部20と取付部30の組)に対して着脱自在に構成されている。このため、筋力表示装置1の使用前後において、表示部40を本体部10から取り外すことにより、本体部10を単体で洗浄(例えば水洗い)することができる。これにより、表示部40の内部に水が浸入し、コイルバネ50が錆びてしまう等の不都合が抑制される。
【0027】
図4は、第1の表示部40Xと第2の表示部40Yとの交換作業を説明する図である。
図4には、圧縮時において標準的な抗力を発生する第1のコイルバネ50X(第1の抗力生成部)を収容した第1の表示部40Xと、第1のコイルバネ50Xとは圧縮時における抗力が相違する第2のコイルバネ50Y(第2の抗力生成部)を収容した第2の表示部40Yとを示している。
第1の表示部40Xと第2の表示部40Yは、コイルバネ50X、50Y以外の構成、すなわち筒部41、軸部42、及び指標体43の構成は同じである。このため、第1の表示部40Xと第2の表示部40Yは本体部10(取付部30)に対して交換可能に取り付けられる。
【0028】
第2の表示部40Yを本体部10に取り付けた筋力表示装置1は、第1の表示部40Xを本体部10に取り付けた筋力表示装置1と比較して、第1片21と第2片22との間隔を狭めるために必要な外力Fが異なる。
例えば、第2のコイルバネ50Yとして、第1のコイルバネ50Xよりも圧縮時における抗力が大きいものを用いた場合には、第1片21と第2片22との間隔を狭めるために必要な外力F(骨盤底筋MSの筋力)も大きくなる。従って、第1の表示部40Xと第2の表示部40Yとを本体部10に対して選択的に取り付けて使用することにより、筋力の測定範囲を拡張することができる。また、第2の表示部40Yを本体部10に取り付けて使用すると、第1の表示部40Xを本体部10に取り付けて使用したときよりも、骨盤底筋MSの筋力を増強させる効果が見込める。
なお、
図4の例では2種類の表示部40X、40Yを例示したが、この構成に限定されない。例えば、圧縮時における抗力が互いに異なるコイルバネ50を有した3種類以上の表示部40を使用することもできる。
【0029】
<筋力表示装置1の使用方法>
次に、筋力表示装置1の使用方法について説明する。
図5は筋力表示装置1の膣VGへの挿入前の状態を示す図、
図6は筋力表示装置1を膣VG内に挿入した状態を示す図、
図8は筋力表示装置1を膣VG外へ抜き取った状態を示す図である。
図9(a)に示すように、指標体43は、筋力表示装置1の使用に先立ち、筒部41の他端41aに当接するまで軸本体42aに沿って移動する。指標体43の位置決めを完了した後で挿入部20を膣VGに挿入する。このとき、
図5に示すように、挿入部20の連結片23(折り返し部分)を膣口(膣前庭)VOの手前に位置付け、挿入部20を膣VG内にゆっくりと挿入する。第1実施形態に係る筋力表示装置1では、連結片23の外表面が円弧形状に湾曲しており、且つ第1片21、及び第2片22の外表面も湾曲されているため、挿入部20の膣VG内への挿入過程において使用者に与える刺激を軽減できる。
【0030】
図6に示すように、取付部30(各取付片31、32)が膣口VOに当たるまで、挿入部20を膣VG内に挿入する。この挿入状態において、連結片23は、骨盤底筋MSよりも膣VGの内奥側に位置していると推定される。その後、
図7に示すように骨盤底筋MSを収縮させる。骨盤底筋MSの収縮に伴って外力Fが作用し、
図9(b)に示すように両片21、22間の間隔が狭められる。
両片21、22間の間隔が狭められると、表示部40において軸本体42aが筒部41の内側空所41cに進入し、指標体43の軸本体42a上の位置が移動する。すなわち、指標体43の軸本体42aにおける長手方向の位置は、軸本体42aの内側空所41cへの挿入深度に応じて定められ、挿入深度が深い程に軸基部42bに近い位置となる。
【0031】
使用者は、骨盤底筋MSを十分に収縮した後に骨盤底筋MSを弛緩し、
図8に示すように挿入部20を膣VGから抜き取る。
図9(c)に示すように、膣VGから抜き取られた筋力表示装置1は、外力Fが作用していないため、連結片23の弾性力とコイルバネ50の復元力とによって両片21、22間の間隔が拡がった状態になる。
軸本体42aは両片21、22間の間隔の拡がりに伴って筒部41から離れる方向に移動し、指標体43は軸部42との間の摩擦によって収縮時における位置を維持しつつ、軸部42と共に移動する。
すなわち、指標体43の指標体43の軸本体42a上の位置は、両片21、22間の間隔が拡がっても変わらない。このため、両片21、22間の間隔が拡がった状態において、指標体43の軸本体42a上の位置は、骨盤底筋MSの収縮によって挿入部20が受けた外力Fの値、すなわち骨盤底筋MSの筋力を示す。
従って、使用者は、指標体43の軸部42上の位置に基づいて、骨盤底筋MSの筋力を知ることができる。
【0032】
<他の実施形態に係る筋力表示装置1>
本発明に係る筋力表示装置1は、上述した第1実施形態に係る筋力表示装置1に限定されるものではない。以下、他の実施形態に係る筋力表示装置1’、1A、1B、1C、1Dについて説明する。なお、一の実施形態に係る筋力表示装置1、1’、1A、1B、1C、1Dの構成は、支障が無い限り別の実施形態に係る筋力表示装置1、1’、1A、1B、1C、1Dに適用可能である。
図10(a)は第1実施形態の変形例に係る筋力表示装置1’を説明する斜視図、
図10(b)は筋力表示装置1’の断面図、
図11(a)は第2実施形態に係る筋力表示装置1Aの斜視図、
図11(b)は筋力表示装置1Aが備える表示部の拡大図、
図12は第2実施形態の変形例に係る筋力表示装置1Bの斜視図、
図13(a)は第3実施形態に係る筋力表示装置1Cの一面側の斜視図、
図13(b)は筋力表示装置1Cの他面側の斜視図、
図14は第3実施形態の変形例に係る筋力表示装置1Dの斜視図である。
【0033】
<第1実施形態の変形例に係る筋力表示装置1’>
図10に示す第1実施形態の変形例に係る筋力表示装置1’は、第1実施形態に係る筋力表示装置1と同様に、本体部10’(挿入部20’、取付部30’)と、挿入部20’に対して着脱自在に取り付けられた表示部40’と、表示部40’が有する筒部41’の内側空所41c’に配置されたコイルバネ50’とを備えている。
変形例に係る筋力表示装置1’は、特に、第1片21’、及び第2片22’が互いに平行に配置され、且つ連結片23’の曲率が第1実施形態に係る連結片23よりも大きい点が、第1実施形態に係る筋力表示装置1と相違している。また、軸部42’の軸本体42a’が第1実施形態に係る軸本体42aよりも細く、且つ指標体43’がC型のプレートによって構成されている点も、第1実施形態に係る筋力表示装置1と相違している。
以上の構成を備えた筋力表示装置1’では、第1片21’、及び第2片22’が互いに平行に配置されているため、外力Fが加わった状態において挿入部20’が膣VGの外に抜け難いという利点、及び連結片23’の曲率が大きいため、連結片23’の内周面の清掃が容易であるという利点がある。
【0034】
<第2実施形態に係る筋力表示装置1A>
図11に示す第2実施形態に係る筋力表示装置1Aは、
図10の筋力表示装置1’と同様に構成された本体部10Aを備え、且つ表示部40Aがラチェット構造を有している点が、第1実施形態の筋力表示装置1と相違している。
第2実施形態に係る筋力表示装置1Aでは、挿入部20Aの連結片23Aが抗力生成部に対応し、外力Fに対する抗力を生成する。表示部40Aは、第1片21Aの内表面において第2片22Aに向けて突設された爪部41Aと、第2片22Aの内表面に第1片21Aに向けて突設された溝部42A(セレーション)とを備えている。
【0035】
爪部41Aは、角柱状の爪部本体411Aと、爪部本体411Aの先端部において下向きに突設された略三角柱形状の爪412Aとを備えている。爪部41Aは樹脂製であり、本実施形態では第1片21Aと一体に成型される。
溝部42Aは角柱状の溝部本体421Aと、溝部本体421Aの上面に複数形成された鋸刃形状の溝422Aとを備えている。各溝422Aは、爪412Aが嵌合可能な形状であり、爪412Aの第2片22A側への移動は許容する斜面423A(第1面)と、反対側(第1片21A側)への移動を阻止する垂下面424A(第2面)とによって形成されている。溝部42Aは樹脂製であり、本実施形態では第2片22Aと一体に成型される。
【0036】
第2実施形態に係る筋力表示装置1Aでは、挿入部20Aの全体が膣VG内に挿入された状態で使用者が骨盤底筋MSを収縮させると、第1片21Aと第2片22Aには互いの間隔を狭める方向の外力Fが作用し、連結片23A(抗力生成部)が抗力を生成する。
外力Fが抗力よりも大きいと、両片21A、22A間の間隔が狭められ、爪部41Aが溝部42Aの上を第2片22A側に向けて移動する。このとき、爪部41Aの爪412Aは、溝部本体421Aの上面に設けた各溝422Aを乗り越えながら移動する。
【0037】
使用者が骨盤底筋MSを弛緩させ、挿入部20Aが膣VGから抜き取られると、連結片23Aの復元力が第1片21Aと第2片22Aに作用するが、爪412Aが溝422Aに引っ掛かるため、両片21A、22A間の間隔は狭められたまま維持される。
従って、爪412Aの位置(爪412Aが引っ掛かっている溝422A)は、骨盤底筋MSの収縮によって挿入部20Aが受けた外力Fの値(骨盤底筋MSの筋力)を示す。そして、使用者は、爪412Aの位置に基づいて、骨盤底筋MSの筋力を知ることができる。
【0038】
<第2実施形態の変形例に係る筋力表示装置1B>
図12に示す第2実施形態の変形例に係る筋力表示装置1Bは、特に、挿入部20Bと表示部40Bの構成が前述した各筋力表示装置1、1’、1Aと相違している。
例えば、挿入部20Bに関しては、第1片21Bと第2片22Bとをヒンジ機構23Bによって連結し、ヒンジ機構23Bを中心に開閉自在である点が相違している。また、表示部40Bに関しては、複数の大径部411B及び複数の小径部412Bを軸方向に沿って交互に設けた軸部41Bと、軸部41Bが挿通され、且つ弾性変形される挿通孔421Bが設けられた孔部42Bとを備えている点が相違している。
【0039】
第2実施形態の変形例に係る筋力表示装置1Bでは、表示部40Bが抗力生成部としても機能する。例えば、骨盤底筋MSの収縮によって第1片21Bと第2片22Bに互いの間隔を狭める方向の外力Fが作用すると、大径部411Bと挿通孔421Bとが当接して抗力を生成する。そして、外力Fが抗力に勝って挿通孔421Bが大径部411Bを通過すると、挿通孔421Bは隣の小径部412Bに移動して次段の大径部411Bに当接する。以降は、上述の外力Fと抗力とが釣り合うまで挿通孔421Bが大径部411Bを順に通過する。
【0040】
使用者が骨盤底筋MSを弛緩させても、挿通孔421Bと軸部41Bの位置関係は第1片21Bと第2片22Bの間隔が狭められた状態を維持する。このため、孔部42B(挿通孔421B)の軸部41B上の位置は、骨盤底筋MSの収縮によって挿入部20Bが受けた外力Fの値(骨盤底筋MSの筋力)を示す。従って、使用者は、孔部42Bの軸部41B上の長手方向位置に基づいて、骨盤底筋MSの筋力を知ることができる。
なお、筋力表示装置1Bでは、挿通孔421Bの軸部41B上の位置を膣VGへの挿入前に調整しておくことにより、各片21B、22Bの間隔を使用者に適した間隔に定めることができる。
【0041】
<第3実施形態に係る筋力表示装置1C>
図13に示す第3実施形態に係る筋力表示装置1Cは、特に、指針式の表示部40Cを備えている点が前述した各筋力表示装置1、1’、1A、1Bと相違している。
第3実施形態に係る筋力表示装置1Cにおいて挿入部20Cは、第1片21Cと第2片22Cとをヒンジ機構23Cによって開閉自在に連結し、第1片21Cと第2片22Cとの間に抗力生成部材としてのコイルバネ50Cを取り付けている。コイルバネ50Cは、挿入部20Cの先端部(ヒンジ機構23C側の部分)からの距離を複数段階で変更可能に取り付けられている。この構成により、筋力表示装置1Cでは、コイルバネ50Cの取り付け位置(挿入部20Cの先端部からの距離)に応じて、抗力の大きさを変更することができる。
第1片21Cの後端側側面には第1把手31Cを側方に延出して設け、第2片22Cの後端側側面には第2把手32Cを側方に延出して設けている。これらの第1把手31C、及び第2把手32Cは使用者によって把持される部分であり、挿入部20Cが膣VG内に挿入された状態において膣VGの外部に位置する。
【0042】
表示部40Cは、第1片21Cの後端部(挿入端とは反対側の端部)に設けられたラックギア41Cと、第2片22Cの後端部(挿入端とは反対側の端部)に設けられたピニオンギア42Cと、ピニオンギア42Cによって正方向と逆方向の双方に回転駆動される駆動針43Cと、駆動針43Cの正回転時に駆動針43Cによって正回転し、駆動針43Cの逆回転時には回転されない従動針44Cと、駆動針43C及び従動針44Cを案内する案内溝部451C、及び目盛り452Cが形成された扇形状のパネル45Cと、を備えている。
パネル45Cに設けられた案内溝部451Cは、外縁に沿って円弧形状に形成されており、駆動針43Cの先端部や従動針44Cの先端部が嵌合される。本実施形態において、駆動針43Cの先端部には、使用者の手指によって把持されるハンドル46Cが設けられている。また、案内溝部451Cの内周縁には鋸刃形状の凹凸が形成されている。鋸刃形状の凹凸は、各針43C、44Cの正方向への移動は容易とし、各針43C、44Cの逆方向への移動には人による操作が必要とするために設けられている。
【0043】
第3実施形態に係る筋力表示装置1Cでは、骨盤底筋MSの収縮によって両片21C、22C間の間隔を狭める方向の外力Fが作用するとコイルバネ50Cが抗力を生成する。外力Fが抗力に勝ると両片21C、22C間の間隔が狭められ、ラックギア41Cの移動によってピニオンギア42Cが正方向に回転する。ピニオンギア42Cの回転に伴って駆動針43C、及び従動針44Cが正方向に回転する。そして、外力Fと抗力とが釣り合うと、駆動針43Cと従動針44Cの正方向への回転は停止する。
使用者が骨盤底筋MSを弛緩させると、コイルバネ50Cの復元力によって両片21C、22C間の間隔が拡げられ、ラックギア41Cの移動によってピニオンギア42Cが逆方向に回転する。ピニオンギア42Cの回転に伴い、駆動針43Cは逆方向に回転するが、従動針44Cは案内溝部451Cに嵌合して回転しない。
このため、従動針44Cの角度は、骨盤底筋MSの収縮によって挿入部20Cが受けた外力Fの値(骨盤底筋MSの筋力)を示す。
従って、使用者は、従動針44Cの角度に基づいて、骨盤底筋MSの筋力を知ることができる。
【0044】
<第3実施形態の変形例に係る筋力表示装置1D>
図14に示す変形例に係る筋力表示装置1Dは、指針式の表示部40Dを備えている点、及び挿入部20Dの第1片21Dと第2片22Dとの間に抗力生成部として機能するコイルバネ50Dを備えている点は、
図13の筋力表示装置1Cと同様である。
変形例に係る筋力表示装置1Dでは、ラックギア41Dを第1片21Dの後端から側方に向けて設け、角柱形状の案内軸46Dをラックギア41Dと一体に、且つラックギア41Dの長手方向に沿って設け、案内軸46Dの側面には複数の係合凹所461Dを所定ピッチで設けている。本実施形態において、係合凹所461Dは浅い湾曲凹面である。
一方、第2片22Dの後端には案内軸46Dが挿通される角筒形状の案内筒部47Dと、ラックギア41Dの移動によって回転するピニオンギア42Dと、ピニオンギア42Dによって回転駆動される指針43Dと、目盛り452Dが形成された扇形状のパネル45Dと、が設けられている。
また、案内筒部47Dには、係合凹所461Dに嵌合自在な係合突起471Dが設けられている。本実施形態において、係合突起471Dは半球形状である。このため、係合突起471Dは、案内軸46Dの長手方向への移動に伴って、係合凹所461Dへの嵌合と離脱とを繰り返し行う。
【0045】
変形例に係る筋力表示装置1Dでは、骨盤底筋MSの収縮によって両片21D、22D間の間隔を狭める方向の外力Fが作用するとコイルバネ50Dが抗力を生成する。また、係合突起471Dが係合凹所461Dに嵌合することによっても抗力を生成される。
外力Fが抗力に勝ると両片21D、22D間の間隔が狭められてラックギア41Dが移動し、係合突起471Dは係合凹所461Dから離れて隣の係合突起471Dに嵌まる。ラックギア41Dの移動によってピニオンギア42Dが正方向に回転し、指針43Dも正方向に回転する。そして、外力Fと抗力とが釣り合うと、指針43Dの正方向への回転は停止する。
【0046】
使用者が骨盤底筋MSを弛緩させると、第1片21Dと第2片22Dにはコイルバネ50Dの復元力が作用するが、係合突起471Dが係合凹所461Dに嵌合しているため、第1片21Dと第2片22Dの間隔は狭められた状態を維持する。
このため、指針43Dの角度は、骨盤底筋MSの収縮によって挿入部20Cが受けた外力Fの値(骨盤底筋MSの筋力)を示す。
従って、使用者は、従動針44Cの角度に基づいて、骨盤底筋MSの筋力を知ることができる。
【0047】
[本発明の実施態様例と作用、効果のまとめ]
<第一の実施態様>
本態様に係る筋力表示装置1、1’、1A、1B、1C、1Dは、膣VGの内部に着脱自在に挿入され、骨盤底筋MSの収縮に伴って外力Fを受ける挿入部20、20’、20A、20B、20C、20Dと、外力Fに対する抗力を生成する抗力生成部(コイルバネ50、50’、50C、50D、50X、50Y、連結片23、23’23A、40A、40B)と、外力Fの値を骨盤底筋MSの筋力として表示する表示部40、40’、40A、40B、40C、40Dと、を備え、挿入部は、第1片(21、21’、21A、21B、21C、21D)と、第1片と間隔を空けて対向し、且つ第1片に対して間隔を変更自在に結合された第2片(22、22’、22A、22B、22C、22D)と、を備え、抗力生成部は、第1片21、及び第2片22に対して間隔を狭める方向の外力(外力F)が作用したときに抗力を生成し、表示部は、骨盤底筋MSの収縮時における間隔に基づいて外力Fの値を表示し、且つ挿入部20Cが膣VGから抜き取られた後も外力Fの値を表示可能な構成を有したことを特徴とする。
本態様に係る筋力表示装置によれば、表示部に表示された外力Fの値(指標体43、43’の軸部42、42’上の位置、爪412Aが引っ掛かっている溝422Aの位置、孔部42Bの軸部41B上の長手方向位置、従動針44C、及び指針43Dの角度)によって骨盤底筋MSの筋力を知ることができる。そして、挿入部に電子部品を設けていないことから、使用者に不安を与え難くすることができ、且つチューブや圧力計等を必要としない。従って、筋力表示装置の使い勝手の向上を図ることができる。
【0048】
<第二の実施態様>
本態様に係る筋力表示装置1は、第1片21に設けられ、且つ挿入部20が膣VGの内部に挿入された状態で膣VGの外部に位置する第1取付片31と、第2片22に設けられ、且つ挿入部20が膣VGの内部に挿入された状態で膣VGの外部に位置する第2取付片32と、を備え、表示部40は、第1取付片31、及び第2取付片32の一方に取り付けられた筒部41と、第1取付片31、及び第2取付片32の他方に取り付けられた棒状の軸部42と、軸部42に対し、軸部42の長手方向に沿って相対移動自在に取り付けられた指標体43と、を備え、軸部42は筒部41の内側空所41cに挿入され、且つ軸部42の内側空所41cへの挿入深度は第1取付片31と第2取付片32の間隔が狭いほど大きく、指標体43は、軸部42の内側空所41cへの進入に伴って筒部41の端部41aに当接し、指標体43の軸部42の長手方向の位置は、軸部42の挿入深度に応じて定められることを特徴とする。
本態様に係る筋力表示装置1によれば、表示部40が筒部41、軸部42、及び指標体43によって構成され、且つ指標体43の軸部42上の位置が軸部42の挿入深度に応じて定められるので、表示部40の構成の簡素化が図れる。
【0049】
<第三の実施態様>
本態様に係る筋力表示装置1において、指標体43は、軸部42が挿通されるリング形状であり、指標体43の軸部42の長手方向の位置は、指標体43の内周面と軸部42の外周面との間の摩擦によって挿入部20Cが膣VGから抜き取られた後も維持されることを特徴とする。
本態様に係る筋力表示装置1によれば、指標体43の位置が摩擦によって維持されるので、表示部40の構成の簡素化が図れる。
【0050】
<第四の実施態様>
本態様に係る筋力表示装置1において、抗力生成部は、筒部41の内側空所41cに設けられ、且つ内側空所41cに進入した軸部42によって圧縮されるコイルバネ50であることを特徴とする。
本態様に係る筋力表示装置1によれば、抗力生成部をコイルバネ50によって構成し、且つコイルバネ50を筒部41の内側空所41cに設けているので、装置の小型化が図れる。
【0051】
<第五の実施態様>
本態様に係る筋力表示装置1において、表示部40は、第1取付片31、及び第2取付片32に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする。
本態様に係る筋力表示装置1によれば、本体部10(各取付片31、32、及び挿入部20)を洗浄するときに、表示部40を本体部10から分離することができる。このため、本体部10の洗浄が容易である。
【0052】
<第六の実施態様>
本態様に係る筋力表示装置1において、表示部40は、第1のコイルバネ50Xが内側空所41cに設けられた第1の表示部40Xと、圧縮時の抗力が第1のコイルバネ50Xとは異なる第2のコイルバネ50Yが内側空所41cに設けられた第2の表示部40Yと、を含み、第1の表示部40X、及び第2の表示部40Yは、第1取付片31、及び第2取付片32に対して交換自在に取り付けられることを特徴とする。
本態様に係る筋力表示装置1によれば、第1の表示部40Xと第2の表示部40Yを選択的に取り付けることにより、両片21、22間の間隔を狭めるために必要な外力F、言い換えれば骨盤底筋MSに与える負荷を変更することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…力表示装置,10…本体部(挿入部、取付部),20…挿入部,21…第1片,22…第2片,23…連結片,30…取付部,31…第1取付片,32…第2取付片,33…第1係合突起,34…第2係合突起,35…把持部,40…表示部,40X…第1の表示部,40Y…第2の表示部,41…筒部,41a…筒部の他端,41b…第1係合凹所,41c…筒部の内側空所,42…軸部,42a…軸本体,42b…軸基部,42c…第2係合凹所,42d…軸本体の端面,43…指標体,50…コイルバネ,50X…第1のコイルバネ,50Y…第2のコイルバネ,50a…コイルバネの端面,1’…第1実施形態の変形例に係る筋力表示装置,10’…本体部,20’…挿入部,21’…第1片,22’…第2片,23’…連結片,30’…取付部,40’…表示部,41’…筒部,42’…軸部,42a’…軸本体,43’…指標体,41c’…筒部の内側空所,50’…コイルバネ,1A…第2実施形態に係る筋力表示装置,10A…本体部,20A…挿入部,21A…第1片,22A…第2片,23A…連結片,40A…表示部,41A…爪部,411A…爪部本体,412A…爪,42A…溝部,421A…溝部本体,422A…溝,423A…斜面,424A…垂下面,1B…第2実施形態の変形例に係る筋力表示装置,20B…挿入部,21B…第1片,22B…第2片,23B…ヒンジ機構,40B…表示部,41B…軸部,411B…大径部,412B…小径部,42B…孔部,421B…挿通孔,1C…第3実施形態に係る筋力表示装置,20C…挿入部,21C…第1片,22C…第2片,23C…ヒンジ機構,31C…第1把手,40C…表示部,41C…ラックギア,42C…ピニオンギア,43C…駆動針,44C…従動針,45C…パネル,451C…案内溝部,452C…目盛り,46C…ハンドル,50C…コイルバネ,1D…第3実施形態の変形例に係る筋力表示装置,20D…挿入部,21D…第1片,22D…第2片,40D…表示部,41D…ラックギア,42D…ピニオンギア,43D…指針,45D…パネル,452D…目盛り,47D…案内筒部,471D…係合突起,50D…コイルバネ,VG…膣,VO…膣口(膣前庭),MS…骨盤底筋,RS1…第1の樹脂,RS2…第2の樹脂,F…外力