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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】空調衣服の服本体及び空調衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/002 20060101AFI20240821BHJP
   A41D 13/005 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D13/005 103
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020077910
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021172917
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】591098455
【氏名又は名称】株式会社自重堂
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
(72)【発明者】
【氏名】河田 明菜
(72)【発明者】
【氏名】石塚 隆博
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3221474(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/002
A41D 13/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性のない又は空気導入手段による空気の導入によって膨らませることができる程度の通気性を有する服地を用いて形成される、空調衣服の服本体であって、
前記空気導入手段を取り付けるための取付孔と、
前記空気導入手段によって導入された空気を排出する空気排出部と、
一端部が前記服地に固着され、前記取付孔全体を被覆する閉孔部材と、
当該閉孔部材を前記取付孔全体を被覆しない状態で収納する収納部と、を備え
前記収納部を内面側に備え、
前記収納部に収納された前記閉孔部材を内面から外面に取り出すための取出孔と、
を備えることを特徴とする空調衣服の服本体。
【請求項2】
通気性のない又は空気導入手段による空気の導入によって膨らませることができる程度の通気性を有する服地を用いて形成される、空調衣服の服本体であって、
前記空気導入手段を取り付けるための取付孔と、
前記空気導入手段によって導入された空気を排出する空気排出部と、
一端部が前記服地と一体に形成され、前記取付孔全体を被覆する閉孔部材と、
当該閉孔部材を前記取付孔全体を被覆しない状態で収納する収納部と、を備え
前記収納部を内面側に備え、
前記収納部に収納された前記閉孔部材を内面から外面に取り出すための取出孔と、
を備えることを特徴とする空調衣服の服本体。
【請求項3】
前記取出孔を開閉自在にする取出孔開閉手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の空調衣服の服本体。
【請求項4】
前記取出孔開閉手段は、線ファスナーであることを特徴とする請求項に記載の空調衣服の服本体。
【請求項5】
前記収納部を前記取付孔と重ならないように、前記服本体の内面側に保持させる保持手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の空調衣服の服本体。
【請求項6】
前記閉孔部材は、前記服地と同じシート状部材からなることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の空調衣服の服本体。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の空調衣服の服本体と、
前記空調衣服の服本体の内部に空気を導入する空気導入手段と、
前記空気導入手段に電力を供給する電源手段と、
を備えることを特徴とする空調衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調衣服の服本体及び空調衣服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、身体を冷却する空調衣服が実用化され、急速に普及している。従来の空調衣服は、通気性の低いシート状部材で形成された服本体と、服本体の後側の下方に取り付けられたファンと、ファンに電力を供給するための電源装置と、電源装置とファンとを電気的に接続するための電源ケーブルと、を備える。
【0003】
ファンを作動させると、大量の空気がファンから服本体内に取り込まれる。取り込まれた空気の圧力により服本体と着用者の身体との間に空気流通路が自動的に形成され、取り込まれた空気は、形成された空気流通路を着用者の身体又は下着の表面に沿って流通し、例えば、襟部や袖部の開口部に形成された空気排出部から外部に排出される。
そして、取り込まれた空気が、服本体と着用者の身体又は下着との間の空気流通路を流通する間に、身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体が冷却される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような空調衣服は、身体を冷却する必要のない冬場においても、ファンを取り付けずに通常の上衣として使用できるようにすることで、通年に亘って使用可能であることが好ましい。しかし、空調衣服は、服本体を形成するシート状部材がファンを取り付けるためのファンの取付孔を有することから、ファンを取り付けずに使用する場合、このファンの取付孔が、衣服の密閉性を保つ上で障害となる。
【0005】
そこで、空調衣服を、ファンを取り付けずに通常の上衣として使用する際に、ファンの取付孔を閉孔することを可能とするため、閉孔蓋の取付手段としての面ファスナーをファンの取付孔の周囲に備えておき、これを用いて閉孔蓋を着脱自在に取り付けることを可能とした空調衣服が知られている(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2005/063065号
【文献】特許第6191028号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような閉孔部材は空調衣服から独立しているため、衝撃等によって外れ落ちた際などに紛失してしまうことがあった。また、寒暖差が激しい日など、空調衣服の着用中にファンの取付孔を塞ぎたくなるような状況に備えて、閉孔部材を持ち運びするのは手間であるという課題があった。
【0008】
本発明の目的は、取付孔を好適に閉塞できる空調衣服の服本体及び空調衣服を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
求項に記載の発明は、
通気性のない又は空気導入手段による空気の導入によって膨らませることができる程度の通気性を有する服地を用いて形成される、空調衣服の服本体であって、
前記空気導入手段を取り付けるための取付孔と、
前記空気導入手段によって導入された空気を排出する空気排出部と、
一端部が前記服地に固着され、前記取付孔全体を被覆する閉孔部材と、
当該閉孔部材を前記取付孔全体を被覆しない状態で収納する収納部と、
を備え
前記収納部を内面側に備え、
前記収納部に収納された前記閉孔部材を内面から外面に取り出すための取出孔と、
を備えることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、
通気性のない又は空気導入手段による空気の導入によって膨らませることができる程度の通気性を有する服地を用いて形成される、空調衣服の服本体であって、
前記空気導入手段を取り付けるための取付孔と、
前記空気導入手段によって導入された空気を排出する空気排出部と、
一端部が前記服地と一体に形成され、前記取付孔全体を被覆する閉孔部材と、
当該閉孔部材を前記取付孔全体を被覆しない状態で収納する収納部と、
を備え
前記収納部を内面側に備え、
前記収納部に収納された前記閉孔部材を内面から外面に取り出すための取出孔と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の空調衣服の服本体であって、
前記取出孔を開閉自在にする取出孔開閉手段を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の空調衣服の服本体であって、
前記取出孔開閉手段は、線ファスナーであることを特徴とする。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の空調衣服の服本体であって、
前記収納部を前記取付孔と重ならないように、前記服本体の内面側に保持させる保持手段を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の空調衣服の服本体であって、
前記閉孔部材は、前記服地と同じシート状部材からなることを特徴とする。
【0017】
請求項に記載の発明は、空調衣服であって、
請求項1からのいずれか一項に記載の空調衣服の服本体と、
前記空調衣服の服本体の内部に空気を導入する空気導入手段と、
前記空気導入手段に電力を供給する電源手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、取付孔を好適に閉塞できる空調衣服の服本体及び空調衣服を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】前身頃の開閉手段を開いた状態における空調衣服の正面図である。
図2】空調衣服の服本体に取り付けられた状態のファンを示す概略図である。
図3A】空調衣服に取り付けられたファン周辺の拡大斜視図である。
図3B図3AのIIIB-IIIB部の断面図である。
図4A】ファンが取り外された空調衣服のファン取付孔周辺の拡大斜視図である。
図4B図4AのIVB-IVB部の断面図である。
図5】本実施形態の変形例に係る空調衣服のファン取付孔周辺の側断面図である。
図6】本実施形態の変形例に係る前身頃の開閉手段を開いた状態における空調衣服の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明に係る空調衣服の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
本実施形態の空調衣服100は、閉孔部材160が服本体110に固定されており、紛失を防止できるようにしたものである。
【0021】
また、以下においては、着用者が空調衣服100を着用した状態を基準として、着用者の前側を前、着用者の後側を後、着用者の上側を上、着用者の下側を下、着用者の右手側を右、着用者の左手側を左と定めて説明する。
【0022】
[空調衣服]
空調衣服100は、図1から図5に示すように、服本体110と、服本体110内部に空気を導入するファン140と、ファン140に電力を供給する電源部120と、ファン140と電源部120とを接続する接続ケーブル130と、ファン取付孔113を被覆する閉孔部材160と、閉孔部材160を収納する収納部150と、収納部150と着脱自在な保持手段170と、を備え、ファン140によって服本体110内に取り込まれた空気を、着用者の身体又は下着の表面に沿って流通させることで、身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体を冷却するものである。
【0023】
[服本体]
服本体110は、一例としてブルゾンタイプを例示して説明するが、図1に示すように、通気性のない又はファン140による空気の導入によって膨らませることができる程度の通気性を有するシート状部材Sによって、着用者の少なくとも胴部を覆う形状に形成されている。なお、図1においては、服本体110を、着用者の胴部及び腕部を覆うブルゾンタイプに形成しているが、服本体110の形状はこれに限られず、例えば、上衣及び下衣が一体化されたつなぎ服タイプや、胴部のみを覆うベストタイプ、着用者の胴部及び腕部と、脚部の一部を覆うコートタイプに形成することも可能であり、本発明の服本体110はブルゾンタイプに限定されるものではない。
服本体110は、開閉手段111と、空気漏れ防止手段112と、ファン取付孔113と、空気排出部と、電源部保持手段115と、ケーブル保持手段116と、を備える。
【0024】
(開閉手段)
開閉手段111は、服本体110を前開きとし、空調衣服100を着用する際に、服本体110の前部を開閉するためのものであり、その具体的構成は任意であるが、例えば、一般的な線ファスナー等が用いられる。なお、開閉手段111は服本体110の前身頃の分割部分を着脱自在とすることができるものであればよく、線ファスナーに限られないが、空気の漏れを防止する観点からは線ファスナーが望ましい。
【0025】
(空気漏れ防止手段)
空気漏れ防止手段112は、図1に示すように、服本体110下部に備えられた、服本
体110と着用者の身体との間の空間内の空気が服本体110の裾部から外部に漏れることを防止するための手段であり、服本体110下部から空気が外部に漏れることを防止することができるものであれば、その具体的構成は任意であり、例えば、服本体110の着用者の腹部に対応する位置に、ゴム紐等の伸縮性のある部材を、着用者の身体を周回するように備えることによって形成される。
【0026】
空調衣服100の着用時においては、空気漏れ防止手段112によって、服本体110の着用者の腹部に対応する位置が絞り込まれて着用者の身体に密着することで、ファン140によって導入された空気が、服本体110と着用者の上半身との間の空間から、服本体110と着用者の下半身との間の空間へと流れることを防止する。これによって、空気排出部からの空気の排出量を増やし、着用者の上半身への冷却効果を高めることができる。
【0027】
なお、空気漏れ防止手段112は必須の構成ではなく、例えば、空気漏れ防止手段112を備えず、服本体110がつなぎ服タイプである場合は、ファン140によって導入された空気が、服本体110と着用者の上半身との間の空間から、服本体110と着用者の下半身との間の空間へも流れ、これが裾から排出されるようにしてもよい。この場合、着用者の全身を冷却することも可能となる。
このように、服本体110の形態によっては、空気漏れ防止手段112を設けなくても構わない。
【0028】
(ファン取付孔)
ファン取付孔113は、図1に示すように、服本体110を形成するシート状部材Sの着用者の腰の左右に対応する位置に形成された、空調衣服100の着用時において、服本体110と着用者の身体との間の空間と、外部と、を繋ぐこととなる孔部であり、その形状はファン140の外形に合わせた形状である。
ファン取付孔113を挿通するようにしてファン140を取り付けることで、ファン取付孔113を介して、外部の空気を服本体110内に取り込むことができる。
【0029】
なお、ファン取付孔113が形成される位置としては、空調衣服100の着用時に着用者を効果的に冷却する観点からは、上記の位置が好ましいが、これに限られず、例えば、着用者の脇の下方に対応する位置に形成することも可能である。
また、ファン取付孔113が形成される個数は、2個に限られず、これより少数又は多数のファン取付孔113を形成し、これに対応した数のファン140を取り付けてもよい。
【0030】
(空気排出部)
空気排出部は、図1に示すように、ファン140によってファン取付孔113から服本体110内に導入された空気を、着用者の身体又は下着に沿って流通させた後、服本体110外に排出するための開口部であり、例えば、着用者の首と服本体110の襟部の端部との間の襟部空気排出部1141と、着用者の腕と服本体110の袖部の端部との間の袖部空気排出部1142と、が形成される。
なお、空気排出部は、ファン140によって服本体110内に導入された空気を、着用者の身体又は下着に沿って流通させた後に排出できるものであればよく、その形成位置は、襟部及び袖部に限定されない。
【0031】
[電源部]
電源部120は、後述するファン140に電力を供給するための部材であり、電源部保持手段115によって服本体110あるいはその近傍、例えばズボンのベルト等に装着され、例えば、安全保護回路が付加されたリチウムイオン組電池が内蔵され、後述する接続
ケーブル130を通じてファン140と接続するための、第二接続端子(不図示)を備える。
【0032】
[接続ケーブル]
接続ケーブル130は、電源部120とファン140とを接続するケーブルであり、ケーブル保持手段116によって服本体110の内面に保持され、接続ケーブル130を通じて、電源部120からファン140に対して、ファン140の稼働に必要な電力が供給される。
なお、電源部保持手段115、ケーブル保持手段116、電源部120及び接続ケーブル130の具体的な構成は任意である。
【0033】
[ファン]
ファン140は、図1に示すように、ファン取付孔113を挿通するようにして服本体110に取り付けられ、ファン取付孔113を通して、服本体110と着用者の身体との間の空間に空気を導入する略扁平な平面視略円形の空気導入手段である。
【0034】
ファン140としては、ファン取付孔113を挿通するようにして服本体110に取り付けられ、服本体110内部に空気を導入できるものであれば、任意の構成を採用可能であるが、例えば、図2に示すように、ファン本体141と、これを服本体110に固定するためのリング状の取付リング142と、を備える。
【0035】
[ファン本体]
ファン本体141は、内部にプロペラ(不図示)とモーター(不図示)とを収納し、図2に示すように、ファン140の使用時において空気が取り込まれる側を構成する空気取込部1411と、ファン140の使用時において空気が送出される側を構成する空気送出部1412と、空気取込部1411と空気送出部1412との間の筒状の連結部である筒状部1413と、筒状部1413の空気取込部1411側の端部から筒状部1413の側面と略垂直な方向に突出するフランジ部1414とを有する。また、空気取込部1411は、空気送出部1412と貫通し、空調衣服100内への空気の経路となる開口部を備え、筒状部1413は、その中心軸に垂直な面で切った際の断面の外形が円形となる円状に形成され、その外形は、ファン取付孔113の直径と略同一になるように形成されている。
なお、ファン140の外形は円形に限らず、例えば矩形状など他の形状としてもよい。
【0036】
また、ファン本体141は、空気送出部1412側の所定の位置に、接続ケーブル130と接続される第一接続端子1415を有する。第一接続端子1415は、接続ケーブル130を接続し、電源部120から電力の供給を受けることができる端子であれば、その具体的な構成は任意である。
【0037】
(取付リング)
取付リング142は、ファン本体141をファン取付孔113に取り付けるためのリング状の部材であり、その内径が筒状部1413の外形と同一か、僅かに大きくなるように形成されており、筒状部1413が取付リング142を挿通するようにして、ファン140に取り付けることができる。
【0038】
筒状部1413の外面と、取付リング142の内面とには、例えば、取付リング142の内面側に凸部が形成され、筒状部1413の外面側に当該凸部と係合する凹部を形成することにより、係止手段(不図示)が形成されている。
【0039】
ファン140を服本体110に取り付ける際には、図2に示すように、ファン140の
空気送出部1412側を、ファン取付孔113に服本体110の外面から挿通して、フランジ部1414が、服本体110のファン取付孔113の周囲の部分と接するようにする。次に、取付リング142を、服本体110の内面から筒状部1413の外側に差し込むことにより、フランジ部1414と取付リング142とによって、服本体110を形成するシート状部材Sのファン取付孔113周囲の部分及び取付孔補強部材の孔部の周囲の部分を挟み込み、その状態で係止手段によって取付リング142をファン本体141に固定する。
これによって、ファン140をファン取付孔113に挿通するようにして服本体110に固定することができる。
【0040】
[収納部]
収納部150は、例えば図3Aから図4Bに示すように、シート状部材Sからなる、服本体110内に形成されたポケット状の袋布であり、ファン140を服本体110に取り付ける際に、後述する閉孔部材160を収納可能に形成されている。
【0041】
(取出孔)
取出孔151は、服本体110上に形成された、収納部150の入口部である。
取出孔151には、図3Aに示すように取出孔開閉手段152を設けることができ、これを閉塞することで、収納部150から閉孔部材160が意図せず外に飛び出してしまい、ファン140を覆ってしまうのを防ぐことができる。
取出孔開閉手段152としては、図3Aに示すような線ファスナーに限られず、フラップ等、適宜公知の構成を用いることができる。
なお、取出孔151としては、図4A及び図4Bに示すようなただの切り込みでも構わないが、片玉縁を設けて意匠性を高めても構わない。
【0042】
[閉孔部材]
閉孔部材160は、例えば図3Aから図4Bに示すように、一端部が収納部150内の服本体110に固着され、ファン取付孔113より大きく、これを被覆可能に形成された部材である。
図4A及び図4Bに示すように、このような閉孔部材160が収納部150から取出孔151を通じて服本体110上に露出され、ファン取付孔113を被覆することで服本体110内への外気の流入を抑制することができる。
なお、閉孔部材160の形状としては、ファン取付孔113を被覆可能であればよく、図4Aに示すような略矩形状に限られない。
【0043】
閉孔部材160を構成する部材としては、ファン取付孔113を被覆する際に服本体110から目立つのを防ぐ点や服本体110内への外気の流入を抑制する点から、服本体110と同じ、通気性の低いシート状部材Sからなるのが好ましいが、これに限られない。
また、閉孔部材160を服本体110に固着する方法としては、縫合や融着等、適宜任意の手段を用いることができるが、図5に示すように、閉孔部材160は服本体110と一体的に形成されていてもよく、この場合、服本体110の製造工程を少なくするとともに、コストを抑制することができる。
【0044】
(係止部・被係止部)
係止部161は、閉孔部材160に設けられ、服本体110の外面に設けられた被係止部162に着脱自在に係止される部材である。図4A及び図4Bに示すように、係止部161及び被係止部162によって、ファン取付孔113を被覆した閉孔部材160が服本体110上に係止されることで、閉孔部材160が風等により捲れてファン取付孔113が露出してしまい、外気が服本体110内に流入するのを防ぐことができる。
【0045】
係止部161及び被係止部162としては、例えばドット釦、面ファスナーなど、適宜公知の構成を任意に用いることができるが、服本体110内部の密閉性を高める点や着脱の容易さを考慮すると、面ファスナーを用いるのが好ましい。
なお、閉孔部材160に係止部161を設けず、閉孔部材160の全面を被係止部162と係止可能な部材によって形成しても構わない。
また、係止部161及び被係止部162が形成される個数は、3つずつに限られず、これより少数又は多数の係止部161及び被係止部162を形成しても構わない。
【0046】
[保持手段]
保持手段170は、服本体110内のファン取付孔113から離間した位置に設けられ、収納部150と着脱自在に形成された部材である。
保持手段170としては、係止部161及び被係止部162と同様に、ドット釦、面ファスナーなど、適宜公知の構成を任意に用いることができる。
図3Aに示すように、ファン140が服本体110に取り付けられている際に、保持手段170がファン取付孔113に重ならないような位置に収納部150を保持するようにすることで、収納部150がファン140に干渉するのを防ぐことができる。
そのため、ファン取付孔113から離間した位置であり、ファン140に干渉しない位置に収納部150が設けられている場合は、保持手段170は設けなくても構わない。
【0047】
[実施形態の効果]
図3Aから図4Bに示すように、閉孔部材160は、その一端部が収納部150内の服本体110に固着されているため、従来品である独立した閉孔部材と異なり、これを紛失することが防止できる。
また、図5に示すように、閉孔部材160が服本体110と一体的に形成されている場合は、更に服本体110のコストを抑制することができる。
【0048】
また、服本体110は、被係止部162を備え、閉孔部材160を服本体110上に係止可能であるため、ファン取付孔113を塞いでいる際に風等によってファン取付孔113が捲れてしまい、外気が服本体110内に流入するのを防ぐことができる。
【0049】
また、服本体110は閉孔部材160を収納可能なポケット状の袋布である収納部150を備えるため、ファン140をファン取付孔113に取り付ける際に、閉孔部材160が干渉して邪魔になるのを防ぐことができる。
【0050】
また、収納部150の入口である取出孔151には取出孔開閉手段152が設けられているため、収納部150に収納された閉孔部材160が意図せず服本体110上に飛び出してしまい、ファン140を覆ってしまうのを防ぐことができる。
【0051】
また、服本体110は収納部150をファン取付孔113と重ならないように、服本体110の内面側に保持する保持手段170を備えるため、ファン140が取り付けられている際に、収納部150がファン140に干渉して邪魔になるのを防ぐことができる。
【0052】
また、閉孔部材160は服本体110と同じ通気性の低いシート状部材Sからなるため、服本体110内への外気の流入を抑制することができるとともに、ファン取付孔113を被覆する際に服本体110から目立ちにくくでき、また、収納部150に収納する際に折り畳んで収納することができるため、収納部150を小さく形成することができる。
【0053】
[変形例]
以下、本実施形態の変形例につき説明する。
【0054】
図1においては、ファン取付孔113と同じ数の収納部150及び閉孔部材160を服本体110に設ける構成を示したが、これに限らず、図6に示すように、1つの閉孔部材160によって、服本体110上の全てのファン取付孔113を被覆することができるようにしても構わない。このようにすることで、より閉孔部材160の製造工程を簡略化することができる。
【0055】
また、上記においては、閉孔部材160に係止部161を、服本体110上に被係止部162をそれぞれ設け、ファン取付孔113を服本体110上に係止させる構成を示したが、これに限られず、係止部161及び被係止部162を設けずに、閉孔部材160の下部のみに風等によって捲れない程度の重みを持たせるようにしても構わない。
【0056】
また、服本体110は収納部150を備え、閉孔部材160の一端部が収納部150内の服本体110の内面に固着される構成を示したが、これに限られず、収納部150を設けず、閉孔部材160を服本体110上に固着、あるいは服本体110上に一体的に形成し、ファン140を取り付ける際は、ファン取付孔113を覆わないような位置に設けられた被係止部162に閉孔部材160を係止させるようにしても構わない。
【0057】
また、図1図3Aから図6においては閉孔部材160をファン取付孔113の上方に設ける構成を示したが、これに限られず、収納部150及び取出孔151の位置を、閉孔部材160の位置に応じて変更することができる。例えば、閉孔部材160をファン取付孔113の下方に設けた場合は、収納部150および取出孔151もファン取付孔113の下方に設けることができる。
【0058】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
100 空調衣服
110 服本体
113 ファン取付孔(取付孔)
1141,1142 空気排出部
120 電源部(電源手段)
140 ファン(空気導入手段)
150 収納部
151 取出孔
152 取出孔開閉手段
160 閉孔部材
161 係止部
162 被係止部
170 保持手段
S シート状部材(服地)
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6