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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】通信装置及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20240821BHJP
   H04W 88/10 20090101ALI20240821BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20240821BHJP
   H04W 48/18 20090101ALI20240821BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W88/10
H04W88/06
H04W48/18 111
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022531295
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2020024699
(87)【国際公開番号】W WO2021260816
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 好明
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-515487(JP,A)
【文献】国際公開第2013/001483(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線通信レイヤおよび第2無線通信レイヤを有し、
前記第1無線通信レイヤは、第n世代(nは1以上の整数)である第1通信規格、及び前記第n世代と異なる世代である第2通信規格に対応し、前記第2無線通信レイヤは、前記第1通信規格及び前記第2通信規格に対応し、
他の通信装置との間で前記第1無線通信レイヤを介して無線通信を実施し、前記他の通信装置から前記他の通信装置がサポートする前記第1無線通信レイヤ及び前記第2無線通信レイヤの通信規格に関する第1の情報を受信する通信部と、
前記第1の情報に応じて、前記第1無線通信レイヤ及び前記第2無線通信レイヤそれぞれの通信規格を選択し、前記選択した通信規格に対応する前記第1無線通信レイヤ及び前記第2無線通信レイヤを使用し、データの送受信を行うよう通信を制御する制御部と、
を有する通信装置。
【請求項2】
前記通信部は、さらに、前記他の通信装置に、前記選択した通信規格に関する第2の情報を送信する
請求項記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信部は、第1の状態変化を検出した時、前記第1無線通信レイヤ及び前記第2無線通信レイヤそれぞれの通信規格の、少なくとも一方を再選択する
請求項1記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信部は、前記他の通信装置に、前記再選択した通信規格に関する第3の情報を送信する
請求項記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1の状態変化は、前記他の通信装置と前記通信装置間の通信状態の変化を含む
請求項記載の通信装置。
【請求項6】
前記第1の状態変化は、前記第1通信規格または前記第2通信規格における無線リソースの使用状況の変化を含む
請求項記載の通信装置。
【請求項7】
第1無線通信レイヤおよび第2無線通信レイヤを有し、
前記第1無線通信レイヤ及び前記第2無線通信レイヤそれぞれは、第n世代である第1通信規格及び前記第n世代と異なる世代である第2通信規格の少なくとも一方に対応し、
他の通信装置との間で前記第1無線通信レイヤを介して無線通信を実施し、自装置がサポートする前記第1無線通信レイヤ及び前記第2無線通信レイヤの通信規格に関する第1の情報を送信する通信部と、
前記第1の情報に応じて前記他の通信装置により選択された前記第1無線通信レイヤ及び前記第2無線通信レイヤそれぞれの通信規格に対応する、前記第1無線通信レイヤ及び前記第2無線通信レイヤを使用し、データの送受信を行うよう通信を制御する制御部と、
を有する通信装置。
【請求項8】
第1通信装置と第2通信装置とを有する通信システムであって、
前記第2通信装置は、
第1無線通信レイヤおよび第2無線通信レイヤを有し、
前記第1無線通信レイヤ及び前記第2無線通信レイヤそれぞれは、第n世代である第1通信規格及び前記第n世代と異なる世代である第2通信規格に対応し、
前記第1通信装置は、
前記第1無線通信レイヤおよび前記第2無線通信レイヤを有し、
前記第1無線通信レイヤ及び前記第2無線通信レイヤそれぞれは、前記第1通信規格及び前記第2通信規格の少なくとも一方に対応し、
前記第2通信装置は、
前記第1無線通信レイヤを介して前記第1通信装置と無線通信を実施し、
前記第1通信装置から前記第1通信装置がサポートする前記第1無線通信レイヤ及び前記第2無線通信レイヤの通信規格に関する第1の情報を受信し、
前記第1の情報に応じて、前記第1無線通信レイヤ及び前記第2無線通信レイヤそれぞれの通信規格を選択し、前記選択した通信規格に対応する前記第1無線通信レイヤ及び前記第2無線通信レイヤを使用し、データの送受信を行い、
前記第1通信装置は、
前記第2通信装置が選択した前記第1無線通信レイヤ及び前記第2無線通信レイヤそれぞれの通信規格に対応する前記第1無線通信レイヤ及び前記第2無線通信レイヤを使用し、前記データの送受信を行う
通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のネットワークは、モバイル端末(スマートフォンやフューチャーホン)のトラフィックがネットワークのリソースの大半を占めている。また、モバイル端末が使うトラフィックは、今後も拡大していく傾向にある。
【0003】
一方で、IoT(Internet of things)やV2Xのサービス(例えば、交通システム、スマートメータ、装置等の監視システム)の展開にあわせて、多様な要求条件を持つサービスに対応することが求められている。そのため、第5世代移動体通信(5Gまたは、NR(New Radio))の通信規格では、4G(第4世代移動体通信)の標準技術(例えば、非特許文献1~42)に加えて、さらなる高データレート化、大容量化、低遅延化を実現する技術が求められている。
【0004】
また、無線通信システムの通信規格では、一般的に、無線通信の機能を一連の層(レイヤ)に分割したプロトコルスタック(階層型プロトコルとも称される)として、仕様が規定される。
【0005】
5Gに関する技術としては、以下の先行技術文献に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】3GPP TS36.133 LTE-A 無線測定仕様
【文献】3GPP TS36.300 LTE-A 概要仕様
【文献】3GPP TS36.211 LTE-A PHYチャネル仕様
【文献】3GPP TS36.212 LTE-A PHY符号化仕様
【文献】3GPP TS36.213 LTE-A PHY手順仕様
【文献】3GPP TS36.214 LTE-A PHY測定仕様
【文献】3GPP TS36.321 LTE-A MAC仕様
【文献】3GPP TS36.322 LTE-A RLC仕様
【文献】3GPP TS36.323 LTE-A PDCP仕様
【文献】3GPP TS36.331 LTE-A RRC仕様
【文献】3GPP TS36.413 LTE-A S1仕様
【文献】3GPP TS36.423 LTE-A X2仕様
【文献】3GPP TS36.425 LTE-A Xn仕様
【文献】3GPP TR36.912 NR 無線アクセス概要
【文献】3GPP TR38.913 NR 要求条件
【文献】3GPP TR38.913 NR 要求条件
【文献】3GPP TR38.801 NR ネットワークアーキテクチャ概要
【文献】3GPP TR38.802 NR PHY概要
【文献】3GPP TR38.803 NR RF概要
【文献】3GPP TR38.804 NR L2概要
【文献】3GPP TR38.900 NR 高周波概要
【文献】3GPP TS38.300 NR 概要仕様
【文献】3GPP TS37.340 NR 多元接続概要仕様
【文献】3GPP TS38.201 NR PHY仕様概要仕様
【文献】3GPP TS38.202 NR PHYサービス概要仕様
【文献】3GPP TS38.211 NR PHYチャネル仕様
【文献】3GPP TS38.212 NR PHY符号化仕様
【文献】3GPP TS38.213 NR PHYデータチャネル手順仕様
【文献】3GPP TS38.214 NR PHYコントロールチャネル手順仕様
【文献】3GPP TS38.215 NR PHY測定仕様
【文献】3GPP TS38.321 NR MAC仕様
【文献】3GPP TS38.322 NR RLC仕様
【文献】3GPP TS38.323 NR PDCP仕様
【文献】3GPP TS37.324 NR SDAP仕様
【文献】3GPP TS38.331 NR RRC仕様
【文献】3GPP TS38.401 NR アーキテクチャ概要仕様
【文献】3GPP TS38.410 NR コアネットワーク概要仕様
【文献】3GPP TS38.413 NR コアネットワークAP仕様
【文献】3GPP TS38.420 NR Xnインタフェース概要仕様
【文献】3GPP TS38.423 NR XnAP仕様
【文献】3GPP TS38.470 NR F1インタフェース概要仕様
【文献】3GPP TS38.473 NR F1AP仕様
【特許文献】
【0007】
【文献】特表2012-511863号公報
【文献】特開2003-087856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、通信規格の標準化は、5Gに留まらず、次世代(例えば、B5G;Beyond 5G、及び6G)へと継続される。通信規格は、世代(通信世代)が変わるごとにプロトコル構成が変更される。例えば、第2層(レイヤ2)や第1層(レイヤ1)におけるプロトコル構成は、大きく変わる場合がある。このプロトコル構成の変更に対応するため、通信装置(端末装置及び基地局装置)の開発では、それぞれの世代で個別開発すると、工期が長くなり、開発費用も増大化する。また、次世代の通信は、複数の世代の通信装置が多元的に接続し通信を実施することもできる。複数の通信装置または通信装置が提供する通信エリアの通信状況が変動する中で、適切にプロトコルまたはレイヤを構成することが困難となる。このため、通信システム全体として最大限の通信特性が提供できない可能性がある。
【0009】
そこで、一開示は、世代変更に対応するための工期や開発費用の増大化を抑制する、通信装置及び通信システムを提供する。また、通信状況に応じて、適切にプロトコルまたはレイヤ構成を制御する、通信装置及び通信システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
通信装置が、第1無線通信レイヤおよび第2無線通信レイヤ、一般には第n無線通信レイヤ(nは1以上の整数)を有し、前記第1及び第2無線通信レイヤそれぞれは、第1及び第2通信規格に対応し、一般には第m無線通信規格に対応し(mは1以上の整数)、対向の通信装置との間で前記第1無線通信レイヤを介して無線通信を実施する通信部と、前記端末装置が対応する前記第1及び第2無線通信レイヤの通信規格に応じて、前記第1及び第2無線通信レイヤそれぞれの通信規格を選択し、前記選択した通信規格に対応する前記第1及び第2無線通信レイヤを使用し、データの送受信を行うよう通信を制御する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
一開示は、世代変更に対応するための工期や開発費用の増大化を抑制することができる。また、一開示は、通信状況に応じて、適切にプロトコルまたはレイヤ構成を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、通信システム2の構成例を示す図である。
図2図2は、通信システム1の構成例を示す図である。
図3図3は、基地局装置200の構成例を表す図である。
図4図4は、端末装置100の構成例を表す図である。
図5図5は、世代調整処理のシーケンスの例を示す図である。
図6図6は、サポートする世代とレイヤの対応関係を示すビットパターンの例を示す図である。
図7図7は、使用する世代とレイヤの対応関係を示すビットパターンの例を示す図である。
図8図8は、端末装置100及び基地局装置200のサポートする世代とレイヤの例を示す図である。
図9図9は、状態変化時の選択世代通知のシーケンスの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書における課題及び実施例は一例であり、本願の権利範囲を限定するものではない。特に、記載の表現が異なっていたとしても技術的に同等であれば、異なる表現であっても本願の技術を適用可能であり、権利範囲を限定するものではない。
【0014】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、通信システム2の構成例を示す図である。通信システム2は、通信装置11及び対向の(他の)通信装置12を有し、装置11と装置12との間で、データ送受信を含む通信を行うシステムである。
【0016】
装置12は、制御部13及び通信部14を有する。各部は、装置12が有するコンピュータ(プロセッサ)が、プログラムを実行することで構築される。
【0017】
装置12は、第1無線通信レイヤ、及び第2無線通信レイヤ、一般には第n無線通信レイヤ(nは1以上の整数)を有する。そして、第1無線通信レイヤ及び第2無線通信レイヤ、一般には第n無線通信レイヤ(nは1以上の整数)それぞれは、第1通信規格及び第2通信規格に対応(サポート)、一般には第m無線通信規格(mは1以上の整数)に対応する。通信規格は、例えば、標準化における通信の世代に準拠したものである。また、通信規格は、プロトコルのバージョンと解されてもよい。
【0018】
装置11は、装置12と通信を行う。通信は、例えば、無線通信である。装置11は、第1無線通信レイヤ、及び第2無線通信レイヤ、一般には第n無線通信レイヤ(nは1以上の整数)を有する。そして、第1無線通信レイヤ及び第2無線通信レイヤ、一般に第n無線通信レイヤ(nは1以上の整数)それぞれは、第1通信規格及び第2通信規格、一般には第m無線通信規格(mは1以上の整数)に対応の少なくとも一方に対応する。図1の例では、第1無線通信レイヤは第1及び第2通信規格に対応し、第2無線通信レイヤは第1通信規格に対応する。
【0019】
制御部13は、装置11が対応するレイヤ及び通信規格の対応群16に応じて、自装置が対応するレイヤ及び通信規格の対応群15から、通信に使用する第1無線通信レイヤ及び第2無線通信レイヤそれぞれを選択する。制御部13は、例えば、装置11の対応群16に含まれる第1通信規格対応の第2無線通信レイヤと、第2通信規格対応の第1無線通信レイヤを選択する。
【0020】
通信部14は、制御部13の制御により、制御部13が選択した第1無線通信レイヤ及び第2無線通信レイヤを使用し、第1無線通信レイヤを介して、装置11と通信を行う。
【0021】
これにより、例えば、第2通信規格が新規又は次世代の通信規格である場合、装置11は、一部のレイヤのみ次世代通信規格に対応することで、次世代の装置12と通信を行うことが可能となる。すなわち、少ない時間、工数で、次世代の装置12と通信が可能な装置11の開発が可能となる。また、通信特性が最大限となるように通信を制御することができる。
【0022】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態について説明する。なお、以降の実施の形態については、例えば、第1の実施の形態の具体例と捉えてもよい。
【0023】
以降の端末装置100が通信装置11に対応し、基地局装置200は通信装置12(対向の通信装置)に対応する。また、例えば、端末装置100と基地局装置200は、ともに通信装置と呼ぶ場合があるが、一方の装置を通信装置と呼ぶ場合、もう一方の装置を対向の通信装置と呼ぶ場合がある。なお、以降の実施の形態において、基地局と端末局との通信の例で記載するが、例えばV2X通信の場合、端末間で通信を行い基地局は存在しない。この場合、制御する側の端末と、制御される側の端末という意味において、それぞれ基地局装置および端末装置という意味に置き換えて、本実施例はV2X通信にも適用できる。
【0024】
図2は、通信システム10の構成例を示す図である。通信システム10は、端末装置100、基地局装置200、及びコアネットワーク300を有する。通信システム10は、端末装置100が、コアネットワーク300上の他の通信装置と、基地局装置200を介して通信するシステムである。
【0025】
端末装置100は、基地局装置200と無線接続し、通信を行う。端末装置100は、例えば、5G及びB5Gの両方または一方に対応するタブレット端末やスマートフォンである。また、端末装置100は、一部のレイヤのみB5Gまたは5Gに対応してもよい。一例としてB5Gおよび5Gを例示したが、一般には、第N世代の次の次世代移動通信BNGおよび第N世代移動通信(NG)である。
【0026】
基地局装置200は、端末装置100と他の装置との通信を中継する中継装置である。基地局装置200は、例えば、5G及びB5Gの両方または一方に対応する通信装置である。また、基地局装置200は、一部のレイヤのみB5Gまたは5Gに対応してもよい。一例としてB5Gおよび5Gを例示したが、一般には、第N世代の次の次世代移動通信BNGおよび第N世代移動通信(NG)である。
【0027】
コアネットワーク300は、例えば、IP(Internet Protocol)アドレスを用いて通信を行うネットワークである。コアネットワークは、例えば、インターネットやローカルネットワークである。
【0028】
通信システム10では、端末装置100及び基地局装置200間で、対応する世代の調整を行う。例えば、端末装置100は、自装置が対応する世代及びレイヤを基地局装置200に通知する。基地局装置200は、端末装置100が対応する世代及びレイヤから、使用する世代及びレイヤを選択し、端末装置100に通知する。これにより、異なる世代の通信規格に対応する通信装置(端末装置100及び基地局装置200)間の、適切な通信が可能となる。世代及びレイヤの通知について具体例を示す。例えば、端末装置は実装する(サポートする・対応する)機能に関する情報を、UE capabilityと呼称される制御信号を用いて基地局装置に通知する。サポートする機能は、例えばパラメータで規定することができる。端末装置がB5G通信に対応している場合は、関連するB5Gの複数のパラメータを通知する。顕著な一例として、端末装置が接続する基地局装置がB5Gをサポートする場合、当該端末が5Gのみをサポートする場合、B5Gのレイヤと5Gのレイヤが前記端末装置に混在する構成となるように、前記基地局装置から設定が通知される。なお、UE capabilityは必ずしも必要ではなく、基地局装置が端末装置に要求して送信してもよい。
【0029】
<基地局装置200の構成例>
図3は、基地局装置200の構成例を表す図である。基地局装置200は、CPU(Central Processing Unit)210、ストレージ220、メモリ230、及び通信回路240を有する。
【0030】
ストレージ220は、プログラムやデータを記憶する、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置である。ストレージ220は、第N世代通信プログラム221、第M世代通信プログラム222、及びサポート世代通知受信プログラム223を記憶する。
【0031】
メモリ230は、ストレージ220に記憶されているプログラムをロードする領域である。また、メモリ230は、プログラムがデータを記憶する領域としても使用されてもよい。
【0032】
通信回路240は、端末装置100やコアネットワーク300と接続し、通信を行う回路である。端末装置100と通信する通信回路240と、コアネットワークと接続する通信回路240は、異なる複数の通信回路で構成されても良い。例えば、端末装置100と通信する通信回路240は、無線接続に対応する装置であって、コアネットワーク300と通信する通信回路240は、有線接続に対応する装置であっても良い。
【0033】
CPU210は、ストレージ220に記憶されているプログラムを、メモリ230にロードし、ロードしたプログラムを実行し、各部を構築し、各処理を実現するプロセッサである。
【0034】
CPU210は、第N世代通信プログラム221を実行することで、通信部及び制御部を構築し、第N世代通信処理を行う。第N世代通信処理は、第N世代の通信規格に準じた通信を実行する処理である。第N世代は、例えば、5G、B5G、6Gなどである。また、第N世代は、他の世代であってもよいし、他の通信規格であってもよい。なお、第N世代通信処理は、レイヤに分けられ、レイヤごとに第N世代に対応する処理を行う。
【0035】
また、CPU210は、第N世代通信プログラム221が有する第N世代レイヤ1モジュール2211を実行することで、通信部及び制御部を構築し、第N世代レイヤ1処理を行う。第N世代レイヤ1処理は、第N世代の通信規格に準じたレイヤ1における処理を実行する処理である。レイヤ1は、例えば、物理層を含む。
【0036】
また、CPU210は、第N世代通信プログラム221が有する第N世代レイヤ2モジュール2212を実行することで、通信部及び制御部を構築し、第N世代レイヤ2処理を行う。第N世代レイヤ2処理は、第N世代の通信規格に準じたレイヤ2における処理を実行する処理である。レイヤ2は、例えば、データリンク層を含む。なお、以降は、レイヤ1はレイヤ2の下位に相当するレイヤである場合を例として説明するが、レイヤ1及びレイヤ2のいずれが上位及び下位のレイヤであっても同等の処理を行うことが可能である。
【0037】
CPU210は、第M世代通信プログラム222を実行することで、通信部及び制御部を構築し、第M世代通信処理を行う。第M世代通信処理は、第M世代の通信規格に準じた通信を実行する処理である。第M世代は、例えば、5G、B5G、6Gなどである。また、第M世代は、他の世代であってもよいし、他の通信規格であってもよい。なお、第M世代通信処理は、レイヤに分けられ、レイヤごとに第M世代に対応する処理を行う。また、第M世代は、第N世代とは、異なる世代であるものとする。
【0038】
また、CPU210は、第M世代通信プログラム222が有する第M世代レイヤ1モジュール2221を実行することで、通信部及び制御部を構築し、第M世代レイヤ1処理を行う。第M世代レイヤ1処理は、第M世代の通信規格に準じたレイヤ1における処理を実行する処理である。レイヤ1は、例えば、物理層を含む。
【0039】
また、CPU210は、第M世代通信プログラム222が有する第M世代レイヤ2モジュール2222を実行することで、通信部及び制御部を構築し、第M世代レイヤ2処理を行う。第M世代レイヤ2処理は、第M世代の通信規格に準じたレイヤ2における処理を実行する処理である。レイヤ2は、例えば、データリンク層を含む。なお、以降は、レイヤ1はレイヤ2の下位に相当するレイヤである場合を例として説明するが、レイヤ1及びレイヤ2のいずれが上位及び下位のレイヤであっても同等の処理を行うことが可能である。
【0040】
CPU210は、サポート世代通知受信プログラム223を実行することで、通信部及び制御部を構築し、サポート世代通知受信処理を行う。サポート世代通知受信処理は、端末装置100からサポートしている世代及び対応するレイヤに関するサポート情報を含むサポート世代通知を受信する処理である。基地局装置200は、サポート世代通知受信処理において、端末装置100のサポート情報から、通信に使用するレイヤごと(例えばレイヤ1,2)の世代を決定し、端末装置100に通知する。
【0041】
<端末装置100の構成例>
図4は、端末装置100の構成例を表す図である。端末装置100は、CPU110、ストレージ120、メモリ130、及び通信回路140を有する。
【0042】
ストレージ120は、プログラムやデータを記憶する、フラッシュメモリ、HDD、又はSSDなどの補助記憶装置である。ストレージ120は、端末第M世代通信プログラム121、端末第N世代レイヤ1プログラム122、及びサポート世代通知プログラム123を記憶する。
【0043】
メモリ130は、ストレージ120に記憶されているプログラムをロードする領域である。また、メモリ130は、プログラムがデータを記憶する領域としても使用されてもよい。
【0044】
通信回路140は、基地局装置200と接続し、通信を行う回路である。通信回路140は、例えば、無線接続に対応するネットワークカードである。
【0045】
CPU110は、ストレージ120に記憶されているプログラムを、メモリ130にロードし、ロードしたプログラムを実行し、各部を構築し、各処理を実現するプロセッサである。
【0046】
CPU110は、端末第M世代通信プログラム121を実行することで、端末通信部及び端末制御部を構築し、端末第M世代通信処理を行う。端末第M世代通信処理は、第M世代の通信規格に準じた通信を実行する処理である。
【0047】
また、CPU110は、端末第M世代通信プログラム121が有する端末第M世代レイヤ1モジュール1211を実行することで、端末通信部及び端末制御部を構築し、端末第M世代レイヤ1処理を行う。端末第M世代レイヤ1処理は、第M世代の通信規格に準じたレイヤ1における処理を実行する処理である。
【0048】
また、CPU110は、端末第M世代通信プログラム121が有する端末第M世代レイヤ2モジュール1212を実行することで、端末通信部及び端末制御部を構築し、端末第M世代レイヤ2処理を行う。端末第M世代レイヤ2処理は、第M世代の通信規格に準じたレイヤ2における処理を実行する処理である。
【0049】
CPU110は、端末第N世代レイヤ1プログラム122を実行することで、端末通信部及び端末制御部を構築し、端末第N世代レイヤ1処理を行う。端末第N世代レイヤ1処理は、第N世代の通信規格に準じたレイヤ1における処理を実行する処理である。
【0050】
CPU110は、サポート世代通知プログラム123を実行することで、端末制御部及び端末構築し、サポート世代通知処理を行う。サポート世代通知処理は、自装置がサポートしている世代及び対応するレイヤに関するサポート情報を含むサポート世代通知を、基地局装置200に送信する処理である。図4においては、端末装置100は、第M世代のレイヤ1,2及び第N世代のレイヤ1をサポートする。
【0051】
<世代調整処理>
図5は、世代調整処理のシーケンスの例を示す図である。世代調整処理は、世代の異なる端末装置100と基地局装置200が、レイヤごとに世代を調整する処理である。
【0052】
端末装置100は、自装置がサポートする世代とレイヤの対応関係を示すビットパターンB10を含むサポート情報通知を、基地局装置200に送信する(S10)。サポート情報通知は、前述したUE capability信号として送信してもよいし、任意のRRC信号で送信してもよいし、MAC CEとして送信してもよい。エラー率の信頼性は下がるがPDCCHで送信してもよい。ビットパターンB10は、上位4ビット(第1ビットから第4ビット)はRビットである。Rビットは、例えばリザーブビットであり、使用しない、あるいは他の用途で使用するビットである。
【0053】
図6は、サポートする世代とレイヤの対応関係を示すビットパターンの例を示す図である。ビットパターンでは、第5ビットから第8ビットまでの4ビットを使用し、レイヤ1、2の対応する世代を示す。各ビットがON(「1」)である場合、当該ビットが対応するレイヤ及び世代をサポートすることを示す。例えば、第5ビットが「1」である場合、5Gのレイヤ1をサポートすることを示す。
【0054】
図5のシーケンスに戻り、ビットパターンB10は、端末装置100が、5Gのレイヤ1、B5Gのレイヤ1、及び5Gのレイヤ2をサポートすることを示す。また、ビットパターンB10は、端末装置100が、B5Gのレイヤ2をサポートしていないことを示す。
【0055】
基地局装置200は、サポート情報通知を受信すると(S10)、端末装置100のサポートする世代及びレイヤに応じて、通信に使用する各レイヤの世代を決定する。そして、基地局装置200は、使用する世代とレイヤの対応関係を示すビットパターンB11を含む選択世代通知を、端末装置100に送信する(S11)。ビットパターンB11は、上位6ビット(第1ビットから第6ビット)はRビットである。
【0056】
図7は、使用する世代とレイヤの対応関係を示すビットパターンの例を示す図である。ビットパターンでは、第7ビット及び第8ビットの2ビットを使用し、使用するレイヤ1、2の世代を示す。なお、インデックスの括弧内は対象の2ビットのビットパターンを示し、0x00から0x11それぞれが、レイヤ1、2の世代を示す。図7においては、例えば、対象の2ビットが0x00である場合、レイヤ1、2ともに5Gのものを使用することを示す。
【0057】
図5のシーケンスに戻り、ビットパターンB11は、基地局装置200が、B5Gのレイヤ1及び5Gのレイヤ2を選択したことを示す。すなわち、端末装置100及び基地局装置200間の通信は、レイヤ1はB5Gの通信規格に準拠し、レイヤ2は5Gの通信規格に準拠して、実行される。
【0058】
<次世代規格に準拠するための開発について>
次世代の通信規格に準拠するための開発を、全レイヤに対して行うことは、膨大な時間や工数がかかる場合がある。そこで、第2の実施の形態にように、通信装置間でサポートする世代及びレイヤを通知し、選択することで、あるレイヤだけを次世代の通信規格に対応させ、開発時間及び工数を抑制することが可能となる。
【0059】
図8は、端末装置100及び基地局装置200のサポートする世代とレイヤの例を示す図である。基地局装置200は、例えば、従来(B5Gに対応する開発前)は5G対応の基地局装置として動作していたため、5GのSDAP層、PDCP層、RLC層、MAC層、物理層をサポートする。そして、基地局装置200は、B5Gに対応するよう開発され(B5Gに対応するレイヤごとの処理を追加され)、B5GのSDAP層、PDCP層、RLC層、MAC層、物理層をサポートする。
【0060】
一方、端末装置100は、すべてのレイヤをB5Gに対応するよう開発を行わず、例えば、レイヤ1のみB5Gに対応し、B5Gの物理層を追加する。これにより、他のレイヤすべてを開発する場合と比較し、大幅に開発期間及び工数を抑制することができる。
【0061】
例えば、次世代の通信規格において、新たな周波数帯域が追加されるなどの要因で、物理的に高速な通信が可能となる場合がある。この場合、物理層のみを次世代に対応することで、高速な通信が可能となる。
【0062】
また、通信特性が最大限となるように通信を制御することができる。例えば、B5Gのトラヒック負荷が高い場合、B5G専用のリンクレイヤプロトコルを使用してしまうと、その性能が最大限に発揮できないにも関わらず、CPUやメモリ等のリソースを使用してしまう。しかし、5Gのリンクレイヤプロトコルを活用することによって、B5Gのリソースを温存し、必要なトラヒックに割り当てることでそのトラヒックにQoSを提供できる。また、5Gのリンクレイヤプロトコルを使用し、4G通信を行うケースもある。例えば、トラヒックがオフロードされる場合である。サービスするトラヒックに対し、5G専用のリンクレイヤプロトコルを使用すると過剰な性能となるため、4Gにオフロードすることによって5Gのリソースが温存できる。したがって、5Gのカバレッジやキャパシティを維持することができる。
【0063】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態において、基地局装置200は、例えば、状態変化などに応じて、使用する世代を変更し、端末装置100に通知する。
【0064】
図9は、状態変化時の選択世代通知のシーケンスの例を示す図である。端末装置100は、サポート情報通知を、基地局装置200に送信する(S20)。サポート情報通知は、例えば、図5に示すサポート情報通知と同様である。
【0065】
基地局装置200は、サポート情報通知を受信すると(S20)、端末装置100のサポートする世代及びレイヤに応じて、通信に使用する各レイヤの世代を決定する。そして、基地局装置200は、選択世代通知を端末装置100に送信する(S21)。選択世代通知は、例えば、図5に示す選択世代通知と同様である。
【0066】
基地局装置200は、状態変化を検出すると(S22)、使用する世代を変更し、変更した世代に関する情報(ビットパターン)を含む、選択世代通知を端末装置100に通知する(S23)。
【0067】
状態変化における状態は、例えば、QoS(受信レベル、干渉度合い、通信データ量など)、トラヒック量、ハンドオーバなどのシステム切り替え時、端末装置の電力使用状況や発熱量など、様々な状態である。基地局装置200は、例えば、処理S21において、B5Gのレイヤ1を選択する。そして、基地局装置200は、状態変化(S22)として、B5Gの無線リソースが少なくなった(干渉度合いが高くなった、B5Gでの通信データ量が増加した等)ことを検出すると、5Gのレイヤ1を使用するように変更し、処理S23において、端末装置100に通知する。
【0068】
第3の実施の形態において、基地局装置200は、状態変化に応じて使用する世代を選択し、端末装置100に通知する。これにより、通信システム10では、状態に応じた世代を選択することができ、状態変化に適切に対応することができる。なお、処理S23における選択世代通知は、変更するレイヤのみを通知しても良い。
【0069】
選択世代通知は、例えば、RRC(Radio Resource Control)メッセージで送信する。また、選択世代通知は、MAC CE(Control Element)メッセージで送信する。さらに、選択世代通知は、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)で送信する。
【0070】
また、サポート情報通知は、例えば、UE capabilityで送信する。例えば、デフォルトで使用する世代を事前に通信装置間で決めておき、初回接続時は事前に決めておいた世代で通信し、サポート情報通知受信後は、基地局装置200が決定した世代を使用して通信を行う。
【0071】
[その他の実施の形態]
各実施の形態は、組み合わせても良い。例えば、図5及び図6のビットパターンは、いずれを使用しても良い。
【0072】
また、各実施の形態においては、レイヤ1、2以外に、他のレイヤの調整を行っても良い。また、対応する世代も、2世代(5G及びB5G)以外に、他の世代も調整候補としても良い。
【0073】
さらに、端末装置100と基地局装置200は、逆になっても良い。また、端末装置100及び基地局装置200がサポートする通信規格の世代は、異なった世代であればよく、各装置がどの世代の通信規格をサポートするかは問わない。
【符号の説明】
【0074】
2 :通信システム
11 :通信装置
12 :対向の通信装置
13 :制御部
14 :通信部
10 :通信システム
100 :端末装置
110 :CPU
120 :ストレージ
121 :端末第M世代通信プログラム
1211 :端末第M世代レイヤ1モジュール
1212 :端末第M世代レイヤ2モジュール
122 :端末第N世代レイヤ1プログラム
123 :サポート世代通知プログラム
130 :メモリ
140 :通信回路
200 :基地局装置
210 :CPU
220 :ストレージ
221 :第N世代通信プログラム
2211 :第N世代レイヤ1モジュール
2212 :第N世代レイヤ2モジュール
222 :第M世代通信プログラム
2221 :第M世代レイヤ1モジュール
2222 :第M世代レイヤ2モジュール
223 :サポート世代通知受信プログラム
230 :メモリ
240 :通信回路
300 :コアネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9