(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】RNAウィルス感染を処置する為のアリール-N-アリール誘導体
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4402 20060101AFI20240821BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20240821BHJP
A61K 31/4965 20060101ALI20240821BHJP
A61K 31/497 20060101ALI20240821BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20240821BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240821BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20240821BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240821BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240821BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240821BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20240821BHJP
C07D 213/36 20060101ALI20240821BHJP
C07D 213/81 20060101ALI20240821BHJP
C07D 241/12 20060101ALI20240821BHJP
C07D 401/12 20060101ALI20240821BHJP
C07D 239/42 20060101ALI20240821BHJP
C07D 213/75 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
A61K31/4402
A61K31/4439
A61K31/4965
A61K31/497
A61K31/505
A61K31/506
A61K31/4545
A61K31/496
A61K31/5377
A61P31/14
A61P31/16
C07D213/36
C07D213/81
C07D241/12
C07D401/12
C07D239/42 Z
C07D213/75 CSP
(21)【出願番号】P 2021500106
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2019068460
(87)【国際公開番号】W WO2020011811
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-13
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515048803
【氏名又は名称】アビバックス
(73)【特許権者】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(73)【特許権者】
【識別番号】515085211
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ド モンペリエ
(73)【特許権者】
【識別番号】506413937
【氏名又は名称】アンスティテュート キュリー
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】シェラー,ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】タツィ,ジャマル
(72)【発明者】
【氏名】マユトー-ベツァー,フロランス
(72)【発明者】
【氏名】ナジマン,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】サント,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】アポリ,セシル
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/131656(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染の処置及び/又は予防の為に使用される剤であって、下記の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つを含む前記剤
【化1】
ここで、
【化2】
X
1は、アルケニレン基、-NH-CO-基、-CO-NH-基を表し、
Y
1は、ピリジル基、ピラジニル基又はピリミジニル基から選択されるアリール基を表し、
X
2は、
-O-基、
-CO-NH-基、
-NH-CO-NH-基、
-OCH
2-基、
-NH-CO-基、
1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む二価の5員環ヘテロ芳香族環、
又は、
-SO
2-NH-基
を表し、
nは、0、1、2又は3であり、
m及びm’は独立して、0、1又は2であり、
Y
2は、
水素原子、
ヒドロキシル基、
モルホリニル基、
(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよいピペリジニル基、
(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよいピペラジニル基、
若しくは、
-CR
1R
2R
3基、ここで、R
1、R
2及びR
3は独立して、水素原子、フッ素原子又は(C
1~C
4)アルキル基を表し、R
1、R
2及びR
3のうちの2つ以上が水素原子ではな
い、又はR
1及びR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C
3~C
8)シクロアルキル基を形成し、ここで、該(C
3~C
8)シクロアルキル基は、(C
1~C
4)アルキル基、ハロゲン原子又は(C
1~C
4)アルコキシ基の1つ又は2つによって置換されていてもよく、並びに、該(C
3~C
8)シクロアルキル基は、酸素原子によって上記R
1及び/又はR
2上で
中断されていてもよい、
又は代替的に、X
2-Y
2は-C(=O)-NR
cR
d基を表し、ここで、R
c及びR
dは窒素原子と一緒に飽和複素環を形成し、該飽和複素環は、1つ又は2つの(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよく、シクロペンチル基によって置換されてスピロシクロペンチル誘導体を形成していてもよく、又はトリフルオロメチル基によって置換されていてもよい、
を表し、
R及びR’は独立して、
(C
1~C
4)アルキル基、
(C
3~C
6)シクロアルキル基、
ハロゲン原子、
(C
1~C
5)アルコキシ基、
-SO
2-NR
aR
b基、
-SO
3H基、
-OH基、又は
-O-SO
2-OR
c基
を表し、
但し、X
1が-NH-CO-基である場合、Y
1はさらに、ハロゲン原子、(C
1~C
4)アルキル基、シアノ基、(C
1~C
5)アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、-SO
2-NR
aR
b基、-SO
3H基、-OH基、-O-SO
2-OR
c基又は-O-P(=O)-(OR
c)(OR
d)基から選択される1つ又は2つの置換値によって置換されていてもよい、フェニル基で
あってよく、
R
a
、R
b
、R
c
及びR
d
は独立して、水素原子又は(C
1
~C
4
)アルキル基を表す。
【請求項2】
Y
1が、
2-ピリジニル基又は3-ピリジニル基、
ピリミジニル基又はピラジニル基、ここで、複数の窒素原子のうちの1つが、X
1に対してオルト位にある、
を表
す、
請求項
1に記載の剤。
【請求項3】
X
2が、
-O-基、
CO-NH-基、
二価のトリアゾール,
又は
-SO
2-NH-基
を表す、請求項1
又は2に記載の剤。
【請求項4】
Y
2が、
ヒドロキシル基、
モルホリニル基、
(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよいピペリジニル基、
(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよいピペラジニル基、
又は
-CR
1R
2R
3基、ここで、R
1、R
2及びR
3は独立して、水素原子、フッ素原子又は(C
1~C
4)アルキル基を表し、R
1、R
2及びR
3のうちの2つ以上が水素原子ではな
い、又はR
1及びR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C
3~C
8)シクロアルキル基を形成する、
を表す、請求項1~
3のいずれか1項に記載の剤。
【請求項5】
R及びR’が独立して、
(C
1~C
4)アルキル基、
(C
3~C
6)シクロアルキル基、
ハロゲン原子、又は
(C
1~C
5)アルコキシ基
を表す、請求項1~
4のいずれか1項に記載の剤。
【請求項6】
【化4】
Y
1が2-ピリジニル基を表
し、
X
2が、-O-基、-CO-NH-基を表し,
Y
2が、
-CR
1R
2R
3基、ここで、R
1、R
2及びR
3は独立して、水素原子又は(C
1~C
4)アルキル基を表し、R
1、R
2及びR
3のうちの2つ以上が水素原子ではな
い、若しくはR
1及びR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C
3~C
8)シクロアルキル基を形成し、且つR
3が水素原子又は(C
1~C
4)アルキル基を表し、又は
モルホリニル基
を表し、並びに、
m及びm’は0であり、又はR及びR’は独立して、(C
1~C
4)アルキル基、又は(C
3~C
6)シクロアルキル基を表す、
請求項1~
5のいずれか1項に記載の剤。
【請求項7】
ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染の処置及び/又は予防の為に使用される剤であって、下記の式(Ia)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つを含む前記剤
【化5】
ここで、
【化6】
請求項1~
6のいずれか1項において定義された通りである。
【請求項8】
ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染の処置及び/又は予防の為に使用される剤であって、下記の式(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つを含む前記剤
【化8】
ここで、
【化9】
請求項1~
6のいずれか1項において定義された通りである。
【請求項9】
ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染の処置及び/又は予防の為に使用される剤であって、下記の式(Id)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つを含む前記剤
【化11】
ここで、
【化12】
請求項
1において定義された通りである。
【請求項10】
ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染の処置及び/又は予防の為に使用される剤であって、下記から選択される
化合物を含む、
前記剤、
【表1】
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされる前記RNAウィルス感染が、RSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染、インフルエンザウィルス感染及びデングウィルス感染の中から選択される、請求項1~
6のいずれか1項に記載の剤。
【請求項12】
(1) 請求項
7に定義された式(Ia)の化合物、
ここで、
Y
1が2-ピリジル基、3-ピリジル又はピラジニル基であり、
【化14】
【化15】
但し、請求項
10に記載の化合物1及び2は除かれる、
(2) 請求項
8に記載の式(Ib)の化合物、
ここで、
Y
1が、フェニル基、2-ピリジル基又はピリミジニル基であり、ここで、該ピリミジニル基の窒素原子の1つが、-NH-CO-基に対してオルト位にある、
(3) 請求項
9に記載の式(Id)の化合物、
ここで、
Y
1が、2-ピリジル基である、
から代替的に選択される、請求項1~
6のいずれか1項に定義されている式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つ
、
又は、
以下の化合物若しくはその薬学的に許容される塩
【化19】
。
【請求項13】
mは、0であり、
m’は0又は1であり、且つ、
Y
2
は、
モルホリニル基、
(C
1
~C
4
)アルキル基によって置換されていてもよいピペリジニル基、
(C
1
~C
4
)アルキル基によって置換されていてもよいピペラジニル基、
若しくは、
-CR
1
R
2
R
3
基、ここで、R
1
、R
2
及びR
3
は独立して、水素原子、フッ素原子又は(C
1
~C
4
)アルキル基を表し、R
1
、R
2
及びR
3
のうちの2つ以上が水素原子ではない、又はR
1
及びR
2
は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C
3
~C
8
)シクロアルキル基を形成し、ここで、該(C
3
~C
8
)シクロアルキル基は、(C
1
~C
4
)アルキル基、ハロゲン原子又は(C
1
~C
4
)アルコキシ基の1つ又は2つによって置換されていてもよく、並びに、該(C
3
~C
8
)シクロアルキル基は、酸素原子によって上記R
1
及び/又はR
2
上で中断されていてもよい、
請求項12に定義されている式(Ia)、(Ib)、若しくは(Id)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つ。
【請求項14】
Y
2
は、
水素原子、
ヒドロキシル基、
モルホリニル基、
(C
1
~C
4
)アルキル基によって置換されていてもよいピペリジニル基、
(C
1
~C
4
)アルキル基によって置換されていてもよいピペラジニル基、
若しくは、
-CR
1
R
2
R
3
基、ここで、R
1
、R
2
及びR
3
は独立して、水素原子又はフッ素原子を表し、R
1
、R
2
及びR
3
のうちの2つ以上が水素原子ではない、又はR
1
及びR
2
は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C
3
~C
8
)シクロアルキル基を形成し、ここで、該(C
3
~C
8
)シクロアルキル基は、(C
1
~C
4
)アルキル基、ハロゲン原子又は(C
1
~C
4
)アルコキシ基の1つ又は2つによって置換されていてもよく、並びに、該(C
3
~C
8
)シクロアルキル基は、酸素原子によって上記R
1
及び/又はR
2
上で中断されていてもよい、
又は代替的に、X
2
-Y
2
は-C(=O)-NR
c
R
d
基を表し、ここで、R
c
及びR
d
は窒素原子と一緒に飽和複素環を形成し、該飽和複素環は、1つ又は2つの(C
1
~C
4
)アルキル基によって置換されていてもよく、シクロペンチル基によって置換されてスピロシクロペンチル誘導体を形成していてもよく、又はトリフルオロメチル基によって置換されていてもよい、
を表す、
請求項12に定義されている式(Ia)、(Ib)、若しくは(Id)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つ。
【請求項15】
医薬として使用する為の、請求項
12に記載の、式(Ia)、式(Ib)及び式(Id)の化合物、若しくはその薬学的に許容される塩のいずれか一つ、又は請求項
10に記載の化合物(3)~(18)、(32)~(35)、(91)~(122)、若しくはその薬学的に許容される塩のいずれか一つ。
【請求項16】
請求項
10に定義された化合物、但し、化合物(1)及び(2)を除く、又は、それらの薬学的に許容される塩。
【請求項17】
請求項
12に記載の少なくとも1つの化合物、若しくは
その薬学的に許容される塩のいずれか一つ、又は請求項
10に定義されている化合物(3)~(18)、(32)~(35)、(91)~(122)
の少なくともいずれか、若しくはその薬学的に許容される塩のいずれか一つ、並びにまた、少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物。
【請求項18】
請求項
12に記載の式(Ia)、式(Ib)及び式(Id)の化合物を製造する合成方法であって、
下記の式(II)の化合物
【化16】
を下記の式(III)の化合物
【化17】
と、無機塩基及びジホスフィンの存在下且つ有機金属触媒の存在下でカップリングさせて、請求項
12に記載の式(Ia)、式(Ib)又は式(Id)の化合物を得る工程を少なくとも含み、
【化18】
前記合成方法が、式(Ia) の化合物を製造する方法である場合において、
X
1
は、アルケニレン基を表し、
Y
1
は、請求項12において式(Ia)の化合物について定義されたとおりであり、
R、R’、m、m’、n、X
2
、及びY
2
は、請求項7に定義されたとおりであり、且つ
【化20】
前記合成方法が、式(Ib)の化合物を製造する方法である場合において、
X
1
は、-NH-CO-基を表し、
Y
1
は、請求項12において式(Ib)の化合物について定義されたとおりであり、
【化21】
前記合成方法が、式(Id)の化合物を製造する方法である場合において、
X
1
は、-CO-NH-基を表し、
Y
1
は、請求項12において式(Id)の化合物について定義されたとおりであり、
【化22】
並びに、Xは、塩素原子、ヨウ素原子又は臭素原子である、
前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RNAウィルス感染、最も好ましくは、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、を予防し及び/又は処置する為に有用な化合物に関する。
【0002】
本発明はさらに、幾つかの新規な化合物、特に、RNAウィルス感染、最も好ましくは、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、を予防し及び/又は処置する為に有用な幾つかの新規な化合物、に関する。
【0003】
本発明はさらに、上記の新規な化合物を含む医薬組成物、及びそれらを得る為の化学合成方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ウィルスは、世界中の病気の主な原因の1つである。ウィルスは一般に、それらが完全に自律的な複製メカニズムを有していない為に、生細胞内でのみ複製する小さな非生物の感染性病原体として定義される。形状及びサイズは多様であるが、ウィルスは典型的には、ウィルス粒子(「ビリオン」として知られている)からなり、少なくとも1つの核酸分子と、任意的にウィルスの種類に依存して、1以上のタンパク質又は核タンパク質とを含むタンパク質コートから作られる。
【0005】
ウィルスは完全に自律的な複製メカニズムを有していないので、ウィルス自身の複数のコピーを複製し且つ生成する為に、感染された細胞又は宿主の機構及び代謝に必然的に依存しなければならない。
【0006】
ウィルスの複製サイクルは種の間で大きく異なるけれども、ウィルスのライフサイクルは、下記の基本的な6つの工程、すなわち、付着、侵入、脱コーティング、複製、組み立て、そして放出、を含むことが一般的に認識されている。
【0007】
標的ウィルスの性質に依存して、これらのメカニズムの1以上を妨害しうる治療分子が設計されてきている。
【0008】
それらの中で、複製工程はまた、ウィルスゲノムの増殖だけでなく、ウィルスタンパク質のウィルスメッセンジャーRNAの合成、及び宿主の転写又は翻訳機構の調節を含む。しかしながら、ゲノムのタイプ(一本鎖、二本鎖、RNA、DNAなど)がこの複製工程を劇的に特徴付けることがまた明らかである。例えば、ほとんどのDNAウィルスは核内で集合するが、ほとんどのRNAウィルスは細胞質内でのみ展開する。また、一本鎖RNAウィルス、例えばインフルエンザ、が宿主のRNAスプライシング及び成熟機構を使用しているという証拠が増えてきている。
【0009】
従って、複製工程における所与のタイプのゲノムの影響を考慮して、ウィルスのボルティモア(Baltimore)分類が開発された。この分類は、ゲノムのウィルスタイプに依存してウィルスを科(または「群」)にクラスター化する。2018年と同様に、現在のウィルス分類は、下記の7つの異なる群で構成されている。
第I群:二本鎖DNAウィルス(dsDNA);
第II群:一本鎖DNAウィルス(ssDNA);
第III群:二本鎖RNAウィルス(dsRNA);
第IV群:(+)ストランド又はセンスウィルス((+)ssRNA);
第V群:(-)ストランド又はアンチセンスRNAウィルス((-)ssRNA);
第VI群:DNA中間体を有する一本鎖RNAウィルス(ssRNA-RT);
第VII群:RNA中間体を有する二本鎖DNAウィルス(dsDNA-RT)。
【0010】
その分類に従うと、第VI群に属するウィルスは、厳密な感覚で、RNAウィルスでない。同じ理由で、第VII群に属するウィルスは、厳密な感覚で、DNAウィルスでない。第VI群に属するウィルスファミリー(virus family)の十分に研究された例の1つは、HIVを含むレトロウィルス科(レトロウィルス)である。第VII群に属するウィルスファミリーの十分に研究された例の1つは、B型肝炎ウィルス(HBV:Hepatitis B virus)を含むヘパドナウィルス科である。
【0011】
第IV群に関連するウィルスの代表として、ピコルナウィルス(Picornaviruses)(A型肝炎ウィルス(Hepatitis A virus)、エンテロウィルス(enteroviruses)、ライノウィルス(rhinoviruses)、ポリオウィルス(poliovirus)、及び口蹄疫ウィルス(foot-and-mouth virus)などの周知のウィルスを含むウィルスファミリー)、SARSウィルス、C型肝炎ウィルス(Hepatitis C virus)、黄熱病ウィルス(yellow fever virus)、及び風疹ウィルス(rubella virus)が挙げられうる。トガウィルス(Togaviridae)科がまた第IV群に属し、且つその既知の属はアルファーウィルスであり、該アルファーウィルスはチクングニアウィルス(Chikungunya virus)を包含する。フラビウィルス(Flaviridae)がまた、第IV群に属するファミリーであり、蚊によって媒介される有名なウィルス、すなわちデング熱ウィルス(Dengue virus)を包含する。
【0012】
第V群に関連するウィルスの代表として、エボラウィルスを包含するフィロビリダエウィルス(Filoviridae virus)科、呼吸器合胞体ウィルス(RSV:Respiratory Syncytial virus)を包含するパラミクソウィルス(Paramyxoviridae)科、ラブドビリダエ(Rhabdoviridae)科、A型インフルエンザウィルス、B型インフルエンザウィルス及びC型インフルエンザウィルスを包含するオルトミクソウィルス(Orthomyxoviridae)科が挙げられうる。
【0013】
本発明の枠組みに特に焦点を合わせられたウィルスファミリー内のグループは、RNAウィルス、特に一本鎖RNAウィルス、より特にはボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルス、を包含するウィルスである。
【0014】
RNAウィルス感染、特に一本鎖RNAウィルス、より特にはボルティモア分類の第IV群及び第V群に属するウィルスからのRNAウィルス感染、によって生じる疾病の処置法はほとんど無い。処置は症状を和らげることに焦点が合わせられている。それ故に、RNAウィルス感染、例えば第IV群及び第V群からのRNAウィルス感染を処置する為の新規な抗ウィルス薬、特には小さな化学分子、を特定する必要性がなおある。
【発明の概要】
【0015】
定義
【0016】
本明細書において使用される場合、語「患者」は、動物、例えば繁殖、会社若しくは保存の目的の為の貴重な動物、又は好ましくは、本明細書に記載されている1以上の疾病及び状態に苦しんでいる若しくは苦しむ可能性のあるヒト又はヒトの子供、のいずれかを云う。
【0017】
特に、本出願で使用される場合、語「患者」は、哺乳動物、例えばげっ歯類、猫、犬、霊長類又はヒトを云い、好ましくは、該対象はヒトであり且つまた、鳥に及ぶ。
【0018】
本明細書に記載された疾病及び状態の処置を必要としている患者の特定は、当業者の能力及び知識の十分に範囲内である。当分野における獣医師又は医師は、臨床検査、身体検査、医学的/家族歴又は生物学的及び診断的検査を使用することによって、そのような処置を必要とする患者を容易に特定することができる。
【0019】
本発明の文脈において、本明細書において使用される場合、語「処置する」又は「処置」は、RNAウィルス感染、より特には第IV群又は第V群由来のRNAウィルス感染、に起因する疾病若しくはそのような疾病の1以上の症状の進行を逆転、緩和、阻害し、又は該疾病若しくは症状を予防することを意味する。
【0020】
本明細書において使用される場合、「有効量」は、本明細書に記載された疾病及び状態、すなわちRNAウィルス感染、より特には第IV群又は第V群由来のRNAウィルス感染、の症状を予防し、軽減し、排除し、処置し、又は制御する際に有効である本発明の化合物の量を云う。語「制御する」は、本明細書に記載された疾病及び状態の進行を遅らせる、中断する、阻む又は停止する可能性があるすべてのプロセスを云うことが意図されるが、必ずしも全ての疾病及び状態の症状の完全な排除を示すわけではなく、予防的処置を包含することが意図される。
【0021】
語「有効量」は、「予防有効量」並びに「処置有効量」を包含する。
【0022】
本明細書において使用される場合、語「予防する」は、所与の現象の発症、すなわち、本発明においてRNAウィルス感染、より特には第IV群又は第V群由来のRNAウィルス感染、に起因する疾病、の危険性を軽減し又は該発症を遅らせることを意味する。
【0023】
本明細書において使用される場合、「予防する」はまた、「発症の可能性を低減する」又は「再発症の可能性を低減する」を包含する。
【0024】
語「予防有効量」は、RNAウィルスによる、より特には第IV群又は第V群由来のRNAウィルスによる、疾病の遅延された発症を予防する際に、感染の前に、すなわちRNAウィルスへの、より特には第IV群又は第V群由来のRNAウィルスへの、暴露期間の前、その間及び/又はそのわずか後に投与される場合に、RNAウィルスによる、より特にはボルティモア分類の第IV群又は第V群由来のRNAウィルスによる、疾病の可能性を阻害し、予防し、減少させる際に、又はRNAウィルス感染、より特には第IV群又は第V群由来のRNAウィルス感染、を予防する際に、有効である本発明の化合物の濃度を云う。
【0025】
同様に、語「処置有効量」は、RNAウィルス感染を処理する際に有効である化合物の濃度、例えば、感染が発生した後に投与された場合に、検査後、RNAウィルス感染における減少をもたらす化合物の濃度、を云う。
【0026】
本明細書において使用される場合、語「薬学的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は合理的な利益/危険比に見合った他の問題の合併症なしに人間及び動物の組織との接触に適した化合物、物質、添加剤、組成物、又は剤形を云う。
【0027】
本明細書において使用される場合、「ウィルス感染又はウィルス関連状態」は、ウィルス、より特には、RNAゲノムを有するウィルス、特別には、ボルティモア分類に従う第IV群又は第V群に属するRNAウィルス、に関連する状態の感染を云う。ウィルスはさらに、異なる科(families)、目(orders)及び属(genus)に分類されうる。
【0028】
参考までに、本明細書において報告されている「ボルティモア分類」の内容は、http://ictvonline.org/virusTaxonomy.aspで、2018年3月12日にオンラインでリリースされている2017 International Committee of Taxonomy of Viruses(ICTV:International Committee of Taxonomy of Viruses)のデータベースに記載されているウィルス分類にさらに言及されている。この分類法は、本明細書中にその全体が組み込まれている。
【0029】
アルファーウィルスは特に、本発明によって考慮され得、且つ第IV群RNAウィルス及びトガウィルス科に関係し得、それは、ポジティブセンス(positive-sense)一本鎖RNAウィルス又は(+)ssRNAウィルスとして定義されることができる。2017年のウィルス分類に従うと、それらの目(order)は「未割り当て」である。トガウィルス科は、アルファーウィルス属とルビウィルス属を包含する。
【0030】
本発明で考慮されるアルファーウィルスの例は、下記を包含する:バーマフォレストウィルス(Barmah Forest virus)、チクングニアウィルス(Chikungunya virus)、マヤロウィルス(Mayaro virus)、オニョンニョンウィルス(O’nyong’nyong virus)、ロスリバーウィルス(Ross River virus)、セムリキフォレストウィルス(Semliki Forest virus)、ウナウィルス(Una virus)、東部ウマ脳炎ウィルス(Eastern equine encephalitis virus)、トネートウィルス(Tonate virus)、ベネズエラウマ脳炎ウィルス(Venezuelan equine encephalitis virus)及びウェスターウマ脳炎ウィルス(Wester equine encephalitis virus)。
【0031】
より好ましくは、本発明に従うアルファーウィルス感染又はアルファーウィルス関連状態は、チクングニアウィルス感染又はチクングニアウィルス関連状態である。
【0032】
より特には、チクングニアウィルス(CHIKV:Chikungunya virus)は、トガウィルス科、すなわちボルティモア分類の第IV群、に属するアルファーウィルス属、に属するRNAウィルス、である。チクングニア熱は、1952年にタンザニア南部で発生した際に最初に報告された蚊媒介性ウィルス性疾患である。CHIKVは、およそ12kbのヌクレオチド長のゲノムを有する、エンベロップのある、ポジティブセンスの一本鎖RNAウィルスである。CHIKVのゲノムは下記の通りに構成されている:5'-cap-nsPl-nsP2-nsP3-nsP4-(接合領域)-C-E3-E2-6k-El-poly(A)-3',その中で、最初の4つのタンパク質(nsPl-4)は非構造タンパク質であり、及び構造タンパク質はキャプシド(C)とエンベロープタンパク質(E)である。アフリカ、アジア、及びインド洋の島々から分離されたCHIKVの間には、明確な血清型の違いはない。El遺伝子配列に基づく系統発生分析は、CHIKVを3つの遺伝子型(系統)、すなわちアジア、東/中央/南アフリカ(ECSA:east/central/south African)、西アフリカ、にグループ化できる。アジアの遺伝子型は、ECSA及び西アフリカの遺伝子型とヌクレオチドレベルでそれぞれ-5%及び-15%異なっていた。アフリカの遺伝子型(ECSA対西アフリカ)は、-15%発散していた。3つの遺伝子型にわたるアミノ酸の同一性は、95.2~99.8%で変化した。
【0033】
チクングニアウィルスは、重度の罹患率に関連付けられた発生を引き起こしうる。
【0034】
チクングニア熱は、感染した蚊によって人間に感染するウィルス性疾患である。ネッタイシマカ(Ae.Aegypti)及びヒトスジシマカ(Ae.Albopictus)の両方が、チクングニア熱の大発生に関係していた。ネッタイシマカは熱帯と亜熱帯内に閉じ込められている一方、ヒトスジシマカはまた、温帯及び寒冷の温帯地域で発生する。ここ数十年で、ヒトスジシマカはアジアから広がり、アフリカ、ヨーロッパ及び南北アメリカの地域に定着してきた。
【0035】
チクングニアウィルスに感染した後、平均2~4日間の潜伏期間があり、その後疾病の症状が続く。そのような症状の中には、発熱及び重度の関節痛が挙げられうる。他の症状は、筋肉痛、頭痛、吐き気、背中の痛み、倦怠感、筋肉痛、及び発疹を包含する。チクングニア熱の重篤な臨床症状がまた発生する可能性があり、例えば、出血熱、結膜炎、羞明、肝炎、口内炎である。神経学的症状、例えば脳炎、熱性けいれん、髄膜症候群、及び急性脳症がまた報告された。
【0036】
関節痛はしばしば衰弱され、且つ持続時間は変わることができる。
【0037】
人間の居住地に対する蚊の繁殖地の近接は、チクングニア熱の有意な危険因子である。
【0038】
チクングニアウィルスの分布は、主にアフリカ、インド及び東南アジアで生じる。ここ数十年で、チクングニア熱の蚊の媒介動物がヨーロッパ及び南北アメリカに広がった。2007年に、疾病の伝染が、イタリア北東部での局地的な発生で初めて報告された。その後、発生が、フランス及びクロアチアで記録されている。
【0039】
様々な血清型を示するデングウィルスがまた、本発明によって考慮され得、且つ第IV群のRNAウィルス及びフラビウィルス科に関係し、それらは、ポジティブセンス一本鎖RNA又は(+)ssRNAウィルスとして定義されることができる。より特には、デングウィルスは、ボルティモア分類の第IV群に属する(+)ssRNAウィルスである。それは、フラビウィルス科に属するフラビウィルス属の一部である。フラビウィルス科に関連する他のウィルスは、C型肝炎ウィルス及び黄熱病ウィルスである。
【0040】
モノネガウィルス(Mononegavirales)目のウィルスがまた、本発明によって特に考慮される。モノネガウィルス目は、ボルティモア分類の第V群に属するウィルスを包含する。2018年現在、この目は主に下記のウィルス科を包含する:ボルナウィルス科(Bornaviridae)、ミモナウィルス科(Mymonaviridae)、フィロウィルス科(Filoviridae)、ニャミウィルス科(Nyamiviridae)、パラミクソウィルス科(Paramyxoviridae)、ニューモウィルス科(Pneumoviridae)、ラブドウィルス科(Rhabdoviridae)、及びサンウィルス科(Sunviridae)。
【0041】
ヒト呼吸器合胞体ウィルス(HRSV:Human respiratory syncytial virus)は、気道感染症を引き起こす合胞体ウィルスである。それは、乳児期及び小児期の下気道感染症及び通院の主な原因である。HRSVウィルスは特に、本発明によって考慮され得、且つRNAウィルスの第V群に関係している。より特にはRSVウィルスは、ボルティモア分類の第V群に属する(-)ssRNAウィルスである。それは、モノネガウィルス目に属するパラミクソウィルス科の一部であるニューモウィルスである。モノネガウィルス目の他のウィルスの中で、本発明によって特に考慮されるものは、はしかウィルス(measles virus)、ムンプスウィルス(mumps virus)、ニパウィルス(Nipah virus)、狂犬病ウィルス(rabies virus)、及びヒトパラインフルエンザウィルス(human parainfluenza virus)(HPIV-1、HPIV-2、HPIV-3及びHPIVを包含する)を包含する。注目すべきことに、該パラミクソウィルス科の亜科は、2016年に更新されたモノネガウィルス目の分類法を参照することにより、パラミクソウィルス科に慣習的に統合された。
【0042】
パラミクソウィルス科の中で特に考慮されているウィルス属には、アクアパラミクソウィルス(Aquaparamyxovirus)属、アブラウィルス(Avulavirus)属、フェラウィルス(Ferlavirus)属、ヘニパウィルス(Henipavirus)属、モルビリウィルス(Morbillivirus)属、レスピロウィルス(Respirovirus)属、及びルブラウィルス(Rubulavirus)属を包含する。
【0043】
オルトミクソウィルス科のウィルスがまた、本発明によって特に考慮される。オルトミクソウィルス科は、2017年のウィルス分類に従うと「未割り当て(Unassigned)」目に属する。オルトミクソウィルス科で特に考慮されているウィルス属は、アルファインフルエンザウィルス(Alphainfluenzavirus)、ベタインフルエンザウィルス(Betainfluenzavirus)、デルテインフルエンザウィルス(Deltainfluenzavirus)、ガンマインフルエンザウィルス(Gammainfluenzavirus)、イサウィルス(Isavirus)、クアランジャウィルス(Quaranjavirus)、及びトゴトウィルス(Thogotovirus)を包含する。
【0044】
インフルエンザウィルスA、インフルエンザウィルスB、インフルエンザウィルスCは、特に本発明によって考慮され、且つネガティブセンスの一本鎖RNA又は(-)ssRNAウィルスとして定義されることができる第V群RNAウィルス及びオルトミクソウィルス科に関係しうる。イサウィルス及びトゴトウィルスがまた、オルトミクソウィルス目に属する。
【発明が解決しようとする課題】
【0045】
本発明者等らは、アリール-N-アリール化合物が、RNAウィルス、より特にはボルティモア分類の第IV群又は第V群に属する一本鎖RNAウィルス、に対して幅広いスペクトル活性を有することを驚くべきことに発見した。第IV群又は第V群はそれぞれ、(+)ssRNAウィルス及び(-)ssRNAウィルスを包含し、それらはまた、(+)ssRNAウィルス及び(-)ssRNAウィルスを包含し、それはまた、ポジティブ-センス一本鎖RNAウィルス及びネガティブ-センス一本鎖RNAウィルスを云う。
【0046】
参考までに、「ボルティモア分類」の内容は、2017年のウィルス分類(Virus Taxonomy)に関する第10回報告書に記載されているウィルスの分類と命名法に照らして考慮されている。
【課題を解決するための手段】
【0047】
本発明の明細書は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、特には、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染、インフルエンザウィルス感染若しくはRSVウィルス感染、又はウィルス関連状態、の処置及び/又は予防における使用の為の下記の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つを開示する。
【0048】
【0049】
ここで、
【化2】
【化3】
パラ位、特にはメタ位、にあり、
X
1は、アルケニレン基、特に、エテニレン基、-NH-CO-基、-CO-NH-基、-CR
aR
bO-基、を表し、
Y
1は、2-ピリジル基又はピリミジニル基から選択されるアリール基を表し、ここで、該ピリミジニル基の窒素原子の一つは、X
1に対してオルト位にある、
又は代替的に、X
1-Y
1は、下記の式のグループ(A)を表し、
【0050】
【0051】
X2は、-CO-NH-基、-NH-CO-NH-基、-OCH2-基、-NH-CO-基、又は-SO2-NH-基を表し、
nは、0、1、2又は3であり、
m及びm’は独立して、0、1又は2であり、
Y2は、水素原子、ヒドロキシル基又は-CR1R2R3基を表し、ここで、R1、R2及びR3は独立して、水素原子、フッ素原子又は(C1~C4)アルキル基を表し、R1、R2及びR3のうちの2つ以上が水素原子ではないと理解され、又はR1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C3~C8)シクロアルキル基を形成し、ここで、該(C3~C8)シクロアルキル基は、任意的に (C1~C4)アルキル基、ハロゲン原子又は(C1~C4)アルコキシ基の1つ又は2つによって置換されていてもよく、並びに、該(C3~C8)シクロアルキル基は、任意的に酸素原子によって上記R1及び/又はR2上で中断(以下、「介在」は「中断」と読み替えるものとする)されていてもよい、
R及びR’は独立して、ハロゲン原子、(C1~C4)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基、又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基を表し、
Ra、Rb、Rc及びRdは独立して、水素原子又は(C1~C4)アルキル基を表し、
但し、X1が-CRaRbO-基である場合、Y1はさらに、ハロゲン原子、(C1~C4)アルキル基、シアノ基、(C1~C5)アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基から選択される1つ又は2つの置換値によって任意的に置換されていてもよい、3-ピリジル、4-ピリジル又はフェニル基でありうる。
【0052】
第1の観点に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染の処置及び/又は予防における使用の為の下記の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関する。
【0053】
【0054】
ここで、
【化6】
X
1は、アルケニレン基、-NH-CO-基、-CO-NH-基を表し、
Y
1は、ピリジル基、ピラジニル基又はピリミジニル基から選択されるアリール基を表し、
X
2は、
-O-基、
CO-NH-基、
-NH-CO-NH-基、
-OCH
2-基、
-NH-CO-基、
1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む二価の5員環ヘテロ芳香族環、例えば トリアゾール又はオキサジアゾール、
又は、
-SO
2-NH-基
を表し、
nは、0、1、2又は3であり、
m及びm’は独立して、0、1又は2であり、
Y
2は、
水素原子、
ヒドロキシル基、
モルホリニル基、
任意的に(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよいピペリジニル基、
任意的に(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよいピペラジニル基、
若しくは、
-CR
1R
2R
3基、ここで、R
1、R
2及びR
3は独立して、水素原子、フッ素原子又は(C
1~C
4)アルキル基を表し、R
1、R
2及びR
3のうちの2つ以上が水素原子ではないと理解され、又はR
1及びR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C
3~C
8)シクロアルキル基を形成し、ここで、該(C
3~C
8)シクロアルキル基は、任意的に (C
1~C
4)アルキル基、ハロゲン原子又は(C
1~C
4)アルコキシ基の1つ又は2つによって置換されていてもよく、並びに、該(C
3~C
8)シクロアルキル基は、任意的に酸素原子によって上記R
1及び/又はR
2上で介在されていてもよい、
又は代替的に、X
2-Y
2は-C(=O)-NR
cR
d基を表し、ここで、R
c及びR
dは窒素原子と一緒に飽和複素環を形成し、該飽和複素環は、任意的に1つ又は2つの(C
1~C
4)アルキル基によって置換され、シクロペンチル基によって置換されてスピロシクロペンチル誘導体を形成する、又はトリフルオロメチル基によって置換されていてもよい、
を表し、
R及びR’は独立して、
(C
1~C
4)アルキル基、
(C
3~C
6)シクロアルキル基、
ハロゲン原子、
(C
1~C
5)アルコキシ基、
-SO
2-NR
aR
b基、
-SO
3H基、
-OH基、又は
-O-SO
2-OR
c基
を表し、
但し、X
1が-NH-CO-基である場合、Y
1はさらに、任意的にハロゲン原子、(C
1~C
4)アルキル基、シアノ基、(C
1~C
5)アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、-SO
2-NR
aR
b基、-SO
3H基、-OH基、-O-SO
2-OR
c基又は-O-P(=O)-(OR
c)(OR
d)基から選択される1つ又は2つの置換値によって置換されていてもよい、フェニル基でありうる。
【0055】
第2の観点に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、特にはチクングニアウィルス感染、デングウィルス感染、インフルエンザウィルス感染若しくはRSVウィルス感染、又はウィルス関連状態、さらにより特にはRSVウィルス感染、チクングニアウィルス感染及びデングウィルス感染、又はウィルス関連状態、の処置及び/又は予防における使用の為の式(I)の化合物に関する。
【0056】
第3の観点に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、特にはチクングニアウィルス感染、デングウィルス感染、インフルエンザウィルス感染若しくはRSVウィルス感染、又はウィルス関連状態、の処置及び/又は予防における使用の為の下記の式(Ia)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関する。
【0057】
【0058】
【0059】
この第3の観点にさらに従うと、本発明は、上記で定義された使用の為の式(Ia)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関連する。ここで、
【0060】
【化9】
Y
1が、2-ピリジル基、3-ピリジル基又はピラジニル基を表し、
nは1、2又は3であり、mは0であり、
R’が、ハロゲン原子、(C
1~C
2)アルコキシ基又は(C
1~C
2)アルキル基であり、
X
2が、-CO-NH-基、-SO
2-NH-基又は二価のトリアゾール基を表し、
Y
2が、
任意的に(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよい、モルホリニル基、ピペリジニル基又はピペラジニル基、
-CR
1R
2R
3基、ここで、R
1、R
2及びR
3は独立して、水素原子又は(C
1~C
2)アルキル基を表し、R
1、R
2及びR
3のうちの2つ以上が水素原子ではないと理解され、若しくはR
1及びR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C
3~C
6)シクロアルキル基を形成し、
又は代替的に、X
2-Y
2は-C(=O)-NR
cR
d基を表し、ここで、R
c及びR
dは窒素原子と一緒に飽和複素環を形成し、該飽和複素環は任意的に、1つ又は2つの(C
1~C
4)アルキル基によって置換され、シクロペンチル基によって置換されてスピロシクロペンチル誘導体を形成する、又はトリフルオロメチル基によって置換されていてもよい、
を表す。
【0061】
上記第3の観点にさらに従うと、本発明はさらに、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、特にはチクングニアウィルス感染、デングウィルス感染、インフルエンザウィルス感染若しくはRSVウィルス感染、又はウィルス関連状態、の処置及び/又は予防における使用の為の上記で定義された式(Ia)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関連する。ここで、
【0062】
【化10】
Y
1が、2-ピリジル基を表し、
nが2であり、mが0であり、R’が、ハロゲン原子、(C
1~C
2)アルコキシ基又は(C
1~C
2)アルキル基であり、
Y
2が、-CR
1R
2R
3基を表し、ここで、R
1、R
2及びR
3は独立して、水素原子又は(C
1~C
2)アルキル基を表し、R
1、R
2及びR
3のうちの2つ以上が水素原子ではないと理解され、若しくはR
1及びR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C
3~C
6)シクロアルキル基を形成する。
【0063】
第4の観点に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染特には、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染、インフルエンザウィルス感染若しくはRSVウィルス感染、又はウィルス関連状態、の処置及び/又は予防における使用の為の下記の(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関する。
【0064】
【0065】
この第4の観点にさらに従うと、本発明は、上記で定義された使用の為の式(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩に関し、ここで、
【0066】
【化13】
Y
1が、フェニル基、2-ピリジル基又はピリミジニル基であり、ここで、該ピリミジニル基の窒素原子の1つが、-NH-CO-基に対してオルト位にある、
Nが1、2又は3であり、mが0であり、m’が0又は1であり、
R’が、(C
3~C
6)シクロアルキル基であり、
X
2が、-CO-NH-基、-O-基又は二価のトリアゾールを表し、
Y
2が、
ヒドロキシル基、
任意的に(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよい、モルホリニル基、ピペリジニル基又はピペラジニル基、
-CR
1R
2R
3基、ここで、R
1、R
2及びR
3は独立して、水素原子又は(C
1~C
2)アルキル基を表し、R
1、R
2及びR
3のうちの2つ以上が水素原子ではないと理解され、若しくはR
1及びR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C
3~C
6)シクロアルキル基を形成し、該(C
3~C
6)シクロアルキル基は任意的に、酸素原子によって上記R
1及び/又はR
2上で介在されていてもよい、
を表す。
【0067】
上記第4の観点にさらに従うと、本発明はさらに、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、特には、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染、インフルエンザウィルス感染若しくはRSVウィルス感染、又はウィルス関連状態、の処置及び/又は予防における使用の為の式(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関連する。ここで、
【0068】
【化14】
Y
1が、2-ピリジル基又はピリミジニル基であり、ここで、該ピリミジニル基の窒素原子の1つが、-NH-CO-基に対してオルト位にある、
Nが1又は2であり、m及びm’が0であり、
X
2が、-CO-NH-基であり、
Yが、-CR
1R
2R
3基を表し、ここで、R
1、R
2及びR
3は独立して、水素原子又は(C
1~C
2)アルキル基を表し、R
1、R
2及びR
3のうちの2つ以上が水素原子ではないと理解され、若しくはR
1及びR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C
3~C
6)シクロアルキル基を形成し、該(C
3~C
6)シクロアルキル基は任意的に、酸素原子によって上記R
1及び/又はR
2上で介在されていてもよい。
【0069】
第5の観点に従うと、本発明は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、特には、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染、インフルエンザウィルス感染若しくはRSVウィルス感染、又はウィルス関連状態、の処置及び/又は予防における使用の為の式(Id)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関連する。
【0070】
【0071】
この第5の観点にさらに従うと、本発明は、上記で定義された使用の為の式(Id)の化合物、又はその薬学的に許容される塩に関し、ここで、
【0072】
【化17】
Y
1が、2-ピリジル基又は3-ピリジル基であり、
X
2が、-CO-NH-基、-SO
2-NH-基又は二価のトリアゾールを表し、
m’及びmが0であり、nが1、2又は3であり、
Y
2が、ヒドロキシル又は-CR
1R
2R
3基を表し、ここで、R
1、R
2及びR
3は独立して、水素原子又は(C
1~C
2)アルキル基を表し、R
1、R
2及びR
3のうちの2つ以上が水素原子ではないと理解され、若しくはR
1及びR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C
3~C
6)シクロアルキル基を形成する。
【0073】
上記第5の観点にさらに従うと、本発明はさらに、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、特には、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染、インフルエンザウィルス感染若しくはRSVウィルス感染、又はウィルス関連状態、の処置及び/又は予防における使用の為の式(Id)の化合物、又はその薬学的に許容される塩に関し、ここで、
【0074】
【化18】
【化19】
Y
1が2-ピリジル基であり、
m’及びmが0であり、nが2であり、
Y
2が、-CR
1R
2R
3基を表し、ここで、R
1、R
2及びR
3は独立して、水素原子又は(C
1~C
2)アルキル基を表し、R
1、R
2及びR
3のうちの2つ以上が水素原子ではないと理解され、若しくはR
1及びR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C
3~C
6)シクロアルキル基を形成する。
【0075】
上記された化合物(I)、(Ia)、(Ib)及び(Id)は特に、ウィルス感染又は関連状態、特にはボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染又は関連状態、最も好ましくはチクングニアウィルス感染、デングウィルス感染、インフルエンザウィルス感染若しくはRSVウィルス感染、又はウィルス関連状態、を処置し又は予防する為に適している。
【0076】
上記された化合物はさらにより特には、チクングニアウィルス感染、デングウィルス感染若しくはRSVウィルス感染又はウィルス関連状態、最も特にはRSVウィルス感染、を処置し又は予防する為に適している。
【0077】
本発明の更なる観点は、例えば医薬、医薬組成物及び合成プロセスとしての式(I)、式(Ia)、式(Ib)及び式(Id)の新規な化合物の使用であり、本明細書の以下に説明されるであろう。
【0078】
特定の実施形態に従うと、本特許明細書の主題は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、特にはチクングニアウィルス感染、デングウィルス感染、インフルエンザウィルス感染若しくはRSVウィルス感染、又はウィルス関連状態、の処置及び/又は予防における使用の為の上記で定義された式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を記載し、ここで、アルケニレン基は(E)-アルケニレン基であり、
m及びm’は独立して、0又は1であり、
Y2が、-CR1R2R3基を表し、ここで、R1、R2及びR3は独立して、水素原子、フッ素原子又は(C1~C2)アルキル基を表し、R1、R2及びR3のうちの2つ以上が水素原子ではないと理解され、若しくはR1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C3~C6)シクロアルキル基を形成し、該(C3~C6)シクロアルキル基は任意的に、1つ又は2つのハロゲン原子によって置換されていてもよく、並びに、該(C3~C6)シクロアルキル基は任意的に、酸素原子によって上記R1及び/又はR2上で介在されていてもよい、
R及びR’は独立して、ハロゲン原子、(C1~C2)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基又は(C1~C2)アルコキシ基を表す。
【0079】
さらなる実施態様に従うと、本特許明細書は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染の処置及び/又は予防における使用の為の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つを記載する。
【0080】
【0081】
ここで、
【化21】
【化22】
X
1は、アルケニレン基、-NH-CO-基、-CO-NH-基、-CR
aR
bO-基を表し、
Y
1は、2-ピリジル基又はピリミジニル基から選択されるアリール基を表し、ここで、ピリミジニル基の窒素原子の1つが、X
1に対してオルト位にあり、
又は代替的に、X
1-Y
1は、下記の式のグループ(A)を表し、
【0082】
【0083】
X2は、-CO-NH-基、-NH-CO-NH-基、-OCH2-基、-NH-CO-基、又は-SO2-NH-基を表し、
nは、0、1、2又は3であり、
m及びm’は独立して、0、1又は2であり、
Y2は、水素原子、ヒドロキシル基又は-CR1R2R3基を表し、ここで、R1、R2及びR3は独立して、水素原子、フッ素原子又は(C1~C4)アルキル基を表し、R1、R2及びR3のうちの2つ以上が水素原子ではないと理解され、又はR1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C3~C8)シクロアルキル基を形成し、該(C3~C8)シクロアルキル基は任意的に、(C1~C4)アルキル基、ハロゲン原子又は(C1~C4)アルコキシ基の1つ又は2つによって置換されていてもよく、並びに、該(C3~C8)シクロアルキル基は任意的に、酸素原子によって上記R1及び/又はR2上で介在されていてもよい、
R及びR’は独立して、ハロゲン原子、(C1~C4)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基、(C1~C5)アルコキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基を表し、
Ra、Rb、Rc及びRdは独立して、水素原子又は(C1~C4)アルキル基を表し、
但し、X1が-CRaRbO-基である場合、Y1はさらに、任意的にハロゲン原子、(C1~C4)アルキル基、シアノ基、(C1~C5)アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、-SO2-NRaRb基、-SO3H基、-OH基、-O-SO2-ORc基又は-O-P(=O)-(ORc)(ORd)基から選択される1つ又は2つの置換値によって置換されていてもよい、3-ピリジル、4-ピリジル又はフェニル基であってもよい、
並びに、但し、Y1-X1がエテニレン基を表し、X2が-CO-NH-基を表し、及びY2が-CR1R2R3基を表し、ここで、R1、R2及びR3が独立して、水素原子又は(C1~C4)アルキル基を表し、及びm’が0と異なる。
【0084】
特定の実施形態になお従うと、本発明は、式(I)に包含される新規な化合物に向けられている。
【0085】
上記の新規な化合物は、また許容可能な形態下であり得、下記から選択される:
(1) 式(I)について上記で定義された式(Ia)の化合物
ここで、
Y
1が、2-ピリジル基、3-ピリジル又はピラジニル基であり、
【化24】
X
2、Y
2、n、R、R’、m及びm’は、上記で定義された通りであり、
【化25】
但し、本明細書の以下で定義された化合物(1)及び(2)は除かれる、
(2) 式(I)について上記で定義された式(Ib)の化合物
ここで、
Y
1が、フェニル基、2-ピリジル基又はピリミジニル基であり、ここで、該ピリミジニル基の窒素原子の1つが、X
1に対してオルト位にある、
【化26】
並びに、
(4) 式(I)について上記で定義された式(Id)の化合物
ここで、
Y
1が、2-ピリジル基又は3-ピリジル基であり、並びに、
【化27】
【0086】
本発明の他の観点において、本発明の主題は、医薬として使用する為の、直上で定義されている式(Ia)、式(Ib)及び式(Id)の新規な化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか1つ、並びに、本明細書の以下で定義されている化合物(3)~(18)、(32)~(35)、(91)のいずれか1つ、又はその薬学的に許容される塩のいずれか1つ、に関する。
【0087】
【化28】
された実施態様の任意の互いの組み合わせは、本発明の一部を形成する。
【0088】
特定の実施形態に従うと、本発明は、上記で定義された使用の為の式(I)の化合物に関し、ここで、
【化29】
【0089】
特定の実施形態に従うと、本特許明細書の主題は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、特にはチクングニアウィルス感染、デングウィルス感染、インフルエンザウィルス感染若しくはRSVウィルス感染、又はウィルス関連状態、の処置及び/又は予防における使用の為の上記で定義された式(Ia)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つを記載する。
ここで、
該アルケニレン基は、(E)-アルケニレン基であり、
m及びmは独立して、0又は1であり、
Y2は、-CR1R2R3基を表し、ここで、R1、R2及びR3は独立して、水素原子、フッ素原子又は(C1~C2)アルキル基を表し、R1、R2及びR3のうちの2つ以上が水素原子ではないと理解され、若しくはR1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C3~C6)シクロアルキル基を形成し、該(C3~C6)シクロアルキル基は任意的に、1つ又は2つのハロゲン原子によって置換されていてもよく、並びに、該(C3~C6)シクロアルキル基は任意的に、酸素原子によって上記R1及び/又はR2上で介在されていてもよい、
該(C3~C6)シクロアルキル基は任意的に、1つ又は2つのハロゲン原子によって置換されていてもよく、並びに、該(C3~C6)シクロアルキル基は任意的に、酸素原子によって上記R1及び/又はR2上で介在されていてもよい、
R及びR’は独立して、ハロゲン原子、(C1~C2)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基又は(C1~C2)アルコキシ基を表す。
【0090】
特定の実施形態に従うと、本特許明細書の主題は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、特にチクングニアウィルス感染、デングウィルス感染、インフルエンザウィルス感染若しくはRSVウィルス感染、又はウィルス関連状態、の処置及び/又は予防における使用の為の上記で定義された式(Ib)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つを記載する。
ここで、
m及びmは独立して、0又は1であり、
Y2が-CR1R2R3基を表し、ここで、R1、R2及びR3は独立して、水素原子、フッ素原子又は(C1~C2)アルキル基を表し、R1、R2及びR3のうちの2つ以上が水素原子ではないと理解され、若しくはR1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C3~C6)シクロアルキル基を形成し、該(C3~C6)シクロアルキル基は任意的に、1つ又は2つのハロゲン原子によって置換されていてもよく、並びに、該(C3~C6)シクロアルキル基は任意的に、酸素原子によって上記R1及び/又はR2上で介在されていてもよい、
R及びR’は独立して、ハロゲン原子、(C1~C2)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基又は(C1~C2)アルコキシ基を表す。
【0091】
特定の実施形態に従うと、本特許明細書の主題は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、特にチクングニアウィルス感染、デングウィルス感染、インフルエンザウィルス感染若しくはRSVウィルス感染、又はウィルス関連状態、の処置及び/又は予防における使用の為の上記で定義された式(Id)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つを記載する。
ここで、
m及びmは独立して、0又は1であり、
Y2が-CR1R2R3を表し、ここで、R1、R2及びR3は独立して、水素原子、フッ素原子又は(C1~C2)アルキル基を表し、R1、R2及びR3のうちの2つ以上が水素原子ではないと理解され、若しくはR1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C3~C6)シクロアルキル基を形成し、該(C3~C6)シクロアルキル基は任意的に、1つ又は2つのハロゲン原子によって置換されていてもよく、並びに、該(C3~C6)シクロアルキル基は任意的に、酸素原子によって上記R1及び/又はR2上で介在されていてもよい、
R及びR’は独立して、ハロゲン原子、(C1~C2)アルキル基、(C3~C6)シクロアルキル基又は(C1~C2)アルコキシ基を表す。
【0092】
別の実施態様において、本発明は、上記で定義された使用の為の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関する。
ここで、
Y1が、
2-ピリジニル基又は3-ピリジニル基、
ピリミジニル基又はピラジニル基、ここで、複数の窒素原子のうちの1つが、X1に対してオルト位であってもよい
を表し、
但し、X1が-NH-CO-基である場合、Y1はさらに、フェニル基でありうる。
【0093】
別の実施態様において、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つにおいて、上記で定義された使用の為に、ここで、
X2が、
-O-基、
-CO-NH-基、
二価のトリアゾール、
又は、
-SO2-NH-基
を表す。
【0094】
別の実施態様において、本発明は、上記で定義された使用の為の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、ここで、
Y2が、
ヒドロキシル基、
モルホリニル基、
任意的に(C1~C4)アルキル基によって置換されていてもよいピペリジニル基、
任意的に(C1~C4)アルキル基によって置換されていてもよいピペラジニル基、
又は、
-CR1R2R3基、ここで、R1、R2及びR3は独立して、水素原子、フッ素原子又は(C1~C4)アルキル基を表し、R1、R2及びR3のうちの2つ以上が水素原子ではないと理解され、又はR1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C3~C8)シクロアルキル基を形成する、
を表す。
【0095】
別の実施態様において、本発明は、上記で定義された使用の為の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、ここで、
R及びR’が独立して、
(C1~C4)アルキル基、
(C3~C6)シクロアルキル基、
ハロゲン原子、又は
(C1~C5)アルコキシ基
を表す。
【0096】
【化30】
された実施態様の任意の互いの組み合わせは、本発明の一部を形成する。
【0097】
別の実施態様において、本発明は、上記で定義された使用の為の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関し、ここで、
【化31】
R”が水素原子であり、
Y
1が2-ピリジニル基であり、但し、X
1が-NH-CO-基である場合、Y
1はさらにフェニル基でありうる、
X
2が、-O-基、-CO-NH-基を表し、
Y
2が、-CR
1R
2R
3基を表し、ここで、R
1及びR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C
3~C
8)シクロアルキル基を形成し、及び、R
3は、水素原子又は(C
1~C
4)アルキル基を表す、並びに、
R及びR’は独立して、水素原子又は(C
3~C
6)シクロアルキル基、例えばシクロプロピル基、を表す。
【0098】
本発明の好ましい実施態様に従うと、式(I)の化合物は下記から選択される:
(1) (E)-N-イソペンチル-3-((4-(2-(ピリジン-2-イル)ビニル)フェニル)アミノ)ベンズアミド
(2) (E)-N-イソペンチル-4-((4-(2-(ピリジン-2-イル)ビニル)フェニル)アミノ)ベンズアミド
(3) (E)-N-イソペンチル-3-((3-メトキシ-4-(2-(ピリジン-2-イル)ビニル)フェニル)アミノ)ベンズアミド
(4) (E)-N-(2-シクロヘキシルエチル)-3-((4-(2-(ピリジン-2-イル)ビニル)フェニル)アミノ)ベンズアミド
(5) (E)-N-ネオペンチル-3-((4-(2-(ピリジン-2-イル)ビニル)フェニル)アミノ)ベンズアミド
(6) (E)-N-(2-シクロペンチルエチル)-3-((4-(2-(ピリジン-2-イル)ビニル)フェニル)アミノ)ベンズアミド
(7) (E)-N-イソペンチル-3-((4-(2-(ピリジン-2-イル)ビニル)フェニル)アミノ)ベンゼンスルホンアミド
(8) (E)-N-(2-シクロプロピルエチル)-3-((4-(2-(ピリジン-2-イル)ビニル)フェニル)アミノ)ベンズアミド
(9) (E)-N-(2-シクロブチルエチル)-3-((4-(2-(ピリジン-2-イル)ビニル)フェニル)アミノ)ベンズアミド
(10) (E)-N-(2-シクロペンチルエチル)-6-((4-(2-(ピリジン-2-イル)ビニル)フェニル)アミノ)ピコリンアミド
(11) (E)-N-(2-シクロヘキシルエチル)-3-((3-フルオロ-4-(2-(ピリジン-2-イル)ビニル)フェニル)アミノ)ベンズアミド
(12) (E)-N-(2-シクロペンチルエチル)-3-((2-メチル-4-(2-(ピリジン-2-イル)ビニル)フェニル)アミノ)ベンズアミド
(13) (E)-N-イソペンチル-3-((2-メチル-4-(2-(ピリジン-2-イル)ビニル)フェニル)アミノ)ベンズアミド
(14) N-イソペンチル-3-((4-(ピリジン-2-イルカルバモイル)フェニル)アミノ)ベンズアミド
(15) N-(2-シクロペンチルエチル)-3-((4-(ピリジン-2-イルカルバモイル)フェニル)アミノ)ベンズアミド
(16) N-(2-シクロヘキシルエチル)-3-((4-(ピリジン-2-イルカルバモイル)フェニル)アミノ)ベンズアミド
(17) N-(2-シクロペンチルエチル)-3-((4-(ピリミジン-4-イルカルバモイル)フェニル)アミノ)ベンズアミド
(18) N-イソペンチル-3-((4-(ピリミジン-2-イルカルバモイル)フェニル)アミノ)ベンズアミド
(32) N-(4-((3-(イソペンチルカルバモイル)フェニル)アミノ)フェニル)ピコリンアミド
(33) N-(4-((3-(ネオペンチルカルバモイル)フェニル)アミノ)フェニル)ピコリンアミド
(34) N-(4-((3-(N-イソペンチルスルファモイル)フェニル)アミノ)フェニル)ピコリンアミド
(35) N-(4-((3-((2-シクロペンチルエチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)フェニル)ピコリンアミド
(91) 3-({3-メトキシ-4-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)エテニル]フェニル}アミノ)-N-[3-(モルホリン-4-イル)プロピル]ベンズアミド
(92) 3-({2-メチル-4-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)エテニル]フェニル}アミノ)-N-[3-(モルホリン-4-イル)プロピル]ベンズアミド
(93) N-(2-シクロペンチルエチル)-3-({4-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)エテニル]フェニル}アミノ)ベンゼン-1-スルホンアミド
(94) 4-[(E)-2-(ピリジン-2-イル)エテニル]-N-{3-[4-(トリフルオロメチル)ピペリジン-1-カルボニル]フェニル}アニリン
(95) N-(3-メチルブチル)-3-({4-[(E)-2-(ピラジン-2-イル)エテニル]フェニル}アミノ)ベンズアミド
(96) N-(2-シクロペンチルエチル)-3-({4-[(E)-2-(ピラジン-2-イル)エテニル]フェニル}アミノ)ベンズアミド
(97) N-[3-(4,4-ジメチルピペリジン-1-カルボニル)フェニル]-4-[(E)-2-(ピリジン-2-イル)エテニル]アニリン
(98) N-(3-{8-アザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル}フェニル)-4-[(E)-2-(ピリジン-2-イル)エテニル]アニリン
(99) 3-[4-(2-メチルプロピル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]-N-{4-[(E)-2-(ピリジン-2-イル)エテニル]フェニル}アニリン
(100) 3-[4-(2-メチルプロピル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]-N-{4-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)エテニル]フェニル}アニリン
(101) N-(3-メチルブチル)-3-({4-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)エテニル]フェニル}アミノ)ベンズアミド
(102) N-(3-メチルブチル)-3-({4-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)エテニル]フェニル}アミノ)ベンゼン-1-スルホンアミド
(103) N-(2-シクロペンチルエチル)-3-({4-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)エテニル]フェニル}アミノ)ベンズアミド
(104) N-(2,2-ジメチルプロピル)-3-({4-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)エテニル]フェニル}アミノ)ベンズアミド
(105) N-(2-シクロヘキシルエチル)-3-({4-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)エテニル]フェニル}アミノ)ベンズアミド
(106) N-[3-(モルホリン-4-イル)プロピル]-3-({4-[(E)-2-(ピリジン-2-イル)エテニル]フェニル}アミノ)ベンゼン-1-スルホンアミド
(107) N-[3-(モルホリン-4-イル)プロピル]-2-({4-[(E)-2-(ピリジン-2-イル)エテニル]フェニル}アミノ)ピリジン-4-カルボキサミド
(108) N-[3-(モルホリン-4-イル)プロピル]-6-({4-[(E)-2-(ピリジン-2-イル)エテニル]フェニル}アミノ)ピリジン-2-カルボキサミド
(109) N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-2-({4-[(E)-2-(ピリジン-2-イル)エテニル]フェニル}アミノ)ピリジン-4-カルボキサミド
(110) N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-6-({4-[(E)-2-(ピリジン-2-イル)エテニル]フェニル}アミノ)ピリジン-2-カルボキサミド
(111) N-[3-(モルホリン-4-イル)プロピル]-3-({4-[(E)-2-(ピリジン-2-イル)エテニル]フェニル}アミノ)ベンズアミド
(112) N-[3-(ピペリジン-1-イル)プロピル]-3-({4-[(E)-2-(ピリジン-2-イル)エテニル]フェニル}アミノ)ベンズアミド
(113) N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-3-({4-[(E)-2-(ピリジン-2-イル)エテニル]フェニル}アミノ)ベンズアミド
(114) 3-{4-[(ジエチルアミノ)メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル}-N-{4-[(E)-2-(ピリジン-2-イル)エテニル]フェニル}アニリン
(115) 4-{[3-(3-シクロヘキシルプロポキシ)フェニル]アミノ}-3-シクロプロピルN-フェニルベンズアミド
(116) 3‐シクロプロピル4‐({2‐[(3‐メチルブチル)カルバモイル]フェニル}アミノ)‐N‐(ピリミジン‐2‐イル)ベンズアミド
(117) 3-シクロプロピルN-(ピリミジン-2-イル)-4-({2-[(3,3,3-トリフルオロプロピル)カルバモイル]フェニル}アミノ)ベンズアミド
(118) 4-[(3-{[3-(モルホリン-4-イル)プロピル]カルバモイル}フェニル)アミノ]-N-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド
(119) 4-[(3-{[3-(ピペリジン-1-イル)プロピル]カルバモイル}フェニル)アミノ]-N-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド
(120) 4-[(3-{[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]カルバモイル}フェニル)アミノ]-N-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド
(121) 4-({3-[4-(ヒドロキシメチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]フェニル}アミノ)-N-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド
(122) N-[4-({3-[4-(2-メチルプロピル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]フェニル}アミノ)フェニル]ピリジン-2-カルボキサミド
及びそれらの薬学的に許容される塩。
【0099】
本発明は、化合物(3)~(18)、(32)~(35)、(91)~(122)及びそれらの薬学的に許容される塩、例えば臭化水素酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アスコルビン酸塩、塩酸塩、トシル酸塩、トリフラート、マレイン酸塩、メシル酸塩、ギ酸塩、酢酸塩及びフマル酸塩、にまで及ぶ。
【0100】
本発明の他の観点において、本発明の主題は、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染を予防し、阻害し、又は処置する為の剤としての使用の為の、上記で定義された式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Id)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つ、及び、化合物(1)~(18)、(32)~(35)及び(91)~(122)、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関する。
【0101】
上記で定義された下記の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つが、ボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染を予防し、阻止し、又は処置する為の剤としての使用の為に特に適していうる。
【0102】
ここで、
【化32】
Y
1が2-ピリジニル基を表し、但し、X
1が-NH-CO-基である場合、Y
1はさらに、フェニル基でありうる、
X
2が、-O-基、-CO-NH-基を表し、
Y
2が、
-CR
1R
2R
3基、ここで、R
1、R
2及びR
3は独立して、水素原子又は(C
1~C
4)アルキル基を表し、R
1、R
2及びR
3のうちの2つ以上が水素原子ではないと理解され、又はR
1及びR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒に(C
3~C
8)シクロアルキル基を形成し、及び、R
3は、水素原子又は(C
1~C
4)アルキル基を表す、又は、
モルホリニル基、
を表し、並びに、
m及びm’は0であり(すなわち、水素原子であり)、又はR及びR’は独立して
、(C
1~C
4)アルキル基、例えばメチル基、又は(C
3~C
6)シクロアルキル基、例えばシクロプロピル基、を表す。
【0103】
化合物(12)、(13)、(15)及び(35)、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つが特に、デング熱感染を予防し、阻害し、又は処置する為に有用でありうる。
【0104】
化合物(12)、(13)、(16)及び(115)、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つが特に、RSV感染を予防し、阻害し、又は処置する為に有用でありうる。
【0105】
化合物(1)、(2)、(4)、(6)、(9)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(32)、(35)、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つが特に、チクングニア感染を予防し、阻害し、又は処置する為に有用でありうる。
【発明を実施するための形態】
【0106】
本発明の化合物は、遊離塩基の形態で、又は薬学的に許容される酸との付加塩の形態で存在しうる。
【0107】
「その薬学的に許容される塩」は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)で形成された酸付加塩から形成される塩、並びに、有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルモイン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフレンスルホン酸、ナフレンジスルホン酸、及びポリガラクツロン酸、で形成された酸付加塩から形成される塩を云う。
【0108】
式(I)の化合物の生理学的に許容される適切な酸付加塩は、臭化水素酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アスコルビン酸塩、塩酸塩、トシル酸塩、トリフラート、マレイン酸塩、メシル酸塩、ギ酸塩、酢酸塩及びフマル酸塩を包含する。
【0109】
式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Id)の化合物、及び化合物(1)~(18)、(32)~(35)及び(91)~(122)のいずれか一つ、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つは、溶媒和物又は水和物を形成し得、及び本発明は、そのような全ての溶媒和物及び水和物を包含する。
【0110】
語「水和物」及び「溶媒和物」は単に、本発明に従う化合物(I)、(Ia)、(Ib)及び(Id)が、水和物又は溶媒和物の形態、すなわち、1以上の水又は溶媒分子と結合され又は関連付けられている、であることができることを意味する。これは、そのような化合物の化学的特性にすぎず、それは、このタイプの全ての有機化合物に適用されることができる。
【0111】
本発明の文脈において、
語「ハロゲン」は、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を意味すると理解され、特に塩素原子、フッ素原子、又は臭素原子を示す。
本明細書において使用される場合、語「(C1~Cx)アルキル」はそれぞれ、C1~Cxの第一級、第二級又は第三級の飽和炭化水素、例えば(C1~C6)アルキル、を云う。例は、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、ブチル、ペンチルであるが、これらに限定されない。
語「アルケニレン」は、二重結合、より特にはビニレン基(ビニレン又は1,2-エテネジルとしてまた知られている)、を含む二価の(C~Cx)アルキル基を意味する。
本明細書において使用される場合、語「(C3~C6)シクロアルキル」は、環状飽和炭化水素を云う。例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルであるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される場合、語「(C3~C6)シクロアルケニル」は、少なくとも1つの不飽和結合を含む環状非芳香族炭化水素を云う。例は、シクロペンテニル及びシクロヘキセニルであるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される場合、語「(C1~Cx)アルコキシ」は、O-(C1~Cx)アルキル部分を云い、ここで、アルキルは上記で定義された通りであり、例えば(C1~C6)アルコキシである。例は、メトキシ、エトキシ、1-プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ、ペントキシであるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される場合、語「アリール」は、6個の炭素原子を含み且つ0~2個のヘテロ原子、例えば窒素原子、酸素原子又は硫黄原子、特に窒素原子、を含む単環式芳香族基を云う。アリール基の例として、フェニル、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジンなどが挙げられうるが、これらに限定されない。本発明の枠組みにおいて、アリールは有利には、フェニル、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、例えば2-ピリジン又は3-ピリジン及びピリミジンである。該アリールはさらにより有利には、フェニル及びピリジン、例えば2-ピリジン又は3-ピリジン、である。
本明細書において使用される場合、語「1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む二価の5員環ヘテロ芳香族環」は、5本の鎖と、窒素原子及び酸素原子から選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む芳香環からなる二価の環を意味する。1つの実施態様において、それは、少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは少なくとも1つの窒素原子、を含む。別の実施態様において、それは、少なくとも2つのヘテロ原子、例えば少なくとも1つの窒素原子、を含む。更なる実施態様に従うと、それは、2、3又は4個の窒素原子、好ましくは3個の窒素原子、を含む。さらに更なる実施態様に従うと、それは、1つの窒素原子と1つの酸素原子、又は2つの窒素原子と1つの酸素原子、を含む。例は、二価のトリアゾール、例えば1,2,3-若しくは1,2,4-トリアゾール、オキサジアゾール、例えば1,2,4-オキサジアゾール若しくは1,2,3-オキサジアゾール及び二価のジアゾール、例えば二価のジアゾール及び二価のイミダゾール、を含むがこれらに限定されない。好ましい実施態様に従うと、2又は3個のヘテロ原子を含むそのような二価の5員環ヘテロ芳香族環は、二価のトリアゾールである。
【0112】
式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Id)の化合物は、1以上の不斉炭素原子を含むことができる。従って、それらはエナンチオマーの又はジアステレオマーの形態で存在することができる。これらのエナンチオマー、ジアステレオマー、及びラセミ混合物を含むそれらの混合物は、本発明の範囲内に包含される。
【0113】
本発明の化合物は、当業者によって実施される有機合成の慣用的な方法によって調製されることができる。以下に概説される一般的な反応シーケンスは、本発明の化合物を調製する為に有用な一般的な方法を表し、且つ範囲又は有用性を限定することを意味するものでない。
【0114】
一般式(I)の化合物は、下記のスキーム1に従って調製されることができる。
【0115】
【0116】
該合成は、上記の式(III)のハロゲノ芳香族化合物から始まるカップリング反応に基づき、
【化34】
定義された通りであり、及び、Xは、塩素原子、ヨウ素原子又は臭素原子である。
【0117】
一つの実施態様において、手順(A1)が有利には、
【化35】
場合に使用されうる。
【0118】
手順(A1)に従うと、式(III)の化合物が、プロトン性溶媒、例えばtert-ブタノール、中に置かれうる。次に、式(II)の化合物が、無機塩基、例えばCs2CO3又はK2CO3、の存在下で例えば式(III)の化合物に対して1~1.5のモル比で、ジホスフィン、例えばXantphos (4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン)又はX-Phos (2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル)、の存在下で、式(III)の化合物の化合物に対して例えば1~5のモル比で、特には式(III)の化合物の総量に対して2モル%~15モル%の量で且つ有機金属触媒、例えばPd(OAc)2又はPd2dba3、の存在下で、式(III)の化合物の総量に対して2モル%~25モル%の量で、添加されうる。次に、反応混合物は、80~130℃の温度で、例えば90℃で、加熱されることができ、そして、不活性ガス、例えばアルゴン、下で、15~25時間、例えば20時間、撹拌されることができる。反応混合物は減圧下で濃縮されることができ、そして該残渣は、有機溶媒、例えば酢酸エチル、で希釈されることができる。有機相が、水で洗われ、デカンテーションされ、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、そして、次に、減圧下で濃縮されて、式(I)の化合物を与えることができる。
【0119】
一つの実施態様において、手順(A2)が有利には、
【化36】
【0120】
手順(A2)に従うと、式(II)の化合物が、極性非プロトン性溶媒、例えばジメチルスルホキシド、中に置かれうる。次に、式(III)の化合物が、無機塩基、例えばCs2CO3又はK2CO3、の存在下で、式(II)の化合物に対して例えば1~1.5のモル比で、リガンド、例えばL-プロリン、の存在下で、式(II)の化合物に対してさらに例えば1~5のモル比で、特には有機金属触媒、例えばCuI、の存在下で、式(II)の化合物の総量に対して特には2モル%~25モル%の量で、添加されうる。次に、反応混合物は、80~130℃の温度で、例えば90℃で、加熱されることができ、そして、15~25時間、例えば20時間、不活性ガス、例えばアルゴン、下で、撹拌されることができる。反応混合物は、有機溶媒、例えば酢酸エチル、で希釈されることができる。有機相が、水で洗われ、デカンテーションされ、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、そして、次に、減圧下で濃縮されて、式(I)の化合物を与えることができる。
【0121】
式(II)、式(III)の出発化合物が入手可能であるか、又は当業者に知られている方法に従って調製されることができる。
【0122】
従って、本発明はさらに、上記で定義された式(I)、式(I)、式(Ia)、式(Ib)及び式(Id)の新規な化合物、より特には式(Ia)、式(Ib)又は式(Id)の化合物、を製造する為の合成方法であって、
下記の式(II)の化合物
【0123】
【0124】
【化38】
と、無機塩基及びリガンドの存在下且つ有機金属触媒の存在下でカップリングさせて、式(I)、式(I)、式(Ia)、式(Ib)又は式(Id)の新規な化合物、より特には式(Ia)、式(Ib)又は式(Id)の新規な化合物を得る工程を少なくとも含み、
【0125】
【化39】
定義された通りであり、及び、Xは、塩素原子、ヨウ素原子又は臭素原子である、
、上記方法に関する。
【0126】
より特には、式(Ia)の化合物を調製する為に使用される場合、式(IIa)の化合物は、下記のスキーム2に従って調製されることができる。
【0127】
【0128】
上記の式(IIa)及び式(IVa)の中間化合物は、本発明に従う式(Ia)の化合物を調製する為に有用である。
【0129】
手順(B)に従うと、該ブロモニトロベンゼン誘導体は、極性溶媒、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、中に置かれうる。次に、ビニルアリール(ここで、アリールは、上記で定義された同じ意味を有する)が、無機塩基、例えば酢酸ナトリウム又は酢酸カリウム、の存在下、該ブロモニトロベンゼン誘導体に対して例えば1~1.5のモル比で、ホスフィン、例えばトリフェニルホスフィン、の存在下、例えば式(III)の化合物に対して特に1~3のモル比で、有機金属触媒、例えばPd(OAc)2又はPd2dba3、の存在下、該ブロモニトロベンゼン誘導体の量に対してさらに例えば5モル%~15モル%量で、該ブロモニトロベンゼン誘導体の量に対して2モル%~10モル%の量で、添加されうる。次に、反応混合物は、80~140℃の温度で、例えば135℃で、加熱されることができ、そして、不活性ガス、例えばアルゴン、下で、15~30時間、例えば24時間、撹拌されることができる。反応混合物は減圧下で濃縮されることができ、そして残渣が、有機溶媒、例えば酢酸エチル、で希釈されることができる。有機相が、水で洗われ、デカンテーションされ、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、式(IVa)の化合物を与えることができる。
【0130】
手順(C)に従うと、式(IVa)の化合物と、3~8当量の比にあるスズ(II)クロリド二水和物とが、プロトン性溶媒、例えばエタノール、中に置かれうる。次に、反応混合物は、40~80℃の温度で、例えば60℃で、加熱されることができ、そして、15~25時間、例えば20時間、撹拌されることができる。混合物が、1NのNaOH水性溶液中に注がれることができ、そして、有機溶媒、例えば酢酸エチル、で抽出されることができる。次に、有機相が、水、そして塩水の飽和水性溶液で洗われ、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、式(IIa)の化合物を与えことができる。
【0131】
より特には、式(Ib)の化合物を調製する為に使用される場合、式(IIb)の中間化合物(ここで、W1又はW2の少なくとも1つがCHである)は、下記のスキーム3に従って調製されることができる。
【0132】
【0133】
式(IIb)及び式(IVb)の中間化合物は、本発明に従う式(Ib)の化合物を調製する為に有用である。
【0134】
手順(D1)に従うと、例えばニトロベンゾイルクロリド誘導体に対して1~1.5のモル比で添加された該アミノピリジン(W1及びW2=CH)が、例えば2M~5Mのモル濃度で、無機塩基水性溶液の、例えば水酸化ナトリウム、中に置かれうる。極性非プロトン性溶媒、例えばジクロロメタン、が該溶液中に添加され得、反応混合物は、氷浴を用いて0℃に冷やされることができ、そして、極性非プロトン性溶媒、例えばジクロロメタン、中、ニトロベンゾイルクロリド誘導体の溶液が、滴下されることができる。次に、反応混合物は、不活性ガス、例えばアルゴン、下で、室温で、15~24時間、例えば18時間、撹拌されることができる。得られた沈殿物は、濾過され、水、そしてジクロロメタンで洗われ、そして、真空下で一晩乾燥されて、式(IVb)の化合物を与えることができる。
【0135】
手順(D2)に従うと、該アミノピリミジン(W1又はW2=N及び他のW1又はW2=CH)が、極性非プロトン性溶媒、例えばジクロロメタン、中に置かれうる。次に、該ニトロベンゾイルクロリド誘導体が、有機塩基、例えばN,N-ジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミン、の存在下で、例えば該アミノピリミジンに対して1~1.5のモル比で、求核性触媒、例えばジメチルアミノピリジン、の存在下で、該アミノピリミジンに対してさらに例えば1~2のモル比で、該アミノピリミジンに対してさらに0.1~1のモル比で、添加されうる。次に、反応混合物は、不活性ガス、例えばアルゴン、下で、室温で、5~20時間、例えば18時間、撹拌されることができる。有機相が、水で洗われ、そして、得られた沈殿物が濾過され、水で洗われ、そして、ジクロロメタン、そして、真空下で一晩乾燥されて、式(IVb)の化合物を与えることができる。
【0136】
手順(C)に従うと、式(IVb)の化合物と、3~8当量の比にあるスズ(II)クロリド二水和物とが、プロトン性溶媒、例えばエタノール、中に置かれうる。次に、反応混合物は、40~80℃の温度で、例えば60℃で、加熱されることができ、そして、15~25時間、例えば20時間、撹拌されることができる。混合物が、1NのNaOH水性溶液中に注がれることができ、そして、有機溶媒、例えば酢酸エチル、で抽出されることができる。次に、有機相が、水、そして塩水の飽和水性溶液で洗われ、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、式(IIb)の化合物を与えことができる。
【0137】
X1が-NH-CO-基である場合、別のルートが辿られて、式(Ib)の化合物を調製されることができ、且つ下記のスキームXに示されている。
【0138】
【0139】
該合成は、式(IIIb)のハロゲノ芳香族化合物のアニリン誘導体(Vb)とのカップリング反応で開始し、ここで、R、R’、m、m’、X1、X2、n、Y1、Y2は上記で定義された通りであり、及びXは塩素原子、ヨウ素原子又は臭素原子であり、手順(A1)又は(A2)に従う。
【0140】
手順(K)に従うと、式(VIb)の化合物が、プロトン性溶媒、例えばメタノール、中に置かれ、そして、2MのNaOHの水性溶液が、3~10当量の範囲で添加されうる。次に、反応混合物は、50~90℃の温度で、例えば80℃で、加熱されることができ、そして、1~24時間、例えば3時間、撹拌されることができる。混合物が、減圧下で濃縮され、そして、2MのHClの水性溶液の添加後に、有機溶媒、例えばジクロロメタン、で抽出されることができる。次に、一緒にされた有機相が、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、式(VIIb)の化合物を与えることができる。
【0141】
手順(L)に従うと、1.0~3当量の比、例えば1.2当量、にある式(VIIb)の化合物と該アミン誘導体,Y1-NH2,とが、無水極性溶媒、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、中に置かれうる。次に、カップリング剤、例えばHATU、が、有機塩基、例えばトリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミン、の存在下で、化合物(VIIb)に対して例えば1~2のモル比で、化合物(VIIb)に対してさらに例えば2~5のモル比で、添加されうる。次に、反応混合物は、室温で、5~20時間、例えば16時間、撹拌されることができる。該反応は、1Mの塩酸の水性溶液の添加に応じてクエンチされることができ、そして該混合物は、有機溶媒、例えば酢酸エチル、で抽出されることができる。次に、一緒にされた有機相が、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、式(Ib)の化合物を与えることができる。
【0142】
より特には、式(Id)の化合物を調製するために使用される場合、式(IId)の化合物は、下記のスキーム5に従って調製されることができる。
【0143】
【0144】
式(IId)、式(IVd)及び式(Vd)の中間化合物は、本発明に従う式(Id)の化合物を調製する為に有用である。
【0145】
手順(F)に従うと、該1,4-ベンゼンジアミン誘導体は、例えば1/4~1/2の比で、極性溶媒の混合物、例えばN,N-ジメチルホルムアミド及びテトラヒドロフラン、中に置かれうる。次に、Boc2O(二炭酸ジ-tert-ブチル)が、無機塩基、例えば Cs2CO3又はK2CO、の2M~3Mの濃度を有する水性溶液の存在下、該1,4-ベンゼンジアミン誘導体に対して例えば0.25~0.75のモル比で、該1,4-ベンゼンジアミン誘導体に対してさらに例えば0.5~1のモル比で、滴下されうる。次に、反応混合物は、不活性ガス、例えばアルゴン、下で、室温で、10~70時間、例えば64時間、撹拌されることができる。反応混合物は、減圧下で濃縮されて、そして、残渣が、有機溶媒、例えば酢酸エチル、で希釈されることができる。有機相が、水で洗われ、デカンテーションされ、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、式(IVd)の化合物を与えることができる。
【0146】
手順(G)に従うと、該アミノ誘導体(IVd)は、極性非プロトン性溶媒、例えばジクロロメタン、中に置かれうる。次に、該カルボン酸誘導体は、カップリング剤、例えばEDCI.HCl(1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩)、の存在下、該アミノ誘導体(IVd)に対して例えば1~1.5のモル比で、有機塩基、例えばN,N-ジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミン、の存在下、該アミノ誘導体(IVd))に対して例えば1~5のモル比で、HOBt(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物)の存在下、該アミノ誘導体(IVd)に対して例えば1~3のモル比で、添加されうる。次に、反応混合物は、不活性ガス、例えばアルゴン、下で、室温で、5~30時間、例えば24時間、撹拌されることができる。有機相が、水で洗われ、デカンテーションされ、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、式(Vd)の化合物を与えることができる。
【0147】
手順(H)に従うと、式(Vd)の化合物は、極性非プロトン性溶媒、例えばジクロロメタン、中に置かれうる。次に、トリフルオロ酢酸が、該アミノ誘導体(IVd)に対して例えば10~30のモル比で加えられうる。反応混合物は、室温で、1~7時間、撹拌され、そして、次に、氷浴を用いて、0℃に冷やされることができる。水及び無機塩基、例えば炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム、が、pH>7になるまで加えられる。水性相が、有機溶媒、例えばジクロロメタン、で抽出されることができる。有機相が集められ、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、式(IId)の化合物を与えることができる。
【0148】
本発明の式(I)の幾つかの化合物の化学構造及び分光学的データがそれぞれ、下記の表I及び表IIに示されている。
【0149】
【0150】
【0151】
下記の実施例は例示として提供されており、本発明の範囲を決して制限するものでない。
【0152】
下記の実施例は、本発明に従う幾つかの化合物の調製を詳細に説明している。得られた生成物の構造は、NMR分析によって確認されている。
【0153】
実施例
【0154】
実施例1:表I中の化合物(6)
【0155】
手順(B)に従うと、2-ビニルピリジン(2.32mL,22ミリモル,1.1当量)が、1-ブロモ-4-ニトロベンゼン(4g,20ミリモル,1当量),NaOAc(3.3g,40ミリモル,2当量),Pd(OAc)2(450mg,2ミリモル,10モル%)及びPPh3(525mg,2ミリモル,10モル%)を有するN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)中に置かれた。反応混合物が135℃で加熱され、そして16時間、不活性雰囲気下で撹拌された。室温まで冷やすことに応じて、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣が、酢酸エチルと水との間で分配された。デカンテーションに応じて、該水性相はさらに、ジクロロメタンで抽出された。有機相はさらに、水で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、集められ、そして減圧下で濃縮されて、(E)-2-[2-(4-ニトロフェニル)エテニル]ピリジン(1.9g,42%)を与えた。
【0156】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 8.65(d,J=4.1Hz,1H),8.24(d,J=9.0Hz,2H),7.75~7.69(m,4H),7.42(d,J=7.8Hz,1H),7.30(d,J=16.2Hz,1H),7.27~7.20(m,1H)。
【0157】
手順(C)に従うと、(E)-2-[2-(4-ニトロフェニル)エテニル]ピリジン(1.9g,8.4ミリモル,1当量)及びスズ(II)クロリド二水和物(9.5g,42ミリモル,5当量)が、EtOH(84mL)中に置かれた。反応混合物は60℃で加熱され、そして88時間、不活性雰囲気下で撹拌された。次に、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣が酢酸エチルで希釈された。有機相は1NのNaOH水性溶液で洗われ、次に、塩水の飽和水性溶液で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、(E)-4-[2-(ピリジン-2-イル)エテニル]アニリン(1.59g,96%)を与えた。
【0158】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 8.56(d,J=4.5Hz,1H),7.62(td,J=7.9,1.8Hz,1H),7.53(d,J=16.1Hz,1H),7.40(d,J=8.5Hz,2H),7.33(d,J=7.9Hz,1H),7.09(dd,J=7.0,4.5Hz,1H),6.98(d,J=16.1Hz,1H),6.68(d,J=8.5Hz,2H),3.80(s,2H)。
【0159】
2-シクロペンチルエタン-1-アミン塩酸塩(3.0g,19.1ミリモル,1.1当量)が3NのNaOH水性溶液(13mL)中に置かれ、そしてジクロロメタン(3.2mL)が該溶液に加えられた。反応混合物は氷浴を用いて0℃に冷やされ、そして、ジクロロメタン(5.5mL)中の3-ブロモベンゾイルクロリド(2.3mL,17.4ミリモル,1当量)の溶液が滴下された。次に、反応混合物は、室温で、18時間、不活性雰囲気下で撹拌された。デカンテーションに応じて、有機相は、塩水の飽和水性溶液で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、3-ブロモ-N-(2-シクロペンチルエチル)ベンズアミド(5.1g,99%)を与えた。
【0160】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 7.89(t,J=1.7Hz,1H),7.67(d,J=8.0Hz,1H),7.62(d,J=8.0Hz,1H),7.30(t,J=8.0Hz,1H),6.07(s,1H),3.46(dt,J=7.4,5.9Hz,2H),1.93~1.77(m,3H),1.67~1.52(m,6H),1.25~1.06(m,2H)。
【0161】
手順(A)に従うと、t-BuOH(10.2mL)中、3-ブロモ-N-(2-シクロペンチルエチル)ベンズアミド(755mg,2.55ミリモル,1当量)、(E)-4-[2-(ピリジン-2-イル)エテニル]アニリン(500mg,2.55ミリモル,1当量)、Pd2(dba)3(233mg,255マイクロモル,10モル%)、XPhos(243mg,510μmoles,20モル%)及びK2CO3(1.41g,10.2ミリモル,4当量)の反応混合物が90℃で加熱され、そして20時間、不活性雰囲気下で撹拌された。次に、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣がジクロロメタンで希釈された。有機相は、塩水の飽和水性溶液で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮された。得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製され、ジエチルエーテル中での粉砕後に、(E)-N-(2-シクロペンチルエチル)-3-((4-(2-(ピリジン-2-イル)ビニル)フェニル)アミノ)ベンズアミド(6)(613mg,58%)を与える画分を得た。
【0162】
1H NMR(300MHz,d6-DMSO) δ 8.59(s,1H),8.54(d,J=3.8Hz,1H),8.40(t,J=5.5Hz,1H),7.75(td,J=7.7,1.6Hz,1H),7.60(dd,J=8.5,7.7Hz,2H),7.56(d,J=8.5Hz,2H),7.48(d,J=7.9Hz,1H),7.36~7.30(m,2H),7.21(ddd,J=12.2,5.5,1.6Hz,2H),7.14(s,1H),7.11(d,J=8.5Hz,2H),3.26(dd,J=13.8,6.2Hz,2H),1.85~1.72(m,3H),1.66~1.42(m,6H),1.18~0.99(m,2H)。
【0163】
13C NMR(75MHz,d6-DMSO) δ 164.2,153.6,147.5,141.6,140.9,134.8,134.1,130.1,127.2,126.4,126.0,122.8,119.9,119.8,117.8,116.8,114.5,114.2,77.9,35.5,33.6,30.3,22.8
【0164】
[M+H]+=412.3
【0165】
実施例2:表I中の化合物(15)
【0166】
手順(D1)に従うと、2-ピリジンアミン(4.7g,50ミリモル,1.1当量)が、3NのNaOH水性溶液(56mL)中に置かれ、そしてジクロロメタン(24mL)が該溶液に加えられた。反応混合物は氷浴を用いて0℃に冷やされ、そして、ジクロロメタン(40mL)中の4-ニトロベンゾイルクロリド(8.4g,45ミリモル,1当量)の溶液が滴下された。次に、反応混合物は、室温で、18時間、不活性雰囲気下で撹拌された。得られた沈殿物が、濾過され、そして水及びジクロロメタンで洗われて、4-ニトロ-N-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド(6.7g,61%)を与えた。
【0167】
1H NMR(300MHz,d6-DMSO) δ 10.91(s,1H),8.80(s,1H),8.52(d,J=5.5Hz,2H),8.47(d,J=7.9Hz,1H),8.41(d,J=7.9Hz,1H),7.86(t,J=7.9Hz,1H),7.79(d,J=5.5Hz,2H)。
【0168】
手順(C)に従うと、4-ニトロ-N-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド(1.5g,6.2ミリモル,1当量)及びスズ(II)クロリド二水和物(7.0g,30.8ミリモル,5当量)がEtOH(62mL)中に置かれた。反応混合物は60℃で加熱され、そして16時間、不活性雰囲気下で撹拌された。次に、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣が酢酸エチルで希釈された。有機相は、1NのNaOH水性溶液で、そして次に、水で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、4-アミノ-N-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド(273mg,21%)を与えた。
【0169】
1H NMR(300MHz,d6-DMSO) δ 10.44(s,1H),8.44(d,J=6.3Hz,2H),7.77(d,J=6.3Hz,2H),7.18(t,J=7.9Hz,1H),7.12~7.03(m,2H),6.78(d,J=7.9Hz,1H),5.38(s,2H)。
【0170】
2-シクロペンチルエタン-1-アミン塩酸塩(1.0g,7ミリモル,1.1当量)が、3NのNaOH水性溶液(4.6mL)中に置かれ、そしてジクロロメタン(1.1mL)が該溶液に加えられた。反応混合物は氷浴を用いて0℃に冷やされ、そして、ジクロロメタン(1.9mL)中、3-ブロモベンゾイルクロリド(0.8mL,6ミリモル,1当量)の溶液が滴下された。次に、反応混合物は、室温で、18時間、不活性雰囲気下で撹拌された。デカンテーションに応じて、有機相は、塩水の飽和水性溶液で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、3-ブロモ-N-(2-シクロペンチルエチル)ベンズアミド(1.77g,98%)を与えた。
【0171】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 7.89(t,J=1.7Hz,1H),7.67(d,J=7.9Hz,1H),7.62(d,J=7.9Hz,1H),7.30(t,J=7.9Hz,1H),6.07(s,1H),3.46(dt,J=7.4,5.9Hz,2H),1.93~1.77(m,3H),1.67~1.52(m,6H),1.25~1.06(m,2H)。
【0172】
手順(A)に従うと、t-BuOH(4mL)中、3-ブロモ-N-(2-シクロペンチルエチル)ベンズアミド(296mg,1.0ミリモル,1当量)、4-アミノ-N-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド(213mg,1.0ミリモル,1当量)、Pd2(dba)3(92mg,0.1ミリモル,10モル%)、XPhos(95mg,0.2ミリモル,20モル%)及びK2CO3(553mg,4.0ミリモル,4当量)の反応混合物が、120℃で、60分間、マイクロ波反応器中で加熱された。次に、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣が酢酸エチルで希釈された。有機相は、水で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮された。得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、N-(2-シクロペンチルエチル)-3-((4-(ピリジン-2-イルカルバモイル)フェニル)アミノ)ベンズアミド(15)(30mg,7%)を与えた。
【0173】
1H NMR(300MHz,d6-DMSO) δ 10.46(s,1H),8.83(s,1H),8.44(t,J=5.5Hz,1H),8.37(d,J=3.8Hz,1H),8.19(d,J=8.4Hz,1H),7.98(d,J=8.7Hz,2H),7.87~7.77(m,1H),7.65(s,1H),7.45~7.36(m,2H),7.30(dt,J=6.5,2.2Hz,1H),7.15(d,J=5.5Hz,1H),7.11(d,J=8.7Hz,2H),3.26(dd,J=13.7,6.4Hz,2H),1.87~1.72(m,3H),1.67~1.40(m,6H),1.07(m,2H)。
【0174】
13C NMR(75MHz,d6-DMSO) δ 164.2,163.5,150.8,146.1,145.3,140.1,136.2,134.3,128.1,127.5,122.3,119.3,118.1,117.6,117.5,115.7,112.8,112.7,35.7,33.7,30.5,23.0
[M+H]+=429.1
【0175】
実施例3:表I中の化合物(16)
【0176】
手順(D1)に従うと、2-ピリジンアミン(5.0g,53.1ミリモル,1当量)が3NのNaOH水性溶液(65.5mL)中に置かれ、そしてジクロロメタン(5mL)が該溶液に加えられた。反応混合物は氷浴を用いて0℃に冷やされ、そして、ジクロロメタン(70mL)中、4-ニトロベンゾイルクロリド(9.8g,53.1ミリモル,1当量)の溶液が滴下された。次に、反応混合物は、室温で、18時間、不活性雰囲気下で撹拌された。得られた沈殿物が、濾過され、そして、水及びジクロロメタンで洗われて、4-ニトロ-N-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド(5.8g,45%)を与えた。
【0177】
1H NMR(300MHz,d6-DMSO) δ 11.16(s,1H),8.40(dd,J=4.8,1.6Hz,1H),8.32(d,J=8.9Hz,2H),8.21(d,J=9.0Hz,2H),8.17(d,J=8.4Hz,1H),7.90~7.82(m,1H),7.23~7.15(m,1H)。
【0178】
手順(C)に従うと、4-ニトロ-N-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド(5.8g,23.8ミリモル,1当量)及びスズ(II)クロリド二水和物(27g,119ミリモル,5当量)がEtOH(240mL)中に置かれた。反応混合物は60℃で加熱され、そして16時間、不活性雰囲気下で撹拌された。次に、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣がジクロロメタンで希釈された。有機相は、1NのNaOH水性溶液で、次に、塩水の飽和水性溶液で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、4-アミノ-N-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド(955mg,19%)を与えた。
【0179】
1H NMR(300MHz,d6-DMSO) δ 10.17(s,1H),8.34(d,J=3.8Hz,1H),8.15(d,J=8.4Hz,1H),7.80~7.75(m,3H),7.09(dd,J=6.4,5.0Hz,1H),6.57(d,J=8.6Hz,2H),5.82(brs,2H)。
【0180】
2-シクロヘキシルエタン-1-アミン(1.1mL,7.9ミリモル,1.1当量)が3NのNaOH水性溶液(5.3mL)中に置かれ、そしてジクロロメタン(1mL)が該溶液に加えられた。反応混合物は氷浴を用いて0℃に冷やされ、そして、ジクロロメタン(2.5mL)中の3-ブロモベンゾイルクロリド(945μL,7.1ミリモル,1当量)の溶液が滴下された。次に、反応混合物は、室温で、18時間、不活性雰囲気下で撹拌された。デカンテーションに応じて、有機相は、塩水の飽和水性溶液で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、3-ブロモ-N-(2-シクロヘキシルエチル)ベンズアミド(2.0g,90%)を与えた。
【0181】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 7.89(t,J=1.7Hz,1H),7.67(d,J=7.8Hz,1H),7.62(d,J=7.8Hz,1H),7.31(t,J=7.9Hz,1H),6.00(bs,1H),3.47(dt,J=7.5,5.8Hz,2H),1.81~1.62(m,4H),1.51(dd,J=14.6,7.1Hz,2H),1.31~1.12(m,5H),1.04~0.85(m,2H)。
【0182】
手順(A)に従うと、t-BuOH(4mL)中、3-ブロモ-N-(2-シクロヘキシルエチル)ベンズアミド(310mg,1.0ミリモル,1当量)、4-アミノ-N-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド(213mg,1.0ミリモル,1当量)、Pd2(dba)3(92mg,0.1ミリモル,10モル%)、XPhos(95mg,0.2ミリモル,20モル%)及びK2CO3(553mg,4.0ミリモル,4当量)の反応混合物が、120℃で、60分間、マイクロ波反応器で加熱された。次に、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣が酢酸エチルで希釈された。有機相は、塩水の飽和水性溶液で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製され、ジエチルエーテル中での粉砕後に、N-(2-シクロヘキシルエチル)-3-((4-(ピリジン-2-イルカルバモイル)フェニル)アミノ)ベンズアミド(16)(78mg,18%)を与える画分を得た。
【0183】
1H NMR(300MHz,d6-DMSO) δ 10.46(s,1H),8.83(s,1H),8.42~8.37(m,2H),8.19(d,J=8.4Hz,1H),7.98(d,J=8.7Hz,2H),7.82(t,J=8.8Hz,1H),7.64(s,1H),7.42~7.35(m,2H),7.32~7..29(m1H),7.17~7.13(m,1H),7.10(d,J=8.6Hz,2H),3.28(dd,J=13.3,6.8Hz,2H),1.78~1.57(m,5H),1.43(dd,J=14.2,6.9Hz,2H),1.34~1.12(m,4H),0.99~0.82(m,2H)。
【0184】
13C NMR(75MHz,d6-DMSO) δ 166.4,165.7,152.9,148.3,147.5,142.3,138.4,136.5,130.2,129.7,124.5,121.5,120.3,119.8,117.9,115.0,114.9,37.5,37.1,35.3,33.2,26.5,26.2
【0185】
[M+H]+=429.1
【0186】
実施例4:表I中の化合物(115)
【0187】
手順(J)に従うと、トルエン(52.5mL)及び水(13.5mL)中、4-アミノ-3-ブロモ安息香酸メチル(3.00g,12.8ミリモル,1当量)及びシクロプロピルトリフルオロホウ酸カリウム(2.84g,19.2ミリモル,1.5当量)の溶液が、5分間、アルゴンを用いて脱気され、次に、リン酸三カリウム(6.88g,31.9ミリモル,2.5当量)、RuPhos(239mg,511マイクロモル,0.04当量)及び酢酸パラジウム(II)(57.9mg,256マイクロモル,0.02当量)が添加された。反応混合物は110℃で加熱され、そして、2時間30分、不活性雰囲気下で撹拌された。室温まで冷やされることに応じて、それは、セライトのパッドを介して濾過され、そして、該パッドがEtOAcで洗われた。次に、塩水の飽和水性溶液が該濾過物に加えられ、そして、該混合物がEtOAcで抽出された。一緒にされた有機層がMgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、4-アミノ-3-シクロプロピル安息香酸メチル(2.02g,81%)を与えた。
【0188】
1H NMR(400MHz,d6-DMSO) δ 7.53(dd,J=8.4,2.0Hz,1H),7.42(d,J=1.9Hz,1H),6.63(d,J=8.4Hz,1H),5.87(s,2H),3.73(s,3H),1.65(tt,J=8.3,5.4Hz,1H),0.95~0.82(m,2H),0.54~0.40(m,2H)。
【0189】
3-ブロモフェノール(701mg,3.97ミリモル,1.2当量)が、Cs2CO3(1.30g,3.97ミリモル,1.2当量)とともに、N,N-ジメチルホルムアミド(4mL)中に置かれた。(3-ブロモプロピル)シクロヘキサン(715mg,3.31ミリモル,1.0当量)の添加に応じて、反応混合物は、16時間、不活性雰囲気下で撹拌された。反応混合物は、酢酸エチルとNaHCO3の飽和水溶液との間で分配された。酢酸エチルでの抽出に応じて、一緒にされた有機層がMgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、1-ブロモ-3-(3-シクロヘキシルプロポキシ)ベンゼン(882mg,90%)を与えた。
【0190】
1H NMR(500 MHz,d6-DMSO) δ 7.22(t,J=8.1Hz,1H),7.14~7.08(m,2H),6.93(dd,J=8.3,2.3Hz,1H),3.95(t,J=6.5Hz,2H),1.68(tt,J=15.1,9.2Hz,7H),1.32~1.06(m,6H),0.92~0.82(m,2H)。
【0191】
手順(A)に従うと、無水DMF(8mL)中、1-ブロモ-3-(3-シクロヘキシルプロポキシ)ベンゼン(547mg,1.84ミリモル,1.1当量)、4-アミノ-3-シクロプロピル安息香酸メチル(320mg,1.67ミリモル,1当量)、BrettPhos Pd G3(31.9mg,33.5μmol,0.02当量)及びCs2CO3(818mg,2.51ミリモル,1.5当量)の反応混合物がアルゴンで脱気され、そして、80℃で、75分間、不活性雰囲気下で加熱された。次に、反応混合物が室温まで冷やされ、セライトのパッドを介して濾過され、そして、該パッドがEtOAcで洗われた。次に、塩水が濾過物に加えられ、そして、該混合物がEtOAcで抽出された。一緒にされた有機層がMgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、4-{[3-(3-シクロヘキシルプロポキシ)フェニル]アミノ}-3-シクロプロピル安息香酸メチル(1.35g,80%)を与えた。
【0192】
1H NMR(400MHz,d6-DMSO) δ 7.82(s,1H),7.66(dd,J=8.5,2.0Hz,1H),7.54(d,J=2.0Hz,1H),7.24~7.14(m,2H),6.76(d,J=7.9Hz,1H),6.73(t,J=2.1Hz,1H),6.56(dd,J=8.1,2.2Hz,1H),3.92(t,J=6.5Hz,2H),3.78(s,3H),1.94(ddd,J=13.8,8.3,5.4Hz,1H),1.75~1.58(m,7H),1.35~1.08(m,6H),1.04~0.94(m,2H),0.88(q,J=10.0,9.3Hz,2H),0.65~0.56(m,2H)。
【0193】
手順(E)に従うと、4-{[3-(3-シクロヘキシルプロポキシ)フェニル]アミノ}-3-シクロプロピル安息香酸メチル(575mg,1.34ミリモル,1当量)がメタノール(10mL)中に置かれ、そして、2MのNaOH(4.7mL,9.4ミリモル,7当量)の水性溶液が添加された。反応混合物は80℃で加熱され、そして、3時間、撹拌された。次に、それは、減圧下で濃縮され、そして、2MのHClの水性溶液(7.0mL,14ミリモル,10.5当量)の添加後に、ジクロロメタンで抽出された。一緒にされた有機相が、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、4-{[3-(3-シクロヘキシルプロポキシ)フェニル]アミノ}-3-シクロプロピル安息香酸(540mg,97%)を与えた。
【0194】
1H NMR(400MHz,d6-DMSO) δ 12.37(s,1H),7.76(s,1H),7.64(dd,J=8.5,2.0Hz,1H),7.52(d,J=1.9Hz,1H),7.18(t,J=8.6Hz,2H),6.74(d,J=7.9Hz,1H),6.71(d,J=2.1Hz,1H),6.53(dd,J=8.1,2.1Hz,1H),3.91(t,J=6.5Hz,2H),1.94(ddd,J=13.6,8.4,5.4Hz,1H),1.75~1.58(m,7H),1.35~1.09(m,6H),0.98(dd,J=4.0,2.0Hz,2H),0.88(q,J=10.1,9.3Hz,2H),0.65~0.56(m,2H)。
【0195】
手順(F)に従うと、4-{[3-(3-シクロヘキシルプロポキシ)フェニル]アミノ}-3-シクロプロピル安息香酸(50.0mg,127マイクロモル,1当量)及びアニリン(12.2μL,133マイクロモル,1.05当量)が無水N,N-ジメチルホルムアミド(650μL)中に置かれた。HATU(48.3mg,127マイクロモル,1当量)及びDIPEA(44.4μL,254マイクロモル,2当量)が添加され、そして、得られた反応混合物が、室温で、16時間、撹拌された。.反応が、1Mの塩酸水溶液でクエンチされ、そして、酢酸エチルで抽出された。一緒にされた有機相が、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、4-{[3-(3-シクロヘキシルプロポキシ)フェニル]アミノ}-3-シクロプロピルN-フェニルベンズアミド(115)(42.0mg,67%)を与えた。
【0196】
1H NMR(400MHz,d6-DMSO) δ 9.96(s,1H),7.78~7.67(m,4H),7.57(d,J=2.0Hz,1H),7.33(t,J=7.9Hz,2H),7.23(d,J=8.5Hz,1H),7.16(t,J=8.1Hz,1H),7.07(t,J=7.4Hz,1H),6.74~6.68(m,1H),6.67(t,J=2.1Hz,1H),6.48(dd,J=8.1,2.1Hz,1H),3.91(t,J=6.5Hz,2H),2.04~1.92(m,1H),1.75~1.57(m,7H),1.35~1.09(m,6H),1.04~0.95(m,2H),0.88(q,J=10.1,9.5Hz,2H),0.76~0.67(m,2H)。
【0197】
13C NMR(151MHz,d6-DMSO) δ 165.6,160.0,146.2,144.9,139.9,131.8,130.2,128.9,126.8,126.7,126.4,123.7,120.9,116.2,111.4,107.5,105.3,68.0,37.2,33.7,33.3,26.6,26.6,26.3,11.6,7.8
【0198】
[M+H]+=469.2
【0199】
実施例5:表I中の化合物(35)
【0200】
手順(F)に従うと、ベンゼン-1,4-ジアミン(4.0g,37ミリモル,3.0当量)が、テトラヒドロフラン(37mL)及びN,N-ジメチルホルムアミド(12mL)中に置かれた。2.2MのK2CO3水性溶液(6.8mL,13.6ミリモル,1.1当量)が該溶液に加えられ、そして、次に、Boc2O(2.6mL,12.3ミリモル,1.0当量)が滴下された。反応混合物が、室温で、64時間、撹拌された。次に、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣が酢酸エチルで希釈された。有機相は、水で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、(4-アミノフェニル)カルバミン酸tert-ブチル(1.6g,62%)を与えた。
【0201】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 7.13(d,J=8.5Hz,2H),6.63(d,J=8.5Hz,2H),6.32(s,1H),3.54(s,2H),1.50(s,9H)。
【0202】
手順(G)に従うと、無水ジクロロメタン(15mL)中、(4-アミノフェニル)カルバミン酸tert-ブチル(1.6g,7.7ミリモル,1.0当量)、2-ピリジンカルボン酸(1.0g,8.5ミリモル,1.1当量),EDCI.HCl(1.6g,8.5ミリモル,1.1当量),N,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.8mL,23ミリモル,3.0当量)及びHOBt(1.1g,8.5ミリモル,1.1当量)の反応混合物が、室温で、24時間、不活性雰囲気下で撹拌された。有機相は、水で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、N-[4-(ピリジン-2-アミド)フェニル]カルバミン酸tert-ブチル(983mg,41%)を与えた。
【0203】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 9.98(s,1H),8.61(d,J=4.5Hz,1H),8.29(d,J=7.7Hz,1H),7.91(td,J=7.7,1.5Hz,1H),7.72(d,J=8.8Hz,2H),7.48(ddd,J=7.7,4.5,1.5Hz,1H),7.40(d,J=8.8Hz,2H),6.61(s,1H),1.52(s,9H)。
【0204】
手順(H)に従うと、N-[4-(ピリジン-2-アミド)フェニル]カルバミン酸tert-ブチル(983mg,3.1ミリモル,1当量)がジクロロメタン(6.3mL)中に置かれ、そして、トリフルオロ酢酸(5.1mL,68.2ミリモル,22当量)が該溶液に加えられた。反応混合物は、室温で、1時間、撹拌され、そして、次に、氷浴を用いて、0℃に冷やされた。水、そして次にK2CO3が、pH>7になるまで加えられた。水性相が、ジクロロメタンで抽出された。有機相が集められ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、N-(4-アミノフェニル)ピリジン-2-カルボキサミド(659mg,99%)を与えた。
【0205】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 9.85(s,1H),8.60(d,J=4.5Hz,1H),8.29(d,J=7.7Hz,1H),7.89(td,J=7.7,1.5Hz,1H),7.57(d,J=8.7Hz,2H),7.46(ddd,J=7.7,4.5,1.5Hz,1H),6.72(d,J=8.7Hz,2H),3.63(s,2H)。
【0206】
2-シクロペンチルエタン-1-アミン塩酸塩(1.0g,7ミリモル,1.1当量)が3NのNaOH水性溶液(4.6mL)中に置かれ、そして、ジクロロメタン(1.1mL)が該溶液に加えられた。反応混合物は氷浴を用いて0℃に冷やされ、そして、ジクロロメタン(1.9mL)中、3-ブロモベンゾイルクロリド(0.8mL,6ミリモル,1当量)の溶液が滴下された。次に、反応混合物は、室温で、18時間、不活性雰囲気下で撹拌された。デカンテーションに応じて、有機相は、塩水の飽和水性溶液で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、ブロモ-N-(2-シクロペンチルエチル)ベンズアミド(1.77g,98%)を与えた。
【0207】
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ 7.89(t,J=1.7Hz,1H),7.67(d,J=7.9Hz,1H),7.62(d,J=7.9Hz,1H),7.30(t,J=7.9Hz,1H),6.07(s,1H),3.46(dt,J=7.4,5.9Hz,2H),1.93~1.77(m,3H),1.67~1.52(m,6H),1.25~1.06(m,2H)。
【0208】
手順(A)に従うと、t-BuOH(4mL)中、3-ブロモ-N-(2-シクロペンチルエチル)ベンズアミド(296mg,1.0ミリモル,1当量)、N-(4-アミノフェニル)ピリジン-2-カルボキサミド(213mg,1.0ミリモル,1当量)、Pd2(dba)3(92mg,0.1ミリモル,10モル%)、XPhos(95mg,0.2ミリモル,20モル%)及びK2CO3(553mg,4.0ミリモル,4当量)の反応混合物が、マイクロ波反応器中、120℃で、60分間、加熱された。次に、反応混合物は減圧下で濃縮され、そして、得られた残渣が酢酸エチルで希釈された。有機相は、水で洗われ、MgSO4で乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、得られた残渣がシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製されて、再結晶に応じて、N-(4-((3-((2-シクロペンチルエチル)カルバモイル)フェニル)アミノ)フェニル)ピコリンアミド(35)(89mg,21%)を与えた。
【0209】
1H NMR(300MHz,d6-DMSO) δ 10.54(s,1H),8.74(d,J=4.4Hz,1H),8.36(t,J=5.4Hz,1H),8.29(s,1H),8.16(d,J=7.7Hz,1H),8.07(td,J=7.7,1.5Hz,1H),7.82(d,J=8.8Hz,2H),7.71~7.62(m,1H),7.51(s,1H),7.34~7.20(m,2H),7.16~7.10(m,3H),3.25(dd,J=13.4,6.5Hz,2H),1.82~1.72(m,3H),1.68~1.45(m,6H),1.12~1.08(m,2H)。
【0210】
13C NMR(75MHz,d6-DMSO) δ 164.9,160.5,148.7,146.9,142.6,137.6,136.6,134.5,130.0,127.6,125.3,120.8,120.0,116.7,116.4,116.1,113.1,35.9,34.0,30.7,23.2
[M+H]+=429.1
【0211】
薬理学的データ
【0212】
実施例6:チクングニアウィルス
本発明の化合物は、治療における活性物質として、特にチクングニアウィルス感染を予防し、阻害し又は処置する為の、それらの関連性を実証した薬理学的試験の対象となっていた。
【0213】
物質及び方法
【0214】
感染したHEK293T細胞株におけるチクングニアウィルス(CHIKV)産生の阻害
ウィルス複製を阻害する化合物の能力は、感染された細胞を1μMの式(I)の化合物によって試験した実験で評価された。チクングニアの阻害の為の陽性対照として、リバビリン(Ribavirin)が使用された。該化合物の毒性が並行して評価された。
【0215】
・細胞の増殖
ヒト胎児腎臓細胞293T(HEK293T,CRL-11268)が、10%のウシ胎児血清(FBS:fetal bovine serum)、ペニシリン及びストレプトマイシンで補充されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM:Dulbecco’s modified Eagle’s Medium,31966-021,Thermo Fisher Scientific)中で維持された。培地の除去後、細胞がCa2+及びMg2+を含まない塩溶液で洗われて、血清の痕跡を全て除いた。洗浄液を吸引後、細胞が0.25%のトリプシン-EDTA溶液で解離させ、そして37℃のインキュベーターで少なくとも30秒間インキュベートされた。細胞懸濁物の濃度は、自動細胞計測器(EVE,NanoEntek)で測定され、そして必要に応じて、10% FBSで補充されたDMEM培地で0.33×106細胞/mLに調整された。
【0216】
・化合物の調製
100μLの細胞懸濁物がViewPlate-96 Black(6005182,PerkinElmer)及び透明な96ウェル細胞培養プレート(655180,Greiner bio-one)にディスパッチされた。5%のCO2下、24時間、37℃でインキュベート後に、化合物が適切な濃度で添加された。
【0217】
・1μMでのスクリーニング
中間希釈液が、ストック溶液から96ウェルのV底マイクロプレートで、2mMでのDMSO(D8418,Sigma)を使用して調製された。
1μLの50mMストックライブラリーを25μLのDMSOに混合
2μLの25mMストックライブラリーを25μLのDMSOに混合
【0218】
・IC
50
値の決定
中間希釈液が、ストック溶液から96ウェルのV底マイクロプレートで、25mMでのDMSO(D8418,Sigma)を使用して調製された。
2μLの50mMストックライブラリーを2μLのDMSOに混合
【0219】
2μLのDMSOで13回の段階希釈を行い、下記の表IIIにおける通り0.0015mMに達した。
【0220】
【0221】
スクリーニングとIC50の決定の両方について、1μLの各溶液が、1mLのDMEM培地を含む1mLのMasterblock 96ウェル(Greiner bio-one,780261)に加えられた。陽性対照として、5μLの80mMリバビリン溶液(R9644,Sigma)が1mLのDMEMに加えられる。一方、DMSOが、陰性対照として使用される。
【0222】
・感染
細胞が、5'(CHIK 5'LR)においてGFP修飾されたLa Reunion発生の30μLのCHIKV株(LR2006-OPY1)を用いて感染された(Vector Competence Studies.Vector Borne Zoonotic Dis.2006;6(4)の為の下記のアドレス:https://www.european-virus-archive.com/nucleic-acid/chikv-lr-5gfp-infectious-clone)で入手可能な、Tsetsarkin K,Higgs S,McGee CE,De Lamballerie X,Charrel RN,Vanlandingham DL.Infectious Clones of Chikungunya Virus(La Réunion solate-Ref-SKU:001N-EVA249(PMID:17187566).Vector Borne Zoonotic Dis.2006;6(4))。この改変されたウィルスは、MOI 0.1で細胞を感染させる為に使用された。CHIKVのLR2006-OPY1株(CHIKV-LR)が、テキサス州ガルベストンのテキサス大学医学部(the University of Texas Medical Branch)にあるアルボウイルスの世界参照センター(the World Reference Center for Arboviruses)から入手された。この菌株はもともと、ラレユニオン島から戻ってきたフランス人の熱性患者の血清から分離された。
【0223】
・細胞溶解
培地が37℃、5%のCO2下で22時間後に除去され、そして該細胞が上記の通りに洗われた。60μLのRIPAバッファー(50mMのTris-HCl pH8,100mMのNaCl,1mMのMgCl2,1%のTriton X-100)が細胞に添加され、そして少なくとも20分間インキュベートされ、そして蛍光シグナルを読み取った。Pierce 660nm Protein Assay Reagent(22660,Thermo scientific)が使用されて、タンパク質量によって蛍光シグナルが正規化された。
【0224】
CellTiter 96(登録商標) Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay(MTS)(G3581,Promega)が、化合物の毒性をチェックする為に、使用された。我々は、20μLのMTS溶液を加え、そして1時間後に492nmでの吸光度を読み取った。
【0225】
結果
実験の最初のラウンドが実行され、ここで、結果は下記の工程で、次のように計算される阻害パーセンテージとして表される:
1.蛍光強度(FI:Fluorescence intensity)509nm/吸光度660nm(A660)=A
この比は、タンパク質量に対する感染(GFPウィルス))を考慮することを可能にする。
2.A’=A - 感染されていないプレートのバックグラウンドノイズ
3.B=蛍光強度(FI:Fluorescence intensity)/感染されているが未処理のプレートの吸光度660nm(A660)
4.C=A’/B、次に、それは、未処理のサンプルと比較した、処理後の感染パーセンテージとして変換され、そして引き続き、感染パーセンテージとして変換される。例えば、本明細書の下記の表IVの値100は、処置後、GFP蛍光に起因する信号が消失することを意味し、それは、感染がないことに相関される。
5.C’=100-C
【0226】
この値は、阻害のパーセンテージに対応する。
【0227】
下記の表IVは、上記で計算された通り、2回の実験の平均で、幾つかの化合物についての上記のC’値と、対応する標準偏差とを含む。
【0228】
幾つかの値は、元々100超であった。これらの場合、該値は100に下げられた。これは、一部の分子がまた細胞の生存率にも影響を与えることを意味する。言い換えれば、A値はバックグラウンドノイズよりも低くありうる。
【0229】
その上、各測定値について、試験がリバビリンを対照として実施された。阻害パーセンテージの値がチェックされ、100%を与えた。
【0230】
【0231】
2回目の実験が行われ、結果をIC50として与えた。
【0232】
IC50値は、0.1nM~1μM、特に0.5~500nM、であり、さらにより特には1~400nM、例えば1~200nMであり、特には化合物6、14、15、16、32及び35について、IC50値が200~500nMである。例えば、化合物12及び13は、1~200nM.のIC50値を有する。
【0233】
結論
前の結果に基づいて、式(I)の化合物は、IV群のRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、より特にはアルファーウィルス感染、最も特にはチクングニアウィルス感染、を処置し及び/又は予防する為に適した化合物であると結論付けられることができる。
【0234】
実施例7:RSVウィルス
本発明の化合物は、治療における活性物質として、特にRSVウィルス感染を予防し、阻害し又は処置する為の、それらの関連性を実証した薬理学的試験の対象であった。
【0235】
物質及び方法
ウィルスToxGloアッセイを使用してRSV阻害及び細胞毒性について抗ウィルス化合物をスクリーニングする為のプロトコル
HEp-2細胞が、2mMのL-グルタミン、10%のウシ胎児血清、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンを含むように調整されたEarle’s BSSを含むイーグル最小必須培地(EMEM:Eagle’s minimum essential medium)で維持された。スクリーニングアッセイの目的の為に、それらが90%培養密度で成長され、トリプシン処理され、そして回収された。トリプシンが細胞培養培地で中和され、細胞が150 x gで5分間遠心分離され、そして上清を廃棄し、そして細胞ペレットをアッセイ培地(2mMのL-グルタミン、2%のウシ胎児血清、並びに100U/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシン)を含むように調製されたEarle’s BSSを含むEMEM中に再懸濁された。細胞が、96ウェルプレート及び384ウェルプレートそれぞれの白い透明な底の細胞培養プレート内に、50μlで1.5x104細胞/ウェル及び25μlで4x103細胞/ウェルの密度で播種された。培地/バックグラウンド対照カラムアッセイ培地のみが追加された。細胞プレートが加湿チャンバー内に置かれ、そして37℃/5% CO2で一晩インキュベートされた。一晩のインキュベーション後、細胞が、培養密度及び健康的な外観についてチェックされた。
【0236】
試験品が、10%の最大DMSO濃度(最大1%のDMSOの最終アッセイ濃度)で10xの試験濃度で構成され、そして96ウェルプレートについて10μl、且つ384ウェルプレートについて5μlの容量で細胞プレートに加えられた。細胞対照ウェル及びウィルス対照ウェルについて、試験品の溶媒のみが加えられた。ウィルス又は細胞毒性試験ウェル及び培地/細胞対照ウェルについてのアッセイ培地が96ウェルプレート及び384ウェルプレートに対してそれぞれ0.5、40又は20μlのMOIで試験品の直後に加えられた。ウィルス懸濁物が、RSV A2凍結ストックを解凍し、そして氷上のアッセイ培地でプラーク形成ユニットの必要な濃度に希釈することによって調製された。
【0237】
細胞プレートが加湿チャンバー内で、72時間、p.iで、37℃/5%CO2でさらにインキュベートされた。インキュベーション期間後、細胞が顕微鏡下で観察されて、ウィルス対照ウェルにおける特徴的な細胞変性効果及び細胞対照ウェルにおける健康な細胞をチェックした。プレートが室温に調整された後、20/40μlのViral ToxGlo(Promega)が384/96ウェル細胞プレートの各ウェルに加えられた。プレートが室温でインキュベートされ、プレートロッカーで光から保護されて20分間、分光光度計(Biotek Synergy HTX)で発光を測定した。
【0238】
RSV阻害は、ウィルス対照及び細胞毒性に対する細胞変性効果阻害のパーセンテージとして計算され、及び細胞毒性は、細胞対照ウェルに対する細胞生存のパーセンテージとして計算された。これは、ウィルス阻害又は細胞毒性用量反応が確認された各試験品のEC50値を計算することを可能にした。0.001μM~2.5μMのEC50値が、より特には化合物12、13、16及び115について見つかった。
【0239】
【0240】
結論
前の結果に基づいて、式(I)の化合物は、第V群のRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、より特にはニューモウィルス感染、最も特にはRSVウィルス感染、を処置し及び/又は予防する為に適した化合物であると結論付けられることができる。
【0241】
実施例8:デング熱2ウィルス
本発明の化合物は、治療における活性物質として、特にデング熱2ウィルス感染を予防し、阻害し又は処置する為の、それらの関連性を実証した薬理学的試験の対象であった。
【0242】
物質及び方法
Viral ToxGloアッセイを使用して、DENV-2阻害及び細胞毒性についての抗ウィルス化合物のスクリーニングの為のプロトコル
A549細胞が、10%ウシ胎児血清、100U/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシンを添加されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM:Dulbecco's Modified Eagle Medium)で維持された。スクリーニングアッセイの目的で、それらは90%の培養密度まで増殖させ、トリプシン処理され、そして回収された。トリプシンが細胞培養培地中で中和され、そして細胞が、150 x gで、5分間遠心分離され、そして上清を廃棄し、そして細胞ペレットをアッセイ培地(2%ウシ胎児血清と100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを添加されたDMEM)に再懸濁された。細胞が96ウェルの白い透明な底の細胞培養プレート内に、50μlで1.0x104細胞/ウェルの密度で播種された。培地/バックグラウンド対照カラムアッセイ培地のみが追加された。細胞プレートが加湿チャンバー内に置かれ、そして37℃/5% CO2で一晩インキュベートされた。一晩のインキュベーション後、細胞が、培養密度及び健康的な外観についてチェックされた。
【0243】
試験化合物が、1%の最大DMSO濃度(最大0.1%のDMSOの最終アッセイ濃度))で10μMの最終濃度で調製され、そして10μlの容量で細胞プレートに加えられた。細胞対照ウェル及びウィルス対照ウェルについて、試験品の溶媒のみが加えられた。陽性の阻害対照として、7-デアザ-2'-C-メチルアデノシンが100μMで3ウェルに添加された。ウィルス(DENV-2株16681)又は細胞毒性試験ウェル及び培地/細胞対照ウェルについてのアッセイ培地が96ウェルプレートに対してそれぞれ0.5、40のMOIで試験品の直後に加えられた。ウィルス懸濁物が、DENV-2凍結ストックを解凍し、そしてアッセイ培地でプラーク形成ユニットの必要な濃度に希釈することによって調製された。
【0244】
細胞プレートが加湿チャンバー内で、5日間p.iで、37℃/5%CO2でさらにインキュベートされた。インキュベーション期間後、細胞が顕微鏡下で観察されて、ウィルス対照ウェルにおける特徴的な細胞変性効果及び細胞対照ウェルにおける健康な細胞をチェックした。プレートが室温に調整された後、20μlのViral ToxGlo(Promega)が96ウェル細胞プレートの各ウェルに加えられた。プレートが室温で5分間インキュベートされた後、分光光度計(Envision,PerkinElmer)で発光を測定した。
【0245】
DENV-2阻害は、ウィルス対照に対する細胞変性効果阻害のパーセンテージとして計算され、及び細胞毒性は、細胞対照ウェルに対する細胞生存のパーセンテージとして計算された。
【0246】
【0247】
結論
前の結果に基づいて、式(I)の化合物は、第IV群のRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、より特にはフラビウィルス感染、最も特にはデング2ウィルス感染、を処置し及び/又は予防する為に適した化合物であると結論付けられることができる。
【0248】
本発明はさらに、上記に定義された少なくとも1つの新規な化合物、若しくはその薬学的に許容される塩のいずれか一つ、又は上記で定義された化合物(3)~(18)、(32)~(35)、(91)~(125)の少なくともいずれか、若しくはその薬学的に許容される塩のいずれか一つ、並びにまた、少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物に関する。
【0249】
本発明の医薬組成物は、本明細書に記載された任意の形態における本発明の1以上の化合物を含むことができる。
【0250】
本発明のなお更なる目的は、ボルティモア分類に従う第IV群又は第V群由来のRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、例えばチクングニア感染、デング熱感染、インフルエンザ感染又はRSV感染、を、対象において処置し及び/又は予防する為の薬物を調製する為の本発明に従う、上記で定義された式(I)の少なくとも1つの化合物、上記で定義された化合物(1)~(18)及び(32)~(35)及び(91)~(122)、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つからなる。
【0251】
それ故に、本発明は、RNAウィルス感染、より好ましくは第IV群又は第V群由来のRNAウィルス感染、例えばチクングニア感染、デング熱感染、インフルエンザ感染又はRSV感染、を阻害し、予防し又は処置する為の剤としての上記で定義された式(I)の一つの化合物、及び化合物(1)~(18)及び(32)~(35)及び(91)~(122)、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つに関する。
【0252】
特定の実施形態に従うと、該処置は、連続的又は非連続的である。
【0253】
「連続的処置」は、様々な投与頻度、例えば1日1回、3日毎、1週間に1回若しくは2週間に1回、又は月に1回、で実施されることができる長期処置を意味する。
【0254】
一つの実施態様において、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つは、0.1~1000mgで、特に0.1~10mgで、又は例えば10~200mgで変化する用量で、例えば200~1000mgで変化する用量で、投与される。
【0255】
本発明の他の目的は、RNAウィルス感染、より好ましくはボルティモア分類の第IV群又は第V群に属するRNAウィルスによって引き起こされるRNAウィルス感染、から対象を処置し及び/又は予防する為の治療方法であって、上記で定義された式(I)の化合物、化合物(1)~(18)及び(32)~(35)及び(91)~(122)、又はそれらの許容される塩の治療的に有効な量を投与することを含む、上記方法に関する。
【0256】
特定の実施態様において、本発明は、本発明に従う式(I)の化合物、若しくはその薬学的に許容される塩のいずれか一つの使用、又はそれらの薬学的に活性な誘導体、又は本発明に従う方法を提供し、ここで、式(I)の化合物は、上記RNAウィルス感染、より好ましくは上記第IV群又は第V群由来のRNAウィルス感染、例えばチクングニア感染、デング熱感染、インフルエンザ感染又はRSV感染、の処置において有用である助剤と組み合わせて投与されるべきである。
【0257】
該化合物は、任意の投与様式、例えば筋肉内、静脈内、鼻腔内又は経口経路など、を介して投与されることができる。
【0258】
本発明の化合物は、適切な場合には、本発明が関与する化合物のプロドラッグ、例えばエステル、として投与されうる。「プロドラッグ」は、代謝手段によって(例えば、加水分解、還元、又は酸化によって)イン・ビボ(in vivo)で本発明の化合物に転化可能な化合物を意味する。例えば、本発明の化合物のエステルプロドラッグは、イン・ビボ(in vivo)での加水分解によって親分子に転化可能でありうる。本発明の化合物の適切なエステルは例えば、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、マロン酸塩、シュウ酸塩、サリチル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、メチレン-ビス-β-ヒドロキシナフト酸塩、ゲンチジン酸塩、イセチオン酸塩、ジ-p-トルオイル酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルホン酸塩、及びキナ酸塩である。エステルプロドラッグの例は、F.J.Leinweber,Drug Metab.Res.,1987,18,379によって記載されたものである。本明細書において使用される場合、本発明の化合物への言及は、任意のプロドラッグ又は代謝産物の形態をまた包含することが意味される。
【0259】
本発明の組成物は、1以上の添加剤、例えば、希釈剤、賦形剤、安定剤及び保存剤、をさらに含むことができる。そのような添加剤は当業者に周知であり、且つ特に「Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry,6th Ed.」(様々な編集者、1989~1998、Marcel Dekker)及び「Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems」(ANSEL等,1994,WILLIAMS & WILKINS)に記載されている。
【0260】
上記の添加剤は、剤形及び所望の投与様式に従って選択される。
【0261】
他の実施態様に従うと、本発明の薬学的に許容される組成物は、処置される感染症の重症度に依存して、ヒト及び他の動物に、経口的に、直腸的に、非経口的に、大槽内に、膣内に、腹腔内に、局所に(粉末、軟膏、又は滴など)、頬側に、口腔又は点鼻スプレーなどとして投与されることができる。
【0262】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸的に、鼻腔的に、頬側に、膣内に、又は移植されたリザーバーを介して投与されうる。本明細書において使用される場合、語「非経口」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、関節滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内、及び頭蓋内の注射又は注入技術を包含する。好ましくは、該組成物は、経口的に、腹腔内に、又は静脈内に投与される。本発明の該組成物の無菌注射形態は、水性又は油性の懸濁物でありうる。これらの懸濁物は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、当技術分野で知られている技術に従って処方されうる。無菌の注射可能な調製物はまた、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の無菌の注射可能な溶液又は懸濁物でありうる。使用されうるビヒクル及び溶媒は、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液である。加えて、無菌の不揮発油(fixed oil)は、慣用的に、溶媒又は懸濁媒体として使用されている。
【0263】
本発明の組成物は、任意の様式、例えば経口、非経口、舌下、経皮、膣、直腸、経粘膜、局所、吸入による鼻腔内、頬側若しくは鼻腔内投与、又はそれらの組み合わせを包含するがこれらに限定されてない任意の様式、で投与されうる。非経口投与は、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、髄腔内、及び関節内を包含するが、これらに限定されない。本発明の組成物はまた、インプラントの形態で投与され得、それは、該組成物のゆっくりとした放出並びにゆっくりと制御された静脈(i.v.)注入を可能にする。
【0264】
例えば、式(I)の化合物は、適切な添加剤と関連して、経腸若しくは非経口投与に適した任意の医薬形態で、例えば、プレーン若しくはコーティングされた錠剤、ハードゼラチン、ソフトシェルカプセル及び他のカプセル、坐剤、又は飲用、例えば懸濁物、シロップ、又は注射可能な溶液若しくは懸濁物の形態で、0.1~1000mgの活性物質の毎日の投与を可能にする用量で存在することができる。
【0265】
特定の実施態様において、本発明に従う式(I)の化合物は経口的に投与される。
【0266】
経口投与経路が、本発明の予防又は処置の観点において特に好ましい。