(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】センサシート含有外装品
(51)【国際特許分類】
G06F 3/02 20060101AFI20240821BHJP
B32B 7/00 20190101ALI20240821BHJP
【FI】
G06F3/02 490
G06F3/02 F
B32B7/00
(21)【出願番号】P 2021524724
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(86)【国際出願番号】 JP2020018983
(87)【国際公開番号】W WO2020246203
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2019107308
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313001332
【氏名又は名称】積水ポリマテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】山本 洋平
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-530621(JP,A)
【文献】特開2009-212031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01-3/04895
B32B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装部材と、センサシートと、を積層して備えるセンサシート含有外装品において、
前記外装部材の表面に表れる表示部を加飾する加飾層を有し、
前記加飾層には、
前記外装部材に備える第1加飾層と、
前記第1加飾層よりも前記センサシート側に位置し、前記外装部材とは別体に設ける第2加飾層と、を含
み、
前記加飾層は、光透過を可能とする一方で光を散乱する光拡散層を有し、
前記光拡散層は、
前記第1加飾層に備える第1光拡散層と、
前記第2加飾層に備える第2光拡散層と、を含み、
前記センサシート含有外装品に対する平面視で、前記第1光拡散層と前記第2光拡散層とが積層する第1積層部と、前記第1光拡散層と前記第2光拡散層の何れかの光拡散層を有するが前記第1光拡散層と前記第2光拡散層とが積層しない第2積層部とを形成することを特徴とするセンサシート含有外装品。
【請求項2】
外装部材と、センサシートと、を積層して備えるセンサシート含有外装品において、
前記外装部材の表面に表れる表示部を加飾する加飾層を有し、
前記加飾層には、
前記外装部材に備える第1加飾層と、
前記第1加飾層よりも前記センサシート側に位置し、前記外装部材とは別体に設ける第2加飾層と、を含み、
前記加飾層は、
光透過を可能とする一方で光を散乱する光拡散層と、光を透過する着色された透明着色層を有し、
前記透明着色層は、第1透明着色層と、第2透明着色層と、を含み、
前記センサシート含有外装品に対する平面視で、前記第
2透明着色層と前記光拡散層とが積層する第3積層部と、前記第
1透明着色層と前記光拡散層とが積層しない第4積層部とを形成す
るセンサシート含有外装品。
【請求項3】
前記加飾層のうち平面視で複数
のセンサ電極にまたがる加飾層であって、前記センサ電極との間に生じる重なり部分が、
前記センサ電極の面積の半分以上となる加飾層は、プローブ間距離7mmで測定される抵抗値が100kΩ以上となる請求項1
又は請求項
2記載のセンサシート含有外装品。
【請求項4】
前記第2加飾層は、前記外装部材と前記センサシートとの間に別体として設けた中間シートに備える請求項1~請求項
3何れか1項記載のセンサシート含有外装品。
【請求項5】
前記第2加飾層は、前記外装部材とは別体の前記センサシートに備える請求項1~請求項
3何れか1項記載のセンサシート含有外装品。
【請求項6】
前記第1加飾層は、遮光部を備え、
前記遮光部と重なる位置に設けられた固着層で、前記外装部材と前記センサシートとが固着している請求項
5記載のセンサシート含有外装品。
【請求項7】
前記第2加飾層は、前記外装部材と前記センサシートとの間に別体として設けた中間シートと、前記センサシートとに分離して備える請求項1~請求項
3何れか1項記載のセンサシート含有外装品。
【請求項8】
前記第1加飾層は、遮光部を備え、
前記遮光部と重なる位置に設けられた固着層で、前記外装部材と前記中間シートとが固着している請求項
4又は請求項7記載のセンサシート含有外装品。
【請求項9】
前記センサシートの前記外装部材を備える側とは反対側に内装部材をさらに備える請求項1~請求項
8何れか1項記載のセンサシート含有外装品。
【請求項10】
前記センサシートを前記内装部材に固着して備えるともに、前記センサシートを外装部材に固着せずに積層している請求項
9記載のセンサシート含有外装品。
【請求項11】
前記センサシートの前記外装部材を備える側とは反対側に内部光源をさらに備える請求項1~請求項1
0何れか1項記載のセンサシート含有外装品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器に用いられるセンサシートを備え外装部材と一体となったセンサシート含有外装品に関する。
【背景技術】
【0002】
センサシートと外装部材が一体になったセンサシート含有外装品としては、国際公開WO2011/142332号公報(特許文献1)に記載されているように、外装部材であるパネルの裏面側に粘着層や両面テープを用いてセンサシートを固着した構成が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうしたセンサシート含有外装品は、自動車のインパネ等に用いられることからデザイン性に優れたものが求められる。ところが、センサシートは樹脂フィルムで形成されることから変形がし難く、また外装部材とセンサシートとの一体化を容易にし、センサシートを外装部材に簡単に取り付けられるようにデザインもシンプルにならざるを得なかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明の一態様は、外装部材と、センサシートと、を積層して備えるセンサシート含有外装品について、前記外装部材の表面に表れる表示部を加飾する加飾層を有し、前記加飾層には、前記外装部材に備える第1加飾層と、前記第1加飾層よりも前記センサシート側に位置し、前記外装部材とは別体に設ける第2加飾層と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のセンサシート含有外装品によれば、外装部材の表面に多様な表示を可能としたデザイン性に優れたセンサシート含有外装品である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態であるセンサシート含有外装品の平面図である。
【
図2】
図1のセンサシート含有外装品の層構成を示す斜視図である。
【
図3】
図1のセンサシート含有外装品に用いるセンサシートであり、分
図3(A)は平面図、分
図3(B)は分
図3(A)の3B-3B線断面図、分
図3(C)は分
図3(A)の3C-3C線断面図である。
【
図4】
図1のセンサシート含有外装品に用いる中間シートであり、分
図4(A)は平面図、分
図4(B)は分
図4(A)の4B-4B線断面図、分
図4(C)は分
図4(A)の4C-4C線断面図、分
図4(D)は分
図4(A)の4D-4D線断面図である。
【
図5】
図1のセンサシート含有外装品に用いる外装部材であり、分
図5(A)は平面図、分
図5(B)は分
図5(A)の5B-5B線断面図、分
図5(C)は分
図5(A)の5C-5C線断面図、分
図5(D)は分
図5(A)の5D-5D線断面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態であるセンサシート含有外装品の層構成を示す斜視図である。
【
図7】
図6のセンサシート含有外装品に用いるセンサシートの平面図である。
【
図8】
図7のセンサシートの断面図であり、分
図8(A)は
図7の8A-8A線断面図、分
図8(B)は
図7の8B-8B線断面図、分
図8(C)は
図7の8C-8C線断面図、分
図8(D)は
図7の8D-8D線断面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態であるセンサシート含有外装品の層構成を示す斜視図である。
【
図10】
図9のセンサシート含有外装品に用いるセンサシートであり、分
図10(A)は平面図、分
図10(B)は分
図10(A)の10B-10B線断面図、分
図10(C)は分
図10(A)の10C-10C線断面図である。
【
図11】
図9のセンサシート含有外装品に用いる中間シートであり、分
図11(A)は平面図、分
図11(B)は分
図11(A)の11B-11B線断面図、分
図11(C)は分
図11(A)の11C-11C線断面図、分
図11(D)は分
図11(A)の11D-11D線断面図である。
【
図12】内装部材を設けたセンサシート含有外装品であり、分
図12(A)は第1実施形態又は第3実施形態のセンサシート含有外装品の断面図、分
図12(B)は第2実施形態のセンサシート含有外装品の断面図である。
【
図13】実施例で作製した試験片のセンサシート含有外装品であり、分
図13(A)は平面図、分
図13(B)は分
図13(A)の13B-13B線断面図である。
【
図14】実施例で作製した別の試験片のセンサシート含有外装品であり、分
図14(A)は平面図、分
図14(B)は分
図14(A)の14B-14B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明について、電子機器の前面に配置して用いられるセンサシート含有外装品1の実施形態に基づき図面を参照してさらに詳細に説明する。なお、各実施形態で共通する部材については、同一の符号を付して重複説明を省略する。また、共通する材質、作用、効果等についても重複説明を省略する。また各図は説明の便宜のため構成部分の大きさや比率、表面形状等を模式的に表示している。
【0009】
【0010】
第1実施形態としてのセンサシート含有外装品1の平面図を
図1で示す。センサシート含有外装品1は、家電、オーディオ機器、自動車搭載機器等の電子機器の外装品(筐体)として用いることができる。このセンサシート含有外装品1は、
図2で示すように、外装部材30と、外装部材30の裏面側に位置するセンサシート10とを備える。外装部材30とセンサシート10との間には、中間シート20を有している。以下、説明の便宜のため本明細書及び特許請求の範囲では、センサシート含有外装品1における外装部材30側を「表」とし、センサシート10側を「裏」とする。次に、センサシート含有外装品1を構成する各部位について説明する。
【0011】
図3(A)には、センサシート10(第1実施形態のセンサシート10a)の平面図を示す。センサシート10は、透明性の高い樹脂フィルムをセンサ基材11とし、その表面に1つのセンサ部13を有している。センサ部13は、センサ基材11に複数設けてもよい。センサ部13は、透明性の高いセンサ電極13aと、センサ電極13aから延びる配線13bとを有している。配線13bの端部は端子(図示せず)に通じている。このようなセンサ部13は、タッチセンサとして機能することができる。操作者がセンサ電極13aに対応する外装光拡散層35の表面部分(操作部)に触れることによって、センサ部13が静電容量の変化を生じる。その静電容量の変化をプロセッサが検出することで、タッチ操作により操作信号を出力するタッチセンサとして動作する。センサシート10は、外装部材30の外枠よりも外側にはみ出る突出部を設けてもよい。その突出部には、配線13bの一部や端子を設けていてもよい。その突出部は、端子を基板等に接続させるために、予め折り曲げておくこととしてもよい。また、センサシート10は、その表面に透明性の高いレジスト層(図示せず)を設けてもよい。レジスト層は配線13b等を保護することができる。
【0012】
図3(B)及び
図3(C)には、センサシート10の断面図を示す。
図3(B)で示すように、配線13bはセンサ基材11の表面に導電性ペーストなどを印刷して形成することができる。また、
図3(C)で示すように、センサ電極13aもセンサ基材11の表面に透明導電性高分子等などからなる導電性インキを印刷して形成することができる。
【0013】
図4(A)には中間シート20(第1実施形態の中間シート20a)の平面図を示す。この中間シート20は、
図4(B)~
図4(D)の断面図で示すように、透明性のある樹脂フィルムを中間基材21として有する。その中間基材21の表面には、中間加飾層K2aを第2加飾層K2として有している。中間加飾層K2aは、光透過可能であり且つ光を散乱する中間光拡散層(第2光拡散層)25と、文字や記号を表示する中間着色層26と、を有している。中間着色層26は、本実施形態では赤色層26aと青色層26bとで構成されている。光透過可能であり且つ光を散乱させる中間光拡散層25の効果は、例えば有色のスモークガラスのような有色半透明の着色層を設けることで得られる。
【0014】
より具体的には中間シート20の層構成において、
図4(A)の平面図に表れる三角形状の図形(図形表示部)は、透明性のある青色層(第2透明着色層)26bにて形成している。また
図4(A)の四角形状の図形(図形表示部)は、透明性のある赤色層(第1透明着色層)26aにて形成している。中間光拡散層25は、「AUTO」の文字(文字表示部)と四角形状の赤色層26aを除く中間基材21の表面に形成している。即ち、
図4(B)で示すように、四角形状の図形は、中間基材21の表面に透明性のある赤色インキを印刷して形成することができる。また、
図4(C)で示すように、「AUTO」の文字は中間基材21の表面に、「AUTO」の文字が抜き文字となるように中間光拡散層25となるインキを印刷して形成することができる。そして、
図4(D)で示すように、三角形状の図形は、中間基材21の表面に透明性のある青色インキを印刷して形成し、その表面に中間光拡散層25となるインキを印刷して形成することができる。よって、四角形状では中間光拡散層25が積層していないのに対して、三角形状では中間光拡散層25が積層している。こうした中間着色層26a,26bと中間光拡散層25による積層構成で中間加飾層K2aを形成している。
【0015】
なお、光拡散層(中間光拡散層25)となるインキとしては、光拡散性のフィラーを含むインキや、乾燥又は硬化後の塗膜表面に光を散乱する凹凸面が形成されるインキを例示することができる。また、光拡散層としては光拡散性フィラーを含む樹脂層や表面に光拡散性の凹凸面を有する樹脂層を例示できる。
【0016】
図5(A)には外装部材30の平面図を示す。外装部材30は、透明性のある硬質樹脂を外装基材31として有し、その外装基材31の表面には、外装加飾層K1を第1加飾層K1として有している。外装加飾層K1は、遮光性となり、遮光部を形成する外装遮光層37と、光透過可能であり且つ光を散乱する外装光拡散層(第1光拡散層)35と、文字又は記号の少なくとも何れかを表示する外装着色層36と、を有している。外装光拡散層35は中間光拡散層25と同様に、例えば有色のスモークガラスのような有色半透明の着色層として形成することができる。外装遮光層37の色彩は、外装光拡散層35や中間光拡散層25と同一又は近似した色(同系色)、換言すれば人間が目にした際に見分けがつき難い色(以下同じ)としている。外装光拡散層35は、中間光拡散層25と同一又は近似した色としている。本実施形態では、外装遮光層37と外装光拡散層35の色は、いずれも暗色である。
【0017】
より具体的には、外装部材30の層構成において、
図5(A)の平面図に表れる3つの丸形状の図形は、遮光性のある白色からなる外装着色層36によって形成している。右下隅の三角形状、左上隅の四角形状及び中央部分の大きな四角形状を除く部分は、外装遮光層37によって形成している。左上隅の四角形状を除く部分は、中間光拡散層25によって形成している。
図5(B)~
図5(D)には外装部材30の断面図を示す。即ち、
図5(B)で示すように、左上隅の四角形状の図形は、当該図形を抜き形状にマスキングした状態で、外装光拡散層35と外装遮光層37を印刷することで形成できる。また、
図5(C)で示すように、中央部分の大きな四角形状は、外装基材31の表面に外装光拡散層35となるインキを印刷して形成した上に、その四角形状を抜き形状にマスキングした状態で、遮光性インキにより外装遮光層37を印刷することで形成できる。そして、
図5(D)で示すように、三角形状の図形は、外装基材31の表面に外装光拡散層35となるインキを印刷し、その表面に三角形状を抜き形状にマスキングした状態で、遮光性インキにより外装遮光層37を印刷することで形成できる。よって、四角形状では外装光拡散層35が積層していないのに対して、三角形状では外装光拡散層35が積層している。こうした外装着色層36と外装光拡散層35及び外装遮光層37とによる積層構成で外装加飾層K1を形成している。
【0018】
こうしたセンサシート含有外装品1は、その表面から見ると、様々な積層構成部分に分けることができる。即ち
図1で示すように、3つの丸形状で示された第1表示部D1、「AUTO」の文字で示された第2表示部D2、四角形で示された第3表示部D3、三角形で示された第4表示部D4、「AUTO」の文字の周囲の背景である第5表示部D5、そしてそれらの表示部D1,D2,D3,D4,D5以外の縁部D6である。
【0019】
そして、これらの各部位D1,D2,D3,D4,D5,D6の積層構成は次のとおりである。3つの丸形で示された第1表示部D1は、最表面に外装着色層36を有する部位である。「AUTO」の文字で示された第2表示部D2は、透明な層以外は外装光拡散層35が積層した部位であり、中間光拡散層25を有しない第2積層部S2でもある。四角形で示された第3表示部D3は、透明な層以外は中間着色層26aが積層した部位であり、外装光拡散層35及び中間光拡散層25の何れとも積層しない第4積層部S4でもある。三角形で示された第4表示部D4は、透明な層以外は中間着色層26bと中間光拡散層25とが積層した部位であり、第3積層部S3でもある。「AUTO」の文字の周囲の背景である第5表示部D5は、透明な層以外は中間光拡散層25と、外装光拡散層35とが積層した部位であり、第1積層部S1でもある。そして、これらの表示部D1,D2,D3,D4,D5以外の縁部D6は、最表面(最外層)に外装遮光層37を有する部位である。
【0020】
センサシート含有外装品1の表面から見て、こうした部位に区別されるセンサシート含有外装品1は、太陽光が照射する日中は、最外層が外装着色層36で形成され3つの丸形を示す第1表示部D1と、中間着色層26が表面に表れ四角形を示す第3表示部D3とを、それら以外の部分と区別して視認することができる。一方で、「AUTO」の文字で示された第2表示部D2は、外装光拡散層35からなる部位であるため、「AUTO」の文字の周囲の背景である第5表示部D5と同様に暗色となり、第5表示部D5と区別して視認することができない。また、三角形で示された第4表示部D4は、透明な層以外は中間着色層26と中間光拡散層25とが積層し、中間光拡散層25が最外層になるため三角形を視認することができない。「AUTO」の文字の周囲の背景である第5表示部D5も、中間光拡散層25と外装光拡散層35とが積層した部位であって縁部D6と同様の暗色であるため、縁部D6と区別して視認することができない。
【0021】
一方、太陽光が照射しない夜間では、外部からの若干の光がセンサシート含有外装品1に当たるため、最外装が外装着色層36で形成され3つの丸形を示す第1表示部D1は視認することができるが、日中は見えていた四角形を示す第3表示部D3は、中間着色層26aが外装部材30の裏面に設けられることから視認され難くなる。その他の部位も同様にそれ以外の部位と区別できる程度には視認できない。
【0022】
しかしながら、センサシート含有外装品1の裏面に設けた図示しない内部光源(バックライト)の光を照らすと、「AUTO」の文字で示された第2表示部D2は、外装光拡散層35を透過した光によって照光し、その周囲である第5表示部D5は、中間光拡散層25と外装光拡散層35の2つの光拡散層を透過した光によって照光するため、「AUTO」の文字よりも暗く照光する。また、四角形で示された第3表示部D3は、中間着色層26aを透過した鮮やかな着色光が照光する。一方で、三角形で示された第4表示部D4は、中間着色層26bの色彩が中間光拡散層25で弱められ、若干くすんだ色彩で照光する。こうした照光部分に対して、3つの丸形で示された第1表示部D1や、縁部D6は、内部光源の光が透過せず、視認することができなくなる。このように、照光部となる第2表示部D2、第3表示部D3、第4表示部D4、第5表示部D5は、非照光部である第1表示部D1、縁部D6に対して照光するだけでなく、その照光状態が異なる。
【0023】
センサシート含有外装品1では、外装遮光層(遮光部)37と重なる位置となる外縁であって外装基材31の裏面に固着層38を設けて中間シート20aと固着することができる。また、この固着層38と重なる位置であって中間基材21の裏面に固着層28を設けてセンサシート10aと固着することができる。固着層38又は固着層28は、両面テープ又は接着剤等で構成することができる。
【0024】
効果
【0025】
(1) センサシート含有外装品1は、家電、オーディオ機器、自動車搭載機器等の電子機器の入力操作に用いることができるセンサシート10、10aを備えるため、センサ電極13aを間接的に触れることで静電容量変化を検知するタッチセンサとして利用することができる。
【0026】
(2) センサシート含有外装品1は、センサシート10、10aの表面側に外装部材30を備えるため、外装部材30はセンサシート10、10aを保護する電子機器の「筐体」とすることができる。そして、外装部品30には種々のデザインの加飾を施すことができるため、電子機器の筐体として用いるのに適している。
【0027】
(3) センサシート含有外装品1は、外装部材30の表面に表れる表示部(第1表示部D1、第2表示部D2、第3表示部D3、第4表示部D4、第5表示部D5、縁部D6)を加飾する加飾層(第1加飾層K1、第2加飾層K2)を有する。このため外装部材30の表面に表れる表示部(本実施形態では第2表示部D2及び第5表示部D5)をタッチ操作することで、センサシート10、10aを通じて、種々の情報入力を行う入力デバイスとして利用することができる。
【0028】
(4) 加飾層(K1、K2)には、外装部材30に備える第1加飾層K1と、第1加飾層K1よりもセンサシート30側に位置しており外装部材30とは別の部材(中間シート20a)に設ける第2加飾層K2とを含む。このため、多様な表示を可能としたデザイン性に優れたセンサシート含有外装品10、10aとすることができる。
【0029】
(5) 第1加飾層K1の位置と第2加飾層K2の位置は、センサシート含有外装品1の厚み方向で異なる。これによりセンサシート含有外装品1は、奥行き感のある加飾を得ることができる。
【0030】
(6) センサシート含有外装品1では、第2加飾層K2のデザインを変えた複数の部材(中間シート20a)を用意することで、同一の外装部材30、即ち第1加飾層K1の加飾を保持したまま、デザインが異なる複数のセンサシート含有外装品1を得ることができる。例えば、言語の異なる複数の国ごとに複数のグローバルモデルを揃えたり、機能を変更するために表示形状を変更したバリエーションを設けたりすることができる。
【0031】
(7) 加飾層K1、K2は、光透過可能であり且つ光を散乱する光拡散層(外装光拡散層35、中間光拡散層25)を有し、この光拡散層は、第1加飾層K1に備える第1光拡散層(外装光拡散層35)と、第2加飾層K2に備える第2光拡散層(中間光拡散層25)とを含む。このためセンサシート含有外装品1は、第1加飾層K1に備える第1光拡散層と、第2加飾層K2に備える第2光拡散層との積層の組合せで、様々なデザインのバリエーションを実現することができる。
【0032】
(8) 加飾層K1、K2は、センサシート含有外装品1に対する平面視で、第1光拡散層(外装光拡散層35)と第2光拡散層(中間光拡散層25)とが積層する第1積層部S1と、第1光拡散層と第2光拡散層の何れかの光拡散層を有し且つ第1光拡散層と第2光拡散層とが積層しない第2積層部S2とを形成する構成とすることができる。このため、これらの両者でセンサシート含有外装品1に対する視認性を変えることができる。それによってデザイン性に優れたセンサシート含有外装品1とすることができる。
【0033】
(9) 加飾層K1、K2は、光を透過する着色された透明着色層(26a、26b)を有し、透明着色層(26a、26b)は、第1透明着色層(赤色層26a)と、第2透明着色層(青色層26b)と、を含むため、第1透明着色層と、第2透明着色層と、光拡散層(25、35)との積層の組合せで、様々なデザインのバリエーションを実現できる。即ち、センサシート含有外装品1に対する平面視で、第2透明着色層(青色層26b)と光拡散層(中間光拡散層25)とが積層する第3積層部S3と、第1透明着色層(赤色層26a)と光拡散層(外装光拡散層35)とが積層しない第4積層部S4とを形成することができる。これらの第3積層部S3と第4積層部S4は、センサシート含有外装品1に対する視認性を変えることができる。それによってデザイン性に優れたセンサシート含有外装品1とすることができる。
【0034】
(10) 第2加飾層K2は、外装部材30とセンサシート10、10aとの間に、それらとは別の部材として設けた中間シート20、20aに設けられいる。このため、外装部材30及びセンサシート10、10aとは別部材である中間シート20、20aに種々の加飾を設けることができる。そのため、バリエーションに優れデザイン性の高い加飾を施すことができる。
【0035】
(11) 第1加飾層K1は、遮光部(外装遮光層37)を備える。センサシート含有外装品1は、遮光部(外装遮光層37)と重なる位置に、外装部材30と中間シート20、20aとを固着する固着層38を備えている。このため固着層38と外装部材30との固着界面及び固着層38と中間シート20、20aとの固着界面は、いずれも遮光部によって照光しないため、それらの固着界面に気泡が混入したとしても、センサシート含有外装品1に照光むらが発生することを回避できる。さらに、固着層38の端部において照光むらが発生することを回避できる。
【0036】
(12) センサシート含有外装品1は、センサシート10、10aの外装部材30を備える側とは反対側に内装部材40をさらに備えることができる(
図12)。このため、外装部材30と内装部材40との間にセンサシート10を挟んで保護することができ、また、内装部材40にセンサシート10を貼り付けた後に、外装部材30に組み込むことができ製造が容易である。
【0037】
(13) センサシート含有外装品1は、センサシート10、10aを内装部材40に固着して備えるともに、センサシート10を外装部材30に固着せずに配置するものとすることができる。これによれば外装部材30を内装部材40及びセンサシート10に対して着脱可能に構成でき、部品交換や修理がし易い。
【0038】
(14) センサシート含有外装品1は、センサシート10、10aの外装部材30を備える側とは反対側に、内部光源をさらに備えることができる。これによれば内部光源からの光によってさらにバリエーションを持たせることができる。
【0039】
【0040】
第2実施形態のセンサシート含有外装品2は、平面図としては
図1と同様に表れる。センサシート含有外装品2は、外装部材30とセンサシート10とを備える点で第1実施形態のセンサシート含有外装品1と同じであるが、
図6で示すように、センサシート10の表面にセンサ加飾層K2bを第2加飾層K2として設けた点で、第1実施形態と構成及び効果が異なる。したがって、本実施形態では、中間加飾層K2aを有する中間シート20を備えていない。
【0041】
センサシート含有外装品2に用いるセンサシート10(第2実施形態のセンサシート10b)の平面図を
図7で示す。センサシート10bでは、第1実施形態で説明したセンサシート10aと同様のセンサ基材11とセンサ部13を有する。
図7及びセンサシート10bの断面図である
図8で示すように、さらにそのセンサシート10bの表面には、センサ光拡散層(第2光拡散層)15と、文字や記号を表示するセンサ着色層16と、を有している。センサ光拡散層15は、光透過可能であり且つ光を散乱する効果を有する。センサ光拡散層15は、例えば有色のスモークガラスのような有色半透明の着色層として設けることができる。センサ着色層16は、本実施形態では赤色層16aと青色層16bとで構成されている。こうしたセンサシート10bを外装部材30と積層することでセンサシート含有外装品2を得ることができる。
【0042】
センサシート含有外装品2の構成をより詳細に説明すると、センサシート10bを構成するセンサ基材11の表面に、右下隅の三角形状の図形(図形表示部)として透明性のある青色層(第2透明着色層)16bをセンサ着色層16として形成し、また左上隅の四角形状の図形(図形表示部)として透明性のある赤色層(第1透明着色層)16aをセンサ着色層16として形成している。そしてセンサ光拡散層15は、「AUTO」の文字(文字表示部)と三角形状の青色層16bの表面に設けている。したがって、右下隅の三角形状では、青色層16bの表面にセンサ光拡散層15が積層している。こうしたセンサ着色層16a,16bとセンサ光拡散層15による積層構成で、センサシート10b上にセンサ加飾層K2bを形成している。なお、センサ光拡散層15は中間光拡散層25と、センサ着色層16a,16bは中間着色層26,26bとそれぞれ同様の材質である。
【0043】
外装部材30は第1実施形態のセンサシート含有外装品1と同じである。こうした層構成からなるセンサシート含有外装品2でも、センサシート含有外装品1と同様に第1表示部D1,第2表示部D2,第3表示部D3,第4表示部D4,第5表示部D5,縁部D6が表示され、このうち第2表示部D2は第2積層部S2でもあり、第3表示部D3は第4積層部S4でもあり、第4表示部D4は第3積層部S3でもあり、第5表示部D5は第1積層部S1でもある。したがって、第1実施形態のセンサシート含有外装品1と同様の視認性を有する。
【0044】
センサシート含有外装品2でも、外装遮光層(遮光部)37と重なる位置となる外縁であって外装基材31の裏面に固着層38を設けてセンサシート10bと固着することができる。
【0045】
効果
【0046】
センサシート含有外装品2では、外装部材30に第1加飾層K1を有するとともに、その外装部材30とは別体のセンサシート10bに第2加飾層K2(K2b)を有するため、センサシート含有外装品2の厚み方向で奥行き感のある加飾を得ることができ、また複数のバリエーションを持たせることができる。
【0047】
センサシート含有外装品2は、第1実施形態のセンサシート含有外装品1で用いた中間シート20を有しないため、部品点数を減少させることができ、各部材を積層する工程も少なくすることができる。また、センサシート含有外装品2の表面からセンサ電極13aまでの距離を近くでき、センサ感度の低下を生じ難くすることができる。
【0048】
センサシート含有外装品2は、既に説明したことに加えて、さらに第1実施形態のセンサシート含有外装品1に対応する構成によって効果(1)~(3)、(5)、(7)~(9)、(11)~(14)を奏すること可能である。
【0049】
【0050】
第3実施形態のセンサシート含有外装品3は、平面図としては
図1と同様に表れる。センサシート含有外装品3は、
図9で示すように、外装部材30とセンサシート10、及び中間シート20を備える点で第1実施形態のセンサシート含有外装品1と同じである。ところが、センサシート10にも加飾層を設けて、中間シート20に設けた中間加飾層K2aとセンサシート10に設けたセンサ加飾層K2bとの双方に設けた加飾層で第2加飾層K2を形成する点で、第1実施形態と構成及び効果が異なる。
【0051】
センサシート含有外装品3に用いるセンサシート10(第3実施形態のセンサシート10c)の平面図を
図10(A)で示す。センサシート10cでは、第1実施形態で説明したセンサシート10aと同様のセンサ基材11とセンサ部13を有し、その表面にさらに、光透過可能であり且つ光を散乱するセンサ光拡散層(第2光拡散層)15を有している。また、中間シート20(第3実施形態の中間シート20c)の平面図を
図11(A)で示す。中間シート20cは、透明性のある樹脂フィルムを中間基材21として有し、その中間基材21の表面に、文字や記号を表示する中間着色層26を有している。中間着色層26は、本実施形態では赤色層26aと青色層26bとで構成されている。こうしたセンサシート10cと中間シート20cと外装部材30と積層することでセンサシート含有外装品3を得ることができる。
【0052】
より具体的には、
図1の平面図に表れる右下隅の三角形状の図形(図形表示部)は、透明性のある青色層(第2透明着色層)26bが中間着色層26としてその三角形状を形成する。左上隅の四角形状の図形(図形表示部)は、透明性のある赤色層(第1透明着色層)26aが中間着色層26としてその四角形状を形成している。中間光拡散層25は、「AUTO」の文字(文字表示部)と四角形状の赤色層26aを除く中間基材21の表面に設けている。そのため、三角形状では、青色層26bの表面に中間光拡散層25が積層している。こうした中間着色層26a,26bと中間光拡散層25による積層構成で中間加飾層K2aを形成している。
【0053】
外装部材30は第1実施形態のセンサシート含有外装品1と同じである。こうした層構成からなるセンサシート含有外装品3でも、センサシート含有外装品1と同様に第1表示部D1,第2表示部D2,第3表示部D3,第4表示部D4,第5表示部D5,縁部D6が表示され、このうち第2表示部D2は第2積層部S2でもあり、第3表示部D3は第4積層部S4でもあり、第4表示部D4は第3積層部S3でもあり、第5表示部D5は第1積層部S1でもある。したがって、第1実施形態のセンサシート含有外装品1と同様の視認性を有する。
【0054】
センサシート含有外装品3でも、外装遮光層(遮光部)37と重なる位置となる外縁であって外装基材31の裏面に固着層38を設けて中間シート20cと固着することができる。また、この固着層38と重なる位置であって中間基材21の裏面に固着層28を設けてセンサシート10cと固着することができる。
【0055】
効果
【0056】
センサシート含有外装品3では、外装部材30に第1加飾層K1を有するとともに、その外装部材30とは別体のセンサシート10cと中間シート20cとに第2加飾層K2を有するため、センサシート含有外装品3の厚み方向で奥行き感のある加飾を得ることができ、また複数のバリエーションを持たせることができる。
【0057】
第2加飾層K2は、センサシート10cと中間シート20cとに分散して設けたため、種々のバリエーションを持たせた在庫の調整の容易化や、製造工程の自由度の向上等において有益である。さらに、着色層の配置を各部材に分散するなどすればさらに奥行き感の異なった加飾を得ることができるなど、さらなるバリエーションを有する製品群を得ることができる。
【0058】
センサシート含有外装品3は、既に説明したことに加えて、さらに第1実施形態のセンサシート含有外装品1に対応する構成によって効果(1)~(14)を奏すること可能である。
【0059】
第1~第3実施形態に共通するさらなる構成と効果
【0060】
上記全ての実施形態において、第1加飾層K1及び第2加飾層K2を構成する各層のうち、平面視で複数のセンサ電極13aにまたがる加飾層K1,K2であって、センサ電極13aと加飾層K1,K2との重なり部分が、その重なり部分を生じるセンサ電極13aごとにその面積の半分以上となる加飾層K1,K2にあっては、センサ部13に影響を与えないよう以下の所定の試験により得られる抵抗値が概ね100kΩ以上であることが好ましく、1MΩ以上であることがより好ましく、100MΩ以上であることが特に好ましい。この抵抗値は、センサシート含有外装品に形成された加飾層K1,K2について、接点間の距離(プローブ間の距離)を7mmとして抵抗値を測定したものである。このとき加飾層K1,K2が露出していれば、その表面にプローブを押し当てて測定できるが、複数層からなる場合、又は保護層などが積層形成されている場合には、針状のプローブで表層を貫通させることで各層の加飾層を測定することができる。また、上記試験に替えて加飾層K1,K2の何れかを形成する層を、厚さ100μmの透明なPETフィルム上に厚みが5~10μm程度となるように形成し、接点間の距離(プローブ間の距離)を7mmとして抵抗値を測定したものとしても良い。また、加飾層K1,K2とセンサ電極13aとの重なり部分の面積がセンサ電極13aの面積の半分以上としたのは、そうした面積が、センサ電極13aを指などが指触する面積と比べて大きな面積となり易いからである。なお、加飾用のインキは導電性について考慮されていないことがあり、例えばカーボンブラックにより着色された汎用黒色インキは比較的低抵抗で導電性を備えることがある。
【0061】
また上記全ての実施形態において、センサ電極を構成する透明導電性インキは着色してもよく加飾層の透明着色層を構成するものとすることができる。また、センサ電極及び配線の周囲には、カーボンペーストや銀ペーストでなるシールド層を設けることができる。カーボンペーストや銀ペーストは遮光性インキであることから、前記シールド層が加飾層の遮光部を構成することものとすることができる。例えば、前記シールド層に文字や記号を示す透孔を設けるようにすることができる。
【0062】
上記全ての実施形態において、センサシート10における外装部材30を備える側とは反対側に、例えば
図12(A)及び
図12(B)で示すように、内装部材40をさらに設けることができる。そして、センサシート10を内装部材40に固着し、内装部材40と外装部材30とを固着することで、センサシート10b又は中間シート20a,20cを外装部材30に固着せずに積層させることができる。
【0063】
上記全ての実施形態において、加飾層K1,K2は、JIS Z8781-4:2013に規定されているCIE 1976L*a*b*色空間の明度指数L*が10以下の黒色層を含むものとすることができる。黒色層における着色顔料には、カーボンブラックが用いられることが多いが、この場合には抵抗値が低くなることがある。この場合、カーボンブラックの配合量を調整したり、チタンブラックやその他の顔料を単独または前記カーボンブラックと組合せて用いたりすることで100kΩ以上とした黒色層とすることができ、黒色の外観でありながら、タッチセンサとして利用する際のセンサシート10に対する誤動作を抑制することができる。
【0064】
前記実施形態は本発明の例示であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、実施形態の変更又は公知技術の付加、組合せ等を行い得るものであり、それらの技術もまた本発明の範囲に含まれるものである。
【0065】
例えば、中間光拡散層25はスモークインキによる印刷層として形成する他、スモークフィルムや光拡散フィルム等といった部材に代替することができる。
【実施例】
【0066】
試料1-1~試料7-1の作製:
【0067】
本発明のセンサシート含有外装品の加飾層がセンサ感度に及ぼす影響について調べるため、
図13(B)に示す単純な層構成からなりセンサシート含有外装品を模した複数の試験片を作成した。より具体的には、外装部材(30)を構成する外装基材(31)として1.0mm厚のポリカーボネート樹脂シートを準備し、センサシート(10b)を構成するセンサ基材(11)として100μm厚のPETフィルムを準備した。そして
図13で示すように、外装基材(31)の表面には絶縁性の特殊黒インキで第1加飾層(外装加飾層)(K1)を設けた。また、中間基材(21)の表面には後述する第2加飾層(センサ加飾層)(K2)を設けるとともに、裏面にはセンサ電極(13a)を透明導電性インキで形成するとともに配線(13b)を銀インキで形成したセンサ部(13)を設け、さらにその裏側にポリウレタン系樹脂インキで形成したレジスト層(17)を積層した。そして、こうした構成からなる外装部材(30)とセンサシート(10b)とを固着せずに互いに密着させて
図13で示す積層構成を有する試験片とした。なお、
図13(A)で示すように、センサ部(13)を構成する層には、破線で示すセンサ電極(13a)が設けられており、このセンサ電極(13a)は配線(図示せず)につながり、その配線(図示せず)は後述する測定機器(PSoC)に接続するための端子(18)にまで伸びている。
【0068】
第2加飾層(K2)は、第1加飾層(K1)に用いたものと同じ特殊黒インキと、導電性黒色インキを混合したインキを用いて形成したが、この特殊黒インキと導電性黒色インキの配合割合を変化させることで第2加飾層(K2)の抵抗値が異なる試料1-1~試料7-1となる7種類の試験片を作製した。試料1-1は、特殊黒インキ100質量%(即ち導電性黒色インキ0質量%)からなる第2加飾層を形成した試験片であり、試料2-1は、特殊黒インキ:導電性黒色インキを9:1(質量比、以下同様)、試料3-1は、同8:2、試料4-1は、同7:3、試料5-1は、同5:5、試料6-1は、同3:7、試料7-1は、導電性黒色インキ100質量%(即ち特殊黒インキ0質量%)である。なお、特殊黒インキは、絶縁性黒色顔料であるチタンブラックが充填されたインキであり、導電性黒インキは一般的な黒色顔料であるカーボンブラックが充填された黒インキである。
【0069】
<第2加飾層(K2)の抵抗値の測定>: 第2加飾層(K2)の抵抗値は次のようにして測定した。即ち、外装部材であるポリカーボネート樹脂シートに密着させる前のセンサシート(10b)に対して、20mm×20mmのセンサ電極(13a)に対応する部分の第2加飾層(K2)の表面に、テスター(ADVANTEST製、R8340 ULTRA HIGH RESISTANCE METER、測定電圧30V)のプローブを、プローブ間が7mmの幅となるように押し当てて測定値を測定した。なお、本試験片では第2加飾層(K2)は一層であり露出しているために表面にプローブを押し当てたが、複数層からなる場合、又は保護層などが積層形成されている場合には、針状のプローブで表層を貫通させることで各層の加飾層を測定することができる。
【0070】
<センサ感度の測定>: センサ感度(又はセンサ出力ともいう)の測定は、前記センサシート(10b)に前記第1加飾層(K1)を設けた外装部材(31)を密着させた各試験片の端子をPSoC IC(サイプレス社製マイコン、CY8C24894、プリスケーラ付きPRS12モジュール)に接続して行った。PSoC ICのパラメータ設定は、Resolution(分解能)を12bit(4095)、Ref Valueを2、Scanning SpeedをNormal、Prescaler Periodを127、PRS PolynominalをShort、Rb抵抗を100kΩとした。
【0071】
ここで測定して得られる出力のうち「DIF」は、直径6mmの円柱形状の導電ゴムからなる測定子(押し子;指の代わり)をセンサ電極(13a)の中央に押し当てて、その押し当てる前後の出力(静電容量に対応する値)の変化量を測定し、その差として求めた値である。また、出力のうち「RAW」は、測定子を押し当てていない状態における測定値であり、寄生容量等に依存する値である。
【0072】
試料1-1~試料7-1の各試験片についての第2加飾層(K2)の抵抗値と、「DIF」、「RAW」の測定値について以下の表1に示した。
【0073】
【0074】
試料1-2~試料7-2の作製:
【0075】
試料1-1~試料7-1の試験片の外装基材(31)として1.0mm厚のポリカーボネート樹脂シートを用いていたことに代えて、厚みを0.5mm厚のポリカーボネート樹脂シートを用いた以外は、試料1-1~試料7-1の各試験片と同様にして、試料1-2~試料7-2の7種類の試験片を作製した。これらの試料1-2~試料7-2の各試験片についても、試料1-1~試料7-1の各試験片について測定したのと同様にして、センサ感度(センサ出力)の「DIF」、「RAW」について測定し、その結果を以下の表2に示した。なお、第2加飾層(K2)の試料1-2~試料7-2の抵抗値は、試料1-1~試料7-1とセンサシート(10b)が同じであることから、試料1-1~試料7-1と同様の値を表2に示した。
【0076】
【0077】
試料8~試料14の作製:
【0078】
試料1-1~試料7-1の試験片の外装基材(31)として1.0mm厚のポリカーボネート樹脂シートを用いていたことに代えて、厚みを0.5mm厚のポリカーボネート樹脂シートを用い、また、センサ電極(13a)には
図14(A)で示すようにセンサ電極A(13a)及びセンサ電極B(13a)を設けるように変更し、さらに、センサシート(10b)に設けた第2加飾層(センサ加飾層)(K2)は、センサ電極A(13a)の全体を覆うように設ける一方で、センサ電極B(13b)についてはその半分だけ積層するように(
図14(B)参照)設けた。それ以外については、試料1-1A~試料7-1Aの各試験片と同様にして、試料8~試料14の7種類の試験片を作製した。
【0079】
第2加飾層(K2)の抵抗値の測定方法は、試料1-1~試料7-1の試験片と同様であるが、ここでは外装部材であるポリカーボネート樹脂シートに密着させる前のセンサシート(10b)に対して、20mm×20mmのセンサ電極A(13a)に対応する部分の第2加飾層(K2)の表面に、上記テスターのプローブを、プローブ間が7mmの幅となるように押し当てて測定値を測定した。
【0080】
センサ感度(センサ出力)の「DIF」については、センサ電極Aに押圧子を接触させたときのセンサ電極Aの出力であるDIF3だけでなく、センサ電極Aに押圧子を接触させたときのセンサ電極Bの出力であるDIF4、センサ電極Bに押圧子を接触させたときのセンサ電極Aの出力であるDIF5、センサ電極Bに押圧子を接触させたときのセンサ電極Bの出力であるDIF6を測定した。こうした様々なDIFを測定することとしたのは、例えばセンサ電極Aに押圧子を接触させたときのセンサ電極Bの出力であるDIF4は、隣接するセンサ電極に押圧子が接触した状況、即ち、隣接するセンサ電極にタッチ操作された際のタッチ操作されていないセンサ電極の受ける影響の大きさを示している。当然ながらタッチ操作されていないセンサ電極は反応しないこと(DIF=0)が理想である。
【0081】
また、下記式(1)及び式(2)で定義されるSN比<A>及びSN比<B>を算出した。
SN比<A>=DIF3/DIF5 ・・・ (式1)
SN比<B>=DIF6/DIF4 ・・・ (式2)
【0082】
上式のとおり、SN比<A>はセンサ電極Bをタッチ操作したときのセンサ電極Aの出力に対して、センサ電極Aをタッチ操作したときのセンサ電極Aの出力の大きさ割合である。例えば、センサ電極Bをタッチ操作したときのセンサ電極Aの出力が大きければ、センサ電極Aが所定の出力をしてもセンサ電極Aがタッチ操作されたのか、センサ電極Bがタッチ操作されたのか判別できなくなる。したがって、この値が“1”に近似する値である場合は、タッチ操作されたセンサ電極を判別することができず誤動作するおそれが生じる。このSN比は大きければ大きいほど良いが、2以上であることが好ましく、3以上であることがさらに好ましく、5以上であることが特に好ましい。これらの結果を含め以下の表3に示した。
【0083】
【0084】
表3より第2加飾層(K2)の抵抗値は、概ね100kΩ以上であることが好ましく、1MΩ以上であることがより好ましく、100MΩ以上であることが特に好ましいことがわかった。
【符号の説明】
【0085】
1 センサシート含有外装品(第1実施形態)
2 センサシート含有外装品(第2実施形態)
3 センサシート含有外装品(第3実施形態)
10 センサシート
10a センサシート(第1実施形態)
10b センサシート(第2実施形態)
10c センサシート(第3実施形態)
11 センサ基材
13 センサ部
13a センサ電極
13b 配線
15 センサ光拡散層
16,16a,16b センサ着色層
16a 赤色層
16b 青色層
17 レジスト層
18 端子
20 中間シート
20a 中間シート(第1実施形態)
20c 中間シート(第3実施形態)
21 中間基材
25 中間光拡散層
26,26a,26b 中間着色層
26a 赤色層
26b 青色層
28 固着層
30 外装部材
31 外装基材
35 外装光拡散層
36 外装着色層
37 外装遮光層
38 固着層
40 内装部材
K1 第1加飾層(外装加飾層)
K2 第2加飾層(中間加飾層、センサ加飾層)
K2a 中間加飾層
K2b センサ加飾層
D1 第1表示部(丸形状)
D2 第2表示部(AUTO)
D3 第3表示部(四角形)
D4 第4表示部(三角形)
D5 第5表示部(AUTOの背景)
D6 縁部
S1 第1積層部
S2 第2積層部
S3 第3積層部
S4 第4積層部