(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-20
(45)【発行日】2024-08-28
(54)【発明の名称】ハーネス型安全帯
(51)【国際特許分類】
A62B 35/00 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
A62B35/00 A
(21)【出願番号】P 2020077186
(22)【出願日】2020-04-24
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】591096288
【氏名又は名称】清水勧業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390006079
【氏名又は名称】東洋物産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 智憲
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0064969(US,A1)
【文献】特開2015-223292(JP,A)
【文献】登録実用新案第3166685(JP,U)
【文献】登録実用新案第3017111(JP,U)
【文献】登録実用新案第3047622(JP,U)
【文献】特開2000-079019(JP,A)
【文献】特開2019-180511(JP,A)
【文献】中国実用新案第208927474(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の上半身の前面と背面を通して両肩に掛ける肩ベルトと、前記肩ベルトに連結され前記作業者の両腿を支持する腿ベルトを少なくとも備えるハーネス型安全帯であって、
ナイロン材とナイロンメッシュ材を含む2層構造の生地又は前記2層構造の間にクッション材を挟み込んで3層構造の生地に形成すると共に左右幅を前記肩ベルトの幅の略3倍に形成した前記生地の表面に反射材を取り付けた帯状の反射パッドであって、
面ファスナーを含む係止具が設けられた幅方向両側における長手方向両端縁を幅方向の外側に向かって傾斜させている反射パッドを、前記生地を3つ折りにして前記肩ベルトに巻き付け、その肩ベルトを包んで三つ折りにされた前記生地の対向面同士をその対向面に設けた
前記面ファスナーを含む係止具で接合することによって、前記肩ベルトの背面側に着脱可能に取り付けることを特徴とするハーネス型安全帯。
【請求項2】
係止具が面ファスナーの場合には、その幅を前記肩ベルトの幅と略同等に設定する請求項1に記載のハーネス型安全帯。
【請求項3】
前記反射パッドは、前記面ファスナーが設けられた幅方向両側における角部を円弧状に丸めている請求項1又は2に記載のハーネス型安全帯。
【請求項4】
前記係止具は面ファスナーのほかに、ボタン、ホック、フック、結束紐から選択する請求項1又は2に記載のハーネス型安全帯。
【請求項5】
前記生地は、化学繊維又は天然繊維の織成材、編成材、不織布材、成形シート材のいずれかで形成し、メッシュ材は前記織成材、編成材、不織布材のいずれかで形成したものである請求項1~4のいずれかに記載のハーネス型安全帯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業において作業者が安全のために着用するハーネス型安全帯に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建設現場などにおける高所作業においては、作業者の落下防止などの安全を図るためにハーネス型安全帯や安全ベストの着用が義務づけられている。ここで、ハーネス型安全帯は、作業者が両肩に掛ける肩ベルトと、両足を通した作業者の両腿を支持する腿ベルトを少なくとも備えているが、斯かるハーネス型安全帯を着用した作業者を夜間や暗所においても遠くから視認することができるように、ハーネス型安全帯に反射材を取り付ける提案が例えば特許文献1,2において提案されている。
【0003】
すなわち、特許文献1には、反射材が取り付けられたパッドをハーネス型安全帯のベルトに縫い付ける提案がなされている。
【0004】
また、特許文献2には、反射材が縫い付けられた反射チョッキを既存のハーネス型安全帯と一体化する提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3175181号公報
【文献】特開2019-180511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2において提案されたハーネス型安全帯は、反射パッドをベルトまたはベストに縫い付けるものであるため、反射パッドが劣化したような場合には、この劣化した反射パッドを新しいものと容易に交換することができないという問題がある。
【0007】
そこで、反射パッドを面ファスナーなどでハーネス型安全帯のベルトに着脱可能に取り付けることが考えられるが、ハーネス型安全帯のベルトには、長さを調整するためのバックルや左右の肩ベルト間の幅を一定に保持するためのクロスベルトなどが設けられているため、反射パッドをベルトに着脱可能に取り付けることは容易ではない。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、ベルトの構造に応じて反射パッドを着脱可能に容易に取り付けることができ、夜間や暗所での作業においても遠くからハッキリと視認することができるハーネス型安全帯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための発明の一例は、作業者の上半身の前面と背面を通して両肩に掛ける肩ベルトと、前記肩ベルトに連結され前記作業者の両腿を支持する腿ベルトを少なくとも備えるハーネス型安全帯であって、
ナイロン材を含む1層構造の生地、又はナイロン材とナイロンメッシュ材を含む少なくとも2層構造を有する生地の表面に反射材を取り付けた帯状の第1の反射パッドが、その反射パッドの長手方向の少なくとも両端部2箇所に前記長手方向と直交する向き設けた面ファスナーを含む係止具を有する取付バンドを備えており、前記取付バンドを前記肩ベルトに巻き付け、その取付バンド同士を前記係止具で接合することによって、前記肩ベルトの正面側に前記反射材パッドを着脱可能に取り付けることを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明は、ナイロン材とナイロンメッシュ材を含む2層構造の間にクッション材を挟み込んで3層構造にすると共に左右幅を前記肩ベルトの幅の略3倍に形成した生地の表面に反射材を取り付けた帯状の第2の反射パッドを、前記生地を3つ折りにして前記肩ベルトに巻き付け、その肩ベルトを包んで三つ折りにされた前記生地の対向面同士を、その対向面に設けた面ファスナーを含む係止具で接合することによって、前記肩ベルトの背面側に着脱可能に取り付けることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、係止具が面ファスナーの場合、面ファスナーの幅が前記肩ベルトの幅と略同等に設定されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明において、前記第2の反射パッドの前記面ファスナーが設けられた幅方向両側の長手方向両端縁を幅方向の外側に向かって傾斜させている。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記第2の反射パッドの前記面ファスナーが設けられた幅方向両側の角部を円弧状に丸めたことを特徴とする。
【0013】
本発明において前記係止具は、面ファスナーのほかにボタン、ホック、フック結束紐等から選択することができる。また、前記生地は、化学繊維又は天然繊維の織成材、編成材、不織布材、或は成形シート材のいずれかで形成し、メッシュ材は前記織成材、編成材、不織布材のいずれかで形成したものであればよい。
【発明の効果】
【0014】
第一例の発明によれば、ハーネス型安全帯の肩ベルトに設けられたバックルやクロスベルトに跨って第1の反射パッドを架け渡し、該第1の反射パッドの少なくとも長手方向両端2箇所に設けられたバンドを肩ベルトに巻き付け、その端部同士を面ファスナーで接合することによって、該第1の反射パッドを肩ベルトの前部の高さ方向任意の位置に着脱可能に取り付けることができる。そして、第1の反射パッドが取り付けられたハーネス型安全帯に光源からの光が照射されると、この光が第1の反射パッドの反射材で反射して該反射材が発光するため、このハーネス型安全帯を着用した作業者の存在を夜間や暗所においても遠くからハッキリと視認することができ、作業者に高い安全性が確保される。また、第1の反射パッドが損傷したり、劣化した場合には、これを新しいものと容易に交換することができる。
【0015】
請求項1の発明によれば、ハーネス型安全帯の肩ベルトのうち、バックルやクロスベルトがない背面に対しては、第2の反射パッドを肩ベルトを包むように三つ折りで巻き付けてその巻きつけた対向面同士を面ファスナーで接合することによって当該第2の反射パッドを簡単且つ確実に肩ベルトの背面に取り付けることができる。そして、第2の反射パッドが損傷したり、劣化した場合には、これを新しいものと容易に交換することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、第2の反射パッドに設けられた各面ファスナーの幅が、肩ベルトの幅と略同等に大きく設定されているため、幅寸法が異なる肩ベルトであってもその背面に対して第2の反射パッドを三つ折りで巻き付けて面ファスナーによって肩ベルトの背面に着脱可能に確実に取り付けることができる。
【0017】
請求項1の発明によれば、第2の反射パッドの面ファスナーが設けられた幅方向両側の長手方向両端縁を幅方向外側に向かって傾斜させたため、この第2の反射パッドの幅方向両端の長手方向両端縁(斜辺)の長さが長くなり、当該第2の反射パッドを肩ベルトから取り外す場合には、長さが長くなった部分(斜辺)から手を差し込んで該第2の反射パッドを肩ベルトから容易に取り外すことができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、第2の反射パッドの面ファスナーが設けられた幅方向両側の角部を円弧状に丸めたため、この角部が捲れ上がることがなく、使用中に第2の反射パッドが簡単に外れるという不具合の発生が防がれる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】ハーネス型安全帯の装着状態を示す正面図である。
【
図2】ハーネス型安全帯の装着状態を示す背面図である。
【
図3】取付前の第1の反射パッドの正面側斜視図である。
【
図5】取付前の第1の反射パッドの裏面側の斜視図である。
【
図6】第1の反射パッドを肩ベルトの前面に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図8】本発明に係るハーネス型安全帯の装着状態を示す正面図である。
【
図9】本発明に係るハーネス型安全帯の装着状態を示す背面図である。
【
図10】取付前の第2の反射パッドの斜視図である。
【
図12】第2の反射パッドを肩ベルトの背面に取り付けた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
まず、反射パッドが取り付けられていないハーネス型安全帯の構成と装着要領について
図1及び
図2に従って以下に説明する。
【0022】
図1はハーネス型安全帯の一例の装着状態を示す正面図、
図2は同背面図であり、図示のハーネス型安全帯1’は、作業者が両肩に掛ける左右一対の肩ベルト2と、両足を通した作業者の両腿を支持する円形の左右一対の腿ベルト3を備えている。ここで、左右一対の肩ベルト2は、図に現れないが、背面側のクロス金具6で交差して左右一対の腿ベルト3へとそれぞれ繋がっている。なお、クロス金具6には、不図示の命綱の先端に取り付けられたフックを引っ掛けるためのリング状の吊下金具7が取り付けられている。ハーネス型安全帯には吊下金具7を有しないものもあるが、本発明を適用することができる。
【0023】
また、
図1に示すように、左右の肩ベルト2の作業者の胸辺りに対応する箇所には、左右の肩ベルト2の幅を一定に保って該肩ベルト2の外れを防ぐためのクロスベルト4が設けられており、左右の肩ベルト2のクロスベル4の接続部近傍にはバックル5がそれぞれ設けられている。
【0024】
ところで、
図8に示す本発明に係るハーネス型安全帯1には、左右の肩ベルト2の前面側に存在するクロスベルト4とバックル5に跨って第1の反射パッド10が取り付けられる。ここで、第1の反射パッド10の構成と取付方法を
図3~
図7に基づいて以下に説明する。
【0025】
図3は取付前の第1の反射パッドの正面側斜視図、
図4は
図3のA-A線断面図、
図5は取付前の第1の反射パッドの裏面側斜視図、
図6は第1の反射パッドを肩ベルトに取り付けた状態を示す正面側斜視図、
図7は
図6のB-B線断面図である。
【0026】
第1の反射パッド10は、上下方向に細長い帯状の生地11の表面に同じく上下方向に細長い反射材12を取り付けるとともに、生地11の長手方向両端部である上端部と下端部及び中間部の3箇所に帯状のバンド13を取り付けて構成されている。ここで、生地11は、一例として
図4に示すように、摩擦に強くて軽く且つ伸縮性に富むナイロン材11aと通気性の高いナイロンメッシュ材11bとの2層構造を有しており、表面側のナイロン材11aの表面に反射材12がその周縁を縫い付けることによって取り付けられている。また、反射材12は、光源から出射する光を反射することによって発光する再帰性を有するものである。なお、本実施の形態では、第1の反射パッド10の生地11をナイロン材11aとナイロンメッシュ材11bの2層構造としたが、ナイロン材の1層構造、或は3層構造以上の多層構造としても良い。
上記例においては、生地11をナイロン材11aとナイロンメッシュ材11bとしたが、本発明で使用できる生地11は、上記ナイロン材11aやナイロンメッシュ材11bを含む化学繊維、又は天然繊維の織成材、編成材、不織布材、成形シート材のいずれか又はこれらの混成材で形成したものであればよい。
【0027】
前記3つのバンド13は、生地11の裏面の上下端部と中間部に、生地11の長手方向(上下方向)に直交する左右方向に沿って配置され、その左右方向中央部が縫い付けられることによって生地11の裏面に取り付けられている。そして、当該第1の反射パッド10が肩ベルト2に取り付けられる前の状態において、各バンド13の生地11の左方に延出する左端部13Lの各裏面には係止具の一例として矩形の面ファスナー14がそれぞれ取り付けられている。また、各バンド13の生地11の右方に延出する右端部13Rの各表面には矩形の面ファスナー15がそれぞれ取り付けられている。なお、本実施の形態では、生地11の上下端部と中間部の計3箇所にバンド13を取り付けたが、バンド13の数は任意であって、生地11の少なくとも上下端の2箇所にバンド13が取り付けられていれば良い。本発明の係止具としては前記面ファスナー14のほかに、ボタン、ホック、フック、結束紐などを選択できる。この点は、以下に述べる面ファスナーの代替品についても同じである。
【0028】
而して、以上のように構成された第1の反射パッド10は、以下の要領で
図8に示すように左右の肩ベルト2の前面においてクロスベルト4とバックル5(
図1参照)に跨って取り付けられる。
【0029】
すなわち、第1の反射パッド10を、左右の肩ベルト2の正面側からクロスベルト4とバックル5を跨ぐように反射材12が取り付けられた面を正面側にして当て、各バンド13の左端部13Lと右端部13Rを肩ベルト2に巻き付けるようにそれぞれ肩ベルト2の裏面側に回し、両者に設けられた面ファスナー14,15によって互いに接合することによって、
図6及び
図8に示すように、第1の反射パッド10が左右の肩ベルト2にそれぞれ着脱可能に取り付けられる。ここで、
図7に示すように、各バンド13の右端部13Rが肩ベルト2に巻き付けられるように折り曲げられた後に左端部13Lが折り曲げられ、左端部13Lに設けられた面ファスナー14が右端部13Rに設けられた面ファスナー15に重ねられて両面ファスナー14,15が互いに接合される。
【0030】
ところで、
図8及び
図9に示すように、左右の各肩ベルト2において作業者の肩に掛けられる部分と作業者の背中に対応する部分の計4箇所には、第2の反射パッド20がそれぞれ取り付けられる。ここで、第2の反射パッド20の構成と取付方法を
図10~
図13に基づいて以下に説明する。
【0031】
図10は取付前の第2の反射パッドの裏面側斜視図、
図11は
図10のC-C線断面図、
図12は第2の反射パッドを肩ベルトに取り付けた状態を示す正面図、
図13は
図12のD-D線断面図である。
【0032】
第2の反射パッド20は、肩ベルト2の左右幅の3倍程度の左右幅を有する生地21を3つ折りにした状態における上下方向に細長い帯状部分の生地21の表面に上下方向に細長い反射材22を取り付けて構成されている。ここで、生地21は、
図11に示すように、ナイロン材21aとナイロンメッシュ材21bとの間に衝撃吸収性の高いクッション材21cを挟み込んだ3相構造を有している。このように、第2の反射パッド20の生地21を衝撃吸収性の高いクッション材21cを含む3層構造とすることによって、当該第2の反射パッド20が取り付けられたハーネス型安全帯1を装着した作業者の肩や背中の部分の負担が軽減される。
【0033】
そして、生地21は、
図10に示すように、3つ折りにする生地21の幅方向中央に位置する中央部21Mと、該中央部21Mから左右に延びて幅方向の両側を構成する左端部21Lと右端部21Rを有しており、右端部21Rの表面(
図10においては裏面)には、
図12に示すように、上下方向に細長い帯状の反射材22が周囲を縫い付けることによって取り付けられている。なお、反射材22としては、第1の反射パッド10に用いられている反射材12と同様に再帰性を有するものが用いられている。
【0034】
また、
図10に示すように、3つ折りにする生地21の幅方向の両側のうち、左端部21Lの外面には帯状の面ファスナー24が上下方向に沿って取り付けられており、右端部21Rの内面にも同様に帯状の面ファスナー15が上下方向に沿って取り付けられている。ここで、これらの面ファスナー24,25の幅W1は、肩ベルト2の幅W2と略同等(W1≒W2)か僅かに小さめに設定されている。
【0035】
而して、以上のように構成された第2の反射パッド20は、次の要領で左右の肩ベルト2の背面又は肩部にそれぞれ取り付けられる。
【0036】
すなわち、第2の反射パッド20を、平面状に広げた状態(生地21の幅方向両端の左端部21Lと右端部21Rを広げた状態)で肩ベルト2の裏面側に通す。このとき、この第2の反射パッド20は、生地21の中央部21Mが左右の肩ベルト2の裏面に当てられる。そして、この状態から第2の反射パッド20の生地21の左端部21Lと右端部21Rを
図10に矢印にて示す方向(内側)に折り曲げてこれらを肩ベルト2の正面において上下に重ね、両者をこれらに設けられた面ファスナー24,25によって互いに接合することによって、当該反射パッド20が肩ベルト2に取り付けられる。より詳細には、
図13に示すように、まず、生地21の左端部21Lが先に折り曲げられ、次に右端部21Rが折り曲げられて左端部21Lの上に重ねられる。すると、右端部21Rの内面に取り付けられた面ファスナー25が左端部21Lの外面に取り付けられた面ファスナー24に重ねられて両者が接合されるため、第2の反射パッド20が肩ベルト2に巻き付けられた状態で着脱可能に取り付けられる。このようにして第2の反射パッド20が肩ベルト2の背面や肩部に取り付けられると、当該第2の反射パッド20に取り付けられた反射材21が
図8、
図9及び
図12に示すように正面側(人の眼に触れる側)に向く。
【0037】
ところで、本実施の形態においては、
図12に示すように、第2の反射パッド20の3つ折りされる生地21の面ファスナー24,25が取り付けられた幅方向両端部である左端部21Lと右端部21Rの上下方向の両側は、幅方向外側に向かって傾斜している。具体的には、左端部21Lと右端部21Rの上端縁は、幅方向に沿って下方に向かって角度αだけ傾斜する斜辺21L1,21R1とされ、左端部21Lと右端部21Rの下端縁は、幅方向に沿って上方に向かって角度αだけ傾斜する斜辺21L2,21R2とされている。
【0038】
また、
図10及び
図12に示すように、第2の反射パッド20の生地21の幅方向両端部である左端部21Lと右端部21Rの上下の各角部(コーナー部)は、円弧状に丸められた形状(Rが付けられた形状)とされている。
【0039】
而して、
図8及び
図9に示すように、肩ベルト2の各箇所に第1の反射パッド10と第2の反射パッド20が取り付けられたハーネス型安全帯1を装着した作業者は、肩ベルト2の背面側に設けられたクロス金具6に取り付けられた吊下金具7(
図9参照)に不図示に命綱の先端に取り付けられた図示のフックを引っ掛けた状態で高所作業を行う。このとき、万一、作業者が足場から足を滑らせたような場合には、作業者は、命綱によって吊下げられて地上への落下が防がれ、作業者の安全が確保される。
【0040】
また、作業者が夜間或いは暗所で高所作業を行っている場合、光源からの光が第1の反射パッド10の反射材12や第2の反射パッド20の反射材22に照射されると、この光が反射材12,22で反射するためにこれらの反射材12,22が発光する。このため、遠方からでも作業者をハッキリと視認することができ、作業者の安全が確保される。
【0041】
以上のように、本実施の形態によれば、ハーネス型安全帯1の肩ベルト2に設けられたクロスベルト4やバックル5に跨って第1の反射パッド10を架け渡し、該第1の反射パッド10の上下方向3箇所に設けられたバンド13を肩ベルト2に巻き付け、その端部同士を面ファスナー14,15で接合することによって、該第1の反射パッド10を肩ベルト2の一部に着脱可能に取り付けることができる。そして、この第1の反射パッド10が取り付けられたハーネス型安全帯1に光源からの光が照射されると、この光が第1の反射パッド10の反射材12で反射して該反射材12が発光するため、このハーネス型安全帯1を着用した作業者の存在を夜間や暗所においても遠くからハッキリと視認することができ、作業者に高い安全性が確保される。また、第1の反射パッド10は肩ベルト2に着脱可能に取り付けられるため、該第1の反射パッド10が損傷したり、劣化した場合には、これを新しいものと容易に交換することができる。
【0042】
さらに、本実施の形態によれば、ハーネス型安全帯1の肩ベルト2のうち、クロスベルト4やバックル5がない肩部や背面に対しては、第2の反射パッド20を肩ベルト2に巻き付けてその端部同士を面ファスバー24,25で接合することによって当該第2の反射パッド20を簡単且つ確実に肩ベルト2に取り付けることができる。そして、この第2の反射パッド20は、肩ベルト2に着脱可能に取り付けられるため、該第2の反射パッド20が損傷したり、劣化した場合には、これを新しいものと容易に交換することができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、第2の反射パッド20の肩ベルト2に巻き付けられて重ねられる幅方向両側21L,21Rの一方の外面と他方の内面にそれぞれ設けられた各面ファスナー24,25の幅W1が肩ベルト2の幅W2と略同等に大きく設定されているため、幅寸法が異なる肩ベルト2に対しても第2の反射パッド20を巻き付けて面ファスナー24,25によって着脱可能に確実に取り付けることができる。
【0044】
そして、本実施の形態においては、第2の反射パッド20の面ファスナー24,25が設けられた幅方向両端部21L,21Rの上下方向両端縁を幅方向外側に向かって角度αだけ傾斜させたため、この第2の反射パッド20の幅方向両側21L,21Rの上下方向両端縁(斜辺)21L1,21L2と21R1,21R2の長さが長くなり、当該第2の反射パッド20を肩ベルト2から取り外す場合には、長さが長くなった斜辺21R1,21R2部分から手を差し込んで第2の反射パッド20を容易に取り外すことができる。
【0045】
また、本実施の形態においては、第2の反射パッド20の面ファスナー24,25が設けられた幅方向両側である左端部21Lと右端部21Rの角部(コーナー部)を円弧状に丸めたため、この角部が捲れ上がることがなく、使用中に第2の反射パッド20が簡単に外れるという不具合の発生が防がれる。
【0046】
なお、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲および明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
1 ハーネス型安全帯
2 肩ベルト
3 腿ベルト
4 クロスベルト
5 バックル
10 第1の反射パッド
11 第1の反射パッドの生地
11a ナイロン材
11b ナイロンメッシュ材
12 第1の反射パッドの反射材
13 バンド
13L バンドの左端部
13R バンドの右端部
14,15 第1の反射パッドの面ファスナー
20 第2の反射パッド
21 第2の反射パッドの生地
21L 第2の反射パッドの左端部
21R 第2の反射パッドの右端部
21a ナイロン材
21b ナイロンメッシュ材
21c クッション材
22 第2の反射パッドの反射材
24,25 第2の反射パッドの面ファスナー
W1 面ファスナーの幅
W2 肩ベルトの幅
α 第2の反射パッドの幅方向両端縁の傾斜角